説明

消耗部品、クリーニングブレード、弾性ローラ、これらの生産方法、及びこれらの再生産方法

【課題】金属基材について再利用可能な消耗部品であって、熱可塑性樹脂からなる介在部のガラス転移温度が、熱硬化性樹脂からなる消耗部材を成形する際の加硫温度よりも高いことを特徴とする消耗部品を提供する。
【解決手段】金属基材3と、金属基材3上に成形される消耗部材4とを備える消耗部品において、金属基材3と消耗部材4との間に介在する介在部5とを備え、消耗部材4は所定の加硫温度で加硫成形される熱硬化性樹脂であって、介在部5は熱可塑性樹脂であって、熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、熱硬化性樹脂の加硫温度よりも高いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗部品、クリーニングブレード、弾性ローラ、これらの生産方法、及びこれらの再生産方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境問題の観点から、使用済みの消耗部品を構成する各部材を取り出して、再利用することが望まれている。例えば、金属基材上に樹脂材やゴム材を形成することにより構成される消耗部品においては、金属基材について再利用することが望まれる。具体的にこのような消耗部品としては、画像形成装置に用いられるクリーニングブレードなどがある。特許文献1において、金属基材(金属板)からなる支持部材と、ゴム状弾性体からなるクリーニング部材とを接着させるために、金属基材上にプライマを塗布する構成をとるクリーニングブレードが開示されている。この構成においては、プライマを熱破壊することで、支持部材からクリーニング部材を分離させ、使用により劣化したクリーニング部材は破棄し、支持部材としての金属基板については再利用することが可能となる。しかしながら、プライマを熱破壊するためには非常に高温での加熱を要するため、支持部材からクリーニング部材を分離する際に、再利用に用いられる金属基材が変形し、品質の低下を生じてしまう可能性がある。なお、特許文献2には、金属基材からなる支持部材とクリーニング部材(弾性体ゴム部)との間に熱可塑性樹脂からなる介在部(接合部)を設けるクリーニングブレードが開示されている。しかしながら、金属基材の再利用に関する記載はされておらず、この構成において金属基材を再利用できるか否かは不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−208943号公報
【特許文献2】特開昭63−200179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属基材からなる支持部材上に熱硬化性樹脂からなるクリーニング部材を成形する際、所定の加硫温度で加硫成形する必要がある。この際、熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも加硫温度が高い場合、熱可塑性樹脂からなる介在部がガラス転移してしまい、介在部がその形状を維持できず、クリーニング部材の成形に不良が生じてしまう可能性がある。なお、特許文献2においては、加硫温度とガラス転移温度との関係については明記されていない。
【0005】
そこで、本発明は、金属基材について再利用可能な消耗部品であって、金属基材から消耗部材を分離する際に、金属基材の品質が低下することを抑制し、かつ、消耗部材の加硫成形時に成形の不良が生じない消耗部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、金属基材と、前記金属基材上に成形される消耗部材と、を備える消耗部品において、前記金属基材と前記消耗部材との間に介在する介在部を有し、前記消耗部材は、所定の加硫温度で加硫成形される熱硬化性樹脂であって、前記介在部は、熱可塑性樹脂であって、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、前記熱硬化性樹脂の前記加硫温度よりも高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、金属基材と消耗部材との間に介在する熱可塑性樹脂からなる介在部のガラス転移温度が、熱硬化性樹脂からなる消耗部材の加硫成形時の加硫温度よりも高い。このような構成をとることにより、介在部を融解させることによって、金属基板から消耗部材を分離することができ、かつ、消耗部材を介在部上に加硫成形する工程において、熱可塑性樹脂からなる介在部がガラス転移することはない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例に係るプロセスカートリッジを示す概略図
