説明

消去可能な色鉛筆芯及びその製造方法

【課題】消去可能な鉛筆芯用組成物を提供する。
【解決手段】着色剤、バインダ樹脂としての1種以上の熱可塑性ポリマー、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、及び充填材を含み、90℃以下の融点もしくは軟化点を有する低融点ワックスもしくはワックス様材料を実質的に含まない、消去可能な色鉛筆芯組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色鉛筆芯組成物に関し、詳細には消去可能な色鉛筆芯組成物並びにこの組成物の製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
着色芯鉛筆は長い間子供たちに楽しみを与えてきたが、この鉛筆の特性を改良する試みがなされてきた。着色する喜び及び価値のある経験を与える特性は、芯組成物の滑らかさ、筆跡の優れた色強度、優れた破壊強度、及び十分な芯曲げ強度を含む。さらに、通常の鉛筆消しゴムによって消去することができ、よごれやしみをつけることなく紙上にマークを形成することのできる色芯鉛筆を有することが望ましい。
【0003】
従来の色鉛筆芯は、顔料、バインダ樹脂及び充填材のブレンドから製造されている。この着色芯は優れた筆記特性を有するが、その筆跡は通常の鉛筆消しゴムによっては容易に消去することができない。この芯特性、特に芯の筆跡の消去性を向上させる試みがなされてきた。例えば、鉛筆芯の顔料の含有量を低下させることによって消去性を向上させる試みがなされてきた。この方法は消去された筆跡と紙の間の色コントラストを低下させるが、当初の筆跡の色強度は不十分であった。
【0004】
筆跡の消去性を向上させる他の方法において、顔料、1種以上の充填材、及び低融点ワックスのようなワックスの混合物を混合することによって色鉛筆芯を製造した。この方法は筆跡の消去性を向上させたが、筆跡を完全に消去することはできなかった。さらに、消去された領域はよごれとして残っている。ワックスは、一方において消去性に寄与するが、他方においては消去を不完全にしかつよごれを残す原因となると考えられている。
【0005】
色鉛筆によって紙上に筆記する間に発生する剪断力はワックスを温めるに十分であると考えられる。この温めによってワックスに流動性が与えられ、芯組成物に流動性が与えられ、それにより、紙繊維の間の開放空間に鉛筆芯材料が十分浸透することになる。これにより十分な量の色鉛筆芯材料が紙の表面下にトラップされることになる。このように紙繊維マトリックスにトラップされた鉛筆芯材料は消しゴムにより除去されなくなる。
【0006】
さらに、消しゴムの作用は摩擦力を与え、これは色鉛筆芯の筆跡のワックス成分を温める。従って、消しゴムの作用は紙表面上にすでに存在する鉛筆の筆跡に流動性を与える。このため、ワックスが紙繊維の開放空間にさらに浸透することになり、鉛筆筆跡内にさらに顔料が含まれることになる。
【0007】
さらに、ワックスの流動性のため、消しゴムの作用によって鉛筆の筆跡の大部分は、ある場所から他の場所に紙表面から除去されることなく移動する。色鉛筆筆跡に消しゴムを繰り返し使用すると、紙マトリックスの開放空間にすべての色鉛筆材料が付着するまで紙繊維マトリックス内に鉛筆に筆跡が移動し、よごすことになる。そこで、色鉛筆の筆跡に変化を与えない消しゴムの製造が試みられた。
【0008】
よごれ及び消去残留物を排除する着色芯鉛筆を製造する試みがなされた。例えば、1つの方法において、芯のワックス含有量を低下させた。不幸にも、この方法は芯をとても硬くする。芯のレイダウン特性は影響を受け、芯はよく書けなくなる。他の方法では、オイルのような低融点物質の使用が試みられた。顔料、バインダ樹脂、充填材、及びオイルを混合することにより色鉛筆芯が製造された。この方法は製造コストを高め、又は芯の他の特性に影響を与えるため産業上実施は容易ではない。例えば、芯を湿潤形成法で製造すると、湿った芯はオイルの融点もしくは流動温度より低い温度において乾燥しなければならない。これは芯の乾燥時間を長引かせ、その結果、生産性を低下させる。このオイルは芯から染み出る傾向にもある。これは芯強度を低下させ、適当な色強度の筆跡を形成できなくする。さらに、オイルは紙に染み出て、着色の品質に影響を与える。オイルの使用に伴う欠点を補うため、複雑な製造工程が提案されたが、これは製造工程数を増やし、鉛筆製造コストを高める。低融点ワックス又はオイルを含む従来の色鉛筆芯は、指、紙、及び混合スタンプ等と接触した際に汚す筆跡を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、消去性が向上した色鉛筆芯に対する要求がある。さらに、通常の鉛筆消しゴムによって消去する際に汚さない色鉛筆芯に対する要求がある。さらに、指、混合スタンプ等によりこすった場合に汚さない色鉛筆芯に対する要求がある。さらに、滑らかなレイダウン、優れた色強度、適切な曲げ強度、及び適切な破壊強度を有する色鉛筆芯に対する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のこれら及び他の目的並びに利点は、以下の本発明の説明から明らかとなるであろう。
【0011】
前記要求は、筆記される表面上に密着層からなる筆跡を形成する消去可能な色鉛筆芯組成物を提供する本発明によって満たされる。この芯組成物は、着色剤、1種以上のバインダ樹脂、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、及び充填材を含む。好ましい態様において、本発明の色鉛筆芯組成物は、紙繊維からの除去を阻む低融点ワックス、このようなワックスの誘導体、ワックス様材料等を含まないか実質上含まない。この芯組成物は所望により粒状滑剤、例えばPTFE又は非粒状滑剤、例えば極性材料のような滑剤を含んでいてもよい。
【0012】
本発明はさらに、色鉛筆芯組成物の密着層を形成する筆跡を形成する表面にこの芯を使用することを含む、筆記される表面に消去可能な色鉛筆芯組成物を使用する方法を提供する。本発明はさらに、本発明の色鉛筆芯組成物を用いて形成された筆跡を消去する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を好ましい態様によって以下に説明するが、これは本発明をこの特定の態様に限定するものではない。
【0014】
本発明は、消去性が向上しかつ汚れが少ない消去可能な色鉛筆芯組成物に関する。この色鉛筆芯組成物はレイダウン性も向上している。本発明の色鉛筆芯組成物は、筆跡を設ける表面にこの組成物の密着層からなる筆跡を形成する。この芯組成物は、着色剤、1種以上のバインダ樹脂、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、及び充填材を含む。好ましい態様において、本発明の色鉛筆芯組成物は、紙繊維からの除去を阻む低融点ワックス、このようなワックスの誘導体、ワックス様材料等を含まないか実質上含まない。本発明の好ましい態様において、この芯組成物は粒状滑剤又は非粒状滑剤のような滑剤を含む。この非粒状滑剤は好ましくは加工条件、例えば溶融加工条件において相変化を受けず、バインダ材料と不混和性であるものである。
【0015】
この芯組成物は、紙繊維に接着しかつ紙繊維からの除去を阻むワックス、ワックスの誘導体、ワックス様材料、例えばステアレート、及び他の材料を含まないか又は実質的に含まない。ワックス、ワックスの誘導体、ワックス様材料、及び他の材料は、分子量が約500より低く、融点が約90℃より低く、そして針貫通硬度値が100g/5sec/25℃において約5ユニット(又は0.5mm)より高い、天然もしくは合成、脂肪族もしくはその他の、比較的非極性である化合物と規定される。
【0016】
この色鉛筆芯組成物の優れた特性は以下のメカニズムによって得られると考えられる。この組成物は筆記表面上に色鉛筆で筆跡を設ける間に発生する剪断力が強力な着色された筆跡を形成するように注意深く配合されているが、この力は鉛筆芯材料の十分な流動化を起こさない。従って、流動化した鉛筆芯材料の形成及び紙繊維のマトリックスのような基材へのその浸透は低下するか又は排除される。基材の表面への筆跡の作用の間に、着色芯材料のコーティングは紙繊維マトリックスのような基材への浸透を最小にして表面に付着される。
【0017】
本発明の色鉛筆芯組成物は密着性の高い筆跡を与える。この鉛筆芯材料の密着性は消去の機械的剪断力を受けた際の汚れを防ぎ、小さな破片に分離することなく、小さなシートもしくはフィルム状の部分として紙表面から剥がれることによる消去の効果を高める。色鉛筆芯組成物はまた流動性が低く、筆記及び消去の間の紙繊維マトリックスへの進入を防ぐ。
【0018】
さらに、表面コーティングとしての色鉛筆芯組成物は消去のような摩擦作用の間の変形もしくは延伸に耐える。このように、鉛筆芯材料の層は消去の間にほとんど汚れを示さず、消しゴムの摩擦によって完全にもしくはほぼ完全に除去することができる。
【0019】
