説明

浴槽装置

【課題】 入浴者に継続的に運動させることができる浴槽装置を提供する
【解決手段】
本発明の一様態によれば、浴槽と、前記浴槽に設けられ背もたれ可能な第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続される吐水駆動部と、前記吐水部から吐水する噴流の状態を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記噴流の噴流量を所定値以上に増加させる過程で足を屈曲させることを可能とし、かつ前記噴流を減少させる過程で屈曲した足を伸展させることを可能としたことを特徴とする浴槽装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽装置に関し、特に、入浴者に運動させる浴槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康やリラクゼーションへの関心が高まり求められている。そして、一般家庭浴槽において、水流浴機能を備える商品が広く展開されている。水流浴商品の主目的は、水流による入浴者へのマッサージ、疲労回復、そして、癒しとなっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一様流ではなく流水循環ポンプの回転数を変速可能にして、流水の吐出量及び吐出圧を制御することが記載されている。
【0004】
また、部分的なマッサージとして、特許文献2に、浴槽内部に足置き部が設けられ、この足置き部に噴流を噴出する吐出口が設けられた循環式浴槽が開示されている。
【0005】
一方、浴槽内での運動を行う提案もある。特許文献3には、浴槽内に踏み込み可能な踏み台を設ける技術が開示されている。踏み台にはバネによって踏み込み負荷が与えられており、入浴者は座位姿勢のまま片足で踏み台を踏み込むことにより、運動することができる。
【0006】
【特許文献1】特開平3−16568号公報
【特許文献2】特開2005−287541号公報
【特許文献3】特開2003−236014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、一般家庭浴槽での水流浴では水流による入浴者へのマッサージが主流となっており、マッサージ効果のために流量を制御することを目的としている。そのため、筋力強化を目的としているものが少ない。また、浴槽内に踏み込み可能な踏み台を設ける技術は普段から運動習慣の無い人が運動を行うには、自ら運動しようという相当な意志の力を要する。特に、入浴時はリラックスした精神状態になっているため、意志の力を発揮することは困難である。このため、浴槽内に運動器具を設置しても、運動が長続きしないことが予想される。また、運動器具の取付・取り外しが面倒という問題もある。
本発明の目的は、入浴者に継続的に運動させることができる浴槽装置を提供することで
ある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一様態によれば、浴槽と、前記浴槽に設けられ背もたれ可能な第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続される吐水駆動部と、前記吐水部から吐水する噴流の状態を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記噴流の噴流量を所定値以上に増加させる過程で足を屈曲させることを可能とし、かつ前記噴流を減少させる過程で屈曲した足を伸展させることを可能とする制御部であることを特徴とする浴槽装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、入浴者に継続的に運動させることができる浴槽装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【0011】
浴槽装置1には、浴槽2が設けられている。浴槽2の形状は例えば略直方体形状となる。そして、長手方向の一端部の内側面は、入浴者Mが入浴姿勢を保持し、入浴者の背面m1で背もたれ可能な第一の浴槽壁面2aとなっている。また、浴槽長手方向において、第一の浴槽壁面2aと対向して第二の浴槽壁面2bが設けられており、入浴者Mの足裏m2が接触する壁面となっている。第一の浴槽壁面2aと第二の浴槽壁面2bとは、底面2cと接している。
【0012】
浴槽2の長手方向の長さ、すなわち、浴槽2における第二の浴槽壁面2bと第一の浴槽壁面2aとの間の長さは、標準的な体格の入浴者Mが入浴姿勢をとったとき、背中m1を浴槽2の第一の浴槽壁面2aに当てて、足裏m2を第二の浴槽壁面2bに対向させたときに、足裏m2で吐水部3を覆うことができる程度の長さである。また、臀部においては、浴槽2の底面2cに接触させるようにする。
【0013】
浴槽2の第二の浴槽壁面2bには、吐水部3が設けられている。吐水部3は、入浴者Mの足裏を中心とした脚部へ噴流を吐水することを可能にする吐水駆動部4と接続されている。吐水部3より噴出される噴流の方向は、第二の浴槽壁面2bから第一の浴槽壁面2aに向かう方向である。
【0014】
また、浴槽装置1には、噴流を生成する吐水駆動部4が設けられている。吐水駆動部4は、接続された吐水部3へ噴流を送る。また、吐水駆動部4の吸入口4sは浴槽2の内部に連通されている。これにより、吐水駆動部4は浴槽2内から水Wを汲み上げ、噴流を生成する。
【0015】
また、吐水駆動部4は、吐水部3からの吐水する水量を調節する。吐水駆動部4によって生成される水量は、吐水駆動部4に接続される制御部5の信号によって制御される。
【0016】
次に、本実施形態の動作について図1から図6を用いて説明する。
図1に示すように、浴槽2内に水(湯)Wを入れた状態で、入浴者Mが浴槽2内に入り、入浴姿勢をとる。すなわち、入浴者Mは、臀部を浴槽2の底面2cに接触させ、背中m1を浴槽2の第一の浴槽壁面2aに当接させ、足裏m2を第二の浴槽壁面2bに対向させる。そして、入浴者Mは、足裏m2で吐水部3を覆うように、足裏m2を配置し、吐水部3から吐水される噴流を足裏m2で捉える初期姿勢をとる。
【0017】
このとき、入浴者Mはリラックスした状態にあるが、浮力の働きによって身体が湯水内に水没しないよう、脚部(足裏)、臀部、体幹部(背中)で浮力に抗じるため、各支持点周りの筋群は微小な筋の活動を行うこととなる。しかしながら、これら筋群の活動は微小であり、無意識に行われているため、入浴者は、上述した入浴の姿勢を普段入浴する時と同様に楽に保持することが可能となる。さらに、入浴者Mは、入浴者自身に加わる浮力の働きが入浴姿勢のバランスを乱し、それに対して、入浴者は、無意識に全身の筋肉を働かせて姿勢を安定させようとする補償動作を行う。その際、身体の広い範囲で筋の活動が起こることとなる。
【0018】
