説明

消火装置

【課題】圧力調整器や逃がし弁などを装置から取り外すことなく、消火装置の機能点検を行えるようにすること。
【解決手段】加圧用ガスボンベと、前記加圧用ガスボンベに接続される圧力調整器と、該圧力調整器に接続され、内部に充填された消火剤を放出する消火剤充填容器と、該消火剤充填容器に基端が接続され、先端に設けられた消火用ノズルから消火剤を噴射する消火用ホースと、前記消火剤充填容器内の平常時の昇圧を防止し、また、前記圧力調整器から導入される加圧ガスによる前記消火剤充填容器の昇圧を保持する逃がし弁と、を備えた消火装置において、前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間に、常時は開で点検時に閉に操作されて、前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間の流路を遮断する、手動の仕切弁を設け、前記圧力調整器と前記仕切弁との間に、前記逃がし弁を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消火装置の一例として、筐体内に加圧用ガスボンベと消火剤充填容器と消火用ホースとを備えたパッケージ消火装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
加圧用ガスボンベの二次側には、加圧用ガスボンベから放出される加圧ガスの圧力(例えば、15MPa)を所定の圧力値の圧力(例えば、1MPa)に調整する圧力調整器が設けられ、圧力調整器の二次側には消火剤充填容器が接続され、消火剤充填容器は消火用ホースに接続される。
【0004】
火災時、操作者は、加圧用ガスボンベの起動バルブを開く。すると、加圧用ガスボンベから放出された加圧ガスは圧力調整器によって調圧されて消火剤充填容器に導入され、消火剤充填容器から消火剤が放出される。この消火剤は、消火用ホースに導入され、先端に設けられた消火用ノズルから噴射されるので、操作者は、火災を消火することができる。
【0005】
また、パッケージ消火装置には、通常時の温度変動等の影響に基づく、消火剤充填容器内の昇圧により、消火剤が消火剤充填容器内から消火用ホースなどの外部に放出されないようにするため、昇圧防止用の逃がし弁が設けられている。逃がし弁は、圧力調整器によって調整された圧力よりも低い圧力(例えば、0.03MPa)を境に、弁開口としての排出孔が開閉することにより、通常時の昇圧を防止するとともに、火災時(消火剤放出時)における消火剤充填容器内の昇圧を保持して、消火用ホースを介して、消火剤を消火用ノズルから噴射させることができる。この逃がし弁は、通常、消火剤充填容器の消火剤放出口に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−290475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パッケージ消火装置は、火災時に装置が機能することを確認するため、定期的に機能点検を行う必要がある。点検内容としては、圧力調整器によって調圧される圧力値が適正であるかということ、昇圧防止用の逃がし弁が適正な圧力値で開閉するかということである。
【0008】
しかし、従来、これらの機能点検を行うためには、圧力調整器、逃がし弁のそれぞれを装置から取り外し、機能点検を行わなければならなかった。
【0009】
この発明は、圧力調整器や逃がし弁などを装置から取り外すことなく、消火装置の機能点検を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、常時は閉の手動の起動バルブが開放されることによって、内部に充填された加圧ガスを放出する加圧用ガスボンベと、前記加圧用ガスボンベに接続され、前記加圧用ガスボンベから放出される加圧ガスの圧力を第一の圧力値に調整する圧力調整器と、該圧力調整器に接続され、該圧力調整器によって調整された第一の圧力値の圧力の加圧ガスが導入されることによって、内部に充填された消火剤を放出する消火剤充填容器と、該消火剤充填容器に基端が接続され、前記消火剤充填容器から放出される消火剤が供給されて、先端