説明

消去可能なインキ組成物および記録像の消去方法ならびに筆記具

【課題】 インキ中での呈色安定性に優れ、高濃度で良好に記録することができ、かつ記録後は記録像を任意に消去することが可能で、消去後の経時安定性が良好である、消去可能なインキ組成物等を提供すること。
【解決手段】 電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とを少なくとも含む常温で液状ないしペースト状の呈色性液滴を溶媒に分散してなる消去可能なインキ組成物および記録像の消去方法ならびにそれを充填した筆記具とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消去可能なインキ組成物等に関し、さらに詳しくは、筆記具等に充填し、使用する際にインキ中での呈色安定性が優れ、記録した記録像を任意に消去でき、かつその消去画像を安定的に維持することができる、消去可能なインキ組成物等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の消去可能なインキは、ロイコ染料に代表されるような電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物(顕色剤)を用いた筆記用インキが種々提案されている。例えば、特許第2511838号公報に開示されているような、有機溶剤を主溶媒としたインキがある。しかし、これらのインキはアルコールを主溶媒としているため、紙に筆記するとにじみや裏抜けを発生するといった欠点があり、紙への筆記には適さないものであった。
【0003】
一方、これらの課題を解決するため、水を主溶媒としたインキが提案されている。例えば、ロイコ染料が顕色剤と反応して発色した状態のものをそのまま顔料化し、それを水溶媒中に分散させる方法があり、特開平9−165537号公報、特開平10−77437号公報、特開平10−287081号公報等が報告されている。しかしながら、これら顔料化したロイコ染料は、水と直に接するためインキ中での顔料の膨潤および/または呈色不良(消色)等の不具合を発生しやすく、水を主溶媒としたインキでは十分な呈色安定性を得ることができないという欠点があった。
【0004】
また、ロイコ染料が顕色剤と反応して発色した状態にあるものを樹脂等のバインダー成分により固着させ顔料化し、それを水溶媒中に分散させる方法として、特開2001−220530号公報、特開2001−247807号公報、特開2001−271011号公報、特開2001−279144号公報、特許第3359018号公報、特開2001−311024号公報、特開2001−342415号公報等が報告されているが、この場合も、水が界面分離を起こさずにバインダー成分により固着させた顔料と直接接しているので、経時的にインキ中での顔料の膨潤および/または呈色不良(消色)等の不具合を発生しやすく、やはり、水を主溶媒としたインキでの十分な呈色安定性は得られていなかった。また、上記構成では、顔料中に樹脂等の呈色成分以外の成分が含まれるため、呈色成分の存在比率が自ずから低くなり、十分な顔料濃度が得られないという欠点もあった。
【0005】
また、ロイコ染料と顕色剤を樹脂微粒子等に染着し、それを水性溶媒中に分散させる方法があり、特開2002−294104号公報、特許第3520275号公報、特開2003−73593号公報、特開2003−246944号公報等が提案されている。しかし、この方法ではロイコ染料の樹脂微粒子に対する染着に限度があるため、呈色成分そのものを顔料とした場合よりも比較してさらに顔料濃度を上げることができず、筆記具等の記録用インキとして好適な筆跡濃度を得ることが困難であった。
【0006】
ところで、特開平5−9421号公報には、第1の溶媒に着色材を溶解あるいは分散したものからなる芯物質を、前記芯物質に相溶しない第2の溶媒中に乳化したことを特徴とするインクジェットプリンタ用インクが提案されており、その着色材の例示として電子供与性呈色性化合物の一種であるロイコ染料が記載されている。
しかしながら、ロイコ染料は単なる着色材の例示のみとして挙がっているもので、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とが反応して発色状態にある呈色性液滴について、その呈色安定性および記録後の消去性などに対する課題を解決するものではなく、その解決手段等の記載もないものであった。
また、感熱発色型孔版印刷用エマルジョンインクであるが、特開平6−320859号公報には、油層および水相からなる油中水型エマルジョンインクにおいて、油層および/または水相に、ロイコ染料および顕色剤が同時にまたは別々に含有されていいることを特徴とするものが提案されている。しかしながら、この技術は、インキ中で消色状態のロイコ染料等を記録後の加熱によりロイコ染料が無色から有色に変化するもので、上記技術と同様に、インキ中で電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とが反応して発色状態にある呈色性液滴について、その呈色安定性および記録後の消去性などに対する課題を解決するものではなく、その解説手段等の記載もないものであった。
