説明

浄化水回収装置及び浄化水の回収方法

【課題】生活廃水、工場廃水等の廃水であっても比較的安定して純度の高い浄化水をうることができる浄化水回収装置を提供する。
【解決手段】供給水を逆浸透膜濾過により透過水たる浄化水と非透過水たる濃縮水とに分離する逆浸透膜ユニット1を備え、供給水として廃水が供給され、逆浸透膜ユニットから排出された浄化水を回収するように構成された浄化水回収装置であって、供給水、濃縮水又は浄化水の不純度を測定する不純度測定装置の少なくとも一つと、浄化水を移送して供給水を希釈する希釈経路8及び逆浸透膜ユニットを迂回させて供給水を濾過せずに該供給水を濃縮水として下流側に移送する迂回経路9の少なくとも何れか一方の経路とを備え、不純度測定装置によって測定された測定値が基準値以上である場合に、希釈経路による希釈及び迂回経路による迂回の少なくとも何れか一方が実施されるように構成されている浄化水回収装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜ユニットを備えた浄化水回収装置及びその装置を用いた浄化水の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の浄化水回収装置は、海水の淡水化、鹹水の軟水化、一般生活用の純水の製造などに於いて使用されている(例えば、特許文献1)。
そして、この種の浄化水回収装置は、比較的高純度の浄化水を得ることができるという利点を有している。
【特許文献1】特開2005−279614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、斯かる浄化水回収装置は、濾過される原水の逆浸透膜ユニットに供給される供給水(原水)の水質が悪化すると、それに応じて得られる浄化水の水質も悪化するという欠点を有しており、原水として、生活廃水、工場廃水等が使用される場合に於いては、安定して高純度の浄化水が得られないという問題を有している。
即ち、生活廃水、工場廃水等の廃水は、無機塩濃度が1日の間でも時間帯等によって数倍も異なるというぐらい変動の激しいものであり、それに比例して、浄化水の純度も変動することとなる。
【0004】
斯かる問題点に鑑み、本発明は、生活廃水、工場廃水、ゴミ浸出水等の廃水であっても比較的安定して純度の高い浄化水をうることができる浄化水回収装置及び浄化水の回収方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく、本発明は、供給水を逆浸透膜濾過により透過水たる浄化水と非透過水たる濃縮水とに分離する逆浸透膜ユニットを備え、前記供給水として廃水が供給され、前記逆浸透膜ユニットから排出された浄化水を回収するように構成された浄化水回収装置であって、
前記供給水、前記濃縮水又は前記浄化水の不純度を測定する不純度測定装置の少なくとも一つと、前記浄化水を移送して前記供給水を希釈する希釈経路及び前記逆浸透膜ユニットを迂回させて前記供給水を濾過せずに該供給水を濃縮水として下流側に移送する迂回経路の少なくとも何れか一方の経路とを備え、前記不純度測定装置によって測定された測定値が基準値以上である若しくは基準値を超える場合に、前記希釈経路による希釈及び前記迂回経路による迂回の少なくとも何れか一方が実施されるように構成されていることを特徴とする浄化水回収装置を提供する。
【0006】
また、本発明は、供給水を逆浸透膜濾過により透過水たる浄化水と非透過水たる濃縮水とに分離する逆浸透膜ユニットを流れ方向に複数段備え、最上流側の逆浸透膜ユニットは供給水として廃水が供給され、他の逆浸透膜ユニットは供給水として前段の逆浸透膜ユニットから排出された濃縮水が供給されるように配列され、浄化水が回収されるように構成された浄化水回収装置であって、
少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニットにおいて供給される供給水、排出された濃縮水、又は排出された浄化水の不純度を測定する不純度測定装置の少なくとも一つと、浄化水又は廃水を移送して供給水を希釈する希釈経路及び逆浸透膜ユニットを迂回させて供給水を濾過せずに該供給水を濃縮水として下流側に移送する迂回経路の少なくとも何れか一方の経路とを備え、前記不純度測定装置によって測定された測定値が基準値以上である若しくは基準値を超える場合に、前記希釈経路による希釈及び前記迂回経路による迂回の少なくとも何れか一方が実施されるように構成されていることを特徴とする浄化水回収装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、供給水を逆浸透膜濾過により透過水と非透過水たる濃縮水とに分離する逆浸透膜ユニットを流れ方向に複数段備え、最上流側の逆浸透膜ユニットは供給水として廃水が供給され、他の逆浸透膜ユニットは供給水として前段の逆浸透膜ユニットから排出された透過水が供給されるように配列され、少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニットからの透過水が浄化水として回収されるように構成された浄化水回収装置であって、
