説明

浄水装置

【課題】卓上などに設置して多数の通常のポットに浄水を供給することができ、ろ材の浄水出口近傍での雑菌の繁殖を抑制することが可能な浄水装置を提供する。
【解決手段】この浄水装置1は、内部下方に第1下方領域S1と第2下方領域S2が形成された原水タンク20を有する原水注入部2と、第1下方領域S1から流入した原水をろ過して浄水出口32から浄水を流出させる浄水カートリッジ30が装着された浄水部3と、浄水カートリッジ30の浄水出口32に連通する第1流路40が形成された第1流路部4と、第2下方領域S2に連通する第2流路50が形成された第2流路部5と、外部流出路60が形成された外部流出路部6と、切換弁体70が切換弁体収容孔71に回動可能に収容され、第1の回動位置にあるときには第1流路40と外部流出路60を連通させ、第2の回動位置にあるときには第1流路40と第2流路50を連通させる切換弁体部7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓上などに設置してポットに浄水を供給することができる浄水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水中の残留塩素等の不純物を除去して浄水とする家庭用又は業務用の浄水装置には、主に、水道の蛇口に直接或いはホースを介して取り付けて用いる水道取り付け型のものと、水道の蛇口に連結されずに持ち運びが自由なポット型のものが有る。
【0003】
これらの浄水装置において、ろ材の浄水出口近傍又は浄水の貯留部では、殺菌成分たる残留塩素が除去されているために、雑菌の繁殖が起こり易いことが一般に指摘されており、これに対しさまざまな対策が提案されている。例えば、特許文献1の水道取り付け型の浄水装置では、浄水装置の水道水供給口側から切換弁を介して分岐し、ろ材の浄水出口近傍に連通する流路を設けるなどして、ろ材の浄水出口近傍に滞留している浄水(脱塩素水道水)を強制的に排出する手段を具備している。
【0004】
また、特許文献2のポット型の浄水装置では、貯留される浄水に接するポット容器の面を抗菌性樹脂にて構成している。さらに、特許文献3のポット型の浄水装置では、ポット容器に水道水を貯留するようにし、それをポンプにて加圧して下方から上方に向けてろ材を通過させて浄水を提供するような構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−124553号公報
【特許文献2】特開平7−313968号公報
【特許文献3】特開2006−75811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、水道取り付け型の浄水装置は、工事により水道栓に取り付けねばならないので、任意の場所ではなく、水道栓の周辺に設置場所を確保しなければならない。飲食店などの場合、これを考慮して業務に必要な機材を配置し、従業者は浄水装置から流出する浄水をポット(ピッチャー、水差)に注ぎ入れることになる。これに対し、ポット型の浄水装置は、自由に移動することができるが、容量が小さく、ろ材が簡易なものにならざるを得ず、また、ろ材の浄水出口近傍の殺菌も実際は簡単ではない。飲食店などの場合、このような特別な構造のポットを多数用意し、従業者はポットに水道水を注ぎ入れてポットの中で浄水にすることになる。
【0007】
しかし、飲食店などの場合、個々の店舗の事情によっては、設置場所の制約がなく、ろ材が簡易なものに限られず、多数の通常のポットに浄水を注ぎ入れることが可能な浄水装置が強く望まれる場合も多い。この場合の浄水装置においても、ろ材の浄水出口近傍では、殺菌成分たる残留塩素が除去されているために、雑菌の繁殖が起こり易い環境であって、これに対する対策が必要とされる。
【0008】
本発明は係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、水道栓に取り付けることなく卓上などに設置して、多数の通常のポットに浄水を供給することができ、しかも、ろ材の浄水出口近傍での雑菌の繁殖を抑制することが可能な浄水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の浄水装置は、内部下方に第1下方領域と第2下方領域が形成された原水タンクを有する原水注入部と、原水タンクの第1下方領域に臨み原水が流入する原水入口と、原水入口に流入してきた原水をろ過して浄水を生成するろ材と、ろ材で生成された浄水を流出させる浄水出口と、を有する浄水カートリッジが装着された浄水部と、浄水カートリッジの浄水出口に連通する第1流路が形成された第1流路部と、原水タンクの第2下方領域に連通する第2流路が形成された第2流路部と、外部流出口を有する外部流出路が形成された外部流出路部と、切換弁体が切換弁体収容孔に回動可能に収容され、第1の回動位置にあるときには第1流路と外部流出路を連通させ、第2の回動位置にあるときには第1流路と第2流路を連通させる切換弁体部と、を備えてなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の浄水装置は、請求項1に記載の浄水装置において、前記切換弁体収容孔は、その内壁面に、外部流出路の流入口、第1流路の流出口、第2流路の流出口がこの順に、90度の角度間隔又は180度よりも小さい角度間隔で開口しており、前記切換弁体は2個の開口部を有した弁体流路が内部に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の浄水装置は、請求項1に記載の浄水装置において、前記切換弁体部は、更に、第3の回動位置にあるときには第1流路と第2流路と外部流出路を連通させることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の浄水装置は、請求項3に記載の浄水装置において、前記切換弁体収容孔は、その内壁面に、第1流路の流出口、第2流路の流出口、外部流出路の流入口がこの順に、90度の角度間隔又は180度よりも小さい角度間隔で開口しており、切換弁体は3個の開口部を有した弁体流路が内部に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水道栓に取り付けることなく卓上などに設置し、原水注入部に原水を注ぎ入れて外部流出口の下方にポットを置くことによって浄水を多数のポットに供給することができるとともに、切換弁体を操作することにより、浄水カートリッジの浄水出口近傍(すなわち、ろ材の浄水出口近傍)を原水によって殺菌して雑菌の繁殖を抑制できる浄水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る浄水装置1を示す正面図である。
【図2】同上の浄水装置1の上部の構造を拡大して示す右側面視断面図である。
【図3】同上の浄水装置1の切換弁体部7の近傍を更に拡大した右側面視断面図であって、(a)が第1の回動位置、(b)が第2の回動位置、(c)が第3の回動位置を示すものである。
【図4】同上の浄水装置1の切換弁体部7の変形例の近傍を拡大した右側面視断面図であって、(a)が第1の回動位置、(b)が第2の回動位置を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための好ましい形態を図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る浄水装置1は、図1及び図2に示すように、水道栓に取り付けることなく卓上などに設置されるものであって、原水注入部2、浄水部3、第1流路部4、第2流路部5、外部流出路部6、切換弁体部7を主要構成部としている。この浄水装置1は、上方の原水タンク20に原水(水道水)を注ぎ入れると、浄水部3にて浄水を生成して外部流出路部6の外部流出口61から浄水を流出させる。図2は、図1のX―Xで示す面で切断し外部流出口61より上側のみを示した断面図である。また、図1には、切換弁体70を所要の位置へ回動させるためのレバー74を示しており、また、外部流出口61から流出する浄水を受ける状態のポットPを破線で示している。
【0016】
原水注入部2は、原水タンク20を有しており、そこには仕切り部21によって内部下方の底面近傍に第1下方領域S1と第2下方領域S2が形成されている。原水タンク20に原水を注ぎ入れると、原水は仕切り部21の高さを超えて溜まり、後述のように浄水カートリッジ30を通って第1下方領域S1から原水が下方へ移動しても、原水の一部が第2下方領域S2に貯留されるようになっている。仕切り部21の形状は、どのようなものでも構わないが、典型的には、仕切り部21を図2に示すような仕切り板の形状にして、原水タンク20の底面から所定の高さまで立設させればよい。また、原水タンク20の形状も、どのようなものでも構わなく、典型的には、図2に示すような箱状のものでよいが、例えば、浄水カートリッジ30の後述の原水入口31を配置する近傍だけを下げたり、浄水カートリッジ30の原水入口31まで細い流路を原水タンク20の一部として設けたりすることも可能である。また、原水タンク20の上部には、原水を注ぎ入れるための原水注入口(図示せず)が設けられている。
【0017】
浄水部3では、浄水カートリッジ30が浄水カートリッジ収容部3aに装着されている。浄水カートリッジ30は、原水タンク20の第1下方領域S1に臨み原水が流入する原水入口31と、原水入口31に流入してきた原水をろ過して浄水を生成するろ材(図示せず)と、ろ材で生成された浄水を流出させる浄水出口32と、を有する。浄水カートリッジ30は、第1下方領域S1から原水が漏れて後述の第1流路40の流入口41に流れ込まないように、原水タンク20の底部との間に隙間ができないよう密着している。
【0018】
