説明

海洋構造物の防食補強方法及び海洋構造物

【課題】海洋構造物表面に、耐塩性、機械的強度、遮水性等に優れる改質硫黄資材被覆層を効率良く設けることができ、海洋構造物の腐蝕や、波による侵食、更には浮遊物の衝突等による衝撃を有効に、且つ長期間にわたって抑制することができる海洋構造物の防食補強方法を提供すること。
【解決手段】本発明の防食補強方法は、海洋構造物表面の少なくとも干満帯領域を囲うように海水堰き止め部材を設けて、底部が閉鎖された作業空間を設ける工程(A)と、作業空間内の海水を排水する工程(B)と、作業空間内における海洋構造物の表面を乾燥する工程(C)と、工程(C)の後、前記作業空間内における海洋構造物の表面の所望箇所に、改質硫黄資材被覆層を設ける工程(D)とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋や鉄骨鉄筋コンクリート製等の橋梁基礎部、護岸、防波堤、海底油田プラットホーム等の海洋構造物における腐蝕や波等による浸食を抑制しうる海洋構造物の防食補強方法及び該防食補強方法を施した海洋構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋構造物は、通常、鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリートや鋼材等により建造されている。このような海洋構造物において、少なくとも干満帯領域に相当する箇所の表面は、長期にわたり海水と外気とに交互に接触し、環境変化が激しいために、腐蝕し易く、また、波による侵食や、浮遊物の衝突等による衝撃を受け易い。
そこで、このような海洋構造物の特定領域における表面を保護するために、従来から、樹脂やゴム、塗料、非腐蝕性金属等によって該特定領域を被覆する方法、更には電気防食するシステムを設置する方法が数多く提案されている。例えば、特許文献1には、海洋構造物の少なくとも海水に接触する部位等に、電気防食構造を設けることが提案されている。
【0003】
ところで、近年、コンクリートに代わる土木、建設資材として、硫黄含有資材が、例えば、特許文献2や3等を含め、多数提案され、利用されはじめている。
このような硫黄含有資材は、耐塩性、機械的強度、遮水性等に優れるため、上記海洋構造物における防食や補強用の保護層としての使用が期待できる。
しかし、硫黄含有資材は、含有される改質硫黄の溶融温度が通常120℃以上必要であるため、該硫黄含有資材を用いて、海洋構造物における海水と接触する箇所の表面に現場で保護層を設けることは、海水があるために不可能であった。
【特許文献1】特開2003−286591号公報
【特許文献2】特開2001−163649号公報
【特許文献3】特開2005−82475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、海洋構造物表面の少なくとも干満帯領域に相当する表面に、耐塩性、機械的強度、遮水性等に優れる改質硫黄資材被覆層を効率良く設けることができ、海洋構造物の腐蝕や、波による侵食、更には浮遊物の衝突等による衝撃を有効に、且つ長期間にわたって抑制することができる海洋構造物の防食補強方法及び該方法を施した防食性、耐衝撃性、耐磨耗性等に優れる海洋構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、海洋構造物表面の少なくとも干満帯領域を囲うように海水堰き止め部材を設けて、底部が閉鎖された作業空間を設ける工程(A)と、前記作業空間内の海水を排水する工程(B)と、前記作業空間内における海洋構造物の表面を乾燥する工程(C)と、工程(C)の後、前記作業空間内における海洋構造物の表面の所望箇所に、改質硫黄資材被覆層を設ける工程(D)とを含むことを特徴とする海洋構造物の防食補強方法が提供される。
