説明

消音器および消音ユニット

【課題】通気路への設置に適した消音器を低コストで提供する。
【解決手段】本発明の消音器1は、筒状の空間を形成する筐体2と、この筐体2の内部に配置された複数の吸音体3−1〜3−6と、を備える。各々の吸音体3−1〜3−6は、通気のための開口部6、7b、8,9、10b、11を有するとともに、剛体多孔質吸音材の一体構造物によって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気路に設置される消音器および消音ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビルやマンション等の建物には、給排気のための通気路が設けられている。通気路は、空気を流すだけではなく、音を伝搬する。このため、たとえば、空調用のファンやボイラなどの設置場所につながる通気路の場合は、それらの駆動音が騒音となり、この騒音が通気路を通して居室空間に伝わる。したがって、そのような通気路の途中には、通気性を有する消音器が設置されている。この消音器は、建物だけでなく、たとえば、地下鉄などの通気路にも設置されている。
【0003】
消音器の性能は、単に消音機能に優れるだけでなく、通気機能との両立を図ることが重要となる。その理由は主に2つある。第1の理由は、消音器においては、消音機能と通気機能がトレードオフの関係となるためである。第2の理由は、通気機能が低下すると、給排気のための駆動源(ファン等)にかかる負荷が大きくなるためである。駆動源の負荷の増大は、空調設備等の大型化や消費電力の増大などを招く。
【0004】
そこで、消音機能と通気機能を両立させる従来技術の一つとして、通気路内に複数の衝立構造体を設置する技術が知られている。この従来技術は、通気路を構成するように相対向する2つの壁面に、それぞれ通気路の長さ方向に位置をずらして衝立構造体を設置することにより、消音機能と通気機能を両立させるものである。さらに、かかる従来技術において、消音効果をより高めるために、たとえば、特許文献1に記載されているような吸音体の構造を採用することにより、衝立構造体に吸音機能を持たせる技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−238513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、吸音体を構成するにあたって、吸音材にグラスウール等の繊維系材料を使用している。このため、繊維系材料特有の形状保持力の弱さから、これを単独で設置することができず、当該繊維系材料を両側から押さえて支持するパンチングメタルが必要になる。したがって、吸音体の製造コストが高くなり、実用化に難点があった。
【0007】
本発明の主たる目的は、通気路への設置に適した消音器を低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、
筒状の空間を形成する筐体と、
前記筐体の内部に配置された少なくとも1つの吸音体と、
を備え、
前記吸音体は、通気のための開口部を有するとともに、剛体多孔質吸音材の一体構造物からなる
ことを特徴とする消音器である。
【0009】
本発明の第2の態様は、
前記筐体の内部に前記吸音体が複数配置されている
ことを特徴とする上記第1の態様に記載の消音器である。
【0010】
本発明の第3の態様は、
前記複数の吸音体のうち、前記筐体の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体について、一方の吸音体が有する開口部の開口寸法と他方の吸音体が有する開口部の開口寸法が互いに異なる
ことを特徴とする上記第2の態様に記載の消音器である。
【0011】
本発明の第4の態様は、
前記複数の吸音体のうち、前記筐体の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体について、一方の吸音体が有する開口部の開口位置と他方の吸音体が有する開口部の開口位置が互いに異なる
ことを特徴とする上記第2または第3の態様に記載の消音器である。
【0012】
本発明の第5の態様は、
前記一方の吸音体が有する開口部の開口位置と前記他方の吸音体が有する開口部の開口位置が、前記筐体の中心軸方向の一方から見て互いに一部重なり合う状態に配置されている
ことを特徴とする上記第3または第4の態様に記載の消音器である。
【0013】
本発明の第6の態様は、
前記開口部の形状が円形である
ことを特徴とする上記第1〜第5の態様のいずれか一つに記載の消音器である。
【0014】
本発明の第7の態様は、
前記複数の吸音体は、前記筐体の中心軸方向に並ぶM個(Mは2以上の整数)の吸音体を一つの組として複数の組を構成し、各組の吸音体が、前記筐体の中心軸方向に順に配置されている
ことを特徴とする上記第2の態様に記載の消音器である。
【0015】
本発明の第8の態様は、
前記複数の組の吸音体のうち、相対応する吸音体は、前記開口部の開口寸法および開口位置が等しい
ことを特徴とする上記第7の態様に記載の消音器である。
【0016】
本発明の第9の態様は、
上記第1〜第8の態様のいずれか一つに記載された消音器を平面的に複数並べて構成されている
