説明

液体供給装置、及び液体噴射装置

【課題】ポンプ室の容積変化による液体供給圧力の変化を防止し、液体を安定供給することができる液体供給装置、及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】下流側に向けて液体を供給する液体供給流路125と、液体供給流路125の一部をポンプ室50aとしてポンプ室50aの容積を増減させるように変位部材51が変位することによりポンプ駆動するポンプ50と、ポンプ室50aの容積が増大する方向に変位部材51を変位させる容積増大手段73と、ポンプ室50aの容積が減少する方向に変位部材51を変位させる容積減少手段70と、を備え、容積減少手段70が、ポンプ室50aの容積を減少させる方向に変位部材51を付勢するバネ部材80と、変位部材51に設けられた第1の磁性体81と、第1の磁性体81との間で引き合う磁力を発生させる第2の磁性体82と、を備える液体供給装置103に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給装置、及び液体噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体噴射ヘッドからターゲットに対して液体としてのインクを噴射させる液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、「プリンター」と称す)が広く知られている。このプリンターは、インクを収容するカートリッジから液体噴射ヘッドにインクが供給されるようになっている。例えば、下記特許文献1には、液体供給路の途中に配置したダイヤフラムポンプを収縮させることによりインクを液体噴射ヘッドに供給するようになっている。このプリンターでは、ダイヤフラムが圧縮バネで収縮した状態から該ダイヤフラムを収容する減圧室を減圧することによりダイヤフラムポンプを膨張させ、カートリッジからインクをポンプ室内に吸引し、減圧室を大気開放し、再び、圧縮バネによりダイヤフラムを収縮させることによりポンプ室内からインクを記録ヘッド側に供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−160913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では以下の問題があった。圧縮バネの発生する荷重は、圧縮バネの固定端とダイヤフラムとを押圧する他端との距離が長くなるにつれて小さくなるため、ポンプ室の容積が大きいほど押圧荷重が大きく、容積が小さくなるに従って押圧荷重が小さくなってしまい、これによりポンプ室のインク供給圧力が変化してしまうおそれがあった。そこで、インク供給圧力の下限を保持すべく圧縮バネとしてバネ荷重の大きいものを用いることも考えられるが、この場合、減圧室を減圧してダイヤフラムポンプを膨張させる際、大きいバネ荷重に抗してダイヤフラムを膨張させる必要があるため、吸引装置が大型化してしまう。また、変位によるバネ荷重の変化を小さくすべく、圧縮バネの自由長を長くすることも考えられるが、この場合、圧縮バネのダイヤフラムポンプ内への組立性が悪くなってしまう。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ポンプ室の容積変化による液体供給圧力の変化を防止し、液体を安定供給することができる液体供給装置、及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の液体供給装置は、液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側に向けて前記液体を供給する液体供給流路と、該液体供給流路の一部をポンプ室として該ポンプ室の容積を増減させるように該ポンプ室の内面の少なくとも一部を構成する変位部材が変位することによりポンプ駆動するポンプと、前記ポンプ室の容積が増大する方向に前記変位部材を変位させる容積増大手段と、前記ポンプ室の容積が減少する方向に前記変位部材を変位させる容積減少手段と、を備え、前記容積減少手段が、前記変位部材の前記ポンプ室の外側に設けられ、該ポンプ室の容積を減少させる方向に該変位部材を付勢するバネ部材と、前記変位部材に設けられた第1の磁性体と、前記ポンプ室を形成するポンプ室形成部材の前記第1の磁性体と対向する位置に配置されて該第1の磁性体との間で引き合う磁力を発生させる第2の磁性体と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の液体供給装置によれば、第1の磁性体及び第2の磁性体間で引き合う力が生じるので、ポンプ室の容積が減少するにつれて減少するバネ部材による荷重を、ポンプ室の容積が減少するにつれて増大する磁力によって補助(アシスト)することができる。よって、ポンプ室の容積変化によるバネ荷重の変化、すなわち液体の供給圧力の変化が低減され、液体供給源から下流側に液体を安定供給することができる。
【0008】
また、上記液体供給装置においては、前記変位部材が非磁性体で形成され、前記第1の磁性体が前記変位部材の前記ポンプ室の外側に配置されているのが好ましい。
