説明

液体中でのポリエステルペレットの熱結晶化

ペレットを、液体媒体ゾーン内の少なくとも140℃の温度を有する液体媒体中に導入し、そして沈降したペレットを、液体媒体の蒸気圧又はそれ以上で、ペレットの分子量を増加させることなく、結晶化させること並びにペレットの少なくとも一部の上の圧力を、液体媒体の蒸気圧に等しく又はそれよりも高くしながら、前記ペレットの少なくとも一部と液体媒体の少なくとも一部とをお互いから分離することによる、ポリエステルポリマーの熱結晶化方法。この結晶化は、望ましくは、機械的に誘導される攪拌無しに、液体媒体ゾーン内で実施する。任意的に、ペレットは流体中ペレタイザーによって形成される。また、液体媒体中の固体ペレットの流れを、少なくとも50:1のアスペクト比L/Dを有する管を通して向けることによる、管内での固体ペレットの熱結晶化方法であって、固体ペレットを、管内で、ポリエステルポリマーのTgよりも高い液体媒体温度で結晶化させる方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルペレットの結晶化、更に詳しくは、液体媒体中のポリエステルペレットの結晶化に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル(又はコポリエステル)ペレットは、一般的に、半結晶性形で加工業者(converters)に供給されている。加工業者は、半結晶性ペレットが、凝集することなく、より高い温度で乾燥させることができるので、無定形ペレットよりも半結晶性ペレットを加工することを望んでいる。押出機内の溶融物の加水分解劣化及び極限粘度数(intrinsic viscosity)(It.V.)の低下を防止するために、ボトルプレフォームを製造するための溶融物の押出直前にペレットを乾燥することが必要である。しかしながら、ペレットを最初に結晶化させることなく、PETのTg以上で無定形ポリエステルペレットを乾燥すると、乾燥機内で、より高温(140℃〜180℃)でペレットの凝集が起こる。無定形ペレットは、押出機に供給すると、ペレットが押出ゾーン内で結晶化するのに十分に高温になったときに、スクリューが包まれるようになる。
【0003】
ペレット製造側から、典型的な商業的方法には、約0.5〜0.70の範囲内のIt.V.まで重合する溶融相を経てポリエステルポリマーを生成する工程、この溶融物をストランドに押し出す工程、このストランドを急冷する工程、冷却したポリマーストランドを固体無定形ペレットに切断する工程、この固体ペレットをそれらのTgよりも高温に加熱し、次いで結晶化(結晶化させるべきペレットは、それらのTgよりも低い温度で開始するので、ガラスからの結晶化としても知られている)させる工程及び次いで、窒素パージ(又は真空)下に、固体状態にあるペレットを更に高温に加熱して、分子量又はIt.V.を構築し続ける(即ち、固体状態化(solid stating))工程が含まれる。この固体状態化プロセスは十分に熱く運転され、固体状態化温度での凝集を防止するためにペレットを最初に結晶化させることが必要となる。従って、固体状態化の間及び溶融物をボトルプレフォームに押出す前の乾燥工程の間の、ペレットの凝集を回避するために、結晶化が必要となる。
【0004】
典型的な溶融相ポリエステル反応器は、無定形ペレットのみを製造する。これらのペレットを結晶性にするために、これらは、通常、結晶化容器内で粘着又は凝集することを防止するために、櫂(パドル)又は他の機械式回転混合手段を使用して常に攪拌しながら、結晶化容器内で高温度まで加熱される。結晶化器は、ペレットを攪拌状態に維持するための一連の櫂又は攪拌羽根を有する加熱容器に過ぎない(例えば、ホソカワ・ベペックス・水平櫂乾燥機(Hosokawa Bepex Horizontal Paddle Dryer))。回転混合手段は、機械的回転運動のための追加のエネルギーを必要とするという欠点を有し、そしてペレットが粘着しないようにするために必要な回転機械的攪拌によって、また、ペレットのチッピング及び他の損傷が起こり、ダスト発生又は結晶化器及び製品中の「微細物」の存在に至り得る。
【0005】
その代わりに、結晶化器は、容器に供給される無定形ペレットが、互いに粘着することを防止する、既に結晶化したペレットを主として含有する、熱流動床として知られている容器中に、熱気体を注入することからなっていてよい(例えば、ブーラー(Buhler)前結晶化器)。このような商業的方法では、加熱媒体として熱気体、例えば水蒸気、空気又は窒素を使用することによる、「熱」結晶化技術が利用される。熱流動床方法に於ける滞留時間は6時間以下である。これらの方法は、また、大量の気体が必要であり、大きい送風機を必要とし、そしてプロセスをエネルギー集約的にするという欠点がある。
【0006】
これらの結晶化方法のそれぞれは、かなり遅く、そしてエネルギー集約的である。結晶化プロセスは、6時間以下を要し、或る場合には機械的回転混合手段を回すためのエネルギーを必要とし、そして熱気体又は油を処理するための高いエネルギーを必要とする。全ての場合に、従来の結晶化技術は、大量のペレットを収容し、そして妥当な滞留時間内に結晶化させるために、大きい容器を使用することを必要とする。更に、典型的な結晶化容器には、適当なボトルを製造するために必要な、より高いIt.V.ペレットに固体状態化するために適した低いIt.V.ペレットが供給される。ポリエステルペレットを、よりエネルギー効率的方法で若しくはより低コストの装置で又は両方で結晶化させることが望ましい。例えば、結晶化器内での滞留時間を短縮すること又は機械的回転混合手段のエネルギー必要性を回避し、発生を減少し、若しくは装置コストを減少し若しくは装置設計を単純化する方法又は加工業者が、一般的な温度(典型的に140℃〜180℃)で典型的な滞留時間(約0.75〜6時間)で、ペレットを乾燥することができるために、加工業者に高温度結晶化ペレットを提供しながら、固体状態化の工程を完全に回避することさえできる方法を提供することが望ましい。これらの利点の何れか一つを得ることが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ポリエステルポリマーの熱結晶化方法であって、
a2)固体無定形ペレットを、結晶化容器中の液体媒体ゾーン内の少なくとも140℃の温度を有する液体媒体中に導入し、そして前記固体無定形ペレットを、液体媒体中で、液体媒体温度で液体媒体の蒸気圧以上の前記ゾーン内の圧力で、ペレットの分子量を増加させることなく結晶化させる工程及び
b)ペレットの少なくとも一部上の圧力を、液体媒体の蒸気圧に等しく又はそれよりも高くしながら、前記ペレットの少なくとも一部と液体媒体の少なくとも一部とを互いに分離する工程
を含んでなる方法が提供される。
【0008】
本発明の他の態様に於いて、上記の結晶化は、機械的に誘導される攪拌をすることなく、液体媒体ゾーン内で実施される。
【0009】
更に他の態様に於いて、ポリエステルポリマーの熱結晶化方法であって、
a1)ペレタイザーによる流体下ペレット化(underfluid pelletizing)を含む固体無定形ペレットを形成する工程及び
a2)固体無定形ペレットを、結晶化容器内の液体媒体ゾーン内の少なくとも140℃の温度を有する液体媒体の中に導入し、そして前記固体無定形ペレットを、液体媒体中で、液体媒体温度で液体媒体の蒸気圧又はそれより高い前記ゾーン内の圧力で、ペレットの分子量を増加させることなく、結晶化させる工程
を含んでなる方法が提供される。
【0010】
また、ペレットからのプレフォームの製造方法であって、
c)0.7〜1.15の範囲内のIt.V.を有する非固体状態化PETペレットを、乾燥ゾーン内で少なくとも140℃のゾーン温度で乾燥する工程、
d)この乾燥したペレットを押出ゾーン中に導入して、溶融PETポリマーを形成せしめる工程及び
e)押し出された溶融PETポリマーから、ボトルプレフォームのような成形部品を成形する工程
を含んでなる方法が提供される。
【0011】
更に、また、液体媒体中の固体ペレットの流れを、少なくとも15:1のアスペクト比L/Dを有する管を通して進めることを含む、管内での固体ペレットの熱結晶化方法であって、固体ペレットを、管内で、ポリエステルポリマーのTgよりも高い液体媒体温度で結晶化させる方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
これらの方法のそれぞれに於いて、下記の利点の少なくとも1つ又はそれ以上が実現される。結晶化が急速に進行する、機械的回転混合機が必要ない、熱流体下でペレットへの高い熱移動速度のために、このプロセスはエネルギー効率的である、装置コストが減少し及び/若しくは設計が単純化される、所望により固体状態化を回避することができる、そして/又は加工業者に、凝集させることなく、従来の温度で乾燥するために高いIt.V.の結晶化したペレットが供給される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ここで参照される添付された図面及び本明細書に示された実施例を含む、本発明の下記の詳細な説明を参照することによって、本発明を更に容易に理解することができる。プラスチック物品を加工するための具体的な方法及び/又はプロセス条件は、勿論、変化させることができるので、本発明が、記載された特定の方法及び条件に限定されないことはいうまでもない。
【0014】
また、本明細書及び特許請求の範囲に使用する、単数形には、文脈で他の方法で明瞭に指示されていない限り、複数の指示物が含まれるものとする。例えば、熱可塑性「プレフォーム」、「物品」、「容器」又は「ボトル」を加工することに対する参照は、複数の熱可塑性プレフォーム、物品、容器又はボトルを加工することを含むように意図される。「1種の」成分又は「1種の」ポリマーを含有する組成物に対する参照は、名称を記載したものに加えて、それぞれ、他の成分又は他のポリマーを含有することを意図する。
【0015】
範囲は、本発明に於いて、「約」又は「ほぼ」一つの特定の値から及び/又は「約」又は「ほぼ」他の特定の値までのように表すことができる。このような範囲が表されるとき、他の態様には、一つの特定の値から及び/又は他の特定の値までが含まれる。
【0016】
「含んでなる」又は「含む」によって、少なくとも名称を記載した化合物、要素、粒子又は方法工程等が、組成物又は物品又は方法の中に存在しなくてはならないが、他のこのような化合物、材料、粒子、方法工程等が、名称を記載されたものと同じ機能を有する場合には、他の化合物、材料、粒子、方法工程等の存在を排除しないことを意図する。
【0017】
また、1個又はそれ以上の方法工程の記載は、明白に同定されたこれらの工程の間の追加の方法工程又は介在する方法工程の存在を排除しないことも理解されるべきである。
【0018】
この明細書の記述を通して記載される極限粘度数値(intrinsic viscosity)は、下記の比較実施例1の前の実施例部分に記載した計算に従って、60/40 wt/wt フェノール/テトラクロロエタン中で25℃で測定したインヘレント粘度から計算し、dL/g単位で記載される。
【0019】
本発明の「ポリエステルポリマー」は、それぞれ、ポリマー中の単位の全モル数基準で少なくとも60モル%の量で、アルキレンテレフタレート単位又はアルキレンナフタレート単位を含有する任意の熱可塑性ポリエステルポリマーである。熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリマーが、液体(溶融)相にある間に規則構造を有しない点で、液晶ポリマーから区別できる。ポリエステルポリマーは、任意にそのままで単離することができる。ポリエステル組成物の形態は限定されず、これには、射出成形機内に見出されるような、製造工程に於ける又は重合後の溶融状態に於ける溶融物並びに液体、ペレット、プレフォーム及び/又はボトルの形態にあるものが含まれる。
【0020】
ポリエステルペレット、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)ペレット、ポリエチレンテレフタレート(PET)ペレット、ポリアルキレンナフタレート(PAN)ペレット又はポリエチレンナフタレート(PEN)ペレットは、そのままで単離することができる別個のポリエステルポリマー粒子である。ペレットの形状は限定されず、それらの寸法上の限定無しに、規則的又は不規則的造形された別個の粒子によって類型化され、フレーク、星形、球、一般的ペレット、チョップトファイバー及び切断刃によって形成された他の任意の形状を含むが、シート、フィルム又は連続繊維から区別することができる。
【0021】
一つの態様に於いて、ポリエステルポリマーの熱結晶化方法であって、
a2)固体無定形ペレットを、結晶化容器内の液体媒体ゾーン内の少なくとも140℃の温度を有する液体媒体の中に導入し、そして前記固体無定形ペレットを、液体媒体中で、液体媒体温度で液体媒体の蒸気圧又はそれより高い前記ゾーン内の圧力で、ペレットの分子量を増加させることなく結晶化させる工程及び
b)ペレットの少なくとも一部上の圧力を、液体媒体の蒸気圧に等しく又はそれよりも高くしながら、前記ペレットの少なくとも一部と液体媒体の少なくとも一部とをお互いから分離する工程
を含んでなる方法が提供される。
【0022】
ポリエステルを製造するために使用される任意の技術は限定しない。典型的には、ポリエステルポリマーは、ポリエステルを溶融相中で重縮合させることによって製造される。適当なポリエステルポリマーの例には、ポリアルキレンテレフタレートホモポリマー及び40モル%未満、好ましくは15モル%未満、最も好ましくは10モル%未満の鎖分断モノマーで変性されたコポリマー(一緒にして、簡潔のために「PAT」として参照する)並びにポリアルキレンナフタレートホモポリマー及び40モル%未満、好ましくは15モル%未満、最も好ましくは10モル%未満の鎖分断モノマーで変性されたコポリマー(一緒にして、本明細書に於いて「PAN」として参照する)並びにPATとPANとのブレンドが含まれる。好ましいポリエステルポリマーは、ポリアルキレンテレフタレートであり、最も好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
【0023】
好ましくは、ポリエステルポリマーには、ポリエステルポリマー基準で、少なくとも60モル%のエチレン単位(unit)及び少なくとも60モル%のテレフタレート単位又はそれぞれ少なくとも85モル%又は少なくとも90モル%、最も好ましくは少なくとも92モル%が含有されている。従って、ポリエチレンテレフタレートポリマーは、エチレンテレフタレート単位及びアルキレングリコール又はアリールグリコールと脂肪族又はアリールジカルボン酸とから誘導された他の単位のコポリマーを含んでいてよい。
【0024】
PETポリマーは、全芳香族カルボン酸及びそれらのエステルの重量基準で少なくとも60モル%の量のテレフタル酸又はテレフタル酸C1〜C4ジアルキル、例えばテレフタル酸ジメチルと、全ジオールのモル基準で少なくとも60モル%の量のエチレングリコールとを反応させることによって得られるポリマーである。また、二酸成分がテレフタル酸であり、そしてジオール成分がエチレングリコールであることが好ましい。全ての二酸成分(群)についてのモルパーセントは合計100モル%であり、そして全てのジオール成分(群)についてのモルパーセントは合計100モル%である。
【0025】
このポリエステルペレット組成物には、ポリアルキレンテレフタレートと、他の熱可塑性ポリマー、例えばポリカーボネート(PC)及びポリアミドとの混合物が含有されていてよい。ポリエステル組成物は、大部分の、更に好ましくは、(充填剤、コンパウンド、無機化合物若しくは粒子、繊維、衝撃性改良剤又は不連続相を形成することができる他のポリマーを除く)全ての熱可塑性ポリマーの重量基準で少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%の量の、ポリアルキレンテレフタレートポリマー又はPENポリマーからなっていることが好ましい。
【0026】
