説明

液位検出装置

【課題】燃料タンクの液面が低い場合においても、液面が動揺した場合の影響が小さな液位検出装置の提供。
【解決手段】燃料タンク10における燃料の残量が所定量以下であるウォーニング領域における燃料の液位を検出するウォーニング領域液位検出部15と、前記ウォーニング領域液位検出部15よりも車両上方に位置するとともに、燃料タンク10における燃料の残量が前記所定量よりも多い通常領域における燃料の液位を検出する通常領域液位検出部16と、を備えるとともに、ウォーニング領域液位検出部15における単位液位あたりの電極面積が通常領域液位検出部16における単位液位あたりの電極面積よりも大きい液位検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液位検出装置にかかり、特に、静電容量の変化から燃料タンクの液位を検出する液位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の燃料タンクの液面を検出する液位検出装置には種々の形態があり、そのうちの1つに静電容量の変化を利用して液面検出を行うものがある。
【0003】
このような液位検出装置の一例に、絶縁性基体の外周に互いに平行に螺旋状に巻き付けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および第2電極に対向するように前記絶縁性基体の外周を取り囲む第3電極と、を備え、前記第1電極および前記第2電極の螺旋軸が鉛直となるように配置され、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極の群から互いに異なる組み合わせで選ばれる2組の電極対をそれぞれの液体に浸漬された際の両電極間の静電容量に基づいて該液体の液面レベルと検出する液面レベルセンサがある(特許文献1)。
【0004】
前記特許文献1に記載の液面レベルセンサにおいては、前記第1電極おおび第2電極の螺旋ピッチが、上端から下端に向かうに従って徐々に密になるように設定されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−240262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電極の螺旋ピッチや間隔を液位検出装置の上方から下方に向かって縮小するように設定した液位検出装置においても、燃料タンクの液面が低い状態においては、単位液位あたりの電極面積が小さくなるため、液面が動揺した場合にはその影響を受けやすいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、燃料タンクの液面が低い場合においても、液面が動揺した場合の影響が小さな液位検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、液位検出装置に関し、燃料タンクにおいて燃料の残量が所定量以下であるウォーニング領域における燃料の液位を検出するウォーニング領域液位検出部と、前記ウォーニング領域液位検出部よりも車両上方に位置し、前記燃料タンクにおいて燃料の残量が前記所定量よりも多い通常領域における燃料の液位を検出する通常領域液位検出部と、を備え、前記ウォーニング領域液位検出部における単位液位あたりの電極面積は前記通常領域液位検出部における単位液位あたりの電極面積よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
請求項1に係る液位検出装置においては、前記ウォーニング領域液位検出部における単位液位あたりの電極面積が、通常領域液位検出部における単位液位あたりの電極面積よりも大きいから、ウォーニング領域液位検出部におけるセンサ出力に対する燃料タンク内の液位の勾配を、通常領域液位検出部よりも小さくできる。したがって、ウォーニング領域液位検出部では、通常領域液位検出部よりも高い分解能で液位を検出できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液位検出装置において、前記ウォーニング領域液位検出部が2箇所以上に離間して設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の液位検出装置においては、ウォーニング領域液位検出部は2箇所以上に離間して設けられているから、一のウォーニング領域液位検出部と、前記一のウォーニング領域液位検出部とは異なる他のウォーニング領域液位検出部との液位検出結果を平均することにより、ウォーニング領域液位検出部が1箇所しかない形態の液位検出装置と比較して液面が傾斜している場合においても正しい液位が得られる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の液位検出装置において、前記ウォーニング領域液位検出部が蛇腹状に屈曲された形態とされていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の液位検出装置においては、前記ウォーニング領域液位検出部が蛇腹状に屈曲された形態とされていることにより、前記ウォーニング領域液位検出部の単位液位あたりの電極面積が前記通常領域液位検出部よりも大きなものとされている。