説明

消泡剤組成物

【課題】
持続消泡性に優れる消泡剤組成物を提供することである。
【解決手段】
両親媒性粒子(a)及び油性成分(b)を含む消泡剤組成物であって、両親媒性粒子(a)が、シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子と、疎水性微粒子とからなる二次凝集粒子からなり、二次凝集粒子の表面が、親水性表面と疎水性表面とに二分割されていることを特徴とする消泡剤組成物を用いる。両親媒性粒子(a)及び油性成分(b)の重量に基づいて、両親媒性粒子(a)の含有量が0.1〜15重量%、油性成分(b)の含有量が85〜99.9重量%であることが好ましい。さらに水(c)を含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消泡剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、優れた保存安定性を有する消泡剤組成物として、炭素数12〜30の高級アルコールを含む油相成分と、水難溶性の親水性無機微粒子とを含有する水中油型エマルジョン組成物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−272162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の消泡剤組成物は、発泡性液体である被添加液中に添加した後の保存安定性が不足し、消泡剤組成物と被添加液との混合物を長期間保管した後の消泡性(持続消泡性)が十分でないという問題がある。
すなわち、本発明の目的は、持続消泡性に優れる消泡剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の消泡剤組成物の特徴は、両親媒性粒子(a)及び油性成分(b)を含む消泡剤組成物であって、両親媒性粒子(a)が、シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子と、疎水性微粒子とからなる二次凝集粒子からなり、二次凝集粒子の表面が、親水性表面と疎水性表面とに二分割されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の消泡剤組成物は、被添加液中での保存安定性及び持続消泡性に優れ、消泡剤組成物と被添加液との混合物を長期間保管した後でも優れた消泡性を発揮できる。したがって、本発明の消泡剤組成物は、紙パルプ工業、食品工業、繊維工業、塗料工業、インク工業、接着剤工業、石油工業並びにラテックス製造工程及び排水処理工程用等の消泡剤組成物として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子としては、シリカ、アルミナ又はアルミナシリケートで構成された微粒子が含まれる。
【0008】
シリカとしては、合成シリカ(非晶質合成シリカ及び結晶性合成シリカ(人工水晶及び人工石英等))、天然シリカ(結晶性シリカ(石英、珪砂及び珪石等)及び非晶質シリカ(珪藻土及び酸性白土等))等が含まれ、非晶質合成シリカとしては、沈殿法シリカ、ゲル法シリカ、熱分解法シリカ及び溶融シリカが含まれる。
【0009】
沈殿法シリカは、アルカリ性環境下にて珪酸ソーダを酸で中和し、生じた析出物をろ過、乾燥することによって得られるシリカである。ゲル法シリカは、酸性環境下にて珪酸ソーダを酸で中和し、生じた析出物をろ過、乾燥することによって得られるシリカである。熱分解法シリカは、四塩化珪素等の珪素化合物を酸水素炎中で燃焼させて得られるシリカである。溶融シリカは、シリカ粉末を火炎中で溶融・球状化して得られるシリカである。
【0010】
アルミナとしては、結晶性アルミナ(γ−アルミナ、δ−アルミナ、η−アルミナ、θ−アルミナ、α−アルミナ及びこれら結晶性アルミナの混合体)及び非晶質アルミナが含まれる。これらの結晶性アルミナの混合体としては、公知の方法で得たアルミナ(火炎燃焼法アルミナ及び焼成法アルミナ等)が含まれ、異なる結晶系を有する結晶性アルミナは焼成アルミナ製造時の焼成温度を変更することで得ることができる。
【0011】
火炎燃焼法アルミナは、四塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物を酸水素炎中で燃焼することによって得られるアルミナである。焼成法アルミナは、アルミニウムアルコキシドの加水分解物を焼成することによって得られるアルミナ及び水酸化アルミニウムを焼成することによって得られるアルミナである。
【0012】
アルミナシリケートとしては、アルミニウムアルコキシドとケイ素アルコキシドとによる加水分解法により合成された複合体微粒子が含まれる。
【0013】
これらのうち、非晶質合成シリカ{沈殿法シリカ、ゲル法シリカ、熱分解法シリカ及び溶融固体法シリカ等}及び火炎燃焼法アルミナが好ましく、さらに好ましくは非晶質合成シリカ、特に好ましくは沈殿法シリカ、ゲル法シリカ及び熱分解法シリカ、最も好ましくは沈殿法シリカである。
【0014】
親水性微粒子とは、微粒子表面が親水性(蒸留水に対して濡れる性質)を有する微粒子である。微粒子が親水性を有することは、微粒子と25±3℃の蒸留水とを混合した場合に微粒子が容易に水中に分散することで確認できる。
【0015】
シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子は、市場から容易に入手でき、以下に、商品名を例示する。
【0016】
<沈殿法シリカ>
Nipsilシリーズ{東ソー・シリカ株式会社、「Nipsil」は東ソー・シリカ株式会社の登録商標である。}、Sipernatシリーズ{エボニック デグサ ジャパン株式会社、「Sipernat」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。}、Carplexシリーズ{DSL.ジャパン株式会社、「Carplex」はDSL.ジャパン株式会社の登録商標である。}、FINESILシリーズ{株式会社トクヤマ、「FINESIL」は株式会社トクヤマの登録商標である。}、TOKUSIL{株式会社トクヤマ、「TOKUSIL」は株式会社トクヤマの登録商標である。}、Zeosil{ローディア社、「Zeosil」はロディア シミ の登録商標である。}、MIZUKASILシリーズ{水澤化学工業株式会社、「MIZUKASIL」は水沢化学工業株式会社の登録商標である。}等。
【0017】
<ゲル法シリカ>
Carplexシリーズ、SYLYSIAシリーズ{富士シリシア株式会社、「SYLYSIA」は有限会社ワイ・ケイ・エフ の登録商標である。}、Nipgelシリーズ{東ソー・シリカ株式会社、「Nipgel」は東ソー・シリカ株式会社の登録商標である。}、MIZUKASILシリーズ{水澤化学工業株式会社、「MIZUKASIL」は水沢化学工業株式会社の登録商標である。}等。
【0018】
<熱分解法シリカ>
Aerosilシリーズ{日本アエロジル株式会社及びエボニック デグサ社、「Aerosil」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。}、Reolosilシリーズ{株式会社トクヤマ、「Reorosil」は株式会社トクヤマの登録商標である。}、Cab−O−Silシリーズ{キャボット社、「Cab−O−Sil」はキャボットコーポレーションの登録商標である。}等。
【0019】
<溶融法シリカ>
Admafineシリーズ{アドマテックス社、「Admafine」はトヨタ自動車株式会社の登録商標である。}、Fuselexシリーズ{株式会社龍森}、デンカ溶融シリカシリーズ{電気化学工業株式会社}等。
【0020】
<結晶性合成シリカ>
CRYSTALITEシリーズ{株式会社龍森、「CRYSTALITE」は株式会社龍森の登録商標である。}、Imsilシリーズ{UNIMIN社、「Imsil」はユニミン スペシャルティ ミネラルズ インコーポレーテッドの登録商標である。 }等。
【0021】
<天然シリカ>
ミズカエースシリーズ{水沢化学工業株式会社}等。
【0022】
<火炎燃焼法アルミナ>
Aerosil Alシリーズ{日本アエロジル株式会社及びエボニック デグサ社、「Aerosil」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。}、SpectrAlシリーズ{キャボット社}等。
【0023】
<焼成法アルミナ>
高純度アルミナAKPシリーズ{住友化学株式会社}、アルミナAシリーズ{日本軽金属株式会社}等。
【0024】
親水性微粒子としては、シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子以外に、公知の親水性微粒子が使用でき、たとえば、親水性樹脂微粒子(ポリアクリルアミド、キトサン又はアルギン酸塩からなる微粒子等)、シリカ及びアルミナ以外の金属酸化物微粒子(チタニア又はジルコニアからなる微粒子等)、金属水酸化物微粒子(水酸化マグネシウム又は水酸化カルシウムからなる微粒子等)、炭酸塩微粒子(炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウムからなる微粒子等)、層状鉱物微粒子{カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト及びサボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライト、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト又はケニヤアイトからなる微粒子等)}及び疎水性微粒子を親水化した微粒子(疎水性微粒子を親水性化合物(親水性微粒子及び親水性樹脂等)で表面改質した微粒子、酸化剤で疎水性微粒子表面を酸化処理した微粒子)等も用いることができる。
【0025】
疎水性微粒子を親水化した微粒子を調製するための疎水性微粒子としては、後記の疎水性微粒子のうち、親水性微粒子を疎水化した微粒子以外の疎水性微粒子が含まれる。
【0026】
疎水性微粒子の表面改質に用いる親水性化合物のうち、親水性微粒子としては、親水性樹脂微粒子、金属酸化物微粒子、金属水酸化物微粒子、炭酸塩微粒子及び層状鉱物微粒子等が挙げられる。また、疎水性微粒子の表面改質に用いる親水性化合物のうち、親水性樹脂としては、ポリウレタン、ナイロン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリカプロラクトン、乳酸重合体、ポリ(メタ)アクリル酸及びポリアクリルアミド等が挙げられる。また、酸化剤としては、次亜塩素酸塩及び過酸化水素等が挙げられる。
【0027】
疎水性微粒子を親水化する方法は、以下の公知の方法で行うことができる。
<親水化方法1>疎水性微粒子と親水性微粒子とを流動層容器(ピンミル等)で同時に混合して疎水性微粒子表面に親水性微粒子を付着させる乾式コーティング法。
【0028】
<親水化方法2>流動層容器中で疎水性微粒子を撹拌しながら親水性樹脂を溶解した水性溶液(水溶液又は水と低分子アルコール等との溶液)を噴霧した後、乾燥させて表面を親水化する湿式コーティング法。
【0029】
<親水化方法3>シリカやアルミナ等の金属酸化物微粒子を用いて疎水性微粒子の表面に金属酸化物被膜を物理蒸着することにより表面を親水化する方法。
【0030】
<親水化方法4>疎水性微粒子の表面を次亜塩素酸塩等の酸化剤を用いて酸化する方法。
【0031】
親水性化合物を用いて親水化する場合、親水性化合物の使用量(重量%)としては、疎水性微粒子の重量に基づいて、2〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50、特に好ましくは10〜30である。この範囲にあると、消泡剤組成物の持続消泡性がさらに良好となる。これは、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となることにより、消泡剤組成物の保存安定性がさらに良好となるためと考えられる。
【0032】
親水性微粒子のBET法による比表面積(m/g)は、50〜800が好ましく、さらに好ましくは100〜500、特に好ましくは120〜400である。この範囲であると持続消泡性がさらに良好となる。
なお、比表面積は、JIS R1626−1996(一点法)に準拠して測定される値である{測定試料:50mg(200℃で15分間加熱処理したサンプル)、吸着量の測定方法:定溶法、吸着質:混合ガス(N70体積%、He30体積%)、測定平衡相対圧:0.3、装置:たとえば、大倉理研社製、全自動粉体表面測定装置 AMS−8000}。
【0033】
疎水性微粒子とは、微粒子表面が親水性を持たない微粒子である。微粒子が親水性を持たないことは、微粒子と25±3℃の蒸留水とを混合した場合に微粒子が水中に分散することができず、微粒子が水面に浮かぶことで確認できる。
【0034】
疎水性微粒子としては、公知の疎水性微粒子が含まれ、カーボンブラック、疎水性有機微粒子(アマイドワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルエステル、架橋シリコーン樹脂又はフッ素樹脂からなる微粒子等)、親水性微粒子を疎水化した微粒子(親水性微粒子を親油性化合物又は疎水性微粒子で表面改質をした微粒子)等が挙げられる。
これらのうち、消泡剤組成物の持続消泡性等の観点から、親水性微粒子を疎水化した微粒子が好ましい。
【0035】
親水性微粒子を疎水化するのに用いる親油性化合物としては、ハロシラン、アルコキシシラン、炭素数4〜28の脂肪酸、炭素数4〜36の脂肪族アルコール、炭素数12〜22の脂肪族アミン、炭素数24〜38の脂肪酸アミド及びシリコーン化合物等が含まれる。
【0036】
ハロシランとしては、アルキル基又はアリール基の炭素数が1〜12のアルキルハロシラン及びアリールハロシランが含まれ、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン及びt−ブチルジメチルクロロシラン等が挙げられる。
【0037】
アルコキシシランとしては、アルキル基又はアリール基の炭素数が1〜12、アルコキシ基の炭素数が1〜2のアルコキシシランが含まれ、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0038】
炭素数4〜28の脂肪酸としては、ブタン酸、ヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸及びモンタン酸等が挙げられる。
【0039】
炭素数4〜36の脂肪族アルコールとしては、n−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0040】
炭素数12〜22の脂肪族アミンとしては、ドデシルアミン、ステアリルアミン及びオレイルアミン等が挙げられる。
【0041】
炭素数24〜38の脂肪酸アミドとしては、オレイン酸ラウリルモノアミド、N,N’−エチレンビスステアリルアミド等が挙げられる。
【0042】
シリコーン化合物としては、ジメチルポリシロキサン、アリール変性ポリシロキサン(アリール基の炭素数6〜10)、アルキル基変性ポリシロキサン(変性アルキル基の炭素数2〜6)、水酸基変性ポリシロキサン、アミノ基変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン及びメチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。
【0043】
ジメチルポリシロキサンとしては、25℃での動粘度{以下、「動粘度(25℃)」という。}が1〜10000mm/sのもの等が使用できる。
【0044】
アリール基変性ポリシロキサン及びアルキル基変性ポリシロキサンとしては、25℃での粘度が1〜10000mm/sのもの等が使用できる。
【0045】
ポリエーテル変性ポリシロキサンとしては、25℃での粘度が1〜10000mm/sであり、HLBが2〜5のもの等が使用できる。
【0046】
HLBとは、分子中の親水基と疎水基とのバランスを表す概念であり、ポリエーテル変性ポリシロキサンのHLBの値は「界面活性剤の性質と応用」(著者 刈米孝夫、発行所 株式会社幸書房、昭和55年9月1日発行)の第89頁〜第90頁に記載された「乳化試験によるHLBの測定法」を用いて、以下の様に算出できる。
【0047】
<ポリエーテル変性ポリシロキサンの乳化試験によるHLBの測定法>
HLBが未知のポリエーテル変性ポリシロキサンXとHLBが既知の乳化剤Aを異なった比率で混合し、HLBが既知の油剤の乳化を行う。乳化層の厚みが最大となったときの混合比率から下記式を用いてポリエーテル変性ポリシロキサンXのHLBを算出する。
【0048】