テレフタル酸から誘導される単位(unit)に加えて、本発明のポリエステルの酸成分は、1種又はそれ以上の追加のジカルボン酸、例えば鎖分断ジカルボン酸から誘導された単位で変性されていてよい。このような追加のジカルボン酸には、好ましくは炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸、好ましくは炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸又は好ましくは炭素数8〜12のシクロ脂肪族ジカルボン酸が含まれる。酸成分を変性するために有用なジカルボン酸単位の例は、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等からの単位であり、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸及びシクロヘキサンジカルボン酸が最も好ましい。これらの酸の対応する酸無水物、エステル及び酸クロリドの使用が、用語「ジカルボン酸」の中に含まれることを理解されたい。また、一官能性、三官能性及びより高次のカルボン酸について、ポリエステルを変性することも可能である。
【0027】
エチレングリコールから誘導される単位に加えて、本発明のポリエステルのジオール成分は、好ましくは炭素数6〜20のシクロ脂肪族ジオール及び好ましくは炭素数3〜20の脂肪族ジオールを含む、追加のジオール及び鎖分断ジオールからの単位で変性することができる。このようなジオールの例には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、3−メチルペンタンジオール−(2,4)、2−メチルペンタンジオール−(1,4)、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−(1,3)、2,5−エチルヘキサンジオール−(1,3)、2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3)、ヘキサンジオール−(1,3)、1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン及び2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパンが含まれる。典型的に、ポリエチレンテレフタレートポリマーのようなポリエステルは、グリコールを、遊離酸又はそのジメチルエステルとしてのジカルボン酸と反応させてエステルモノマーを製造し、次いでこれを重縮合してポリエステルを製造することによって製造される。
【0028】
本発明のポリエステル組成物は、エステル化及び重縮合を実施するために十分な、当該技術分野で公知の重合方法によって製造することができる。ポリエステル溶融相製造方法には、任意に、エステル化触媒の存在下で、エステル化ゾーン内での、ジカルボン酸とジオールとの直接縮合、続くプレポリマー及び仕上げゾーン内で、重縮合触媒の存在下での重縮合又は通常、エステル交換反応触媒の存在下で、エステル交換ゾーン内でのエステル交換、続く重縮合触媒の存在下での予備重合及び仕上げが含まれ、それぞれ任意に、公知の方法に従って固体状態化させることができる。
【0029】
更に例示するために、1種又はそれ以上のジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体と1種又はそれ以上のジオールとの混合物を、約200℃〜300℃、典型的には240℃〜290℃の温度で及び約1psig〜約70psigの圧力で運転するエステル化反応器に連続的に供給する。反応剤の滞留時間は、典型的には、約1〜5時間の範囲である。通常、ジカルボン酸は、高圧で、約240℃〜約270℃の温度で、ジオール(群)によって直接エステル化される。このエステル化反応は、所望のモノマーを製造するために、少なくとも60%のエステル化度が達成されるまで、更に典型的には少なくとも85%のエステル化度が達成されるまで続けられる。このエステル化モノマー反応は、典型的には、直接エステル化方法では触媒作用を受けず、エステル交換方法では触媒作用を受ける。重縮合触媒は、任意的に、エステル化/エステル交換触媒と一緒に、エステル化ゾーンの中に添加することができる。使用することができる典型的なエステル交換触媒には、別々に又は任意的に、亜鉛、マンガン若しくはマグネシウムの酢酸塩若しくは安息香酸塩と組み合わせて使用される、チタンアルコキシド、ジブチルスズジラウラート及び/又は当業者に公知であるような他の触媒材料が含まれる。リン含有化合物及びコバルト化合物が、エステル化ゾーン内に存在してもよい。エステル化ゾーン内で形成された得られた生成物には、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)モノマー、低分子量オリゴマー、DEG及び縮合副生物としての水が、触媒と着色剤のような他の化合物又はリン含有化合物との反応によって形成された他の微量の不純物と一緒に含まれる。BHETとオリゴマー種との相対量は、この方法が、直接エステル化方法(この場合には、オリゴマー種の量が顕著であり、主な種として存在さえする)であるか又はエステル交換方法(この場合には、BHETの相対量がオリゴマー種よりも優勢である)であるかに依存して変化するであろう。エステル化反応が、有利な平衡条件を与えるように進行するとき、水が除去される。エステル化ゾーンでは、典型的に、もしあれば、一連の1個又はそれ以上の反応器内で連続的に、モノマー及びオリゴマー混合物が製造される。その代わりに、モノマー及びオリゴマー混合物を、1個又はそれ以上の回分式反応器内で製造することができる。しかしながら、PENを製造するための方法に於いて、反応混合物には、ビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートであるモノマー種及びその対応するオリゴマーが含まれるであろうことを理解されたい。エステルモノマーが、所望のエステル化度まで製造されたとき、これは、エステル化ゾーン内のエステル化反応器から、プレポリマーゾーン及び仕上げゾーンからなる重縮合ゾーンに移される。重縮合反応が開始され、前重合ゾーン内で溶融相で続けられ、そして仕上げゾーン内で溶融相で仕上げられ、その後、溶融物は、チップ、ペレット又は任意の他の形状の形で前駆体固体に固化される。
【0030】
各ゾーンは、異なった条件で運転される、一連の1個若しくはそれ以上の別個の反応容器からなっていてよく又はゾーンは、1個の反応器内で異なった条件で運転される1個若しくはそれ以上のサブステージを使用する、1個の反応器に組み合わせることができる。即ち、プレポリマーステージには、1個若しくはそれ以上の連続的に運転される反応器、1個若しくはそれ以上の回分式反応器又は1個若しくはそれ以上の、1個の反応器内で実施される反応段階若しくはサブステージの使用が含まれてよい。幾つかの反応器設計に於いて、前重合ゾーンは、反応時間の項内の重縮合の第一の半分を表し、他方、仕上げゾーンは、重縮合の第二の半分を表す。他の反応器設計は、前重合ゾーンの仕上げゾーンに対する滞留時間を約2:1比で調節することができるが、前重合ゾーンと仕上げゾーンとの間の多くの設計に於ける共通の差異は、後者のゾーンが、しばしば、前重合ゾーンに於ける運転条件よりも高い温度及び/又は低い圧力で運転することである。一般的に、前重合ゾーン及び仕上げゾーンのそれぞれは、1個の反応容器又は一連の2個以上の反応容器からなり、そして前重合及び仕上げ反応器は、ポリエステルポリマーの製造用の連続方法の一部として、直列で配列されている。
【0031】
工業界に於いて低重合器としても知られている前重合ゾーンに於いて、低分子量モノマー及びオリゴマーは、重縮合によって重合されて、触媒の存在下でポリエチレンテレフタレートポリエステル(又はPENポリエステル)を生成する。重縮合触媒がエステル化ゾーンに添加されなかった場合、この触媒がこの段階で添加され、モノマーと低分子量オリゴマーとの間の反応に触媒作用して、プレポリマーを形成し、そしてジオール副生物を分離除去する。重縮合触媒がエステル化ゾーンに添加された場合、これは典型的にはジオールとブレンドされ、エステル化反応器の中に供給される。リン含有化合物、コバルト化合物及び着色剤のような他の化合物も、前重合ゾーン又はエステル化ゾーンに添加することができる。しかしながら、これらの化合物は、前重合ゾーン及びエステル化ゾーンの代わりに、又はそれらに加えて、仕上げゾーンに添加することができる。典型的なDMTベースの方法に於いて、当業者は、他の触媒材料並びに触媒材料及び他の成分を添加する点が、典型的な直接エステル化方法から変化することを認識している。
【0032】
典型的な重縮合触媒には、得られるポリエステルポリマーの重量基準で、0.1〜500ppmの範囲内の量で、Sb、Ti、Ge、Zn及びSnの化合物が含まれる。エステル化ゾーン又は前重合ゾーンに添加される一般的な重合触媒は、アンチモン系重合触媒である。適当なアンチモン系触媒には、当該技術分野で認められているアンチモン(III)化合物又はアンチモン(V)化合物、特に、ジオール可溶性アンチモン(III)化合物及びアンチモン(V)化合物が含まれ、アンチモン(III)化合物が最も一般的に使用される。他の適当な化合物には、ジオールと反応するが、反応の前にジオール中に必ずしも可溶性ではないこれらのアンチモン化合物が含まれ、このような化合物の例には酸化アンチモン(III)が含まれる。適当なアンチモン触媒の具体例には、酸化アンチモン(III)及び酢酸アンチモン(III)、グリコール酸アンチモン(III)、アンチモン(III)エチレングリコキシド並びにこれらの混合物が含まれ、酸化アンチモン(III)が好ましい。添加されるアンチモン触媒の好ましい量は、得られるポリエステルの重量による約75〜約400ppmのアンチモンのレベルを与えるために有効なものである。
【0033】
このプレポリマー重縮合ステージは、一般的に、一連の1個又はそれ以上の容器を使用し、約5分〜4時間の間、約250℃〜305℃の温度で運転される。このステージの間に、モノマー及びオリゴマーのIt.V.は、約0.45以下にまで増加する。ジオール副生物は、反応を完結にまで進めるために、5〜70トル(torr)の範囲内の適用された真空を使用することによって、プレポリマー溶融物から除去される。これに関して、ポリマー溶融物を時々攪拌して、ポリマー溶融物からのジオールの流出を促進する。ポリマー溶融物を次の容器の中に供給するとき、ポリマー溶融物の分子量及びそれで極限粘度数が増加する。それぞれの容器の圧力は、一般的に、それぞれの次の容器内の又は容器内のそれぞれの次のゾーン内のより大きい重合度を可能にするために低下させる。しかしながら、グリコール、水、アルコール、アルデヒド及びその他の反応生成物の除去を容易にするために、反応器を、典型的に、真空下で運転するか又は不活性ガスでパージする。不活性ガスは、反応条件下で望ましくない反応又は生成物特徴を起こさない任意のガスである。適当なガスには、これらに限定されないが、アルゴン、ヘリウム及び窒素が含まれる。
【0034】
0.45以下のIt.V.が得られたとき、プレポリマーを、プレポリマーゾーンから仕上げゾーンに供給し、そこで重縮合の第二の半分を、必須ではないが一般的に、前重合ゾーン中に存在するよりも高い温度である、270℃〜305℃の範囲の値まで上昇させた1個又はそれ以上の仕上げ容器内で、溶融物のIt.V.が、前重合ゾーン内の溶融物のIt.V.(典型的に0.30であるが、通常0.45以下)から、約0.50〜約1.1dL/gの範囲内のIt.V.まで増加するまで続ける。一般的に工業に於いて「高重合器」、「仕上げ器」又は「重縮合器」としても知られている最終容器は、前重合ゾーンで使用されるものよりも低い圧力、例えば約0.2〜4.0トルの範囲内で運転される。仕上げゾーンには、典型的には、プレポリマーゾーンと同じ基本的化学が含まれるが、分子のサイズ及びそれで粘度が異なるという事実は、反応条件も異なっていることを意味する。しかしながら、プレポリマー反応器と同様に、仕上げ容器(群)のそれぞれは、真空又は不活性ガス下で運転され、そしてそれぞれは、エチレングリコールの除去を容易にするために、典型的に攪拌される。
【0035】
仕上げ器内で所望のIt.V.が得られると、溶融物を、a1)一般的に、溶融PETを無定形固体ペレットに転化させるように加工する。ペレットを製造するために使用する技術は限定されない。溶融相からの適当なIt.V.は、0.5dL/g〜1.15dL/gの範囲内であってよい。しかしながら、この方法の一つの利点は、固体状態化工程を回避できることである。固体状態化は、一般的に、固体状態にあるペレットの分子量(及びIt.V.)を、通常、少なくとも0.05It.V.単位ほど、更に典型的に0.1〜0.5It.V.単位ほど増加させるために使用される。従って、固体状態化工程を回避するために、無定形ペレットで測定することができる溶融相からの好ましいIt.V.は、少なくとも0.7dL/g又は0.75dL/gで、約1.2dL/g又は1.15dL/g以下である。本発明のこの特徴は、第二及び第三態様に於いて反映される。
【0036】
溶融相反応器内の溶融ポリマーをペレットに転化させるための方法及び装置は限定されず、ペレットを製造するために使用される任意の一般的なシステムが、本発明の実施に於いて適している。例えばポリエステルポリマー溶融物のストランドを、少なくとも表面でポリマーのTgよりも低い温度に冷却して、冷却したポリエステルポリマーを形成し、続いて冷却したポリエステルポリマーをペレット化して、固体無定形ペレットを形成する。その代わりに、溶融ポリマーを、ダイに通して押し出し、直ちにペレットに切断し、その後ポリエステルポリマーを、そのTgより下に冷却する。
【0037】
典型的なペレット化方法に於いて、溶融相反応器の仕上げ区画内の無定形溶融ポリマーを、ペレット化ゾーンに供給し、そこでこれを任意に濾過し、続いてダイに通して溶融物を所望の形状に押し出し、そしてペレットに細断するか又は成形する。ポリエステルポリマーを任意に濾過して、指定されたサイズを超える粒子を除去する。これらに限定されないが、ダイシング、ストランドペレット化及びストランド(強制輸送)ペレット化、パスチレーター(pastillator)、水環ペレタイザー、ホットカットペレタイザー、水中ペレタイザー及び遠心ペレタイザーを含む、任意の一般的な熱若しくは冷ペレット化又はダイシング方法及び装置を使用することができる。参考のために、最新プラスチックス百科事典(Modern Plastics Encyclopedia)/89、マグローヒル社(McGraw-Hill)、1988年10月、第352頁を参照されたい。
【0038】
一プロセスに於いて、ポリマーを、ストランドダイ又は他の適当なダイに通して、単一フィラメント又は更に伝統的に行われているように複数フィラメントに押し出す。複数フィラメントでは、それらを、標準的ストランド分離装置を使用して、ロール及び水浴を通して、平行で非接触様式で案内することが有利である。ポリマー溶融物は、溶融反応器からダイを通して、ギヤーポンプを使用して直接供給することができる。標準の一軸又は二軸スクリュー押出機を使用して、ポリエステルを押し出すことも可能である。ストランド又は任意の他の所望の形状に押し出した後、ペレット化の前に、ポリマーを、少なくとも表面で、ポリマーのTgよりも低い温度に冷却する。これは、それぞれの場合に、ポリマー押出物の厚さ全体でないとしても、ポリマーストランド又は他の形状物の少なくとも表面上の冷却を促進するように、ポリマーストランド又は他の形状物を水でスプレーするか又は押出物を水樋の中に浸漬するか又は押出物の表面の上に冷却した空気の流れを通過させるか又は冷却液体の下に若しくは冷却液体と接触させて少なくとも部分的に沈めたダイプレート内若しくはダイプレートで冷却することにより達成できる。
【0039】
