説明

液位検知装置

【課題】貯液容器の小型化が容易で、低コストかつ高信頼性の液位検知装置を提供することを目的とする。
【解決手段】貯液容器24内の液位を検知する液位検知装置10において、貯液容器24内の液位と同じ液位となるように貯液容器24に接続された縦通路であって、少なくとも所定の高さ位置Huにおける材質が透光性材からなる縦通路14と、所定の高さ位置Huにおける縦通路14内の液の有無を検出するために所定の高さ位置Huの縦通路14の外側に設けられ、縦通路14を水平に貫通する光軸30を形成可能な投光手段32および受光手段34からなる液位センサ16と、液位センサ16による検出に応じて貯液容器24内の液位を判定する液位判定手段20とを備え、縦通路14内にオリフィス12を設けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯液容器内の液位を検知する液位検知装置に関し、特にカップ式の飲料自動販売機や飲料ディスペンサなどに備わる湯タンクなどの貯液容器内の液位を検知する液位検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図11に示すように、貯液容器内の液面に浮かべたフロートの作動によって液位を検知するフロート式の液位検知装置が知られている(例えば、特許文献1または2参照)。また、貯液容器に通じる縦通路を挟んで配置した投光器と受光器とからなる液位センサを用いて、貯液容器内の液位を検知する液位検知装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。また、貯液容器内の液体の通電抵抗を検出する液位検知装置が一般に知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−133395号公報
【特許文献2】特開2002−83364号公報
【特許文献3】特開2000−316721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の従来の特許文献1等のフロート式の液位検知装置では、貯液容器内の液面に浮かべるフロートの容積が大きく、貯液容器の小型化が難しい。このため、必要以上の容積の貯液容器の使用を余儀なくされると、容器の材料などのコストが高くなるという問題がある。また、湯タンクのように、熱がある液体を貯める容器の場合には、液面の部分や容器の表面積が大きいと放熱量が大きくなって熱ロスが増大し、コストの増大につながる。
【0005】
また、上記の従来の通電抵抗を検出する液位検知装置では、液体から析出したスケールが貯液容器の内面に付着すると、検知する抵抗値に変化が生じることがある。このため、検出値に誤差が生じて正常な検出ができなくなり、装置の信頼性が低下するおそれがある。
【0006】
一方、上記の従来の特許文献3の液位検知装置では、縦通路の内面にスケールが付着したり、容器側の給液に伴って液面の暴れが生じるおそれがある。この場合、誤検出が発生し、装置の信頼性が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、貯液容器の小型化が容易で、低コストかつ高信頼性の液位検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る液位検知装置は、貯液容器内の液位を検知する液位検知装置において、前記貯液容器内の液位と同じ液位となるように前記貯液容器に接続された縦通路であって、少なくとも所定の高さ位置における材質が透光性材からなる縦通路と、所定の高さ位置における前記縦通路内の液の有無を検出するために所定の高さ位置の前記縦通路の外側に設けられ、前記縦通路を水平に貫通する光軸を形成可能な投光手段および受光手段からなる液位センサと、前記液位センサによる検出に応じて前記貯液容器内の液位を判定する液位判定手段とを備え、前記縦通路内にオリフィスを設けたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る液位検知装置は、上述した請求項1において、前記貯液容器内の液位を前記液位センサの位置以下にする液位制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る液位検知装置は、上述した請求項1または2において、前記オリフィスは、前記液位センサの位置よりも高い位置の前記縦通路内に設けたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に係る液位検知装置は、上述した請求項1から3のいずれか一つにおいて、前記縦通路の上下端は、前記貯液容器にそれぞれ連通してあることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項5に係る液位検知装置は、上述した請求項1から4のいずれか一つにおいて、前記縦通路は、透明な円管で構成され、前記液位センサの光軸は、前記円管の軸心からオフセットして形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、貯液容器内の液位を検知する液位検知装置において、前記貯液容器内の液位と同じ液位となるように前記貯液容器に接続された縦通路であって、少なくとも所定の高さ位置における材質が透光性材からなる縦通路と、所定の高さ位置における前記縦通路内の液の有無を検出するために所定の高さ位置の前記縦通路の外側に設けられ、前記縦通路を水平に貫通する光軸を形成可能な投光手段および受光手段からなる液位センサと、前記液位センサによる検出に応じて前記貯液容器内の液位を判定する液位判定手段とを備え、前記縦通路内にオリフィスを設けたので、フロートなどの容器の大型化を招く部材を用いずに液位を検知することができる。このため、貯液容器の小型化が容易となり、コストを低減することができる。また、縦通路内のオリフィスが縦通路の乾燥を抑制するとともに、容器に対する給液に伴う縦通路内の液面の暴れを抑制する。このため、誤検出の発生を回避することができ、液位検知装置の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る液位検知装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る液位検知装置の概略斜視図である。図2は、本発明に係る液位検知装置の正面断面図であり、図3は、本発明に係る液位検知装置の側面図である。
