説明

浄化槽用外槽、水処理装置

【課題】処理対象人員が同一で且つ放流水質基準が異なる複数の水処理装置に関し、被処理水の処理を行う水処理機構を収容する各浄化槽用外槽の共通化を可能とし、浄化槽用外槽の製作コスト低減を図る。
【解決手段】槽本体101は、水処理機構を収容する浄化槽用外槽であって、被処理水の嫌気処理を行なう1次処理部110と、1次処理部110において嫌気処理用充填材が充填された充填領域132と、被処理水の好気処理を行なう2次処理部140と、2次処理部140において好気処理用充填材が充填された充填領域154と、充填領域132の上部を区画するとともに嫌気処理用充填材の流通を規制し且つ水の流通を許容する多孔状の上部区画部材133と、充填領域132の下部を区画するとともに嫌気処理用充填材の流通を規制し且つ水の流通を許容する多孔状の下部区画部材134と、が収容され、第1充填領域132の容量を可変とする容量可変機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水の水処理を行う水処理装置の構築技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭等から排出される生活排水や、産業廃水等の汚水などの被処理水を処理する水処理装置においては、浄化槽用外槽に複数の処理部を有する水処理機構が収容されており、例えば下記特許文献1には、浄化槽用外槽に、被処理水の嫌気処理を行なう1次処理部と、被処理水の好気処理を行なう2次処理部とを含む水処理機構が収容された汚水処理装置が開示されている。
【0003】
ところで、この種の水処理装置では、被処理水の処理性能に応じて充填材の充填量等が設計されるところ、所望の放流水質に対応した槽本体が使用されるのが一般的であった。例えば、水処理装置からの放流水質基準をBOD(「生物化学的酸素要求量」ともいう)が20mg/L以下とする第1種の水処理装置と、水処理装置からの放流水質基準をBODが10mg/L以下とする第2種の水処理装置とでは、それぞれに要求される水処理性能に応じて、充填材の充填量等の設計仕様を異ならせる設計が一般的であり、このような場合には各々の浄化槽用外槽が別個に製作されていた。
【0004】
そこで本発明者らは、処理対象人員が同一の場合であれば容積が同様の浄化槽用外槽を用いることができるため、第1種の水処理装置と第2種の水処理装置のいずれの水処理装置にも使用できる単一種類の浄化槽用外槽が実現可能であると考え、この種の浄化槽用外槽の構造につき鋭意検討した。その検討の結果、本発明者らは、本発明に想到したのである。
【特許文献1】特開平10−146592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、処理対象人員が同一で且つ放流水質基準が異なる複数の水処理装置に関し、被処理水の処理を行う水処理機構を収容する各浄化槽用外槽の共通化を可能とし、以って浄化槽用外槽の製作コスト低減を図るのに有効な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明が構成される。なお、本発明は、一般家庭等から排出される生活排水や産業廃水等の被処理水の浄化処理を行う水処理装置に対し好適に用いられる。ここでいう「被処理水」は、浄化処理等の所定の処理がなされた処理後の水を含んでもよいし、処理前の水そのものであってもよい。
【0007】
本発明にかかる浄化槽用外槽は、被処理水の処理を行う水処理機構を収容する槽状体として構成とされる。この浄化槽用外槽に収容される水処理機構は、1次処理部、第1充填領域、2次処理部、第2充填領域及び流入経路の各構成要素を少なくとも備える構成とされる。これら各構成要素に更なる構成要素を追加した構成の水処理機構を用いることもできる。例えば、被処理水の貯留処理や、消毒処理等を行なう領域を設けることもできる。
【0008】
1次処理部は、被処理水の嫌気処理を行なう処理部として構成される。この1次処理部に、嫌気処理充填材が充填された第1充填領域が設けられる。この第1充填領域に充填された嫌気処理充填材は、被処理水中の有機汚濁物質を嫌気処理(還元)する嫌気性微生物が付着する構成とされ、この嫌気処理充填材に接触した被処理水の嫌気処理によって、被処理水のBODの低減と汚泥物の減量化が図られる。この1次処理部では、第1充填領域の上流に被処理水中の夾雑物を除去するためのバッフルが設けられた夾雑物除去領域を設けることもできる。
【0009】
2次処理部は、被処理水の好気処理を行なう処理部として構成される。この2次処理部に、好気処理充填材が充填された第2充填領域が設けられる。この第2充填領域に充填された好気処理充填材は、溶存酸素の存在下で被処理水中の有機汚濁物質を好気処理(酸化)する好気性微生物が付着する構成とされ、この好気処理充填材に接触した被処理水の好気処理によって、被処理水のBODの低減が図られる。この2次処理部では、第2充填領域の下流に被処理水の固液分離処理を行なう沈殿処理槽やろ過処理槽を設けることもできる。また、この2次処理部へは、1次処理部にて処理された水が流水経路を通じて流れる。
【0010】
上部区画部材は、第1充填領域の上部を区画するとともに嫌気処理用充填材の流通を規制し且つ水の流通を許容する多孔状の区画部材として構成される。下部区画部材は、第1充填領域の下部を区画するとともに嫌気処理用充填材の流通を規制し且つ水の流通を許容する多孔状の区画部材として構成される。
