説明

浄水装置

【課題】装置としてのメンテナンスや管理を容易に行うことのできる浄水装置を得る。
【解決手段】浄水通路3の主通路31に、プレフィルターカートリッジ32および活性炭カートリッジ34(濾過部)とは別体で、合金フィルターカートリッジ(殺菌成分添加部)33を設ける。また、これらのカートリッジ32、33、34の下流側に、金属イオンを分離する膜カートリッジ3(分離部)5を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、原水をフィルター濾過部に通過させて濁質成分を除去するとともに、そのフィルタ濾過部に直列に一体構成された銀添着活性炭濾過部を通過させ、その後、RO膜またはNF膜を有する膜濾過カートリッジで逆浸透させた浄水をタンクに貯留させるようにした浄水装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−296103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の浄水装置にあっては、銀添着活性炭濾過部によって水の濾過と殺菌とを並列させて行う構成であるため、当該濾過部の寿命管理がしづらいという問題があった。
【0005】
すなわち、水の濾過と殺菌の両方を行う銀添着活性炭濾過部は、どちらか一方の性能(例えば、濾過性能)に寿命がきた場合に、まだ他方の性能の効果(殺菌効果)が得られるうちに交換を余儀なくされる場合があり、寿命管理がしづらい。
【0006】
そこで、本発明は、装置としてのメンテナンスや管理を容易に行うことのできる浄水装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明にあっては、原水導入口と浄水吐出口とを接続する浄水通路を備えた浄水装置であって、前記浄水通路には、水を濾過する濾過部と、前記濾過部とは別体で設けられるとともに、殺菌力を有する金属イオンを水に添加する殺菌成分添加部と、前記濾過部および殺菌成分添加部の下流側に設けられ、前記金属イオンを分離する分離部と、が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明にあっては、前記分離部で排出される濃縮水の一部を、前記殺菌成分添加部に戻す還流通路を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明にあっては、前記殺菌成分添加部に含まれる金属は、少なくとも銅または銀であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明にあっては、前記分離部は、水を逆浸透させるNF膜またはRO膜を用いた膜カートリッジであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、水を濾過する濾過部と殺菌力を有する金属イオンを水に添加する殺菌成分添加部とを別体で設けたため、それぞれを独立して寿命管理を行うことができるようになり、どちらか一方の性能に寿命がきた場合に、まだ他方の性能の効果が得られるうちに交換するといった無駄がなくなり、装置としてのメンテナンスや管理を容易に行うことができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、分離部で排出される濃縮水の一部を殺菌成分添加部に戻す還流通路を設けたので、戻された濃縮水に含まれる金属イオンの再利用を図ることができ、これにより、分離部からの排水量が少なくなるとともに、殺菌成分添加部の金属イオンの溶出量が少なくて済み、その殺菌成分添加部の寿命を延ばすことができる
請求項3の発明によれば、殺菌成分添加部に含まれる金属が少なくとも銅または銀であることにより、確実な殺菌作用を発揮することができるとともに、特に、銅である場合は菌以外にも緑藻類を駆除する効果があり、銀である場合は強力な殺菌作用を発揮する。
【0013】
請求項4の発明によれば、分離部にNF膜またはRO膜を用いたことにより、通過する水から金属イオンを効率良く分離して濃縮水として排出でき、分離部を通過した浄水の安全性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の浄水装置の一実施形態を模式的に示すシステムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明にかかる浄水装置20の一実施形態を示し、上水配管1に分岐管2を介して浄水通路3が接続され、上水配管1を流通する原水としての水道水が浄水通路3を通過する間に浄化され、その浄化された水が浄水として供給される。すなわち、本実施形態の浄水装置20は、分岐管2に設けられる原水導入口2aと、吐出弁9の下流側に設けられる浄水吐出口11とを接続する浄水通路3を備えている。
【0016】
浄水通路3は、主通路31にプレフィルターカートリッジ32、合金フィルターを内部に設けた殺菌成分添加部としての合金フィルターカートリッジ33、活性炭を内部に充填した活性炭カートリッジ34および分離部としての膜カートリッジ35を配置することにより概ね構成される。
【0017】
プレフィルターカートリッジ32は、主通路31の最上流部に配置され、分岐管2から主通路31に流入した水道水を導入するようになっており、それら分岐管2とプレフィルターカートリッジ32との間には逆止弁4が介在されて逆流を防止してある。水道水がプレフィルターカートリッジ32を通過することにより、水道水に混入するゴミとか濁質成分を除去した後、合金フィルターカートリッジ33に送給するようになっている。このとき、プレフィルターカートリッジ32と合金フィルターカートリッジ33との間の主通路31には供給ポンプ5が設けられており、この供給ポンプ5によって通過水を加圧して合金フィルターカートリッジ33に送給される。
【0018】
合金フィルターカートリッジ33は、殺菌力を有する金属、たとえば、銅または銀を含んだフィルターを内部に備えており、その合金フィルターを水道水が通過することにより金属イオンが水中に混入して、水道水を殺菌できるようになっている。
【0019】
活性炭カートリッジ34は、上記プレフィルターカートリッジ32で除去仕切れなかった微細なゴミやニオイ成分を吸着して除去できるようになっている。
【0020】
膜カートリッジ35は、NF膜やRO膜などの逆浸透膜35aが用いられ、その逆浸透膜で一次側室35bと二次側室35cとを仕切ることにより概ね構成され、一次側室35bに逆浸透圧をかけることにより純水が逆浸透膜35aを透過して二次側室35cに流入するようになっている。このとき、一次側室35bは不純物が蓄積した濃縮水となって排出通路31aから調整弁6を介して外方に排出される。一般的に、水に混入する可能性のある不純物としては、鉄、マンガン、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、錫、コバルト、ジルコニウム、クロム、テルル、チタン、ベリリウム、リン、珪素および鉛などがある。このとき、合金フィルターカートリッジ33を通過して水に混入した銅イオンまたは銀イオンは、逆浸透膜35aを通過することなく不純物と一緒に濃縮水として排出される。
【0021】
そして、膜カートリッジ35の二次側室35cの純水は浄水となって主通路31の下流側に供給される。その下流側の主通路31には、下流側に向かって水質センサ7、流量センサ8、吐出弁9および浄水吐出口11がそれらの順に直列に配置されている。
【0022】
ところで、上記排出通路31aから排出される濃縮水の一部は、調整弁6の上流側と合金フィルターカートリッジ33の導入側の主通路31とを繋ぐ還流通路31bを介して合金フィルターカートリッジ33に戻されるようになっている。このとき、還流通路31bは、供給ポンプ5と合金フィルターカートリッジ33との間に接続されるとともに、その還流通路31bには循環ポンプ10が設けられて、濃縮水が供給ポンプ5の吐出側に圧送される。
【0023】
ここで、本実施形態では、浄水通路3にはプレフィルターカートリッジ32、合金フィルターカートリッジ33、活性炭カートリッジ34および膜カートリッジ35などが設けられているが、それら各機能部品のうち濾過部としてのプレフィルターカートリッジ32および活性炭カートリッジ34とは別体で、殺菌成分添加部としての合金フィルターカートリッジ33を設けている。また、分離部としての膜カートリッジ35は、合金フィルターカートリッジ33の下流側に配置してあり、本実施形態では、合金フィルターカートリッジ33と膜カートリッジ35との間に活性炭カートリッジ34が介在されている。
【0024】
また、合金フィルターカートリッジ33の合金フィルター(図示せず)は、銅または銀を含んでいるが、これは例えば活性炭などのフィルター素材に銅合金または銀合金を添着させることにより形成され、水が合金フィルターを通過することにより銅イオンまたは銀イオンが水に溶解されて混入される。
【0025】
一方、膜カートリッジ35は、逆浸透膜としてNF(ナノフィルター)膜またはRO膜が用いられるが、この場合、前記合金フィルターに含まれる金属との組み合わせで、合金フィルターの金属が銅である場合は、(銅+NF膜)または(銅+RO膜)となり、また、合金フィルターの金属が銀である場合は、(銀+NF膜)または(銀+RO膜)となる。
【0026】
以上説明したように本実施形態の浄水装置20によれば、濾過部としてのプレフィルターカートリッジ32および活性炭カートリッジ34とは別体で、殺菌成分添加部としての合金フィルターカートリッジ33を設けている。そのため、それぞれのカートリッジを独立して寿命管理を行うことができるようになり、どちらか一方の性能に寿命がきた場合に、まだ他方の性能の効果が得られるうちに交換するといった無駄がなくなり、装置としてのメンテナンスや管理を容易に行うことができるようになる。
【0027】
また、このように濾過部としてのプレフィルターカートリッジ32および活性炭カートリッジ34とは別体で、殺菌成分添加部としての合金フィルターカートリッジ33を設けることによって、水をしかっりと合金フィルターに接触させることができるため、殺菌成分濃度を安定させることもできる。
【0028】
さらに、本実施形態では、プレフィルターカートリッジ32を通過して濁質成分が除去された水道水は、銅または銀を含む合金フィルターが設けられたカートリッジ33で殺菌された後、膜カートリッジ35で銅や銀の金属イオンが分離される。このとき、膜カートリッジ(分離部)35がプレフィルターカートリッジ32および活性炭カートリッジ34(濾過部)や合金フィルターカートリッジ(殺菌成分添加部)33よりも下流側に位置するため、膜カートリッジ35を通過するまでは金属イオンが水に含有された状態となる。したがって、膜カートリッジ35に導入される水には銅イオンまたは銀イオンが含まれているため、その金属イオンの殺菌力により膜カートリッジ35にバイオファウリングが発生するのを抑制できるとともに、残留塩素の除去による長寿命化を図ることができる。これにより、膜カートリッジ35の交換頻度が少なくて済み、ランニングコストを低減できる。
【0029】
さらにまた、膜カートリッジ35から排出される濃縮水は、それの一部が還流通路31bを介して合金フィルターカートリッジ33に戻されるようになっているため、その戻された濃縮水に含まれる金属イオンは、合金フィルターカートリッジ33、活性炭カートリッジ34および膜カートリッジ35へと循環して再利用されるため、排水量が少なくなるとともに、合金フィルターでの金属イオンの溶出量が少なくて済み、その合金フィルターカートリッジ33の寿命を延ばすことができる。
【0030】
また、循環により常に一定量の殺菌成分濃度を保持でき、膜カートリッジ35よりも上流側となる一次側浄水通路に対して安定した殺菌能力を発揮することができる。なお、循環の制御は一定時間ごとに実施してもよいし、通水終了時に実施してもよい。また、流量センサ8により一定量を通水したことを検知してトリガーを起動させたり、水質センサ7により、水質の変化を検知したことをトリガーとしたりできる。
【0031】
また、合金フィルターカートリッジ33の合金フィルターに含まれる金属が少なくとも銅または銀であることにより、確実な殺菌作用を発揮することができるとともに、特に、銅である場合は菌以外にも緑藻類を駆除する効果があり、銀である場合は強力な殺菌作用を発揮する。
【0032】
さらに、膜カートリッジ35にNF膜またはRO膜を用いたことにより、通過する水から金属イオンを効率良く分離して濃縮水として排出でき、膜カートリッジ35を通過した浄水の安全性をより高めることができる。このとき、合金フィルターカートリッジ33の合金フィルターの金属が銅である場合に、(銅+NF膜)または(銅+RO膜)となり、いずれの場合も銅イオンを逆浸透膜35aで確実に分離して二次側に流出しないため安全となる。一方、合金フィルターカートリッジ33の合金フィルターの金属が銀である場合は、(銀+NF膜)または(銀+RO膜)となるが、後者の(銀+RO膜)の場合は、銅と同様に逆浸透膜35aで確実に分離できるのであるが、前者の(銀+NF膜)の場合は、銀イオンがNF膜を極微量通過して二次側に溶出し、その溶出した銀イオンにより二次側の殺菌が可能となる。この場合、銀は人体に影響が無いので、僅かではあるが殺菌効果を発揮しつつ安全な飲料水を供給できる。
【0033】
ところで、本発明の浄水装置は前記実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。たとえば、浄水通路3に、プレフィルターカートリッジ32、合金フィルターカートリッジ33、活性炭カートリッジ34および膜カートリッジ35を配置した場合を示すが、前記各フィルター32、33、34、35以外にも他の浄化部品を組み込んだ場合にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 浄水装置
3 浄水通路
31 主通路
31b 還流通路
32 プレフィルターカートリッジ(濾過部)
33 合金フィルターカートリッジ(殺菌成分添加部)
34 活性炭カートリッジ(濾過部)
35 膜カートリッジ(分離部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水導入口と浄水吐出口とを接続する浄水通路を備えた浄水装置であって、
前記浄水通路には、水を濾過する濾過部と、前記濾過部とは別体で設けられるとともに、殺菌力を有する金属イオンを水に添加する殺菌成分添加部と、前記濾過部および殺菌成分添加部の下流側に設けられ、前記金属イオンを分離する分離部と、が設けられていることを特徴とする浄水装置。
【請求項2】
前記分離部で排出される濃縮水の一部を、前記殺菌成分添加部に戻す還流通路を設けたことを特徴とする請求項1に記載の浄水装置。
【請求項3】
前記殺菌成分添加部に含まれる金属は、少なくとも銅または銀であることを特徴とする請求項1または2に記載の浄水装置。
【請求項4】
前記分離部は、水を逆浸透させるNF膜またはRO膜を用いた膜カートリッジであることを特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項に記載の浄水装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−152491(P2011−152491A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13947(P2010−13947)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】