少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニットについて供給される供給水、排出された濃縮水又は排出された透過水の不純度を測定する不純度測定装置の少なくとも一つと、該一の逆浸透膜ユニット若しくは他の逆浸透膜ユニットからの透過水又は濃縮水を移送して該透過水又は該濃縮水より上流側の供給水を希釈する希釈経路とを備え、前記不純度測定装置によって測定された測定値が基準値以上である若しくは基準値を超える場合に、前記希釈経路による希釈が実施されるように構成されていることを特徴とする浄化水回収装置を提供する。
【0008】
更に、本発明は、斯かる浄化水回収装置を用いて、廃水から浄化水を精製し回収することを特徴とする浄化水の回収方法を提供する。
【0009】
これらの浄化水回収装置及び浄化水の回収方法に於いては、廃水の不純度が高い場合、不純度測定装置にてその状況を把握することができ、それに応じて、少なくとも、希釈経路による希釈によって濾過される段階での供給水の水質を良好に維持すること又は迂回経路によって水質の悪化した供給水を濾過の対象から除外することができ、得られる浄化水の悪化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上の通り、本発明によれば、生活廃水、工場廃水等の廃水であっても比較的安定して純度の高い浄化水をうることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
第1実施形態
先ず、第1実施形態の浄化水回収装置について説明する。
図1は、第1実施形態の浄化水回収装置を示す概略図である。
図1に示すように、第1実施形態の浄化水回収装置は、供給水を逆浸透膜濾過により透過水たる浄化水Bと非透過水たる濃縮水Cとに分離する逆浸透膜ユニット1を備えて構成されている。
【0013】
詳しくは、それぞれ水の流れ方向に対して縦列に連結された複数個の逆浸透膜ユニット1を備え、最上流側の逆浸透膜ユニット1は供給水として廃水Aが供給され、他の逆浸透膜ユニット1は供給水として一つ前段の逆浸透膜ユニット1から排出された濃縮水Cが供給されるように配列され、各逆浸透膜ユニット1から排出される浄化水Bが回収されるように構成されている。
尚、図1の装置に於いては、供給水として廃水Aが供給され、該廃水Aを浄化水Bと濃縮水Cとに分離して排出する第1逆浸透膜ユニット1aと、第1逆浸透膜ユニット1aから排出された濃縮水Cが供給水として供給される第2逆浸透膜ユニット1bとを備え、双方の浄化水Bが回収され且つ第2逆浸透膜ユニット1bから排出された濃縮水Cが系外に若しくは濃縮水貯留槽(図示せず)に移送されるようになっている。
【0014】
第1実施形態の浄化水回収装置は、複数の配管が備えられてなり、浄化水B又は濃縮水Cを移送する複数の経路4、5、6、7、8、9が形成されている。
該複数の経路4、5、6、7、8、9としては、各逆浸透膜ユニット1から排出された浄化水Bを移送する各浄化水移送経路4、6及び濃縮水Cを移送する各濃縮水移送経路5、7の他、任意の少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニット1に供給される供給水(通常、前段の濃縮水C)を浄化水B又は廃水Aで希釈するための浄化水移送希釈経路8と該供給水を逆浸透膜ユニット1に供給せずに逆浸透膜ユニット1から排出された濃縮水Cを移送するための濃縮水移送経路7に迂回させる迂回経路9とを備えている。
