説明

消火設備

【課題】個室提供型の小規模施設に適した消火設備を提供する。
【解決手段】複数の防護区画を防護する消火設備1−1であって、消火剤容器4−1とその消火剤容器4−1中の消火剤を放出する消火剤放出手段5−1とを有する消火ユニット2−1を複数備えており、該複数の消火ユニット2−1は複数の防護区画Bのそれぞれに対応してそれぞれ配置されて設けられるものであり、又、該複数の消火ユニット2−1はそれぞれが有する消火剤放出手段5−1から他の消火ユニット2−1が有する消火剤容器4−1中の消火剤も放出するように設けられるものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の防護区画を防護する消火設備に関する。
【背景技術】
【0002】
個室ビデオ店や漫画喫茶等の個室型店舗或いはグループホーム等の小規模福祉施設では、個室が各利用者に提供されている。近年、このような個室提供型の小規模施設で発生する火災が増えている。
【0003】
前記のような個室提供型の小規模施設の場合、施設全体としては小規模であるため、設備費用が高額となるスプリンクラ設備等の一般的な消火設備は設けられていない。
【0004】
そこで、前記のような個室提供型の小規模施設に対しては、スプリンクラ設備よりは設備費用が小額で済むパッケージ型消火設備を設けることが考えられる。
【0005】
パッケージ型消火設備は、消火剤容器等が箱の中に収納されて、必要な装備がパッケージ化されており、前記のようにスプリンクラ設備よりは設備費用が小額で済む(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−299918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のパッケージ型消火設備は、スプリンクラ設備と同等の消火能力を有するものとするために、消火剤容器として容量80リットル程度の大きなものを用いており、消火剤充填後の設備本体全体の大きさや質量は相当大きなものとなる(前記特許文献1参照)。
【0008】
個室ビデオ店、漫画喫茶等の個室型店舗は雑居ビルの一室を改築して店舗として利用していることが多く、又、グループホーム等の小規模福祉施設は一般住宅を改築して施設として利用していることが多い。このため、これら個室提供型の小規模施設に前記のような従来のパッケージ型消火設備を設ける場合、その設置スペースがなかったり、床等の耐荷重が不足するということが多々あり得る。
【0009】
従って、従来のパッケージ型消火設備は、前記の個室提供型の小規模施設に適しているとはいえない。
【0010】
この発明は、前記の事情に鑑み、個室提供型の小規模施設に適した消火設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、複数の防護区画を防護する消火設備であって、消火剤容器とその消火剤容器中の消火剤を放出する消火剤放出手段とを有する消火ユニットを複数備えており、該複数の消火ユニットは複数の各防護区画に対応してそれぞれ配置されて設けられるものであり、又、該複数の消火ユニットはそれぞれが有する消火剤放出手段から他の消火ユニットが有する消火剤容器中の消火剤も放出するように設けられるものであることを特徴とする消火設備である。
【0012】
又、この発明は、該複数の消火ユニットは、火災感知手段と、その火災感知器手段の火災感知に基づき開弁動作する電動弁とをそれぞれ更に有するものであり、該複数の消火ユニットがそれぞれ有する消火剤放出手段と消火剤容器とは電動弁を介して消火剤供給用個別配管によって接続されるものであり、又、該複数の消火ユニットはそれぞれの消火剤供給用個別配管が他の消火ユニットの消火剤供給用個別配管と消火剤供給用連結配管によって連結されるものであることを特徴とする消火設備である。
【0013】
又、この発明は、該複数の消火ユニットは電動弁を制御する制御盤をそれぞれ更に有するものであり、該複数の消火ユニットがそれぞれ有する火災感知手段と電動弁とは個別信号線によって制御盤にそれぞれ接続されるものであり、又、該複数の消火ユニットはそれぞれの制御盤が他の消火ユニットの制御盤と連結信号線によって連結されるものであることを特徴とする消火設備である。
【0014】