【特許文献1】特許第2511838号公報
【特許文献2】特開平9−165537号公報
【特許文献3】特開平10−77437号公報
【特許文献4】特開平10−287081号公報
【特許文献5】特開2001−220530号公報
【特許文献6】特開2001−247807号公報
【特許文献7】特開2001−271011号公報
【特許文献8】特開2001−279144号公報
【特許文献9】特許第3359018号公報
【特許文献10】特開2001−311024号公報
【特許文献11】特開2001−342415号公報
【特許文献12】特開2002−294104号公報
【特許文献13】特許第3520275号公報
【特許文献14】特開2003−73593号公報
【特許文献15】特開2003−246944号公報
【特許文献16】特開平5−9421号公報
【特許文献17】特開平6−320859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、筆記具等に使用した際に、インキ中での呈色安定性に優れ、高濃度で良好に記録することができ、かつ記録後は記録像を任意に消去することが可能で、消去後の経時安定性が良好である、消去可能なインキ組成物等を提供することを本発明の目的とし、そのような課題の解決手段として、消去可能なインキ組成物および記録像の消去方法ならびに筆記具を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、常温で液状ないしペースト状の呈色性液滴を、溶媒に分散してなる消去可能なインキ組成物としたことなどによって、本発明の消去可能なインキ組成物および記録像の消去方法ならびに筆記具を完成した。
すなわち、本発明は、
「1.電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とを少なくとも含む常温で液状ないしペースト状の呈色性液滴を溶媒に分散してなる消去可能なインキ組成物。
2.呈色性液滴を、水性媒体に乳化分散してなる第1項に記載の消去可能な水性インキ組成物。
3.電子受容性化合物として常温で液状ないしペースト状の酸物質を含む、第1項または第2項に記載の消去可能なインキ組成物。
4.電子受容性化合物として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルを含む、第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の消去可能なインキ組成物。
5.第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の消去可能なインキ組成物を用い、呈色記録をした後、アルコールと常温で固体の消去剤とを少なくとも含む消去液にて、前記記録像を消去する、呈色記録像の消去方法。
6.第1項ないし第4項のいずれか1項に記載のインキ組成物を充填した、筆跡消去可能な筆記具。」に関する。
【発明の効果】
【0009】
上記インキ組成物等によれば、筆記具等に使用した際に、インキ中での呈色安定性に優れ、記録前に呈色状態が経時的減退を生ずることが少なく、高濃度で良好に記録することができ、かつ記録後は記録像を任意に消去することが可能で、消去後の経時安定性が良好である、消去可能なインキ組成物等を得ることができる優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
筆記具等のインキ組成物としては、紙に筆記する場合に、にじみや裏抜けを発生しにくい水性インキが好適に求められる。
スタンプインキ等の用途も、比較的インキ粘度を低く設計できる上、紙に捺印する場合に、にじみや裏抜けを発生しにくい水性インキが好適である。
一方、消去可能なインキ組成物としては、その発消色(呈色)成分としては、ロイコ染料に代表されるような電子供与性呈色性化合物と一般的に顕色剤と称される電子受容性化合物を少なくとも含む着色材が用いられており、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とが反応することにより呈色(発色)し、第三成分によりその反応を阻害することにより消色するものである。
したがって、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との反応は、消去インキなどに用いられているような第三成分としての極性物質の存在により阻害されるものである。
ところで、インキ組成物の溶媒として水性媒体を用いた場合においては、消去材として使用される第三成分と同様な極性溶媒の一種である水の共存により反応が阻害されてしまい、記録前に呈色状態が経時的減退を生じてしまいがちで、不安定なものが多く、呈色状態を維持したまま安定的にインキ中で保持することに大きな課題点があった。
