説明

液体カートリッジ、その検査方法、及び、液体吐出装置

【課題】部品組付後でも検査を正確に行えるようにする。
【解決手段】カートリッジ40の筐体41の外周面において、カートリッジ40のホール素子71及び磁石72のそれぞれに対向した位置に、凹部41xが形成されている。筐体41の外周面における凹部41x以外の部分とホール素子71又は磁石72の距離よりも、凹部41xの底とホール素子71又は磁石72との距離の方が小さい。検査装置200のケース235は各凹部41xに嵌合する凸部237を有する。凸部237の先端にはそれぞれ検査用素子271,272が設けられている。検査装置200は、凸部237を凹部41xに嵌合し、検査用素子271,272をそれぞれ磁石72及びホール素子71に近づけて、検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を収容する液体カートリッジ、液体カートリッジの検査方法、及び、液体カートリッジを着脱可能な液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体カートリッジにおいて、移動可能な磁性体を磁場検出手段で検知する技術が知られている。例えば特許文献1によると、磁性体(回転子8)の回転量を磁場検出手段(磁気センサ)で検知し、回転量に基づいてカートリッジ内のインク残量が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−286123号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように磁場検出手段を用いる構成では、磁場検出手段に異常がある場合、液体吐出装置において吐出不良等の問題が生じ得るため、液体吐出装置に液体カートリッジを装着する前等に、磁場検出手段に異常が有るか否かを検査する必要がある。
【0005】
しかし、液体カートリッジの各部品を組み付けた後に検査を行う場合、磁場検出手段が液体カートリッジの筐体の内部に配置されていることから、磁場検出手段の位置を確認し難い。そのため、検査用素子を磁場検出手段に近づけることができず、検査を正確に行うことができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、部品組付後でも検査を正確に行うことが可能な液体カートリッジ及びその検査方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、上記のような液体カートリッジを正確に位置決めして装着することができる液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1観点によると、液体を吐出する吐出部を有する液体吐出装置に着脱可能な液体カートリッジであって、前記吐出部に供給される液体を収容する液体収容室と、移動可能な磁性体と、前記磁性体の移動に伴って変化する磁場の大きさを検知する磁場検出手段と、前記磁場検出手段の外側に配置されると共に、当該液体カートリッジの外周面を構成し、前記外周面に第1凹部を有する外側部材と、を備え、前記外周面における前記第1凹部以外の部分と前記磁場検出手段との距離よりも前記第1凹部の底と前記磁場検出手段との距離の方が小さいことを特徴とする、液体カートリッジが提供される。
【0009】
本発明の第2観点によると、上記第1観点に係る液体カートリッジの検査方法であって、検査装置と前記磁場検出手段とを電気的に接続する接続工程と、前記第1凹部に、前記検査装置における検査用素子が設けられた凸部を嵌合させる嵌合工程と、前記接続工程の後、前記磁場検出手段からの出力を計測する計測工程と、前記計測工程で計測された出力に基づいて、前記磁場検出手段の異常の有無を判断する判断工程と、を備えたことを特徴とする検査方法が提供される。
【0010】
本発明の第3観点によると、上記第1観点に係る液体カートリッジを着脱可能な液体吐出装置であって、装着される前記液体カートリッジの少なくとも前記磁場検出手段が設けられた部分を覆うカバーと、前記カバーにおける前記第1凹部に対向する内面に形成された、前記第1凹部に嵌合する凸部と、を備えたことを特徴とする液体吐出装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1及び第2観点によると、部品組付後でも、第1凹部の底に検査用素子を近づける等して、検査を正確に行うことができる。
本発明の第3観点によると、第1観点のような液体カートリッジを、第1凹部と凸部との嵌合によって、正確に位置決めして装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の液体吐出装置の一実施形態に係るインクジェット式プリンタを示す外観斜視図である。
【図2】プリンタの内部を示す概略側面図である。
【図3】プリンタに着脱可能な、本発明の液体カートリッジの一実施形態に係るインクカートリッジを示す斜視図である。
【図4】カートリッジの内部を示す概略構成図である。
【図5】カートリッジの部分断面図であり、(a)はプリンタの中空針が栓に挿入されておらず且つバルブが閉状態にあるとき、(b)はプリンタの中空針が栓に挿入され且つバルブが開状態にあるときの図である。
【図6】カートリッジがプリンタに装着される過程を示す部分断面図である。
【図7】カートリッジがプリンタに装着される過程を示す、図6と直交する面に沿った部分断面図である。
【図8】カートリッジ及びプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図9】カートリッジがプリンタに装着される際に、プリンタのコントローラが実行する制御内容を示すフロー図である。
【図10】カートリッジが検査装置に装着される過程を示す部分断面図である。
【図11】カートリッジが検査装置に装着される際に、検査装置のコントローラが実行する制御内容を示すフロー図である。
