説明

浴用剤組成物

【課題】適度な香り立ちを有し、香りの安定性に優れ、50℃の高温においても保存安定性が良好な、発泡性の錠剤型浴用剤の提供。
【解決手段】次の成分(A)〜(C)を含有する発泡性錠剤であって、成分(a1)及び(a2)の浴用剤組成物中における合計含有量が1〜3質量%である浴用剤組成物。
(A) 成分(a1)〜(a4)を含む香料粒子 浴用剤組成物中10〜30質量%
(a1) 香料成分(ただし、成分(a2)を除く) 香料粒子中7〜25質量%
(a2) テルペン系炭化水素又はセスキテルペン系炭化水素 香料粒子中0.5〜1.9質量%
(a3) 非イオン界面活性剤 香料粒子中0.5〜1質量%
(a4) 重量平均分子量2000以上の水溶性高分子 香料粒子中67〜92質量%
(B) 炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウム
(C) 有機酸

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香り立ちが適度であり、高温安定性に優れる発泡性の錠剤型浴用剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸塩と酸とを組み合わせた炭酸ガス発生物を配合した浴用剤が、血行促進効果に優れ、リラックス感や爽快感を高めることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、浴用剤として期待される重要な効果として、香りによるアロマテラピー効果、リラックス効果等があり、浴用剤中に配合する香料を安定化することが重要になっている。
しかし、香料は揮発性の高い成分を含むため、浴用剤の保存中に香料が揮発して香りが変化したり、異臭が発生することがあった。そこで、香料を水溶高分子で造粒することによって保存中の香りを安定化する技術が報告されている(特許文献2参照)。
【0004】
また、炭酸ガス発生物を配合した浴用剤においては、発泡と同時に香料が揮散しやすいため、入浴中に長時間、安定な香りを維持することが困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59-70609号公報
【特許文献2】特開2000-229843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
香料を水溶高分子で造粒した香料粒子を、炭酸塩と酸とを組み合せた炭酸ガス発生物とともに圧縮成形した浴用剤は、賦香率(浴用剤中の香料成分の割合)が低い場合には、特に保存安定性上の問題は見られない。しかし、賦香率が1質量%以上になると、浴用剤が50℃程度の高温環境下に置かれた場合、香料粒子の溶解により、溶解した水溶性高分子や染み出した香料により炭酸塩と酸の反応が進んで炭酸ガスが発生し、包装材料の膨れ、錠剤の溶解性低下などの現象が認められる。また、水溶性高分子と香料からなる香料粒子を、賦香率が1質量%以上になるように浴用剤に賦香した場合、香料成分が浴水表面に浮き、過剰な香り立ちになる問題も生じるおそれがある。
【0007】
従って、本発明の課題は、適度な香り立ちを有し、香りの安定性に優れ、50℃の高温においても保存安定性が良好な、発泡性の錠剤型浴用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は、発泡性の錠剤型浴用剤における適度な香り立ちと香料粒子の50℃での保存安定性を図るべく種々検討した結果、テルペン系又はセスキテルペン系炭化水素を含む香料成分に水溶性高分子及び非イオン界面活性剤を加えて香料粒子を造粒して、炭酸ガス発生物とともに製剤化することにより、香りの安定性が良く、香料成分が本来持つ香りの質と強さを保持することができ、更に賦香率が1質量%以上であっても、50℃の高温下で安定性に優れる錠剤型浴用剤が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(C)を含有する発泡性錠剤であって、成分(a1)及び(a2)の浴用剤組成物中における合計含有量が1〜3質量%である浴用剤組成物を提供するものである。
(A) 成分(a1)〜(a4)を含む香料粒子 浴用剤組成物中10〜30質量%
(a1) 香料成分(ただし、成分(a2)を除く) 香料粒子中7〜25質量%
(a2) テルペン系炭化水素又はセスキテルペン系炭化水素 香料粒子中0.5〜1.9質量%
(a3) 非イオン界面活性剤 香料粒子中0.5〜1質量%
(a4) 重量平均分子量2000以上の水溶性高分子 香料粒子中67〜92質量%
(B) 炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウム
(C) 有機酸
【発明の効果】
【0010】