例えば、図1の装置に於いては、第1逆浸透膜ユニット1aから浄化水貯留槽(図示せず)へ浄化水Bを送る第1浄化水移送経路4と、第1逆浸透膜ユニット1aから濃縮水Cを第2逆浸透膜ユニット1bへ送る第1濃縮水移送経路5と、第2逆浸透膜ユニット1bから浄化水貯留槽(図示せず)へ浄化水Bを送る第2浄化水移送経路6と、第2逆浸透膜ユニット1bから濃縮水Cを系外若しくは濃縮水貯留槽(図示せず)へ送る第2濃縮水移送経路7と、第1逆浸透膜ユニット1aから排出された濃縮水Cを浄化水Bで希釈すべく第1浄化水移送経路4及び第1濃縮水移送経路5を連通させる浄化水移送希釈経路8と、第1逆浸透膜ユニット1aから排出された濃縮水Cを第2逆浸透膜ユニット1bに供給せずに第2濃縮水移送経路7に迂回させるべく第1濃縮水移送経路5及び第2濃縮水移送経路7を連通させる迂回経路9とを備えている。
【0015】
また、第1実施形態の浄化水回収装置は、各経路4、5、6、7、8、9に、必要に応じてバルブが介装されており、各バルブの開閉操作によって流量、流路が決定されるバルブ機構を備えている。
例えば、図1の装置は、第1浄化水移送経路4、第2浄化水移送経路6、第1濃縮水移送経路5、第2濃縮水移送経路7、浄化水移送希釈経路8、及び迂回経路9に、それぞれ第1浄化水バルブ11a、第2浄化水バルブ11b、第1濃縮水バルブ12a、第2濃縮水バルブ12b、浄化水移送希釈経路バルブ13、及び迂回経路バルブ14が介装され、各バルブの開閉操作によって流路や流量が決定されるバルブ機構を備えている。
【0016】
また、第1実施形態に於いては、前記一の逆浸透膜ユニット1について供給される供給水(通常、前段の濃縮水C)の不純度を測定する供給水不純度測定装置20a、排出された濃縮水Cの不純度を測定する濃縮水不純度測定装置20b、排出された浄化水Bの不純度を測定する浄化水不純度測定装置20cの少なくとも何れか一の不純度測定装置20を備えている。
更に、該不純度測定装置20の不純度測定装置によって測定された測定値が基準値以上である若しくは基準値を超える場合に、すなわち、前記供給水不純度測定装置20aによって測定された測定値が供給水の基準値以上である若しくは基準値を超える場合、前記濃縮水不純度測定装置20bによって測定された測定値が濃縮水の基準値以上である若しくは基準値を超える場合、及び前記浄化水不純度測定装置20cによって測定された測定値が浄化水の基準値以上である若しくは基準値を超える場合の少なくとも何れか一の場合に、前記浄化水移送希釈経路8による前記一の逆浸透膜ユニット1に供給される供給水の希釈及び前記迂回経路9による前記一の逆浸透膜ユニット1の迂回の少なくとも何れか一方が実施されるように構成されている。
尚、図1に於いては、第2逆浸透膜ユニット1bに供給される供給水の不純度を測定する供給水不純度測定装置20a、第2逆浸透膜ユニット1bから排出された濃縮水の不純度を測定する濃縮水不純度測定装置20b、及び第2逆浸透膜ユニット1bから排出された浄化水の不純度を測定する浄化水不純度測定装置20cを備えた構成が図示されている。
【0017】
更に、図1に於いては、該不純度測定装置20の不純度測定装置によって測定された測定値が基準値以上である若しくは基準値を超える場合に、第1浄化水バルブ11a、第1濃縮水バルブ12a、第2浄化水バルブ11b、及び第2濃縮水バルブ12bの少なくとも何れか一のバルブの開閉状態が調整されるように構成されている。
【0018】
前記不純度測定装置20としては、電気伝導度、イオン濃度、塩濃度、総溶解性物質濃度(TDS)、pH又はORPを測定する装置等を挙げることができる。
好ましくは、逆浸透膜の処理性能の管理指標として電気伝導度は一般的であること、測定装置の維持管理の簡便性、測定の容易性等の観点から電気伝導度を測定する電気伝導度測定装置を挙げることができる。
【0019】
前記浄化水移送希釈経路8による希釈及び前記迂回経路9による迂回の少なくとも何れか一方を実施するか否かの境界値である第1の基準値は、所定以上の純度の浄化水Bを得るという観点、若しくは、逆浸透膜に付着するスケールを抑制するという観点から決定されている。
例えば、不純度の指標として電気伝導度を採用した場合に於いては、供給水の80%以上を浄化水として回収する場合には、濃縮水における電気伝導度の基準値は5,000μS/cm以下の範囲で設定されていることが好ましく、浄化水における電気伝導度の基準値は1,000μS/cm以下の範囲で設定されていることが好ましい。また、例えば水道水レベルの浄化水を得る場合には、浄化水における電気伝導度の基準値は100μS/cm以下の範囲で設定されていることが好ましい。
斯かる範囲であれば、十分に純度の高い浄化水Bを得ることができるとともに、逆浸透膜にスケールが付着する量も低減される。
【0020】