本発明の色鉛筆芯組成物の密着性は、鉛筆材料にフィルムもしくはシート形成特性を与える1種以上の材料を混入させることにより与えられる。混入される材料は筆記領域上に付着した層内でフィブリルのネットワークを形成することができる。従って、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたポリマーのようなフィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料をこの組成物に含ませる。フィブリル化可能なポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)が、通常の筆記の作用によって紙上に付着した際に色鉛筆芯組成物ないに望ましいフィブリルネットワークを形成するポリマーの例である。従って、フィブリル化可能なポリマーが好ましい。
【0020】
色鉛筆芯組成物中のフィブリル化可能な材料の比率に伴って筆跡消去性が高まることが見出された。しかし、密着性がレイダウン性に影響を与えない程度にフィブリル化可能な材料の含有量を調節することが好ましい。
【0021】
本発明はさらに、筆記しようとする表面に消去可能な色鉛筆芯組成物を使用する方法であって、
(a)消去可能な色鉛筆芯を準備すること、
(b)表面を準備すること、及び
(c)表面にこの芯を用いて筆記し、この色鉛筆芯組成物の密着層を形成すること
を含む方法を提供する。
【0022】
この芯により形成される筆跡は、汚れを残すことなく通常の鉛筆消しゴムにより容易に消去することができ、そしてこの筆跡は接触する他の物体と擦れあっても実質的に汚すことがない。本発明の色鉛筆芯は、滑らかなレイダウン、優れた色強度、低い先端磨り減り、及び破壊強度のような望ましい特性を犠牲にすることなく改良された消去性を与える。
【0023】
この色鉛筆芯組成物は適当な着色剤、顔料、染料、又はこれらの組み合わせを含む。この顔料は有機であっても無機であってもよい。特別な視覚効果を与える顔料、例えば真珠光沢顔料、を用いてもよい。この顔料は乾燥顔料であってもよく、又は水中分散液であってもよい。この場合、所望により、界面活性剤もしくは樹脂で安定化され、又はメラミン/ホルムアルデヒド樹脂のような有機バインダ中に封入されていてもよい。界面活性剤で安定化された顔料の例は、Sun Chemical Colors Groupから市販入手可能なSUNSPERSEブランド分散液を含む。樹脂安定化顔料分散液の例は、Sun Chemical Colors Groupから市販入手可能な、水ベースアルカリ安定化アクリル分散液であるFLEXIVERSE分散液を含む。有機バインダに封入された顔料の例は、Clariant Corpより入手可能なポリビニルブチラールで被覆された顔料であるRENOL 顔料を含む。
【0024】
ある態様においては、水に分散された及び界面活性剤により安定化された顔料が本発明の芯の製造用に好ましい。事前に分散された顔料は比較的容易に他の成分に混入し、界面活性剤により安定化された分散液は樹脂により安定化あれた分散液よりも良好な品質の押出品を与える。鉛筆芯を用いて髪に筆記した場合に、樹脂が紙に浸透し、繊維の間の空間を占め、その結果この筆跡の消去が困難になると考えられる。
【0025】
顔料の芯中における量はいずれの量であってもよい。乾燥体積を基準として好ましい顔料レベルは、芯組成物の約10〜約30%、より好ましくは約15〜約20%である。
【0026】
バインダ材料は、芯の成分を結合することにより色鉛筆芯に一体性を与える。このバインダ材料は通常連続相を形成する。あらゆる適当なバインダ材料を用いることができる。このバインダ材料は熱可塑性ポリマー、例えばポリオレフィン、アクリル、スチレン、PVC、及び可塑化PVCであってよく、ポリオレフィン類が好ましい。ポリオレフィンの例は、ポリエチレン及びポリプロピレンを含む。高密度ポリエチレン(HDPE)及び低密度ポリエチレンが好ましいポリエチレンバインダ樹脂である。好ましいHDPE樹脂は、Equistar Chemicals Incより入手可能な球状粉末であるMICROTHENE FA 70000である。粉末形態のポリエチレンが特に好ましい。好ましいLDPEは、Equistar Chemicals Incより入手可能なMICROTHENE FN 51000である。好ましいポリプロピレンバインダ樹脂はEquistar Chemicals Incより入手可能なMICROTHENE FP 8000である。バインダ材料の他の例は、ワックス、特にポリオレフィンワックスを含み、これは融点もしくは軟化点が90℃より高く、好ましくは約5未満の針貫通硬度値を有する。好ましいポリオレフィンワックスはEastman Chemical Corpより入手可能なEPOLENE E-10である。EPOLENE E-10は3の針貫通硬度値、106℃のリング及びボール軟化点、及び約3,000の分子量を有する。
【0027】
バインダ材料は、乾燥樹脂、ラテックスもしくは分散液、又は溶液の形態であってよい。ラテックスもしくは分散液の例は、アクリル分散液、エチレンとアクリル酸のコポリマー(EAA)、及びスチレンとブタジエンのコポリマーを含む。アクリル酸に対するエチレンの比率は約1:10〜約10:1、好ましくは1:1である。ポリマー溶液の例は、メチルエチルケトンのような溶媒に溶解したポリスチレン、及び水に溶解したポリビニルアルコールを含む。
【0028】
バインダ樹脂は熱硬化性樹脂であってもよい。熱硬化性ポリマーの例は、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、及びエポキシ樹脂を含む。
【0029】
バインダ材料は適当な量で用いることができる。例えば、このバインダ樹脂は乾燥体積基準で芯組成物の約10〜約60%、好ましくは約40〜約50%の量で存在してよい。
【0030】
ある態様においては、バインダ材料としてHDPEとEAAの混合物を用いることが特に好ましい。この混合物は優れたレイダウンを与え、結果として筆跡の色強度が優れている。好適なEAAの例は、Chemcorより入手可能な、95%エチレンと5%アクリル酸を含むPOLYEMULSION 540N30である。EAAに対するポリエチレンの比率は約1:0〜約0:1であってよく、好ましくは約1:0.3〜約1:0.05である。
【0031】
他の態様において、バインダ樹脂としてポリプロピレン、LDPE、及び高融点ポリエチレンワックスの組み合わせを用いることが好ましい。この組み合わせはあらゆる適当な比で3成分を含み、好ましくは約5〜20:約0.5〜2:約2〜8、より好ましくは約10:1:4、さらに好ましくは10:1:4の体積比で含む。
【0032】
本発明の色鉛筆芯はあらゆる適当な充填材を含むことができる。この充填材の役割は、芯に剛性及び強度を与えることである。好適な充填材の例は、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、マイカ、ウォラストナイト、及びクレーを含む。この充填材はどのような形状であってもよい。タルク及びマイカのようなプレート状充填材が特に好ましい。それは、コンシステンシーがソフトであり、粒子の端が芯の摩擦を促進し、滑らかなレイダウンを与えるからである。この充填材は所望により、分散性及び/又はバインダ材料への接着性を向上させるため表面処理されてもよい。この充填材の粒度は約1μm〜約50μm、好ましくは約10μm〜約30μmである。芯組成物は充填材を適当な量含むことができ、例えば乾燥体積基準で芯組成物の約10〜約60%、好ましくは約20〜約40%である。
【0033】
本発明の芯組成物はフィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料を含む。好ましくは、この材料はフィブリル化可能なポリマーである。フィブリル化可能なポリマーとは、筆記の間に剪断力が加えられた際に繊維を形成するポリマーである。ある場合には、フィブリル化は芯加工工程において生ずる。本発明の組成物の製造において、あらゆる好適なフィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料を用いることができる。直径の小さなフィブリル、詳細には直径が約0.1〜約5μm、好ましくは約0.05〜約0.5μmのものが存在することにより、芯に優れた消去性が与えられることが見出された。好ましくは、フィブリル化可能なポリマーが用いられる。このフィブリル化可能なポリマーはホモポリマーまたはコポリマーである。フィブリル化可能なポリマーの例は、ポリオレフィン、好ましくはPTFE、ポリエチレン、及びポリプロピレンを含む。PTFEが特に好ましいフィブリル化可能なポリマーである。フィブリル化可能なコポリマーの例は、エチレン−酢酸ビニルコポリマーを含む。エチレン−酢酸ビニルコポリマーの例は、Equistar Chemicals Incより入手可能なMICROTHENE MU 76000である。
【0034】
他のフィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたポリマーの例は、脂肪族および芳香族ポリアミド、たとえばナイロンおよびKEVLAR(商標)、ポリイミド、及びポリエステルを含む。フィブリルは、フィブリル形態の材料より出発し、これを他の成分に分散させることにより、又はフィブリル化可能なポリマー(これはラテックス、懸濁液、もしくは乾燥粉末の形態であってよい)より出発して現場で形成することにより混入される。好ましいフィブリル化可能なPTFEの例は、ICI Fluoropolymersより入手可能なFLUON(商標)AD-1懸濁液である。この懸濁液は0.25μmのPTFE粒子より形成されており、59〜62%の固体を含む。この懸濁液はPTFEと芯組成物の他の成分との混合を容易にする。