油剤のHLB={(W×HLB)+(W×HLB)}÷(W+W

【0049】
はポリエーテル変性ポリシロキサンXと乳化剤Aの合計重量に基づく乳化剤Aの重量分率、Wはポリエーテル変性ポリシロキサンXと乳化剤Aの合計重量に基づくポリエーテル変性ポリシロキサンXの重量分率、HLBは乳化剤AのHLB、HLBはポリエーテル変性ポリシロキサンXのHLBである。
【0050】
水酸基変性ポリシロキサン、アミノ基変性ポリシロキサン及びメチルハイドロジェンジメチルポリシロキサンとしては、25℃での粘度が1〜10000mm/sであり、官能基当量が300〜8000g/molのもの等が使用できる。
【0051】
親水性微粒子を疎水化するのに用いる親油性化合物として、以上の他に、公知のカップリング剤(上記以外のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤及びジルコアルミネートカップリング剤等)等も使用できる。
【0052】
これらの親油性化合物のうち、消泡剤組成物の持続消泡性等の観点から、ハロシラン、アルコキシシラン及びシリコーン化合物が好ましく、さらに好ましくはシリコーン化合物、特に好ましくは動粘度(25℃)が10〜3000mm/sのジメチルポリシロキサン及びこのジメチルポリシロキサンを変性したアルキル基変性ポリシロキサン、最も好ましくは動粘度(25℃)が20〜100mm/sのジメチルポリシロキサンである。
【0053】
親水性微粒子を疎水化するのに用いる疎水性微粒子としては、疎水性有機微粒子が好ましい。
【0054】
親水性微粒子を疎水化した場合、疎水性微粒子のBET法による比表面積(m/g)は、親水性微粒子と同様であり、好ましい範囲も同じである。
【0055】
親水性微粒子の親油性化合物による疎水化は、公知の方法が適用でき、たとえば、以下の<疎水化方法1>及び<疎水化方法2>に記載の方法等により行うことができる。
【0056】
<疎水化方法1>
親水性微粒子と、溶媒{40℃での動粘度(以下、「動粘度(40℃)」という。)が5〜30mm/sのパラフィンオイル・鉱物油及び有機溶剤等}に分散した親油性化合物又は疎水性微粒子とを攪拌機で攪拌しながら、親油性化合物又は疎水性微粒子を親水性微粒子表面に吸着又は反応させて疎水化する方法(湿式法)。
【0057】
<疎水化方法2>
親水性微粒子と親油性化合物又は疎水性微粒子との混合物を撹拌機で攪拌しながら、親油性化合物又は疎水性微粒子を親水性微粒子表面に吸着又は反応させて疎水化する方法(乾式法)。
【0058】
これらの方法のうち、<疎水化方法2>の乾式法が好ましい。<疎水化方法2>を適用すると、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好になり、消泡剤組成物の持続消泡性がさらに良好となる。これは、後記の二次凝集体(pa)が容易に破砕できるためと考えられる。
【0059】
湿式法において用いる撹拌機としては、櫂型羽根付き撹拌機、プラネタリミキサー等が使用できる。乾式法において用いる撹拌機としては、垂直単軸型粉体撹拌機{ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製、「ヘンシエルミキサ」は三井鉱山株式会社の登録商標。)等}、水平単軸型撹拌機(リボンミキサー等)、垂直単複軸撹拌機(万能ミキサー、らいかい機等)等が使用できる。
【0060】
親油性化合物を微粒子表面に吸着又は反応させる方法において、(1)親水性微粒子の表面にある官能基と親油性化合物の持つ官能基との縮合反応、(2)親水性微粒子のもつ細孔への物理吸着及び(3)親水性微粒子の表面電荷と親油性化合物のイオン性官能基との電気的な吸着を利用することができる。
これらのうち、均一に疎水化できることから、(2)親水性微粒子のもつ細孔への物理吸着による方法が好ましい。
【0061】
親油性化合物を用いる場合、加熱処理することができる。加熱処理する場合、加熱温度(℃)としては、100〜400が好ましく、さらに好ましくは150〜350、特に好ましくは200〜300である。
【0062】
親油性化合物として疎水性有機微粒子を用いる場合、より強く吸着させる目的で疎水性有機微粒子の融点以上の温度に加熱しながら撹拌機で撹拌した後、融点以下に冷却してもよい。
【0063】
親油性化合物を微粒子表面に反応させる方法において、反応触媒(硫酸、硝酸、塩酸、ヒドロキシ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−ニトロ安息香酸、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)の存在下で行うことができる。
【0064】
親油性化合物を用いて疎水化する場合、親油性化合物の使用量(重量%)としては、親水性微粒子の重量に基づいて、2〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50、特に好ましくは10〜30である。この範囲にあると均一に疎水化処理がされ、未吸着の親油性化合物も少なくなるため、界面活性がさらに良好となり、消泡剤組成物の持続消泡性がさらに良好となる。
【0065】
疎水性微粒子を用いて疎水化する場合、疎水性微粒子の使用量(重量%)としては、親水性微粒子の重量に基づいて、1〜70が好ましく、さらに好ましくは10〜65である。この範囲にあると均一に疎水化処理がされ、未吸着の疎水性微粒子も少なくなる。そして、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、消泡剤組成物の持続消泡性がさらに良好となる。
【0066】
親水性微粒子を疎水化した疎水性微粒子のうち、沈殿法シリカ、熱分解法シリカ及び火炎燃焼法アルミナを疎水化した疎水性微粒子は市場から容易に入手でき、以下に商品名を例示する。
【0067】
<沈殿法シリカを疎水化した微粒子>
Nipsil SSシリーズ、Sipernat D及びCシリーズ、並びにSYLOPHOBICシリーズ{富士シリシア化学株式会社、「SYLOPHOBIC」は富士シリシア化学株式会社の登録商標である。}等。
【0068】
<熱分解法シリカを疎水化した微粒子>
Aerosil Cシリーズ{日本アエロジル株式会社及びエボニック デグサ社}、Reolosil MT及びDMシリーズ{株式会社トクヤマ}等。
【0069】
<火炎燃焼法アルミナを疎水化した微粒子>
Aerosil C805{日本アエロジル株式会社及びエボニック デグサ社}、SpectrAl TAシリーズ及びTGシリーズ{キャボット社}等。
【0070】
疎水性微粒子のM値は、30〜90が好ましく、さらに好ましくは35〜85、特に好ましくは30〜70、最も好ましくは45〜70である。
なお、M値は、疎水性の程度を表す概念であり、M値が高いほど親水性が低いことを示し、水・メタノール混合溶液に疎水性微粒子を均一分散させる際、必要最低量のメタノールの容量割合で表され、次の方法で求めることができる。
【0071】
<M値算出法>
疎水性微粒子0.2gを容量250mLのビーカー中の50mLの水に添加し、続いてメタノールをビュレットから疎水性微粒子の全量が懸濁するまで滴下する。この際ビーカー内の溶液をマグネティックスターラーで常時攪拌し、疎水性微粒子の全量が溶液中に均一懸濁された時点を終点とし、終点におけるビーカーの液体混合物のメタノールの容量百分率がM値となる。
【0072】
親水性微粒子及び疎水性微粒子は、非晶質微粒子であることが好ましい。非晶質微粒子を用いると、結晶性微粒子に比べて破砕しやすく、親水性表面と疎水性表面とに二分割しやすいと考えられ、両親媒性粒子の界面活性が良好となり、乳化分散組成物の乳化分散安定性がさらに良好となる。微粒子が非晶質微粒子であることはJIS K0131−1996に準拠して粉末回折X線回折分析を行い、得られた回折ピークプロファイルの分析により確認できる。具体的には、非晶質微粒子のプロファイルはブロードであり、明確な回折ピークが得られないことで確認できる。
【0073】
シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子と、疎水性微粒子とからなる二次凝集粒子は、少なくとも1つの親水性微粒子の一次粒子と少なくとも1つの疎水性微粒子とが凝集することによって形成された微粒子である。少なくとも2つの一次粒子が凝集することによって形成された二次凝集粒子であることは、透過型電子顕微鏡で粒子を5万〜100万倍に拡大した画像によって確認することができる。
【0074】
二次凝集粒子の表面は、親水性表面と疎水性表面とに二分割されている。二分割とは、一つの磁石の中で正極と負極が局在するがごとく、親水性表面と疎水性表面とが一つの二次凝集粒子の表面に局在していることを意味する(一つの二次凝集粒子の表面に散在しているものとは相違する)。二次凝集粒子の表面のうち、親水性表面は親水性微粒子の表面であり、疎水性表面は疎水性微粒子の表面である。
【0075】
二次凝集粒子の表面が、親水性表面と疎水性表面とに二分割されていることは、以下の方法で確認することができる。
【0076】
<表面が二分割されていることの確認方法>
イオン交換水5cmとn−ヘキサン5cmとを試験管に入れ、これに2−プロパノールに1重量%の濃度で測定試料(本発明の両親媒性粒子等)を分散した分散液を0.02g加え、60分間静置する(各測定試薬の純度は99重量%以上のものを使用する)。
二次凝集粒子の表面が親水性表面と疎水性表面とに二分割されている場合、水とn−ヘキサンとの界面に測定試料(両親媒性粒子)の集合層を形成し、その上層と下層は測定試料(両親媒性粒子)を含まない清浄な層をなす。
一方、二次凝集粒子の表面が親水性表面と疎水性表面とに二分割されていない場合(親水性表面と疎水性表面とが粒子表面に均一に分散(散在)した粒子の場合)、測定試料(粒子)はn−ヘキサン層に分散し、n−ヘキサン層に清浄な層を形成しない。
【0077】
両親媒性粒子(a)の体積平均粒子径(μm)は、乳化分散安定性等の観点から、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5、特に好ましくは0.2〜1、最も好ましくは0.2〜0.5である。
【0078】
なお、両親媒性粒子(a)の体積平均粒子径は、JIS Z8825−1:2001に準拠したレーザー回折式粒度分析計{例えば、Leeds&Northrup社製Microtracシリーズ、株式会社堀場製作所製ParticaLAシリーズ等}を用い、2−プロパノール{純度99重量%以上}1000重量部に、測定試料濃度0.1重量%となるように測定試料を添加して測定分散液を調製して、測定温度25±5℃で測定した後、2−プロパノールの屈折率として1.3749を、測定試料の屈折率として文献値(「A GUIDE FOR ENTERING MICROTRAC ”RUN INFORMATION”(F3)DATA」、Leeds&Northrup社作成)を用いて、50%積算体積平均粒子径として求められる。
