説明

消泡剤組成物、該組成物を含有する洗剤および洗浄剤、消泡および泡防止のための方法

【課題】消泡剤組成物、該組成物を含有する洗剤および洗浄剤、消泡および泡防止のための方法を提供する。
【解決手段】該組成物が、
(A)式
(RO)SiO(4−a−b−c)/2 (I)
の単位を有する、少なくとも1の有機ケイ素化合物[式中、置換基および変数は特許請求の範囲に記載したものを表す]、
(B)次のものから選択される少なくとも1の添加剤
(B1)充填材粒子および/または
(B2)式(II)の単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂
および場合により
(C)式(III)の単位を有する有機ケイ素化合物
を含有する。
【効果】実施が容易であり、かつ極めて経済的であるという利点を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素に直接結合している分枝鎖状および/または環式の、有利には飽和のアルキル基を有する有機化合物を含有する組成物および消泡剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
所望の、または不所望の成分として表面活性化合物を含有する多くの液状の、特に水性の系において、この系を、程度の差はあっても気体状の物質と強力に接触させる場合、たとえば廃水のガス処理の場合、液体を強力に撹拌する場合、蒸留、洗浄もしくは着色工程において、または充てん工程において、泡の形成により問題が生じうる。
【0003】
この泡は、機械的な方法で、または消泡剤の添加により克服することができる。その際、シロキサンベースの消泡剤が特に有利であることは判明している。
【0004】
シロキサンをベースとする消泡剤はたとえばDE−AS1519987によれば親水性のケイ酸をポリジメチルシロキサン中で加熱することにより製造される。たとえばDE−OS1769940に開示されているように、塩基性触媒の適用により、このような消泡剤の効果を改善することができる。1つの代替法はたとえばDE−OS2925722に相応して、ポリジメチルシロキサン中での疎水化されたケイ酸の分散である。しかし得られる消泡剤の効果はなお改善の余地がある。従ってUS−A4,145,308はたとえば、ポリジオルガノシロキサンおよびケイ酸以外にさらに、(CHSiO1/2成分およびSiO成分からなるコポリマーを含有する消泡剤組成物を記載している。(CHSiO1/2成分およびSiO成分からなるコポリマーはたとえばEP−A301531に記載されているように、長鎖アルキル末端基を有するシロキサンとの組合せにおいても有利である。部分的に架橋した、部分的にすでにゴム状のポリジメチルシロキサンの使用は、消泡剤の作用を向上するために貢献する。これに関しては、たとえばUS−A2,632,736、EP−A273448およびEP−A434060を参照されたい。しかしこれらの生成物は一般に極めて高粘度であり、かつ取り扱いまたはその後の加工が困難である。
【0005】
多くの場合、有利にはメチル基を有するポリシロキサン、たとえばポリジメチルシロキサンが使用される。一連のその他の脂肪族もしくは芳香族の炭化水素基をケイ素原子に有するポリマーは公知であり、かつ多くの特許において消泡剤の製造のためにも提案されているが、しかしケイ素におけるこの置換基の選択により消泡剤作用の実質的な改善を達成することができるという示唆はほとんどない。しばしば長鎖のアルキル基またはポリエーテル置換基を導入することにより、消泡剤組成物中に含有されうる鉱油との相容性を改善するか、またはたとえば塗料中でのシリコーン障害(Siliconstoerung)を回避することができる。従ってEP−A121210では、6〜30個の炭素原子を有し、CH基として存在する炭素の割合が30〜70%であるアルキル基を有するポリシロキサンを鉱油と組み合わせて使用することが推奨されている。実施例では特にオクタデシル基を有するポリシロキサンが言及されている。JP−A60173068ではオクチル基およびポリエーテル基を有するシロキサンが、水性の印刷インク中での消泡剤として推奨されている。アミノシロキサンと組み合わされた、30より多くの炭素原子を有するアルキル基を有するシロキサンはUS−A4,584,125によれば特に、これらの基を有するシロキサン単位の割合が約5%である場合に消泡効果にとって有利でありうる。
【0006】
しかし従来技術により製造される消泡剤調製物は界面活性剤が富化された強く泡立つ系中で、必ずしも常に十分に長い間、維持される効果を有しているとは限らないか、または達成される分岐度または架橋度に基づいた高い粘度に基づいて取り扱いが困難である。
【特許文献1】DE−AS1519987
【特許文献2】DE−OS1769940
【特許文献3】DE−OS2925722
【特許文献4】US−A4,145,308
【特許文献5】EP−A301531
【特許文献6】US−A2,632,736
【特許文献7】EP−A273448
【特許文献8】EP−A434060
【特許文献9】EP−A121210
【特許文献10】JP−A60173068
【特許文献11】US−A4,584,125
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の課題は、従来技術の欠点を有していない消泡剤組成物、該組成物を含有する洗剤および洗浄剤ならびに消泡および/または泡防止のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は本発明により、
(A)式
(RO)SiO(4−a−b−c)/2 (I)
の単位を有する、少なくとも1の有機ケイ素化合物[式中、
Rは同一であるか、もしくは異なっていてもよく、かつ水素原子を表すか、場合により置換された一価のSiC−結合した芳香族もしくは線状の脂肪族炭化水素基を表し、
は同一であるか、もしくは異なっていてもよく、かつ水素原子を表すか、または場合により置換された炭化水素基を表し、
は同一であるか、もしくは異なっていてもよく、かつ少なくとも3の炭素原子を有する、場合により置換された一価のSiC−結合した脂肪族の環式もしくは脂肪族の分枝鎖状炭化水素基を表し、
aは0、1、2または3であり、
bは0、1、2または3であり、
cは0、1または2であるが、ただしその際、a+b+cの合計は3以下であり、有機ケイ素化合物は、cが0以外であり、かつ有機ケイ素化合物中の式(I)の全ての単位の少なくとも50%においてa+b+cの合計が2である式(I)の単位を少なくとも1つ有する]、
(B)次のものから選択される少なくとも1の添加剤
(B1)充填材粒子および/または
(B2)式
(RO)SiO(4−d−e)/2 (II)
の単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂[式中、
は同一であるか、もしくは異なっていてもよく、かつ水素原子を表すか、または場合により置換された一価のSiC−結合した炭化水素基を表し、
は同一であるか、もしくは異なっていてもよく、かつ水素原子を表すか、または場合により置換された一価の炭化水素基を表し、
