説明

浴室建具

【課題】浴室内外の高低差を設けつつ大きな段差が生じない浴室建具を提供する。
【解決手段】浴室内外の境界に設けられ前記浴室の出入口を開閉自在に設けられ、前記出入口を開く際に、前記出入口と隣接する壁部の脱衣室側に設けられた引き込み領域に引き込まれる障子と、前記障子が案内されるレールを備えた下枠と、前記下枠に設けられ前記障子の前記浴室外側にて、前記浴室の床をなす防水パンより高い位置に設けられ、前記下枠と前記障子との間を止水する止水部材と、を有し、前記レールは、前記防水パンより高い位置に設けられており、前記下枠の前記レールより浴室側には、前記浴室に向かって高さが低くなる傾斜部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の出入口を開閉自在に設けられた障子を有する浴室建具に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室の出入口を開閉自在に設けられた障子を有する浴室建具としては、開口部に装着するサッシ枠と、サッシ枠に組み込まれ、開口部と隣接する壁パネルの浴室内側に沿って引き込まれる片引き式の引戸と、を備えた浴室ユニットの引戸装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この浴室ユニットの引戸装置は、サッシ枠が有する下枠が、浴室内側が浴室外側より低い段を有しており、引戸の浴室外側の段部に引戸に向かってブラシが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−165977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に住宅においては、高齢者や障害者への配慮として室内外の段差を小さく抑えることが求められている。しかしながら上記のような浴室ユニットの浴室建具は、浴室側の水等が浴室外に溢れることを防止するために、浴室内より浴室外が高くなるように形成されており、段差が生じてしまう。また、浴室内外の高低差を補うために浴室側の床と浴室内側の床との間にスロープ部材を設けることが考えられるが、スロープ部材が浴室に突出して浴室が狭められてしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、浴室内外の高低差を設けつつ大きな段差が生じない浴室建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の浴室建具は、浴室内外の境界に設けられ前記浴室の出入口を開閉自在に設けられ、前記出入口を開く際に、前記出入口と隣接する壁部の脱衣室側に設けられた引き込み領域に引き込まれる障子と、前記障子が案内されるレールを備えた下枠と、前記下枠に設けられ前記障子の前記浴室外側にて、前記浴室の床をなす防水パンより高い位置に設けられ、前記下枠と前記障子との間を止水する止水部材と、を有し、前記レールは、前記防水パンより高い位置に設けられており、前記下枠の前記レールより浴室側には、前記浴室に向かって高さが低くなる傾斜部が設けられていることを特徴とする浴室建具である。
このような浴室建具によれば、浴室の出入口を開閉自在に設けられた障子は、出入口を開く際に、出入口と隣接する壁部の脱衣室側に設けられた引き込み領域に引き込まれるので、障子が案内されるレールを壁部の分だけ浴室外側に配置することが可能である。
【0007】
また、下枠と障子との間を止水する止水部材を浴室外側に配置したので、レール及び障子より浴室外側に止水部材を支持するような高い部位を設ける必要がない。そして、下枠のレールより浴室側に浴室に向かって高さが低くなる傾斜部が設けられているので、浴室の床をなす防水パンの上面と脱衣室側の上面とに高低差を設けつつ、その高低差を、傾斜部により補って段差が生じないような浴室建具を提供することが可能である。
【0008】
特に、上記浴室建具は、障子の引き込み領域を壁部の浴室外側に設けたので、障子が案内されるレールをより浴室外側に配置して、傾斜部の見込み方向の距離をより長く設けることが可能である。このため、緩やかな傾斜にて浴室内外の高低差を補うことが可能である。このため、高い止水性を確保しつつ段差の生じない浴室建具を提供することが可能である。