ポリエステルポリマー押出物を、その表面上で、少なくともポリマーのTgよりも下に冷却し、これは、詰まらせるか又はゴム状になることを最小にしながら、ストランド又は他の形状物をペレット化するために十分である。ペレット化の前のストランドの表面の温度は、ペレタイザー/カッターの性能によって、ポリマーのTgの下又は上になるように決定することができる。ストランド又は他の形状物が熱すぎ、そして表面温度がポリマーのTgを著しく超える場合、ペレタイザー/カッター歯車及び刃は、細断したペレットを製造する代わりに、ポリマーの粘着性の塊で詰まるようになるであろう。表面冷却は、ストランドに十分な剛性を与えて、チョッパー/カッターが詰まるのを防止するので、ストランド又は形状物を押出物の厚さ全体でポリマーのTgよりも下に冷却することは必要ない。冷却速度は限定されないが、ライン速度を上昇させるために、溶融物を急速に冷却することが望ましい。水スプレーキャビネットは、高分子量ポリエステルが現存するポリマーラインで一般的に使用されているので、多くの高分子量ポリエステルのための好ましい方法である。しかしながら、これは、全てのポリエステルラインのために好ましくはないであろう。PETポリエステルのTgは約80℃±5℃であり、本発明の方法に於いて、溶融PETポリマーは、好ましくは、ペレット化の前に80℃よりも低い、更に好ましくはペレット化の前に75℃よりも低い表面温度に冷却される。少なくともその表面Tgよりも下に冷却されると、ポリエステルポリマーはペレット化され、固体無定形ペレットを形成する。
【0040】
他の代わりの方法に於いて、溶融ポリマーを、ダイを通して押し出し、直ちにペレットに切断し、その後ポリエステルポリマーをそのTgよりも低い温度に冷却することができる。ペレタイザーナイフ及び歯車の詰まりは、水中でペレット化することによって回避することができる。水中ペレタイザーは、冷却システムを切断手段と共に一つのシステムの中に組み合わせる。水中切断のための典型的な方法に於いて、溶融ポリマー又は溶融物流れを、ギヤーポンプ又は押出機から、一般的に約0.05〜0.15インチの直径の複数のオリフィスを有するダイプレートを通して、カッターまで送る。通常、熱い高温度熱移動液体を、ダイチャンネルに通して循環して、ダイプレートを加熱し、そしてダイプレートを通るポリマーの流れを促進するようにする。加熱の電気又は他の手段が可能である。ダイプレート接触している回転可能なナイフが、流れがオリフィスから出たとき、個々の流れをペレットに切断する。その中で水がダイプレートの面に対して循環し、そこで溶融ポリエステルポリマーが切断される水ハウジングが設けられている。典型的に25℃〜100℃の温度の循環水は、水ハウジングに入り、そしてダイプレートの面に対して接触状態になり、ペレットを冷却する。循環水は、溶融ポリエステルポリマーと、それがダイを出たとき、それがペレットに形成される点で接触して、ペレタイザーカッター及び歯車を詰まらせ得る粘着性の塊を作ることを防止する。溶融ポリマーがオリフィスを通って出て、ナイフによって剪断されるとき、回転するナイフによってペレットが形成されるので、ペレット又はなお溶融しているポリマー小球及び水は、スラリーとして存在する。
【0041】
好ましくは、切断機構全体及び溶融ポリエステルポリマーは、ポリマーがペレット化される点で水中にある。水中でペレット化することによって、溶融ポリマーは、ダイから出て、ペレット化される点で、水と連続接触状態にあり、次いで、水の循環流によって切断機構から運び去られる。結晶化又は脱水の前に、ポリマーをペレタイザーから溶融小球として排出する場合に、ポリマーの表面を、少なくともポリマーのTgよりも低い温度に更に冷却する。次いで、スラリーを結晶化器に流し又はそこで水がペレットから分離される脱水区画に流し、そしてペレットを、別の容器内で又は分離装置内で任意に乾燥させる。例えば、スラリーを、分離及び乾燥のために遠心分離乾燥機に供給することができる。次いで、ペレットを、水を除去した後、貯蔵サイロを通過させることができ又はこれらを結晶化器に直接輸送することができる。
【0042】
ペレットサイズ及び寸法は限定されない。適当には、ダイプレートに於ける圧力、流速、穴の数及びサイズ並びに切断刃の速度を、約0.6〜約2.0のアスペクト比及び約0.05〜0.2インチのその最長寸法での長さを有するペレットを製造するように同期させる。
【0043】
所望により、ストランドペレット化方法に於ける任意の介在工程には、本明細書に記載した流体下結晶化プロセス(underfluid crystallization process)が、許容される結晶化したポリマーを製造するために必要とされるように、乾燥機供給射出成形機に於ける最終使用のために望まれるものよりも低い程度まで、ストランドを部分的に歪み結晶化させることが含まれる。歪み誘導結晶化(strain induced crystallization)を促進するための冷却工程の前に、ストランドを、Tgよりも僅かだけ高い温度で、任意的に一軸延伸することができる。延伸から得られる鎖整列は、ある程度の結晶化度を与え、結晶化を著しく高い速度で起こさせる。
【0044】
本発明の工程a2)に於いて、固体無定形ペレットを、熱結晶化が誘導される液体媒体ゾーン内の液体媒体の中に導入する。ペレットを液体媒体の中に導入する方法及び時間に無関係に、ペレットは固体であり、ペレットを≧140℃の液体媒体中に導入する時点で、ポリマーの表面温度、好ましくはポリマー全体の温度が、ポリマーのTgよりも低いことを意味する。140℃又はそれ以上の液体媒体温度で、ポリマー温度は、勿論、液体媒体温度に近づき、そして十分な滞留時間を与えると、液体媒体温度に一致するであろう。結晶化の間のポリエステルポリマーの温度は、ポリマーが固体であるか否かの決定因子ではない。従って、ポリエステルポリマーは、任意の設計された液体媒体温度で液体媒体中に導入される際のポリエステルポリマーの少なくとも表面での温度が、ポリマーのTgよりも低い限り、結晶化の間に140℃〜180℃の液体媒体温度に付されたときでも固体として参照される。本発明の方法に於いて、ポリエステルポリマーは、溶液として又は溶融状態で液体媒体の中に導入されるのではなくて、固体として液体媒体の中に導入され、そして固体状態から又はガラスから出発して結晶化される。
【0045】
ポリエステルポリマーのTgは、ポリマーを、下記の試験条件、即ち、10mgのサンプルを、メトラー(Mettler)DSC821内で、20℃/分の速度で25℃から290℃まで加熱することに従って、DSC走査に付すことによって決定することができる。サンプルを290℃で1分間保持し、DSC炉から取り出し、そして室温の金属製サンプルトレー上で急冷する。器械が25℃まで冷却されたとき(約6分間)、サンプルを炉に戻し、20℃/分の速度で25℃から290℃までの第二の加熱を実施する。Tgは、第二の加熱から決定される。
【0046】
固体ペレットが結晶化容器に供給される形状は限定されない。結晶化容器には、水のような液体中の固体ペレットのスラリーを供給することができ又は脱水したが僅かに湿ったペレットを供給することができ又は脱水しそして乾燥したペレットを供給することができる。また、結晶化容器の中にペレットを導入するためのタイミングも限定されない。脱水しそして乾燥したペレットは、任意に、≧140℃の液体媒体中に導入する前に、不活性雰囲気下で在庫品で貯蔵することができる。その代わりに、ポリエステルポリマーペレットは、任意にバージンポリマーとブレンドした、スクラップポリエステルポリマー又はリサイクルポリエステルポリマーから誘導し、その後ポリマーを、最終的に本明細書に記載した結晶化方法に付すことができる。
【0047】
このペレットは、固体であるのみならず無定形である。無定形によって、本発明者らは、固体状態化又はプレフォームを製造するために若しくは任意の他の所望の応用のために乾燥機ホッパー供給押出機の中に導入する前に、最終所望のものよりも低い結晶化度を有することを意味する。典型的には、液体媒体ゾーンに供給される無定形ペレットは、実施例に記載したDSC方法によって測定したとき、15%又はそれ以下又は10%又はそれ以下、更に一般的に5%又はそれ以下の結晶化度を有する。ペレットについて、結晶化%を計算するために、勾配管密度法を使用することができる。この密度法は、また、実施例に於いて参照されている。実施例3の150℃の場合に、両方の方法によって試験したペレットからの限定されたデータの比較が示されている。DSC方法は、ピーク下の面積の積分の前に、ピークに適用された基線の特性に感受性である。密度法は、試験したペレットの特性に感受性である。
【0048】
結晶化容器(群)には、望ましくは、その中でペレットを結晶化させる液体媒体を受け取るための入口が設けられている。液体媒体の供給は、新しい源泉から始まってよく、下記のように液体/固体脱水工程から又はPETを製造するための方法に於ける任意の他の源泉からリサイクルされてよく又は両者の混合であってよい。液体媒体は、予熱器内で,熱交換器内で、ボイラーにより又は任意の他の圧力等級付け加熱手段(pressure rated heating means)により、少なくとも140℃まで加熱され、そして液体媒体を液体状態に保持しながら、管を通して結晶化容器の入口に供給される。その代わりに、液体媒体をその標準沸点よりも低い温度まで加温し、結晶化器に供給し、そして液体媒体ゾーン内で少なくとも140℃の温度まで加熱することができる。液体媒体の流量は、無定形ペレットを液面下に沈めるために、そして液体媒体ゾーンを所望の温度に維持するために十分にすべきであり、そして具体的な流量は、液体媒体ゾーン体積及びペレット供給速度に依存するであろう。単一の孤立ペレットは、液体媒体がペレット全体を覆うとき、液体媒体中に沈んでいると考えられる。バルクマクロスケールで、ペレットのバルクが、ペレットを結晶化容器から排出する前に流体中に覆い隠されている場合、かき乱された環境で起こり得ることであるが、ペレットの幾らかが、どこかの一時点で一時的に液体媒体の表面に又は表面よりも上にあっても、液面下に沈んでいると考えられる。
【0049】
水が適当な液体媒体である。選択された結晶化条件下でポリマーを実質的に解重合しない他の媒体も適している。水を含む多くの媒体で、ペレットのIt.V.は、増加した滞留時間と共に低下し得、そしてIt.V.低下の速度は温度が上昇すると増加することが理解される。従って、プロセス条件は、It.V.の低下に対して結晶化速度をバランスさせるように調節することができる。しかしながら、基準として水を使用して、所定の組のプロセス条件下でペレットIt.V.が低下する速度が、水中の同じプロセス条件下での同じ種類のペレットの低下の2倍よりも小さい液体媒体を選択することが望ましい。第一の組の具体的なプロセス条件下では、ある液体媒体は適しているが、第二の組のプロセス条件下では、同じ液体媒体は、この他のプロセス条件下で水と比較して2倍よりも大きいIt.V.の低下を有するかもしれないことが予想される。にもかかわらず、このような液体媒体は、It.V.低下が、これらの同じ条件下で水のIt.V.低下の2倍よりも大きいもの以外の任意のプロセス条件下で望ましいと考えられる。
【0050】
プロセス条件を調節することに加えて、液体媒体組成物を、異なった液体組成物に全部切り替えることにより又は使用している一次液体の中に他の液体を混合することにより変更することができる。
【0051】
最低の可能な滞留時間で、ペレットへの熱移動を最適化するために、高い熱容量を有する液体を使用することも望ましい。低い蒸気圧を有する液体も、より低い圧力等級を有する容器を使用できるので、装置コストを更に減少させるために望ましい。しかしながら、液体の選択に於いて考慮するための、顕著な、ときには決定的な要因は、液体をペレットから分離する容易性、液体をペレットの内部から蒸発させる容易性並びに分離した液体の取扱い、加熱及び結晶化容器への戻し再循環に伴うコストである。
【0052】
この方法に於いて使用するために適している液体の例には、水、ポリアルキレングリコール、例えばジエチレングリコール及びトリエチレングリコール並びにアルコールが含まれる。後で更に検討する容器圧力及び温度にすることができる連続プロセスの調節に加えて、滞留時間、結晶化度及びエネルギー効率も、加熱媒体の最適選択によって制御することができる。水の熱容量、1cal/g/℃は魅力的であり、水をペレットから分離する及びペレットから蒸発させる容易性は優れている。水の蒸気圧は、室温で約24トル、100℃で760トル、140℃で2706トル及び180℃で7505トルである。
【0053】
ポリアルキレングリコール、例えばジエチレングリコール及びトリエチレングリコールは、水よりも低い蒸気圧を有する。ポリアルキレングリコールの液体媒体の温度は、液体媒体中のペレットの滞留時間を短縮するために又は水を加熱するために使用される同じ温度で液体媒体ゾーン内の圧力を低下させるために、同じ圧力で水よりも高く設定することができる。それらのより低い蒸気圧のために、ペレットからのグリコールの脱蔵は、水よりも一層多量にエネルギーを消費する。しかしながら、水及びグリコールの両方は、適しており、液体媒体として使用するための好ましい液体である。
【0054】
所望により、水と、液体媒体の蒸気圧を低下させる他の液体との混合物を使用することができる。例えば、水を、水中のグリコールの溶解度を超えない量で他のグリコールと、運転条件下で液体媒体ゾーン内で混合することができる。過剰の液体を、水洗によってペレットから除去できるように、水溶性である液体を使用することが好ましい。
【0055】
結晶化容器内の液体媒体ゾーンは、ペレットが、結晶化を誘導するために有効な条件下で液体媒体中に沈んでいる空洞であり、入口、排出管、ポンプ、プローブ、計量装置、熱交換器及び他の付属する装置を含まない。液体媒体ゾーン内で、液体媒体の温度は、少なくとも140℃に達する。このゾーンの高さ又は幅を通して温度勾配が存在することを考慮して、液体媒体中の何れかの点又は段で、温度が少なくとも140℃に達する場合、液体媒体ゾーン内の液体媒体の温度は140℃であると考える。しかしながら、液体媒体の温度が、その最長軸で液体媒体ゾーンの少なくとも50%を通して、更に好ましくは75%を通して、最も好ましくは、液体媒体ゾーンへの液体媒体の入口及び液体媒体ゾーンからの液体媒体の排出出口の両方で、140℃に留まっていることが好ましい。この温度は、液体媒体ゾーン内で液体と接触している熱プローブを含む任意の一般的な技術によって測定することができる。液体媒体の温度は、更に急速に結晶化させるために140℃を超えてもよく、そして約200℃まで達してもよく、約200℃を超えると、結晶化の実際の速度に於ける更なる顕著な増加は存在せず又は加水分解の速度が許容できなくなり又は両方である。本発明の実施に於いて、最も一般的に使用される温度は、140℃〜180℃の範囲であろう。
【0056】
液体媒体ゾーン内の圧力は、液体媒体が沸騰するのを防止するために、そして最適熱移動及び短縮された滞留時間のためにペレットを液体媒体中に沈めて保持するために、使用する反応温度での液体媒体の蒸気圧以上に保たれる。液体の蒸気圧は、通常、液体及び蒸気が動的平衡状態にあるとき、その蒸気によって発する圧力から実験的に決定される。しかしながら、実際の実施に於いて、当業者によく知られているシステム内の摂動からの圧力に於ける変動、例えば配管、バルブ、堰などを越える圧力差及び不均一加熱のために、液体媒体ゾーン内の液体と蒸気とが、流体内の時間又は位置の何れか1点に於いて平衡状態でなくなる可能性がある。その結果、動的平衡状態にある閉システム内で同じ液体を沸騰しないようにするために必要な静圧に比較して、液体媒体が沸騰しないようにするために、より低い静圧が必要であることが可能である。従って、液体媒体ゾーン内の実際の静圧は、液体媒体の動的蒸気圧を超えるために必要な理論的圧力よりも僅かに低いであろうが、液体媒体が沸騰しない場合に、液体媒体ゾーン内の圧力は、液体媒体の蒸気圧以上であると思われる。
【0057】
液体媒体ゾーン内の圧力が、液体媒体の蒸気圧よりも上に保持されている限り、圧力は、液体媒体の沸点を制御し、それによって媒体が液相状態で留まる温度を上昇させ、結晶化の速度に於ける増加になる、より高い温度の使用を可能にするための便利な変数である。例として水を使用して、その沸点は、52psiaで140℃であり、69psiaで150℃であり、115psiaで170℃であり、145psiaで180℃である。従って、水の沸点を上昇させて、高い温度の使用及び液体媒体中のペレットのために必要な滞留時間の得られる減少を可能にするために、圧力を高く設定することができる。液体媒体ゾーン内の圧力が、任意の所定の温度下で液体媒体の蒸気圧以上である必要条件の他に、殆どの液体の適当な圧力は、グリコールのように低い蒸気圧の液体についての大気圧よりも低いもの、例えば1psiaから、ペレットの最大結晶化に相当する温度付近の温度まで及びそれを超えるまでの全ての範囲である。例えば、少なくとも25psia若しくは少なくとも100psia又は150psia以下、更に約200psia以下の圧力が、殆どの応用のために適していると考えられる。
