説明

浄化装置

【課題】被浄化水を効率的且つ迅速に浄化することができる浄化装置を提供する。
【解決手段】浄化装置1は、第1嫌気槽4,第2嫌気槽5,好気槽6,沈殿槽7及び消毒槽8の部屋に仕切られた処理槽3と、酸素溶存水を生成して好気槽6内に供給する水供給機構10とを備える。処理槽3は、第1嫌気槽4,第2嫌気槽5,好気槽6,沈殿槽7及び消毒槽8に、被浄化水を順次経由させて浄化する。水供給機構10は、好気槽6内の被浄化水を取水して、取水した被浄化水に酸素を溶解させて酸素溶存水を生成する酸素溶解装置20と、酸素溶解装置20によって取水される被浄化水から固形物を除去するためのフィルタ11と、酸素溶解装置20によって生成された酸素溶存水が貯留される貯留タンク12と、貯留タンク12内に貯留された酸素溶存水を好気槽6内に供給して、被浄化水の酸素濃度を高める供給ポンプ13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被浄化水を少なくとも好気性微生物により浄化する浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、炊事,洗濯,入浴,排尿,排便などの日常生活に伴なって発生した生活排水(被浄化水)は、水質汚濁防止のため、浄化装置によって浄化された後、河川などに排水されており、このような浄化装置として、従来、特開2000−233192号公報に開示されたものが知られている。
【0003】
この浄化装置は、いわゆる浄化槽と言われるものであり、嫌気性処理を行う嫌気槽と、好気性処理を行う好気槽と、好気槽内に空気を供給するブロワなどを備えている。生活排水は、まず、嫌気槽内に流入して嫌気性微生物により処理された後、好気槽内に流入して好気性微生物により処理され、このようにして嫌気性及び好気性微生物の作用により浄化された生活排水が外部に排出される。尚、好気槽内では、生活排水中の酸素が好気性微生物により消費されるが、ブロワから空気が供給されることで、当該生活排水に酸素が溶解して酸素濃度が略一定に維持される。
【0004】
【特許文献1】特開2000−233192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ブロワから生活排水中に空気を供給して酸素を溶解させるように構成された上記従来の浄化装置では、多くの酸素を溶解させることができず、当該生活排水中の酸素濃度を一定濃度以上に高めることができないため、多量の好気性微生物を生存させたり、好気性微生物の活性化状態を一定レベル以上に高めることができず、被浄化水を効率的且つ迅速に浄化することができないという問題や、好気性処理の不十分な生活排水が外部に排出されるという問題があった。特に、一般家庭用の浄化装置では、生活排水が朝と夜に集中して発生するため、このような時間帯において処理が不十分となる傾向が見られる。
【0006】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、被浄化水を効率的且つ迅速に浄化することができる浄化装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明は、
被浄化水を受け入れ、受け入れた被浄化水を少なくとも好気性微生物により浄化処理して排出する処理槽と、
水に酸素を溶解させた酸素溶存水を生成する生成手段、及び該生成手段により生成された酸素溶存水を前記処理槽内に供給する酸素溶存水供給手段を具備した水供給機構とを備えてなることを特徴とする浄化装置に係る。
【0008】
この発明によれば、被浄化水が処理槽内に流入すると、流入した被浄化水は、当該被浄化水中の酸素によって活性化した好気性微生物により有機物が分解されて浄化された後、当該処理槽から外部に排出される。
【0009】
この処理槽内には、水供給機構の生成手段により生成された酸素溶存水が酸素溶存水供給手段により供給されて被浄化水の酸素濃度が高められており、これによって、より多量の好気性微生物が被浄化水中に生存可能になるとともに、好気性微生物の活性化状態が高められている。
【0010】
斯くして、本発明に係る浄化装置によれば、より多量の好気性微生物を被浄化水中に生存させることができるとともに、好気性微生物の活性化状態を高めることができるので、被浄化水を効率的且つ迅速に浄化することができるとともに、浄化すべき被浄化水の量が一時的に増大するようなことがあっても、当該被浄化水を十分に浄化することができる。
【0011】
尚、前記生成手段は、前記処理槽内の被浄化水を取水し、取水した被浄化水に酸素を溶解させて前記酸素溶存水(酸素濃度が高められた被浄化水)を生成するように構成されていても良い。上記のように酸素溶存水を処理槽内に供給したのでは、供給される酸素溶存水の水量に比べて処理槽内の被浄化水の水量が多いために、当該被浄化水の酸素濃度を効率的に高めることができない。そこで、処理槽と水供給機構との間で被浄化水を循環させると、当該被浄化水の酸素濃度を効率的に高めることができる。
【0012】
また、前記生成手段は、密閉容器体と、前記密閉容器体内に接続した供給管を備え、該供給管を介し前記密閉容器体内に酸素ガスを供給して、該密閉容器体内部を大気圧以上の酸素ガス雰囲気にする酸素供給手段と、一端側が前記密閉容器体内に接続して該密閉容器体内で上下方向に配置され、上端面に吐出口が形成された第1給水管を備え、該第1給水管の吐出口から前記密閉容器体の天井方向に向けて水を吐出させる水供給手段と、前記密閉容器体内に接続して、該密閉容器体の底部に貯留された酸素溶存水を外部に供給する第2給水管と、前記密閉容器体の内面から内側に突出した第1制流部材及び/又は前記第1給水管の一端側外周面から外側に突出した板状の第2制流部材とを具備し、前記吐出口から前記密閉容器体の天井方向に向けて水を吐出させるとともに、該吐出口から吐出され、前記密閉容器体の内面及び/又は前記第1給水管の外周面を伝って流動する水を、前記第1制流部材及び/又は第2制流部材の突出端から前記密閉容器体の内部空間中に流下させることにより、前記密閉容器体内部で水と酸素ガスとを気液接触させて前記酸素溶存水を生成するように構成され、前記酸素溶存水供給手段は、前記第2給水管から供給される酸素溶存水を前記処理槽内に供給するように構成されていても良い。尚、前記水供給手段は、適宜外部から供給される水や、前記処理槽内から取水した水(被浄化水)を、第1給水管の吐出口から吐出させるように構成される。