【0079】
両親媒性粒子(a)は、以下の(製造方法1)〜(製造方法4)等の方法によって製造できる。
【0080】
<製造方法1>
親水性微粒子からなる二次凝集体(pa)を疎水化してから破砕する方法。
親水性微粒子からなる二次凝集体(pa)を疎水化する方法は、上記の親水性微粒子を疎水化した微粒子(親水性微粒子を親油性化合物又は疎水性微粒子で表面改質をした微粒子)と同様の方法等が適用できる。
【0081】
<製造方法2>
疎水性微粒子からなる二次凝集体(pb)を親水化してから破砕する方法。
疎水性微粒子からなる二次凝集体(pb)を親水化する方法は、上記の疎水性微粒子を親水化した微粒子(疎水性微粒子を親水性化合物(親水性微粒子及び親水性樹脂等)で表面改質した微粒子、酸化剤で疎水性微粒子表面を酸化処理した微粒子)と同様の方法等が適用できる。
【0082】
<製造方法3>
親水性微粒子の全表面に、これよりも小さな疎水性微粒子を吸着させた後、親水性微粒子を疎水性微粒子と共に破砕する方法。
親水性微粒子の全表面に、これよりも小さな疎水性微粒子を吸着さる方法は、上記の親水性微粒子を疎水化した微粒子(親水性微粒子を疎水性微粒子で表面改質をした微粒子)と同様の方法等が適用できる。
【0083】
<製造方法4>
疎水性微粒子の全表面に、これよりも小さな親水性微粒子を吸着させた後、疎水性微粒子を親水性微粒子と共に破砕する方法。
疎水性微粒子の全表面に、これよりも小さな親水性微粒子を吸着させる方法は、上記の疎水性微粒子を親水化した微粒子(疎水性微粒子を親水性微粒子で表面改質した微粒子)と同様の方法等が適用できる。
【0084】
二次凝集体(pa)及び(pb)は二次凝集粒子の用語と区別して用いられる。二次凝集体(pa)又は(pb)の体積平均粒子径(μm)は、1〜100が好ましく、さらに好ましくは1.5〜40、特に好ましくは2〜30である。この範囲であると、二次凝集体(pa)又は(pb)の破砕が容易になり、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、消泡剤組成物の持続消泡性がさらに良好となる。
【0085】
なお、二次凝集体(pa)又は(pb)の体積平均粒子径は、二次凝集体(pa)又は(pb)を1重量%の濃度となるようにイオン交換水に分散した分散液をJIS Z8825−1:2001に準拠したレーザー回折式粒度分析計{例えば、Leeds&Northrup社製Microtracシリーズ、株式会社堀場製作所製ParticaLAシリーズ等}を用い、電気伝導度(25℃)0.1mS/m以下のイオン交換水1000重量部に、測定試料濃度0.1重量%となるように測定試料を添加して測定分散液を調製して、測定温度25±5℃で測定した後、水の屈折率として1.333を、測定試料の屈折率として文献値(「A GUIDE FOR ENTERING MICROTRAC ”RUN INFORMATION”(F3)DATA」、Leeds&Northrup社作成)を用いて、50%積算体積平均粒子径として求められる。
【0086】
これらの製造方法のうち、<製造方法1>及び<製造方法2>が好ましく、さらに好ましくは<製造方法1>である。
【0087】
二次凝集粒子(pa)又は(pb)は、持続消泡性等の観点から、1〜80(好ましくは5〜30、さらに好ましくは10〜25)nmの一次粒子径を持つ親水性微粒子又は疎水性微粒子からなることが好ましい。
【0088】
なお、親水性微粒子又は疎水性微粒子の一次粒子径は、JIS Z8901−2006「試験用粉体及び試験用粒子」5.44粒子経分布(c)顕微鏡法に準拠し、振掛け法によって準備した試料を透過型電子顕微鏡で5万〜100万倍に拡大して観察して得た画像をJIS Z8827−1「粒子径−画像解析法−第1部:静的画像解析法」に準拠して画像処理用コンピュータソフト{例えば、三谷商事株式会社製WinRoof等}を用いて算出される円相当径の個数平均値である。
【0089】
<製造方法1>において、疎水化した二次凝集体(疎水化凝集体)を破砕する方法としては、疎水化凝集体を有機溶剤に分散する分散工程の後、疎水化凝集体を体積平均粒子径(μm)が0.1〜10(好ましくは0.1〜5、さらに好ましくは0.2〜1、特に好ましくは0.2〜0.5)となるように破砕する破砕工程を含むことが好ましい。なお、破砕工程後の体積平均粒子径(μm)は、前記の両親媒性粒子(a)の体積平均粒子径の測定と同様の方法で求めることができる。
【0090】
疎水化した二次凝集体(疎水化凝集体)を分散する有機溶剤としては、5〜50の比誘電率を持つ有機溶剤を用いることが好ましい。
【0091】
5〜50の比誘電率を持つ有機溶剤としては{以下、( )内の数値は比誘電率を表す}、無極性溶媒{酢酸エチル(6)及び塩化メチレン(9)等}、プロトン性極性溶媒{酢酸(6.2)、1−ブタノール(18)、2−プロパノール(18)、1−プロパノール(20)、エタノール(24)及びメタノール(33)等}及び非プロトン性極性溶媒{テトラヒドロフラン(7.5)、アセトン(21)、アセトニトリル(37)、N,N−ジメチルホルムアミド(38)及びジメチルスルホキシド(47)等}等が使用できる。
【0092】
これらのうち、5〜50の比誘電率を持つのプロトン性極性溶媒及び非プロトン性極性溶媒が好ましく、さらに好ましくは比誘電率が5〜50のプロトン性溶媒、特に好ましくは1−ブタノール(18)、2−プロパノール(18)、1−プロパノール(20)及びエタノール(24)、最も好ましくは1−ブタノール(18)、2−プロパノール(18)及び1−プロパノール(20)である。これらの有機溶媒を用いると、破砕工程において疎水化凝集体の再凝集がさらに少なくなるため、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、消泡剤組成物の持続消泡性がさらに良好となる。これらのうち1種類を使用してもよいし、2種以上を混合して使用しても構わない。
【0093】
疎水化した二次凝集体(疎水化凝集体)を有機溶剤に分散する分散工程は、以下の<分散方法1>〜<分散方法3>等が適用できる。
【0094】
<分散方法1>
分散容器に疎水化凝集体と有機溶剤とを同時に入れて均一分散する方法。
<分散方法2>
あらかじめ疎水化凝集体の入った分散容器に、有機溶剤を加えて均一分散を行う方法。
<分散方法3>
あらかじめ有機溶剤の入った分散容器に、疎水化凝集体を加えて均一分散するする方法。
【0095】
これらのうち、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となりやすく、乳化安定性がさらに良好となりやすい点から、<分散方法1>及び<分散方法3>が好ましく、さらに好ましくは<分散方法3>である。
【0096】
疎水化凝集体の分散工程には、公知の分散機{羽型撹拌機、高速回転型ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、ディゾルバー、ボールミル、ニーダー、サンドミル、三本ロール、超音波分散機、遊星型混分散機(プラネタリミキサー等)及び3軸遊星型ミキサー等}等が使用できる。
これらの分散機のうち、羽型撹拌機、高速回転型ホモミキサー、高圧ホモジナイザー及びディゾルバーが好ましく、さらに好ましくは高速回転型ホモミキサー、高圧ホモジナイザー及びディゾルバー、特に好ましくは高速回転型ホモミキサーである。これらの分散機によれば、疎水化凝集体の分散性がさらに良くなるため、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、消泡剤組成物の持続消泡性が良好となる点で好ましい。
【0097】
有機溶剤に分散される疎水化凝集体の割合(重量%)は、疎水化凝集体と有機溶剤の合計重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは3〜25、特に好ましくは5〜20である。この範囲であると、分散液の粘度が低く、分散がさらに容易となる他、次工程である破砕工程での破砕がさらに良好に進むため、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、持続消泡性がさらに良好となる。
【0098】
分散工程の温度は特に制限ないが、0〜50℃が好ましく、さらに好ましくは10〜45℃、特に好ましくは15〜35℃である。また、分散工程に要する時間は、5分〜10時間が好ましく、さらに好ましくは10分〜5時間、特に好ましくは15分〜3時間である。
【0099】
破砕工程において、公知の破砕分散機等が使用でき、湿式媒体型粉砕分散機{ビーズミル、サンドグラインダー、コロイドミル、アトライタ(日本コークス工業株式会社製、「アトライタ」は日本コークス工業株式会社の登録商標である。)、DISPERMAT(VMA−GETAMANN GMBH社製)等}、高圧噴射型破砕分散機{ナノマイザー(吉田機械株式会社製、「ナノマイザー」はエス・ジーエンジニアリング株式会社の登録商標である。)、スターバースト(株式会社スギノマシン製、「スターバースト」は株式会社スギノマシンの登録商標である。)、ゴーリンホモジナイザー(APV社製)等}等が使用できる。
これらのうち、湿式媒体型粉砕分散機が両親媒性粒子(a)の再凝集が起こりにくく、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、消泡剤組成物の持続消泡性が良好となる点で好ましい。
【0100】
<製造方法2>において、親水化した二次凝集体(親水化凝集体)を破砕する方法としては、親水化凝集体を水及び/又は有機溶剤に分散する分散工程の後、親水化凝集体を体積平均粒子径(μm)が0.1〜10(好ましくは0.1〜5、さらに好ましくは0.2〜1、特に好ましくは0.2〜0.5)となるように破砕する破砕工程を含むことが好ましい。なお、破砕工程後の体積平均粒子径(μm)は、前記の両親媒性粒子(a)の体積平均粒子径の測定と同様の方法で求めることができる。
【0101】
分散工程で用いる有機溶剤としては、<製造方法1>の有機溶剤が使用できる。有機溶剤のうち、比誘電率が5〜50のプロトン性溶媒が好ましく、さらに好ましくは1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール及びエタノール、特に好ましくは1−ブタノール、2−プロパノール及び1−プロパノールである。これらの有機溶剤を用いると、破砕工程において親水化凝集体の再凝集がさらに少なくなるため、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、持続消泡性がさらに良好となる。これらのうち1種類を使用してもよいし、2種以上を混合して使用しても構わない。
