説明

液体供給装置及び液体容器

【課題】容器装着部の挿入口へ液体容器が挿入される姿勢を容易且つ確実に決定できる手段を提供する。
【解決手段】容器本体31は、凸条51及び凹条52から構成されるガイド47,48が形成された左側面41及び右側面42と、インク供給バルブ32が配置された背面44と、を有する。凸条51及び凹条52が延びる第1方向は、インク供給バルブ32から液体が流出する第2方向と異なる方向である。ケースは、凸条51及び凹条52と係合するガイド部が形成された挿入口を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容する液体容器と、該液体容器を装着可能な容器装着部とを具備してなる液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体供給装置が適用されるものとして、インクジェット記録装置があげられる。インクジェット記録装置は、記録ヘッドに供給されたインクをノズルから噴射することにより、記録用紙上に画像を記録する。液体供給装置は、記録ヘッドにインクを供給する。インクが消費されると、液体供給装置の液体容器が交換される。この液体容器は、一般にインクカートリッジと称される。
【0003】
インクジェット記録装置は、小型化及び薄型化されている。このようなインクジェット記録装置は、机上に設置されることが多い。設置されたインクジェット記録装置は、ユーザの視点より低い位置にある。記録ヘッドにおけるインクの液面とインクカートリッジにおけるインクの液面との水頭差によって、記録ヘッドにおいてインクに負圧を与えようとすると、インクカートリッジは、記録ヘッドより低い位置に設置されることが好適であり、インクジェット記録装置の底側に装着されることが多い。インクカートリッジの交換においては、装置の正面側又は上面側からインクカートリッジが着脱できることが便利である。ユーザは、装置を見下ろすようにしてインクカートリッジの交換を行うと想定されるから、インクカートリッジの着脱が斜め方向であると操作性に優れる。
【0004】
特許文献1には、タンク装着部に対して斜め方向からインクタンクを装着する構成が開示されている。インクタンクの装着をガイドするために、インクタンクにガイド突起が設けられている。このガイド突起に対応して、傾斜面を有するガイドレールがタンク装着部に形成されている。ガイド突起がガイドレールの傾斜面と摺接することにより、インクタンクの装着方向がガイドされる。
【0005】
特許文献2には、側壁に凹凸部位を有するタンクが開示されている。この凹凸部位が相互に係合することにより、複数のタンクが一体となるので、製造の際やインクタンクの交換の際に利点がある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−230704号公報
【特許文献2】特開平8−216429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インクカートリッジは、合成樹脂の成形品であることが多い。特許文献1に開示されているガイド突起を合成樹脂の成形品としてインクタンクに一体に形成すると、インクタンクの着脱に際して加えられる負荷によって、ガイド突起が破損するおそれがある。
【0008】
また、インクカートリッジの交換作業において、更なる操作性の向上が期待されている。例えば、交換作業において、インクカートリッジの挿入方向が簡易な構成でガイドされたり、インクカートリッジの姿勢が安定されることが望まれる。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容器装着部の挿入口へ液体容器が挿入される姿勢を容易且つ確実に決定できる手段を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、インクカートリッジの操作性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1) 本発明に係る液体供給装置は、液体を収容する容器本体及び該容器本体に収容された液体を外部へ流出させる液体供給部を備えた液体容器と、該液体容器を装着可能な容器装着部と、を具備してなる。上記容器本体は、相互に対向し、かつ所定の第1方向に沿った凸条又は凹条の少なくともいずれか一方が少なくともいずれか一方の面に形成された一対の第1面及び第2面と、上記第1面及び上記第2面と隣接し、かつ上記液体供給部が配置された第3面と、を有し、上記第1方向が、上記液体供給部から液体が流出する第2方向と異なる方向である。上記容器装着部は、上記凸条又は凹条と係合するガイド部が形成された挿入口を有する。
【0012】