ことを特徴とする消音ユニットである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通気路への設置に適した消音器を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る消音器の構成を示す断面図である。
【図2】(A)は図1に示す消音器を左側(F矢視方向)から見た図であり、(B)は図1に示す消音器を右側から見た図である。
【図3】(A)は吸音体3−1の構造を示し、(B)は吸音体3−2の構造を示し、(C)は吸音体3−3の構造を示す図である。
【図4】吸音体の開口部の重なり具合を説明する図である。
【図5】(A)は吸音体3−4の構造を示し、(B)は吸音体3−5の構造を示し、(C)は吸音体3−6の構造を示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る消音ユニットの構成を示すもので、図中(A)は正面図、(B)は断面図である。
【図7】消音ユニットを構成する消音器の単体の構造を説明するもので、図中(A)は消音器の正面図、(B)は消音器の断面図、(C)は消音器を構成する吸音体の正面図、(D)は消音器を構成する他の遮音体の正面図である。
【図8】吸音体の固定手段の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の実施の形態においては、次の順序で説明を行う。
1.実施の形態
1−1.消音器の構成
1−2.消音器の機能
1−3.実施の形態の効果
2.他の実施の形態
2−1.消音ユニットの構成
2−2.消音器の構成
2−3.消音器の機能
2−4.他の実施の形態の効果
3.変形例
【0020】
<1.実施の形態>
図1は本発明の実施の形態に係る消音器の構成を示す断面図である。また、図2(A)は図1に示す消音器を左側(F矢視方向)から見た図であり、同(B)は図1に示す消音器を右側から見た図である。
【0021】
<1−1.消音器の構成>
消音器1は、大きくは、筒状の筐体2と、この筐体2の内部(筒内)に配置された板状の吸音体3とを備えた構成となっている。この消音器1を図示しない通気路に設置した場合、空気の流れる方向(以下、「通気方向」と記す)は、F矢視方向となる。
【0022】
(筐体の構成)
筐体2は、たとえば、鉄板等を用いて形成されている。筐体2は、一方と他方を開口した筒状の空間を形成している。筐体2の一方とは通気方向Fの上流側に該当し、筐体2の他方とは通気方向Fの下流側を該当する。筐体2は、通気方向Fから見て、正方形または長方形の開口形状をもって筒状に形成されている。筐体2は一様な外形寸法をもって中心軸方向(長さ方向)に延在している。よって、筐体2の一方の開口4と他方の開口5は、互いに同一の形状および寸法に設定されている。筐体2の中心軸方向は、上述した通気方向Fと平行な方向となっている。筐体2の外形およびその寸法は、消音器1が設置される通気路(不図示)の断面形状および内径にあわせて設定されている。
【0023】
(吸音体の構成)
吸音体3は、筐体2の内部に複数配置されている。これらの吸音体3は、それぞれ通気のための開口部(詳細は後述)を有するもので、剛体多孔質吸音材の一体構造物によって構成されている。ここで記述する「一体構造物」とは、当該吸音体3を構成する主原料が同一で、かつ一体化された構造体をいう。したがって、一体構造物には、全体的に継ぎ目等のない一体の構造物(成形物など)はもちろん、当該構造物を2つ以上貼り合わせ等によって一体化した構造物なども含む。吸音体3として好適に適用可能な剛体多孔質吸音材としては、ポアセル(出願人の登録商標)を挙げることができる。
【0024】
ポアセルは、セメント系の吸音材である。さらに詳述すると、ポアセルは、硅酸カルシウム系水和物を基材とした剛体多孔質吸音材であって、直径0.1mm〜1mm程度の小さな気孔が全体積の85%以上を占める発泡コンクリートである。ポアセルは、上記の気孔が相互に連通して得られる通気性を利用して音のエネルギーを吸収等して吸音する剛体多孔質吸音材である。
【0025】
(吸音体の配置)
各々の吸音体3は、筐体2の中心軸方向(通気方向F)に位置をずらして配置されている。吸音体3は、図示しない固定手段によって筐体2に固定されている。吸音体3の固定手段としては、たとえば図8に示すように、一対のL型プレート15で吸音体3の上下または左右の端部を挟み込み、その状態で各々のL型プレート15を筐体2にリベット16などで固定する形態などを採用することが可能である。各々の吸音体3は、筐体2の中心軸方向に所定の間隔で一列に並んで配置されている。ここで、複数の吸音体3を、吸音体3−1、吸音体3−2、吸音体3−3、吸音体3−4、吸音体3−5、吸音体3−6と区別する。そうした場合、複数の吸音体3は、通気方向Fの上流側から下流側に向かって、吸音体3−1、吸音体3−2、吸音体3−3、吸音体3−4、吸音体3−5、吸音体3−6の順に配置されている。
【0026】