【0013】
このようにすれば、まず、酸素供給手段により、供給管を介して密閉容器体内に酸素ガスが供給され、当該密閉容器体内部が大気圧以上の酸素ガス雰囲気にされた後、水供給手段により、第1給水管内に水(酸素溶解前の水)が供給され、供給された水は、当該第1給水管内を流通した後、その吐出口から密閉容器体内に吐出される。
【0014】
吐出された水は、天井方向に向けて噴水状(吐出口を中心として放射状)に噴き上げられ、天井面や内周面など密閉容器体の内面に衝突して、当該内面に沿って流動したり、跳ね返って密閉容器体の内部空間中を落下したり、第1給水管の外周面に沿って流動し、この後、密閉容器体の内面や第1給水管の外周面に沿って流動する水は、その流れが、各制流部材によりそれぞれ制御されて、当該各制流部材の突出端から前記密閉容器体の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下する。
【0015】
そして、密閉容器体内を流動した水は、密閉容器体の底部に貯留されるが、このような酸素ガス雰囲気中の流動過程において当該水に接触した酸素が溶解し、酸素溶存水が生成される。密閉容器体の底部に貯留された酸素溶存水は、密閉容器体内部の酸素ガス圧力によって第2給水管から密閉容器体外に供給され、供給された水は、酸素溶存水供給手段によって処理槽内に供給される。
【0016】
斯くして、この生成手段では、水を吐出口から放射状に噴き上げて、当該水の酸素ガスとの接触面積を大きくするとともに、密閉容器体の内面や第1給水管の外周面に沿って流動する水の流れを、第1制流部材や第2制流部材により制御して、当該制流部材の突出端から前記密閉容器体の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下させ、水膜の両面側から酸素ガスと接触させるようにしているので、また、更に、密閉容器体内部の酸素ガス圧力を高くしているので、当該水により多くの酸素を効率的に溶解させることができる。そして、このようにして生成された高酸素濃度の酸素溶存水を処理槽内に供給することで、当該処理槽内の被浄化水の酸素濃度を高めることができる。
【0017】
また、前記水供給機構は、前記生成手段の水供給手段によって取水される被浄化水から固形物を除去する除去手段を更に備え、前記水供給手段は、前記除去手段によって固形物が除去された被浄化水を前記吐出口から吐出させるように構成されていても良く、このようにすれば、好気性微生物によって分解することができない異物などの固形物や、好気性微生物によってまだ分解されていない分解可能な固形物を、除去手段により、水供給手段によって取水される被浄化水から除去することができるので、固形物が第1給水管や第2給水管などが詰まるといった不都合を効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明に係る浄化装置によれば、酸素溶存水を処理槽内に供給して被浄化水の酸素濃度を高めることで、当該被浄化水中に生存する好気性微生物の量を増やすこと、及び好気性微生物の活性化状態を高めることができるので、被浄化水を効率的且つ迅速に浄化することができ、また、多量の被浄化水が処理槽内に流入しても、これを十分に浄化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施形態について添付図面に基づき説明する。尚、図1は、本発明の一実施形態に係る浄化装置の概略構成を示した断面図である。また、図2は、本実施形態に係る酸素溶解装置の概略構成を示した断面図であり、図3は、図2における矢示A−A方向の断面図であり、図4は、図2における矢示B−B方向の断面図であり、図5は、図2における矢示C−C方向の断面図であり、図6は、図2の酸素溶解装置における水の流れを説明するための説明図である。
【0020】
図1に示すように、本例の浄化装置1は、仕切部材3a,3b,3c,3dによって第1嫌気槽4,第2嫌気槽5,好気槽6,沈殿槽7及び消毒槽8の5つの部屋に仕切られ、生活排水といった被浄化水を浄化する処理槽3と、前記好気槽6内の被浄化水を取水して、取水した被浄化水に酸素を溶解させて酸素溶存水(酸素濃度が高められた被浄化水)を生成し、生成した酸素溶存水を前記好気槽6内に供給する水供給機構10などを備えて構成される。
【0021】
前記処理槽3は、第1嫌気槽4に接続した流入管3eと、消毒槽8に接続した排出管3fとを備えており、流入管3eから内部に流入した被浄化水を、第1嫌気槽4,第2嫌気槽5,好気槽6,沈殿槽7及び消毒槽8に順次経由させて、排出管3fから外部に排出する。
【0022】
前記第1嫌気槽4は、その内部に適宜配置された濾材4aを備えており、この濾材4aに付着した嫌気性微生物によって、流入管3eから流入した被浄化水中の有機物を分解する。また、同様に、前記第2嫌気槽5は、その内部に適宜配置された濾材5aを備えており、この濾材5aに付着した嫌気性微生物によって、第1嫌気槽4から接続管5bを介して流入する被浄化水中の有機物を分解する。
【0023】
前記好気槽6は、その内部に適宜配置された接触材6aを備えており、この接触材6aに付着し、被浄化水中の酸素により活性化した好気性微生物によって、第2嫌気槽5から流入する被浄化水中の有機物を分解する。
【0024】
前記沈殿槽7は、好気槽6で処理された被浄化水から清澄な上澄み部分の水を得るための槽であり、この上澄み部分の被浄化水は消毒槽8に流入する一方、沈殿成分は仕切部材3cと槽底部との間の隙間及び槽底部の傾斜によって好気槽6側に戻される。前記消毒槽8は、消毒剤を添加する添加装置8aを備えており、この添加装置8aによって、沈殿槽7から流入する被浄化水に消毒剤を添加し、消毒剤添加後の被浄化水を排出管3fから排出する。
【0025】
前記水供給機構10は、好気槽6内の被浄化水を取水して、取水した被浄化水に酸素を溶解させて酸素溶存水を生成する酸素溶解装置20と、酸素溶解装置20によって取水される被浄化水から固形物を除去するためのフィルタ11と、酸素溶解装置20によって生成された酸素溶存水が貯留される貯留タンク12と、貯留タンク12内に貯留された酸素溶存水を好気槽6内に供給する供給ポンプ13などを備える。