また本発明によれば、上記防食補強方法を施した、海洋構造物表面の少なくとも干満帯領域に相当する箇所に改質硫黄資材被覆層を有することを特徴とする海洋構造物が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の海洋構造物の防食補強方法は、上記工程(A)〜(D)を含むので、海洋構造物表面の少なくとも干満帯領域に相当する表面に、耐塩性、機械的強度、遮水性等に優れる改質硫黄資材被覆層を効率良く設けることができ、海洋構造物の腐蝕や、波による侵食、更には浮遊物の衝突等による衝撃を有効に、且つ長期間にわたって抑制することができる。従って、既存の海洋構造物の防食補強や、新設の海洋構造物の防食補強に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明において防食補強する海洋構造物は、海面を境界として海中と外気に連続して接するような構造物であれば特に限定されず、例えば、鉄筋コンクリート製、鉄骨鉄筋コンクリート製、鋼製等の橋梁基礎部、護岸、防波堤、海底油田プラットホーム等が挙げられる。特に、本発明の防食補強作用が顕著である鉄筋コンクリート製又は鉄骨鉄筋コンクリート製の海洋構造物に有効である。
【0008】
本発明の防食補強方法は、海洋構造物表面の少なくとも干満帯領域を囲うように海水堰き止め部材を設けて、底部が閉鎖された作業空間を設ける工程(A)を含む。
工程(A)に用いる海水堰き止め部材は、前記作業空間、即ち、上方が開放され、低部及び側面が閉鎖された、海洋構造物表面の少なくとも干満帯領域を囲い、海水の流通を防止しうるものであれば特に限定されず、通常、鋼製の部材を使用することができる。
海水堰き止め部材の形態は、例えば、海洋構造物表面の少なくとも干満帯領域に相当する箇所に、後述する改質硫黄資材被覆層を設ける作業を行うことができる作業空間を確保しうる形態、若しくは該改質硫黄資材被覆層を形成するための型枠の形状であっても良い。また、海水堰き止め部材の垂直方向の長さは、上記干満帯領域を少なくとも囲うことが可能であれば特に限定されないが、通常、干満帯領域の上限及び下限に対して、約1m程度長い長さとすることができる。
【0009】
工程(A)において、海水堰き止め部材を海洋構造物表面に設けるには、例えば、海洋構造物表面の干潮時の水位よりも低い所定箇所であって、海洋構造物を囲うように、海水堰き止め部材を固定するための凹部又は凸部を、海洋構造物に設ける。一方、海水堰き止め部材には、海洋構造物表面に設けた前記凹部又は凸部に嵌合しうる凸部又は凹部を設けておき、それぞれを嵌合する方法等により、海水堰き止め部材を海洋構造物表面に設けることができる。
この際、海水堰き止め部材は、通常、複数に分割して各々を設置し、最終的に海洋構造物表面の少なくとも干満帯領域を囲うように一体化させ、所望形態の海水堰き止め部材を設けることができる。
前記海洋構造物に設ける凹部又は凸部は、海洋構造物の新設時に設けることができる他、本発明の防食補強方法を実施する際に、既存の海洋構造物に設けることも可能である。
【0010】
本発明の防食補強方法は、工程(A)で設けた前記作業空間内の海水を排水する工程(B)を含む。
工程(B)における海水の排水は、公知の排水ポンプ等を利用して実施することができる。
【0011】
本発明の防食補強方法は、前記作業空間内における海洋構造物の表面を乾燥する工程(C)を含む。
工程(C)における乾燥は、自然乾燥であっても良いが、通常、バーナー等の加熱装置を用いて乾燥することができる。
【0012】
本発明の防食補強方法は、前記工程(C)の後、前記作業空間内における海洋構造物の表面の所望箇所に、改質硫黄資材被覆層を設ける工程(D)を含む。
工程(D)において用いる改質硫黄資材被覆層を形成するための材料には、従来提案されている、例えば、天然産又は、石油や天然ガスの脱硫によって生成した硫黄等を硫黄改質剤により改質した溶融改質硫黄を使用することができる。
【0013】
硫黄改質剤としては、例えば、炭素数4〜20のオレフィン系炭化水素又はジオレフィン系炭化水素、具体的には、リモネン、ピネン等の環状オレフィン系炭化水素、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン等の芳香族炭化水素、ジシクロペンタジエン及びそのオリゴマー、シクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロオクタジエン等のジエン系炭化水素等の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