dは0、1、2または3であり、かつ
eは0、1、2または3であるが、ただしその際、d+eの合計は3以下であり、かつオルガノポリシロキサン樹脂中の式(II)の全ての単位の50%未満においてd+eの合計は2である]
および場合により
(C)式
(RO)SiO(4−g−h)/2 (III)
の単位を有する有機ケイ素化合物[式中、
は同一であるか、もしくは異なっていてもよく、かつ水素原子を表すか、場合により置換された一価のSiC−結合した芳香族もしくは線状の脂肪族炭化水素基を表し、
は同一であるか、もしくは異なっていてもよく、かつ水素原子を表すか、または場合により置換された一価の炭化水素基を表し、
gは0、1、2または3であり、かつ
hは0、1、2または3であるが、ただしその際、g+hの合計は3以下であり、かつ有機ケイ素化合物中の式(III)の全ての単位の少なくとも50%においてg+hの合計は2である]
を含有する組成物により解決される。
【0009】
基Rのための例は、脂環式基、たとえばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ピニル基、ノルボルニル基および2−シクロヘキシルエチル基、ならびに分枝鎖状の脂肪族基、たとえばイソ−プロピル基、2−n−ブチル基、イソ−ブチル基、t−ブチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−ペンチル基、t−ペンチル基、イソ−オクチル基、たとえば2,2,4−トリメチル−ペンチル基、およびネオヘキシル基である。
【0010】
基Rが置換された脂環式または分枝鎖状の脂肪族基である場合(これは有利ではないが)、置換基としてハロゲン原子、エーテル基、エステル基およびアミノ基が有利である。
【0011】
有利には基Rは脂環式炭化水素基である。
【0012】
基Rが脂環式炭化水素基の意味を有する場合、これは有利には3〜18の炭素原子を有する基であり、特に有利には5〜10の炭素原子を有する基であり、とりわけシクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基およびシクロオクチル基である。
【0013】
基Rが分枝鎖状の脂肪族炭化水素基である場合、3〜18の炭素原子を有する基が有利であり、かつ5〜10の炭素原子を有する分枝鎖状の脂肪族炭化水素基が特に有利である。
【0014】
特に有利には基Rは、基R中のケイ素原子に結合した炭素原子が水素原子を有していないか、または最大で1つ有するように選択する。その際、たとえば次の構造を有する式(I)の単位が生じうる:
【0015】
【化1】

【0016】
特に有利であるのは、成分(A)中の全ての基Rの20〜100%、とりわけ50〜100%が、ケイ素に結合した炭素原子が水素原子を有していないか、または最大で1つ有するものである。
【0017】
基Rは基Rの定義に該当しない、場合により置換された全ての炭化水素基であってよい。
【0018】
基Rのための例は線状のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基およびn−オクタデシル基;線状のアルケニル基、たとえばビニル基およびアリル基;線状のアルキン基;アリール基、たとえばフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基;アルカリール基、たとえばo−トリル基、m−トリル基、p−トリル基;キシリル基およびエチルフェニル基;およびアラルキル基、たとえばベンジル基、α−およびβ−フェニルエチル基である。
【0019】
置換された基Rのための例は、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、シアノエチル基、グリシドキシ−n−プロピル基、ポリアルキレングリコール−n−プロピル基、アミノ−n−プロピル基、アミノエチルアミノ−n−プロピル基、メタクリルオキシ−n−プロピル基およびo−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基およびp−クロロフェニル基である。
【0020】
有利には基Rは水素原子であるか、または1〜30の炭素原子を有する、場合により置換された、芳香族もしくは線状の脂肪族炭化水素基であり、特に有利には1〜4の炭素原子を有する炭化水素基、特にメチル基である。
【0021】
基Rのための例は、水素原子および基RおよびR関して記載した基である。
【0022】
有利には基Rは水素原子であるか、または1〜30の炭素原子を有する、場合により置換された炭化水素基であり、特に有利には水素原子であるか、または1〜4の炭素原子を有する炭化水素基であり、とりわけメチル基またはエチル基である。
【0023】
有利にはbは0または1であり、特に有利には0である。
【0024】
有利にはcは0または1である。
【0025】
式(I)の単位を有する成分(A)として使用される有機ケイ素化合物は有利には分枝鎖状もしくは線状のオルガノポリシロキサンであり、これは特に有利には式(I)の単位からなる。
【0026】
本発明の範囲ではオルガノポリシロキサンの概念によりポリマー、オリゴマーならびにダイマーのシロキサンも一緒に含まれるべきである。
【0027】
成分(A)中の基Rの割合は、そのつどSiC−結合した基の総数に対して、有利には5〜100%、特に有利には10〜60%、とりわけ15〜50%である。
【0028】
有利には本発明による成分(A)は式
3−fSi−O−[SiR−O−][SiRR−O]−SiR3−f (IV)
の、ほぼ線状のオルガノポリシロキサン[式中、
RおよびRは上記でこのために記載した意味を有し、fは同一であるか、もしくは異なっていてもよく、かつ0または1であり、xは0または整数であり、yは1以上の整数であり、ならびにx個の単位[SiR−O]およびy個の単位[SiRR−O]はブロックとして存在しているか、または有利にはランダムに分子中に分布していてもよい]である。
【0029】
式(IV)中に記載されていないが、これらのオルガノポリシロキサンは全てのシロキサン単位の合計に対して、10モル%までのその他のシロキサン単位、たとえば≡SiO1/2−、−SiO3/2−およびSiO4/2−単位を有していてもよい。
【0030】
そのつど式(IV)中の基RおよびRの合計に対して、基Rの有利には5モル%未満、特に1モル%未満が水素原子の意味を有する。
【0031】
xおよびyの合計がポリシロキサン(IV)の重合度ひいては粘度を決定する。xおよびyの合計は有利には2〜1000の範囲、特に有利には10〜200の範囲である。x/yの比は有利には0〜100の範囲、好ましくは0〜20の範囲、とりわけ0〜4の範囲である。
【0032】
本発明による成分(A)のための例は、
MeSi−O−[SiMe−O−]40−[SiMeCyP−O]36−SiMe
CyP−MeSi−O−[SiMe−O−]14−[SiMeCyP−O]17−SiMe−CyP、
MeSi−O−[SiMe−O−]40−[SiMeCyX−O]36−SiMe
