説明

流量調節装置および流量調節システム

【課題】機械的な手段以外の方法で流体の流量を調節することにより、装置全体を小型化する。
【解決手段】誘電体層2の中央に、流体が通過する貫通孔2aが設けられる。電極層3a・3bは、誘電体層2の表裏に、貫通孔2aの周囲に輪帯状に形成される。電極層3a・3bに電圧を印加して誘電体層2を変形させることにより、貫通孔2aの開口径を変化させる。これにより、貫通孔2aを通過する流体の流量を調節することができ、流量調節にあたり、従来のような機械的な手段を用いなくても済む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体や液体などの流体の流量を調節する流量調節装置および流量調節システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、流体の流量を機械的な手段を用いて調節する装置が種々提案されている。例えば特許文献1では、燃料電池システムにおける燃料ガスの流量を制御するバルブを、ステップモータ等からなるメカ機構で構成し、このステップモータによって、流路の断面積を増減する方向に弁体を作動させることにより、流体の流量を調節している。また、特許文献2では、燃料電池システムにおける2種の流体の混合流体を昇圧させる増幅ノズルにおいて、一方の流体の噴出し口の開口面積を、スリーブのスライドによって増減することにより、上記流体の流量を調節している。
【0003】
【特許文献1】特開2008−243782号公報(例えば図2参照)
【特許文献2】特開2007−211641号公報(例えば図5参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1および2のように、機械的な手段によって流体の流量を調節する構成では、そのような機械的な手段を配置するためのスペースを大きく確保しなければならず、装置が大型化するという問題が生ずる。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、機械的な手段以外の方法で流体の流量を調節することにより、装置を小型化することができる流量調節装置および流体調節システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流量調節装置は、流路管の内部を流れる流体の流量を調節する流量調節装置であって、流体が通過する貫通孔を有する誘電体層と、上記誘電体層の表裏にそれぞれ形成される電極層と、上記各電極層に電圧を印加して上記誘電体層を変形させる電圧印加手段とを備えていることを特徴としている。以下、上記構成の流量調節装置を第1の流量調節装置とも称する。
【0007】
本発明の流量調節装置は、流路管の内部を流れる流体の流量を調節する流量調節装置であって、流体が通過する第1の貫通孔を有する誘電体層と、上記誘電体層の表裏にそれぞれ形成される電極層と、上記各電極層に電圧を印加して上記誘電体層を変形させる電圧印加手段と、流体が通過する第2の貫通孔を有するオリフィス板とを備え、上記誘電体層は、電圧無印加時には、一方の電極層が上記第2の貫通孔を閉鎖する厚さとなり、電圧印加時には、該誘電体層の厚さの変化により、上記一方の電極層と上記オリフィス板との間に間隙を形成し、その間隙を介して上記第1の貫通孔から上記第2の貫通孔への流体の流路を形成することを特徴としている。以下、上記構成の流量調節装置を第2の流量調節装置とも称する。
【0008】
本発明の流量調節装置において、上記誘電体層の外縁は、流路管の内面と当接していてもよい。
【0009】
本発明の流量調節装置は、上記誘電体層を流路管内で支持する支持部材をさらに備え、上記支持部材は、上記誘電体層の貫通孔を形成する内面と当接する当接部を有している構成であってもよい。
【0010】
本発明の流量調節装置において、上記誘電体層は、電圧印加によって変形する電気活性ポリマーであることが望ましい。
【0011】
本発明の流量調節装置において、上記各電極層は、上記誘電体層の貫通孔の周囲に輪帯状に形成されていることが望ましい。
【0012】
本発明の流量調節装置において、上記各電極層は、弾性を有していることが望ましい。
【0013】