【図12】カートリッジのホール素子からの出力と磁束密度との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
先ず、図1を参照し、本発明の液体吐出装置の一実施形態に係るインクジェット式プリンタ1の全体構成について説明する。
【0015】
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体1aの正面(図1の紙面左手前側の面)には、上から順に、3つの開口10d,10b,10cが形成されている。開口10bは給紙ユニット1b、開口10cはインクユニット1cをそれぞれ筐体1a内部に挿入するためのものである。開口10dには、下端の水平軸を支点として開閉可能な扉1dが嵌め込まれている。扉1dは、筐体1aの主走査方向(筐体1aの正面と直交する方向)に関して、搬送ユニット21(図2参照)と対向配置されている。
【0016】
次いで、図2を参照し、プリンタ1の内部構成について説明する。
【0017】
筐体1aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間Aには、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド2、用紙Pを搬送する搬送ユニット21、及び、プリンタ1各部の動作を制御するコントローラ100が配置されている。空間B,Cにはそれぞれ、給紙ユニット1b及びインクユニット1cが配置される。プリンタ1の内部には、給紙ユニット1bから排紙部31に向けて、図2に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。
【0018】
コントローラ100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)に加え、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)、I/F(Interface)等を有する。ROMには、CPUが実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAMには、プログラム実行時に必要なデータ(画像データ等)が一時的に記憶される。コントローラ100は、I/Fを介して、カートリッジ40のセンサユニット70とのデータ送受信、外部装置(プリンタ1に接続されたPC等)とのデータ送受信等を行う。
【0019】
給紙ユニット1bは、給紙トレイ23及び給紙ローラ25を有する。このうち、給紙トレイ23が、筐体1aに対して主走査方向に挿抜可能となっている。給紙トレイ23は、上方に開口する箱であり、複数種類のサイズの用紙Pを収容可能である。給紙ローラ25は、コントローラ100による制御の下、給紙モータ125(図8参照)の駆動により回転し、給紙トレイ23の最も上方にある用紙Pを送り出す。給紙ローラ25によって送り出された用紙Pは、ガイド27a,27bによりガイドされ且つ送りローラ対26によって挟持されつつ搬送ユニット21へと送られる。
【0020】
搬送ユニット21は、2つのベルトローラ6,7、及び、両ローラ6,7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8を有する。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、コントローラ100による制御の下、その軸に接続された搬送モータ127(図8参照)の駆動により回転し、図2中時計回りに回転する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、ベルトローラ7の回転により搬送ベルト8が走行するのに伴って、図2中時計回りに回転する。
【0021】
搬送ベルト8のループ内には、4つのヘッド2と対向するように、直方体形状のプラテン19が配置されている。搬送ベルト8の上側ループは、搬送ベルト8の外周面8aが4つのヘッド2の下面(インクを吐出する吐出口が多数形成された吐出面)2aと所定距離離隔しつつ下面2aと平行に延在するよう、内周面側からプラテン19により支持されている。
【0022】
搬送ベルト8の外周面8aには、弱粘着性のシリコン層が形成されている。給紙ユニット1bから搬送ユニット21へと送られてきた用紙Pは、押さえローラ4によって搬送ベルト8の外周面8aに押え付けられた後、粘着力によって外周面8aに保持されつつ、黒塗り矢印に沿って副走査方向に搬送されていく。
【0023】
ここで、副走査方向とは、搬送ユニット21による用紙Pの搬送方向と平行な方向である。主走査方向とは、副走査方向に直交し且つ水平面に平行な方向である。
【0024】
用紙Pが4つのヘッド2の直ぐ下方を通過する際に、コントローラ100による制御の下、各ヘッド2が駆動し、各ヘッド2の下面2aから用紙Pの上面に向けて各色のインクが順に吐出されることで、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。そして用紙Pは、剥離プレート5によって搬送ベルト8の外周面8aから剥離され、ガイド29a,29bによりガイドされ且つ二組の送りローラ対28によって挟持されつつ上方に搬送され、筐体1a上部に形成された開口30から排紙部31へと排出される。各送りローラ対28の一方のローラは、コントローラ100による制御の下、送りモータ128(図8参照)の駆動により回転する。
【0025】
ヘッド2は、主走査方向(図1の紙面に直交する方向)に長尺なライン式であり、略直方体の外形形状を有する。4つのヘッド2は、副走査方向に所定ピッチで並び、フレーム3を介して筐体1aに支持されている。各ヘッド2において、上面には、可撓性チューブが取り付けられるジョイントが設けられ、下面2aには、多数の吐出口が形成され、内部には、チューブ及びジョイントを介して対応するインクカートリッジ40から供給されたインクが吐出口に至るまでのインク流路が形成されている。
