説明

液体を液だれなく注ぐための器具

本発明はボトルから液体を液だれなく注ぐための器具に関する。これは、丸めることによりボトルの頸部(41)に挿入可能なスリーブを形成できる弾性のある材料片(1a)を備える。上記スリーブは上記頸部の内側表面に接して載置され、そのスリーブの外周縁部はボトル(4)から流れ出る液体のための分離縁部を形成する。上記材料片(1a)は、上記ボトルの頸部(41)の周りに配置できるストラップ(3a)を形成する区画をその縁部に沿って備えるように設計されることにより、上記材料片(1a)が上記ボトル(4)に取り付け可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルから液体を液だれなく注ぐための器具に関し、これは、丸めることによりボトルの頸部に挿入可能なスリーブを形成できる、弾性のある材料片からなる。上記スリーブは上記頸部の内側表面に接して載置され、そのスリーブの外周縁部はボトルから流れ出る液体のための分離縁部を形成する。
【背景技術】
【0002】
かかる器具は、例えば特許文献1により知られている。ここで、上記器具は撥液性の表面を有するように設計されると共に丸めることによりボトルの頸部に挿入可能なスリーブを形成できる弾性変形可能な材料片であり、例えばワインボトル内の液体をスリーブから注ぐことが意図されている。材料片に弾性があるために、スリーブの外側表面はボトルの頸部の内側表面に密着して載置され、そのボトルの外側に位置するスリーブの周縁部は、ボトルから出てくる液体のための分離縁部を形成する。その結果、液だれなく注ぐ過程を終了させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第560777B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記タイプの公知の器具は注ぎ口(spout)と呼ばれ、低コストで製造できる量産品である。一般に、こういった注ぎ口は個別に包装され、かかるものとして販売されるが、この包装により、製造コストを上回るコストが生じる。
【0005】
かかる注ぎ口は、家庭で使用する場合にはほんの少数しか必要ない。しかし、飲食店で使用する場合には、ワインボトルごとに別の注ぎ口が使用される。このように、飲食店における注ぎ口の需要は非常に多いので、これらを多数まとめて包装すると好都合であり、その結果、コストがかなり節減される。
【0006】
しかしながら、飲食店でワインボトルを顧客に供するときにも、注ぎ口を利用できるようにする必要がある。これは、注ぎ口が個別包装されている場合には、容易に可能であるが、大量の注ぎ口が入っているパックから注ぎ口が取り出されたことにより注ぎ口が包装されていない状態の場合、これを適切な形で顧客に手渡す方法を見出す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、ボトルの頸部の周りに配置可能なストラップを形成するスリットを材料片が備えるように設計されることによって、材料片をボトルに取り付けることができる本発明により達成される。この設計により、包装されていない注ぎ口を例えばワインボトルに取り付け、この方法で顧客に手渡すことができる。
【0008】
上記スリットは、上記材料片の周縁に近接し、特にその周縁部に対して平行に延びると好ましい。上記スリットは、上記材料片の上記周縁の20%〜50%の長さを有することができる。さらに、上記ストラップの端部における、上記ストラップと上記材料片の残部との間の領域が、所定の切断点を備えるように設計されると好ましく、その切断点に沿って、上記ストラップを上記材料片の残部から簡単に切り離すことができる。その結果、注ぎ口を簡単にボトルから取り外すことができる。好ましい実施形態では、ストラップは0.5〜6mmの幅を有する。
【0009】
かかる注ぎ口の特定の利点はまた、印刷部を備えることができることである。これにより、広告媒体として、または製品に関する、特に関連するワインについての情報を含んだラベルの一種として使用することができる。
【0010】
好ましい第1の実施形態によると、上記材料片が、ボトルの頸部の外径よりも大きい幅を有する延長部が横向きに突出した長方形の形をし、上記延長部の自由端が略半円形の形をし、上記スリットが上記延長部の周縁に沿って延び、その結果、上記ストラップが、上記ボトルの頸部に接して載置される略半環(half ring)の形になっている。この設計では、ストラップがボトルの頸部を取り囲む。
【0011】
好ましい第2の実施形態によると、上記材料片が、略三角形形状の延長部が突出した長方形の形をし、上記三角形は基部の長さが上記長方形と同じで、その基部の反対側が丸くなっており、さらに上記スリットが上記延長部の自由周縁に沿って延び、その結果、上記ストラップが、上記ボトルの頸部に接して載置される略弓の形になっている。この設計では、ストラップがボトルの頸部を取り囲む。
【0012】