改質硫黄は、硫黄と硫黄改質剤とを溶融混合することにより得ることができる。この際、硫黄改質剤の使用割合は、硫黄に対して、通常0.1〜20質量%、特に、1.0〜10質量%が好ましい。
硫黄改質材の割合が、0.1質量%未満では、充分に硫黄を改質することができず、所望の機械的強度等が発揮されない恐れがある。
【0014】
前記改質硫黄資材被覆層には、改質硫黄の他に、本発明の所望の効果を損なわず、また、他の効果を得るために、細骨材や他の充填材等を配合することができる。
細骨材としては、通常、粒径5mm以下、好ましくは粒径1mm以下の無機系細骨材を用いることができ、例えば、石炭灰、珪砂、シリカヒューム、石英粉、砂、ガラス粉末、電気集塵灰、フェロニッケルスラグ粉末等が有効に挙げられる。
前記細骨材の配合割合は、改質硫黄100質量部に対して、通常、20〜200質量部、特に40〜150質量部が好ましい。細骨材の配合割合が20質量部未満では、所望の機械的強度等が発揮されない恐れがある。
他の充填材としては、例えば、繊維質充填材、繊維状粒子、薄片状粒子等が挙げられる。
繊維質充填材としては、例えば、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、カーボンファイバー又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0015】
工程(D)において、改質硫黄資材被覆層の形成は、前記海水堰き止め部材を型枠として設置した場合には、該型枠と海洋構造物表面により囲われた作業空間内に、溶融改質硫黄資材を充填し、固化させることにより改質硫黄資材被覆層を設けることができる。
また、前記海水堰き止め部材により、改質硫黄資材被覆層を設ける型枠以外の作業空間を確保した場合には、例えば、海洋構造物の少なくとも干満帯領域に相当する表面箇所に、改質硫黄資材板を接着する方法(1)又は溶融改質硫黄資材を吹付ける方法(2)等により、改質硫黄資材被覆層を設けることができる。前記型枠は、改質硫黄資材被覆層を形成した後に必ずしも取外す必要はないが、前記方法により改質硫黄資材被覆層を形成した場合には、海水堰き止め部材を海洋構造物から取外す工程(E)を実施することができる。
前記方法(2)における溶融改質硫黄資材を吹付ける前においては、改質硫黄資材被覆層を設ける海洋構造物の表面を加熱することが、改質硫黄資材被覆層の密着固定を強固にするために好ましい。
【0016】
前記型枠に充填するか、若しくは方法(2)により吹付ける溶融改質硫黄資材の調製は、例えば、改質硫黄溶融物と、前記特定の細骨材や他の充填材等とを120〜160℃で混合することにより行うことができる。
一方、方法(1)に用いる改質硫黄資材板の調製は、例えば、改質硫黄溶融物と、前記特定の細骨材や他の充填材等とを120〜160℃で混合し、所望の形態の型枠に導入し、振動や超音波等を与えながら冷却固化する方法等により得ることができる。
前記改質硫黄溶融物は、硫黄と硫黄改質剤とを公知の各種加温可能なミキサー等を用いて、120〜160℃の範囲で溶融混合し、例えば、硫黄を充分に改質させるために、140℃における粘度が通常0.05〜1.0Pa・s、好ましくは0.05〜0.5Pa・s程度となるように混合することにより得ることができる。
改質硫黄溶融物、細骨材や他の充填材の混合は、細骨材を予め120〜160℃程度に加熱し、溶融状態を維持する所望温度で混合することにより行うことができる。
前記改質硫黄資材被覆層の厚さは、通常1〜100mm、好ましくは5〜30mmとすることにより、所望の効果を長期維持することができる。
【0017】
前記方法(1)は、改質硫黄資材被覆層を形成する箇所に、エポキシ系等の接着剤を用いて改質硫黄資材板を貼着することにより実施することができる。
前記方法(2)を実施するにあたっては、改質硫黄資材被覆層を形成する海洋構造物の表面に、凹凸等の形成によって荒らすことにより、該改質硫黄資材被覆層の固定を強固にすることができる。
【0018】