【0009】
また、浴室内外の境界に設けられ前記浴室の出入口を開閉自在に設けられ、前記出入口を開く際に、前記出入口と隣接する壁部の脱衣室側に設けられた引き込み領域に引き込まれる障子と、前記障子が案内されるレールを備えた下枠と、前記障子の下框の、前記浴室の床をなす防水パンより高い位置に設けられ、前記下枠と前記障子との間を止水する止水部材と、を有し、前記レールは、前記防水パンより高い位置に設けられており、前記下枠の前記レールより浴室側には、前記浴室に向かって高さが低くなる傾斜部が設けられていることを特徴とする浴室建具である。
このような浴室建具によれば、浴室の出入口を開閉自在に設けられた障子は、出入口を開く際に、出入口と隣接する壁部の脱衣室側に設けられた引き込み領域に引き込まれるので、障子が案内されるレールを壁部の分だけ浴室外側に配置することが可能である。
【0010】
また、下枠と障子との間を止水する止水部材を障子の下框に配置したので、レール及び障子より浴室外側に止水部材を支持するような高い部位を設ける必要がない。そして、下枠のレールより浴室側に浴室に向かって高さが低くなる傾斜部が設けられているので、浴室の床をなす防水パンの上面と脱衣室側の上面とに高低差を設けつつ、その高低差を、傾斜部により補って段差が生じないような浴室建具を提供することが可能である。
【0011】
特に、上記浴室建具は、障子の引き込み領域を壁部の浴室外側に設けたので、障子が案内されるレールをより浴室外側に配置して、傾斜部の見込み方向の距離をより長く設けることが可能である。このため、緩やかな傾斜にて浴室内外の高低差を補うことが可能である。このため、高い止水性を確保しつつ段差の生じない浴室建具を提供することが可能である。
【0012】
かかる浴室建具であって、前記傾斜部は、前記レールの基端から繋がっていることが望ましい。
このような浴室建具によれば、傾斜部がレールの基端から繋がっているので、傾斜を大きくすることなく、より浴室外側にて高低差を補うことが可能である。
【0013】
かかる浴室建具であって、前記防水パンは、前記浴室外側の端部に見付け方向に沿う溝部が設けられており、前記下枠の前記浴室側の端部は前記溝部に収容されていることが望ましい。
このような浴室建具によれば、下枠の上に至った水等を、浴室に向かって高さが低くなる傾斜部を伝わせて防水パン側の溝部に導き排水することが可能である。
【0014】
かかる浴室建具であって、前記溝部と前記出入口と隣接する前記壁部とは、見付け方向に沿って並べて設けられていることが望ましい。
このような浴室建具によれば、下枠の傾斜部を、壁部の浴室側面より浴室側に突出させることなく納めることが可能である。このため、浴室をより広く確保することが可能である。
【0015】
かかる浴室建具であって、前記下枠の前記浴室側の端部には、前記浴室内側に突出して前記溝部を越えて前記浴室内側に至るカバー突起が設けられていることが望ましい。
このような浴室建具によれば、下枠に設けられたカバー突起により溝部が覆われるので、より見映えの良い浴室建具を提供することが可能である。
【0016】
かかる浴室建具であって、前記下枠は、見込み方向に並べて設けられた複数の前記レールを有しており、前記複数のレールの各々に沿って移動可能な複数の前記障子を有し、前記止水部材は、少なくとも最も前記浴室内側に設けられた前記障子の脱衣室側にて当該障子に当接されていることが望ましい。
このような浴室建具によれば、最も浴室側のレール及び障子より浴室外側に止水部材を支持するような高い部位を設ける必要がない。そして、下枠の最も浴室側のレールより浴室側に浴室に向かって高さが低くなる傾斜部が設けられているので、浴室内外に高低差を設けつつ、その高低差を、より浴室外側の領域にて傾斜部により補って、段差が生じないような浴室建具を提供することが可能である。
【0017】
かかる浴室建具であって、前記傾斜部は、前記複数のレールのうちの最も前記浴室内側に設けられている前記レールの基端から繋がっていることが望ましい。