【0026】
前記酸素溶解装置20は、図2乃至図5に示すように、円筒状に形成され、密閉空間を有する容器体21と、容器体21内に酸素ガスを供給する酸素供給部22と、容器体21内部の酸素ガス圧力を検出する圧力検出器(図示せず)と、好気槽6内の被浄化水を容器体21内に供給する水供給部23と、容器体21内部の被浄化水(酸素溶解処理後の被浄化水)を貯留タンク12内に供給する給水管(第3給水管)24と、容器体21内の上部位置に配置された第1,第2及び第3制流板25,26,27と、容器体21内の水位を検出する水位検出部28とを備えている。
【0027】
前記容器体21の天井部は、外方に突出した球状の湾曲面に形成され、当該天井部には、容器体21内部と外部とを連通させる排気管29が接続しており、この排気管29には、通常、閉じた状態に制御される排気弁29aが設けられている。また、容器体21の下面は、適宜取付部材30上に載置,支持されている。
【0028】
前記酸素供給部22は、酸素ガスを供給する酸素供給源22aと、一端側が酸素供給源22aに接続し、他端側が後述の第1給水管23aに接続した供給管22bと、供給管22bを介して酸素供給源22aから容器体21内に供給される酸素ガス流量を調整する供給弁22cとからなり、供給管22b及び第1給水管23aを介し容器体21内に酸素ガスを供給して、容器体21内部を大気圧以上の酸素ガス雰囲気にする。尚、供給弁22cの開度は、前記圧力検出器(図示せず)によって検出される圧力値や、前記水位検出部28によって検出される水位が略一定となるように調整される。
【0029】
前記水供給部23は、軸線が上下方向に沿って設けられるとともに、容器体21と同軸位置に配置され、上端面が容器体21の天井面と所定間隔を隔てて容器体21の上部側に配置される第1給水管23aと、一端側が容器体21の外周面から容器体21内に貫入されて、前記第1給水管23aの上端部と下端部との間に接続するとともに、他端側が好気槽6内に接続した第2給水管23bと、第2給水管23bに接続して、好気槽6内の被浄化水を各給水管23b,23aを介し容器体21内に供給するポンプ装置23eなどを備える。
【0030】
前記第1給水管23aは、その上端面に開口し、前記天井方向に向けて被浄化水を吐出する吐出口23cを備えており、この吐出口23cの内径は、第1給水管23aの他の部分(内径D1)よりも小径に形成されている。また、第1給水管23aの下端部には、前記供給管22bの他端側が接続され、当該第1給水管23aの下端面は、封止部材23dによって適宜封止されている。
【0031】
前記第2給水管23bの他端開口部には、前記フィルタ11が取り付けられており、このフィルタ11によって固形物(例えば、微生物によって分解することができない異物などの固形物や、微生物によってまだ分解されていない分解可能な固形物)が除去された被浄化水がポンプ装置23eにより取水される。また、第2給水管23bには、図示しない逆止弁が設けられており、この逆止弁(図示せず)によって、容器体21内に供給される被浄化水が逆流したり、供給管22bから供給される酸素ガスが外部に漏れるのが防止されている。
【0032】
前記第3給水管24は、その一端側が容器体21の底部外周面からその内部に貫入され、他端側が貯留タンク12内に接続しており、容器体21内部の底部に貯留した酸素溶存水(酸素が溶解した被浄化水)を貯留タンク12内に、当該容器体21内部の酸素ガス圧力によって供給する。尚、第3給水管24は、その内径D2が第1及び第2給水管23a,23bの内径D1と同径若しくはそれ以下の小径に構成されており、前記一端面に開口し、被浄化水を貯留タンク12内に供給するための吸入口24aを備えている。
【0033】
前記第1,第2及び第3制流板25,26,27は、上下方向に所定間隔を隔てて配置された平板且つ環状の部材から構成されており、第1制流板25は、その外周面が容器体21の上部内周面に嵌挿,固定されるとともに、その内周面が第1給水管23aの上端部に外嵌され、第2制流板26は、その内周面が第1給水管23aの上端部に外嵌,固定されて、第1制流板25よりも下方に配置され、第3制流板27は、その外周面が容器体21の上部内周面に嵌挿,固定されて、第2制流板26よりも下方に配置されている。
【0034】
前記第1制流板25は、その表裏に開口した扇状の4つの貫通穴25aを備えており、容器体21の内周面や第1給水管23aの外周面に沿って流動する被浄化水、容器体21の天井面に衝突して跳ね返ってきた被浄化水を制流して(被浄化水の流れを制御して)、当該第1制流板25の各貫通穴25aから容器体21の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下させる。
【0035】
前記第2制流板26は、その外周面(端縁)がジグザグ状に形成されており、第1制流板25によって制流され流下した被浄化水や、第1制流板25の各貫通穴25aを通過した被浄化水を制流して、当該第2制流板26の外周部(突出端)から容器体21の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下させる。
【0036】
前記第3制流板27は、その内周面(端縁)がジグザグ状に形成されており、第1制流板25や第2制流板26によって制流され流下した被浄化水や、第1制流板25の各貫通穴25aを通過した被浄化水を制流して、当該第3制流板27の内周部(突出端)から容器体21の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下させる。
【0037】
前記水位検出部28は、ガラスや樹脂などの光透過性材料からなり、長手方向が上下方向に沿って容器体21の外周面に付設された導入管28aと、導入管28a近傍の容器体21外周面に上下に並設された2つの水位センサ28b,28cとから構成される。
【0038】
前記導入管28aは、その上端部及び下端部が容器体21内と連通し、当該導入管28a内の液面位置が容器体21内の水位に応じて昇降するようになっており、前記水位センサ28b,28cが前記液面位置を検出する。
【0039】