図2は、本実施形態に係る浴槽装置1の動作を例示する模式的平面図であり、足裏に配置された吐水部3から噴流が,入浴者の脚部を屈曲させる噴流状態と、屈曲しない噴流状態となるよう噴流の水量を調節する場合の動作を示す。まず、吐水駆動部4及び制御部5を作動させる。これにより、吐水駆動部4が浴槽2内の水を吸入口4sから汲み上げて、噴流を生成する。そして、吐水駆動部4が生成する噴流の流量は、制御部5からの指令を受けて吐水駆動部4によって調節される。
【0019】
制御部5の指令を受けた吐水駆動部4は、吐水部3より噴出する吐水の水量を調節する。例えば、初期流量0リットル/分より目標流量135リットル/分まで0.3秒程度で実現できる。ただし、より高い応答性を求める場合、初期流量を0リットル/分より多くとすると良い。例えば、足が第二の浴槽壁面2bから離れない程度の吐水の水量30リットル/分とする。そうすることにより吐水駆動部4の立ち上がりの時間が短縮され、結果として、吐水の流量をより高い応答性で調節することができる。
【0020】
次に、図2を用いて吐水部3の吐水の動作状態について説明する。T1では、吐水部3は、所定値Qa以上の水量で吐水する。そして、T2では、吐水部3から吐水される水量は、所定値Qaから脚部が屈曲しない状態の水量にまで、水量を減少させる吐水状態Qdownとなる。次に、T3においては、吐水部3から吐水される水量は脚部が屈曲しない状態の水量となる、そして、T4では、吐水部3から吐水される水量は、脚部が屈曲しない状態の水量から所定値Qa以上で吐水する水量に流量を増加させる状態Qupとなる。
【0021】
ここで、所定値Qaとは、入浴者の脚部が屈曲した状態を維持できるのに十分な量の水量を示す。
【0022】
次に、上記吐水状態によって導かれる脚部の状態を説明する。
T1において吐水部3Lから所定値Qa以上で吐水されているとき、入浴者Mの脚部関節、足関節、膝関節及び股関節は屈曲した状態となり、第二の浴槽壁面2bから足部が離れることとなる。次に、T2において、吐水部3から吐水される水量は、所定値Qa以下に減少していく状態Qdownであり、入浴者Mの脚部関節、足関節、膝関節及び股関節は、屈曲した状態から徐々に伸展する状態へと移行され、第二の浴槽壁面2b側へ移動することとなる。
【0023】
次に、T3において吐水部3から吐水される水量は、脚部が屈曲しない状態となる。このとき、入浴者Mの脚部関節、足関節、膝関節及び股関節は伸展した状態となる。このときの吐水量は、0リットル/分から、入浴者Mの脚部が屈曲しない、すなわち足が第二の浴槽壁面2bから離れない程度の吐水量(例えば30リットル/分以下)となる。そして、T4において、吐水部3は、水量を増加させる状態Qupで吐水する時、入浴者Mの脚部関節、足関節、膝関節及び股関節は、伸展した状態から屈曲する状態へと移行される。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、吐水量と入浴者の脚部の状態との関係を示す図である。図3の(a)(b)は、横軸に時間をとって本実施形態に係る浴槽装置1からの吐水の水量を例示するグラフ図であり、(a)の縦軸は吐水部3から吐水される水量を表す。(b)の縦軸は脚部の屈曲伸展の状態を表す。
【0025】
図3の(a)、(b)より、吐水状態の時間変化と脚部の屈曲伸展の状態について説明する。吐水部3から吐水する水量を増加させる過程(図3(イ)(カ))において、ある時刻t1、t3における吐水量は、所定噴流値Qb以上となる。このとき入浴者Mは、脚部を屈曲する状態となる。次に、吐水部3からの噴流を減少させていく過程(図3(エ))において、ある時刻t2では、所定値Qb以下で吐水する噴流状態となり、入浴者Mの脚部を屈曲しない状態となる。
【0026】
ここで、所定噴流値Qbについて説明する。所定噴流値Qbを超える水量が入浴者の足裏へ吐水されると、足部が第二の浴槽壁面と吐水部から離れ、屈曲する状態へと移行する。一方、所定噴流値Qbを下回ると、入浴者の脚部は屈曲している状態から、伸展する状態、すなわち、第二の浴槽壁面2b側へ向かって足部が移動する状態となる。
【0027】
この時、吐水部3から吐水される水量の所定値Qaは、例えば110リットル/分以上が良い。より脚部を動かすための吐水には、所定値Qaは、150リットル/分とすることが良く、さらに好ましくは、180リットル/分が良い。
また、所定噴流値Qbは、50リットル/分とし、好ましくは、80リットル/分、さらに好ましくは、90リットル/分が良い。
【0028】
図3の(a)、(b)には図示していないが、吐水状態の時間変化と脚部の屈曲伸展の状態には水流特有の遅れが含まれる。例えば、入浴者Mが足裏にて受ける噴流は、吐水駆動部4を止めても慣性の力によって、足を押圧する力が直ぐに無くならない。それゆえ、脚部の屈曲と伸展の動作、特に伸展側に移行する際、吐水時間より遅れを持って脚部の動作が起こる。よって、表示部を設けて運動終了をアナウンスする等の制御を行う場合、屈伸運動を最終的に終えて吐水駆動部4側の制御を終えてから遅れ時間を待って、運動を終了するアナウンスを送る制御プログラムを備えることで、より使用者へ快適な水中における運動を提供することが可能となる。
【0029】
次に、吐水される流量変化によって起こる入浴者Mの脚部屈伸運動を、図3(ア)から(カ)と図4(a)から(e)より説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る、吐水による入浴者の脚部の状態を示す模式図である。
図3(ア)では、吐水部3から吐水される水量は所定噴流値Qb以下、すなわち脚部を屈曲しない状態となる水量である。この時、入浴者Mの足裏へは、押圧する力が加わらない、もしくは入浴者Mの脚部が屈曲しない程度である。この時、脚部の足関節、膝関節及び股関節は、伸展した状態となり、入浴者Mは、図4(a)に図示された姿勢になる。なお、本実施形態において、「入浴者の脚部が伸展した状態」とは、入浴者が自然な状態で足を伸ばしている状態を示すものであり、必ずしも脚部の関節が完全に伸展している状態を示すものではない。
【0030】
次に、図3(イ)において、吐水部3から吐水する噴流量は、所定噴流値Qb以上とになるよう吐水量を増加させる。この時、入浴者Mは、図4(b)に図示するように、足裏を押圧する力が増加するため、脚部関節、足関節、膝関節及び股関節を、伸展した状態から徐々に屈曲状態へと移行する。即ち、第二の浴槽壁面2b側より離れる方へ足部を移動させる状態となる。
【0031】
次に、図3(ウ)において、吐水部3から吐水する噴流状態は、脚部を屈曲した状態を保持する噴流状態となる。この時、入浴者Mは図4(c)に図示するように、脚部を屈曲した状態で保持する姿勢となる。
【0032】
次に、図3(エ)において、吐水部3から吐水する噴流量は、所定噴流値Qb以下になるように吐水する水量を減少させられる。この時、入浴者Mは、図4(d)に図示するように、足裏を押圧する力が減少するため、脚部関節、足関節、膝関節及び股関節を、屈曲した状態から徐々に伸展状態へと移行する。即ち、第二の浴槽壁面2b側へ向かって足部を移動させる状態となる。
