説明

消臭装置

【課題】
本発明では、光触媒を利用した消臭装置であって、不使用時にはコンパクトにまとまるが使用時には立体的に形状を変化させることができ、壊れ難く、かつ装飾性に優れた消臭装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
光触媒を設けた紙片21が複数枚積層された消臭部材2と、前記消臭部材2が内部に収納され内外に貫通する窓部31が設けられた保形性を有するケース部材3とを備え、前記消臭部材2は、前記ケース部材3に各紙片21が前記窓部31を通じて露出するように立体的に展開されて収納されるとともに前記ケース部材3が折り畳まれる際に連動して扁平形に畳み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に室内や自動車内等に載置したり、吊り下げたりして使用する消臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層ハニカム状の紙材からなり装飾性に優れた消臭装置が提案されている。
【0003】
例えば、(特許文献1)には、消臭剤等が保持された積層ハニカム状の揮散体が開放自在な容器本体の内部に固定され、その容器本体には開放時に揮散体の外周部を覆うカバー部が設けられた揮散器が記載されている。
【0004】
しかしながら、上記揮散器は、カバー部が積層ハニカム状であるため外力により変形し易く、消臭剤等を含んだ揮散体が剥き出しになってしまったりカバー部とともに揮散体が潰れてしまったりする恐れがあるという問題があった。
【0005】
また、光触媒を用いる場合には、脱臭・抗菌効果は光が照射される面積に比例するため光の照射面積を大きくする必要がある。しかし、例えば上記揮散器に光触媒を用いた際には、光はハニカム状にカバー部の隙間を縫って揮散体に照射されるため照射面積が小さくなり、光触媒作用による十分な脱臭・抗菌効果が得られない。
【0006】
【特許文献1】特開2004−201949号公報(請求項3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記従来の状況に鑑み、光触媒を利用した消臭装置であって、不使用時にはコンパクトにまとまるが使用時には立体的に形状を変化させることができ、止め具なしで形状を保持できる上に壊れ難く、かつ装飾性に優れた消臭装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、光の照射される面積が大きく光触媒の脱臭・抗菌効果を最大限に発揮できる消臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、請求項1として、光触媒を設けた紙片が複数枚積層された消臭部材と、前記消臭部材が内部に収納され内外に貫通する窓部が設けられた保形性を有するケース部材とを備え、前記消臭部材は、前記ケース部材に各紙片が前記窓部を通じて露出するように立体的に展開されて収納されるとともに前記ケース部材が折り畳まれる際に連動して扁平形に畳み込まれる消臭装置を提供する。
【0010】
上記構成によれば、紙片で形成され立体的に展開する消臭部材と折り畳み可能なケース部材とからなり、不使用時にはケース部材を折り畳むのに連動して消臭部材が扁平状に畳み込まれることによりコンパクトにまとまるが、使用時にはケース部材を展開するのに連動して消臭部材が展開することにより立体的に形状を変化させる消臭装置が得られる。
【0011】
また、光触媒を設けたそれぞれの紙片が立体的に展開された消臭部材が窓部を通して露出することにより、光が各紙片の間隙に入り込み、紙片の広面積に光が照射される。
【0012】
さらに、消臭部材が保形性を有するケース部材に収納されていて展開状態と折り畳み状態とが切り分けられる。また、消臭部材の外力による変形が防止される。そして、指等が消臭部材に直接触れてしまうことを防止する。
【0013】
なお、光触媒を「設けた」とは、紙の表面に光触媒が付着し、あるいは紙の繊維間に浸透する等して担持された状態をいう。
【0014】
また、請求項2は、請求項1記載の消臭装置において、前記ケース部材が紙材からなることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、消臭装置を構成するケース部材と消臭部材とが紙材で形成されていることにより、装置全体がリサイクル可能となる。
【0016】
また、請求項3は、請求項1または2記載の消臭装置において、消臭部材は、各紙片間に複数の線状の接続部が各々略々平行になるように所定間隔をおいて設けられるとともに、一部を束ねて要とし接続部が骨となるように扇状に展開されて収納されることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、消臭部材は扇状に展開されて、紙片の露出面積が大きくなる。
【0018】