MeSi−O−[SiMe−O−]86−[SiMeNB−O]18−SiMe
MeSi−O−[SiMe−O−]15−[SiMeNB−O]45−SiMe
NB−MeSi−O−[SiMe−O−]40−[SiMeNB−O]36−SiMe−NB、
MeSi−O−[SiMe−O−]20−[SiMeCyO−O]20−SiMe
MeSi−O−[SiMeHex−O−]40−[SiMeCyP−O]18−SiMe
MeSi−O−[SiMeOct−O−]75−[SiMeNB−O]25−SiMe
MeSi−O−[SiMeIOc−O−]45−[SiMeCyH−O]15−SiMe
MeSi−O−[SiMeIOc−O−]30−[SiMeDdP−O]30−SiMe
MeSi−O−[SiMeNeoH−O−]20−[SiMeDd−O]35−SiMe
MeSi−O−[SiMeHex−O−]10−[SiMeCyP−O]10−SiMe
MeSi−O−[SiMeNeoH−O−]10−[SiMeNB−O]10−SiMe
MeSi−O−[SiMeNeoH−O−]50−SiMe
MeSi−O−[SiMeIOc−O−]80−[SiMeNB−O]20−[SiMeH−O]−SiMeおよび
MeSi−O−[SiMeOct−O−]150−[SiMeNB−O]20−SiMe
であり、その際、Meはメチル基、CyPはシクロペンチル基、CyHはシクロヘキシル基、NBはノルボルニル基、Octはn−オクチル基、IOcはイソオクチル基、CyOはシクロオクチル基、NeoHはネオヘキシル基、Ddはドデシル基およびHexはn−ヘキシル基を表す。
【0033】
本発明による有機ケイ素化合物(A)は、そのつど、25℃で測定して、有利には10〜1000000mPas、特に有利には50〜50000mPas、とりわけ500〜5000mPasの粘度を有する。
【0034】
有機ケイ素化合物(A)の製造は、任意の、有機ケイ素化学において従来公知の方法により、たとえば相応するシランの共加水分解により、または有利には相応するSi−結合した水素を有する有機ケイ素化合物のヒドロシリル化反応により行うことができる。ヒドロシリル化の際に、Si−結合した水素を有する有機ケイ素化合物(1)を、脂肪族多重結合へのSi−結合した水素の付加(ヒドロシリル化)を促進する触媒(3)の存在下で、相応する脂肪族不飽和化合物(2)と反応させる。
【0035】
有利には本発明により使用される、Si−結合した水素を有する有機ケイ素化合物(1)は、式
(RO)SiO(4−a−b−c)/2 (V)
[式中、R、R、a、bおよびcはこのために上に記載した意味を有する]の単位を有するものである。
【0036】
本発明により使用することができる、脂肪族不飽和炭素−炭素−多重結合を有する化合物(2)のための例は、3,3−ジメチルブト−1−エン(ネオヘキセン)、2,4,4−トリメチルペント−1−エン(イソオクテン)、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ピネンおよびノルボルネンであってよい。
【0037】
化合物(2)を大過剰で使用する場合、または反応の実施により選択的な反応を達成する場合(たとえばゲル化を回避するため)、分枝鎖状および/または環式の脂肪族炭化水素基を有する有機ケイ素化合物を製造するために、二官能価オレフィン、たとえばビニルシクロヘキセン、リモネンまたはジシクロペンタジエンを使用することもできる。
【0038】
異なった化合物(2)からなる混合物もまた使用することができ、その際、分岐していない脂肪族もしくは芳香族のオレフィンを一緒に使用することができ、これを次いでたとえば上記の基Rへと変換する。
【0039】
このような、任意で使用可能なオレフィンのための例はエチレン、プロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン、スチレン、α−メチルスチレン、ドデセンおよびヘキサデセンである。
【0040】
成分(A)を製造するために使用することができるヒドロシリル化触媒(3)は、従来、ヒドロシリル化反応のために使用されていた全ての触媒であってよい。これは有利には白金族からの金属であるか、または白金族からの化合物もしくは錯体である。このような触媒(3)のための例は、担体、たとえば二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは活性炭上に存在していてよい金属の、および微粒子状の白金、白金の化合物または錯体、たとえば白金のハロゲン化物、たとえばPtCl、HPtCl*6HO、NaPtCl*4HO、白金−オレフィン−錯体、白金−アルコール−錯体、白金−アルコラート−錯体、白金−エーテル−錯体、白金−アルデヒド−錯体、白金−ケトン−錯体であり、HPtCl*6HOおよびシクロヘキサノンからなる反応生成物、白金−ビニル−シロキサン錯体、たとえば検出可能な無機結合したハロゲンを含有するか、もしくは含有しない白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラ−メチル−ジシロキサン錯体、ビス−(ガンマ−ピコリン)−白金ジクロリド、トリメチレンジピリジン白金ジクロリド、ジシクロペンタジエン白金ジクロリド、ジメチルスルホキシドエチレン白金−(II)−ジクロリド、シクロオクタジエン−白金ジクロリド、ノルボルナジエン−白金ジクロリド、γ−ピコリン−白金ジクロリド、シクロペンタジエン−白金ジクロリド、ならびに四塩化白金とオレフィンおよび第一アミンもしくは第二アミンまたは第一および第二アミンとの反応生成物、たとえば1−オクテン中に溶解した四塩化白金とs−ブチルアミンとの反応生成物またはアンモニウム−白金錯体を含む。
【0041】
触媒(3)は、そのつど元素の白金として計算し、かつ化合物(1)および化合物(2)の全質量に対して、有利には0.2〜200質量ppm(百万質量部あたりの質量部)の量で、特に有利には1〜50質量ppmの量で使用する。
【0042】
反応は有利には20〜150℃、特に有利には40〜100℃の温度で、および周囲の雰囲気の圧力で、つまり約900〜1100hPaで実施する。
【0043】
化合物(2)は比較的高い温度で重合する傾向がありうるので、第一の方法工程で有利にはラジカル防止剤、たとえば4−メトキシフェノール、フェノチアジン、2,6−ビス(t−ブチル)−4−メチルフェノール、ヒドロキノンまたはピロカテキンを併用することができる。ラジカル防止剤を使用する場合、これは化合物(1)および化合物(2)の全質量に対して有利には10〜500質量ppmの量である。
【0044】
化合物(1)と化合物(2)との反応の際に、不活性有機溶剤を併用することができる。不活性有機溶剤のための例はトルエン、キシレン、オクタン異性体、ヘプタン異性体、ブチルアセテート、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびシクロヘキサンである。溶剤は、所望の場合には、反応後に過剰の化合物(2)と一緒に蒸留することにより除去することができる。
【0045】