【図2】実施例1に係るクリーニングブレードを示す図
【図3】実施例1に係るクリーニングブレードが感光ドラムに当接する状態を示す図
【図4】実施例1に係るクリーニングブレードの生産工程を示す図
【図5】実施例1に係るクリーニングブレードの再生産工程を示す図
【図6】貫通孔を有する支持部材の外観斜視図
【図7】貫通孔を有する支持部材を備えるクリーニングブレードの生産工程を示す図
【図8】製造情報が刻印された介在部を示す外観斜視図
【図9】実施例2に係る帯電ローラを示す断面図
【図10】実施例2に係る帯電ローラを示す外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を用いて、実施例1に係るクリーニングブレード2と、実施例2に係る帯電ローラ8とを備えるプロセスカートリッジについて説明をする。図1に示すように、プロセスカートリッジは、回転可能に設けられた像担持体としての感光ドラム1と、クリーニング装置6と、帯電装置7と、現像装置10を一体的にカートリッジ化したものである。クリーニング装置6は、感光ドラム上(像担持体上)の残留現像剤を除去するクリーニングブレード2を備える。帯電装置7は、感光ドラム1を帯電する帯電ローラ8を備える。現像装置10は、現像ローラ11と、現像ローラ11上の現像剤の層厚を規制する現像ブレード9とを備える。このプロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に構成されている。
【0010】
(実施例1)
図2及び図3を用いて、実施例1に係る消耗部品としてのクリーニングブレード2について説明する。図2は、実施例1に係るクリーニングブレード2を示す図である。クリーニングブレード2は、金属基材としての支持部材3と、熱硬化性樹脂からなるクリーニング部材4と、熱可塑性樹脂からなる介在部5とを備える。クリーニング部材4は、回転可能に設けられた像担持体としての感光ドラム1に当接することで感光ドラム1上の残留トナー(残留現像剤)を除去する。介在部5は、支持部材3とクリーニング部材4との間に介在する。図2に示すように、支持部材3と介在部5とを接着するため、支持部材3上にプライマ12を塗布している。また、介在部5とクリーニング部材4とを接着するため、介在部5上にプライマ13を塗布している。即ち、介在部5とクリーニング部材4とは接着層であるプライマを介して接着されている。
【0011】
図3は、クリーニングブレードが感光ドラムに当接する状態を示す図である。図3中の進入量δは、実施例1に係るクリーニングブレード2の先端が変形せずに感光ドラム1に仮想的に進入した場合の量である。また、角度θは、クリーニングブレード2の先端と感光ドラム1の交わる点での接線とクリーニングブレードとのなす角度である。これら進入量δおよび角度θを調整し、所望の当接圧でクリーニングブレード2を感光ドラム1に当接することで、感光ドラム1のクリーニングを行うことができる。
【0012】
次に、実施例1に係るクリーニングブレードの特徴部である各部材の温度特性について
説明する。実施例1に係るクリーニングブレード2において、熱可塑性樹脂からなる介在部5のガラス転移温度は、熱硬化性樹脂からなるクリーニング部材4の加硫温度よりも高いことを特徴とする。実施例1に係るクリーニングブレード2は、支持部材3とクリーニング部材4の間に介在する熱可塑性樹脂からなる介在部5を設けている。この熱可塑性樹脂を加熱し、融解させることにより、金属基材である支持部材3からクリーニング部材4を分離し、金属基材について再利用することができる。実施例1に係るクリーニングブレードの生産工程または再生産工程において、熱硬化性樹脂からなるクリーニング部材4を介在部5上に成形する際、所定の加硫温度で加熱しながら成形する必要がある。この際、熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、加硫温度よりも低ければ、熱可塑性樹脂からなる介在部5がガラス転移を起こしてしまう。この場合、介在部5がその形状を維持できない等により、クリーニング部材4の成形に不良が生じてしまう可能性がある。そこで、実施例1に係るクリーニングブレード2は、熱可塑性樹脂からなる介在部5のガラス転移温度が、熱硬化性樹脂からなるクリーニング部材4の加硫温度よりも高いことを特徴としている。このような温度関係を有することにより、クリーニング部材4の加硫成形時に熱可塑性樹脂からなる介在部5がガラス転移を起こすことはない。したがって、実施例1に係るクリーニングブレードにおいては、介在部5の形状を維持したままクリーニング部材4を成形することができる。