【0058】
液体媒体の組成並びに温度及び圧力変数を調節することに加えて、滞留時間及び結晶化度も、システムのエネルギー必要量に対してバランスさせることができる。ペレットは、結晶化度を誘導するために十分な時間、液体媒体ゾーン内で結晶化される。滞留時間は、結晶化を誘導するために十分な温度で液体媒体の中へのペレットの導入と、ペレットが、結晶化を促進する条件から取り出される時までの間の時間経過として定義される。結晶化容器の外の方法に於ける段階で、ペレット内で結晶化が誘導され得ることを認めて、「滞留時間lmz」は、液体媒体ゾーン内の少なくとも140℃の温度で液体媒体の中へのペレットの導入からペレットと水とのお互いからの分離までの間の時間経過を指す。ペレット内に結晶化度を誘導する最小滞留時間lmzが必要である。ペレット内の最終結晶化度が、結晶化容器に供給されたとき無定形ペレットの初期結晶化度よりも大きいとき、結晶化度がペレット内に誘導された。最大滞留時間lmzは、サイクル時間を制限し、装置コストを減少し、そしてIt.V.低下を最小にするために短いのが、望ましい。本発明の方法に於いて、ペレットのIt.V.(これは、重量平均分子量に関連付けることができる)は、実質的に増加しない。液体媒体ゾーン内のペレットのIt.V.を増加させることは、回避すべきことであり、本発明の方法に於ける結果ではない。本発明の方法に於いて、ペレットは、統計的に顕著なIt.V.利得を受けず、液体媒体ゾーンの中に入る前の初期It.V.に比較して、結晶化後に同じ又はより低いIt.V.を有する。
【0059】
10分又はそれ以下の滞留時間によって、液体媒体からそれを分離した直後に得られたペレットから、ペレット内の、20%又はそれ以上又は25%又はそれ以上、30%又はそれ以上そして40%又はそれ以上までの最終結晶化度を得ることが実行可能である。殆どの応用のために、25%〜45%の範囲内の結晶化度が適している。滞留時間は、結晶化温度及びポリマーが結晶化する速度に依存して、0分よりも長くから8分間までのように短くてよい。140℃〜180℃の範囲の温度で、25%又はそれ以上、そして30%又はそれ以上の結晶化度を得るための結晶化時間は、0分よりも長くから約4分間又はそれ以下までの範囲である。1時間又はそれ以下の滞留時間も、適当な液体媒体及び反応条件で本発明の実施に於いて適している。好ましい態様に於いて、それを液体媒体中で140℃の温度に付す前のペレット結晶化度は、10%又はそれ以下、更に好ましくは約5%又はそれ以下である。
【0060】
平均結晶化度は、具体的な応用のために望まれるものであり、他の場合には特に限定されない。しかしながら、本発明の方法は、少なくとも25%の結晶化度までの迅速な結晶化又は熱結晶化の前の出発無定形ペレットの結晶化度に対して少なくとも20パーセント点の結晶化度に於ける増加を得ることが可能である。結晶化度を含むことが、主として、固体状態化又は乾燥工程に於いてペレットが粘着することを防止するためであること及び結晶化度は、何れにしてもペレットが射出成形されるとき破壊されることを心に留めて、粘着を防止するために十分な量の結晶化度のみが必要である。好ましい態様に於いて、ペレットのIt.V.は、既に、プレフォームに射出成形し、次いで適当な物理的性質を有する透明なボトルに吹込成形するために十分に高いので、このペレットは固体状態化されない。従って、結晶化度は、ペレットが一緒に乾燥機に粘着するのを防止し、そして乾燥温度を上昇させることによって射出成形の前にペレット内の液体を脱蔵するために必要な時間の長さを減少するために必要な高さであることのみを必要とする。
【0061】
本発明の更に好ましい態様に於いて、結晶化は、液体媒体ゾーン内で、回転する機械的に誘導される攪拌の不存在下で行われる。水平液体充填、回転櫂攪拌容器は、結晶化の間にペレットが凝集することを防止するために必要な運動を与えることが知られている。しかしながら、この態様に於いて、資本及び運転コストは、凝集も回避しながら、結晶化の間に回転する機械的に誘導される攪拌を回避することによって減少される。これは、液体が充填又はほぼ充填された非水平配向液体媒体ゾーンの中にペレットを供給し、そしてペレットの流れに対して向流の流体の上向き流で、ペレットに浮力及び必要な滞留時間を与えながら、容器の底の方に、流体を通過して沈降させることにより並びに/又はペレットと液体媒体との間の密度差を制御することによって達成できる。この態様を、以下更に詳細に説明する。
【0062】
流体は優れた潤滑媒体であり、液体媒体ゾーンの幾つかの領域内の流体の向流上向流と任意に流体排出ノズル付近の液体媒体ゾーンの他の領域内の層流との乱れによりペレットを攪拌することによって、ペレットが凝集する傾向が減少するか又は全く回避される。液体媒体ゾーン内で散発的な又は小量の凝集が起こり得るが、ペレット凝集の頻度又は数は、脱水装置(例えば、回転バルブ)の操作を妨害せず、そうしてこのような装置から排出されるペレットは、プレフォームを製造するための溶融押出機に取り付けられた乾燥機ホッパーの中に導入するために準備された分離されたペレットである。その代わりに、水平に又は非水平に配向された管を通してペレットを連続的に流すことによって、回転する機械的に誘導される攪拌の不存在下で、粘着を回避することができる。好ましくは、この管は、機械的に回転する櫂を欠いており、更に好ましくは、インラインミキサー、堰又はバッフルを欠いている。管内で、液体の流れは、望ましくは、ペレットの流れと同じ方向である。
【0063】
本発明の態様のあるものに於ける工程b)に於いて、ペレットが液体媒体ゾーンに於いてある程度まで結晶化されるか又はペレットが結晶化を受けると同時に、ペレットが、液体媒体の蒸気圧に等しいか又はそれよりも高い圧力下にある間に、結晶化したペレットの少なくとも一部が、液体媒体から分離される。液体媒体からのペレットの分離は、一般的に、ペレットの表面上に又はペレットの間の間隙内に幾らかの液体を残しながら、ペレットが液体媒体の大部分から除去される分離であろう。ペレット上の液体の残りは、乾燥工程で除去することができる。従って、本発明の方法に於いて、液体媒体の全部を、結晶化したペレットから分離しなくてはならないことはない。更に、本発明を種々の工程で説明するが、工程a2)と工程b)とは、別個の段階又はゾーンで、同時に、回分方式で、連続的に又はこれらの全ての組合せで起こってもよいことを理解されたい。ペレットを、液体媒体ゾーン内に存在する液体媒体から連続的に分離することが好ましく、そしてまた、ペレットを液体媒体から連続的に分離しながら、ペレット上の圧力が、液体媒体の蒸気圧に等しいか又はそれよりも高い間に、液体媒体を同時に液体媒体ゾーンから除去することが好ましい。この更に好ましい態様は、図32に於ける図示及びその説明の手段によって更に詳細に説明する。
【0064】
ペレットからの液体の分離は、ペレットを大気圧よりも高い圧力下に置きながら又は液体媒体が1気圧又はそれより低い蒸気圧を有する場合には、ペレットを、液体媒体の蒸気圧又はそれ以上で液体媒体から分離して実施することができる。しかしながら、最低限、液体媒体を、液体媒体の蒸気圧又はそれ以上の圧力下に置きながら、液体媒体がペレットから分離されるであろう。分離の手段は限定されず、ペレットが液体媒体から分離されるか、液体媒体がペレットから分離されるか又は両方であろうと達成できることを理解されたい。従って、本発明の説明で分離が参照されるときは常に、それぞれの活動の何れか一つ又は組合せが意図される。
【0065】
ペレットが液体媒体から分離されるとき(便宜上、任意の液体媒体の使用を含む「脱水(dewatering)」工程として参照する)、ペレットが液体媒体の蒸気圧又はそれ以上の又は大気圧又はそれ以上の圧力下にある間に、分離の直前のペレットと液体媒体とのスラリー上の頭圧は、液体媒体の蒸気圧に等しいか若しくはそれよりも高く又は大気圧態様の場合には、環境圧力、約1気圧に等しいか若しくはそれよりも高く、そしてペレットが分離操作を受けた又は液体媒体ゾーンから取り出された直後のペレット上の又は液体媒体上の圧力に無関係である。ペレット上の圧力は分離すべきペレットを取り囲む液体媒体上の圧力と同じ圧力であると思われる。従って、液体の蒸気圧以上の圧力下でペレットの分離を実施することは、液体媒体圧力の全体を、ペレットを分離する前のその蒸気圧よりも下に下げることとは区別できる。それは、後者の場合に、あらゆる分離されたペレットは、液体媒体の蒸気圧よりも低い圧力下にあるからである。ペレットのバルクが、機械的分離装置に入る前に液体媒体の蒸気圧又はそれ以上の蒸気圧下に留まっている限り、分離を実施するための機械的手段を越える圧力低下が考えられる。
【0066】
従って、本発明の工程b)に於ける、液体媒体をペレットから分離する方法に於いて、ペレットを液体媒体上の圧力を低下させることなく、脱水することができ又はペレットを液体媒体及びペレット上の圧力を低下させることなく、脱水することができ又は液体媒体及び/若しくはペレットを、脱水工程の間若しくは後に、大気圧まで下げる突然で即時の圧力低下に付すことができ又は液体媒体及び/若しくはペレットを、脱水工程の間若しくは後に、大気圧又はそれ以上の圧力まで下げる突然の圧力低下に付すことができ又は液体媒体及び/若しくはペレットを、脱水の間及び後の、徐々の段階式若しくは連続式圧力低下に付すことができ、そしてそれぞれの場合に、スラリーを、液体媒体ゾーン圧力と同じもの付近の圧力から又は大気圧又はそれ以上の圧力から又は大気圧と脱水圧力以上までの間の圧力から出発する脱水工程に付すことができる。しかしながら、それぞれの場合に、ペレットスラリー上の圧力は、脱水の直前の液体媒体の蒸気圧に等しいか又はそれよりも高い。
【0067】
この脱水工程は、液体媒体ゾーン内で行うことができ又はペレット及び液体のスラリーを液体媒体ゾーンから排出し、そして液体媒体として水を使用するときのように、必要な場合、圧力下でペレットを液体から分離するための装置に輸送することができる。液体媒体を減圧する場合、温度、頭圧及び脱水装置を越える圧力低下は、好ましくは、フラッシュに起因する液体媒体を損失することを最小にし、それによってエネルギー損失及び/又は費用のかかる凝縮器を追加することを回避するように設定すべきである。また、結晶化が完結した後で脱水の前に、スラリーの滞留時間を短縮するために、液体媒体ゾーンの圧力に近い圧力から出発して脱水することが好ましい。工程b)に於いて、脱水の前のスラリー上の圧力が、液体媒体の蒸気圧又はそれ以上である場合、所望により、サイクル時間を短縮し、冷却装置の使用を回避し及び/又はフラッシュに起因する液体媒体の一部の損失を回避するために、脱水の前のスラリー上の圧力は、液体媒体ゾーン内の圧力の、少なくとも70%、更に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%である。
【0068】
脱水は、結晶化液体媒体ゾーンからペレットを排出する前又は後に行うことができる。例えば、スラリーを液体媒体ゾーンから排出し、任意に冷却するか及び/又は1気圧よりも高く維持される条件で減圧し、次いで脱水に付すことができる。時には、簡単に環境条件に曝露された管を通る流れによって、ペレットを冷却することができる。その代わりに、スラリーを、最初に液体媒体ゾーン内で脱水し、続いて液体媒体ゾーンから、ペレット及び液体媒体の個々の流れを排出することができる。液体媒体ゾーン内の圧力と同じ圧力付近で、スラリーを脱水することが最も好ましいので、最初に結晶化させ、スラリーを液体媒体ゾーンから排出し、そして第二工程でほぼ同じ圧力及び温度下でスラリーを脱水するか又は液体媒体ゾーン内でスラリーを脱水しそして液体媒体ゾーンからペレットを排出することが、更に効率的である。この方法で、結晶化が完結した後の液体媒体中のペレットの滞留時間は殆ど除かれ、そしてこれらの選択は、また、資本集約性が少ない。
【0069】
脱水の前の液体媒体及びペレット(スラリー)上の正確な出発静圧は、温度、資本考慮及び他の要因に依存性である。しかしながら、脱水の間又は後に、ペレット上の設計圧力低下は、また、ペレットが、急速な減圧の際にその構造的原形を維持するために十分に多孔質及び/又は硬質であることを確実にするための、ペレットのポリマー特性に依存するであろう。当業者は、ある種のポリエステルポリマー、例えばポリエチレンナフタレートが、水を急速に吸収するか又はペレット構造内に取り込まれた水の急速な飛散を許容しない又は両方であり、そうして急速な減圧が、ポップコーン化又は他の変形になることを理解している。従って、この方法は、ペレットを変形することになるペレット上の圧力低下を回避するように設計される。
【0070】
使用される結晶化容器の形状は、それが、液体媒体ゾーン内で発生する蒸気圧について等級付けられた圧力及び温度である限り、限定されない。結晶化容器は、回分式方法又は連続式方法、好ましくは連続式方法のために設計される。結晶化容器は、管又は槽又は塔であってよく、任意の所望の方向に向けることができる。
【0071】
一つの態様に於いて、結晶化容器は、ペレタイザー、好ましくは近似するサイズの及び配向された管が取り付けられた流体中ペレタイザーを取り囲むハウジングからなっていてよい。この態様に於いて、溶融ポリエステルポリマーを、溶融ポリエステルポリマーをダイに通して進め、ポリエステルポリマーを切断し、そしてポリエステルポリマーをダイに通して進める時点とポリマーを液体媒体の中に導入する前との間で、ポリエステルポリマーの少なくとも表面をポリマーのTgよりも下に冷却して、溶融ポリエステルポリマーを固体に転化することによって固体ペレットに転化し、続いてこの固体ペレットを液体媒体の中に導入する。液体媒体及び任意的であるが好ましくはペレタイザーが、ポリエステルポリマーが切断される間又はその直ぐ後で、ペレットが≧140℃の液体媒体の中に導入されるように、ハウジングの中に含まれている。例えば、ポリエステルポリマーが流体中で切断されるとき、得られるペレットは、液体媒体と直接接触状態にある。その代わりに、ポリエステルポリマーはペレタイザーによって切断され、ポリマーが切断されるとき、得られるペレットは、一定の距離から液体媒体の中に落ちる。何れの場合でも、切断刃及び歯車を詰まらせるか又はポリマーが切断表面で凝集を起こすことを回避するために、ポリエステルポリマーを液体媒体の中に導入する前に、好ましくはポリエステルポリマーを切断する前に、ポリマーの少なくとも表面上で、ポリエステルポリマーの温度は、ポリマーのTgよりも低い。流体中切断方法に於いて、冷たい液体(例えば90℃以下)の流れを、任意的に、ダイプレート面に向け及び/又は切断刃に向けてハウジングの中に導入して、ダイオリフィスから出る溶融ポリエステルストランドの少なくとも表面を急速に冷却することができる。この方法に於いて、溶融ポリエステルポリマーが、ダイプレート並びに/又は切断刃及び歯車上で凝集する傾向が減少される。次いで、得られるポリマーを、結晶化を誘導するためには不十分である冷液体媒体のゾーンと接触又はこのゾーンの中に落下させることができる間に、ハウジングは、また、冷ゾーンと熱ゾーンとの間に如何なる物理的バリヤーも無しに、≧140℃流体の熱ゾーンを含むことができる。
【0072】
流体中カッターを使用するか又は使用しないで、また、ペレットを管内で結晶化させる態様も提供される。流体中カッターを使用する場合に、液体媒体は、有利には、ペレットを、カッターから離れて、ペレットを所望の結晶化度まで結晶化させるために必要な滞留時間を、ペレットに与えるために十分な長さ及び直径の大きさに作られた管の中に向ける流れで循環している。その代わりに、管は、結晶化槽又は塔に供給するための導管としてのみ機能してよく又は管は、ペレットを部分的にのみ結晶化させ、次いで所望の程度まで結晶化を完結するために結晶化槽若しくは塔に供給するために作用してよいので、管は、所望の結晶化度を与えるためには不十分な大きさに作られていてよい。
【0073】
