説明

浄水器

【課題】長期間浄水機能を保持することができるとともに、ミネラル分の損なわれていない浄水を飲用できるようにする。また、使用中における現在の浄水機能がどの程度であるかということを正確に把握できるようにする。
【解決手段】水栓に接続して使用する浄水器について、水栓14に接続され、原水を受け入れて浄水器本体11に原水を導入するポートと、浄水器本体を通過した浄水を排出するポート及び浄水と原水の切替え弁を有するコネクター15と、浄水器本体に装備され、浄水器本体内部における外側水室に流入した原水を内側水室に通過させる過程で濾過する1次フィルター21と、内側水室に装備され、1次濾過水を上部の水入口から受け入れて2次濾過し下部の水出口へ流出させる2次フィルター22とを具備し、上記2次フィルターとしてサンゴを素材としたサンゴフィルターを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓に接続して使用する浄水器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の浄水器には様々なものがあるが、例えばフィルターを使用する濾過式浄水装置はその代表的なものといって良く、単なる濾過では補足できる不純物の限界があるため、多くの場合、活性炭などを用いて不純物を吸着する方式が併用される。最近では、このタイプのものにセラミックフィルターなどと呼ばれるものも使用されている。逆浸透膜は水分子だけの透過が可能であり、それ以外の物質の透過は阻止されるが、経時的に膜表面が不純物で覆われ、効果が低下するようになるのは濾過方式の場合と同様である。しかも、これらの浄水器は不純物を除去するとともにミネラル分も除去してしまう傾向がある。また、除去能力は経時的に劣化し、謳われている保証期間も使い方によって大きく変わるにも拘らず、そのことに注意を払わなければ安全な浄水を望むことはできない。
【0003】
一方、特許文献として提案されているものには、例えば特開平11−169842号の分割二重カートリッジ装填浄水器があり、洗髪等の場合には低圧損の1層だけを使用すれば高吐水量を確保できると工夫されている。また、特開2005−342684号は上部に水流入口、下部に水流出口を配置した水の自重により浄水フィルターを通過させる方式の上記における改良提案を行なっている。しかしながら、これらの発明に見るように使い安さを改良する提案は見られるが、浄水機能の改良の提案は少なく、また、所期の性能が維持されているのかいないのかを知る方法に関する発明ついてもほとんど見出すことができない。
【0004】
【特許文献1】特開平11−169842号
【特許文献2】特開2005−342684号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の点に着目して成されたもので、その課題は、長期間浄水機能を保持することができるとともに、ミネラル分の損なわれていない浄水を飲用できるようにすることである。また、本発明の他の課題は、使用中における現在の浄水機能がどの程度であるかということを正確に把握できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するため、本発明は、水栓に接続して使用する浄水器について、
水栓に接続され、原水を受け入れて浄水器本体に原水を導入するポートと、浄水器本体を通過した浄水を排出するポート及び浄水と原水の切替え弁を有するコネクターと、
浄水器本体に装備され、浄水器本体内部における外側水室に流入した原水を内側水室に通過させる過程で濾過する1次フィルターと、内側水室に装備され、1次濾過水を上部の水入口から受け入れて2次濾過し下部の水出口へ流出させる2次フィルターとを具備し、
上記2次フィルターとしてサンゴを素材としたサンゴフィルターを備えるものとするという手段を講じたものである(請求項1記載の発明)。
【0007】
上記の構成に示されているように、本発明による浄水器は上水道などの水栓(カラン、蛇口)に接続して使用するものであり、水栓との接続装置としてコネクターを使用する。コネクターは、水栓に接続する構造を持ち、接続により水栓から供給される原水を受け入れて浄水器本体に原水を導入するポートと、浄水器本体を通過した浄水を排出するポート及び浄水と原水の切替え弁を有している。
【0008】
浄水器本体は、内部に供給された原水を濾過するフィルターが組み込まれた容器状の部分を有している。具体的には浄水器本体は、浄水器本体内部における外側水室に導入した水を内側水室に通過させる過程で濾過する1次フィルターと、内側水室に装備され、1次濾過水を上部の水入口から受け入れて2次濾過し下部の水出口へ流出させる2次フィルターとを具備している。
【0009】
上記の構成から、浄水器本体は1次フィルターによって外側水室と内側水室に分けられるフィルター構造を有している。1次フィルターとしては、カーボンブロックフィルターと呼ばれるフィルターを使用することができるが、このタイプのフィルターは特殊な多孔質の炭素繊維より成り、約0.5ミクロンの気孔構造を持ち、上水などの原水中に含まれる塩素などの化学物質を99%除去できる一方では、ミネラル成分を維持し、アルカリ性とすることができるという特徴を有する。