このような浴室建具によれば、傾斜部が最も浴室側のレールの基端から繋がっているので、可及的に浴室外側に傾斜部を配置して高低差を補うことが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、浴室内外の高低差を設けつつ大きな段差が生じない浴室建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る浴室建具の縦断面図である。
【図2】本実施形態に係る浴室建具の横断面図である。
【図3】下枠の出入口側の部位における障子との間の止水状態を示す縦断面図である。
【図4】下枠の壁部側の部位を示す縦断面図である。
【図5】下枠及び止水部材を説明するための斜視図である。
【図6】下枠の変形例を示す縦断面図である。
【図7】複数枚の障子を有する例を説明するための縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る浴室建具について図面を参照して説明する。
本実施形態の浴室建具1は、例えば、図1、図2に示すように、浴室外側となる脱衣室側から見て左側の領域が閉止可能な開口でなる出入口2をなし、右側の領域が壁部3をなして、壁部3の脱衣室側を見付け方向に沿って移動する障子5が、前記出入口2を開閉可能に構成された引き込み戸タイプの建具である。
【0021】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の浴室建具1を浴室外側、すなわち脱衣室側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、浴室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、建具1が備える各部材は、単体の状態であっても建物等に取り付けられた状態にて奥行き方向、左右方向、上下方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0022】
浴室建具1は、浴室内外の境界に設けられる枠体10と、枠体10の浴室外側の部位にて見付け方向に移動可能に設けられ、枠体10における見付け方向の約半分の領域を開閉自在に設けられた障子5と、枠体10が有する下枠14に見付け方向の全域に亘って設けられ、下枠14と障子5との間を止水する止水部材22と、を有している。
【0023】
枠体10は、左右の縦枠11、12と、上下の横枠13、14と、左右の縦枠11、12のほぼ中央に設けられた縦骨20と、を有している。縦骨20は、見込み方向において左の縦枠11の幅のほぼ半分の幅を有し、浴室内側に設けられており、右の縦枠12は見込み方向において左の縦枠11の幅のほぼ半分の幅を有し、浴室外側に設けられている。
【0024】
そして、縦骨20の浴室外側の部位と右側の縦枠12の浴室側の部位とは、見込み方向における中央近傍にて対向するように配置されており、この対向する部位にて端部が支持されて、壁部3の脱衣室側の壁面21aをなす面材21が設けられている。
【0025】
下枠14は、躯体(不図示)に支持されるとともに、図1に示すように、脱衣室側に設けられた額縁30と浴室に設けられた防水パン35との間に架け渡されている。
【0026】
下枠14は、レール17dが設けられている下枠本体16と、図4に示すように、下枠本体16に固定され、出入口2と隣接する壁部3(図2)の脱衣室側の壁面21aを形成する面材21の下端が挿入される壁下枠15とを有している。
【0027】
下枠本体16は、図3に示すように、額縁30(図1)の上部に配置される額縁覆部19と、上方に突出して障子5を案内するレール17dが設けられている下枠平板部17と、額縁覆部19と下枠平板部17との間には止水部材22が嵌合される止水部材嵌合部18とを有している。
【0028】
額縁覆部19と止水部材嵌合部18の上面とはほぼ同高さをなしており、止水部材嵌合部18には下方に窪む嵌合溝18aが設けられている。
【0029】
下枠平板部17の脱衣室側の端部は、額縁覆部19及び止水部材嵌合部18の上面より僅かに低い位置にて止水部材嵌合部18と繋がっている。ここで、下枠平板部17の脱衣室側の端部と、額縁覆部19及び止水部材嵌合部18の上面との高さの差は、例えば、住宅性能表示において5等級として認定される段差の高さである5mm以下に設定されている。
【0030】