本発明による組成物は、そのつど成分(A)100質量部に対して、添加剤(B)を有利には0.1〜30質量部、特に有利には1〜15質量部の量で含有する。
【0046】
本発明により使用される添加剤(B)としてもっぱら成分(B1)、もっぱら成分(B2)または成分(B1)および(B2)からなる混合物であってもよく、この場合、混合物が有利である。
【0047】
成分(B1)は有利には粉末状の、好ましくは粉末状で疎水性の充填材である。
【0048】
有利には成分(B1)は20〜1000m/gのBET表面積、10μm未満の粒径および100μm未満の凝集体サイズを有する。
【0049】
成分(B1)のための例は、二酸化ケイ素(ケイ酸)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、金属石鹸、石英粉末、PTFE粉末、脂肪酸アミド、たとえばエチレンビスステアルアミドおよび微粒子状の疎水性ポリウレタンである。
【0050】
有利には成分(B1)として、20〜1000m/gのBET表面積、10μm未満の粒径および100μm未満の凝集体サイズを有する二酸化ケイ素(ケイ酸)、二酸化チタンまたは酸化アルミニウムを使用する。
【0051】
成分(B1)として特に有利であるのはケイ酸であり、特に50〜800m/gのBET表面積を有するケイ酸である。これらのケイ酸は熱分解法もしくは沈降法シリカであってもよい。成分(B1)として前処理したケイ酸、つまり市販の疎水性ケイ酸を使用することも、親水性のケイ酸を使用することもできる。
【0052】
本発明により使用することができる疎水性ケイ酸のための例は、HDK (R) H2000、ヘキサメチルジシラザンで処理され、140m/gのBET表面積を有する熱分解法シリカ(Wacker−Chemie社(ドイツ)から市販)およびポリジメチルシロキサンにより処理され、90m/gのBET表面積を有する沈降法シリカ(Sipernat(R) D10の名称でDegussa社から市販)である。
【0053】
成分(B1)として疎水性ケイ酸を使用すべき場合、所望の消泡剤調製物の効果のために有利であるならば、親水性ケイ酸を現場で疎水化することもできる。ケイ酸の疎水化のための方法は種々公知である。この場合、親水性ケイ酸の現場での疎水化はたとえば成分(A)中に、または(A)と(B2)および/または(C)とからなる混合物中に分散したケイ酸を100〜200℃の温度に数時間加熱することによって行うことができる。この場合、反応は触媒、たとえばKOH、および疎水化剤、たとえば短鎖のOH末端ポリジメチルシロキサン、シランまたはシラザンの添加により促進することができる。この処理は市販の疎水性ケイ酸を使用する場合にも可能であり、かつ効果の改善に寄与することができる。
【0054】
もう1つの可能性は現場で疎水化したケイ酸と、市販の疎水性ケイ酸との組合せの使用である。
【0055】
基Rのための例は水素原子および基RおよびRに関して記載した基である。
【0056】
有利にはRは1〜30の炭素原子を有する、場合により置換された炭化水素基であり、特に有利には1〜6の炭素原子を有する炭化水素基、特にメチル基である。
【0057】
基Rのための例は基Rに関して記載した基である。
【0058】
有利には基Rは水素原子であるか、または1〜4の炭素原子を有する炭化水素基であり、特に水素原子、メチル基またはエチル基である。
【0059】
有利にはdのための値は3または0である。
【0060】
本発明により場合により使用される成分(B2)は有利には樹脂中の単位の30%未満、有利には5%未満においてd+eの合計が2である式(II)の単位からなるシリコーン樹脂である。
【0061】
特に有利には成分(B2)はほぼRSiO1/2(M)−単位およびSiO4/2(Q)−単位からなり、Rが上記の意味を表すオルガノポリシロキサン樹脂である。これらの樹脂はMQ樹脂ともよばれる。Q−単位に対するM−単位のモル比は有利には0.5〜2.0の範囲、特に有利には0.6〜1.0の範囲である。このシリコーン樹脂はさらに遊離のヒドロキシル基またはアルコキシ基を10質量%まで含有していてよい。
【0062】
有利にはこれらのオルガノポリシロキサン樹脂(B2)は25℃で1000mPasより大の粘度を有するか、または固体である。ゲル透過クロマトグラフィーにより測定された、この樹脂の質量平均分子量(ポリスチレン標準に対する)は有利には200〜200000g/モル、特に1000〜20000g/モルである。
【0063】
成分(B2)は市販の製品であるか、またはケイ素化学において通例の方法によりたとえばParsonage, J. R.、Kendrick, D. A.(グリニッチ大学、ロンドン、材料およびポリマー化学グループ、UK SE18 6PF)、Spec. Publ.-R. Soc. Chem. 166、98〜106、1995年、US2676182またはEP−A927733に相応して製造することができる。
【0064】
本発明により使用される添加剤(B)が成分(B1)および(B2)からなる混合物である場合、該混合物中の(B2)に対する(B1)の質量比は有利には0.01〜50、特に有利には0.1〜7である。
【0065】
基Rのための例は基Rに関して記載した例である。
【0066】
有利には基Rは水素原子または1〜30の炭素原子を有する、場合により置換された、芳香族または線状の脂肪族炭化水素基であり、特に有利には1〜4の炭素原子を有する炭化水素基であり、特にメチル基である。
【0067】
基Rのための例は水素原子および基RおよびRに関して記載した基である。
【0068】
有利には基Rは水素原子であるか、または1〜30の炭素原子を有する、場合により置換された炭化水素基であり、特に有利には水素原子であるか、または1〜4の炭素原子を有する炭化水素基であり、特にメチル基またはエチル基である。
【0069】
gの値は有利には1、2または3である。
【0070】
hの値は有利には0または1である。
【0071】
場合により使用されるオルガノポリシロキサン(C)は有利に25℃で10〜1000000mm/sの粘度を有する。
【0072】
本発明により場合により使用される成分(C)のための例は、成分(A)に関して記載した例であり、その際、これらの有機ケイ素化合物はケイ素原子に直接結合した分枝鎖状および/または環式の基Rを有しておらず、たとえば25℃で100〜1000000mPasの粘度を有するポリジメチルシロキサンである。これらのポリジメチルシロキサンはたとえばRSiO3/2−単位またはSiO4/2−単位を組み込むことにより、全ての単位の最大で5%までが分枝鎖状であってよい。これらの分枝鎖状もしくは部分的に架橋したシロキサンはこの場合、粘弾性特性を有する。
【0073】
有利には場合により使用される成分(C)は、シラノール基および/またはアルコキシ基および/またはトリメチルシロキシ基を末端基として有していてもよい、式(III)の単位を有するほぼ線状のオルガノポリシロキサン、特に有利にはポリジメチルシロキサンであるか、またはポリエーテル基を有するシロキサンである。このようなポリエーテル変性されたポリシロキサンは公知であり、かつたとえばEP−A1076073に記載されている。