【0102】
分散工程で用いる水としては、後記の水(c)と同じものを使用でき、好ましい水も同様である。
【0103】
親水化した二次凝集体(親水化凝集体)を水又は有機溶剤に分散する分散工程は、<製造方法1>と同様の分散方法及び分散機が適用でき、好ましい分散方法、好ましい分散機も同じである。ただし、「疎水化凝集体」は「親水化凝集体」と、「有機溶剤」は「水及び/又は有機溶剤」と、それぞれ読み替える。
【0104】
水及び/又は有機溶剤に分散される親水化凝集体の割合は、親水化凝集体と水及び/又は有機溶剤との合計重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは3〜25、特に好ましくは5〜20である。この範囲であると、分散液の粘度が低く、分散がさらに容易となる他、次工程である破砕工程での破砕がさらに良好に進むため、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、持続消泡性がさらに良好となる。
【0105】
<製造方法3>において、疎水性微粒子を吸着させた親水化微粒子(疎水化凝集体)を破砕する方法としては、疎水性微粒子を吸着させた親水化微粒子(疎水化凝集体)を有機溶剤に分散する分散工程の後、疎水性微粒子を吸着させた親水化微粒子(疎水化凝集体)を体積平均粒子径(μm)が0.1〜10(好ましくは0.1〜5、さらに好ましくは0.2〜1、特に好ましくは0.2〜0.5)となるように破砕する破砕工程を含むことが好ましい。なお、破砕工程後の体積平均粒子径(μm)は、前記の両親媒性粒子(a)の体積平均粒子径の測定と同様の方法で求めることができる。
【0106】
分散工程で用いる有機溶剤としては、<製造方法1>と同様の有機溶剤が使用でき、好ましい有機溶剤も同様である。
【0107】
疎水性微粒子を吸着させた親水性微粒子(疎水化凝集体)を有機溶剤に分散する分散工程は、<製造方法1>と同様の分散方法及び分散機が適用でき、好ましい分散方法、好ましい分散機も同じである。
【0108】
疎水化凝集体の割合は、疎水化凝集体と有機溶剤との合計重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは3〜25、特に好ましくは5〜20である。この範囲であると、分散液の粘度が低く、分散がさらに容易となる他、次工程である破砕工程での破砕がさらに良好に進むため、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、持続消泡性がさらに良好となる。
【0109】
<製造方法4>において、親水性微粒子を吸着させた疎水性微粒子(親水化凝集体)を破砕する方法としては、親水性微粒子を吸着させた疎水性微粒子(親水化凝集体)を水及び/又有機溶剤に分散する分散工程の後、親水化凝集体を体積平均粒子径(μm)が0.1〜10(好ましくは0.1〜5、さらに好ましくは0.2〜1、特に好ましくは0.2〜0.5)となるように破砕する破砕工程を含むことが好ましい。なお、破砕工程後の体積平均粒子径(μm)は、前記の両親媒性粒子(a)の体積平均粒子径の測定と同様の方法で求めることができる。
【0110】
分散工程で用いる有機溶剤としては、<製造方法2>と同様の有機溶剤が使用でき、好ましい有機溶剤も同様である。
【0111】
分散工程で用いる水としては、後記の水(c)と同じものを使用でき、好ましい水も同様である。
【0112】
親水性微粒子を吸着させた疎水性微粒子(親水化凝集体)を水及び/又は有機溶剤に分散する分散工程は、<製造方法1>と同様の分散方法及び分散機が適用でき、好ましい分散方法、好ましい分散機も同じである。ただし、「疎水化凝集体」は「親水化凝集体」と、「有機溶剤」は「水及び/又は有機溶剤」と、それぞれ読み替える。
【0113】
親水性微粒子を吸着させた疎水性微粒子(親水化凝集体)の割合は、親水性微粒子を吸着させた疎水性微粒子(親水化凝集体)と水及び/又は有機溶剤との合計重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは3〜25、特に好ましくは5〜20である。この範囲であると、分散液の粘度が低く、分散がさらに容易となる他、次工程である破砕工程での破砕がさらに良好に進むため、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、持続消泡性がさらに良好となる。
【0114】
両親媒性粒子(a)の製造方法において、粉砕工程の後に分級工程を設けてもよい。 分級工程では以下の<湿式分級>及び<乾式分級>の公知の分級方法を使用できる。
【0115】
<湿式分級>
破砕工程後に両親媒性粒子を含む分散液を金網等でろ過して分級する方法、両親媒性粒子を含む分散液を静置して大きな粒子を沈殿分離する方法及び粒子径の違いによる沈降速度差を用いた沈降速度法等。
【0116】
<乾式分級>
破砕工程後に脱溶剤を行って得た両親媒性粒子を空気分級機(ジェットミル)やふるい等で分級する方法。
【0117】
両親媒性粒子(a)の製造方法において、粉砕工程の後に、分散液に含まれる水及び/又は有機溶媒の脱溶媒工程や濃縮工程を設けてもよい。脱溶媒工程や濃縮工程は、加熱、攪拌、冷却、乾留装置つきの減圧可能な反応容器やロータリーエバポレーター等を使用する方法等の公知の方法で行うことができる。
【0118】
両親媒性粒子(a)の製造方法において、両親媒性粒子の乾燥工程を設けてもよい。 乾燥工程は公知の方法で行いことができ、加熱乾燥(例えば30〜150℃に加熱した乾燥炉にて10〜120分加熱する)や減圧乾燥等が適用できる。
【0119】
両親媒性粒子(a)は、以下の<使用形態1>〜<使用形態3>等の形態で本発明の消泡剤組組成物に使用される。
【0120】
<使用形態1>
破砕工程で得た両親媒性粒子(a)を含む分散液から、有機溶剤及び/又は水を除去し、乾燥して得られる両親媒性粒子を粉末として使用する形態。
【0121】
<使用形態2>
破砕工程で得た両親媒性粒子(a)を含む分散液の水及び/又は有機溶剤を、消泡剤組成物に含まれる後記の水(c)に置換し、両親媒性粒子水分散体として使用する方法。
【0122】
<使用形態3>
破砕工程で得た両親媒性粒子(a)を含む分散液の水及び/又は有機溶剤を、消泡剤組成物に含まれる油性成分(b)に置換し、両親媒性粒子油性分散体として使用する方法。
【0123】
<使用形態4>
破砕工程で得た両親媒性粒子(a)を含む水分散液を濃縮又は希釈して両親媒性粒子水分散体として使用する方法。
【0124】
有機溶剤の除去及び置換は、加熱装置及び攪拌装置つきの減圧可能な反応容器やロータリーエバポレーター等を使用する方法等の公知の方法で行うことができる。
【0125】
<使用形態2>及び<使用形態3>において、分散液中の水及び/又は有機溶剤(以下、分散媒という。)を油性成分(b)又は後記の水(c)に置換する時の温度は、特に制限はなく、分散媒及び油性成分(b)の沸点及び分解温度により適宜選択されるが、たとえば、油性成分(b)としてシリコーン油を用いて置換する場合、40〜100℃が好ましく、さらに好ましくは50〜80℃、特に好ましくは60〜70℃である。また、水(c)に置換する場合、40〜90℃が好ましく、さらに好ましくは50〜80℃、特に好ましくは60〜70℃である。
【0126】
<使用形態2>及び<使用形態3>において、分散媒を油性成分(b)又は後記の水(c)に置換する時の圧力は、特に制限はなく、分散媒及び油性成分(b)の沸点等によって適宜選択されるが、たとえば、油性成分(b)としてシリコーン油を用いて置換する場合の圧力(kPa)は、5〜101が好ましく、さらに好ましくは10〜70、特に好ましくは20〜50である。また、水(c)に置換する場合の圧力(kPa)は、7〜101が好ましく、さらに好ましくは12〜70、特に好ましくは20〜50である。
【0127】
<使用形態1>において、分散媒を除去した後の乾燥は、公知の方法で行うことができ、加熱乾燥(例えば30〜150℃に加熱した乾燥炉にて10〜120分加熱する)や減圧乾燥等が適用できる。なお、両親媒性粒子(a)の再凝集が少なく、両親媒性粒子の界面活性がさらに良好となり、消泡剤組成物の持続消泡性がさらに良好となる点で、攪拌下で乾燥することが好ましい。
【0128】
<使用形態1>において、分散媒を除去して得られる両親媒性粒子を解砕及び/又は分級することができる。ここで行う解砕は、両親媒性粒子が乾燥工程で再凝集した三次凝集体を二次凝集粒子に戻すものであり、前記の疎水粒子(疎水化された二次凝集体)を破砕するのとは異なる。解砕は公知の方法で行うことができ、ジョークラッシャー、ハンマーミル、ローラーミル、衝撃式粉砕機及びジェット粉砕機等を使用して、破砕が起こらないように粉砕機の回転数や圧力を適宜調整して行われる。
【0129】
油性成分(b)としては、液体油脂、固体油脂、ロウ類、鉱物油、高級脂肪酸、高級脂肪酸から誘導される脂肪酸アミド、エステル油、高級アルコール、シリコーン油及びポリオキシアルキレンオキサイド等が使用できる。
【0130】
液体油脂としては、植物油(アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油及び胚芽油等)、合成油脂(トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン及びトリイソパルミチン酸グリセリン等)等が挙げられる。
【0131】
固体油脂としては、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ及び硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0132】
ロウ類としては、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、ラノリンアルコールエチレンオキシド付加体、ラノリンアルコールエチレンオキシド付加体の酢酸エステル、コレステロールエチレンオキシド付加体、ラノリンアルコールエチレンオキシド付加体の脂肪酸エステル及び水素添加ラノリンアルコールエチレンオキシド付加体等が挙げられる。
【0133】
鉱物油としては、石油の精製によって得られる炭化水素油及びそれを水素添加して得られる精製鉱油等が挙げられ、潤滑油、スピンドル油、パラフィンオイル{流動パラフィン(n−パラフィン、イソパラフィン等)、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン等}及びこれらの混合物等が使用できる。
【0134】
高級脂肪酸としては、前記の炭素数4〜28の脂肪酸のうち、炭素数8〜28の脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸及びモンタン酸等)等が挙げられる。
【0135】