本発明の浴用剤組成物は、香料成分が本来持つ香りの質のまま、適度な香り強度の香り立ちが得られ、香りの安定性に優れ、かつ50℃でも保存安定性に優れる。更に本発明の浴用剤組成物は、香料粒子中に非イオン界面活性剤を添加したことにより使用時における浴水表面への香料による油浮きが防止できるため、使用時の見た目も良好である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔(A):香料粒子〕
本発明の浴用剤組成物は、成分(A)として、前記成分(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)を含む香料粒子を含有する。成分(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)は、浴用剤中に単に配合するのではなく香料粒子に配合することが、高濃度で香料を賦香する際の香り立ち、香りの安定性及び50℃における高温安定性を担保するうえで重要である。
【0012】
・成分(a1):成分(a2)以外の香料成分
成分(a1)の香料成分としては、例えば、「合成香料 化学と商品知識」(印藤元一著、化学工業日報社、2005年増補改定版)に記載の香料のうち、成分(a2)に該当するテルペン系炭化水素、セスキテルペン系炭化水素以外のもの、すなわちアルコール系、アルデヒド系、ケトン系、エーテル系、オキサイド系、エステル系、ラクトン系香料等を使用することができる。成分(a1)の香料成分は、シトラス、グリーン、フローラル、ハーブ等の所望の香りに合わせて種々の調合香料としても香料粒子に配合することができる。
【0013】
成分(a1)は、成分(A)の香料粒子中に7〜25質量%、好ましくは10〜25質量%含有され、これにより、濃厚で芳醇な香り立ちと、香りの持続性が得られ、トップノートのフレッシュ感をも出すことができ、また入浴後の肌への香りの持続性を高める点で効果的となる。
【0014】
・成分(a2):テルペン系炭化水素、セスキテルペン系炭化水素
成分(a2)のテルペン系炭化水素又はセスキテルペン系炭化水素は、錠剤型浴用剤の高温での保存安定性を高める役割を有する。成分(A)の香料粒子にテルペン系炭化水素又はセスキテルペン系炭化水素を含有させることによって、賦香率が1質量%以上であっても50℃の高温下における保存安定性を担保することができる。
【0015】
成分(a2)のテルペン系炭化水素、セスキテルペン系炭化水素の具体例としては、ミルセン、オシメン、カンフェン、ターピノレン、アルファーターピネン、フェランドレン、アルファフェランドレン、パラサイメン、ファルネセン、セドレン、ロンジフォレン、コパエン、グアイエン、パチョレン、グルジュネンが挙げられる。成分(a1)の香料成分が本来有する香りの質を際だたせる観点から、成分(a1)の香料成分がシトラス系の香りの場合にはミルセン、アルファフェランドレン、ターピノレンが好ましく、成分(a1)の香料成分がグリーン系の香りの場合には、パラサイメン、オシメンが好ましく、成分(a1)の香料成分がフローラル系の香りの場合にはミルセン、オシメン、ファルネセンが好ましく、成分(a1)の香料成分がハーブ系の香りの場合には、カンフェン、ミルセン、アルファーターピネンが好ましい。中でも、ミルセン、オシメン、ファルネセン、パラサイメンは、繁用される香料でもあり、特に好ましい。
【0016】
これら成分(a2)のテルペン系又はセスキテルペン系炭化水素は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分(A)の香料粒子中における成分(a2)の含有量は、成分(a1)が元々有する本来の香質を維持する観点や、高温における入浴剤の安定性の観点から、0.5〜1.9質量%であり、好ましくは0.8〜1.7質量%、更には1.0〜1.5質量%である。
【0017】
本発明の浴用剤組成物中における、成分(a1)の香料成分と、成分(a2)のテルペン系炭化水素、セスキテルペン系炭化水素の合計含有量は、香り立ち、香りの持続性、肌への香りの持続性の観点から、1〜3質量%であり、好ましくは1.2〜3質量%、更には1.5〜3質量%である。
【0018】
また、成分(a1)の香料成分と、成分(a2)のテルペン系炭化水素、セスキテルペン系炭化水素の配合比率(質量比)は、浴用剤組成物の保存安定性に加え、香りの質と強さを保持する観点から、(a1):(a2)=30:1〜5:1が好ましく、更には20:1〜5:1が好ましく、特に12:1〜5:1が好ましい。
【0019】
・成分(a3):非イオン界面活性剤
成分(a3)の非イオン界面活性剤を配合することにより、浴用剤の使用時に香料成分が浴水表面に浮き、過剰な香り立ちになるのを回避することができ、更に使用時の見た目も心地よいものとなる。また、賦香率が1質量%以上であっても50℃の高温下で保存安定性に優れたものとなる。