第1の磁性体及び第2の磁性体が直接接触してしまうと、吸着力が非常に大きくなるため、ポンプ室の容積を増大させるための荷重が大きくなってしまい、容積増大手段が大型化してしまう。そこで、本発明を採用すれば、第1の磁性体と第2の磁性体との間に非磁性体で形成された変位部材が配置されるので、第1の磁性体及び第2の磁性体が直接接触することで生じる上記不具合を防止できる。
【0009】
また、上記液体供給装置においては、前記ポンプ室形成部材が非磁性体で形成され、前記第2の磁性体が前記ポンプ室形成部材の前記ポンプ室の外側に配置されているのが好ましい。
この構成によれば、第1の磁性体と第2の磁性体との間に非磁性体で形成されたポンプ室形成部材が配置されるので、第1の磁性体及び第2の磁性体が直接接触することが無く、上述のように容積増大手段が大型化するといった不具合の発生を防止できる。
【0010】
また、上記液体供給装置においては、前記容積増大手段が、前記変位部材により前記ポンプ室と仕切られた減圧可能な減圧室と、該減圧室内の気体を吸引することで減圧する減圧手段と、を含むのが好ましい。
この構成によれば、減圧手段により減圧室内を減圧することで変位部材が減圧室側に変位し、ポンプ室の容積を増大させることができる。
【0011】
また、上記液体供給装置においては、前記第1の磁性体の変位を磁電変換素子により検出することにより前記変位部材の変位を検出する変位検出部と、該変位検出部の検出結果に基づいて前記減圧手段の駆動を制御する制御部と、を備えるのが好ましい。
この構成によれば、第1の磁性体の変位を磁電変換素子に検出することにより検出される変位部材の変位に基づいて減圧手段を駆動するタイミングを制御できるので、所望のタイミングでポンプ室の容積を増大させることができる。
【0012】
また、上記液体供給装置においては、前記ポンプ室形成部材は、前記ポンプ室の容積を減少させる方向に変位した前記変位部材に当接可能な突起部が前記ポンプ室側に形成されているのが好ましい。
この構成によれば、変位部材とポンプ室形成部材との間に突起部が介在するので、第1の磁性体と第2の磁性体とが近接し過ぎるのを防止できる。
【0013】
本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドに前記液体を供給する上記液体供給装置とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の液体噴射装置によれば、上記液体供給装置を備えるため、液体供給源から下流側の液体噴射ヘッドに液体を安定供給することができ、液体噴射ヘッドから液体を良好に吐出できる信頼性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係るプリンターの構成を示す図。
【図2】インク供給構造の概略を示す図。
【図3】インク供給機構の要部構成を示す図。
【図4】(a),(b)は磁性体間の距離と磁力との関係に関する実験結果を示すグラフ。
【図5】ヘッドの構成を示す側断面図。
【図6】ヘッドの構成を説明する要部断面図。
【図7】変形例に係るダイヤフラムポンプの構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の液体供給装置を含む液体噴射装置の一実施形態として、例えばインクジェット方式のプリンターを例に挙げて説明する。
【0017】
図1に示すプリンター(液体噴射装置)1は、例えば、紙、プラスチックシートなどのシート状の媒体Mを搬送しつつ、該媒体Mにインク(液体)を噴射して所定の印刷処理を行う装置である。プリンター1は、筐体101と、媒体Mにインクを噴射するインクジェット機構102と、当該インクジェット機構102にインクを供給するインク供給機構(液体供給装置)103と、媒体Mを搬送する搬送機構104と、インクジェット機構102の保全動作を行うメンテナンス機構105と、これら各機構を制御する制御装置106とを備えている。
【0018】
以下、XYZ直交座標系を設定し、当該XYZ直交座標系を適宜参照しつつ各構成要素の位置関係を説明する。本実施形態では、媒体Mの搬送方向をX方向とし、当該媒体Mの搬送面においてX方向に直交する方向をY方向とし、X軸及びY軸を含む平面に垂直な方向をZ方向と表記する。
【0019】
筐体101は、Y方向を長手とするように形成されている。筐体101には、上記のインクジェット機構102、インク供給機構103、搬送機構104、メンテナンス機構105及び制御装置106の各部が取り付けられている。筐体101には、プラテン13が設けられている。プラテン13は、媒体Mを支持する支持部材である。プラテン13は、筐体101のうちX方向の中央部に配置されている。プラテン13は、+Z方向に向けられた平坦面13aを有している。当該平坦面13aは、媒体Mを支持する支持面として用いられる。
【0020】
搬送機構104は、搬送ローラーや当該搬送ローラーを駆動するモーターなどを有している。搬送機構104は、筐体101の−X側から当該筐体101の内部に媒体Mを搬送し、当該筐体101の+X側から当該筐体101の外部に排出する。搬送機構104は、筐体101の内部において、媒体Mがプラテン13上を通過するように当該媒体Mを搬送する。搬送機構104は、制御装置106によって搬送のタイミングや搬送量などが制御されるようになっている。
【0021】
インクジェット機構102は、インクを噴射するヘッド110を含むヘッドユニット100と、当該ヘッドユニット100を保持して移動させるヘッド移動機構107とを有している。ヘッドユニット100は、ヘッド110と該ヘッド110に設けられる自己封止弁2を含む。