【0033】
次に、図3(オ)、において、吐水部3から吐水する噴流状態は、所定噴流値Qb以下、すなわち脚部を屈曲しない程度の噴流状態となる。即ち、吐水部3より足裏へ脚部を押圧する力が加わらない状態、もしくは入浴者Mの脚部が屈曲しない程度である。この時、入浴者Mは図4(e)に図示するように、脚部を伸展した状態で保持する姿勢となる。この状態は、図3(ア)に示したものと同様の噴流状態であり、図4(a)に示したものと同様の屈曲伸展状態である。また図3(カ)に示す噴流状態は図3(イ)と同様であり、入浴者Mの脚部も図4(b)に示す状態となる。
【0034】
上記説明した、図3(ア)から(カ)と図4(a)から(e)の動作を繰り返すことで、入浴者Mは、噴流によって入浴中に自ら積極的に運動しようとする意思を持たずとも運動を行うことが可能となる。この運動における運動効果は、脚部の屈曲と伸展動作による筋への働きと、水流を受けつつ脚部を微小に調節する働き、そして、湯水の温熱が加わる環境にて行うことも加わり、短い時間でも効果的な運動を行うことができる。また、筋や腱、関節の柔軟性が高まった時点で運動を行うなどにより、安全でかつ効果的な運動を受けることが可能となる。そのため、けがのリハビリ等においても利用することができる。
【0035】
従って、制御部5の制御によって吐水部3からの吐水量を増減させることにより、入浴者の足部が浴槽2の長手方向に沿って往復し、結果、入浴者の脚部を屈伸運動させることが可能となる。また、噴流によって脚部が屈曲伸展させられることから、入浴車は運動をしようという強い意志を必要としないため、継続的な運動を行うことができる。また、吐水部3は第二の浴槽壁面2bに設けられており、噴流を吐水していない場合は通常の浴槽同様に仕様できることから、別途運動器具を取り外しする手間も必要なく、邪魔にもならない。すなわち、本発明の一実施形態に係る浴槽装置は、入浴者を、座らせた状態にありながら、他動的に屈伸運動を行わせることができる運動浴槽装置であると言える。
【0036】
また、水量の低下と共に脚部が伸展する際、弱まる噴流は、呼び水の如く入浴者Mの足部を吐水部3の位置近傍へ誘導するため、意識的に脚部を調整する必要がない。
【0037】
図5は、本実施形態に係る浴槽装置1に含まれる吐水駆動部の駆動状態と吐水駆動部によって吐水される水量を例示するグラフ図である。制御部5より印加される電圧値は、目標電圧までTv時間で実施される。そして、吐水駆動部4は、制御部5からの印加電圧によって初期流量から目標流量までTq時間で立上る。この時の目標流量までの水量立上り時間Tqは、十分に早い。例えば、図5(a)で示すように制御部5が吐水駆動部4へ伝える印加電圧は、目標の印加電圧値まで立ち上がる電圧立上り時間Tv180ミリ秒となる時、吐水駆動部4は、制御部5より印加された電圧によって目標の流量まで吐水の水量をTq150ミリ秒で実行することが可能である(図5(b))。
【0038】
目標流量までの立上り時間が十分に早い吐水駆動部4を使うことで、実現できる吐水状態を図6(a)〜(d)より説明する。図6(a)〜(d)は、縦軸に吐水駆動部4によって吐水される水量を示し、横軸に時間をとった吐水状態を例示するグラフ図である。吐水駆動部4が目標吐水の流量まで瞬時に立ち上げることが可能であるため、図6(a)に示すノコギリ波、三角波を出力することが可能となる。
【0039】
また、図6(b)、(c)に示すように、立ち上がりの早い台形波、矩形波や立ち上がりのゆっくりとした台形波を出力することが可能となる。そしてさらに、図6(d)で示すように正弦波・余弦波を出力することが可能となる。この時、初期流量を0リットル/分より多くすることでより早い立ち上がり時間を実現し、瞬時に制御部5の指令に沿った吐水を出力することが可能となる。
【0040】
例えば、制御部5より印加される電圧値が0ボルトから120ボルトまで180ミリ秒程度で立ち上がると、吐水駆動部4が吐水する水量は、0リットル/分から140リットル/分まで150ミリ秒程で調節される。さらに立上り時間をより短縮するには、制御部5より印加される電圧値がオフセットを持った状態30ボルトから120ボルトまで150ミリ秒程度で立ち上がるといった制御を行うと、吐水駆動部4が吐水する水量は、35リットル/分から140リットル/分まで120ミリ秒で実行することが可能となる。
【0041】
次に、第二の実施の形態について図7を用いて説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、浴槽2の第二の浴槽壁面2bには、左脚用である第一の吐水部3L及び右脚用である第二の吐水部3R(以下総称して「吐水部3」とも言う)が設けられている。左脚用の吐水部3L及び右脚用の吐水部3Rは、入浴者Mの足裏を中心とした両脚部へ噴流を交互に吐水することを可能にする第一の吐水駆動部4L及び第二の吐水駆動部4R(以下総称して「吐水駆動部4」とも言う)と接続されている。吐水部3より噴出される噴流の方向は、第二の浴槽壁面2bから第一の浴槽壁面2aに向かう方向である。これらの一対の吐水部3は、水平方向に配列されており、例えば、第二の浴槽壁面2bにおいて上下方向に延びる中心線に関して対象となる位置に配置されている。
【0042】
尚、図7においては、図示の便宜上、吐水部3L及び3R、そして、吐水駆動部4L及び4Rを相互にずらして描いているが、実際には左足裏に配置された第一の吐水部3L及び右足裏側に配置された第二の吐水部3Rは同じ高さに配置されている。後述するほかの断面図においても同様である。
【0043】
また、浴槽装置1には、噴流を生成する第一の吐水駆動部4L及び第二の吐水駆動部4Rが設けられている。吐水駆動部4L及び4Rは、各々に接続された第一の吐水部3Lと第二の吐水部3Rへ噴流を送る。また、吐水駆動部4の吸入口4sは浴槽2の内部に連通されている。これにより、吐水駆動部4は浴槽2内から水を汲み上げ、噴流を生成する。
【0044】
また、第一の吐水駆動部4L及び第二の吐水駆動部4Rは、第一の吐水部3Lと第二の吐水部3Rからの吐水する水量を調節する。その際、第一の吐水部3Lで “噴流を減少させる過程”の場合、第二の吐水部3Rにおいては、所定噴流値Qb以上の状態となるよう、“噴流を増加させる過程”となるように調節される。吐水駆動部4によって生成される水量は、吐水駆動部4に接続される制御部5の信号によって制御される。
【0045】
次に、本実施形態の動作について図7から図10を用いて説明する。
図7に示すように、浴槽2内に水(湯)Wを入れた状態で、入浴者Mが浴槽2内に入り、入浴姿勢をとる。すなわち、入浴者Mは、臀部を浴槽2の底面2cに接触させ、背中m1を浴槽2の第一の浴槽壁面2aに当接させ、足裏m2を第二の浴槽壁面2bに対向させる。そして、入浴者Mは、両足裏m2で吐水部3L及び3Rを覆うように、足裏m2を配置し、吐水部3から吐水される噴流を足裏m2で捉える初期姿勢をとる。