【0010】
上記1次フィルターの内方に位置する内側水室には2次フィルターが装備される。2次フィルターは、1次フィルターを通過した1次濾過水をサンゴに基因するフィルターにより濾過するもので、これらによりミネラル成分の溶出量の調整、電気伝導度の増加を図ることができる。上水を1次フィルターに通し、その後2次フィルターに通すことで、上記の作用、効果をより顕著なものとする。
【0011】
上記2次フィルターとしてサンゴを素材としたサンゴフィルターを備えるものとする。サンゴフィルターは、風化造礁サンゴを加工して生成したもので、濾過作用とミネラル成分の溶出のために使用する。原水を誘導するために、1次フィルターはその周面から原水が流入するほぼ円筒状のフィルター面を有し、2次フィルターは1次フィルターの内部に収まる柱状に形成され、その上端に水流入部を有し、上部に粗粒のフィルター、下部に微粒のフィルターを備えていることが望ましい(請求項2記載の発明)。
【0012】
サンゴフィルターには色々なものがあり、本発明においても種々使用可能である。そして、上部の粗粒のフィルターには、上記のサンゴを焼結し、約5mm程度の直径にしたサンゴセラミックボールと呼ぶものを使用し、下部の微粒のフィルターには、上記の風化造礁サンゴを約1mm以下の砂状に砕いたものを使用すると最も良い結果を得ることができる。なお、2次フィルターの水出入口及び上下フィルター間には漏れ防止用のネット状の部材が配置される。
【0013】
さらに本発明においては、2次フィルター下部の水出口からコネクターへ到る流路に、通過した2次濾過水の流量を測定する水量センサーを設置し、測定された2次濾過水の流量を表示するデジタル表示部を浄水器本体に備えて構成することが望まれる(請求項3記載の発明)。2次濾過水は本発明による浄水器の最終の濾過水であり、その流量を測定することにより、どれだけの量の2次濾過水を精製したかを正確に把握することができる。
【0014】
水量センサーには電気式、機械式、超音波式、熱式など様々なものがあり、浄水器本体の下部に容易に組み込んで使用できるものであれば、どれを使用するかは自由である。また、デジタル表示部は、浄水器本体の下部の基台部分などに設置するものとし、例えば通過水量、流速、使用日数などを切り替えて表示することができるものとする。このデジタル表示部により、例えば化学物質を99%除去できる性能が維持できるのはどの程度の時間であるのか、などということも分かる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のように構成されかつ作用するものであるから、長期間浄水機能を保持することができるとともに、ミネラル分の損なわれていない浄水を飲用できるようにすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、使用中における現在の浄水機能がどの程度であるかということを正確に把握できるようにすることを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図示の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図1は本発明による浄水器10の一例を示すもので、浄水器本体11は円筒型に形成された容器状部分12と基台部分13とを有しており、水栓14との接続のために、供給される水を受け入れて浄水器本体11に水を導入するポート16と、浄水器本体11を通過した濾過済みの浄水を排出するポート17を有するコネクター15を具備している。
【0017】
図1の例では、コネクター15は、水栓14との接続口15a、浄水と原水(上水)の切替え弁を内部に有しており、レバー15bによって操作され、水は水出口15cから吐出される。そしてホース18、19により、上記ポート16、17と基台部分13に設けられた接続口18a、19aとが接続されている。
【0018】
浄水器本体11は、浄水器本体内部における外側水室に導入した水を内側水室に通過させる過程で濾過する1次フィルター21と、内側水室に装備され、1次濾過水を上部の水入口から受け入れて2次濾過し下部の水出口へ流出させる2次フィルター22とが組み込まれた浄水カートリッジ20を、容器状部分12の内部に具備している。浄水カートリッジ20の内部は、1次フィルター21によって外側水室20aと内側水室20bに分けられた構造を有することになる(図3参照)。1次フィルター21はカーボンブロックフィルターを使用したもので、その上下の端部はキャップ21a、21bにより閉じており、原水は円筒面からのみ流入することができる。
【0019】
図示の2次フィルター22はサンゴフィルターであり、図示のものは円柱状に形成され、その上端に水流入部22aを有しまた下端に水流出口22bを有するケースを有し、その内部に、約5mm程度の直径にしたサンゴセラミックボールと呼ぶものを充填した上部の粗粒フィルター23と、風化造礁サンゴを約1mm以下の砂状に砕いたものを充填した下部の微粒フィルター24によって構成されている。なお、2次フィルターの水出入口及び上下フィルター間にはネット状の部材25a、25b、25cが配置されている。
【0020】
