説明

流量調整弁

【課題】弁体の開閉量を簡便且つ確実に把握し、圧力流体の流量を安定的且つ高精度に調整する。
【解決手段】弁体26の開閉量を調整可能なハンドル72を有し、前記ハンドル72の第1軸部92に弁体26が連結されたピストン48を螺合し、該ハンドル72の回転作用下に前記ピストン48を介して弁体26を軸線方向に沿って変位させると共に、該ハンドル72の内部にインジケータ部28を収容し、その第1インジケータ118を前記ハンドル72に対して螺合させ、前記弁体26の変位に伴うようにインジケータ部28を変位させる。そして、第1インジケータ118の第2ねじ部127、該第2ねじ部127が螺合されるねじ孔106のねじピッチP2が、第1軸部92に形成された第1ねじ部74と、該第1ねじ部74に螺合されるピストン48の第1雌ねじ部70のねじピッチP1に対して大きく設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体の開閉作用下に圧力流体の流量を調整可能な流量調整弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流体が流通する通路を備えたボディの内部に円錐状の弁体が変位自在に設けられ、前記通路に臨む弁座に対して前記弁体を接近・離間させることにより、前記弁体と弁座との間の間隙を通じて流通する流体の流量を調整可能な流量調整弁が知られている。このような流量調整弁では、弁体を変位させるための操作部を有し、作業者が前記操作部を回転させることによって前記弁体を軸線方向に沿って変位させ、前記弁座に対して接近・離間させて流体を所望の流量に調整している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−230407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に係る従来技術においては、弁体となるニードル弁を軸線方向に沿って変位させた際、その変位量(移動量)を外部から視認できる手段を何ら備えていないため、このニードル弁の変位作用下に調整される流体の流量を高精度に調整することが困難となる。また、複数の流量調整弁を同時に使用する場合には、それぞれの流量調整弁毎に流量を測定しながら調整する必要があり、その調整作業が非常に煩雑なものとなる。
【0005】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、弁体の開閉量を簡便且つ確実に把握し、圧力流体の流量を安定的且つ高精度に調整することが可能な流量調整弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明は、圧力流体が流通する通路を有するボディと、
前記ボディの内部に変位自在に設けられ、前記ボディに形成された弁座に着座自在な弁体と、
前記弁体の変位動作に基づいて軸線方向に沿って変位し、該弁体の開閉量を外部から視認可能なインジケータ部と、
前記弁体が螺合される第1螺合部と、前記インジケータ部が螺合される第2螺合部とを有し、前記ボディに回転自在に保持されて所定の回転力が付与される操作部と、
を備え、
前記操作部の回転作用下に前記弁体及び前記インジケータ部がそれぞれ軸線方向に沿って変位すると共に、前記第2螺合部のねじピッチが、前記第1螺合部のねじピッチに対して大きく設定されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、圧力流体の流通する通路を有するボディに操作部を回転自在に設け、前記操作部の第1螺合部に弁体を螺合させると共に、第2螺合部に、該弁体の開閉量を外部から視認可能なインジケータ部を螺合させ、前記操作部の回転作用下に前記弁体及び前記インジケータ部をそれぞれ軸線方向に沿って変位させている。そして、インジケータ部の変位量を外部から視認することにより、弁体の開閉量を確認することとしている。
【0008】
この場合、インジケータ部の螺合される第2螺合部のねじピッチが、前記弁体の螺合される第1螺合部のねじピッチに対して大きく設定されているため、前記弁体の変位量に対してインジケータ部の変位量が大きくなる。従って、弁体の開閉量をインジケータ部によって確実且つ容易に視認することができ、それに伴って、圧力流体の流量を安定的且つ高精度に調整することが可能となる。
【0009】
また、インジケータ部は、操作部の内部に設けられ、第2螺合部に螺合されるねじ部と、前記操作部に対して変位した際に、該操作部の外部に露呈する視認部と、
を備え、
前記視認部に、前記操作部の回転数を確認可能な目盛を設けるとよい。
【0010】
これにより、操作部の内部に設けられたインジケータ部が、ねじ部の螺合作用下に操作部の回転に伴って変位した際、該操作部の外部に露呈した視認部の目盛を、該操作部の端部を基準として読み取ることにより、前記インジケータ部の変位量を容易且つ確実に確認することができる。その結果、インジケータ部の変位量に基づいた弁体の変位量を把握することができる。
