説明

浄化装置

【課題】水耕栽培用の養液に対する温度調節と水浄化との一体制御手段。
【解決手段】養液処理装置(20)は、水耕栽培システム(10)の養液を浄化する装置を対象としている。養液処理装置(20)は、養液の温度を調節するヒートポンプ(21)と、養液中でストリーマ放電を生起する電極対(64,65)と、電極対(64,65)に直流電圧を印加する電源部(70)とを有し、ストリーマ放電によって養液中に過酸化水素を生成するように構成されている水浄化ユニット(60)と、ヒートポンプ(21)の温度調節、及び水浄化ユニット(60)の浄化動作とを両方制御するコントローラ(41)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化装置に関し、特に、水耕栽培用の浄化装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より知られた土壌で植物を育てる栽培方法に対し、昨今では水耕栽培が知られている。一般に水耕栽培では、ポンプなどを用いて栄養分を含む水溶液を汲み上げ、これをパイプなどの栽培筒に流し、その間に植え付けられた植物を巡らせ、これを回収した後に再度循環させることにより、水、養分の効率的な供給を可能にしている。
【0003】
この養液用のパイプには様々な有機栄養分が流れたり、空気中のごみなどが混入したりするので、水垢や不純物が養液用のパイプ内に付着する。このような水垢や不純物は、雑菌の増殖やパイプの詰まりなどの原因になる。しかしながら、養液用のパイプを流れる養液には植物が触れるので、該パイプに洗浄剤を流し込んで洗浄するのは難しい。これに対しては、例えば、オゾン発生器を用いてパイプ内の除菌を図るものがある(特許文献1)。
【0004】
一方、このような水耕栽培においては、収穫量の増加や周期栽培等を目的として、養液の温度を一定に維持すべく、ヒートポンプチラーが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−299116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の水耕栽培においては、養液の温度を一定に維持するためヒートポンプチラーと、養液用のパイプ内の養液の除菌をするオゾン発生器とは、別々に構成され、養液の温度制御と除菌動作とは、別々に制御されていた。このため、ヒートポンプチラーとオゾン発生器とを両方設置するため、設置面積(設置容積)が拡大するという問題があった。一方で、オゾン発生器は、送気ポンプ、及び排気回収装置等の付加部材を要するため、さらに設置場所が拡大するという問題があった。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、水耕栽培において、養液の温度調節、及び浄化を一体の装置によって行うようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、水耕栽培システム(10)の養液を浄化する浄化装置であって、上記養液の温度を調節するヒートポンプ(21)と、上記養液中でストリーマ放電を生起する電極対(64,65)と、該電極対(64,65)に直流電圧を印加する直流電源(70)とを有し、上記ストリーマ放電によって上記養液中に過酸化水素を生成するように構成されている放電機構(60)と、上記ヒートポンプ(21)の温度調節、及び上記放電機構(60)の浄化動作を両方制御する制御器(41)とを備えている。
【0009】
上記第1の発明では、制御器(41)は、ヒートポンプ(21)と放電機構(60)とを両方制御している。このため、本発明の浄化装置は、浄化装置とヒートポンプ装置とを別々に設置・制御することなく、水耕栽培システム(10)の養液の温度を調節し、且つ養液の浄化を行う。具体的には、制御器(41)は、ヒートポンプ(21)を制御して水耕栽培システム(10)の養液の温度を調節しつつ、放電機構(60)を制御する。
【0010】
放電機構(60)は、水耕栽培システム(10)の養液に、直流電源(70)から電極対(64,65)に直流電圧が印加される。これにより、養液中では、ストリーマ放電が生起する。このストリーマ放電に伴って養液中では、過酸化水素が生成される。養液中では、ストリーマ放電の発生に伴い、水酸ラジカル等の活性種も生成される。このため、養液中に含まれる有害物質(例えば硫黄系化合物、水垢、又は不純物)は、活性種によって酸化分解されて除去される。
【0011】
また、本発明では、直流電源(70)を用いてストリーマ放電を行っているので、例えばパルス電源と比較して、電源部の簡素化、低コスト化、小型化を図ることができる。また、パルス電源を用いると、放電に伴って養液中で発生する衝撃波や騒音が大きくなってしまう。これに対し、直流電源(70)を用いると、このような衝撃波や騒音も低減できる。
【0012】
また、過酸化水素は、比較的高温の条件下においても、養液中に残留し易い。具体的に、過酸化水素は、養液温度(水温)が約40℃以上の条件下で、約1時間経過したとしても、約4%程度の濃度しか分解されない。従って、本発明では、水耕栽培システム(10)の水温が比較的高温であっても、過酸化水素によって養液の殺菌・浄化を充分に行うことができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記水耕栽培システム(10)は、植物(14)を植えつける栽培床(12)が形成されて養液が循環する養液通路(11,81)を備え、上記放電機構(60)は、上記養液通路(11,81)内に配置されている。
