説明

消火装置

【課題】十分な消火能力を保持しつつ、タンクを小型化した消火装置を提供すること。
【解決手段】消火装置30は、水又は消火剤を放出して消火を行う消火装置30であって、消火装置30の外部において消火以外の目的に用いられる水を収容する水槽10から取得した水を放出する放出部32と、消火剤を収容する消火剤タンク31と、放出部32が放出する放出対象を、水槽10から取得した水又は消火剤タンク31から取得した消火剤のいずれかに切替える切替制御を行う切替制御部34bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水又は消火剤を放出して消火を行う消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給水タンクや消火剤タンクから放出ノズルを介して水や消火剤を放出する消火装置が用いられている。このような消火装置としては、例えば消火剤タンク内に消火剤と圧縮ガスとを封入し、圧縮ガスの圧力により消火剤を消火剤タンクから放出ノズルに供給させる蓄圧式消火装置が用いられている。
【0003】
さらに、蓄圧式消火装置の放出ノズルを開放させるために用いる加圧ガスを、加圧ガスが貯留された加圧ガス貯蔵部から消火剤タンクにも供給し、消火剤を吐出させるガス圧の補充のために使用することにより、消火剤の放出のための圧力を長時間維持することを可能とした消火システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、圧縮ガスを利用しない消火装置として、例えば、給水ポンプによって給水タンクから噴出ノズルへと水を給水し、噴出ノズルから水を吐出させる消火ロボットが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−287678号公報(段落0008〜0010)
【特許文献2】特開平10−127805号公報(段落0009〜0010)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の如き従来の消火システムや消火ロボットでは、消火活動を行うために十分な量の水や消火剤をタンクに収容する必要があることから、タンクの容積が増大してしまっていた。これに伴い、消火装置の大型化を招き、設置場所の選択に制約が生じる可能性があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、十分な消火能力を保持しつつ、タンクを小型化した消火装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の消火装置は、水又は消火剤を放出して消火を行う消火装置であって、当該消火装置の外部において消火以外の目的に用いられる水を収容する水収容手段から取得した当該水を放出する放出手段を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の消火装置は、請求項1に記載の消火装置において、前記消火剤を収容する消火剤収容手段と、前記放出手段が放出する放出対象を、前記水収容手段から取得した水又は前記消火剤収容手段から取得した消火剤のいずれかに切替える切替制御を行う切替制御手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の消火装置は、請求項2に記載の消火装置において、当該消火装置の消火対象を特定する特定手段を備え、前記切替制御手段は、前記特定手段にて特定された消火対象に基づいて前記切替制御を行うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の消火装置は、請求項2又は3に記載の消火装置において、前記放出手段は、前記水収容手段から取得した前記水と、前記消火剤収容手段から取得した前記消火剤とを、相互に混合して放出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の消火装置は、請求項2から4のいずれか一項に記載の消火装置において、前記切替制御手段は、前記水収容手段に収容されている水又は前記消火剤収容手段に収容されている消火剤の残量に基づいて前記切替制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の本発明によれば、消火装置の外部において消火以外の目的に用いられる水を収容する水収容手段から取得した水を放出するので、十分な量の水を消火用水として用いることができる。従って、消火装置の内部に大型のタンクを備える必要が無く、タンクを小型化した消火装置を実現することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の本発明によれば、切替制御手段が、放出手段が放出する放出対象を水収容手段から取得した水又は消火剤収容手段から取得した消火剤のいずれかに切替える切替制御を行うので、状況に応じて水又は消火剤のどちらでも放出させることができ、適切な消火を行うことができる。
【0015】