【0022】
ヘッド110は、プラテン13上に送り出された媒体Mに向けてインクを噴射する。ヘッド110は、インクを噴射する噴射面(ノズル形成面)110aを有している。噴射面110aは、Z方向に向けられており、例えばプラテン13の平坦面13aに対向するように配置されている。
【0023】
ヘッド移動機構107は、キャリッジ4を有している。ヘッド110は、当該キャリッジ4に固定されている。キャリッジ4は、筐体101の長手方向(X方向)に架けられたガイド軸8に当接されている。ヘッド110及びキャリッジ4は、プラテン13の+Z方向に配置されている。
【0024】
ヘッド移動機構107は、キャリッジ4の他、パルスモーター9と、当該パルスモーター9によって回転駆動される駆動プーリー10と、駆動プーリー10とは筐体101の幅方向の反対側に設けられた遊転プーリー11と、駆動プーリー10と遊転プーリー11との間に掛け渡されてキャリッジ4に接続されたタイミングベルト12とを有している。
【0025】
キャリッジ4は、当該タイミングベルト12に接続されている。キャリッジ4は、タイミングベルト12の回転に伴ってY方向に移動可能に設けられている。Y方向へ移動する際、キャリッジ4は、ガイド軸8によって案内されるようになっている。
【0026】
インク供給機構103は、インクジェット機構102のヘッド110にインク供給源としてのインクカートリッジ6に収容されているインクをヘッド110に供給するためのものである。インク供給機構103には、複数のインクカートリッジ6が収容されている。本実施形態のプリンター1は、インクカートリッジ6がヘッド110とは異なる位置に収容される構成(オフキャリッジ型)である。
【0027】
図2はプリンター1のインク供給構造の概略を示す図である。図2に示すように、インク供給機構103には、インクカートリッジ6に上流端が接続されると共に、ヘッド110に下流端が接続された状態で、インクカートリッジ6側となる上流側からヘッド110側となる下流側に向けてインクを供給するインク流路(液体供給流路)125が設けられている。
【0028】
なお、プリンター1には、そのプリンター1で使用するインクの色数(種類)に対応して複数のインク供給機構103が設けられている。なお、それらの構成は同じであるため、図2には何れか一色のインクを供給する一つのインク供給機構103をヘッド110及び一つのインクカートリッジ6と共に図示している。そして、以下においては、この図2に示す一つのインク供給機構103のインク流路125を介して上流側のインクカートリッジ6から下流側のヘッド110に向けてインクを供給する場合を例にして説明することにする。
【0029】
インクカートリッジ6は、内部にインクを収容するインク収容部6aと、該インク収容部6aを覆う略箱体形状のケース6bと、を備えている。また、インク収容部6aの一端側には筒部7が突出形成され、筒部7の先端にはインクを導出可能なインク供給口7aが形成されている。そして、インクカートリッジ6をインク供給機構103に接続する際には、このインク供給口7aに対してインク供給機構103からインク流路125の上流端を構成するべく突設されたインク供給針128が挿入されるようになっている。
【0030】
インク供給機構103は、ヘッド110を含むヘッドユニット100と、インクカートリッジ6との間を接続するインク流路125と、ダイヤフラムポンプ50と、容積減少手段70と、容積増大手段73と、を備えている。
【0031】
インク流路125はチューブ状の樹脂材料を主体に構成されるものであり、ヘッドユニット100とダイヤフラムポンプ50との間を接続する第1のインク流路125aと、ダイヤフラムポンプ50とインクカートリッジ6との間を接続する第2のインク流路125bと、上記ダイヤフラムポンプ50内のポンプ室50aと、を含む。第1のインク流路125a及び第2のインク流路125bの構成材料としては、例えばポリプロピレンやポリエチレン等を用いることができる。
【0032】
第1のインク流路125aの途中にはチョーク弁61が設けられている。チョーク弁61は制御装置106に電気的に接続されており、その開閉が制御されるようになっている。チョーク弁61は、第1のインク流路125aを必要に応じて閉塞することで、インクカートリッジ6からヘッド110側にインクを初期充填する場合或いはヘッド110のクリーニング時に用いられる。
【0033】
第1のインク流路125aとダイヤフラムポンプ50とは逆止弁62を介して接続されている。また、第2のインク流路125bとダイヤフラムポンプ50とは逆止弁63を介して接続されている。逆止弁62はダイヤフラムポンプ50側からヘッドユニット100側に向かってインクを流入させるとともに、ヘッドユニット100側からダイヤフラムポンプ50側へのインクの逆流を防止するためのものである。また、逆止弁63はインクカートリッジ6側からダイヤフラムポンプ50側に向かってインクを流入させるとともに、ダイヤフラムポンプ50側からインクカートリッジ6側へのインクの逆流を防止するためのものである。
【0034】
ダイヤフラムポンプ50は、ダイヤフラム(変位部材)51と、インク流路125の一部を構成するポンプ室形成部材55と、該ポンプ室形成部材55及び上記ダイヤフラム51から構成される上記ポンプ室50aと、を含み、該ポンプ室50aの容積を増減させるようにダイヤフラム51を変位することによりポンプ駆動するものである。