又、この発明は、該複数の消火ユニットがそれぞれ有する消火剤放出手段は閉鎖型ヘッドであり、該複数の消火ユニットのそれぞれの消火剤供給用個別配管はその電動弁の一次側又は二次側で他の消火ユニットの消火剤供給用個別配管と連結されるものであることを特徴とする消火設備である。
【0015】
又、この発明は、該複数の消火ユニットがそれぞれ有する消火剤放出手段は開放型ヘッドであり、該複数の消火ユニットそれぞれの消火剤供給用個別配管は電動弁の一次側で他の消火ユニットの消火剤供給用個別配管と連結されるものであることを特徴とする消火設備である。
【0016】
又、この発明は、該複数の消火ユニットのそれぞれが有する消火剤容器は蓄圧式容器であることを特徴とする消火設備である。
【0017】
又、この発明は、該複数の消火ユニットのそれぞれが有する消火剤容器は加圧式容器であり、該複数の消火ユニット中、一部のユニットがその加圧式容器に加圧ガス供給用個別配管によって接続される加圧ガスボンベを更に有するものであり、該加圧ガスボンベを更に有する消火ユニットの加圧ガス供給用個別配管は加圧ガスボンベを有しない他の消火ユニットの加圧式容器と加圧ガス供給用連結配管によって連結されるものであることを特徴とする消火設備である。
【0018】
又、この発明は、該複数の消火ユニットのそれぞれが有する消火剤容器中の消火剤は泡消火液であり、該複数の消火ユニットのそれぞれが有する消火剤放出手段は泡放出ヘッドであることを特徴とする消火設備である。
【発明の効果】
【0019】
この発明の消火設備によれば、複数の消火ユニットはそれぞれの消火剤放出手段から他の消火ユニットの消火剤容器中の消火剤も放出することができ、防護区画のそれぞれで発生する火災の消火に必要な量の消火剤を複数の消火ユニットのそれぞれの消火剤容器に分散して収容することができ、複数の防護区画のそれぞれで発生する火災の消火に必要な量の消火剤を放出することができるようにしつつも、複数の消火ユニットそれぞれの消火剤容器の容量を小さくすることができ、延いては、複数の消火ユニットそれぞれの大きさや質量を小さくすることができる。
【0020】
従って、この発明の消火設備によれば、設置スペースが小さかったり、床等の耐荷重が低かったりする場所でも設置できるようにすることができ、それにより個室提供型の小規模施設に適した消火設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の消火設備の防護区画に対する配置の一例を示した平面図である。
【図2】同上の消火設備のシステム構成の一例を示したシステム図である。
【図3】同上の消火設備のシステム構成の他の例を示したシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の消火設備の実施形態を消火設備に適用する場合を例に図面に基づき説明する。
【0023】
個室提供型の施設、例えば、個室ビデオ店では利用者に提供される1〜2畳程の個室ブースが複数隣接して設けられている。図1はそのような個室ビデオ店へのこの発明の消火設備の配置例を示したものである。
【0024】
図1に示したように、消火設備1は複数の消火ユニット2を備えている。それら複数の消火ユニット2は各個室ブースBを防護区画として配置されている。尚、図1では各消火ユニット2を個室ブースBのそれぞれのドアD付近の壁Wの外側に配置する場合の例を示している。
【0025】
この消火設備1において、複数の消火ユニット2は、消火剤容器や消火剤放出手段をそれぞれが有しているが、各消火ユニット2同士を、配管を介して互いに連結している。そのため、それぞれの消火剤放出手段から他の消火ユニット2が有する消火剤容器中の消火剤も放出することができるようになっている。より詳しく述べると、個室ブースBの何れかで火災が発生した際に、火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2に他の消火剤ユニットが協働し、火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2の消火剤放出手段からそのユニット自体の消火剤容器中の消火剤だけでなく、他の消火ユニット2の消火剤容器中の消火剤も放出することができるようになっている。
【0026】
