説明

消去可能なゲルインク、それの消去方法、消去可能なインクキット、及び消去されたインク複合体

本願のずり減粘消去可能なインクは水、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、メチン染料を含むグループから選択される染料、及び溶剤を含み、そこにおいて、インクは約0.35〜約1.0の範囲のずり減粘指数を有する。本発明のキットは前記インク及び染み抜き溶液を含む。本発明のインク複合体は酸化ジアリールメタン誘導体、酸化トリアリールメタン誘導体、及び酸化メチン染料を含むグループから選択される無色または実質的に無色の染料、並びにゲル剤及び増粘剤の少なくとも1つを含む。また、本発明は消去可能なインクシステムの一部であるインクの使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学的に消去可能な(または、染み抜き可能な)インクに関する。詳細に述べると、本発明は酸化剤の適用によって実質的に無色にすることができる染料を含むゲルまたはゲル状のインクシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
消去可能なインクシステムは概略的に2つの成分を含む。1つの成分は亜硫酸塩酸化剤等の物質と接触したときに実質的に無色にすることができる、通常、トリアリールメタンである染料を含む水性インクである。2番目の成分は染料が実質的に無色の形態に変換することを引き起こすことができる物質を含む水性インク消去流体(または、水性インク染み抜き流体)である。インクシステムの使用者はインクで書き、修正が必要な場合、染料を無色化するためにインクの染み部分(または、インクのマーキング)にインク染み抜き流体を適用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、消去可能なインクシステムで使用される水性インクは衣類等の繊維に適用されたときに、永久的な染みを残しやすいという欠点を有する。また、消去可能なインクシステムで使用される水性インク用の道具(例えば、ペンやマーカー)は漏れや水分の抜けきりを起こしやすい。
【0004】
ボールペンに使用される従来の非ゲルインクは通常、ベンジルアルコール、フェニルセロソルヴ、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、グリセリン、及びプロピレングリコール等の、主として、非揮発性の有機溶剤を含む。非ゲルのボールペンインクは(10,000センチポアズ(cP)等の)比較的高い粘性を持ちやすい。
【0005】
トリアリールメタン染料は通常、染料を非揮発性有機溶剤中で不溶性にする比較的親水性が大きい対イオンを含む。(例えば、アシッドブルー93は2つのナトリウム対イオンを含む。)したがって、通常のボールペンインクの配合における(トリアリールメタン染料等の)消去可能な染料の使用に関連する1つの問題は、典型的な非ゲルボールペンインクシステムで使用される非揮発性有機溶剤中のトリアリールメタン染料の低い溶解性である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は水、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、メチン染料、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される染料、並びに、緩慢蒸発溶剤(または、蒸発の遅い溶剤)を含むインクであり、そこにおいて該インクはずり減粘インクである。
【0007】
本発明のもう1つの側面はインクを消去(または、染み抜き)する方法であって、ずり減粘消去可能インクのマーキング部分(または、染み部分)にインク消去溶液(または、インク染み抜き溶液)を適用するステップを含む。
【0008】
本発明のもう1つの側面はずり減粘インク及びインク消しを含むキットである。
【0009】
本発明のもう1つの側面は酸化ジアリールメタン誘導体、酸化トリアリールメタン誘導体、酸化メチン染料、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される無色または実質的に無色の染料、並びに少なくとも1つのゲル剤または増粘剤を含むインク複合体である。
【0010】
本発明のもう1つの側面は2つまたはそれ以上の消去可能な染料の混合物を含む黒色の消去可能インクであり、そこにおいて消去可能な染料の混合物は黒く見える。
【0011】
本発明のさらなる側面及び長所は付随する請求の範囲とともに、以下の詳細な説明を読むことにより当業者にとって明らかなものとなるだろう。本発明は多様な形態の実施例において可能であるが、以下の説明は本発明の特定の実施例のみを含む。したがって、以下の記述が説明のためであり、本発明を特定の実施例に限定するものでないことは理解されなければならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
インクのマーキング(または、染み付け)及び消去(または、染み抜き)の処理は2つのステップによって進行する。第1のステップは消去可能な(または、染み抜き可能な)インクによる(例えば、紙等の)基体へのマーキングであり、そして第2のステップは該マーキング(または、染み部分)への消去溶液の適用である。消去可能なインクに対する典型的な配合は(例えば、トリアリールメタン染料等の)消去可能な染料を溶解するための(例えば、水等の)溶剤を含む。消去溶液は化学処理によって有色の染料を実質的に無色、または基体の色に一致する色(例えば、白紙に対する白等)の組成物に変換する染み抜きを含む。そのような組成物は酸化剤、還元剤、酸塩基反応体、及び熱の影響下で昇華することができる化学物質を含む。染み抜きの方法に対する制限ではないが、トリアリールメタン染料に対し、有効に着色された染料は分子の芳香族環の共役により可視領域(380nm〜780nm)の色を反射することができるが、ひとたび酸化剤がトリアリールメタン染料に適用されると、それは共役を壊し、染料は少なくとも実質的に無色となると考えられている。この提案された処理はアシッドバイオレット17に対して以下のように示される。