【0074】
特に有利には成分(C)は、Rがメチル基であり、かつRが少なくとも6の炭素原子を有する線状および/または分枝鎖状の炭化水素基を表し、hが0.005〜0.5の平均値であり、かつ(g+h)の合計が1.9〜2.1の平均値を有する一般式(III)の構成要素を有する有機ケイ素化合物である。このような生成物はたとえばアルカリ性触媒反応によって50〜50000mPasの粘度のシラノール末端のポリジメチルシロキサンおよび6より多くの炭素原子を有する脂肪族アルコール、たとえばイソトリデシルアルコール、n−オクタノール、ステアリルアルコール、4−エチル−ヘキサデカノールまたはエイコサノールを縮合することにより得られる。
【0075】
本発明による組成物が成分(C)を含有する場合、そのつど成分(A)の100質量部に対して有利には1〜900質量部、特に有利には2〜100質量部、特に2〜10質量部の量である。
【0076】
成分(C)は市販の製品であるか、またはケイ素化学において通例の方法により製造することができる。
【0077】
成分(A)、(B)および場合により(C)以外に、本発明による組成物は、従来、消泡剤組成物中で使用されている全てのその他の物質、たとえば水不溶性の有機化合物(D)を含有していてよい。
【0078】
「水不溶性」の概念は本発明の意味では水中25℃および圧力1013.25hPaで最大2質量%の溶解性であると理解すべきである。
【0079】
場合により使用される成分(D)は有利には周囲の雰囲気の圧力、つまり900〜1100hPaで100℃より高い沸点を有する水不溶性の有機化合物、特に鉱油、天然油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、オキソアルコール合成からの残留物、低分子の合成カルボン酸のエステル、脂肪酸エステル、たとえばオクチルステアレート、ドデシルパルミテート、脂肪アルコール、低分子アルコールのエーテル、フタレート、リン酸のエステルおよびワックスから選択されるものである。
【0080】
本発明による組成物は水不溶性の有機化合物(D)を、そのつど成分(A)、(B)および場合により(C)の全質量の100質量部に対して有利には0〜1000質量部、特に有利には0〜100質量部の量で含有する。
【0081】
本発明による方法において使用される成分はそのつどこのような成分の1種であっても、それぞれの成分の少なくとも2種類からなる混合物であってもよい。
【0082】
有利には本発明による組成物は、
(A)式(IV)の有機ケイ素化合物少なくとも1種、
(B)次のものから選択される添加剤少なくとも1種、
(B1)充填材粒子および/または
(B2)式(II)の単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂
場合により
(C)式(III)の単位を有する有機ケイ素化合物および
場合により
(D)水不溶性の有機化合物
を含有する。
【0083】
特に有利には本発明による組成物は、
(A)式(IV)の有機ケイ素化合物100質量部、
(B)次のものから選択される添加剤0.1〜30質量部、
(B1)充填材粒子および/または
(B2)式(II)の単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂
場合により
(C)式(III)の単位を有する有機ケイ素化合物および
場合により
(D)水不溶性の有機化合物
からなるものである。
【0084】
本発明による組成物は有利には粘性の清澄ないし不透明の、無色ないし帯褐色の液体である。
【0085】
本発明による組成物はそのつど25℃で有利には10〜2000000mPas、特に2000〜50000mPasの粘度を有する。
【0086】
本発明による組成物は溶液、分散液または粉末であってよい。
【0087】
本発明による組成物の製造は公知の方法により、たとえばコロイドミル、溶解機またはローター・ステーター・ホモジナイザー中で高い剪断力を適用しながら全ての成分を混合することにより行うことができる。その際、混合工程は、たとえば高分散性充填材中に含有されている空気の混合を防止するために、減圧下で行うことができる。引き続き必要な場合には現場で充填材の疎水化を行うことができる。
【0088】
本発明による組成物がエマルションである場合、シリコーンエマルションを製造するために当業者に公知の全ての乳化剤、たとえばアニオン性、カチオン性または非イオノゲン乳化剤を使用することができる。有利には乳化剤混合物を使用し、その際、少なくとも1の非イオノゲン乳化剤、たとえばソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化されたソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化された脂肪酸、10〜20の炭素原子を有するエトキシル化された線状もしくは分枝鎖状のアルコールおよび/またはグリセリンエステルが含有されているとよい。さらに増粘剤として公知の化合物、たとえばポリアクリル酸、ポリアクリレート、セルロースエーテル、たとえばカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、天然のゴム、たとえばキサンタンゴムおよびポリウレタンならびに保存剤およびその他の通例の、かつ当業者に公知の添加剤を添加することができる。
【0089】
本発明によるエマルションの連続相は有利には水である。しかし本発明による組成物はエマルションの形で製造することもでき、その際、連続相は成分(A)、(B)および場合により(C)により形成されるか、または成分(D)により形成される。この場合、複エマルションであってよい。シリコーンエマルションの製造方法は公知である。通常、製造はすべての成分を単純に撹拌し、かつ場合により引き続きジェット分散装置、ローター・ステーター・ホモジナイザー、コロイドミルまたは高圧ホモジナイザーより均質化することにより行う。
【0090】
本発明による組成物がエマルションである場合、成分(A)〜(D)を5〜50質量%、乳化剤および増粘剤を1〜20質量%および水を30〜94質量%含有する水中油型のエマルションは有利である。
【0091】
本発明による組成物は易流動性の粉末として調製されていてもよい。これはたとえば粉末形の洗剤中での適用の場合に有利である。この粉末の製造は成分(A)、(B)、場合により(C)および場合により(D)の混合物から出発して当業者に公知の添加剤の使用下に当業者に公知の方法、たとえば噴霧乾燥または成長造粒により行う。
【0092】
本発明による粉末は成分(A)〜(D)を有利には2〜20質量%含有する。担体としてたとえばゼオライト、硫酸ナトリウム、セルロース誘導体、尿素および糖を使用することができる。本発明による粉末のその他の成分はたとえばワックスまたは有機ポリマー、たとえばEP−A887097およびEP−A1060778に記載されているものであってよい。
【0093】
本発明のもう1つの対象は、本発明による組成物を含有する洗剤および洗浄剤である。