つまり、消火設備1は、各消火ユニット2同士、配管を介して互いに連結しているので、個室ブースBで発生する火災の消火に必要な量の消火剤を複数の消火ユニット2の消火剤容器に分散して収容することができる。そのため、複数の消火ユニット2の消火剤放出手段から、各個室ブースBで発生する火災の消火に必要な量の消火剤を放出可能にしつつ、それぞれの消火剤容器の容量を小さくできる。これにより、消火ユニット2のそれぞれの大きさや質量を小さくすることができるので、個室提供型の小規模施設等にも設置することができる。
【0027】
図2及び図3は、前記のような消火設備1のシステム構成の具体例を消火設備1−1及び1−2としてそれぞれ示したものである。以下、それぞれの例について詳細に説明する。尚、消火設備1−1及び1−2は複数の消火ユニット2−1及び2−2をそれぞれ備えているが、それら複数の消火ユニット2−1及び2−2は、何れも、筐体3−1及び3−2によってそれぞれパッケージ化されている。それら筐体3−1及び3−2は個室ブースBのそれぞれの壁Wに取り付けられて、それぞれが各個室ブースBを防護区画として配置されている。
【0028】
先ず、図2の例について説明する。
【0029】
消火設備1−1において、複数の消火ユニット2−1は、蓄圧式の消火剤容器4−1と、閉鎖型の消火剤放出ヘッド5−1と、火災感知器6−1と、電動弁7−1と、制御盤8−1をそれぞれ有している。
消火剤容器4−1は、内部に消火剤が加圧して収容されている所謂蓄圧式の消火剤容器であり、収容される消火剤は、水や所定の混合比で混合された泡消火薬剤など適宜選択される。
閉鎖型の消火剤放出ヘッド5−1は、消火剤放出手段の一例であり、消火剤容器4−1内に収容される消火剤に応じて、スプリンクラヘッドや泡ヘッドなど適宜選択される。また消火剤放出ヘッド5−1は、消火剤供給用の個別配管P1−1及び電動弁7−1を介して消火剤容器4−1に接続されている。
火災感知器6−1は、各個室ブースB内に一つ以上設けられ、個室ブースB内で発生する火災を感知する感知手段の一例であり、煙感知器や熱感知器、住宅用火災警報器などが選択される。この火災感知器6−1は後述する制御盤8−1に個別信号線L1−1を介して接続され、個室ブースB内の火災を感知すると、制御盤8−1に火災信号を送信する。
電動弁7−1は、消火剤放出ヘッド5−1と消火剤容器4−1を接続する個別配管P1−1に設けられる。そして、電動弁7−1は、制御盤8−1が火災感知器、又は他の制御盤8−1から後述する起動信号を受信すると、制御盤8−1によって開弁動作されるものである。なお、電動弁7−1は、消火剤容器4−1の口部に設け、容器弁を兼ねたものとしても良い。
制御盤8−1は、各消火ユニット2−1にそれぞれ設けられ、火災感知器6−1及び電動弁7−1と個別信号線L1−1を介して接続されている。
そして、電動弁7−1の二次側を常時は空配管とし、以上の構成により各消火ユニット2−1は乾式予作動型の消火設備となっている。
【0030】
そして、消火設備1−1において、複数の消火ユニット2−1はそれぞれの消火剤放出ヘッド5−1から他の消火ユニット2−1が有する消火剤容器4−1中の消火剤も放出することができるようになっている。具体的には、複数の消火ユニット2−1は、それぞれの個別配管P1−1が他の消火ユニット2−1の個別配管P1−1と電動弁7−1の二次側で消火剤供給用の連結配管P2−1によって連結されている。更にそれぞれの制御盤8−1は他の消火ユニット2−1の制御盤8−1と連結信号線L2−1によって連結されており、火災感知器6−1から火災信号を受信すると、他の消火ユニット2−1の制御盤8−1に起動信号を送信する。これにより、個室ブースBの何れかで火災が発生した際に、火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2−1に他の消火剤ユニットが協働できる。つまり、火災が発生した個室ブースBの消火剤放出ヘッド5−1からそのユニット自体の消火剤容器4−1中の消火剤だけでなく、他の消火ユニット2−1の消火剤容器4−1中の消火剤も放出することができるようになっている。
【0031】
これにより、消火設備1−1は、個室ブースBのそれぞれで発生する火災の消火に必要な量の消火剤を複数の消火ユニット2−1のそれぞれの消火剤容器に分散して収容することができる。つまり、複数の消火ユニット2−1の各消火剤放出ヘッド5−1から個室ブースB対して火災の消火に必要な量の消火剤を放出することができるようにした。従って、各消火剤容器4−1の容量を小さくすることができ、筐体3−1を含む消火ユニット2−1の個々の大きさや質量を小さくすることができるものとなっている。