【0046】
このとき、入浴者Mはリラックスした状態にあるが、浮力の働きによって身体が湯水内に水没しないよう、脚部(足裏)、臀部、体幹部(背中)で浮力に抗じるため、各支持点周りの筋群は微小な筋の活動を行うこととなる。しかしながら、これら筋群の活動は微小であり、無意識に行われているため、入浴者は、上述した入浴の姿勢を普段入浴する時と同様に楽に保持することが可能となる。さらに、入浴者Mは、入浴者自身に加わる浮力の働きが入浴姿勢のバランスを乱し、それに対して、入浴者は、無意識に全身の筋肉を働かせて姿勢を安定させようとする補償動作を行う。その際、身体の広い範囲で筋の活動が起こる。
【0047】
図8は、本実施形態に係る浴槽装置1の動作を例示する模式的平面図であり、左足裏に配置された第一の吐水部3L及び右足裏側に配置された第二の吐水部3Rから噴流が、左右交互に噴出される場合を示す。まず、吐水駆動部4及び制御部5を作動させる。これにより、吐水駆動部4が浴槽2内の水を吸入口4sから汲み上げて噴流を生成する。そして、吐水駆動部4が生成する噴流の流量は、制御部5からの指令を受けて吐水駆動部4によって調節される。
【0048】
制御部5の指令を受けた第一の吐水駆動部4Lと第二の吐水駆動部4Rは、第一の吐水部3L及び第二の吐水部3Rより交互に噴出する吐水の水量を調節する。例えば、初期流量0リットル/分より目標流量135リットル/分まで0.3秒程度で実現できる。ただし、より高い応答性を求める場合、初期流量を0リットル/分より多くとすると良い。例えば、足が第二の浴槽壁面2bから離れない程度の吐水の水量30リットル/分とする。
【0049】
次に、吐水部3L及び3Rからの左右交互吐水の動作状態について説明する。T1では、第一の吐水部3Lは、所定値Qa以上の水量で吐水する。そして、T2では、第一の吐水部3Lから吐水される水量は、所定値Qaから脚部が屈曲しない状態にまで水量を減少させる吐水状態Qdownとなる。次に、T3においては、第一の吐水部3Lから吐水される水量は脚部が屈曲しない状態の水量となる、そして、T4では、第一の吐水部3Lから吐水される水量は、脚部が屈曲しない状態の水量から所定値Qa以上で吐水するように流量を増加させる状態Qupとなる。
【0050】
一方の第二の吐水部3Rでは、T1において、第二の吐水部3Rより吐水される水量は、脚部が屈曲しない状態の水量となる。次に、T2において、吐水される水量は、脚部が屈曲しない状態の水量から所定値Qa以上となるまで水量を増加させる状態Qupとなる。そして、T3において、第二の吐水部3Rからの吐水の水量は所定値Qa以上で吐水する状態となる。そして、T4において、第二の吐水部3Rからの吐水の水量は、所定値Qaから脚部が屈曲しない状態の水量へ吐水の水量を減少する状態Qdownとなる。
【0051】
ここで、所定値Qaとは、入浴者の脚部が屈曲した状態を維持できるのに十分な量の水量を示す。
【0052】
次に、上記吐水状態によって導かれる脚部の状態を説明する。
T1において第一の吐水部3Lから所定値Qa以上で吐水されているとき、入浴者Mの左脚の足関節、膝関節及び股関節は屈曲した状態であり、左足部が、第二の浴槽壁面2bから離れることとなる。次に、T2において、第一の吐水部3Lから吐水される水量は、所定値Qa以下に減少していく状態Qdownであり、入浴者Mの左脚の足関節、膝関節及び股関節は屈曲した状態から徐々に伸展する状態へと移行される。
【0053】
次に、T3において第一の吐水部3Lから吐水される水量は、脚部が屈曲しない状態となる。このとき、入浴者Mの左脚の足関節、膝関節及び股関節は伸展した状態となる。そして、T4において、第一の吐水部3Lは、水量を増加させる状態Qupで吐水する時、入浴者Mの左脚の足関節、膝関節及び股関節は、伸展した状態から屈曲する状態へと移行される。
【0054】
図9は、本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、吐水量と入浴者の脚部の状態との関係を示す図である。
図9の(a)から(d)は、横軸に時間をとって本実施形態に係る浴槽装置1からの吐水の水量を例示するグラフ図であり、(a)の縦軸は第一の吐水部3Lから吐水される水量を表し、(b)の縦軸は第二の吐水部3Rから吐水される水量を表す。(c)の縦軸は左足の屈曲伸展の状態を表し、(d)の縦軸は、右足の屈曲伸展の状態を表す。
【0055】
図9の(a)と(b)から、吐水状態の時間変化について説明する。
区間T1において、第一の吐水部3Lから所定値Qa以上で吐水している状態で、第二の吐水部3Rから吐水される水量は、脚部を屈曲しない程度の噴流状態(所定噴流値Qb以下)となる。次に、区間T2では、第一の吐水部3Lから、噴流を所定値Qaより減少させていく過程において、第一の吐水部3Lからの吐水の水量が所定噴流値Qb以上の状態で吐水するよう、第二の吐水部3Rから吐水される水量を増加させる。
【0056】
ここで、所定噴流値Qbについて説明する。所定噴流値Qbを超える水量が入浴者の足裏へ吐水されると、足部が第二の浴槽壁面と吐水部から離れ、屈曲する状態へと移行する。一方、所定噴流値Qbを下回ると、入浴者の脚部は屈曲している状態から、伸展する状態、すなわち、第二の浴槽壁面2b側へ向かって足部が移動する状態となる。
【0057】
この時、吐水部3から吐水される水量の所定値Qaは、例えば110リットル/分以上が良い。より交互脚部を連動して動かすための吐水には、所定値Qaは、150リットル/分とすることが良く、さらに好ましくは、180リットル/分が良い。
また、所定噴流値Qbは、50リットル/分とし、好ましくは、80リットル/分、さらに好ましくは、90リットル/分が良い。
【0058】
次に、区間T3において、第一の吐水部3Lから吐水する水量は、脚部を屈曲しない状態(所定噴流値Qb以下)であり、第二の吐水部3Rからの吐水される水量は、所定値Qa以上で吐水する状態となる。そして、区間T4では、第二の吐水部3Rからの噴流を所定値Qaから減少させていく過程において、第一の吐水部3Lからの吐水の水量が、所定噴流値Qb以上の状態で吐水を行うよう、吐水される水量を増加させる。
【0059】
本実施例においては、一方の足が吐水部3から十分離れた屈曲状態から、吐水部3に足裏が当接している伸展状態となるまでに、他方の足が吐水部3から離れる所定噴流値Qb以上となる吐水を行うよう制御されている。すなわち、両方の足が吐水部3から離れている状態(以下、オーバーラップとも言う)を作り出すよう制御されている。このように制御することにより、実際の歩行動作により近い運動状態を作り出すことができる。
【0060】