に設けられた消火用ノズルから消火剤を噴射する消火用ホースと、前記第一の圧力値よりも低い第二の圧力値未満の圧力では開放して、前記消火剤充填容器内の平常時の昇圧を防止し、また、前記第二の圧力値以上の圧力では閉鎖して、前記圧力調整器から導入される加圧ガスによる前記消火剤充填容器の昇圧を保持する逃がし弁と、を備えた消火装置において、前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間に、常時は開で点検時に閉に操作されて、前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間の流路を遮断する、手動の仕切弁を設け、前記圧力調整器と前記仕切弁との間に、前記逃がし弁を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、前記圧力調整器と前記仕切弁との間に、前記点検時に、前記圧力調整器と前記仕切弁との間の流路の圧力をパージする手動のパージ弁と、を設けたことを特徴とする。
【0012】
またこの発明は、常時は閉の手動の起動バルブが開放されることによって、内部に充填された加圧ガスを放出する加圧用ガスボンベと、前記加圧用ガスボンベに接続され、前記加圧用ガスボンベから放出される加圧ガスの圧力を第一の圧力値に調整する圧力調整器と、該圧力調整器に接続され、該圧力調整器によって調整された第一の圧力値の圧力の加圧ガスが導入されることによって、内部に充填された消火剤を放出する消火剤充填容器と、該消火剤充填容器に基端が接続され、前記消火剤充填容器から放出される消火剤が供給されて、先端に設けられた消火用ノズルから消火剤を噴射する消火用ホースと、を備えた消火装置において、前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間に、常時は開で点検時に閉に操作されて、前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間の流路を遮断する、手動の仕切弁を設け、前記圧力調整器と前記仕切弁との間に、前記点検時に、前記圧力調整器と前記仕切弁との間の流路の圧力をパージする手動のパージ弁を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、常時は閉の手動の起動バルブが開放されることによって、内部に充填された加圧ガスを放出する加圧用ガスボンベと、前記加圧用ガスボンベに接続され、前記加圧用ガスボンベから放出される加圧ガスの圧力を第一の圧力値に調整する圧力調整器と、該圧力調整器に接続され、該圧力調整器によって調整された第一の圧力値の圧力の加圧ガスが導入されることによって、内部に充填された消火剤を放出する消火剤充填容器と、該消火剤充填容器に基端が接続され、前記消火剤充填容器から放出される消火剤が供給されて、先端に設けられた消火用ノズルから消火剤を噴射する消火用ホースと、前記第一の圧力値よりも低い第二の圧力値未満の圧力では開放して、前記消火剤充填容器内の平常時の昇圧を防止し、また、前記第二の圧力値以上の圧力では閉鎖して、前記圧力調整器から導入される加圧ガスによる前記消火剤充填容器の昇圧を保持する逃がし弁と、を備えた消火装置において、前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間に、常時は開で点検時に閉に操作されて、前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間の流路を遮断する、手動の仕切弁を設け、前記圧力調整器と前記仕切弁との間に、前記逃がし弁を設けた。
【0014】
