説明

浮屋根式貯槽の浮屋根解体工事施工法

【課題】 仮設機材の削減、施工性を配慮して、浮屋根のデッキ板をラセン状に連続して切断し底板上へ順次降下させ、安全作業で作業性良く浮屋根の解体撤去を行うことができるようにした浮屋根の解体工事施工法を提供する。
【解決手段】 浮屋根5を所定高さ位置にデッキサポート12で固定支持し、浮屋根5の上部及び下部に設けられている付属部材を解体撤去した後、浮屋根上で切断装置を使用して、浮屋根のデッキ板6を中央から外周に向けて、又は外周から中央に向けて、デッキサポート12に荷重を支持させて中央に跨ぐように所定幅の連続したラセン状帯板21に切断し、デッキサポート12を取外しながらこの連続したラセン状帯板21を底板2上に順次降下させ、次いでこのラセン状帯板21を搬出容易となる所定長さの短片に裁断して搬送撤去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は浮屋根式貯槽の浮屋根の修復や取替えなどを行うために、既設浮屋根の解体工事を施工する浮屋根式貯槽の浮屋根解体工事施工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浮屋根式貯槽は、浮屋根に腐食や損傷などが生じた場合、或いは耐震性や耐久性を向上させる場合に、通常は底板上の所定高さ位置に浮屋根を保持した状態で浮屋根の修復や取替えなどの解体工事を行っている。
この解体工事には、例えばシングルデッキ構造の浮屋根の修復や取替えを行う場合、シングルデッキ構造の浮屋根をダブルデッキ構造の浮屋根に改造する場合、或いは内部浮き蓋付き貯槽、つまりドーム屋根やコーンルーフ屋根付き貯槽の内部に設けられている浮屋根の修復や取替え、改造を行う場合などがある。
【0003】
図8は、一般的なシングルデッキ構造の浮屋根式貯槽の事例である。
原油その他の揮発性・可燃性液体を貯蔵する大型の浮屋根式貯槽1は、円形平板の底板2と、円筒体形状の側板3と、この側板3内部の貯蔵液4の液面上に浮べた浮蓋状で一枚板、つまりシングルデッキ構造の浮屋根5とから形成されている。
この浮屋根5は、貯蔵液4の蒸発を抑制し、貯蔵液4へ雨水や異物などが混入するのを防止するように形成され、浮屋根5は一枚の薄板鋼板のデッキ板6と、このデッキ板6外周の環状箱体の外周ポンツーン7とから形成される。
この外周ポンツーン7と側板3内面との間隙には、気密性を保持するシール装置8と、その上部に雨よけ板9が設けられている。また、浮屋根5の上に降る雨水をデッキ板6の中心部に集めて貯槽外部へ排水するルーフドレン10、さらに必要に応じてベースヒータ11などの付属部材が設けられている。
【0004】
従来一般に、上記図8に示す浮屋根の部分又は全体の取替えや修復などを行う場合は、図9及び図10に示すように、シングルデッキ構造の浮屋根5を底板2上方の所定高さ位置に降下させて、デッキサポート12及び仮設の架台13で支持し、この架台13の上でデッキ板6や外周ポンツーン7などを切断している。
【0005】
図9は、従来例の浮屋根解体工事施工の事例で、クレーン14を使用して浮屋根5の切断片を吊上げて搬出する場合を示す全体説明図である。
上方が開放されている浮屋根式貯槽1の場合には、図9のように貯槽外部にクレーン14を設置して、解体した浮屋根5の切断片をクレーン14で吊上げて側板3を超えて貯槽外部へ搬出撤去している。
【0006】
図10は、従来例の浮屋根解体工事施工の他の事例で、切断した浮屋根5の切断片を貯槽の側マンホール15から貯槽の外部へ搬出する場合を示す全体説明図である。
上方に屋根がある場合(図示せず)やクレーンを使用しない図10に示す事例は、浮屋根5を所定高さ位置に支持した状態で切断した各切断片を、底板2の上に降ろして側マンホール15から貯槽外部へ搬出している。
【0007】
さらに、安全性、仮設機材の削減を配慮して、底板近傍の低い位置の安全作業で作業性良く浮屋根の解体撤去を行うことができるようにした浮屋根の解体工事施工法には、本特許出願人による特願2009-111354号「浮屋根式貯槽の浮屋根解体工事施工法」の発明がある。
この発明は、図11に示すように、浮屋根5を所定高さ位置にデッキサポート12で固定支持し、降下装置16をデッキサポート12の上端位置に取付け、かつデッキサポート12の下端近傍位置に止め具17を設け、次いで図の破線で示すようにデッキサポート12に沿わせて浮屋根5を降下させた後、底板2近傍の低い位置で浮屋根5のデッキ板6を切断撤去(図示省略)する施工法である。