何れにしても、流体中カッターを使用するか又は使用しないで、高価な圧力等級付け結晶化槽の使用は、固体ペレットを管内で結晶化させることによって回避することができる。固体ペレットは、少なくとも15:1のアスペクト比L/Dを有する管を通して、液体媒体中の固体ペレットの流れを向けることによって、管内で結晶化させることができ、この場合、固体ペレットは、前記管内で、ポリエステルポリマーのTgよりも高い液体媒体温度で結晶化される。管は、管が、15:1よりも大きい、好ましくは25:1よりも大きい、更に好ましくは50:1よりも大きい、長さの直径に対するアスペクト比を有する点で、一般的容器から区別することができる。少なくとも15:1のアスペクト比を有する管の長さは、カップリング、エルボ、u−ターン、ベンド等によって連結された一連の管を含める。管設計に於いて、液体媒体温度は、適切に約90℃又はそれ以上である。しかしながら、好ましい態様に於いて、ペレットは、管内で、1気圧で測定された液体媒体の沸点を超える液体媒体温度で結晶化される。勿論、沸点は、液体媒体組成物に依存して変化するであろう。どんな液体媒体組成物を使用しても、液体媒体の蒸気圧又はそれ以上で管を加圧することが望ましい。最も好ましい態様に於いて、ペレットは、前記管内で、少なくとも140℃の液体媒体温度で結晶化される。
【0074】
本発明の方法で使用する管は、その中で結晶化が起こる液体媒体ゾーンになるように設計される。管は、部分的若しくは不完全な結晶化をもたらすように又は結晶化をやり終えるように設計することができるが、ペレットに所望の結晶化度を与えるための一次手段として管を使用することが好ましい。好ましい態様に於いて、15%以下の結晶化度、更に好ましくは10%以下の結晶化度、最も好ましくは5%以下の結晶化度を有する固体ペレットが、管の中に導入される。ペレット結晶化度は、ペレットが、ポリエステルポリマーペレットのTgを超える、管内の液体媒体温度に導入された時点で測定することができる。
【0075】
ペレットを、少なくとも30%の結晶化度、更に好ましくは少なくとも35%の結晶化度、最も好ましくは少なくとも40%の結晶化度まで結晶化させることが好ましい。管内のペレットの滞留時間は、所望の結晶化度を与えるために十分なものである。本発明の方法に於いて、ペレットを、15分間又はそれ以下又は10分間又はそれ以下、そして7分間又はそれ以下の滞留時間で、25%又はそれ以上にまで結晶化させることができる。一つの態様に於いて、ペレットは、管内で、10%又はそれ以下、そして5%又はそれ以下の結晶化度を有する固体ペレットで開始して、10分間又はそれ以下で30%又はそれ以上の結晶化度まで結晶化される。
【0076】
結晶化容器として管を使用することによって、回転する機械的に誘導される攪拌の不存在下でも、水平に又は非水平に配向された管を通過するペレットの連続流を作ることによって、粘着を回避することができる。前記のように、管は、好ましくは機械的に回転する櫂を欠いており、更に好ましくは、インラインミキサー、堰又はバッフルを欠いており、そして液体媒体の流れは、望ましくはペレットの流れと同じ方向である。管には、液体媒体及びペレットのスラリーが充填されていてよい。その代わりに、管には、蒸気、液体媒体及びペレットが充填されていてよい。
【0077】
結晶化容器として管を使用する代わりに又は管を使用することに加えて、ペレットを槽又は塔の中で結晶化させることができる。結晶化容器の態様の一つを示すための一例として、図32を参照して、結晶化は、垂直に配向された円筒形塔(1)(便宜上、「容器」として参照する)内で、ペレットが重力によって下方に移動している液体媒体ゾーン1A内で実施することができる。液体媒体は、主として、入口(2A)を通して供給され、そして好ましくは、任意の分布手段(2)、例えばリング、管、パイプツリー又は容器の周辺の周りの一連のノズルによって分布される。容器内の水の上方流を提供するために使用される具体的な設計及び装置には限定がない。液体媒体は、望ましくは、容器の底の近くに供給され、落下するペレットの方向に対して向流で、容器を通して上方に流れる。液体媒体ゾーンは、この液体若しくはアセトアルデヒドのようなポリエステル中に存在する副生物から発生する蒸気、容器に供給される不活性ガス、ポンプ、圧縮機、静水圧ヘッド又はこれらの任意の組合せによって加圧されている。液体媒体ゾーン内の圧力は、液体媒体の蒸気圧よりも高い。例えば、液体媒体ゾーン内の圧力は、14psia〜200psia、更に典型的には、液体媒体として水を使用する場合には、52psia〜145psiaである。液体媒体は、液体媒体ゾーン1A内と同じ圧力で、液体媒体ゾーンに添加される。
【0078】
容器には、優勢的に、液体媒体及びペレットが充填されており、液体レベル(26)は、容器の頂部又はその付近である。それぞれのペレットは、公知のストークス関係から近似的に計算することができる速度で、液体媒体を通って落下する。沈降速度(液体と相対的なペレットの下方速度)は、ペレットの物理的特性(サイズ、密度、形状)及び液体の物理的特性(密度、粘度)の関数である。上方液体速度を調節することによって、容器に対するペレットの下方速度を制御することができる。
【0079】
ペレットは、容器の頂部で、一般的な固体又は固体−液体取扱い装置(3)、例えばロータリーバルブによって添加する。ペレットは、そのままで又は供給入口(2)を通して容器の中にポンプ輸送されるものと同じ又はそれとは異なった種類の液体媒体中のスラリーとして添加することができる。ペレットを、殆ど液体充填された容器の頂部に添加する速度は、一つのペレットの他のペレットに対する近接性を決定する。ペレットの近接性又は体積分率ペレット対液体は、一つのペレットが他のペレットに粘着する確率に影響を与える。ペレットは、それらが、他のペレットと最小の接触で、液体媒体を通して自由落下するような方式で供給すべきである。従って、ペレットの適当な体積分率は、50%未満である。所望の結晶化時間及び沈降速度は、必要である容器の高さを決定するであろう。
【0080】
容器内の流れの種類は限定されないが、理想的には、液体は、ほぼ栓流(プラグフロー)で、即ち、容器の断面に亘って均一な上方速度で、容器を通って上方に移動しなくてはならない。乱流は許容できるが、大規模垂直循環パターンは回避すべきである。円滑な上方流の目標を達成するために、容器内に羽根又はバッフル(4)を使用することができるが、これらは、落下するペレットの下方移動を妨害してはならない。このような内部構造物の例は、例示するような垂直の、傾斜した又は重なった環状リング(4)である。液体は、結晶化容器の異なった区画で異なった表面速度を得るために、複数の点(5、6)で結晶化容器に導入することができる。液体分布は、バルブ(17)により又は供給管及びノズルを通る圧力低下によって制御することができる。
【0081】
容器の底に、結晶化容器から取り出すためのペレットの高濃度を作るための、比較的低い上方液体速度を有する沈降区画(7)が存在する。容器内で維持される上方液体速度及びペレットのレベルは、結晶化容器から排出されるペレットの体積分率が、液体媒体の表面近く又は結晶化容器の頂部でのペレットの体積分率よりも高いように調節される。ペレットを結晶化容器の底の方に沈降させることによって、ペレットの体積分率を好ましくは50%よりも大きく増加させ、過剰の液体の放出を最小にする。間隙内の液体と一緒の結晶化したペレットは、ロータリーバルブ(25)で又は順次に開いたり閉じたりする一組のデュアルナイフ・ゲートバルブにより、容器から取り出される。この態様は、工程d)に於いて、ペレットが、液体媒体の蒸気圧以上の圧力下に存在している間に、ペレットが連続方式で液体媒体から取り出される、前記の好ましいプロセス態様を示す。排出管8を通って始まり、分布環2及び/又は5の方に通るように図で示されている、加圧再循環ループを通して液体媒体のバルクを再循環させることによって、プロセスは一層効率的になるので、ペレットに伴う過剰の液体の最小量を取り出すことが好ましい。結晶化容器から排出されると、次いで、間隙の液体媒体を、ペレットから、一般的な固体/液体分離装置によって分離しなくてはならない。望ましくは、気体を間隙空間に添加して、間隙から過剰の液体及び表面湿分を除去する。この方法は、前に工程d)について記載した通りである。数種類の公知の固体−液体分離装置、例えば乾燥機、スクリーンナー(screener)又は粗メッシュフィルターの何れも、この目的を達成できる。
【0082】
液体媒体が容器の頂部に達した後、これを、容器に再循環液体媒体を供給するためのライン(18)を通して液体媒体を供給するポンプ(19)によって、加圧再循環ループの中に再循環させることができる。液体媒体ゾーンからの液体媒体の連続除去は、この手段により、例えばロータリーバルブ又は一組のデュアルナイフ・ゲートバルブにより、結晶化容器の沈降区画の底で、ペレットを同時に且つ連続的に液体媒体から分離しながら、液体媒体をペレットから連続的に除去できる点で、前記の更に好ましい態様を示す。更に、ペレットの圧力は、それらの除去と同時に、液体媒体の蒸気圧又はそれ以上である。
【0083】
容器から加圧再循環ループの中への液体媒体の排出点は、容器への液体媒体の供給よりも上に配置されている。しかしながら、この排出点よりも上の液体媒体の上方流は、実質的に減少するので、排出点は、望ましくは、上方液体流速度がもはや望まれない点に又はそれよりも上に配置される。容器のサイズを最小にしそして液体媒体ゾーンを通過する上方流を維持するために、排出出口は、好ましくは、それが容器の液体媒体供給入口に対するものよりも、スラリー供給入口3に対して一層近接している。この液体媒体排出出口点は、好ましくは、出口管(8)を通して容器の頂部に近く、例えば、容器高さの頂部25%以内又は容器高さの頂部15%以内に配置されている。
【0084】
ペレットが、排出出口管(8)の中に運ばれることを防止するために、下記の設計の一つ又は組合せを使用することができる。容器寸法、内部設計及び/又は液体流速度は、出口領域(9)内の液体媒体上方速度が、ペレットが、上方にそして出口管(8)を通って容器の外に運ばれないように十分に低いように、調節することができる。加圧再循環ループの中に、ペレットを含有しない液体媒体を排出するための二つの好ましい設計には、ペレットが液体流と共に出るのを防止するために、容器内のどこかに配置された多孔質物理的バリヤー(10)及び/又はその中で、液体媒体が、環状部分よりも下の容器のより小さい直径の主部分を通過するよりも小さい表面速度を有する、容器のより大きい直径の環状領域(11)が含まれる。任意に、ペレットは、入口3から、その中で液体媒体が正味の上方流又は横断流を有しない、環状リング(12)によって作られ、規定された、容器の頂部の相対的に淀んだプール(28)の中に供給することができる。
【0085】
ペレットの結晶化及び加熱の過程で、幾らかの気体が発生するかもしれない。この結晶化容器は、出口ガス抜き管(13)を通して、そのように望む場合に、任意の発生した気体の除去を与えるための標準的方法によってガス抜きすることができる。圧力調節器又は制御器を、このガス抜き管に設置することができる。液体と共に容器から出る気体を最小にするために、液体出口管(8)には、液体シールレッグ(liquid seal leg)(20)が含まれてよい。
【0086】
液体を通過するペレットの均一な下方流を有するために、容器の断面に亘ってペレットを広げるための、最初の分布器が望ましく、好ましい。これは、ペレットを、ペレットを分離し、広げるための物理的バリヤー(14)と接触させるか又はペレットが落下を始めた後、液体流の中に誘導流れ(induced currents)若しくはジェット(15)を通すことによって達成できる。
【0087】
液体の温度は、液体入口若しくは出口液体流上の1個若しくはそれ以上の外部熱交換器により制御され及び/又は液体媒体をジャケット付き容器内で加熱することができる。複数の供給流れを使用する場合、異なった温度の結晶化ゾーンを作るために、複数の熱交換器を使用することができる。
【0088】
容器内の液体レベルを便利に制御し、ポンプ(19)のために均一な液体供給を与えるために、小さいサージタンク(21)を使用することができる。結晶化容器(1)からの液体は、管(20)を通ってサージタンク(21)に移動する。容器出口管(20)は、それが小さい圧力低下を有し、そして結晶化容器液体レベル(26)とサージタンク液体レベル(27)とが、お互いに対して殆ど等しい高さであるように、十分に大きいサイズに作られている。始動の間又は過剰の液体が入口(3)を通過するペレットと共に供給される場合に、液体を除去するために、サージタンク液体オーバーフロー管(22)を使用することができる。プロセスへの液体補給供給物は、サージタンク(21)内の液体レベルを制御するために使用できるライン(23)によって入る。サージタンクは、ライン(24)によってガス抜きされ、ライン(24)は、窒素ブランケットされるか又は結晶化容器をガス抜きするライン(13)と共に共通の蒸気ヘッダーに連結されている。容器(1)内の圧力は、ポンプ(19)並びに任意の適当な場所、例えばガス抜きライン(13)及び(23)上、補給供給物ライン(24)上、リングディストリビューター(5)及び(2)への液体媒体供給物のライン上並びに全ての他の適当な場所での圧力調整器(バルブ)及び圧力検知手段によって、容器内の液体媒体の高さに亘る圧力低下の実質的に一定の勾配で維持されている。
【0089】
従来の方法に於いて、0.5〜約0.69It.V.のペレットは、空気の向流を使用して2個の流動床内で結晶化され、続いて窒素ガスを使用して第三の容器内でアニーリングされ、次いで、結晶化ゾーン内で使用されるものよりも高い温度及び低いガス流量(窒素)で分離容器に供給されて、固相でペレットを更に重縮合し、それによって、これらの重量平均分子量及び相当するIt.V.を約0.7〜1.15まで増加させ、これは費用のかかる方法である。本発明の方法に於いて、0.7〜1.15の範囲内の高いIt.V.ペレットを、費用のかかる固体状態化の工程を回避しながら、結晶化させることができる。従って、本発明の一つの態様に於いて、工程a2)及びb)の方法には、更に、c)0.7〜1.15の範囲内のIt.V.を有する結晶化PETペレットを、乾燥ゾーン内で140℃のゾーン温度で乾燥する工程及びd)ペレットを固体状態化するための工程の不存在下で、この乾燥したペレットを押出ゾーンの中に導入して、溶融PETポリマーを形成する工程が含まれてよい。固体状態化によって、ペレットを溶融押出機(これは、固相でペレットの分子量を増加させる)の中に導入する直前に実施される、結晶化の間又は後で且つ乾燥工程の前の任意のプロセスが意味される。
【0090】
ペレットが所望の程度まで結晶化されると、これらを、溶融物を所望の形状、例えば、飲料若しくは食品容器に延伸吹込成形するために適しているプレフォームに溶融押出及び射出成形するための又はシートのような他の形状に押し出すための機械に輸送する。本発明の他の態様に於いて、延伸吹込成形のために適しているトレー又はボトルプレフォームのような容器の製造方法であって、
c)0.7〜1.15の範囲内のIt.V.を有する非固体状態化PETペレットを、乾燥ゾーン内で少なくとも140℃のゾーン温度で乾燥する工程、
d)この乾燥したペレットを押出ゾーンの中に導入して、溶融PETポリマーを形成する工程及び
e)押し出された溶融PETポリマーから、シート、ストランド、繊維又は成形部品を成形する工程
を含む方法が提供される。
【0091】
この態様に於いて、押出機の中に導入するために製造されたペレットは、固体状態化されず、なお、物理的特性が、ボトルプレフォーム及びトレーの製造のために適しているように十分に高いIt.V.を有する。非固体状態化高It.V.ペレットは、それらが、140℃又はそれ以上の高温度で乾燥機内で顕著に凝集するのを防止するために、十分に結晶化されている。
【0092】
乾燥機供給押出機が、ペレットの水分含有量を減少させるために必要である。結晶化器内でペレットを脱水した後、ペレット上又は中の残留水分の大部分は、ペレットを乾燥することによって追い出される。しかしながら、ペレットは、ペレットのメーカーから、ペレットを所望の形状を有する金型の中に押し出す加工業者まで輸送する間に、環境の水分を吸収する。更に、何れの場合でも、溶融押出の直前にペレットを乾燥する必要性が存在するので、ペレット内の全ての水分は結晶化器後乾燥機内で追い出されない。脱水後に乾燥された結晶化ペレットを溶融押出機に直ちに供給し、それによって単一の乾燥工程の中に両方の乾燥工程を本質的に組み合わせることができることが考えられる。しかしながら、何れの場合も、押し出す前に、ペレットを140℃又はそれ以上の温度で乾燥させて、ペレット上及び中の水分の殆ど全部を追い出す。
【0093】