【0011】
本発明にかかる浄化槽用外槽は、特に上部区画部材及び下部区画部材の少なくとも一方の区画部材の設置態様の変更に伴って、第1充填領域の容量を可変とする容量可変機構を備える構成とされる。このような構成によれば、浄化槽用外槽内での第1充填領域の容量を可変とすることによって、被処理水の処理性能を調節することができるため、処理性能の異なる複数の水処理装置に対応した浄化槽用外槽を提供することが可能となる。従って、処理対象人員が同一で且つ放流水質基準が異なる複数の水処理装置に関し、被処理水の処理を行う水処理機構を収容する各浄化槽用外槽の共通化が可能となり、以って浄化槽用外槽の製作コスト低減が図られる。ここでいう「処理対象人員が同一」とは、浄化槽用外槽内における空間部分のうち水処理にかかる有効容量、全長、全幅、全高等が実質的に同一であることを示す。
【0012】
なお、本発明では、第1充填領域の容量を可変とする容量可変機構は、上部区画部材及び下部区画部材の少なくとも一方の区画部材の設置態様の変更を伴う構成であればよく、本構成には、浄化槽用外槽内における上部区画部材や下部区画部材を自動ないし手動で相対的に移動させてその取付け位置を変えることによって区画部材の設置態様を変更する構成や、上部区画部材や下部区画部材の取り付け状態と取り外し状態とを切り換えることによって区画部材の設置態様を変更する構成などが広く包含される。また、上部区画部材や下部区画部材の取付け位置の変更に際しては、当該区画部材を槽上下方向、槽左右方向等、適宜の方向に移動させることができる。
【0013】
また、本発明にかかる更なる形態の浄化槽用外槽では、前記の容量可変機構は、当該浄化槽用外槽の内壁と第1充填領域を仕切る仕切り板の少なくとも一方に、上部区画部材を保持する上部保持要素、及び下部区画部材を保持する下部保持要素を備え、上部保持要素及び下部保持要素の少なくとも一方の保持要素が槽上下方向の異なる高さに複数設けられた構成であるのが好ましい。これにより、複数の保持要素によって上部区画部材及び下部区画部材の少なくとも一方の区画部材が槽上下方向の異なる高さの保持位置に調節されることで第1充填領域の容量が可変とされる。
このような構成によれば、上部区画部材や下部区画部材を保持可能とするべく、浄化槽用外槽の内壁や仕切り板に予め設けられた保持要素を用いることによって、容量可変機構の構造を簡素化することが可能となる。
【0014】
また、本発明にかかる更なる形態の浄化槽用外槽では、前記の容量可変機構は、上部区画部材及び下部区画部材の少なくとも一方の区画部材の位置調整に伴い、1次処理部の水処理にかかる有効容量に占める嫌気処理用充填材の充填比率が10〜60%の範囲で可変となるように、上部保持要素及び下部保持要素が配設された構成であるのが好ましい。ここでいう「1次処理部の水処理にかかる有効容量」に関し、1次処理部の空間全体の容量のうち、実質的に水処理に有効な容積、すなわち通常使用時に実際に被処理水が貯留される容積がここでいう有効容量に相当する。
このような構成によれば、典型的には単一種類の浄化槽用外槽を用い、当該浄化槽用外槽において嫌気処理用充填材を1次処理部の水処理にかかる有効容量に対し10〜30%の充填比率で充填した第1の設定と、当該浄化槽用外槽において嫌気処理用充填材を1次処理部の水処理にかかる有効容量に対し20〜60%の充填比率で充填した第2の設定が少なくとも可能となる。そして、浄化槽用外槽の第1の設定では、要求される処理性能が相対的に低い水処理装置が提供され、浄化槽用外槽の第2の設定では、要求される処理性能が相対的に高い水処理装置が提供される。
【0015】
また、本発明にかかる更なる形態の浄化槽用外槽では、前記の容量可変機構は、当該浄化槽用外槽の内壁と第1充填領域を仕切る仕切り板の少なくとも一方に、上部区画部材を保持する上部保持要素、及び下部区画部材を保持する下部保持要素を備え、上部区画部材が上部保持要素によって保持され、且つ下部区画部材が下部保持要素によって保持された保持状態(「取り付け状態」ともいう)と、上部区画部材が上部保持要素から取り外され、且つ下部区画部材が下部保持要素から取り外された脱着状態(「取り外し状態」ともいう)とに設定可能とされた構成とされるのが好ましい。これにより、保持状態及び脱着状態を切り替えることで第1充填領域の容量が可変とされる。
このような構成によれば、上部区画部材や下部区画部材を保持可能とするべく、浄化槽用外槽の内壁や仕切り板に予め設けられた保持要素を用いることによって、容量可変機構の構造を簡素化することが可能となる。
【0016】
本発明にかかる水処理装置は、槽本体に被処理水の水処理を行う水処理機構が収容された装置として構成される。槽本体に収容される水処理機構は、前述の1次処理部、第1充填領域、2次処理部、第2充填領域、流入経路、上部区画部材及び下部区画部材の各構成要素によって少なくとも構成される。そして、この槽本体は、前述の各浄化槽用外槽を用いて構成される。