また、請求項4は、請求項3記載の消臭装置において、消臭部材は、窓部に向けて大きく開口するとともに要に近付くにつれて窄んでいく蜂の巣のような形状に展開されて収納されることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、消臭部材が蜂の巣状に展開されてその開口側から光が入射することにより、紙片の全面に光が照射される。
【0020】
また、請求項5は、請求項1〜4のいずれか記載の消臭装置において、ケース部材が柱状であるとともに、底面に位置し前記ケース部材の形状を保持するための蓋部が設けられることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、ケース部材は蓋部により柱状に保形されて、消臭部材を確実に保護する。
【0022】
さらに、請求項6は、請求項1〜5のいずれか記載の消臭装置において、紙片が、斤量20〜30g/mの薄葉紙であることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、光触媒に対する耐久性や、畳み易さを考慮して、紙の種類が特定される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、コンパクトに畳まれた状態から展開して立体的に形状変化させることができる消臭装置を得ることができる。この消臭装置は、例えば室内や自動車内に載置したり吊り下げたりした状態で使用できる。
【0025】
また、光触媒を設けた複数枚の紙片からなる消臭部材は、展開させたときにそれぞれの紙片の表面が露出するので、光が照射される面積が大きくなり、従来に比して高い脱臭・抗菌効果を発揮することができる。
【0026】
さらに、この消臭装置は、脱臭・抗菌機能を有する消臭部材がケース部材に収納されているため、素手で消臭部材に触れてしまったり外力によって消臭部材が変形してしまうことが防止される。
【0027】
そして、この消臭装置は、紙片からなる消臭部材と紙材からなるケース部材とで構成されているため、装置全体を古紙で作製したり、使用後に装置全体をリサイクルしたりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明の実施の形態(1)に係る消臭装置1について図1〜図5に基づき説明する。図1及び図2に示すように、消臭装置1は、光触媒が設けられた消臭部材2と、その消臭部材2を内部に収納するケース部材3とから形成されている。
【0029】
消臭部材2は、光触媒を設けた複数枚の紙片21が積層されることにより形成されている。
【0030】
紙片21に用いられる紙の種類としては、光触媒を担持でき、かつ繊維が光触媒によって容易に損なわれないものであれば適宜採用することができる。具体的には、薄葉紙、家庭用薄葉紙、包装用紙や、ケント紙、画用紙等の非塗工印刷用紙、障子紙等の雑葉紙等を挙げることができる。その中でも薄葉紙は、光触媒を担持し易く、また適度な強度を有し、折り曲げたり立体形状を保持し易いため好適に用いられる。
【0031】
上記紙の斤量は、繊維の凝集密度に対応しており、それゆえ光触媒を設けたときの脱臭・抗菌作用に影響を及ぼす。一般には、斤量が小さ過ぎると光触媒を十分に担持させることができず、また立体形状を保持しにくくなるため好ましくない。逆に大き過ぎても、光触媒の付着量が低下し、また複数枚を積層させた後に展開しづらくなる傾向があるため、これらのバランスを考慮して適宜設定する。具体的には、薄葉紙の場合で20〜30g/m程度とすることが好ましい。
また、紙片21の厚さは、紙の種類や斤量によっても異なるが、一般には0.1〜5mmの範囲内が適当である。
【0032】
ケース部材3は、ダンボール原紙、画用紙等の厚く保形性を有する非塗工印刷用紙により形成されている。また、扁平形に折り畳み可能な側面32a、32b、32c、32dを有する正四角柱状に形成されており、隣接する側面32aと側面32bとに、ケース部材3の内外に貫通する窓部31が複数設けられている。
【0033】
このとき、窓部31が大きく形成されればされるほど、ケース部材3の内部に収納された消臭部材2における光の照射される面積が広領域となるため、光触媒の効果を効果的に得ることができる。そこで、窓部31の内側に骨枠311を設けることにより、光の入射量とケース部材3の外力に対する強度とのバランスを保ちながら複数の窓部31を形成している。
【0034】
なお、上述の通り、窓部31は、ケース部材3の側面のうちの側面32a及び側面32bの2面のみに設けられているため、窓部31を大きく設けたとしても、窓部31が設けられていない側面32cと側面32dによって、十分にな強度が得られている。
【0035】
また、ケース部材3には、形状を保形するための蓋部33が側面32dと連続して設けられている。そして、側面32b、側面32d、及び蓋部33に連続して舌片34が設けられている。ケース部材3を四角柱状にした状態で舌片34をケース部材3の各側面32に対面するように填め込み、蓋部33を底面の位置に固定することにより、ケース部材3の立体的な形状が保たれ、ケース部材3が補強される。