浄水カートリッジ30に流入した原水は、ゆっくりとした速度で自然落下し、ろ材によりろ過されて浄水が生成される。この点、水道の水圧をろ材にかけて浄水を得る上記の水道取り付け型の浄水装置と異なる。なお、図に示す浄水カートリッジ30は、交換のときに原水タンク20の底面から容易に脱着可能なように把持部33が設けられている。浄水カートリッジ30のろ材は、特に材料は限定されないが、中空糸膜、平膜、セラミック膜、活性炭成形フィルター、積層フィルター、糸巻フィルター、金属フィルターなどのものが可能である。
【0019】
第1流路部4は、第1流路40が形成されている部分である。第1流路40は、浄水カートリッジ30の浄水出口32に連通している。浄水カートリッジ30の浄水出口32から流出した浄水は、第1流路40の流入口41(図3参照。)に流入して後述する切換弁体70に到達する。なお、第1流路部4は第1流路40が形成されていれば、どのような形状でも構わなく、例えば、図2やその他の図に示すように、他の部分(浄水部3や切換弁体部7)とともに外観上一体になっていてもよい。
【0020】
第2流路部5は、第2流路50が形成されている部分である。第2流路50は、原水タンク20の第2下方領域S2に連通している。第2流路50は、その流入口51から原水が流入して後述する切換弁体70まで自然落下するように配置されている。
【0021】
外部流出路部6は、外部流出路60が形成されている部分である。外部流出路60は第1流路40又は第2流路50に流れる或いは溜まった水を外部流出口61から排出する。なお、外部流出路部6は外部流出路60が形成されていれば、どのような形状でも構わなく、例えば、他の部分(切換弁体部7)とともに外観上一体になっていてもよい。
【0022】
切換弁体部7は、浄水部3の下方に設けられており、切換弁体70が切換弁体収容孔71に収容されている。略円柱状の切換弁体70は、切換弁体収容孔71に嵌め込まれた状態で装着されており、その中心軸(図3では紙面に対して垂直方向)のまわりに回動可能である。切換弁体収容孔71の内壁面には、図3に示すように、第1流路40の流出口42、第2流路50の流出口52、外部流出路60の流入口62が開口しており、切換弁体70は、第1の回動位置にあるときには第1流路40と外部流出路60を連通させ、第2の回動位置にあるときには第1流路40と第2流路50を連通させる。また、第3の回動位置にあるときには、第1流路40と第2流路50と外部流出路60を連通させる。
【0023】
切換弁体70と切換弁体収容孔71の具体的構成は、次のようにすることができる。すなわち、切換弁体収容孔71における第1流路40の流出口42、第2流路50の流出口52、外部流出路60の流入口62をほぼ同一面積とし、図3に示すように、同円周上に形成する。より具体的には、第1流路40の流出口42を切換弁体70の真上に設け、第1流路40の流出口42、第2流路50の流出口52、外部流出路60の流入口62、を右回り(右側面視において)にこの順とし、中心軸からの角度間隔がそれぞれ約90度とする。なお、漏水を防ぐために、第1流路40の流出口42、第2流路50の流出口52、外部流出路60の流入口62を、ゴムパッキン材73により取り囲んでいる。ゴムパッキン材73は、一体のものであってもよいし、適宜分割されたものであってもよい。
【0024】
切換弁体70には、内部に弁体流路72が形成され、その3個の開口部、すなわち、第1の開口部72a、第2の開口部72b、第3の開口部72cをほぼ同一面積として同円周上に配置する。具体的には、第1の開口部72a、第2の開口部72b、第3の開口部72cを左回り(右側面視において)にこの順とし、中心軸からの角度間隔がそれぞれ約90度とする。また、図1で示したようなレバー74を切換弁体70に設けて、操作し易いようにしている。
【0025】
切換弁体70が第1の回動位置にあるときは、図3(a)に示すように、第1流路40の流出口42が第1の開口部72aに、外部流出路60の流入口62が第3の開口部72cに、それぞれ相対することにより、第1流路40と外部流出路60が連通する。第2流路50の流出口52は遮断されている。第1の回動位置では、原水タンク20の原水は、浄水カートリッジ30で浄水となり、第1流路40、弁体流路72、外部流出路60を通って外部流出口61から継続して流出する。
【0026】
切換弁体70が第2の回動位置にあるときは、図3(b)に示すように、第1流路40の流出口42が第2の開口部72bに、第2流路50の流出口52が第1の開口部72aに、それぞれ相対することにより、第1流路40と第2流路50が連通する。外部流出路60の流入口62は遮断されている。
【0027】
切換弁体70が、原水タンク20の第1下方領域S1と浄水カートリッジ30に水が溜まっていない状態で、第2の回動位置になると、原水タンク20の第2下方領域S2と第2流路50に溜まっていた原水が、弁体流路72、第1流路40を通って、浄水カートリッジ30の浄水出口32からろ材に向かって逆流する。このとき、原水に含まれる残留塩素により、浄水カートリッジ30の浄水出口32の近傍(すなわち、ろ材の浄水口近傍)が殺菌され、雑菌の繁殖が抑制される。
【0028】
ここで、浄水カートリッジ30に逆流する原水の量は、第2下方領域S2の容積に依存している。よって、第2下方領域S2の容積は、浄水カートリッジ30に逆流する原水の量が適切になるように決めることになる。
【0029】
切換弁体70が第3の回動位置にあるときは、図3(c)に示すように、第1流路40の流出口42が第3の開口部72cに、第2流路50の流出口52が第2の開口部72bに、外部流出路60の流入口62が第1の開口部72aに、それぞれ相対することにより、第1流路40と第2流路50と外部流出路60が連通する。第3の回動位置では、浄水装置1全体に溜まった水、すなわち、原水タンク20(第1下方領域S1及び第2下方領域S2)、浄水カートリッジ30、第1流路40、第2流路50に溜まった水が、弁体流路72、外部流出路60を通って外部流出口61から排出(水切り)される。
【0030】
切換弁体70を図3に示すような具体的構成にしておくと、第1の回動位置から第2の回動位置へ、第2の回動位置から第3の回動位置へ、と順に切り換えることができ、殺菌状態から水切り状態に直接遷移できる。
【0031】
このような浄水装置1は、例えば以下のようにして飲食店などで用いるのに好適である。
【0032】
従業者は、水道からポット(ピッチャー、水差)Pに原水(水道水)を注入し、卓上に設置した浄水装置1まで運んで、原水タンク20に注ぎ入れる。そのとき、浄水装置1の切換弁体70は第1の回動位置にしておく。それから、ポットPを外部流出口61の直下に置く。原水タンク20の原水は、浄水カートリッジ30で浄水となり、第1流路40、切換弁体70、外部流出路60を通って外部流出口61から浄水が流出する。こうして、水道取り付け型の浄水装置のように水道栓に取り付けなくても、ポットPの中に浄水を供給することができる。また、ポットPは、水道から浄水装置1まで運ぶ間は原水が注入された状態であるので、自然と残留塩素により殺菌されたものとなっている。数個のポットPのときは、それぞれのポットPへの浄水の注入が完了したら次のポットPに交換することになる。1個のポットPのときは、ポットPの中に注入される浄水の量は、ポットPから原水タンク20に注ぎ入れた原水の量を超えることはないので、ポットPへの浄水の注入が完了するまで、従業者は注視しておく必要がない。
【0033】
浄水装置1の浄水カートリッジ30の浄水出口32近傍の殺菌は、定期的に或いは必要に応じ、切換弁体70を第2の回動位置にすることで行う。このとき、原水タンク20の第1下方領域S1と浄水カートリッジ30に水が溜まっていない状態にしてから、第2の回動位置にする。浄水カートリッジ30の浄水出口32近傍の殺菌が終われば、切換弁体70を第3の回動位置にして、浄水カートリッジ30と第1流路40に溜まった水の排出(水切り)を行うことができる。
【0034】
切換弁体70を第3の回動位置にすることで、浄水装置1全体(原水タンク20の第1下方領域S1と第2下方領域S2、浄水カートリッジ30、第1流路40、第2流路50)に溜まった水の排出(水切り)が可能である。これは、定期的に或いは必要に応じて行う。
【0035】
また、切換弁体70に第3の回動位置を設けないようにすることも可能である。この場合、タンク2の第2下方領域S2と第2流路50に溜まっていた原水の水の排出は、第2の回動位置と第1の回動位置を繰り返し、また、新しい原水をタンク2に注ぎ入れることによって、行うことが可能である。第3の回動位置を設けない場合の切換弁体70’と切換弁体収容孔71’の具体的構成は、図4(a)、(b)に示すようなものとすることができる。すなわち、第1流路40の流出口42を切換弁体70’の真上に設け、外部流出路60の流入口62、第1流路40の流出口42、第2流路50の流出口52、を右回り(右側面視において)にこの順とし、中心軸からの角度間隔がそれぞれ約90度とする。切換弁体70’の弁体流路72’に2個の開口部、すなわち、第1の開口部72a’、第2の開口部72b’を左回り(右側面視において)にこの順とし、中心軸からの角度間隔が約90度とする。
【0036】
切換弁体70’が第1の回動位置にあるときは、図4(a)に示すように、第1流路40の流出口42が第1の開口部72a’に、外部流出路60の流入口62が第2の開口部72b’に、それぞれ相対することにより、第1流路40と外部流出路60が連通する。第2流路50の流出口52は遮断されている。切換弁体70’が第2の回動位置にあるときは、図4(b)に示すように、第1流路40の流出口42が第2の開口部72b’に、第2流路50の流出口52が第1の開口部72a’に、それぞれ相対することにより、第1流路40と第2流路50が連通する。外部流出路60の流入口62は遮断されている。
【0037】
以上、本発明の実施形態に係る浄水装置1について説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、切換弁体70に第4の回動位置を設けて、第1流路40を遮断し、かつ、第2流路50を遮断する、すなわち、それらをいずれにも連通させない状態を可能にすると、原水をポットPから原水タンク20に注ぎ入れるときに第4の回動位置にしておき、それから第1の回動位置にすることで、ポットPを外部流出口61の直下に置くまでの時間に余裕ができるようになる。第4の回動位置は、図3に示した例の場合は、第1の回動位置に対しての角度が約45度の位置などが可能である。また、図4に示した例の場合は、約45度の位置の他、第2の回動位置と反対方向(例えば約−90度)の回動位置も可能である。
【0038】
また、第1、第2、第3の回動位置のそれぞれの具体的な角度間隔は、約90度に限らず、180度よりも小さい範囲で仕様に合わせて決めることができ、また、第1、第2、第3の回動位置の右回り、左回りも仕様に合わせて決めることができる。また、第1の回動位置から第2の回動位置へ、第2の回動位置から第3の回動位置へ、と順に切り換えることをしなければ、切換弁体70における第1の開口部72a、第2の開口部72b、第3の開口部72cと切換弁体収容孔71における第1流路40の流出口42、第2流路50の流出口52、外部流出路60の流入口62の連通関係はいろいろなものが可能である。
【0039】
また、複数の浄水装置1を合体させた構造で、レバー74を共通にした浄水装置なども可能である。また、場合によっては、水道栓に取り付けて直接に原水を原水タンク20に供給するようなことも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 浄水装置
2 原水注入部
20 原水タンク
21 原水タンク20の仕切り部
3 浄水部
30 浄水カートリッジ
31 浄水カートリッジ30の原水入口
32 浄水カートリッジ30の浄水出口
4 第1流路部
40 第1流路
41 第1流路40の流入口
42 第1流路40の流出口
5 第2流路部
50 第2流路
51 第2流路50の流入口
52 第2流路50の流出口
6 外部流出路部
60 外部流出路
61 外部流出路60の外部流出口
62 外部流出路60の流入口
7 切換弁体部
70 切換弁体
71 切換弁体収容孔
72 弁体流路
S1 原水タンク20の第1下方領域
S2 原水タンク20の第2下方領域
P ポット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部下方に第1下方領域と第2下方領域が形成された原水タンクを有する原水注入部と、
原水タンクの第1下方領域に臨み原水が流入する原水入口と、原水入口に流入してきた原水をろ過して浄水を生成するろ材と、ろ材で生成された浄水を流出させる浄水出口と、を有する浄水カートリッジが装着された浄水部と、
浄水カートリッジの浄水出口に連通する第1流路が形成された第1流路部と、
原水タンクの第2下方領域に連通する第2流路が形成された第2流路部と、
外部流出口を有する外部流出路が形成された外部流出路部と、
切換弁体が切換弁体収容孔に回動可能に収容され、第1の回動位置にあるときには第1流路と外部流出路を連通させ、第2の回動位置にあるときには第1流路と第2流路を連通させる切換弁体部と、を備えてなることを特徴とする浄水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浄水装置において、
前記切換弁体収容孔は、その内壁面に、外部流出路の流入口、第1流路の流出口、第2流路の流出口がこの順に、90度の角度間隔又は180度よりも小さい角度間隔で開口しており、前記切換弁体は2個の開口部を有した弁体流路が内部に形成されていることを特徴とする浄水装置。
【請求項3】
請求項1に記載の浄水装置において、
前記切換弁体部は、更に、第3の回動位置にあるときには第1流路と第2流路と外部流出路を連通させることを特徴とする浄水装置。
【請求項4】
請求項3に記載の浄水装置において、
前記切換弁体収容孔は、その内壁面に、第1流路の流出口、第2流路の流出口、外部流出路の流入口がこの順に、90度の角度間隔又は180度よりも小さい角度間隔で開口しており、切換弁体は3個の開口部を有した弁体流路が内部に形成されていることを特徴とする浄水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−16655(P2012−16655A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155301(P2010−155301)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(500136418)株式会社アイアイ (5)
【Fターム(参考)】