点検時には、操作者は、まず常時開の仕切弁を閉じる。つぎに、逃がし弁の機能点検を行うために、常時閉の起動バルブをほんの少しだけ開いて、第二の圧力値未満の圧力値の圧力の加圧ガスを仕切弁までの経路に導入させる。このとき、逃がし弁から加圧ガスがリークしていることを音などにより確認することにより、逃がし弁が正常であることを確認することができる。つぎに、起動バルブをさらに開いて圧力調整器によって調整される第一の圧力値の圧力の加圧ガスを仕切弁までの経路に導入させる。このとき、逃がし弁から加圧ガスがリークしないことを音などにより確認することにより、逃がし弁が正常であることを確認することができる。このように、昇圧防止用の逃がし弁が適正な圧力値で開閉するかを確認することができる。またこのとき、圧力調整器の二次側圧力ゲージを目視することによって、圧力調整器によって調整される第一の圧力値が適正値であるかを確認することができる。以上のように、圧力調整器、逃がし弁のそれぞれを装置から取り外すことなく、消火装置の機能点検を行えることができる。
【0015】
また、前記圧力調整器と前記仕切弁との間に、前記点検時に、前記圧力調整器と前記仕切弁との間の流路の圧力をパージする手動のパージ弁を備えた。上記の機能点検終了後は、操作者は、起動バルブを閉じ、つぎにパージ弁を操作して、圧力調整器と仕切弁との間の流路の圧力をパージする。最後に、仕切弁を開くことによって、装置を通常状態に復帰させることができる。
【0016】
またこの発明は、常時は閉の手動の起動バルブが開放されることによって、内部に充填された加圧ガスを放出する加圧用ガスボンベと、前記加圧用ガスボンベに接続され、前記加圧用ガスボンベから放出される加圧ガスの圧力を第一の圧力値に調整する圧力調整器と、該圧力調整器に接続され、該圧力調整器によって調整された第一の圧力値の圧力の加圧ガスが導入されることによって、内部に充填された消火剤を放出する消火剤充填容器と、該消火剤充填容器に基端が接続され、前記消火剤充填容器から放出される消火剤が供給されて、先端に設けられた消火用ノズルから消火剤を噴射する消火用ホースと、を備えた消火装置において、前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間に、常時は開で点検時に閉に操作されて、前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間の流路を遮断する、手動の仕切弁を設け、前記圧力調整器と前記仕切弁との間に、前記点検時に、前記圧力調整器と前記仕切弁との間の流路の圧力をパージする手動のパージ弁を設けた。
【0017】
点検時には、操作者は、まず常時開の仕切弁を閉じる。つぎに、起動バルブをさらに開いて圧力調整器によって調整される第一の圧力値の圧力の加圧ガスを仕切弁までの経路に導入させる。このとき、圧力調整器の二次側圧力ゲージを目視することによって、圧力調整器によって調整される第一の圧力値が適正値であるかを確認することができる。以上のように、圧力調整器を装置から取り外すことなく、消火装置の機能点検を行えることができる。そして、上記の機能点検終了後は、操作者は、起動バルブを閉じ、つぎにパージ弁を操作して、圧力調整器と仕切弁との間の流路の圧力をパージする。最後に、仕切弁を開くことによって、装置を通常状態に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1を示す扉を開いた状態の消火装置の正面図。
【図2】加圧用ガスボンベから消火用ノズルまでの経路を説明する図。
【図3】図1の逃がし弁、パージ弁を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1
以下、本発明の一実施の形態について説明する。消火装置の一例としてのパッケージ型消火装置は、前面に開口1aを有する箱状の本体1と、本体1の開口1aを開閉自在に覆う観音開き状の開閉扉2とから筐体が構成される。
【0020】
筐体内には、加圧用ガスボンベ7、圧力調整器9、消火剤充填容器3、消火用ホース4、消火用ノズル5が設けられている。
【0021】
加圧用ガスボンベ7は、例えば15MPaの圧力値の加圧ガスを充填したタンクで、常時閉の手動の起動バルブ7aを開操作することにより、加圧ガスが放出される。
【0022】
圧力調整器9は、加圧用ガスボンベ7の二次側に接続され、加圧用ガスボンベ7から放出された加圧ガスの圧力を第一の圧力値の圧力(例えば、1MPa) に調整して、その二次側から放出する。
【0023】
消火剤充填容器3は消火剤としての泡消火薬剤を充填したタンクであり、この実施の形態では2つ設けられている。消火剤充填容器3は、加圧ガス導入管10を介して、加圧ガスを消火剤充填容器3内に導入し、この加圧作用により、泡消火薬剤が放出集合管11に放出される。