【0008】
また、従来の特開平2−219781号公報「浮屋根式タンクの浮屋根解体方法」の発明は、タンク本体内に設置したデッキの縁側に少なくとも一つのけん引部材を取着けると共に前記タンク本体には、所定の位置に前記けん引部材取出孔を設け、前記けん引部材をけん引して、前記デッキに回転力を加えることによりデッキポストを倒すようにした浮屋根の解体方法である。
【0009】
さらに、従来の特開平8−60893号公報「大型貯槽の切断解体方法」は、大型貯槽の外殻部材の天井部及びそれに続く下側部を天井部の中心近傍位置から所定間隔をもって広がる渦巻状ラインに沿って順次切断し、この切断した部位の始端部から順次下方へ引き下げつつ外殻部材を解体していく方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2−219781号公報
【0011】
【特許文献2】特開平8−60893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図9に示す従来例の浮屋根解体工事施工法でクレーン14を使用して切断片を搬出する事例は、デッキサポート12の他に多くの仮設の架台13が必要となり、解体した重量部材を吊上げて高い側板を越える作業も大変であった。
【0013】
また、図10に示す従来例の浮屋根解体工事施工法で浮屋根を底板上の所定高さに保持した状態で解体作業を行い、貯槽のマンホール15を使用して切断片を搬出する事例は、デッキサポート12と仮設の架台13を使用して背丈以上の高い位置に浮屋根5を保持して切断作業を行うため、高所作業となって落下の危険を伴う場合があった。また、切断した重量部材を底板2の上に降ろす作業も大変であった。
【0014】
さらに、図11に示す本特許出願人による特願2009-111354号「浮屋根式貯槽の浮屋根解体工事施工法」の発明は、仮設機材の削減を配慮して、底板近傍の低い位置の安全作業で作業性良く浮屋根の解体撤去を行うことができる浮屋根の解体工事施工法であるが、数多くの降下装置16をデッキサポート12の上に取付ける必要があり、デッキを広範囲にわたって平均に降下する必要があった。
【0015】
また、従来の特開平2−219781号公報「浮屋根式タンクの浮屋根解体方法」の発明は、浮屋根デッキに回転力を加えてデッキポストを倒して低い位置で解体する方法であるが、側板を切断開口する必要があり、デッキポスト全体を同時かつ平均に倒すことが難しかった。さらに、デッキホストを一度に倒すため底板を損傷するおそれがあり、底板を再利用する工法には適していない。
【0016】
さらにまた、従来の特開平8−60893号公報「大型貯槽の切断解体方法」は、球形貯槽の切断解体には適しているが、浮屋根貯槽の浮屋根の解体を行う場合には切断装置を貯槽周囲に走り回すことや貯槽外部へ切断片を引き出すことには適していなかった。
【0017】
この発明の目的は、上述のような従来技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、仮設機材の削減、施工性を配慮して、浮屋根のデッキ板をラセン状に連続して切断し底板上へ順次降下させ、安全作業で作業性良く浮屋根の解体撤去を行うことができるようにした浮屋根の解体工事施工法を提供するものである。

【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の浮屋根解体工事施工法は、浮屋根を所定高さ位置にデッキサポートで固定支持し、浮屋根の上部及び下部に設けられている付属部材を解体撤去した後、浮屋根上で切断装置を使用して、浮屋根のデッキ板を中央から外周に向けて、又は外周から中央に向けて、デッキサポートに荷重を支持させて中央に跨ぐように所定幅の連続したラセン状帯板に切断し、デッキサポートを取外しながらこの連続したラセン状帯板を底板上に順次降下接地させ、次いでこのラセン状帯板を搬出容易となる所定長さの短片に裁断して搬送撤去するものである。
【0019】
請求項2記載の浮屋根解体工事施工法は、上記切断装置を浮屋根のデッキ板上中央の軸心に巻き付けるワイヤに係留しガイドさせてラセン状に走行させながらラセン状帯板に切断するように形成したものである。
【0020】
請求項3記載の浮屋根解体工事施工法は、上記切断したラセン状帯板を、底板上を走行移動する台車上で順次短片に裁断して搬送するように形成したものである。