【0014】
上記第2の発明では、水耕栽培システム(10)は栽培床(12)の形成された養液通路(11,81)を備えている。養液は、養液通路(11,81)を循環することで栽培床(12)に達し、植物に吸収される。そして、この養液通路(11,81)に放電機構(60)を配置している。このため、養液通路(11,81)を循環する養液中に含まれる有害物質(例えば硫黄系化合物、水垢、又は不純物)は、活性種によって酸化分解されて除去される。
【0015】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記ヒートポンプ(21)は、圧縮機(23)と膨張機(25)と熱源側熱交換器(26)と利用側熱交換器(27)とを有し、冷媒を可逆に循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(22)を備え、上記利用側熱交換器(27)は、上記養液通路(11)内に配置されている。
【0016】
上記第3の発明では、ヒートポンプ(21)は冷媒回路(22)を備えており、冷媒回路(22)の利用側熱交換器(27)を養液通路(11)内に配置している。
【0017】
冷媒回路(22)では、冷媒が可逆に循環して冷凍サイクルが行われる。具体的には、
圧縮機(23)で圧縮された冷媒は、凝縮器である熱源側熱交換器(26)で空気と熱交換して凝縮し、膨張機(25)で膨張して利用側熱交換器(27)で養液通路(11)内の養液と熱交換して蒸発する。これにより、養液が冷却される。また、圧縮機(23)で圧縮された冷媒は、凝縮器である利用側熱交換器(27)で養液通路(11)内の養液と熱交換して凝縮し、膨張機(25)で膨張して熱源側熱交換器(26)で空気と熱交換して蒸発する。これにより、養液が加熱される。
【0018】
第4の発明は、上記第2、又は第3の発明において、上記放電機構(60)は、上記養液通路(81)を循環する養液を貯水する貯水タンク(82)内に配置される。
【0019】
上記第4の発明では、放電機構(60)は、貯水タンク(82)内に配置されている。そして、放電機構(60)は、貯水タンク(82)内の養液を浄化する。
【発明の効果】
【0020】
上記第1の発明によれば、ヒートポンプ(21)と放電機構(60)とを両方制御する制御器(41)を設けたため、1つの制御器(41)でもって、両機器(21,60)を制御することができる。これにより、両機器(21,60)の部材を共通化・簡素化させることができるため、浄化装置の設置面積(設置容積)の拡大を抑えることができる。
【0021】
また、本発明では、放電機構(60)は、ストリーマ放電を行うようにしている。ストリーマ放電による放電機構(60)は、従来のオゾン発生器等に比較して、装置構成に必要な部材が少ない。このため、装置構成を簡素化することができるため、浄化装置の設置面積(設置容積)の拡大を抑えることができる。
【0022】
さらに、本発明では、ストリーマ放電を行い過酸化水素を生成するようにしている。過酸化水素は、次亜塩素酸と比較して、水温が上昇しても分解されにくい。このため、養液を過酸化水素によって充分に殺菌・浄化することができる。また、ストリーマ放電では、養液中において多量の活性種が生成するため、この活性種により養液中の有害物質を効果的に除去できる。
【0023】
上記第2の発明によれば、養液通路(11,81)に放電機構(60)を配置したため、栽培床(12)に供給される養液を確実に浄化することができる。
【0024】
上記第3の発明によれば、冷媒回路(22)を設け、利用側熱交換器(27)を養液通路(11)内に配置したため、該養液通路(11)内の養液を加熱、又は冷却することができる。また、利用側熱交換器(27)を養液通路(11)内に配置したため、養液通路(11)とヒートポンプ(21)とを水配管で繋ぎ、養液をヒートポンプ(21)まで送って加熱、又は冷却する必要がない。これにより、ヒートポンプ(21)と養液通路(11)とを接続するための水配管を別途設けることなく、養液を加熱、又は冷却することができる。これにより、水配管設置に伴うコストの増加、水配管で送られる養液の汚染、及び循環する養液量の増加を防止することができる。
【0025】
上記第4の発明によれば、貯水タンク(82)に放電機構(60)を配置したため、貯水タンク(82)内の養液の浄化を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態1に係る水耕栽培システムの構成を示す図である。
【図2】本実施形態1に係る水浄化ユニットの全体構成図であり、水浄化動作を開始する前の状態を示すものである。
【図3】本実施形態1に係る絶縁ケーシングの斜視図である。
【図4】本実施形態1に係る水浄化ユニットの全体構成図であり、水浄化動作を開始して気泡が形成された状態を示すものである。
【図5】本実施形態1に係る電源装置の概略構成を示す図である。