本発明の流量調節装置において、上記各電極層は、弾性材料でコーティングされていてもよい。
【0014】
本発明の流量調節システムは、上述した本発明の流量調節装置が少なくとも1個と、流路管の内部を流れる流体の流量を検知する検知手段と、上記検知手段にて検知された流量に基づいて、上記流量調節装置を制御する制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0015】
本発明の流量調節システムは、第1の流量調節装置と、第2の流量調節装置とを含んでいる構成であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、誘電体層の表裏の各電極層に対して電圧印加手段が電圧を印加すると、誘電体層は変形し、誘電体層の貫通孔の開口径が変化する。これにより、貫通孔を通過する流体(例えば気体や液体)の流量を調節することが可能となる。
【0017】
また、本発明によれば、誘電体層は、電圧無印加時には、一方の電極層がオリフィス板の第2の貫通孔を閉鎖する厚さとなり、電圧印加時には、該誘電体層の厚さの変化により、一方の電極層とオリフィス板との間に間隙を形成し、その間隙を介して誘電体層の第1の貫通孔からオリフィス板の第2の貫通孔への流体の流路を形成するので、最終的に、第2の貫通孔を通過する流体(例えば気体や液体)の流量を調節することが可能となる。
【0018】
いずれにしても、各電極層への電圧印加による誘電体層の変形を利用することにより、従来のような機械的な手段を用いずに流体の流量を調節することができるので、そのような機械的な手段の配置スペースを確保する必要がない分、装置を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図1および図2は、本実施形態の流量調節装置1の概略の構成をそれぞれ示すものであって、図1は外縁が規制されていない場合の平面図および断面図を示し、図2は外縁が規制されている場合の平面図および断面図を示している。流量調節装置1は、流路管10(図5参照)の内部を流れる流体(気体や液体)の流量を調節するものであり、誘電体層2と、電極層3a・3bと、電圧印加部4(図3参照)とを有して構成されている。
【0020】
誘電体層2は、電圧印加によって変形する電気活性ポリマー(誘電エラストマー、高分子アクチュエータ、EPAM(electroactive polymer artificial muscle))であり、シリコンゴムなどの柔軟な誘電材料で構成されている。この誘電体層2は、流体が通過する貫通孔2aを中央に有している。誘電体層2の厚さは、誘電体層2の構成材料、流す流体の種類等を考慮して適切に設定されればよい。
【0021】
電極層3a・3bは、シリコンゴムにカーボンブラックなどの導電性材料を添加して構成された、弾性を有する導電性の電極であり、誘電体層2の表裏にそれぞれ形成されている。特に、電極層3a・3bは、誘電体層2の貫通孔2aの周囲に輪帯状(円環状)にそれぞれ形成されている。図3に示すように、電極層3a・3bには、電圧印加部4によって電圧が印加される。
【0022】
電圧印加部4は、電極層3a・3bに電圧を印加して誘電体層2を変形させる電圧印加手段である。電圧印加部4が電極層3a・3bに電圧を印加することにより、電極層3a・3b間の引力により誘電体層2は圧縮され、貫通孔2aの開口径を絞る方向に変形する。
【0023】
ここで、誘電体層2の外縁が規制されていない場合は、図1のように、電圧印加により、誘電体層2は、外縁が広がり、かつ、内径(貫通孔2aの開口径)が狭まるように変形するとともに、ほぼ均一な薄い厚さとなる。一方、誘電体層2の外縁が規制されている場合は、図2のように、電圧印加により、誘電体層2は、内径が狭まるように変形するが、貫通孔2a側から外縁側に向かう方向には変形できないために、外縁側では内径側よりも厚みが増し、貫通孔2aの周囲では外縁側よりも薄い構造となる。
【0024】
次に、電極層3a・3bへの電圧印加による誘電体層2の変位の詳細について説明する。図4(a)は、電極層3a・3bに電圧を印加した瞬間の誘電体層2および電極層3a・3bの断面図であり、図4(b)は、電圧印加による変形時の誘電体層2および電極層3a・3bの断面図であり、図4(c)は、電圧印加を停止したときの誘電体層2および電極層3a・3bの断面図である。