その対策として、上述のように呈色成分等を樹脂等のバインダー成分により固着させ顔料化したものもあるが、顔料化したものは、その濃度の問題があるだけでなく、顔料表面と水とは、やはり直接、接してしまうので、少なからず極性溶媒の影響を受け、それを抑制するために表面の反応性を抑えると、記録後の消去性が劣ってしまう等の問題点があった。
【0011】
そこで、本発明の基本構成は、着色成分として、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とを少なくとも含む常温で液状ないしペースト状の呈色性液滴を構成し、インキ組成物として、該液滴を溶媒に分散してなる構成をとるものである。液滴には所望により溶剤や樹脂などの追添加成分を配合することができる。
【0012】
現時点で好適に用いられる呈色性成分は油溶性のものが多いことや、上記理由により全体のインキ組成物としての系は水性インキであることが好適であるが、水溶性の呈色性成分を用い、水性液滴を構成し、油性媒体中に分散させてなる構成をとることもできる。
【0013】
本発明においては、溶媒ないし溶媒と併存する物質との反応により呈色性に影響を受ける呈色性成分を溶媒中に液滴として分散し保持する。その活性化した表面により呈色性分を溶媒と隔離した状態で保持しうる液滴状態をとることにより、呈色阻害物質との接触が避けられ、記録前における呈色状態の経時的減退を防止できる。
【0014】
以下は、本発明における、呈色性液滴を水性媒体に乳化分散してなる消去可能な水性インキ組成物について述べる。
ここでは、呈色性液滴を水性媒体に乳化分散する技術を用いる。乳化分散化技術によれば、溶媒に水を使用できるので、上記要望が満たされる。
さらに、加えて、本発明においては、本来、極性物質との共存により呈色性に影響を受ける呈色性成分をインキ(水性媒体)中に保持するため、液滴として乳化分散させる。それにより、すでに安定的に発色している成分を含む呈色性分を溶媒(水性媒体)と隔離した状態でインキ中に保持しうる液滴構造をとることができ、極性物質、すなわち水等との接触が避けられ、記録前における呈色状態の経時的減退を防止でき、安定的なインキとして高濃度のまま記録を行うことができる。
【0015】
本発明では、いわゆる着色成分として常温で液状ないしペースト状の呈色性液滴を用いる。従来の顔料系のものと較べると、記録像の消去性を一定レベルに維持しつつ、インキ中での安定性が極めて優れている。
つまり、顔料系のものは、物理的に電子供与性呈色性化合物ならびに電子受容性化合物からなる呈色性成分を樹脂などで固着したものであるため、その顔料表面に存在する呈色性成分の呈色反応が発消色に大きく作用するが、インキ中ではその表面が溶媒に直接触れており、ロイコ染料などの電子供与性呈色性化合物が呈色阻害を受けやすく、それを防止するために保護層などを設けると、記録後の記録像の消去性が悪くなるという解決困難な不具合を有しており、本発明の場合は、液滴として呈色性成分のうち少なくとも電子供与性呈色性化合物が液滴中に溶解または分散しており、上述のようにインキ溶媒と直接接触していないので、該不具合を発生することが少ないのである。
【0016】
また、呈色性液滴は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とを少なくとも含む常温で液状ないしペースト状の液滴である。その際、常温で液状ないしペースト状の電子受容性化合物を用いると、電子受容性化合物自体を液滴の溶媒として、その中に電子供与性呈色性化合物が溶解または分散した構成をとりうる。その場合、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とが固体および液体状態で直接接触しており、インキ中では、電子供与性呈色性化合物が電子受容性化合物に包まれた状態でインキ溶媒から保護される形態をとるので、記録前に呈色状態が経時的減退を生ずることが少なく、高濃度で良好に記録することができる。
【0017】
さらに、液滴構造は、その呈色性液滴が適度な粘度を有する場合、記録時に表面付近に浸透定着しやすいので、記録濃度が高く、鮮明な記録が可能である。さらに、その後の消去時には顔料系などと異なり消去液と呈色性成分を直接接触させることができるので、消去性が良く、消去安定性も良いという優れた効果を奏している。
【0018】
呈色性液滴の構成は上記のように、少なくとも電子供与性呈色性化合物および電子受容性化合物、並びに所望により配合される溶剤や樹脂などの追添加成分による。このとき、常温で液状ないしペースト状の電子受容性化合物を用いると、最小構成要素である電子供与性呈色性化合物および電子受容性化合物のみで液滴状態の着色材とすることができる。
【0019】
ここで、リン酸エステル化合物は常温で液状ないしペースト状のものが多く、電子受容性化合物の一種類なので、上記構成として好ましい。