また、請求項3に記載の本発明によれば、切替制御手段は、特定手段にて特定された消火対象に基づいて切替制御を行うので、消火対象の消火に適した水又は消火剤を選択して放出させることができる。
【0016】
また、請求項4に記載の本発明によれば、放出手段は、水と消火剤とを相互に混合して放出するので、濃度を高めた少量の消火剤と水とを混合することで十分な量の消火剤を確保することができ、消火剤タンクの小型化を実現することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の本発明によれば、切替制御手段は、水収容手段に収容されている水又は消火剤収容手段に収容されている消火剤の残量に基づいて切替制御を行うので、水又は消火剤を使い切った場合でも、他の水又は消火剤を用いて消火動作を継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る消火装置の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について順次説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態に係る消火装置は、水又は消火剤を放出して消火を行うことを目的とするものである。
【0020】
実施の形態に係る消火装置の設置対象は任意であり、例えば、一般住宅における台所、寝室、居間等の各部屋や、養護施設、病院等の公共施設、あるいは、ビルや工場等の大規模建築物に設置することができる。また、実施の形態に係る消火装置の使用態様は任意であり、例えば、スタンドアロン型の消火装置として使用することができ、あるいは、警備用ロボット等の他の機器に搭載して使用することもできる。
【0021】
実施の形態に係る消火装置の特徴の一つは、概略的に、消火装置の外部において消火以外の目的に用いられる水を収容する水収容手段から取得した水を放出する放出手段を備えていることにある。従って、消火装置の内部に大型の消火剤タンクを備える必要が無い。すなわち、十分な量の消火用水を確保しつつ、消火剤タンクを小型化した消火装置を実現することができる。なお、実施の形態における「消火剤」とは、強化液や機械泡等、消火に用いることができる水以外の液体や粉体全般を含む概念を示す。
【0022】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0023】
(消火システムの構成)
まず、消火システムの構成を説明する。図1は消火システムの外観を示した斜視図、図2は消火システムの構成を機能概念的に示したブロック図である。図2に示すように、消火システム1は、水槽10、火災センサ20、及び消火装置30を備えている。
【0024】
(消火システムの構成−水槽)
水槽10は、消火装置30の外部において消火以外の目的に用いられる水(以下、「水槽水」と称する)を収容する水収容手段であり、図1に示すように、消火装置30が当該水槽10の上部に設置されている。この水槽10の用途は任意であり、例えば観賞魚用、浄水器用、又は加湿器用の水槽10に消火装置30を設置することができる。本実施の形態では、観賞魚用水槽に消火装置30を設置した場合について説明する。
【0025】
(消火システムの構成−火災センサ)
火災センサ20は、火災の発生を検知する火災検知手段であり、消火装置30と通信可能に接続されている。火災センサ20は、火災の発生を検知した場合、火災発生を示す検知信号を出力すると共に、火災が発生した位置を特定し、当該特定した位置を示す位置情報を出力する。
【0026】
この火災センサ20の具体的構成は任意であり、例えば赤外線センサや紫外線センサを用いて炎から発せられる赤外光や紫外光を検出し、検出した光量やその変化と予め設定した検知基準との比較に基づき火災発生を検知する。また、検出視野をレンズなどで絞った赤外線センサや紫外線センサによって監視領域を走査することで、火災発生位置を特定することができる。あるいは、赤外線カメラやCCDカメラ等の2次元センサを用いて監視領域の画像を撮像し、この画像に基づいて火災発生位置を特定することもできる。
【0027】
(消火システムの構成−消火装置)
消火装置30は、図2に示すように、消火剤タンク31、放出部32、通信部33、制御部34、及び記録部35を備えている。
【0028】
(消火装置の構成−消火剤タンク)
消火剤タンク31は、消火剤を収容する消火剤収容手段であり、消火装置30の内部に設けられている。消火剤タンク31の具体的な構成は任意であり、例えば樹脂を成型加工して形成することができる。また、消火剤タンク31が収容する消火剤は任意で、強化液や機械泡等の消火剤を収容することができる。また、水と混合することにより適切な濃度となるように濃度を高めた強化液等の消火剤を収容することもできる。さらに、相互に異なる消火剤を収容する複数の消火剤タンク31を設けることもできる。
【0029】
(消火装置の構成−放出部)
