説明

海底生物駆除装置

【課題】海底生物を効率よく駆除できる海底生物駆除装置を提供する。
【解決手段】本発明による海底生物駆除装置は、シャフトに取り付けられ、シャフトが回転しても回転しない固定部とシャフトで回転される可動部からなるスイベルジョイントと、スイベルジョイントの固定部に取り付けられる主吸引ホースと、スイベルジョイントの可動部に取り付けられ、吸引した海水を前記スイベルジョイントから主吸引ホースに向けて送り出す複数の分岐吸引ホースと、スイベルジョイントを支え、シャフトによって回転される環状体と、分岐吸引ホースの先端に設けられ、吸込み口を有する吸込み金具と、吸込み金具を可動可能に環状体につなぐ連結金具と、が備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底生物駆除装置に係り、より詳細には、フジツボ、ゴカイ、ヒトデ、ヤスデなどの海底生物を効果的に駆除することができる海底生物駆除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、昆布などの養殖場の海底に繁茂した雑海藻を除去するため、回転体から複数のチェーンを吊り下げて、チェーンの先端を引きずることにより、雑海藻を除去する海底の清掃装置が示されている。しかしながら、異常発生した海底生物などはチェーンを引きずるだけでは有効に駆除することはできない。
【0003】
特許文献2には、海水を海底に向けて噴射するとともに渦流とした海底の泥を吸上げる汚泥吸引システムと、吸上げた汚泥を海上で浄化処理する浮上式浄化システムと、吸引ユニットを海中で自在に移動操作するためのアーム操作機構と、で構成された海底浄化装置が示されている。しかしながら、このような海底浄化装置を海底生物の駆除に適用すると、除去する必要のない海底の泥まで大量に吸い上げられることになり効率が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−95830号公報
【特許文献2】特開2000−70996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、海底生物を効率よく駆除できる海底生物駆除装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明による海底生物駆除装置は、シャフトに取り付けられ、前記シャフトが回転しても回転しない固定部と前記シャフトで回転される可動部からなるスイベルジョイントと、前記スイベルジョイントの固定部に取り付けられる主吸引ホースと、前記スイベルジョイントの可動部に取り付けられ、吸引した海水を前記スイベルジョイントから前記主吸引ホースに向けて送り出す複数の分岐吸引ホースと、前記スイベルジョイントを支え、前記シャフトによって回転される環状体と、前記分岐吸引ホースの先端に設けられ、吸込み口を有する吸込み金具と、前記吸込み金具を可動可能に前記環状体につなぐ連結金具と、が備えられることを特徴とする。
【0007】
前記吸込み金具は、一端に摺動板が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明による海底生物駆除装置によれば、複数の分岐吸引ホースをスイベルジョイントの可動部に取り付け、シャフトで分岐吸引ホースを回転させるようにしたので、分岐吸引ホースの先端から海底生物を吸引することができる。複数の分岐吸引ホースが円軌道を描くように回転させ、海底生物駆除装置を一定の方向に移動すれば、海底の広い範囲をカバーできる。分岐吸引ホースの先端の吸込み金具を連結金具で可動可能に環状体につないだので、環状体が海底に接触するまで降下させても、吸込み金具と分岐吸引ホースが直接衝撃を受けないようにできる。また、連結金具により分岐吸引ホースが遠心力で拡がることもない。
【0009】
吸込み金具の一端に摺動板を設けた場合、摺動板で海底をこすって海底生物などを海底から追い出すことができる。また、摺動板が海底に接触する吊り下げ位置では、吸込み金具の吸込み口が海底から離れ、吸込み口が斜め水平前方を向くので、不必要に泥などを吸い込まないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による海底生物駆除装置の斜視図である。
【図2】図1の要部の側面図である。
【図3】本発明による海底生物駆除装置の運転状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照にして本発明による海底生物駆除装置について説明する。
なお、ここで海底生物とは、フジツボ、ゴカイ、ヒトデなど有用ではない生物を指し、海底生物駆除装置はこれらを駆除できる装置とする。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明による海底生物駆除装置の斜視図である。本発明による海底生物駆除装置100は、駆動モータで回転されるシャフト2、固定部3aと可動部3bからなるスイベルジョイント3、スイベルジョイント3の固定部3aの側面に取り付けられる主吸引ホース6、スイベルジョイント3の可動部3bに取り付けられ、吸引した海水を主吸引ホース6に向けて送り出す3本の分岐吸引ホース7、スイベルジョイント3の可動部3bの底部を支え、シャフト2によって回転される環状体5、分岐吸引ホース7の先端に設けられる吸込み金具12と、吸込み金具12を可動可能に環状体5につなぐ連結金具15と、を備える。
