説明

液体供給装置及び液体噴射装置

【課題】液体供給源が取り外された状態で液体供給流路から液体が漏出することを抑制できる液体供給装置及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】着脱自在に装着されたインクカートリッジ13側となる上流側からインクが消費される下流側に向けてインクを供給するインク流路15と、インク流路15の一部をポンプ室としてポンプ駆動するポンプ43と、インクカートリッジ13の取り外し動作に先立って行われる開閉扉63の変位動作を検出するエンコーダー65と、エンコーダー65が開閉扉63の変位動作を検出した場合に、ポンプ室の容積を増大させるようにポンプ43を吸引動作させる制御装置62とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側に向けて液体を供給する液体供給装置、及び該液体供給装置を備えた液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体をターゲットに対して噴射させる液体噴射装置として、インクジェット式プリンター(以下、「プリンター」ともいう。)が広く知られている。このプリンターは、記録ヘッド(液体噴射ヘッド)に供給されるインク(液体)を記録ヘッドに形成されたノズルから噴射することにより、ターゲットとしての記録媒体に対して印刷処理を施すようになっている。
【0003】
また、近年では、インクカートリッジ(液体供給源)と記録ヘッドとの間を接続するインク流路(液体供給流路)の途中位置に、インクカートリッジ側から記録ヘッド側にインクを加圧供給するためにポンプ駆動するダイアフラムポンプを備えたプリンターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1に記載のプリンターにおいては、インク流路の一部となるポンプ室の内面の一部を構成するように可撓性のダイアフラムが配置されることにより、ダイアフラムポンプのポンプ室が構成されている。また、インク流路におけるインクカートリッジとポンプ室との間及び記録ヘッドとポンプ室との間には、インクカートリッジ側となる上流側から記録ヘッド側となる下流側へのインクの通過のみを許容する逆止弁がそれぞれ設けられている。
【0005】
そして、ポンプ室の容積を増加させるようにダイアフラムが変位すると、ポンプ室内に生成される負圧に基づいてインクカートリッジからポンプ室にインクが吸引される一方で、ポンプ室の容積を減少させるようにダイアフラムが変位すると、ポンプ室内に収容されたインクがポンプ室から記録ヘッドに向けて加圧供給される。そのため、上記のプリンターは、ポンプ室の容積を増減させるようにダイアフラムを反復して変位させることにより、インクカートリッジ側から記録ヘッド側に向けてインクを脈動的に加圧供給するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−160912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ポンプ室の容積を減少させるようにダイアフラムが変位すると、インク流路においてポンプ室よりも上流側に設けられた逆止弁に圧力が作用する。すると、逆流したインクによって逆止弁が押し込まれて変形してしまい、インク流路において逆止弁よりも上流側の流路領域のインクが上流側に加圧されて逆流してしまう。そして、このようなダイアフラムの変位動作がインクカートリッジを取り外された状態で行われたとすると、インクカートリッジが取り外されたインク流路の上流端からインクが漏出してしまう虞があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体供給源が取り外された状態で液体供給流路から液体が漏出することを抑制できる液体供給装置及び液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の液体供給装置は、着脱自在に装着された液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側に向けて液体を供給する液体供給流路と、前記液体供給流路の一部をポンプ室としてポンプ駆動するポンプと、前記液体供給源の取り外し動作に先立って行われる取り外し予備動作を検出する検出手段と、前記検出手段が前記液体供給源の取り外し予備動作を検出した場合に、前記ポンプ室の容積を増大させるように前記ポンプを吸引動作させる制御手段とを備えた。
【0010】
上記構成によれば、液体供給源の取り外し予備動作に伴って、ポンプ室の容積を増大させるようにポンプが吸引動作すると、液体供給流路内の液体には負圧が作用する。そのため、液体供給流路内の液体にはポンプ室に向けての吸引力が作用する。そして、この状態で液体供給源の取り外し動作を行うことにより、液体供給流路内から液体が漏出することを抑制できる。
【0011】
また、本発明の液体供給装置において、前記検出手段は、前記液体供給源の装着動作を検出可能に構成され、前記制御手段は、前記検出手段が前記液体供給源の装着動作を検出した場合に、前記ポンプ室の容積を減少させるように前記ポンプを吐出動作させる。
【0012】
上記構成によれば、ポンプ室の容積を減少させるようにポンプが吐出動作する前段階で、液体供給源の装着動作が行われる。そのため、ポンプの吐出動作に伴って、液体供給流路内においてポンプ室から上流側に液体が逆流した場合であっても、逆流した液体は液体供給源に収容されることにより、この逆流した液体が液体供給流路から漏出することを抑制できる。