ペレット中の水分含有量及びアセトアルデヒドレベルを、有効に且つ効率的に低下させる乾燥機が、溶融押出の直前に必要である。溶融押出チャンバーの中に供給されるペレット中又は上の水分は、ボトルに吹込成形するとき、ポリマーのメルトフロー特性及びプレフォームの延伸比に於ける得られる変化と共に、溶融物に、エステル結合を加水分解することによる溶融温度でのIt.V.の低下を起こさせるであろう。ペレットを乾燥することは必要な工程であるが、乾燥機内でのペレットの滞留時間を短縮し、そして処理量を増加させるために、高温度でペレットを乾燥することが望ましい。しかしながら、僅か100℃又はそれ以下の温度で結晶化させたペレットを、150℃又はそれ以上の温度で乾燥すると、特に、ペレットが、その上の床の重量を受ける背の高い乾燥機の底で、ペレットがお互いに対して凝集を起こすであろう。
【0094】
この態様に於いて、乾燥は140℃又はそれ以上で実施され、加熱媒体(例えば、窒素ガス又は空気の流れ)の温度が140℃又はそれ以上であることを意味する。乾燥を180℃よりも高い温度で実施する場合、酸化熱分解を回避するために、窒素ガスを使用することが好ましい。攪拌機が取り付けられた又は取り付けられていない一般的な乾燥機内で凝集を最小にしながら高温度で乾燥するために、ペレットを、乾燥温度よりも40℃又はそれ以上低い温度で結晶化させるべきである。使用するペレットは、140℃又はそれ以上で結晶化させることが好ましい。この方法に於いて、ペレットを180℃の温度で結晶化させた場合に、所望により140℃又は150℃又は160℃など約200℃以下までの乾燥温度を設定する広い柔軟性が存在する。しかしながら、慎重さは、凝集の危険を最小にするためにそして乾燥機内のホットスポットを考慮に入れて温度クッションを残し、時々起こり得る温度変動を可能にするために、結晶化温度よりも40℃以下高い実際の運転乾燥温度を設定することを示唆するであろう。
【0095】
気体流動床内で低It.V.無定形ペレットを結晶化する従来の方法に於いて、ペレットを、飲料容器のために適しているプレフォームのような成形部品に押し出すために適するようにするために、ペレットを固体状態化することが必要である。本発明の態様に於いて、固体状態化されていない0.7〜1.15It.V.のIt.V.を有するペレットを、140℃又はそれ以上の温度で乾燥させる。この態様の方法は、費用のかかる固体状態化工程に付さなかったペレットを使用して、高温度での乾燥を可能にする利点を有する。更に、凝集の発生は、同じIt.V.を有し、120℃よりも低い温度で結晶化させたペレットを使用して同じ運転条件下で乾燥機内で起こる凝集の量に対して減少する。
【0096】
一般的に、140℃又はそれ以上での乾燥機内のペレットの滞留時間は、平均で0.5時間〜16時間であろう。任意の一般的な乾燥機を使用することができる。ペレットを、加熱した空気又は不活性ガス、例えば窒素の流れと接触させて、ペレットの温度を上昇させ、そしてペレットの内部から揮発物質を除去することができ、そしてまた、回転混合羽根又は櫂によって攪拌することもできる。使用する場合、加熱気体の流量は、エネルギー消費、ペレットの滞留時間及び好ましくはペレットの流動を回避することのバランスである。適当な気体流量は、乾燥機から排出されるペレットの時間当たりのポンド毎に0.05〜100scfm、好ましくは0.2〜5scfm/ペレットのポンドの範囲である。
【0097】
ペレットが乾燥されると、これらを押出ゾーン中に導入して溶融ポリエステルポリマーを形成し、続いて溶融ポリマーを押し出して、溶融物を金型の中に射出することによりボトルプレフォーム(パリソン)のような成形部品を成形し又はシート若しくは皮膜に成形する。乾燥したペレットを押出ゾーンの中に導入するための、溶融押出、射出成形及びシート押出のための方法は、従来通りであり、このような容器の製造に於ける当業者に公知である。
【0098】
溶融押出機で又はポリエステルポリマーを製造するための溶融相に於いて、ポリエステルポリマーの性能特性を増強させるために、他の成分を本発明の組成物に添加することができる。これらの成分は、そのままでバルクポリエステルに添加することができ又はバルクポリエステルにするポリエステル中に少なくとも約0.5重量%のこの成分を含有するコンセントレートとしてバルクポリエステルに添加することができる。適当な成分の種類には、結晶化助剤、耐衝撃性改良剤、滑剤、安定剤、嵌め外し剤(denesting agent)、コンパウンド、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属失活剤、着色剤、核生成剤、アセトアルデヒド低下性化合物、再加熱速度増強助剤、タルクのような粘着ボトル添加物及び充填剤等が含まれる。樹脂には、また、少量の、三官能性又は四官能性コモノマーのような枝分かれ剤、例えばトリメリト酸無水物、トリメチロールプロパン、ピロメリト酸二無水物、ペンタエリスリトール及び当該技術分野で一般的に公知である他のポリエステル形成ポリ酸又はポリオールが含有されていてよい。これらの添加剤の全て及び多くの他のもの並びにこれらの使用は、当該技術分野で公知であり、更に説明する必要はない。これらの化合物の全てを本発明に於いて使用することができる。
【0099】
態様を、固体状態化されなかったペレットの乾燥について説明したが、任意に固体状態化されたペレットを、140℃又はそれ以上の温度で乾燥することも意図される。容器を本発明の方法に従って結晶化させたペレットから製造できるのみならず、他の品目、例えばシート、フィルム、ボトル、トレー、他の包装材料、ロッド、チューブ、蓋、フィラメント及び繊維並びに他の射出成形物品も製造できる。水又は炭酸入り飲料を保持するために適したポリエチレンテレフタレートから製造された飲料ボトル及びボトルに熱時充填される飲料を保持するために適したヒートセット飲料ボトルは、本発明の結晶化ペレットから製造されるボトルの種類の例である。
【0100】
本発明を、その好ましい態様の下記の実施例によって更に例示することができるが、これらの実施例は、単に例示の目的のために含められ、本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解されるであろう。
【実施例】
【0101】
それぞれの実施例に於いて、示差走査熱量測定データ及びゲル浸透クロマトグラフィーデータが、液体媒体としての水中で種々の温度で、ポリエチレンテレフタレートペレットをガラスから結晶化させることによって得られた結果を説明するために示される。
【0102】
結晶化ペレットの初期融点を決定するためのDSC分析は、それぞれの場合に下記の手順に従って行った。
【0103】
メトラーDSC821器械を使用して、第一の加熱走査を、9〜10mgの重量のサンプル上で、20℃/分の加熱速度で実施した。他の方法で記載しない限り、それぞれの場合に於ける結晶化度は、また、同じDSC走査を使用して決定した。第一の加熱走査に於いて、任意の結晶化ピークの下の面積の合計を、任意の溶融ピークの下の面積の合計の絶対値から差し引いた。この差を120J/g(100%結晶性PETについての理論的融解熱)で割って、100を掛けて、結晶化度%を得た。
【0104】
DSC走査の結果を報告し、そして結晶化度%は、
低いピーク融点:Tm1a
高いピーク融点:Tm1b
の両方から計算される。
【0105】
幾つかの場合に、特に低い結晶化度で、結晶の転位が、真のより低い融点が検出されないDSC装置内で非常に急速に起こり得ることに注目されたい。次いで、より低い融点は、DSC装置の温度傾斜率を増加させること及びより小さいサンプルを使用することによって見ることができる。高速度熱量測定のために、パーキン−エルマー・ピリス−1(Perkin-Elmer Pyris-1)熱量計を使用した。試験体質量は、走査速度に逆比例するように調節した。500℃/分で約1mgのサンプルを使用し、そして100℃/分で約5mgのサンプルを使用した。典型的なDSCサンプルパンを使用した。基線に於ける曲率を最小にするために、基線減法を実施した。
【0106】
注目した幾つかの場合に、また、結晶化度%を、2〜3個のペレットの平均勾配チューブ密度からも計算した。勾配チューブ密度試験は、水中の臭化リチウムを使用して、ASTM D1505に従って実施した。
【0107】
ペレットの推定Ih.V.を決定するためのGPC分析を、それぞれの場合に下記の手順に従って行った。
【0108】
溶媒:95/5体積の塩化メチレン/ヘキサフルオロイソプロパノール+0.5g/Lテトラエチルアンモニウムブロミド
温度:環境
流量:1mL/分
サンプル溶液:10mLの塩化メチレン/ヘキサフルオロイソプロパノール共沸混合物(約70/30体積)+10μLのトルエン流量マーカー中の4mgのPET。充填材料のために、ポリマーの質量が約4mgであり、得られる溶液が0.45μmのテフロン(登録商標)(Teflon)フィルターを通過するように、サンプル質量を増加させる。
【0109】
注入体積:10μL
カラムセット:ポリマー・ラボラトリーズ(Polymer Laboratories)、5μmピーエルゲル(PLgel)、ガード(Guard)+ミックスドC(Mixed C)
検出:255nmでのUV吸光度
較正試薬:単分散ポリスチレン標準物質、MW=580〜4,000,000
汎用較正パラメーター:(下記注を参照)
PS K=0.1278 a=0.7089
PET K=0.4894 a=0.6738
【0110】
上記の汎用較正パラメーターは、光散乱によって前もってキャラクタリゼーションされた5個のPETサンプルの1組について、正確な重量平均分子量を得るために、直線回帰によって決定した。
【0111】
重量平均分子量からの、60/40フェノール/テトラクロロエタン中の0.5g/dLでのインヘレント粘度の計算は、下記のようにして決定される。
【0112】
IhV=4.034×10-4<M>W0.691
【0113】
溶液粘度は、ポリエステルの組成及び分子量に関係している。結晶化した生成物についてのIhV数はGPCによって推定したが、他の方法で示さない限り、溶液粘度測定は、出発物質、即ち無定形ペレットで行った。下記の式は、PETについて実施したような、溶液粘度測定及び続く計算を記載する。
【0114】
ηinh=[ln(ts/t0)]/C
式中、ηinh=0.50g/100mL(60重量%フェノール及び40重量%1,1,2,2−テトラクロロエタン)のポリマー濃度で25℃でのインヘレント粘度
ln=自然対数
s=毛管を通過するサンプル流れ時間
0=毛管を通過する溶媒ブランク流れ時間
C=グラム/溶媒100mLでのポリマーの濃度(0.50%)
【0115】
極限粘度数は、ポリマーの比粘度の無限希釈での極限値である。これは、下記の式によって定義される。
【0116】
ηint=lim (ηsp/C)=lim (ln ηr)/C
C→0 C→0
式中、ηint=極限粘度数
ηr=相対粘度=ts/t0
ηsp=比粘度=ηr−1
【0117】
器械較正には、標準参照物質の繰り返し試験及び続く「受け入れられた」I.V.値を得るための適切な数式を適用することが含まれる。
【0118】
較正係数=参照物質の受け入れられた目標IhV/繰り返し決定の平均値
それぞれのサンプルの補正されないインヘレント粘度(ηinh)は、下記の式を使用して、相対粘度計(モデルY501)から計算される。
【0119】
ηinhln(P2/KP1)

式中、P2=毛管P2内の圧力
P1=毛管P1内の圧力
C=g/溶媒100mLでのポリマーの濃度
K=基線読みから得られた粘度定数
ln=自然対数
補正されたIhV=補正されないIh.V.×較正係数
極限粘度数(ItV又はηint)を、下記のようなビルメイヤー式を使用して推定することができる。
【0120】
ηint=0.5[e0.5×補正されたIhV−1]+0.75×補正されたIhV
【0121】
例1(比較例)
例1(比較例)及び例2(比較例)に於いて、0.779dL/gのIt.V.(測定したとき0.74 IhV)を有する無定形PETペレットを、結晶化に付したペレットとして使用した。50個のペレットは、約0.9グラムの重量であった。200グラムの無定形ペレットを、続いて、100℃に予熱した500gの水を含有する容器の中に落とした。ペレットのサンプルを、沸騰水から、異なった記載した間隔で取り出し、そして、この実験に於ける結晶化度を決定する目的のために、更なる結晶化を避けるために、直ちに、凍結に近い水の中で急冷した。急冷したペレットサンプル及び水を、篩の上に注ぎ、布で軽く叩いて、表面の残留水を除去し、次いで篩の上に残して、数時間空気乾燥した。次いで、ペレットを、容器内で、約28インチHgの真空下で24時間保持して、ペレットから更なる水を除去した。この乾燥工程に於いて熱が存在しないことによって、ペレットが、水処理の後で更に結晶化することが防止された。
【0122】
それぞれのサンプルを、この例の初めに記載したようなDSC及びIh.V.分析に付した。
【0123】
図1は、分で示した周期間隔で、沸騰水から得たそれぞれのサンプルに於ける結晶化度を示すための、DSC走査の結果を説明するグラフプロットである。これからわかるように、沸騰水中で0.779dL/gのIt.V.ペレットの結晶化を開始するために約15分間を要し、そして約50分間で25%の結晶化度を得た。
【0124】
半結晶性物質は、DSC実験に於いて、2個以上の溶融吸熱を示すことができる。DSC走査速度に於ける増加は、高温度ピークに対して低温度ピークの面積を増加させる。溶融再結晶理論は、より低い溶融ピーク(群)を等温的に結晶化した結晶(所定の温度で液体で処理する間に形成したものと類似)に帰属させ、そしてより高い溶融ピークをDSC走査により誘導された結晶の溶融及び再結晶化に帰属させる。最低の融点は、この融点が乾燥温度でペレットを凝集する危険が存在する点を示すので、重要なデータ点である。この場合に、図2を参照して、75分間よりも長く結晶化させたペレットは、「+」でマークを付けたデータ点によって表されるように、第一加熱走査での120℃の低い融点(Tm1a)を有していた。「x」で示したデータ点は、このペレットサンプルの高いピーク融点(Tm1b)を表す。75分間よりも短く結晶化させたこれらのサンプルについて、ポリマーペレットは、20℃/分DSC走査の間に部分的に溶融し、急速に再結晶化したと考えられ、その低い融点を見ることはできなかった。しかしながら、DSC時間スケールを短くしたとき、より低い溶融ピークを見ることができるであろう。
【0125】
図3に見られるように、それぞれのサンプルに於いて、Ih.V.の顕著な低下は観察されなかった。
【0126】
例2(比較例)
この例に於いて、例1(比較例)で使用したものと同じペレットを、圧力反応器内で125℃で結晶化させた。約3.3Lの体積を有する反応器に、1300gの水及び200gのペレットを添加した。この反応器を、窒素によって30psigまで加圧し、そして反応器の内容物を、環境温度から出発して20分間かけて125℃まで加熱した。ペレットを水中に125℃で1時間保持した。続いて、反応器を80℃よりも下に冷却し、そして大気圧まで減圧した。ドレンバルブを開けることによって、ペレット及び水を反応器から取り出した。残留するペレットを取り出すために、反応器を環境水で数回洗浄した。ペレットを、20メッシュの篩を使用して濾過することによって単離し、タオルで軽く叩いて乾燥させ、そして加熱することなく全真空(約28インチHg)下で約2日間保持して、ペレットから更なる水を除去した。
【0127】
結晶化度は、約35%であると測定された。結晶化したペレットの第一バッチを、DSCによる第一加熱走査に付し、そしてIhV試験のために、ペレットのIt.V.を計算した。ペレットのIh.V.は0.69dL/gであると決定され、ペレットのIt.V.は0.7235dL/gであると計算され、そしてペレットの低い融点は約155℃であると決定された。
【0128】
結晶化したペレットの第二30グラムバッチを、直径が約2.75インチであったパンの中に配置した。直径が2.5インチであった5ポンドの重りを、ペレットの上に置いた。ペレットを、150℃に予熱したオーブン内に窒素パージして5時間置いて、溶融押出機に付属する乾燥機の乾燥条件をシミュレートした。最小の粘着が観察された。しかしながら、ペレットは、これらの条件下で、35%の結晶化度から約37.5%の結晶化度まで結晶化し、そしてアニールし、それによって、ペレットのより低い融点を、第一DSC加熱走査によって測定したとき、155℃から166.5℃まで上昇させた。