吸音体3−1は、筐体2の一端(一方の開口4)から当該筐体2の奥側に寸法P1だけ入り込んだ位置に配置されている。また、吸音体3−1と吸音体3−2とは間隔P2をあけて配置され、吸音体3−2と吸音体3−3とは間隔P3をあけて配置されている。吸音体3−3と吸音体3−4とは間隔P3をあけて配置され、吸音体3−4と吸音体3−5とは間隔P5をあけて配置され、吸音体3−5と吸音体3−6とは間隔P6をあけて配置されている。また、吸音体3−6は、筐体2の他端(他方の開口5)から当該筐体2の奥側に寸法P7だけ入り込んだ位置に配置されている。
【0027】
ここで、上述した寸法P1と寸法P7の大小関係は、P1>P7となっている。また、間隔P2と間隔P3の大小関係は、P2<P3となっている。また、間隔P5と間隔P6の大小関係は、P5>P6となっている。さらに、間隔P4を基準に、他の寸法および間隔との大小関係を比較すると、P1<P4、P2<P4、P3>P4、P5>P4、P6>P4、P7<P4となっている。
【0028】
また、筐体2の中心軸方向において、通気方向Fの上流側を前段側、通気方向Fの下流側を後段側とすると、上述した複数の吸音体3のうち、筐体2の前段側に配置された3個の吸音体3−1、3−2、3−3は、1つの組(以下、「第1組」とする)を構成している。また、筐体2の後段側に配置された3個の吸音体3−4、3−5、3−6は、他の組(以下、「第2組」とする)を構成している。つまり、筐体2の内部には、複数の吸音体3が、2つの組に分けて配置されている。また、第1組に属する3つの吸音体3−1、3−2、3−3は、互いに異なる厚み寸法をもって形成されている。具体的には、最前段に配置された吸音体3−1が最も薄く形成され、真ん中に配置された吸音体3−2が最も厚く形成されている。この点は、第2組に属する3つの吸音体3−4、3−5、3−6についても同様である。
【0029】
(吸音体の開口部について)
次に、各々の吸音体3に設けられた開口部について説明する。図3の(A)は吸音体3−1の構造を示し、(B)は吸音体3−2の構造を示し、(C)は吸音体3−3の構造を示している。
【0030】
第1組に属する3つの吸音体3−1、3−2、3−3のうち、吸音体3−1には一つの開口部6が形成されている。また、吸音体3−2には合計5つの開口部7a、7bが形成され、吸音体3−3には合計4つの開口部8が形成されている。これらの開口部6、7a、7b、8は、いずれも円形に形成されている。
【0031】
開口部6は、吸音体3−1の中央部に設けられている。開口部6は、たとえば、吸音体3−1の一辺の長さの1/2〜3/4程度(好ましくは2/3程度)の直径で円形に形成されている。一方、開口部7aは、吸音体3−2の中央部に設けられ、他の4つの開口部7bは、開口部7aの周囲に設けられている。また、4つの開口部7bは、それぞれ吸音体3−2の対角線上またはその近傍に中心をもつ円形に形成されている。開口部7aは、開口部7bよりも小径に形成されている。具体的には、開口部7aは、開口部7bの約半分の開口径(直径)で形成されている。また、上述した開口部6との関係で記述すると、開口部7bは、開口部6の約半分の開口径で形成されている。そして、筐体2の中心軸方向からみると、吸音体3−1に設けられた開口部6と、吸音体3−2に設けられた5つの開口部7a、7bとは、部分的に重なり合っている。具体的には、図4(A)に示すように、図中右上がりのハッチングで示す部分で、開口部6と5つの開口部7a、7bとが重なり合っている。
【0032】
4つの開口部8は、吸音体3−3の縦横の中心線上に中心をもつ円形に形成されている。各々の開口部8は、互いに同じ開口径で形成されている。また、上述した開口部7a、7bとの関係で記述すると、開口部8は、開口部7aよりも大きく、かつ開口部7bよりも小さい開口径で形成されている。そして、筐体2の中心軸方向からみると、吸音体3−2に設けられた5つの開口部7a、7bと、吸音体3−3に設けられた4つの開口部8とは、部分的に重なり合っている。具体的には、図4(B)に示すように、図中右下がりのハッチングで示す部分で、5つの開口部7a、7bと4つの開口部8とが重なり合っている。さらに、吸音体3−1に設けられた開口部6と、吸音体3−2に設けられた4つの開口部7bと、吸音体3−3に設けられた4つの開口部8との間でも、部分的に重なり合っている。具体的には、図4(C)に示すように、図中交差するハッチングで示す部分で、開口部6と5つの開口部7a、7bと4つの開口部8とが重なり合っている。
【0033】
次に、第1組に属する3つの吸音体3−1、3−2、3−3と、第2組に属する3つの吸音体3−4、3−5、3−6との関係について記述する。図5の(A)は吸音体3−4の構造を示し、(B)は吸音体3−5の構造を示し、(C)は吸音体3−6の構造を示している。
【0034】
上記2組の吸音体のうち、相対応する吸音体は、開口部の開口寸法および開口位置が等しい構成となっている。より具体的に記述すると、第1組と第2組とは、互いに開口部の開口位置および開口寸法が等しい吸音体3を用いて構成されている。すなわち、第1組に属する吸音体3−1の開口部6と、第2組に属する吸音体3−4の開口部9とは、互いに開口位置および開口寸法が等しく形成されている。同様に、第1組に属する吸音体3−2の開口部7a、7bと、第2組に属する吸音体3−5の開口部10a、10bとは、互いに開口位置および開口寸法が等しく形成されている。また、第1組に属する吸音体3−3の開口部8と、第2組に属する吸音体3−6の開口部11とは、互いに開口位置および開口寸法が等しく形成されている。