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の液位検出装置において、前記ウォーニング領域液位検出部が前記燃料タンクの上下方向に対して傾斜配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の液位検出装置においては、前記ウォーニング領域液位検出部が前記燃料タンクの上下方向に対して傾斜配置されていることにより、前記ウォーニング領域液位検出部の単位液位あたりの電極面積が前記通常領域液位検出部よりも大きなものとされている。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の液位検出装置において、前記ウォーニング領域液位検出部が、前記通常領域液位検出部よりも、幅方向の寸法が大きく設定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の液位検出装置においては、前記ウォーニング領域液位検出部が、前記柱状領域と比較して幅が大きく設定されていることにより、前記ウォーニング領域液位検出部の単位液位あたりの電極面積が前記通常領域液位検出部よりも大きなものとされている。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の液位検出装置において、前記ウォーニング領域液位検出部が前記燃料タンク上方から見て円弧状またはS字型に成形されていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の液位検出装置においても、請求項5に記載の液位検出装置と同様、前記ウォーニング領域液位検出部が、前記柱状領域と比較して幅が大きく設定されていることにより、前記ウォーニング領域液位検出部の単位液位あたりの電極面積が前記通常領域液位検出部よりも大きなものとされている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、ウォーニング領域液位検出部において通常領域液位検出部よりも高い分解能で液位を検出できるために、燃料タンク内の燃料残量が少量の場合に、残りの航続可能距離を正確に把握したいとの運転者のニーズに応えられる液位検出装置が提供される。
【0021】
請求項2の発明によれば、ウォーニング領域液位検出部が1箇所しかない形態の液位検出装置と比較して液面が傾斜している場合においても正しい液位が得られるから、液位の検出結果が燃料液面の揺動によって影響されることの少ない液位検出装置が提供される。
【0022】
請求項3の発明によれば、液位検出センサの先端部を前記燃料タンクの上下方向に沿って蛇腹状に屈曲させることにより、ウォーニング領域液位検出部が形成されているから、ウォーニング領域液位検出部を安価且つ容易に形成できる液位検出装置が提供される。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、液位検出センサの先端を前記燃料タンクの上下方向に対して傾斜するように屈曲させることによってウォーニング領域液位検出部が形成されるから、ウォーニング領域液位検出部を安価且つ容易に形成できる液位検出装置が提供される。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、ウォーニング領域液位検出部が2箇所以上に離間して設けられた形態や、蛇腹状に屈曲された形態、斜めに屈曲された形態の液位検出センサを備える液位検出装置と比較して、前記燃料タンクへの前記液位検出センサの搭載が更に容易で、且つウォーニング領域液位検出部が搭載の邪魔になることの少ない液位検出装置が提供される。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、前記液位検出センサにおいてウォーニング領域液位検出部の幅方向の寸法を通常領域液位検出部と比較してはるかに大きくとった場合においても、ウォーニング領域液位検出部が前記燃料タンクへの前記液位検出センサの搭載の邪魔になることが少ない液位検出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、実施形態1の燃料タンクの全体的な構成を示す断面図である。
【図2】図2は、実施形態1の燃料タンクが備えるサブタンクおよびその近傍の構成を示す拡大図である。
【図3】図3は、実施形態1の燃料タンクが備える液面検出センサの構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3に示す静電容量センサの展開図である。