【0036】
さらに、蓋部33と舌片34との境界に切込み35が設けられることにより、ケース部材3を四角柱状にして蓋部33を底面の位置に固定した状態において、舌片34の抜け落ちが防止されている。
【0037】
そして、消臭部材2は、全体が四角柱状のケース部材3の内部にすっぽり収納されるため、外部からの圧力により容易に変形することはない。
【0038】
なお、ケース部材3は角柱状に形成されていて平滑な面を有するため自在に装飾を施すことができ、例えば、消臭効果を有する炭を連想させて視覚的な効果を出すために外側の面を黒く形成してもよい。
【0039】
また、ケース部材3の窓部31が設けられていない側面32cまたは側面32dに、室内や自動車内等に載置する際に定位置に固定するための両面テープT等を設けることもできる。
【0040】
消臭部材2に担持される光触媒は、光エネルギーが照射されることにより、表面に接する有機物等を酸化分解する性質を有している。光触媒の種類としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、三酸化ビスマス、チタン酸ストロンチウム、三酸化鉄、酸化セリウム、及びこれらの複合物等を挙げることができる。その中でも、酸化チタンは、光触媒活性が高く、また安定性、安全性に優れるため特に好ましく用いられる。酸化チタンには、アナターゼ型、及びルチル型があるが、アナターゼ型酸化チタンがより好ましい。
【0041】
上記の光触媒は粉末状にして用いる。粉末の粒径は、一般には、細かい方が光触媒機能が高く、また、紙片21に担持させ易いため好ましい。具体的には、1〜50nm程度が適当であり、とりわけ5〜30nmである。
【0042】
光触媒を紙片21に設けるに際しては、適宜手段により行うことができる。例えば、所定量の粉末状の光触媒を水に分散させ、その分散液を紙片21の表面に塗布したり、あるいは分散液中に紙片21を浸漬させ、その後乾燥させることによって紙片21の繊維間に光触媒が浸透し、あるいは光触媒が紙片21に付着して担持された状態となる。
【0043】
光触媒を紙片21に設ける量は、所望の脱臭・抗菌効果に応じて、また光触媒の粒径や紙の種類等を考慮して適宜設定することができる。具体的には、斤量20〜30g/mの薄葉紙に対して粉末状の光触媒を設ける場合、光触媒を水で10〜70倍に希釈させたものを塗布すれば、適度な脱臭・抗菌効果を得ることができる。10倍より高濃度にしても得られる効果はあまり変わらず、また70倍より薄くすると十分な効果が得られない場合がある。しかし、上記範囲に限定されるものではない。
【0044】
なお、光触媒は、必要に応じて、予め褪色性の染料等により着色しておくことができる。褪色の進み具合から、光触媒の状態を推定することができ、消臭装置1の有効期限を知るための目安として利用することができる。
【0045】
また、紙片21に光触媒を設ける際、又はそれとは別の工程として、各種染料により紙片21を所望の色に染めることができる。無論、消臭装置1全体を一色に染めても良いし、いくつかの領域に染め分けることもできる。
【0046】
次に、消臭装置1の作製法について図3及び図4を用いて説明する。なお、図3及び図4では、わかりやすく説明するために、紙片21及び接着剤Sを厚く表示している。
【0047】
始めに消臭部材2を作製する。消臭部材2は、図3に示すように、複数枚の紙片21が積層されることにより形成される。その際、各々の紙片21の一方の面には、各紙片を接続するために線状の接着剤Sが塗布された接続部22が所定の間隔をおいて略々平行に設けられている。例えば、紙片21aには、接続部221a、222a、223a・・・が順に設けられ、紙片21bには、221b、222b、223b・・・、紙片21cには、221c、222c、223c・・・がそれぞれ設けられている。
【0048】
そして、紙片21aの上に紙片21b、紙片21bの上に紙片21c・・・と順に積層される。このとき、紙片21aの接続部221aと紙片21bの接続部221b、紙片21aの接続部222aと紙片21bの接続部222b、・・・の位置をずらしながら接着する。同様に、紙片21bの接続部221bと紙片21cの接続部221c、紙片21bの接続部222bと紙片21cの接続部222c、・・・の位置をずらしながら接着し、この作業を繰り返すことにより、図3に示すように、複数枚の紙片21からなる消臭部材2を作製する。
【0049】
このように隣接する紙片21について接続部22の位置をずらしながら積層していくと、消臭部材2の上面Aと下面Bとを図3のH方向に引っ張った際に、消臭部材2は全体として格子状になり、各紙片21間に図4に示すようなセル状の空間Kが作り出される。なお、図4は、図3の断層面D側から見た図である。