本実施例において、区間T2、区間T4に示される通り、第一の吐水部3Lと第二の吐水部3Rから吐水される噴流の間隔は、対称とならないように制御される。これは、入浴者Mの脚部を屈曲させるため、所定噴流値Qb以上の吐水量が必要なのに対し、脚部の伸展が始まる水量は所定値Qa以下であるためである。すなわち、所定噴流値Qb以下の吐水量の場合は、入浴者Mの脚部は伸展状態を保持した状態となる。しかしながら、より歩行に近い動作を再現しようとする場合、伸展した状態とはすなわち地面からの反発力のみであり、足部への押圧力は小さいものである。そのため、本実施例においては、伸展する脚部への吐水を所定噴流値Qb以下とすることにより、実際のウォーキングに近い状態を作り出している。これにより、この制御により、入浴者への運動感を保ったまま、座った姿勢でありながら、より歩行動作に近い水中ウォーキング動作をを使用者へ提供することが可能となる。
【0061】
次に、吐水される流量変化によって起こる入浴者Mの脚部屈伸運動を、図9、図10より説明する。
区間T1では、第一の吐水部3Lが、所定値Qa以上で吐水する状態となり、第二の吐水部3Rから吐水される水量は、脚部を屈曲しない状態となる。この時、入浴者は左足裏で噴流からの押圧する力を受け、左脚部の足関節、膝関節及び股関節が屈曲した状態となる。一方、右足裏へは押圧する力が加わらない、もしくは入浴者Mの脚部が屈曲しない程度の力である。よって、右脚部の足関節、膝関節及び股関節は、伸展した状態とり、入浴者Mは、図10(a)に図示された姿勢になる。
【0062】
次に、区間T2において、第一の吐水部3Lから吐水する噴流量は、所定値Qaから減少させていく過程となる。このとき、図3(t1)に示すように、第一の吐水部3Lから吐水される噴流量が所定噴流値Qb以下になるまでに、第二の吐水部3Rから、噴流を増加させ所定噴流値Qb以上になるようにする。
このとき、入浴者Mは、図10(b)に図示するように、左足裏を押圧する力が、水量の低下と共に弱くなるため、左脚部の足関節、膝関節及び股関節が自然に伸び、左足部は第二の浴槽壁面2bに向かって移動する状態となる。また、右脚部の足関節、膝関節及び股関節は、伸展した状態から徐々に屈曲状態へと移行する。すなわち、両足裏が吐水部から離れたオーバーラップ状態となる。
【0063】
また、入浴者の伸展する脚部の位相と、屈曲する脚部の位相を一致させたい、すなわち同時且つ交互に屈伸運動を行わせたい場合は、一方の吐水部からの吐水量が所定値Qaを下回るのと同時に、他方の吐水部からの吐水量を所定噴流値Qbにすると良い。
【0064】
そして、区間T3において第二の吐水部3Rから吐水される水量が所定値Qa以上の場合、図10(c)に図示されるように、入浴者Mの脚部は屈曲した状態を保持する。このとき第一の吐水部3Lは、水量が所定噴流値Qb以下で吐水することとなる。。この時、入浴者の左脚部の足関節、膝関節及び股関節は伸展した状態となり、右脚部の足関節、膝関節及び股関節は、屈曲した状態となっている。
【0065】
区間T4では、第一の吐水部3Lからの噴流を所定値Qa以下に減少させる過程において、第二の吐水部3Rからの吐水が所定噴流値Qbになるように制御する。このとき、図3(t2)に示すように、第一の吐水部3Lから吐水される噴流量が所定噴流値Qbを上回るまでは、第二の吐水部3Rからの噴流を所定噴流値Qb以上に保つ。この時、入浴者の右脚部の足関節、膝関節及び股関節は、屈曲した状態から伸展した状態へと移行し、また、左脚部の足関節、膝関節及び股関節は、伸展した状態から徐々に屈曲状態へと移行する。
【0066】
このとき、左足裏を押圧する噴流は、増えていくことで、入浴者Mの左脚部の足関節、膝関節及び股関節が、伸展した状態から屈曲する状態へと移る。一方、右足裏を押圧する力が、水量の低下と共に弱くなるため、入浴者Mの右脚部の足関節、膝関節及び股関節が自然に伸び、屈曲した状態から伸展する状態へと移る。すなわち、右脚部は第二の浴槽壁面2bに向かって移動することとなる。すなわち、入浴者Mは、図10(d)に図示された両足裏が吐水部から離れたオーバーラップ状態となる。
【0067】
区間T4におけるオーバーラップ状態の後、区間T4における吐水状態は区間T1と同様の状態となる。本実施例においては、区間T1〜T4までを脚部動作の1周期とする。例えば、区間T1〜T4を、1〜2秒にすると、ウォーキング動作に近づけることができるとともに、沢山の脚部屈伸運動を実現でき、効果的な運動を実現することが可能となる。一方、区間T1〜T4を3〜6秒程度にすると、足裏で噴流を受ける時間が長くなる。すなわち、オーバーラップ状態の時間が長くなる。そのため、両足が第二の浴槽壁面2bから離れた不安定な状態が長くなった状態で足を保持しつつ屈伸運動を行うことができ、バランス能力に必要な筋群を鍛えることができる。
【0068】
以上、上述の吐水状態を左右の吐水部3L及び3Rにおいて繰り返すことにより、入浴者は、吐水部3L及び3Rから交互に吐水される噴流によって、左右脚部を交互に屈伸運動を行う。左右脚部の交互屈伸運動は、図10(a)〜(d)を繰り返すことで説明できる。左右脚部の交互屈伸運動をより、実際のウォーキング動作に近づけるためには、左右足が同時に動く図10(b)と(d)のオーバーラップ状態が重要となる。
【0069】
また、屈曲する状態を作る噴流は、足部を包むように流れ場を生成するため、噴流から足部が外れないように力が働く。これと同じ現象としては、噴水の上にピンポン玉を載せた時にピンポン玉が噴流の中心で留まる現象が挙げられる。このような噴流によって、入浴者は効率よく脚部の屈伸運動ができる。
【0070】
従って、吐水部3L及び3Rが交互に噴流を吐水することにより、入浴者の左右足部が浴槽2の長手方向に沿って交互に往復し、結果、入浴者の左右の脚部を交互に屈伸運動させることが可能となる。また、噴流によって脚部が屈曲伸展させられることから、入浴車は運動をしようという強い意志を必要としないため、継続的な運動を行うことができる。また、吐水部3は第二の浴槽壁面2bに設けられており、噴流を吐水していない場合は通常の浴槽同様に仕様できることから、別途運動器具を取り外しする手間も必要なく、邪魔にもならない。すなわち、本発明の一実施形態に係る浴槽装置は、入浴者を、座らせた状態にありながら、他動的に歩行を模した水中ウォーキングの運動を行わせることができる運動浴槽装置であると言える。
【0071】
図6に示すような駆動装置用いると、制御部5からの指令を応答性良く実行することが可能となる。すなわち、陸上のウォーキング動作に必要な、左右足の振り出し状態を吐水によって実現できる。例えば、陸上でのウォーキング動作を考えると地面に足が接地し足裏に荷重を受ける状態の立脚期と、足を振り出し空中を動くことで足裏に荷重がかからない状態である遊脚期の比率は6割、4割となっている。それ故、吐水周期における吐水している状態と吐水していない状態(吐水量が所定噴流値Qb以下の噴流状態もしくはそれよりも小さい噴流状態を含む)を左右足裏への交互吐水の一周期中6割、4割の比率で行う。これによって足裏で受ける荷重刺激は陸上のウォーキング動作に近づく。それにより、効果的に足裏への荷重刺激を入浴者へ提供することができると考える。