【0011】
さらに、視認部を、弁体が弁座に着座した弁閉時に操作部の内部に収容し、前記弁体が前記弁座から離間した弁開時に前記操作部の外部に露呈させることにより、流量調整弁の弁閉及び弁閉状態を外部から確実且つ容易に視認することができる。
【0012】
さらにまた、ボディに、該ボディに対する操作部の回転変位を規制するロック手段を有することにより、弁体を変位させて所望の圧力流体の流量が得られた状態で前記操作部の回転変位を規制することにより、前記流量を容易に略一定として維持することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0014】
すなわち、ボディに回転自在に操作部を設け、該操作部の第1螺合部に弁体を螺合させると共に、第2螺合部にインジケータ部を螺合させ、前記操作部の回転作用下に前記弁体及び前記インジケータ部をそれぞれ軸線方向に沿って変位させている。この際、第2螺合部のねじピッチが、前記第1螺合部のねじピッチに対して大きく設定されているため、前記弁体の変位量に対してインジケータ部の変位量を大きくすることができ、前記弁体の開閉量をインジケータ部によって確実且つ容易に視認することが可能となる。その結果、それに伴って、圧力流体の流量を高精度に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る流量調整弁について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0016】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る流量調整弁を示す。
【0017】
この流量調整弁は、図1〜図3に示されるように、圧力流体が供給・排出される第1及び第2ポート12、14を有するバルブボディ(ボディ)16と、前記バルブボディ16の上部に連結される第1及び第2ハウジング(ボディ)18、20と、前記バルブボディ16及び第1ハウジング18の内部に変位自在に設けられ、前記第1ポート12から第2ポート14へと流通する圧力流体の流量を調整する弁機構部22と、前記第1及び第2ハウジング18、20の内部に回転自在に支持され、前記圧力流体の流量を調整自在な操作部24と、前記弁機構部22を構成する弁体26の変位量を視認するためのインジケータ部28とを含む。
【0018】
バルブボディ16には、樹脂製材料から形成され、その一側面には第1接続部30が突出して形成され、該第1接続部30の内部には圧力流体が供給される第1ポート12が開口している。一方、バルブボディ16の他側面には、第2接続部32が突出して形成され、その内部には圧力流体が排出される第2ポート14が開口している。
【0019】
この第1及び第2ポート12、14の内部には、カプラ34が挿入され、前記第1及び第2ポート12、14の内周面と前記カプラ34との間に圧力流体の流通するチューブ36がそれぞれ挿入される。そして、第1及び第2接続部30、32の外周面に形成されたねじ部に接続キャップ38が螺合されることにより、前記チューブ36が前記第1及び第2接続部30、32に対して固定される(図2参照)。
【0020】
また、バルブボディ16の内部には、第1及び第2ポート12、14から略水平方向に向かって延在する連通路40a、40bがそれぞれ形成され、前記連通路40a、40b同士が接続する部位には、弁機構部22を構成する弁体26が着座する弁座42が形成される。なお、この弁座42は、バルブボディ16に連結された第1ハウジング18に臨むように上方に向かって突出して形成される。
【0021】
第1及び第2ハウジング18、20は、その略中央部に軸線方向に沿って貫通した第1及び第2孔部44、46を有し、前記第1及び第2孔部44、46がバルブボディ16の弁座42を通じて連通路40a、40bと連通している。
【0022】
第1孔部44には、弁機構部22を構成するピストン48が軸線方向(矢印A、B方向)に沿って変位自在に挿通され、前記第1孔部44の内周面には、所定深さで窪んでバルブボディ16側(矢印A方向)に向かって延在した一組のガイド溝50が形成される。一方、第2孔部46には、操作部24の一部が回転自在に挿通されている。
【0023】
また、第1及び第2ハウジング18、20には、その四隅に設けられたボルト孔52に連結ボルト54が挿通され、前記第2ハウジング20から第1ハウジング18側(矢印A方向)へと挿入された連結ボルト54がバルブボディ16の下部に設けられたベースプレート56に螺合される。これにより、バルブボディ16、第1及び第2ハウジング18、20が一体的に連結される。
【0024】
弁機構部22は、第1孔部44の内部に変位自在に配設されるピストン48と、前記ピストン48のに連結され、弁座42に着座可能な弁体26とを含む。
【0025】