【0015】
図1〜図3に示すように、本発明に係る液位検知装置10は、オリフィス12を有する縦通路14と、液位センサとしての上限水位センサ16と、下限水位センサ18と、水位判定手段20(液位判定手段)と、水位制御手段22(液位制御手段)とを備え、貯液容器としての湯タンク24内の水位を検知するものである。湯タンク24には、内部の湯を外部の供給先等に給湯するための配管やバルブからなる給湯機構38が備わる。
【0016】
縦通路14は、湯タンク24内の水位と同じ水位となるように湯タンク24に連通された透明材料からなる円管である。縦通路14の上下端は、曲管26を介して湯タンク24にそれぞれ接続してある。
【0017】
図4は、図2のA−A線に沿った切断面斜視図である。図5は、図3のB−B線に沿った切断面斜視図である。また、図6は、液位検知装置の部分正面断面図であり、図7は、縦通路のオリフィス部分の断面拡大図である。
【0018】
オリフィス12は、図4〜図6に示すように、上限水位センサ16の位置Huよりも高い位置の縦通路14内の円盤28中心に設けてある。また、図7に示すように、縦通路14の内径Dは10mm程度であり、オリフィス径dは数mm程度とされてある。
【0019】
オリフィス12は、縦通路14内の乾燥を抑制するとともに、湯タンク24への給水に伴う縦通路14内の水面の暴れを緩衝するためのものである。つまり、図6に示すように、縦通路14の上下端は曲管26を介して湯タンク24に連通してあるので、オリフィス12が設けられる円盤28と水面との間に挟まれる空間は例えば水蒸気100%近くに保持され、縦通路14内の乾燥を防ぐことができる。こうすることで、乾燥によるスケールの析出および縦通路14内面への付着を防止することができる。このため、水位センサ16,18による誤検出を防止することができる。
【0020】
一方、このオリフィス12および円盤28は、水面が接近するとエアダンパのように作用して、湯タンク24への給水に伴う水面の暴れを緩衝する。このため、水位センサ16,18のチャタリングを防止し、誤検出を防止することができる。このようにすることで、液位検知装置10の信頼性を高めることができる。
【0021】
上限水位センサ16は、湯タンク24に給水を開始する給水開始水位Huを検知するためのものであり、縦通路14内の水の有無を検出する。上限水位センサ16は、給水開始水位Huの高さの縦通路14の外側に設けてあり、縦通路14を水平に貫通する光軸30を形成可能な投光手段32および受光手段34を備える。上限水位センサ16の光軸30は、縦通路14の軸心からオフセットして軸心を通らないように形成されてある。
【0022】
下限水位センサ18は、水位低下時における湯タンク24内のヒータ36を強制停止する水位Hdを検知するいわば安全装置としてのものであり、縦通路14内の水の有無を検出する。下限水位センサ18は、ヒータ36の位置Hhよりも上方の位置Hdの縦通路14の外側に設けてあり、縦通路14を水平に貫通する光軸30を形成可能な投光手段32および受光手段34を備える。下限水位センサ18の光軸30は、縦通路14の軸心からオフセットして軸心を通らないように形成されてある。
【0023】
これら水位センサ16,18によれば、図8に示すように、受光手段34が受光(通光)を検知すると水無しと判定する。また、図9に示すように、遮光を検知すると水有りと判定する。このように、水位センサ16,18の高さに水がある場合とない場合とにおける縦通路14を通過する光の屈折率の違いを利用することで、受光(通光)と遮光とを明確に区別することができる。このため、液体透過度を検出する方法などの従来の方法に比べ、検出の精度が格段に向上する。なお、光軸30をオフセットして形成しなければ、水の有無に関わらず常時受光となる。
【0024】
水位判定手段20は、水位センサ16,18による検出に応じて湯タンク24内の水位を判定するようにしてある。
【0025】
水位制御手段22は、上限水位センサ16による検出位置Huが、常に待機水位H1以下の位置になるように湯タンク24への給水制御をタイマー制御によって行うようにしてある。上限水位センサ16の位置Huが、常に待機水位H1以下の位置になるように制御されることで、上限水位センサ16の位置Huにおける縦通路14内面にスケールが析出付着することを回避している。こうすることで、液界面に析出したスケールによる透明度減少による検知不良を防止することができる。
【0026】
また、液位センサ16,18を上下2箇所に設ける必要はなく、センサ数は上限水位制御用の1個で済む。また、湯タンク24などの貯液容器の液面面積が変化した場合であっても、タイマー設定値を変更することで対応可能である。このため、あらゆる貯液容器に対応することができる。また、ヘッド差を利用して液体を吐出する機構を備える貯液容器では、単位時間当たりの吐出量の変動を最小にするように制御することができる。
【0027】
このように、本発明の構成によれば、フロートなどのタンクの大型化を招く部材を用いずに水位を検知することができる。このため、貯液容器の小型化が容易となり、コストを低減することができる。
【0028】
次に、本発明の液位検知装置10による湯タンク24の水位制御方法について図を参照しながら説明する。図10は、本発明の液位検知装置による湯タンクの水位制御方法を示す図であり、(a)は水位の時間変化図、(b)は水位制御手段による給水弁の制御と上限水位センサの検知状態との対応関係を示したタイムチャート図である。
【0029】