【0035】
ダイヤフラム51は、例えばブチルゴムやフィルムで形成することができる。すなわち、本実施形態においては、ダイヤフラム51は非磁性体から構成されている。なお、フィルムを用いてダイヤフラム51を構成する場合、上記ポンプ室形成部材55と同じ非磁性体材料(上述のポリプロピレン又はポリエチレン等)で形成するのが望ましい。この場合、ダイヤフラム51とポンプ室形成部材55とを熱溶着することでポンプ室50aを構成することができる。
【0036】
また、ダイヤフラム51は、上記容積減少手段70及び容積増大手段73により変位されるようになっている。容積増大手段73は、ダイヤフラムポンプ50のポンプ室50aの容積が増大する方向にダイヤフラム51を変位させるためのものである。容積増大手段73は、ダイヤフラム51によりポンプ室50aと仕切られた減圧室71と、該減圧室71を区画する減圧室形成部材34と、該減圧室形成部材34に接続される負圧発生装置(減圧手段)73aと、大気開放機構74と、を備えている。
【0037】
図3はインク供給機構103の要部構成を示す図である。図3に示すように、減圧室形成部材34の凹部34aには、二股に分岐した空気流路47を介して気体としての空気を吸引する吸引ポンプ等からなる負圧発生装置としての減圧ポンプ73aと大気開放機構74が接続されている。減圧ポンプ73aは、正逆回転可能な駆動モーター49が正転駆動した場合に図示しないワンウェイクラッチを介して伝達される駆動力により駆動して負圧を発生し、空気流路47を介して接続された減圧室形成部材34の凹部34a内にも同様に負圧を発生させ得るように構成されている。この構成により、減圧室形成部材34の凹部34aとダイヤフラム51とで囲み形成される容積可変の空間域は、減圧ポンプ73aの駆動に伴い負圧状態となる減圧室71として機能するようになっている。駆動モーター49は、制御装置106に電気的に接続されており、負圧発生装置73aの駆動が制御されるようになっている。
【0038】
一方、大気開放機構74は、大気開放孔76が形成されたボックス74d内にシール部材74aを大気開放孔76側に付設してなる大気開放弁74bが収容され、その大気開放弁74bが常にはコイルスプリング74cの付勢力により大気開放孔76を封止する閉弁方向に付勢された構成をしている。そして、大気開放機構74は、制御装置106により駆動モーター49が逆転駆動した場合に、図示しないワンウェイクラッチを介して伝達される駆動力に基づき作動するカム機構48が作動し、そのカム機構48の作動により大気開放弁74bがコイルスプリング74cの付勢力に抗して開弁方向に変位するように構成されている。すなわち、大気開放機構74は、空気流路47を介して接続された減圧室71が負圧状態になっている場合に大気開放弁74bが開弁動作することにより、その減圧室71内を大気に開放して負圧状態を解消できるようになっている。
【0039】
また、減圧室71内にはダイヤフラム51の変位を検出するための変位検出部としてのホール素子(磁電変換素子)75が設けられている。また、ホール素子75は制御装置106に電気的に接続されている。具体的にホール素子75は磁性体81の変位を検出し、該検出結果を制御装置106に送信するようになっている。制御装置106は、磁性体81の変位量からダイヤフラム51の変位量を導き、これによりポンプ室50aの容積を算出するようになっている。
【0040】
このような構成に基づいて、容積増大手段73は、駆動モーター49を正転駆動することで減圧ポンプ73aを駆動することで減圧室71内を減圧し、ポンプ室50aに対して減圧室71を負圧とすることでダイヤフラム51をポンプ室50aの容積を増大させる方向、すなわち減圧室形成部材34側に変位させるようになっている。なお、減圧ポンプ73aとしては、後述する第1の磁性体81及び第2の磁性体82間に生じている磁力及びバネ部材50の付勢力に逆らってダイヤフラム51を変位させるだけの強さの負圧を発生させることが可能な能力のものが用いられる。
【0041】
具体的に制御装置106は、ポンプ室50aの容積が下限値に到達すると該ポンプ室50a内にインクカートリッジ6側からインクを供給すべく、上記減圧ポンプ73aを駆動させるようにしている。これにより、制御装置106はポンプ室50a内にインクを供給する場合のみ減圧ポンプ73aを選択的に駆動させるので、必要以上に減圧ポンプ73aを駆動させることでプリンター1の消費電力が大きくなったり、減圧ポンプ73aのポンプの寿命を縮めてしまうといった不具合の発生を防止している。
【0042】
ポンプ室50aの容積が増大するとインクカートリッジ6側から逆止弁63を介してポンプ室50a内にインクが供給されるようになっている。大気開放機構74は、ポンプ室50a内にインクを供給した後、大気開放弁74bを開弁動作することにより減圧室71内を大気に開放して負圧状態を解消するようになっている。
【0043】
一方、容積減少手段70は、ダイヤフラムポンプ50のポンプ室50aの容積が減少する方向にダイヤフラム51を変位させるためのものである。容積減少手段70は、ダイヤフラム51のポンプ室50aの外側であって減圧室形成部材34の凹部34a内に設けられたバネ部材50と、第1の磁性体81と、第2の磁性体82と、を含む。