【0072】
左右足が絶えず動き続けている状態は、脚部の運動のみならず全身運動への波及効果をもたらすことが、筋活動を調べた実験より確認されている。図11は、吐水状態における入浴者の筋群の筋活動を示した図である。図11の縦軸はそれぞれの筋群が活動している状態を、横軸は時間を表す。図11に示すように、腓腹筋や前脛骨筋、ハムストリングス(大腿4頭筋)のような下肢の筋群の運動だけではなく、脊柱起立筋のような背部の筋や、前腕筋群(腕橈骨筋)のような腕部の筋も活動していることがわかる。このように、本発明の一実施形態にかかる運動浴槽装置は、脚部だけでなく全身の筋群を活動させており、脚部だけでなく全身の運動や筋力トレーニングにも効果がある。また、入浴者へウォーキング動作を行っているような運動感を誘発させることも主観評価より分かっている。
【0073】
図12の(a)と(b)より、具体的に、他動的な屈伸運動によって起こる筋の活動を説明する。図12の(a)は、噴流によってもたらされる他動運動によって活動する筋群を例示した図であり、図12(b)で示されている筋群の位置を示す。図12(b)は、縦軸に筋の活動量を示し、横軸に時間をとり、吐水状態に応じて脚部の異なる筋が活動していることを示す。なお、M4はハムストリングス(大腿二頭筋他)を、M5は前脛骨筋を示す。吐水のS1時間(図9(d))における時刻t1と同様)に伴う脚部の屈曲より、前脛骨筋M5が積極的に活動し始める。これは、足部が第二の浴槽壁面より離れ、第一の浴槽壁面へ移動している状態で筋の活動が起こっている事を意味する。
【0074】
そして、次にS2時間(図9(d))における時刻t3と同様)において入浴者の足部が第二の浴槽壁面2bへ移動し、吐水部3と第二の浴槽壁面2bに当接する。入浴者の足部が第二の浴槽壁面2bに接すると、ハムストリングスM4が活動することを図12の(b)より示している。このように、噴流の増減に伴って起こる脚部の屈伸運動は、異なる筋群を働かせることで運動効果を高める。
【0075】
図12に図示されていた前脛骨筋M5は、ヒトの身体セグメントにおける下腿部に備わった筋である。前脛骨筋M5の働きは、歩行時、地面と足部とのクリアランスをとるために働く筋肉として知られている。よって、前脛骨筋M5を活動させる運動とは、転倒予防に貢献する運動を意味する。
【0076】
同じく、図12に図示されたハムストリングスM4は、ヒトの身体セグメントにおける大腿部に備わった筋群である。ハムストリングスM4は、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋、そして大内転筋によってなる筋群である。大腿二頭筋の働きは、主として歩行時における蹴りだす力、推進力を生成する筋として知られている。よって、ハムストリングスM4を刺激する運動とは、歩行速度の維持と歩行機能の向上に貢献できる運動を意味する。
【0077】
吐水部3から吐水する足を屈曲させる水量は、入浴者Mが背中m1を第一の浴槽壁面2bに当接させ、足裏m2を吐水部3に対向させたときに、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節を同時に屈曲させることが可能な量であり、例えば、80〜300リットル/分である。尚、噴流の大きさが80リットル/分未満であると、入浴者の足裏m2が吐水部3から離れないことがあり、300リットル/分を超えると、浴槽2から水が溢れ出すことがある。
【0078】
吐水される水量が110リットル/分を超えると吐水される噴流の押圧によって脚部移動距離が140mm以上になり、この条件を境に使用者が、噴流による屈伸運動で運動感を感じることが確認されている。尚、モニター人数35名において、110リットル/分を超えると吐水で足部が140mm以上移動し、運動感を感じることを確認している。
【0079】
さらに屈伸運動において効果的で高い運動効果を得るには、150リットル/分程度の噴流で運動を行うことが良く。さら好ましくは、180リットル/分程度の噴流による運動が効果的である。なお、この噴流の大きさは、一般家庭用浴槽を対象とした循環式浴槽において、マッサージ用に噴出される噴流の大きさよりもかなり大きい。一般的なマッサージ用ブローにおいて、一つの吐水口から吐水される水量は、20リットル/分程度である。またマッサージブローの強い強度においても、水量は多くて40リットル/分程度である。
【0080】
上述した通り、噴流の流量を増やすことで足裏を押圧する力を増加させるとともに屈伸運動の可動範囲を広くする。この噴流の増加に伴って、足裏に備わる感覚器と脚部に備わる腱器官を、より効果的に刺激する事で歩行に働く機能を効果的促進させることが可能となる。
【0081】
また、利用する浴槽の水(湯)の水温は常温でも使用できるが、水温を、36〜41℃帯域で使用するのが好ましい。例えば、温度が体温に近く、温熱の負荷が低い場合の36〜38℃では、吐水の水量を多くし屈伸運動の回動量を増やす、もしくは、吐水の周期を早くすることで屈伸運動の回数を増やすことにより運動強度を高め、効果的な運動を入浴者へ提供することが可能となる。
【0082】
一方、比較的短い時間で十分な運動を求める場合は、湯温度を高めに設定し(例えば39〜41℃)、温熱と運動の効果の相乗効果によって、湯の温度を低く設定した時に比べ、短い時間でエネルギー消費を起こし、効果的な運動を短い時間で行うことができる。
【0083】
温熱の効果と運動効果について、図13において説明する。
図13は、縦軸に脂肪の燃焼効率を示す呼吸商を示し、横軸に経過の時間を図示し、速歩と噴流による他動運動を行った際の呼吸商を比較した値を示している。呼吸商とは、脂肪の燃焼度合を評価する値を意味し、酸素摂取量と二酸化炭素排出量の比率によって算出される。呼吸商の値が小さく(0.8以下に)なると、脂肪が燃焼する運動状態(有酸素運動)となることを表す。実験条件は、陸上での時速4.3キロ程のウォーキングと、湯温39度で吐水量が160リットル/分程度の噴流を選択した本発明の一実施形態に係る運動浴槽装置を用いた入浴ウォーキングの場合を、呼吸商より比較した。結果、高い脂肪燃焼効果が得られる領域に、本発明の一実施形態に係る運動浴槽装置を用いた入浴ウォーキングが、陸上のウォーキングより早い時間帯で突入したことを示している。この結果は、一般的に陸上でのウォーキングにおいて脂肪を燃焼させるには40から50分程度持続しないと脂肪が燃焼されないとする結果とも一致する。さらに上記結果は、本発明の一実施形態に係る運動浴槽装置が、温熱と運動の相乗効果によって、短い時間で非常に高い運動効果を生成することを示すものである。
【0084】
本実施形態の効果について説明する。