【0035】
フィブリル化されたもしくはフィブリル化可能な材料は、適当な量で用いることができる。例えば、本発明のある態様において、PTFEのようなポリオレフィンを用いる場合、乾燥体積基準で、芯組成物の約0.4〜約10%、好ましくは約1.5〜約3%の量で用いられる。
【0036】
他の態様において、例えば、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料としてエチエン−酢酸ビニルのようなコポリマーを用いる場合、乾燥体積基準で、芯組成物の約1〜約15%、好ましくは約2〜約12%、さらに好ましくは約4から約10%の量で用いられる。
【0037】
本発明の色鉛筆芯は滑剤を含んでいてもよい。ある態様において、この滑剤はフィブリル化できない粒状滑剤である。フィブリル化できない粒状滑剤とは、溶融押出し又は湿潤加工工程の間にフィブリル化されず、粒子状態を保っているものをいう。
【0038】
さらに、この滑剤は芯のレイダウン特性を向上させると考えられている。この滑剤はまた、紙繊維にまったくもしくはほとんど接着しないため、消去性を向上させると考えられている。あらゆる好適な滑剤を用いることができる。好ましい滑剤は、微小化されたPTFE粉末であり、これは焼成したPTFEを約1μm〜約20μmのサイズに粉砕することにより製造される。好適な微小化PTFE粉末は、Shamrock Technologiesより入手かぬなSST-2 SP5(商標)である。微小化PTFEは、紙繊維に接着しないため特に有利である。さらに、微小化PTFEは白色であり、色鉛筆芯の色を損なわない。
【0039】
フィブリル化できない粒状滑剤は適当な量、例えば乾燥体積基準で、芯組成物の約5〜約50%、好ましくは約10〜約30%の量で用いることができる。滑剤の量が芯組成物の体積の5%未満である場合、この芯は柔らかすぎ、磨り減りが大きすぎることになる。
【0040】
他の態様において、本発明の芯組成物はフィブリル化できない非粒状滑剤を含んでいてもよい。この滑剤は、芯製造工程の間に溶融のような相変化をうける。この滑剤は好ましくは不連続相を形成し、バインダ材料は連続相を形成する。この滑剤は連続相内に分布したドメインを形成する。またはもしくはさらに、この滑剤はバインダ樹脂とは別のドメインを形成する。あらゆる好適なフィブリル化できない非粒状滑剤を用いることができる。好ましくは、このフィブリル化できない非粒状滑剤は極性材料である(特に、非極性バインダ材料、例えばポリプロピレンもしくはポリエチレンを用いる場合)。この極性材料は好ましくは極性ポリマーである。
【0041】
非粒状滑剤として用いることのできる極性材料の例は、アルコキシル化材料である。このアルコキシル化材料は1以上のアルコキシ基を含むことができ、又はポリマーとして、例えば100,000まで、好ましくは約1〜約1000、より好ましくは約1〜約500のアルコキシ繰り返し単位の重合度を有する。アルコキシル化材料の例は、アルコキシル化エーテル、アルコキシル化ラノリン、アルコキシル化ラノリンアルコール、1価及び多価アルコールのアルコキシレート、アルコキシル化脂肪酸、アルコキシル化植物油、及びアルコキシル化水素化植物油を含む。このアルコキシル基又は繰り返し単位は適当な数、例えば1〜約6個、好ましくは1〜約3個、より好ましくは2個の炭素原子を有する。
【0042】
エトキシル化材料が特に好ましい。エトキシル化材料の例は、エトキシル化エーテル、エトキシル化ラノリン、エトキシル化ラノリンアルコール、1価及び多価アルコールのエトキシレート、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化植物油、及びエトキシル化水素化植物を含む。
【0043】
アルコキシル化材料の他の例はポリアルキレングリコール、詳細にはポリエチレングリコールを含む。好適なポリエチレングリコールは、Union Carbide Corpより入手可能なPEG 20Mである。このポリマーは20,000の分子量を有し、結晶質である。
【0044】
非粒状滑剤は乾燥体積基準で、芯組成物の30%まで、好ましくは約2〜約20%、より好ましくは約5〜15%の量存在してよい。
【0045】
フィブリル化されたもしくはフィブリル化可能な材料に対するフィブリル化できない粒状滑剤の体積比は約1:00.1〜約1:1、好ましくは約1:0.1〜約1:0.4である。フィブリル化されたもしくはフィブリル化可能な材料に対するフィブリル化できない非粒状滑剤の体積比は約1:1〜約4:1、好ましくは約3:2である。
【0046】
本発明の色鉛筆芯組成物は抗酸化剤をさらに含んでいてもよい。この抗酸化剤は、特にその製造又は加工の間の色鉛筆芯の色あせ、酸化、又は分解を防ぐ。あらゆる好適な抗酸化剤を用いることができる。例えば、フェノール抗酸化剤を用いることができる。フェノール抗酸化剤の例は、Ciba Specialty Chemicalsより入手可能な、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)であるIRGAFOS 168及びテトラキス(メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート))メタンであるIRGANOX 1010を含む。好ましい態様において、2種の抗酸化剤、例えばIRGAFOS 168とIRGAFOS 1010の混合物(好ましくは等量の)を用いることができる。
【0047】
抗酸化剤は芯組成物中に適当な量、例えば乾燥体積基準で、芯組成物の約0.01%以上、好ましくは約0.05〜約2.0%、より好ましくは約0.05〜約0.2%の量存在してよい。
【0048】
芯の特性は各成分の体積比によって容易に調整できることが見出された。このため、成分の量は体積比で表す。1種以上の成分を密度の異なる材料で置換しようとする場合、その成分の体積比は、特性を等しくするために、当初の組成物と実質的に同じにすべきである。
【0049】
体積比は下式を用いて質量比に変換することができる。
ft=(Vfn)(VT)(Dn/WT)
(上式中、Wftは質量比であり、Vfnは体積比であり、Dnは成分nの密度であり、WTは総乾燥質量であり、そしてはVT芯組成物の総乾燥体積である)
【0050】
上記のように、本発明の色鉛筆芯は優れたレイダウン及び消去性を有する。この芯は他の物体との接触の間に汚れを与えず、また通常の鉛筆消しゴムで擦っても汚さない。筆跡の消去性及び汚れについては以下に説明する。筆跡を通常の鉛筆消しゴムで所定回数擦った後に基材に除去されないで残っている着色された筆跡の比率を、消去あれない比率として示す。筆跡を通常の鉛筆消しゴムで擦った際に隣接する筆記されていない領域に広がる筆跡の量が筆跡の汚れである。ロッドもしくはスタンプのような物体で筆跡を擦る場合に隣接する筆記されていない領域に広がる筆跡の量が筆跡のしみである。
【0051】
芯の消去性、汚れ及びしみ形成性は当該分野において公知の方法により、例えば分光光度計の使用により、定量的に測定することができる。表面に加えられる色は色球(color sphere)における色で規定される。この色球は明度("L")、赤/緑("a")値、及び青/黄("b")値により規定される。例えば、Color Measurements Instrument Manual, X-Rite No. 948-968 (1990)を参照されたい。これらの3つの値を組み合わせると、対象物の色をヒトの目で見たとおりに規定される。こうしてあらゆる色を"L.a.b."値により測定し、白色紙のような公知の対照標準のL.a.b.値に関して表すことができる。対象物と標準のL.a.b.値の差をL.a.b.DE(又はデルタE)値として表す。この方法は一般に、楕円公差法(ellipsoidal tolerance method)として産業上知られている。
【0052】
汚れの量は以下のようにして測定される。新たな筆記のDE0値を得て、この値を100%色強度と等しくなるようセットする。次いでこの筆跡を一定の圧力を加えたスタンプで擦る。この摩擦を基材上の筆跡を越えた領域まで広げる。この超えた領域に移った筆跡の量を測定する。
【0053】
筆跡を消しゴムで擦った後に消去されないで残っている筆跡の量を以下のようにして測定する。筆跡を一定の圧力を加えて所定時間消しゴムで擦る。消しゴムを隣接する筆記されていない領域に広げる。消去されないで残っている筆跡のL.a.b.DE値を測定する。筆跡の消去性を、消しゴムを擦った後に残っている色の比率として表す。広げた領域のL.a.b.DE値も測定し、この値を消しゴム汚れにより補正する。消しゴムのしみ、消去されていない比率、及びスタンプ汚れ等級の測定については以下の実施例において説明する。
【0054】
本発明の色鉛筆の筆跡は、約15%以下の消しゴムで消去されない筆跡(消去されない比率)の等級、約30%以下の消しゴムしみ等級、及び/又は約20%以下のスタンプ汚れ等級を有する。この筆跡は好ましくは約20%未満、より好ましくは約15%未満、さらにより好ましくは約10%未満の消しゴムしみ等級を有する。
【0055】