容器本体の内部には液体が封入される。容器本体内の液体は液体供給部から外部へ流出される。容器本体の第1面及び第2面の少なくともいずれか一方には、凸条又は凹条の少なくともいずれか一方が形成されている。凸条又は凹条によって容器本体の強度が向上される。また、凸条又は凹条は、液体供給部から液体が流出する第2方向と異なる第1方向に沿っている。凸条又は凹条にユーザが指を掛けることにより、第2方向を水平方向として容器本体を第1方向から挟み持つ際に持ちやすくなり、かつ、凸条又は凹条が滑り止めとして機能する。
【0013】
容器装着部の挿入口には、容器本体の凸条又は凹条と係合するガイド部が形成されているので、液体容器が第1方向へ確実にガイドされて挿入口へ挿入される。
【0014】
(2) 上記第2方向は水平方向であり、上記第1方向は、上記液体供給部から離れるにつれて、水平方向に対して上方へ傾斜した方向である実施態様が考えられる。これにより、容器装着部に対して液体容器を斜め上方から挿入できるので、操作性に優れる。
【0015】
(3) 上記容器本体が、上記第1面及び第2面の各面積が他の面の各面積より大きい扁平薄型である場合に本発明が好適である。
【0016】
(4) 上記凸条又は凹条は、上記第1面又は上記第2面における上記第3面側の一部に形成されたものであってもよい。
【0017】
液体容器の挿入方向が第1方向から変化する場合に有用な実施態様である。挿入方向が第1方向から変化する場合として、例えば、装着状態において第2方向を水平方向とする実施態様が考えられる。
【0018】
(5) 本発明は、ガイド部が形成された挿入口を有する容器装着部に装着可能であり、液体を収容する容器本体及び該容器本体に収容された液体を外部へ流出させる液体供給部を有する液体容器として捉えることができる。上記容器本体は、相互に対向し、かつ上記ガイド部と係合する凸条又は凹条の少なくともいずれか一方が少なくともいずれか一方の面に所定の第1方向に沿って形成された一対の第1面及び第2面と、上記第1面及び上記第2面と隣接し、かつ上記液体供給部が配置された第3面と、を有し、上記第1方向が、上記液体供給部から液体が流出する第2方向と異なる方向である。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明によれば、容器本体の第1面又は第2面に形成された凸条又は凹条によって容器本体の強度が向上されるので、容器本体が変形しにくくなる。また、第1方向に沿った凸条又は凹条によって、ユーザが、第2方向を水平方向として容器本体を第1方向から挟み持ちやすい。また、凸条又は凹条が滑り止めとして機能するので、容器本体の操作性が向上される。また、凸条又は凹条とガイド部との係合によって液体容器が第1方向へガイドされるので、液体容器を第1方向に沿って挿入口へ円滑に挿入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0021】
<複合機10の全体構成>
図1は、本発明に係る液体供給装置であるリフィルユニット100を備えた複合機10の外観を示す斜視図である。複合機10は、プリンタ部12及びスキャナ部13を一体的に備えた多機能装置である。プリンタ部12及びスキャナ部13は、スキャナ部13を上側として上下二段に構成されている。プリンタ部12は、インクジェット記録方式を採用したプリンタである。スキャナ部13は、フラットベッドスキャナとオート・ドキュメント・フィーダ15とを有するスキャナである。複合機10は、コンピュータやデジタルカメラなどの外部情報機器と接続されうる。複合機10は、外部情報機器から送信されたデータに基づいて、或いはスキャナ部13が読み取った画像データに基づいて、画像記録を行う。
【0022】
複合機10の外形は、高さより横幅及び奥行きが大きい幅広薄型の直方体である。プリンタ部12は、装置正面側に開口17が形成された筐体14を有する。開口17を通じて、プリンタ部12に給紙トレイ及び排紙トレイが着脱可能である。なお、図1においては、図右手前側が装置正面側である。
【0023】
筐体14における装置正面右側には扉20が設けられている。扉20は、筐体14に対して開閉可能である。扉14が開かれると、装置内部へアクセス可能な開口が開かれる。この開口を通じて、装置内部に設けられたリフィルユニット100にアクセス可能となる。つまり、この開口を通じてインクカートリッジ30の交換が行われる。なお、リフィルユニット100は筐体14内にあるので、図1には示されていない。
【0024】
リフィルユニット100は、4つのケース101を有する。ケース101は、本発明に係る容器装着部の一例である。各ケース101には、4つのインクカートリッジ30がそれぞれ装着可能である。インクカートリッジ30は、本発明に係る液体容器の一例である。なお、図1ではインクカートリッジ30は示されていない。4つのインクカートリッジ30には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色の液体インクがそれぞれ収容されている。プリンタ部2は、各インクカートリッジ30から流出される4色のインクを用いて画像記録を行う。
【0025】
<インクカートリッジ30>