【0013】
【数1】

【0014】
消去溶液(または、染み抜き溶液)は好ましくは、主要な溶剤としての水または有機溶剤、特定の染料(例えば、トリアリールメタン染料)の色を失わせること、または色を変化させることができる、例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、(ナトリウムグリシネート等の)アミン等の消去剤、及び薄膜形成ポリマーを含む。本願で開示されるインクに対して適当な消去溶液は有効な消去剤(例えば、酸化剤)として亜硫酸塩及びアミンの両方を含む(例えば、Sanford Reynolds of Valence(フランス)等から入手可能な)商業上入手可能な染み抜き溶液である。
【0015】
ここで記載されるようなゲルインクシステムはずり減粘インクであり、それの粘度はインクへのずれ応力の適用の部位で変化する。応力の適用によってインクの粘度が低下すると、インクの特性が静的なゲル状態から、より流体的な状態、すなわち、より流動的な状態に変化する。
【0016】
このずれ応力の適用による粘度の減少の長所は粘度が高過ぎて(例えば、紙等の)基体へのマーキングができないゲルインクを基体へのマーキングに対して十分に低い粘性を有するインクに変換する能力である。例えば、ボールペンに存在するゲルインクはボールペンのペン先に存在するボールによる作用を受ける。ボールの転がりはボール付近のゲルインクにずれ応力を及ぼし、結果として生ずるインクの粘度の減少はインクを高い粘度を有するそれのゲル状態から粘度の低い状態に変換し、それによってペンの外部に流れ出ることを生じさせる。消去可能なインクのゲルインクとして配合することによるもう1つの長所は、ゲルインクが外気に触れたときに乾燥を起こしにくいことである。
【0017】
流体が応力への応答として有する応答は2つの種類、すなわち、ニュートン挙動を呈するもの(ニュートン流体)、及び非ニュートン挙動を呈するもの(非ニュートン流体)に分類される。ニュートン流体とは、それのずれ応力が流体のずり速度の線形関数である流体である。最も良く知られたニュートン流体は水である。ニュートン流体の流れの挙動は方程式τ=μ(dv/dy)によって与えられるニュートンの粘度の法則に従うので、それの記述は単純である。(ここで、τはずれ応力、μは流体の粘度、そして、dv/dyは(速度勾配としても知られる)ずり速度である。)
【0018】
本願で開示されるインク組成物は水性かつ重合体であり、そしてずり減粘を有する。本願のインク組成物は安静状態で濃粘流体(粘度の大きい流体)であり、そして使用時には、流動学的降伏値を有し、ずり減粘流体挙動またはずり減粘流体特性を呈する非ニュートン流体となる。通常、それらは、例えば、ボールペン等の筆記時に発生するずり速度で低粘状態(粘度の小さい状態)になり、約100cP以下の粘度を有する容易に流動可能な液体となる。本願のインク組成物は主要成分が水である担体中で均一に分散する、少なくとも1つの水分散性で、重合体のゲル剤または増粘剤を含む。
【0019】
驚くべきことに、出願人は、トリアリールメタン染料等の染料を含む消去可能なインクシステムを、ずり減粘特性を有する配合(例えば、ゲルまたは増粘された配合)に配合することが非ゲルの水性消去可能なインクシステムに関連するいくつかの問題点(例えば、インクの過剰な乾き等)を解決することを見出した。
【0020】
非ニュートン流体とはニュートンの流体の法則に従わない流体であり、したがって、粘度は一定の値を保持せず、適用されたずり速度の大きさに依存する。すなわち、流体の粘度は流体に適用されるずり速度の関数として変化する。以下の方程式(I)で示されるクロスモデル(Cross model)は非ニュートン流体の挙動を広範囲のずり速度にわたって記述するために使用することができる。
【数2】

ここで、η0及びηはそれぞれ、低ずり速度プラトー及び高ずり速度プラトーでのニュートン粘度であり、K1は次元[s]を持った定数であり、そしてn1は無次元の定数である。この方程式を解くことにより、任意の非ニュートン流体に対するクロスずり減粘指数(Cross shear-thinning index)(ncross)を決定することができる。
【0021】
クロスモデルはずり速度の広範囲にわたって流体の挙動を記述するが、流体の挙動を記述するために、クロスモデルの代替であるベキ乗則方程式(τ=Kγn)を使用することもできる。ベキ乗則方程式はクロスモデルより狭い範囲にわたる流体の挙動を記述するが、ベキ乗則モデルは通常、ほとんどの非ニュートン流体を記述するために十分なモデルである。ベキ乗則方程式(Power law equation)は、例えば、TA Instruments(デラウェア州)のCARRI-MEDレオメーター(CSL2500)等の、粘度計による流動学的な測定から得られるずれ応力(τ)及びずり速度値(γ)を適合することによりベキ乗則ずり減粘指数(Power law shear-thinning index)(npower)の計算を可能にする。本願で開示されるインクに対しては、インクの挙動を決定するためにクロスずり減粘指数(ncross)及びベキ乗則ずり減粘指数(npower)の両方を使用することができる。本願で開示されているインクのずり減粘指数(n)の測定は約30s-1から約300s-1の間のずり速度におけるインクの水性溶液の測定によって得られる。ずれ応力値(γ)は(通常、0.3、10、30、100、500、及び1200s-1の)ずり速度の範囲におけるCARRI-MEDレオメーター(CSL2500)上の曲線から測定され、測定されたずれ応力は曲線適合プログラムを使用してずり速度に適合される。クロスモデル及びベキ乗則モデルの両方には変形体が存在し、これらの変形体もまた、非ニュートン流体の挙動を記述するための他のモデルと同様に、本願に開示されたインクのずり減粘指数を決定するために使用することができる。