この筆跡は好ましくは約15%未満、より好ましくは約10%未満、さらに好ましくは約6%未満、さらに好ましくは約3%未満、さらに好ましくは約2%未満のスタンプ汚れ等級を有する。この筆跡は好ましくは約12%未満、より好ましくは約10%未満、さらに好ましくは約6%未満の消去されない筆跡等級を有する。
【0056】
ここに記載する筆跡は、色鉛筆の通常の使用の間に見られる条件において形勢されるものである。筆跡を形成するために加えられる力(ここでは理解を容易にするためにマスユニットで示す)は300g〜600gである。筆跡は約20ft/min〜約36ft/min(6〜11m/min)、平均約29ft/min(8.8m/min)の速度で形成される。消去は通常の鉛筆消しゴムであるWberhard Faber, PINK PEARL No.100を用いて、600gの力を加えて行い、スタンプ汚染は1200gの力を加えて行った。基材は白色紙、例えばWhite Bond又はWhite Tablet紙であり、これは56.4g/m2のベース重量、82.0のTAPPI光度標準等級、300のSheffield平滑標準等級、及び78の不透明標準等級15 Sub紙である。
【0057】
本発明はさらに、着色剤、バインダ樹脂、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、所望の滑剤、抗酸化剤、及び充填材を混合し、ブレンドを得て、このブレンドから鉛筆芯を形成することを含む、色鉛筆芯組成物の製造方法を提供する。
【0058】
この成分のブレンドは、当業者に公知のいずれの方法によって製造してもよい。すなわち、この混合は、成分の乾燥混合、半乾燥混合、又は湿潤混合によって行うことができる。混合する前に、成分を適当な粒度にし、様々な加工装置への供給もしくは取り扱いを容易にしてもよい。
【0059】
乾燥混合において、すべての成分を乾燥状態、好ましくは粉末形態にする。すべての成分を粉末混合装置、例えばVブレンダー又は他の好適なミキサーに入れる。この粉末を混合して完全な混合物を得る。この混合した粉末を芯の製造に用いる。
【0060】
半乾燥混合において、重いペーストの形態であるブレンドを形成するため、混合工程において少量の水を用いる。水は粉末の乾燥混合物に加えてよく、又は1種以上の成分と水を混合してもよい。例えば、バインダ樹脂は、固体含有量が30wt%であるエチレン−アクリル酸の分散液、固体含有量が55wt%である顔料分散液のような水分散液の形態であってよく、又は固体含有良が60vol%であるフィブリル化可能なPTFEの水分散液のようなフィブリル化可能ナポリマーの水分散液であってもよい。
【0061】
このように、半乾燥法では、すべての乾燥成分を混合して均質な混合物を形成し、次いで必要な量の水を加えて重いペーストを得ている。このペーストを芯に押出すか、又は押出してストランドを形成し、これをペレット化する。次いでこのペレットを、好ましくは高温において乾燥して水分を除去する。次いでこのペレットを芯の押出しに用いる。
【0062】
湿潤混合法では、ブレンドはペイントのコンテステンシーを有する粘稠な液体の形態である。湿潤混合は、垂直もしくは水平ミキサー及びボールもしくはペブルミルのようなペイントの製造に用いられる、固体を液体中に分散させる分散装置で行われる。
【0063】
この湿潤混合は以下のようにして行われる。顔料分散液を適当な容器に入れ、分散液を高速分散機により高速で混合する。必要により、水を加えて分散液の粘度を低下させる。粉末もしくは分散液の形態のバインダ樹脂、充填材、及びフィブリル化できない滑剤を加え、約20分間混合を続ける。次いで、好ましくは分散液の形態のフィブリル化可能な材料を加える。滑らかなブレンドが得られるまでこの混合を続ける。次いでこのブレンドを、例えばオープントレー上で、好ましくは高温において公知の乾燥法により、又はスプレー乾燥により乾燥する。
【0064】
上記のようにして製造されたブレンドは、当業者に公知の方法、例えば溶融加工、もしくは反応加工によって芯に成形される。例えばKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 19, pp.290-316, 4版 (1996)を参照されたい。溶融加工においては、ブレンドを乾燥するが、湿潤加工ではブレンドが重いペーストである必要がある。反応加工は、エポキシもしくは不飽和硬化性樹脂、例えば不飽和ポリエステル樹脂のような反応性バインダを用いる。
【0065】
溶融加工においては、例えば、押出し、圧縮成形、又はカレンダリングによって芯を形成する。押出しにおいて、乾燥形態のブレンドを一軸もしくは二軸押出機のような押出機に入れ、ダイに通して押出してストランドを形成する。このダイは、適当な断面(円形もしくは正方形)もしくは所望の形状の断面であってよい。このストランドを室温まで冷却し、適当な長さに切断し、色鉛筆芯を得る。
【0066】
押出機供給材料が粉末の形態である場合、押出機は粉末の供給を補助するための装置、例えばオーガー式供給装置を備えるべきである。この押出しは、一工程で行ってもよく二工程で行ってもよい。二工程で行う場合、一次押出しを行い、良好な混合を達成し、ペレット形態の材料を形成する。このペレットで第二の押出しを行い、芯を形成する。
【0067】
圧縮成形法は水圧作動プレスを用い、金属型内で望ましい部材(ここでは芯)を形成し、系が硬化して部材の取り出しが可能になるまで冷却して所望の形状に圧縮する。このように、乾燥ブレンドを圧縮型に入れ、次いでバインダが軟化もしくは溶融するまで加熱する。溶融した材料に圧を加え、鉛筆芯の形状の溝に押し付ける。冷却後に芯を取り出す。
【0068】
カレンダリングはプラスチックシートの製造に用いられる方法である。例えば、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 19, 309, 4版 (1996)を参照されたい。カレンダーは通常4つの重い、大きなスチールロールを有し、これは通常逆L字形となっている。乾燥ブレンドをロールに供給し、カレンダリングを行い、シートを得る。次いでこのシートを細長く切り、長方形又は正方形の断面を形成する。
【0069】
湿潤混合により製造したブレンドを押出し、圧縮成形、又はカレンダリングによって芯に加工する。押出しにおいては、湿潤混合物を押出機に供給し、室温において又は高温(好ましくは水の沸点以下)において好適なオリフィスを通して押出す。この方法によって形成した芯を適当な長さに切断し、乾燥させる。乾燥終了後、芯の温度を高めてバインダを溶融させ、芯の強度を向上させる。
【0070】
圧縮成形において、湿潤混合物を、芯の形状の溝を有する圧縮成形型に入れる。圧盤を閉じ、混合物を所望の形状に圧縮する。圧盤を開き、芯を取り出して乾燥させる。乾燥終了後、芯の温度を高めてバインダを溶融させ、芯の強度を向上させる。
【0071】
カレンダリングにおいて、湿潤混合物をロールの間でカレンダリングし、シート形成する。次いでこのシートを細長く切り、長方形もしくは正方形の断面にする。
ブレンドの反応加工において、このブレンドを湿潤加工法と同様に加工するが、ただし押出しの間もしくは後に芯を加熱し、反応性バインダを固化させる。
【0072】
本発明の色鉛筆芯は当業者に公知の方法によって加工することができる。例えば、色鉛筆芯及び鉛筆軸を一緒に押出し、又は色鉛筆芯、軸、及び他の外部コーティングを一緒に押出して色鉛筆を得る。または、芯と事前に加工しておいた軸とを組み合わせることによって色鉛筆芯を組み立てる。例えば、事前に加工した軸の半分2つを鉛筆芯と共に圧縮し、色鉛筆を得る。軸は当該分野において公知の材料、例えば木材及びプラスチック材料製であってよい。
以下の実施例は本発明をさらに説明するものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0073】
実施例1
この例は1つの態様の色鉛筆芯の製造を説明する。用いた成分を以下に示す。この芯は以下のようにして製造した。
必要な量の顔料分散液を混合容器に軽量し、ミキサーを開始した。混合しながらポリエチレン粉末を加えた。必要な量のタルクを加えた。少量の水を加えて混合物の粘度を低下させた。微細なPTFE(平均粒度4μm)を加えた。フィブリル化可能なPTFEエマルジョンおよびエチレンアクリル酸エマルジョンを加えた。得られたペーストを乾燥皿に注ぎ、オーブン中で110℃において一晩乾燥させた。オーブンからトレイを取り出し、室温まで冷却した。皿から材料を取り出し、ブレンダー内で粉末に粉砕した。この粉砕した材料を#10メッシュふるいに通した。この粉末を3/4インチ(1.85cm)、L/D=24/1の押出機(圧縮比、1.5:1)において以下の条件で押出した。ダイ直径3mm、温度:160℃(ゾーン1、供給サイド)、180℃(ゾーン3、ダイサイド)、及び180℃(ダイ)。スクリューは60rpmで作動させた。
【0074】
成分 wt% vol%
SUNSPERSE RHD 6011(有機赤色顔料) 13.2 16.5
FLUO HT(微細PTFE、Micro Powders Inc) 20.8 16.8
FLUON AD-1(フィブリル化可能なPTFE) 3.6 3.0
HDPE FA 700(高密度ポリエチレン粉末) 17.9 33.5
POLYEMULSION 540N30(エチレン−アクリル酸 1.5 2.9
コポリマー)
MICROTUFF AG 609(表面処理したタルク、 43.0 27.3
Barretts Minerals Inc.)