以下に、インクカートリッジ30の構造が説明される。図2は、インクカートリッジ30の外観構成を示す外観斜視図である。図3は、インクカートリッジ30の側面図である。図4は、インクカートリッジ30の内部構成を示す縦断面図である。
【0026】
インクカートリッジ30は、容器本体31と、インク供給バルブ32と、残量検出部33とを有する。インク供給バルブ32は、本発明における液体供給部に相当する。容器本体31の内部には、前述されたインクが収容されている。容器本体31に収容されたインクは、インク供給バルブ32を通じて外部へ流出可能である。残量検出部33は、容器本体31内のインクの有無を検知するための窓である。
【0027】
容器本体31は、扁平薄型の6面体である。図2におけるx方向がケース101の奥行き方向である。図2におけるy方向が容器本体31の厚み方向であり、容器本体31は、y方向に対して薄く扁平である。図2におけるz方向が容器本体31の上下方向である。
【0028】
容器本体31は、y方向において相互に対向する左側面41及び右側面42と、x方向において相互に対向する正面43と背面44と、z方向において相互に対向する上面45と下面46とを有する。なお、図2では、容器本体31の背面44、左側面41、及び上面45が現れており、正面43、右側面42、及び下面46は現れていない。
【0029】
左側面41及び右側面42は、容器本体31の外面を構成する6面において最大面積である。正面43及び背面44は、左側面41及び右側面42と隣接している。正面43は、インクカートリッジ30をケース101に装着した状態において、複合機1の正面側を向く。背面44には、インク供給バルブ32及び残量検出部33が設けられている。上面45及び下面46は、左側面42及び右側面43と隣接する。それぞれ相互に対向する左側面41と右側面42とが平行であり、正面43と背面44とが平行であり、上面45と下面46とが平行である。
【0030】
本実施形態において、左側面41が本発明に係る第1面に相当し、右側面が本発明に係る第2面に相当し、背面44が本発明に係る第3面に相当する。なお、本発明において、第1面と第2面は相対的な関係にあり、これらは相互に入れ替わってもよい。
【0031】
左側面41及び右側面42において、背面44側の一部には、ガイド47,48がそれぞれ形成されている。ガイド47,48が、容器本体31において左右対称に形成されているので、以下に、左側面41におけるガイド47を例に詳細な構成が説明される。
【0032】
図2に示されるように、左側面41における背面44側の一部には、ガイド47が形成されている。ガイド47が形成される範囲は、インクカートリッジ30の挿入方向へのガイド及び持ちやすさを考慮して適宜設定される。例えば、本実施形態のように、挿入方向が第1方向から第2方向へ変化する場合には、ガイド47は、容器本体31の奥行き方向(x方向、図2における左右方向)における長さに対して約半分以下の範囲で設定されることが好ましい。
【0033】
ガイド47は、容器本体31の厚み方向(y方向)へ突出する複数の凸条51と、容器本体31の厚み方向へ凹陥する複数の凹条52とから構成される。凸条51及び凹条52は、容器本体31の高さ方向(z方向)において交互に配置されている。また、相互に隣接する凸条51と凹条52との間には、傾斜面が形成されている。つまり、複数の凸条51及び凹条52によって、容器本体31の高さ方向に複数の凹凸形状が形成されている。凸条51及び凹条52は、この凹凸形状の尾根と谷とをなす。
【0034】
各凸条51及び各凹条52は、容器本体31の奥行き方向(矢印70)に対して傾斜した方向(矢印71)へ延びている。矢印71で示される方向が、本発明における第1方向であり、矢印70で示される方向が本発明における第2方向である。第1方向は、第2方向に対して角度θをなして、インク供給バルブ32から離れるにつれて上方へ傾斜した方向である。つまり、第1方向と第2方向とは異なる方向である。後述されるように、第2方向は、水平方向であって、インク供給バルブ32から液体が流出される方向と合致する。
【0035】
各凸条51及び各凹条52が延びる方向は、すべて第1方向(矢印71)であり、各凸条51及び各凹条52は平行である。また、隣接する凸条51と凹条52との間の距離は等間隔(ピッチ)である。なお、凸条51と凹条52とは相対的なものであり、本実施形態では、凸条51が左側面41から突出している。凹条52は、左側面41から凹陥しておらず、2つの凸条51の間に配置された結果、凹陥形状をなしている。したがって、図2に示されるように、左側面41及び右側面42において対応する一対の凸条51間の距離D2は、容器本体31の厚みD1より大きい。また、左側面41及び右側面42において対応する一対の凹条52間の距離D3は、容器本体31の厚みD1と同等である。
【0036】
図4に示されるように、容器本体31の内部空間はインク貯留室36をなす。インク貯留室36は、所定容量のインクを外部へ流出させることなく貯留する。インク貯留室36は、容器本体31の筐体によって構成されても、例えば、フレームやインクパックなどの別部材によって構成されてもよい。