【0044】
バネ部材50は一端がダイヤフラム51に固定されており、他端が上記凹部34aに固定されている。バネ部材50は例えば圧縮バネから構成されており、弾性変形した状態で取り付けられている。そのため、バネ部材50はポンプ室50aの容量を減少する方向にダイヤフラム51を付勢した状態に取り付けられている。
【0045】
第1の磁性体81は、ダイヤフラム51におけるポンプ室50aの外側に配置されている。一方、第2の磁性体82は、ポンプ室形成部材55のポンプ室50aの外側であって第1の磁性体81と対向する位置に配置されている。第1の磁性体81と第2の磁性体82との間には、互いが引き合う磁力が発生するようになっている。本実施形態では、第1の磁性体81が磁石から構成されており、第2の磁性体82が金属板から構成されている。なお、第1の磁性体81及び第2の磁性体82の組み合わせとして採用可能な材料は、これらに限られない。すなわち、第1の磁性体81と第2の磁性体82とは互いが引き合う磁力を発生させるもの同士であれば種々の磁性材料(一方が金属で他方が磁石の場合、或いは両方が磁石の場合を含む)を用いることができる。
【0046】
ところで、ダイヤフラム51に取り付けられたバネ部材50は、ポンプ室50aの容積が減少するに従って自由長に近づくため、付勢力が減少してくる。すると、バネ部材50によるダイヤフラム51を圧縮する力、すなわちポンプ室50aからヘッド110側に送られるインクの供給圧力が低下しまうおそれがある。インクの供給圧力が低下するとヘッド110にインクを安定供給することが難しくなる。
【0047】
これに対し、本実施形態に係る容積減少手段70は、ダイヤフラム51が圧縮されてポンプ室50aの容量が小さくなるに従って接近した第1の磁性体81及び第2の磁性体82間で生じる引き合う力(磁力)を利用し、バネ部材50が伸びるに従って減少していく付勢力を補助(アシスト)するようにしている。これにより、ダイヤフラムポンプ50は、上記容積減少手段70の作用により、ダイヤフラム51を安定した力で圧縮することができ、ポンプ室50a内のインクをヘッドユニット100(ヘッド110)側に供給することができるようになっている。
【0048】
ここで、上述した第1の磁性体81及び第2の磁性体82間に発生する磁力は後述の実験結果に示されるように両磁性体81,82間の距離によって変化する。図4は磁性体間の距離と磁力との関係に関する実験結果を示すグラフであり、具体的に同図(a)は空間磁束密度と磁性体間の距離との関係を示し、同図(b)は磁性体間の距離と吸引力(磁力)との関係を示している。なお、本実験では一方の磁性体としてφ20×10mmのネオジム磁石を用い、他方の磁性体として鉄板を用い、両者の距離を変化させた際、両者の間に生じる磁力(吸引力)及び空間磁束密度の変化について測定した。
【0049】
図4(a)、(b)に示すように、磁石及び鉄板間の距離が大きくなると、空間磁束密度及び磁力が低下することが確認できる。また、磁石及び鉄板間の距離が0の場合、すなわち磁石及び鉄板が接触している場合、空間磁束密度及び磁力が最大となることが確認できる。
【0050】
上述の結果に示されるように、ポンプ室50aの容積を最小とする位置までダイヤフラム51が移動した際、第1の磁性体81及び第2の磁性体82間の距離が近すぎると、両者81,82間に生じる磁力が強くなってしまう。容積増大手段73の減圧ポンプ73aは、第1の磁性体81及び第2の磁性体82間に生じている強い磁力に逆らってダイヤフラム51をポンプ室50aの容積を増大させる方向に変位させる必要があるため、大容量のものを採用する必要が生じてしまう。減圧ポンプ73aとして負圧発生能力の高いものを採用するとプリンター1のコストが嵩むため好ましくない。
【0051】
そこで、本実施形態では、容量の小さい減圧ポンプ73aがダイヤフラム51を移動させることができるように、ポンプ室50aの容積が最小となった際、磁力が大きくなりすぎない位置に第1の磁性体81及び第2の磁性体82を配置させるようにしている。これにより、減圧ポンプ73aが大型化することでプリンター1のコストが嵩むのを防止している。
【0052】
具体的には、図2、3に示したように第1の磁性体81及び第2の磁性体82をいずれもポンプ室50aの外側に配置している。これにより、ポンプ室50aの容積が最小となった場合においても、第1の磁性体81及び第2の磁性体82間に非磁性体材料で形成されるダイヤフラム51及びポンプ室形成部材55が介在することで第1の磁性体81及び第2の磁性体82同士が直接接触してしまうことを防止している。
【0053】
メンテナンス機構105は、ヘッド110の噴射面110aを払拭するワイピング機構111と、当該噴射面110aを覆うキャッピング機構112と、を有している。キャッピング機構112は、ヘッド110の噴射面110aを覆いつつ当該噴射面110a上の空間を吸引することでノズルNZ(図5,6参照)からインクを排出させる吸引動作時に用いられる吸引用キャップ部112aを有している。
【0054】
吸引用キャップ部112aには、吸引ポンプなどの吸引機構113が接続されており、内部にインク吸収部材114が設けられている。吸引用キャップ部112aは、吸引機構113により、噴射面110aを覆いつつ当該噴射面110aとの間に生じる内部空間を吸引できるようになっている。ヘッド110から吸引機構113側に排出された廃インクは、廃インク回収機構115において回収されるようになっている。