この水位検出部28によれば、容器体21内の水位が上昇して導入管28a内の液面位置が上昇し、これが上側の水位センサ28bによって検出されると、容器体21内の水位が上限を超えたと判断されて、供給弁22cの開度が調整され、酸素ガス供給量が増やされる。これにより、容器体21内の酸素ガス圧力が高くなって貯留タンク12への供給水量が多くなり、容器体21内の水位が下降する。
【0040】
一方、容器体21内の水位が下降して導入管28a内の液面位置が下降し、これが下側の水位センサ28cによって検出されると、容器体21内の水位が下限を超えたと判断されて、供給弁22cの開度が調整され、酸素ガス供給量が減らされる。これにより、容器体21内の酸素ガス圧力が低くなって貯留タンク12への供給水量が少なくなり、容器体21内の水位が上昇する。
【0041】
斯くして、この酸素溶解装置20によれば、まず、酸素供給源22aから供給管22b及び第1給水管23aを介して容器体21内に酸素ガスが供給され、容器体21内部が大気圧以上の酸素ガス雰囲気にされる。
【0042】
ついで、ポンプ装置23eによって、好気槽6内の被浄化水(酸素溶解前の被浄化水)が第2給水管23bから取水されると、取水された被浄化水は、第2給水管23b内を流通した後、第1給水管23a内で、供給管22bから供給される酸素ガスと混合されて互いに接触しながら当該第1給水管23a内を流通し、その吐出口23cから酸素ガスとともに吐出される。尚、第2給水管23b内には、フィルタ11によって固形物が除去された被浄化水が流通するようになっている。
【0043】
吐出された被浄化水は、天井方向に向けて噴水状(吐出口23cを中心として放射状)に噴き上げられるが(図6矢示C1参照)、噴き上げられる被浄化水は、吐出口23cの内径が第1給水管23aの他の部分よりも小径に形成されていることから、吐出時の圧力が高められてその流速が速くなり、勢い良く且つより広範囲の放射状に噴き上げられる。
【0044】
そして、吐出口23cから噴き上げられた被浄化水は、容器体21の天井面や内周面に衝突して、当該天井面や内周面に沿って下方に流動したり(矢示C2参照)、跳ね返ったり(図示せず)、第1給水管23aの外周面に沿って下方に流動し(図示せず)、この後、第1制流板25により制流されて、当該第1制流板25の貫通穴25aから容器体21の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下する(矢示C3及びC4参照)。
【0045】
ついで、第1制流板25により制流され流下した被浄化水や、跳ね返って第1制流板25の各貫通穴25aを通過した被浄化水は、第2制流板26により制流されて、当該第2制流板26の外周部から容器体21の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下する(矢示C5参照)。
【0046】
この後、第1制流板25や第2制流板26により制流され流下した被浄化水や、跳ね返って第1制流板25の各貫通穴25aを通過した被浄化水は、第3制流板27により制流されて、第3制流板27の内周部から容器体21の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下し(矢示C6参照)、容器体21の底部に貯留される。
【0047】
そして、このような、被浄化水の第1給水管23a内及び容器体21内の流動過程において、当該被浄化水に接触した酸素が溶解し、酸素濃度が所定の濃度にまで高められた被浄化水、即ち、前記酸素溶存水が生成される。
【0048】
この後、容器体21に貯留された酸素溶存水は、容器体21内部の酸素ガス圧力により、第3給水管24内を流通して貯留タンク12内に流入して貯留される。
【0049】
容器体21内に貯留された酸素溶存水の水位は、その上限又は下限を超えると、水位検出部28によって検出されるようになっており、水位が上限を超えた場合には、導入管28a内の液面位置が上側の水位センサ28bによって検出され、水位が下限を超えた場合には、これが下側の水位センサ28cによって検出される。
【0050】
このようにして、水位が一定限度を超えたことが水位センサ28b,28cによって検出されると、供給弁22cの開度が調整されて、酸素ガス供給量が調整され、これにより、容器体21内の酸素ガス圧力が調整されて貯留タンク12への供給水量が調整され、容器体21内の酸素ガスと酸素溶存水との割合が一定の範囲内に維持される。
【0051】
尚、第1及び第2給水管23a,23b並びに第3給水管24は、第3給水管24の内径D2が第1及び第2給水管23a,23bの内径D1と同径若しくはそれ以下の小径に形成されているので、容器体21内の酸素溶存水が貯留タンク12に供給され難くなっており(容器体21内に酸素溶存水が貯留され易くなっており)、容器体21の内部の酸素ガス圧力が、より高圧に高められるようになっている。
【0052】
また、被浄化水に酸素が溶解すると、もともと含まれていた(溶解していた)窒素などの気体が、ヘンリーの法則に従って当該被浄化水から放出されるので、容器体21内の酸素ガス濃度が次第に低下して、被浄化水の酸素溶解量が低下する。このため、容器体21内の酸素ガス濃度を一定値以上に維持すべく、容器体21内の窒素などの気体を定期的に排出する。
【0053】
具体的には、まず、供給弁22cを閉じ、容器体21内への酸素ガス供給を停止した後、排気管29の排気弁29aを開いて、容器体21内部と外部とを連通させる。これにより、容器体21内部の気体圧力が大気圧と同等の圧力まで低下し、容器体21内に貯留された酸素溶存水が第3給水管24から貯留タンク12に供給されなくなる。
【0054】
ついで、各給水管23a,23bから容器体21内に被浄化水を更に供給して、当該容器体21内の水位を上昇させ、容器体21内の気体を排気管29から容器体21外部に排出する。
【0055】
前記供給ポンプ13は、貯留タンク12内に貯留された酸素溶存水を、貯留タンク12と好気槽6とを接続する接続管12aを介して貯留タンク12から好気槽6内に供給し、当該好気槽6内の被浄化水の酸素濃度を高める。これにより、好気槽6内の被浄化水中に生存する好気性微生物の量を増やすことができるとともに、好気性微生物の活性化状態を高めることができる。
【0056】
