説明

浄水機能付きシャワーヘッド

【課題】 操作性に優れ、さらに台所などでの水仕事の邪魔にならないように充分な小型化を可能にした浄水機能付きシャワーヘッドを提供すること。
【解決手段】 水質浄化用カートリッジ14を収容した筒状把持部Iと、前記筒状把持部Iの一端に着脱自在に設けられ内部に流路切換機構Vaを内蔵し、側部に吐出口23が設けられた筒状頭部IIと、を備えた浄水機能付きシャワーヘッドSHにおいて、前記筒状頭部IIの内部に複数の流出穴26a、26bを有する隔壁25を設け、且つ前記隔壁25近傍に複数の弁口34a、34bを有する回転体32を置き、前記回転体32に連結され、前記筒状頭部IIの頭上に装着した操作ハンドル70を回動させることにより前記隔壁25面に設けられた流出穴26a、26bを開閉させて流路切換を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水機能付きシャワーヘッドに関し、さらに詳しくは、家庭の台所の蛇口や洗面台及び浴室等に取付けられるシャワーヘッドに水質浄化用カートリッジを収容し原水及び浄水をストレート状及びシャワー状に切換えて吐出させることができるようにした浄水機能付きシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭の台所、洗面台あるいは浴室等に、水道水に含まれる塩素を除去するものとして、水質浄化用カートリッジを収容した浄水機能付きシャワーヘッドが開発及び製品化され、また特許文献でも紹介されている(例えば特許文献1〜4参照)。
【0003】
図10は、下記特許文献1に記載された浄水器の断面図である。
この浄水器80は、台所の流し台などに設けられる給水栓、給湯栓に取付けられる浄水器であって、本体ケース81内に、同心円筒状の浄水器カートリッジ82を着脱可能に収納し、同心筒状の浄水器カートリッジ82内筒の一端に原水供給管83を接続し、その内筒の他端に原水流出口を設け、かつ、本体ケース81の先端部に、シャワー流、ストレート流の切換ノズル84を設けると共に、このシャワー流、ストレート流切換ノズル84を、弁機構を介して浄水器カートリッジ82の原水流出口及び浄水流出口に接続した構成を有している。
【0004】
また、同様のシャワーヘッドは、下記特許文献2にも開示されている。このシャワーヘッドは、特に図示しないが、直接手で持つことができる大きさに形成し、他部品との接続端を設け、水質浄化用カートリッジを内蔵した把持部と、この把持部の先端に一体に形成され、原水と浄水とを選択する流路切換手段を内蔵し、シャワー吐出口を設けた頭部とを備え、この頭部に設ける原水吐出口と浄水吐出口とを各々独立した流路に形成し、原水吐出口と浄水吐出口との何れか一方の吐出口をシャワー吐出口の形成領域内又は形成領域外に設けた構成となっている。
【0005】
さらに、特許文献3には、原水ストレート吐出口と浄水ストレート吐出口とを併設すると共に、原水ストレート吐出口の周囲に原水シャワー吐出口を配設し、流路中には流水の方向を原水ストレート吐出口と浄水ストレート吐出口との何れかに切換える切換機構を形成し、さらに、弁体を操作部と同軸的に結合し、この操作部の回動により、切換機構に組み込まれた弁体を回動させて、原水ストレート吐出口と浄水ストレート吐出口と原水シャワー吐出口との3方向の何れか1つに切換えることができるようにした蛇口用浄水器が記載されている。
【0006】
さらにまた、特許文献4には、シャワー吐出口を形成した頭部と浄化カートリッジを交換可能に収容した把持部とを一体的に形成し、頭部には外周面に操作部を設けた回動式の流路切換弁を内蔵し、この切換弁を回動することにより吐出水の種類と吐出形態とを切換える浄水機能付きシャワーヘッドが記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平3−154685号公報(図1、第3頁下段右欄〜第4頁上段左欄参照)
【特許文献2】特開2001−137143号公報(図5、図6、請求項1参照)
【特許文献3】特許第2757151号公報(図1、図2、段落〔0008〕〜〔0010〕、〔0036〕参照)
【特許文献4】特開2001−149251号公報(図5、図7、請求項1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1〜4に記載された浄水器は、何れも操作性及び小型化等に課題がある。