下枠平板部17は、図5に示すように、脱衣室側から見て縦骨20より左側の出入口2側の部位が浴室に至るように形成されており、縦骨20より右側の壁部3側の部位は壁部3の脱衣室側の壁面21aをなす面材21の下端が挿入される壁下枠15とシール材31を介して係合している。すなわち、下枠平板部17は、見込み方向の長さが、出入口2側が長く、壁部3側が短く形成されている。
【0031】
下枠平板部17の出入口2側の部位は、レール17dが脱衣室側にて突出している下枠上面部17aと、下枠上面部17aの浴室側端部から垂設された鉛直壁部17bと、鉛直壁部17bの下端から水平方向に向かって脱衣室側に延出された延出部17cと、を有している。
【0032】
下枠平板部17の壁部3側の部位は、浴室側の端部より脱衣室側に下方に垂設されて壁下枠15がビス止めされる壁下枠取付部17eが設けられている。すなわち、下枠平板部17の壁部3側の部位は、浴室側の端部が、壁下枠取付部17eより浴室側に突出している。
【0033】
下枠上面部17aのレール17dは、当該レール17d上に移動可能に配置された障子5の下框5aと止水部材嵌合部18とが僅かに間隔を隔てるように配置されており、レール17dに案内されて移動する障子5は、左側に移動されて浴室の出入口2を閉止し、右側に移動されて壁部3の脱衣室側に引き込まれるとともに、浴室の出入口2を開放するように構成されている。すなわち、下枠平板部17の壁部3側の部位の領域が、障子5の引き込み領域に相当する。
【0034】
そして、下枠上面部17aは、レール17dと止水部材嵌合部18との間の下枠上面部17aはほぼ水平に形成され、レール17dより浴室側には、脱衣室側から浴室側に向かって高さが低くなる傾斜が設けられた傾斜部17fが設けられている。傾斜部17fは、出入口2の見込み方向において、例えば壁部3の厚さのほぼ半分の位置にて、互いに傾斜が異なる2つの部位を有しており、傾斜部17fの脱衣室側の部位である脱衣室側傾斜部17iの傾斜の方が、傾斜部17fの浴室側の部位である浴室側傾斜部17jの傾斜より小さく形成されている。そして、下枠平板部17の浴室側は、浴室の床をなす防水パン35(図1)の脱衣室側に設けられた溝部35aに鉛直壁部17bと延出部17cとが収容されている。
【0035】
防水パン35の溝部35aは、出入口2と隣接する壁部3と見付け方向に沿って並べて設けられ、浴室側の内壁面33aと下枠平板部17の鉛直壁部17bの浴室側の面がほぼ面一になるように構成されている。そして、延出部17cは溝部35aの底35bに載置されて、鉛直壁部17bが溝部35aの浴室側の壁35cと対向するように配置され、下枠上面部17aと鉛直壁部17bとの繋がった部位と、浴室の床をなす防水パン35の上面とはほぼ同じ高さになるように構成されている。
【0036】
壁下枠15は、縦骨20及び右縦枠12と繋がった、面材21の端部の収容部15bを有する壁下枠本体15aと、壁下枠本体15aの下側に設けられ、下枠平板部17の壁部3側の部位が挿入される、脱衣室側に開放された凹部15cと、凹部15c内にシール材31を保持するためのシール材嵌合部15dと、壁下枠本体15aの下端から凹部15cに挿入された下枠平板部17の上方に、脱衣室側に突出された突出片15eと、凹部15cから下方に垂設されて下枠本体16の壁下枠取付部17eにビス止めされる壁下枠固定部15fと、を有している。
【0037】
止水部材22は、下枠本体16の止水部材嵌合部18に設けられた嵌合溝18aに嵌合される嵌合部22aと、嵌合部22aから鉛直方向に立接されて脱衣室側への水の進入を防止する水返し部22bと、嵌合部22aの上端から浴室側に延出されて障子5の下框5aに摺接される障子側止水部22cと、を有している。そして、障子5がレール17dに沿って移動する間には、下枠14に設けられた止水部材22の障子側止水部22cが下框5aに脱衣室側から摺接するように構成されている。
【0038】
縦骨20は、浴室の内壁33と繋がった面を有する浴室側壁部20aと、浴室の出入口2を形成し浴室側壁部20aの出入口2側の端から脱衣室側に延びる出入口側壁部20bと、出入口側壁部20bの脱衣室側の端から右縦枠12の方向に延出された脱衣室側壁部20cと、脱衣室側壁部20cの右縦枠12側の端部に設けられた面材支持部20dと、を有している。
【0039】
