説明

液体と軽量粒を利用したネズミ捕獲器

【課題】手軽で効果のあるネズミ捕獲器はなかなかなかった。特にクマネズミは運動機能が高く学習能力もあり毒餌にも耐性を持ち捕獲が難しかった。本発明は、そのクマネズミも確実に捕獲出来るようなものにし、死骸も処理しやすくし、僅かな維持管理だけで継続的に捕獲出来るものとする。
【解決手段】開口イ1と開口ロ2の2つの開口を有した容器の、開口イはネズミを落とし込むものであり、開口ロは死骸を取り出すためのものである。クマネズミが対象の場合は、開口イの淵に後ろ足を残して逆さ懸垂しても餌に届かない程度の高さを確保して餌台がある。餌台の少し下に発泡スチレンビーズ等の軽量粒の層を設け、その下に液体の層を設け、液体の層に軽量粒の層が浮いた状態にする。ネズミは、淵から餌に届かなければ必ず容器内に入り込む。入れば瞬時にしてその姿が見えなくなり、そして必殺である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーラット等を確実に捕獲するためのネズミ捕獲器に関する。
【背景技術】
【0002】
ネズミを捕獲する装置は、様々に工夫されている。粘着剤を利用したもの、機械仕掛けのもの、毒餌によるもの等がある。しかし、高価で大掛かりだったり、あまり効果がなかったり、また死骸の処理が大変であったりした。特にクマネズミは、運動機能が高く学習能力があり、さらに毒餌に対して耐性を持つに至ったスーパーラットは、非常に捕獲が難しく、手軽でなおかつ確実に捕獲できるものはなかった。
【0003】
水を張った容器にネズミを落とし込み溺死させるものがある(特許文献1)。その捕獲器の問題点は、クマネズミは水を非常に恐れるために水面が僅かでも見えていると近づくことはないこと。また、ネズミが容器の淵に後ろ足を残して逆さ懸垂をした状態で餌に届けば、決してそれ以上容器内に入り込むことはないこと。さらに、説明のような浮体ではクマネズミやハツカネズミであったら乗れてしまい、そのため仮に容器内に入り込んだとしても容易に脱出可能であることである。仮に上手く捕獲出来たとしても死骸の処理が大変である。ドブネズミであれば泳げるので効果はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−176814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
後ろ足を淵に残した逆さ懸垂状態でなく、必ず容器の中に入り込むようにし、かつ必殺でなければならない。そして仲間に危険を知らせることが出来ないようにする。
【0006】
また以下のような機能を加えて手軽に実施出来るものとする。
(イ)一度設置しておけば僅かな維持管理だけで継続して捕獲出来る。
(ロ)死骸の処理が容易なもの。
(ハ)クマネズミ以外のネズミにも対応出来るもの。
【課題を解決するための手段】
【0007】
容器の上部を解放した開口イの淵より下方に、ネズミが後ろ足を淵に残して逆さ懸垂しても届かない距離を確保して餌を設置し、餌の下方に軽量粒の層を設ける。さらにその下に水もしくは液体パラフィンや油等比重の小さな液体の層を設け、軽量粒の層は液体に浮いた状態とする。
それらを内包した容器の内側表面は、少なくとも淵から軽量粒までの間はネズミが登ることが出来ないものとする。例えばプラスチックや金属製、または塗装等の滑らかなものとする。容器外側はネズミが登れる仕上げとするか、木材等の登れる素材を取付ける。またはネズミが動き回る場所付近に開口イがあるように設置する。
それぞれの層の高さの目安として容器の内側に目盛を付けておく。
開口イの淵の一部または全周に鍔を設け、鍔にはネズミを呼ぶための撒き餌が置け、さらにネズミが歩ける幅を確保する。
開口イの大きさは、餌をその都度新たに設置するのであればネズミが入るだけの大きさがあればよく、対辺距離でおおよそ10センチもあればいいが、継続して捕獲する場合は、餌を乱されないようにする必要があるため、餌と離れた位置にネズミを落とし込むスペースが必要である。