【0013】
次に、図4を用いて、実施例1に係るクリーニングブレード2の生産方法について説明する。図4は、実施例1に係るクリーニングブレードの生産工程を示す図である。まず、支持部材3上にプライマ12を塗布する。そして、図4(a)に示すように、介在部形成用金型20を用いて、支持部材3上に、熱可塑性樹脂からなる介在部5を成形する。そして、図4(b)に示すように、支持部材3上に成形された介在部5上にプライマ13を塗布する。さらに、図4(c)に示すように、クリーニング部材形成用金型21を用いて、介在部5上に、熱硬化性樹脂からなるクリーニング部材4を熱可塑性樹脂からなる介在部5のガラス転移温度よりも低い温度で加硫成形する。このような工程によって、実施例1に係るクリーニングブレード2を生産することができる。
【0014】
次に、図5を用いて、実施例1に係るクリーニングブレード2の再生産方法について説明する。図5は、実施例1に係るクリーニングブレードの再生産工程を示す図である。まず、熱可塑性樹脂からなる介在部5の融解温度以上の温度で介在部5を加熱することにより、熱可塑性樹脂を融解させる。熱可塑性樹脂からなる介在部5が融解し液体状になることで、支持部材3からクリーニング部材4を分離することができる。このとき、融解した熱可塑性樹脂は、支持部材3上から完全に除去されている必要はなく、図5(a)に示すように、支持部材3上に残っていてもよい。その後、図5(b)に示すように、介在部形成用金型20を用いて新たな介在部15を成形する。そして、成形された新たな介在部15上にプライマ13を塗布する。さらに、図5(c)に示すように、クリーニング部材形成用金型21を用いて、熱可塑性樹脂からなる介在部5のガラス転移温度よりも低い温度で、新たな介在部15上に新たなクリーニング部材14を加硫成形する。この再生産方法により、使用済みのクリーニングブレードにおいて、欠けや摩耗などが生じたクリーニング部材4を破棄し、支持部材3である金属基材について再利用することができる。
【0015】
上記においては、支持部材3とクリーニング部材4を接着するためにプライマ12を塗布する構成を用いたクリーニングブレード2について説明した。図6,7を用いて、このプライマ12を塗布することなく介在部5を支持部材3上に成形することが可能なクリーニングブレードについて説明する。図6は、貫通孔を有する支持部材の外観斜視図である。図7は、貫通孔を有する支持部材を備えるクリーニングブレードの生産工程を示す図である。図6に示すように、支持部材3上であって、介在部5が成形される領域に貫通孔16を設ける。そして、図7(a)に示すように、支持部材3上にプライマを塗布することなく、介在部形成用金型20を用いて、介在部を成形する。図7(b)に示すように、支
持部材上(金属基材上)に介在部5を形成する際に、熱可塑性樹脂が上記貫通孔内にも入り込む。これにより、プライマを用いなくても介在部5は支持部材3に固定される。さらに、図7(c)に示すように、介在部5上にプライマ13を塗布し、その上にクリーニング部材形成用金型21を用いてクリーニング部材4を形成する。なお、プライマ12を用いなくても支持部材3と介在部5を固定できるものであれば、貫通孔でなく溝であってもよい。同様に、介在部5とクリーニング部材4との形状を工夫することにより、プライマ13を用いないで介在部5上にクリーニング部材4を固定してもよい。
【0016】
次に、図8を用いて、介在部に製造情報を刻印するクリーニングブレードについて説明する。図8は、支持部材上に成形され、製造情報が刻印された介在部の外観斜視図である。クリーニングブレードにおいては、製造日等の製造情報17を支持部材に刻印することが一般的である。ここで、支持部材3の再利用時においても製造情報17を刻印する必要がある。したがって、支持部材に刻印した場合には、支持部材3の再利用時に新たな情報を刻印する際に、以前の製造情報17についての刻印を削除する必要がある。そこで、図8に示すように、支持部材3ではなく介在部5に刻印する構成をとることで、以前の製造情報の刻印を削除する工程を省略することが可能となる。支持部材3を再利用する際、介在部5の融解に伴い、刻印が削除されるためである。これにより、クリーニングブレード2の再生産工程において、刻印を削除する工程を設けることなく、クリーニングブレード2を再生産することができる。
【0017】