【図6】本実施形態1の変形例に係る水浄化ユニットの全体構成図である。
【図7】本実施形態1の変形例に係る絶縁ケーシングの斜視図である。
【図8】本実施形態2に係る水浄化ユニットの全体構成図であり、水浄化動作を開始する前の状態を示すものである。
【図9】本実施形態2に係る水浄化ユニットの全体構成図であり、水浄化動作を開始して気泡が形成された状態を示すものである。
【図10】本実施形態2の変形例に係る絶縁ケーシングの蓋部の平面図である。
【図11】本実施形態3に係る水耕栽培システムの構成を示す図である。
【図12】その他の形態に係る水耕栽培システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
〈発明の実施形態1〉
〈全体構成〉
図1は、本発明の実施形態1にかかる水耕栽培システム(10)の構成を示す図である。この水耕栽培システム(10)は、いわゆる施設園芸(例えばビニールハウス)や、閉鎖環境で人工光を用いて植物を栽培する植物工場等で使用される。図1に示すように、水耕栽培システム(10)は、循環タンク(11)、ポンプ(13)、養液処理装置(20)とを備えている。この水耕栽培システム(10)では、植物の栽培に必要な養分を含んだ養液(L)が循環タンク(11)を循環する。図1では、養液(L)の循環方向を矢印で示してある。
【0029】
上記循環タンク(11)は、密閉型の容器状に形成され、所定量の養液(L)を循環させるものであって、本発明に係る養液通路を構成している。循環タンク(11)の循環通路の一部には、栽培床(12)が形成されている。この栽培床(12)には、植物(14)が植えつけられる。植えつけられた植物(14)は、栽培床(12)に溜められた養液(L)を吸収し、吸収した養液(L)中の養分を利用する。また、上記ポンプ(13)は、養液(L)を循環タンク(11)内で循環させるためのポンプである。
【0030】
上記養液処理装置(20)は、水浄化ユニット(60)、ヒートポンプ(21)、電源装置(31)、及びコントローラ(41)を備え、本発明に係る浄化装置を構成している。
【0031】
上記水浄化ユニット(60)は、水中(具体的には養液(L))でのストリーマ放電によって水中に過酸化水素等の浄化成分を生成し、この浄化成分によって水の浄化を行うものであって、本発明に係る放電機構(60)を構成している。水浄化ユニット(60)の構成は後に詳述する。この水浄化ユニット(60)は、循環タンク(11)の養液(L)中の栽培床(12)の下流側に配置されている。
【0032】
上記ヒートポンプ(21)は、冷媒が循環して蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成すると共に、冷媒循環の可逆な冷媒回路(22)を備えている。
【0033】
上記冷媒回路(22)は、圧縮機(23)と、四路切換弁(24)と、本発明に係る熱源側熱交換器である室外熱交換器(26)と、本発明に係る膨張機である膨張弁(25)と、本発明に係る利用側熱交換器である室内熱交換器(27)とが冷媒配管によって順に直列に接続されて構成されている。そして、上記室内熱交換器(27)は、循環タンク(11)を循環する養液(L)内に沈めて配置されている。
【0034】
図5に示すように、上記電源装置(31)は、家庭内等に設置されている、いわゆるコンセント(30)の交流電圧(例えば100V)を上記ヒートポンプ(21)及び水浄化ユニット(60)へ供給するものである。具体的には、上記電源装置(31)は、コンセント(30)の交流電圧をコンバータ(32)で整流し、インバータ(33)で交流変換して負荷である圧縮機(23)のモータ(23a)へ供給する。また、電源装置(31)は、コンセント(30)の交流電圧をコンバータ(34)で整流した後、昇圧トランス(35)で所定の高圧電圧(例えば1kV)を電極対(64,65)へ供給するものであって、電源部(70)を構成している。尚、電源部(70)については後述する。
【0035】
上記コントローラ(41)は、上記ヒートポンプ(21)と水浄化ユニット(60)の両方の運転を個別制御するためのものであって、本発明に係る制御器を構成している。具体的には、コントローラ(41)は、放電制御部(42)と温度制御部(43)とで構成されている。
【0036】
上記温度制御部(43)は、圧縮機(23)の容量制御や、冷媒回路(22)の四路切換弁(24)の切換えを行うことで冷媒回路(22)の冷媒の循環方向を切り換える制御や、膨張弁(25)の開度調節を行うことでヒートポンプ(21)による養液温度の調節を制御している。尚、温度制御部(43)は、循環タンク(11)に温度センサを接続し、該循環タンク(11)内の養液温度に基づいてヒートポンプ(21)を制御するようにしてもよい。
【0037】
上記放電制御部(42)は、水浄化ユニット(60)の浄化動作である運転動作(ストリーマ放電のオンオフ)を制御している。尚、コントローラ(41)は、水浄化ユニット(60)の動作に応じてヒートポンプ(21)を制御したり、ヒートポンプ(21)の運転動作や養液温度等に応じて水浄化ユニット(60)の運転動作を制御するようにしてもよい。
【0038】
〈水浄化ユニット(60)の詳細構造〉