放出部32は、消火剤を放出する放出手段であり、放出ノズル32a、ポンプ32b、及び混合部32cを備えている。放出ノズル32aは、消火剤を放出する放出口である。放出ノズル32aの具体的な構成は任意であり、例えば水や強化液に対応した噴霧ノズルや、機械泡に対応した泡ノズル等を用いることができる。
【0030】
ポンプ32bは、制御部34による制御に応じて、水槽水を水槽10から吸引し、又は消火剤を消火剤タンク31から吸引し、放出ノズル32aに供給する。このポンプ32bの具体的構成は任意で、公知のポンプを用いることができる。また、ポンプ32bと消火剤タンク31との間、及びポンプ32bと水槽10との間に公知の電磁弁(図示省略)を設けることにより、ポンプ32bが水槽水を吸引する水槽10又は消火剤を吸引する消火剤タンク31を当該電磁弁を介して切り替えることができる。
【0031】
混合部32cは、ポンプ32bが水槽10から吸引した水槽水と消火剤タンク31から吸引した消火剤とを相互に混合するためのものである。この混合部32cの具体的な構成は任意であり、例えば相互に異なる流路から流入した水槽水と消火剤とを1つの流路に合流させるY字型流路を用いて構成することができる。
【0032】
(消火装置の構成−通信部)
通信部33は、火災センサ20との間で火災に関する情報の通信を行なうための通信手段である。通信する情報の具体的な内容は任意であり、例えば、火災発生を示す検知信号や、火災発生位置を示す位置情報等を火災センサ20から受信する。また、具体的な通信方法は任意であり、例えば無線や有線により通信を行なうことができる。
【0033】
(消火装置の構成−制御部)
制御部34は、消火装置30の動作を制御するための制御手段であり、特定部34a、及び切替制御部34bを備えている。特定部34aは、消火装置30の消火対象を特定する特定手段である。切替制御部34bは、特定部34aが特定した消火対象に基づき、放出部32に放出させる水槽水又は消火剤の切替制御を行う切替制御手段である。これらの制御部34の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0034】
なお、制御部34の具体的構成は任意であるが、例えば、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定した組み込みプログラム、所要データを格納するための内部メモリ、及び、これらのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)を備えて構成される。
【0035】
(消火装置の構成−記録部)
記録部35は、制御部34によって実行される各種処理に必要なデータ、例えば制御部34が放出部32の制御を行う際に参照する制御テーブル等を記録する記録手段である。図3は制御テーブルを例示した表である。
【0036】
制御テーブルは、図3に例示するように、テーブル項目として「分割領域」、「消火対象」、及び「放出対象」を備え、これらに対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「分割領域」に対応して格納される情報は、火災センサ20の監視領域において、所定の大きさに分割された各分割領域の範囲を特定するための情報であり、例えば各領域の位置を示す座標値(図3では、(X,Y)〜(X,Y)等)が格納される。項目「消火対象」に対応して格納される情報は、各分割領域において火災が発生した場合の消火対象を特定するための情報であり、例えば消火対象の名称(図3ではゴミ箱、床、ガスコンロ等)が格納される。項目「放出対象」に対応して格納される情報は、各消火対象の消火に適して放出される対象を特定するための情報であり、各消火対象の消火に最適なものと、最適ではないが使用可能なものとのそれぞれについて、例えば水又は消火剤の種別名や組み合わせ(図3では水槽水、消火剤、消火剤+水槽水)が格納される。また、消火対象の消火に最適な水又は消火剤の他に使用可能な水又は消火剤が無い場合は、その旨を示す情報(図3では「なし」)が格納される。
【0037】
この制御テーブルに格納される情報を記録部35に記録する方法やタイミングは任意であり、例えば消火装置30の製造段階において所定の入力手段を介して記録することができる。なお、記録部35の具体的な構成は任意であり、例えば、フラッシュメモリの如き書き換え可能な記憶手段を用いて構成することができる。
【0038】
(消火装置による処理)
次に、このように構成された消火装置30が実行する消火処理について説明する。図4は消火処理の流れを示すフローチャートである。この消火処理が起動されるタイミングは任意であり、例えば、火災センサ20から火災を検知した旨の検知信号を通信部33を介して受信した場合に消火処理が起動される。
【0039】
消火処理が起動されると、特定部34aは通信部33を介して火災センサ20から受信した位置情報に基づき、火災発生位置を特定する(ステップSA−1)。続いて特定部34aは制御テーブルを参照し(ステップSA−2)、火災発生位置が含まれる分割領域に対応する消火対象を特定し、当該消火対象に対応する放出対象(すなわち水又は消火剤のいずれかあるいは両方)を特定する(ステップSA−3)。