【0013】
また、本発明の液体供給装置は、前記液体供給源の着脱動作を規制する規制位置と、前記液体供給源の着脱動作を許容する許容位置との間で変位する変位部材を更に備え、前記液体供給源の取り外し予備動作は、前記規制位置から前記許容位置への前記変位部材の変位動作である。
【0014】
上記構成によれば、液体供給源の取り外し動作に先立って行われる、規制位置から許容位置への変位部材の変位動作を検出した場合に、ポンプの吸引動作を実行することにより、液体供給源の取り外し動作時に、液体供給流路内から液体が漏出することを抑制できる。
【0015】
また、本発明の液体供給装置は、前記液体供給源の装着時に、該液体供給源に設けられた回路基板に対して電気的に接続される接続端子を更に備え、前記液体供給源の取り外し予備動作は、前記回路基板から前記接続端子に導通される電流の変化である。
【0016】
上記構成によれば、液体供給源の取り外し動作に先立って生じる、回路基板から接続端子に導通される電流の変化を検出した場合に、ポンプの吸引動作を実行することにより、液体供給源の取り外し動作時に、液体供給流路内から液体が漏出することを抑制できる。
【0017】
また、本発明の液体供給装置は、前記液体供給源の着脱動作を規制する規制位置と、前記液体供給源の着脱動作を許容する許容位置との間で変位する変位部材と、前記液体供給源の装着時に、該液体供給源に設けられた回路基板に対して電気的に接続される接続端子とを更に備え、前記検出手段は、前記回路基板から前記接続端子に導通される電流の変化を検出すると共に、前記許容位置から前記規制位置への前記変位部材の変位を検出した場合に、前記液体供給源の装着動作を検出する。
【0018】
上記構成によれば、液体供給源の装着動作に先立って起こる、回路基板から接続端子に導通される電流の変化、及び規制位置から許容位置への変位部材の変位動作の双方を検出することにより、液体供給源の装着動作を正確に検出することができる。
【0019】
また、本発明の液体噴射装置は、上記構成の液体供給装置と、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドとを備えた。
上記構成によれば、上記液体供給装置の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るインクジェット式プリンターの模式図。
【図2】減圧駆動時のインクジェット式プリンターの模式図。
【図3】加圧駆動時のインクジェット式プリンターの模式図。
【図4】開閉扉が許容位置に変位した状態のインクジェット式プリンターの模式図。
【図5】図4に示す状態から減圧駆動を実行した状態のインクジェット式プリンターの模式図。
【図6】インクカートリッジを取り外した状態のインクジェット式プリンターの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を液体噴射装置の一種であるインクジェット式記録装置(以下、「プリンター」と言う。)に具体化した一実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
図1に示すように、本実施形態のプリンター11は、ターゲット(図示略)に対してインク(液体)を噴射する液体噴射ヘッドの一例としての記録ヘッド12と、この記録ヘッド12に液体供給源の一例としてのインクカートリッジ13に収容されているインクを供給する液体供給装置の一例としてのインク供給装置14を備えている。インク供給装置14には、インクカートリッジ13に上流端が接続されると共に、記録ヘッド12に下流端が接続された状態で、インクカートリッジ13側となる上流側から記録ヘッド12側となる下流側に向けてインクを供給する液体供給流路の一例としてのインク流路15が設けられている。
【0022】
なお、プリンター11には、そのプリンター11で使用するインクの色数(種類)に対応して複数のインク供給装置14が設けられている。但し、それらの構成は同じであるため、図1には何れか一色のインクを供給する一つのインク供給装置14を記録ヘッド12及び一つのインクカートリッジ13と共に図示している。そして、以下においては、この図1に示す一つのインク供給装置14のインク流路15を介して上流側のインクカートリッジ13から下流側の記録ヘッド12に向けてインクを供給する場合を例にして説明することにする。
【0023】
図1に示すように、記録ヘッド12には、インク供給装置14の設置数と対応する複数(本実施形態では4つ)のノズル16が支持部材(図示略)と対向するノズル形成面12aに開口形成されている。そして、これらの各ノズル16に対して各々対応するインク供給装置14のインク流路15からバルブユニット17を介してインクが供給されるようになっている。すなわち、バルブユニット17には、インク流路15から流入したインクを一時貯留する圧力室(図示略)がノズル16と連通するように設けられると共に、その圧力室内には、ノズル16からインクを噴射した場合に、そのインク噴射により消費したインク量に相当する分量のインクが、図示しない流路弁の開閉動作に基づきインク流路15から適宜に流入するようになっている。
【0024】