本発明の海洋構造物は、上述の本発明の防食補強方法を施した、海洋構造物表面の少なくとも干満帯領域に相当する外面箇所に改質硫黄資材被覆層を有するものである。
改質硫黄資材被覆層の形成領域は、好ましくは、干満帯領域よりも上下に約1m程度ずつ広域とすることが好ましく、改質硫黄資材被覆層の厚さは、通常1〜100mm、好ましくは5〜30mm程度である。
【実施例】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明するが本発明はこれらに限定されない。
図1は、本発明の海洋構造物の防食補強方法の好ましい一態様を説明するための断面概略説明図であって、10は、海洋構造物であるコンクリート製の橋脚11の干満帯領域を含む周囲に改質硫黄資材被覆層13を設けた状態を示す。
図1において、橋脚11の下方には、放射状に突出する凹部11aを設けており、下方にテーパーをなす形態の鋼製の海水堰き止め部材12が、該部材12の下方に設けた凸部12aを、上記凹部11aに嵌合させることにより取付けられている。該取付けは、通常、複数の海水堰き止め部材12を用い、各部材12を接合させる方法で行なうことができる。
該海水堰き止め部材12と橋脚12の外表面により、作業空間14が形成される。また、図1において15は海水の波面を示す。
【0020】
図1に示す態様の防食補強方法においては、橋脚11の外表面の少なくとも干満帯領域を囲うように海水堰き止め部材12を、上記凸部12aを凹部11aに嵌合させることにより、底部が閉鎖された作業空間14を設ける。
前記海水堰き止め部材12を設置した直後において、作業空間14内には、海水の波面15の高さ程度まで海水が浸入した状態となっている。
そこで、作業空間14内の海水(図示せず)を、排水ポンプ等を利用して排水する。
排水後の橋脚11の外表面は、湿った状態であり、内部にも海水が浸透していることが多く、そのままでは、改質硫黄資材被覆層の設置が困難であるので、バーナー等により充分乾燥させる。
【0021】
次に、作業空間14内において改質硫黄資材被覆層13を橋脚11の周囲に形成するには、例えば、橋脚11が直方体等の外表面が平面の場合、図2に示す改質硫黄資材板20を複数用いて、また、橋脚11が円柱等の外表面が湾曲面の場合には、図3に示す湾曲面を有する改質硫黄資材板30を複数用いて以下の方法により行なうことができる。尚、各改質硫黄資材板(20,30)は、上述の材料を用いて上述の方法等により調製することができる。
【0022】
改質硫黄資材板(20,30)を橋脚11の所定箇所に接着剤を用いて貼着することができる。
改質硫黄資材板(20,30)を用いない方法としては、溶融改質硫黄資材を、吹付け機を用いて、橋脚11の所定箇所に吹付ける方法によって、改質硫黄資材被覆層13を橋脚11の周囲に形成することができる。この際、吹付け前に、橋脚11の所定箇所を、予めバーナー等により加温したり、橋脚11の表面を荒らすことにより、吹付けにより形成される改質硫黄資材被覆層13の固定をより強固にすることができる。
上記改質硫黄資材被覆層13を橋脚11の周囲に形成した後に、海水堰き止め部材12を橋脚11から取外すことにより、少なくとも干満帯領域に相当する箇所に改質硫黄資材被覆層13を有する海洋構造物を得ることができる。
【0023】
図4は、本発明の海洋構造物の防食補強方法の他の一態様を説明するための断面概略説明図であって、40は、海洋構造物であるコンクリート製の橋脚11の干満帯領域を含む周囲に改質硫黄資材被覆層を設けるための型枠42を設けた状態を示す。
図4において、橋脚41の下方には、凹部41aが円周状に設けられており、改質硫黄資材被覆層を形成するための鋼製の型枠形成用の海水堰き止め部材42が、該部材42の下方に設けた凸部42aを、上記凹部41aに嵌合させることにより取付けられている。該取付けは、通常、複数の海水堰き止め部材42を用い、各部材42を接合させる方法で設置することにより行なうことができ、設置された部材42は、改質硫黄資材被覆層を形成するための作業空間43を有する型枠として用いることができる。
また、図4において45は海水の波面を示す。
【0024】