【0026】
インクユニット1cは、副走査方向に並んだ4つのカートリッジケース35、及び、これらケース35内にそれぞれ配置された4つのインクカートリッジ40を有する。図2中最も左方のカートリッジ40は、ブラックのインクを貯留しており、残り3つのカートリッジ40よりも、副走査方向のサイズ及びインク容量が大きい。残り3つのカートリッジ40は、それぞれマゼンタ、シアン、イエローのインクを貯留しており、副走査方向のサイズ及びインク容量が同じである。ケース35のサイズは各カートリッジ40に対応し、図2中最も左方のケース35は他のケース35よりも副走査方向のサイズが大きい。各カートリッジ40に貯留されたインクは、チューブ及びジョイントを介して、対応するヘッド2に供給される。
【0027】
ケース35は、それぞれ独立して筐体1aに対して主走査方向に挿抜可能である。プリンタ1のユーザは、任意のケース35を筐体1aから引き出し、ケース35内のカートリッジ40を交換することができる。
【0028】
次いで、図3〜図5を参照し、カートリッジ40の構成について説明する。なお、ケース35内にそれぞれ配置される4つのカートリッジ40は、上述のようにブラックインクのカートリッジが他の色のカートリッジよりも副走査方向のサイズ及びインク容量が大きいことを除き、いずれも同じ構成である。
【0029】
カートリッジ40は、直方体形状の筐体41(図3及び図4参照)、筐体41の内部に配置されたリザーバ42(図4参照)、リザーバ42に収容されたインクをヘッド2に排出するための排出路43a(図5参照)を画定する排出管43、排出路43aに設けられた栓50及びバルブ60(図5参照)、センサユニット70(図4及び図5参照)、並びに、接点142及び電力入力部147(図3及び図4参照)を有する。
【0030】
筐体41は、図4に示すように、内部に2つの部屋41a,41bが形成されるように区画されている。右方の部屋41aにリザーバ42、他方の部屋41bに排出管43がそれぞれ配置されている。
【0031】
リザーバ42は、内部にインクを収容するための袋状の部材であり、その開口部に筒状のジョイント42aが取り付けられている。リザーバ42は、ジョイント42aを介して排出路43aと連通している。
【0032】
排出管43は、互いに連結された管44及び蓋45を含む。
蓋45は、中央に円形の開口を有する円盤状の主部45a、及び、主部45aの開口周縁から主走査方向に突出した円筒状の突出部45bを含む。管44は、主走査方向に延在した円筒状の主部44a、及び、中央に円形の開口を有する円盤状のフランジ44bを含む。主部44aの一端にはジョイント42aが嵌合し、主部44aの他端にはフランジ44bを介して蓋45の主部45aが嵌合している。フランジ44bは、主部44aの他端の開口周縁から外側に延出している。フランジ44bの開口周縁には、Oリング43xを収容する環状の凹部が形成されている。フランジ44bは、当該凹部から外縁に亘って主部45aと接触し、さらにその外縁には全周に亘って主走査方向に延出する突起44b1が形成されている。主部45aは、フランジ44bと突起44b1とで形成される凹部内に嵌合し、フランジ44bとでOリング43xを弾性変形させつつ挟んでいる。突起44b1並びにフランジ44b及び主部45aの外縁は、全周に亘って、かしめ接合されている。Oリング43xは、ゴム等の弾性材料からなり、管44及び蓋45の接合部からのインク漏れを防止する。
これら管44及び蓋45の内部に、図5に示すように、排出路43aが形成されている。即ち、排出路43aは、管44内の空間と蓋45内の空間との連続した2つの空間からなる。
【0033】
栓50は、略円柱状であり、図5に示すように、突出部45bの先端(主部45aとは反対側の端部)の開口を塞ぐように圧縮状態で設けられている。栓50は、ゴム等の弾性材料からなり、突出部45b内に配置された部分と、突出部45b外に配置された部分とを含む。
【0034】
突出部45bの先端及び栓50の外側にはキャップ46が設けられている。キャップ46が突出部45bの先端に嵌合した栓50を覆うことにより、栓50の突出部45bからの脱落が防止される。なお、キャップ46の中央には開口46aが形成されており、開口46aを介して栓50の先端面が露出している。
【0035】
バルブ60は、図5に示すように、管44内に配置されており、Oリング61、弁本体62、及びコイルバネ63を有する。
【0036】
弁本体62は、円柱状の第1部材65及び第2部材66、並びに、第1及び第2部材65,66よりも小さな直径であってこれら部材65,66を連結する棒状の連結部材67を有する。これら部材のうち、第2部材66が磁性体からなり、他の部材は非磁性体からなる。第1部材65における第2部材66とは反対側の面中央には、主走査方向に延在する棒状の押し部材68が設けられている。押し部材68は、後述するリブ44rの先端により画定される開口44pの直径よりも小さく且つ連結部材67と略同じ直径を有し、開口44p内に挿入されている。
【0037】
Oリング61は、ゴム等の弾性材料からからなり、管44の長手方向略中央において管44の内周面から内側に突出した環状リブ44rの裏面(栓50とは反対側の面)に固定されている。コイルバネ63は、基端がジョイント42aに固定されており、先端が弁本体62に接触し、弁本体62をOリング61に向けて常に付勢している。したがって、図5(a)に示すようにバルブ60が排出路43aを閉じる閉状態のとき、第1部材65がOリング61と接触し、開口44pが封止されている。これにより、排出路43aにおける、管44の一端からOリング61までの空間と、Oリング61から栓50までの空間との連通が遮断され、排出路43aを介したリザーバ42と外部との連通が遮断されている。このときOリング61は、コイルバネ63の付勢力によって、弾性変形している。