【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の浮屋根解体工事施工法は、浮屋根を所定高さ位置にデッキサポートで固定支持し、浮屋根の上部及び下部に設けられている付属部材を解体撤去した後、浮屋根上で切断装置を使用して、浮屋根のデッキ板を中央から外周に向けて、又は外周から中央に向けて、デッキサポートに荷重を支持させて中央に跨ぐように所定幅の連続したラセン状帯板に切断し、デッキサポートを取外しながらこの連続したラセン状帯板を底板上に順次降下接地させ、次いでこのラセン状帯板を搬出容易となる所定長さの短片に裁断して搬送撤去するので、連続して切断作業ができこの切断したラセン状帯板を順次降下するため、切断作業に関わる人や物の落下の心配がなくなるため安全で、仮設の架台や降下装置などの機材を削減することができ、デッキサポートを順次除去し底板上の低い場所で切断片を裁断して撤去するので作業能率が良く、安全性が確保される。
【0022】
請求項2記載の浮屋根解体工事施工法は、上記切断装置を浮屋根のデッキ板上中央の軸心に巻き付けるワイヤに係留しガイドさせてラセン状に走行させながらラセン状帯板に切断するように形成したので、所定幅のラセン状帯板を連続して作業性良く切断することができ、切断装置は安定した軌跡と速度で走行させて作業性良く切断作業を継続することができる。
【0023】
請求項3記載の浮屋根解体工事施工法は、上記ラセン状に切断した帯板を、底板上を走行移動する台車上で順次短片に裁断して搬送するように形成したので、底板近傍の低い位置での裁断から積込み及び搬出の一連作業を台車を利用して行うため、切断片の取扱いが繁雑となることがなく安全作業で作業能率が向上し、コスト低減、工期短縮も図られる。

【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明に係る浮屋根解体工事施工法の浮屋根を所定位置に固定して浮屋根上下の各付属部材を解体撤去する状況を示す側面全体説明図である。
【図2】この発明に係る浮屋根解体工事施工法における浮屋根上下の付属部材を解体撤去した後、浮屋根のデッキ板を中央部から外周に向かってラセン状に切断する状況を示す平面説明図である。
【図3】図2の側面説明図である。
【図4】この発明に係る浮屋根解体工事施工法の実施形態で、浮屋根のデッキ板を外周部から中央に向かってラセン状に切断する状況を示す平面説明図である。
【図5】図4の側面説明図である。
【図6】この発明に係る浮屋根解体工事施工法に使用する切断装置を設けた事例を示す説明図である。
【図7】この発明に係る浮屋根解体工事施工法に使用する搬出装置を設けた事例を示す説明図である。
【図8】一般的なシングルデッキ構造浮屋根を備えた浮屋根式貯槽を示す全体側面説明図である。
【図9】従来例の浮屋根解体工事施工法でクレーンを使用して切断片を搬出する事例を示す全体説明図である。
【図10】従来例の浮屋根解体工事施工法で貯槽のマンホールを使用して切断片を搬出する事例を示す全体説明図である。
【図11】浮屋根解体工事施工法の本出願人に係わる比較例でデッキサポートに昇降装置を設置し、続いて、この昇降装置を使用して浮屋根を降下させる状況を示す側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明に係る浮屋根解体工事施工法の実施形態を、図1乃至図7に基づいて説明する。
この実施形態例は、図8に例示したシングルデッキ構造浮屋根式貯槽を解体する事例を示すもので、図1乃至図7にわたって同一の用語には同一の符号を使用し各符号の説明は一部省略している。
なお、図示事例ではシングルデッキ構造浮屋根式貯槽について説明するが、シングルデッキ構造浮屋根式貯槽に限定されることなく、ダブルデッキ構造浮屋根式貯槽の場合や、内部浮き蓋付き貯槽の浮屋根の解体工事にも適用することができることは言うまでもない。
1は浮屋根式貯槽、2は円形平板の底板、3は円筒体形状の側板、5はシングルデッキ構造の浮屋根、6はデッキ板である。7は環状箱体の外周ポンツーン、8は外周ポンツーン7と側板3内面との間隙を気密に保持するシール装置、9は雨よけ板である。10は浮屋根5のデッキ板6の中心から貯槽の外部へ至るルーフドレン、11は必要に応じて設けられるベースヒータである。
【0026】
図1は、この発明に係る浮屋根解体工事施工法の浮屋根を所定位置に固定して、浮屋根の上下の付属部材を解体撤去する状況を示す側面全体説明図である。