【0129】
例3(実施例)
3回の追加の実験を、下記の手順に従って、それぞれ本例に於いて140℃で、例4(実施例)に於いて150℃でそして例5(実施例)に於いて180℃で、ペレットを加熱することによって実施した。残りの実施例について、使用した50個のペレットは約0.8gの重量であった。
【0130】
例3、4及び5(全て実施例)のそれぞれに於いて、ペレットの結晶化を下記の手順に従って実施した。0.80dL/gのIh.V.及び0.846dL/gの計算したIt.V.を有する無定形単一ペレットを、パーキンエルマーOリングシールしたステンレススチール製DSCパン(部品#0319−0218)の中に、ミリポア(Millipore)水2滴と共に入れた。循環シリコーン油浴を、実験の温度まで予熱した。DSCパンを、この熱い油浴の中に置き、そして図4に於いて下記に示す時間、浴中に保持した。Oリングを有するDSCパンには、加熱期間の間に発生した内部圧力を含んでいた。指定された時間の後、パンを浴から取り出し、過剰の油をタオルで素早く除去し、そしてパンを凍結に近い水中に入れて、結晶化をクエンチ又は停止した。パンを切り開き、ペレットをタオル乾燥させ、次いで、デシケーターの中に24時間置き、蓋を割って開けて急速な乾燥窒素パージを収容した。この手順を、それぞれのペレットについて、同じ温度で次の同定した結晶化時間の間繰り返した。ペレットを、140℃で、図4に記載したそれぞれの結晶化時間間隔で試験した。水中で150℃及び180℃でペレットを試験するために、同じ方法を繰り返した。但し、水中で180℃では、ペレットを約84℃及び29インチHgで2.5日間乾燥させた。
【0131】
それぞれの結晶化時間及びそれぞれの温度で、それぞれのペレットを、それらの結晶化度、それらの熱挙動及びそれらのGPCによる計算したIh.V.について分析した。図4〜図6に、これらの結果を示す。
【0132】
図4に従って、水中で140℃で結晶化させたペレットは、2分間未満で、30%を超える結晶化度を達成した。図5は、2〜4分間で結晶化させたペレットが、約155℃〜約158℃のDSCによる低いピーク溶融温度を示したことを示している。更に、この結晶化条件は、図6からわかるように分子量増加を誘導しなかった。140℃で15分間隔に亘る推定Ih.V.データの直線適合により、Ih.V.低下は、1分間当たり0.00164dL/gであると予測された。
【0133】
例4(実施例)
図7に従って、水中で150℃で結晶化させたペレットも、2分間未満で、25%を超える結晶化度を達成し、また約2分間で約29%に達した。図8は、2〜4分間で結晶化させたペレットが、約157℃〜約178℃のDSCによる初期溶融温度を示したことを示している。更に、この結晶化条件は、図9からわかるように分子量増加を誘導しなかった。150℃で15分間隔に亘るGPCデータからの推定Ih.V.の直線適合により、Ih.V.低下は、1分間当たり0.00300dL/gであると予測された。
【0134】
水中で150℃での結晶化を繰り返し、DSCにより結晶化度について試験し、そして更に、結晶化度をペレットの密度から計算した。図10に従って、水中で150℃で結晶化させたペレットも、2分間未満で、25%を超える結晶化度を達成し、また約2分間で約28.5%に達した。勾配チューブ密度を、0、1、2及び4分間処理した2〜3個のペレットで試験した。図11に、ペレットの密度から計算した結晶化度重量%を示す。
【0135】
図12は、DSC技術対密度技術により決定された結晶化度パーセントにより決定された結晶化度%を示す。このデータ組に従って、この二つの試験は非常に高度の相関関係がある(係数=0.9998)。密度法によって決定された結晶化度パーセントとDSC法による結晶化度パーセントとの間の直線適合は、下記の式:
GT密度、重量による結晶化度%=−4.0134+1.1104158DSCによる結晶化度%
に従った。
【0136】
図13は、二つの方法の間の差が、結晶化度パーセントが増加したときどのように減少したかを示す。図14は、2〜4分間で結晶化させたペレットが、約161℃と174.5℃との間でDSCによる初期溶融温度を示したことを示す。更に、この結晶化条件は、図15及び図16からわかるように、分子量増加を誘導しなかった。その代わりに、図15及び図16中のデータ点は、ある程度のIV低下が起きたことを示している。150℃で15分間隔に亘る推定Ih.V.データの直線適合を行い、図15のグラフ上にプロットした。このIh.V.低下は、1分間当たり0.00211dL/gであると予測された。同じ予測を、It.V.低下について図16にプロットした。150℃で15分間隔に亘る推定It.V.データの直線適合により、It.V.低下は、1分間当たり0.002375dL/gであると予測された。
【0137】
例5(実施例)
180℃で、結晶化は、図17に示すように殆ど即座であった。1分以内に、主結晶化が、30%以上の値の結晶化度まで得られた。125℃、140℃及び150℃で結晶化させたペレットは、それらの対応する結晶化温度よりも約20〜25℃高い初期融点を示した。しかしながら、図18からわかるように、2分間よりも長く結晶化させたペレットについて、より低い溶融温度は212〜216℃の間であり、これは、180℃の結晶化温度よりも30〜35℃の上昇を表した。図19に示されるように、180℃で15分間隔に亘る推定Ih.V.データの直線適合により、Ih.V.低下は、1分間当たり0.01486dL/gであると予測された。従って、より高い結晶化温度で顕著なIh.V.及びIt.V.低下を回避するために、短時間のみ結晶化させることが望ましい。
【0138】
例6(実施例)
0.80dL/gのIh.V.及び0.846dL/gの計算したIt.V.を有する無定形PETペレットを、この実施例に於いて使用した。液体中結晶化を、液体としてトリエチレングリコール(TEG)で実施した。使用した装置には、1Lの金属ビーカー及びその加熱マントル、チャックによって取り付けられた3枚羽根攪拌機、バリアック(variac)並びに温度をモニターするための携帯用温度表示装置が含まれていた。ペレットを下記の手順に従って結晶化させた。
【0139】
6個のペレットを、PETペレットを保持するための、針金フックで作った15個の針金かごのそれぞれの中に入れた。500mLのTEGを含有するしっかりとクランプで固定したビーカー及びビーカーの底の攪拌機を、頂部で縁の周りでアルミニウム箔によって部分的に覆った。TEGを、温度が目標の±2℃以内になるまで、バリアックの出力をゆっくり増加させることによって、加熱し、攪拌した。その間に、取り出したときサンプルを急冷するために、冷水浴を5〜10℃の温度に調製した。TEGが150℃に達したとき、第一サンプルかごの針金を、ビーカーの縁の周りに引っ掛け、サンプルかごを攪拌機よりも十分に上にし、そしてストップウォッチを開始した。次の4個のサンプルかごも、ビーカーの縁に引っ掛け、そしてTEG浴中に沈めた。かごの中のサンプルを、異なった記載した間隔で加熱し、そして指定された時間で取り出した。それぞれのサンプルを、タオルの上で簡単に押さえて過剰のTEGを除去し、そして素早く冷水浴の中に入れて、結晶化をクエンチ又は停止した。サンプルを冷水浴中で約5分間保持した。冷却した後、ペレットを温水(熱くはない)で洗浄して、残留するTEGを除去し、そして軽く叩いて乾燥させた。このペレットを、デシケーターの中で24時間更に乾燥させ、蓋を割って開けて急速な乾燥窒素パージを収容した。
【0140】
図20に従って、TEG中で150℃で結晶化させたペレットも、2分間未満で、25%を超える結晶化度を達成し、また約2分間で約30%に達した。図21は、2〜4分間で結晶化させたペレットが、約161℃のDSCによる初期溶融温度を示したことを示す。更に、この結晶化条件は、図22からわかるように、分子量増加を誘導しなかった。150℃で15分間隔に亘る推定Ih.V.データの直線適合により、Ih.V.低下は、1分間当たり0.00086dL/gであると予測された。出発ペレットの推定Ih.V.は、0.786dL/gであった。水中の150℃例4(実施例)と比較したとき、150℃水中に於けるよりも遙かに小さい、150℃TEG中に於ける15分間に亘るIh.V.低下が存在していた。150℃で、加水分解が起こるよりも小さい程度までグリコーリシス(glycolysis)が起こると思われる。
【0141】
例7(実施例)
目標温度を160℃に設定した以外は、例6(実施例)に於けると同じ手順に従った。
【0142】
図23に従って、TEG中で160℃で結晶化させたペレットも、2分間未満で、25%を超える結晶化度を達成し、また約4分間で約30%に達した。図24は、2〜4分間で結晶化させたペレットが、約171℃〜173.5℃のDSCによる初期溶融温度を示したことを示す。更に、この結晶化条件は、図25からわかるように、分子量増加を誘導しなかった。160℃で15分間隔に亘る推定Ih.V.データの直線適合により、Ih.V.低下は、1分間当たり0.00195dL/gであると予測された。出発ペレットの推定Ih.V.は、0.786dL/gであった。
【0143】
例8(実施例)
目標温度を170℃に設定した以外は、例6(実施例)に於けると同じ手順に従った。
【0144】
図26に従って、TEG中で170℃で結晶化させたペレットも、2分間未満で、25%を超える結晶化度を達成し、また約2分間で約28%に達した。図27は、2〜4分間で結晶化させたペレットが、約179.5℃〜181℃のDSCによる初期溶融温度を示したことを示す。更に、この結晶化条件は、図28からわかるように、分子量増加を誘導しなかった。170℃で15分間隔に亘る推定Ih.V.データの直線適合により、Ih.V.低下は、1分間当たり0.00289dL/gであると予測された。GPCを使用する出発ペレットの推定Ih.V.は、0.786dL/gであった。170℃TEGでのIh.V.低下の速度は、水中で20℃低い(150℃)場合のものと同様であった。
【0145】
例9(実施例)
目標温度を180℃に設定した以外は、例6(実施例)に於けると同じ手順に従った。
【0146】
図29に従って、TEG中で180℃で結晶化させたペレットも、2分間未満で、25%を超える結晶化度を達成し、また約2分間で約32%に達した。図30は、4分間で結晶化させたペレットが、約191℃のDSCによる初期溶融温度を示したことを示す。更に、この結晶化条件は、図31からわかるように、分子量増加を誘導しなかった。180℃で15分間隔に亘る推定Ih.V.データの直線適合により、Ih.V.低下は、1分間当たり0.00555dL/gであると予測された。15分間結晶化させたペレットの観察されたIh.V.低下は、0.083dL/gの15分間に亘る計算したIV低下に比較したとき、0.081dL/gであった。水中の180℃例5(実施例)に比較したとき、180℃水中におけるよりも遙かに小さい、180℃TEG中に於ける15分間に亘るIh.V.低下が存在していた。180℃で、加水分解が起こるよりも小さい程度までグリコーリシスが起こると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】分で示した周期間隔で、約100℃で水から得られた、それぞれのサンプルに於ける結晶化度を示すための、DSC走査の結果を説明するグラフプロットである。
【図2】時間経過での、約100℃で水中で結晶化させたペレットの高い融点のグラフプロットである。
【図3】時間経過での、約100℃で水中でのペレットIh.V.低下のグラフプロットである。
【図4】時間経過での、水中で約140℃でペレットを結晶化させることにより得られた結晶化度のグラフプロットである。
【図5】水中で約140℃で時間経過での、結晶化させたペレットの低ピーク溶融温度を示すグラフプロットである。
【図6】約140℃で水中で時間経過での、結晶化させたペレットのIh.V.低下を示すグラフプロットである。
【図7】時間経過での、水中で約150℃でペレットを結晶化させることにより得られた結晶化度のグラフプロットである。
【図8】水中で約150℃で時間経過での、結晶化させたペレットの低ピーク溶融温度を示すグラフプロットである。
【図9】約150℃で水中で時間経過での、結晶化させたペレットのIh.V.低下を示すグラフプロットである。
【図10】時間経過での、水中で約150℃でペレットを結晶化させることにより得られた結晶化度のグラフプロットである。
【図11】水中で150℃で時間経過での、結晶化させたペレットの重量%密度による結晶化度を示すグラフプロットである。
【図12】時間経過での、150℃で水中で結晶化させたペレットの、DSC技術対密度技術により求めた結晶化度%により決定された結晶化度%である。
【図13】結晶化度を計算するための密度法とDSC法との間の差が、結晶化度%が増加したときどのように減少したかを示すグラフプロットである。
【図14】2〜4分で結晶化したペレットが、約161℃と174.5℃との間でDSCによる初期溶融温度を示したことを示すグラフプロットである。
【図15】時間経過での、水中で150℃でペレットのIh.V.への結晶化の影響を示すグラフプロットである。
【図16】時間経過での、水中で150℃でペレットのIh.V.への結晶化の影響を示すグラフプロットである。
【図17】水中で180℃で結晶化したペレットについての、時間経過でのペレット結晶化への影響を示すグラフプロットである。
【図18】時間経過での、180℃で水中で結晶化したペレットの低溶融温度を示すグラフプロットである。
【図19】180℃で水中で結晶化したペレットについて、15分間隔に亘る推定したIh.V.低下の直線適合性を示すグラフプロットである。
【図20】TEG中で150℃で結晶化したペレットについての時間経過でのペレット結晶化への影響を示すグラフプロットである。
【図21】時間経過での、150℃でTEG中で結晶化したペレットの低溶融温度を示すグラフプロットである。
【図22】150℃でTEG中で結晶化したペレットについて、15分間隔に亘る推定したIh.V.低下の直線適合性を示すグラフプロットである。
【図23】TEG中で160℃で結晶化したペレットについての時間経過でのペレット結晶化への影響を示すグラフプロットである。
【図24】時間経過での、160℃でTEG中で結晶化したペレットの低溶融温度を示すグラフプロットである。
【図25】160℃でTEG中で結晶化したペレットについて、15分間隔に亘る推定したIh.V.低下の直線適合性を示すグラフプロットである。
【図26】TEG中で170℃で結晶化したペレットについての時間経過でのペレット結晶化への影響を示すグラフプロットである。
【図27】時間経過での、170℃でTEG中で結晶化したペレットの低溶融温度を示すグラフプロットである。
【図28】170℃でTEG中で結晶化したペレットについて、15分間隔に亘る推定したIh.V.低下の直線適合性を示すグラフプロットである。
【図29】TEG中で180℃で結晶化したペレットについての時間経過でのペレット結晶化への影響を示すグラフプロットである。
【図30】時間経過での、180℃でTEG中で結晶化したペレットの低溶融温度を示すグラフプロットである。
【図31】180℃でTEG中で結晶化したペレットについて、15分間隔に亘る推定したIh.V.低下の直線適合性を示すグラフプロットである。
【図32】結晶化容器並びに付属する装置及び容器のプロセスフローダイヤグラムである。
【符号の説明】
【0148】
1 円筒形塔(容器)
1A 液体媒体ゾーン
2 分布手段
2A 入口
3 固体又は固体−液体取扱い装置
4 羽根又はバッフル
5 リングディストリビューター
6 点
7 沈降区画
8 出口管
9 出口領域
10 多孔質物理的バリヤー
11 環状領域
12 環状リング
13 出口ガス抜き管
14 物理的バリヤー
15 ジェット
17 バルブ
18 ライン
19 ポンプ
20 液体シールレッグ
21 サージタンク
22 サージタンク液体オーバーフロー管
23 補給供給物ライン
24 ガス抜きライン
25 ロータリーバルブ
26 結晶化容器液体レベル
27 サージタンク液体レベル