実施例1においては、熱可塑性樹脂からなる介在部5には、トレコン(登録商標)(東レ製 PBT樹脂 融点150℃)を用いた。これ以外にも、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニルなどを用いても良い。また、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどを用いても良い。また、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂及びアルキッド樹脂などを用いても良い。なお、これらの熱可塑性樹脂に限定されるものではなく、クリーニング部材4の加硫成形時の加硫温度よりもガラス転移温度が高いものであればよい。
【0018】
また、実施例1においては、熱硬化性樹脂であるクリーニング部材4は、ポリイソシアネート化合物と多官能性の活性水素化合物から製造した。実施例1に係るクリーニングブレードにおいて、水素化ポリイソシアネート化合物としては、通常のポリイソシアネートと多官能の活性水素化合物である高分子ポリオールとを反応して得られるプレポリマーやセミプレポリマーを用いることが好ましい。プレポリマーやセミプレポリマーのイソシアネート基含有量(NCO%)としては、良好な弾性特性を実現するために、5〜20質量%が好ましい。なお、前記イソシアネート基含有量(NCO%)とは、ポリウレタン樹脂の原料であるプレポリマー又はセミプレポリマー中に含まれるイソシアネート官能基(NCO、分子量は42として計算する)の質量%である。前記プレポリマーやセミプレポリマー等を調製するために通常用いるポリイソシアネートの具体例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)などを挙げることができる。さらに、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などを挙げることができる。また、前記プレポリマーやセミプレポリマー等を調製するための活性水素化合物である高分子ポリオールの具体例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどを挙げることができる。さらに、カプロラクトンエステルポリオール、ポリカーボネートエステルポリオール、シリコーンポリオールなどを挙げることができる。そして、これらの重量平均分子量は通常500〜5000が好ましい。
【0019】
また、実施例1に係るクリーニングブレード2に用いることのできる架橋剤としては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、トリメチロールプロパン等がある。なお、前記ポリイソシアネート化合物と高分子ポリオール、ポリイソシアネート及び架橋剤を反応させる際には、ポリウレタン樹脂の形成に用いられる通常の触媒を添加する場合もある。このような触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン等がある。実施例1におけるポリウレタン樹脂で形成されたクリーニング部材4の成形方法としては、高分子ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤及び触媒等を一度に混合して、金型に注入することで行った。
【0020】
そして、架橋反応を促進する為の加硫工程として120℃で1時間の加硫を行った。加硫温度よりも高いガラス転移温度を持った熱可塑性樹脂を介在部5に用いたことにより、介在部5を維持したまま、クリーニング部材4の成形が可能となった。その後、感光ドラム1との当接部を精度よく作製する為、ポリウレタン樹脂で形成したクリーニング部材4は先端部を切断した。
【0021】
以上、説明したように、実施例1に係るクリーニングブレード、その生産方法、及びその再生産方法においては、金属基材である支持部材3を再利用することができる。また、熱硬化性樹脂からなるクリーニング部材4の加硫成形時に、熱可塑性樹脂からなる介在部5がガラス転移を起こすことなく、クリーニング部材を成形することができる。
【0022】
(実施例2)
次に、図9,10を用いて、実施例2に係る弾性ローラとしての帯電ローラ8について説明する。図9は、実施例2に係る帯電ローラの断面図である。図9は、実施例2に係る帯電ローラの外観斜視図である。なお、実施例2に係る帯電ローラに用いる熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、実施例1で挙げたものと同様のものを用いたので、その記載については省略する。
【0023】