以上のように構成された本例の浄化装置1によれば、流入管3eから処理槽3内に流入した被浄化水は、第1嫌気槽4,第2嫌気槽5,好気槽6,沈殿槽7及び消毒槽8を順次経由して浄化され、排出管3fから外部に排出される。
【0057】
好気槽6内の被浄化水は、その一部が酸素溶解装置20により酸素溶解処理されて酸素溶存水として貯留タンク12内に貯留された後、供給ポンプ13によって好気槽6内に供給(還流)されており、即ち、酸素溶解装置20と好気槽6との間で循環されており、これによって、酸素濃度が高められている。
【0058】
このように、本例の浄化装置1によれば、高酸素濃度の酸素溶存水を好気槽6内に供給して被浄化水の酸素濃度を高めることで、より多量の好気性微生物を被浄化水中に生存させることができるとともに、好気性微生物の活性化状態を高めることができるので、被浄化水を効率的且つ迅速に浄化することができるとともに、浄化すべき被浄化水の量が一時的に増大するようなことがあっても、当該被浄化水を十分に浄化することができる。また、酸素溶解装置20と好気槽6との間で被浄化水を循環させるようにしているので、当該被浄化水の酸素濃度を効率的に高めることができる。
【0059】
また、被浄化水を吐出口23cから放射状に噴き上げて、当該被浄化水の酸素ガスとの接触面積を大きくするとともに、各制流板25,26,27により被浄化水を制流して、当該各制流板25,26,27から容器体21の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下させ、水膜の両面側から酸素ガスと接触させるようにしているので、また、更に、容器体21内部の酸素ガス圧力を高くしているので、当該被浄化水により多くの酸素を効率的に溶解させることができ、高酸素濃度の酸素溶存水を生成することができる。そして、このような高濃度の酸素溶存水を好気槽6に供給することで、好気槽6内の被浄化水の酸素濃度を効率的に高めることができる。
【0060】
また、容器体21内に各制流板25,26,27を設けているが、これによって被浄化水の落下流量が制限されることがないので、多量の被浄化水を効率的に処理することができるとともに、窒素などの気体排出時に、容器体21内の水位を迅速に上昇させて当該気体を迅速に排出することができる。
【0061】
また、フィルタ11によって固形物が除去された被浄化水を容器体21内に供給しており、当該固形物が第1制流板25の各貫通穴25aや、各制流板25,26,27間、各給水管23a,23b,24に詰まるのを防止することができるので、固形物を除去する作業を行う必要がなく、維持コストを低くすることができるとともに、固形物除去のために容器体21を分解可能に構成する必要がないことから、容器体21の構成を簡素化して、製造コストを低くし、且つ容器体21の気密性を高くすることができる。
【0062】
また、複数の制流板25,26,27を設けて、被浄化水の制流回数を多くすることにより、被浄化水の流動状態を変化させて当該被浄化水と酸素ガスとの接触回数を多くしているので、このことによっても、より効率的に酸素を溶解させることができる。
【0063】
また、第2制流板26の外周面及び第3制流板27の内周面を、ジグザグ状に形成しているので、当該外周面及び内周面の周長さを長くして、第2制流板26及び第3制流板27から薄膜状且つ滝状に流下する被浄化水の表面積を大きくして酸素ガスとの接触面積を大きくすることができ、当該被浄化水に更に多くの酸素を効率的に溶解させることができる。
【0064】
また、容器体21の上部を、外方に突出した球状の湾曲面に形成しているので、吐出口23cから吐出され、容器体21の天井面に衝突した被浄化水を、当該天井面に沿わせて第1制流板25側に流動させ、当該第1制流板25により制流して容器体21の内部空間中に流下させることができ、当該被浄化水の酸素溶解量を高めることができる。
【0065】
また、第1給水管23aの上端面を容器体21内の上部側に配置して、容器体21内の上部側で被浄化水を吐出口23cから吐出させるようにしているので、吐出口23cから吐出された後、容器体21の底部に貯留されるまでの被浄化水の流動距離を長くすることができ、当該被浄化水の酸素溶解量を更に高めることができる。
【0066】
また、第3給水管24の内径D2を、第1及び第2給水管23a,23bの内径D1と同径若しくはそれ以下の小径に構成しているので、容器体21内に貯留される酸素溶存水を貯留タンク12に供給され難くして、容器体21内の酸素ガス圧力をより高圧にすることができ、当該酸素ガス雰囲気中を流動する被浄化水により多くの酸素を効率的に溶解させることができる。
【0067】
また、容器体21内の酸素ガス圧力が何らかの理由により上昇しても、容器体21内の水位が下降し難くいので、当該水位が第3給水管24の吸入口24aよりも下降して容器体21内の酸素ガスが第3給水管24から外部に漏れるといった不都合を効果的に防止することができる。
【0068】
また、被浄化水と酸素ガスとを混合して互いに接触させ、酸素を被浄化水に溶解させながら、第1給水管23a内を吐出口23c側に向けて流動させているので、更に効率的且つ多量に酸素を被浄化水に溶解させることができる。
【0069】
また、吐出口23cの内径を、第1給水管23aの他の部分よりも小径に構成しているので、吐出時の圧力を高めてその流速を速くすることができ、吐出口23cから吐出される被浄化水をより広範囲の放射状に広げて、より効率的且つ多量に酸素を被浄化水に溶解させたり、第1給水管23a内で被浄化水と混合された酸素を当該被浄化水に、更に効率的且つ多量に溶解させることができる。
【0070】
また、第1給水管23aを容器体21と同軸位置に配置しているので、吐出口23cから吐出された被浄化水を、均等に分散させて容器体21内を流下させることができ、当該処理を効率的に行うことができる。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0072】
例えば、上例では、酸素溶解装置20を用いて酸素溶存水を生成したが、これに限られるものではなく、図7乃至図9に示すような酸素溶解装置40を用いることもできる。尚、図7は、本発明の他の実施形態に係る酸素溶解装置の概略構成を示した断面図であり、図8は、図7における矢示D−D方向の断面図であり、図9は、図7の酸素溶解装置における水の流れを説明するための説明図である。