【0055】
また、メンテナンス機構105は、図1に示したように、ヘッド110のホームポジションに配置されている。このホームポジションは、媒体Mに対して印刷が行われる領域から外れた領域に設定されている。本実施形態では、プラテン13の+Y側にホームポジションが設定されている。ホームポジションは、例えばプリンター1の電源がオフである時や長時間に亘って記録が行われない時、或いはメンテナス作業を行う際にヘッド110が待機する場所である。
【0056】
図5は、ヘッドユニット100の構成を示す側断面図である。図6は、ヘッド110の構成を説明する要部断面図である。図5,6に示されるように、ヘッド110は、導入針ユニット17、ヘッドケース18、流路ユニット19及びアクチュエータユニット20を備えている。
【0057】
導入針ユニット17の上面には、フィルター21を介在させた状態で2本のインク導入針22が並んで取り付けられている。導入針ユニット17の内部には、各インク導入針22に対応したインク導入路23が形成されている。インク導入路23の上端は、フィルター21を介してインク導入針22に接続されている。インク導入路23の下端は、パッキン24を介してヘッドケース18内部のケース流路25に接続されている。インク導入針22には、それぞれ自己封止弁2が装着されている。
【0058】
自己封止弁2は、例えばポリプロピレン等の樹脂製材料を用いて形成されている。自己封止弁2には、インク室27が設けられている。インク室27は、例えばすり鉢状に形成された凹部27aを有している。凹部27aは、開口部27bを有している。開口部27bには、透明な弾性シート26が貼り付けられている。凹部27aの底部には、連通孔27cが形成されている。連通孔27cは、インク室27の凹部27aとインク供給室27dとの間を連通するように形成されている。インク供給室27dは、インク流路125に接続されている。インク供給室27dのうちインク流路125との接続部分には、例えば不図示のフィルタなどが設けられている。
【0059】
弾性シート26は、開口部27bを塞ぐように貼り付けられている。弾性シート26は、インク室27の圧力に応じて変位するようになっている。弾性シート26は、例えば後述する付勢部材27fの付勢力によってインク室27の容積が増加する方向に付勢力を受け、凹部27aの外側へ向けて突出した状態となっており、インク室27の圧力が外部の圧力よりも低い所定の圧力になるとインク室27の容積が減少する方向に変位する。
【0060】
弾性シート26には、弁27eが取り付けられている。弁27eは、凹部27aから連通孔27cを介してインク供給室27dに接続されており、インク供給室27d側から連通孔27cを開閉するように形成されている。弁27eは、弾性シート26のインク室の容積が増減による変位に連動して連通孔27cを開閉するようになっている。具体的には、インク室27の容積が減少する方向に弾性シート26が変位したときに連通孔27cが開状態となり、インク室27の容積が増加する方向に弾性シート26が変位したときには連通孔27cが閉状態となる。弁27eの弾性シート26側の端部には、所定の付勢力を付与する付勢部材27fが取り付けられており、その付勢力により弾性シート26がインク室27の容積が減少する方向に変位して連通孔27cが開状態となるインク室27の外部の圧力より低い所定の圧力が設定されている。
【0061】
自己封止弁2は、針接続部28に接続されている。針接続部28は、インク導入針22自己封止弁2とインク導入針22とを接続する部分である。インク室27の凹部27aには、当該針接続部28に接続される接続流路29が形成されている。針接続部28の内部空間には、インク導入針22がほぼ隙間無く嵌め込まれるシール材31が設けられている。インク導入針22がシール材31に嵌め込まれることで、自己封止弁2と導入針ユニット17との間がほぼ漏れの無い状態で接続されるようになっている。
【0062】
図5に示すように、ヘッドケース18は、合成樹脂などを用いて形成されている。ヘッドケース18は、例えば中空部を有するように箱型に形成されている。ヘッドケース18は、上端側がパッキン24を介して導入針ユニット17を取り付けられている。ヘッドケース18の下端面には、流路ユニット19が接合されている。ヘッドケース18の内部に形成された中空部37内には、アクチュエータユニット20が収容されている。
【0063】
ヘッドケース18の内部には、高さ方向を貫通してケース流路25が設けられている。
ケース流路25の上端は、パッキン24を介して導入針ユニット17のインク導入路23に連通されている。ケース流路25の下端は、流路ユニット19内の共通インク室44に連通されている。このため、インク導入針22から導入されたインクは、インク導入路23及びケース流路25を通じて共通インク室44側に供給されるようになっている。
【0064】
アクチュエータユニット20は、例えば櫛歯状に配置された複数の圧電振動子38と、当該圧電振動子38を保持する固定板39と、圧電振動子38に対して制御装置106からの駆動信号を供給するフレキシブルケーブル40とを有している。
【0065】