【0020】
成分(a3)の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
【0021】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、アルキレンの炭素数が2〜3、オキシアルキレンの繰り返し数が7〜14、アルキルの炭素数が14〜20であるものが好ましい。具体例としては、ポリオキシエチレン(EO=7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO=10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO=12)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO=13)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO=8)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(EO=9)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(EO=13)ステアリルエーテル等が挙げられる。
【0022】
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルとしては、アルキレンの炭素数が2〜3、オキシアルキレンの繰り返し数が7〜14、アルケニルの炭素数が14〜20であるものが好ましい。具体例としては、ポリオキシエチレン(EO=8)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(EO=9)オレイルエーテルが挙げられる。
【0023】
このうち、成分(a1)の香料成分の浴水への分散と香り立ちの観点から、ポリオキシエチレン(EO=7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO=13)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO=9)オレイルエーテルが特に好ましい。
【0024】
またショ糖脂肪酸エステルとしては、成分(a1)の香料成分の浴水への分散と香り立ちの観点から、HLBが16以下のものが好ましく、特に15以下のものがより好ましい。例えば、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等が挙げられる。
【0025】
成分(a3)の非イオン界面活性剤は、成分(a1)の香料成分の浴水への分散と香り立ちの観点から、ポリオキシアルキレンアルキル又はポリオキシアルケニルエーテルと、ショ糖脂肪酸エステルとを組合せて使用することが好ましく、香り立ちの点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルと、ショ糖脂肪酸エステルとの配合比(質量比)は、2:1〜5:1が好ましく、更には3:1〜5:1が特に好ましい。
【0026】
成分(A)の香料粒子中における成分(a3)の含有量は、成分(a1)の香料成分の浴水への分散と浴水への溶解時の適度な香り立ちの観点から、特に成分(a1)が本来持つ香りの質と強度を保持する点で0.5〜1.0質量%であり、好ましくは0.6〜1.0質量%である。
【0027】
また、成分(a1)及び(a2)の合計含有量と成分(a3)の含有量との比は、香料成分への浴水への分散と香り立ちの観点から、10:1〜40:1が好ましく、更には15:1〜25:1が好ましい。
【0028】
・成分(a4):重量平均分子量2000以上の水溶性高分子
成分(a4)は、重量平均分子量2000以上の水溶性高分子であり、香料の安定化、香り立ちの点から重要な成分である。
【0029】
本発明で用いる水溶性高分子としては、常温(25℃)で固体又はペースト状のものが好ましい。ここでペースト状とは、半固形状の物質である。具体的には、例えば、にかわ、ゼラチン、コラーゲンタンパク、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ファーセレラン、タマリンドガム、ペクチン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、トラガントガム、ローカストビーンガム、デキストリン、デキストラン、寒天、澱粉等の天然水溶性高分子;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン澱粉等の半合成水溶性高分子;ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の合成水溶性高分子などが挙げられ、1種以上を用いることができる。これらのうち、ポリエチレングリコール、特に重量平均分子量2000〜20000のポリエチレングリコールが好ましい。