浄水カートリッジ20を通過した2次濾過水の流量を測定する水量センサー27は、2次フィルター22の下部のネット状の部材25cの直下の流路にされている。例示の水量センサー27は電気式のもので、測定データは浄水器本体11の下部の基台部分13に設置された演算部28にて演算され、デジタル表示部29において表示する。デジタル表示部29は、表示ボタン30の切り換えで通過水量、流速、使用日数などを切り替え、表示することができる(図4参照)。
【0021】
なお、容器状部分12と基台部分13とは、ねじ構造などから成る結合部31によって一体に結合される。その際、結合部31にはシール部材32を使用して器外に水が漏れるのを防止する。
【0022】
このように構成されている本発明の浄水器10では、コネクター15を水栓14に接続し、レバー15bにより切替え弁を操作して原水を供給する状態にするとともに、デジタル表示部29に通電し、水栓14を開いて原水を浄水カートリッジ20に下部から供給する。使用開始時にデジタル表示部29が「ゼロ」になっていないときには、リセットボタン33を押してリセットしてから使用する。
【0023】
原水は浄水カートリッジ20に供給されるとその外側水室20aを満たして行き、1次フィルター21を通過することで1次濾過され、内部水室20bに流入する。1次濾過水は、2次フィルター22に最上部から流入するので、1次フィルター21の全体がほぼ万遍なく使用されることになる。1次濾過水は上部の水入口22aから2次フィルター22に流入し、粗粒フィルター23と、微粒フィルター24において2次濾過され、下部の水出口22bへ流出する。浄水は2次フィルター22において濾過されるとともに、サンゴからの溶出成分としてミネラル分等を付与された浄水が、ホース19を経て、コネクター15の水出口15cから吐出する。
【0024】
上記の濾過過程において通過した2次濾過水の流量は、水量センサー27において測定され、デジタル表示部29に表示される。デジタル表示部29には、使用日数とともに、通過水量、現在の流速を表示させることができるので、どれだけの量の2次濾過水を精製したか、或いは今後どれ位の期間使用可能であるか、などの事項を正確に把握することができるので、試用期間を過ぎても使用し続けることになるという問題も起こらない。なお、通過水量は上限を設定してそこから使用量が差し引いて表示される減算表示とし、流水速度は分当たりの重量(g/m)を表示し、使用日数は使用開始後1日毎に減少する表示としている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による浄水器の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同じく断面図である。
【図4】本発明に使用するデジタル表示部の説明図である。
【符号の説明】
【0026】
10 浄水器
11 浄水器本体
12 容器状部分
13 基台部分
14 水栓
15 コネクター
16 導入ポート
17 排出ポート
18、19 ホース
20 浄水カートリッジ
21 1次フィルター
22 2次フィルター
23 粗粒フィルター
24 微粒フィルター
25a、25b、25c ネット状の部材
27 水量センサー
28 演算部
29 デジタル表示部
30 表示ボタン
31 結合部
32 シール部材
33 リセットボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓に接続して使用する浄水器であって、
水栓に接続され、原水を受け入れて浄水器本体に原水を導入するポートと、浄水器本体を通過した浄水を排出するポート及び浄水と原水の切替え弁を有するコネクターと、
浄水器本体に装備され、浄水器本体内部における外側水室に流入した原水を内側水室に通過させる過程で濾過する1次フィルターと、内側水室に装備され、1次濾過水を上部の水入口から受け入れて2次濾過し下部の水出口へ流出させる2次フィルターとを具備し、
上記2次フィルターとしてサンゴを素材としたサンゴフィルターを備えている
浄水器。
【請求項2】
1次フィルターはその周面から原水が流入するほぼ円筒状のフィルター面を有し、2次フィルターは1次フィルターの内部に収まる柱状に形成され、その上端に水流入部を有しまた下部に水流出口を有し、上部に粗粒のサンゴから成るフィルター、下部に微粒のサンゴから成るフィルターを備えている請求項1記載の浄水器。
【請求項3】
2次フィルター下部の水出口からコネクターへ到る流路に、通過した2次濾過水の流量を測定する水量センサーを設置し、測定された2次濾過水の流量を表示するデジタル表示部を浄水器本体に備えて構成された請求項1記載の浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−18288(P2009−18288A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184834(P2007−184834)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(504422818)有限会社 Fネットプランニング (2)
【Fターム(参考)】