ピストン48は、該ピストン48の軸線と略直交方向に延在する円盤状のベース部58と、前記ベース部58の一端面からバルブボディ16側(矢印A方向)に向かって突出した凸部60と、前記ベース部58の他端面から円筒状に突出した筒部62とから構成される。この凸部60には、外周面に沿ってねじが刻設され、該凸部60に対して弁体26が螺合されている。これにより、ピストン48と弁体26とが連結され、軸線方向に沿って一体的に変位する。
【0026】
また、ベース部58の外周面には、半径外方向に向かって突出した一組のガイド部64が形成され、前記ガイド部64が第1孔部44に形成されたガイド溝50に挿入される。これにより、ピストン48は、ガイド溝50に沿って軸線方向(矢印A、B方向)に沿ってのみ変位可能となり、その軸線を中心とした回転方向への変位が規制される。すなわち、ガイド部64は、ピストン48の回転変位を規制する回り止めとして機能する。
【0027】
一方、ベース部58の他端面には、筒部62の中心となるように穴部66が形成され、該穴部66に対して断面略矩形状のシャフト68が嵌合されている。このシャフト68は、軸線方向(矢印A、B方向)に沿って長尺で形成され、前記穴部66に嵌合されることによりピストン48と共に軸線方向に沿って変位自在に設けられる。
【0028】
また、筒部62の外周面は、第1孔部44の内周面に摺接し、ピストン48が変位する際に軸線方向(矢印A、B方向)に沿って案内される。一方、筒部62の内周面には、軸線方向に沿って第1雌ねじ部70が形成され、前記筒部62内に挿入された操作部24を構成するハンドル72の第1ねじ部(第1螺合部)74が螺合される。すなわち、ピストン48は、ハンドル72が回転することにより第1雌ねじ部70と第1ねじ部74との螺合作用下に軸線方向(矢印A、B方向)に沿って変位することとなる。換言すれば、操作部24の回転変位が、第1雌ねじ部70及び第1ねじ部74を介してピストン48の直線変位へと変換される。この場合、ピストン48は、ガイド部64が第1ハウジング18のガイド溝50に係合されているため回転変位することがない。
【0029】
弁体26は、樹脂製材料から形成され、ピストン48に連結される本体部76と、該本体部76の端部に形成され弁座42に着座自在な弁部78と、前記弁部78の外周面から半径外方向に延在するスカート部80と、前記スカート部80の周縁に形成され、バルブボディ16と第1ハウジング18との間に保持される周縁部82とからなる。
【0030】
本体部76は、ピストン48側(矢印B方向)に向かって開口した有底筒状に形成され、その内部にピストン48の凸部60が挿入されて螺合されている。これにより、弁体26が、ピストン48の凸部60に対して連結される。
【0031】
弁部78は、本体部76の端部に設けられ、該本体部76の軸線に略直交した着座面84と、前記着座面84から離間する方向(矢印A方向)に向かって徐々に縮径したテーパ面86とを備える。そして、この着座面84が弁座42の端面に当接することにより、連通路40a、40bの連通状態が遮断される。また、スカート部80は、薄膜状に形成され、弁部78と周縁部82との間で撓曲自在に設けられている。
【0032】
すなわち、スカート部80は、弁体26がピストン48と共に軸線方向に沿って変位する際、周縁部82によって外周側が保持された状態で弁部78の変位に伴って撓曲変位する。
【0033】
一方、スカート部80には、ピストン48側(矢印B方向)となる側面に保護部材88が設けられる。この保護部材88は、例えば、ゴム等の弾性材料から環状に形成され、前記スカート部80に密着するように設けられている。
【0034】
また、弁体26を構成する本体部76の外周側には、鍔部を有する円筒状のリング体90が設けられ、その内周面が前記本体部76の外周面に当接すると共に、前記弁体26のスカート部80側(矢印A方向)となる鍔部が保護部材88に当接している。これにより、保護部材88がリング体90によって前記スカート部80側に向かって押圧される。すなわち、前記保護部材88を薄膜状のスカート部80に密着させることにより、該スカート部80を保護している。
【0035】
操作部24は、第2ハウジング20の第2孔部46に対して回転自在に支持されたハンドル72からなり、このハンドル72は、一端部に形成され、第1ハウジング18の第1孔部44に挿通されてピストン48に螺合される第1軸部92と、前記第1軸部92に隣接し、第2ハウジング20の第2孔部46に支持される第2軸部94と、前記第2軸部94に隣接し、第2ハウジング20の外部に露呈した第3軸部96と、他端部側に形成されて作業者が把持する把持部98とを含む。
【0036】
第1軸部92の外周面には、軸線方向に沿って第1ねじ部74が刻設され、前記第1軸部92がピストン48における筒部62の内部に挿入されて第1雌ねじ部70に螺合される。なお、第1軸部92の外周径と筒部62の内周径とが略同一に設定される。
【0037】