【0035】
また、第1組に属する吸音体3−1の厚み寸法と、第2組に属する吸音体3−4の厚み寸法とは、互いに等しい寸法に設定され、第1組に属する吸音体3−2の厚み寸法と、第2組に属する吸音体3−5の厚み寸法も、互いに等しい寸法に設定されている。これに対して、第1組に属する吸音体3−3の厚み寸法と、第2組に属する吸音体3−6の厚み寸法とは、互いに異なる寸法に設定されている。具体的には、第1組に属する吸音体3−3の厚み寸法に比べて、第2組に属する吸音体3−6の厚み寸法が小さく設定されている。
【0036】
なお、第1組と第2組の各吸音体の厚み寸法の関係は、ここで例示した関係に限るものではなく、種々の変更が可能である。たとえば、第1組と第2組の吸音体の厚み寸法を一部共通の寸法に設定した形態(図示した形態を含む)の他に、図示はしないが、第1組と第2組の吸音体の厚み寸法をすべて同じ寸法に設定した形態や、第1組と第2組の吸音体の厚み寸法をすべて異なる寸法に設定した形態なども考えられる。
【0037】
<1−2.消音器の機能>
続いて、本発明の実施の形態に係る消音器の機能について説明する。かかる機能の説明においては、上記図1に示すように、筐体2が形成する筒状の空間のうち、吸音体3−1と吸音体3−2が対向する空間を第1の対向空間S1、吸音体3−2と吸音体3−3が対向する空間を第2の対向空間S2、吸音体3−3と吸音体3−4が対向する空間を第3の対向空間S3、吸音体3−4と吸音体3−5が対向する空間を第4の対向空間S4、吸音体3−5と吸音体3−6が対向する空間を第5の対向空間S5とする。
【0038】
(消音機能について)
まず、消音器1の消音機能について説明する。
実際に消音器1を通気路に設置した場合、この通気路を流れる空気は、筐体2の一方の開口4から取り込まれて当該筐体2内の空間を流れ、最終的に筐体2の他方の開口5から排出されていく。そして、筐体2の内部では、前述した第1〜第5の対向空間(S1〜S5)を区画する複数の吸音体3が音のエネルギーを吸収することにより、音が減衰する。
【0039】
具体的には、筐体2の開口4から進入した音のうち、吸音体3−1の前面に入射した音は、当該吸音体3−1によって吸音される。また、吸音体3−1の開口部6を通過する音は、当該開口部6の内周面で一部吸音されながら第1の対向空間S1に進入する。
【0040】
第1の対向空間S1に進入した音のうち、一部の音は吸音体3−2の前面に入射し、他の音は吸音体3−2の開口部7a、7bを通過する。吸音体3−2の前面に入射した音は、当該吸音体3−2によって吸音される。また、吸音体3−2の前面で反射した音の一部は、第1の対向空間S1に面する吸音体3−1の背面への入射や、吸音体3−2の前面への再入射、あるいはその繰り返しにより吸音される。また、吸音体3−2の開口部7a、7bを通過する音は、当該開口部7a、7bの内周面で一部吸音されながら第2の対向空間S2に進入する。
【0041】
第2の対向空間S2に進入した音のうち、一部の音は吸音体3−3の前面に入射し、他の音は吸音体3−3の開口部8を通過する。吸音体3−3の前面に入射した音は、当該吸音体3−3によって吸音される。また、吸音体3−3の前面で反射した音の一部は、第2の対向空間S2に面する吸音体3−2の背面への入射や、吸音体3−3の前面への再入射、あるいはその繰り返しにより吸音される。また、吸音体3−3の開口部8を通過する音は、当該開口部8の内周面で一部吸音されながら第3の対向空間S3に進入する。
【0042】
第3の対向空間S3に進入した音のうち、一部の音は吸音体3−4の前面に入射し、他の音は吸音体3−4の開口部9を通過する。吸音体3−4の前面に入射した音は、当該吸音体3−4によって吸音される。また、吸音体3−4の前面で反射した音の一部は、第3の対向空間S3に面する吸音体3−3の背面への入射や、吸音体3−4の前面への再入射、あるいはその繰り返しにより吸音される。また、吸音体3−4の開口部9を通過する音は、当該開口部9の内周面で一部吸音されながら第4の対向空間S4に進入する。
【0043】
第4の対向空間S4に進入した音のうち、一部の音は吸音体3−5の前面に入射し、他の音は吸音体3−5の開口部10a、10bを通過する。吸音体3−5の前面に入射した音は、当該吸音体3−5によって吸音される。また、吸音体3−5の前面で反射した音の一部は、第4の対向空間S4に面する吸音体3−4の背面への入射や、吸音体3−5の前面への再入射、あるいはその繰り返しにより吸音される。また、吸音体3−5の開口部10a、10bを通過する音は、当該開口部10a、10bの内周面で一部吸音されながら第5の対向空間S5に進入する。
【0044】
第5の対向空間S5に進入した音のうち、一部の音は吸音体3−6の前面に入射し、他の音は吸音体3−6の開口部11を通過する。吸音体3−6の前面に入射した音は、当該吸音体3−6によって吸音される。また、吸音体3−6の前面で反射した音の一部は、第5の対向空間S5に面する吸音体3−5の背面への入射や、吸音体3−6の前面への再入射、あるいはその繰り返しにより吸音される。また、吸音体3−6の開口部11を通過する音は、当該開口部11の内周面で一部吸音されながら開口5に達し、そこから消音器1の外側に抜ける。