【0050】
次に、作製された消臭部材2をケース部材3に固定する。このとき、ケース部材3を扁平状に展開した状態でケース部材3に消臭部材2を接着すると、容易に接着作業を行うことができる。
【0051】
図3に示す消臭部材2を湾曲させながら、上面Aをケース部材3の側面32cに、下面Bを側面32cと隣接する側面32dにそれぞれ貼付する。すなわち、消臭部材2を構成する各紙片21の一部(例えば、断層面C)を軸として固定するとともに、その他の部分(例えば、断層面D等)を開放し、消臭部材2の上面Aの断層面D側または下面Bの断層面D側を図3のF方向に引っ張ることにより、消臭部材2は、図6に示すような扁平状に畳まれた状態から、図5に示すような断層面Cを要とした扇状に展開された状態へと変形する。
【0052】
このとき、接続部22を、消臭部材2の展開の際の軸(断層面C)に対して垂直に設けることにより、消臭部材2は接続部22を骨とした扇状に形成される。そして、消臭部材2を展開した際にできるセル状の空間Kは、開口側において大きく口を開け要に近付くにつれて窄んでいく蜂の巣のような形状となり、そのセル状の空間Kの開口側を窓部31に向けるとともに、窓部31から開口側から光を入射させると、紙片21全面に対して光が照射されて、紙面21の全面を使って消臭・抗菌を行うことができる。
【0053】
このように、複数の紙片21が積層されて線状の接続部22により接着されて形成され、その消臭部材2がケース部材3に接着することにより、消臭装置1が作製される。なお、本形態では接続部22の形状は線状としたが、これに限らず、立体的に展開された際に各々の紙片21が空間を作り出す形状であればよい。
【0054】
上記のように作製された消臭装置1は、不使用時には扁平状に折り畳まれることによりコンパクトにまとまる。
【0055】
つまり、ケース部材3の蓋部33を外した状態で消臭装置1に対して図1及び図5のE方向に力を加えると、それに連動して、図2及び図6に示すように、ケース部材3は側面32aと側面32b、側面32cと側面32dが対面するように折り畳まれ、消臭装置1は扁平状に折り畳まれた状態となる。このとき、複数枚の紙片21はケース部材3の内部において側面32cと側面32dとの間に扁平形に畳み込まれた状態で収納されている。
【0056】
そして、折り畳まれた消臭装置1に対して図2及び図6のG方向に力を加えて、ケース部材3を角柱状に変形させると、図1及び図5に示すように、それに連動して畳まれていた複数の紙片21が展開されて、消臭部材2は開口部分が窓部31を向いた蜂の巣状の形状となり、各々の紙片21の裏表両面が窓部31を通じて露出する。消臭装置1をこのように立体的に展開した状態で室内や車内に置いておくことによって、光触媒に起因して高い脱臭・抗菌効果を得ることができる。
【0057】
なお、消臭装置1を立体的に形状変化させてそれぞれの紙片21の表面を露出させると、消臭部材2の光が照射される面積が大きくなり、紙面21に設けられた光触媒の脱臭・抗菌効果を高めることができる。さらに、それぞれの紙片21の裏表両面が露出されるので、光触媒による効果を余すところなく利用することができる。
【0058】
具体的な効果の程度は、紙片21の枚数等によって異なり一概には決まらないが、外面が蜂の巣状でなく単純な平面である場合に比較すると、(一枚の面積×2〔表と裏〕×枚数)で計算される表面積が露出することになり、数十〜数千倍の脱臭・抗菌効果を得ることができる。
【0059】
上記実施の形態(1)では、紙片21の素地に対し、後から光触媒や各種染料等を塗布する等して設ける場合について述べたが、別の場合として、抄紙する段階でパルプ原料に光触媒や染料等を混ぜ込むことにより、最初から光触媒が付着・浸透し、かつ適宜着色された紙片21を製造することもできる。パルプ原料としては、光触媒によって容易に繊維が損なわれないことを条件として適宜選択することができる。具体的には、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ等、あるいは麻パルプ、わらパルプ等の非木材パルプを挙げることができる。
【0060】
また、パルプ原料に光触媒等を混合したものを抄紙する方法としては、特に限定されるものでなく、公知の抄紙機を使用して行うことができる。抄紙機の例としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機等を挙げることができる。あるいは、手抄きによっても良い。
【0061】
さらに、消臭部材2の紙片21を白く形成することにより、ケース部材3の内部で複雑な形状をなしている複数の紙片21の各面において光を繰り返し反射させて、光触媒能を高めることができる。
【0062】
本形態では、消臭部材2が複数枚の紙片21がされて紙片21間が接着されてなる例を説明したが、これに限らず、一枚の紙片を蛇腹折等に折り畳んだり切り込みを入れたりすることにより、立体的に展開されるようにしてもよい。