高級脂肪酸から誘導される脂肪酸アミドとしては、前記の高級脂肪酸の酸アミド(ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド及びエルカ酸アミド等)及びN−置換酸アミド(N,N’−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ブチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−キシリレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸モノメチロールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド及びN−ステアリルエルカ酸アミド等)等が挙げられる。
【0136】
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル及びセバチン酸ジイソプロピル等が挙げられる。
【0137】
高級アルコールとしては、前記の炭素数4〜36の脂肪族アルコールのうち、炭素数12〜36の脂肪族アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及びミリスチルアルコール等)等が挙げられる。
【0138】
シリコーン油としては、前記のシリコーン化合物及び環状シリコーン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)等が挙げられる。
【0139】
ポリオキシアルキレンオキサイドとしては、数平均分子量950〜4000のポリオキシプロピレングリコール等が使用できる。
【0140】
油性成分(b)としては、持続消泡性の観点から 液体油脂、鉱物油及びシリコーン油が好ましく、さらに好ましくは鉱物油及びジメチルポリシロキサンである。
【0141】
鉱物油の動粘度(40℃;mm/s)は、4〜146が好ましく、さらに好ましくは4〜30、特に好ましくは10〜28、最も好ましくは15〜25である。ジメチルポリシロキサンの動粘度(25℃;mm/s)は、10〜100,000が好ましく、さらに好ましくは20〜5,000、特に好ましくは50〜3,000である。これらの範囲であると、持続消泡性がさらに良好となる。
【0142】
これらの鉱物油及びジメチルポリシロキサンは市場から容易に入手することができ、以下に商品名を例示する。
【0143】
<鉱物油>
コスモSC22(21mm2/s)、コスモSP10(10mm2/s)、コスモRCスピンドル油(10mm2/s)、コスモRBスピンドル油(15mm2/s)、コスモニュートラル150(32mm2/s)、コスモピュアスピンG(21mm2/s)及びコスモピュアスピンE(5mm2/s)(コスモ石油ルブリカンツ株式会社、「コスモ」は、コスモ石油株式会社の登録商標である。);日石スーパーオイルC(93mm2/s)、日石スーパーオイルD(141mm2/s)及び日石スーパーオイルB(54mm2/s)(新日本石油株式会社);スタノール43N(27mm2/s)、スタノール52(56mm2/s)、スタノール69(145mm2/s)、スタノール35(9mm2/s)及びスタノールLP35(11mm2/s)(エッソ石油株式会社);並びにフッコールSHスピン(9mm2/s)、フッコールNT100(21mm2/s)、フッコールNT150(28mm2/s)、フッコールNT200(39mm2/s)、フッコールNT60(10mm2/s)及びフッコールSTマシン(9mm2/s)(富士興産株式会社、「フッコール」は新日本石油株式会社の登録商標である。)等(かっこ内の数字は「動粘度(40℃)」を表す。)。
【0144】
<ジメチルポリシロキサン>
KF96−10cs、KF96−20cs、KF96−30cs、KF96−50cs、KF96−100cs、KF96−200cs、KF96−300cs、KF96−350cs、KF96−500cs、KF96−1、000cs、KF96−3,000cs、KF96−5,000cs、KF96H−6,0000cs、KF96H−1万cs、KF96H−12,500cs、KF96H−3万cs、KF96H−5万cs、KF96H−6万cs及びKF96H−10万cs(信越化学工業株式会社);SH200−10cs、SH200−20cs、SH200−50cs、SH200−100cs、SH200−200cs、SH200−350cs、SH200−500cs、SH200−1、000cs、SH200−3,000cs、SH200−5,000cs、SH200H−1万cs、SH200H−1.25万cs、SH200H−3万cs、SH200H−6万cs及びSH200H−10万cs(東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製);びにTSF451−10、TSF451−20、TSF451−30、TSF451−50、TSF451−100、TSF451−200、TSF451−300、TSF451−350、TSF451−500、TSF451−1000、TSF451−1500、TSF451−2000、TSF451−3000、TSF451−5000、TSF451−6000、TSF451H−1M、TSF451H−12500、TSF451H−2M、TTSF451H−3M、TSF451H−5M、TSF451H−6M及びTSF451H−10M(以上、GE東芝シリコーン株式会社製)等(ハイフンの後の数字は「動粘度(25℃)」を表す。但し、1Mは1万を表す。)。
【0145】
油性成分(b)としては、前記の油性成分以外に、グリフィンの理論式によるHLBが4以下の界面活性剤が使用でき、例えばソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プルロニック型界面活性剤等が使用できる。
【0146】
グリフィンの理論式によるHLBの値は「界面活性剤の性質と応用」(著者 刈米孝夫、発行所 株式会社幸書房、昭和55年9月1日発行)の第90頁〜第91頁に記載された「乳化剤の分析値によるHLBの測定法」に記載された計算式により算出できる。
【0147】
油性成分(b)は、被添加液の種類や温度等によって適宜選択することができ、これらのうち1種類を使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0148】
油性成分(b)は、前記の疎水性微粒子との混合物(以下、オイルコンパウンドという。)としても用いることができる。オイルコンパウンドとして用いる場合、初期消泡性の観点から、疎水性微粒子としては、沈殿法シリカを疎水化した疎水性微粒子が好ましい。沈殿法シリカを疎水化した疎水性微粒子としては、前記の方法で疎水化した沈殿法シリカ及び市販の沈殿法シリカを疎水化した微粒子が使用できる。
【0149】
オイルコンパウンドに含まれる疎水性微粒子の含有量(重量%)としては、油性成分(b)と疎水性微粒子との合計重量に基づいて、1〜50が好ましく、特に好ましくは3〜25である。この範囲であると、初期消泡性がさらに良好となり好ましい。
【0150】
オイルコンパウンドは、油性成分(b)と前記の疎水性微粒子とを前記の撹拌機及び前記の分散機を用いて撹拌、分散する方法で得ることができる。
【0151】
オイルコンパウンドは市場から容易に入手することができ、油性成分(b)としてジメチルポリシロキサンを用いたオイルコンパウンドとしては、DK Q1−049、SH 5500 COMPOUND、SC 5540 COMPOUND、8590 ADDITIVE(東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)等が挙げられる。
【0152】
本発明の消泡剤組成物に含まれる両親媒性粒子(a)の含有量(重量%)は、両親媒性粒子(a)及び油性成分(b)の重量に基づいて、0.1〜15が好ましく、さらに好ましくは0.2〜10、特に好ましくは0.5〜5である。この範囲であると、持続消泡性がさらに良好となる。
【0153】
本発明の消泡剤組成物に含まれる油性成分(b)の含有量(重量%)は、両親媒性粒子(a)及び油性成分(b)の重量に基づいて、85〜99.9が好ましく、さらに好ましくは90〜99.8、特に好ましくは95〜99.5である。この範囲であると、持続消泡性がさらに良好となる。
【0154】
本発明の消泡剤組成物は、初期消泡性の観点から、水(c)を含むことが好ましい。水(c)としては、水道水、工業用水、蒸留水、イオン交換水、蒸留水、地下水、海水、温泉水等が利用できる。これらの1種類を使用してもよいし、2種以上を混合して使用しても構わない。これらのうち、消泡剤組成物の初期消泡性の観点から、蒸留水、イオン交換水、水道水及び工業用水等の軟水が好ましく、さらに好ましくは蒸留水及びイオン交換水などの精製水である。
【0155】
水(c)を含有する場合、この含有量(重量%)は、両親媒性粒子(a)及び油性成分(b)の合計重量に基づいて、5〜400が好ましく、さらに好ましくは10〜250である。この範囲であると、初期消泡性がさらに良好となる。
【0156】
本発明の消泡剤組成物には、必要によりさらに、他の成分(特開2004−305882号公報等に記載された親水性シリカ、増粘剤、防黴剤、防腐剤、防錆剤、酸化防止剤、皮張り防止剤等)を含有することができる。
【0157】
他の成分を含有する場合、他の成分の合計含有量(重量%)が、両親媒性粒子(a)、油性成分(b)及び水(c)の合計重量に基づいて、0.01〜20(さらに好ましくは0.05〜10、特に好ましくは0.1〜1)とすることが好ましい。
【0158】
本発明の消泡剤組成物は、両親媒性粒子(a)及び油性成分(b)、並びに必要に応じて水(c)及びその他の成分を均一混合する方法により得ることができる。
両親媒性粒子(a)は、前記の<使用形態1>〜<使用形態4>に記載した形態で用いることができるが、<使用形態2>及び<使用形態3>に記載した形態で用いることが好ましい。これらの使用形態で用いると両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、持続消泡性がさらに良好となる。
【0159】
消泡剤組成物の均一混合の温度は特に限定されないが、混合しやすくするために加温してもよい。初期消泡性の観点から、均一混合の温度としては、0〜90℃が好ましく、さらに好ましくは10〜50℃、特に好ましくは15〜40℃である。これは、この温度範囲であると撹拌混合の効率が良く、消泡剤組成物の均一性が良好となるためと考えられる。
【0160】
消泡剤組成物の均一混合には、前記の公知の分散機等が使用できる。これらの分散機のうち、羽型撹拌機、高速回転型ホモミキサー、高圧ホモジナイザー及びディゾルバーが好ましく、さらに好ましくは高速回転型ホモミキサー、高圧ホモジナイザー及びディゾルバー、特に好ましくは高速回転型ホモミキサーである。これらの分散機によれば、両親媒性粒子(a)の分散性がさらに良くなるため、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、消泡剤組成物の持続消泡性が良好となる。