【0045】
(通気機能について)
次に、消音器1の通気機能について説明する。
まず、筐体2の一方の開口4から取り込まれた空気は、最前段の吸音体3−1に設けられた開口部6を通して第1の対向空間S1に流入する。次に、第1の対向空間S1の空気は、次段の吸音体3−2に設けられた複数の開口部7a、7bを通過して第2の対向空間S2に流入する。さらに、第2の対向空間S2の空気は、次段の吸音体3−3に設けられた複数の開口部8を通過して第3の対向空間S3に流入する。
【0046】
その際、筐体2の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体3−1、3−2について、一方の吸音体3−1が有する開口部6の開口位置と他方の吸音体3−2が有する開口部7a、7bの開口位置が、筐体2の中心軸方向から見て互いに一部重なり合う状態に配置されている(図4(A)参照)。
【0047】
また、筐体2の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体3−2、3−3についても、一方の吸音体3−2が有する開口部7a、7bの開口位置と他方の吸音体3−3が有する開口部8の開口位置が、筐体2の中心軸方向から見て互いに一部重なり合う状態に配置されている(図4(B)参照)。
【0048】
さらに、筐体2の中心軸方向で相互に隣り合う3つの吸音体3−1、3−2、3−3についても、吸音体3−1が有する開口部6の開口位置と、吸音体3−2が有する開口部7a、7bの開口位置と、吸音体3−3が有する開口部8の開口位置が、筐体2の中心軸方向から見て互いに一部重なり合う状態に配置されている(図4(C)参照)。
【0049】
このため、筐体2の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体、あるいは3つの吸音体について、それらの開口部同士を重なり合わないように配置した場合に比べて、第1の対向空間S1から第2の対向空間S2を通して第3の対向空間S3に空気が流入するときの抵抗が小さくなる。この点は、第3の対向空間S3に流入した空気が、第4の対向空間S4を通して第5の対向空間S5に流入し、さらに第5の対向空間S5から消音器1の外部に流出するときも同様である。
【0050】
<1−3.実施の形態の効果>
本発明の実施の形態に係る消音器1によれば、次のような効果が得られる。
【0051】
すなわち、筐体2の内部に吸音体3を配置して消音機能と通気機能を両立させるにあたり、剛体多孔質吸音材の一体構造物からなる吸音体3を採用している。このため、従来のような吸音体の構造(吸音材にグラスウール等の繊維系材料を使用した構造)に比べて、吸音体の製造コストを大幅に低下させることができる。以下に、その具体的な理由を記述する。
【0052】
まず、グラスウール等の繊維系材料を使用する場合は、当該繊維系材料を押さえるためにパンチングメタルが必要になる。また、パンチングメタルについては、大小複数のパンチングメタルを作製し、これらのパンチングメタルをボックス形状に組み立てて吸音体を形作る必要がある。さらに、ボックス形状に組み立てたパンチメタルのボックス内にグラスウールを充填する必要もある。また、一般にグラスウールのような繊維系材料の場合は、入射音に対する透過損失が小さいため、そこを透過しようとする音を遮る必要がある。このため、パンチングメタルの他に、鉄板などを上記ボックス内等に挿入する必要がある。したがって、従来構造の吸音体では製造コストが非常に高くなってしまう。
【0053】
これに対して、本発明の実施の形態に係る吸音体3を用いた場合は、これ単独で設置することが可能である。また、グラスウールなどの繊維系材料に比較すると、剛体多孔質吸音材からなる吸音体3は、入射音に対する透過損失が格段に大きい(遮音性能が高い)。このため、パンチングメタルや遮音板が不要になる。したがって、従来構造に比較して吸音体の製造コストを大幅に低下させることができる。その結果、通気路への設置に適した消音器を低コストで提供することが可能となる。
【0054】
また、本発明の実施の形態に係る消音器1では、筐体2の内部に複数の吸音体3を配置した構成を採用している。このため、筐体2の内部に吸音体3を一つだけ配置する場合に比べて、単に消音機能が向上するだけでなく、複数の吸音体3の存在によって、消音器の減音量や形状抵抗係数を調節することが可能となる。
【0055】
具体的には、次のような種々のパラメータを調整することにより、消音器の減音量や形状抵抗係数を調節することが可能となる。
【0056】
(第1例)
第1例として、筐体2の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体3の間隔を調整することにより、消音器1の減音量や形状抵抗係数を調節することができる。
【0057】
(第2例)
第2例として、筐体2の中心軸方向に並ぶ各吸音体3の厚み寸法を調整することにより、消音器1の減音量や形状抵抗係数を調節することができる。
【0058】
(第3例)