【0025】
図4(a)に示すように、電極層3a・3bに電圧を印加することにより、プラスの電圧を印加した側の電極(例えば電極3a)にはプラスの電位が生じ、マイナスの電圧を印加した側の電極(例えば電極3b)にはマイナスの電位が生じる。このプラスとマイナスの電位間に引力Pが発生する。単位面積あたりの引力P(N/m2)は、真空の誘電率をε0、比誘電率をε、印加電圧をV、電極層3a・3b間の距離をtとして、以下の式で表される。この引力Pにより、誘電体層2は、電極層3a・3b間の距離が縮む方向に変位を開始する。
P=(ε0εV2)/t2
【0026】
誘電体層2自体は体積が一定であるため、誘電体層2は、厚さ方向に縮むと、図4(b)に示すように、電極層3a・3bと平行な方向に膨張する。また、電極層3a・3b間が近づくことにより、発生する引力Pもさらに増加し、さらに誘電体層2の厚さが縮む方向への力を生じさせる。
【0027】
電極層3a・3bへの電圧印加を停止すると、誘電体層2に働く外力(電極層3a・3b間の引力P)がなくなることから、図4(c)に示すように、誘電体層2自体の弾性力Qにより、誘電体層2は元の形状に戻る。
【0028】
図5は、上述した流量調節装置1を円筒状の流路管10の内部に配置した状態を示している。また、図6は、電圧印加時(ON時)および電圧印加停止時(OFF時)における上記流量調節装置1の平面図である。電極層3a・3bへの電圧印加により、誘電体層2の貫通孔2aの開口径が小さくなるため、管路10内を流れる流体の流量を減らすことができる。一方、電極層3a・3bへの電圧印加を停止することにより、誘電体層2の貫通孔2aの開口径が元の大きさに戻り、流路管10内を流れる流体の流量を増大させることができる。このとき、電極層3a・3bに印加する電圧を調整すれば、貫通孔2aの開口径を任意に調整して流量を任意に調整することができる。つまり、流量を無段階に調整することができる。
【0029】
以上のように、本実施形態の流量調節装置1は、貫通孔2aを有する誘電体層2と、電極層3a・3bと、電圧印加部4とを有して構成されているので、電極層3a・3bへの電圧印加によって誘電体層2を変形させて貫通孔2aの開口径を変化させることができる。これにより、貫通孔2aを通過する流体(例えば気体や液体)の流量を調節することができ、流量調節にあたり、従来のような機械的な手段を用いなくても済む。したがって、そのような機械的な手段の配置スペースを確保する必要がない分、装置を小型化することができる。特に、流体の流路長方向を短くして、流路長方向における装置の小型化が容易となる。
【0030】
また、図5のように、誘電体層2の外縁が流路管10の内面と当接していれば、電極層3a・3bへの電圧印加時に、誘電体層2の外縁の変形が流路管10で規制されるため、誘電体層2の貫通孔2aの開口径が確実に小さくなる。したがって、電極層3a・3bへの電圧印加を制御することにより、貫通孔2aを通過する流体の流量を確実に調節することができる。
【0031】
また、誘電体層2が電気活性ポリマーであるので、電圧印加によって誘電体層2を確実に変形させることができ、これによって貫通孔2aの開口径を確実に変化させることができる。
【0032】
また、電極層3a・3bは、誘電体層2の貫通孔2aの周囲に輪帯状に形成されているので、電極層3a・3bへの電圧印加により、誘電体層2の貫通孔2aをほぼ相似形状で(例えば同心円状に)変化させることができ、流量調整を安定して行うことができる。
【0033】
また、電極層3a・3bは弾性を有しているので、電極層3a・3bへの電圧印加による誘電体層2の変形に電極層3a・3bを追従させることができる。したがって、電極層3a・3bが誘電体層2の変形を阻害することがない。
【0034】
なお、電極層3a・3bを、弾性を有しない非変形材料(例えばアルミ箔)で構成することも可能である。この場合は、誘電体層2と電極層3a・3bとの間に導電性グリースを介在させ、電極層3a・3bに対して誘電体層2を滑らせて変形させればよい。
【0035】