図4に示す態様の防食補強方法においては、橋脚41の外表面の少なくとも干満帯領域を囲うように海水堰き止め部材42を、上記凸部42aを凹部41aに嵌合させることにより、底部が閉鎖された作業空間43を設ける。
前記海水堰き止め部材42を設置した直後において、作業空間43内には、海水の波面45の高さ程度まで海水が浸入した状態となっている。
そこで、作業空間43内の海水(図示せず)を、排水ポンプ等を利用して排水する。
排水後の橋脚41の外表面は、湿った状態であり、内部にも海水が浸透していることが多く、そのままでは、改質硫黄資材被覆層の設置が困難であるので、空間43の上方からバーナー等により充分乾燥させる。
【0025】
次に、作業空間43内に、上述の溶融改質硫黄資材を充填し、固化させることにより改質硫黄資材被覆層(図示せず)を設けることができる。
改質硫黄資材被覆層を形成した後の型枠である海水堰き止め部材42は、取外すことも可能であるが、そのままの状態で、少なくとも干満帯領域に相当する箇所に改質硫黄資材被覆層を有する海洋構造物とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の防食補強方法の一態様を説明するための断面概略説明図である。
【図2】本発明の防食補強方法に用いる改質硫黄資材板の一例を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の防食補強方法に用いる改質硫黄資材板の他の一例を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の防食補強方法の他の一態様を説明するための断面概略説明図である。
【符号の説明】
【0027】
11、41:橋脚
11a、42a:凸部
12:海水堰き止め部材
12a、41a:凹部
13:改質硫黄資材被覆層
14、43:作業空間
15、45:海水の波面
20、30:改質硫黄資材板
42:型枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋構造物表面の少なくとも干満帯領域を囲うように海水堰き止め部材を設けて、底部が閉鎖された作業空間を設ける工程(A)と、
前記作業空間内の海水を排水する工程(B)と、
前記作業空間内における海洋構造物の表面を乾燥する工程(C)と、
工程(C)の後、前記作業空間内における海洋構造物の表面の所望箇所に、改質硫黄資材被覆層を設ける工程(D)とを含むことを特徴とする海洋構造物の防食補強方法。
【請求項2】
海水堰き止め部材が型枠であり、工程(D)において、該型枠と海洋構造物表面により囲われた作業空間内に、溶融改質硫黄資材を充填し、改質硫黄資材被覆層を設ける請求項1記載の防食補強方法。
【請求項3】
工程(D)において、少なくとも干満帯領域に相当する表面箇所に、改質硫黄資材板を接着する方法(1)又は溶融改質硫黄資材を吹付ける方法(2)により、改質硫黄資材被覆層を設け、且つ工程(D)の後、海水堰き止め部材を海洋構造物から取外す工程(E)を含む請求項1記載の防食補強方法。
【請求項4】
工程(A)を実施するにあたり、海洋構造物表面の所定箇所に、前記海水堰き止め部材を接合するための凹部又は凸部を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の防食補強方法。
【請求項5】
改質硫黄資材被覆層を設ける箇所の海洋構造物表面が、セメントコンクリート製である請求項1〜4のいずれか1項記載の防食補強方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の防食補強方法を施した、海洋構造物表面の少なくとも干満帯領域に相当する箇所に改質硫黄資材被覆層を有することを特徴とする海洋構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−332620(P2007−332620A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164459(P2006−164459)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】