【0032】
ここで、消火設備1−1においては、複数の消火ユニット2−1の各個別配管P1−1は電動弁7−1の二次側で他の消火ユニット2−1の個別配管P1−1と連結されるものとなっている。従って、火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2−1に協働させる他の消火ユニット2−1の数等については、条件(消火剤容器4−1の容量の設定や個室ブースBの大きさ等)に応じて、その数等を選択できるようにすることも可能である。その場合、例えば、協働させる他の消火ユニット2−1の数を0〜連結されている他の全ての間で選択できるようにすることも可能である。又、特定の消火ユニット2−1を選択できるようにすることも可能である。具体的には、火災が発生した個室ブースBに隣接する個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2−1だけを協働する他の消火ユニット2−1として選択できるようにすることも可能である。
より詳細に述べると、例えば各制御盤8−1に互いに異なるアドレスを設定し、その一覧を記憶する。そして、各制御盤8−1に、各個室ブースBで火災が発生した際協働させる消火ユニット2−1を設定する。これにより、いずれかの個室ブースBで火災が発生し、制御盤8−1が火災感知器6−1から火災信号を受信すると、協働する他の制御盤8−1に連結信号線L2−1を介して起動信号を送信する。このようにして、火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2−1に協働させる他の消火ユニット2−1の数等をあらかじめ選択できる様にしている。
【0033】
前記のように構成されている消火設備1−1の火災発生時の動作について説明する。
【0034】
火災発生時、その火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2−1において、火災感知器6−1が火災を検出すると、個別信号線L1−1を介して制御盤8−1に火災信号を送信する。火災信号を受信した制御盤8−1は、電動弁7−1に個別信号線L1−1を介して開弁信号を送信して開放すると、そのユニット自体の消火剤容器4−1から消火剤が放出し、個別配管P1−1及び連結配管2−1内に充填される。
更に制御盤8−1は、協働する他の制御盤8−1に連結信号線L2−1を介して起動信号を送信する。起動信号を受信した他の制御盤8−1は、個別信号線L1−1を介して接続された電動弁7−1に開弁信号を送信して開放する。そして、電動弁7−1が開放された他の消火剤容器4−1からも消火剤が放出するので、個別配管P1−1及び連結配管2−1内に充填される。
その後火災の熱によって、火災が発生した個室ブースBの閉鎖型の消火剤放出ヘッド5−1が開放し、配管内の消火剤が放出される。これにより、消火設備1−1は、火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2−1に他の消火剤ユニット2−1が協働し、火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2−2の消火剤放出ヘッド5−1からそのユニット自体の消火剤容器4−1中の消火剤だけでなく、他の消火ユニット2−2の消火剤容器4−1中の消火剤も放出することになる。
【0035】
尚、この消火設備1−1においては、複数の消火ユニット2−1のそれぞれの個別配管P1−1に管内の圧力を検出することのできる圧力検出手段(例えば、圧力スイッチ。)を設ける。これにより、圧力検出手段による圧力低下の検出信号に基づいて、他の消火ユニット2−1の電動弁7−1を順次開弁させるようにしてもよい。又、上記圧力検出手段に代えて、個別配管P1−1内の流水を検出して、電動弁7−1を開弁動作する流水検知装置を有するものとしてもよい。
【0036】
次に、図3の例について説明する。
【0037】
消火設備1−2において、複数の消火ユニット2−2は、加圧式の消火剤容器4−2aと、開放型の消火剤放出ヘッド5−2と、差動式スポット型の熱感知器6−2a及び光電式煙感知器6−2bと、電動弁7−2と、制御盤8−2とをそれぞれ有している。また、複数の消火ユニット2−2中、一部のものは、加圧ガスボンベ4−2dを更に有している。