【0161】
本発明の消泡剤組成物は、両親媒性粒子(a)、油性成分(b)及び水(c)を含む乳化分散型であることが好ましい。乳化分散型としては、以下の(型1)〜(型4)の乳化分散型が含まれる。
【0162】
(型1)水(c)が油性成分(b)に乳化分散した油中水(w/o)型。
(型2)油性成分(b)が水(c)に乳化分散した水中油(o/w)型。
(型3)油中水(w/o)型乳化分散組成物が水(c)中に乳化分散したw/o/w型。
(型4)水中油(o/w)型乳化分散組成物が油性成分(c)中に乳化分散したo/w/o型。
【0163】
本発明の消泡剤組成物は、用途に応じて前記の(型1)〜(型4)から適宜選択されるが、初期消泡性及び持続消泡性等の観点から、(型1){油中水(W/O)型}、(型2){水中油(o/w)型}及び(型3){w/o/w型}が好ましく、さらに好ましくは(型2){水中油(o/w)型}である。
【0164】
本発明の乳化分散型である消泡剤組成物は、両親媒性粒子(a)、油性成分(b)及び水(c)を用いる以外、公知の方法で製造でき、たとえば、(製造方法1)〜(製造方法3)等により製造できる。
【0165】
(製造方法1)
両親媒性粒子(a)、油性成分(b)及び水(c)を一度に混合し、乳化分散する乳化分散工程を含む方法。
【0166】
(製造方法2)
両親媒性粒子(a)を油性成分(b)に分散して両親媒性粒子油性分散体(do)を得る分散工程;及び
水(c)と両親媒性粒子油性分散体(do)とを混合し、乳化分散する乳化分散工程を含む方法。
【0167】
(製造方法3)
両親媒性粒子(a)を水(c)に分散して両親媒性粒子水分散体(dw)を得る工程;及び
油性成分(b)と両親媒性粒子水分散体(dw)とを混合し、乳化分散する乳化分散工程を含む方法。
【0168】
これらの製造方法のうち、持続消泡性の観点から、(製造方法3)が好ましい。これは、(製造方法3)を適用すると、両親媒性粒子(a)の界面活性がさらに良好となり、乳化分散粒子の安定性がさらに良好となるためと考えられる。
【0169】
(製造方法2)で用いる両親媒性粒子油性分散体(do)は、(1)前記の<使用形態3>の両親媒性粒子油性分散体及び(2)前記の<使用形態1>の両親媒性粒子(a)の粉末を油性成分(b)に混合分散した分散体が使用できる。これらのうち、持続消泡性等の観点から、(1)前記の<使用形態3>の両親媒性粒子油性分散体が好ましい。
【0170】
前記の<使用形態3>の両親媒性粒子油性分散体は、乳化分散安定性等の観点から、有機溶剤を油性成分(b)に置換した後、さらに混合分散して両親媒性粒子油分散体(do)とすることが好ましい。
【0171】
(製造方法3)で用いる両親媒性粒子水分散(dw)は、(3)前記の<使用形態2>の両親媒性粒子水分散体及び(4)前記の<使用形態1>の両親媒性粒子(a)の粉末を水(c)に混合分散した分散体が使用できる。これらのうち、持続消泡性等の観点から、(1)前記の<使用形態2>の両親媒性粒子水分散体が好ましい。
【0172】
前記の<使用形態2>の両親媒性粒子水分散体は、乳化分散安定性等の観点から、有機溶剤を水(c)に置換した後、さらに混合分散して両親媒性粒子水分散体(dw)とすることが好ましい。
【0173】
<使用形態2>の両親媒性粒子水分散体及び<使用形態3>の両親媒性粒子油性分散体の混合分散には、前記の公知の分散機が使用できる。
【0174】
両親媒性粒子水分散体(dw)又は両親媒性油性分散体(do)は、脱泡を行ってから使用でき、真空脱泡又は遠心脱泡等の公知の脱泡方法が適用できる。
【0175】
両親媒性粒子水分散体(dw)又は両親媒性油性分散体(do)に含まれる両親媒性粒子(a)の含有量(重量%)は、油性成分(b)又は水(c)の重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは3〜25、特に好ましくは5〜20である。この範囲であると、消泡剤組成物の持続消泡性がさらに良好となる。
【0176】
(製造方法2)において、両親媒性粒子水分散体(dw)と油性成分(b)との乳化分散は、両親媒性粒子水分散体(dw)に油性成分(b)を徐々に添加しながら行ってもよいし、両親媒性粒子水分散体(dw)と油性成分(b)の全量を後記の乳化分散装置に入れた後に行ってもよい。両親媒性粒子水分散体(dw)に油性成分(b)を徐々に添加しながら乳化分散工程を行う場合の添加の速度は、目的とする乳化分散粒子の体積平均粒子径に応じて、適宜選択される。
【0177】
(製造方法3)において、両親媒性粒子油性分散体(do)と水(c)との乳化分散は、両親媒性粒子油性分散体に水(c)を徐々に添加しながら行ってもよいし、両親媒性粒子油性分散体と水(c)の全量を後記の乳化分散装置に入れた後に行ってもよい。両親媒性粒子油性分散体に水(c)を徐々に添加しながら乳化分散工程を行う場合の添加の速度は、目的とする乳化分散粒子の体積平均粒子径に応じて、適宜選択される。
【0178】
乳化分散工程で用いる乳化分散装置としては、前記の公知の分散機及び破砕分散機等が使用でき、それらのうち、分散機が好ましく、さらに好ましくは羽型撹拌機、高速回転型ホモミキサー、プラネタリーミキサー及び振動式攪拌機、特に好ましくは高速回転型ホモミキサー、羽型撹拌機及び振動式攪拌機である。これらの分散機を用いると、乳化分散粒子の体積平均粒子径を前記の好ましい範囲とすることができ、初期消泡性及び持続消泡泡性が良好となる。また、これらの分散機及び破砕機は、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0179】
このような乳化分散の操作は、目的とする乳化分散組成物の形態に応じて、適宜選択することができ、1ステップで行っても、2ステップ以上で行ってもよい。
なお、2ステップで行う乳化分散の具体的方法としては、羽型撹拌機によって1ステップの乳化を行った後、続けて高圧回転型ホモミキサー等に通して乳化する方法等が挙げらる。2種以上の乳化装置を併用して、2ステップ以上で乳化分散することにより、乳化分散粒子の体積平均粒子径を小さくすることができ、またその粒子径分布を狭くすることができる。
【0180】
攪拌混合機及び/又は乳化分散機の運転条件は、目的とする乳化分散体の体積平均粒子径に応じて適宜選択することができる。具体的には、より強いせん断力が加わる運転条件では、乳化分散粒子の体積平均粒子径を小さくすることができ、攪拌混合機及び/又は乳化分散機中での乳化分散組成物の滞留時間を長くすると乳化分散粒子の粒子径分布を狭くすることができる。
【0181】
乳化分散の温度は、油性成分(b)及び水(c)が液体となる温度であれば特に制限はないが、乳化分散粒子の安定性等の観点から、10〜100℃が好ましく、さらに好ましくは20〜80℃、特に好ましくは25〜70℃である。
【0182】
本発明の消泡剤組成物が、w/o/w型である場合、前記の方法で作成された油中水(w/o)型の消泡剤組成物と水(c)との乳化分散をさらに行う方法で製造することができる。一方、o/w/o型である場合、前記の方法で作成された水中油(o/w)型の消泡剤組成物と油性成分(c)との乳化分散をさらに行う方法で製造することができる。
【0183】
本発明の消泡剤組成物は、被添加液に対して、事前に添加しても発泡後に添加してもよい。被添加液の発泡後に添加する方法としては、一括添加法、連続添加方法、断続添加方法又は泡測定器と消泡剤添加装置とを連動させた方法等により、添加することができる。被添加液に対して1カ所で添加しても複数箇所で分割添加してもよい。また、添加に際しては適当な希釈溶媒又は水などで希釈してもよい。
【0184】
本発明の消泡剤組成物は、公知の消泡剤{たとえば、ポリエーテル消泡剤、シリコーン消泡剤(特公昭51−35556号、特開昭52−2887号、特公昭52−19836号、特公昭55−23084号、特開平6−142410号及び特開平6−142411号各公報等)、鉱物油消泡剤(特公昭49−109276号、特開昭52−22356号、特開昭54−32187号、特開昭55−70308号及び特開昭56−136610号各公報等)及びワックスエマルション消泡剤(特開昭47−114336号、特開昭60−156516号、特開昭62−171715号、特開昭64−68595号、特開平1−210005号及び特開平4−349904号各公報等)}等と併用してもよい。
【0185】
本発明の消泡剤組成物の添加量(重量%)は、被添加液の発泡状態、温度、粘度などに応じて適宜設定されるが、被添加液の重量に基づいて、0.0001〜10が好ましく、さらに好ましくは0.0005〜8、特に好ましくは0.001〜5、最も好ましくは0.005〜3である。添加温度は0〜100℃程度が好ましく、さらにこのましくは10〜60℃、特に好ましくは20〜50℃である。
【実施例】
【0186】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、特記しない限り、部は重量部を意味する。
【0187】
(両親媒性粒子の作成)
製造例1〜15及び比較製造例1で使用した親水性微粒子(p101〜p114)の体積平均粒子径は以下の方法で測定を行った。
<親水性微粒子の体積平均粒子径(二次凝集体の粒子径)>
親水性微粒子を1重量%の濃度となるようにイオン交換水{電気伝導度(25℃)0.1mS/m、以下同様。}に超音波分散機(Hiel−scher GmbH製、ULTRASONIC PROCESSOR MODEL UP400S、以下同様。)を用いて出力60%にて1分間分散した。次いで分散液中の体積平均粒子径をレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、Partica LA−950)にて測定した。
【0188】
疎水性微粒子の体積平均粒子径は、「イオン交換水」を「2−プロパノール」に変更したこと以外、上記と同様にして測定した。
【0189】
製造例1〜15及び比較製造例1で得られた疎水化凝集体(p201〜p215、hp1;二次凝集体)のM値は以下の方法で測定を行った。
<M値の測定>
疎水化凝集体(二次凝集体)0.2gを容量250mLのビーカー中の50mLのイオン交換水に添加した。続いてビーカー内の溶液をマグネティックスターラーで常時攪拌しながらメタノール(関東化学株式会社、試薬特級、以下同様。)をビュレットからビーカーに壁を伝わせながら徐々に滴下した。疎水化凝集体(二次凝集体)の全量がイオン交換水に懸濁するまで、メタノールの滴下を続けた。疎水化凝集体(二次凝集体)の全量が懸濁された時点でのメタノールの滴下量(g)を記録し、下記式からM値を算出した。
【0190】

M値=(メタノールの滴下量)÷{(メタノールの滴下量)+50}×100

【0191】
<製造例1>
親水性微粒子(p101){沈降法シリカNipsil CX−200(一次粒子径 4nm、二次凝集体の粒子径 1.7μm、BET法による比表面積 750m/g)}100部をヒーター付きヘンシェルミキサー(株式会社三井三池製作所製、容量3L、以下同様。)に入れ、低速撹拌(750rpm)しながら、親油性化合物(m1){デシルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名 KBM−3103C)}1部をメタノール(関東化学株式会社製、試薬1級、以下同様。)50部に溶解した溶液を噴霧した。次いでヘンシェルミキサーを常温(約25℃、以下同じ)にて高速回転(2000rpm)を15分間行い、均一に混合した。次いでヒーターでヘンシェルミキサーを加熱し、80℃にて3時間加熱乾燥処理を行なって、疎水化凝集体(p201)を得た。疎水化凝集体(p201)のM値は35であった。
【0192】
疎水化凝集体(p201)3部とメタノール(関東化学株式会社製、試薬1級、以下同様。)97部を直径40mmののこぎり歯状ディスクインペラーを装着したホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG−92G タイテック(株)製、以下、同様)にて4000rpmにて25±3℃にて15分間攪拌して、分散液(e1)を得た。
【0193】
分散液(e1)300mlを粒径0.7mmのジルコニアビーズ100mlを充填した湿式媒体型粉砕機{DISPERMAT SL−C−12(VMA−GETAMANN GMBH社製、以下同様}にてローター回転数4000rpmにて60分間破砕処理して、両親媒性粒子(a1)のを含む分散液(f1)を得た。
【0194】
次いで分散液(f1)を減圧乾燥(70〜80℃、ローターリーエバポレーター)を減圧乾燥の前後の重量の変化が0.1重量%以下となるまで継続した。次いで130℃の順風乾燥機で90分乾燥し、両親媒性粒子(a1)を得た。
【0195】
<製造例2>
親水性微粒子(p102){沈降法シリカNipsil VN3(一次粒子径 15nm、二次凝集体の粒子径 18μm、BET法による比表面積 200m/g)}100部をヒーター付きヘンシェルミキサーに入れ、低速撹拌(750rpm)しながら、親油性化合物(m2){動粘度(25℃)が20mm/sのジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 KF−96−20cs)}5部を噴霧した。次いでヘンシェルミキサーを20〜25℃の常温にて高速回転(2000rpm)を15分間行い、均一に混合した。次いでヒーターでヘンシェルミキサーを加熱し、230℃にて3時間加熱処理を行なって、疎水化凝集体(p202)を得た。疎水化凝集体(p202)のM値は50であった。
【0196】
次いで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p202)5部」に変更したこと、「メタノール97部」を「エタノール(関東化学株式会社製、試薬1級、以下同様。)95部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e2)を得た。
【0197】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e2)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径1mmのジルコニアビーズ」に変更したこと、「60分間」を「40分間」に変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a2)を含む分散液(f2)及び両親媒性粒子(a2)を得た。
【0198】
<製造例3>
「親水性微粒子(p102)」を「親水性微粒子(p103){沈降法シリカNipsil AZ−204(一次粒子径 10nm、二次凝集体の粒子径 1.3μm、BET法による比表面積 300m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(m2)50部」を「親油性化合物(m3){動粘度(25℃)が10mm/sのジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 KF−96−10cs)}75部」に変更したこと以外、製造例2と同様にして、疎水化凝集体(p203)を得た。疎水化凝集体(p203)のM値は85であった。
【0199】
次いで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p203)25部」に変更したこと、「メタノール97部」を「メタノール75部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e3)を得た。
【0200】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e3)」に変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a3)を含む分散液(f3)及び両親媒性粒子(a3)を得た。
【0201】
<製造例4>
「親水性微粒子(p102)」を「親水性微粒子(p104){沈降法シリカNipsil AY−200(一次粒子径 10nm、二次凝集体の粒子径 2μm、BET法による比表面積 300m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(m2)50部」を「親油性化合物(m4){動粘度(25℃)が50mm/sのジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 KF−96−50cs)}10部」に変更したこと以外、製造例2と同様にして、疎水化凝集体(p204)を得た。疎水化凝集体(p204)のM値は65であった。
【0202】
ついで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p204)10部」に変更したこと、「メタノール97部」を「2−プロパノール(関東化学株式会社、試薬特級、以下同様)90部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e4)を得た。
【0203】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e4)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径1mmのジルコニアビーズ」に変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a4)を含む分散液(f4)及び両親媒性粒子(a4)を得た。
【0204】
<製造例5>
親水性微粒子(p105){沈降法シリカNipsil KQ(一次粒子径 14nm、二次凝集体の粒子径 100μm、BET法による比表面積 220m/g)}100部と疎水性微粒子(m5){変性アマイドワックス(ビックケミージャパン株式会社製、商品名 CERAFLOUR960、体積平均粒子径4μm)}1部をヒーター付きヘンシェルミキサーに入れ、次いでヘンシェルミキサーを常温にて高速回転(2000rpm)を60分間行い、均一に混合した。次いで高速回転を続けたままヒーターでヘンシェルミキサーを加熱し、100℃にて1時間加熱処理を行った後、高速撹拌下で2時間かかけて常温まで冷却して、疎水化凝集体(p205)を得た。疎水化凝集体(p205)のM値は35であった。
【0205】
ついで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p205)1部」に変更したこと、「メタノール97部」を「酢酸エチル(関東化学株式会社、試薬1級)99部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e5)を得た。
【0206】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e5)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径3mmのガラスビーズ」に変更したこと、「60分間」を「20分間」に変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a5)を含む分散液(c5)及び両親媒性粒子(a5)を得た。
【0207】
<製造例6>
「親水性微粒子(p102)」を「親水性微粒子(p106){沈降法シリカNipsil E−220(一次粒子径 25nm、二次凝集体の粒子径 1.6μm、BET法による比表面積 120m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(m2)5部」を「親油性化合物(m2)2部」に変更したこと以外、製造例2と同様にして、疎水化凝集体(p206)を得た。疎水化凝集体(p206)のM値は45であった。
【0208】
ついで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p206)3部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e6)を得た。
【0209】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e6)」に変更したこと、「60分間」を「40分間」変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a6)を含む分散液(f6)及び両親媒性粒子(a6)を得た。
【0210】
<製造例7>
「親水性微粒子(p107){沈降法シリカNipsil NA(一次粒子径 25nm、二次凝集体の粒子径 9μm、BET法による比表面積 110m/g)}100部をヒーター付きヘンシェルミキサーに入れ、低速撹拌(750rpm)しながら、親油性化合物(m6){動粘度(25℃)が100mm/sのジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 KF−96−100cs)}30部をメタノール50部に溶解した溶液を噴霧した。次いでヘンシェルミキサーを常温にて高速回転(2000rpm)を15分間行い、均一に混合した。次いでヒーターでヘンシェルミキサーを加熱し、100℃にて2時間加熱乾燥処理を行なって、疎水化凝集体(p207)を得た。疎水化凝集体(p207)のM値は70であった。
【0211】
ついで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p207)15部」に変更したこと、「メタノール97部」を「2−プロパノール85部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e7)を得た。
【0212】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e7)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径1mmのジルコニアビーズ」に変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a7)を含む分散液(f7)及び両親媒性粒子(a7)を得た。
【0213】
<製造例8>
「親水性微粒子(p102)」を「親水性微粒子(p108){沈降法シリカNipsil E−170(一次粒子径 28nm、二次凝集体の粒子径 3μm、BET法による比表面積 110m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(m6)30部」を「親油性化合物(m6)50部」に変更したこと以外、製造例7と同様にして、疎水化凝集体(p208)を得た。疎水化凝集体(p208)のM値は85であった。
【0214】
ついで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p208)20部」に変更したこと、「メタノール97部」を「エタノール80部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e8)を得た。
【0215】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e8)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径1mmのジルコニアビーズ」に変更したこと、「60分間」を「20分間」に変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、、乾燥して、両親媒性粒子(a8)を含む分散液(f8)及び両親媒性粒子(a8)を得た。
【0216】
<製造例9>
「親水性微粒子(a102)」を「親水性微粒子(a109){沈降法シリカNipsil ER(一次粒子径 30nm、二次凝集体の粒子径 11μm、BET法による比表面積 100m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(m6)30部」を「親油性化合物(m7){動粘度(25℃)が3000mm/sのジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 KF−96−3000cs)}2部」に変更したこと以外、製造例7と同様にして、疎水化凝集体(p209)を得た。疎水化凝集体(p209)のM値は80であった。
【0217】
ついで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p209)25部」に変更したこと、「メタノール97部」を「テトラヒドロフラン(関東化学株式会社製、試薬1級、以下同様。)75部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e9)を得た。
【0218】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e9)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径1mmのジルコニアビーズ」に変更したこと、「60分間」を「20分間」に変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a9)を含む分散液(f9)及び両親媒性粒子(a9)を得た。
【0219】
<製造例10>
「親水性微粒子(p105)」を「親水性微粒子(p110){沈降法シリカNipsil E−743(一次粒子径 60nm、二次凝集体の粒子径 1.5μm、BET法による比表面積 50m/g)}」に変更したこと、「疎水性微粒子(m5)1部」を「疎水性微粒子(m8){変性ポリエチレンワックス(ビックケミージャパン株式会社製、商品名 CERAFLOUR961、体積平均粒子径5μm)}70部」に変更したこと以外、製造例5と同様にして、疎水化凝集体(p210)を得た。疎水化凝集体(p210)のM値は85であった。
【0220】
ついで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p210)30部」に変更したこと、「メタノール97部」を「テトラヒドロフラン70部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e10)を得た。
【0221】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e10)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径3mmのガラスビーズ」に変更したこと、「60分間」を「20分間」に変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a10)を含む分散液(f10)及び両親媒性粒子(a10)を得た。
【0222】
<製造例11>
「親水性微粒子(p105)」を「親水性微粒子(p111){沈降法シリカNipsil E−75(一次粒子径 75nm、二次凝集体の粒子径 2.3μm、BET法による比表面積 40m/g)}」に変更したこと、「疎水性微粒子(m5)1部」を「疎水性微粒子(m8)10部」に変更したこと以外、製造例5と同様にして、疎水化凝集体(p211)を得た。疎水化凝集体(p211)のM値は65であった。
【0223】
ついで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p211)20部」に変更したこと、「メタノール97部」を「エタノール80部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e11)を得た。
【0224】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e11)」に変更したこと、「粒径1mmのジルコニアビーズ」を「粒径1mmのガラスビーズ」に変更したこと、「60分間」を「20分間」に変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a11)を含む分散液(f11)及び両親媒性粒子(a11)を得た。
【0225】
<製造例12>
「疎水性微粒子(m5)1部」を「疎水性微粒子(m5)65部」に変更したこと以外、製造例5と同様にして、疎水化凝集体(p212)を得た。疎水化凝集体(p212)のM値は75であった。
【0226】
ついで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p212)25部」に変更したこと、「メタノール97部」を「テトラヒドロフラン75部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e12)を得た。
【0227】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e12)」に変更したこと、「粒径1mmのジルコニアビーズ」を「粒径3mmのガラスビーズ」に変更したこと、「60分間」を「20分間」に変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a12)を含む分散液(f12)及び両親媒性粒子(a12)を得た。
【0228】
<製造例13>
「親水性微粒子(p102)」を「親水性微粒子(p112){熱分解法シリカAerosil 50(一次粒子径 30nm、二次凝集体の粒子径 0.52μm、BET法による比表面積 50m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(m2)5部」を「親油性化合物(m3)80部」に変更したこと以外、製造例2と同様にして、疎水化凝集体(p213)を得た。疎水化凝集体(p213)のM値は70であった。
【0229】
ついで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p213)25部」に変更したこと、「メタノール97部」を「メタノール75部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e13)を得た。
【0230】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e13)」に変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a13)を含む分散液(f13)及び両親媒性粒子(a13)を得た。
【0231】
<製造例14>
「親水性微粒子(p102)」を「親水性微粒子(p113){ゲル法シリカNipgel CX−200(一次粒子径 5nm、二次凝集体の粒子径 2.1μm、BET法による比表面積 750m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(m2)5部」を「親油性化合物(m3)2部」に変更したこと以外、製造例2と同様にして、疎水化凝集体(p214)を得た。疎水化凝集体(p214)のM値は30であった。
【0232】
ついで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p214)10部」に変更したこと、「メタノール97部」を「2−プロパノール90部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e14)を得た。
【0233】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e14)」に変更したこと以外、製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a14)を含む分散液(f14)及び両親媒性粒子(a14)を得た。
【0234】
<製造例15>
「親水性微粒子(p114){燃焼法アルミナ Aeroxide AluC(一次粒子径13nm、二次凝集体の粒子径 0.18μm、BET法による比表面積 100m/g)}」100部をヒーター付きヘンシェルミキサーに入れ、低速撹拌(750rpm)しながら、親油性化合物(m9){25℃での粘度が80mm/sのアルコキシ変性ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 X−40−9225)}2部をメタノール50部に溶解した溶液を噴霧した。次いでヘンシェルミキサーを常温にて高速回転(2000rpm)を15分間行い、均一に混合した。次いでヒーターでヘンシェルミキサーを加熱し、100℃にて2時間加熱乾燥処理を行なって、疎水化凝集体(p215)を得た。疎水化凝集体(p215)のM値は30であった。
【0235】
ついで、「疎水化凝集体(p201)3部」を「疎水化凝集体(p215)3部」に変更したこと以外、製造例1と同様に撹拌して、分散液(e15)を得た。
【0236】
次いで「分散液(e1)」を「分散液(e15)」に変更したこと以外、実施製造例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(a15)を含む分散液(f15)及び両親媒性粒子(a15)を得た。
【0237】
<比較製造例1>
親水性微粒子(p111)100部をヒーター付きヘンシェルミキサーに入れ、低速撹拌(750rpm)しながら、親油性化合物(m2)5部を噴霧した。次いでヘンシェルミキサーを20〜25℃の常温にて高速回転(2000rpm)を15分間行い、均一に混合した。次いでヒーターでヘンシェルミキサーを加熱し、230℃にて3時間加熱処理を行ない、比較用粒子(hp1)を得た。比較用粒子(hp1)のM値は50であった。
【0238】
製造例1〜15で得られた両親媒性粒子(a1〜a15)及び比較製造例1で得られた比較用粒子(hp1)について、体積平均粒子径をレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、Partica LA−950)にて測定した結果を表1に示した。なお、両親媒性粒子(a1〜a15)については、分散液(f1〜f15)に含まれる両親媒性粒子の体積平均粒子径を測定し、粒子(hp1)については粒子1部を2−プロパノール99部に超音波分散機を用いて分散した分散液に含まれる粒子の体積平均粒子径を測定した。
【0239】
【表1】