【0073】
図7に示すように、前記酸素溶解装置40は、上記酸素溶解装置20における酸素供給部22、水供給部23、第3給水管24及び各制流板25,26,27が異なるものであり、酸素溶解装置20と同じ構成部分については同一の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0074】
図7及び図8に示すように、前記酸素溶解装置40は、前記容器体21と、容器体21内に酸素ガスを供給する酸素供給部41と、前記圧力検出器(図示せず)と、容器体21内に被浄化水を供給する水供給部42と、容器体21内の酸素溶存水を貯留タンク12に供給する給水管(第2給水管)43と、容器体21内の上部位置に配置された第1及び第2制流板44,45と、前記水位検出部28とを備える。
【0075】
前記酸素供給部41は、前記酸素供給源22aと、一端側が酸素供給源22aに接続し、他端側が容器体21の上部に接続した供給管41aと、前記供給弁22cと、容器体21内部と外部とを連通させる排気弁41bとからなり、供給弁22cは所定の開度で開いた状態、排気弁41bは閉じた状態に、通常制御されている。
【0076】
前記水供給部42は、一端側が容器体21の底部外周面からその内部に貫入され、容器体21内の中央部でL字状に屈曲して当該容器体21の上部側に向けて延設されるとともに、他端側が好気槽6内に接続した第1給水管42aと、第1給水管42aに接続して、好気槽6内の被浄化水を第1給水管42aを介し容器体21内に供給するポンプ装置23eなどを備える。
【0077】
前記第1給水管42aは、その前記一端(上端)が容器体21内の天井面と所定間隔を隔てて配置され、当該上端面に開口した吐出口42bを備えており、当該吐出口42bは、容器体21内の天井方向を指向して開口し、当該天井方向に向けて被浄化水を吐出する。また、前記第1給水管42aの他端開口部には、ポンプ装置23eにより取水される被浄化水から固形物を除去するための前記フィルタ11が取り付けられている。尚、第1給水管42aには、図示しない逆止弁が設けられており、この逆止弁(図示せず)によって、容器体21内に供給される被浄化水が逆流するのが防止されている。
【0078】
前記第2給水管43は、その一端側が容器体21の底部外周面からその内部に貫入されて、容器体21内でL字状に屈曲して当該容器体21の底面側に向けて延設され、他端側が貯留タンク12内に接続しており、容器体21内の底部に貯留した酸素溶存水(酸素が溶解した被浄化水)を貯留タンク12内に、当該容器体21内部の酸素ガス圧力によって供給する。
【0079】
また、第2給水管43は、その前記一端(下端)が容器体21の底面と所定間隔を隔てて配置されており、当該下端面に開口し、酸素溶存水を貯留タンク12に供給するための吸入口43aを備えている。また、第2給水管43は、その内径D2が第1給水管42aの内径D1と同径若しくはそれ以下の小径に構成されている。
【0080】
前記第1制流板44は、平板且つ環状の部材から構成され、その外周面が容器体21の上部内周面に嵌挿,固定されて、第1給水管42aの上端と略同じ高さ位置に配置されており、容器体21の内周面に沿って流動する被浄化水や、容器体21の天井面に衝突して跳ね返ってきた被浄化水を制流して、当該第1制流板44の内周部から容器体21の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下させる。
【0081】
前記第2制流板45は、同じく平板且つ環状の部材から構成され、その内周面が第1給水管42aの上端側外周面に外嵌,固定されて、第1制流板44よりも下方に配置されており、第1給水管42aの外周面に沿って流動する被浄化水や、容器体21の天井面に衝突して跳ね返ってきた被浄化水を制流して、当該第2制流板45の外周部から容器体21の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下させる。
【0082】
斯くして、この酸素溶解装置40によれば、まず、酸素供給部41によって容器体21内に酸素ガスが供給され、容器体21内部が大気圧以上の酸素ガス雰囲気にされる。ついで、ポンプ装置23eによって、好気槽6内の被浄化水(酸素溶解前の被浄化水)が第1給水管42aから取水されると、取水された被浄化水は、当該第1給水管42a内を流通した後、その吐出口42bから容器体21内に吐出される。
【0083】
吐出された被浄化水は、天井方向に向けて噴水状(吐出口42bを中心として放射状)に噴き上げられ(図9矢示C11参照)、容器体21の天井面や内周面に衝突して、当該天井面や内周面に沿って下方に流動したり(矢示C12参照)、跳ね返ったり(図示せず)、第1給水管42aの外周面に沿って下方に流動する(矢示C13参照)。
【0084】
容器体21の内周面に沿って流動する被浄化水は、この後、第1制流板44により制流されて、当該第1制流板44の内周部から容器体21の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下し(矢示C14参照)、第1給水管42aの外周面に沿って流動する被浄化水は、第2制流板45により制流されて、当該第2制流板45の外周部から容器体21の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下する(矢示C15参照)。
【0085】
また、前記跳ね返った被浄化水の大部分は、各制流板44,45によって制流されることなく、容器体21の内部空間中を流下する。
【0086】
そして、酸素ガス雰囲気中を流下した被浄化水は、容器体21の底部に貯留され、貯留された被浄化水(酸素溶解後の被浄化水、即ち、酸素溶存水)は、容器体21内部の酸素ガス圧力により、第2給水管43内を流通して貯留タンク12内に流入して貯留される。
【0087】
このように、この酸素溶解装置40によっても、被浄化水を吐出口42bから放射状に噴き上げることができるとともに、容器体21の内周面及び第1給水管42aの外周面に沿って流動する被浄化水を各制流板44,45から薄膜状且つ滝状に流下させることができるので、酸素が高濃度に溶解した酸素溶存水を生成することができるなど、上記酸素溶解装置20と同様の効果を得ることができる。