ところで、図7は、流量調節装置1の他の構成を示す斜視図である。同図に示すように、流量調節装置1は、誘電体層2に貫通孔2aが複数個(図7では4個)設けられる構成であってもよい。この場合、電極層3a・3bは、各貫通孔2aの周囲に輪帯状に形成されることになる。このような構成の流量調節装置1であっても、上述した本発明の効果を得ることができる。
【0036】
また、図8は、流量調節装置1のさらに他の構成を示す断面図である。同図に示すように、流量調節装置1は、電極層3a・3bが弾性材料5a・5bで覆われた構成であってもよい。弾性材料5a・5bは、例えばゴムからなり、誘電体層2上に形成されている。このように、電極層3a・3bが弾性材料5a・5bでコーティングされ、保護されることにより、電極層3a・3bにおいて、流体に対する耐性を持たせることができ、電極層3a・3bの腐食の心配もなくなる。
【0037】
次に、本実施形態の流量調節装置1の応用例について説明する。
図9は、流量調節システムの一構成例を示す説明図である。この流量調節システムは、流量調節装置1と、流量センサ21と、流量制御部22と、燃料供給装置23と、空気供給装置24と、燃料電池25とを有している。
【0038】
流量センサ21は、流路管10の内部を流れる流体の流量を検知する検知手段であり、例えば圧力センサからなる流量センサ21a・21bで構成されている。流量センサ21aは、流量調節装置1による流量調節前の流体の流量を検知し、流量センサ21bは、流量調節装置1による流量調節後の流体の流量を検知する。
【0039】
流量制御部22は、流量センサ21にて検知された流量に基づいて、流量調節装置1を制御する制御手段である。例えば、流量制御部22は、流量センサ21aによって検知される流量調節前の流量が所定の流量でなければ、流量調節装置1の電圧印加部4を制御して、所定流量が得られるまで誘電体層2の貫通孔2aの開口径を絞る。所定流量になったか否かは、流量センサ21bでの流量検知に基づいて判断することができる。このような流量制御部22により、流量調節を自動制御で行うことができる。
【0040】
燃料供給装置23は、燃料電池25に対して、燃料となる水素を流路管10(10a)を介して供給する。空気供給装置24は、燃料電池25に対して、酸素を含む空気を流路管10(10b)を介して供給する。なお、ここでは、流量調節装置1は、流路管10aにのみ設けられているが、流路管10bにのみ設けられる構成としてもよいし、流路管10a・10bの両方に設けられる構成としてもよい。燃料電池25は、燃料供給装置23から供給される水素と、空気供給装置24から供給される空気との反応により発電する。
【0041】
本実施形態の流量調節装置1によれば、小型の構成で流量調節を行うことができるので、このような流量調節装置1を用いて上述した流量調節システムを構成することにより、システム設計の自由度を増大させることができる。
【0042】
ところで、流量調節システムは、流量調節装置1を複数備えていてもよい。図10は、流量調節システムの他の構成例を示す断面図である。この流量調節システムは、流路に対して直列的に配置される2つの流量調節装置30a(第1の流量調節装置)および流量調節装置30b(第2の流量調節装置)を有している。
【0043】
流量調節装置30aは、誘電体層2の外縁が流路管10の内面と当接するように配置されており、例えば図2の流量調節装置1に相当し、流量調節用の絞りを構成している。一方、流量調節装置30bは、誘電体層2の外縁が流路管10の内面と当接せずに、間隙を介して対向して配置されており、例えば図1の流量調節装置1の構成を含み、開閉弁を構成している。以下、流量調節装置30bの詳細について説明する。
【0044】
流量調節装置30bは、上述した誘電体層2、電極層3a・3b、電圧印加部4に加えて、支持部材31およびオリフィス板32をさらに備えている。支持部材31は、誘電体層2を流路管10内で支持するものであり、誘電体層2の貫通孔2a(第1の貫通孔)を形成する内面と当接する当接部31aを有している。この当接部31aにより、電極層3a・3bへの電圧印加時に誘電体層2の内面の変形が規制されるため、誘電体層2は、外縁が外側へ広がり、かつ厚さが均一に薄くなるように変形することが可能となる。
【0045】