【0037】
インク供給バルブ32は、容器本体31の背面44の下側に設けられている。インク供給バルブ32の一方端は容器本体31の外側に対して露出されており、他方端はインク貯留室36の内部に対して露出されている。インク供給バルブ32は、インク流路39及びバルブを有する。なお、図4では、インク流路39は点線で示されており、バルブは省略されている。インク流路39は、インク供給バルブ32の両端に開口して液体が流通可能な流路である。インク流路39は、矢印70で示される方向へ形成されている。バルブは所謂逆止弁であり、プッシュロッド104がジョイントされることによりインク流路39を開放し、プッシュロッド104が外されるとインク流路39を閉塞する。このような逆止弁は公知であるので詳細な構成の説明は省略される。インク供給バルブ32を通じて、インク貯留室36内のインクが外部へ流出しうる。
【0038】
残量検出部33は、インク貯留室36に貯留されているインク量を検出するためのものである。残量検出部33は、容器本体31の背面44において、インク供給バルブ32の上側に設けられている。残量検出部33の外形は薄板形状であり、厚み方向を水平方向として背面44から外向きに突出している。残量検出部33の内部は空洞であり、インク貯留室36と通じている。したがって、残量検出部33の内部には、インク貯留室36のインク量に応じて、インクが流出入する。残量検出部33は、透明な合成樹脂で成形されており、後述されるように、ケース101に取り付けられた光センサ103による検出光が透過可能である。
【0039】
インク貯留室36には、センサーアーム60が設けられている。センサーアーム60は、インク貯留室36に貯留されたインクの液量を検出するための部材である。センサーアーム60は、合成樹脂で構成されている。このセンサーアーム60は、大別して、遮蔽板62と、アーム63と、フロート64とを有する。遮蔽板62は、アーム63の一端側に設けられている。フロート64は、アーム63の他端側に設けられている。
【0040】
遮蔽板62は、薄板形状である。遮蔽板62は、光センサ103による検出光を遮蔽する。遮蔽板62は、厚み方向をy方向(図2参照)として残量検出部33内に配置されている。インクカートリッジ30はほぼx方向に挿入されるが、遮蔽板62の厚み方向は、インクカートリッジ30の挿入方向に対して直交する。インクカートリッジ30を挿入する際に、インク貯留室36内のインクがx方向に移動して残量検出部33内を流出入することが想定されるが、このインクの移動は、遮蔽板62の表裏面に沿った方向となる。したがって、前述されたインクの移動によって遮蔽板62が移動することを極力少なくすることができるので、インクカートリッジ30を挿入する際に、センサアーム60の姿勢が安定する。
【0041】
アーム63には、連結軸66が設けられている。連結軸66は、容器本体31の左側面41及び右側面42の内壁において回転自在に支持されている。アーム63は、鈍角に曲折されている。この曲折角度は、連結軸66によってアーム62が回転自在に支持された状態で、遮蔽板62を残量検出部33に位置せしめ、かつフロート64をインク貯留室36の底付近に位置せしめるように設定される。アーム63は、連結軸66を中心として回転可能であり、これにより、遮蔽板62又はフロート64が他の部材に当接しない範囲で、センサーアーム60がインク貯留室36内において揺動自在となる。アーム63も薄板形状である。この作用効果は、前述された遮蔽板62と同様である。
【0042】
フロート64は、内部が空洞化された中空形状である。フロート64は、インクに対して所定の浮力を有する。センサアーム60において、連結軸66より遮蔽板62側の重量に対して、連結軸66よりフロート64側の重量が重い。したがって、大気中では、フロート64が下側となるようにセンサアーム60が回転する。例えば、図4において2点鎖線で示されるように、インク貯留室36内のインクの液面が低くなると、フロート64は重力の作用によって下降する。これにより、図4において2点鎖線で示されるように、遮蔽板62が残量検出部33内を上方向へ移動し、残量検出部33の天井面54に当接して静止する。この状態で、遮蔽板62は、光センサ103の検出光を遮蔽しない。
【0043】
図4に示されるように、センサアーム60がインクに浸かると、フロート64に生じた浮力によって、前述された関係が逆転する。つまり、フロート64がインク中を浮き上がり、センサアーム60は、フロート64が上側となるように回転する。これによって、遮蔽板62が残量検出部33内を下方向へ移動して、残量検出部33の底面53に当接して静止する。この状態で、遮蔽板62は、光センサ103の検出光を遮蔽する。フロート64も薄板形状である。この作用効果は、前述された遮蔽板62と同様である。
【0044】