【0013】
スイベルジョイント3の固定部3aは、シャフト2が回転しても回転しない。一方、スイベルジョイント3の可動部3bは、シャフト2の回転によって回転される。シャフト2を回転させると環状体5ならびに3本の分岐吸引ホース7が回転する。これにより分岐吸引ホース7の先端の吸込み金具12が円の軌道を描き、一端の吸込み口から、海水と海底生物などの固形物を一緒に吸い込む。吸込み金具12の後端には、摺動板8を設けことが望ましい。摺動板8が海底をこするようにして、海底生物を海底表面から追い出すことができる。
【0014】
連結金具15は、吸込み金具12と環状体5につなぐものである。詳細には、連結金具15は、複数のリングからなり、環状体5の底部に固定されたフレーム13と吸込み金具12とをつないでいる。フレーム13は環状体5の周の外側に突出しており、分岐吸引ホース7の回転半径を環状体5の半径より大きくすることができる。摺動板8は、海底をこすって海底生物などを海底から追い出すものであり、金属をはじめゴムや樹脂とすることができる。
【0015】
図2は、図1のスイベルジョイント部の側面図である。海底生物を含む海水は、分岐吸引ホース7先端に設けられた吸込み金具12の吸込み口から吸い込まれ、スイベルジョイント3の可動部3bの内部に入り、固定部3aを通過して主吸引ホース6に送り出される。シャフト2の回転によって、スイベルジョイント3の固定部3aは回転せず、可動部3bと回転板5が回転される。スイベルジョイント3の内部模式図を引き出し円の中に示す。シャフト2とスイベルジョイント3の可動部3bと環状体5は連結され一緒に回転するが、スイベルジョイント3の固定部3aは連結されておらず、シャフト2が回転しても回転しない。
【0016】
図2に示すように、摺動板8が海底30と接触している状態では、吸込み金具12の吸い込み口は斜め前方を向いている。海底生物駆除装置100をさらに降下させると、環状体5の底部が海底30に接触し、分岐吸引ホース7の先端の吸込み金具12は、環状体5の位置まで上昇し直接荷重を受けない。これは、連結金具15を複数のリングで構成したことによる。
【0017】
図3は、本発明による海底生物駆除装置の運転状態を示す説明図である。主吸引ホース6は、船体20に搭載された渦巻きポンプ10に接続される。渦巻きポンプ10は、毎分8トンの海水を吸引する性能がある。渦巻きポンプ10を出た海底生物を含む海水は、沈降タンク11に送られる。沈降タンク11で海水と固形物が分離され、海水は海に戻される。固形物は埋め立て処分などとされる。
【0018】
図3に示すように、シャフト2は、折り曲げ可能な継手14を介して駆動モータ1の回転軸に連結される。継手14は、海底生物駆除装置100が海底の岩などに乗り上げた場合、折れ曲がってクレーン9に負荷をかけないようにできる。駆動モータ1は、船体20に設置されたクレーン9の先端に取り付ける。海底生物駆除装置100を海中のどの深さまで下降させるかは、魚群探知機などにより水深を推定し決める。なお、駆動モータ1は、例として毎分6〜12回転のモータとすることができる。この回転速度で分岐吸引ホース7が回転する。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明による海底生物駆除装置は、海底の有害な海底生物を駆除できる装置として好適である。
【符号の説明】
【0020】
1 駆動モータ
2 シャフト
3 スイベルジョイント
3a 固定部
3b 可動部
5 環状体
6 主吸引ホース
7 分岐吸引ホース
8 摺動板
9 クレーン
10 渦巻きポンプ
11 沈降タンク
12 吸込み金具
13 フレーム
14 継手
15 連結金具
20 船体
30 海底
100 海洋生物駆除装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトに取り付けられ、前記シャフトが回転しても回転しない固定部と前記シャフトで回転される可動部からなるスイベルジョイントと、
前記スイベルジョイントの固定部に取り付けられる主吸引ホースと、
前記スイベルジョイントの可動部に取り付けられ、吸引した海水を前記スイベルジョイントから前記主吸引ホースに向けて送り出す複数の分岐吸引ホースと、
前記スイベルジョイントを支え、前記シャフトによって回転される環状体と、
前記分岐吸引ホースの先端に設けられ、吸込み口を有する吸込み金具と、
前記吸込み金具を可動可能に前記環状体につなぐ連結金具と、が備えられることを特徴とする海底生物駆除装置。

【請求項2】
前記吸込み金具は、一端に摺動板が設けられることを特徴とする請求項1に記載の海底生物駆除装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−250767(P2011−250767A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128448(P2010−128448)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(597146938)有限会社カネ亥松井商会 (2)
【Fターム(参考)】