消火剤容器4−2aは、内部に消火剤が収容されている消火剤容器であり、収容される消火剤は、水や所定の混合比で混合された泡消火薬剤など適宜選択される。また消火剤容器2−4aは、一部の消火ユニット2−2に設けられた加圧ボンベ4−2dと後述する連結配管P2−2bを介して接続されている。
開放型の消火剤放出ヘッド5−2は、消火剤放出手段の一例であり、消火剤容器4−2a内に収容される消火剤に応じて、スプリンクラヘッドや泡ヘッドなど適宜選択される。また消火剤放出ヘッド5−2は、消火剤供給用の個別配管P1−2及び電動弁7−2を介して消火剤容器4−2aに接続されている。
差動式スポット型の熱感知器6−2a及び光電式煙感知器6−2bは、各個室ブースB内にそれぞれ設けられ、個室ブースB内で発生する火災を感知する感知手段の一例である。これら火災感知器6−2a及び6−2bは後述する制御盤8−2に個別信号線L1−2を介して接続され、個室ブースB内の火災を感知すると、制御盤8−2に火災信号を送信する。両火災感知器6−2a及び6−2bは、後述する制御盤8−2に個別信号線L1−2を介して接続され、個室ブースB内の火災を感知すると、制御盤8−2に火災信号を送信する。
電動弁7−2は、消火剤放出ヘッド5−2と消火剤容器4−2aを接続する個別配管P1−2に設けられる。そして、電動弁7−2は、制御盤8−2が両火災感知器6−2a及び6−2bのAND信号、又は他の制御盤8−2から起動信号を受信すると、制御盤8−2によって開弁動作されるものである。
制御盤8−2は、各消火ユニット2−2にそれぞれ設けられ、両火災感知器6−2a及び6−2b及び電動弁7−2と個別信号線L1−2を介して接続されている。
更に、ガスボンベ4−2dを更に有する消火ユニット2−2においてガスボンベ4−2dは、筐体3−2内に消火剤容器4−2aと一緒に収納される。そしてガスボンベ4−2dは、個別配管4−2cを介して各加圧ボンベ4−2d同士を連結する連結配管P2−2bに接続されている。個別配管4−2cは、個別信号線4−2eによって制御盤8−2に接続された電動弁4−2bを有し、電動弁4−2bは制御盤8−2の開弁信号によって開弁動作されるものである。そして、電動弁7−2の二次側を常時は空配管とし、以上の構成により各消火ユニット2−2は乾式の消火ユニットであって、異なる感知方式の2つの火災感知器の火災感知により起動する消火ユニットをそれぞれが構成するものとなっている。
【0038】
そして、消火設備1−2においても、前記の消火設備1−1と同様、複数の消火ユニット2−2は、それぞれの消火剤放出ヘッド5−2から他の消火ユニット2−2が有する消火剤容器4−2a中の消火剤も放出することができるようになっている。特に本実施の形態における消火設備1−2において、複数の消火ユニット2−2は、それぞれの個別配管P1−2が他の消火ユニット2−2の個別配管P1−2と電動弁7−2の一次側で消火剤供給用の連結配管P2−2aによって連結されている。そして、それぞれの制御盤8−2が他の消火ユニット2の制御盤8−2と連結信号線L2−2によって連結されている。更に、加圧ガスボンベ4−2dを有する消火剤ユニット2−2の個別配管4−2cが、その電動弁4−2bの二次側で加圧ガスボンベ4−2dを有しない他の消火ユニット2−2の消火剤容器4−2に加圧ガス供給用の連結配管P2−2bによってそれぞれ連結されている。これにより、個室ブースBの何れかで火災が発生した際に、火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2−2に他の消火剤ユニット2−2が協働し、消火剤を放出することができるようになっている。つまり、加圧ガスボンベ4−2dの加圧ガスを加圧源として利用しつつ、火災が発生した個室ブースBの消火剤放出ヘッド5−2からそのユニット自体の消火剤容器4−2a中の消火剤だけでなく、他の消火剤容器4−2a中の消火剤も放出することができるようになっている。
【0039】