【0022】
本願で開示されているインクは約0.35〜約1.0、好まれるものとして、約0.5〜約0.9、そしてより好まれるものとして、約0.6〜約0.8の間のずり減粘指数を有する。
【0023】
適当な重合体のずり減粘材料は安静時または低いずり速度の時に濃粘状態の粘性の(または、粘性の高い)液体を与える。例えば、本願で開示されるインクは30s-1のずり速度で少なくとも50cP、好まれるものとして約100cP以上の粘度を有する。しかしながら、書くことによって生ずるずり速度(約0.1s-1〜500s-1)への応答で、インクはずり減粘の変化を受け、約100cP以下の粘度を有する。したがって、適当なゲル剤または増粘剤は、ここで記載されている他の成分との組み合せで、約0.35〜約1.0の間のずり減粘指数(n)、30s-1のずり速度で少なくとも50cPの粘度、及び、筆記によって生ずるずり速度で約100cP以下の粘度を有するものである。本願で開示されるインクは1つまたは複数のゲル剤及び増粘剤を含むことができる。
【0024】
インクに使用されるゲル剤は多糖類及びその誘導体(例えば、Dow Chemical Co.(ミシガン州)から入手可能なMETHOCEL(登録商標)セルロース)、澱粉及びその誘導体(例えば、馬鈴薯殿粉)、ヒドロゲル及びその誘導体、シリカゲル及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、並びにそれらの組み合せを含むグループから選択されてもよい。好まれるものとして、ゲル剤は多糖類であり、より好まれるものとしてキサンタンガムである。ゲル剤は好まれるものとして、組成物の総重量に対して重量比で約0.1%〜約10%の範囲の値でインク中に存在し、より好まれるものとして、約0.1%〜約1%の範囲で存在する。
【0025】
インクに使用される増粘剤はポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVPの共重合体、ポリ酢酸ビニル(PVA)、PVAの共重合体、粘土、タルク、及び薄膜形成剤等の組成物の粘土を増大させることができる他の材料等のグリコールを含む。ゲル状のずり減粘特性を達成するのに適当な粘度を有するインクを達成するために、インクの粘度を約5,000cP〜約10,000cPの間に増大させるのに十分な量の増粘剤が加えられる。インクの粘度が約10,000cPより大きくなると、インクのずり減粘効果は、ずり応力の適用がインクの粘度に実質的に効果を有さない程度に低下してしまう。換言すると、約10,000cPより大きい粘度を有するインクはずり減粘のゲル及びゲル状の特性を達成することが困難である。増粘剤は好まれるものとして、PVP及びそれの共重合体、PVA及びそれの共重合体、粘土、タルク、及びそれらの組み合せから選択される。より好まれるものとして、増粘剤はPVP、それらの共重合体、及びそれらの組み合せから選択される。
【0026】
使用される増粘剤またはゲル剤が(PVP等の)重合体である場合、増粘剤は多様な範囲の粘性及び分子量から選択することができる。例えば、PVPは多様な粘性、及び10,000ダルトン〜1,300,000ダルトンの分子量において商業上入手可能である(例えば、Aldrich Chemical Co., Inc.(ウィスコンシン州))。したがって、重合体増粘剤の粘度及び分子量に応じて、インクに使用される増粘剤の量には多様な変動量を持つことができる。インクがずり減粘となる粘度を達成するために、増粘剤は約5,000cP〜約10,000cPの間の粘度を達成できることが望ましい。例えば、130,000ダルトンの平均的な分子量を有するPVPが増粘剤として使用される場合、組成物の全重量に対して約3重量%〜約6重量%の値はずり減粘インクを達成するために十分な量である。ここで使用される増粘剤は好まれるものとして、組成物の全重量に対して約3重量%〜約50重量%の範囲で存在し、より好まれるものとして、約5重量%〜約20重量%の値で存在する。
【0027】
本願で開示されるインクは水をベースにした(水性)インクである。水は好まれるものとして、組成物の全重量に対して重量比で約70%〜約95%の範囲で存在し、より好まれるものとして、約80%〜約90%の範囲で存在する。水は組成物を溶解及び(または)懸濁させるために働き、また、インクの多様な材料(例えば、衣類)からの洗濯適性または水溶性を達成するという付加的な長所を与える。
【0028】
インクの消去可能(または、染み抜き可能)な特性は染料(発色団)を有色の組成物から少なくとも実質的に無色に、または、他の色(例えば、使用される紙の色)に変換する能力から得られる。上述したように、これは酸化に対して敏感な染料の組み合せによって達成することができる。色に対するこの変化を実施することが可能な染料はジアリールメタン誘導体染料、トリアリールメタン誘導体染料、及びメチン誘導体染料を含む。本願で開示されるインクとともに使用されるジアリール染料はオーラミンO(化学インデックスNo.41000)及びベーシックイエロー2(化学インデックスNo.41000)を含む。有色状態において、ジアリールメタン、トリアリールメタン、及びメチン染料は多くの場合、1つまたは複数のカチオンイミン基を含む。トリアリールメタン染料の一般的な構造は以下の形式(II)で示される。
【0029】
【数3】

ここで各R基は同一であるか、または相違し、好まれるものとして、C1〜C10アルキル基から選択される。本願で開示されるインクに使用されるトリアリールメタン染料の(非網羅的な)リストは以下の表1に示されている。
【0030】
【表1】



【0031】
インクとともに使用することができるもう1つの種類の染料はメチン染料である。メチン染料は一般に、メチリジンまたはメチン基とも呼ばれる、1つまたは複数のメチン基(−CH=C−)から成る発色団を含む。メチン染料が1つのメチン基だけを含む場合、染料はシアニン染料と呼ばれることもあり、3つのメチン基を含む場合、染料はカルボシアニン染料と呼ばれることもあり、そして、4つ以上のメチン基を含む場合、染料はポリメチン染料と呼ばれる場合が多い。メチン染料の1つの例は以下に示されるようなチアゾールオレンジである。