また、プリンター11において記録ヘッド12が非印刷時に位置するホームポジションには、記録ヘッド12のノズル16の目詰まり等を解消するべく記録ヘッド12のクリーニングを行うメンテナンスユニット18が設けられている。このメンテナンスユニット18は、記録ヘッド12のノズル形成面12aにノズル16を囲うように当接可能なキャップ19と、このキャップ19内からインクを吸引する際に駆動される吸引ポンプ20と、この吸引ポンプ20の駆動に伴いキャップ19内から吸引されたインクが廃インクとして排出される廃液タンク21とを備えている。そして、クリーニング時には、図1に示す状態からキャップ19を移動させて記録ヘッド12のノズル形成面12aに当接させた状態で吸引ポンプ20を駆動することに伴って、キャップ19の内部空間に負圧を発生させることにより記録ヘッド12内から増粘したインクや気泡混じりのインクを廃液タンク21に向けて吸引排出するようにしている。
【0025】
一方、インクカートリッジ13は、内部がインクを収容するインク室22aとされた略箱体形状のケース22を備えている。ケース22の下壁からはインク室22a内に連通する筒部23が下方に向けて突出形成されると共に、筒部23の先端にはインクを導出可能なインク供給口24が形成されている。そして、インクカートリッジ13をインク供給装置14に接続する際には、このインク供給口24に対してインク供給装置14からインク流路15の上流端を構成するべく突設されたインク供給針25が挿入されるようになっている。また、ケース22の上壁には、インクが収容されたインク室22a内を大気に連通させる大気連通孔26が貫通形成されることにより、インク室22a内に収容されたインクの液面に対して大気圧を作用させるようになっている。なお、インクカートリッジ13の側面には、インクカートリッジ13のインクの種類(色)及びそのインクの残量などに関する情報が記録された回路基板60が固着されている。
【0026】
次に、インク供給装置14の構成について詳細に説明する。
図1に示すように、インク供給装置14は、基台となる樹脂製の第1流路形成部材27と、この第1流路形成部材27上に積層状態に組み付けられる同じく樹脂製の第2流路形成部材28と、その組み付け時に両流路形成部材27,28の間に挟み込まれるゴム板等からなる可撓性部材29とを備えている。ここで、第1流路形成部材27の上面における複数箇所(本実施形態では3箇所)には、平面視円形状をなす凹部30,31,32が形成されている。すなわち、図1において、右側から左側へ、凹部30、凹部31、凹部32の順に、各凹部30〜32は横並び配置となるように形成されている。
【0027】
一方、この第1流路形成部材27上に積層される第2流路形成部材28の下面における複数箇所(本実施形態では3箇所)には、第1流路形成部材27の上面に形成された各凹部30,31,32と上下方向で互いに対向する平面視円形状の凹部33,34,35が形成されている。すなわち、図1において、右側から左側へ、凹部33、凹部34、凹部35の順に、各凹部33〜35は横並び配置となるように形成されている。なお、第2流路形成部材28における図1において最も左側に形成された凹部35の底部には、大気に連通する大気連通孔35aが形成されている。
【0028】
そして、可撓性部材29は、第1流路形成部材27と第2流路形成部材28との間に、その可撓性部材29における複数箇所(本実施形態では3箇所)が第1流路形成部材27の各凹部30〜32と第2流路形成部材28の各凹部33〜35との間を上下に仕切って介在するように挟み込まれている。その結果、可撓性部材29において第1流路形成部材27の凹部30と第2流路形成部材28の凹部33との間に介在する部分は、両凹部30,33の間で弾性変形することにより変位可能な吸引側弁体36として機能するようになっている。
【0029】
同様に、可撓性部材29において第1流路形成部材27の凹部31と第2流路形成部材28の凹部34との間に介在する部分は、両凹部31,34の間で弾性変形することにより変位可能なダイアフラム37として機能するようになっている。また同様に、可撓性部材29において第1流路形成部材27の凹部32と第2流路形成部材28の凹部35との間に介在する部分は、両凹部32,35の間で弾性変形することにより変位可能な吐出側弁体38として機能するようになっている。
【0030】
そして、図1に示すように、第1流路形成部材27と第2流路形成部材28には、第2流路形成部材28の上面から突設されたインク供給針25と第1流路形成部材27の凹部30との間を連通する第1流路15aが、インク供給装置14におけるインク流路15の一部を構成するべく形成されている。同様に、第1流路形成部材27と第2流路形成部材28と可撓性部材29には、第2流路形成部材28の凹部33と第1流路形成部材27の凹部31との間を連通する第2流路15bが、インク供給装置14におけるインク流路15の一部を構成するべく形成されている。また同様に、第1流路形成部材27には、第1流路形成部材27の凹部31と凹部32との間を連通する第3流路15cが、インク供給装置14におけるインク流路15の一部を構成するべく形成されている。
【0031】
さらに、第1流路形成部材27と第2流路形成部材28と可撓性部材29には、第1流路形成部材27の凹部32と第2流路形成部材28の上面側との間を連通する第4流路15dが、インク供給装置14におけるインク流路15の一部を構成するべく形成されている。そして、この第4流路15dにおける第2流路形成部材28の上面に開口した流路開口端には、インク供給装置14におけるインク流路15の一部を構成するインク供給チューブ15eの一端が接続されている。そして、このインク供給チューブ15eの他端が記録ヘッド12側のバルブユニット17に接続されている。
【0032】