これにより、消火設備1−2は、前記の消火設備1−1と同様、各個室ブースBで発生する火災の消火に必要な量の消火剤を、複数の消火剤容器4−2aに分散して収容することができる。つまり、複数の消火ユニット2−2のそれぞれの消火剤放出ヘッド5−2から個室ブースBのそれぞれに対して火災の消火に必要な量の消火剤を放出することができるようにした。従って、各消火剤容器4−2aの容量を小さくすることができ、筐体3−2を含む消火ユニット2−2の個々の大きさや質量を小さくすることができるものとなっている。更に、この消火設備1−2においては、複数の消火ユニットがそれぞれ有する消火剤容器として加圧式の消火剤容器4−2aを用い、その加圧源としての加圧ガスボンベ4−2d等を複数の消火ユニット2−2中、一部のものだけが有するものとし、加圧ガスボンベ4−2d等を有しない消火ユニット2−2も加圧源として利用できるものとした。これにより、加圧ガスボンベ4−2d等を有しない消火ユニット2−2においては、ガスボンベ4−2d等がない分、消火ユニット2−2の個々の大きさや質量をより小さくできるものとなっている。
【0040】
前記のように構成された消火設備1−2の火災発生時の動作について説明する。
【0041】
まず初めに、火災発生時、その火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2−2において、その消火ユニット2−2がガスボンベ4−2d等を有するものである場合について考える。
ガスボンベ4−2d等を有する消火ユニット2−2が配置された個室ブースBで火災が発生すると、煙感知器6−2bが火災を検出し火災信号を制御盤8−2へ送信する。次いで熱感知器6−2aが火災を検出し火災信号を制御盤8−2へ送信する。両感知器6−2a、6−2bからの火災信号(アンド)に基づいて、制御盤8−2は電動弁7−2及び電動弁4−2bへ開弁信号を送信して開弁する。電動弁4−2bが開弁すると、加圧ガスボンベ4−2dは、連結配管P2−2bを介して、各消火剤容器4−2のそれぞれに加圧ガスを供給する。この加圧ガスを加圧源として、火災が発生した個室ブースB内に全ての放出消火剤容器4−2中の消火剤を放出できる。
さらに、他の個室ブースBで火災が発生すると、火災が発生した個室ブースBの両感知器6−2a、6−2bが、信号線を介して接続された制御盤8−2へ火災信号を送信する。火災信号(アンド)を受信した制御盤8−2は、同じく信号線を介して接続された電動弁7−2を開弁する。このとき消火剤は閉じている全ての電動弁7−2の一次側まで消火剤が充填されているので、電動弁7−2を開弁するだけで、火災が発生している個室ブースBに消火剤を放出できる。
次に、火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2−2において、その消火ユニット2−2がガスボンベ4−2d等を有しないものである場合について考える。
ガスボンベ4−2d等を有しない消火ユニット2−2が配置された個室ブースBで火災が発生すると、上記同様、両感知器6−2a、6−2bが火災信号を制御盤8−2に送信する。制御盤8−2は、電動弁7−2へ開弁信号を送信して開弁すると共に、ガスボンベ4−2d等を有する消火ユニット2−2である他の制御盤8−2へ起動信号を送信する。ガスボンベ4−2d等を有しない消火ユニット2−2の制御盤8−2から起動信号を受信した他の制御盤8−2は、電動弁4−2bへ開弁信号を送信して開弁する。
その後、連結配管P2−2bを介して、全ての消火剤容器4−2に加圧ガスが供給される。その加圧ガスを加圧源として、火災が発生した個室ブースBに設けられた消火剤放出ヘッド5−2へ消火剤が供給される。このように消火設備1−2においても、火災が発生した個室ブースBの消火ユニット2−2と他の消火剤ユニット2−2が協働し、火災が発生した個室ブースBの消火剤放出ヘッド5−2から全ての消火剤容器4−2中の消火剤を放出することとなる。
【0042】
尚、この消火設備1−2においては、複数の消火ユニット2−2のそれぞれの個別配管P1−2が電動弁7−2の一次側で他の消火ユニット2−2の個別配管P1−2aと連結されるものとなっている。これにより、消火設備1−2は、火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2−2の電動弁7−2を開弁させれば、他の消火ユニット2−2のそれぞれの電動弁7−2を開弁させなくとも、他の消火ユニット2−2のそれぞれの消火剤容器4−2a中の消火剤も火災が発生した個室ブースBを防護区画とする消火ユニット2−2の消火剤放出ヘッド5−2から放出することができるものとなっている。
【0043】
以上、この発明の消火設備の実施形態について、消火設備1、1−1及び1−2を例に説明したが、消火剤容器中の消火剤については、一般の水系の消火剤を用いてもよい。