【図5】図5は、図3に示す静電容量センサの等価回路を示す回路図である。
【図6】図6は、実施形態1の燃料タンクが備える液面検出センサにおける出力(静電容量)と燃料残量との関係の概略を示すグラフである。
【図7】図7は、実施形態2に係る液面検出センサの構成を示す概略図であって、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
【図8】図8は、実施形態3に係る液面検出センサの構成を示す概略図であって、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は展開図を示す。
【図9】図9は、実施形態3に係る液面検出センサの別の例について構成を示す概略図であって、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は展開図を示す。
【図10】図10は、実施形態4に係る液面検出センサについて構成を示す概略図であって、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は展開図を示す。
【図11】図11は、実施形態5に係る液面検出センサについて構成を示す概略図であって、(A)は展開図、(B)は斜視図、(C)は実施形態5に係る液面検出センサの別の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
1.実施形態1
以下、本発明の液面測定装置を備える燃料タンクの一例について図面を用いて説明する。図1以下において矢印UPは車体上方を示す。
【0028】
燃料タンク10は、図1に示すように略箱形形状とされた容器であり、設置される車体などの形状や部品配置によってその形状が決定される。また燃料タンク10は燃料(ガソリンなど)による腐食への耐性、機械的強度、耐衝撃性や衝突の際の安全性などを考慮して素材が選定される。
【0029】
燃料タンク10の車体上方の面である天井面30にはポンプモジュール等の取付口22が設けられており、取付口22を外側から閉塞する蓋部28で、内部の燃料が外へ漏れ出さないように密閉される。車両上方に筒状に突出した取付口22は蓋部28で密閉される。
【0030】
このとき、取付口22が箱状の燃料タンク10から突出していると、車体に組み付ける際にスペース効率が低下する虞があるので、取付口22を燃料タンク10の内側に沈めるように設ける方が望ましい。この場合、取付口22および蓋部28をクリアできる空間を燃料タンク10の内部に設ける必要がある。
【0031】
これにより燃料タンク10の車体上方面は外面が凹んだ凹部24が形成されており、天井面30における凹部24の内側の部分は燃料タンク10内部の車体下側に向けて突出した凸部26として形成されている。このため燃料タンク10の内部に燃料を充填していくと液面Fは凸部26の高さを超え、凸部26は燃料に浸漬する。
【0032】
燃料タンク10は一般的に鋼板または樹脂で形成され、図1に示すように車体上方面に凹凸を設けるなどの方法でベーパー層を確保している。すなわち、揮発性を備えた燃料は外気温やエンジンなどの熱により蒸発し、燃料タンク10内の空隙に揮発ガス(ベーパー)となって充満する。このとき燃料をタンク全体に満たしてしまった場合、発生した燃料の揮発ガスは逃げ場を失い、燃料タンク10内が加圧される。これを防ぐため、ある程度の空隙(ベーパー層)を燃料タンク10内の上部に設定することで、揮発ガスの圧力の逃げ場を確保している。
【0033】
また、上記のようにベーパー層を確保している燃料タンク10では、燃料温度の上下(気温、路面や排気管などからの熱の影響)と燃料消費により、加圧と減圧が絶えず繰り返され、機械的ストレスが印加され続ける。このため、燃料タンク10の上面を複雑な凹凸形状にする事は燃料タンク10自体の機械的強度を増し、内部圧力の変化に対する対策とする意味も備わっている。
【0034】
燃料タンク10の内部には、上面が開口した有底容器であるサブタンク31が設けられ、サブタンク31にはポンプユニット32が収容されている。燃料タンク10内部の燃料は、ポンプユニット32でくみ出され、燃料ホース(図示せず。)で外部へ送り出す構成とされている。
【0035】
図1および図2に示すように、蓋部28の下面から燃料タンク10の底面20に向かってガイド柱34が延在している。ガイド柱34は、サブタンク31に設けられた円筒状のガイド部材36に挿通されている。サブタンク31は、ガイド柱34とガイド部材36とによって燃料タンク10の上下方向、言い換えれば車両上下方向に沿って案内される。なお、サブタンク31は、ガイド柱34に挿通されたコイルばね38によって底面20に向かう方向、言い換えれば車両下方に向かって付勢され、これにより、サブタンク31の底面は燃料タンク10の底面20に向かって押圧されている。
【0036】