【0024】
消火用ホース4は保形性能を有する、例えば長さ方向に垂直な断面が中空円形状のゴムホースである。消火用ホース4は、基端が放出集合管11を介して消火剤充填容器3と接続され、先端に消火用ノズル5が設けられる。消火用ホース4は、放出集合管11を介して、各消火剤充填容器3から放出された泡消火薬剤を消火用ホース4に導入する。
【0025】
消火用ホース4は、基端側を筐体下部方向に立ち下げてから、筐体外周側を迂回して筐体上部方向に立ちあげられて、筐体上部に設けられたホース収納部6内部に導入され、ホース収納部6の内壁に沿って、巻き回して収納される。
【0026】
消火用ノズル5は、消火用ノズル5から泡消火薬剤により生成される消火用泡(消火液)を放出するために操作される常時は閉の手動のレバー5aを有する。消火用ノズル5は、発泡倍率が例えば5〜20と低い消火用泡(低発泡)を生成して放出する低発泡用放水部5bと、発泡倍率が例えば20〜80と比較的高い消火用泡(中発泡)を生成して放出する中発泡用放水部5cとを備えている。
【0027】
圧力調整器9と消火剤充填容器3(加圧ガス導入管10)との間には、仕切弁20、昇圧防止用の逃がし弁30、パージ弁40が設けられている。加圧ガス導入管10の基端に仕切弁20が接続され、仕切弁20の一次側に逃がし弁30が接続され、逃がし弁30の一次側にパージ弁40が接続され、パージ弁40の一次側に圧力調整器9の二次側が接続される。なお、逃がし弁30とパージ弁40とは、その配設位置を逆としてもよい。
【0028】
仕切弁20は、手動の例えば、ボールバルブであり、常時は開で、圧力調整器9から消火剤充填容器3までの間の流路を遮断しないで、加圧ガス導入管10を介して、圧力調整器9からの加圧ガスを消火剤充填容器3に導入させる。一方、点検時は閉に操作されて、圧力調整器9と消火剤充填容器3との間の流路を遮断して、加圧ガス導入管10を介して、圧力調整器9からの加圧ガスを消火剤充填容器3に導入させない。
【0029】
逃がし弁30は、T字管としての配管部31と、本体33とを有する。配管部31は、加圧ガスの通過経路に直交して開口部31aを有する分岐管31bが設けられ、分岐管31bにOリング32を介して本体33が螺着される。
【0030】
本体33は、内部を貫通するように、ボール収納部34、スプリング収納部35、排出孔36が連続して設けられる。これらの内径は、ボール収納部34、スプリング収納部35、排出孔36の順で小さい。
【0031】
ボール収納部34は、ボール37が摺動自在に内部に収納される。ボール37の外径は、ボール収納部34の内径よりも小さく、かつスプリング収納部35の内径よりも大きい。ボール収納部34は、開口部31aに面する一端側が複数の連通孔38aを有するボール押え板38で閉止され、他端側は、スプリング収納部35とほぼ同径の内径を有するパッキン39が設けられる。
【0032】
スプリング収納部35は、スプリング収納部35とほぼ同径の、例えばコイル状のスプリング35aが収納される。スプリング35aは、ボール37に当接して、ボール押え板38方向にボール37を付勢する。
【0033】
ボール37は、スプリング35aの付勢力により、常時は、ボール押え板38に当接している。この状態のときは、ボール37の外径がボール収納部34の内径よりも小さいため、配管部31内の加圧ガスなどの流体は、開口部31a、連通孔38a、ボール37とボール収納部34との隙間、スプリング収納部35を介して、排出孔36から外部に排出される。
【0034】
一方、第二の圧力値としての例えば、0.03MPa以上の反力がボール37に生じると、スプリング35aが縮んで、ボール37がパッキン39に当接する。この状態のときは、配管部31内の加圧ガスなどの流体は、ボール収納部34とスプリング収納部35との連通をボール37が閉止するので、排出孔36から外部に排出されない。
【0035】
上記の構成により、逃がし弁30は、第一の圧力値(例えば、1MPa)よりも低い第二の圧力値(例えば、0,03MPa)未満の圧力では開放して、消火剤充填容器3内の平常時の昇圧を防止し、また、第二の圧力値(例えば、0,03MPa)以上の圧力では閉鎖して、圧力調整器9から導入される加圧ガスによる消火剤充填容器3の昇圧を保持することができる。