このような構成によれば、処理対象人員が同一で且つ放流水質基準が異なる別の水処理装置にも使用可能な汎用性の高い浄化槽用外槽を用いた水処理装置が実現される。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、処理対象人員が同一で且つ放流水質基準が異なる複数の水処理装置に関し、被処理水の処理を行う水処理機構を収容する各浄化槽用外槽の共通化が可能となり、以って槽本体の製作コスト低減を図ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明における一実施の形態の水処理装置の構成等を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態は、一般家庭等から排出される排水(被処理水)の処理を行う水処理装置について説明するものである。
【0019】
本発明における「浄化槽用外槽」或いは「槽本体」の一実施の形態の槽本体101の概略構成が図1に示される。図1に示すように、本実施の形態の槽本体101は、いずれも槽状の上部槽(「上槽」ともいう)101a及び下部槽(「下槽」ともいう)101bからなる槽状の浄化槽用外槽とされる。この場合、上部槽101aにフランジ部104と、下部槽101bのフランジ部105とを互いに突き合わせて接合することによって、槽本体101が成形される。上部槽101aには、被処理水が槽内に流入する流入管102、及び処理後の水が槽外へと流出する流出管103が設けられている。この槽本体101には、上部槽101a及び下部槽101bによって区画される内部空間に、複数の水処理槽からなる水処理機構が収容され、これにより所望の水処理能力を有する水処理装置が構築される。この場合、水処理装置は、槽本体101の槽外へと流出した水をそのまま放流する浄化槽として構成されてもよいし、或いは槽本体101の槽外へと流出した水をトイレや散水用の水として再利用する水再利用装置として構成されてもよい。
【0020】
ところで、この種の水処理装置では、充填材の充填量等が処理性能に応じて設計されるところ、所望の放流水質に対応した槽本体が使用されるのが一般的であった。例えば、放流水質基準をBOD(生物化学的酸素要求量)が20mg/L以下とする水処置装置(以下、「第1種の水処理装置」ともいう)と、放流水質基準をBODが10mg/L以下とする水処置装置(以下、「第2種の水処理装置」ともいう)とでは、要求される水処理性能が異なることから、それぞれに要求される水処理性能に応じて、充填材の充填量等の設計仕様を異ならせる設計が一般的であり、このような場合には各々の浄化槽用外槽が別個に製作されていた。
【0021】
そこで、本実施の形態の槽本体101は、少なくとも第1種の水処理装置及び第2種の水処理装置のいずれの水処理装置に対しても共通で使用できる単一種類の浄化槽用外槽(槽本体)として構成されている。以下、この槽本体101の詳細な構成につき説明する。
【0022】
図1に示すように、槽本体101は、その槽内部に仕切り板106が取付けられる構成とされる。仕切り板106は、槽本体101の槽内部を概して上流側(流入管102側)の1次処理部110と、下流側(流出管103側)の2次処理部140とに仕切る機能を果たす。この仕切り板106に設けられた移流開口106aを含む流水経路は、1次処理部110にて処理された水が2次処理部140へと流れる流水経路として構成される。ここでいう流水経路は、1次処理部110にて処理された水が2次処理部140へと流れる流水経路であり、この流水経路が本発明における「流水経路」を構成する。
【0023】
1次処理部110は、被処理水の嫌気処理を主体として行なう処理部とされる。この1次処理部110を構成する処理槽として、典型的には夾雑物を除去する機能を果たす夾雑物除去処理槽、被処理水中の有機汚濁物質を嫌気処理するべく嫌気処理用充填材が充填された嫌気処理槽等が用いられる。ここでいう1次処理部110が、本発明における「被処理水の嫌気処理を行なう1次処理部」を構成する。
【0024】
一方、2次処理部140は、被処理水の好気処理を主体として行なう処理部とされる。この2次処理部140を構成する処理槽として、典型的には被処理水中の有機汚濁物質を好気処理するべく好気処理用充填材が充填された好気処理槽、被処理水中の有機汚濁物質を好気処理する接触ばっ気槽、沈殿処理或いはろ過処理によって被処理水の固液分離を行う固液分離処理槽、被処理水を貯留する処理、被処理水を消毒する処理等が用いられる。ここでいう2次処理部140が、本発明における「被処理水の好気処理を行なう2次処理部」を構成する。
【0025】
1次処理部110及び2次処理部140のそれぞれは、槽本体101の槽内部に更に別の内装部材が取付けられることによって複数の処理槽(「処理領域」ともいう)に仕切られる。1次処理部110に関しては、槽本体101の槽内部のうち仕切り板106よりも流入管102側の領域に仕切り板111が取付けられることによって、1次処理部110が上流側の第1の処理槽120と、下流側の第2の処理槽130とに仕切られる。この仕切り板111に設けられた移流開口111aを含む流水経路は、第1の処理槽120にて処理された水が第2の処理槽130へと流れる流水経路として構成される。
【0026】
同様にして、2次処理部140に関しては、槽本体101の槽内部のうち仕切り板106よりも流出管103側の領域に仕切り板151及び161が取付けられることによって、2次処理部140が上流側の第3の処理槽150と、下流側の第5の処理槽170と、第3の処理槽150と第5の処理槽170との間の第4の処理槽160とに仕切られる。切り板151に設けられた移流開口151aを含む流水経路は、第3の処理槽150にて処理された水が第4の処理槽160へと流れる流水経路として構成され、また切り板161に設けられた移流開口161aを含む流水経路は、第4の処理槽160にて処理された水が第5の処理槽170へと流れる流水経路として構成される。