リン酸エステル化合物としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルやポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステルが挙げられ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルが最適である。
【0020】
さらに、上記構成に別の常温で液状ないしペースト状の電子受容性化合物を追加配合してより呈色性の良好な液滴を構成することも可能である。
また、常温で固体ないし液滴となりにくい電子供与性呈色性化合物および電子受容性化合物に、常温で液状ないしペースト状の電子受容性化合物を用いて、呈色性液滴を得ることもできる。
具体的には、ロイコ染料(固体状の電子供与性呈色性化合物)と没食子酸イソアミル(顕色剤:固体状の電子受容性化合物)にリン酸エステル化合物(顕色剤:液状ないしペースト状の電子受容性化合物)および溶剤を配合したもの等が挙げられ、よりインキ中での呈色安定性並びに記録画像の着色安定性等が好ましいものとなる。
【0021】
従来のような電子供与性呈色性化合物ならびに電子受容性化合物を含有する顔料系インキの中にリン酸エステル化合物を配合すると、顔料が軟化したり、膨潤したりするので、顔料として安定的に存在し得ない。そこで、リン酸エステル化合物など常温で液体ないしペースト状の物質を所望する場合には、本発明のような、呈色性液滴構造とすることで、多種多様な材料を使用できる。
【0022】
また、呈色性の着色材が顔料(固体状態)であると、顔料中への水の浸入で顔料が膨潤し消色する傾向が見られる。一度、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との呈色コンプレックスが破壊されると、固体であるため反応性が低く、再呈色しにくい状況になり、一度発色阻害を受けたものはその濃度が再度上がることは難しい。一方、呈色性の着色材が液滴(溶液状態)であると、液体であるため電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との呈色反応性が高い状態にあり、たとえ液滴中に水が浸入しても、液滴中の電子受容性化合物(酸)濃度が一定以上に保たれていれば、その高い反応性ゆえに呈色を維持できるのではないかと考えられる。
このとき、顕色剤として、常温で液体の電子受容性化合物を用いると、高酸濃度の液滴を得ることができるため、呈色性液滴は、さらに呈色安定化するものと推測される。
【0023】
本発明に使用する電子供与性呈色性化合物としては、一般的に使用されている電子供与性呈色性化合物であるロイコ染料などが使用でき、単独あるいは2種類以上を混合して使用することができる。
【0024】
本発明で使用する電子受容性化合物は、電子供与性呈色性化合物の顕色剤として作用するもので、上述のように常温で液体ないしペースト状の化合物が好ましい。とりわけ、リン酸エステルのような酸性物質が好ましい。
具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルおよび/またはポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等が挙げられる。より具体的には、プライサーフA212E、同A210G、同A207H、同AL、同A212C、同A215C、同A208B、同A208S、同A208N、同A208F、同DB−01(以上、第一工業製薬(株)製)、フォスファノールRE−410、同PE−510、同RE−610、同RM−410、同RM−510、同RM−710、同RH−610H、同RP−710、同RS−410、同RS−610、同RS−710、同RD−510Y、同RB−410、同RA−600、同BH−650、同ML−220、同LO−529、同SC−6103、同GB−520、同RD−720(以上、東邦化学工業(株)製)等が挙げられる。
呈色性液滴を常温で液体ないしペースト状とすることができるのであれば、常温で固体またはペースト状態の酸性物質を用いることもできる。
具体的には、常温で固体またはペースト状態であるポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルおよび/またはポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等として、プライサーフA217E、同A219B、同M208F(以上、第一工業製薬(株)製)、フォスファノールRE−960、同RL−210、同ML−200(以上、東邦化学工業(株)製)等が挙げられ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルが最適である。