【0038】
センサユニット70は、ホール素子71及び磁石72を有する。
磁石72は、磁場を発生させるものである。
ホール素子71は、磁気センサであって、入力された磁場を電気信号に変換し、当該電気信号を接点142を介してコントローラ100に出力する。本実施形態において、ホール素子71は、弁本体62の移動に伴って変化する磁場の大きさに比例した電圧値を示す信号をコントローラ100に出力する。
【0039】
ホール素子71及び磁石72は、図5(a)に示すように、それぞれ排出管43の外周面に固定され、排出管43を挟んで鉛直方向に互いに対向している。図5(a)に示すようにバルブ60が閉状態のとき、ホール素子71及び磁石72は、弁本体62の第2部材66を挟んで対向している。バルブ60が閉状態のとき、ホール素子71が検知する磁場は大きく、ホール素子71は高い電圧値を示す信号を出力する。バルブ60が図5(a)に示す閉状態から図5(b)に示す排出路43aを開く開状態へと移行するときに、第2部材66が主走査方向に移動するのに伴い、ホール素子71が検知する磁場が小さくなり、ホール素子71から出力される信号が示す電圧値が低くなる。
コントローラ100は、ホール素子71から受信した信号が示す電圧値に基づいて、弁本体62の位置を判断する。
【0040】
筐体41は、ホール素子71及び磁石72の外側に配置されると共に、カートリッジ40の外周面41yを構成し、外周面41yに凹部41xを有する(図3参照)。凹部41xは、筐体41の鉛直方向上面及び下面に1つずつ、ホール素子71及び磁石72のそれぞれに対応して設けられている(図6参照)。図6に示すように、ホール素子71に対応する凹部41xよりも磁石72に対応する凹部41xの方が深く、これら凹部41xはサイズ及び形状の両方において互いに異なる。
【0041】
外周面41yにおける凹部41x以外の部分とホール素子71又は磁石72との距離よりも、凹部41xの底とホール素子71又は磁石72との距離の方が小さい。本実施形態では、凹部41xの底がホール素子71及び磁石72のそれぞれに鉛直方向に対向している。
【0042】
次いで、図5〜図9を参照し、カートリッジ40がプリンタ1に装着される過程、ケース35の具体的な構成等について説明する。図8では、電力供給線を太線で示し、信号線を細線で示している。
【0043】
カートリッジ40がプリンタ1に装着される前、図5(a)に示すように、栓50には中空針153が挿入されておらず、バルブ60は閉状態に維持されている。この段階では、図8に示すような接点142及び接点152間の電気的接続並びに電力入力部147及び電力出力部157間の電気的接続は、未だなされていない。したがって、この段階において、カートリッジ40及びプリンタ1間での信号の送受信は不能であり、且つ、センサユニット70には電力が供給されていない。
【0044】
カートリッジ装着の際、プリンタ1のユーザは、先ず対象となるケース35を筐体1aから引き出す(図1参照)。このときケース35は、図6(a)に示すように、筐体1aから取り外されず、筐体1aの後面側の部分(中空針153が配置された部分)を残し、それ以外の部分が筐体1a外に引き出される。
【0045】
ケース35の上壁35a及び下壁35bは開閉可能である。上壁35a及び下壁35bはそれぞれ、カートリッジ40におけるホール素子71及び磁石72が設けられた部分を覆うカバーであって、凹部41xに対向する内面に凹部41xに嵌合する凸部37を有する。各凸部37は各凹部41xのサイズ及び形状に対応し、本実施形態では下壁35bの凸部37の方が上壁35aの凸部37よりも高さが大きい。
下壁35bの正面側(図6(a)の右側)端部には正面壁(図1に示す、筐体1aの正面に対応する部分)35cが固定されている。
【0046】
ユーザは、ケース35を引き出した後、先ず下壁35bを、ヒンジ部を支点として下方に回動させて開放し、下壁35bの凸部37を対応する凹部41xから離隔させる(即ち凹凸の嵌合を解除する)。その後ユーザは、上壁35aを、ヒンジ部を支点として上方に回動させて開放し、上壁35aの凸部37を対応する凹部41xから離隔させる(即ち凹凸の嵌合を解除する)。
上壁35aのヒンジ部には上壁35aを閉鎖する方向に付勢するバネ36が設けられているが、下壁35bのヒンジ部にはバネが設けられていない。したがってユーザは、上壁35aを開放するとき、バネ36の付勢力に抗して上壁35aを上方に回動させる。
【0047】
このようにして上壁35a及び下壁35bを開放した状態で、ユーザはカートリッジ40をケース35内に挿入する。このときカートリッジ40は、ガイド(図示略)に沿って主走査方向(図6(a)の白抜き矢印方向)にケース35内に挿入される。そしてカートリッジ40は、ケース35内の位置決め部(図示略)によって、中空針153より手前の位置(図7(a)に示すようにカートリッジ40の接点142及び電気入力部147がプリンタ1の接点152及び電気出力部157とそれぞれ接触する位置)で停止し、ケース35に対して固定される。
【0048】
接点142と接点152との接続により、カートリッジ40とプリンタ1とが電気的に接続される。これにより、カートリッジ40とプリンタ1との間の信号の送受信が可能になる。接点152は、コントローラ100のI/Fとして機能するものであり、ケース35の内壁に形成されている。
電力入力部147と電力出力部157との接続により、電源158から、電力出力部157及び電力入力部147を介して、センサユニット70に電力が供給される(図8参照)。電源158は、筐体1a内に設けられており、プリンタ1の各部に電力を供給する。電力出力部157は、電源158と電気的に接続し、ケース35の内壁における電力入力部147と対向する位置に設けられている(図7参照)。電力入力部147は、センサユニット70と電気的に接続し、接点142の近傍において筐体41の外面に露出して設けられている。