このように、本実施形態によれば、入浴者Mに、運動をするための強い意思を必要とすることなく運動をさせることができる。この運動は外部から与えられる他力的な他動運動となる。一般的な浴槽内で入浴姿勢をとると、使用者の取り得る入浴姿勢は、浮力に抗じるように姿勢を保持するために無意識のうちに微小な筋の活動を起こす。この微小な筋活動を誘発した状態で、入浴者は、噴流を吐水部3L及び3Rより交互に受ける。その結果、入浴者Mは、噴流によって座った姿勢でありながら他動的に水中ウォーキング運動を行うことができる。そして、脚部筋群に止まらず、脚部を支える体幹部に備わる筋を活動させることができる。
【0085】
さらに、入浴者Mは、吐水部3より吐水される噴流と、入浴者自身に加わる浮力の働きが入浴姿勢のバランスを乱し、それに対して、入浴者は、無意識に全身の筋肉を働かせて姿勢を安定させようとする補償動作を行う。これによっても全身の運動をすることができる。このため、入浴者の意志力に依存する部分が少なく、長続きしやすい運動を本発明の一実施形態に係る運動浴槽装置によって提供することが可能となる。また、この運動は入浴姿勢のまま行うことができるため、通常の入浴から運動へと移行がし易く、生活習慣の中で無理なく行える運動となることから、運動を継続しやすいという効果も期待できる。さらに、運動するために別途運動器具等を必要としないことから、運動をしていない際には通常の浴槽と同様に使用が可能であり、運動器具等の取り外しの手間もかからないため、利用しやすい。
【0086】
本発明の一実施形態を用いた運動を、35名が体験した。その結果、入浴中の水中(入浴)ウォーキングが入浴姿勢から、噴流によって無理なく行われることが分かった。そして、継続して水中ウォーキングを行うと、運動感、筋の使用感を感じるという知見も得られた。また風呂から出たあと、足が温かい、ジョギングよりも運動感を感じる、といった運動の効果を体験者が体感していることを確認している。さらに、5分を経たずに、発汗作用が促進されることなども体感から知見を得ており、ダイエット効果にも適しておりメタボリック対策になるなどの感想も得られた。
【0087】
図15は、入浴ウォーキングによって使用感を感じた部位を示している。使用者が使用感を感じる部位の違いは、入浴中のウォーキング動作を誘発する吐水の周期やduty 比(吐水周期と、脚部を屈曲させる吐水量の噴流状態の時間との比)、左右足裏への吐水遅れ時間によって生じる。例えば、入浴中のウォーキング動作における吐水周期が遅いと、噴流を受ける間隔が長くなる。それによって、噴流を受けておこなう屈伸運動によって働く筋の活動に加えて、浴槽湯水内にて脚部を噴流に抗じて安定させようとして働く筋の二つの働きによって運動機能のみならず、バランス能力に必要な筋力も効果的にトレーニングすることが可能となり、使用者へ運動機能に加えて、バランス能力を促進させる運動を提供させることを可能にする。
【0088】
そのため、大きな筋群である腹部・体幹部の筋群であるm3(脊柱起立筋、腹直筋、腹斜筋等)、大腿部の筋群であるm5(ハムストリングス、大腿四頭筋等)、下腿部であるm6(ヒラメ筋、前脛骨筋、腓腹筋等)以外に、トレーニングすることが難しいインナーマッスルm4(大内転筋、長内転筋、腸骨筋)、そして、足裏に備わる足部・足底筋群m7(短趾伸筋、母指内転筋、長母子屈筋など)のバランス保持に貢献する筋群を中心に使用感を使用者が感じることとなる。
【0089】
さらに、入浴中のウォーキングにおいて、吐水の周期を早くすることで、安定した脚部軌道を使用者へ提供できるようになり、より多くの屈伸運動を短い時間で得ることができる。以上より、使用者は、日常の動作で積極的に働く大腿二頭筋、四頭筋、ヒラメ筋、前脛骨筋、腓腹筋といった筋群m5、m6を効果的にトレーニングすることが可能となる。
【0090】
また、噴流を足裏で受けることによって、足裏に備わる感覚器を刺激することができる。足裏に備わる感覚器(圧受容器)は、年齢の増加にともなって感度が低下する。そのため高齢者は足裏で身体の重心位置を検地することが出来ず転等する可能性が高くなるとことは一般的に知られている。しかし、感覚器の感度などは、絶えず感覚器を刺激することによって、感覚器の感度、そして、感覚器より検出した情報を伝える神経系の処理機能を維持することが可能となることも最近の研究にて報告されている。
【0091】
本発明の一実施形態における浴槽装置は、脚部が屈曲するほどの強い噴流を足裏に当てている。そのため、第一に脚部を屈伸することで、腱や筋に備わる腱紡錘、筋紡錘といった固有感覚器を刺激する。そして第二に、噴流を足裏で直接受けることで足裏に備わる感覚器(圧受容器)が刺激される。それにより、感覚器と感覚器より検出した情報を伝える神経系の経路を促通させることが可能となり、バランス能力などを向上させることが出来る。
【0092】
更に本実施形態によれば、左脚用の吐水部3Lと右脚用の吐水部3Rから左右交互に入浴者の足裏へ噴流を吐水するため、入浴者は、脚部の屈伸運動に加え骨盤を中心とした旋回運動を起こすこととなる。その結果、脚部周りの筋群への運動効果に加えて、腹直筋、腹斜筋そして背筋群などへの運動効果が得られることを確認している。このように、上述の運動を浴槽内で行うことにより、脚部のみならず身体の広い範囲に対しての運動となり、効果的な運動を入浴者が得られることができる。
【0093】
更に本実施形態によれば、入浴者は、両足の吐水部3L及び3Rから吐水される水量に応じて屈伸運動より得る運動感が異なる。図14に示す実線Lは、吐水部3からの噴流によって入浴者が屈伸運動を起こった時の脚部が噴流によって第二の浴槽壁面から離れて移動する距離と吐水の流量をとの関係を表している。
【0094】
実線Lに示すように、足部の移動距離と吐水の流量には相関関係があり、吐水量が多くなると脚部移動量が増える。足部の異動距離が第二の浴槽壁面より離れるのは80リットル/分程度からであり、80リットル/分程度以上の吐水量になると、足部の移動が開始され屈伸運動を行える。より効果的な運動を入浴者が行うには、吐水量を110リットル/分とするとよい。
【0095】
本実施例では、足部の移動距離は140mm程度となっていた。さらにより効果的な運動を得ようとすると、入浴者は吐水量、180リットル/分を選択し、さらに高い効果的な運動を得ようとすると、200リットル/分となるように水量を調節してもよい。その際の脚部の移動距離は250mm〜300mm程度となっていることが実験より分かっている。
【0096】
吐水される水量が110リットル/分を超えると吐水される噴流の押圧によって脚部移動距離が140mm以上になり、この条件を境に使用者が、噴流による屈伸運動で運動感を感じることが確認されている。尚、モニター人数35名において、110リットル/分を超えると吐水で足部が140mm以上移動し、運動感を感じることを確認している。また、ここでの運動感とは、脚部において軽い疲労感や、使用していた筋肉の一部が温かく感じることなどが主な意見として抽出されている。
【0097】