また、第2軸部94は、第1軸部92に対して半径外方向に拡径し、その外周面が第2孔部46に当接して回転自在に支持される。この第2軸部94の外周面には環状溝が設けられ、第1ハウジング18と第2ハウジング20との間に挟持されたストッパ100が挿入される。これにより、第2軸部94は、第2ハウジング20に対して軸線方向(矢印A、B方向)への変位が規制されると共に、ハンドル72の軸線を中心とした回転方向に変位自在な状態で保持される。
【0038】
一方、第1及び第2軸部92、94の内部には、軸線方向に沿って挿通孔102が貫通し、該挿通孔102にはピストン48に嵌合されたシャフト68が挿通される。
【0039】
第3軸部96は、第2軸部94と把持部98との間に設けられ、該第2軸部94に対して若干だけ拡径して形成される。この第3軸部96は、第2軸部94との境界部位に設けられた段部が第2ハウジング20の端部に係合され、前記第2ハウジング20に対して位置決めされる。また、第3軸部96の内部には、内周面に沿った第2雌ねじ部(第2螺合部)104を有するねじ孔106が形成され、前記ねじ孔106の直径は挿通孔102の直径より大きく設定されている。このねじ孔106は、把持部98に形成される収容孔108と連通し、該収容孔108に収容されるインジケータ部28の一部が螺合される。
【0040】
第3軸部96の外周面には、軸線方向に沿ってねじ110が刻設され、前記ねじ110には、第2ハウジング20の上部に配設されたロックナット112が螺合される。このロックナット112は、その外周面が周方向に沿って凹凸状に形成され、第3軸部96に対して回転させることにより軸線方向に自在に変位する。そして、ロックナット112を第2ハウジング20の端部に当接させることにより、ハンドル72の回転変位が規制される。すなわち、ロックナット112は、ハンドル72の回転操作をロックするロック手段として機能する。
【0041】
把持部98は、第3軸部96より半径外方向に拡径した円筒状に形成され、その外周面は、作業者が把持しやすいように周方向に沿って凹凸状に形成される。また、把持部98の内部には、インジケータ部28が収容される収容孔108が開口し、前記収容孔108は、ねじ孔106及び挿通孔102と同軸上に形成されて互いに連通している。
【0042】
また、把持部98の端面98aには、図4に示されるように、収容孔108側に向かって先狭状となる三角状の指示部114が形成され、該指示部114によって収容孔108に収容されるインジケータ部28の表示部116が指し示される。
【0043】
すなわち、操作部24を構成するハンドル72は、把持部98を把持して回転させることにより、第2ハウジング20に支持された第2軸部94を介して回転変位し、第1軸部92に螺合されたピストン48が軸線方向(矢印A、B方向)に沿って変位する。なお、この際、第2軸部94は、ストッパ100によって軸線方向への変位が規制されているため、ピストン48と共に軸線方向に変位することがなく、且つ、ピストン48はガイド部64によって第1ハウジング18に対する回転変位が規制されているため、第1軸部92と共に回転することがない。
【0044】
インジケータ部28は、ハンドル72を構成するねじ孔106に螺合され、軸線方向に沿って変位自在な第1インジケータ118と、該第1インジケータ118に連結され、収容孔108に収容される第2インジケータ120とを含む。
【0045】
第1インジケータ118は円筒状に形成され、バルブボディ16側に形成されてねじ孔106に螺合される第1小径部(ねじ部)122と、ハンドル72の把持部98側に形成されて収容孔108に収容される第1大径部(視認部)124とを備え、前記第1小径部122及び第1大径部124の中央部には、軸線方向に沿ったシャフト孔126が形成される。このシャフト孔126は、シャフト68の断面形状に対応して断面略矩形状に形成され、前記シャフト68が挿入されることにより内壁面に当接する。
【0046】
すなわち、第1インジケータ118は、シャフト孔126に挿通されたシャフト68に対して回転方向に相対的に変位することがないため、回転変位の規制されたピストン48を介して回転方向への変位が規制される。
【0047】
第1小径部122には、その外周面に沿ってねじの刻設された第2ねじ部127が形成され、該第2ねじ部127を介してハンドル72を構成する第3軸部96のねじ孔106に対して螺合される。すなわち、ハンドル72が回転することにより、第3軸部96に螺合された第1インジケータ118が収容孔108の内部で軸線方向に沿って変位する。換言すれば、ハンドル72の回転変位が第2雌ねじ部104を有するねじ孔106及び第2ねじ部127を介してインジケータ部28の直線変位へと変換される。
【0048】
また、第2ねじ部127及び第2雌ねじ部104のねじピッチP2は、ハンドル72における第1軸部92の第1ねじ部74及び該第1ねじ部74が螺合されるピストン48の第1雌ねじ部70のねじピッチP1に対して大きく設定される(P2>P1)。例えば、ねじピッチP2は、ねじピッチP1の約10〜20倍に設定される。