【0049】
この段階において、カートリッジ40は中空針153から離隔しており、リザーバ42はヘッド2のインク流路と連通していない。中空針153は、ケース35に対して主走査方向に移動可能な支持体154に固定され、ヘッド2のジョイントに取り付けられたチューブと連通している。中空針153、接点152及び電力出力部157はカートリッジ40毎に設けられている。
【0050】
カートリッジ40が停止すると、ユーザは上壁35aから手を離してバネ36の付勢力で上壁35aを閉鎖し、さらに下壁35bを手動で閉鎖する(図6(b)参照)。上壁35a及び下壁35bの閉鎖と共に、凸部37がそれぞれ凹部41xに嵌合し、カートリッジ40がケース35内に正確に位置決めされる。
【0051】
その後ユーザは、ケース35における筐体1a外に引き出されている部分を、主走査方向(図6(b)の白抜き矢印方向)に筐体1aの空間Cに挿入する。
図7(a)は図6(b)と同じ段階の状況を示す。
【0052】
コントローラ100は、図9に示すように、カートリッジ40とプリンタ1との電気的接続を検知すると(S1:YES)、ケース35の筐体1a内への挿入が完了したか否かを判断する(S2)。この判断は、例えば筐体1a内のケース35の設置箇所に設けたセンサ等からの信号に基づいて行ってよい。
【0053】
コントローラ100は、ケース35の筐体1a内への挿入が完了すると(S2:YES)、移動機構155(図8参照)を制御して支持体154をこれに支持された中空針153と共に主走査方向(図7(b)の黒塗り矢印方向)に移動開始させる(S3)。さらにコントローラ100は、S3で中空針153の移動を開始させた後、ホール素子71からの出力値等に基づいてバルブ60が開状態に切り換わったか否かを判断する(S4)。
【0054】
S3での中空針153の移動開始に伴い、先ず、図5(b)に示すように、中空針153が、開口46aを介して栓50の略中心を主走査方向に貫通する。
このとき、中空針153の先端に設けられた孔153bが排出路43a内に配置され、孔153bを介して、中空針153内の流路153aと排出路43aとが連通する。また、このとき栓50に中空針153による貫通孔が形成されるが、栓50における当該貫通孔の周囲が弾性により中空針153の外周面に密着する。これにより、栓50の貫通孔と中空針153との間からのインク漏れが防止される。
【0055】
その後、中空針153の先端が、押し部材68の先端に当接する。そして中空針153の排出路43aへのさらなる進入により、押し部材68及び弁本体62が移動し、弁本体62の第1部材65がOリング61から離隔する。このときに、バルブ60が閉状態から開状態に切り換わる。
バルブ60が開状態にあるとき、排出路43aにおける、管44の一端からOリング61までの空間と、Oリング61から栓50までの空間とが連通し、排出路43aを介したリザーバ42と外部との連通が許可される。即ち、図5(b)に示すように栓50に中空針153が貫通し且つバルブ60が開状態にあるとき、排出路43a、流路153a等を介して、リザーバ42とヘッド2のインク流路とが連通している。
【0056】
このようにしてバルブ60が開状態に切り換わると(S4:YES)、コントローラ100は、記録制御(S5)を行い、このルーチンを終了する。
記録制御(S5)において、コントローラ100は、外部装置からの記録指令の受信に伴う処理(給紙モータ125、搬送モータ127、及び送りモータ128(図8参照)並びにヘッド2の駆動制御等)を行う。
【0057】
なお、バルブ60が開状態に切り換わらないまま所定時間が経過した場合(S6:YES)、コントローラ100は、プリンタ1のディスプレイへの画像表示や音声出力等によりエラー報知を行い(S7)、さらにプリンタ1の記録動作が禁止されるようプリンタ1の各部の動作を停止させる(S8)。この場合、カートリッジ40のセンサユニット70、栓50、バルブ60、或いはプリンタ1の中空針153や移動機構155に不具合があると推定される。
【0058】
コントローラ100は、カートリッジ40毎に、図9に示す一連の処理を行う。
【0059】
カートリッジ取外しの際、プリンタ1のユーザが対象となるケース35を筐体1aから引き出すと、カートリッジ40は支持体154、接点152、及び電力出力部157から略同時に離隔する。これにより、接点142及び接点152間の電気的接続並びに電力入力部147及び電力出力部157間の電気的接続が、共に解除され、カートリッジ40及びプリンタ1間の信号の送受信が不能となり、センサユニット70に電力が供給されなくなる。また、このとき、中空針153が図5(b)の左方向に移動するのに伴い、コイルバネ63の付勢力によって弁本体62及び押し部材68が図5(b)の左方向に移動し、弁本体62の第1部材65がOリング61に接触する。これにより、バルブ60が開状態から閉状態に切り換わる。中空針153が栓50から抜かれた後、栓50の貫通孔は、当該貫通孔の周囲部分の弾性により、インク漏れが防止される程度に、小さくなる。
【0060】
次いで、図10〜図12を参照し、カートリッジ40の検査方法について説明する。当該検査方法では、センサユニット70に異常が有るか否かを検査する。
なお、検査方法に係る各工程は、検査装置200、及び、作業者のいずれが行ってもよい。本実施形態では、全工程が検査装置200により行われる。
【0061】
検査装置200は、ケース235、ケース235の上壁235a及び下壁235bを開閉する移動機構、カートリッジ40の挿抜を行う挿抜機構、コントローラ、ディスプレイ等を有する。
ケース235は、中空針153や支持体154が設けられていない点、カートリッジ挿入方向に関する上壁235a及び下壁235bの長さがケース35の上壁35a及び下壁35bの当該方向の長さに比べて短い点、上壁235aのヒンジ部にバネ36が設けられていない点、凸部237の先端にそれぞれ検査用素子271,272が設けられている点等においてケース35と異なり、それ以外はケース35と略同じ構成である。