【0088】
また、前記酸素溶解装置40において前記第2制流板45は、図10及び図11に示すような第2制流板46として構成されていても良い。
【0089】
図10及び図11に示すように、前記第2制流板46は、平板且つ矩形状に形成されるとともに、その外周面がジグザグ状に形成され、その表裏に貫通した複数の貫通穴46aと、中央部に形成された嵌挿穴46bとを備えており、外周部から被浄化水を薄膜状且つ滝状に流下させるとともに、貫通穴46aから被浄化水を多数の水滴状にして滴下させる。
【0090】
前記貫通穴46aは、嵌挿穴46bを中心とした同心円上に形成されており、内側に形成された貫通穴46aと、外側に形成された貫通穴46aとは、周方向に位置ずれしてそれぞれ穿設されている。
【0091】
また、第2制流板46は、嵌挿穴46bの内周面が第1給水管42aの上端側外周面に外嵌,固定され、四隅部が容器体21の内周面に支持されて、第1制流板44から所定間隔を隔てた上方位置に配置されており、外周面と容器体21内周面との間には隙間46cが形成されている。
【0092】
このように構成された第2制流板46及び第1制流板44を備えた酸素溶解装置では、次のようにして被浄化水が容器体21内を流動する。
【0093】
即ち、放射状に噴き上げられた被浄化水(矢示C21参照)は、この後、容器体21の天井面や内周面に衝突して、当該天井面や内周面に沿って下方に流動したり(矢示C22参照)、跳ね返ったり(図示せず)、第1給水管42aの外周面に沿って下方に流動する(矢示C23参照)。
【0094】
そして、第1給水管42aの外周面に沿って流動する被浄化水や、跳ね返ってきた被浄化水は、この後、第2制流板46により制流されて、当該第2制流板46の外周部から薄膜状且つ滝状に流下したり、当該第2制流板46の貫通穴46aから多数の水滴状になって滴下する(矢示C24参照)。
【0095】
一方、容器体21の内周面に沿って流動する被浄化水や、跳ね返って隙間46cを通過した被浄化水、第2制流板46により制流され流下した被浄化水は、第1制流板44により制流されて、当該第1制流板44の内周部から薄膜状且つ滝状に流下する(矢示C25参照)。
【0096】
このように各制流板44,46を構成,配置しても、吐出口42bから吐出された被浄化水を、各制流板44,46の内周部や外周部から薄膜状且つ滝状に流下させることができるとともに、貫通穴46aから多数の水滴状にして滴下させることができるので、酸素が高濃度に溶解した酸素溶存水を生成することができるなど、上記と同様の効果を得ることができる。
【0097】
また、図12に示すように、前記酸素溶解装置20において、両端面が開口した筒状の制流部材31を、その軸線方向が上下方向に沿うように容器体21の天井面に配設しても、吐出口23cから吐出され、当該天井面に沿って流動する被浄化水を、制流部材31により制流して、当該制流部材31の下端部から容器体21の内部空間中に薄膜状且つ滝状に流下させることができる。尚、これは、図示はしないが、前記酸素溶解装置40についても、同様に適用することができる。
【0098】
また、この場合において、前記制流部材31の内周面を平面視においてジグザグ状に形成すれば、上述のように、当該内周面の周長さを長くし、制流部材31から流下する被浄化水の表面積を大きくして酸素ガスとの接触面積を大きくすることができ、当該被浄化水に更に多くの酸素を効率的に溶解させることができる。
【0099】
また、上例において、各制流板25,26,27,44,45,46の配置位置は、特に限定されるものではないが、容器体21内の上部位置に配置することが好ましい。例えば、制流板25,45,46を、給水管23a,42aの上端に配設したり、吐出口23c,42bの内径を約3倍した値よりも小さい範囲内で、当該上端から下方に下がった位置に配設すると良く、また、制流板27,44を、吐出口23c,42bよりも上方位置に配設すると良い。
【0100】
このようにすれば、各制流板25,26,27,44,45,46から流下した後、容器体21に貯留された酸素溶存水の水面に到達するまでの落下距離を長くすることができるので、より多くの酸素ガスを被浄化水と接触させて被浄化水に溶解させることができる。
【0101】
また、各制流板25,26,27,44,45,46同士の位置関係について、どちらを上方側や下方側に配置しても良く、また、略同じ高さ位置に設けることもできる。
【0102】
更に、各制流板25,26,27,44,45,46の形状、例えば、外周面や内周面の形状、貫通穴25a,46aの形状や形成位置などについても、特に限定されるものではない。ジグザグ状(鋸刃状)に形成された外周面や内周面の形状は、当該ジグザグ状に代えて、滑らかな曲線状であったり、矩形波状であったり、これら鋸刃状,曲線状及び矩形波状の組み合わせであっても良い。
【0103】
また、制流板25,26,27,44,45,46の配置数は、何ら限定されるものではなく、当該制流板25,26,27,44,45,46の一部又は全部を設けずに構成したり、上例よりも多段に設けて構成することもできる。
【0104】
また、給水管23a,42aの上端面は、容器体21内の上部側に設けられていることが好ましく、このようにすれば、容器体21内の上部側で被浄化水を吐出させることができるので、吐出口23c,42bから吐出された後、容器体21の底部に貯留されるまでの被浄化水の流動距離を長くして、酸素溶解量を更に高めることができる。
【0105】
また、上例では、容器体21内に1本の給水管23a,23b,42aを設けたが、複数の給水管23a,23b,42aを設けることもできる。また、給水管23a,23b,42aの内径D1は、吐出口23cの部分を除いて一定に形成され、給水管24,43の内径D2は一定に形成されていたが、これらが適宜変化するように形成されていても良い。
【0106】
また、上例では、容器体21の上部を、外方に突出した球状の湾曲面に形成したが、これに限られるものではなく、図示はしないが、内方に突出した球状の湾曲面に形成しても良い。このようにしても、容器体21の天井面に衝突した被浄化水を、当該天井面に沿って容器体21の内周面側、即ち、第1制流板25,44側に流動させ、当該第1制流部材25,44により制流して流下させることができるので、酸素溶存水の酸素溶解量を高めることができる。