【0040】
切替制御部34bは、特定部34aが特定した水又は消火剤をポンプ32bによって吸引させ、放出ノズル32aから放出させる(ステップSA−4)。
【0041】
図3に示した例では、消火対象がゴミ箱であった場合、切替制御部34bは水槽10及び消火剤タンク31とポンプ32bとの間に設けられた電磁弁を制御し、水槽水をポンプ32bに吸引させ、放出ノズル32aから放出させる。
【0042】
また、消火対象が床であった場合、切替制御部34bは水槽10及び消火剤タンク31とポンプ32bとの間に設けられた電磁弁を制御し、消火剤をポンプ32bに吸引させ、放出ノズル32aから放出させる。
【0043】
また、消火対象がガスコンロであった場合、切替制御部34bは電磁弁を制御し、水槽水及び消火剤タンク31が収容している消火剤の双方をポンプ32bに吸引させる。そして、混合部32cにて混合された水槽水及び消火剤を放出ノズル32aから放出させる。
【0044】
図4に戻り、切替制御部34bは、ステップSA−4において水又は消火剤を放出ノズル32aから放出させると共に、当該放出させている水を収容している水槽10又は消火剤を収容している消火剤タンク31に残量が有るか否かを判定する(ステップSA−5)。当該判定の具体的な処理方法は任意であり、例えば水槽10や消火剤タンク31に設けられた公知の残量センサからの出力に基づいて判定することができる。この残量センサは、例えば、水槽10に取り付ける場合には、当該水槽10中の生物が生存できる水量を少なくとも残すように設定する。この残量センサの残量検知閾値は、任意に設定変更できる。
【0045】
判定の結果、残量が有る場合(ステップSA−5、Yes)、切替制御部34bは消火が完了したか否かを判定し(ステップSA−6)、消火が完了した場合(ステップSA−6、Yes)、消火処理を終了する。一方、消火が完了していない場合(ステップSA−6、No)、ステップSA−4に戻り、水又は消火剤をポンプ32bによって吸引させ、放出ノズル32aから放出させる(ステップSA−4)。なお、ステップSA−6における判定の具体的な処理方法は任意であり、例えば所定の操作手段を介して消火が完了した旨の操作入力がされた場合、消火が完了したものと判定することができる。
【0046】
ステップSA−5の判定の結果、残量が無い場合(ステップSA−5、No)、切替制御部34bは制御テーブルを参照し、ステップSA−3で特定した消火対象について、ステップSA−4で放出ノズル32aから放出させたものとは異なる他の水又は消火剤を使用可能か否かを判定する(ステップSA−7)。その結果、他の水又は消火剤を使用可能な場合(ステップSA−7、Yes)、切替制御部34bは、当該使用可能な他の水又は消火剤をポンプ32bによって吸引させ、放出ノズル32aから放出させる(ステップSA−4)。一方、他の水又は消火剤を使用可能ではない場合(ステップSA−7、No)、切替制御部34bは消火処理を終了する。この際、使用可能な水又は消火剤が無いために消火動作の継続ができない旨の案内情報を、所定の出力手段を介して出力させてもよい。
【0047】
図3に示した例では、消火対象がゴミ箱であった場合で、水槽水を放出ノズル32aから放出させたことにより水槽10における水槽水の残量が無くなった場合、切替制御部34bは電磁弁を制御し、消火剤タンク31が収容している消火剤をポンプ32bに吸引させ、放出ノズル32aから放出させる。
【0048】
また、消火対象が床であった場合で、消火剤を放出ノズル32aから放出させたことにより消火剤タンク31における消火剤の残量が無くなった場合、切替制御部34bは電磁弁を制御し、水槽10が収容している水槽水をポンプ32bに吸引させ、放出ノズル32aから放出させる。
【0049】
また、消火対象がガスコンロであった場合で、混合部32cにて混合された水槽水及び消火剤を放出ノズル32aから放出させたことにより、当該水槽水又は消火剤の残量が無くなった場合、ガスコンロについて使用可能な他の水又は消火剤が存在しないため、切替制御部34bは消火処理を終了する。
【0050】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、消火装置30の外部において消火以外の目的に用いられる水を収容する水槽10から取得した水槽水を放出するので、十分な量の水槽水を消火用水として用いることができる。従って、消火装置30の内部に大型のタンクを備える必要が無く、タンクを小型化した消火装置30を実現することができる。
【0051】
また、切替制御部34bが、放出部32が放出する放出対象を水槽水又は消火剤のいずれかに切替える切替制御を行うので、状況に応じて水槽水又は消火剤のどちらでも放出させることができ、適切な消火を行うことができる。
【0052】
また、切替制御部34bは、特定部34aにて特定された消火対象に基づいて切替制御を行うので、消火対象の消火に適した水槽水又は消火剤を選択して放出させることができる。
【0053】