第3例として、筐体2の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体3の開口部の開口寸法を調整することにより、消音器1の減音量や形状抵抗係数を調節することができる。特に、筐体2の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体、たとえば、吸音体3−1と吸音体3−2について、一方の吸音体3−1が有する開口部6の開口寸法と他方の吸音体3−2が有する開口部7a、7bの開口寸法を互いに異なる寸法とすれば、それらの寸法差を一つの調整パラメータとして消音器1の消音機能と通気機能のバランスをとることができる。
【0059】
(第4例)
第4例として、筐体2の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体3の開口部の開口位置を調整することにより、消音器1の減音量や形状抵抗係数を調節することができる。特に、筐体2の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体、たとえば、吸音体3−1と吸音体3−2について、一方の吸音体3−1が有する開口部6の開口位置と他方の吸音体3−2が有する開口部7a、7bの開口位置を互いに異なる位置とすれば、それらの位置関係を一つの調整パラメータとして消音器1の消音機能と通気機能のバランスをとることができる。
【0060】
(第5例)
第5例として、前述した複数の吸音体3の構造的要素(厚み、開口寸法、開口位置など)を単独で調整するか、適宜組み合わせて調整することにより、音の周波数帯域のなかでも、特に低音域(125Hz前後)での吸音効果を高めることができる。
【0061】
また、本発明の実施の形態に係る消音器1においては、筐体2の内部に配置された各吸音体3の開口部の形状を円形(楕円を含む)としている。このため、たとえば、当該開口部の形状を四角形等の多角形とする場合に比べて、各吸音体3の開口部の通過する際の空気の流れを円滑化することができる。したがって、消音器1全体の通気機能を高めることが可能となる。
【0062】
また、本発明の実施の形態に係る消音器1においては、合計6つの吸音体3を用いて合計2つの組、すなわち第1組と第2組を構成し、第1組の吸音体3−1、3−2、3−3と、第2組の吸音体3−4、3−5、3−6を、筐体2の中心軸方向に位置をずらして順に配置している。このため、各組単位での吸音効果と、各組相互間での吸音効果の相乗効果により、消音器1全体の吸音効果を高めることができる。
【0063】
さらに、上述した複数の組を構成する場合に、各組の相対応する吸音体3同士、たとえば、吸音体3−1と吸音体3−4について、開口部6、9の開口寸法および開口位置を等しくしている。このため、消音器1を構成する部材の共通化によって、さらなるコストダウンを図ることができる。
【0064】
<2.他の実施の形態>
図6は本発明の他の実施の形態に係る消音ユニットの構成を示すもので、図中(A)は正面図、(B)は断面図である。
【0065】
<2−1.消音ユニットの構成>
図示した消音ユニット20は、複数の消音器21を平面的に並べてユニット化した構成となっている。ここで記述する「平面的に並べて」とは、通風方向からみて複数の消音器21を面的な広がりをもつように二次元的に並べた形態を意味する。
【0066】
各々の消音器21は、互いに隣接するかたちでマトリクス状(格子状)に配列されている。具体的には、合計9個の消音器21が3×3のマトリクス配列で平面的に並んだ状態で、一つの消音ユニット20を構成している。
【0067】
<2−2.消音器の構成>
図7は消音ユニットを構成する消音器の単体の構造を説明するもので、図中(A)は消音器の正面図、(B)は消音器の断面図、(C)は消音器を構成する吸音体の正面図、(D)は消音器を構成する他の遮音体の正面図である。
【0068】
図示のように、消音器21は、筒状の筐体22の内部に複数(図例では3つ)の吸音体23を配置した構成となっている。筐体22は、たとえば、前述した実施の形態と同様に、鉄板等を用いて形成されている。また、筐体22は、一方と他方を四角形(正方形または長方形)に開口した筒状の空間を形成している。
【0069】
吸音体23は、筐体22の内部に3つ配置されている。各々の吸音体23は、上記実施の形態と同様に、それぞれ通気のための開口部(詳細は後述)を有するもので、剛体多孔質吸音材(好ましくは、ポアセル)の一体構造物によって構成されている。3つの吸音体23は、筐体22の中心軸方向に等間隔に並んで配置されている。
【0070】
ここで、一つの筐体22に組み込まれる3つの吸音体23を、その並び順に吸音体23−1、23−2、23−3と区別すると、両側2つの吸音体23−1、23−3は、構造的に共通の吸音体となっている。すなわち、吸音体23−1の中央部には円形の開口部24が形成され、吸音体23−3の中央部には、当該開口部24と同じ開口寸法で円形の開口部26が形成されている。
【0071】
これに対して、上記2つの吸音体23−1、23−3の間(中間)に配置された吸音体23−2には合計4つの開口部25が形成されている。各々の開口部25は、吸音体23−2の対角線上またはその近傍に中心をもつ円形に形成されている。また、開口部25の開口寸法は、開口部24(26)の開口寸法よりも小さく設定されている。そして、消音器21を通気方向からみると、吸音体23−1の開口部24と吸音体23−2の各開口部25とは部分的に重なり合っている。また、吸音体23−2の各開口部25は、吸音体23−3の開口部26と部分的に重なり合っている。具体的には、各開口部25の、吸音体23−3の中心寄りの部分が、それぞれ開口部24および開口部26に重なり合う状態に配置されている。