帯電ローラ8は、金属基材である芯金33と、所定のガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂からなる介在部35と、所定の加硫温度を有する消耗部材としての弾性部材34とを備える。実施例2に係る帯電ローラは、熱可塑性樹脂からなる介在部35のガラス転移温度が、熱硬化性樹脂からなる弾性部材34の加硫温度よりも高いことを特徴とする。帯電ローラ8は、円柱状の芯金33上に熱可塑性樹脂からなる介在部35を成形し、さらにその上から熱硬化性樹脂からなる弾性部材34を加硫成形することにより生成される。また、使用により弾性部材34に摩耗等が生じた場合において、熱可塑性樹脂の融解温度以上の温度で加熱することで介在部35を融解させ、芯金33と弾性部材34とを分離させることができる。そして、分離された芯金上に新たな介在部を成形し、成形された新たな介在部上に、新たな弾性部材を加硫形成することで、帯電ローラを再生産することができる。
【0024】
図9に示すように、実施例2に係る帯電ローラ8において、芯金33と介在部35を接着させるためプライマ22を塗布した。ここで、図10(a)に示すように、芯金33上に溝36や溝37を設けることにより、プライマを用いずに、芯金33と介在部35とを固定する構成をとることもできる。このような構成をとることで、芯金33上に熱可塑性樹脂である介在部35を形成する際に、熱可塑性樹脂が上記溝内にも入り込む。これにより、図10(b)に示すように、プライマを芯金33上に塗布することなく介在部35は芯金33に固定される。なお、プライマを用いなくても芯金33と介在部35を固定できるものであれば、溝でなく貫通孔であってもよい。介在部35と、弾性部材34との固定については、実施例1と同様に介在部35と弾性部材34との間にプライマ(接着層)を介して固定する方法を取ることも、介在部35と弾性部材34との形状を工夫して固定す
る方法でもよい。
【0025】
以上、説明したように、実施例2に係る帯電ローラ、その生産方法、及びその再生産方法においては、金属基材である芯金33を再利用することができる。また、弾性部材34の加硫成形時に、熱可塑性樹脂からなる介在部35がガラス転移を起こすことなく、弾性部材34を成形することができる。
【0026】
なお、本発明の実施例として、クリーニングブレード2及び帯電ローラ8を用いて説明したが、これらに限定されるものではなく、金属基材と熱硬化性樹脂とを備える他のブレードやローラであってもよい。
【符号の説明】
【0027】
2…クリーニングブレード、3…支持部材、4…クリーニング部材、5…介在部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材と、
前記金属基材上に成形される消耗部材と、
を備える消耗部品において、
前記金属基材と前記消耗部材との間に介在する介在部を有し、
前記消耗部材は、所定の加硫温度で加硫成形される熱硬化性樹脂であって、
前記介在部は、熱可塑性樹脂であって、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、前記熱硬化性樹脂の前記加硫温度よりも高いことを特徴とする消耗部品。
【請求項2】
前記介在部と前記消耗部材とは接着層を介して接着されることを特徴とする請求項1に記載の消耗部品。
【請求項3】
前記金属基材が、前記介在部が成形される領域において溝又は貫通孔のうち少なくともいずれかを有し、
前記介在部が、前記溝内又は前記貫通孔内のうち少なくともいずれかに形成されることで、前記金属基材と前記介在部とが固定されることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の消耗部品。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の消耗部品の生産方法において、
前記金属基材上に前記介在部を成形する工程と、
前記ガラス転移温度よりも低い温度で、前記介在部上に前記消耗部材を加硫成形する工程と、
を有することを特徴とする消耗部品の生産方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の消耗部品の再生産方法において、
前記熱可塑性樹脂の融解温度以上の温度で前記介在部を加熱することにより、前記熱可塑性樹脂を融解し、前記金属基材から前記消耗部材を分離する工程と、
前記消耗部材が分離された前記金属基材上に新たな介在部を成形する工程と、
前記ガラス転移温度よりも低い温度で、前記新たな介在部上に新たな消耗部材を加硫成形する工程と、
を有することを特徴とする消耗部品の再生産方法。
【請求項6】
金属基材である支持部材と、