第1実施形態に於いて、使用されうる廃水Aとしては、特に限定されるものではないが、鉄鋼、食品、電力、電子、医薬、自動車等の工場廃水、生活廃水、ゴミ浸出水等を挙げることができる。
【0021】
第1実施形態の浄化水回収装置は、上記の如く構成されてなるが、次に、斯かる浄化水回収装置を用いた第1実施形態の浄化水Bの回収方法について説明する。
【0022】
第1実施形態に於いては、通常運転時では、廃水Aを供給水として最上流側の逆浸透膜ユニット1に供給し、該逆浸透膜ユニット1で浄化水Bを濃縮水Cとに分離して、浄化水Bを浄化水移送経路4を介して浄化水貯留槽に移送し、濃縮水Cを順次次段の逆浸透膜ユニット1に供給水として供給し、順次下流側の逆浸透膜ユニット1から排出された浄化水Bを浄化水移送経路6を介して浄化水貯留槽に移送して回収する。
そして、最下流側の逆浸透膜ユニット1から排出された濃縮水Cを系外若しくは濃縮水貯留槽に移送する。
尚、図1の装置を用いる場合に於いては、廃水Aを第1逆浸透膜ユニット1aに供給し、該第1逆浸透膜ユニット1aから排出された浄化水Bを浄化水貯留槽に移送し濃縮水Cを第2逆浸透膜ユニット1bに供給し、該第2逆浸透膜ユニット1bから排出された浄化水Bを浄化水貯留槽に移送し、濃縮水Cを系外若しくは濃縮水貯留槽に移送する。
【0023】
このような通常運転時に於いては、供給水不純度測定装置20aにより少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニット1に供給される供給水(図1では第1逆浸透膜ユニット1aから排出された濃縮水C)の不純度、濃縮水不純度測定装置20bにより少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニット1から排出された濃縮水(図1では第2逆浸透膜ユニット1bから排出された濃縮水C)の不純度、及び浄化水不純度測定装置20cにより少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニット1から排出された浄化水(図1では第2逆浸透膜ユニット1bから排出された浄化水B)の不純度の少なくとも何れか一の不純度を定期的に若しくは継続的に測定しておく。
【0024】
そして、測定値が第1の基準値以上である又は第1の基準値を超える場合には、浄化水移送希釈経路8による希釈及び迂回経路9による迂回の少なくとも何れか一方を実施する。
例えば、図1に示す装置を用いた場合に於いては、図2に示すように、浄化水移送希釈経路バルブ13を開放して浄化水移送希釈経路8から浄化水Bを移送して濃縮水Cを所定の水準に希釈するか、図3に示すように、迂回経路バルブ14を開放して迂回経路9を介して濃縮水Cを迂回させるか、図4に示すように、浄化水移送希釈経路バルブ13を開放して浄化水移送希釈経路8から浄化水Bを移送して濃縮水Cを所定の水準に希釈し、且つ迂回経路バルブ14を開放して迂回経路9を介して濃縮水Cを迂回させる。
更に、必要に応じて、測定値が第2の基準値以上である又は第2の基準値を超える場合には、例えば、図1に示す装置を用いた場合に於いては、第1浄化水バルブ11a、第1濃縮水バルブ12a、第2浄化水バルブ11b、及び第2濃縮水バルブ12bの少なくとも何れか一のバルブを調整する。
斯かる操作をすることにより、逆浸透膜ユニット1内に於ける過度の濃縮を抑制して、膜へのスケール付着を抑制することもできる。
【0025】
第2実施形態
次に、第2実施形態の浄化水回収装置及び浄化水Bの回収方法を説明する。
尚、第1実施形態と重複する説明は省略し、各部の名称及び図番は第1実施形態のものを適宜援用し、第2実施形態で特に説明のないものは、第1実施形態で説明したものと同じ内容とする。
図5は、第2実施形態の浄化水回収装置を示す概略図である。
図5に示すように、第2実施形態の浄化水回収装置は、供給水を逆浸透膜濾過により透過水と非透過水たる濃縮水Cとに分離する逆浸透膜ユニット1を備えて構成されている。
【0026】
詳しくは、それぞれ水の流れ方向に対して縦列に連結された複数個の逆浸透膜ユニット1を備え、最上流側の逆浸透膜ユニット1は供給水として廃水Aが供給され、他の逆浸透膜ユニット1は供給水として一つ前段の逆浸透膜ユニット1から排出された透過水が供給されるように配列され、少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニット1から排出される透過水が浄化水として回収されるように構成されている。