オリフィス板32は、流体が通過する貫通孔32a(第2の貫通孔)を中心よりも外側に複数有する円板状の板であり、流路管10内に配置されている。オリフィス板32は、電圧無印加時に電極層3bが貫通孔32aを閉鎖する位置に配置されている。
【0046】
上記の構成において、電圧無印加時には、流路調節装置30aの貫通孔2aの開口径は最大径となるが、流路調節装置30bの誘電体層2は、電極層3bが貫通孔32aを閉鎖する厚さとなっているため、流路管10内の流体は、貫通孔32aを介して下流側には流れない(開閉弁の閉状態に相当する)。
【0047】
これに対して、流路調節装置30a・30bの各電極層3a・3bに電圧を印加すると、流路調節装置30aでは、貫通孔2aの開口径が最小径となり、流量が絞られるが、流路調節装置30bでは、誘電体層2の厚さが薄くなって、電極層3bとオリフィス板32との間に間隙が形成される。これにより、この間隙を介して、流路調節装置30bの貫通孔2aからオリフィス板32の貫通孔32aへの流路が形成され、流路調節装置30aの貫通孔2a、流路調節装置30bの貫通孔2aを順に通過してきた流体が、貫通孔32aを通過して下流側に流れることが可能となる(開閉弁の開状態に相当する)。
【0048】
以上のように、流路調節装置30bの構成によれば、電圧印加による誘電体層2の変形(特に厚さの変化)により、最終的に、オリフィス板32の貫通孔32aを通過する流体の流量を調節することが可能となる。したがって、従来のような機械的な手段を用いずに流体の流量を調節することができ、小型の構成で流量調節を行うことができる。また、流路調節装置30bの構成では、誘電体層2が均一厚さで変化するので、流体の流量調節をON/OFFの2値で調節する開閉弁として流路調節装置30bを機能させることができる。
【0049】
また、流量調節システムを2つの流量調節装置30a・30bを含んで構成することにより、一方(流量調節装置30a)を流量調節用の絞りとして使用し、他方(流量調節装置30b)を開閉弁として使用する、というように、それぞれの流量調節装置30a・30bに機能を分担させることができる。これにより、流量調節を確実に行うことができる。
【0050】
ところで、図11は、流量調節システムのさらに他の構成例を示す断面図である。同図に示すように、流量調節装置30bは、当接部31aを含む支持部材31を有さず、誘電体層2の外縁が流路管10の内面と当接することによって、誘電体層2が支持される構成であってもよい。この場合、誘電体層2の変形の仕方は流量調節装置30aと同じになるが、電圧印加によって誘電体層2の厚さが変化し、これによって、電極層3bとオリフィス板32との間に間隙が形成され、この間隙を介して貫通孔2aと貫通孔32aとの間に流路が形成されることに変わりはない。したがって、このような流量調節装置30bの構成であっても、これを開閉弁として使用することができる。また、この構成では、流量調節装置30bの貫通孔2aの開口径も変化するので、流量調節装置30bに絞りの機能も持たせることができる。
【0051】
なお、使用目的に応じて流量調節装置30a・30bを配置すればよく、いずれか一方のみ(例えば流量調節装置30bのみ)を配置して流量調整システムを構成することも勿論可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、例えば燃料電池の燃料供給量の調節弁や流路の開閉弁をはじめ、気体や液体などの流体の流量を調節する流量調節装置および流量調節システムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の流量調節装置の概略の構成を示すものであって、外縁が規制されていない場合の平面図および断面図である。
【図2】上記流量調節装置の概略の構成を示すものであって、外縁が規制されている場合の平面図および断面図である。
【図3】上記流量調節装置の各電極層に電圧印加部が接続された状態を示す説明図である。
【図4】(a)は、電圧を印加した瞬間の上記流量調節装置の誘電体層および各電極層の断面図であり、(b)は、電圧印加による変形時の誘電体層および各電極層の断面図であり、(c)は、電圧印加を停止したときの誘電体層および各電極層の断面図である。
【図5】上記流量調節装置を管路内に配置した状態を示す斜視図である。