図のようにデッキサポート12を用いて浮屋根5を所定高さ位置、例えば最高位置設定のハイデッキの位置に固定し、破線Aに示すようにデッキ板6の上に設けられている外周ポンツーン7、シール部材8、雨よけ板9などの付属部材を切断し、破線Bに示すようにデッキ板6の下に設けられているルーフドレン10、ベースヒータ11などの付属部材を切断し、さらに細かく裁断し軽量化した切断片をマンホール15から貯槽外部へ撤去する。
なお図示はしないが、内部浮き蓋付き貯槽の場合は、ルーフドレンなどの浮屋根下部の付属部材がない場合がある。
【0027】
この場合、破線Aに示す外周ポンツーン7、シール部材8、雨よけ板9は、デッキ板6の上で細かく重くないように切断するため落下などの心配がなく安全作業で降下させることができる。また、破線Bに示すルーフドレン10、ベースヒータ11はデッキ板6の下の天井が高いハイデッキの状態で切断するため作業性が良く、マンホール15からの搬出も安全作業で作業性良く行うことができる。
【0028】
図2は、この発明に係る浮屋根解体工事施工法を示すもので、図1に続いて、浮屋根のデッキ板6を中央部から外周方向に向けてラセン状に連続して切断する状況を示す平面説明図である。
18Sは中央部の切断起点で、デッキ板6の外周部の切断終点19Eに向かって、二点鎖線で示すラセン状切断線20のように切断していくことにより連続したラセン状帯板21を形成する。
【0029】
ラセン状切断線20は、中央部から渦巻きが広がるように、デッキサポート12の位置を避けて、デッキサポート12に荷重を支持させて中央に跨ぐように外周に向かって進み、切断が進行してラセン状帯板21が形成されるに従って順次デッキサポート12を取外して行く。デッキサポート12が取外されたラセン状帯板21は、自重で徐々に降下して底板2の上へ順次着地する所定幅とする。
切断機と作業者(図示せず)は、浮屋根のデッキ板上で確りと荷重を支えられて切断に従って後方へ進んでいく。
【0030】
図3は、図2の側面説明図である。
デッキ板6の中央部の切断起点18Sから外周に向かってラセン状に切断を開始し、中央近傍のデッキサポート12を除去するとラセン状帯板21は自重によって徐々に降下し底板2の上に順次着地、つまり軟着陸ソフトランディングしていく。
【0031】
図4は、この発明に係る浮屋根解体工事施工法の他の実施形態で、図1に続いて、浮屋根のデッキ板6を外周部から中央に向けてラセン状に連続して切断する状況を示す平面説明図である。
18Sは切断起点で、デッキ板6の外周部から中央の切断終点19Eに向かって、二点鎖線で示すラセン状切断線20のように切断していくことによりラセン状帯板21が得られる。
【0032】
ラセン状切断線20は、外周部から渦巻きに吸い込まれるように、デッキサポート12の位置を避けて、デッキサポート12に荷重を支持させて中央に跨ぐように中央に向かって進み、切断を終了するに従ってデッキサポート12を順次取外して行く。デッキサポート12が取外されたラセン状帯板21は、自重で徐々に降下して底板2の上へ順次着地する所定幅とする。
切断機と作業者(図示せず)は、浮屋根上で確りと荷重を支えられて切断に従って後進していく。
【0033】
図5は、図4の側面説明図である。
デッキ板6の外周部の切断起点18Sから中央に向かってラセン状に切断を開始し、外周近傍のデッキサポート12を除去するとラセン状帯板21は自重によって徐々に降下し底板2の上に順次着地、つまり軟着陸ソフトランディングしていく。
【0034】
図6は、この発明に係る浮屋根解体工事施工法に使用する切断装置を設けた事例を示す説明図である。
切断機24を浮屋根のデッキ板6上中央の軸心となるセンタードラム22に巻き付けるワイヤ23に係留し、このワイヤ23を外周半径方向に張った状態でガイドさせながら安定した軌跡と速度を調整しながらラセン状に走行させて、連続したラセン状切断線20が得られるように切断する。
この際に、切断機24の走行に張ったワイヤ23の旋回を、デッキ板6上に延出したデッキサポート12が邪魔しないように、ワイヤ23を高く張るか或いはデッキサポート12の上端を低くするかしておく。
図6に示す事例は、外周部の切断起点18Sから切断機24を走行させ、ラセン状切断線20に沿って切断する際に、センタードラム22の巻取り部25にワイヤ23を巻き付けて、外周部から中央に向かってラセン状に移動させる。この際に、センタードラム22へのワイヤ23の一周巻取り長さがラセン状帯板21の所定幅となるように形成する。
また、図示はしないが中央部から切断をスタートする場合には、中央部のセンタードラムは残しておいて、ワイヤを巻き戻しながら外周に向かってラセン状に切断していく。