【0072】
また、吸音体23−1と吸音体23−3は構造的に共通の吸音体であるため、開口部24と開口部26とは全体的に重なり合っている。これにより、開口部24に対して各開口部25が重なり合う部分と、開口部26に対して各開口部25が重なり合う部分は、互いに共通の重なり部分となっている。したがって、消音器21を通気方向からみると、当該共通の重なり部分を通して反対側を視認できることになる。
【0073】
<2−3.消音器の機能>
ここで、消音器21の機能について説明する。かかる機能の説明においては、上記図7(B)に示すように、筐体22が形成する筒状の空間のうち、吸音体23−1と吸音体23−2が対向する空間を第1の対向空間S11、吸音体23−2と吸音体23−3が対向する空間を第2の対向空間S12とする。
【0074】
(消音機能について)
まず、消音器21の消音機能について説明する。
実際に消音ユニット20(消音器21)を通気路に設置した場合、この通気路を流れる空気は、たとえば、各消音器21に対して、それぞれ筐体22の一方の吸音体23−1の開口部24から取り込まれて当該筐体22内の空間を流れ、最終的に筐体22の他方の吸音体23−3の開口部26から排出されていく。
【0075】
その際、吸音体23−1の前面に入射した音は、当該吸音体23−1によって吸音される。また、吸音体23−1の開口部24を通過する音は、当該開口部24の内周面で一部吸音されながら第1の対向空間S11に進入する。第1の対向空間S11に進入した音のうち、一部の音は吸音体23−2の前面に入射し、他の音は吸音体23−2の開口部25を通過する。吸音体23−2の前面に入射した音は、当該吸音体23−2によって吸音される。また、吸音体23−2の前面で反射した音の一部は、第1の対向空間S11に面する吸音体23−1の背面への入射や、吸音体23−2の前面への再入射、あるいはその繰り返しにより吸音される。また、吸音体23−2の開口部25を通過する音は、当該開口部25の内周面で一部吸音されながら第2の対向空間S12に進入する。
【0076】
第2の対向空間S12に進入した音のうち、一部の音は吸音体23−3の前面に入射し、他の音は吸音体23−3の開口部26を通過する。吸音体23−3の前面に入射した音は、当該吸音体23−3によって吸音される。また、吸音体23−3の前面で反射した音の一部は、第2の対向空間S12に面する吸音体23−2の背面への入射や、吸音体23−3の前面への再入射、あるいはその繰り返しにより吸音される。また、吸音体23−3の開口部26を通過する音は、当該開口部26の内周面で一部吸音されながら消音器21の外側に抜ける。
【0077】
(通気機能について)
次に、消音器21の通気機能について説明する。
まず、吸音体23−1の開口部24から取り込まれた空気は、第1の対向空間S11から吸音体23−2の各開口部25を通して第2の対向空間S12に流入する。さらに、第2の対向空間S12の空気は、吸音体23−3の開口部26を通して、消音器21の外部に流出する。
【0078】
その際、筐体22の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体23−1、23−2について、一方の吸音体23−1が有する開口部24の開口位置と他方の吸音体23−2が有する開口部25の開口位置が、筐体22の中心軸方向の一方(通気方向の上流側)から見て互いに一部重なり合う状態に配置されている(図7(A)参照)。
【0079】
また、筐体22の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体23−2、23−3についても、一方の吸音体23−2が有する開口部25の開口位置と他方の吸音体23−3が有する開口部26の開口位置が、筐体22の中心軸方向の一方から見て互いに一部重なり合う状態に配置されている。
【0080】
さらに、筐体22の中心軸方向で相互に隣り合う3つの吸音体23−1、23−2、23−3についても、吸音体23−1が有する開口部24の開口位置と、吸音体23−2が有する開口部25の開口位置と、吸音体23−3が有する開口部26の開口位置が、筐体22の中心軸方向の一方から見て互いに一部重なり合う状態に配置されている。
【0081】
このため、筐体22の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体、あるいは3つの吸音体について、それらの開口部同士を重なり合わないように配置した場合に比べて、第1の対向空間から第2の対向空間を通して第3の対向空間に空気が流入するときの抵抗が小さくなる。
【0082】
<2−4.他の実施の形態の効果>