【0240】
製造例1〜15で得られた両親媒性粒子(a1〜a15)1部を2−プロパノール99部に超音波分散機を用いて出力70%にて1分間分散して得た1重量%の分散液0.02gを、イオン交換水5cmとn−ヘキサン5cmとの入った試験管に加えて60分間静置したところ、イオン交換水とn−ヘキサンとの界面に本発明の両性媒体粒子の集合層が形成され、その上層と下層は両親媒性粒子を含まない清浄な層であった。このことから、粒子表面が親水性表面と疎水性表面とに二分割されていると考えられる。
【0241】
比較製造例1で得られた比較用粒子(hp1)、後記の比較製造例3で使用した比較用粒子(hp2){火炎燃焼法シリカを疎水化した微粒子 Aerosil R974(二次凝集体の粒子径 1.2μm、BET法による比表面積 170m/g、M値40、日本アエロジル株式会社製)}及び後記の比較製造例4で使用した比較用粒子(hp3){沈降法シリカを疎水化した微粒子 Nipsil SS−50F(二次凝集体の粒子径 1.1μm、BET法による比表面積 180m/g、M値60、東ソーシリカ株式会社製)}1部を2−プロパノール99部に超音波分散機を用いて出力70%にて1分間分散して得た1重量%の分散液0.02gを、イオン交換水5cmとn−ヘキサン5cmとの入った試験管に加えて60分間静置したところ、粒子はn−ヘキサン層に分散し、n−ヘキサン層全体が白濁した。このことから、粒子表面が親水性表面と疎水性表面とに二分割されていないと考えられる。
【0242】
(両親媒性粒子油性分散体(do)の作成)
<製造例16>
ロータリーエバポレーターに取り付けたナスフラスコに、製造例1で得られた両親媒性粒子(a1)を含む分散液(f1)100部と、油性成分(b1){動粘度(40℃)がが21mm/sの鉱物油(コスモ石油ルブリカンツ株式会社製、商品名 コスモSC22)}97部を入れ、常圧(およそ101kPa)のまま加熱して、90℃に到達した後、その温度を維持したまま12kPaの圧力まで徐々に減圧しながら有機溶剤(メタノール)を留去した。有機溶剤(メタノール)の留去が無くなってから30分後に留去操作を中止した。この時点で留去された有機溶剤(メタノール)の重量は97部、反応容器に残った液の重量は100部であった。その後、反応容器に残った液について、超音波分散機(Hielscher Ultrasonics社製、Ultrasonic Processor UP400S、以下同様。)を用いて出力70%にて1分間分散を行い、両親媒性粒子油性分散体(do1)を得た。
【0243】
<製造例17>
「製造例1で得られた両親媒性粒子(a1)を含む分散液(f1)100部」を「製造例2で得られた両親媒性粒子(a2)を含む分散液(f2)100部」に、「油性成分(b1)97部」を「油性成分(b2){動粘度(25℃)が500mm/sのジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 KF96−500cs)}95部」に、「油性成分(b1)97部」を「油性成分(b1)75部」に変更したこと以外、製造例16と同様にして、両親媒性粒子油性分散体(do2)を得た。
【0244】
<製造例18>
「製造例1で得られた両親媒性粒子(a1)を含む分散液(f1)100部」を「製造例3で得られた両親媒性粒子(a3)を含む分散液(f3)100部」に変更したこと以外、製造例16と同様にして、両親媒性粒子油性分散体(do3)を得た。
【0245】
(両親媒性粒子水分散体(dw)の作成)
<製造例19>
加熱、撹拌装置付きの減圧可能な反応容器に、製造例4で得られた両親媒性粒子(a4)を含む分散液(f4)100部と、イオン交換水90部を入れ、常圧(およそ101kPa)のまま加熱して、80℃に到達した後、その温度を維持したまま70kPaの圧力まで徐々に減圧しながら有機溶剤(2−プロパノール)を留去した。有機溶剤(2−プロパノール)の留去が無くなってから60分後に留去操作を中止した。この時点で留去された有機溶剤(2−プロパンール)の重量は90部、反応容器に残った液の重量は100部であった。その後、反応容器に残った液について、超音波分散機を用いて出力70%にて1分間分散を行い、両親媒性粒子水分散体(dw4)を得た。
【0246】
<製造例20〜23>
「製造例4で得られた両親媒性粒子(a4)を含む分散液(f4)」を表2に記載した「両親媒性粒子を含む分散液」に、イオン交換水の使用量「90部」を表2に記載したイオン交換水の使用量に変更したこと以外、製造例19と同様にして、両親媒性粒子水分散体(dw5)〜(dw8)を得た。
【0247】
【表2】



【0248】
<製造例24>
製造例9で得られた両親媒性粒子(a9)25部とイオン交換水75部とを超音波分散機を用いて出力70%にて3分間分散を行い、両親媒性粒子水分散体(dw9)を得た。
【0249】
<製造例25〜27>
「製造例9で得られた両親媒性粒子(a9)」を表3に記載した「両親媒性粒子」に、両親媒性粒子の使用量「25部」を表3に記載した「両親媒性粒子の使用量」に、イオン交換水の使用量「75部」を表3に記載したイオン交換水の使用量に変更したこと以外、製造例24と同様にして、両親媒性粒子水分散体(dw10)〜(dw12)を得た。
【0250】
【表3】



【0251】
(比較用粒子油性分散体の作成)
<比較製造例2>
比較製造例1で得られた比較用粒子(hp1)10部と油性成分(b1)90部とを超音波分散機を用いて出力70%にて3分間分散を行い、比較用粒子油性分散体(hdo1)を得た。
【0252】
<比較製造例3>
疎水性微粒子(hp2)10部と油性成分(b2)90部とを超音波分散機を用いて出力70%にて3分間分散を行い、比較用粒子油性分散体(hdo2)を得た。
【0253】
(比較用粒子水分散体の作成)
<比較製造例4>
疎水性微粒子(hp3)10部とイオン交換水90部とを超音波分散機を用いて出力70%にて3分間分散を行い、比較用粒子水分散体(hdw3)を得た。
【0254】
<実施例1>
製造例16で得られた両親媒性粒子油性分散体(do1)をこのまま本発明の消泡剤組成物(df1)とした。
【0255】
<比較例1>
比較製造例2で得た比較用粒子油性分散体(hdo1)をこのまま比較用の消泡剤組成物(hdf1)とした。
【0256】
<実施例2〜15、比較例2〜3>
表4及び表5に記載した各成分を一括で内径41mm、容量170mlのガラス容器に入れ、25±3℃にてペイントシェーカー(Red Devil Equipment社製、商品名 1400 classic shaker)を使用して30分間振とうして乳化分散を行い、本発明の消泡剤組成物(df2〜df15;乳化分散型消泡剤組成物)及び比較用の消泡剤組成物(hdf2、hdf3;乳化分散型消泡剤組成物)を調製した。
【0257】
<比較例4>
内径41mm、容量170mlのガラス容器に入れたステアリルアルコール(SASOL社製、商品名 Nacol 18−98)22.50部を75±3℃に加熱溶融した。次いで炭酸カルシウム(白石工業株式会社製、商品名 Brilliant−1500)7.50部を加え、75±5℃を維持したまま直径40mmののこぎり歯状ディスクインペラーを装着したホモジナイザーを用いて4000rpmにて10分間撹拌して混合した。次いで75±3℃を維持したまま3000rpmでの撹拌を行いながら75±3℃に温調した温水69.94部をスポイトを用いて徐々に滴下して乳化分散液を作成した。次いで乳化分散液にウェラガム(三晶株式会社製、商品名 K1A96)0.06部を加えて冷却し、比較用の消泡剤組成物(hdf4;o/w型消泡剤組成物)を得た。
【0258】
なお、表4及び表5中の各成分に対応する数値は重量部を表し、油性成分(b3)は以下のようにして得たオイルコンパウンドである。
【0259】
<油性成分(b3)の作成>
動粘度(40℃)5mm2/sの鉱物油{商品名 コスモピュアスピンE、コスモ石油ルブリカンツ株式会社製}930部、沈降法シリカを疎水化した微粒子{商品名 Nipsil SS−10、東ソーシリカ株式会社製}70部を、加熱、攪拌、冷却の可能な容器に投入した後、攪拌しつつ50℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間加熱攪拌を続けた。さらにインペラー型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザーED−7(株式会社日本精機製作所製)にて4000rpmにて15分間攪拌し、分散度試験{JISK5600−2−5:1999(ISO 1524:1983に対応)}にて5ミクロン以上の粒の無いことを確認して油性成分(b3)を得た。
【0260】
実施例2〜15で得た消泡剤組成物(df2〜df15)及び比較例2〜3で得た比較用の消泡剤組成物(hdf2、3)の型を、以下のようにして判別し、表4及び表5に記載した。
【0261】
<消泡剤組成物の乳化分散型の判別>
消泡剤組成物1滴(およそ0.05g)をスポイトを用いて、およそ1mlのイオン交換水に滴下した。消泡剤組成物がイオン交換水中へ容易に拡散して混ざりあったものを水中油(O/W)型とし、イオン交換水と分離したままのもの又は消泡剤組成物が液滴のまま留まったものを油中水(W/O)型とした。なお、比較例2〜3で得た比較用の消泡剤組成物(hdf2、3)はゲル状物であり乳化不良であり、型は不明であった。
【0262】
【表4】



【0263】
【表5】



【0264】
実施例1〜15、比較例1〜3で得た消泡剤組成物について、以下のようにして消泡性(初期消泡性及び持続消泡性)を評価し、その結果を表6に記載した。なお、表中に本発明の消泡剤組成物に含まれる両親媒性粒子(a)、油性成分(b)及び水(c)の含有量(重量%)を記載した。
【0265】
<初期消泡性>
市販のラテックスエマルション(JSR0696、JSR株式会社製)100部をイオン交換水100部で希釈して作成した発泡性液体200mLを内径50mm×高さ350mmのガラス製メスシリンダーに入れ、測定試料(消泡剤組成物)0.1gを添加し、JIS K2518:2003年の泡立ち試験に準じて、デフューザーストーンを液の底部まで挿入して空気を1000mL/分で通気し、30秒後の底部から泡面までの高さ(mm、液面高さ)を読み取った。消泡剤組成物を含まない発泡性液体についても同様の試験(ブランク試験)を行い下記式を用いて初期消泡性を算出した。この値が大きい程、発生した泡量が少なく、初期消泡性が良好となる。
【0266】

初期消泡性(%)={(ブランク試験での液面高さ)−(消泡剤組成物添加後の試験での液面高さ)}÷(ブランク試験での液面高さ)

【0267】
<持続消泡性>
初期消泡性を測定した消泡剤組成物を含む発泡性液体及びブランク試験に用いた発泡性液体をそれぞれ密閉容器に入れ50℃にて1週間保管後、初期消泡性と同様の試験を行い、下記式で算出した値を持続消泡性として評価した。
【0268】

持続消泡性(%)={(ブランク試験での液面高さ)−(消泡剤組成物を含む発泡性液体での液面高さ)}÷(ブランク試験での液面高さ)

【0269】
【表6】



【0270】
本発明の消泡剤組成物(df1〜df15)は、比較用消泡剤組成物(hdf1〜hdf4)に比較して、持続消泡性に著しく優れていることを確認できた。また、水(c)を含む消泡剤組成物(df2〜df15)は初期消泡性にも著しく優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0271】
本発明の消泡剤組成物は、水を含む被添加液等に適用でき、紙パルプ工業、食品工業、繊維工業、塗料工業、インク工業、接着剤工業、石油工業並びにラテックス製造工程及び排水処理工程等の消泡剤として使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両親媒性粒子(a)及び油性成分(b)を含む消泡剤組成物であって、
両親媒性粒子(a)が、シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子と、疎水性微粒子とからなる二次凝集粒子からなり、二次凝集粒子の表面が、親水性表面と疎水性表面とに二分割されていることを特徴とする消泡剤組成物。
【請求項2】
両親媒性粒子(a)及び油性成分(b)の重量に基づいて、両親媒性粒子(a)の含有量が0.1〜15重量%、油性成分(b)の含有量が85〜99.9重量%である請求項1に記載の消泡剤組成物。
【請求項3】
さらに水(c)を含む請求項1又は2に記載の消泡剤組成物。
【請求項4】
水(c)の含有量が両親媒性粒子(a)及び油性成分(b)の重量に基づいて、5〜400重量%である請求項3に記載の消泡剤組成物。
【請求項5】
乳化分散型である請求項3又は4に記載の消泡剤組成物。

【公開番号】特開2011−218304(P2011−218304A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90976(P2010−90976)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】