上記養液処理装置(20)は、水浄化ユニット(60)を備えている。水浄化ユニット(60)は、水中でのストリーマ放電によって水中に過酸化水素等の浄化成分を生成し、この浄化成分によって水(具体的には養液(L)、以下同じ)の浄化を行うものである。水浄化ユニット(60)は、循環タンク(11)内に配置される放電ユニット(62)を有している(図2を参照)。
【0039】
尚、循環タンク(11)の一部を銅部材で構成するようにしてもよい。銅部材の内壁から銅イオンを生成することで、循環タンク(11)に銅イオンを供給することができる。
【0040】
上記放電ユニット(62)は、放電電極(64)及び対向電極(65)とからなる電極対(64,65)と、この電極対(64,65)に電圧を印加する電源部(70)と、放電電極(64)を内部に収容する絶縁ケーシング(71)とを備えている。
【0041】
上記電極対(64,65)は、水中でストリーマ放電を生起するためのものである。放電電極(64)は、絶縁ケーシング(71)の内部に配置されている。放電電極(64)は、上下に扁平な板状に形成されている。放電電極(64)は、電源部(70)の正極側に接続されている。放電電極(64)は、例えばステンレス、銅等の導電性の金属材料で構成されている。
【0042】
上記対向電極(65)は、絶縁ケーシング(71)の外部に配置されている。対向電極(65)は、放電電極(64)の上方に設けられている。対向電極(65)は、上下に扁平な板状であって、且つ上下に複数の貫通孔(66)を有するメッシュ形状ないしパンチングメタル形状に構成されている。対向電極(65)は、放電電極(64)と略平行に配設されている。対向電極(65)は、電源部(70)の負極側に接続されている。対向電極(65)は、例えばステンレス、真鍮等の導電性の金属材料で構成されている。
【0043】
上記電源部(70)は、電極対(64,65)に所定の直流電圧を印加する直流電源で構成されている。即ち、電源部(70)は、電極対(64,65)に対して瞬時的に高電圧を繰り返し印加するようなパルス電源ではなく、電極対(64,65)に対して常に数キロボルトの直流電圧を印加する。電源部(70)のうち、対向電極(65)が接続される負極側は、アースと接続されている。また、電源部(70)には、電極対(64,65)の放電電力を一定に制御する定電力制御部が設けられている(図示省略)。
【0044】
上記絶縁ケーシング(71)は、循環タンク(11)の底部に設置されている。絶縁ケーシング(71)は、例えばセラミックス等の絶縁材料で構成されている。絶縁ケーシング(71)は、一面(上面)が開放された容器状のケース本体(72)と、該ケース本体(72)の上方の開放部を閉塞する板状の蓋部(73)とを有している。
【0045】
上記ケース本体(72)は、角型筒状の側壁部(72a)と、該側壁部(72a)の底面を閉塞する底部(72b)とを有している。放電電極(64)は、底部(72b)の上側に敷設されている。絶縁ケーシング(71)では、蓋部(73)と底部(72b)との間の上下方向の距離が、放電電極(64)の厚さよりも長くなっている。つまり、放電電極(64)と蓋部(73)との間には、所定の間隔が確保されている。これにより、絶縁ケーシング(71)の内部では、放電電極(64)とケース本体(72)と蓋部(73)との間に空間(S)が形成される。
【0046】
上記図2及び図3に示すように、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)には、該蓋部(73)を厚さ方向に貫通する1つの開口(74)が形成されている。この開口(74)により、放電電極(64)と対向電極(65)との間の電界の形成が許容されている。蓋部(73)の開口(74)の内径は、0.02mm以上0.5mm以下であることが好ましい。以上のような開口(74)は、電極対(64,65)の間の電流経路の電流密度を上昇させる電流密度集中部を構成する。
【0047】
以上のように、絶縁ケーシング(71)は、電極対(64,65)のうちの一方の電極(放電電極(64))のみを内部に収容し、且つ電流密度集中部としての開口(74)を有する絶縁部材を構成している。
【0048】
加えて、絶縁ケーシング(71)の開口(74)内では、電流経路の電流密度が上昇することで、水がジュール熱によって気化して気泡(B)が形成される。つまり、絶縁ケーシング(71)の開口(74)は、該開口(74)に気相部としての気泡(B)を形成する気相形成部として機能する。
【0049】
−水耕栽培システム(10)の動作−
本実施形態1の水耕栽培システム(10)では、ポンプ(13)がオン状態にされると、養液(L)が循環タンク(11)を循環して栽培床(12)に供給される。栽培床(12)では、それぞれの植物(14)が必要量の養液(L)を吸収する。植物(14)に吸収されなかった養液(L)は、栽培床(12)から循環タンク(11)を循環して水浄化ユニット(60)を通過する。
【0050】
水浄化ユニット(60)から出た養液(L)は、不足した成分や水が補われ、再び栽培床(12)に流入する。養液(L)の成分調整や量の調整を行う装置は、図1では図示を省略してある。なお、養液(L)の循環は、常に連続的に行ってもよいし、適当な時間間隔をあけて行うようにしてもよい。
【0051】