以下、燃料タンク10の備える液位検出装置1の構成について説明する。図1および図2に示すように、液位検出装置1は、蓋部28の上面に固定されたセンサ回路11と、センサ回路11に接続されているとともに、蓋部28の下面から燃料タンク10の底面20に向かって延在する液位検出センサ12と、を備える。液位検出センサ12としては、例えば静電容量センサが使用される。
【0037】
図1〜図4に示すように、液位検出センサ12は、燃料タンク10内の燃料の液位を検出するための液位検出部13と、液位検出部13の下端において液位検出部13に対して実質的に直角に形成された足状部14と、を有する。液位検出部13と足状部14とはポリイミド樹脂や芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂などのベースフィルム110から一体的に形成されている。液位検出部13は短冊状とされているとともに、図2に示すように、サブタンク31を燃料タンク10に装着したときに足状部14が燃料タンク10の底面20に当接するようにサブタンク31の側面に取り付けられている。なお、液位検出センサ12とセンサ回路11とは1対のワイヤハーネス21で接続されている。
【0038】
足状部14は、図3および図4に示すように、車両上方から見て液位検出部13からV字型に延在する2本の腕状に形成されているとともに、足状部14の先端部は車両上方、言い換えれば燃料タンク10の上方に向かって屈曲されてウォーニング領域液位検出部15とされている。また、液位検出部13もウォーニング領域液位検出部15とその上部に位置する通常領域液位検出部16とに分かれている。
【0039】
ウォーニング領域液位検出部15は、何れも燃料タンク10内の燃料残量が所定量以下である領域、即ちウォーニング領域にあるときに燃料の液位を検出する。ここで、ウォーニング領域となる燃料残量は、例えば後10〜20km走行できる燃料の残量として定義することができるが、もっと長い距離を走行できる燃料の残量として定義してもよい。
【0040】
足状部14における液位検出部13の近傍には、燃料タンク10内部の燃料の静電容量を測定する燃料リファレンス測定部17とされている。
【0041】
液位検出部13には、液位検出電極13Aが形成され、ウォーニング領域液位検出部15のうち足状部14に形成されたものの一方には、前記ウォーニング領域における液位を検出するためのウォーニング液位検出電極15Aが、足状部14に形成されたウォーニング領域液位検出部15の他方には、同じく前記ウォーニング領域における液位を検出するためのウォーニング液位検出電極15Bが形成されている。また、燃料リファレンス測定部17には燃料タンク10内部の燃料の静電容量を検出するための燃料リファレンス電極17Aが形成されている。
【0042】
液位検出電極13A、ウォーニング液位検出電極15A、ウォーニング液位検出電極15B、および燃料リファレンス電極17Aは、何れも図3に示すように、ベースフィルム110上に一定の間隔で櫛型に形成された櫛型電極111Aと、櫛型電極111Aと同一の間隔で櫛型に形成され、且つ櫛型電極111Aと交互に配設された櫛型電極111Bと、を備える。液位検出電極13A、ウォーニング液位検出電極15A、ウォーニング液位検出電極15B、および燃料リファレンス電極17Aの何れも、電極間隔、即ち櫛型電極111Aと櫛型電極111Bとの間隔は同一である。
【0043】
図4および図5に示すように、液位検出電極13A、ウォーニング液位検出電極15A、ウォーニング液位検出電極15B、および燃料リファレンス電極17Aの櫛型電極111Aは、共通リード線18Aによって互いに並列に接続されている。そして、液位検出電極13A、ウォーニング液位検出電極15A、およびウォーニング液位検出電極15Bの櫛型電極111Bは、共通リード線18Bで並列に接続されている。共通リード線18Aおよび18Bは、上端に設けられた端子18Cおよび18Dにおいて前記1対のワイヤハーネス21の一方を介してセンサ回路11に接続されている。一方、燃料リファレンス電極17Aの櫛型電極111Bは、リード線19およびその末端に形成された端子19Aにおいて前記1対のワイヤハーネス21の他方を介してセンサ回路11に接続されている。
【0044】
以下、液位検出装置1において燃料タンク10の液位を求める手順について説明する。センサ回路11においては所定の周波数の高周波電流を発生させる。ここで、液位検出電極13Aとウォーニング液位検出電極15Aとウォーニング液位検出電極15Bとは図5に示すように共通リード線18A、18Bによって並列に接続されているから、センサ回路11で発生した高周波電流は、端子18Cおよび18Dから共通リード線18A、18Bを通って液位検出電極13Aとウォーニング液位検出電極15Aとウォーニング液位検出電極15Bとに入力され、液位検出電極13A、ウォーニング液位検出電極15A、ウォーニング液位検出電極15Bにおける櫛型電極111Aと櫛型電極111Bとの間のインピーダンスが測定される。測定されたインピーダンスは前記コンピュータに入力され、液位検出電極13Aの静電容量cとウォーニング液位検出電極15Aの静電容量c2とウォーニング液位検出電極15Bの静電容量c3との和Cが求められる。