合計100.0 100.0
こうして製造された色鉛筆芯は色強度及び消去性に優れた筆跡を与えた。
【0075】
実施例2
この例は、本発明の色鉛筆芯の他の態様の製造を説明する。微小PTFE及びフィブリル化可能なPTFEの相対量を変えたことを除き、実施例1に示す方法によって色鉛筆芯を製造した。成分の量を以下に示す。
【0076】
成分 wt% vol%
SUNSPERSE RHD 6011(有機赤色顔料) 13.2 16.5
FLUO HT(微細PTFE) 12.2 9.9
FLUON AD-1(フィブリル化可能なPTFE) 12.2 9.9
HDPE FA 700(高密度ポリエチレン粉末) 17.9 33.5
POLYEMULSION 540N30(エチレン−アクリル酸 1.5 2.9
コポリマー)
MICROTUFF AG 609(表面処理したタルク、 43.0 27.3
Barretts Minerals Inc.)
合計100.0 100.0
この芯は中程度の色強度及び良好な消去性を有する筆跡を形成した。
【0077】
実施例3
この例は、本発明の色鉛筆芯のさらに他の態様の製造を説明する。微小PTFE粒子の粒度が12〜20μmであることを除き、実施例1に示す方法によって色鉛筆芯を製造した。この組成物は表面処理したタルクのレベルが低かった。成分の量を以下に示す。
【0078】
成分 wt% vol%
SUNSPERSE RHD 6011(有機赤色顔料) 13.2 16.5
SST-2-SP5(微細PTFE) 20.8 16.8
FLUON AD-1(フィブリル化可能なPTFE) 3.6 3.0
HDPE FA 700(高密度ポリエチレン粉末) 17.9 33.5
POLYEMULSION 540N30(エチレン−アクリル酸 1.5 2.9
コポリマー)
MICROTUFF AG 609(表面処理したタルク、 43.0 27.3
Barretts Minerals Inc.)
合計100.0 100.0
この芯は高い色強度及び消去性を示す筆跡を形成した。
【0079】
実施例4
この例は、本発明の色鉛筆芯の他の態様の製造を説明する。有機赤色顔料の代わりに赤色酸化鉄顔料を用いることを除き、実施例1に示す方法によって色鉛筆芯を製造した。表面処理したタルクの代わりに表面処理したマイカを用いた。エチレンアクリル酸エマルジョンは用いなかった。用いた成分の量を以下に示す。
【0080】
成分 wt% vol%
C888-1045F(赤色酸化鉄顔料、Creanova, Inc 53.5 19.8
FLUO HT(微細PTFE) 24.0 20.2
FLUON AD-1(フィブリル化可能なPTFE) 4.2 3.5
HDPE FA 700(高密度ポリエチレン粉末) 22.3 43.5
合計100.0 100.0
この芯は高い色強度及び消去性を示す筆跡を形成した。
【0081】
実施例5
この例は、本発明の色鉛筆芯のさらに他の態様の製造を説明する。組成物が低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテート(EVA)コポリマー、及びエチレン−アクリル酸コポリマーを含むことを除き、実施例1に示す方法によって色鉛筆芯を製造した。成分の量を以下に示す。
【0082】
成分 wt% vol%
SUNSPERSE RHD 6011(有機赤色顔料) 10.9 13.5
FLUO HT(微細PTFE) 21.0 16.8
FLUON AD-1(フィブリル化可能なPTFE) 3.8 3.0
MICROTHENE FN 51000(低密度ポリエチレン 12.3 23.5
粉末、Equistar Chemicals)
MICROTHENE FE 53200(エチレン−ビニル 5.4 10.0
アセテートコポリマー)
POLYEMULSION 540N30(エチレン−アクリル酸 1.5 2.9
コポリマー)
SILWAX WS(ポリジメチルシロキサンコポリマー 1.7 3.0
Siltech Corp.)
MICROTUFF AG 609(表面処理したタルク) 43.4 27.3
合計100.0 100.0
この芯は高い色強度及び消去性を示す筆跡を形成した。
【0083】
実施例6
この例は、本発明の色鉛筆芯のさらに他の態様の製造を説明する。組成物がポリプロピレン及びEVAコポリマーを含むことを除き、実施例1に示す方法によって色鉛筆芯を製造した。成分の量を以下に示す。
【0084】
成分 wt% vol%
SUNSPERSE RHD 6011(有機赤色顔料) 13.8 15.2
FLUO HT(微細PTFE) 21.7 15.4
FLUON AD-1(フィブリル化可能なPTFE) 1.4 1.0
MICROTHENE FP 80000(ポリプロピレン) 19.5 33.5
MICROTHENE MU 76000(EVA) 5.1 8.4
PEG 20M(ポリエチレングリコール、20,000MW, 3.8 5.3
Union Carbide Corp)
SILWAX WS(ポリジメチルシロキサンコポリマー 1.8 2.9
Siltech Corp.)
MICROTUFF AG 609(表面処理したタルク) 32.9 18.4
合計100.0 100.0
この芯は高い色強度及び消去性を示す筆跡を形成した。
【0085】
実施例7
この例は、本発明の色鉛筆芯のさらに他の態様の製造を説明する。組成物がポリプロピレン及びEVAコポリマーを含み、充填材としてシリカを含むことを除き、実施例1に示す方法によって色鉛筆芯を製造した。成分の量を以下に示す。
【0086】
成分 wt% vol%
SUNSPERSE RHD 6011(有機赤色顔料) 13.6 15.4
FLUO HT(微細PTFE) 21.5 15.7
FLUON AD-1(フィブリル化可能なPTFE) 1.9 1.4
MICROTHENE FP 80000(ポリプロピレン) 16.7 29.6
MICROTHENE MU 76000(EVA) 5.0 8.6
PEG 20M(ポリエチレングリコール、20,000MW) 3.7 5.4
SILWAX WD-F(ポリジメチルシロキサンワックス 1.8 2.9
Siltech Corp.)