好ましい第3の実施形態では、上記材料片が、略三角形の形の延長部が突出した長方形の形をし、上記三角形は基部の長さが上記長方形と同じで、その基部の反対側が丸くなっており、さらに上記スリットが、上記注ぎ口の、上記延長部と反対側の領域の周縁に位置し、その結果ストラップが形成される。それによって、注ぎ口をボトルの頸部に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるほぼ原寸大の注ぎ口からなる第1の例示的実施形態の平面図である。
【図2】図1よりも縮尺が小さい上記注ぎ口が取り付けられたボトルの図である。
【図2a】図2と異なる視点による、図1よりも縮尺が小さい上記注ぎ口が取り付けられたボトルの図である。
【図3】本発明によるほぼ原寸大の注ぎ口からなる第2の例示的実施形態の平面図である。
【図4】図3よりも縮尺が小さい上記注ぎ口が取り付けられたボトルの図である。
【図4a】図4と異なる視点による、図3よりも縮尺が小さい上記注ぎ口が取り付けられたボトルの図である。
【図5】本発明によるほぼ原寸大の注ぎ口からなる第3の例示的実施形態の平面図である。
【図6】図5よりも縮尺が小さい上記注ぎ口が取り付けられたボトルの図である。
【図6a】図6と異なる視点による、図5よりも縮尺が小さい上記注ぎ口が取り付けられたボトルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の内容について、図面に示される3つの実施形態の例を参照して、詳細に説明する。
【0015】
図1には、略長方形の領域11と、領域11から垂直に突出した延長部12と、を有する材料片で形成された第1の注ぎ口1が示されている。延長部12の自由端は、半円形の周縁部を有するように設計されている。上記注ぎ口1は、両面がポリエステルでコーティングされた、厚さ約0.15mmの高剛性弾性体のアルミニウム製金属箔からなる。正しく使用するには、上記注ぎ口1を丸めてスリーブを形成し、ボトルの外側に延長部12が位置するように、領域11をボトルの口に挿入する。延長部12の鋭角の周縁部によって分離縁部が形成され、これにより注ぐ作業を液だれなく終了することができる。
【0016】
延長部12の幅は、ボトルの頸部の外径よりも幾分大きい。さらに、注ぎ口1は、延長部12の自由端の周縁部に沿って、その周縁部に対して平行に延びるスリット2を備えるように設計される。スリット2は、注ぎ口1から曲げて引き離すことができるストラップ3を形成する。図2および図2aに示されているように、ストラップ3をボトルの頸部41に嵌めることによって、注ぎ口1をワインボトル4に取り付けることができる。ストラップ2の幅は例えば2.5mmである。このようにして、注ぎ口1は見栄えよい方法で、ワインのボトル4として一緒に顧客に手渡すことができ、この場合包装する必要がなくなる。このように包装する必要がないことにより、かなりのコスト節減が実現する。
【0017】
注ぎ口1を簡単にボトル4から取り外すことができるように、ストラップ3を領域11に結合する領域は、所定の切断点31を有するように設計される。その切断点31に沿って、注ぎ口1をストラップ3から簡単に切り離すことができる。
【0018】
かかる注ぎ口1はさらに、広告の目的に役立つ印刷部や、ワインに関する詳細事項などワインボトルに入っている製品に関する情報を提供するためのラベルの一種として機能する印刷部を含むことができる。
【0019】
このように、本発明による注ぎ口によって、第1に、かなりのコスト節減が実現する。第2に、本発明による注ぎ口を広告媒体または情報源として使用することができる。ストラップ3は注ぎ口1から引き離されるので、スリット2によって形成される縁部が、液体のための分離縁部になる。
【0020】
図3に示されている注ぎ口1aは、略三角形の延長部12aが略長方形の領域11aに隣接している点のみにおいて、図1による注ぎ口1と異なっている。上記三角形の延長部の基部は、略長方形の領域11aと同じ長さであり、上記三角形の延長部の、基部と反対側の縁部はやはり丸くなっている。
【0021】
延長部12aもまた、その周縁部に対して平行に延びるスリット2aを備えるように設計される。スリット2aは、注ぎ口1aから曲げて引き離すことができるストラップ3aを形成する。図4および図4aに示されているように、ストラップ3aをボトルの頸部41上に嵌めることによって、注ぎ口1aをワインボトル4にストラップ3aで取り付けることができる。注ぎ口1aもまた、ストラップ3aを領域11aに結合する領域において所定の切断点31aを備えるように設計され、この切断点31aに沿って注ぎ口1aをストラップ3aから簡単に切り離すことができる。
【0022】
図5に示されている注ぎ口1bは、三角形の延長部12bとは反対側に、注ぎ口1bの周縁部に対して平行に延びるスリット2bを備えるよう設計されている点において、図3の注ぎ口1aと異なっている。この結果、ストラップ3bは、注ぎ口1bの、ボトルの頸部41に挿入される側に形成される。
【0023】
この実施形態の特定の利点は、注ぎ口1bをボトル4に取り付けできるストラップ3bが設けられているが、このストラップ3bはボトルの頸部に挿入する側において注ぎ口1bに設けられることである。この結果、注ぐ際にストラップ3bを注ぎ口1bから切り離す必要がない。
【0024】