【0107】
また、酸素溶解装置20,40の構成は、一例を示したものであり、上記構成に限定されるものではなく、また、図6,図9及び図11を基に説明した被浄化水の流れ(C1〜C6,C11〜C15,C21〜C25)は、一例であり、かかる流れは、被浄化水の吐出量や吐出圧力などによって当然に変化する。
【0108】
また、上例では、好気槽6内の被浄化水を容器体21内で吐出させて酸素を溶解させるように構成したが、これに限られるものではなく、適宜外部から供給される水や、沈殿槽7内の清澄な上澄み部分の被浄化水を容器体21内で吐出させて酸素を溶解させ、好気槽6内に供給するように構成しても良い。尚、この場合、給水管23b,42aの他端開口部に設けたフィルタ11を省略することもできる。
【0109】
また、図1に示した前記処理槽3の構成は一例を示したものであり、好気性微生物によって被浄化水を浄化する好気槽を少なくとも備えたものであれば良く、限定されるものではない。
【0110】
また、本例の浄化装置1では、炊事,洗濯,入浴,排尿,排便などの日常生活に伴なって発生した生活排水を被浄化水としてこれを浄化するように構成したが、浄化処理の対象となる被浄化水は、例えば、各種工場や事業所などから排出される産業排水であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の一実施形態に係る浄化装置の概略構成を示した断面図である。
【図2】本実施形態に係る酸素溶解装置の概略構成を示した断面図である。
【図3】図2における矢示A−A方向の断面図である。
【図4】図2における矢示B−B方向の断面図である。
【図5】図2における矢示C−C方向の断面図である。
【図6】図2の酸素溶解装置における水の流れを説明するための説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る酸素溶解装置の概略構成を示した断面図である。
【図8】図7における矢示D−D方向の断面図である。
【図9】図7の酸素溶解装置における水の流れを説明するための説明図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る第2制流板などの概略構成を示した平面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る第2制流板などの概略構成を示した断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る制流部材などの概略構成を示した断面図である。
【符号の説明】
【0112】
1 浄化装置
3 処理槽
4 第1嫌気槽
5 第2嫌気槽
6 好気槽
7 沈殿槽
8 消毒槽
10 水供給機構
11 フィルタ
12 貯留タンク
13 供給ポンプ
20 酸素溶解装置
21 容器体
22 酸素供給部
22b 供給管
23 水供給部
23a 第1給水管
23b 第2給水管
24 第3給水管
25 第1制流板
26 第2制流板
27 第3制流板
28 水位検出部
29 排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被浄化水を受け入れ、受け入れた被浄化水を少なくとも好気性微生物により浄化処理して排出する処理槽と、
水に酸素を溶解させた酸素溶存水を生成する生成手段、及び該生成手段により生成された酸素溶存水を前記処理槽内に供給する酸素溶存水供給手段を具備した水供給機構とを備えてなることを特徴とする浄化装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記処理槽内の被浄化水を取水し、取水した被浄化水に酸素を溶解させて前記酸素溶存水を生成するように構成されてなることを特徴とする請求項1記載の浄化装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
密閉容器体と、前記密閉容器体内に接続した供給管を備え、該供給管を介し前記密閉容器体内に酸素ガスを供給して、該密閉容器体内部を大気圧以上の酸素ガス雰囲気にする酸素供給手段と、一端側が前記密閉容器体内に接続して該密閉容器体内で上下方向に配置され、上端面に吐出口が形成された第1給水管を備え、該第1給水管の吐出口から前記密閉容器体の天井方向に向けて水を吐出させる水供給手段と、前記密閉容器体内に接続して、該密閉容器体の底部に貯留された酸素溶存水を外部に供給する第2給水管と、前記密閉容器体の内面から内側に突出した第1制流部材及び/又は前記第1給水管の一端側外周面から外側に突出した板状の第2制流部材とを具備し、
前記吐出口から前記密閉容器体の天井方向に向けて水を吐出させるとともに、該吐出口から吐出され、前記密閉容器体の内面及び/又は前記第1給水管の外周面を伝って流動する水を、前記第1制流部材及び/又は第2制流部材の突出端から前記密閉容器体の内部空間中に流下させることにより、前記密閉容器体内部で水と酸素ガスとを気液接触させて前記酸素溶存水を生成するように構成され、
前記酸素溶存水供給手段は、前記第2給水管から供給される酸素溶存水を前記処理槽内に供給するように構成されてなることを特徴とする請求項1記載の浄化装置。
【請求項4】
前記生成手段の水供給手段は、前記処理槽内の被浄化水を取水して、取水した被浄化水を前記吐出口から吐出させるように構成されてなることを特徴とする請求項3記載の浄化装置。
【請求項5】
前記水供給機構は、前記生成手段の水供給手段によって取水される被浄化水から固形物を除去する除去手段を更に備え、
前記水供給手段は、前記除去手段によって固形物が除去された被浄化水を前記吐出口から吐出させるように構成されてなることを特徴とする請求項4記載の浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−181456(P2006−181456A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377053(P2004−377053)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(500272439)株式会社セイワ・プロ (13)
【Fターム(参考)】