圧電振動子38は、図中下側端部が固定板39の下端面から突出するように固定されている。このように、各圧電振動子38は、所謂片持ち梁の状態で固定板39上に取り付けられている。各圧電振動子38を支持する固定板39は、例えば厚さ1mm程度のステンレス鋼によって構成されている。固定板39のうち圧電振動子38の固定された面とは異なる面が中空部37を区画するケース内壁面に接着されている。
【0066】
流路ユニット19は、振動板41、流路基板42及びノズル基板43を有している。振動板41、流路基板42及びノズル基板43は、積層された状態で接着されている。流路ユニット19は、共通インク室44からインク供給口45、圧力室46を通り、ノズルNZに至るまでの一連のインク流路(液体流路)を構成している。圧力室46は、ノズルNZの配列方向(ノズル列方向)に対して直交する方向が長手方向となるように形成されている。
【0067】
共通インク室44は、ケース流路25に接続されている。共通インク室44には、インク導入針22側からのインクが導入される室である。また、共通インク室44は、インク供給口45に接続されている。共通インク室44に導入されたインクは、当該インク供給口45を通じて各圧力室46に分配されるようになっている。
【0068】
ノズル基板43は、流路ユニット19の底部に配置されている。ノズル基板43には、媒体Mに形成される画像などのドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズルNZが形成されている。ノズル基板43としては、例えばステンレス鋼などの金属製の板材が用いられる。
【0069】
このような構成のヘッド110では、ケース流路25から共通インク室44及び圧力室46を通ってノズルNZに至る一連のインク流路が形成されている。上記の圧電振動子を素子長手方向に伸縮させると振動板41が変形し、圧力室46の容積が変化する。これにより、圧力室46内のインク圧力が変化する。そして、この圧力室46内のインク圧力の変化を利用することで、ノズルNZからインク滴を吐出させることができる。
【0070】
次に、上記プリンター1の動作として本発明の特徴部分であるインク供給機構103の動作を主体に説明する。プリンター1は、チョーク弁61を閉塞した状態で行われるインクの初期充填動作により、インクカートリッジ6からヘッドユニット100のヘッド110にインクが充填された状態となっている。
【0071】
プリンター1は、圧電振動子38に駆動信号を入力し、圧電振動子38を伸縮させることで圧力室46の容積を変化させ、インクを収容した圧力室46の圧力を変動させる。この圧力の変動によって、ノズルNZからインクが噴射される。ノズルNZからインクが噴射されると自己封止弁2のインク室27の容積が減少する。このとき、弾性シート26が弁27eが開く方向に変位することで第1のインク流路125aを介してインク室27内にインクが補充される。
【0072】
このとき、ダイヤフラムポンプ50は、ダイヤフラム51がポンプ室50aの容積を減少させる方向に変位し、第1のインク流路125aを介してヘッドユニット100(自己封止弁2)にインクを供給する。ノズルNZからインクが噴射されるに従って、ポンプ室50aは内部に収容されているインクが無くなるまで容積が減少し続ける。
【0073】
このとき、ダイヤフラムポンプ50では容積減少手段70が機能する。具体的に、ポンプ室50aの容積を減少させる方向に変位するダイヤフラム51はバネ部材50の付勢力によって一定の圧縮力が付与される。これにより、ポンプ室50a内からヘッドユニット100側にインクを安定した圧力で供給することができる。なお、容積減少手段70の機能時は、制御装置106は大気開放機構74の大気開放弁74bを解放させるようにしておく。
【0074】
容積減少手段70は、バネ部材50はポンプ室50aの容積減少に伴って自由長に近づくにつれて付勢力が減少してくるものの、第1の磁性体81及び第2の磁性体82間で引力(磁力)が発生させることができる。これによりバネ部材50が伸びるに従って減少していく付勢力を補助(アシスト)し、ダイヤフラム51を安定した力で圧縮することができ、ポンプ室50a内のインクをヘッドユニット100(ヘッド110)側に供給することができる。
【0075】
一方、制御装置106は、ホール素子75の検出結果に基づいてポンプ室50aの容積を算出し、ポンプ室50aの容積が下限値に到達すると判断した場合、容積増大手段73の減圧ポンプ73aを駆動させる。
【0076】
具体的に、制御装置106により駆動モーター49が正転駆動することで、空気流路47を介して接続された減圧室71内を減圧し、ポンプ室50aに対して減圧室71が負圧となる。本実施形態では、第1の磁性体81及び第2の磁性体82間に発生する磁力が大きくなりすぎない位置に該第1の磁性体81及び第2の磁性体82が配置されているので、上記負圧によってダイヤフラム51がポンプ室50aの容積を増大させる方向、すなわち減圧室形成部材34側に変位する。ポンプ室50aの容積の増大に伴ってインクカートリッジ6側から逆止弁63を介して該ポンプ室50a内にインクを供給することができる。
【0077】
制御装置106は、ポンプ室50a内にインクが補充されると減圧ポンプ73aの駆動を停止した後、大気開放機構74を駆動する。具体的に、制御装置106により駆動モーター49を逆転駆動させることで図示しないワンウェイクラッチを介して伝達される駆動力に基づきカム機構48を作動させ、そのカム機構48の作動により大気開放弁74bをコイルスプリング74cの付勢力に抗して開弁方向に変位させる。これにより、大気開放機構74は大気開放弁74bを開弁させることで減圧室71内を大気に開放して負圧状態を解消する。これにより、ダイヤフラムポンプ50はポンプ室50a内のインクをヘッドユニット100(ヘッド110)側に供給可能な状態となる。