【0094】
本発明による組成物は、有機ケイ素化合物をベースとする組成物を従来使用していたあらゆる分野で使用することができる。特に該組成物を消泡剤として使用することができる。
【0095】
本発明のもう1つの対象は、媒体の消泡および/または泡防止のための方法であり、この方法は本発明による組成物を媒体に添加することを特徴とする。
【0096】
本発明による組成物の、泡立つ媒体への添加は、直接行うか、適切な溶剤、たとえばトルエン、キシレン、メチルエチルケトンまたはt−ブタノールを用いて希釈するか、粉末として、またはエマルションとして行うことができる。所望の消泡剤作用を達成するために必要な量は可変的であり、かつたとえば媒体の種類、温度および発生する乱流に応じて調整する。
【0097】
有利には本発明による組成物は0.1質量ppm〜1質量%の量で、特に1〜100質量ppmの量で、泡立つ媒体に添加する。
【0098】
本発明による方法は有利には−10〜+150℃の温度で、特に有利には5〜100℃で、および周囲の雰囲気の圧力、つまり約900〜1100hPaで実施する。本発明による方法はこれより高いか、または低い圧力で、たとえば約3000〜4000hPaまたは1〜10hPaで実施することもできる。
【0099】
障害となる泡を防止するか、または分解すべきあらゆる場所で本発明による消泡剤組成物を使用するか、または本発明による方法を実施することができる。これはタール蒸留または石油加工の際に該当するようなたとえば非水性の媒体中で、ならびに水性媒体中である。水性の媒体中、たとえば水性の界面活性剤系中で泡を克服するための、本発明による消泡剤組成物または本発明による方法、たとえば洗剤および洗浄剤中での適用、廃水処理装置中での泡の克服は、テキスタイル染色法、天然ガスのスクラビング、ポリマー分散液において、またはセルロース製造の際に生じる水性媒体の消泡のために特に適切である。
【0100】
本発明による組成物は、消泡剤として容易に取り扱うことができ、かつ異なった媒体中、少ない添加量で長期間持続する高い効果により優れている。このことは経済的にも生態学的にも極めて有利である。
【0101】
本発明による組成物は、たとえば塗料または接着剤として使用すべき媒体中でも使用することができるという利点を有する。
【0102】
本発明による方法は、実施において容易であり、かつ極めて経済的であるという利点を有する。
【実施例】
【0103】
以下の実施例において、その他の指示がない限り、全ての部およびパーセントの記載は質量に対するものである。その他の指示がない限り、以下の例は周囲の雰囲気の圧力で、つまり約1000hPa、および室温、つまり約20℃または反応体を室温で添加する際に付加的な加熱または冷却を行わずに調整される温度で実施する。実施例中に記載されている全ての粘度の記載は25℃の温度に関するものである。
【0104】
以下で略号Meはメチル基、CyPはシクロペンチル、NBはノルボルニル、Octはn−オクチル、IOcはイソオクチル、NeOHはネオヘキシル、Ddはドデシル、かつHexはn−ヘキシルと同一に使用する。
【0105】
消泡剤効果の試験
1.消泡指数AKZ
DE−A2551260に相応する装置で、試験すべき消泡剤10mg(10倍量のメチルエチルケトン中に溶解)を含有するアルキルスルホン酸ナトリウム4質量%の水溶液200mlを反転する2つの撹拌機により1分間、泡立てる。引き続き泡の分解を記録する。時間に対する泡立ち度(Schaumhoehe)をプロットした面積から、消泡指数を算出する。この数値が低いほど、消泡剤は効果的である。
【0106】
2.撹拌試験
消泡剤を含有していない粉末洗剤1質量%を含有する溶液300mlを撹拌機を用いて1000回転/分の速度で5分間泡立てた。引き続きメチルエチルケトン中の消泡剤10質量%の溶液100μlを添加し、かつ撹拌をさらに25分間続行した。全時間の間、泡立ち度を記録した。
【0107】
効果の尺度として、2〜3分後の消泡剤を使用しない泡立ち度に対する平均的な泡立ち度を算出した。この値が低いほど、消泡剤は効果的である。
【0108】
3.洗濯機中での試験
消泡剤を含有しない粉末洗剤100gに、消泡剤0.1gを添加した。次いで粉末洗剤を清浄な木綿の洗濯物3500gと一緒にドラム形洗濯機(Miele Novotronic W918、ファジー回路なしのタイプ)中に入れた。引き続き洗濯プログラムを開始し、かつ泡立ち度を55分間の時間にわたって記録する。全時間にわたって確認した泡評価(0=泡を測定できず、から6=過剰の泡立ち)から、平均的な泡評価を決定する。この評価が低いほど、消泡剤の効果は全時間にわたって効果的である。
【0109】
有機ケイ素化合物A1〜A6およびVA1およびVA2の製造
A1:式
MeSi−O−[MeHSi−O−]40[SiMe−O]40−SiMe(式中、個々の単位はランダムに分子中に分布していてよい)のポリシロキサン132gをトルエン9100gおよび白金触媒(白金1質量%の含有率を有する、カールステッド(Karstedt)による白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−錯体)1gの存在下に60〜80℃の温度でノルボルネン100gと反応させる。反応混合物の揮発性成分を分離した後で、粘度18800mPasを有する清澄な油状物215gが得られた。29Si−NMR−分析によりこの油状物は次の構造を有する:
MeSi−O−[MeHSi−O−]−[MeNBSi−O−]38[SiMe−O]40−SiMe
【0110】
A2:式
MeSi−O−[MeHSi−O−]60−SiMeのポリシロキサン65gを白金触媒(白金1質量%の含有率を有する、カールステッドによる白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−錯体)0.5gの存在下に60〜80℃の温度でまずシクロペンテン22gと、および引き続きn−オクテン112gと反応させる。反応混合物の揮発性成分を濾過および分離した後で、粘度4250mPasを有する清澄な油状物140gが得られる。29Si−NMR−分析によりこの油状物は次の構造を有する:
MeSi−O−[SiMeCyP−O−]18[SiMeOct−O−]42−SiMe(式中、個々の単位はランダムに分子中に分布していてよい)。
【0111】
類似の方法により次の有機ケイ素化合物を製造した:
A3:MeSi−O−[SiMeDd−O−]30[SiMeNeoH−O]30−SiMe(粘度737mPas)、この場合、個々の単位はランダムに分子中に分布していてよい)、
A4:CypMeSi−O−[SiMe−O−]14[SiMeCyp−O]17−SiMeCyP(粘度570mPas)、この場合、個々の単位はランダムに分子中に分布していてよい)、
A5:MeSi−O−[SiMeNB−O−]12[SiMeIOc−O]45[SiMeHex−O]−SiMe(粘度18900mPas)、この場合、個々の単位はランダムに分子中に分布していてよい)、
A6:MeSi−O−[SiMeNB−O−][SiMeOct−O]16−SiMe(粘度407mPas)、この場合、個々の単位はランダムに分子中に分布していてよい)、