尚、図5の装置に於いては、供給水として廃水Aが供給され、該廃水Aを透過水と濃縮水Cとに分離して排出する第1逆浸透膜ユニット1aと、第1逆浸透膜ユニット1aから排出された透過水が供給水として供給される第2逆浸透膜ユニット1bとを備え、第2逆浸透膜ユニット1bから排出された透過水が浄化水Bとして回収され且つ第1逆浸透膜ユニット1a及び第2逆浸透膜ユニット1bから排出された濃縮水Cが系外に若しくは濃縮水貯留槽(図示せず)に移送されるようになっている。
【0027】
第2実施形態の浄化水回収装置は、複数の配管が備えられてなり、各逆浸透膜ユニット1から排出された透過水を次段の逆浸透膜ユニット1に移送する透過水移送経路30と、少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニット1からの透過水を移送して該透過水より上流側の供給水を希釈する透過水移送希釈経路32と、少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニット1からの濃縮水Cを移送して該濃縮水Cより上流側の供給水を希釈する濃縮水移送希釈経路34とを備えている。
例えば、図5の装置に於いては、第1逆浸透膜ユニット1aから排出された透過水を第2逆浸透膜ユニット1bに移送する第1透過水移送経路30aと、第2逆浸透膜ユニット1bから排出された透過水を浄化水として浄化水貯留槽(図示せず)に移送する第2透過水移送経路30bと、第2逆浸透膜ユニット1bからの透過水を移送して第1逆浸透膜ユニット1aの供給水を希釈する透過水移送希釈経路32と、第2逆浸透膜ユニット1bからの濃縮水Cを移送して第1逆浸透膜ユニット1aの供給水を希釈する濃縮水移送希釈経路34とを備えている。
【0028】
また、第2実施形態の浄化水回収装置は、各経路に、必要に応じてバルブが介装されており、各バルブの開閉操作によって流路や流量が決定されるバルブ機構を備えている。
例えば、図5の装置は、第1濃縮水移送経路5、第2濃縮水移送経路7、第1透過水移送経路30a、第2透過水移送経路30b、透過水移送希釈経路32、濃縮水移送希釈経路34に、それぞれ第1濃縮水バルブ12c、第2濃縮水バルブ12b、第1透過水バルブ31a、第2透過水バルブ31b、透過水移送希釈経路バルブ33、濃縮水移送希釈経路バルブ35が介装され、各バルブの開閉操作によって流路や流量が決定されるバルブ機構を備えている。
【0029】
また、第2実施形態に於いては、前記一の逆浸透膜ユニット1において、供給される供給水(通常、前段の透過水)の不純度を測定する供給水不純度測定装置20d、排出された濃縮水Cの不純度を測定する濃縮水不純度測定装置20b、排出された透過水の不純度を測定する透過水不純度測定装置20cの少なくとも何れか一の不純度測定装置20を備えている。
更に、該不純度測定装置20の不純度測定装置によって測定された測定値が基準値以上である若しくは基準値を超える場合に、すなわち、前記供給水不純度測定装置20dによって測定された測定値が供給水の基準値以上である若しくは基準値を超える場合、前記濃縮水不純度測定装置20bによって測定された測定値が濃縮水の基準値以上である若しくは基準値を超える場合、及び前記浄化水不純度測定装置20cによって測定された測定値が浄化水の基準値以上である若しくは基準値を超える場合の少なくとも何れか一の場合に、透過水移送希釈経路32及び濃縮水移送希釈経路34の少なくとも何れか一方の希釈経路による前記一の逆浸透膜ユニット1の供給水の希釈が実施されるように構成されている。
尚、図5に於いては、第2逆浸透膜ユニット1bに供給される供給水の不純度を測定する供給水不純度測定装置20d、第2逆浸透膜ユニット1bから排出された濃縮水の不純度を測定する濃縮水不純度測定装置20b、及び第2逆浸透膜ユニット1bから排出された浄化水の不純度を測定する浄化水不純度測定装置20cを備えた構成が図示されている。
【0030】
更に、図5に於いては、該不純度測定装置20の不純度測定装置によって測定された測定値が第2の基準値以上である若しくは第2の基準値を超える場合に、第1透過水バルブ31a、第1濃縮水バルブ12c、第2透過水バルブ31b、及び第2濃縮水バルブ12bの少なくとも何れか一のバルブの開閉状態が調整されるように構成されている。
【0031】
前記透過水移送希釈経路32及び前記濃縮水移送希釈経路34の少なくとも一方による希釈を実施するか否かの境界値である第1の基準値は、所定以上の純度の浄化水Bを得るという観点、若しくは、逆浸透膜に付着するスケールを抑制するという観点から決定されている。