また、図1に示すように、インク供給装置14において可撓性部材29の吸引側弁体36となる部分は、その中心に貫通孔36aが形成されると共に、上側の凹部33内に配設されたコイルスプリング40の付勢力により下側の凹部30の内底面に向けて付勢されている。そして、本実施形態では、吸引側弁体36及びコイルスプリング40により、インク流路15の途中にインク流路15を開閉可能に設けられた吸引側バルブ41が構成されている。
【0033】
同様に、インク供給装置14において可撓性部材29のダイアフラム37となる部分は、上側の凹部34内に配設されたコイルスプリング42の付勢力により下側の凹部31の内底面に向けて付勢されている。そして、本実施形態では、これらの凹部31,34とダイアフラム37とコイルスプリング42により脈動型のポンプ43が構成され、ダイアフラム37と下側の凹部31とで囲み形成される容積可変の空間域がポンプ43におけるポンプ室43aとして機能するようになっている。
【0034】
また同様に、インク供給装置14において可撓性部材29の吐出側弁体38となる部分は、上側の凹部35内に配設されたコイルスプリング44の付勢力により下側の凹部32の内底面に向けて付勢されている。そして、本実施形態では、吐出側弁体38及びコイルスプリング44により、吸引側バルブ41よりもインク流路15における下流側にインク流路15を開閉可能に設けられた吐出側バルブ45が構成されている。
【0035】
さらに、図1に示すように、第2流路形成部材28の凹部34には、二股状に分岐した空気流路46を介して吸引ポンプ等からなる負圧発生装置47と大気開放機構48が接続されている。負圧発生装置47は、正逆回転可能な駆動モーター49が正転駆動した場合に図示しないワンウェイクラッチを介して伝達される駆動力により駆動して負圧を発生すると共に、空気流路46を介して接続された第2流路形成部材28の凹部34内にも同様に負圧を発生させ得るように構成されている。この点で、第2流路形成部材28の凹部34とダイアフラム37とで囲み形成される容積可変の空間域は、負圧発生装置47の駆動に伴い負圧状態となる負圧室43bとして機能するようになっている。
【0036】
一方、大気開放機構48は、大気開放孔50が形成されたボックス51内にシール部材52を大気開放孔50側に付設してなる大気開放弁53が収容されると共に、その大気開放弁53が常にはコイルスプリング54の付勢力により大気開放孔50を封止する閉弁方向に付勢された構成をしている。そして、大気開放機構48は、駆動モーター49が逆転駆動した場合に、図示しないワンウェイクラッチを介して伝達される駆動力に基づき作動するカム機構55が作動すると共に、そのカム機構55の作動により大気開放弁53がコイルスプリング54の付勢力に抗して開弁方向に変位するように構成されている。すなわち、大気開放機構48は、空気流路46を介して接続された負圧室43bが負圧状態になっている場合には、大気開放弁53が開弁動作することにより、その負圧室43b内を大気に開放して負圧状態を解消するようになっている。
【0037】
なお、図1には、負圧発生装置47、大気開放機構48、及びこれらを駆動させる駆動モーター49が、各インク色に個別対応する複数のインク供給装置14毎に1つずつ設けられた構成を例示しているが、これは次のような構成にしてもよい。すなわち、インク供給装置14のポンプ43の負圧室43bに接続される空気流路46の接続端側を各インク色に個別対応する複数のインク供給装置14の設置数に対応するように分岐させると共に、その分岐した空気流路46の各接続端を各々対応するインク供給装置14のポンプ43の負圧室43bに接続してもよい。このように構成すれば、複数のインク供給装置14に対して負圧発生装置47、大気開放機構48、駆動モーター49を1つ設けるだけで、各色のインク供給装置14を駆動することができるため、プリンター11の小型化を図ることができる。
【0038】
また、図1に示すように、インク供給装置14においてインクカートリッジ13が装着されるカートリッジホルダー(図示略)には、そのカートリッジホルダーに対してインクカートリッジ13が装着されたときに、インクカートリッジ13に設けられた回路基板60に対して接触する接続端子61が設けられている。そして、回路基板60に記録されているインクカートリッジ13における各種の情報が接続端子61を通じて制御手段の一例としての制御装置62に入力されるようになっている。
【0039】
また、図1に示すように、インク供給装置14には、断面形状が略L字状をなす変位部材の一例としての開閉扉63がカートリッジホルダーの上方に設けられている。この開閉扉63は、カートリッジホルダーの側方に配置された軸64に軸受け部63aが回動自在に支持されている。そして、開閉扉63は、カートリッジホルダーにおけるインクカートリッジ13の装着位置を上方から覆ってインクカートリッジ13の着脱動作を規制する規制位置と、インクカートリッジ13の装着位置の上方を開放してインクカートリッジ13の着脱動作を許容する許容位置との間を回動するようになっている。
【0040】
また、開閉扉63の回動部位となる軸受け部63aには、開閉扉63の回転量(回転角度)を検出する検出手段の一例としてのエンコーダー65が設けられている。そして、制御装置62は、エンコーダー65から入力される開閉扉63の回転量の検出信号に基づき、開閉扉63が規制位置及び許容位置のうち何れの回動位置に位置しているのかを判別するようになっている。
【0041】
そこで次に、以上のように構成されたプリンター11における作用について、特にインク供給装置14の作用に着目して以下説明する。