図10に示すように、液位検知装置10に電源投入をし、上限水位センサ16が通光を検知すると、水位判定手段20によって、上限水位センサ16の位置Huに水がない、つまり水位は上限水位センサ16の位置Huよりも下の位置と判定される。水位制御手段22は、この判定に基づいて、図示しない給水弁をオンして湯タンク24に給水を開始する制御を行う。
【0030】
一方、上限水位センサ16の位置Huが水位よりも上の位置にあるHi状態から、上限水位センサ16の位置Huが水位よりも下の位置にあるLo状態に移行する場合には、つまり、水面が上限水位センサ16を通過して上昇する場合には、水位制御手段22は、図示しない給水弁をオフして湯タンク24への給水を停止すると同時に、タイマーのカウントをスタートさせる制御を行う。カウントのスタートからカウントの終了までの継続時間は、水位制御手段22に予め設定されており、図10中Xで示してある。
【0031】
逆に、Lo状態からHi状態に移行する場合には、つまり、湯タンク24内の湯が給湯機構38を介して外部の供給先に供給されることによって、水面が上限水位センサ16の位置Huを通過して下降する場合には、水位制御手段22は、図示しない給水弁をオンして湯タンク24への給水を開始する制御を行う。
【0032】
ここで、湯タンク24内の水位の上下変動範囲を制御するためには、給水を開始する水位と給水を停止する水位の上下二箇所で検知する必要があるので、通常2個の水位センサが必要である。しかし、本発明では、上述したように、上限水位センサ16の高さ位置Huにおける水位検知によって給水開始の時期を判定する一方、給水停止の時期は、給水開始の時期からのタイマーによるカウント時間によって制御され、上限水位センサ16一個があればよい。このため、スケールの汚れの影響を無くし、かつ、センサ個数を少なくすることができる。
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、貯液容器内の液位と同じ液位となるように貯液容器に接続された縦通路であって、少なくとも所定の高さ位置における材質が透光性材からなる縦通路と、所定の高さ位置における縦通路内の液の有無を検出するために所定の高さ位置の縦通路の外側に設けられ、縦通路を水平に貫通する光軸を形成可能な投光手段および受光手段からなる液位センサと、液位センサによる検出に応じて貯液容器内の液位を判定する液位判定手段とを備え、縦通路内にオリフィスを設けたので、フロートなどの容器の大型化を招く部材を用いずに液位を検知することができる。このため、貯液容器の小型化が容易となり、コストを低減することができる。また、縦通路内のオリフィスが縦通路の乾燥を抑制するとともに、容器に対する給液に伴う縦通路内の液面の暴れを抑制する。このため、誤検出の発生を回避することができ、液位検知装置の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る液位検知装置の一例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る液位検知装置の一例を示す正面断面図である。
【図3】本発明に係る液位検知装置の一例を示す側面図である。
【図4】図2のA−A線に沿った切断面斜視図である。
【図5】図3のB−B線に沿った切断面斜視図である。
【図6】本発明に係る液位検知装置の部分正面断面図である。
【図7】縦通路のオリフィス部分の断面拡大図である。
【図8】受光を検知した水位センサの上面断面図である。
【図9】遮光を検知した水位センサの上面断面図である。
【図10】本発明の液位検知装置による湯タンクの水位制御方法を示す図であり、(a)は水位の時間変化図、(b)は水位制御手段による給水弁の制御と上限水位センサの検知状態との対応関係を示したタイムチャート図である。
【図11】従来のフロート式の液位検知装置の一例を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0035】
10 液位検知装置
12 オリフィス
14 縦通路
16 上限水位センサ(液位センサ)
18 下限水位センサ(液位センサ)
20 水位判定手段(液位判定手段)
22 水位制御手段(液位制御手段)
24 湯タンク(貯液容器)
26 曲管
28 円盤
30 光軸
32 投光手段
34 受光手段
36 ヒータ
38 給湯機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯液容器内の液位を検知する液位検知装置において、
前記貯液容器内の液位と同じ液位となるように前記貯液容器に接続された縦通路であって、少なくとも所定の高さ位置における材質が透光性材からなる縦通路と、
所定の高さ位置における前記縦通路内の液の有無を検出するために所定の高さ位置の前記縦通路の外側に設けられ、前記縦通路を水平に貫通する光軸を形成可能な投光手段および受光手段からなる液位センサと、
前記液位センサによる検出に応じて前記貯液容器内の液位を判定する液位判定手段とを備え、
前記縦通路内にオリフィスを設けたことを特徴とする液位検知装置。
【請求項2】
前記貯液容器内の液位を前記液位センサの位置以下にする液位制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の液位検知装置。
【請求項3】
前記オリフィスは、前記液位センサの位置よりも高い位置の前記縦通路内に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の液位検知装置。
【請求項4】
前記縦通路の上下端は、前記貯液容器にそれぞれ連通してあることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の液位検知装置。
【請求項5】
前記縦通路は、透明な円管で構成され、前記液位センサの光軸は、前記円管の軸心からオフセットして形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の液位検知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate