説明

浮力と蒸気力の複合原動装置

【課題】無駄なエネルギーを使用せず、より効率の良いエネルギーをうみ、尚且つ半永久的に稼動し続ける動力装置を作り出す。
【解決手段】タンク底面に設置したニクロム線に電圧をかけ、タンク内の精製水を加熱する。加熱し続ける事で精製水は蒸発し、精製水中を浮上する気泡で動力を得る。蒸発した精製水はタンク内の圧力を上げ、設置した蒸気タービンの動力に変換する。この一連の動力装置を作る事で小さなエネルギーをより大きく取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮力と蒸気力を組み合わせた原動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2008−303865)には、浮力を得るために、コンプレッサーを使用した装置である。これは水面上にコンプレッサーを設置し、水中のキャタピラー下部まで空気を送り、送った空気をバケットが受け止め、浮力で歯車を回転させて動力を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−303865
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来の装置においては、浮力を得るためにコンプレッサーを利用し、浮力を容易に得る事は出来るが、大きな動力を得るには装置が巨大化してしまうことが想定される。より小型で動力を大きく得る事が必要である。
【0005】
特許文献1の装置にあっては、コンプレッサーから空気を水中に押し込むために、水深が深くなればより大きな水圧がかかるため、コンプレッサーに空気を押し返す負荷がかかる。これにより効率よく浮力を得るには水中で気泡を発生させる必要がある。
【0006】
特許文献1の装置にあっては、浮力を得た後の動力は二次利用、三次利用ができない。浮力の発生法を工夫し、二次利用することでより大きい動力を得る必要がある。
【0007】
このような点を鑑み、本発明においては浮力の発生に熱を用い、浮力と蒸気力を同時に発生させる事を可能とする駆動装置を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、タンクの底面に、電力で加熱する材料を用い液体を加熱し、液中で気泡を作り、その気泡により浮力を取り込み、更に液中を上昇しきった気泡(蒸気)を蒸気タービンの原動力として取り込む事を一連の機構とした物である為、背景技術にあげたコンプレッサーで単に空気を押し込み浮力を得るものと違い、浮力と同時に蒸気力による大きなエネルギーと取り込めるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、タンク底面に設置したニクロム線で精製水を加熱し液体中で蒸発させる事で気泡を作り、浮力となって物体を押し上げる。この原動装置により後にあげる請求項4の蒸気タービンの原動力とすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、タンク内で発生した気泡は液体中を上昇し物体を押し上げる特徴を持つため、コンベヤ式の限りではないが、それらに付属するバケットを押し上げる。その駆動力を駆動シャフトに伝え、外部に動力を伝動することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、タンク内で発生した精製水蒸気は体積を増しタンク内の内圧をあげ、蒸気タービンの原動力となる。請求項2にあげる方法で浮力を取り終えた後、蒸気力として二次動力を得て利用することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、タンク内で発生した浮力による原動力と、蒸気力による原動力が一連である事でより大きい動力を得る事が出来る。従来の浮力装置では空気による浮力の発生のため、浮力は同等の原動力を得られるが、蒸気タービンの原動力としての力とはならない。蒸気タービンの十分な原動力となる蒸気による浮力を発生させる事で、蒸気タービンの原動力にもなり、効率良く大きなエネルギーを発生させることできる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、本発明のエネルギーは動力を必要とする全ての機械の原動機として使用できることを特徴に持つ。発電機と組み合わせることで発電が出来、船に搭載する事でスクリューを回転させる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、この複合原動装置を発電機と組み合わせる事で、半永久的に稼動させる事を可能にする特徴を持つ。その理由に、浮力で得られた動力はニクロム線を加熱するための発電に使い、一方の蒸気力はタービンを回し、外部装置の動力として利用する事ができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、貯水タンクの底面に、電力で加熱する材料を用いて液体を加熱し、液中で気泡を作り、その気泡より浮力を取り込み、更に液中を上昇しきった気泡(蒸気)を蒸気タービンの原動力として取り込む事を一連の機構とした特徴を持つ原動装置の発明である。この複合原動装置は、後の請求項にあげる特徴と組み合わせる事で、この機構を半永久的に稼動し続ける原動装置を創造できる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、タンク底面に設置したニクロム線で精製水を気化させ、タンク内の液体中を気泡が上昇する仕組みを作る事ができる。これによる良い効果は、精製水の加熱に燃料を使っておらず、燃料を使う事の環境に対する悪影響を避けられる。CO2排出、廃棄物、燃料資源の消費の限りではないがこれらがあげられる。しかし、ニクロム線を加熱するには電力が必要で、太陽光、水力、風力等のエネルギーを電力に変換し、ニクロム線の加熱につかう。ここで発生した気泡による浮力が後の請求項であげた発明で電力が供給される為、燃料の必要がなくなる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、タンク内で発生した気泡を別紙図面の図1に記したコンベヤ式の限りではないが、コンベヤバケットで受け止め上昇する力を動力として取り出す事を特徴としている。この仕組みは浮力を効率よく取り出す手段として最も簡単な方法で、単に装置の大きさで取り出せる浮力は比例して大きくなる。別紙図面の図1によれば、幅のある装置であれば浮力を一度に大きく取り出せ、高さのある装置であれば長時間浮力を持続させられる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、タンク内で発生した蒸気は体積を増し、蒸気タービンの原動力となる。これは従来の火力発電所等で行われている動力装置であり、これだけでは本発明の効果は最大に発揮されない。先に記した請求項3にあげる方法と組み合わせることで本発明の効果を最大に発揮できる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、タンク内で発生した浮力による原動力と、蒸気による原動力が一連である事を特徴としている。この発明は、浮力から更に蒸気力を、得る事で、更に大きなエネルギーへと変換できる事を可能にしている。この二つの発明を単独で稼動させる事は、無駄が多く半永久稼動には至らない。兼ねてしまう事で無駄を省くことができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、動力を必要とする全ての機械の原動機として、利用可能とすることができる。これは単に、発電機に接続する事で、電力にする事ができるが、これを船に搭載することで、スクリューの原動力とすることも可能となる。この装置の動力は多岐にわたる事を示す。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、複合原動装置を発電機と組み合わせる事で、半永久的に稼動させる事を可能にする特徴をもつ。本発明で浮力を発生させるにはニクロム線に電力を使う。ニクロム線に必要な電力は浮力を発生させる事で、発電機を稼動させ、この電力をニクロム線に送電する事で循環し半永久に稼動し続ける。浮力と同時に発生した蒸気力をタービンに送り、発電機に伝える事でより大きな電力を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の全体構成を示す図
【図2】本発明の浮力発生部を示す図
【図3】本発明の浮力伝動部を示す図
【図4】本発明の蒸気力伝動部を示す図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0023】
以下、本発明を具体化した別紙図面の図1に基づいて説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0024】
図1に本発明の実施形態の浮力と蒸気力の複合原動装置の全体構成を示す。
【0025】
図2、図3、図4に図1の浮力と蒸気力の流れを順に示す図である。
【0026】
図1に示す実施形態は、請求項1にあげる全体構成である。ニクロム線1に電圧をかけ、タンク0内の精製水2を加熱する。精製水2が加熱されやがて気化する。タンク0内で気化し始めた精製水2は液中で気泡となり、液中を上昇しコンベヤバケット4で受け止められる。浮力でコンベヤバケット4を押し上げ、その駆動を外部装置5に伝え、浮力の役割を終える。ここで浮力の役割を終えた気泡は蒸気となり、タンク0内の内圧を上げ、やがて蒸気タービン6の原動力となる。以上が本発明の実施例を備えたシステムの全体構図である。以下で各部の詳しい説明をする。
【0027】
図2に示す実施例は、請求項2に記載のタンク下部で浮力を発生させる工程を示す図である。ニクロム線1に電圧をかけるとニクロム線1は高熱になる。ニクロム線1を通常の水道水等を使うと漏電してしまう為、あえて精製水2を使用する。こうする事で熱効率を上げ、漏電による感電を防ぐ。ニクロム線1が加熱し続けると精製水2は気化し、液体中を気泡8となり浮力の原動力となる。ここでニクロム線1の起電力は太陽光発電等の電力を使用したものを使うと望ましい。
【0028】
図3に示す実施例は、請求項3に記載のコンベヤ部で浮力を伝動させる工程を示す図である。図2で発生させた気泡8はタンク0内の精製水2中を上昇する。その上昇過程をコンベヤバケット4で受け止めることで伝動シャフト3に動力が伝わり、外部装置5を稼動させる。この工程では単に装置に大きいものを使う事でより大きな動力を得られるようになる。高さのある装置であれば動力を長時間得る事ができ、幅があれば、大きな動力が得られる。
【0029】
図4に示す実施例は、請求項4に記載の蒸気力を伝動させる工程を示す図である。図3で精製水を上昇しきった気泡8は、蒸気9としてタンク0上部に溜まりだす。蒸気9はタンク0上部の空気中に充満し、タンク0内の内圧をあげ蒸気タービン6の動力になる。ここでは、浮力を取り終え、気化した精製水2を再度、蒸気力として動力化している。ここまでで、燃料を全く必要としない原動装置が可能となる。
【0030】
先に記した図面の実施例は、請求項5、請求項6、請求項7に記載の複合原動装置を示す図である。図1に示す全体構成は、浮力と蒸気力を装置全体で一連の作業をこなす。浮力と蒸気力を別々に取る方法では効率が悪く、纏める事で動力を多くうみだす。この装置自体、原動力装置であり、利用方法は多岐にわたる。発電機とつなぐ事で発電をする事もできるし、スクリューとつなぐ事で船の推進力を作り出すこともできる。先に述べた利用方法に発電機とつなぐ方法を提案したが、本発明を発電装置とつなぐ事でニクロム線1の加熱を早め、より高温になる事で装置がより稼動し、半永久的に動力を生み出す装置になる。
【0031】
本発明の複合原動装置は燃料を必要とすることなく動力を生むうえに、半永久的に稼動し続けるため、環境に配慮した装置として非常に有用である。また、廃棄物を出さず、大気汚染をしない。二酸化炭素の排出も全くない。装置の設置場所、建設地は全く選ばない。小型であれば、住宅地にも設置ができ、大型であれば、マンションやビルに添わせる設置もできる。
【0032】
本発明は、以上述べた実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
0,タンク
1,ニクロム線
2,精製水
3,伝動シャフト
4,コンベヤバケット
5,外部装置
6,蒸気タービン
7,コンベヤベルト
8,気泡
9,蒸気
10,気泡又は蒸気の動き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク底面に、電力で加熱する材料を用い液体を加熱し、液中で気泡を作り、その気泡により浮力を取り込み、更に液中を上昇しきった気泡(蒸気)を蒸気タービンの原動力として取り込む事を一連の機構とした特徴を持つ浮力と蒸気力の複合原動装置。
【請求項2】
タンク底面に設置したニクロム線で精製水を気化させ、タンク内の液体中を気泡が上昇する仕組みを持つ請求項1に記載の浮力と蒸気力の複合原動装置。
【請求項3】
タンク内で発生した気泡を別紙図面の図1に記したコンベヤ式の限りではないが、コンベヤバケットで受け止め上昇する力を動力として取り出す事を特徴とした請求項1に記載の浮力と蒸気力の複合原動装置。
【請求項4】
タンク内で発生した蒸気は体積を増し内圧を上げ、蒸気タービンの原動力となる事を特徴とする請求項1に記載の浮力と蒸気力の複合原動装置。
【請求項5】
タンク内で発生した浮力による原動力と、蒸気による原動力が一連である事を特徴とする請求項1に記載の浮力と蒸気力の複合原動装置。
【請求項6】
動力を必要とする全ての機械の原動機として、利用可能とする特徴を持つ請求項1に記載の浮力と蒸気力の複合原動装置。
【請求項7】
この複合原動装置を発電機と組み合わせる事で、半永久的に稼動させる事を可能にする特徴をもつ請求項1に記載の浮力と蒸気力の複合原動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−117427(P2011−117427A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296030(P2009−296030)
【出願日】平成21年12月6日(2009.12.6)
【出願人】(509177038)
【Fターム(参考)】