【0032】
【数4】

ここで、メチン基を構成する結合は点線で示されている。メチン染料の他の例はベーシックレッド15、ベーシックイエロー11、及びベーシックイエロー13である。メチン染料の包括的なリストは「The Chemistry of Heterocyclic Compounds」(A. Weissberger)、及び「The Cyanine Dyes and Related Compounds」(Wiley Interscience)に記載されている。
【0033】
分光学的観点において、白色は実質的な損失を伴わずに、実質的に全ての可視波長の光を反射する特性を持つことを意味する。白色を理論的なスペクトルの起点から考察した場合、可視光の波長が白い材料によって吸収されるとき、材料は色を持つ。例えば、材料が白で、470nmの可視光を吸収するようにされた場合、その材料は白ではなく青く見える。同様に、分光学的な観点において、黒色は実質的な損失を伴わずに、実質的に全ての可視波長の光を吸収する特性を持つことを意味する。
【0034】
特定の色の消去可能なインクを配合するとき、単一の染料の適用かまたは複数の染料の混合を適用するかにかかわらず、(基体に適用された後の)染料の消去または染み抜きの速度(または、比率)は染料を選択するときの考慮の対象となる。特定の構成への制限ではないが、ジアリールメタン、トリアリールメタン、及びメチン染料の消去の速度(または、比率)はインク中の染料の濃度に比例すると考えられている。本願で開示されるインクはジアリールメタン染料、トリアリールメタン染料、メチン染料、及びそれらの組み合せを含むグループから選択される1つまたは複数の染料を含む。染料は好まれるものとして、組成物の総重量に対して重量比で約0.01%〜約10%の範囲の値で存在し、より好まれるものとして、約0.1%〜約6%の範囲で存在する。
【0035】
インクに使用される特定の染料の選択において、選択可能な多数の染料が存在し、したがって、これらの異なった染料は実質的に無限の種類の色のインクを生成するために混合することができる。本願で開示される消去可能なインクは組み合わされたときに多様な色の消去可能な(または、染み抜き可能な)インクを与える、2つまたはそれ以上の染料を含むことができる。好まれるものとして、染料は黒い消去可能なインクを与えるために組み合わされる。黒い消去可能なインクを配合するときに考慮すべき2つの重要な事柄は消去の速度(または、比率)と黒色の純度である。黒色を生成するために使用される染料の濃度の増加は色の純度を増大させるが、上述のように、染料の濃度の増大はまた、染料を消去するために必要な時間を増大させる。本出願人は、本願で開示されるインクに対し、組成物の総重量に対して重量比で約0.1%〜約6%の範囲の染料の濃度がこれらの考慮すべき事項のバランスをとるために好ましい濃度であることを見出した。
【0036】
本願で開示されるインクの色は主に、インクが可視光の特定の波長を反射させることを生じさせる染料によって決定される。特定の色を形成するための、2つの染料の混合は2つの補色の使用、または3つの原色(赤、黄色、及び青)の全てを含む組み合せによって実施することができる。2つの補色が混合されたとき、結果として生ずる混合は灰色であり、黒は完全に飽和した形態の灰色である。赤の補色は緑であり、オレンジの補色は青であり、そして、黄色の補色は紫である。補色を使用する場合、これらの補色の組は実際には、全ての三原色を反映する。例えば、赤と緑の染料が補色として混合された場合、緑は2つの原色、黄色及び青の混合から成るので、それは赤を黄色及び青と混合することに等価である。もう1つの例において、紫は2つの原色、赤及び青の混合から成るので、2つの補色、黄色及び紫の混合は黄色を赤及び青と混合することに等価である。
【0037】
本願で開示されるインクにおいて、黒色は2つの補色(例えば、緑−赤、または黄色−マゼンタ)の染料の混合によって、または全ての三原色(赤、黄色、及び青)の組み合せによって達成することができる。本願で開示されるインクにおいて、黒インクは好まれるものとして、緑染料と、赤染料、紫染料、及びそれらの組み合せを含むグループから選択される染料との組み合せによって形成される。赤と緑の好まれる組み合せはベーシックレッド14とベーシックグリーン4の組み合せである。
【0038】
所望の色のインクを形成するために2つまたはそれ以上の色を組み合せる場合、(例えば、青みがかった黒色等のように)もう1つのアンダートーン(または、透けて見える薄い色)があっても、(例えば、黒等の)所望の色が達成されていることは理解されなければならない。例えば、黒色にされたインクが赤または青のアンダートーンを有していても、それは黒インクであるとみなされる。
【0039】
(例えば、ジアリールメタン、トリアリールメタン、及びメチン染料等の)消去可能な染料をインクに混合する場合、黒の消去可能なインクを生成することは非常に困難である。驚くべきことに、出願人は、緑の消去可能な染料と紫及び(または)赤の染料との組み合せが黒の消去可能なインクを形成するために混合することができることを見出した。本願で開示されるインクの1つの実施例はジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、メチン染料、及びそれらの組み合せを含むグループから選択される、2つまたはそれ以上の染料の混合を含む黒の消去可能なインクであり、そこにおいて、染料の混合物は黒色に見える。
【0040】