また、呈色性液滴を常温で液体ないしペースト状とすることができるのであれば、顕色剤として他の電子受容性化合物を併用もしくは単独で使用することもできる。例えば、没食子酸エステル系、ヒドロキシアセトフェノン系、ヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゼントリオール系、ベンゼンジオール系、ビスフェノール系、トリフェノール系等の化合物が挙げられる。中でもフェノール性水酸基を有する電子受容性化合物である没食子酸エステル系化合物が好ましく、具体的には、没食子酸n−プロピル、没食子酸n−ブチル、没食子酸i−アミル、没食子酸ラウリル、没食子酸セチル、没食子酸ミリスチル、没食子酸ステアリル、没食子酸ベヘニル等が挙げられる。これらの顕色剤を、単独あるいは2種類以上を混合して使用することができる。
【0025】
また、呈色性液滴には、上記以外の成分も任意に用いることができる。例えば、インキ中に存在する液滴の粘度を調整したり、常温で液体ないしペースト状の態様とするために溶剤などを添加することなどが挙げられる。例えば、2−フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、アルキルナフタレン、ジアリルアルカン、日石ハイゾールSAS296(新日本石油化学(株)製)等が挙げられる。
【0026】
また、電子供与性呈色性化合物および電子受容性化合物とが相溶し、またはその溶解性を高めるための溶解助剤として、各種樹脂などを添加しても良い。具体的には、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。より具体的には、アクリル樹脂としては、ダイヤナールBR−50、同BR−52、同BR−53、同BR−60、同BR−64、同BR−73、同BR−75、同BR−77、同BR−79、同BR−80、同BR−82、同BR−83、同BR−85、同BR−87、同BR−88、同BR−90、同BR−93、同BR−95、同BR−100、同BR−101、同BR−102、同BR−105、同BR−106、同BR−107、同BR−108、同BR−112、同BR−113、同BR−115、同BR−116、同BR−117、同BR−118(以上、三菱レイヨン(株)製)、スチレン樹脂としては、ハイマーTB−1000F、同ST−120(以上、三洋化成工業(株)製)、ピコラスチックA−5、同A−75、同D−125、同D−150(以上、理化ハーキュレス(株)製)、フェノール樹脂としては、スミライトレジンPR−50641、同PR−219(以上、住友ベークライト(株)製)等が挙げられる。このうち、フェノール樹脂は顕色効果のあるフェノール性水酸基を有するため、電子供与性呈色性化合物の呈色反応を阻害しないので、最も好ましく、次いで極性基を持たないスチレン樹脂が呈色安定性に影響を与えにくいため好ましい。極性基をもつアクリル樹脂は呈色安定性に影響を与える可能性があるため注意が必要である。
【0027】
さらに、筆跡の消去性を向上させるために通常用いられる減感剤などを添加しても良い。例えば、極性有機化合物として高級アルコール、塩基性化合物としてアミン等が挙げられる。また、極性基を持つ樹脂等も減感剤として用いることができる。具体的には、ブチラール樹脂等が挙げられる。より具体的には、エスレックBL−1、同BL−1H、同BL−2、同BL−2H、同BL−5、同BL−10、同BL−S、同BL−SH、同BX−10、同BX−L、同BM−1、同BM−2、同BM−5、同BM−S、同BM−SH、同BH−3、同BH−6、同BH−S、同BX−1、同BX−3、同BX−5、同KS−10、同KS−1、同KS−3、同KS−5(以上、積水化学工業(株)製)等が挙げられる。ただし、その種類、添加量は呈色性液滴の呈色安定性に影響を与えない範囲で使用しなければならない。
【0028】
本発明は、呈色性液滴を溶媒中に分散してインキ組成物とする。溶媒としては、水および水溶性溶剤などの水性媒体が好ましい。
【0029】
また、インキ組成物には、これ以外の成分で通常、使用する用途に応じて用いられる成分も任意に用いることができる。例えば、インキ粘度を調整したり、浸透性の調整や耐水性を向上させるために通常用いられる樹脂などを添加しても良い。また、防腐剤、防錆剤、分散剤、潤滑剤、保湿剤、pH調整剤、粘度調整剤、せん断減粘性付与剤、界面活性剤、減感剤、比重調整剤等の成分も用いることができる。ただし、その種類、添加量は本発明で用いる呈色性液滴の呈色安定性に影響を与えない範囲で使用しなければならない。
【0030】
防腐剤としては、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウム、フェノール等を使用することができる。
分散剤としては、一般的に用いられる界面活性剤は、減感剤として作用する場合があるので注意して選択する必要がある。そのため、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂系の分散剤を用いるのが好ましい。
保湿剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素などを単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