【0008】
軽量粒は、その複数個を集めてもネズミが乗れてしまわないようになるべく小さな粒とする。また、1匹めのネズミが入って軽量粒の層を乱してもその下の液面が見えてしまうことがないようにするための適当な厚みを有する。軽量粒の素材は液体を吸収しにくく、液体に対してすぐ劣化してしまわず、なるべく軽いものが望ましい。例えば発砲スチレンビーズや中空カプセル等のようなものとする。
【0009】
開口イを有する容器と一体にして蓋付の開口ロを設け、開口イとの界壁の下端は液面より若干下までとして、両方の液体は下部で繋がっており、軽量粒が開口ロの方へ行かないようにする。さらに容器の底を斜面とし、ネズミの死骸が斜面の下方に自然に集まるようにし、その位置を開口ロの下になるようにする。開口ロのふたを開ければネズミの死骸の有無の確認及び処理が出来る。開口ロの蓋は、内部がはっきり見えないように半透明または不透明な素材とする。
【0010】
斜面下方には死骸搬出具を設け、ネズミの死骸がそれに集まり、開口ロより出せるようにする。死骸搬出具は、水に強く、また水はけがいい素材とし、複数の死骸を載せても変形しない強度を持ったものとする。例えば金属製やプラスチック製等で、網状のものやパンチング状等の穴の開いたものとする。また、搬出時のために紐を付けておく。
【0011】
掃除を容易にするために斜面最下位に排水口を設ける。排水口に笊等を用意して排水し、さらに上から散水すれば軽量粒を笊等に受けることが出来る。軽量粒は再利用出来る。
【0012】
軽量粒の層の上に直に5センチ角程のチリ紙等を置いて、その上に餌を撒く。しかしこの方法は、ネズミがかかる都度に設置し直す必要がある。
継続してネズミを捕獲する場合は、1匹目のネズミが入って軽量粒の層を乱しても餌に影響がないようにするために、餌置き具(図3)の餌台10は、軽量粒の表面より少し離した上方になるように設置する。餌置き具は、浮き構造、吊り構造、下または横からの支持構造とし、ネズミが乗れないように不安定な構造とする。
【0013】
液体は、クマネズミに対しては水でいいが、ドブネズミは泳げるので水では効果はなく、水より比重の小さな液体パラフィンや油等を使用する。その他ドブネズミに対しては、淵から餌までの距離は短くし、軽量粒の層の厚みは薄くてよい。
【発明の効果】
(イ)ネズミが苦しむ姿及び死骸が瞬時にして見えなくなるので、他の仲間に危険を知らせることがなく、学習能力があるクマネズミでも連続して捕獲出来る。
(ロ)クマネズミの場合、液面が見えず、かつ逆さ懸垂で餌に届かなければ、必ず容器の中に入り込む。入れば絶対に脱出出来ず必殺である。
(ハ)餌がなくならなければ継続的に捕獲が可能である。
(ロ)死骸の処理が簡単である。
(ハ)経費がかからない。
(ニ)液体を液体パラフィンにする等の構成を変えればドブネズミにも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の中央付近を断面にした斜視図
【図2】底に設置する死骸搬出具
【図3】浮き構造式餌置き具
【発明を実施するための形態】
【0015】
設置はレストラン、倉庫、住宅等場所を選ばないので何処にでも置ける。以下、本発明の実施の形態を図1〜図3にもとづいて説明する。
【0016】
まず対象がクマネズミの場合を説明する。
容器に液体13を界壁5の下端が沈むまで入れる。開口イ1の方の液体に軽量粒12を浮かせる。クマネズミは泳げないために水を恐れる。そのため軽量粒の層は、1匹目のネズミが入って層を乱してもその下の液面が見えてしまわないように適度な厚みが必要である。また軽量粒の上に直に餌を載せる場合には、その餌を受けるチリ紙等および餌そのものが湿気てしまわないためにも液面から距離を保つために適度な厚みが必要である。また軽量粒の表面から淵3までは、ネズミが淵に後ろ足を残して逆さ懸垂しても餌に届かないだけの距離が必要である。