面材支持部20dは、面材21の浴室側の面21bが当接される面材当接部20eと、面材当接部20eの出入口2側に設けられ面材21を脱衣室側から支持する押縁23が嵌合される押縁嵌合部20fと、を有している。この面材支持部20dは、右縦枠12に設けられて左右方向が反転した対称形状に形成された面材支持部12aとともに、押縁23が嵌合されて面材21を支持している。また、脱衣室側壁部20cには、出入口2側の端部に、上下方向に沿って、障子5が有する戸尻框5bの浴室側の面に当接されるシール材32が設けられている。
【0040】
本実施形態の浴室建具1によれば、浴室の出入口2を開閉自在に設けられた障子5は、出入口2を開く際に、出入口2と隣接する壁部3の脱衣室側に設けられた引き込み領域に引き込まれるので、障子5が案内されるレール17dを壁部3の分だけ浴室外側となる脱衣室側に配置することが可能である。
【0041】
また、下枠14と障子5との間を止水する止水部材22を脱衣室側に配置したので、レール17d及び障子5より浴室側に止水部材22を支持するような高い部位を設ける必要がない。そして、下枠14のレール17dより浴室側に、浴室に向かって高さが低くなる傾斜部17fが設けられているので、浴室の床をなす防水パン35の上面と脱衣室側の額縁覆部19の上面とに高低差を設けつつ、その高低差を、傾斜部17fにより補って大きな段差が生じないような浴室建具1を提供することが可能である。
【0042】
特に、本浴室建具1は、障子5の引き込み領域を壁部3の脱衣室側に設けることにより、障子5が案内されるレール17dをより浴室外側に配置して、傾斜部17fの見込み方向の距離をより長く設けたので、緩やかな傾斜により、浴室と脱衣室との高低差を補うことが可能である。このため、高い止水性を確保しつつ段差の生じない浴室建具を提供することが可能である。
【0043】
また、傾斜部17fがレール17dの基端17hから繋がっているので、浴室の内外方向、すなわち見込み方向に、より長い距離を設けることができるので、さらに傾斜を小さく抑えて、より脱衣室側にて高低差を補うことが可能である。そして、下枠14の下枠平板部17上に至った水等を傾斜部17fの上面を伝わせて防水パン35側の溝部35aに導き排水することが可能である。
【0044】
また、下枠14の傾斜部17fを浴室の内壁面33aより浴室側に突出させることなく納めたので、浴室を広く確保することが可能である。
【0045】
上記実施形態においては、下枠平板部17の出入口2側の部位における浴室側の端部が、浴室の内壁面33aより浴室側により突出することなく溝部35aに収容される例について説明したが、図6に示すように、下枠平板部17の出入口2側の部位における浴室側の端部が、浴室内側に突出して溝部35aを越えて浴室内側に至るカバー突起17gが設けられていてもよい。この場合には、下枠14に設けられたカバー突起17gにより溝部35aが覆われるので、より見映えの良い浴室建具1を提供することが可能である。
【0046】
また、上記実施形態においては、下枠14と障子5との間を止水する止水部材22を、レール17d及び障子5の脱衣室側にて下枠14に設けた例について説明したが、止水部材22は、障子5の下框5aに設けられていてもよい。例えば、下框5aの内側又は外側に設けられており、下枠14の下枠上面部17aやレール17dに当接されるように構成されていても良い。このとき、止水部材22は、下框5aの浴室側又は脱衣室側の少なくともいずれか一方に設けられていればよい。さらに、止水部材22が下框5aの脱衣室側に設けられて、下枠14の、下框5aと対向する部位に当接されていても良い。
【0047】
また、上記実施形態においては、出入口2を開閉可能な障子5を1枚備えた浴室建具1の例について説明したが、図7に示すように、下枠14が、見込み方向に並べて設けられた複数のレール17dを有しており、この複数のレール17dの各々に沿って移動可能な障子5が設けられており、止水部材22cが、少なくとも最も浴室内側に設けられた障子5の脱衣室側にて当該障子5に当接されていてもよい。この場合には、最も浴室側のレール17d及び障子5より浴室外側に止水部材22cを支持するような高い部位を設ける必要がない。そして、下枠14の最も浴室側のレール17dより浴室側に浴室に向かって高さが低くなる傾斜部17fが設けられているので、浴室内外に高低差を設けつつ、その高低差を補って、より段差が生じないような浴室建具1を提供することが可能である。