【0049】
第1大径部124には、シャフト孔126と連通し、上方に向かって開口した嵌合孔128が形成され、該嵌合孔128に第2インジケータ120の一部が挿入されて嵌合される。これにより、第1インジケータ118の上部に第2インジケータ120が連結されることとなる。
【0050】
また、第1大径部124の外周面には、周方向に沿って複数の周回溝(目盛)130aが形成される。この周回溝130aは、第1インジケータ118の軸線と略直交方向に形成され、該第1インジケータ118の軸線方向に沿って互いに等間隔離間するように形成される。
【0051】
第2インジケータ120は、有底筒状に形成され、円筒状に形成された第2小径部132が第1インジケータ118の嵌合孔128に嵌合されると共に、該第2小径部132に対して拡径した第2大径部(視認部)134が把持部98の収容孔108に収容される。この第2大径部134は、第1インジケータ118の第1大径部124と略同一直径に形成されると共に、その外周径が収容孔108の内周径と略同等に形成される。そして、インジケータ部28を構成する第1及び第2インジケータ118、120において、前記第1及び第2大径部124、134の外周面が、前記第1及び第2インジケータ118、120の軸線方向に沿って連続した周面となる。
【0052】
第2小径部132は、ハンドル72のシャフト孔126に臨み、該第2小径部132の端部とシャフト68の端部との間にスプリング136が介装される。このスプリング136は、シャフト孔126に挿通され、その弾発力は、シャフト68を介してピストン48と第2インジケータ120を含むインジケータ部28とを互いに離間させる方向に付勢される。
【0053】
第2大径部134の外周面には、第1インジケータ118と同様に、第2インジケータ120の軸線と略直交し、且つ、周方向に沿って延在する複数の周回溝(目盛)130bが形成され、前記周回溝130bは軸線方向に沿って互いに等間隔離間して形成される。なお、第1大径部124に形成される周回溝130aと、第2大径部134に形成される周回溝130bは、それぞれ軸線方向に沿って略同一の離間間隔で形成される。
【0054】
また、第2大径部134の端面には、把持部98側となる外周部位に複数の表示部116が設けられる。この表示部116は、互いに等間隔離間するように配置され、例えば、1〜8のような順番に配置された数字からなる(図4参照)。そして、ハンドル72の把持部98を回転させた際に、該把持部98の指示部114が第2インジケータ120の表示部116を指し示すことにより、前記把持部98の回転量を正確に確認することができる。なお、第2インジケータ120に設けられる表示部116の数は、上述した8個に限定されるものではなく、周方向に沿って等間隔毎に離間して設けられていれば特にその数は限定されない。
【0055】
さらに、第1及び第2大径部124、134の外周面には、図5及び図6に示されるように、複数の表示部116に対応した位置にそれぞれ第1〜第8指示溝138a〜138hが形成される。この第1〜第8指示溝138a〜138hは、第1及び第2大径部124、134の外周面に対して所定深さで窪むと共に第1及び第2インジケータ118、120の軸線と略平行に形成され、第2大径部134の端面から周回溝130a、130bを横切るように所定長さで延在している。
【0056】
また、第1〜第8指示溝138a〜138hは、それそれ異なる長さに設定され、例えば、表示部116の「1」に対応する第1指示溝138aは、第2インジケータ120の端面から該端面に最も近接した1段目の周回溝130aまで延在し、表示部116の「2」に対応する第2指示溝138bは、前記端面から該端面側から2段目の周回溝130aまで延在している。すなわち、第1〜第8指示溝138a〜138hの長さは、第2大径部134の端面に設けられた表示部116の数字に応じた数の周回溝130a、130bを端面側から横切るように延在し、前記端面から離間する方向へと形成される。
【0057】
本発明の実施の形態に係る流量調整弁10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。図1及び図2は、弁体26が弁座42側(矢印A方向)に向かって変位して該弁座42に着座し、第1ポート12と第2ポート14との連通が遮断された弁閉状態を示している。なお、第1及び第2ポート12、14には、予め接続キャップ38を介してそれぞれチューブ36が接続されている。また、インジケータ部28を構成する第1及び第2インジケータ118、120は、ハンドル72の収容孔108に収容され、該第2インジケータ120の端部と把持部98の端面98aとが略同一平面となり、指示部114が表示部116の「1」を指し示している。
【0058】