VA1:MeSi−O−[SiMe−O−]38[SiMeOct−O]40−SiMe(粘度464mPas)、この場合、個々の単位はランダムに分子中に分布していてよい)、
VA2:MeSi−O−[SiMeDd−O−]30[SiMeHex−O]30−SiMe(粘度415mPas)、この場合、個々の単位はランダムに分子中に分布していてよい)。
【0112】
例1〜6
次の成分を使用した:
B11:BET表面積400m/gを有する熱分解法シリカ、名称HDK (R) T40でWacker−Chemie社から市販。
【0113】
B12:BET表面積90m/gを有し、かつ平均粒径5μmを有する、ポリジメチルシロキサンにより前処理したシリカ(名称SIPERNAT (R) D10でDegussa社(ドイツ)から市販)。
【0114】
B21:次の単位からなる、室温で固体のシリコーン樹脂(29Si−NMRおよびIR−分析による):CHSiO1/2− 40モル%、SiO4/2− 50モル%、COSiO3/2− 8モル%およびHO−SiO3/2− 2モル%。この樹脂は質量平均分子量7900g/モルを有していた(ポリスチレン標準に対する)。
【0115】
C1:式CH(CH19−O−のα,ω−末端アルコキシ基を有し、かつ粘度100mPasを有する、するポリジメチルシロキサン。
【0116】
第1表に記載されている成分を溶解機により混合し、かつKOH1500ppm(メタノール中20%の溶液として)の存在下に150℃で4時間加熱し、かつ冷却後に再度、溶解機で均質化した。
【0117】
【表1】

【0118】
全ての実施例で、次の粘度を有する粘性の、不透明な混合物が得られる:
例1:105000mPas、
例2:50400mPas、
例3:6400mPas、
例4:3200mPas、
例5:72000mPas、
例6:2160mPas。
【0119】
こうして得られた組成物を今度は撹拌試験および洗濯機中での試験の消泡指数AKZに関して試験した。この試験の結果は第3表にまとめられている。
【0120】
比較例:
V1:オクチルドデカノールと、粘度40mPasを有するシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサンから製造された、粘度180mPasを有する縮合生成物2.5部およびトリメチルシロキシ基40モル%とSiO4/2−基60モル%とからなるシリコーン樹脂の50%のトルエン溶液5部を混合し、かつ引き続き揮発性成分を除去することにより消泡剤ベースを製造する。
【0121】
トリメチルシロキシ末端基を有し、25℃で粘度1000mPasを有するポリジメチルシロキサン(名称Siliconoel AK 5000でWacker−Chemie社(ドイツ)から市販)89.3質量部、上記の消泡剤ベース5質量部、BET表面積300m/gを有する親水性の熱分解法シリカ(名称HDK (R) T30でWacker−Chemie社(ドイツ)から市販)5質量部およびメタノール性KOH0.7質量部からなる混合物を150℃で2時間加熱した。粘度25600mPasを有する消泡剤が得られた。
【0122】
V2:トリメチルシロキシ末端基を有し、25℃で粘度1000mPasを有するポリジメチルシロキサン(名称Siliconoel AK 1000でWacker−Chemie社(ドイツ)から市販)378g、シラノール末端基を有し、25℃で粘度10000mPasを有するポリジメチルシロキサン(名称Polymer FD 10でWacker−Chemie社(ドイツ)から市販)180gおよびエチルシリケート(名称SILIKAT TES 40でWacker−Chemie社(ドイツ)から市販)18gをKOHの存在下に140℃に加熱することにより分枝鎖状のポリオルガノシロキサンを製造する。引き続きBET表面積200m/gを有する親水性の熱分解法シリカ(名称HDK (R) N20でWacker−Chemie社(ドイツ)から市販)30gおよびシラノール末端基を有し、粘度40mPasを有するポリジメチルシロキサン30gを添加し、かつ混合物をさらに180℃で4時間加熱し、かつ50hPaで揮発性成分を除去する。粘度68640mPasを有する粘性で無色の消泡剤調製物が得られた。
【0123】
V3およびV4は例1〜6と同様に製造し、その際、原料および使用量は第2表から読みとることができる。
【0124】
【表2】

【0125】
比較例では次の粘度を有する混合物が得られる:
比較例V3:7200mPas、
比較例V4:2600mPas。
【0126】
こうして得られた組成物を今度は、撹拌試験および洗濯機中での試験の消泡指数AKZに関して試験した。この試験の結果は第3表にまとめられている。
【0127】
【表3】

【0128】
比較試験V1〜V4の場合、試験の経過は洗濯器中で洗濯浴のオーバーフローを生じた。例1〜6による消泡剤は撹拌試験の際の長時間の効果において、および洗濯機中での試験において優れた結果を示す。
【0129】
例7
MeSi−O−[SiMeNB−O−][SiMeOct−O]16−SiMe(式中、個々の単位はランダムに分子中に分布していてよい)90部、BET表面積400m/gを有する熱分解法シリカ(名称HDK (R) T40でWacker−Chemie社から市販)5部および次の単位(29Si−NMRおよびIR分析による):CHSiO1/2− 40モル%、SiO4/2− 50モル%、COSiO3/2− 8モル%およびHOSiO3/2− 2モル%、からなり、質量平均分子量7900g/モルを有する室温で固体のシリコーン樹脂5部を、KOH1500ppmの存在下に150℃で4時間加熱する。
【0130】
消泡剤調製物100部が得られる。これを60℃でソルビタンモノステアレート(名称Span 60でUniqema社から市販)30部およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(名称Tween 60でUniqema社から市販)20部を混合し、かつ段階的に水500部により希釈する。この混合物にポリアクリル酸(名称Carbopol 934でBF Goodrich社から市販)2部を添加し、混合し、かつさらに水345部およびイソチアゾリンベースの保存剤(名称Acticide MVでThor−Chemie Speyer社から市販)3部を添加する。引き続きエマルションを100バールで高圧ホモジナイザーにより均質化し、かつ10%のNaOHにより6〜7のpH値に調節する。
【0131】
得られた消泡剤エマルションは、水性のポリマー分散液を消泡するために著しく好適であった。このポリマー分散液は分散顔料における適用の際にレベリングの障害を有していない。
【0132】
例8
MeSi−O−[MeHSi−O−]40[SiMe−O]40−SiMe(式中、個々の単位はランダムに分子中に分布していてよい)90部、BET表面積400m/gを有する熱分解法シリカ(名称HDK (R) T40でWacker−Chemie社から市販)5部および次の単位(29Si−NMRおよびIR分析による):CHSiO1/2− 40モル%、SiO4/2− 50モル%、COSiO3/2− 8モル%およびHOSiO3/2− 2モル%、からなり、質量平均分子量7900g/モルを有する、室温で固体のシリコーン樹脂5部を、KOH1500ppmの存在下に150℃で4時間加熱する。