ネズミを単発で捕獲する場合は、前記のように餌は軽量粒の上に5センチ角程のチリ紙などを置いた上に直置きでいい。ネズミを継続的に捕獲する必要がある時は、餌置き具(図3)を設置する。軽量粒が乱れても餌に影響がないようにするために、餌台10は軽量粒の表面から少し上方になるように設置する。餌は、米等の植物性のものが効果がある。開口イの淵の鍔にも撒き餌をしておくとよい。
餌がなくなっていてもネズミが入っていない場合は、ネズミが逆さ懸垂で餌に届いたことになるので、淵から餌までの高さを液体の量で調節する。この時点では、ネズミはまだこの容器の危険を察知してはおらず、餌があればまた来る。液面が見えず、かつ逆さ懸垂しても餌に届かなければネズミは必ず容器の中に入り込む。入れば必殺である。ネズミが入った時の各層の高さの容器内側の目盛を記録しておくとよい。
【0017】
次にドブネズミの場合を説明する。
ドブネズミは泳げるので液体面が見えていてもいい。液体13は水では効果がないので比重の小さな液体パラフィンや油等を使用する。その場合下層は水でもよい。また運動機能もクマネズミ程ではなく、逆さ懸垂をすることもないので、容器の淵から餌までの高さは低いほうがよい。軽量粒は先にかかったネズミの死骸が見えていてはよくないので、それを隠す程度の薄い層でいい。餌置き具は、軽量粒の層が薄くてもいいので餌台から浮力体までの距離を短くする。または液体に直に適当な浮体を浮かべてそれに載せる方法でもよい。餌は動物性が望ましい。
【0018】
容器底の斜面14の最下部に死骸搬出具8(図2)を設置する。そのつまみ7は開口ロ2の淵に引っ掛けておき、搬出具の出し入れは開口ロにて行う。軽量粒の層が乱れていればネズミが入った証拠であるので開口ロの蓋6を開けて死骸の有無を確認する。入っていれば搬出具を紐で引っ張り上げる。開口ロの蓋は、中の死骸が見えないような素材にする。
【0019】
餌置き具(図3)は浮き構造のものを示す。餌台10と棒17と浮力体18と錘19で構成され、耐久性があり液で劣化しない素材で作る。例えば、餌台と棒はプラスチックや金属製等、浮力体は発泡スチレンや中空体等、錘は鉛等で構成する。浮力体は棒上を移動出来、餌台と液面の距離を調整出来る。
【0020】
掃除をする時は排水口キャップ9を外して排水する。笊等で軽量粒12を受ける。容器の内部を散水すれば軽量粒を全部排出できる。軽量粒は再利用できる。
【符号の説明】
【0021】
1 開口イ
2 開口ロ
3 鍔
4 登り木
5 界壁
6 蓋
7 つまみ
8 死骸搬出具
9 排水口キャップ
10 餌台
11 目盛
12 軽量粒
13 液体
14 斜面
15 紐
16 金網
17 棒
18 浮力体
19 錘
20 水面ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器上部に2つの開口を有し、開口イの淵には鍔を設け、開口ロには蓋を設け、2つの開口は界壁によって隔てられているが、界壁の下端は容器の底まではなく、両方の空間は下部で繋がっており、界壁の下端が充分隠れるまで液体を入れ、その上に開口イ側に軽量粒の層を浮かせ、開口イの内側表面を滑らかな仕上げとしたもの。
【請求項2】
容器底を斜面とすることでネズミの死骸が自然に下方に集まるようし、その位置を開口2の下になるようにしたもの。
【請求項3】
その位置に死骸搬出具を置き、ネズミの死骸がそれに集まり、開口2より出せるようにしたもの。
【請求項4】
餌置き具は、その餌台を軽量粒の上面より少し上方になるように設置し、浮き構造か吊構造か下または横から支持する構造とし、ネズミが乗れないように不安定にしたもの。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−120561(P2011−120561A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299316(P2009−299316)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(593166141)
【Fターム(参考)】