【0062】
上壁235aの凸部237は、筐体41におけるホール素子71に対応する凹部41xと嵌合し、その先端に検査用素子272として磁石が設けられている。
下壁235bの凸部237は、筐体41における磁石72に対応する凹部41xと嵌合し、その先端に検査用素子271としてホール素子が設けられている。
【0063】
図11に示すように、検査装置200は、先ず、コントローラにより移動機構を制御し、上壁235a及び下壁235bをそれぞれ開放する(S11)。そして検査装置200は、コントローラにより挿抜機構を制御し、カートリッジ40をケース235内に挿入する(S12)。S12において、カートリッジ40は、ケース35内への挿入時と同様、ガイドに沿ってケース235内に挿入され、ケース235内の位置決め部によって所定の位置で停止し、ケース235に対して固定される(図10(a)参照)。
【0064】
図10(a)に示すようにカートリッジ40が所定位置に達したとき、接点142及び電気入力部147が、検査装置200の接点及び電気出力部とそれぞれ接触する。これにより、カートリッジ40と検査装置200とが電気的に接続すると共に、センサユニット70への電力供給が可能となる。
【0065】
検査装置200は、カートリッジ40と検査装置200との電気的接続を検知すると(S13:YES)、ホール素子71からの出力及び検査用素子271からの出力を計測する(S14)。
【0066】
S14の後、検査装置200は、コントローラにより移動機構を制御し、上壁235a及び下壁235bをそれぞれ閉鎖する(S15)。このとき、凸部237がそれぞれ凹部41xに嵌合し、カートリッジ40がケース235内に正確に位置決めされる。
【0067】
S15の後、検査装置200のコントローラは、後述のような手法により(S14で計測した出力等に基づいて)、センサユニット70の異常の有無を判断する(S16)。
異常ありと判断した場合(S16:YES)、検査装置200のコントローラは、検査装置200のディスプレイへの画像表示や音声出力等により、異常である旨を報知し(S17)、このルーチンを終了する。
異常なしと判断した場合(S16:NO)、検査装置200のコントローラは、検査装置200のディスプレイへの画像表示や音声出力等により、正常である旨を報知し(S18)、このルーチンを終了する。
【0068】
以下、S16におけるセンサユニット70の異常の有無の判断手法の一例について、図12を参照して説明する。
【0069】
ここでは、ホール素子71からの出力に基づく判断手法を説明する。
ホール素子71からの出力は、ホール素子71が配置された領域の磁場の大きさ(磁束密度)に比例する。したがって、図12に示すような、原点0、磁束密度T1と電圧V1との座標点Xa、及び、磁束密度T2(>T1)と電圧V2(>V1)との座標点Xbを通る一次関数の直線Lが想定される。
【0070】
磁石72の磁束密度をT1、検査用素子272の磁束密度を(T2―T1)としたとき、図10(a)のように上壁235aが開放された状態でのホール素子71からの出力は、凸部237が凹部41xから十分に(ホール素子71が検査用素子272の磁束密度の影響を受けない程度に)離隔しているとすると、磁石72の磁束密度T1の影響のみを受け、電圧V1になると考えられる。
一方、図10(b)のように上壁235aが閉鎖された状態でのホール素子71からの出力は、磁石72の磁束密度T1と検査用素子272の磁束密度を(T2―T1)との両方(例えばこれら磁束密度の和(T1+(T2−T1)=T2))の影響を受け、電圧V2になると考えられる。
【0071】
本実施形態では、ホール素子71の出力特性についてある程度のばらつきを許容するため、S14で計測した出力(電圧V1)と磁石72の磁束密度(T1:既知)とから座標点Xaを求め、座標点Xaを通る基準となる直線L、並びに、座標点Xaを通り且つ直線Lに対して時計回り及び反時計回りのそれぞれに所定角度傾斜した直線l1,l2を想定する。そして、S15の後(図10(b)のように上壁235aが閉鎖された状態で)ホール素子71からの出力を計測し、このときの出力値と磁束密度T2とから得られる座標が直線l1,l2で挟まれた領域D内にある場合(例えば座標点Xb’が得られた場合)は異常なし、領域D外にある場合は異常あり(ホール素子71の性能が許容範囲外)と判断する。
【0072】
なお、上記では、ホール素子71からの出力に基づく判断手法について説明したが、検査用素子271からの出力に基づく判断手法も適宜に設定し、検査用素子271からの出力に基づいて磁石72の性能劣化等を判断してよい。
S16において、検査装置200のコントローラは、ホール素子71からの出力に基づく判断手法及び検査用素子271からの出力に基づく判断手法の両方で異常なし(即ち、ホール素子71及び磁石72の両方の性能が許容範囲内にある)と判断した場合、異常なしと判断する(S16:NO)。一方、検査装置200のコントローラは、ホール素子71からの出力に基づく判断手法及び検査用素子271からの出力に基づく判断手法の一方又は両方で異常あり(即ち、ホール素子71及び磁石72の一方又は両方の性能が許容範囲外にある)と判断した場合、異常ありと判断する(S16:YES)。
【0073】
当該検査方法により異常ありと判断されたカートリッジは、例えば、リザーバ42内のインク残量が所定量以上であっても、センサユニット70の各部品(ホール素子71や磁石72)を交換すべく、再生工程に付される。
【0074】
以上に述べたように、本実施形態に係るカートリッジ40及び検査方法によると、カートリッジ40の各部品を組み付けた後でも、ホール素子71に対応する凹部41xの底に検査用素子272を近づける等して、ホール素子71に異常が有るか否かの検査を正確に行うことができる。