本願で開示される黒の消去可能なインクは、それらが赤または青のアンダートーン(または、薄く透けて見える色)を有していても、黒であるとみなされる。黒色のアンダートーンの制御は、例えば、黒色を形成するために混合される赤及び緑の染料の重量比を変化させることによって達成することができる。赤染料の濃度の増大は黒色インクの赤のアンダートーンを導き、緑染料(2つの原色、黄色及び青の混合物)の濃度の増大は黒色インクの青のアンダートーンを導く。黒インクが赤染料と緑染料の組み合せから形成される場合、赤染料の緑染料に対する好まれる重量比は約10:1〜約1:10の範囲であり、より好まれる重量比は約4:1〜約1:4の範囲である。黒インクが紫染料と緑染料の組み合せから形成される場合、紫染料の緑染料に対する好まれる重量比は約10:1〜約1:10の範囲であり、より好まれる重量比は約4:1〜約1:4の範囲である。
【0041】
黒の消去可能なインクは緑染料と赤染料、紫染料、及びそれらの組み合せを含むグループから選択される染料との組み合せによって形成することができる。好まれるものとして、染料はインクの染料部分の全重量に対して、重量比で約25%〜約98%の範囲の量の緑染料を重量比で約2%〜約75%の範囲の量の赤染料、及び(または)重量比で約2%〜約75%の範囲の量の紫染料と組み合せることによって形成される。より好まれるものとして、染料はインクの染料部分の全重量に対して、重量比で約25%〜約98%の範囲の量の緑染料を重量比で約1%〜約30%の範囲の量の赤染料、及び(または)重量比で約1%〜約30%の範囲の量の紫染料と組み合せることによって形成される。
【0042】
緑染料は好まれるものとして、アシッドグリーン、アシッドグリーン5、ベーシックグリーン4、ダイアモンドグリーンB、エチルグリーン、ファーストグリーンFcf、フードグリーン3、ライトグリーン、リサミングリーンSf、マラカイトグリーン、メチルグリーン、ビクトリアグリーンB、及びそれらの組み合せを含むグループから選択される。好まれるものとして、赤染料はベーシックレッド9、ベーシックレッド14、ベーシックレッド15、ベーシックレッド29、ベーシックレッド46、及びそれらの組み合せを含むグループから選択される。好まれるものとして、紫染料はアシッドバイオレット17、アシッドバイオレット19、ベーシックバイオレット2、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット14、クロムバイオレットCg、クリスタルバイオレット、エチルバイオレット、ゲンチアンバイオレット、ホフマンズバイオレット、メチルバイオレット、メチルバイオレット2b、メチルバイオレット10b、モンダントバイオレット39、及びそれらの組み合せを含むグループから選択される。黄色インクを形成するために、黄色染料は好まれるものとして、ベーシックイエロー11、ベーシックイエロー13、ベーシックイエロー21、ベーシックイエロー28、ベーシックイエロー29、ベーシックイエロー40、及びそれらの組み合せを含むグループから選択される。
【0043】
ボールペンや他の筆記具等の供給システムに水性インクが使用される場合、インクが基体に適用された後、インクが乾くためにかかる時間の量を制御するために1つまたは複数の緩慢蒸発溶剤(または、蒸発の遅い溶剤)を使用することが好まれる。水と比べて、緩慢蒸発溶剤は水よりも速く蒸発するので、水性インクが緩慢蒸発溶剤を含む場合、乾燥時間は短くなるだろう。インクの乾燥時間を最適化及び制御するために、2つ以上の緩慢蒸発溶剤を含むことが必要とされてもよい。緩慢蒸発溶剤は好まれるものとして、水に対して実質的に溶性の有機溶剤である。好まれるものとして、緩慢蒸発溶剤はグリコール、尿素、脂肪アルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、高分子量炭化水素、及びそれらの組み合せを含むグループから選択される。より好まれるものとして、緩慢蒸発溶剤はポリエチレングリコールである。緩慢蒸発溶剤は好まれるものとして、典型的な筆記具及びマーキングの用途に対して適当な乾燥時間を達成するために、インク中に、組成物の総重量に対して重量比で約5%〜約30%の範囲で存在し、より好まれるものとして、約10%〜約20%の範囲で存在する。
【0044】
緩慢蒸発溶剤として使用されるグリコールは(制限ではないが)グリコールの3つの大きな種類を含む。(a)グリコールエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル);(b)エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート(例えば、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及び類似物);及び、(c)グリコールアセテート(例えば、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、及びジエチレングリコールジアセテート)。インクの組成物はエチレングリコール及びエトキシル化グリコール等のグリコールを含む、上述の3種類以外の、他のグリコールを含むこともできる。グリコールは好まれるものとして、組成物の総重量に対して重量比で約10%〜20%の範囲の量でインク組成物に含まれる。
【0045】
緩慢蒸発溶剤として使用される脂肪アルコールは(制限ではないが)8〜20個の炭素原子を有するアルコール、及び1〜3モルの酸化エチレンとともにエトキシル化された脂肪アルコールを含む。脂肪アルコール及びエトキシル化された脂肪アルコールの例は(制限ではないが)ベヘニルアルコール、カプリルアルコール、セチルアルコール、セタリルアルコール、デジルアルコール、ラウリルアルコール、イソセチルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、タローアルコール、ステアレス−2、セテス−1、セテアルス−3、及びラウレス−2。インクに適した他の脂肪アルコールのリストは「CTFA Cosmetic Ingredient Handbook」(J. Nikotakis)、「The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association(頁28及び45)」に記載されている。
【0046】
インクの1つの実施例は水、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、メチン染料、及びそれらの組み合せを含むグループから選択される染料、及び緩慢蒸発溶剤を含む、そこにおいて、インクは約0.35〜約1.0の範囲のずり減粘指数を有する。
【0047】
本発明のもう1つの側面はインクを消去または染み抜きする方法であって、本願で開示されている消去可能なインクによってなされた染み部分に染み抜き流体を適用するステップを含む。
【0048】
本発明のもう1つの側面は基体に染み付けすること、及びその染み部分を染み抜きすることのシステムに使用される染み抜き流体とともに開示される消去可能なインクを含むキット(または、用具一式)である。インク及び染み抜き流体の各々は使用を容易にするために、(ペン等の)筆記具に配置されてもよいし、または塗り道具、ビンに入れられたインク溶液、スタンプパッド、及び類似物に供給されてもよい。また、本発明のキットはここで開示されている消去可能なインク、及びここで開示されている染み抜きを含む。
【0049】
本願で開示される消去可能なインクが基体に適用された後、インク中の溶剤(例えば、水及び緩慢蒸発溶剤等)は大部分が蒸発するだろう。同様に、染み抜き流体中の溶剤(例えば、水等)も、染み抜き(または、インク消し)がインクに適用された後、実質的にまたは完全に蒸発し、インク組成物とともに酸化剤を残す。したがって、本発明のもう1つの側面は、溶剤が実質的に、または完全に蒸発した後に結果として生ずる、無色な、または実質的に無色な、本願で開示されるインクと染み抜き流体(または、インク消し流体)の複合体である。インクの複合体は酸化ジアリールメタン誘導体、酸化トリアリールメタン誘導体、酸化メチン染料、及びそれらの組み合せを含むグループから選択される無色または実質的に無色の染料を含む。
【0050】
インクのもう1つの実施例は組成物の総重量に対して重量比で約80%〜90%の水、組成物中の染料の総重量に対して重量比で約50%〜98%のベーシックグリーン4、約1%〜30%のベーシックレッド14、及び約1%〜30%のアシッドバイオレット17を含む染料、組成物の総重量に対して重量比で約0.1%〜約5%のザンサンガム、並びに組成物の総重量に対して重量比で約10%〜20%のポリエチレングリコールを含む。
【0051】
インクはインクに異なった特性を与える成分の混合物である。例えば、表面活性剤は基体(紙等)によるインクの吸収を高めるために使用することができ、薄膜形成剤は結果としての染みの基体への粘着を高めるために使用することができる。したがって、本願で開示されるインクはpH緩衝液、表面活性剤、殺生物剤、防錆剤、金属イオン封鎖剤、及びそれらの組み合せを含むグループから選択される、1つまたは複数の添加物を多様な用途に対する水性インクで慣例的に使用される量及び比率で含むことができる。
【0052】
実施例
以下の例は本発明を説明するために記載されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0053】
黒の消去可能なインクは以下に示される量の成分で生成された。
【0054】
【表2】

【0055】
室温で水にプロピレングリコール(EM Scienceから入手可能)、グリセリン、ポリエチレングリコール(PE E-400 EM Scienceから入手可能)、ジエチレングリコール(ChemCentralから入手可能)、DEHYDRAN 1513(Cognisから入手可能)、PLURONIC P104(BASFから入手可能)、PROXEL GXL(Avecia, Inc.から入手可能)、及びKELZAN AR(CP Kelcoから入手可能)を加え、均一で、粉末が存在しない溶液が形成されるまで混合された。次に、この溶液に染料が加えられ、溶液は染料が完全に溶解するまで混合された。
【0056】
得られたインクは次に、PARKERの0.7mmボールペンに入れられ、基体に適用された後のインクの色を決定するために白紙のシートに適用された。インクは青のアンダートーン(または、薄く透けて見える色)を有する黒色であることが観測された。
【0057】
上述したように、インクを消去または染み抜きするためにかかる時間の長さに対する主要な要因はインク中に存在する染料の重量比に比例すると考えられている。したがって、インクが白い紙片に適用された後、Sanford Reynolds(フランス)から入手可能な、市販の消去溶液とともに消去時間または染み抜き時間が試験された。インクは染み部分を完全に染み抜き溶液で被うことによって、約5秒で染み部分が消去または染み抜きされた(白紙上で目視不能となった)。
【実施例2】
【0058】
【表3】

【0059】
水にプロピレングリコール(EM Scienceから入手可能)、及びポリビニルピロリドン(K-90 ISP Internationalから入手可能)を加え、結果としての溶液が均一で、粉末が存在しない溶液になるまで混合された。次に、染料が連続的に(または、逐次的に)加えられ、溶液は溶液中に溶解していない染料の形跡が無くなるまで混合された。
【0060】
結果としてのインクは次に、PARKERの0.7mmボールペンに入れられ、基体に適用された後のインクの色を決定するために白紙のシートに適用された。インクは赤のアンダートーンとともに黒色であることが観測された。
【0061】
インクが白い紙片に適用された後、Sanford Reynolds of Valence (フランス)から入手可能な、市販の消去溶液とともに消去時間または染み抜き時間が試験された。インクは染み部分を完全に染み抜き溶液で被うことによって、約5秒で染み部分が消去または染み抜きされた(白紙上で目視不能となった)。
【0062】
上述の記述は明確な理解のためのものであり、本発明を制限するためのものではない。当業者には、本発明の範囲から外れずに多様な変更が可能なことが明白であるだろう。明細書中において、組成物は特性の成分または材料を含むものとして記述されているが、本発明の組成物が上述の成分または材料の多様な組み合せから構成されてもよいことは理解されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水、(b)ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、メチン染料、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される染料、及び(c)緩慢蒸発溶剤を含む水性の混合物であって、約0.35〜約1.0の範囲のずり減粘指数を有する混合物。
【請求項2】
約0.5〜約0.9の範囲のずり減粘指数を有する、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
約0.6〜約0.8の範囲のずり減粘指数を有する、請求項2に記載の混合物。
【請求項4】
前記染料がオーラミンO、ベーシックイエロー2、ベーシックイエロー11、ベーシックイエロー13、ベーシックイエロー21、ベーシックイエロー28、ベーシックイエロー29、ベーシックイエロー40、アシッドブルー22、アシッドブルー93、アシッドフクシン、アシッドグリーン、アシッドグリーン5、アシッドマゼンタ、アシッドロゼイン、アシッドルビー、アシッドバイオレット17、アシッドバイオレット19、アリザロールシアニンR、アルミノン、アニリンブルーWs、ベーシックブルー8、ベーシックブルー15、ベーシックブルー20、ベーシックブルー26、ベーシックフクシン、ベーシックグリーン4、ベーシックレッド9、ベーシックレッド14、ベーシックレッド15、ベーシックレッド29、ベーシックレッド46、ベーシックバイオレット2、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット14、クロムバイオレットCg、クロムオキサンシアニンR、コットンブルー、クリスタルバイオレット、ダリア、ダイアモンドグリーンB、エリオクロムシアニンR、エチルグリーン、エチルバイオレット、ファーストグリーンFcf、フードグリーン3、ゲンチアナバイオレット、ヘルヴェティアブルー、ホフマンズバイオレット、ライトグリーン、リサミングリーンSf、マゼンタ0、マゼンタI、マゼンタIi、マゼンタIii、マラカイトグリーン、メチルブルー、メチルグリーン、メチルバイオレット、メチルバイオレット2b、メチルバイオレット10b、モンダントブルー3、モンダントバイオレット39、ニューフクシン、ナイトブルー、パラローズアニリン、プリムラ、ローザニリン、ソロクロムシアニンR、ビクトリアブルー4r、ビクトリアブルーB、ビクトリアグリーンB、ウォーターブルーI、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される、請求項1に記載の混合物。
【請求項5】
前記染料がベーシックレッド14、アシッドバイオレット17、ベーシックグリーン4、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される、請求項1に記載の混合物。
【請求項6】
前記染料が組成物の総重量に対して重量比で約0.01%〜約10%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の混合物。
【請求項7】
前記染料が組成物の総重量に対して重量比で約0.1%〜約6%の範囲の量で存在する、請求項6に記載の混合物。
【請求項8】
少なくとも2つの染料を含み、黒色である、請求項1に記載の混合物。
【請求項9】
前記染料が緑染料、並びに赤染料、紫染料、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される染料を含む、請求項8に記載の混合物。
【請求項10】
赤染料を含み、前記赤染料の重量比が緑染料に対して約10:1〜約1:10の範囲である、請求項9に記載の混合物。
【請求項11】
赤染料を含み、前記赤染料の重量比が緑染料に対して約4:1〜約1:4の範囲である、請求項10に記載の混合物。
【請求項12】
紫染料を含み、前記紫染料の重量比が緑染料に対して約10:1〜約1:10の範囲である、請求項9に記載の混合物。
【請求項13】
紫染料を含み、前記紫染料の重量比が緑染料に対して約4:1〜約1:4の範囲である、請求項12に記載の混合物。
【請求項14】
前記組成物の染料部分の全重量に対して、重量比で約25%〜約98%の範囲の量の緑染料、及び重量比で約2%〜約75%の範囲の量の赤染料を含む、請求項9に記載の黒の混合物。
【請求項15】
前記組成物の染料部分の全重量に対して、重量比で約25%〜約98%の範囲の量の緑染料、及び重量比で約2%〜約75%の範囲の量の紫染料を含む、請求項9に記載の黒の混合物。
【請求項16】
前記緑染料がアシッドグリーン、アシッドグリーン5、ベーシックグリーン4、ダイアモンドグリーンB、エチルグリーン、ファーストグリーンFcf、フードグリーン3、ライトグリーン、リサミングリーンSf、マラカイトグリーン、メチルグリーン、ビクトリアグリーンB、及びそれらの組み合せから成るグループから選択され;前記赤染料がベーシックレッド9、ベーシックレッド14、ベーシックレッド15、ベーシックレッド29、ベーシックレッド46、及びそれらの組み合せから成るグループから選択され;そして、前記緑染料がアシッドバイオレット17、アシッドバイオレット19、ベーシックバイオレット2、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット14、クロムバイオレットCg、クリスタルバイオレット、エチルバイオレット、ゲンチアナバイオレット、ホフマンズバイオレット、メチルバイオレット、メチルバイオレット2b、メチルバイオレット10b、モンダントバイオレット39、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される、請求項9に記載の混合物。
【請求項17】
