説明

消臭方法および消臭液の噴霧装置

【課題】混合放置すること化学反応を起こし、目的の消臭効果が減殺されるような異なった複数の消臭液を同時に噴霧する。
【解決手段】異なった複数の消臭液を、種類毎に異なった収納体に収納し、噴霧直前にポンプにより前記複数の消臭液を同時に吸引し、混合し、一のノズルを介して同時に噴霧を行う。また、収納体毎に吸引管および噴霧器が設け、消臭液の吸引管を通しての吸い上げ動作および各噴霧器の噴霧動作を連動させ、それぞれのノズルから同時に消臭液の噴霧を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合放置すると化学反応を起こす複数の消臭液を同時に噴霧する消臭方法およびその消臭方法を実現する消臭液の噴霧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばアンモニア等の臭気に対して消臭効果のある酸性消臭剤と低級脂肪酸等の臭気に対して消臭効果のあるアルカリ性消臭剤等、異なった成分からなる複数の消臭液を噴霧する場合、当該消臭液同士を混合放置すると化学反応を起こし、目的の消臭効果が得られないものにあっては、各々の消臭液を別々の噴霧装置を用いて、別個独立に噴霧する必要があった。
【0003】
一例として、従来の噴霧装置について図4を用いて説明する。従来の技術に係る噴霧装置として、消臭液を収納した一の収納体を有するトリガー式噴霧装置を例に挙げ示した(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
噴霧装置1は消臭液6を収納する収納体2、前記消臭液を噴霧する噴霧器8、および前記噴霧液を吸い上げる吸引管3とから構成されている。また、噴霧する消臭液6はあらかじめ収納体2に収納されている。
【0005】
次に噴霧器8の構成および噴霧動作について説明する。図示はしていないが噴霧器8の内部には消臭液6を吸引するためのポンプが配設されており、前記ポンプは収納体2内に一端が挿入された吸引管3と接続され、当該吸引管3を通して消臭液6を吸引する。また、前記噴霧器8は手動でポンプを操作するためのトリガー4が配設されており、当該トリガー4を作動させることにより吸引された消臭液6はノズル5を介して噴霧される。
【0006】
なお、手押し式噴霧器、その他の噴霧器であってもほぼ同様な噴霧方法および構成である。
【特許文献1】特開平09−29145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、混合放置をすると化学反応を起こし、目的の消臭効果が減殺されるような異なった複数の消臭液を噴霧する場合にあっては、あらかじめ前記消臭液同士を混合しておくことができないため、前述の噴霧装置を消臭液毎に準備し、かつ別個独立に噴霧する必要があった。
【0008】
本発明は、前記の問題を解決するためになされたものであり、消臭効果を減じることなく同時に異なった消臭液を噴霧する消臭方法およびその噴霧装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の手段は、異なった複数の消臭液を種類毎に異なった収納体に収納し、一のノズルを介して同時に噴霧する方法に特徴を有する。
【0010】
また、前記した噴霧方法を実現しうる消臭液の噴霧装置は、異なった種類の消臭液をそれぞれ充填した複数の収納体と、前記収納体内の消臭液を同時に吸い上げる分岐管を有する吸引管と、当該吸引管を接続したポンプおよび一のノズルを有する噴霧器とからなる構成に特徴を有する。
【0011】
本発明の第2の手段は、異なった複数の消臭液を種類毎に異なった収納体に収納し、それぞれの収納体に個別に設けられた噴霧器同士を連動させ、同時に噴霧を行う方法に特徴を有する。
【0012】
また、前記した噴霧方法を実現しうる消臭液の噴霧装置は、異なった種類の消臭液をそれぞれ充填した複数の収納体と、それぞれの収納体の消臭液内に一端部を配置した吸引管と、それぞれの吸引管の他端部を接続したポンプ、およびノズルを備えた複数の噴霧器を有し、前記複数の噴霧器はその各々のトリガー同士を連結したトリガーとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、混合放置をすると化学反応を起こし、目的の消臭効果が減殺するような複数の異なった消臭液を噴霧する場合であっても、化学反応を起こさせずに、あるいは進行しない段階で同時に噴霧できるため、従来の別個の噴霧装置を用いて個別に噴霧していた消臭方法、噴霧装置に比べ、利便性が格段に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図1〜3に基づき後述の実施例で説明する。なお、本実施例では二種類の消臭液を噴霧する消臭方法および噴霧装置について示した。
【実施例1】
【0015】
本発明の第1の実施例は一のノズルを持つ噴霧器に取り付けられ、途中から複数に分岐した分岐管の端部を別々の収納体に収納された異なる消臭液の各々に挿入し、前記異なる消臭液を各々の収納体から同時に吸引して噴霧するものである。その噴霧装置の構成を図1および図2に示した。第1の消臭液61を入れる第1の収納体21および第2の消臭液62を入れる第2の収納体22は支持体71により固定されている。たとえば第1の消臭液61は有機酸であるクエン酸等の酸性消臭剤、第2の消臭液62は炭酸水素ナトリウム等のアルカリ性消臭剤であり、あらかじめ第1の収納体21および第2の収納体22にそれぞれ充填されている。また、前記第1の収納体21および第2の収納体22には、前記消臭液61,62を噴霧する一のノズルを有するトリガー式噴霧器8が接続されている。
【0016】
次に本実施例の噴霧器8の構成について説明する。噴霧器8は図示していないが消臭液を吸引するためのポンプと、消臭液を噴霧するノズル5が設けられており、第1の収納体21の消臭液61内に一端部を挿入した第1の分岐管31と第2の収納体22の消臭液62内に一端部を挿入した第2の分岐管32に途中で分岐させて構成した吸引管3の上端部が前記噴霧器8のポンプに接続されている。