【0027】
第2の処理槽130では、仕切り板111と仕切り板106との間に更に区画板131が介在し、仕切り板111と区画板131との間の空間は、嫌気処理用充填材が充填される充填領域132として構成される。また、この充填領域132の上部は、嫌気処理用充填材の流通を規制し且つ水の流通を許容する多孔状の上部区画部材133によって区画され、この充填領域132の下部は、嫌気処理用充填材の流通を規制し且つ水の流通を許容する多孔状の下部区画部材134によって区画される。この場合、上部区画部材133及び下部区画部材134は、典型的にはネット、メッシュ、パンチングプレートなどによる多数の孔を有する多孔状の区画部材として構成される。ここでいう充填領域132が、本発明における「嫌気処理用充填材が充填された第1充填領域」を構成する。また、この充填領域132の上部を区画する上部区画部材133が、本発明における「上部区画部材」に相当し、この充填領域132の下部を区画する下部区画部材134が、本発明における「下部区画部材」に相当する。
【0028】
本実施の形態では、上部区画部材133を保持可能な上部保持要素135及び上部保持要素136が、仕切り板111及び区画板131に設けられている。またこれら上部保持要素135及び上部保持要素136では、槽本体101の槽上下方向に関し上部保持要素135が上部保持要素136よりも上方に配設される。すなわち、上部区画部材133は、上部保持要素135によっても保持可能であるし、或いは上部保持要素136によっても保持可能とされ、また上部保持要素136によって保持された状態よりも上部保持要素135によって保持された状態の方が、槽本体101の槽上下方向に関し高所に設定される。一方、下部区画部材134を保持可能な下部保持要素137が、仕切り板111及び区画板131に設けられている。この下部保持要素137は、槽本体101の槽上下方向に関し上部保持要素136よりも低所に配設される。ここでいう上部保持要素135,136が、本発明における「上部保持要素」に相当し、またここでいう下部保持要素137が、本発明における「下部保持要素」に相当する。
【0029】
このような構成によれば、上部区画部材133が上部保持要素135によって保持された状態では、上部区画部材133が上部保持要素136によって保持された状態よりも、充填領域132の容量が増えることとなり、この充填領域132に充填可能な嫌気処理用充填材の量を増やすことが可能となる。従って、上部区画部材133の保持する上部保持要素の位置を上部保持要素135と上部保持要素136との間で適宜選択することによって、充填領域132の容量を調節することができる。ここでいう上部区画部材133及び上部保持要素135,136によって、本発明における「容量可変機構」が構成される。また、上部保持要素135,136による上部区画部材133の保持位置調整が、本発明における「上部区画部材及び前部区画部材の少なくとも一方の区画部材の設置態様の変更」に相当する。
【0030】
本構成に関しては、上部区画部材133にかかる上部保持要素を槽本体101の槽上下方向の異なる高さに3つ以上配設したり、下部保持要素137にかかる下部保持要素を槽本体101の槽上下方向の異なる高さに2つ以上配設することもできる。また、本実施の形態では、1次処理部110における所望の水処理性能を得るべく、この1次処理部110の水処理にかかる有効容量に占める嫌気処理用充填材の充填比率が10〜60%の範囲で可変となるように、上部保持要素135,136及び下部保持要素137が配設された構成であるのが好ましい。ここでいう「1次処理部110の水処理にかかる有効容量」に関し、1次処理部110の空間全体の容量のうち、実質的に水処理に有効な容積、すなわち通常使用時に実際に被処理水が貯留される容積がここでいう有効容量に相当する。
【0031】
第2の処理槽130と同様にして、第3の処理槽150では、仕切り板106と仕切り板105との間の空間は、好気処理用充填材が充填される充填領域152として構成される。また、この充填領域152の上部は、好気処理用充填材の流通を規制し且つ水の流通を許容する多孔状の上部区画部材153によって区画され、この充填領域152の下部は、嫌気処理用充填材の流通を規制し且つ水の流通を許容する多孔状の下部区画部材154によって区画される。この場合、上部区画部材153及び下部区画部材154は、典型的にはネット、メッシュ、パンチングプレートなどによる多数の孔を有する多孔状の区画部材として構成される。ここでいう充填領域152が、本発明における「好気処理用充填材が充填された第2充填領域」を構成する。
【0032】
本実施の形態では、上部区画部材153を保持可能な上部保持要素155及び上部保持要素156が、仕切り板111及び仕切り板151に設けられている。またこれら上部保持要素155及び上部保持要素156では、槽本体101の槽上下方向に関し上部保持要素155が上部保持要素156よりも上方に配設される。すなわち、上部区画部材153は、上部保持要素155によっても保持可能であるし、或いは上部保持要素156によっても保持可能とされ、また上部保持要素156によって保持された状態よりも上部保持要素155によって保持された状態の方が、槽本体101の槽上下方向に関し高所に設定される。一方、下部区画部材154を保持可能な下部保持要素157が、仕切り板111及び仕切り板151に設けられている。この下部保持要素157は、槽本体101の槽上下方向に関し上部保持要素156よりも低所に配設される。