【0048】
そして、複数のレール17dのうちの最も浴室内側に設けられているレール17dの基端17hから傾斜部17fを繋げて設けることにより、可及的に浴室外側に傾斜部17fを配置して、高低差を補うことが可能である。
【0049】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 浴室建具、2 出入口、3 壁部、5 障子、14 下枠、17 下枠平板部、
17a 下枠上面部、17d レール、17f 傾斜部、17g カバー突起、
17h 基端、22 止水部材、33 内壁、33a 内壁面、35 防水パン、
35a 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内外の境界に設けられ前記浴室の出入口を開閉自在に設けられ、前記出入口を開く際に、前記出入口と隣接する壁部の脱衣室側に設けられた引き込み領域に引き込まれる障子と、
前記障子が案内されるレールを備えた下枠と、
前記下枠に設けられ前記障子の前記浴室外側にて、前記浴室の床をなす防水パンより高い位置に設けられ、前記下枠と前記障子との間を止水する止水部材と、
を有し、
前記レールは、前記防水パンより高い位置に設けられており、
前記下枠の前記レールより浴室側には、前記浴室に向かって高さが低くなる傾斜部が設けられていることを特徴とする浴室建具。
【請求項2】
浴室内外の境界に設けられ前記浴室の出入口を開閉自在に設けられ、前記出入口を開く際に、前記出入口と隣接する壁部の脱衣室側に設けられた引き込み領域に引き込まれる障子と、
前記障子が案内されるレールを備えた下枠と、
前記障子の下框の、前記浴室の床をなす防水パンより高い位置に設けられ、前記下枠と前記障子との間を止水する止水部材と、
を有し、
前記レールは、前記防水パンより高い位置に設けられており、
前記下枠の前記レールより浴室側には、前記浴室に向かって高さが低くなる傾斜部が設けられていることを特徴とする浴室建具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の浴室建具であって、
前記傾斜部は、前記レールの基端から繋がっていることを特徴とする浴室建具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の浴室建具であって、
前記防水パンは、前記浴室外側の端部に見付け方向に沿う溝部が設けられており、
前記下枠の前記浴室側の端部は前記溝部に収容されていることを特徴とする浴室建具。
【請求項5】
請求項4に記載の浴室建具であって、
前記溝部と前記出入口と隣接する前記壁部とは、見付け方向に沿って並べて設けられていることを特徴とする浴室建具。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の浴室建具であって、
前記下枠の前記浴室側の端部には、前記浴室内側に突出して前記溝部を越えて前記浴室内側に至るカバー突起が設けられていることを特徴とする浴室建具。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の浴室建具であって、
前記下枠は、見込み方向に並べて設けられた複数の前記レールを有しており、
前記複数のレールの各々に沿って移動可能な複数の前記障子を有し、
前記止水部材は、少なくとも最も前記浴室内側に設けられた前記障子の脱衣室側にて当該障子に当接されていることを特徴とする浴室建具。
【請求項8】
請求項7に記載の浴室建具であって、
前記傾斜部は、前記複数のレールのうちの最も前記浴室内側に設けられている前記レールの基端から繋がっていることを特徴とする浴室建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−202075(P2012−202075A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66314(P2011−66314)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】