【0063】
また、本形態では、ケース部材3が四角柱状に形成されているが、折り畳み可能であれば、その他の角柱状、円柱状、角錐状、円錐状等の自由な形状に形成することができる。なお、消臭部材2のみでなくケース部材3にも光触媒を設けることにより、脱臭・抗菌効果が向上する。
【0064】
さらに、本形態では、ケース部材3を扁平状に展開した状態で消臭部材2を接着しているが、ケース部材3を立体的に組み立てた状態で消臭部材2を貼付することにより、消臭装置1を作製してもよい。
【0065】
そして、上記の光触媒や各種染料以外にも、必要に応じて、他の添加剤を紙片21に設けることができる。具体例として、活性炭等の吸着剤や、重炭酸アンモニウム等が挙げられる。これらは、例えば室内のホルムアルデヒド等を効果的に吸着・吸収することができ、光触媒の酸化力とあいまって、有害物質、臭気物質をより強力に除去することができる。
【0066】
本形態によると、消臭装置1は、紙片21が積層されてなる消臭部材2と紙材からなるケース部材3とから構成されているため、装置全体を古紙で作製したり、使用後に装置全体を紙資源として有効利用することができる。したがって、環境保護に資するものである。さらに、焼却して廃棄処分する際にも有害物質を出すことがない。
【0067】
また、上記の消臭装置1は、安価な消臭グッズとして利用することができ、例えば、乗用車、タクシー、バス等の車内や、室内、トイレ、台所等に設置して、タバコやペット等による臭いや、シックハウス症候群等を引き起こす化学物質を効果的に除去することができる。また、病院内で使用すれば、不快な臭いを除去でき、感染予防の対策としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施の形態(1)に係る消臭装置の斜視図を示す斜視図である。
【図2】実施の形態(1)に係る消臭装置の折り畳んだ状態を示した斜視図である。
【図3】実施の形態(1)に係る消臭装置の消臭部材の拡大斜視図である。
【図4】実施の形態(1)に係る消臭装置の消臭部材の展開時の拡大側面図である。
【図5】図1のX方向の断面図である。
【図6】図2のY方向の断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 消臭装置
2 消臭部材
21 紙片
21a〜d 紙片
22 接続部
221a〜c 接続部
222a〜c 接続部
223a〜c 接続部
3 ケース部材
31 窓部
311 骨枠
32 側面
32a〜d 側面
33 蓋部
34 舌片
35 切込み
A 上面
B 下面
C 断層面
D 断層面
K セル状の空間
S 接着剤
T 両面テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒を設けた紙片が複数枚積層された消臭部材と、前記消臭部材が内部に収納され内外に貫通する窓部が設けられた保形性を有するケース部材とを備え、前記消臭部材は、前記ケース部材に各紙片が前記窓部を通じて露出するように立体的に展開されて収納されるとともに前記ケース部材が折り畳まれる際に連動して扁平形に畳み込まれる消臭装置。
【請求項2】
請求項1記載の消臭装置において、前記ケース部材が紙材からなることを特徴とする消臭装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の消臭装置において、消臭部材は、各紙片間に複数の線状の接続部が各々略々平行になるように所定間隔をおいて設けられるとともに、一部を束ねて要とし接続部が骨となるように扇状に展開されて収納されることを特徴とする消臭装置。
【請求項4】
請求項3記載の消臭装置において、消臭部材は、窓部に向けて大きく開口するとともに要に近付くにつれて窄んでいく蜂の巣のような形状に展開されて収納されることを特徴とする消臭装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の消臭装置において、ケース部材が柱状であるとともに、底面に位置し前記ケース部材の形状を保持するための蓋部が設けられることを特徴とする消臭装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の消臭装置において、紙片が、斤量20〜30g/mの薄葉紙であることを特徴とする消臭装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−212154(P2006−212154A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26938(P2005−26938)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(598003999)宇野紙株式会社 (1)
【Fターム(参考)】