【0033】
このような構成によれば、上部区画部材153が上部保持要素155によって保持された状態では、上部区画部材153が上部保持要素156によって保持された状態よりも、充填領域152の容量が増えることとなり、この充填領域152に充填可能な好気処理用充填材の量を増やすことが可能となる。従って、上部区画部材153の保持する上部保持要素の位置を上部保持要素155と上部保持要素156との間で適宜選択することによって、充填領域152の容量を調節することができる。本構成に関しては、上部区画部材153にかかる上部保持要素を槽本体101の槽上下方向の異なる高さに3つ以上配設したり、下部区画部材154にかかる下部保持要素を槽本体101の槽上下方向の異なる高さに2つ以上配設することもできる。
【0034】
本構成に関しては、上部区画部材153にかかる上部保持要素を槽本体101の槽上下方向の異なる高さに3つ以上配設したり、下部区画部材154にかかる下部保持要素を槽本体101の槽上下方向の異なる高さに2つ以上配設することもできる。また、本実施の形態では、2次処理部140における所望の水処理性能を得るべく、この2次処理部140の水処理にかかる有効容量に占める好気処理用充填材の充填比率が最小で45%となるように、上部保持要素155,156及び下部保持要素157が配設された構成であるのが好ましい。
【0035】
なお、上部保持要素135,136, 155,156、及び下部保持要素137,157の構成に関しては、対応する区画部材を保持可能な種々の構成を採用することができる。具体的には、区画部材を下方から支持する支持部を用いる構成、区画部材側の凸部が係合する凹部(開口、孔、溝など)や段差部分を用いる構成、区画部材側の凹部に係合する凸部や段差部分を用いる構成等によって、保持要素を構成するのが好ましい。この場合、当該保持要素は、槽本体101の内壁面自体によって構成(「第1の保持構造」ともいう)されてもよいし、或いは槽本体101の内壁面に取付けられる仕切り板やバッフル等の内装部材によって構成(「第2の保持構造」ともいう)されてもよく、更には第1の保持構造と第2の保持構造を組み合わせた構成(「第3の保持構造」ともいう)、すなわち槽本体101と内装部材との協働による区画部材の保持構造を採用することもできる。
【0036】
第1の保持構造を採用する場合には、槽本体101内の空間のうち仕切り板によって区画された空間において、保持要素を構成する段差部分を槽本体101に複数設けることができ、特に好ましくは、当該保持要素を槽本体101の補強用のリブやコルゲートの複数を用いて構成することができる。
第3の保持構造を採用する場合には、槽本体101内の空間のうち仕切り板によって区画された空間において、槽本体101に保持要素を構成する段差部分を設け、仕切り板に保持要素を構成する段差部分を設けるとともに、槽本体101側の段差部分と仕切り板側の段差部分とが槽上下方向に関する高さが互いに合致するように構成することができる。
【0037】
上述のように、本実施の形態の槽本体101は、上部区画部材と下部区画部材との間の相対的な位置調整によって、充填領域132の容量や充填領域152の容量を可変する機能を有することから、前述の第1種の水処理装置と第2種の水処理装置のいずれの場合の外槽としても使用可能な単一種類の槽本体とされる。以下、本実施の形態の槽本体101を、第1種の水処理装置100に用いる場合、及び第2種の水処理装置200に用いる場合につき、図面を参照しつつ説明する。
【0038】
図2には、本発明の「水処理装置」の一実施の形態である第1種の水処理装置100の概略構成が示されている。図2に示すこの水処理装置100は、第1の処理槽120、第2の処理槽130、第3の処理槽150、第4の処理槽160及び第5の処理槽170からなる水処理槽を槽本体101に収容する構成とされる。
【0039】
この水処理装置100では、第1の処理槽120は、夾雑物を除去する機能を果たすバッフルプレート121が取付けられた夾雑物除去処理槽として構成される。また第2の処理槽130は、充填領域132に嫌気処理用充填材C1が充填された嫌気処理槽として構成される。この第2の処理槽130では、上部保持要素135及び136のうち下側の上部保持要素136が、上部区画部材133の保持に使用されている。これにより、充填領域132の充填容量が上側の上部保持要素135を使用する場合よりも相対的に小さい状態とされる。好ましくは、1次処理部110の水処理にかかる有効容量に占める嫌気処理用充填材C1の充填比率が10〜30%の範囲に設定されるように上部保持要素136が配設される。嫌気処理用充填材C1として、典型的には円筒形ないし球形の担体からなる充填材や、板状の規則充填材などが使用される。
【0040】
また第3の処理槽150は、充填領域152に好気処理用充填材C2が充填された好気処理槽として構成される。なお好気処理用充填材C2として、典型的には円筒形ないし球形の担体からなる充填材や、板状の規則充填材などが使用される。これにより、充填領域152の充填容量が上側の上部保持要素155を使用する場合よりも相対的に小さい状態とされる。充填領域152の下方には、第3の処理槽150内に好気条件を形成するべく、ブロワ158から供給されたエアを散気する散気装置159が配設されている。なお好気処理用充填材C2として、典型的には円筒形ないし球形の担体からなる充填材などが使用される。
【0041】
また第4の処理槽160は、被処理水の滞留による沈殿処理によって固液分離を行なう沈殿処理槽として構成される。また第5の処理槽170は、仕切り板161に設けられた薬筒171を備え、この薬筒171に充填された消毒剤が被処理水に溶出することによって、被処理水の消毒処理を行なう消毒槽として構成される。
【0042】
図3には、本発明の「水処理装置」の一実施の形態である第2種の水処理装置200の概略構成が示されている。図3に示すこの水処理装置200は、第1の処理槽120、第2の処理槽130、第3の処理槽150、第4の処理槽160及び第5の処理槽170からなる水処理槽を槽本体101に収容する構成とされる。
【0043】
この水処理装置200では、第1の処理槽120は、充填領域122に水処理装置100の場合と同様の嫌気処理用充填材C1が充填された嫌気処理槽として構成される。また第2の処理槽130は、充填領域132に水処理装置100の場合と同様の嫌気処理用充填材C1が充填された嫌気処理槽として構成される。この第2の処理槽130では、上部保持要素135及び136のうち上側の上部保持要素135が、上部区画部材133の保持に使用されている。これにより、充填領域132の充填容量が下側の上部保持要素136を使用する場合よりも相対的に大きい状態とされる。好ましくは、1次処理部110の水処理にかかる有効容量に占める嫌気処理用充填材C1の充填比率が20〜60%の範囲に設定され、或いは嫌気処理用充填材C1の充填比率が水処理装置100の場合の1.5〜3.5倍に設定されるように上部保持要素135が配設される。
【0044】
第2の処理槽130から第3の処理槽150へと被処理水が流れる流水経路、すなわち仕切り板106に設けられた移流開口106aを含む流水経路には、流量調整装置138が設置されている。この流量調整装置138は、第2の処理槽130から第3の処理槽150へと流れる被処理水の流量を調整する装置とされ、典型的には流水管内に供給されたエアによるポンプ機能によって第2の処理槽130を吸入して吐出するエアリフトポンプによって構成される。エアリフトポンプは、1次処理部110全体の水位変動幅を、高水位(HWL)とポンプ吸入口の設置高さに対応した低水位(LWL)との間で調節可能とする。このエアリフトポンプを用いることより、1次処理部110や2次処理部140における被処理水の処理性能を向上させるのに有効とされる。具体的には、第2の処理槽130へと流れる水の流量を抑えることによって、2次処理部140では被処理水の有機物除去性能や硝化(アンモニア態窒素の酸化)に関する処理性能を高める一方、1次処理部110では被処理水の滞留時間を増やして被処理水の固液分離や汚泥貯留に関する処理性能を高めることが可能となる。このとき1次処理部110全体の水位変動幅は、流量調整装置138によって50〜250mmに設定されるのが好ましい。
なお、この流量調整装置138のその他の構成として、第2の処理槽130の被処理水を、第3の処理槽150へと流れる被処理水と第2の処理槽130に返送される被処理水とに分配して調整する装置等を用いることもできる。
【0045】
また第3の処理槽150は、充填領域152に水処理装置100の場合と同様の好気処理用充填材C2が充填された好気処理槽として構成される。この第3の処理槽150では、上部保持要素155及び156のうち上側の上部保持要素155が、上部区画部材153の保持に使用されている。これにより、充填領域152の充填容量が下側の上部保持要素156を使用する場合よりも相対的に大きい状態とされる。充填領域152の下方には、第3の処理槽150内に好気条件を形成するべく、ブロワ158から供給されたエアを散気する散気装置159が配設されている。この散気装置159を用いることによって、2次処理部140における被処理水の処理性能を向上させるのに有効とされる。具体的には、散気装置159からの散気風量の調整によって、被処理水中の有機物の除去性能や硝化性能の向上を図ることが可能となる。
【0046】
また第4の処理槽160は、ろ材C3が充填された充填領域162を備え、このろ材C3による被処理水のろ過処理によって固液分離を行なうろ過処理槽として構成される。このろ過処理槽は、水処理装置100の場合と同様に、被処理水の滞留による沈殿処理によって固液分離を行なう沈殿処理槽として構成されてもよい。このような場合には、第4の処理槽160の構造がより簡素化される。また第5の処理槽170は、仕切り板161に水処理装置100の場合と同様の薬筒171を備え、この薬筒171に充填された消毒剤が被処理水に溶出することによって、被処理水の消毒処理を行なう消毒槽として構成される。
【0047】
以上のように、本実施の形態によれば、放流水質基準をBODが20mg/L以下とする第1種の水処理装置100と、放流水質基準をBODが10mg/L以下とする第2種の水処理装置200のいずれの槽本体も、単一種類の槽本体101によって構成することが可能となる。例えば、5人槽用の第1種の水処理装置100の槽本体、及び5人槽用の第2種の水処理装置200に対し、本実施の槽本体101を使用することができる。
このとき、第1種の水処理装置100と第2種の水処理装置200の各水処理装置に要求される水処理性能は、第2の処理槽130における充填領域132の充填容量、及び第3の処理槽150における充填領域152の充填容量をそれぞれ、使用する水処理装置にあわせて調節することによって設定される。
【0048】
具体的には、第1種の水処理装置100の槽本体101に関しては、第2の処理槽130の充填領域132の上部を区画する上部区画部材133を、下側の上部保持要素136によって保持することで充填領域132の充填容量を相対的に減らして処理性能を抑え、且つ第3の処理槽150の充填領域152の上部を区画する上部区画部材153を、下側の上部保持要素156によって保持することで充填領域152の充填容量を相対的に減らして処理性能を抑えることができる。
【0049】
一方、第2種の水処理装置200の槽本体101に関しては、第2の処理槽130の充填領域132の上部を区画する上部区画部材133を、上側の上部保持要素135によって保持することで充填領域132の充填容量を相対的に増やして処理性能を向上させ、且つ第3の処理槽150の充填領域152の上部を区画する上部区画部材153を、上側の上部保持要素155によって保持することで充填領域152の充填容量を相対的に増やして処理性能を向上させることができる。
【0050】
従って、上記実施の形態によれば、処理対象人員が同一で且つ放流水質基準が異なる複数の水処理装置に関し、槽本体101の共通化が可能となり、以って当該槽本体101の製作コスト低減を図ることが可能となる。ここでいう「処理対象人員が同一」とは、槽本体101内の空間部分のうち水処理にかかる有効容量、全長、全幅、全高等が実質的に同一であることを示す。
【0051】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0052】
上記実施の形態では、上部区画部材133,153の保持位置を槽上下方向に関し2箇所で変更可能とし、下部区画部材134,154の保持位置を所定位置に固定としたが、本発明では、上部区画部材や下部区画部材の保持位置は、槽上下方向に関し1または複数に設定することが可能である。このとき、上部区画部材及び下部区画部材のいずれか一方の区画部材の保持位置を変更可能としてもよいし、或いは上部区画部材及び下部区画部材の両方の区画部材の保持位置を変更可能としてもよい。
【0053】
また、本発明では、上部区画部材133,153や下部区画部材134,154を自動ないし手動で相対的に移動させてその取付け位置を変えることによって当該区画部材の設置態様を変更する構成を採用することができる。また、上部区画部材133,153や下部区画部材134,154の取付け位置の変更に際しては、当該区画部材を槽上下方向、槽左右方向等、適宜の方向に移動させることができる。
【0054】
また上記実施の形態では、第1種の水処理装置100と第2種の水処理装置200の2種類に対応して、充填領域132や充填領域152の充填容量をそれぞれ2つのパターンで調節可能とする場合について記載したが、本発明では、2種類以上の水処理装置に対応して充填領域132や充填領域152の充填容量をそれぞれ2つ以上の複数のパターンで調節するように構成することができる。
【0055】
また上記実施の形態では、槽本体101内における上部区画部材や下部区画部材の相対的な移動でその取付け位置を変えることによって区画部材の設置態様を変更する構成について記載したが、本発明では、上部区画部材や下部区画部材の取り付け状態と取り外し状態とを切り換えることによって区画部材の設置態様を変更する構成を採用することもできる。この場合、図3に示す水処理装置200においては、第2の処理槽130の上部区画部材133が上部保持要素135によって保持され、且つ下部区画部材134が下部保持要素137によって保持された保持状態(取り付け状態)に設定する一方、図2に示す水処理装置100においては、第2の処理槽130の上部区画部材133が上部保持要素135,136から取り外され、且つ下部区画部材134が下部保持要素137から取り外された脱着状態(取り外し状態)に設定する。すなわち、水処理装置100では、嫌気処理用充填材C1が充填される充填領域132自体を省略する(充填領域132の充填容量をゼロとする)ことによって、第2の処理槽130における被処理水の処理性能を水処理装置200の場合よりも相対的に低く設定する。従って、このような構成によっても、充填領域152の充填容量を相対的に調節して処理性能を変更することができ、上述の実施形態と同様に、処理対象人員が同一で且つ放流水質基準が異なる複数の水処理装置に関し、槽本体101の共通化が可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施の形態の槽本体101の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の「水処理装置」の一実施の形態である第1種の水処理装置100の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の「水処理装置」の一実施の形態である第2種の水処理装置200の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
100…水処理装置
101…槽本体(浄化槽用外槽)
101a…上部槽
101b…下部槽
102…流入管
103…流出管
104,105…フランジ部
106…仕切り板
106a…移流開口
110…1次処理部
111…仕切り板
111a…移流開口
120…第1の処理槽
130…第2の処理槽
131…区画板
132…充填領域
133…上部区画部材
134…下部区画部材
135,136…上部保持要素
137…下部保持要素
138…流量調整装置
140…2次処理部
150…第3の処理槽
151…仕切り板
151a…移流開口
152…充填領域
153…上部区画部材
154…下部区画部材
155,156…上部保持要素
157…下部保持要素
158…ブロワ
159…散気装置
160…第4の処理槽
161…仕切り板
161a…移流開口
170…第5の処理槽
171…薬筒
C1…嫌気処理用充填材
C2…好気処理用充填材
C3…ろ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水の水処理を行う水処理機構を収容する槽状の浄化槽用外槽であって、
前記水処理機構として、被処理水の嫌気処理を行なう1次処理部と、前記1次処理部において嫌気処理用充填材が充填された第1充填領域と、被処理水の好気処理を行なう2次処理部と、前記2次処理部において好気処理用充填材が充填された第2充填領域と、前記1次処理部にて処理された水が前記2次処理部へと流れる流水経路と、前記第1充填領域の上部を区画するとともに前記嫌気処理用充填材の流通を規制し且つ水の流通を許容する多孔状の上部区画部材と、前記第1充填領域の下部を区画するとともに前記嫌気処理用充填材の流通を規制し且つ水の流通を許容する多孔状の下部区画部材と、が収容可能とされ、
前記上部区画部材及び前記下部区画部材の少なくとも一方の区画部材の設置態様の変更に伴って、前記第1充填領域の容量を可変とする容量可変機構を備える構成であることを特徴とする浄化槽用外槽。
【請求項2】
請求項1に記載の浄化槽用外槽であって、
前記容量可変機構は、当該浄化槽用外槽の内壁と前記第1充填領域を仕切る仕切り板の少なくとも一方に、前記上部区画部材を保持する上部保持要素、及び前記下部区画部材を保持する下部保持要素を備え、前記上部保持要素及び前記下部保持要素の少なくとも一方の保持要素が槽上下方向の異なる高さに複数設けられた構成とされ、これにより前記複数の保持要素によって前記上部区画部材及び前記下部区画部材の少なくとも一方の区画部材が槽上下方向の異なる高さの保持位置に調節されることで前記第1充填領域の容量が可変とされることを特徴とする浄化槽用外槽。
【請求項3】
請求項2に記載の浄化槽用外槽であって、
前記容量可変機構は、前記上部区画部材及び前記下部区画部材の少なくとも一方の区画部材の位置調整に伴い、前記1次処理部の水処理にかかる有効容量に占める前記嫌気処理用充填材の充填比率が10〜60%の範囲で可変となるように、前記上部保持要素及び前記下部保持要素が配設された構成であることを特徴とする浄化槽用外槽。
【請求項4】
請求項1に記載の浄化槽用外槽であって、
前記容量可変機構は、当該浄化槽用外槽の内壁と前記第1充填領域を仕切る仕切り板の少なくとも一方に、前記上部区画部材を保持する上部保持要素、及び前記下部区画部材を保持する下部保持要素を備え、前記上部区画部材が前記上部保持要素によって保持され、且つ前記下部区画部材が前記下部保持要素によって保持された保持状態と、前記上部区画部材が前記上部保持要素から取り外され、且つ前記下部区画部材が前記下部保持要素から取り外された脱着状態とに設定可能とされた構成とされ、これにより前記保持状態及び前記脱着状態を切り替えることで前記第1充填領域の容量が可変とされることを特徴とする浄化槽用外槽。
【請求項5】
槽本体に被処理水の水処理を行う水処理機構が収容された水処理装置であって、
前記水処理機構は、
被処理水の嫌気処理を行なう1次処理部と、
前記1次処理部において嫌気処理用充填材が充填された第1充填領域と、
被処理水の好気処理を行なう2次処理部と、
前記2次処理部において好気処理用充填材が充填された第2充填領域と、
前記1次処理部にて処理された水が前記2次処理部へと流れる流水経路と、
前記第1充填領域の上部を区画するとともに前記嫌気処理用充填材の流通を規制し且つ水の流通を許容する多孔状の上部区画部材と、
前記第1充填領域の下部を区画するとともに前記嫌気処理用充填材の流通を規制し且つ水の流通を許容する多孔状の下部区画部材と、
を含み、
前記槽本体は、請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の浄化槽用外槽からなる構成であることを特徴とする水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−201392(P2010−201392A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52130(P2009−52130)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(390021348)フジクリーン工業株式会社 (71)
【Fターム(参考)】