まず、前提として、図1に示す状態は、新旧インクカートリッジの交換直後であって、吸引側バルブ41の吸引側弁体36、ポンプ43のダイアフラム37、及び、吐出側バルブ45の吐出側弁体38は、いずれもコイルスプリング40,42,44の付勢力で下側の各凹部30,31,32の内底面に押し付けられた状態にあるものとする。そして、大気開放機構48は大気開放弁53が大気開放孔50を封止した閉弁状態にあるものとする。
【0042】
さて、このような図1に示す状態から、インク供給装置14がインクカートリッジ13側から記録ヘッド12側へインクを供給する場合、まず、ポンプ43をポンプ駆動させるために、駆動モーター49が正転駆動させられる。すると、負圧発生装置47が負圧を発生することにより、この負圧発生装置47と空気流路46を介して接続されたインク供給装置14の負圧室43bが負圧状態になる。そのため、ポンプ43のダイアフラム37がコイルスプリング42の付勢力に抗して負圧室43b側に弾性変形(変位)することにより、負圧室43bの容積を減少させる(図2参照)。すると、この負圧室43bの容積減少に伴い、ダイアフラム37を介して負圧室43bと区画されたポンプ43のポンプ室43aは逆に容積が増加する。
【0043】
すなわち、ポンプ43がダイアフラム37をポンプ室43aの容積が増加する方向に変位させて吸引駆動することになる。具体的には、ダイアフラム37が図1に示す下死点位置から図2に示す上死点位置に変位する。そのため、ポンプ室43a内が負圧状態になると共に、その負圧が第2流路15bを介して吸引側バルブ41の上側の凹部33に作用することにより、下側の凹部30内のインク圧力との圧力差に基づき吸引側弁体36をコイルスプリング40の付勢力に抗して上方(すなわち、開弁方向)へ弾性変形(変位)させる。その結果、第1流路15aと第2流路15bが吸引側弁体36の貫通孔36aを介して連通状態となるため、インクカートリッジ13内からインクが、第1流路15a、凹部30、貫通孔36a、凹部33、第2流路15bを経由して、ポンプ室43a内に吸引される。
【0044】
一方、このポンプ43の吸引駆動時には、ポンプ室43aの負圧が第3流路15cを介してポンプ室43aよりもインク流路15の下流側、すなわち第3流路15cにも作用する。しかし、第3流路15cの下流側が連通する吐出側バルブ45の下側の凹部32は、吐出側弁体38がコイルスプリング44により閉弁方向に付勢された状態にあるため、その閉弁状態は吐出側弁体38に対して第3流路15cの上流側からポンプ43の吐出駆動によって所定の正圧(例えば、13kpa以上の圧力)のインク吐出圧が作用しない限り開弁状態に移行しないように設定されている。したがって、この場合、吐出側バルブ45の吐出側弁体38は、負圧が作用しているため、その閉弁状態が維持される。
【0045】
そして次には、図2に示す状態において、駆動モーター49が逆転駆動される。すると、大気開放機構48のカム機構55の作動により大気開放弁53がコイルスプリング54の付勢力に抗して開弁動作することにより、負圧状態にある負圧室43bを大気開放する。そのため、ポンプ43のダイアフラム37がコイルスプリング42の付勢力により下方(すなわち、ポンプ室43aの内底面側)へ弾性変形(変位)することにより、負圧室43bの容積を増加させる(図3参照)。すると、この負圧室43bの容積増加に伴って、ダイアフラム37を介して負圧室43bと区画されたポンプ43のポンプ室43aは逆に容積が減少する。
【0046】
すなわち、ポンプ43がダイアフラム37をポンプ室43aの容積を減少させる方向に変位させて吐出駆動することになる。具体的には、図3に示すように、ダイアフラム37が上死点位置から下死点位置の方向に変位することにより、ポンプ室43a内に吸引されていたインクを所定の圧力(例えば、30kpa程度の圧力)で加圧する。そのため、ポンプ室43a内からはインクが吐出されることにより、その吐出圧がポンプ室43aよりも上流側では第2流路15bを介して吸引側バルブ41の上側の凹部33に作用するため、吸引側弁体36をコイルスプリング40の付勢力と協働して下方(すなわち、閉弁方向)へ弾性変形(変位)させる。その結果、第1流路15aと第2流路15bが吸引側弁体36の閉弁動作により非連通状態となるため、インクカートリッジ13からポンプ室43aへの吸引側バルブ41を経由したインクの吸入が停止されると共に、ポンプ43の吐出駆動に伴いポンプ室43aから吐出されたインクが吸引側バルブ41を経由してインクカートリッジ13側に逆流することが規制される。
【0047】
一方、このポンプ43の吐出駆動時には、ポンプ室43aから吐出されたインクの圧力(例えば、30kpa程度の圧力)が第3流路15cを介してインク流路15の下流側にも作用する。そのため、このポンプ43の吐出圧が閉弁状態にある吐出側弁体38を開弁動作させることにより、吐出側バルブ45における下側の凹部32を介して第3流路15cと第4流路15dが連通する。その結果、ポンプ室43a内からインクが、第3流路15c、吐出側バルブ45の下側の凹部32、第4流路15d、インク供給チューブ15eを経由してバルブユニット17に加圧状態で供給される。ちなみに、吐出側バルブ45におけるコイルスプリング44の付勢力は、吐出側バルブ45の下側の凹部32内にインクがポンプ43の吐出駆動に伴い流入してきた場合には、そのインクの吐出圧力により吐出側弁体38が上方へ弾性変形できるように、例えば13kpa程度に設定されている。
【0048】