SYLOID 74(Grace-Davison製のシリカ) 3.1 2.5
MICROTUFF AG 609(表面処理したタルク) 32.5 18.6
合計100.0 100.0
この芯は高い色強度及び消去性を示す筆跡を形成した。
【0087】
実施例8
この例は、本発明の色鉛筆芯のさらに他の態様の製造を説明する。成分の量を以下に示す。この成分を混合し、二軸押出機で押出して鉛筆芯を得た。
【0088】
成分 wt% vol%
Pigment Red 210(有機赤色顔料) 13.9 15.0
MICROTHENE FP 80000(ポリプロピレン) 15.4 26.1
MICROTHENE MU 76000(EVA) 4.8 7.8
MICROTHENE FN 51000(LDPE) 1.6 2.6
MICROTUFF AG 609(表面処理したタルク) 50.3 27.6
PEG 20M 7.6 10.5
EPROLENE E-10(高融点ワックス) 6.4 10.4
合計 100.0 100.0
この芯は優れた色強度及び消去性を有する筆跡を形成した。
【0089】
実施例9
この例は、本発明の色鉛筆芯のさらに他の態様の製造を説明する。成分の量を以下に示す。この芯は実施例8と同様にして製造した。
【0090】
成分 wt% vol%
Pigment Red 210(有機赤色顔料) 13.6 15.0
MICROTHENE FP 80000(ポリプロピレン) 15.0 26.0
MICROTHENE MU 76000(EVA) 3.6 6.0
MICROTHENE FN 51000(LDPE) 1.5 2.6
MICROTUFF AG 609(表面処理したタルク) 52.6 29.5
PEG 20M 7.5 10.5
EPROLENE E-10(高融点ワックス) 6.2 10.4
合計 100.0 100.0
この芯は優れた色強度及び消去性を有する筆跡を形成した。
【0091】
実施例10
この例は、本発明の色鉛筆芯のさらに他の態様の製造を説明する。成分の量を以下に示す。この芯は実施例8と同様にして製造した。
【0092】
成分 wt% vol%
SUNBRITE RED 235-7511(有機赤色顔料) 14.8 16.0
MICROTHENE FP 80000(ポリプロピレン) 15.6 26.1
MICROTHENE MU 76000(EVA) 4.8 7.8
MICROTHENE FN 51000(LDPE) 1.6 2.6
MICROTUFF AG 609(表面処理したタルク) 49.1 26.7
PEG 20M 7.7 10.4
EPROLENE E-10(高融点ワックス) 6.4 10.4
合計 100.0 100.0
この芯は優れた色強度及び消去性を有する筆跡を形成した。
【0093】
実施例11
この例は、子供及び大人を含む試験者による鉛筆の通常の使用の際に形成される筆跡による圧力または力を測定する方法を説明する。この例はさらに、筆記角度及び筆記速度の測定を説明する。
【0094】
筆記圧の測定に用いた装置は、学校用の机、荷重セル、ストリップチャートレコーダ、及び必要な荷重セルコントロールエレクトロニクスを備えている。学校用の机を改良し、机の上部に開口部を設けた。Omega Engineering製の25ポンドの荷重セルを机の開口部の下に置き、荷重セルの圧力感知表面が机の上部と同一平面になるようにする。荷重セルをストリップチャートレコーダに接続し、適当な電源及びコントロールエレクトロニクスを取り付けた。この装置を、先入観を排除するために、荷重セルが試験者の視界から隠れるように設置した。
【0095】
熱風風船のようなピリントを施しておいて物品を荷重セルの表面に取り外しできるように固定し、この物品に色をつけるように試験者に依頼した。筆記の間に用いた平均及び最大の力をストリップチャートレコードの記録値より計算した。加えられた平均力は300gであり、最大力は600gであることがわかった。
【0096】
Skill Tech製又はMitutoya/MTI製のModel 180-905のような分度器を用いて筆記角度を測定した。筆記の平均角度は53度であった。筆記角度は筆記のレイダウンにそれほど影響を与えないことが観察された。さらに、ストップウォッチを用いて筆記速度を測定した。筆記速度は物品の所定のポイントの間の公知の距離、例えば熱風風船のラインの間の距離、をカバーするに要する時間より計算した。筆記速度は約20ft/min〜約36ft/minであり、平均は28ft/minであった。
【0097】
実施例12
この例は、通常の筆記条件において試験者が行う実際の筆記をシュミレートする、制御された条件において色鉛筆筆跡を形成する方法を説明する。このシュミレートされた筆跡は、筆跡のレイダウン、汚れ、しみ及び消去性を含む色鉛筆芯の特性の評価に繰り返し用いた。
【0098】
フェルト先端マーカー及びポールペンのような筆記具の評価に通常用いられている、Contecma Precision Machinery for Writing Instruments製のContecma Writeout Machine Model 611を用いて色鉛筆芯の筆跡を形成した。Dasco Pro Inc.製のクリノメーター、Model ANGLE FINDERを用いて筆記角度を測定し、調整した。
【0099】
筆記する前に、Hunt Manufacturing Co.製のHunt Boston model又は松下電器製のPanasonic Model KP-33である、電気鉛筆削り機を用いて鉛筆を削った。鉛筆は約10〜12°(鉛筆の長手方向軸に対して約5〜6°)テーパー角度に削り、先端の断面をジグプレートを用いて平坦にした。このジグプレートは長方形のステンレススチールプレートであり、厚さは0.118インチであり、直径0.078インチの穴を有していた。削った鉛筆の先端をこの穴に入れ、鉛筆芯の先端をこの穴から出し、金属やすりを用いて鉛筆の先端の断面を平坦にした。これは鉛筆の削り程度の変動を排除し、先端の直径を均一にする。
【0100】
色鉛筆を筆記機の筆記装置サンプルホルダーに固定した。鉛筆を垂直位置に保持し、傾斜計を用いて、先端を紙にあて、確実に垂直にした。合計300g又は600gの重量片を、サンプルホルダー内の鉛筆保持チューブに入れた。用いた重量片の総重量は筆記の加えられる力に相当する。
【0101】
用いた筆記機はロール紙を含んでいるが、他のタイプ、例えばシートも用いることができる。この機械は36ft/minの速度でジグザグに筆記するように「ジグザグ」セットにプログラムされており、幅30mmの均一な色の実線を形成する。この紙供給速度および筆記において、ジグザグな色鉛筆の筆跡はブランクを残すことなく実線を形成した。各実験の前に、上記のようにしてこの鉛筆を削り、先端を平坦にした。
【0102】
実施例13
この例は、筆跡の汚れ、しみおよび消去性について色鉛筆線を評価する方法を説明する。QA MASTERソフトウェアを用い、X-Rite SP68 Sphere 分光光度計において筆跡のL.a.b.値を測定した。この分光光度計は10mmのリーディングヘッドを用いた。筆記領域に対する筆跡のDE値を測定したL.a.b.値から得た。消去されない筆跡のDE値は幅に沿って3つの点でL.a.b.値を測定することにより得、筆跡の最初の10mmの長さにおいて測定を行った。この3つの測定を6つの筆跡において行い、得られた18のDE値の平均をDE0とし、色鉛筆芯のレイダウンのめやすとした。
【0103】
筆跡を消しゴムでこすり、汚れ特性を測定した。PINK PEARL No.100鉛筆消しゴムを用いて筆跡を消去した。実施例11に記載した荷重セルで測定したように、600gの一定の力を加えて筆跡を消去した。この筆跡はその幅の半分の距離においてのみ消去された。上記のように、筆跡の幅は30mmであった。従って、筆跡は15mの幅に消去された。この消去された領域は15mm×10〜20mmの長方形であった。消しゴムはその幅に沿って筆跡の中程から開始して往復し、筆記されていない領域に15mm広がった。消しゴムはジグザグに移動し、24〜36回往復した。消しゴムくずは6〜12回の往復ごとに除去した。消去された領域および広がった領域のL.a.b.値を白色領域に対して測定し、DE値を計算した。少なくとも2回の消去テストの平均DE値を得た。消去されない筆跡の量及び白色領域に汚した秘蹟の量を以下のようにして計算した。
消しゴムによって消去されない筆跡の率=(DE1/DE0)×100
(上式中、DE1は消去された領域におけるDE値である)
消しゴム汚染率=(DE2/DE0)×100
(上式中、DE2は広がった領域におけるDE値である)
【0104】
実施例12のようにして形成された筆跡について以下のようにしてスタンプ汚染テストを行った。パステル及びパステルタイプ媒材を混合するために芸術家によって通常用いられているスタンプと同様のものである、Art & Drafting Connection製のBlending Stump (#8), Product No. 894の先端を用いて筆跡を汚した。スタンプの先端は長手軸に対して15度の角度にした。荷重セルにより測定し、筆跡の中点に1200gの一定の力を加え、白色領域に15mmまで広げた。色鉛筆を変える場合には320グリップ紙やすりを用いて先端を削った。
【0105】
圧を加えた領域及び広げた領域のL.a.b.値を白意ロ領域に対して測定し、DE値を計算した。少なくとも3回の汚染試験の平均DE値を得た。この汚染は以下のようにして計算した。
汚染率=DE3/DE0)×100
(上式中、DE3は広げた領域のDE値である)
【0106】
実施例14
この例は、色鉛筆の特性の一部を説明する。実施例13に説明した消しゴム汚染、未消去率及びスタンプ汚染率を、市販入手可能な色鉛筆についてのデータと共に以下に示す。本発明の色鉛筆の利点は以下に示すデータより明らかである。
実施例No 筆跡に加えた荷重(g) 消しゴム汚染率 未消去率 汚染率
1 600 18.9 10.0 2.5
1 300 18.7 10.4 5.6
6 600 9.2 7.7 2.1
6 300 16.1 6.0 2.2
5 600 12.9 9.1 0.8
5 300 20.4 6.6 2.4
7 600 11.0 12.0 2.0
8 600 4.2 6.4 11.7
9 600 2.4 11.4 8.8
消去されない 600 45 59 23
色鉛筆
【0107】
上記のデータは、本発明の色鉛筆芯組成物の優れた特性を示している。フィブリル化可能な材料、例えばEVAの効果は、実施例8及び9の組成物の特性を比較することにより明らかである。実施例8の組成物のEVA含有量は実施例9の組成物の含有量よりも高い。このデータは、EVA含有量を高めることにより、消去されない率が低下することを示している。
【0108】
色鉛筆芯の製造に有効であることに加え、本発明の組成物は、シャープペンシルの替え芯、クレヨン、及びペイント等の他の有効な製品に有効である。
【0109】
実施例15
この例は、本発明の色鉛筆芯により形成された筆跡の密着性を説明する。標準20ポンドのホワイトボンド紙(コピー紙)に通常の筆記圧で実施例10と同様にして製造した芯を含む鉛筆を用いて手により筆記を形成した。この筆跡を走査電子顕微鏡により調べた。図1は1500倍の写真であり、紙の円筒形の繊維及びこれらの繊維の間及び繊維上に分布している芯組成物を示している。この写真の中部領域にフィブリルが見られる。このフィブリルは筆跡のさまざまな部位を結び付けていることがわかる。このフィブリルは、図1の写真よりも倍率の高い写真を示す図2及び3(それぞれ10,000倍及び30,000倍)においてより明確である。このEVAフィブリルは組成物へ剪断力を加えた結果として筆記の間に形成されると考えられる。消しゴムを筆跡に用いた場合に、このフィブリルがつながった材料がシートもしくはフィルム様部位として表面から持ち上がる。
【0110】
実施例16