このような弁閉状態において、図示しない作業者がハンドル72の把持部98を把持して所定方向へと回転させることにより、前記ハンドル72が第2ハウジング20の第2孔部46に保持された状態で回転変位する。これにより、ハンドル72の第1軸部92に螺合されたピストン48が弁座42から離間する方向(矢印B方向)へと変位し、該ピストン48と共に弁体26が変位することによって該弁体26の着座面84が前記弁座42から離間する。なお、この場合、ピストン48は、第1ハウジング18のガイド溝50に係合されたガイド部64によって回転方向への変位が規制されているため、該第1ハウジング18の軸線方向に沿ってのみ変位する。
【0059】
その結果、弁体26を構成する弁部78のテーパ面86と弁座42との間の間隙を通じて第1ポート12から供給された圧力流体が連通路40a、40bを通じて徐々に第2ポート14へと流通する。
【0060】
また、ハンドル72の回転作用下に弁体26が変位すると共に、該ハンドル72のねじ孔106に螺合された第1インジケータ118がピストン48から離間する方向(矢印B方向)へと変位し、該第1インジケータ118の第1大径部124と第2インジケータ120とが収容孔108に沿って一体的に上方へと変位する。すなわち、第2インジケータ120の端部が、ハンドル72における把持部98の端面98aに対して徐々に上方(矢印B方向)へと突出する。
【0061】
なお、この際、第1インジケータ118は、シャフト孔126に挿通されたシャフト68によってピストン48に対する回転方向への相対変位が規制されているため軸線方向に沿ってのみ変位する。
【0062】
この場合、ハンドル72の回転作用下にピストン48とインジケータ部28とが共に弁座42から離間する方向(矢印B方向)へと変位するが、前記ハンドル72におけるねじ孔106、該ねじ孔106に螺合される第1小径部122の第2ねじ部127のねじピッチP2が、第1軸部92の第1ねじ部74、該第1軸部92が螺合されるピストン48の第1雌ねじ部70のねじピッチP1に対して大きく設定されているため(P1<P2)、前記ハンドル72の回転に伴って変位する第1インジケータ118を含むインジケータ部28の変位量C2が、ピストン48及び弁体26の変位量C1に対して大きくなる(C1<C2)。
【0063】
その結果、弁機構部22を構成する弁体26の変位と比較し、インジケータ部28をハンドル72に対して大きく変位させることができるため、該インジケータ部28を介して前記弁体26の変位を外部から確実且つ好適に視認することが可能となる。
【0064】
換言すれば、弁体26の変位量が微小な場合でも、インジケータ部28をハンドル72に対して大きく変位させることができるため、前記弁体26の開閉動作を確実且つ容易に外部から視認することができる。
【0065】
また、ハンドル72を構成する把持部98に対してインジケータ部28が突出した際、第1及び第2インジケータ118、120の外周面に沿って形成された複数の周回溝130a、130bによって前記インジケータ部28の突出量を確認することができる。詳細には、この周回溝130a、130bは、第1及び第2インジケータ118、120の軸線方向に沿って等間隔で離間して配置されているため、図7及び図8に示されるように、ハンドル72及びインジケータ部28を作業者が側方から見て、把持部98の端面98aに対して外部に露呈している周回溝130a、130bの数を確認することにより突出量を確認することが可能となる。
【0066】
すなわち、ハンドル72の外部に露呈している周回溝130a、130bの数が多いほど、インジケータ部28の突出量が大きく、弁体26の弁開量が大きいことが諒解される。
【0067】
そして、ハンドル72をさらに同一方向へと回転させることにより、ピストン48がさらに弁座42から離間する方向(矢印B方向)へと変位し、該ピストン48と共に弁体26が変位することによって前記弁体26が前記弁座42に対してさらに離間して弁部78と弁座42との間から流通する圧力流体の流量が増大すると共に、第1インジケータ118も同様にピストン48から離間する方向へと変位し、把持部98の端面98aに対してさらに突出する。この場合も、インジケータ部28の突出量は、外部に露呈した周回溝130a、130bの数から確認することができる。
【0068】
さらに、作業者によって回転されるハンドル72の回転数は、インジケータ部28の外周面に設けられた第1〜第8指示溝138a〜138hによって確認される。例えば、ハンドル72が軸線を中心として1回転した場合には、インジケータ部28に表示部116の「1」に対応する第1指示溝138aの底部140が把持部98の端面98aと一致する。これにより、ハンドル72の回転数が、弁体26が弁座42に着座し、インジケータ部28が収容孔108の内部に完全に収容された弁閉状態(図1参照)からハンドル72が1回転だけ回転したことが確認される。
【0069】