pH調整剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリアタノールアミン、N,N−ジエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−メチルジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、クエン酸等を使用することができる。
せん断減粘性付与剤としては、無機系、天然高分子系、合成高分子系、高分子多糖類系等のせん断減粘性付与剤を使用することができる。
比重調整剤としては、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、パラモリブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸アンモニウム、モリブドリン酸ナトリウム、モリブドケイ酸ナトリウム、タングストリン酸ナトリウム、タングストケイ酸ナトリウム、SPT(SOMETU社製)等を使用することができる。
【0031】
本発明のインキ組成物は、公知である種々の筆記具やスタンプなどに充填して使用することができる。
また、該インキ組成物はそれぞれ用途に応じた一般的な製造方法により製造することができる。本発明のインキ組成物を筆記具に用いる際には、万年筆、サインペン、マーキングペン、プレートペン、ボールペン等に好適に使用できる。
【0032】
本発明のインキ組成物は消去可能なインキ組成物である。本発明のインキ組成物を筆記具等に充填して筆記すると、筆跡すなわち呈色した記録像を得ることができる。その際、インキ中の水に代表されるような溶剤は乾燥または紙面中に浸透して拡散され、呈色性液滴が適度な粘度を有する場合、該液滴中の呈色性分は、紙面の表面付近に浸透定着するので高濃度の記録像を得ることができるのである。
また、上記のように、呈色性分の呈色性を阻害するものは共存しなくなるので、記録後も、比較的安定した記録像を維持することができる。
一方、該記録像は消去剤を含む消去液にて任意に消去することができ、その消色反応は極めてスムーズで、消去後の経時安定性も良好である。記録時に呈色性分が紙面の表面付近に浸透定着していることと、液滴成分を構成する成分が消去液溶剤に対して溶解しやすいため、顔料等に較べて消去剤とより反応性を持ち、より発消色反応に感敏であることなどによるものである。
【0033】
本発明のインキ組成物を消去する方法としては、極性化合物による減感作用を用いる。記録像上に極性化合物を塗布することにより、発色状態の電子供与性呈色性化合物および電子受容性化合物のコンプレックスを破壊して、ロイコ染料等の電子供与性呈色性化合物を化学的に無色の状態にする。
本発明の呈色記録像の好ましい消去方法は、具体的に述べると、前記インキ組成物を用い、呈色記録をした後、低沸点ないし中沸点の有機溶剤と極性基を持つ有機化合物の消去剤とを少なくとも含む消去液にて、前記記録像を消去するものである。
低沸点ないし中沸点の有機溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。
極性基を持つ有機化合物の消去剤としては、高級アルコール、四級アンモニウム塩、アルキルアミンなどが挙げられる。中でも、再筆記性を考慮する場合は、特に常温で固体の極性有機化合物が好ましい。
常温で固体の消去剤を用いると、消去後にアルコール等の溶媒が揮発した後、消去剤は固体となって紙面上に定着する。通常、消去剤の種類にかかわらず、筆跡を消去した後に紙面上に過剰分の消去剤が残ってしまうが、これが再筆記時に筆記用インキの呈色性色材と接することになる。このとき、消去剤が固体の状態であれば、色材との反応性が小さく抑えられるため、筆跡が消えにくくなる傾向がある。液体であると、その高い反応性から再筆記が難しくなってしまう傾向がある。上記の理由から、再筆記性を考慮する場合は、固体の消去剤を用いた方が好ましいのである。
また、極性基を持つ樹脂等も、同様の理由で消去剤として好適に用いることができ、再筆記性の面からはさらに好ましい。
【実施例】
【0034】
以下に実施例、比較例を挙げ、本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
【0035】
配合例1
呈色性液滴成分a
ロイコ染料(電子供与性呈色性化合物:注1) 30.0質量%
顕色剤1(電子受容性化合物:注2) 70.0質量%
ロイコ染料と顕色剤1を170℃で加熱溶融して発色させ、常温でペースト状の呈色性液滴成分aを得た。
注1:ロイコ染料としてはBlack−15(山本化成(株)製)を用いた。
注2:顕色剤1としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル(プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製)を用いた。
【0036】
配合例2〜6
呈色性液滴成分の組成を表1に示す通りとし、常温で液体ないしペースト状の呈色性液滴成分b〜fを得た。