【0045】
一方、センサ回路11で発生した高周波電流は、端子18Cと端子19Aとから共通リード線18Bとリード線19とを通って燃料リファレンス電極17Aにも入力され、燃料リファレンス電極17Aにおける櫛型電極111Aと櫛型電極111Bとの間のインピーダンスが測定される。測定されたインピーダンスもまた前記コンピュータに入力され、燃料リファレンス電極17Aの静電容量dが求められる。
【0046】
ここで、燃料タンク10の燃料が消費されると、櫛型電極111Aと櫛型電極111Bとの間の空間は、それまで燃料によって占められていたものが空気によって占められるようになるため、静電容量は減少する。従って、静電容量の減少を検出することにより、燃料の液位を検出できる。このとき、常に液中に存在する燃料リファレンス測定部17の燃料リファレンス電極17Aで検出された静電容量を基準として、測定値を比較することでさらに正確な検出を行うことができる。
【0047】
コンピュータは、液位検出電極13Aとウォーニング液位検出電極15Aとウォーニング液位検出電極15Bとの静電容量の和C、および燃料リファレンス電極17Aの静電容量dから燃料タンク10の液位を計算する。更に、前記コンピュータには、液位と燃料残量との関係を示すマップが記憶されており、コンピュータは前記液位のデータとこのマップとを用いて燃料タンク10内の燃料残量を求める。
【0048】
燃料タンク10内の燃料残量がウォーニング残量よりも多いときは、液位検出センサ12においては、液位検出部13における通常領域液位検出部16は一部が液面から露出した状態にあるがウォーニング領域液位検出部15は燃料で浸漬された状態にあるから、燃料の液位は、通常領域液位検出部16のみで測定される。
【0049】
一方、燃料残量がウォーニング領域におけるときは、液位検出部13においては、通常領域液位検出部16は全部が燃料の液面から露出した状態にあり、ウォーニング領域液位検出部15は、一部が燃料の液面から露出した状態にある。ここで、前述のように液位検出部13は短冊状に形成されているため、櫛型電極111Aおよび櫛型電極111Bの幅は、通常領域液位検出部16とウォーニング領域液位検出部15とで等しい。しかしながら、燃料残量がウォーニング領域におけるときは、液位検出部13におけるウォーニング領域液位検出部15(以下、「第1のウォーニング領域液位検出部15」ということがある。)の他、足状部14に形成された2つのウォーニング領域液位検出部15(以下、「第2のウォーニング領域液位検出部15、第3のウォーニング領域液位検出部15」ということがある。)もまた、一部が燃料の液面から露出した状態にある。したがって、燃料の液位は、第1〜第3のウォーニング領域液位検出部15で検出される。
【0050】
したがって、ウォーニング領域液位検出部15においては、通常領域液位検出部16と比較して単位液位あたりの電極面積が大きくなるから、図6に示すように、液位検出センサ12のセンサ出力に対する燃料残量の勾配は、ウォーニング残量より残量の多い領域と比較してウォーニング領域における領域において緩やかになっている。言い換えれば、ウォーニング領域における領域においては、残量がウォーニング残量より多い領域と比較してより高い分解能で、燃料の液位、言い換えれば燃料残量を測定することができる。
【0051】
また、前述のようにウォーニング領域液位検出部15は液位検出部13に1箇所、足状部14に2箇所の合計3箇所に設けられているから、端子18Cと端子18Dとには液位検出電極13Aにおけるウォーニング領域液位検出部15に対応する部分の静電容量cとウォーニング液位検出電極15Aの静電容量c2とウォーニング液位検出電極15Bの静電容量c3との和Cが出力される。したがって、何らかの理由で液面が傾斜した場合においても前記電気容量の和Cに基づいて正しい液位を求めることができる。
【0052】
なお、液位検出センサ12としては、静電容量によって液位を検出する上に述べた精電容量センサのほか、電気抵抗の変化によって液位を検出する電気抵抗センサなども使用できる。
【0053】
2.実施形態2
以下、実施形態1で述べた液位検出装置1で使用される液位検出センサの第2の例について図面を用いて説明する。実施形態2に係る液位検出センサ112は、図7(A)および図7(B)に示すように、全体として短冊形に形成されたベースフィルム110の表面に櫛型電極111Aと櫛型電極111Bとを形成した構成とされているとともに、液位を測定するための液位検出部113と、液位検出部113の下方に一体的に形成された足状部114と、を備える。足状部114は、液位検出部113の下端部を図7(A)における破線で示す位置で液位検出部113に対して直角に屈曲させて形成されている。