【0078】
同様にして、ダイヤフラムポンプ50は上記容積減少手段70及び容積増大手段73を交互に駆動させることでヘッドユニット100側にインクを安定供給することができる。したがって、本実施形態に係るプリンター1によれば、ヘッド110にインクが安定して供給されるため、各ノズルNZからインクを良好に噴射可能な信頼性の高いものとなる。
【0079】
以上、本発明に係る一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、第1の磁性体81及び第2の磁性体82を両方ともポンプ室50aの外側に配置しているが、少なくとも一方をポンプ室50a内に配置する構成であっても構わない。この場合、ポンプ室50a内に配置する磁性体としては、インク耐性を有する磁性ステンレス(例えば、SUS430、SUS401等)を用いるのが好ましい。
【0080】
また、図7に示すようにポンプ室50aの容積を減少させる方向に変位したダイヤフラム51に当接可能な突起部90をポンプ室形成部材55に設けるようにしても構わない。この構成によれば、ポンプ室形成部材55に設けられた突起部90がダイヤフラム51に当接することで、ダイヤフラム51とポンプ室形成部材55との間に突起部90が介在するので、第1の磁性体81と第2の磁性体82とが接近し過ぎるのを防止することができ、第1の磁性体81及び第2の磁性体82間に生じる磁力の大きさを調整することができる。
【符号の説明】
【0081】
1…プリンター(液体噴射装置)、6…インクカートリッジ(液体供給源)、34…減圧室形成部材、50a…ポンプ室、51…ダイヤフラム(変位部材)、55…ポンプ室形成部材、70…容積減少手段、71…減圧室、73…容積増大手段、75…ホール素子(変位検出部)、81…第1の磁性体、82…第2の磁性体、90…突起部、103…インク供給機構(液体供給装置)、106…制御装置(制御部)、110…ヘッド(液体噴射ヘッド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側に向けて前記液体を供給する液体供給流路と、
該液体供給流路の一部をポンプ室として該ポンプ室の容積を増減させるように該ポンプ室の内面の少なくとも一部を構成する変位部材が変位することによりポンプ駆動するポンプと、
前記ポンプ室の容積が増大する方向に前記変位部材を変位させる容積増大手段と、
前記ポンプ室の容積が減少する方向に前記変位部材を変位させる容積減少手段と、
を備え、
前記容積減少手段が、前記変位部材の前記ポンプ室の外側に設けられ、該ポンプ室の容積を減少させる方向に該変位部材を付勢するバネ部材と、前記変位部材に設けられた第1の磁性体と、前記ポンプ室を形成するポンプ室形成部材の前記第1の磁性体と対向する位置に配置されて該第1の磁性体との間で引き合う磁力を発生させる第2の磁性体と、を備える液体供給装置。
【請求項2】
前記変位部材が非磁性体で形成され、前記第1の磁性体が前記変位部材の前記ポンプ室の外側に配置されている請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記ポンプ室形成部材が非磁性体で形成され、前記第2の磁性体が前記ポンプ室形成部材の前記ポンプ室の外側に配置されている請求項1又は2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記容積増大手段が、前記変位部材により前記ポンプ室と仕切られた減圧可能な減圧室と、該減圧室内の気体を吸引することで減圧する減圧手段と、を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記第1の磁性体の変位を磁電変換素子により検出することにより前記変位部材の変位を検出する変位検出部と、該変位検出部の検出結果に基づいて前記減圧手段の駆動を制御する制御部と、を備える請求項4に記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記ポンプ室形成部材は、前記ポンプ室の容積を減少させる方向に変位した前記変位部材に当接可能な突起部が前記ポンプ室側に形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体供給装置。
【請求項7】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドに前記液体を供給する請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体供給装置とを備える液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−166509(P2012−166509A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30958(P2011−30958)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】