【0036】
つぎに、パージ弁40は、配管部41と、キャップ42とを有する。配管部41は、加圧ガスの通過経路に直交して開口部41aを有する分岐部41bが設けられ、分岐部41bにキャップ42が螺着される。
【0037】
キャップ42は押圧穴43が設けられ、押圧穴43内に押釦44が配置される。開口部41aと押釦44との間には、押釦44を押圧穴43側に付勢するスプリング45が設けられる。
【0038】
押釦44は、スプリング45の付勢力により、常時は、押圧穴43に当接している。この状態のときは、配管部41内の加圧ガスなどの流体は、押圧穴43から外部に排出されることはない。
【0039】
一方、操作者により、押釦44が押し操作されると、スプリング45が縮んで、押釦44と押圧穴43との間に隙間が生じるため、配管部41内の加圧ガスなどの流体は、開口部41a、押釦44と押圧穴43との間の隙間を介して、押圧穴43から外部に排出される。
【0040】
上記の構成により、パージ弁40は、点検時等に操作されることにより、圧力調整器9と仕切弁20との間の流路の圧力をパージすることができる。なお、押釦44と押圧穴43との間に、Oリング等を配設して気密性を向上させることもできる。また、パージ弁40は、キャップ42の代わりに、分岐部41bに常時は閉の手動のボールバルブを螺着する構造としてもよい。
【0041】
つぎに、本実施の形態のパッケージ型消火装置の動作について説明する。まず、通常時、レバー5aは閉、起動バルブ7aは閉、仕切弁20は開である。この状態において、環境温度の変動に基づいて、消火剤充填容器3内に微小の昇圧(0.03MPa未満)が生じた場合、逃がし弁30の排出孔36がボール37により塞がれていないので、昇圧分の圧力は、加圧ガス導入管10を経由して、逃がし弁30の排出孔36から外部に放出されるため、消火剤充填容器3内は通常時の大気圧に維持することができる。これにより、消火剤充填容器3内の泡消火薬剤が、消火用ホース4などの外部に放出されることがなくなる。
【0042】
火災が発生した場合、操作者はまず、開閉扉2を開けて起動バルブ7aを開く。すると加圧用ガスボンベ7からの加圧ガスが圧力調整器9で第1の圧力値(例えば、1MPa)の圧力に調整されて、加圧ガス導入管10を介して各消火剤充填容器3内に導入される。そして、各消火剤充填容器3内の泡消火薬剤が放出集合管11を介して消火用ホース4に導入される。このとき、逃がし弁30は、ボール37がパッキン39に着座して排出孔36からの圧力漏れが生じないので、圧力調整器9から導入される加圧ガスによる消火剤充填容器3の昇圧を保持することができる。つぎに、操作者は、消火用ノズル5を手に持って消火用ホース4をホース収納部6から引き出し、火災発生場所へと近づく。そして操作者は、最初に少し離れた場所から、レバー5aを操作して、低発泡用放水部5bから消火用泡(低発泡)を放出する。そしてある程度、火勢が鎮まったら、火災発生場所に近づいて、レバー5aを操作して中発泡用放水部5cから消火用泡(中発泡)を放出して、火災を鎮火する。火災鎮火後、操作者は、起動バルブ7a、レバー5aを閉じ、消火用ホース4をホース収納部6内に収納する。
【0043】
点検時には、操作者は、まず常時開の仕切弁20を閉じる。つぎに、逃がし弁30の機能点検を行うために、常時閉の起動バルブ7aをほんの少しだけ開いて、第二の圧力値(例えば、0.03MPa)未満の圧力値の圧力の加圧ガスを仕切弁20までの経路に導入させる。このとき、逃がし弁30が正常であれば、逃がし弁30の排出孔36が閉止していないので、排出孔36から加圧ガスがリークする。操作者は、この排出音を確認して、正常と判断する。また、排出孔36周りに石鹸水などを付着させ、泡立つことで正常と判断してもよい。
【0044】