−水浄化ユニット(60)の動作−
本実施形態1の水耕栽培システム(10)では、水浄化ユニット(60)が運転されることで、循環タンク(11)を流れる水(具体的には養液(L))の浄化がなされる。このような水浄化ユニット(60)による水の浄化動作について詳細に説明する。尚、水浄化ユニット(60)の運転動作は、コントローラ(41)の放電制御部(42)によって制御されている。
【0052】
水浄化ユニット(60)の運転の開始時には、図2に示すように、絶縁ケーシング(71)の内の空間(S)が浸水した状態となっている。電源部(70)から電極対(64,65)に所定の直流電圧(例えば1kV)が印加されると、電極対(64,65)の間に電界が形成される。放電電極(64)の周囲は、絶縁ケーシング(71)で覆われている。このため、電極対(64,65)の間での漏れ電流が抑制されとともに、開口(74)内の電流経路の電流密度が上昇した状態となる。
【0053】
開口(74)内の電流密度が上昇すると、開口(74)内のジュール熱が大きくなる。その結果、絶縁ケーシング(71)では、開口(74)の近傍において、水の気化が促進されて気泡(B)が形成される。この気泡(B)は、図4に示すように、開口(74)のほぼ全域を覆う状態となり、対向電極(65)に導通する負極側の水と、正極側の放電電極(64)との間に気泡(B)が介在する。従って、この状態では、気泡(B)が、放電電極(64)と対向電極(65)との間での水を介した導電を阻止する抵抗として機能する。これにより、放電電極(64)と対向電極(65)との間の漏れ電流が抑制され、電極対(64,65)間では、所望とする電位差が保たれることになる。すると、気泡(B)内では、絶縁破壊に伴いストリーマ放電が発生する。
【0054】
以上のようにして、気泡(B)でストリーマ放電が行われると、循環タンク(11)内の水中(具体的には養液中)では、水酸ラジカル等の活性種や過酸化水素等が生成される。水酸ラジカル等の活性種や過酸化水素は、ストリーマ放電に伴う熱によって循環タンク(11)内を対流する。これにより、水中での活性種や過酸化水素の拡散が促される。また、気泡(B)でストリーマ放電が行われると、このストリーマ放電に伴ってこの気泡(B)でイオン風を生成し易くなる。よって、循環タンク(11)内では、このイオン風を利用して、活性種や過酸化水素の拡散効果を更に向上できる。
【0055】
また、上述したように、循環タンク(11)には、銅部材から溶出した銅イオンが供給される。過酸化水素と銅イオンの存在下では、フェントン反応により、銅イオンが触媒的に作用して水酸ラジカルの生成が促進される。これにより、水酸ラジカルによる水の浄化効率が向上する。加えて、銅イオンは菌の繁殖を抑制する効果があるため、水中での殺菌作用も高くなる。
【0056】
以上のようにして、水中に拡散した水酸ラジカル等の活性種は、水中に含まれる被処理成分(例えばアンモニア等)を酸化分解して水の浄化に利用される。また、水中に拡散した過酸化水素は、水の殺菌に利用される。
【0057】
−ヒートポンプの動作−
本実施形態1の水耕栽培システム(10)では、ヒートポンプ(21)が運転されることで、循環タンク(11)を流れる水(具体的には養液(L))の温度調節がなされる。このようなヒートポンプ(21)による養液の温度調節について詳細に説明する。尚、ヒートポンプ(21)の運転動作はコントローラ(41)の温度制御部(43)によって制御される。
【0058】
まず、冷却運転時は、四路切換弁(24)が実線側に切り換わり、圧縮機(23)を駆動すると、該圧縮機(23)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(26)で凝縮した後、膨張弁(25)で減圧され、その後、室内熱交換器(27)で蒸発して圧縮機(23)に戻る。この運転を繰り返して室内熱交換器(27)により養液を冷却する。
【0059】
また、加熱運転時は、四路切換弁(24)が破線側に切り換わり、圧縮機(23)を駆動すると、該圧縮機(23)から吐出された冷媒は、各室内熱交換器(27)で凝縮した後、膨張弁(25)で減圧され、その後、室外熱交換器(26)で蒸発して圧縮機(23)に戻る。この運転を繰り返して室内熱交換器(27)により養液を加熱する。
【0060】
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、ヒートポンプ(21)と水浄化ユニット(60)とを両方制御するコントローラ(41)を設けたため、1つのコントローラ(41)でもって、両機器(21,60)を制御することができる。これにより、両機器(21,60)の部材を共通化・簡素化させることができるため、養液処理装置(20)の設置面積(設置容積)の拡大を抑えることができる。
【0061】
また、本実施形態1では、水浄化ユニット(60)は、ストリーマ放電を行うようにしている。ストリーマ放電による水浄化ユニット(60)は、従来のオゾン発生器等に比較して、装置構成に必要な部材が少ない。このため、装置構成を簡素化することができるため、浄化装置の設置面積(設置容積)の拡大を抑えることができる。
【0062】