本実施形態に係るプリンタ1によると、カートリッジ40を、凹部41xと凸部37との嵌合によって、正確に位置決めして装着することができる。
【0075】
ホール素子71が、これに対応する凹部41xの底と対向する位置に配置されている。したがって、検査をより一層正確に行うことができる。
【0076】
カートリッジ40は、ホール素子71のみならず、磁石72をも有する。筐体41の外周面41yには、ホール素子71及び磁石72のそれぞれに対応し、互いに異なる位置に配置された、凹部41xが形成されている。これにより、ホール素子71及び磁石72のそれぞれについて、対応する凹部41xの底に検査用素子271,272を近づける等して、検査を正確に行うことができる。
【0077】
ホール素子71及び磁石72のそれぞれに対応する凹部41xが、サイズ及び形状の両方において互いに異なる。したがって、凹部41x毎に検査用素子271,272を区別して、検査を正確に行うことができる。また、プリンタ1へのカートリッジ40の装着時にも、表裏を間違えずに装着することができる。
【0078】
凹部41xによって、プリンタ1に対するカートリッジ40の位置決めや、検査装置200に対するカートリッジ40の位置決めをも行うことができる。
【0079】
プリンタ1のケース35において、凸部37が形成された部分(上壁35a及び下壁35b)が開閉可能である。上壁35a及び下壁35bを開閉することで、カートリッジ40の装着を容易に行うことができる。
【0080】
上壁35aは、バネ36によって閉鎖する方向に付勢されている。したがって、カートリッジ40をケース35に挿入した後、ユーザが上壁35aから手を離すと、上壁35aはバネ36の付勢力によって自動的に閉鎖する。これにより、カートリッジ40の装着をより容易に行うことができる。
【0081】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0082】
カートリッジの構造は、様々に変更可能である。即ち、リザーバ42、筐体41、排出路43a、栓50、バルブ60、センサユニット70等の構成(形状、位置等)を適宜変更したり、新たな構成部品を追加したり、一部の構成部品を省略したりしてよい。
カートリッジに含まれるバルブの数は、任意である。
栓と球体及びコイルバネとを組み合わせたバルブを設けてよい。例えば、栓は、その中央において主走査方向に貫通したスリット、及び、裏面(バルブ60に対向する面)に球体を収容する湾曲部を含む。コイルバネが球体を栓に向けて付勢し、中空部材が栓に挿入されていない状態では、スリットが球体により封止されている。中空部材が栓のスリットに挿入されると、中空部材の先端が球体と当接しつつコイルバネの付勢力に抗して球体を移動させることで、球体による封止が解除され、当該バルブが閉状態から開状態に切り換わる。その後球体は押し部材68の先端に当接し、バルブ60が閉状態から開状態に切り換わる。
また、管44の外部に配置され且つ管44の径方向に移動可能であって、当該移動によって管44を外側から押圧し変形させることで、管44内部の空間を収縮又は閉塞させるバルブを設けてもよい。
【0083】
磁性体として、上述の実施形態では磁性体からなる部品(第2部材)と非磁性体からなる部品(第2部材以外の部材)との結合体である弁本体62を例示したが、弁本体62は全体が磁性体からなってもよい。
磁性体は、移動可能である限りは、液体カートリッジの液体吐出装置への装着に伴って移動することに限定されず、当該装着に伴わずに移動してもよい。
磁性体は、カートリッジの任意の位置に配置されてよく、排出路43a外に配置されてもよい。また、磁性体は、上述の実施形態のような流路の開閉を行うバルブの他、流量調整を行う任意のバルブであってよく、或いは、バルブ以外の部材(例えば、中空針153の排出路43aへの進入を検知する部材、カートリッジのプリンタへの装着完了を検知する部材等)であってもよい。
磁性体は、磁化されていなくても、磁化されていても、どちらでもよい。例えば、上述の実施形態に係る弁本体62が磁化されている場合、磁石72を省略してよい。
【0084】
外側部材の外周面における第1凹部以外の部分と磁場検出手段との距離よりも第1凹部の底と磁場検出手段との距離の方が小さい限り、磁場検出手段は、第1凹部の底と対向する位置に配置されることに限定されず、第1凹部の底と対向しない位置に配置されてもよい。
【0085】
磁場検出手段及び磁場発生手段の位置は、特に限定されず、例えば磁性体を挟んで対向せずに、磁性体に対して同じ方向に配置されてもよい。
【0086】
磁場検出手段及び磁場発生手段のそれぞれに対応する凹部は、サイズ及び形状の少なくとも一方において、互いに異なればよい。また、これら凹部のサイズ及び形状が共に同じであってもよい。
外側部材の外周面に、磁場検出手段に対応する第1凹部のみが形成されてもよい(即ち、磁場発生手段に対応する第2凹部は形成されなくてもよい)。
液体カートリッジは、磁場発生手段を有さなくてもよい。
【0087】
液体カートリッジが収容する液体は、インクに限定されず、例えば、画質を向上させるために記録前の記録媒体に塗布される画質向上液、搬送ベルトを洗浄するための洗浄液等であってもよい。
【0088】
中空針153の排出路43aへの進入は、上述の実施形態のように液体吐出装置のコントローラによる制御によってもよいし、液体吐出装置のユーザの手動によってもよい。
カートリッジと液体吐出装置との間で信号の送受信が可能となるタイミングや、液体吐出装置からカートリッジへの電力供給が可能となるタイミングは、上述したものに限定されず、任意に変更可能である。また、カートリッジ及び液体吐出装置における接点、電力入力部、電力出力部等の位置も、任意に変更可能である。
【0089】
液体吐出装置のカバー(上述の実施形態の上壁35a及び下壁35b)において、上壁35aのバネ36を省略してもよいし、下壁35bのヒンジ部にバネ36を設けてもよい。また、カバーは開閉可能であることに限定されない。