【0035】
図7は、この発明に係る浮屋根解体工事施工法に使用する搬出装置を設けた事例を示す説明図である。
上記切断したラセン状帯板21を、台車26上に軟着陸、つまりソフトランディングさせて積込み、底板2上を走行移動する台車26上で搬送容易となる適当な長さの短片27に裁断位置28で順次切断し、続いて台車26で搬送し、マンホール15から貯槽外部へ搬出するように形成したものである。
この台車26は、帯板21の幅と同程度の幅とし、走行性と操作性が良いものを複数台準備しておくと、より作業能率が向上する。
【0036】
上記のように、この発明に係る浮屋根解体工事施工法は、デッキサポート12で荷重を支持されたデッキ板6の上で所定幅の帯板に切断するので、浮屋根の切断解体は安全作業で効率良く行うことができ、さらにデッキサポート12を順次撤去しながらラセン状の帯板21を底板2上に順次降下させ着地するので、切断作業時に人や物の落下の心配がなく安全性が確保される。このように、デッキ板6上での切断作業とデッキ板6下での裁断、搬送作業が一致しないため安全作業となる。
なお図示はしないが、浮屋根切断箇所の下部近傍に必要に応じて移設可能な仮設の荷重支持架台を設置し、切断に応じて順次移設撤去をするとさらに安全で安心が得られる。
【0037】
このように浮屋根5のデッキ板6をラセン状に切断してラセン状帯板21とし、このラセン状帯板21を底板2上へ順次軟着陸、つまりソフトランディングさせ、続いて短片27に順次裁断し、この短片27を作業性良く搬送し貯槽の外部へ搬出することができるため、作業の安全性、施工性が向上する。
また、大掛かりな仮設の架台や複数の降下装置が要らないため、仮設機材を削減することができ、コスト低減、工期短縮となる。

【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明に係る浮屋根解体工事施工法は、シングルデッキ構造やダブルデッキ構造の浮屋根の取替えや修復などの工事施工、シングルデッキ構造の浮屋根をダブルデッキ構造の浮屋根への改造、内部浮き蓋付き貯槽、つまりドーム屋根やコーンルーフ屋根付き浮屋根の耐震性を向上するための改造に適用することができる。

【符号の説明】
【0039】
1 浮屋根式貯槽
2 底板
3 側板
4 貯蔵液
5 浮屋根
6 デッキ板
7 外周ポンツーン
8 シール装置
9 雨よけ板
10 ルーフドレン
11 ベースヒータ
12 デッキサポート
13 架台
14 クレーン
15 マンホール
16 降下装置
17 止め具

18S 切断起点
19E 切断終点
20 ラセン状切断線
21 ラセン状帯板
22 センタードラム
23 ワイヤ
24 切断機
25 巻取り部
26 台車
27 短片
28 裁断位置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮屋根を所定高さ位置にデッキサポートで固定支持し、浮屋根の上部及び下部に設けられている付属部材を解体撤去した後、浮屋根上で切断装置を使用して、浮屋根のデッキ板を中央から外周に向けて、又は外周から中央に向けて、デッキサポートに荷重を支持させて中央に跨ぐように所定幅の連続したラセン状帯板に切断し、デッキサポートを取外しながらこの連続したラセン状帯板を底板上に順次降下接地させ、次いでこのラセン状帯板を搬出容易となる所定長さの短片に裁断して搬送撤去することを特徴とする浮屋根解体工事施工法。
【請求項2】
上記切断装置を浮屋根のデッキ板上中央の軸心に巻き付けるワイヤに係留しガイドさせてラセン状に走行させながらラセン状帯板に切断するように形成したことを特徴とする請求項1記載の浮屋根解体工事施工法。
【請求項3】
上記切断したラセン状帯板を、底板上を走行移動する台車上で順次短片に裁断して搬送するように形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の浮屋根解体工事施工法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−1077(P2011−1077A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144198(P2009−144198)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000147729)株式会社石井鐵工所 (67)
【Fターム(参考)】