つぎに、起動バルブ7aをさらに開いて圧力調整器9によって調整される第一の圧力値(例えば、1MPa)の圧力の加圧ガスを仕切弁20までの経路に導入させる。このとき、逃がし弁30が正常であれば、逃がし弁30の排出孔36が閉止しているので、排出孔36から加圧ガスがリークしない。操作者は、この排出音がないことを確認して、正常と判断する。また、排出孔36周りに石鹸水などを付着させ、泡立たないことで正常と判断してもよい。なお、逃がし弁30が異常ならば交換する。このように、昇圧防止用の逃がし弁30が適正な圧力値で開閉するかを確認することができる。
【0045】
またこのとき、圧力調整器9の二次側圧力ゲージ9aを目視することによって、圧力調整器9によって調整される第一の圧力値(例えば、1MPa)が適正値であるかを確認することができる。適正値でなければ、圧力調整ツマミ9bを操作して、二次側圧力ゲージ9aを目視しながら、第一の圧力値を適正値にする。以上のように、圧力調整器9、逃がし弁30のそれぞれを装置から取り外すことなく、消火装置の機能点検を行えることができる。
【0046】
機能点検終了後は、操作者は、起動バルブ20を閉じ、つぎにパージ弁40の押釦44を押圧操作して、圧力調整器9と仕切弁20との間の流路の圧力をパージする。最後に、仕切弁20を開くことによって、装置を通常状態に復帰させる。
【0047】
以上の通り、本実施の形態の消火装置としてのパッケージ型消火装置は、常時は閉の手動の起動バルブ7aが開放されることによって、内部に充填された加圧ガスを放出する加圧用ガスボンベ7と、加圧用ガスボンベ7に接続され、加圧用ガスボンベ7から放出される加圧ガスの圧力を第一の圧力値(例えば、1MPa)に調整する圧力調整器9と、該圧力調整器9に接続され、該圧力調整器9によって調整された第一の圧力値の圧力の加圧ガスが導入されることによって、内部に充填された消火剤(泡消火薬剤)を放出する消火剤充填容器3と、該消火剤充填容器3に基端が接続され、消火剤充填容器3から放出される消火剤が供給されて、先端に設けられた消火用ノズル5から消火剤を噴射する消火用ホース4と、第一の圧力値よりも低い第二の圧力値(例えば、0.03MPa)未満の圧力では開放して、消火剤充填容器3内の平常時の昇圧を防止し、また、第二の圧力値以上の圧力では閉鎖して、圧力調整器9から導入される加圧ガスによる消火剤充填容器3の昇圧を保持する逃がし弁30と、を備えた消火装置において、圧力調整器9と消火剤充填容器3との間に、常時は開で点検時に閉に操作されて、圧力調整器9と消火剤充填容器3との間の流路を遮断する、手動の仕切弁20を設け、圧力調整器9と仕切弁20との間に、逃がし弁30を設けるようにしたので、圧力調整器9、逃がし弁30のそれぞれを装置から取り外すことなく、消火装置の機能点検を行えることができる。
【0048】
また、圧力調整器9と仕切弁20との間に、点検時に、圧力調整器9と仕切弁20との間の流路の圧力をパージする手動のパージ弁40を備えるようにしたので、機能点検終了後は、操作者は、装置を通常状態に復帰させることができる。
【0049】
また、本実施の形態の消火装置としてのパッケージ型消火装置は、常時は閉の手動の起動バルブ7aが開放されることによって、内部に充填された加圧ガスを放出する加圧用ガスボンベ7と、加圧用ガスボンベ7に接続され、加圧用ガスボンベ7から放出される加圧ガスの圧力を第一の圧力値(例えば、1MPa)に調整する圧力調整器9と、該圧力調整器9に接続され、該圧力調整器9によって調整された第一の圧力値の圧力の加圧ガスが導入されることによって、内部に充填された消火剤(泡消火薬剤)を放出する消火剤充填容器3と、該消火剤充填容器3に基端が接続され、消火剤充填容器3から放出される消火剤が供給されて、先端に設けられた消火用ノズル5から消火剤を噴射する消火用ホース4と、を備えた消火装置において、圧力調整器9と消火剤充填容器3との間に、常時は開で点検時に閉に操作されて、圧力調整器9と消火剤充填容器3との間の流路を遮断する、手動の仕切弁20を設け、圧力調整器9と仕切弁20との間に、点検時に、圧力調整器9と仕切弁20との間の流路の圧力をパージする手動のパージ弁40を備えるようにしたので、圧力調整器9を装置から取り外すことなく、機能点検を行えることができる。そして、機能点検終了後は、操作者は、装置を通常状態に復帰させることができる。この場合、圧力調整器9を装置から取り外すことなく、圧力調整器9の機能点検を行えることができればよく、逃がし弁30は、本実施の形態のように、圧力調整器9と仕切弁20との間に設けることに限定されない。