また、消火剤に泡消火液を用いて、複数の消火ユニットのそれぞれが有する消火剤放出手段を泡放出ヘッドとして、消火用泡を放出するものとしてもよい。即ち、消火設備1、1−1及び1−2を泡消火設備としてもよい。個室ブースBの大きさによっては、例えば500〜1000倍程度の高膨張泡を放出する高膨張泡消火設備とすることで、それぞれの消火剤容器の容量をより小さくすることができ、複数の消火ユニットのそれぞれの大きさや質量をより小さくすることができる。
また、消火設備1−2の加圧手段であるガスボンベ4−2dをポンプにしても良い。
【符号の説明】
【0044】
1,1−1,1−2:消火設備
2,2−1,2−2:消火ユニット
3−1,3−2:筐体
4−1,4−2a:消火剤容器
4−2b:電動弁
4−2c:個別配管
4−2d:加圧ガスボンベ
4−2e:個別配線
5−1,5−2:消火剤放出ヘッド
6−1,6−2a,6−2b:火災感知器
7−1,7−2:電動弁
8−1,8−2:制御盤
P1−1,P1−2:個別配管
P2−1,P2−2a,P2−2b:連結配管
L1−1,L1−2:個別信号線
L2−1,L2−2:連結信号線
B:個室ブース
D:ドア
W:壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の防護区画を防護する消火設備であって、
消火剤容器とその消火剤容器中の消火剤を放出する消火剤放出手段とを有する消火ユニットを複数備えており、該複数の消火ユニットは複数の各防護区画に対応してそれぞれ配置されて設けられるものであり、又、該複数の消火ユニットはそれぞれが有する消火剤放出手段から他の消火ユニットが有する消火剤容器中の消火剤も放出するように設けられるものであることを特徴とする消火設備。
【請求項2】
該複数の消火ユニットは、火災感知手段と、その火災感知器手段の火災感知に基づき開弁動作する電動弁とをそれぞれ更に有するものであり、該複数の消火ユニットがそれぞれ有する消火剤放出手段と消火剤容器とは電動弁を介して消火剤供給用個別配管によって接続されるものであり、又、該複数の消火ユニットはそれぞれの消火剤供給用個別配管が他の消火ユニットの消火剤供給用個別配管と消火剤供給用連結配管によって連結されるものであることを特徴とする請求項1記載の消火設備。
【請求項3】
該複数の消火ユニットは電動弁を制御する制御盤をそれぞれ更に有するものであり、該複数の消火ユニットがそれぞれ有する火災感知手段と電動弁とは個別信号線によって制御盤にそれぞれ接続されるものであり、又、該複数の消火ユニットはそれぞれの制御盤が他の消火ユニットの制御盤と連結信号線によって連結されるものであることを特徴とする請求項2記載の消火設備。
【請求項4】
該複数の消火ユニットがそれぞれ有する消火剤放出手段は閉鎖型ヘッドであり、該複数の消火ユニットのそれぞれの消火剤供給用個別配管はその電動弁の一次側又は二次側で他の消火ユニットの消火剤供給用個別配管と連結されるものであることを特徴とする請求項2又は3記載の消火設備。
【請求項5】
該複数の消火ユニットがそれぞれ有する消火剤放出手段は開放型ヘッドであり、該複数の消火ユニットそれぞれの消火剤供給用個別配管は電動弁の一次側で他の消火ユニットの消火剤供給用個別配管と連結されるものであることを特徴とする請求項2又は3記載の消火設備。
【請求項6】
該複数の消火ユニットのそれぞれが有する消火剤容器は加圧式容器であり、該複数の消火ユニット中、一部のユニットがその加圧式容器に加圧ガス供給用個別配管によって接続される加圧ガスボンベを更に有するものであり、該加圧ガスボンベを更に有する消火ユニットの加圧ガス供給用個別配管は加圧ガスボンベを有しない他の消火ユニットの加圧式容器と加圧ガス供給用連結配管によって連結されるものであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか記載の消火設備。
【請求項7】
該複数の消火ユニットのそれぞれが有する消火剤容器中の消火剤は泡消火液であり、該複数の消火ユニットのそれぞれが有する消火剤放出手段は泡放出ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか記載の消火設備である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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