上記構成からなる消音ユニット20においては、消音器21単体で得られる前述の効果(低コスト化など)に加えて、次のような効果が得られる。すなわち、消音ユニット20を構成する複数の消音器21がそれぞれ独立して消音機能と通気機能を有する。このため、消音器21を構成する消音器21の個数が変化(増減)しても、消音器21全体で消音機能と通気機能が維持される。したがって、小型の通気路から大型の通気路に至るまで、それぞれの規模に適した個数の消音器21を用いて消音ユニット20を構成することができる。
【0083】
また、消音器21の構成上、吸音体23−1と吸音体23−3を同じ構造体で構成しているため、構成部材の共通化によるコストダウンに加えて、施工性の向上が図られる。その理由は、通気路に消音ユニット20を設置したときの通気方向が、各消音器21において、吸音体23−1から吸音体23−3に向かう方向でも、吸音体23−3から吸音体23−1に向かう方向でも、消音機能および通気機能に違いが生じないためである。これにより、消音ユニット20を設置する際に、いちいち消音器21の向きを確認せずに済む。このため、施工の手間を省くことができる。
【0084】
<3.変形例>
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0085】
たとえば、先述した実施の形態においては、筐体2の内部に2つの組に分けて複数の吸音体3を配置したが、これに限らず、3つ以上の組にわけて複数の吸音体3を配置してもよい。また、2個の吸音体3で一つの組を構成してもよいし、4個以上の吸音体3で一つの組を構成してもよい。つまり、消音器1の構成としては、筐体2の中心軸方向に並ぶM個(Mは2以上の整数)の吸音体3を一つの組として複数の組を構成し、各組の吸音体3が、筐体2の中心軸方向に順に配置された形態であればよい。
【0086】
また、後述した実施の形態において、1つの消音ユニット20を合計9個の消音器21によって構成したが、一つの消音ユニット20を構成する消音器21の個数は変更可能である。また、一つの消音器21に用いられる吸音体23の個数も変更可能である。
【0087】
また、上述した各実施の形態においては、筐体の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体について、一方の吸音体が有する開口部の開口位置と他方の吸音体が有する開口部の開口位置を、筐体の中心軸方向の一方から見て互いに一部重なり合う状態に配置したが、消音器の低コスト化を図るうえでは、必ずしもそれらの開口位置が重ならなくてもよい。具体例として、空気抵抗が多少大きくなっても消音効果を高めたい場合などは、一方の吸音体と他方の吸音体の開口寸法によっては、両者の開口位置が重ならない場合もあり得る。
【符号の説明】
【0088】
1、21…消音器
2、22…筐体
3、23…吸音体
6、7a、7b、8、9、10a、10b、11、24、25、26…開口部
20…消音ユニット



【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の空間を形成する筐体と、
前記筐体の内部に配置された少なくとも1つの吸音体と、
を備え、
前記吸音体は、通気のための開口部を有するとともに、剛体多孔質吸音材の一体構造物からなる
ことを特徴とする消音器。
【請求項2】
前記筐体の内部に前記吸音体が複数配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の消音器。
【請求項3】
前記複数の吸音体のうち、前記筐体の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体について、一方の吸音体が有する開口部の開口寸法と他方の吸音体が有する開口部の開口寸法が互いに異なる
ことを特徴とする請求項2に記載の消音器。
【請求項4】
前記複数の吸音体のうち、前記筐体の中心軸方向で隣り合う2つの吸音体について、一方の吸音体が有する開口部の開口位置と他方の吸音体が有する開口部の開口位置が互いに異なる
ことを特徴とする請求項2または3に記載の消音器。
【請求項5】
前記一方の吸音体が有する開口部の開口位置と前記他方の吸音体が有する開口部の開口位置が、前記筐体の中心軸方向の一方から見て互いに一部重なり合う状態に配置されている
ことを特徴とする請求項3または4に記載の消音器。
【請求項6】
前記開口部の形状が円形である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の消音器。
【請求項7】
前記複数の吸音体は、前記筐体の中心軸方向に並ぶM個(Mは2以上の整数)の吸音体を一つの組として複数の組を構成し、各組の吸音体が、前記筐体の中心軸方向に順に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の消音器。
【請求項8】
前記複数の組の吸音体のうち、相対応する吸音体は、前記開口部の開口寸法および開口位置が等しい
ことを特徴とする請求項7に記載の消音器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載された消音器を平面的に複数並べて構成されている
ことを特徴とする消音ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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