【0090】
本発明に係る液体吐出装置のヘッドは、ライン式に限定されず、シリアル式でもよい。
【0091】
本発明に係る液体吐出装置に含まれるヘッドの数は4に限定されず、1以上であればよい。
【0092】
本発明に係る液体吐出装置は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等であってもよい。
【0093】
検査方法における工程(S11、S12、S15等)は、作業者が行ってもよい。
検査方法において、計測工程は、上述の実施形態では嵌合工程(S15)の前後(S14,S16)にそれぞれ行っているが、特にタイミングは限定されず、例えば嵌合工程の後のみに行ってもよい。
また、計測工程において、カートリッジの磁場検出手段からの出力のみを計測してよい(即ち、検査装置の検査用素子(ホール素子)271からの出力は計測しなくてもよい)。そして判断工程において、計測工程で計測された磁場検出手段からの出力に基づいて、磁場検出手段の異常の有無のみを判断してもよい(即ち、磁場発生手段の異常の有無を判断しなくてもよい)。
判断工程では、上述した判断手法に限定されず、任意の判断手法を採用し、磁場検出手段、又は、磁場検出手段及び磁場発生手段について、異常の有無を判断してよい。
【0094】
1 インクジェット式プリンタ(液体吐出装置)
2 インクジェットヘッド(吐出部)
35a 上壁(カバー)
35b 下壁(カバー)
37 凸部
40 インクカートリッジ(液体カートリッジ)
41 筐体(外側部材)
41x 凹部(第1凹部,第2凹部)
41y 外周面
42 リザーバ(液体収容室)
43a 流路
50 栓
62 弁本体(磁性体)
70 センサユニット
71 ホール素子(磁場検出手段)
72 磁石(磁場発生手段)
200 検査装置
237 凸部
271,272 検査用素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出部を有する液体吐出装置に着脱可能な液体カートリッジであって、
前記吐出部に供給される液体を収容する液体収容室と、
移動可能な磁性体と、
前記磁性体の移動に伴って変化する磁場の大きさを検知する磁場検出手段と、
前記磁場検出手段の外側に配置されると共に、当該液体カートリッジの外周面を構成し、前記外周面に第1凹部を有する外側部材と、を備え、
前記外周面における前記第1凹部以外の部分と前記磁場検出手段との距離よりも前記第1凹部の底と前記磁場検出手段との距離の方が小さいことを特徴とする、液体カートリッジ。
【請求項2】
前記磁場検出手段が、前記第1凹部の底と対向する位置に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の液体カートリッジ。
【請求項3】
前記外側部材の内側に配置され、磁場を発生させる磁場発生手段と、
前記外周面における前記第1凹部とは別の位置に形成された第2凹部と、をさらに備え、
前記外周面における前記第2凹部以外の部分と前記磁場発生手段との距離よりも前記第2凹部の底と前記磁場発生手段との距離の方が小さいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体カートリッジ。
【請求項4】
前記磁場検出手段及び前記磁場発生手段が前記磁性体を挟んで対向していることを特徴とする、請求項3に記載の液体カートリッジ。
【請求項5】
前記第1凹部と前記第2凹部とは、サイズ及び形状の少なくとも一方において、互いに異なることを特徴とする、請求項3又は4に記載の液体カートリッジ。
【請求項6】
前記第1凹部は、前記磁場検出手段の検査を行う検査装置に設けられた凸部が嵌合する空間であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
【請求項7】
前記第1凹部は、前記液体吐出装置に設けられた凸部が嵌合する空間であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
【請求項8】
前記液体収容室に連通し、前記液体が流れる流路を備え、
前記磁性体は、前記流路内において移動可能であり、当該移動によって前記流路を開く開状態と前記流路を閉じる閉状態とを選択的に取り得るバルブであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体カートリッジの検査方法であって、
検査装置と前記磁場検出手段とを電気的に接続する接続工程と、
前記第1凹部に、前記検査装置における検査用素子が設けられた凸部を嵌合させる嵌合工程と、
前記接続工程の後、前記磁場検出手段からの出力を計測する計測工程と、
前記計測工程で計測された出力に基づいて、前記磁場検出手段の異常の有無を判断する判断工程と、
を備えたことを特徴とする検査方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体カートリッジを着脱可能な液体吐出装置であって、
装着される前記液体カートリッジの少なくとも前記磁場検出手段が設けられた部分を覆うカバーと、
前記カバーにおける前記第1凹部に対向する内面に形成された、前記第1凹部に嵌合する凸部と、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項11】
前記カバーにおける前記凸部が形成された部分が開閉可能であることを特徴とする、請求項10に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−76337(P2012−76337A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222787(P2010−222787)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】