この例は、本発明の色鉛筆芯により形成された筆跡の密着特性を説明する。標準20ポンドのホワイトボンド紙(コピー紙)に通常の筆記圧で実施例8と同様にして製造した芯を含む鉛筆を用いて手により筆記を形成した。この筆跡を走査電子顕微鏡により調べた。図4は2,000倍の写真であり、芯組成物の密着性を示している。この組成物に密着性を与えるフィブリルがこの写真全体、特に上部中領域に見られる。このフィブリルは筆跡のさまざまな部位を結び付けていることがわかる。このフィブリルは、図4の上部中領域を中心とした倍率の高い(10,000倍)写真を示す図5においてより明確である。
【0111】
実施例17
この例は、本発明の色鉛筆芯により形成される筆跡の密着性をさらに説明する。鉛筆芯を以下の成分の芯より加工した。
【0112】
成分 wt% vol%
SUNBRITE RHD 6011(有機赤色顔料) 13.4 14.8
MICROTHENE FP 80000(ポリプロピレン) 16.4 28.4
FLUON AD-1(フィブリル化可能なPTFE) 1.0 0.7
MICROTHENE MU 76000(EVA) 4.5 7.5
PEG 20M 7.0 9.8
MICHEM 66930(高融点ワックス 5.8 9.7
Michelman Inc.)
MICROTUFF AG 609(表面処理したタルク) 51.9 29.1
合計 100.0 100.0
【0113】
この芯は優れた色強度及び消去性を有する筆跡を形成した。標準20ポンドのホワイトボンド紙(コピー紙)に通常の筆記圧で 上記のようにして製造した芯を含む鉛筆を用いて手により筆記を形成した。この筆跡を走査電子顕微鏡により調べた。図6は2,000倍の写真であり、芯組成物の密着性を示している。フィブリルがこの写真全体に見られる。このフィブリルは、図6の上部中領域を中心とした倍率の高い(10,000倍)写真を示す図7においてより明確である。
【0114】
実施例18
この例は、本発明の色鉛筆芯の他の態様を説明する。鉛筆芯を以下の成分の芯より加工した。
成分 wt% vol%
MONASTRAL RED Y RT-759-D(顔料) 8.0 8.45
IRGAZIN RED DPP BO(顔料) 4.0 3.86
MICROTHENE FP 80000(ポリプロピレン) 15.9 26.97
MICROTHENE MU 76000(EVA) 4.6 7.54
MICROTHENE FN 51000 (LDPE) 1.6 2.68
MICROTUFF AGD609(表面処理したタルク) 51.4 28.32
PEG 20M 7.3 10.39
EPOLENE E-10(高融点ワックス) 7.0 11.49
IRGANOS 168(抗酸化剤) 0.1 0.15
IRGANOX 1010(抗酸化剤) 0.1 0.15
合計 100.0 100.0
【0115】
この芯は優れた色強度及び消去性を有する筆跡を形成した。
本発明を実施態様について説明したが、この態様の変形を用いてよく、実施可能であることは当業者に明らかであろう。従って、本発明は本発明の精神の範囲内に包含されるすべての変形を含む。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の色鉛筆芯組成物により20ポンドウェイトのボンド紙上に記した筆跡の走査型電子顕微鏡写真(SEM)(1,500倍)である(実施例15参照)。
【図2】倍率10,000倍の、図1に示す筆跡のSEMである。
【図3】倍率30,000倍の、図2に示す筆跡のSEMである。
【図4】本発明の色鉛筆芯組成物により20ポンドウェイトのボンド紙上に記した筆跡の走査型電子顕微鏡写真(SEM)(2,000倍)である(実施例16参照)。
【図5】倍率10,000倍の、図4に示す筆跡のSEMである。
【図6】本発明の色鉛筆芯組成物により20ポンドウェイトのボンド紙上に記した筆跡の走査型電子顕微鏡写真(SEM)(2,000倍)である(実施例17参照)。
【図7】倍率10,000倍の、図6に示す筆跡のSEMである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、バインダ樹脂としての1種以上の熱可塑性ポリマー、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、及び充填材を含み、90℃以下の融点もしくは軟化点を有する低融点ワックスもしくはワックス様材料を実質的に含まない、消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項2】
前記バインダ樹脂がポリオレフィンである、請求項1記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項3】
前記ポリオレフィンがポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高融点ポリオレフィンワックス、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項2記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項4】
前記ポリオレフィンがポリプロピレン、低密度ポリエチレン及び高融点ポリエチレンワックスの組み合わせである、請求項3記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項5】
前記フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料がフィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたポリマーである、請求項1記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項6】
前記フィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたポリマーがフィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたコポリマーである、請求項5記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項7】
前記フィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたコポリマーがフィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたエチレン−酢酸ビニルコポリマーである、請求項6記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項8】
滑剤をさらに含む、請求項1記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項9】
前記滑剤が非粒状滑剤である、請求項8記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項10】
前記滑剤がバインダ樹脂とは別のドメインを形成する、請求項9記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項11】
前記滑剤が極性材料である、請求項10記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項12】
前記極性材料がアルコキシル化材料である、請求項11記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項13】
着色剤、バインダ樹脂としての1種以上の熱可塑性ポリマー、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、充填材、及びアルコキシル化材料を含む滑剤を含む消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項14】
前記アルコキシル化材料が、ポリアルキレングリコール、アルコキシル化エーテル、アルコキシル化ラノリン、アルコキシル化ラノリンアルコール、一価及び多価アルコールのアルコキシレート、アルコキシル化脂肪酸、アルコキシル化植物油、アルコキシル化水素化植物油、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項13記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項15】
前記アルコキシル化材料がエトキシル化材料である、請求項13記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項16】
前記エトキシル化材料が、ポリエチレングリコール、エトキシル化エーテル、エトキシル化ラノリン、エトキシル化ラノリンアルコール、一価及び多価アルコールのエトキシレート、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化植物油、エトキシル化水素化植物油、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項15記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項17】
前記エトキシル化材料がポリエチレングリコールである、請求項16記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項18】
抗酸化剤を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項19】
着色剤、バインダ樹脂としての1種以上の熱可塑性ポリマー、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、充填材、及び抗酸化剤を含む消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項20】
筆記しようとする表面に消去可能な色鉛筆芯組成物を使用する方法であって、
(a)着色剤、バインダ樹脂としての1種以上の熱可塑性ポリマー、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、及び充填材を含み、90℃以下の融点もしくは軟化点を有する低融点ワックスもしくはワックス様材料を実質的に含まない消去可能な色鉛筆芯組成物を準備すること、
(b)表面を準備すること、及び
(c)表面にこの色鉛筆芯組成物を用いて筆跡を形成し、この色鉛筆芯組成物の密着層を形成すること
を含む方法。
【請求項21】
前記芯組成物が滑剤をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記滑剤が少なくとも1種のバインダ樹脂とは別のドメインを形成する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1種のバインダ樹脂がポリオレフィンである、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記滑剤が極性材料である、請求項21又は22記載の方法。
【請求項25】