【0030】
これら成分(a4)の水溶性高分子は、単独で又は2種以上を組み合せて使用することができ、成分(A)の香料粒子中における成分(a4)の含有量は、香り立ち、香りの持続性及び浴用剤組成物の高温時の保存安定性の点から、67〜92質量%であり、好ましくは70〜90質量%、更には73〜90質量%である。
【0031】
成分(A)の香料粒子は、例えば転動式造粒法、噴霧乾燥造粒法、遠心式造粒法、攪拌造粒法、板上滴下造粒法等により製造することができる。特に、塊状や液体から粒径の小さい粒子を製造できる方法が好ましい。例えば、本発明の香料粒子は、成分(a1)〜(a4)を加熱溶融して均一に混合した後、一定量を平らな板状物の上に滴下して、固化、造粒し、顆粒状の粒子を得るのが好ましい(板上滴下造粒法)。加熱溶融の温度は、使用する成分(a4)の水溶性高分子が溶融する温度であることが好ましい。
【0032】
成分(A)の香料粒子は、香り立ち、香りのフレッシュ感、香りの持続性の点から、粒子径が100〜2000μm、特に500〜1500μmであることが好ましい。粒径は、ふるい分け法によって、JIS Z 8801で規定された目開きのふるいを用いて選別、測定する。
【0033】
成分(A)の香料粒子は、本発明の浴用剤組成物中に10〜30質量%含有するが、10〜25質量%、更には12〜25質量%含有するのが、浴湯に溶解したときの香り立ち、香りの持続性の点で好ましい。
【0034】
〔(B)+(C):炭酸ガス発生物〕
本発明の浴用剤組成物には、炭酸ガス発生物としての炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムと、有機酸とを含有する。有機酸としては、例えばコハク酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸、マロン酸、マレイン酸等が挙げられる。このうち、コハク酸、フマル酸が特に好ましい。
【0035】
炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムは、本発明の浴用剤組成物中に合計量で10〜60質量%、特に10〜50質量%含有するのが、浴湯中に十分な炭酸ガスを溶解できるので好ましい。また、有機酸は、本発明の浴用剤組成物中に有機酸の合計量で20〜60質量%、特に30〜60質量%含有するのが、浴湯中に十分な炭酸ガスを溶解できるので好ましい。更に、炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムと、有機酸との総含有量は40〜85質量%、特に50〜85質量%が好ましい。
【0036】
本発明の浴用剤組成物には、更に通常浴用剤に用いられる成分、例えば無機塩類、無機酸類、生薬類、油脂類、アルコール類、薬効剤、色素類、ビタミン類等を配合できる。
本発明の浴用剤組成物は、圧縮成形法、例えば打錠により、圧縮成形製剤、例えば錠剤の形態とすることができる。
【0037】
本発明の浴用剤組成物は、浴槽溶解時に発泡して炭酸ガスを発生する。当該炭酸ガスは浴湯中に高濃度に溶解し、血行促進効果を発揮する。一方、本発明の浴用剤中に配合された香料粒子は、発泡と同時に浴湯中に放出され、入浴中良好な香りが持続するため、良好なアロマテラピー効果が得られる。
【実施例】
【0038】
製造例1(香料粒子の製造)
ポリエチレングリコール6000(重量平均分子量7500)の87.4質量部を約60℃で溶融し、成分(a1)の香料成分11質量部、成分(a2)のミルセン0.5質量部、オシメン0.5質量部、成分(a3)のポリオキシエチレンセチルエーテル0.5質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部を加えて溶解した。これを均一に混合した後、20℃の平らな板に滴下し、直径100〜2000μm(ふるいにて測定:長径)の範囲の粒状に造粒して香料粒子1を得た。
表1及び2に示す香料粒子2〜15についても同様に製造した。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
実施例1〜8、比較例1〜8
製造例1で得られた表1及び2に示す香料粒子を用い、表3及び4に示す組成で均一に配合し、1錠100gを油圧打錠機にて打錠成形し、浴用剤組成物を得、以下の〔安定性の評価〕、〔水面上の油浮きの評価〕、〔香り立ちと持続性の評価〕を行った。また、香料粒子自体を用い、〔香りの質の評価〕を行った。
【0042】
〔50℃での安定性評価〕
打錠成形した、浴用剤組成物1錠100gをアルミピローで包装した後、50℃の恒温槽に入れ、30日後のアルミピローの状態について、5名の専門パネラーが、下記の評価基準に従い目視にて評価した。評価は協議により決定した。結果を表3及び4に示す。