【0054】
液位検出センサ112の液位検出部113は、燃料残量がウォーニング領域におけるときに燃料の液位を検出するウォーニング領域液位検出部115と、ウォーニング領域液位検出部115の上方に隣接し、燃料残量がウォーニング残量より多いときに燃料の液位を検出する通常領域液位検出部116とに分かれている。また足状部114には、燃料リファレンス測定部117が形成されている。
【0055】
ウォーニング領域液位検出部115においては、櫛型電極111Aおよび櫛型電極111Bの幅w2が、通常領域液位検出部116における櫛型電極111Aおよび櫛型電極111Bの幅w1よりも広くなるように形成されている。なお、燃料リファレンス測定部117における櫛型電極111Aおよび櫛型電極111Bの幅w3は、通常領域液位検出部116における櫛型電極111Aおよび櫛型電極111Bの幅w1と同一とされている。
【0056】
燃料タンク10内の燃料残量がウォーニング残量よりも多いときは、液位検出センサ112においては、液位検出部113において、通常領域液位検出部116は一部が液面から露出した状態にあるが、ウォーニング領域液位検出部115は全て燃料で浸漬された状態にあるから、燃料の液位は、通常領域液位検出部116のみで測定される。
【0057】
一方、燃料残量がウォーニング領域におけるときは、通常領域液位検出部116は全部が燃料の液面から露出した状態にあり、ウォーニング領域液位検出部115は、一部が燃料の液面から露出した状態にある。ここで、前述のようにウォーニング領域液位検出部115においては、櫛型電極111Aおよび櫛型電極111Bの幅w2が、通常領域液位検出部116における櫛型電極111Aおよび櫛型電極111Bの幅w1よりも広いから、単位液位あたりの電極面積は前記通常領域液位検出部116よりも大きい。
【0058】
したがって、図6に示すように、液位検出センサ112のセンサ出力に対する燃料残量の勾配は、ウォーニング残量より残量の多い領域と比較してウォーニング領域における領域において緩やかになっている。言い換えれば、ウォーニング領域における領域においては、残量がウォーニング残量より多い領域と比較してより高い分解能で、燃料の液位、言い換えれば燃料残量を測定することができる。
【0059】
また、液位検出センサ112は、1枚の短冊状のベースフィルム110上に通常領域液位検出部116とウォーニング領域液位検出部115とを形成できるから、実施形態1における液位検出センサ12と比較して作成が容易である。また、液位検出センサ112は、全体としてL字型の形態を有しているから、実施形態1の液位検出センサ12とは異なり、サブタンク31に装入するのが容易である。したがって、サブタンク31にポンプユニット32に加えて液位検出センサ112を装入し、次いでこのサブタンク31を取付口22から燃料タンク10内部に挿入することにより、液位検出センサ112を燃料タンク10内部に装入できるから、実施形態1の液位検出センサ12と比較して燃料タンク10への装入がはるかに容易である。
【0060】
3.実施形態3
以下、実施形態1で述べた液位検出装置1で使用される液位検出センサの第3の例について図面を用いて説明する。実施形態3に係る液位検出センサ212は、図8(A)〜図8(C)および図9(A)〜図9(C)に示すように、全体として短冊形に形成されたベースフィルム210の表面に櫛型電極111Aと櫛型電極111Bとを形成した構成とされているとともに、液位を測定するための液位検出部213と、液位検出部213の先端に一体的に形成された燃料リファレンス測定部217と、を備える。燃料リファレンス測定部217は、液位検出部213の先端を図8(C)における破線で示す位置で液位検出部113に対して直角に屈曲させて形成されている。なお、燃料リファレンス測定部217は、液位検出部213の先端に設ける代わりに、例えば図8(B)および図9(B)において二点鎖線で示すように、液面検出部213におけるウォーニング領域液位検出部215とされた側とは反対側の面に、ウォーニング領域液位検出部215がとは反対の方向に延在するように設けてもよい。
【0061】
液位検出センサ212の液位検出部213は、燃料残量がウォーニング領域におけるときに燃料の液位を検出するウォーニング領域液位検出部215と、ウォーニング領域液位検出部215の上方に隣接し、燃料残量がウォーニング残量より多いときに燃料の液位を検出する通常領域液位検出部216とに分かれている。
【0062】