その他の点では、注ぎ口1aおよび1bは図1による注ぎ口1と同じ設計、類似した特徴、同じ機能を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル(4)から液体を液だれなく注ぐための器具であって、
丸めることにより前記ボトルの頸部(41)に挿入可能なスリーブを形成できる弾性のある材料片(1、1a、1b)からなり、
前記スリーブが前記頸部の内側表面に接して載置されると共に、前記スリーブの外側周縁部が前記ボトル(4)から流れ出る液体のための分離縁部を形成し、
前記材料片(1、1a、1b)が、前記ボトルの頸部(41)の周りに配置できるストラップ(3、3a、3b)を形成するスリット(2、2a、2b)を備えるよう設計されることにより、前記材料片(1、1a、1b)が前記ボトル(4)に取り付け可能であることを特徴とする器具。
【請求項2】
前記スリット(2、2a、2b)が、前記材料片(1、1a、1b)の1つの縁部に近接して延び、好ましくは前記材料片(1、1a、1b)の1つの周縁部に対して平行であることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記スリット(2、2a、2b)が、前記材料片(1、1a、1b)の前記周縁部の長さの20%〜50%にわたって延びることを特徴とする、請求項1または2に記載の器具。
【請求項4】
前記ストラップと前記材料片(1、1a)の残部との間の領域が、前記ストラップの端部(3、3a)において所定の切断点(31、31a)を備えるように設計され、前記切断点(31、31a)に沿って、前記ストラップ(3、3a)を前記材料片(1、1a)の残部から切り離すことができることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の器具。
【請求項5】
前記ストラップ(3、3a、3b)が0.5〜6mmの幅を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の器具。
【請求項6】
前記材料片(1、1a、1b)が印刷部を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の器具。
【請求項7】
前記材料片(1)は、延長部(12)が横向きに突出した長方形(11)形状であり、前記延長部(12)は前記ボトルの頸部(41)の外径よりも大きい幅を有し、
前記延長部(12)の自由端は略半円形状であり、前記スリットが前記延長部(12)の周縁部に沿って延びることにより、前記ストラップ(3)が略半環形状であり、前記ボトルの頸部(41)に接して載置されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の器具。
【請求項8】
前記材料片(1a)は、略三角形形状の延長部(12a)が突出した長方形(11a)形状であり、前記延長部の基部の長さは前記長方形(11a)と同じであり、前記延長部の、前記基部の反対側は丸くなっており、
前記スリット(2a)が前記延長部(12a)の周縁部に沿って延びることにより、前記ストラップ(3a)が略弓形形状であり、前記ボトルの頸部(41)に接して載置されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の器具。
【請求項9】
前記材料片(1b)は、略三角形形状の延長部(12b)が突出した長方形(11b)形状であり、前記延長部の基部の長さは前記長方形(11b)と同じであり、前記延長部の、前記基部の反対側は丸くなっており、
前記スリット(2b)が、前記材料片(1b)の、前記延長部(12b)の反対側に位置する領域の周縁部に配置されることにより、前記ストラップ(3b)が形成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の器具。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図5】
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【図6】
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【図6a】
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【公表番号】特表2011−521851(P2011−521851A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534315(P2010−534315)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/AT2008/000328
【国際公開番号】WO2009/065157
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(510118020)ノードロップス アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】