【0032】
第2実施形態の浄化水回収装置は、上記の如く構成されてなるが、次に、斯かる浄化水回収装置を用いた第2実施形態の浄化水Bの回収方法について説明する。
【0033】
第2実施形態に於いては、通常運転時では、廃水Aを供給水として最上流側の逆浸透膜ユニット1に供給し、該逆浸透膜ユニット1で透過水を濃縮水Cとに分離して、濃縮水を濃縮水移送経路5、7を介して系外若しくは濃縮水貯留槽に移送し、透過水を透過水移送経路30を介して順次次段の逆浸透膜ユニット1に供給水として供給し、順次下流側の逆浸透膜ユニット1から排出された透過水を浄化水Bとして透過水移送経路30及び浄化水移送経路4を介して浄化水貯留槽に移送して回収する。
尚、図1の装置を用いる場合に於いては、廃水Aを第1逆浸透膜ユニット1aに供給し、該第1逆浸透膜ユニット1aから排出された透過水を第2逆浸透膜ユニット1bに供給し、該第2逆浸透膜ユニット1bから排出された透過水を浄化水Bとして浄化水貯留槽に移送する。また、該第1逆浸透膜ユニット1aから排出された濃縮水C及び該第2逆浸透膜ユニット1bから排出された濃縮水Cを系外若しくは濃縮水貯留槽に移送する。
【0034】
このような通常運転時に於いては、供給水不純度測定装置20dにより少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニット1に供給される供給水(図5では第1逆浸透膜ユニット1aから排出された透過水)の不純度、濃縮水不純度測定装置20bにより少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニット1から排出された濃縮水(図5では第2逆浸透膜ユニット1bから排出された濃縮水C)の不純度、及び浄化水不純度測定装置20cにより少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニット1から排出された透過水(図5では第2逆浸透膜ユニット1bから排出された透過水)の不純度の少なくとも何れか一の不純度を定期的に若しくは継続的に測定しておく。
【0035】
そして、測定値が第1の基準値以上である又は第1の基準値を超える場合には、透過水移送希釈経路32及び濃縮水移送希釈経路34の少なくとも何れか一方による希釈を実施する。
例えば、図5に示す装置を用いた場合に於いては、図6に示すように、透過水移送希釈経路バルブ33を開放して透過水移送希釈経路32から透過水を移送して廃水Aを所定の水準に希釈するか、図7に示すように、濃縮水移送希釈経路バルブ35を開放して濃縮水移送希釈経路34から濃縮水を移送して廃水Aを所定の水準に希釈するか、図8に示すように、透過水移送希釈経路バルブ33を開放して透過水移送希釈経路32から透過水を移送し、且つ濃縮水移送希釈経路バルブ35を開放して濃縮水移送希釈経路34から濃縮水を移送して廃水Aを所定の水準に希釈する。
更に、必要に応じて、測定値が第2の基準値以上である又は第2の基準値を超える場合には、例えば、図5に示す装置を用いた場合に於いては、第1透過水バルブ31a、第1濃縮水バルブ12c、第2透過水バルブ31b、及び第2濃縮水バルブ12bの少なくとも何れか一のバルブを調整する。
斯かる操作をすることにより、逆浸透膜ユニット1内に於ける過度の濃縮を抑制して、膜へのスケール付着を抑制することもできる。
【0036】
他実施形態
第1、第2実施形態の浄化水回収装置及び浄化水Bの回収方法は、上記の通りであるが、本発明は第1、第2実施形態に限定されず、適宜設計変更可能である。
例えば、第1実施形態の浄化水回収装置は、浄化水移送希釈経路8と迂回経路9との両方を備えて構成されたが、本発明に於いては、何れか一方を備えるものであってもよい。
また、例えば、図1〜4に示した供給水不純度測定装置20aは、希釈経路の手前に図示されているが、本発明に於いては、希釈経路の下流側であってもよい。
また、例えば、第2実施形態の浄化水回収装置は、透過水移送希釈経路32と濃縮水移送希釈経路34との両方を備えて構成されたが、本発明に於いては、何れか一方を備えるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】一実施形態の浄化水回収装置及び浄化水の回収方法を示す概略図。
【図2】同実施形態の一状態を示す概略図。
【図3】同実施形態の一状態を示す概略図。
【図4】同実施形態の一状態を示す概略図。