【0050】
上記の実施の形態では、消火剤として泡消火薬剤を用いたものについて説明したが、泡以外の例えば粉末消火薬剤を使用した消火装置にも適用可能であり同様な効果が得られる。
【符号の説明】
【0051】
1 本体、1a 開口、2 開閉扉、3 消火薬剤充填容器、4 消火用ホース、5消火用ノズル、5a レバー、5b 低発泡用放水部、5c 中発泡用放水部、6 ホース収納部、7 加圧ガス用ボンベ、7a 起動バルブ、9 圧力調整器、9a 二次側圧力ゲージ、9b 圧力調整ツマミ、10 加圧ガス導入管、11 放出集合管、20 仕切弁、30 逃がし弁、31 配管部、31a 開口部、31b 分岐管、32 Oリング、33 本体、34 ボール収納部、35 スプリング収納部、35a スプリング、36 排出孔、37 ボール、38 ボール押え板、38a 連通孔、39 パッキン、40 パージ弁、41 配管部、41a 開口部、41b 分岐部、42 キャップ、43 押圧穴、44 押釦、45 スプリング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常時は閉の手動の起動バルブが開放されることによって、内部に充填された加圧ガスを放出する加圧用ガスボンベと、
前記加圧用ガスボンベに接続され、前記加圧用ガスボンベから放出される加圧ガスの圧力を第一の圧力値に調整する圧力調整器と、
該圧力調整器に接続され、該圧力調整器によって調整された第一の圧力値の圧力の加圧ガスが導入されることによって、内部に充填された消火剤を放出する消火剤充填容器と、
該消火剤充填容器に基端が接続され、前記消火剤充填容器から放出される消火剤が供給されて、先端に設けられた消火用ノズルから消火剤を噴射する消火用ホースと、
前記第一の圧力値よりも低い第二の圧力値未満の圧力では開放して、前記消火剤充填容器内の平常時の昇圧を防止し、また、前記第二の圧力値以上の圧力では閉鎖して、前記圧力調整器から導入される加圧ガスによる前記消火剤充填容器の昇圧を保持する逃がし弁と、
を備えた消火装置において、
前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間に、常時は開で点検時に閉に操作されて、前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間の流路を遮断する、手動の仕切弁を設け、
前記圧力調整器と前記仕切弁との間に、前記逃がし弁を設けたことを特徴とする消火装置。
【請求項2】
前記圧力調整器と前記仕切弁との間に、前記点検時に、前記圧力調整器と前記仕切弁との間の流路の圧力をパージする手動のパージ弁を設けたことを特徴とする請求項1記載の消火装置。
【請求項3】
常時は閉の手動の起動バルブが開放されることによって、内部に充填された加圧ガスを放出する加圧用ガスボンベと、
前記加圧用ガスボンベに接続され、前記加圧用ガスボンベから放出される加圧ガスの圧力を第一の圧力値に調整する圧力調整器と、
該圧力調整器に接続され、該圧力調整器によって調整された第一の圧力値の圧力の加圧ガスが導入されることによって、内部に充填された消火剤を放出する消火剤充填容器と、
該消火剤充填容器に基端が接続され、前記消火剤充填容器から放出される消火剤が供給されて、先端に設けられた消火用ノズルから消火剤を噴射する消火用ホースと、
を備えた消火装置において、
前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間に、常時は開で点検時に閉に操作されて、前記圧力調整器と前記消火剤充填容器との間の流路を遮断する、手動の仕切弁を設け、
前記圧力調整器と前記仕切弁との間に、前記点検時に、前記圧力調整器と前記仕切弁との間の流路の圧力をパージする手動のパージ弁を設けたことを特徴とする消火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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