本具体例においては、浴槽2内に水(湯)Wを溜めた状態で、入浴者Mが浴槽2内に入り、入浴姿勢をとる。そして、制御部5の操作ボタンを操作することにより、浴槽装置1による運動の実行時間及び屈伸運動の周期を任意に設定する。なお、制御部5の中に予め複数の種類の運動モードが設定されており、入浴者が好みの運動モードを選択するようにしてもよい。
【0098】
例えば、入浴者が、運動負荷の高いモードを選択すると、タイマーが比較的短い周期で吐水する状態、吐水しない状態へと水量を切替える制御を、制御部5から吐水駆動部4に対して出力する。又は、運動時間及び運動周期はタイマーが自動的に設定してもよい。例えば、湯の設定温度が39℃であるとき、タイマーは、1セットの運動時間を10分間に設定する。
このように、本具体例によれば、運動の負荷を入浴者の好みに応じて任意に設定することができる。本具体例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の実施形態と同様である。
【0099】
吐水駆動部4は、羽根車をモータによって回転させることで湯水を吸入し、吐水部3より吐水する噴流を作り出す回転式のポンプなどが用いられる。また、吐水駆動部4の制御には、シーケンサー、タイマー、AD/DA変換機と計算機などを用いてポンプの駆動状態を制御する。尚、回転式ポンプを想定して説明したが、本実施例は上記内容に限られるものではない。例えば、プランジャー、もしくはピストンなど容積型の電磁式往復ポンプを用いて吐水部3から噴流を作り出しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の動作を例示する模式的平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、吐水量と入浴者の脚部の状態との関係を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、入浴者の状態を例示する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る吐水駆動部の動作状態とその吐水量を例示する図である。
【図6】本発明の本実施形態に係る吐水駆動部が生成することのできる吐水状態を例示する図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の動作を例示する模式的平面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、吐水量と入浴者の脚部の状態との関係を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、入浴者の状態を例示する図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、入浴者の筋活動を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、入浴者の筋の場所とその活動を例示する図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、使用時の呼吸商を示した図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、流量と脚部移動量との関係を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、活動する筋の位置を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
1 浴槽装置、2 浴槽、2a 第一の浴槽壁面、2b 第二の浴槽壁面、2c底面、3 吐水部、3L 第一の吐水部、3R 第二の吐水部、4 吐水駆動部、4L 第一の吐水駆動部、4R 第二の吐水駆動部、4s 吸入口、5 制御部、M 入浴者、m1 背中、m2 足裏、W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、
前記浴槽に設けられ
背もたれ可能な第一の浴槽壁面と、
前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、
前記第二の浴槽壁面に設けられ、足裏に噴流を吐水する吐水部と、
前記吐水部に接続される吐水駆動部と、
前記吐水部から吐水する噴流の状態を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記噴流の噴流量を所定値以上に増加させる過程で足を屈曲させることを可能とし、
かつ前記噴流を減少させる過程で屈曲した足を伸展させることを可能とする制御部である
ことを特徴とする浴槽装置。
【請求項2】
前記吐水部は、第一の吐水部と第二の吐水部を有し、
前記吐水駆動部は、第一の吐水駆動部と第二の吐水駆動部を有し、
第一の吐水駆動部は前記第一の吐水部に接続され、
第二の吐水駆動部は前記第二の吐水部に接続され、
前記制御部は、
一方の吐水部からの噴流を減少させる過程において、
他方の吐水部からの噴流を所定噴流値以上の状態で増加させるように
前記第一の吐水駆動部および前記第二の吐水駆動部を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の浴槽装置。
【請求項3】
前記制御部の制御が、前記第一の吐水駆動部および前記第二の吐水駆動部に対して、交互に行われる
ことを特徴とする請求項2に記載の浴槽装置。
【請求項4】
前記制御部が、左右の足を屈曲および伸展させる際に、
前記第一の吐水駆動部および前記第二の吐水駆動部に対して、
前記左右の足が前記第一の吐水部及び前記第二の吐水部から同時に離間している状態を含むように制御する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の浴槽装置。
【請求項5】
前記第一の吐水駆動部と前記第二の吐水駆動部が、
それぞれ独立したポンプを有し、
前記制御部の制御は、前記ポンプに対して行われる
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の浴槽装置。
【請求項6】
前記第一の吐水部と前記第二の吐水部が水平方向に配列された一対の吐水部である
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の浴槽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−82422(P2010−82422A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300336(P2008−300336)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【特許番号】特許第4374555号(P4374555)
【特許公報発行日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】