【図5】他の実施形態の浄化水回収装置及び浄化水の回収方法を示す概略図。
【図6】同実施形態の一状態を示す概略図。
【図7】同実施形態の一状態を示す概略図。
【図8】同実施形態の一状態を示す概略図。
【符号の説明】
【0038】
1・・・逆浸透膜ユニット、 8・・・浄化水移送希釈経路、 9・・・迂回経路、 20・・・不純度測定装置、 32・・・透過水移送希釈経路、 34・・・濃縮水移送希釈経路
A・・・廃水、 B・・・浄化水、 C・・・濃縮水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給水を逆浸透膜濾過により透過水たる浄化水と非透過水たる濃縮水とに分離する逆浸透膜ユニットを備え、前記供給水として廃水が供給され、前記逆浸透膜ユニットから排出された浄化水を回収するように構成された浄化水回収装置であって、
前記供給水、前記濃縮水又は前記浄化水の不純度を測定する不純度測定装置の少なくとも一つと、前記浄化水を移送して前記供給水を希釈する希釈経路及び前記逆浸透膜ユニットを迂回させて前記供給水を濾過せずに該供給水を濃縮水として下流側に移送する迂回経路の少なくとも何れか一方の経路とを備え、前記不純度測定装置によって測定された測定値が基準値以上である若しくは基準値を超える場合に、前記希釈経路による希釈及び前記迂回経路による迂回の少なくとも何れか一方が実施されるように構成されていることを特徴とする浄化水回収装置。
【請求項2】
供給水を逆浸透膜濾過により透過水たる浄化水と非透過水たる濃縮水とに分離する逆浸透膜ユニットを流れ方向に複数段備え、最上流側の逆浸透膜ユニットは供給水として廃水が供給され、他の逆浸透膜ユニットは供給水として前段の逆浸透膜ユニットから排出された濃縮水が供給されるように配列され、浄化水が回収されるように構成された浄化水回収装置であって、
少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニットにおいて供給される供給水、排出された濃縮水、又は排出された浄化水の不純度を測定する不純度測定装置の少なくとも一つと、浄化水又は廃水を移送して供給水を希釈する希釈経路及び逆浸透膜ユニットを迂回させて供給水を濾過せずに該供給水を濃縮水として下流側に移送する迂回経路の少なくとも何れか一方の経路とを備え、前記不純度測定装置によって測定された測定値が基準値以上である若しくは基準値を超える場合に、前記希釈経路による希釈及び前記迂回経路による迂回の少なくとも何れか一方が実施されるように構成されていることを特徴とする浄化水回収装置。
【請求項3】
供給水を逆浸透膜濾過により透過水と非透過水たる濃縮水とに分離する逆浸透膜ユニットを流れ方向に複数段備え、最上流側の逆浸透膜ユニットは供給水として廃水が供給され、他の逆浸透膜ユニットは供給水として前段の逆浸透膜ユニットから排出された透過水が供給されるように配列され、少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニットからの透過水が浄化水として回収されるように構成された浄化水回収装置であって、
少なくとも何れか一の逆浸透膜ユニットについて供給される供給水、排出された濃縮水又は排出された透過水の不純度を測定する不純度測定装置の少なくとも一つと、該一の逆浸透膜ユニット若しくは他の逆浸透膜ユニットからの透過水又は濃縮水を移送して該透過水又は該濃縮水より上流側の供給水を希釈する希釈経路とを備え、前記不純度測定装置によって測定された測定値が基準値以上である若しくは基準値を超える場合に、前記希釈経路による希釈が実施されるように構成されていることを特徴とする浄化水回収装置。
【請求項4】
前記不純度測定装置は、電気伝導度、イオン濃度、塩濃度、総溶解性物質濃度、pH及びORPの何れかを測定する装置である請求項1乃至3の何れかに記載の浄化水回収装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の浄化水回収装置を用いて、廃水から浄化水を精製し回収することを特徴とする浄化水の回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−131785(P2009−131785A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310271(P2007−310271)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】