前記支持部材上に成形され、回転可能に設けられた像担持体に当接することで前記像担持体上の残留現像剤を除去するクリーニング部材と、
を備えるクリーニングブレードにおいて、
前記支持部材と前記クリーニング部材との間に介在する介在部を有し、
前記クリーニング部材は、所定の加硫温度で加硫成形される熱硬化性樹脂であって、
前記介在部は、熱可塑性樹脂であって、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、前記熱硬化性樹脂の前記加硫温度よりも高いことを特徴とするクリーニングブレード。
【請求項7】
前記介在部と前記クリーニング部材とは接着層を介して接着されることを特徴とする請求項6に記載のクリーニングブレード。
【請求項8】
前記介在部上に前記クリーニングブレードについての製造情報が刻印されていることを特徴とする請求項6又は7のいずれか1項に記載のクリーニングブレード。
【請求項9】
前記支持部材が、前記介在部が成形される領域において溝又は貫通孔のうち少なくともいずれかを有し、
前記介在部が、前記溝内又は前記貫通孔内のうち少なくともいずれかに形成されることで、前記支持部材と前記介在部とが固定されることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のクリーニングブレード。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1項に記載のクリーニングブレードの生産方法であって、
前記支持部材上に前記介在部を成形する工程と、
前記ガラス転移温度よりも低い温度で、前記介在部上に前記クリーニング部材を加硫成形する工程と、
を有することを特徴とするクリーニングブレードの生産方法。
【請求項11】
請求項6乃至9のいずれか1項に記載のクリーニングブレードの再生産方法であって、
前記熱可塑性樹脂の融解温度以上の温度で前記介在部を加熱することにより、前記熱可塑性樹脂を融解し、前記支持部材から前記クリーニング部材を分離する工程と、
前記クリーニング部材が分離された前記支持部材上に新たな介在部を成形する工程と、
前記ガラス転移温度よりも低い温度で、前記新たな介在部上に新たなクリーニング部材を加硫成形する工程と、
を有することを特徴とするクリーニングブレードの再生産方法。
【請求項12】
金属基材である芯金と、
前記芯金上に成形される弾性部材と、
を備える弾性ローラにおいて、
前記芯金と前記弾性部材との間に介在する介在部を有し、
前記弾性部材は、所定の加硫温度で加硫成形される熱硬化性樹脂であって、
前記介在部は、熱可塑性樹脂であって、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、前記熱硬化性樹脂の前記加硫温度よりも高いことを特徴とする弾性ローラ。
【請求項13】
前記介在部と前記弾性部材とは接着層を介して接着されることを特徴とすることを特徴とする請求項12に記載の弾性ローラ。
【請求項14】
前記芯金が、前記介在部が成形される領域において溝又は貫通孔のうち少なくともいずれかに有し、
前記介在部が、前記溝内又は前記貫通孔内のうち少なくともいずれかに形成されることで、前記芯金と前記介在部とが固定されることを特徴とする請求項12又は13のいずれか1項に記載の弾性ローラ。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれか1項に記載の弾性ローラの生産方法において、
前記芯金上に前記介在部を成形する工程と、
前記ガラス転移温度よりも低い温度で、前記介在部上に前記弾性部材を加硫成形する工程と、
を有することを特徴とする弾性ローラの生産方法。
【請求項16】
請求項12乃至14のいずれか1項に記載の弾性ローラの再生産方法において、
前記熱可塑性樹脂の融解温度以上の温度で前記介在部を加熱することにより、前記熱可塑性樹脂を融解し、前記芯金から前記弾性部材を分離する工程と、
前記弾性部材が分離された前記芯金上に新たな介在部を成形する工程と、
前記ガラス転移温度よりも低い温度で、前記新たな介在部上に新たな弾性部材を加硫成形する工程と、
を有することを特徴とする弾性ローラの再生産方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−37287(P2013−37287A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175187(P2011−175187)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】