配合例2は、ロイコ染料と顕色剤1および顕色剤3を170℃で加熱溶融して発色させ、常温でペースト状の呈色性液滴成分bを得た。
配合例3は、配合例1と同様にして常温でペースト状の呈色性液滴成分cを得た。
配合例4は、ロイコ染料と顕色剤1および樹脂を170℃で加熱溶融して発色させ、常温でペースト状の呈色性液滴成分dを得た。
配合例5は、ロイコ染料と顕色剤1および樹脂を170℃で加熱溶融した後、さらに溶剤を添加し100℃で加熱溶融して常温で液体の呈色性液滴成分eを得た。
配合例6は、ロイコ染料と顕色剤1および顕色剤3と樹脂を添加し170℃で加熱溶融した後、さらに溶剤を添加し100℃で加熱溶融して常温で液体の呈色性液滴成分fを得た。
【0037】
【表1】

注1:Black−15(山本化成(株)製)
注2:ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル(プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製)
注3:ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル(プライサーフAL 第一工業製薬(株)製)
注4:没食子酸i−アミル(東京化成工業(株)製)
注5:フェノール樹脂(スミライトレジンPR−219 住友ベークライト(株)製)
注6:日石ハイゾールSAS296(新日本石油化学(株)製)
【0038】
(実施例1)
イオン交換水 67.8質量%
分散剤(注7) 2.0質量%
防腐剤(注11) 0.2質量%
保湿剤(注12) 10.0質量%
呈色性液滴成分a 20.0質量%
まず、イオン交換水に分散剤、防腐剤、保湿剤を添加し溶解させベース液を得た。その後、呈色性液滴成分a中に該ベース液を添加し、超音波分散機で20分間分散させて黒色の乳化分散水性インキ組成物を得た。
注7:分散剤としては、ポリビニルアルコール(PA−05GP 信越化学工業(株)製)を用いた。
注11:防腐剤としては、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(プロキセルXL−2(S) アビシア(株)製)を用いた。
注12:保湿剤としては、グリセリンを用いた。
【0039】
(実施例2〜11)
インキの組成を表2に示す通りとした以外は実施例1と同様にして水性インキ組成物を得た。
【0040】
【表2】

注7:ポリビニルアルコール(PA−05GP 信越化学工業(株)製)
注8:陰イオン性界面活性剤(デモールNL 花王(株)製)
注9:非イオン性界面活性剤(エマルゲン109P 花王(株)製)
注10:クエン酸一水和物(特級 和光純薬工業(株)製)
注11:1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(プロキセルXL−2(S) アビシア(株)製)
注12:グリセリン
【0041】
配合例6〜11
呈色性成分の組成を表3に示す通りとし、呈色性成分f〜kを得た。
配合例6は、ロイコ染料と顕色剤1および顕色剤3と樹脂を添加し170℃で加熱溶融した後、さらに溶剤を添加し100℃で加熱溶融して常温で液体の呈色性液滴成分fを得た。
配合例7は、配合例4と同様にして常温でペースト状の呈色性液滴成分gを得た。
配合例8は、ロイコ染料と顕色剤1を170℃で加熱溶融した後、さらに溶剤を添加し100℃で加熱溶融して常温で液体の呈色性液滴成分hを得た。
配合例9は、ロイコ染料と顕色剤4を170℃で加熱溶融して発色させ、常温で固体の呈色性固体成分iを得た。
配合例10は、ロイコ染料と顕色剤4および樹脂を170℃で加熱溶融して発色させ、常温で固体の呈色性固体成分jを得た。
配合例11は、配合例10と同様にして常温で固体の呈色性固体成分kを得た。
【0042】
【表3】

注1:Black−15(山本化成(株)製)
注2:ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル(プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製)
注4:没食子酸i−アミル(東京化成工業(株)製)
注5:フェノール樹脂(スミライトレジンPR−219 住友ベークライト(株)製)
注6:日石ハイゾールSAS296(新日本石油化学(株)製)
注13:没食子酸n−プロピル(和光一級 和光純薬工業(株)製)
注14:スチレン樹脂(ハイマーST-120 三洋化成工業(株)製)
注15:アクリル樹脂(ダイヤナールBR-100 三菱レイヨン(株)製)
【0043】
(実施例12〜15)、(比較例1〜3)
インキの組成を表4に示す通りとし、実施例12〜15は実施例1と同様にして水性インキ組成物を得た。
比較例1〜3は、まず、イオン交換水に分散剤、防腐剤を添加し溶解させベース液を得た後、該ベース液中に呈色性固体成分i〜kを添加し、ビーズミルにて60分間粉砕分散させて黒色の顔料分散水性インキ組成物を得た。
【0044】
【表4】

注7:ポリビニルアルコール(PA−05GP 信越化学工業(株)製)