【0043】
(安定性の評価基準)
1:アルミピローの外観にまったく変化を認めない
2:アルミピローの外観にごくわずかに膨れを認める
3:アルミピローにやや膨れを認める
4:アルミピローに膨れを認める
【0044】
〔溶解後の水面上の油浮き評価〕
250リットルの浴槽に40℃、150リットルの湯を入れ、ここに打錠成形した錠剤1錠100gを溶かし、溶解後の水面上の油浮きの状態について、5名の専門パネラーが、以下の評価基準に従い目視評価を行った。評価は協議により決定した。結果を表3及び4に示す。
【0045】
(水面上の油浮きの評価基準)
1:油浮きを認めない
2:ごくわずかに油浮きを認める
3:油浮きを認める
【0046】
〔香り立ちと持続性の評価〕
250リットルの浴槽に40℃、150リットルの湯を入れ、ここに打錠成形した錠剤1錠100gを溶かし、全量溶解直後の香り立ちと、溶解1時間後の香り立ちについて、5名の専門パネラーが以下の評価基準に従い評価を行った。評価は協議により決定した。結果を表3及び4に示す。
更に「溶解直後の香り立ち」と「溶解1時間後の香り立ち」との差を計算し、〔持続性の評価〕とした。(溶解直後の香り立ち)と(溶解1時間後の香り立ち)との差は1以内が好ましい。結果を表3及び4に示す。
【0047】
(香り立ちの評価基準)
1:無臭
2:ごくわずかに香る
3:弱く香る
4:ちょうど良く香る(設定範囲)
5:はっきり香る(設定範囲)
6:強く香る
7:かなり強く香る
【0048】
〔香りの質の評価〕
成分(a2)のテルペン系又はセスキテルペン系炭化水素は香りを有するため、成分(a1)の香料成分に成分(a2)を加えることにより、成分(a1)が本来有する香りが変わる可能性がある。そこで、成分(a1)の本来有する香りであるか否かを確認するための評価を行った。
すなわち、表1及び2に示す香料粒子の処方において、成分(a2)を含有しない香料粒子を調製し、表1及び2に示す香料粒子の香りの質と、上記成分(a2)を含有しない香料粒子の香りの質と比較評価した。
各香料粒子20gを各々40℃、150リットルの湯に溶かし、全量溶解直後の香調を5名の専門パネラーで官能評価を行った。評価は協議により決定した。結果を表3及び4に併せて示す。
【0049】
(香りの質の評価基準)
1:成分(a1)の香料成分本来の香りを有する
2:成分(a1)の香料成分本来の香りとほぼ同等である
3:成分(a1)の香料成分本来の香りとはやや異なる
4:成分(a1)の香料成分本来の香りと異なる
【0050】
〔総合評価〕
総合評価は、〔安定性の評価〕、〔水面上の油浮きの評価〕、〔香りの質の評価〕と、〔香り立ちと持続性の評価〕を考慮して、以下の基準にて総合的に判断した。
(評価基準)
1:各評価を総合的に判断した結果、効果は極めて優れている
2:各評価を総合的に判断した結果、効果は優れている
3:各評価を総合的に判断した結果、効果は十分である
4:各評価を総合的に判断した結果、効果がやや不十分である
5:各評価を総合的に判断した結果、効果が不十分である
【0051】
【表3】

【0052】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C)を含有する発泡性錠剤であって、成分(a1)及び(a2)の浴用剤組成物中における合計含有量が1〜3質量%である浴用剤組成物。
(A) 成分(a1)〜(a4)を含む香料粒子 浴用剤組成物中10〜30質量%
(a1) 香料成分(ただし、成分(a2)を除く) 香料粒子中7〜25質量%
(a2) テルペン系炭化水素又はセスキテルペン系炭化水素 香料粒子中0.5〜1.9質量%
(a3) 非イオン界面活性剤 香料粒子中0.5〜1質量%
(a4) 重量平均分子量2000以上の水溶性高分子 香料粒子中67〜92質量%
(B) 炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウム
(C) 有機酸
【請求項2】
(a3)非イオン界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上である請求項1記載の浴用剤組成物。
【請求項3】
(a4)水溶性高分子が、ポリエチレングリコールである請求項1又は2記載の浴用剤組成物。
【請求項4】
成分(A)の香料粒子の粒子径が、100〜2000μmである請求項1〜4のいずれか1項記載の浴用剤組成物。

【公開番号】特開2012−12346(P2012−12346A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151270(P2010−151270)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】