そして、以後は、ダイアフラム37に加圧されてポンプ室43aから吐出されるインクの吐出圧がインク流路15における吸引側バルブ41の上側の凹部33よりも下流側の各流路域(ポンプ室43a及び吐出側バルブ45の下側の凹部32を含む)に均衡する状態が維持される。その後において、記録ヘッド12からインクがターゲット(図示略)に向けて噴射されると、そのインク噴射に伴うインクの消費量に相当する分量のインクがバルブユニット17を介してインク流路15内から記録ヘッド12側に供給される。そのため、この下流側(記録ヘッド12側)でのインク消費に伴って、その消費量に対応するインク量のインクが記録ヘッド12側となる下流側にコイルスプリング42の付勢力でポンプ室43aの容積が減少する方向へ付勢されたダイアフラム37の押圧力に基づき加圧状態で供給される。
【0049】
その結果、ポンプ室43a内の容積及び吐出側バルブ45における下側の凹部32と吐出側弁体38とにより囲み形成された空間域の容積が次第に減少するため、遂にはダイアフラム37が下死点位置付近まで変位すると共に、吐出側弁体38が第4流路15dを閉塞する閉弁位置付近まで変位するようになる。ちなみに、本実施形態では、この時点でダイアフラム37に押圧されてポンプ室43aから吐出されるインクの吐出圧は13kpa程度となる。
【0050】
すると、駆動モーター49が再び正転駆動されることにより、大気開放機構48では大気開放弁53が大気開放孔50を閉塞する閉弁位置に変位すると共に、負圧発生装置47が負圧を発生して負圧室43bが負圧状態となることにより、ダイアフラム37がコイルスプリング42の付勢力に抗して、負圧室43b側に弾性変形(変位)する。すなわち、再び、ポンプ43が吸引駆動を開始する。その結果、ダイアフラム37がポンプ室43aの容積を増加させるべく上死点位置に変位することにより、ポンプ室43a内が負圧状態になるため、その負圧の作用で吸引側弁体36が開弁方向へ弾性変形(変位)する。したがって、第1流路15aと第2流路15bが吸引側弁体36の貫通孔36aを介して連通状態となるため、インクカートリッジ13内からインクが再びポンプ室43a内に吸引される。以後、上記と同様のポンプ43の吐出駆動が実行されることにより、ポンプ室43a内からインクが下流側のインク流路域を経由して記録ヘッド12へと加圧供給される。
【0051】
ところで、本実施形態のプリンター11において、インクカートリッジ13を交換する際には、まず、図1に示す状態から開閉扉63が軸64を中心として回動操作される。すると、開閉扉63の回転量を検出する検出信号がエンコーダー65から制御装置62に送信されることにより、開閉扉63の回動量が制御装置62によって計測される。そして、図4に示すように、インクカートリッジ13の取り外し予備動作となる、規制位置から許容位置への開閉扉63の変位動作が制御装置62によって判別された時点で、制御装置62からの制御信号に基づいて駆動モーター49が正転駆動される。
【0052】
すると、負圧発生装置47が負圧を発生することにより、この負圧発生装置47と空気流路46を介して接続されたインク供給装置14の負圧室43bが負圧状態になる。そのため、図5に示すように、ポンプ43のダイアフラム37がコイルスプリング42の付勢力に抗して負圧室43b側に弾性変形(変位)することにより、負圧室43bの容積を減少させる。
【0053】
すると、この負圧室43bの容積の減少に伴って、ダイアフラム37を介して負圧室43bと区画されたポンプ43のポンプ室43aは逆に容積が増加する。そして、ポンプ室43a内が負圧状態になると共に、その負圧が第2流路15bを介して吸引側バルブ41の上側の凹部33に作用する。その結果、下側の凹部30内のインク圧力との圧力差に基づき吸引側弁体36がコイルスプリング40の付勢力に抗して上方(すなわち、開弁方向)へ弾性変形(変位)することにより、第1流路15aと第2流路15bが吸引側弁体36の貫通孔36aを介して連通した状態となる。そして、第1流路15a内のインクには、第2流路15b、凹部33、貫通孔36a、凹部30を経由してポンプ室43a側に向けての吸引力が作用する。
【0054】
なお、開閉扉63が許容位置に到達してからインクカートリッジ13がインク供給装置14から取り出されるまでには若干の所要時間を要する。そして、この所要時間の間には、ポンプ室43a内の負圧に基づいて、第1流路15aの上流端を構成するべく突設されたインク供給針25を通じてインクカートリッジ13内からインク流路15内にインクが流入する。そのため、図6に示すように、ポンプ室43aの負圧が次第に減少して吸引側弁体36が閉弁した状態で、インクカートリッジ13がインク供給装置14から取り外される。
【0055】
この場合、ポンプ室43aから第1流路15a及び凹部33を通じて吸引側弁体36に対してインクの吐出圧が作用することはない。そのため、吸引側弁体36が下側の凹部30に向けて弾性変形することがないため、吸引側バルブ41の下側の凹部30内のインクが上流側に向けて押し込まれるように流動することはなく、かかるインクが第1流路15a内に逆流することもない。したがって、第1流路15aの上流端を構成するべく突設されたインク供給針25からインクが外部に漏出することが抑制される。
【0056】
また、この場合、吸引側バルブ41は、吸引側弁体36の閉弁に伴って、ポンプ室43aに連通する上側の凹部33と第1流路15aに連通する下側の凹部30とが非連通状態にある。そのため、ポンプ室43a内の負圧が第1流路15a内のインクに作用することはほとんどない。したがって、第1流路15aの上流端を構成するべく突設されたインク供給針25を通じて第1流路15a内に気泡が混入することが抑制される。