ウォーニング領域液位検出部215は、図8(B)に示すように、液位検出部213の足状部214の近傍部分を車両上下方向に蛇腹状に屈曲させて形成されている。なお、図8(B)に示す例では液位検出部213を車両上下方向に2回屈曲させてウォーニング領域液位検出部215を形成しているが、液位検出部213を屈曲させる回数は2回には限定されず、1回でもよく、図9(B)に示すように多数回、例えば車両上下方向に13回屈曲させて形成してもよい。図9(B)に示すように、液位検出部213を多数回屈曲させてウォーニング領域液位検出部215を形成した形態においては、ウォーニング領域液位検出部215を図9(C)に示すように平面視で直線状としてもよいが、燃料タンク10が例えばL字型の平面形状を有するときは、図9(D)に示すように、燃料タンク10の平面形状に沿って平面視で円弧状に湾曲させた形態としてもよい。ウォーニング領域液位検出部215は、液位検出センサ212を燃料タンク10に装入したときに、車両下方側の折れ曲がり部が燃料タンク10の底面20に当接するように形成されている。
【0063】
燃料タンク10内の燃料残量がウォーニング残量よりも多いときは、液位検出センサ212においては、通常領域液位検出部216は一部が液面から露出した状態にあるが、ウォーニング領域液位検出部215は全て燃料で浸漬された状態にあるから、燃料の液位は、通常領域液位検出部216のみで測定される。
【0064】
一方、燃料残量がウォーニング領域におけるときは、通常領域液位検出部216は全部が燃料の液面から露出した状態にあり、ウォーニング領域液位検出部215は、一部が燃料の液面から露出した状態にある。ここで、ウォーニング領域液位検出部215は、液位検出部213の足状部214近傍の部分を車両上下方向に蛇腹状に屈曲させて形成されているから、単位液位あたりの電極面積は通常領域液位検出部216よりも大きい。
【0065】
したがって、図6に示すように、液位検出センサ212のセンサ出力に対する燃料残量の勾配は、ウォーニング残量より残量の多い領域と比較してウォーニング領域における領域において緩やかになっている。言い換えれば、ウォーニング領域における領域においては、残量がウォーニング残量より多い領域と比較してより高い分解能で、燃料の液位、言い換えれば燃料残量を測定することができる。
【0066】
また、実施形態3の液位検出センサ212は、液位検出部213の先端部を車両上下方向に蛇腹状に屈曲させてウォーニング領域液位検出部215を形成している故に、実施形態2の液位検出センサ112の備える特長に加えて作製が更に容易であるという特長を有する。
【0067】
4.実施形態4
以下、実施形態1で述べた液位検出装置1で使用される液位検出センサの第4の例について図面を用いて説明する。実施形態4に係る液位検出センサ312は、図10(A)〜図10(C)に示すように、全体として短冊形に形成されたベースフィルム310の表面に櫛型電極111Aと櫛型電極111Bとを形成した構成とされているとともに、液位を測定するための液位検出部313を備える。
【0068】
液位検出部313の下端部は、図10(B)に示すように車両上下方向、言い換えれば燃料タンク10の上下方向に対して斜めに屈曲されてウォーニング領域液位検出部15とされているとともに、液位検出部313におけるウォーニング領域液位検出部315よりも車両上方の部分は通常領域液位検出部316とされている。ウォーニング領域液位検出部315の先端には、燃料リファレンス測定部317が形成されている。
【0069】
液位検出センサ312における通常領域液位検出部316の長さ、およびウォーニング領域液位検出部315の通常領域液位検出部316に対する角度は、液位検出センサ312を燃料タンク10に装入したときに、燃料リファレンス測定部317が燃料タンク10の底面20に当接するように設定されている。また、通常領域液位検出部316は、液位検出センサ312を燃料タンク10に装入したときに車両上下方向に沿って延在するように形成されている。
【0070】
燃料タンク10内の燃料残量がウォーニング残量よりも多いときは、液位検出センサ312においては、通常領域液位検出部316は一部が液面から露出した状態にあるが、ウォーニング領域液位検出部315は全て燃料で浸漬された状態にあるから、燃料の液位は、通常領域液位検出部316のみで測定される。
【0071】
一方、燃料残量がウォーニング領域におけるときは、通常領域液位検出部316は全部が燃料の液面から露出した状態にあり、ウォーニング領域液位検出部315は、一部が燃料の液面から露出した状態にある。ここで、車両が水平状態にあるときは、燃料タンク10の液面Fも水平であるから、通常領域液位検出部316は液面Fに対して直交した状態にあり、ウォーニング領域液位検出部315は液面Fに対して傾斜している。したがって、単位液位あたりの電極面積は、ウォーニング領域液位検出部315のほうが通常領域液位検出部216よりも大きい。
【0072】
したがって、図6に示すように、液位検出センサ312のセンサ出力に対する燃料残量の勾配は、ウォーニング残量より残量の多い領域と比較してウォーニング領域における領域において緩やかになっている。言い換えれば、ウォーニング領域における領域においては、残量がウォーニング残量より多い領域と比較してより高い分解能で、燃料の液位、言い換えれば燃料残量を測定することができる。