28 プール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a2)固体無定形ペレットを、結晶化容器中の液体媒体ゾーン内の少なくとも140℃の温度を有する液体媒体中に導入し、そして前記固体無定形ペレットを、液体媒体中で、液体媒体温度で液体媒体の蒸気圧以上の前記ゾーン内の圧力で、ペレットの分子量を増加させることなく、結晶化させる工程及び
b)ペレットの少なくとも一部上の圧力を、液体媒体の蒸気圧に等しく又はそれよりも高くしながら、前記ペレットの少なくとも一部と液体媒体の少なくとも一部とを互いに分離する工程
を含んでなるポリエステルポリマーの熱結晶化方法。
【請求項2】
ポリエステルポリマーが少なくとも60%のエチレンテレフタレート繰り返し単位を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a1)溶融ポリエステルポリマーをダイを通して押出し、溶融ポリエステルポリマーを流体中で切断して、固体ポリエステルペレットを形成せしめ、そして前記ペレットを前記液体媒体中に導入する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
a1)溶融ポリエステルポリマーをダイを通して供給して、溶融造形ポリマーを形成せしめ、そしてこの溶融ポリエステルポリマーを100℃よりも低い表面温度に冷却し、続いて冷却したポリエステルポリマーをペレット化する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
溶融ポリエステルポリマーを、スプレーキャビネット内でポリマー上に水をスプレーすることによって、冷却する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
a1)溶融ポリエステルポリマーをダイを通して供給し、そして溶融ポリエステルポリマーをペレット化し、その後ポリエステルポリマーをそのTgよりも下の温度に冷却する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ダイが、それを通して溶融ポリエステルポリマーが供給されるダイヘッドを有し、そして溶融ポリエステルポリマーをダイヘッドで切断する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ポリマーがペレット化される点で、水を溶融ポリエステルポリマーと接触させることを含む請求項6に記載の方法。
【請求項9】
溶融ポリエステルポリマーを、25℃〜100℃の範囲の温度で水の循環流中で、水中でペレット化する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
液体媒体の中に導入される無定形ペレットが0.7〜1.15の範囲のIt.V.を有する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
固体無定形ペレットを、水中のスラリーとして、結晶化容器に供給する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体媒体の中に導入される固体無定形ペレットの結晶化度が10%以下である請求項10に記載の方法。
【請求項13】
液体媒体が水を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項14】
液体媒体がトリエチレングリコールを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
液体媒体ゾーンが液体媒体入口及び液体媒体の排出口を有し、そして入口及び排出の両方での液体媒体の温度が少なくとも140℃である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
液体媒体ゾーンを、少なくとも25psiaの圧力下に維持する請求項1に記載の方法。
【請求項17】
液体媒体ゾーン内の圧力が少なくとも100psiaである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ペレットを、液体媒体ゾーン内で、10よりも短い滞留時間lmzの間保持することを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ペレットが前記分離の直後に25%又はそれより高い結晶化度を有する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
結晶化度が30%又はそれより大きい請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記分離直後の結晶化度が、0分よりも長く4分間以下の滞留時間lmzで、140℃〜180℃の範囲の液体媒体温度で、少なくとも25%である請求項1に記載の方法。
【請求項22】
結晶化度が少なくとも30%である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ペレット結晶化度が、ペレットを少なくとも140℃の液体媒体温度に付す前に、10%以下である請求項21に記載の方法。
【請求項24】
ペレット結晶化度がペレットを少なくとも140℃の液体媒体温度に付す前に、約5%以下である又はそれより低い請求項23に記載の方法。
【請求項25】
液体媒体がグリコールを含み、そして結晶化を、水の蒸気圧よりも低く且つグリコールの蒸気圧よりも高い、液体媒体ゾーン内の圧力で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項26】
結晶化を、機械的に誘導される攪拌無しに、液体媒体ゾーン内で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項27】
c)0.7〜1.15の範囲のIt.V.を有する結晶化PETペレットを、乾燥ゾーン内で140℃よりも高いゾーン温度で乾燥する工程及び
d)この乾燥したペレットを押出ゾーンの中に導入して、溶融PETポリマーを形成する工程を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項28】
工程a)から工程c)までを含む方法を、固体状態化ペレットの不存在下に実施する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ペレットを工程b)の後で固相重合させない請求項1に記載の方法。
【請求項30】
結晶化容器が垂直に配置されている請求項1に記載の方法。
【請求項31】
液体の流れが液体媒体ゾーン内を通過するペレットの流れに対して向流である請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記結晶化容器が機械式回転櫂を欠いている管からなる請求項1に記載の方法。
【請求項33】
管内の液体の流れがペレットの流れと同じ方向である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ペレットを分離した後乾燥させて、少なくともペレットの表面湿分を除去する請求項1に記載の方法。
【請求項35】
ペレットと液体とを、互いに連続的に分離することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項36】
液体媒体ゾーンから液体を同時に除去することを更に含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ペレットがPETを含み、そしてb)水とペレットとを、少なくとも40psiaの圧力下で互いに分離する請求項11に記載の方法。
【請求項38】
工程b)に於ける分離の直前又は分離の間のペレット及び液体上の圧力が液体媒体ゾーン中の圧力の少なくとも70%である請求項1に記載の方法。
【請求項39】
液体媒体ゾーン中のペレットの体積分率が50%よりも小さい請求項1に記載の方法。
【請求項40】
工程b)に於いて分離したペレットの体積分率が結晶化容器の頂部で液体媒体ゾーンの中に導入したペレットの体積分率よりも高い請求項1に記載の方法。
【請求項41】
a1)溶融PETポリマーを100℃よりも低い表面温度に冷却し、続いてこのポリマーを水中でペレット化し、そしてペレットから水を分離する工程及びb)液体媒体をペレットから少なくとも60psiaの圧力下で分離する工程を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項42】
ポリエステルポリマーがPETポリマーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項43】
ポリエステルポリマーがPETポリマーを含む請求項42に記載の方法。
【請求項44】
a2)無定形ペレットを、液体媒体ゾーン内で10分間よりも短い滞留時間lmzの間水中で結晶化させる工程及びb)水をペレットから少なくとも50psiaの圧力で分離する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項45】
ペレットを、ペレットの凝集を防止するために液体媒体に添加する界面活性剤の不存在下で液体媒体中で結晶化させる請求項1に記載の方法。
【請求項46】
ペレットを、液体媒体ゾーン内に、約7分間よりも短い滞留時間lmzの間保持することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項47】
c)0.7〜1.15の範囲のIt.V.を有するバージンポリエステルペレットを含む非固体状態化ペレットを、乾燥ゾーン内で少なくとも140℃のゾーン温度で乾燥する工程、
d)この乾燥したペレットを押出ゾーン中に導入して、溶融PETポリマーを形成する工程及び
e)押出された溶融PETポリマーから成形部品又はシートを成形する工程
を含んでなるペレットからの成形部品又はシートの製造方法。
【請求項48】
乾燥ゾーン内のペレットの滞留時間が0.50時間〜16時間の範囲である請求項47に記載の方法。
【請求項49】
乾燥ゾーン内の温度が140℃〜180℃の範囲である請求項48に記載の方法。
【請求項50】
PETペレットが25%〜40%の範囲の平均結晶化度を有する請求項47に記載の方法。
【請求項51】
乾燥機ゾーンの中に、結晶化容器内の液体媒体ゾーン内の液体媒体の中に浸漬した固体無定形ペレットを、140℃よりも高くから200℃までの範囲の前記ゾーン内の液体媒体温度及び液体媒体の蒸気圧以上の液体媒体ゾーン内の圧力で結晶化させることによって得られたPETペレットを導入して、結晶化の間に分子量に於ける実質的な増加を受けていない結晶化ペレットを形成せしめ、続いて液体媒体及びペレットを、液体媒体の蒸気圧又はそれより高い圧力下で、互いに分離する工程を含んでなる請求項47に記載の方法。
【請求項52】
液体媒体ゾーン内での前記結晶化を回転する機械的に誘導される攪拌無しに実施する請求項47に記載の方法。
【請求項53】
ペレットを、乾燥温度よりも40℃又はそれより低い温度で結晶化させる請求項47に記載の方法。
【請求項54】
ボトルプレフォームを成形することを含む請求項47に記載の方法。
【請求項55】
熱成形性シートを成形することを含む請求項47に記載の方法。
【請求項56】
a1)ペレタイザーによる流体下ペレット化を含む固体無定形ペレットを形成せしめる工程及び
a2)固体無定形ペレットを、結晶化容器内の液体媒体ゾーン内の少なくとも140℃の温度を有する液体媒体の中に導入し、そして前記固体無定形ペレットを、液体媒体中で、液体媒体温度で液体媒体の蒸気圧又はそれより高い前記ゾーン内の圧力で、ペレットの分子量を増加させることなく、結晶化させる工程
を含んでなるポリエステルポリマーの熱結晶化方法。
【請求項57】
a1)ポリエステルポリマーを、そのTgよりも上でダイを通して進め、ポリエステルポリマーを切断し、そしてポリエステルポリマーをダイを通して進める時点とポリマーを液体媒体の中に導入する前との間で、ポリエステルポリマーの少なくとも表面を、このTgよりも下に冷却し、それによってポリエステルポリマーを固体ペレットに転化させ、続いてこの固体ペレットを液体媒体中に導入することを含む請求項56に記載の方法。
【請求項58】
結晶化容器が液体媒体及びペレタイザーを含むハウジングを含んでなる請求項56に記載の方法。
【請求項59】
ポリエステルポリマーが流体下で切断され、ペレットの形成の際に、固体無定形ペレットと液体媒体とが即時接触する請求項58に記載の方法。
【請求項60】
ポリエステルポリマーが流体下で切断され、140℃よりも低い温度で冷液体の流れが、ハウジングの中に、そこを通って溶融ポリエステルが、ハウジングの中に及び/又はペレタイザーの切断刃に対して向けられるダイプレート面に対して導入される請求項58に記載の方法。
【請求項61】
流体中ペレット化のために使用される液体が液体媒体である請求項56に記載の方法。
【請求項62】
液体媒体が、液体媒体ゾーン内で、固体無定形ペレットを、ペレタイザーから離れて、直接的又は間接的に、その中でペレットが結晶化される管の中に向ける流れと共に循環する請求項56に記載の方法。
【請求項63】
管が内部の機械的に回転する刃、インラインミキサー、堰及びバッフルを欠いている請求項62に記載の方法。
【請求項64】
管がペレットの流れと同じ方向の液体媒体の連続流を有する請求項62に記載の方法。
【請求項65】
液体媒体中の固体ペレットの流れを、少なくとも15:1のアスペクト比L/Dを有する管を通して向けることを含み、管内での固体ペレットの熱結晶化方法であって、固体ペレットを、管内で、ポリエステルポリマーのTgよりも高い液体媒体温度で結晶化させる方法。
【請求項66】
ペレットを、前記管内で、1気圧での液体媒体の沸点を超える液体媒体温度で結晶化させる請求項65に記載の方法。
【請求項67】
ペレットを、前記管内で、少なくとも140℃の液体媒体温度で結晶化させる請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記管内のペレット及び液体媒体が液体媒体の蒸気圧又はそれより高い圧力下で存在する請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記管の中に、15%以下の結晶化度を有するポリエステルペレットを導入することを更に含む請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記管の中に10%以下の結晶化度を有する固体ペレットを導入することを含む請求項69に記載の方法。
【請求項71】
管が、少なくとも25:1のアスペクト比L/Dを有し、ペレットが、前記管内で、少なくとも140℃の液体媒体温度で結晶化され、前記管内のペレット及び液体媒体が、液体媒体及びペレットの蒸気圧以上の圧力下で存在する請求項65に記載の方法。
【請求項72】
前記管の中に、15%以下の結晶化度を有する固体ペレットを導入することを含む請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記固体ペレットを、前記管内で、少なくとも30%の結晶化度まで結晶化させることを含む請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記管の中に、15%以下の結晶化度を有する固体ポリエステルペレットを導入すること及び前記ペレットを、前記管内で、10分以内に、少なくとも30%の結晶化度まで結晶化させることを含む請求項65に記載の方法。
【請求項75】
前記結晶化を4分又はそれ以下で実施することを含む請求項74に記載の方法。
【請求項76】
管が機械的に回転する櫂、インラインミキサー、堰及びバッフルを欠いている、請求項65に記載の方法。
【請求項77】
液体媒体の流れがペレットの流れと同じ方向である請求項65に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate


【公表番号】特表2007−505969(P2007−505969A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526907(P2006−526907)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/027438
【国際公開番号】WO2005/035610
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】