先ず、上記特許文献1に記載された浄水器は、切換ノズルが本体ケースの先端部の吐出口に近接して設けられ、この切換ノズルを直接手で回動することにより、シャワー流とストレート流に切換えるようになっている。このため、切換操作時に、ストレートノズルあるいはシャワーノズルに手が触れることがある。このため、手が水で濡れることがあり、一方でストレートノズルあるいはシャワーノズルを汚し不衛生になることがある。
【0009】
これに対して、上記特許文献2に記載されたシャワーヘッドは、押しボタン機構からなる切換レバーが吐出口と別のところに設けられているので、ストレートノズルあるいはシャワーノズルに手が触れることがない。しかし、押しボタン機構はその構造が複雑で部品点数が多く、しかも可動機構が多いため、故障の確率が高く、保守も面倒である。さらに、機構が複雑であることから、頭部の収容スペースもより広く必要となり小型化にも課題がある。
【0010】
さらに、上記特許文献3に記載された浄水器は、頭部の右横に操作レバーが設けられ、この操作レバーにより、流路が切換えられるようになっているが、切換弁機構が大型化し、小型化に課題がある。また、操作レバーは頭部の右横に備えられているので、使用者が右利きの人であれば不都合なく操作ができるが、左利きの人にとっては操作し難くなっている。
【0011】
さらにまた、上記特許文献4に記載されたシャワーヘッドも、操作レバーが頭部の右横に設けられているため、左利きの人にとっては使用し難くなっている。例えば、把持部を右手で握ってシャワーを使用している最中に、左手で操作レバーを操作することは簡単にできるが、左利きの人の場合は、左手で把持部を握ることになるので、洗髪中に右手で操作レバーを操作しようとすると、操作レバーが頭部の反対側に位置しているので操作し難い。また、切換機構の構造から頭部を大きくせざるを得ず、小型化にも課題がある。
【0012】
そこで、本発明は、従来技術が抱える課題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、操作性に優れ、さらに台所などでの水仕事の邪魔にならないように充分な小型化を可能にした浄水機能付きシャワーヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の浄水機能付きシャワーヘッドは、水質浄化用カートリッジを収容した筒状把持部と、前記筒状把持部の一端に着脱自在に設けられ内部に流路切換機構を内蔵し、側部に吐出口が設けられた筒状頭部と、を備えた浄水機能付きシャワーヘッドにおいて、
前記筒状頭部の内部に複数の流出穴を有する隔壁を設け、且つ前記隔壁近傍に複数の弁口を有する回転体を置き、前記回転体に連結され、前記筒状頭部の頭上に装着した操作ハンドルを回動させることにより前記隔壁面に設けられた流出穴を開閉させて流路切換を行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の浄水機能付きシャワーヘッドに係り、前記流路切換機構は、筒状ハウジング内に形成され、中心に挿通穴を有し、該挿通穴の外周囲に第1、第2閉鎖部と第1、第2流出路に連通した第1、第2流出穴を有する隔壁と、前記筒状ハウジング内の第1、第2流入路に連通した第1、第2弁口を有する回転体を一方の軸端に有する回転軸と、からなり、前記隔壁の第1又は第2流出穴と前記回転体の第1又は第2弁口とが連通することにより流路の切換えを行うようになっており、
前記第1、第2閉鎖部と第1、第2流出穴と第1、第2弁口とは、第1又は第2弁口が前記隔壁の第1又は第2流出穴に連通する場合には、前記第1又は第2流出穴に連通していない第2又は第1弁口の少なくとも一方の弁口が前記第2又は第1閉鎖部により閉鎖され、かつ、前記第1又は第2弁口に連通していない第2又は第1流出穴は前記回転体の壁面により閉鎖される位置にそれぞれ配設されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の浄水機能付きシャワーヘッドに係り、前記第1、第2流出穴はその平面が略楕円形状であり、また前記第1、第2弁口の少なくとも一方の平面が略楕円形状であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の浄水機能付きシャワーヘッドに係り、前記隔壁の第1、第2閉鎖部と第1、第2流出穴の外周部はいずれも凸状体からなり、前記凸状体の外周面には弁座パッキンが挿入されていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の浄水機能付きシャワーヘッドに係り、前記回転体は、スプリングにより前記隔壁方向に押圧されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の浄水機能付きシャワーヘッドに係り、前記隔壁の外周円上にはほぼ等間隔に複数個の凹又は凸部が設けられ、かつ前記隔壁に対応する前記回転体の外周円上には前記隔壁の凹又は凸部に対応した凸又は凹部が少なくとも1箇所以上設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、筒状頭部内に設けられた隔壁と回転体(回転円板)とにより流路を変更するようになっており、前記回転体を回動する操作ハンドルが筒状頭部の頭上に設けられているため、例えば使用中であっても左右どちらの手でも容易に流路の切換を行うことができる。また、切換機構が筒状頭部内に簡単な構成により設けられているため、筒状頭部が大型となることがない浄水機能付きシャワーヘッドを提供できる。
【0020】
請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加え、回転軸の回転体(回転円板)を回動させることにより、第1、第2流入路から流入する種類の異なる流体を第1、第2流出穴から種類の異なる形態で吐出させることができる。例えば、第1、第2の流入路に原水及び浄水を流入させると、第1、第2流出穴の吐出口から、それぞれ異なる形態、すなわちストレート状及びシャワー状に吐出させることが可能になる。
また、第1、第2流出穴に対応して同数の第1、第2閉鎖部を設けることにより、回転円板の何れか1つの弁口と隔壁の何れか1つの流出穴とが連通しているとき、他の弁口は、第1、第2閉鎖部の何れか1つの凸状部で塞がれ、他の流出穴は、回転円板により塞がれるので液漏れを防止できる。
更に、この流路切換機構は、貫通孔内の隔壁と、この隔壁に接触する回転体とで構成されるので、回転体を水質浄化用カートリッジの断面積(長手方向と直交する方向で切断した面の断面積)より小さくでき、頭部を比較的小さくすることが可能になる。
【0021】
請求項3の発明によれば、第1、第2流出穴及び第1、第2弁口の少なくとも一方を楕円形状とすることにより、第1、第2流出路から流出する流体の量を本体ハウジングの大きさを変えることなく増大させることができるようになる。
【0022】
請求項4の発明によれば、第1、第2閉鎖部及び第1、第2流出穴を凸状体とし、前記凸状体の外周面に例えば弾性体からなる弁座パッキンを取り付けたことにより、第1、第2弁口との連結をより液密に行うことができるようになる。また、第1、第2流出穴を筒状体とし、この筒状体に弁座パッキンを取り付けることにより、外部からの水圧により弁座パッキンの筒状体内部への押し込みを抑止することができるようになる。
【0023】
請求項5の発明によれば、回転体がスプリングにより隔壁方向へ押圧されているため、弁口と閉鎖部及び流出穴との連結をより液密に行うことができるようになる。
【0024】
請求項6の発明によれば、回転円板が隔壁面に弾性接触されそれぞれの流路が形成されているとき、回転円板に設けられた突起が隔壁の窪みに入り込み係合し、回転円板の回動が規制される。これにより、回転円板が不意に回動することがなく、流路切換機構の誤動作を防止できる。
また、切換時に、回転円板を回動させると、回転円板の突起が隔壁の窪みから出て隔壁の表面(この表面は窪みより高くなっている)を摺動して、隣接する窪みに移動される。このとき、回転軸は一時的に軸方向にスライドされ、回転円板と弁座パッキンとの間、すなわち、シール面に隙間が生じて回転円板が回動することになる。このため、弁座パッキンと回転円板との磨耗が緩和され、また切換時の弁座パッキンとの摺動抵抗を緩和でき、さらに切換途中の漏水を防止でき、内部の水圧上昇をも緩和できる。さらにまた、切換時のクリック感が得られ切換の位置決めも容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための浄水機能付きシャワーヘッドを例示するものであって、本発明をこの浄水機能付きシャワーヘッドに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明の一実施例に係る浄水機能付きシャワーヘッドを示す正面図、図2は同じく本発明の浄水機能付きシャワーヘッドを示す図であり、図2(a)は図1の浄水機能付きシャワーヘッドを軸方向に切断し、正面から見た断面図、図2(b)は図2(a)のA部拡大断面図、図3は図2(a)を各構成部品に分解して示す分解断面図、図4は図3の本体ハウジング及び弁座パッキンを拡大して示す図であり、図4(a)は断面図、図4(b)は図4(a)のB部拡大断面図、図5は本体ハウジングを示す図であり、図5(a)は図4(a)のC方向からみた図、図5(b)は図5(a)のD部を拡大した図、図6は回転軸を示す図であり、図6(a)は正面図、図6(b)は図6(a)の回転軸を軸方向に切断し、正面から見た断面図、図7は回転軸を示す図であり、図7(a)は図6(a)のE方向から見た図、図7(b)は図6(a)のF方向から見た図、図8は弁座パッキンを示す図であり、図8(a)は正面図、図8(b)は図8(a)のG−G断面図、図9は隔壁と回転円板との関係を示し、流路及び流体の各切換え状態を示す図、である。ちなみに図5は本体ハウジングのみを示し、弁座パッキンが取り付けられていない状態を示すものである。
【0027】
浄水機能付きシャワーヘッドSHは、図1に示すように、水質浄化用カートリッジ10を収容できる大きさに形成された筒状把持部Iと、この把持部Iの先端に着脱自在に連結された筒状把持部Iとほぼ同じ大きさの筒状頭部IIとを備え、筒状頭部IIに、流路切換機構Vaが内蔵され、かつ一側壁面に吐出キャップ23a、筒状頭部IIの頭上に操作ハンドル70が設けられた構成を有する。
【0028】
筒状把持部Iは、図2(a)、図3に示すように、水質浄化用カートリッジ14が収容される内筒ケース10と、この内筒ケース10を覆う外筒ケース13とを備え、内筒ケース10は、耐熱性及び耐圧性を有する材料で形成され、外筒ケース13は、装飾用のメッキ等ができる材料で形成される。筒状把持部Iは、片手で把持できる太さに形成される。
内筒ケース10は、両端に開口部11、12を有し、一端の開口部11には、混合水栓等のホースを接続できるように、ホース接続部11aが形成される。他端の開口部12は、筒状頭部IIの本体ハウジング20と着脱自在に結合できる結合部12aが形成される。また、外筒ケース13は、内筒ケース10の外周囲を覆うように、内筒ケース10より一回り大きくかつほぼ同じ形状になっている。
【0029】
筒状頭部IIは、流路切換機構Vaを構成する筒状の本体ハウジング20と、この本体ハウジング20の外周囲を覆う外筒ケース29を備え、頭部の頭上に流路切換機構Vaを作動させる操作ハンドル70が装着されている。
【0030】
水質浄化用カートリッジ14には、中空糸膜部14bと活性炭部14aとが直列配設され、中空糸膜部14bの外周囲を筒状体で包囲されたものが使用される。この構造の水質浄化用カートリッジ14は、一端の開口部11から原水が供給されると、活性炭部14aの外周囲から中心部、さらに中空糸膜部14bを通過して、他端の開口部12から流出される。なお、この水質浄化用カートリッジは、上記のタイプのものに限定されず、既に公知の任意のものを使用してもよい。
【0031】
流路切換機構Vaは、図2、図3に示すように、中心部に所定形状の貫通孔22を有する筒状の本体ハウジング20と、この貫通孔22に挿入され流路を切換える円板状の回転体(回転円板)32と、この回転円板32に一端が連結され回転円板32を回動させる回転軸30と、貫通孔22内の隔壁25に装着された弁座パッキン40と、貫通孔22の一端開口部12に結合されたカートリッジ接続パイプ60と、コイル状スプリング45と、スプリング押さえ50と、回転軸30の一端に連結された操作ハンドル70とを備えている。なお、本体ハウジング20の貫通孔22は、隔壁25で2つの貫通孔22a、22bに分断されるが、隔壁25に形成された穴22cで連通している。
【0032】
本体ハウジング20は、図2〜図4に示すように、長手方向の中心部に円形状の貫通孔22を有する真直ぐな筒状体21と、この筒状体21の一側面から外方へ分岐された吐出口23からなり、吐出口23内は区画された第1、第2流路24a、24bが形成され、第1流路24aは貫通孔22aに、第2流路24bは貫通孔22bに連通している。
貫通孔22の両端の開口部21a、21bは、比較的その直径が大きく形成され、開口部21aには、カートリッジ接続パイプ60が結合され、開口部21bには回転軸30を支持するプレート65が装着される。
また、吐出口23の開口部には、すなわち第1、第2流路24a、24bの端部は、吐出キャップ23aが装着され、ストレート状及びシャワー状の吐出口となっている。
【0033】
さらに、この貫通孔22には、そのほぼ中間部に貫通孔22を閉鎖するようにして隔壁25が形成されている。この隔壁25は、薄肉で円盤状をなし本体と一体成型される。
この隔壁25には、図4(a)、図4(b)、図5(a)、図5(b)に示すように、中心部に回転軸30を挿通する小穴22c、すなわち挿通穴22cが形成される。また、この隔壁25の表面25aは、後述する回転円板32と接触する接触面となる面であるが、この面には、挿通穴22cを中心にして所定距離離れた同心円上に2個の穴26a、26b、すなわち第1、第2流出穴と、2個の閉鎖部27a、27b、すなわち第1、第2凸状部が挿通穴22cを中心としてそれぞれ所定の角度、例えばそれぞれの中心点を90度ずつずらして形成される。
第1、第2流出穴26a、26bは、図5(a)、図5(b)に示すように、扇形楕円形状に形成され、かつ、この扇形楕円形状の穴の外周囲から所定長さの筒状体が延設されている。また、第1、第2凸状部27a、27bは、前記扇形楕円形状の筒状体と同じ長さを有する円柱から形成されている。
【0034】
第1、第2流出穴26a、26bを扇形楕円形状にすることにより、穴の開口面積を拡大できる。すなわち、筒状頭部IIの直径を筒状把持部Iの直径とほぼ同じにするためには、それに合わせて隔壁25の面積も小さくしなければならないが、第1、第2流出穴26a、26bの形状を扇形楕円形状とすることにより、例えば流出穴の形状が円形状のものに比べて、開口面積を大きくできる。したがって、開口面積を大きくすることにより、この穴を通る流体の流出量を多くすることが可能になる。
【0035】
また、第1、第2流出穴26a、26bの外周囲に設けられた筒状体の端部26a'、26b'(図示省略)は、例えば第1流出穴26aでは後述する弁座パッキン40を装着した際に、弁座パッキン40の端部が貫通孔22内を流れる流体の水圧により第1流出穴26a内に倒れこまないための支持部としての働きをする(図4(b)参照)。
さらに、隔壁25の表面25aの縁部には、図4、図5(a)に示すように、各扇形楕円穴及び各凸状部の外側の外周円上に、等間隔、例えば90度ごとに、ほぼV字状の窪み28a〜28dが形成される。これらの窪み28a〜28dは、回転軸30の回転円板32に設けられた突起35a〜35d(図7(b)参照)と係合し、回転軸の位置決めの働きをする。
【0036】
さらにまた、隔壁の裏面25bには、図4、図5(a)に示すように、第1、第2流出穴26a、26bに連通し、それぞれ区画された第1、第2流出路24a、24bが形成され、第1流出穴26aは、第1流出路24aに、また、第2流出穴26bは、第2流出路24bに接続される。
第1流出路24aの吐出口からは、原水あるいは浄水がストレート状に、また、第2流出路24bの吐出口からは、原水あるいは浄水がシャワー状に吐出される。
【0037】
回転軸30は、図6、図7に示すように、細長い棒状体31と、この棒状体31の一端に一体に設けられた回転円板32とからなり、回転円板32が隔壁25の表面25aに設けられた第1、第2流出穴26a、26b及び第1、第2凸状部27a、27bと接触して、流路の切換を行うものである。棒状体31の他端31aには、操作ハンドル70が装着できるようになっている。
回転円板32には、図6(b)に示すように、回転円板32の表面32bから離れる方向に延び、その中心部に穴34を有する筒状体33と、2個の穴34a、34bとが形成される。
【0038】
筒状体33は、カートリッジ接続パイプ60の一端が嵌入される太さ及び長さを有している。また、2個の穴34a、34bは、第1、第2弁口となるもので、それぞれ異なる流路に接続される。すなわち、第1弁口34aは、図6(b)に示すように、筒状体33内から回転円板32の裏面32aまでを連通するように形成され、第2弁口34bは、回転円板32の一部を貫通するように形成される。第1、第2弁口34a、34bは、図7(a)、図7(b)に示すように、回転円板32上の中心から対向する位置に設けられる。
さらに、この回転円板32の裏面32a、すなわち、筒状体33が設けられた側とは反対の面に、図7(b)に示すように、4個の突起35a〜35dが形成される。これらの突起35a〜35dは、図5(a)に示す窪み28a〜28dと係合するようにそれぞれ90度ずつずらして同心円上に設けられる。
【0039】
弁座パッキン40は、図8に示すように、円形状の基材41の中心に挿通穴42が設けられ、この挿通穴42の外周囲に4個の背低の筒状体43a〜43dが設けられた構成を有し、弾性材、例えばゴム材で作製される。基材41の直径は、貫通穴22aの直径より若干小さく形成されており、この筒状体の高さは、第1、第2流出穴26a、26b及び第1、第2凸状部27a、27bの長さより若干長く形成されている。これら筒状体43a〜43dのうち、筒状体43a、43bは、第1、第2流出穴26a、26bに嵌まり込む形状、すなわち楕円形状に、また、筒状体43c、43dは,第1、第2凸状部27a、27bに嵌まり込む形状、すなわち円形状に形成される。また、各筒状体43a〜43dは、基板41で連結されており、また、各筒状体43a〜43dには、その一つの筒状体43aに見られるように、先端部43a'にテーパを付している。
【0040】
以下に、これらの部品を使用した浄水機能付きシャワーヘッドSHの組立てを図2〜図8を参照して説明する。
【0041】
先ず、本体ハウジング20内の隔壁25に弁座パッキン40を装着する。このとき、弁座パッキン40の筒状体43a、43bを隔壁25の第1、第2流出穴26a、26bに、筒状体43c、43dを第1、第2凸状部27a、27bにそれぞれ装着し、円形状の基材41が隔壁25に当接するように装着される。次に、回転軸30を隔壁25の挿通穴22cに挿通し、本体ハウジング20の開口部21bから棒状体31の一端を突出させ、プレート65の挿通穴に棒状体31を通し、このプレート65を開口部21bに固定する。更に棒状体31の先端には操作ハンドル70を装着する。
その後、コイル状スプリング45の一端を回転円板32に当接させ、他端をスプリング押さえ50に当てて本体ハウジング20の貫通孔22内に挿入する。次いで、カートリッジ接続パイプ60を本体ハウジングの一端の貫通孔22aに位置決めして固定する。この位置決め固定は、カートリッジ接続パイプ60のリブ60aを本体ハウジング20の溝21cに嵌合させることにより行う。そして、内筒ケース10及び本体ハウジング20には、外筒ケース13及びケース29を装着し、さらに吐出口には、吐出キャップ23aを装着する。
【0042】
このようにして組み立てた浄水機能付きシャワーヘッドSHの流路の切換を図9を参照して以下に説明する。図9は、隔壁25の第1、第2流出穴26a、26b及び第1、第2突起27a、27bと、回転円板32の第1、第2弁口34a、34bとの関係を説明する説明図である。
【0043】
(1)原水ストレート
回転円板32が、図9(a)に示す位置にあると、第2弁口34bと第1流出穴26aとが連通している。内筒ケース10の開口部11から流入した原水は、図2(b)に示すように、内筒ケース10と水質浄化用カートリッジ14の外周面との隙間aを通り、回転円板32の第2弁口34b及び第1流出穴26aを通過して、第1流路24aからストレート状に吐出される。このとき、第1弁口34aは、第1凸状部27a及び弁座パッキン40の筒状体43cにより閉鎖されるため液漏れすることがない。詳述すると、第1弁口34aと第1流出穴26aを流れる流体の動水圧をPとし、第2弁口34bに加わる静水圧をPとすると、第1流出穴26aを流れる流路は、原水が流れることによってその動水圧Pが低くなり、一方第2弁口34bに加わる静水圧Pは高くなる。この関係においてはP<Pとなるが、第1凸状部27aが円柱状に形成され、その表面が円形になっているので、この円形の面積は、第1流出穴26aの楕円形状より小さくなり、動水圧Pが小さくなる。したがって、大きな静水圧Pが加わっても回転円板32が隔壁25から離れることがなく、この部分からの液漏れを防止できる。なお、このとき第2流出穴26bは回転円板32によって閉鎖されている。
【0044】
(2)原水シャワー
回転円板32が時計回りに回転され、図9(b)に示す位置に移動すると、第2弁口34bと第2流出穴26bとが連通して、原水は第2流路24bからシャワー状に吐出される。このとき、第1弁口34aは、第2凸状部27bにより、また第1流出穴26aは回転円板32によって閉鎖されている。
【0045】
(3)浄水ストレート
回転円板32がさらに時計回りに回転され、図9(c)に示す位置に移動すると、第2弁口34aが第1流出穴26aとが連通している。このとき内筒ケース10の開口部11から流入した原水は、水質浄化用カートリッジ14内を通って浄水され、第1流路24aからストレート状に吐出される。このとき、第2弁口34bは、第1凸状部27aにより、また第2流出穴26bは回転円板32によって閉鎖されている。
【0046】
(4)浄水シャワー
回転円板がさらに時計回りに回転され、図9(d)に示す位置に移動すると、第2弁口34bと第2流出穴26bとが連通して、浄水が第1流路24bからシャワー状に吐出される。このとき、第2弁口34bは、第2凸状部27bにより、また第1流出穴26aは回転円板32によって閉鎖されている。なお、水質浄化用カートリッジ14による圧力損失が大きく充分なシャワー流量が得られないために、浄水シャワーを実用上省きたい場合には、本体側にストッパーを設けることにより操作ハンドル70の稼動範囲を制限して上記(4)の切換をできないようにする。
【0047】
また、上記(1)〜(4)の切換時には、隔壁25の接触面に弁座パッキン40が装着されているので、回転円板32はこの弁座パッキン40の表面をコイル状スプリング45で押圧されながら摺動することになる。このとき、回転円板32の外周囲に4個の突起35a〜35d(図7(b)参照)と、隔壁25の表面25aに4個の窪み28a〜28d(図5(a)参照)が設けられているので、上記(1)〜(4)の状態では、各突起35a〜35dは各窪み28a〜28dに係合し、位置決め固定されている。したがって、吐出時には回転円板32が不意に移動して流路変更等がされることがない。一方、切換時に、回転円板32が時計回りあるいは反時計回りに回転されるが、このとき突起35a〜35dは窪み28a〜28dから出て、隔壁の外周面を摺動して、隣接する窪みに移動される。このとき、回転円板は、コイル状スプリング45で押圧されているので、このバネ圧に抗し、すなわち、回転軸30が若干軸方向にスライド移動されて隔壁の外周面を摺動することになる。
【0048】
このように、流路等の切換時には回転軸30が一時的に軸方向にスライドされ、弁座パッキン40と回転軸30のシール面との間に隙間が生じるので、弁座パッキン40の磨耗を緩和させる。また、切換時の弁座パッキン40との摺動抵抗を緩和させるとともに切換途中の漏水を防止し、内部の水圧上昇を緩和できる。さらに切換時のクリック感が得られ切換の位置決めも容易になる。
【0049】
また、本発明によれば、水質浄化用カートリッジ14を筒状把持部Iに収容できるので、交換、補修及び点検等が容易になる。また、筒状頭部はII、筒状把持部Iとほぼ同じ直径の筒状体で形成されているので、頭部を小さくでき、全体として小型化が可能となる。
さらに、筒状頭部IIの頭上に操作ハンドル70が設けられているので、洗髪等の際に、左右何れの手で把持部を握り、洗髪等していても、他の手で頭上のハンドルを操作できるので、操作が極めて簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る浄水機能付きシャワーヘッドを示す正面図、
【図2】図2は本発明の浄水機能付きシャワーヘッドを示す図であり、図2(a)は図1の浄水機能付きシャワーヘッドを軸方向に切断し、正面から見た断面図、図2(b)は図2(a)のA部拡大断面図、
【図3】図3は図2(a)を各構成部品に分解して示す分解断面図、
【図4】図4は図3の本体ハウジング及び弁座パッキンを拡大して示す図であり、図4(a)は断面図、図4(b)は図4(a)のB部拡大断面図、
【図5】図5は本体ハウジングを示す図であり、図5(a)は図4(a)のC方向からみた図、図5(b)は図5(a)のD部を拡大した図、
【図6】図6は回転軸を示す図であり、図6(a)は正面図、図6(b)は図6(a)の回転軸を軸方向に切断し、正面から見た断面図、
【図7】図7は回転軸を示す図であり、図7(a)は図6(a)のE方向から見た図、図7(b)は図6(a)のF方向から見た図、
【図8】図8は弁座パッキンを示す図であり、図8(a)は正面図、図8(b)は図8(a)のG−G断面図、
【図9】図9は隔壁と回転円板との関係を示し、流路及び流体の各切換え状態を示す図、
【図10】図10は従来の浄水器の断面図。
【符号の説明】
【0051】
SH 浄水機能付きシャワーヘッド
I 筒状把持部
II 筒状頭部
Va 流路切換機構
10 内筒ケース
11、12 開口部
13 外筒ケース
14 水質浄化用カートリッジ
20 本体ハウジング
21 筒状体
22 貫通孔
23 吐出口
25 隔壁
26a、26b 第1、第2流出穴
27a、27b 第1、第2凸状部
30 回転軸
31 棒状体
32 回転円板(回転体)
34a、34b 第1、第2弁口
40 弁座パッキン
45 コイル状スプリング
50 スプリング押さえ
60 カートリッジ接続パイプ
70 操作ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水質浄化用カートリッジを収容した筒状把持部と、前記筒状把持部の一端に着脱自在に設けられ内部に流路切換機構を内蔵し、側部に吐出口が設けられた筒状頭部と、を備えた浄水機能付きシャワーヘッドにおいて、
前記筒状頭部の内部に複数の流出穴を有する隔壁を設け、且つ前記隔壁近傍に複数の弁口を有する回転体を置き、前記回転体に連結され、前記筒状頭部の頭上に装着した操作ハンドルを回動させることにより前記隔壁面に設けられた流出穴を開閉させて流路切換を行うことを特徴とする浄水機能付きシャワーヘッド。
【請求項2】
前記流路切換機構は、前記筒状頭部の筒状ハウジング内に形成され、中心に挿通穴を有し、該挿通穴の外周囲に第1、第2閉鎖部と第1、第2流出路に連通した第1、第2流出穴を有する隔壁と、前記筒状ハウジング内の第1、第2流入路に連通した第1、第2弁口を有する回転体を一方の軸端に有する回転軸と、からなり、前記隔壁の第1又は第2流出穴と前記回転体の第1又は第2弁口とが連通することにより流路の切換えを行うようになっており、
前記第1、第2閉鎖部と第1、第2流出穴と第1、第2弁口とは、前記第1又は第2弁口が前記隔壁の第1又は第2流出穴に連通する場合には、前記第1又は第2流出穴に連通していない第2又は第1弁口の少なくとも一方の弁口が前記第2又は第1閉鎖部により閉鎖され、かつ、前記第1又は第2弁口に連通していない第2又は第1流出穴は前記回転体の壁面により閉鎖される位置にそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項1に記載の浄水機能付きシャワーヘッド。
【請求項3】
前記第1、第2流出穴はその平面が略楕円形状であり、また前記第1、第2弁口の少なくとも一方の平面が略楕円形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の浄水機能付きシャワーヘッド。
【請求項4】
前記隔壁の第1、第2閉鎖部と第1、第2流出穴の外周部はいずれも凸状体からなり、前記凸状体の外周面には弁座パッキンが挿入されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の浄水機能付きシャワーヘッド。
【請求項5】
前記回転体は、スプリングにより前記隔壁方向に押圧されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の浄水機能付きシャワーヘッド
【請求項6】
前記隔壁の外周円上にはほぼ等間隔に複数個の凹又は凸部が設けられ、かつ前記隔壁に対応する前記回転体の外周円上には前記隔壁の凹又は凸部に対応した凸又は凹部が少なくとも1箇所以上設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の浄水機能付きシャワーヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−42993(P2006−42993A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225888(P2004−225888)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000149309)ジョプラックス株式会社 (19)
【出願人】(000141451)株式会社喜多村合金製作所 (65)
【Fターム(参考)】