【0017】
ところで、本実施例に係る噴霧装置の噴霧動作について説明する。まず、トリガー4を手動で操作することによりポンプを動作させ、第1の収納体21に収納された第1の消臭液61を分岐管31を通して、第2の収納体22に収納された第2の消臭液62を分岐管32を通して同時に吸引する。吸引された第1の消臭液61および第2の消臭液62は途中で合流し、ポンプに供給され、直結したノズル5を介して噴霧される。
【0018】
従って、異なった種類の消臭液同士は噴霧直前に混合され一のノズルから噴霧されるため、消臭液61と消臭液62の接触時間は1回の噴霧動作に要する時間程度のごく短時間であり、前記混合による化学反応が起こらず、仮に起きたとしても、あらかじめ消臭液同士を混合しておく場合に比べ化学反応が進行しない段階で同時に2種類の消臭液を噴霧することができ、目的の消臭効果が得られる消臭方法およびその噴霧装置を提供することができる。
【実施例2】
【0019】
本発明の第2の実施例は、別々に収納された異なる消臭液の各々の収納体に取り付けた複数の噴霧器を連動させて、前記各々の噴霧液を同時に吸引し、噴霧するものである。その噴霧装置の構成を図3に示した。本図に示したように、第1の消臭液を噴霧するトリガー式の第1の噴霧器81には第1の吸引管3が接続され、第1の収納体21に挿着されると共に、第2の消臭液を噴霧するトリガー式の第2の噴霧器82には第2の吸引管3が接続され、第2の収納体22に挿着されている。また、第1の噴霧器81と第2の噴霧器82は支持体72により一体的に固着されている。更に、第1の噴霧器81のトリガーと第2の噴霧器82のトリガーは連動するように一体的なトリガー41として形成してある。なお、収納体21、収納体22および支持体6は実施例1と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0020】
次に、本実施例に係る噴霧装置の噴霧動作について説明する。まず、手動によりトリガー41を操作し、第1の収納体21に収納された第1の消臭液61を第1のポンプにより第1の吸引管3で、第2の収納体22に収納された第2の消臭液62を第2のポンプにより第2の吸引管3でそれぞれ吸い上げる。そして、前記吸い上げられた第1の消臭液61は第1のポンプに直結した第1のノズル51から、第2の消臭液は第2のポンプに直結した第2のノズル52から同時に噴霧される。なお、第1の噴霧器81と第2の噴霧器82のトリガーを一体的に設ける構造に代えて、第1のトリガーと第2のトリガーを図示していない連結部材等により連結して連動可能とした構造であってもよい。
【0021】
このように、第1の消臭液と第2の消臭液は混合されることなく別々のノズルから同時に噴霧されるため、化学反応は起こさず目的の消臭効果が得られる消臭方法およびその噴霧装置を提供することができる。
【0022】
なお、上述の実施例1および2では二種類の消臭液を噴霧する消臭方法および噴霧装置について示したが、三種類またはそれ以上の消臭液を噴霧する消臭方法および噴霧装置であってもよく、また、トリガー式の噴霧器に代えて、手押し式噴霧器等、他の公知の噴霧器を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1の噴霧装置を示す一部断面図である。
【図2】本発明の実施例1の噴霧装置の外観図である。
【図3】本発明の実施例2の噴霧装置を示す一部断面図である。
【図4】従来の噴霧装置を示す一部断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 噴霧装置
2 収納体
3 吸引管
4 トリガー
5 ノズル
6 消臭液
71、72 支持体
8 噴霧器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合放置すると化学反応を起こす異なる複数の消臭液を同時に噴霧する消臭方法であって、一のノズルを持つ噴霧器に取り付けられ、途中から複数に分岐した分岐管の端部を別々の収納体に収納された異なる消臭液の各々に挿入し、前記異なる消臭液を各々の収納体から同時に吸引して噴霧することを特徴とする消臭方法。
【請求項2】
混合放置すると化学反応を起こす異なる複数の消臭液を同時に噴霧する噴霧装置であって、前記異なる消臭液を別々に収納する複数の収納体と、途中から複数に分岐してその端部が各々の異なった収納体の消臭液内に配置され、他の端部を噴霧器に接続した吸引管と、前記各々の収納体から前記吸引管を通して消臭液を同時に吸引し、一のノズルより噴霧する噴霧器とを有することを特徴とする消臭液の噴霧装置
【請求項3】
混合放置すると化学反応を起こす異なる複数の消臭液を同時に噴霧する消臭方法であって、別々に収納された異なる消臭液の各々の収納体に取り付けた複数の噴霧器を連動させて、前記各々の消臭液を同時に吸引し、噴霧することを特徴とする消臭方法。
【請求項4】
混合放置すると化学反応を起こす異なる複数の消臭液を同時に噴霧する噴霧装置であって、前記異なった消臭液を別々に収納する複数の収納体と、各々の収納体の消臭液内に一端部を配置した複数の吸引管と、前記各吸引管の他端部が接続された複数の噴霧器とを有し、前記各噴霧器のトリガー同士を連結したトリガーとしたことを特徴とする消臭液の噴霧装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−34300(P2006−34300A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213800(P2004−213800)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(300026926)株式会社 ハル・インダストリ (3)
【Fターム(参考)】