すなわち、第1〜第8指示溝138a〜138hにおいて、その底部140が把持部98の端面98aと一致した第1〜第8指示溝138a〜138hを確認し、該第1〜第8指示溝138a〜138hに対応する表示部116を読み取ることによりハンドル72の回転数を簡便に確認することができる。
【0070】
その結果、ハンドル72の回転数に基づいた弁体26の開閉量を確実且つ容易に確認することができ、該弁体26の変位作用下に圧力流体の流量を高精度に調整することが可能となる。
【0071】
さらに、図4に示されるように、流量調整弁10を上方から見て把持部98に設けられた指示部114が指し示している第2インジケータ120の表示部116を確認することにより、前記ハンドル72の1回転あたりの回転角度を確認することができる。例えば、指示部114が表示部116の「1」を指し示している状態からハンドル72を回転させ、前記指示部114が表示部116の「3」を指し示す位置まで回転させた場合には、前記ハンドル72の回転角度が約90°となり、前記弁体26が前記ハンドル72を約90°回転させた場合の軸線方向に沿った変位量で変位していることを確認できる。
【0072】
すなわち、インジケータ部28では、第1〜第8指示溝138a〜138hによってハンドル72の回転数を確認し、且つ、指示部114によって指し示された表示部116を読み取ることにより、前記ハンドル72の回転角度を確認することができるため、該ハンドル72の回転数及び回転角度に基づいて弁体26の開閉量を高精度に確認することができる。
【0073】
そして、ハンドル72をさらに回転させ、図7に示されるように、インジケータ部28における第8指示溝138hの底部140が把持部98の端面98aに一致した時点で、ピストン48が最も上方へと変位して弁体26が弁座42から最も離間して全開した弁開状態となる。
【0074】
なお、弁体26が弁座42より離間して圧力流体が所定の流量で流通している状態で、ロックナット112を回転させて第2ハウジング20の端部に当接させ、ハンドル72の回転変位を規制することにより、弁体26の変位が規制されるため、前記流量を略一定で維持することができる。
【0075】
次に、上述した弁開状態から弁体26を弁座42側(矢印A方向)に向かって変位させ、圧力流体の流量を絞りながら弁閉状態(図2参照)とする場合について説明する。
【0076】
最初に、作業者がハンドル72の把持部98を把持して前記とは反対方向に所定の回転力で回転させることにより、該ハンドル72が、第2ハウジング20の第2孔部46に保持された状態で回転変位し、第1軸部92に螺合されたピストン48が弁座42側(矢印A方向)に向かって変位する。これにより、弁体26が弁座42側に向かって変位し、弁部78のテーパ面86と前記弁座42との間の間隙が減少することにより、連通路40a、40bを通じて流通している圧力流体の流量が絞られる。また、ハンドル72のねじ孔106に螺合された第1インジケータ118がピストン48側(矢印A方向)へと変位し、該第1インジケータ118の第1大径部124と第2インジケータ120とが収容孔108側に向かって下方へと変位する。すなわち、第1及び第2インジケータ118、120が、把持部98の収容孔108に対して徐々に収容され、該把持部98の端面98aに対する突出量が小さくなっていく。
【0077】
この場合も、ハンドル72の回転作用下にピストン48とインジケータ部28とが共に弁座42側(矢印A方向)に向かって変位するが、ピストン48及び弁体26の変位量C1に対して第1インジケータ118を含むインジケータ部28の変位量C2が大きくなる(C1<C2)。そのため、弁体26に変位に対してインジケータ部28が急速に収容孔108の内部へと収容されるように変位する。
【0078】
また、インジケータ部28に形成された複数の周回溝130a、130bによって前記インジケータ部28の突出量を確認することができ、それに基づいて、弁座42に向かって変位する弁体26による変位量を確認することができる。
【0079】
そして、ハンドル72をさらに回転させることにより、ピストン48及び弁体26がさらに弁座42側(矢印A方向)へと変位し、該弁体26の着座面84が弁座42に対して着座することにより、連通路40a、40bの連通状態が遮断されて第1ポート12から第2ポート14への圧力流体の流通が停止する。すなわち、インジケータ部28が、ハンドル72の収容孔108に完全に収容され、第2インジケータ120の端部と把持部98の端面98aとが略同一平面となった弁閉状態(オフ状態)であることが外部から諒解される(図1及び図2参照)。
【0080】