【0057】
そして、ダイアフラム37が図6に示す上死点位置に位置した状態で、インク流路15の上流端を構成するべく突設されたインク供給針25に対して新たなインクカートリッジ13が挿入される。すると、インクカートリッジ13の側面に設けられた回路基板60がカートリッジホルダーに設けられた接続端子61に対して接触するようになるため、回路基板60から接続端子61に電流が導通されるようになる。そして、この電流の変化の検出信号が接続端子61から制御装置62に送信される。
【0058】
そして次に、開閉扉63が軸64を中心として回動操作されると、開閉扉63の回転量を検出する検出信号がエンコーダー65から制御装置62に送信されることにより、開閉扉63の回動量が制御装置62によって計測される。そして、上記のように回路基板60から接続端子61に導通される電流の変化の検出信号が接続端子61から制御装置62に送信された上で、開閉扉63が許容位置から規制位置に至るまで回動した旨が制御装置62によって判別された時点で、インク供給装置14に対するインクカートリッジ13の装着動作が完了した旨が制御装置62によって検出される。その結果、駆動モーター49は、制御装置62からの制御信号に基づいて逆転駆動される。
【0059】
すると、大気開放機構48のカム機構55の作動により大気開放弁53がコイルスプリング54の付勢力に抗して開弁動作することにより、負圧状態にある負圧室43bを大気開放する。そのため、ポンプ43のダイアフラム37がコイルスプリング42の付勢力により下方(すなわち、ポンプ室43aの内底面側)へ弾性変形(変位)することにより、負圧室43bの容積を増加させる。すると、この負圧室43bの容積増加に伴って、ダイアフラム37を介して負圧室43bと区画されたポンプ43のポンプ室43aは逆に容積が減少する。
【0060】
すなわち、ポンプ43がダイアフラム37をポンプ室43aの容積を減少させる方向に変位させて吐出駆動することになる。そのため、ポンプ室43a内からはインクが吐出されることにより、その吐出圧がポンプ室43aよりも上流側では第2流路15bを介して吸引側バルブ41の上側の凹部33に作用する。その結果、吸引側弁体36が下側の凹部30に向けて弾性変形することにより、吸引側バルブ41の下側の凹部30内のインクが上流側に向けて押し込まれるように流動するため、かかるインクが第1流路15a内に逆流する。しかしながら、この時点では、インク供給装置14に対するインクカートリッジ13の装着動作が既に完了しているため、第1流路15a内に逆流したインクはインク供給針25を通じてインクカートリッジ13内に収容される。したがって、ポンプ43の吐出駆動に伴って、第1流路15aの上流端を構成するべく突設されたインク供給針25からインクが外部に漏出することが抑制される。
【0061】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)開閉扉63の変位動作(開放動作)に伴って、ポンプ室43aの容積を増大させるようにポンプ43が吸引動作すると、インク流路15内のインクには負圧が作用する。そのため、インク流路15内のインクにはポンプ室43aに向けての吸引力が作用する。そして、この状態でインクカートリッジ13の取り外し動作を行うことにより、インク流路15内からインクが漏出することを抑制できる。
【0062】
(2)ポンプ室43aの容積を減少させるようにポンプ43が吐出動作する前段階で、インクカートリッジ13の装着動作が行われる。そのため、ポンプ43の吐出動作に伴って、インク流路15内においてポンプ室43aから上流側にインクが逆流した場合であっても、逆流したインクはインクカートリッジ13内に収容されることにより、この逆流したインクがインク流路15から漏出することを抑制できる。
【0063】
(3)インクカートリッジ13の取り外し動作に先立って行われる、規制位置から許容位置への開閉扉63の変位動作を検出した場合に、ポンプ43の吸引動作を実行することにより、インクカートリッジ13の取り外し動作時に、インク流路15内からインクが漏出することを抑制できる。
【0064】
(4)インクカートリッジ13の装着動作に先立って起こる、回路基板60から接続端子61に導通される電流の変化、及び規制位置から許容位置への開閉扉63の変位動作の双方を検出することにより、インクカートリッジ13の装着動作を正確に検出することができる。
【0065】
(5)開閉扉63が許容位置に到達してからインクカートリッジ13がインク供給装置14から取り出されるまでの間には若干の時間差が確保されている。そのため、インクカートリッジ13がインク供給装置14から取り外される時点では吸引側バルブ41は閉弁状態にあるため、ポンプ室43a内の負圧が第1流路15a内のインクに作用することはほとんどない。したがって、第1流路15aの上流端を構成するべく突設されたインク供給針25を通じて第1流路15a内に気泡が混入することを抑制できる。
【0066】
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、制御装置62は、開閉扉63の変位動作及び回路基板60から接続端子61に導通される電流の変化のうち何れか一方の動作を検出した際に、インクカートリッジ13の装着動作を検出するようにしてもよい。また、制御装置62がインクカートリッジ13の装着動作を検出する際の判断要素となる動作は、開閉扉63の変位動作や回路基板60から接続端子61に導通される電流の変化に限られるものではなく、インクカートリッジ13の装着動作に付随して起こる動作であれば任意の動作を採用することができる。