【0133】
アクリル酸、メタクリル酸ステアレートおよびペンタエリトリトールジアリルエーテル(100:2:0.3の比で)からなる高分子コポリマーの2%溶液35ml(中和される場合、粘度17500mm/sを有する)をビーカーに装入し、かつ櫂型撹拌機で強力に撹拌しながら、10分間の撹拌後、ポリマー溶液中の消泡剤調製物のエマルションが存在するように、上記の消泡剤調製物10gをゆっくり添加した。撹拌を継続しながらこのエマルションに軽ソーダ(leichte Soda)88.5gを添加し、かつ引き続き混合を継続しながら真空下で水を除去した。その後、BET表面積200m/gを有する親水性シリカ(名称HDK (R) N20でWacker−Chemie社から市販)0.5gを添加混合した。白色で流動性の粉末が得られた。該粉末を粉末状の洗剤中で、または粉末状の植物保護コンセントレート中で泡の防止のために首尾よく使用した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式
(RO)SiO(4−a−b−c)/2 (I)
の単位を有する、少なくとも1の有機ケイ素化合物[式中、
Rは同一であるか、もしくは異なっており、かつ水素原子を表すか、置換されているか、もしくは置換されていない一価のSiC−結合した芳香族もしくは線状の脂肪族炭化水素基を表し、
は同一であるか、もしくは異なっており、かつ水素原子を表すか、または置換されているか、もしくは置換されていない一価の炭化水素基を表し、
は同一であるか、もしくは異なっており、かつ少なくとも3の炭素原子を有する、置換されているか、もしくは置換されていない一価のSiC−結合した脂肪族の環式もしくは脂肪族の分枝鎖状炭化水素基を表し、
aは0、1、2または3であり、
bは0、1、2または3であり、
cは0、1または2であるが、ただしその際、a+b+cの合計は3以下であり、有機ケイ素化合物は、cが0以外であり、かつ有機ケイ素化合物中の式(I)の全ての単位の少なくとも50%においてa+b+cの合計が2である式(I)の単位を少なくとも1つ有する]、
(B)次のものから選択される少なくとも1の添加剤
(B1)充填材粒子および/または
(B2)式
(RO)SiO(4−d−e)/2 (II)
の単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂[式中、
は同一であるか、もしくは異なっており、かつ水素原子を表すか、または置換されているか、もしくは置換されていない一価のSiC−結合した炭化水素基を表し、
は同一であるか、もしくは異なっており、かつ水素原子を表すか、または置換されているか、もしくは置換されていない一価の炭化水素基を表し、
dは0、1、2または3であり、かつ
eは0、1、2または3であるが、ただしその際、d+eの合計は3以下であり、かつオルガノポリシロキサン樹脂中の式(II)の全ての単位の50%未満においてd+eの合計は2である]
および場合により
(C)式
(RO)SiO(4−g−h)/2 (III)
の単位を有する有機ケイ素化合物[式中、
は同一であるか、もしくは異なっており、かつ水素原子を表すか、置換されているか、もしくは置換されていない一価のSiC−結合した芳香族もしくは線状の脂肪族炭化水素基を表し、
は同一であるか、もしくは異なっており、かつ水素原子を表すか、または置換されているか、もしくは置換されていない一価の炭化水素基を表し、
gは0、1、2または3であり、かつ
hは0、1、2または3であるが、ただしその際、g+hの合計は3以下であり、かつ有機ケイ素化合物中の式(III)の全ての単位の少なくとも50%においてg+hの合計は2である]
を含有する組成物。
【請求項2】
が脂環式炭化水素基である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
成分(A)中の基Rの割合が、SiC−結合した基の総数に対して5〜100%である、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
成分(A)が式
3−fSi−O−[SiR−O−][SiRR−O]−SiR3−f (IV)
のほぼ線状のオルガノポリシロキサン[式中、
RおよびRは請求項1に記載した意味を有し、fは同一であるか、もしくは異なっており、かつ0または1であり、xは0または整数であり、yは1以上の整数であり、ならびにxの単位[SiR−O]およびyの単位[SiRR−O]はブロックとして存在しているか、またはランダムに分子中に分布していてもよい]である、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
成分(B1)が粉末状の充填材である、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
成分(B2)が式(II)の単位からなるシリコーン樹脂であり、その際、樹脂中の該単位の30%未満においてd+eの合計が2である、請求項1から5までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
組成物が、
(A)少なくとも1の式(IV)の有機ケイ素化合物、
(B)次のものから選択される少なくとも1の添加剤
(B1)充填材粒子および/または
(B2)式(II)の単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂
場合により
(C)式(III)の単位を含有する有機ケイ素化合物および
場合により
(D)水不溶性の有機化合物
を含有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の組成物を含有する洗剤および洗浄剤。
【請求項9】
媒体の消泡および/または泡防止のための方法において、請求項1から7までのいずれか1項記載の組成物を媒体に添加することを特徴とする、媒体の消泡および/または泡防止のための方法。
【請求項10】
起泡する媒体に組成物を0.1質量ppm〜1質量%の量で添加する、請求項9記載の方法。

【公開番号】特開2006−37104(P2006−37104A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213193(P2005−213193)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(390008969)ワツカー−ケミー ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker−Chemie GmbH
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, BRD
【Fターム(参考)】