さらに、本実施形態1では、ストリーマ放電を行い過酸化水素を生成するようにしている。過酸化水素は、次亜塩素酸と比較して、水温が上昇しても分解されにくい。このため、水(養液(L))を過酸化水素によって充分に殺菌・浄化することができる。また、ストリーマ放電では、水中において多量の活性種が生成するため、この活性種により水(養液(L))中の有害物質を効果的に除去できる。
【0063】
続いて、循環タンク(11)に水浄化ユニット(60)を配置したため、栽培床(12)に供給される水(養液(L))を確実に浄化することができる。
【0064】
一方、冷媒回路(22)を設け、室内熱交換器(27)を循環タンク(11)内に配置したため、該循環タンク(11)内の水(養液(L))を加熱、又は冷却することができる。また、室内熱交換器(27)を循環タンク(11)内に配置したため、循環タンク(11)とヒートポンプ(21)とを水配管で繋ぎ、水(養液(L))をヒートポンプ(21)まで送って加熱、又は冷却する必要がない。これにより、ヒートポンプ(21)と循環タンク(11)とを接続するための水配管を設けることなく、水(養液(L))を加熱、又は冷却することができる。これにより、水配管設置に伴うコストの増加、水配管で送られる水(養液)の汚染、及び循環する養液量の増加を防止することができる。
【0065】
〈実施形態1の変形例〉
上記実施形態1では、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)に1つの開口(74)が形成されている。しかしながら、例えば図6及び図7に示すように、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)に複数の開口(74)を形成してもよい。この変形例では、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)が、略正方形板状に形成され、この蓋部(73)に複数の開口(74)が等間隔を置きながら碁盤目状に配列されている。一方、放電電極(64)及び対向電極(65)は、全ての開口(74)に跨るような正方形板状に形成されている。
【0066】
この変形例においても、各開口(74)が、電流密度集中部、及び気相形成部として機能する。これにより、電源部(70)から電極対(64,65)に直流電圧が印加されると、各開口(74)の電流密度が上昇し、各開口(74)で気泡(B)が形成される。その結果、各気泡(B)でそれぞれストリーマ放電が生起され、水酸ラジカル等の活性種や、過酸化水素が生成される。
【0067】
《発明の実施形態2》
実施形態2に係る水耕栽培システム(10)は、上述した実施形態1と放電ユニット(62)の構成が異なるものである。以下には、上記実施形態1と異なる点を主として説明する。
【0068】
図8に示すように、実施形態2の放電ユニット(62)は、循環タンク(11)の外側から内部に向かって挿入されて固定される、いわゆるフランジユニット式に構成されている。また、実施形態2の放電ユニット(62)は、放電電極(64)と対向電極(65)と絶縁ケーシング(71)とが一体的に組立てられている。
【0069】
実施形態2の絶縁ケーシング(71)は、大略の外形が円筒状に形成されている。絶縁ケーシング(71)は、ケース本体(72)と蓋部(73)とを有している。
【0070】
実施形態2のケース本体(72)は、ガラス質又は樹脂製の絶縁材料で構成されている。ケース本体(72)は、円筒状の基部(76)と、該基部(76)から循環タンク(11)側に向かって突出する筒状壁部(77)と、該筒状壁部(77)の外縁部から更に循環タンク(11)側に向かって突出する環状凸部(78)とを有している。また、ケース本体(72)には、環状凸部(78)の先端側に先端筒部(79)が一体に形成されている。基部(76)の軸心部には、円柱状の挿入口(76a)が軸方向に延びて貫通形成されている。筒状壁部(77)の内側には、挿入口(76a)と同軸となり、且つ挿入口(76a)よりも大径となる円柱状の空間(S)が形成されている。
【0071】
実施形態2の蓋部(73)は、略円板状に形成されて環状凸部(78)の内側に嵌合している。蓋部(73)は、セラミックス材料で構成されている。蓋部(73)の軸心には、実施形態1と同様、蓋部(73)を上下に貫通する円形状の1つの開口(74)が形成されている。
【0072】
上記放電電極(64)は、軸直角断面が円形状となる縦長の棒状の電極で構成されている。放電電極(64)は、基部(76)の挿入口(76a)に嵌合している。これにより、放電電極(64)は、絶縁ケーシング(71)の内部に収容されている。実施形態2では、放電電極(64)のうち循環タンク(11)とは反対側の端部が、循環タンク(11)の外部に露出される状態となる。このため、循環タンク(11)の外部に配置される電源部(70)と、放電電極(64)とを電気配線によって容易に接続することができる。
【0073】
放電電極(64)のうち循環タンク(11)側の端部(64a)は、絶縁ケーシング(71)の内部の空間(S)に臨んでいる。なお、図8に示す例では、放電電極(64)の端部(64a)が、挿入口(76a)の開口面よりも上側(循環タンク(11)側)に突出しているが、この端部(64a)の先端面を挿入口(76a)の開口面と略面一としてもよいし、端部(64a)を挿入口(76a)の開口面よりも下側に陥没させてもよい。また、放電電極(64)は、実施形態1と同様、開口(74)を有する蓋部(73)との間に所定の間隔が確保されている。
【0074】
対向電極(65)は、円筒状の電極本体(65a)と、該電極本体(65a)から径方向外方へ突出する鍔部(65b)とを有している。電極本体(65a)は、絶縁ケーシング(71)のケース本体(72)に外嵌している。鍔部(65b)は、循環タンク(11)の壁部に固定されて放電ユニット(62)を保持する固定部を構成している。放電ユニット(62)が循環タンク(11)に固定された状態では、対向電極(65)の電極本体(65a)の一部が浸水された状態となる。
【0075】
対向電極(65)は、電極本体(65a)よりも小径の内側筒部(65c)と、該内側筒部(65c)と電極本体(65a)との間に亘って形成される連接部(65d)とを有している。内側筒部(65c)及び連接部(65d)は、循環タンク(11)内の水中に浸漬している。内側筒部(65c)は、その内部に円柱空間(67)を形成している。内側筒部(65c)の軸方向の一端は、蓋部(73)と当接して該蓋部(73)を保持する保持部を構成している。また、電極本体(65a)と内側筒部(65c)と連接部(65d)の間には、ケース本体(72)の先端筒部(79)が内嵌している。内側筒部(65c)の軸方向の他端側には、円柱空間(67)を覆うようにメッシュ状の漏電防止材(68)が設けられている。この漏電防止材(68)は、対向電極(65)と接触することで、実質的にアースされている。これにより、漏電防止材(68)は、循環タンク(11)の内部の空間(水中)のうち、円柱空間(67)の内側から外側への漏電を防止している。
【0076】
対向電極(65)は、電極本体(65a)の一部が循環タンク(11)の外部に露出される状態となる。このため、電源部(70)と対向電極(65)とを電気配線によって容易に接続することができる。
【0077】
−水浄化ユニットの運転動作−
実施形態2の水耕栽培システム(10)においても、水浄化ユニット(60)が運転されることで、循環タンク(11)を流れる水の浄化がなされる。
【0078】
水浄化ユニット(60)の運転の開始時には、図8に示すように、絶縁ケーシング(71)の内の空間(S)が浸水した状態となっている。電源部(70)から電極対(64,65)に所定の直流電圧(例えば1kV)が印加されると、開口(74)の内部の電流密度が上昇してく。
【0079】
図8に示す状態から、電極対(64,65)へ更に直流電圧が継続して印加されると、開口(74)内の水が気化されて気泡(B)が形成される(図9を参照)。この状態では、気泡(B)が開口(74)のほぼ全域を覆う状態となり、円柱空間(67)内の負極側の水と、放電電極(64)との間に気泡(B)の抵抗が付与される。これにより、放電電極(64)と対向電極(65)との間の電位差が保たれ、気泡(B)でストリーマ放電が発生する。その結果、水中では、水酸ラジカルや過酸化水素が生成され、これらの成分が水の浄化に利用される。
【0080】
〈実施形態2の変形例〉
上記実施形態2では、円板状の蓋部(73)の軸心に1つの開口(74)を形成しているが、この蓋部(73)に複数の開口(74)を形成してもよい。図10に示す例では、蓋部(73)の軸心を中心とする仮想ピッチ円上に、5つの開口(74)が等間隔置きに配列されている。このように蓋部(73)に複数の開口(74)を形成することで、各開口(74)の近傍でそれぞれストリーマ放電を生起させることができる。
【0081】
〈発明の実施形態3〉
次に、本発明の実施形態3について説明する。図11に示すように、本実施形態3に係る水耕栽培システム(10)は、上記実施形態1とは異なり、室内熱交換器(27)が栽培床(12)と離れた場所に配置されている。
【0082】
具体的には、本実施形態3の水耕栽培システム(10)は、養液タンク(81)、配管(83,84)、貯水タンク(82)を備えている。
【0083】
上記養液タンク(81)は、所定量の養液を溜めることで栽培床(12)を形成するものである。上記配管(83,84)は、養液タンク(81)に対して養液を流入させる流入配管(83)と、養液タンク(81)から養液を流出させる流出配管(84)とで構成されている。
【0084】
上記流入配管(83)及び流出配管(84)は、それぞれ液体配管であって、一端が養液タンク(81)に接続され、他端が貯水タンク(82)に接続されている。また、上記流入配管(83)は、その途中の部分(伝熱部(83a))がヒートポンプ(21)の室内熱交換器(27)の近傍に配置されている。つまり、伝熱部(83a)において、養液(L)と室内熱交換器(27)とが熱交換することにより、養液(L)の温度が調節される。尚、流入配管(83)又は流出配管(84)を銅管で構成するようにしてもよい。流入配管(83)又は流出配管(84)は、その内壁から銅イオンを生成することで、循環タンク(11)に銅イオンを供給することができる。
【0085】
上記貯水タンク(82)は、養液(L)を一時的に溜めるためのものである。つまり、本実施形態3の水耕栽培システム(10)は、ポンプ(13)によって貯水タンク(82)の養液が流入配管(83)を介して養液タンク(81)の栽培床(12)に供給され、流出配管(84)を介して再度貯水タンク(82)に回収されるような循環を行うよう構成されている。
【0086】
上記水浄化ユニット(60)は、貯水タンク(82)内に配置され、該貯水タンク(82)内の水(具体的には養液(L))を浄化するように構成されている。本実施形態3によれば、貯水タンク(82)に水浄化ユニット(60)を配置したため、貯水タンク(82)内の水の浄化を確実に行うことができる。その他の構成、作用・効果は、上記実施形態1と同様である。
【0087】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0088】
〈放電ユニットの構成>
上述した各実施形態の電源部(70)には、ストリーマ放電の放電電力を一定に制御する定電力制御部を用いている。しかしながら、定電力制御部に代えて、ストリーマ放電時の放電電流を一定に制御する定電流制御部を設けることもできる。この定電流制御を行うと、水の導電率によらず放電が安定するため、スパークの発生も未然に回避できる。
【0089】
また、上述した各実施形態では、電源部(70)の正極に放電電極(64)を接続し、電源部(70)の負極に対向電極(65)を接続している。しかしながら、電源部(70)の負極に放電電極(64)を接続し、電源部(70)の正極に対向電極(65)を接続することで、電極対(64,65)の間で、いわゆるマイナス放電を行うようにしてもよい。
【0090】
〈イオン供給部の構成〉
上述した各実施形態では、循環タンク(11)の一部、又は配管(83,84)を銅部材とすることで、銅部材を銅イオンのイオン供給部としている。しかしながら、イオン供給部としては、例えば鉄イオンを生成する鉄製の部材を用いることもできる。鉄イオンも銅イオンと同様、過酸化水素の存在下でフェントン反応を促進させるため、水酸ラジカルの生成量を増大できる。
【0091】
銅部材や鉄部材は、循環タンク(11)や養液タンク(81)と連通する水流路であれば、他の箇所に設けることもできる。具体的に、上記実施形態1や2においては、例えば室内熱交換器(27)の伝熱管を銅管で構成することができる。また、例えば銅片や鉄片を循環タンク(11)内に浸漬することで、これらをイオン供給部とすることもできる。
【0092】
また、上記実施形態について、図12に示すように、コントローラ(41)をヒートポンプ(21)の内部に組み込むように構成してもよい。
【0093】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上説明したように、本発明は、水耕栽培システムの養液浄化手段について有用である。
【符号の説明】
【0095】
10 水耕栽培システム
11 循環タンク
14 植物
21 ヒートポンプ
22 冷媒回路
23 圧縮機
25 膨張弁
26 室外熱交換器
27 室内熱交換器
41 コントローラ
60 水浄化ユニット
64,65 電極対
64 放電電極
65 対向電力
70 直流電源
81 養液タンク
82 貯水タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水耕栽培システム(10)の養液を浄化する浄化装置であって、
上記養液の温度を調節するヒートポンプ(21)と、
上記養液中でストリーマ放電を生起する電極対(64,65)と、該電極対(64,65)に直流電圧を印加する直流電源(70)とを有し、上記ストリーマ放電によって上記養液中に過酸化水素を生成するように構成されている放電機構(60)と、
上記ヒートポンプ(21)の温度調節、及び上記放電機構(60)の浄化動作とを両方制御する制御器(41)とを備えている
ことを特徴とする浄化装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記水耕栽培システム(10)は、植物(14)を植えつける栽培床(12)が形成されて養液が循環する養液通路(11,81)を備え、
上記放電機構(60)は、上記養液通路(11,81)内に配置されている
ことを特徴とする浄化装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記ヒートポンプ(21)は、圧縮機(23)と膨張機(25)と熱源側熱交換器(26)と利用側熱交換器(27)とを有し、冷媒を可逆に循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(22)を備え、
上記利用側熱交換器(27)は、上記養液通路(11)内に配置されている
ことを特徴とする浄化装置。
【請求項4】
請求項2、又は3において、
上記放電機構(60)は、上記養液通路(81)を循環する養液を貯水する貯水タンク(82)内に配置されている
ことを特徴とする浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−75329(P2012−75329A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220454(P2010−220454)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】