【0073】
実施形態4の液位検出センサ312は、液位検出部313の下端部を車両上下方向に対して斜めに屈曲させてウォーニング領域液位検出部315を形成している故に、実施形態3の液位検出センサ212よりも更に作製が容易であるという特長を有する。
【0074】
5.実施形態5
以下、実施形態1で述べた液位検出装置1で使用される液位検出センサの第5の例について図面を用いて説明する。実施形態5に係る液位検出センサ412は、図11(A)に示すように、全体として十字型の平面形状を有する液位検出部413を有する。液位検出部413は、車両上下方向、言い換えれば燃料タンク10の上下方向に沿って延在する全体として短冊状の通常領域液位検出部416と、通常領域液位検出部416の下端部において車両左右方向に伸びるウォーニング領域液位検出部415と、を備える。ウォーニング領域液位検出部415は、図11(B)に示すように全体として円環状に屈曲されている。燃料リファレンス測定部417は、ウォーニング領域液位検出部415の下縁部に、ウォーニング領域液位検出部415の中心点に向かう方向に形成されている。通常領域液位検出部416、ウォーニング領域液位検出部415、および燃料リファレンス測定部417の構成については実施形態2〜4で説明したとおりである。
【0075】
また、ウォーニング領域液位検出部415は、図11(C)に示すように平面視で通常領域液位検出部416を中心とするS字型に形成してもよい。
【0076】
実施形態5の液位検出センサ412においても、ウォーニング領域液位検出部415のほうが通常領域液位検出部416よりも単位液位あたりの電極面積が大きい。したがって、図6に示すように、液位検出センサ312のセンサ出力に対する燃料残量の勾配は、ウォーニング残量より残量の多い領域と比較してウォーニング領域における領域において緩やかになっている。言い換えれば、ウォーニング領域における領域においては、残量がウォーニング残量より多い領域と比較してより高い分解能で、燃料の液位、言い換えれば燃料残量を測定することができる。
【0077】
実施形態5に係る液位検出センサ412は、実施形態2の液位検出センサの有する特長に加え、燃料タンク10内部において、ウォーニング領域液位検出部415がサブタンク31を取り囲むように配置できるから、ウォーニング領域液位検出部415の幅方向の寸法が通常領域液位検出部416と比較してはるかに大きいにも拘らず、ウォーニング領域液位検出部415が燃料タンク10への液位検出センサ412の搭載の邪魔になることが少ないという特長を有する。
【符号の説明】
【0078】
1 液位検出装置
10 燃料タンク
12 液位検出センサ
15 ウォーニング領域液位検出部
16 通常領域液位検出部
112 液位検出センサ
113 液位検出部
115 ウォーニング領域液位検出部
116 通常領域液位検出部
212 液位検出センサ
213 液位検出部
215 ウォーニング領域液位検出部
216 通常領域液位検出部
217 燃料リファレンス測定部
312 液位検出センサ
313 液位検出部
315 ウォーニング領域液位検出部
316 通常領域液位検出部
412 液位検出センサ
413 液位検出部
415 ウォーニング領域液位検出部
416 通常領域液位検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクにおいて燃料の残量が所定量以下であるウォーニング領域における燃料の液位を検出するウォーニング領域液位検出部と、
前記ウォーニング領域液位検出部よりも車両上方に位置し、前記燃料タンクにおいて燃料の残量が前記所定量よりも多い通常領域における燃料の液位を検出する通常領域液位検出部と、
を備え、
前記ウォーニング領域液位検出部における単位液位あたりの電極面積は前記通常領域液位検出部における単位液位あたりの電極面積よりも大きい
液位検出装置。
【請求項2】
前記ウォーニング領域液位検出部は、2箇所以上に離間して設けられている請求項1に記載の液位検出装置。
【請求項3】
前記ウォーニング領域液位検出部は、蛇腹状に屈曲された形態とされている請求項1に記載の液位検出装置。
【請求項4】
前記ウォーニング領域液位検出部は、前記燃料タンクの上下方向に対して傾斜配置されている請求項1に記載の液位検出装置。
【請求項5】
前記ウォーニング領域液位検出部は、前記通常領域液位検出部よりも幅方向の寸法が大きく設定されている請求項1に記載の液位検出装置。
【請求項6】
前記ウォーニング領域液位検出部は、前記燃料タンク上方から見て円弧状またはS字型に成形されている請求項5に記載の液位検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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