【0067】
・上記実施形態において、制御装置62は、インクカートリッジ13の取り外し動作に先立って起こるインクカートリッジ13の取り外し予備動作である、回路基板60から接続端子61に導通される電流の変化を検出した時点で、ポンプ43の吸引動作を実行するようにしてもよい。また、制御装置62がポンプ43の吸引動作を実行する際の判断要素となるインクカートリッジ13の取り外し予備動作は、開閉扉63の変位動作や回路基板60から接続端子61に導通される電流の変化に限られるものではなく、インクカートリッジ13の取り外し動作に先立って行われる動作であれば任意の動作を採用することができる。
【0068】
・上記実施形態において、開閉扉63は、軸64を中心として回動する構成に限定されるものではなく、例えば、カートリッジホルダーにおいてインクカートリッジ13の装着位置の上方を水平に横切る構成であってもよい。すなわち、インクカートリッジ13の着脱動作を規制する規制位置と、インクカートリッジ13の着脱動作を許容する許容位置との間で変位可能な構成であれば、開閉扉63の変位方向として任意の方向を採用することができる。
【0069】
・上記実施形態において、制御装置62は、インクカートリッジ13の装着動作を検出してから若干の時間を経た後に、ポンプ43の吐出駆動を実行するようにしてもよい。この構成によれば、ポンプ43の吐出駆動に伴って、インク流路15の上流端を構成するべく突設されたインク供給針25からインクが漏出することを更に確実に抑制することができる。
【0070】
・なお、本明細書における「液体」には、インク以外の他の液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体も含むものとする。そして、こうした「液体」を噴射したり吐出したりする液体噴射装置としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
11…液体噴射装置の一例としてのインクジェット式プリンター、12…液体噴射ヘッドの一例としての記録ヘッド、13…液体供給源の一例としてのインクカートリッジ、14…液体供給装置の一例としてのインク供給装置、15…液体供給流路の一例としてのインク流路、43…ポンプ、43a…ポンプ室、60…回路基板、61…接続端子、62…制御手段の一例としての制御装置、63…変位部材の一例としての開閉扉、64…検出手段の一例としてのエンコーダー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在に装着された液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側に向けて液体を供給する液体供給流路と、
前記液体供給流路の一部をポンプ室としてポンプ駆動するポンプと、
前記液体供給源の取り外し動作に先立って行われる取り外し予備動作を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記液体供給源の取り外し予備動作を検出した場合に、前記ポンプ室の容積を増大させるように前記ポンプを吸引動作させる制御手段と
を備えたことを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体供給装置において、
前記検出手段は、前記液体供給源の装着動作を検出可能に構成され、
前記制御手段は、前記検出手段が前記液体供給源の装着動作を検出した場合に、前記ポンプ室の容積を減少させるように前記ポンプを吐出動作させることを特徴とする液体供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液体供給装置において、
前記液体供給源の着脱動作を規制する規制位置と、前記液体供給源の着脱動作を許容する許容位置との間で変位する変位部材を更に備え、
前記液体供給源の取り外し予備動作は、前記規制位置から前記許容位置への前記変位部材の変位動作であることを特徴とする液体供給装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の液体供給装置において、
前記液体供給源の装着時に、該液体供給源に設けられた回路基板に対して電気的に接続される接続端子を更に備え、
前記液体供給源の取り外し予備動作は、前記回路基板から前記接続端子に導通される電流の変化であることを特徴とする液体供給装置。
【請求項5】
請求項2に記載の液体供給装置において、
前記液体供給源の着脱動作を規制する規制位置と、前記液体供給源の着脱動作を許容する許容位置との間で変位する変位部材と、
前記液体供給源の装着時に、該液体供給源に設けられた回路基板に対して電気的に接続される接続端子とを更に備え、
前記検出手段は、前記回路基板から前記接続端子に導通される電流の変化を検出すると共に、前記許容位置から前記規制位置への前記変位部材の変位を検出した場合に、前記液体供給源の装着動作を検出することを特徴とする液体供給装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の液体供給装置と、
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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