注8:陰イオン性界面活性剤(デモールNL 花王(株)製)
注9:非イオン性界面活性剤(エマルゲン109P 花王(株)製)
注10:クエン酸一水和物(特級 和光純薬工業(株)製)
注11:1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(プロキセルXL−2(S) アビシア(株)製)
注12:グリセリン
注16:トリエタノールアミン
【0045】
上記実施例および比較例で得られたインキ組成物について、次に示す試験方法で試験を行った。その結果を表2および表4に示す。
1.インキ粘度:インキ組成物作成後、DV−2+粘度計(ブルックフィールド社)で、CPE−42スピンドルを使用し、せん断速度384s-1(100rpm)における粘度を測定した(at.20℃)。
2.呈色安定性:インキ組成物を30mlスクリュー管に充填し、蓋をした状態で50℃に12週間投入し、インキ組成物の色調を目視で確認した。評価基準は、下記の4段階とした。
◎:初期と変化なし。
○:初期より僅かに退色した。
△:初期より退色した。
×:呈色を失った。
3.筆跡濃度:インキ組成物を(株)パイロットコーポレーション製の水性ボールペン用カートリッジ(商品名:マルチボール(細字))に充填してレフィルを作製し、そのボールペンを用いて上質紙(OKムーンライトホワイト、王子製紙(株)製、米坪52.3g/cm2)上に筆記した。評価基準は、下記の3段階とした。
○:十分判読できる程度に濃い筆跡が得られた。
△:薄いが判読できる筆跡が得られた。
×:判読できないほど薄い筆跡が得られた。
4.筆跡消去性:変性アルコール(アルコゾールP−9 甘糟化学産業(株)製)と常温で固体の消去剤であるラウリルアミン(ファーミン20D 花王(株)製)からなる消去性インキを含浸させた中綿を、(株)パイロットコーポレーション製の蛍光マーカー(商品名:スポットライター)の外装材に組み込み、筆跡濃度評価で用いた上質紙上の筆跡に消去液を塗布し、消去状態を観察した。評価基準は、下記の3段階とした。
○:ほぼ消色した。
△:消色が十分でなかった。
×:消色しなかった。
【0046】
表1および表2の結果より、実施例1〜15のインキ組成物は、筆記具に充填し良好に筆記することができ、筆記した後に記録像(筆跡)を任意に消去可能で、その経時呈色安定性にも優れた水性インキ組成物であることが判る。
ただし、実施例12〜13のインキ組成物は、筆跡濃度や筆跡消去性は良好であったが、酸物質でないpH調整剤を用い、やや高いpH設計をした結果、液滴中に析出物を生じ、筆記具用インキとしてやや安定性に欠けるものであり、呈色安定性もやや劣るものであった。
また、実施例14〜15のインキ組成物も同様に筆跡濃度や筆跡消去性は良好であったが、呈色性液滴成分の相溶性にやや難があり、液滴中に析出物を生じ、筆記具用インキとしてやや安定性に欠けるものであった。
比較例1〜3のものは、呈色性成分が固体(顔料系)のため、呈色安定性に劣るものであり、比較例3のものなどは、インキ中で呈色性成分(顔料)の膨潤が発生し、筆記できなかった。
【0047】
(消去方法の応用例)
上記実施例およびその評価方法においては、前記水性インキ組成物を充填した筆記具を用い、呈色記録をした後、アルコールと常温で固体の消去剤とを少なくとも含む消去液にて前記記録像を消去する呈色記録像の消去方法を用いたので、良好な消去性が得られた。また、具体的記載は省略したが、再筆記性の面でも、常温で液体の消去剤を用いた場合に較べ良好な結果を得ることができた。さらに、極性基を持つ樹脂等を消去剤として用いた場合は、上述の理由により、より良好な再筆記性能を得ることができた。なお、液体アルコールのみの構成を消去液とした場合には、十分な消去安定性を得ることができなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とを少なくとも含む常温で液状ないしペースト状の呈色性液滴を溶媒に分散してなる消去可能なインキ組成物。
【請求項2】
呈色性液滴を、水性媒体に乳化分散してなる請求項1に記載の消去可能な水性インキ組成物。
【請求項3】
電子受容性化合物として常温で液状ないしペースト状の酸物質を含む、請求項1または2に記載の消去可能なインキ組成物。
【請求項4】
電子受容性化合物として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルを含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の消去可能なインキ組成物。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の消去可能なインキ組成物を用い、呈色記録をした後、アルコールと常温で固体の消去剤とを少なくとも含む消去液にて、前記記録像を消去する、呈色記録像の消去方法。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインキ組成物を充填した、筆跡消去可能な筆記具。