また、放出部32は、水槽水と消火剤とを相互に混合して放出するので、濃度を高めた少量の消火剤と水槽水とを混合することで十分な量の消火剤を確保することができ、消火剤タンク31の小型化を実現することができる。
【0054】
また、切替制御部34bは、水槽10に収容されている水又は消火剤タンク31に収容されている消火剤の残量に基づいて切替制御を行うので、水槽水又は消火剤を使い切った場合でも、他の水槽水又は消火剤を用いて消火動作を継続することができる。
【0055】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0056】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0057】
(水槽について)
上述の実施の形態では、消火装置30は水槽10の上部に設置されていると説明したが、消火装置30と水槽10とを分離して設置し、所定の配管を介して当該水槽10から水槽水をポンプ32bが吸引するようにしてもよい。また、消火装置30と複数の水槽10とを配管や電磁弁等を介して接続し、切替制御部34bの制御に基づいて、これらの水槽10から順次、あるいは同時に水槽水をポンプ32bが吸引するように構成してもよい。
【0058】
(消火剤タンクについて)
上述の実施の形態では、消火装置30の内部に消火剤タンク31が設けられていると説明したが、消火装置30の外部に消火剤タンク31を設置し、所定の配管を介して当該消火剤タンク31から消火剤をポンプ32bが吸引するようにしてもよい。また、消火装置30の外部に複数の消火剤タンク31を設置し、切替制御部34bの制御に基づいて、これらの消火剤タンク31から順次消火剤をポンプ32bが吸引するように構成してもよい。さらに、消火装置30に消火剤タンク31を設けず、放出部32が水槽水のみを放出するようにしてもよい。
【0059】
(特定部について)
上述の実施の形態では、特定部34aは制御テーブルを参照し、火災センサ20にて特定された火災発生位置が含まれる分割領域に対応する消火対象を特定すると説明したが、カメラを用いて火災センサ20の監視領域を撮像し、その撮像データを画像解析することにより、火源となっている消火対象を特定させてもよい。あるいは、消火対象を特定するための情報を公知の操作手段を介して外部から制御部34に入力し、当該情報に基づき消火対象を特定させてもよい。
【0060】
(適用対象について)
本発明の消火装置を加湿器や浄水器に適用する場合は、加湿用のノズルと消火用のノズルを切り換えて放水もしくは加湿を行うようにしてもよく、ポンプや配管を共通にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】消火システムの外観を示した斜視図である。
【図2】消火システムの電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。
【図3】制御テーブルを例示した表である。
【図4】消火処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 消火システム
10 水槽
20 火災センサ
30 消火装置
31 消火剤タンク
32 放出部
32a 放出ノズル
32b ポンプ
32c 混合部
33 通信部
34 制御部
34a 特定部
34b 切替制御部
35 記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水又は消火剤を放出して消火を行う消火装置であって、
当該消火装置の外部において消火以外の目的に用いられる水を収容する水収容手段から取得した当該水を放出する放出手段、
を備えることを特徴とする消火装置。
【請求項2】
前記消火剤を収容する消火剤収容手段と、
前記放出手段が放出する放出対象を、前記水収容手段から取得した水又は前記消火剤収容手段から取得した消火剤のいずれかに切替える切替制御を行う切替制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の消火装置。
【請求項3】
当該消火装置の消火対象を特定する特定手段を備え、
前記切替制御手段は、
前記特定手段にて特定された消火対象に基づいて前記切替制御を行うこと、
を特徴とする請求項2に記載の消火装置。
【請求項4】
前記放出手段は、
前記水収容手段から取得した前記水と、前記消火剤収容手段から取得した前記消火剤とを、相互に混合して放出すること、
を特徴とする請求項2又は3に記載の消火装置。
【請求項5】
前記切替制御手段は、
前記水収容手段に収容されている水又は前記消火剤収容手段に収容されている消火剤の残量に基づいて前記切替制御を行うこと、
を特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の消火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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