【図6】電圧印加時および電圧印加停止時における上記流量調節装置の平面図である。
【図7】上記流量調節装置の他の構成を示す斜視図である。
【図8】上記流量調節装置のさらに他の構成を示す断面図である。
【図9】本発明の流量調節システムの一構成例を示す説明図である。
【図10】上記流量調節システムの他の構成例を示す断面図である。
【図11】上記流量調節システムのさらに他の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 流量調節装置
2 誘電体層
2a 貫通孔(第1の貫通孔)
3a 電極層
3b 電極層
4 電圧印加部(電圧印加手段)
5a 弾性材料
5b 弾性材料
10 流路管
10a 流路管
10b 流路管
21 流量センサ(検知手段)
21a 流量センサ(検知手段)
21b 流量センサ(検知手段)
22 流量制御部(制御手段)
30a 流量調節装置
30b 流量調節装置
31 支持部材
31a 当接部
32 オリフィス板
32a 貫通孔(第2の貫通孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路管の内部を流れる流体の流量を調節する流量調節装置であって、
流体が通過する貫通孔を有する誘電体層と、
上記誘電体層の表裏にそれぞれ形成される電極層と、
上記各電極層に電圧を印加して上記誘電体層を変形させることにより、上記誘電体層の貫通孔の開口径を変化させる電圧印加手段とを備えていることを特徴とする流量調節装置。
【請求項2】
流路管の内部を流れる流体の流量を調節する流量調節装置であって、
流体が通過する第1の貫通孔を有する誘電体層と、
上記誘電体層の表裏にそれぞれ形成される電極層と、
上記各電極層に電圧を印加して上記誘電体層を変形させる電圧印加手段と、
流体が通過する第2の貫通孔を有するオリフィス板とを備え、
上記誘電体層は、電圧無印加時には、一方の電極層が上記第2の貫通孔を閉鎖する厚さとなり、電圧印加時には、該誘電体層の厚さの変化により、上記一方の電極層と上記オリフィス板との間に間隙を形成し、その間隙を介して上記第1の貫通孔から上記第2の貫通孔への流体の流路を形成することを特徴とする流量調節装置。
【請求項3】
上記誘電体層の外縁は、流路管の内面と当接していることを特徴とする請求項1または2に記載の流量調節装置。
【請求項4】
上記誘電体層を流路管内で支持する支持部材をさらに備え、
上記支持部材は、上記誘電体層の貫通孔を形成する内面と当接する当接部を有していることを特徴とする請求項2に記載の流量調節装置。
【請求項5】
上記誘電体層は、電圧印加によって変形する電気活性ポリマーであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の流量調節装置。
【請求項6】
上記各電極層は、上記誘電体層の貫通孔の周囲に輪帯状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の流量調節装置。
【請求項7】
上記各電極層は、弾性を有していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の流量調節装置。
【請求項8】
上記各電極層は、弾性材料でコーティングされていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の流量調節装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の流量調節装置が少なくとも1個と、
流路管の内部を流れる流体の流量を検知する検知手段と、
上記検知手段にて検知された流量に基づいて、上記流量調節装置を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする流量調節システム。
【請求項10】
請求項1に記載の流量調節装置と、請求項2に記載の流量調節装置とを含んでいることを特徴とする請求項9に記載の流量調節システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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