以上のように、本実施の形態では、バルブボディ16の弁座42に着座する弁体26と、前記弁体26に連結され軸線方向に沿って変位自在なピストン48と、第1及び第2ハウジング18、20に対して回転自在に保持され、前記ピストン48を介して弁体26の開閉量を調整可能なハンドル72とを備え、前記ハンドル72の第1軸部92にピストン48を螺合し、該ハンドル72の回転作用下に前記ピストン48を介して弁体26を軸線方向に沿って変位させると共に、該ハンドル72の内部にインジケータ部28を収容し、その第1インジケータ118を前記ハンドル72に対して螺合させることにより、該ハンドル72の回転作用下にインジケータ部28を軸線方向に沿って変位させている。そして、第1インジケータ118の第2ねじ部127、該第2ねじ部127が螺合されるねじ孔106のねじピッチP2が、第1軸部92に形成された第1ねじ部74と、該第1ねじ部74に螺合されるピストン48の第1雌ねじ部70のねじピッチP1に対して大きく設定される。
【0081】
その結果、弁体26の変位量に対してインジケータ部28の変位量を大きくすることができるため、前記弁体26の開閉量をインジケータ部28によって確実且つ容易に視認することができ、それに伴って、圧力流体の流量を高精度に調整することが可能となる。
【0082】
また、ハンドル72の内部にインジケータ部28を収容し、該インジケータ部28の第1インジケータ118を前記ハンドル72に螺合させ、該ハンドル72の回転作用下に軸線方向に沿って変位させて突出させるという簡素な構成で弁体26の変位を確実に視認することができ、インジケータ部28を含む流量調整弁10を安価に製造することができる。
【0083】
本発明に係る流量調整弁は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態に係る流量調整弁の外観斜視図である。
【図2】図1に示す流量調整弁の縦断面図である。
【図3】図2の流量調整弁における弁機構部及び操作部近傍の拡大縦断面図である。
【図4】図1に示す流量調整弁の操作部及びインジケータ部を上方から見た拡大平面図である。
【図5】インジケータ部を構成する第1及び第2インジケータの外周面を平面状に図示した模式図である。
【図6】図1の流量調整弁におけるインジケータ部が上方へと変位し、弁機構部の弁開状態を示す外観斜視図である。
【図7】図6に示す流量調整弁の縦断面図である。
【図8】図6における操作部及びインジケータ部近傍を示す拡大側面図である。
【符号の説明】
【0085】
10…流量調整弁 12…第1ポート
14…第2ポート 16…バルブボディ
22…弁機構部 24…操作部
26…弁体 28…インジケータ部
42…弁座 48…ピストン
70…第1雌ねじ部 72…ハンドル
74…第1ねじ部 78…弁部
92…第1軸部 94…第2軸部
96…第3軸部 98…把持部
104…第2雌ねじ部 106…ねじ孔
108…収容孔 112…ロックナット
114…指示部 116…表示部
118…第1インジケータ 120…第2インジケータ
122…第1小径部 124…第1大径部
127…第2ねじ部 130a、130b…周回溝
132…第2小径部 134…第2大径部
136…スプリング 138a〜138h…第1〜第8指示溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力流体が流通する通路を有するボディと、
前記ボディの内部に変位自在に設けられ、前記ボディに形成された弁座に着座自在な弁体と、
前記弁体の変位動作に基づいて軸線方向に沿って変位し、該弁体の開閉量を外部から視認可能なインジケータ部と、
前記弁体が螺合される第1螺合部と、前記インジケータ部が螺合される第2螺合部とを有し、前記ボディに回転自在に保持されて所定の回転力が付与される操作部と、
を備え、
前記操作部の回転作用下に前記弁体及び前記インジケータ部がそれぞれ軸線方向に沿って変位すると共に、前記第2螺合部のねじピッチが、前記第1螺合部のねじピッチに対して大きく設定されることを特徴とする流量調整弁。
【請求項2】
請求項1記載の流量調整弁において、
前記インジケータ部は、前記操作部の内部に設けられ、前記第2螺合部に螺合されるねじ部と、前記操作部に対して変位した際に、該操作部の外部に露呈する視認部と、
を備え、
前記視認部には、前記操作部の回転数を確認可能な目盛が設けられることを特徴とする流量調整弁。
【請求項3】
請求項1又は2記載の流量調整弁において、
前記視認部は、前記弁体が弁座に着座した弁閉時に前記操作部の内部に収容され、前記弁体が前記弁座から離間した弁開時に前記操作部の外部に露呈することを特徴とする流量調整弁。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の流量調整弁において、
前記ボディには、該ボディに対する前記操作部の回転変位を規制するロック手段を有することを特徴とする流量調整弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−157366(P2008−157366A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347566(P2006−347566)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】