前記極性材料がアルコキシル化材料である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記アルコキシル化材料が、ポリアルキレングリコール、アルコキシル化エーテル、アルコキシル化ラノリン、アルコキシル化ラノリンアルコール、一価及び多価アルコールのアルコキシレート、アルコキシル化脂肪酸、アルコキシル化植物油、アルコキシル化水素化植物油、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記アルコキシル化材料がエトキシル化材料である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記エトキシル化材料が、ポリエチレングリコール、エトキシル化エーテル、エトキシル化ラノリン、エトキシル化ラノリンアルコール、一価及び多価アルコールのエトキシレート、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化植物油、エトキシル化水素化植物油、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記エトキシル化材料がポリエチレングリコールである、請求項27記載の方法。
【請求項30】
筆記しようとする表面に消去可能な色鉛筆芯組成物を使用する方法であって、
(a)着色剤、バインダ樹脂としての1種以上の熱可塑性ポリマー、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、充填材、及び抗酸化剤を含む消去可能な色鉛筆芯組成物を準備すること、
(b)表面を準備すること、及び
(c)表面にこの色鉛筆芯組成物を用いて筆跡を形成し、この色鉛筆芯組成物の密着層を形成すること
を含む方法。
【請求項31】
通常の鉛筆用消しゴムを用いて前記筆跡を消去することをさらに含む、請求項20、25又は30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1種の前記バンイダ樹脂がポリオレフィンである、請求項20、25又は30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料がフィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたポリマーである、請求項25又は31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記ポリマーがフィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたコポリマーである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記フィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたコポリマーがフィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたエチレン−酢酸ビニルコポリマーである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記表面が多孔質表面である、請求項20、25又は30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記多孔質表面が紙である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
消去可能な色鉛筆芯組成物により表面につけた筆跡を消去する方法であって、前記筆跡に通常の鉛筆消しゴムを使用することを含み、前記筆跡が着色剤、バインダ樹脂としての1種以上の熱可塑性ポリマー、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、及び充填材を含む色鉛筆芯組成物の密着層を形成しており、前記色鉛筆芯組成物が90℃以下の融点もしくは軟化点を有する低融点ワックスもしくはワックス様材料を実質的に含まない方法。
【請求項39】
フィブリル化できない粒状滑剤をさらに含む、請求項1記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項40】
前記フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料がフィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたポリマーである、請求項39記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項41】
前記フィブリル化できない粒状滑剤がフィブリル化できない粒状ポリマーである、請求項40記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項42】
前記フィブリル化できない粒状ポリマーが焼成し、粉砕したポリテトラフルオロエチレンである、請求項41記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項43】
前記着色剤が顔料である、請求項39記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項44】
前記フィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたポリマーがポリテトラフルオロエチレンである、請求項43記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項45】
少なくとも1種の前記熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである、請求項39記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項46】
バインダ樹脂としてオレフィンホモポリマー及びオレフィンコポリマーを含む、請求項45記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項47】
前記オレフィンホモポリマーが、ポリプロピレン及び高密度ポリエチレンからなる群より選ばれ、前記オレフィンコポリマーがエチレン−アクリル酸コポリマーである、請求項46記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項48】
前記フィブリル化できないポリマーと前記フィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたポリマーが、組成物中に1:0.01〜1:1の量で存在する、請求項41記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項49】
前記充填材が、マイカ、タルク、シリカ、クレー、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる、請求項39記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項50】
前記着色剤が組成物の10体積%〜30体積%の量存在し、前記バインダ樹脂が組成物の30体積%〜50体積%の量存在し、前記フィブリル化可能なもしくはフィブリル化されたポリマーが2体積%〜10体積%の量存在し、前記フィブリル化できない粒状ポリマーが組成物の10体積%〜30体積%の量存在し、そして前記充填材が組成物の10体積%〜30体積%の量存在する、請求項39記載の消去可能な色鉛筆芯組成物。
【請求項51】
着色剤、バインダ樹脂としての1種以上の熱可塑性ポリマー、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、フィブリル化できない粒状滑剤、及び充填材を含む消去可能な色鉛筆芯組成物の製造方法であって、前記着色剤、バインダ樹脂、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、フィブリル化できない粒状滑剤、及び充填材を混合してブレンドを形成し、このブレンドから前記鉛筆芯を形成することを含み、前記色鉛筆芯組成物が90℃以下の融点もしくは軟化点を有する低融点ワックスもしくはワックス様材料を実質的に含まない方法。
【請求項52】
前記混合を乾燥混合法、半乾燥混合法、又は湿潤混合法として行う、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記鉛筆芯を溶融法、湿潤法、又は反応法により加工することにより形成する、請求項51記載の方法。
【請求項54】
前記フィブリル化可能な又はフィブリル化された材料がフィブリル化可能な又はフィブリル化されたポリマーである、請求項51記載の方法。
【請求項55】
前記フィブリル化できない滑剤がフィブリル化できない粒状ポリマーである、請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記フィブリル化できない粒状ポリマーが焼成し、粉砕したポリテトラフルオロエチレンである、請求項55記載の方法。
【請求項57】
着色剤、バインダ樹脂としての1種以上の熱可塑性ポリマー、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、フィブリル化できない粒状滑剤、充填材、及び抗酸化剤を含む消去可能な色鉛筆芯組成物の製造方法であって、前記着色剤、バインダ樹脂、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、フィブリル化できない粒状滑剤、充填材、及び抗酸化剤を混合してブレンドを形成し、このブレンドから前記鉛筆芯を形成することを含む方法。
【請求項58】
着色剤、バインダ樹脂としての1種以上の熱可塑性ポリマー、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、フィブリル化できない粒状滑剤、及び充填材を含む消去可能な色鉛筆芯組成物の製造方法であって、前記色鉛筆芯組成物が90℃以下の融点もしくは軟化点を有する低融点ワックスもしくはワックス様材料を実質的に含まず、前記着色剤、バインダ樹脂、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、フィブリル化できない粒状滑剤、及び充填材を混合してブレンドを形成し、このブレンドから前記鉛筆芯を形成することを含む方法。
【請求項59】
着色剤、バインダ樹脂としての1種以上の熱可塑性ポリマー、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、及び充填材を含む消去可能な色鉛筆芯組成物の製造方法であって、前記色鉛筆芯組成物が90℃以下の融点もしくは軟化点を有する低融点ワックスもしくはワックス様材料を実質的に含まず、前記着色剤、バインダ樹脂、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、及び充填材を混合してブレンドを形成し、このブレンドから前記鉛筆芯を形成することを含む方法。
【請求項60】
着色剤、バインダ樹脂としての1種以上の熱可塑性ポリマー、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、充填材、及び抗酸化剤を含む消去可能な色鉛筆芯組成物の製造方法であって、前記着色剤、バインダ樹脂、フィブリル化可能なもしくはフィブリル化された材料、充填材、及び抗酸化剤を混合してブレンドを形成し、このブレンドから前記鉛筆芯を形成することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−284689(P2007−284689A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154406(P2007−154406)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【分割の表示】特願2000−557312(P2000−557312)の分割
【原出願日】平成11年6月22日(1999.6.22)
【出願人】(391041361)ビニー アンド スミス インコーポレイティド (1)
【氏名又は名称原語表記】BINNEY & SMITH INCOPRORATED
【Fターム(参考)】