多糖類及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロゲル及びその誘導体、シリカゲル及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、並びにそれらの組み合せから成るグループから選択されるゲル剤をさらに含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項18】
前記ゲル剤がキサンタンガムを含む、請求項17に記載の混合物。
【請求項19】
前記ゲル剤が組成物の総重量に対して重量比で約0.1%〜約10%の範囲の量でインク中に存在する、請求項17に記載の混合物。
【請求項20】
ポリビニルピロリドン及びその共重合体、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体、粘土、タルク、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される増粘剤をさらに含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項21】
前記増粘剤がポリビニルピロリドンを含む、請求項20に記載の混合物。
【請求項22】
前記溶剤がグリコール、尿素、脂肪アルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、高分子量炭化水素、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される、請求項1に記載の混合物。
【請求項23】
前記溶剤がポリエチレングリコールである、請求項22に記載の混合物。
【請求項24】
前記溶剤が組成物の総重量に対して重量比で約5%〜約30%の範囲で存在する、請求項1に記載の混合物。
【請求項25】
前記溶剤が組成物の総重量に対して重量比で約10%〜約20%の範囲で存在する、請求項24に記載の混合物。
【請求項26】
pH緩衝液、表面活性剤、殺生物剤、防錆剤、金属イオン封鎖剤、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される添加剤をさらに含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項27】
インクを消去するための方法であって、染み付けを行うために請求項1に記載の混合物を基体に適用すること、及び染み抜き流体を前記染み部分に適用することのステップを含む方法。
【請求項28】
前記混合物を紙に適用することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記染み抜き流体が亜硫酸塩、重亜硫酸塩、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される染み抜きを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
請求項1の混合物及び染み抜き流体を含む消去可能なインクキット。
【請求項31】
前記染み抜き流体が亜硫酸塩、重亜硫酸塩、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される染み抜きを含む、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
前記混合物が筆記具に配置されている、請求項30に記載のキット。
【請求項33】
前記筆記具がポールペンである、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
消去されたジアリールメタン誘導体、消去されたトリアリールメタン誘導体、消去されたメチン染料、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される、無色または実質的に無色の染料、及びゲル剤及び増粘剤のうちの少なくとも1つを含む消去されたインク複合体。
【請求項35】
前記ゲル剤が多糖類である、請求項34に記載の複合体。
【請求項36】
ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、メチン染料、及びそれらの組み合せから成るグループから選択される、2つまたはそれ以上の染料の混合物を含み、前記染料の混合物が黒色に見える、黒い消去可能混合物。
【請求項37】
組成物の総重量に対して重量比で約80%〜90%の水、
組成物中の染料の総重量に対して重量比で約50%〜98%のベーシックグリーン4、
約1%〜30%のベーシックレッド14、及び、
約1%〜30%のアシッドバイオレット17を含む染料、
組成物の総重量に対して重量比で約0.1%〜約5%のザンサンガム、並びに、
組成物の総重量に対して重量比で約10%〜20%のポリエチレングリコールを含む、黒の消去可能な水性ゲル混合物。
【請求項38】
前記染料が組成物の総重量に対して重量比で約0.1%〜約6%の範囲の量で存在する、請求項37に記載の混合物。
【請求項39】
前記染み抜き流体が還元剤を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項40】
前記染み抜き流体がアルカリ性化合物を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
前記染み抜き流体が還元剤を含む、請求項30に記載のキット。
【請求項42】
前記染み抜き流体がアルカリ性化合物を含む、請求項30に記載のキット。

【公表番号】特表2007−521379(P2007−521379A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520194(P2006−520194)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/020871
【国際公開番号】WO2005/010112
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(501495318)サンフォード エル.ピー. (32)
【Fターム(参考)】