なお、詳細には説明されないが、容器本体31には、インク貯留室36を大気開放するための大気連通孔が形成されていてもよい。この大気連通孔によって、インク貯留室36内の気圧が大気圧となり、インク貯留室36から一定の圧力でインクが流出される。
【0045】
<ケース101>
以下に、ケース101の構成が説明される。図5は、ケース101の内部構成を示す縦断面図である。図6は、ケース101の正面側を示す正面図である。図7は、図5におけるVII−VII断面を示す断面図である。なお、図6では、ロックレバー106が省略されている。リフィルユニット100は、4つのケース101を有するが、各ケース101の構成は同様であるので、1つのケース101を例に詳細な構成が説明される。
【0046】
図5に示されるように、ケース101は、ケース本体105とロックレバー106とを備える。ケース本体105の内部空間は空洞であり、この空洞が収容室107をなしている。収容室107は、装置正面側に開口する挿入口120を有する。なお、図5においては、図右側が装置正面側である。収容室107には、挿入口120を通じてインクカートリッジ30が相抜される。収容室107は、奥壁111、天井壁112、底壁113を有する。さらに、収容室107は、これらと隣接して側壁114と、側壁114に対向する側壁115(図7参照)を有するが、側壁115は図5には示されていない。天井壁112より挿入口120側には、上傾斜壁116が形成されている。
【0047】
天井壁112及び底壁113は、水平面である。上傾斜壁116が天井壁112に対してなす角度は、インクカートリッジ30をケース101に対して斜め上方から装着する角度θを考慮して設定される。角度θは、容器本体31の凸条51及び凹条52の延びる方向(矢印71)がインク供給バルブ32から液体が流出する方向(矢印70)に対して傾斜する角度θである。
【0048】
収容室107の挿入口120は、底壁113と両側壁114,115(側壁115は図5において不図示)と上傾斜壁116とによって構成されている。側壁114には、ガイド部121が形成されている。側壁114と対向する側壁115にもガイド部122(図6参照)が形成されているが、図5には現れていない。ガイド部121,122は、ケース本体101において左右対称に形成されているので、以下に、側壁114におけるガイド部121を例に詳細な構成が説明される。
【0049】
図5に示されるように、側壁114における挿入口120には、ガイド部121が形成されている。ガイド部121が形成される範囲は、挿入口120付近の一部であり、インクカートリッジ30の容器本体31に形成されたガイド48の長さに対応させて設定される。
【0050】
ガイド部121は、ガイド48と係合可能である。つまり、ガイド部121は、ガイド48の凹凸形状と係合する凹凸形状をなしている。図5及び図6に示されるように、ガイド部121は、側壁114の厚み方向(図6における左右方向)へ凹陥する複数の凹条123と、側壁115から内側へ突出する複数の凸条124とから構成される。凹条123及び凸条124は、挿入口120の高さ方向(図6における上下方向)において交互に配置されている。また、相互に隣接する凹条123と凸条124との間には、傾斜面が形成されている。つまり、複数の凹条123及び凸条124によって、側壁114の高さ方向に複数の凹凸形状が形成されている。凹条123及び凸条124は、この凹凸形状の谷と尾根とをなす。
【0051】
各凹条123及び各凸条124は、側壁114の奥行き方向(矢印108)に対して傾斜した方向(矢印109)へ延びている。矢印109で示される方向が、本発明における第1方向であり、矢印108で示される方向が本発明における第2方向であり、第1方向は、第2方向に対して角度θをなしている。
【0052】
各凹条123及び各凸条124が延びる方向は、すべて第1方向(矢印109)であり、各凹条123及び各凸条124は平行である。また、隣接する凹条123と凸条124との間の距離は等間隔(ピッチ)である。このピッチは、容器本体31における凸条51と凹条52とのピッチに対応している。なお、凹条123と凸条124とは相対的なものであり、本実施形態では、凸条124が側壁114から内側へ突出している。凹条123は、側壁114から凹陥しておらず、2つの凸条124の間に配置された結果、凹陥形状をなしている。したがって、図6及び図7に示されるように、ガイド121,122において対応する一対の凸条124間の距離D5は、収容室107における側壁114,115間の距離D4より小さい。また、ガイド121,122において対応する一対の凹条123間の距離D6は、側壁114,115間の距離D4と同等である。また、距離D4は、容器本体31におけるガイド47,48の距離D2と同等であり、距離D5,D6は、容器本体におけるガイド47,48の距離D1,D3と同等である。
【0053】
図6において、挿入口120の高さH2は、容器本体31の高さH1(図2参照)より大きい。詳細には、容器本体31の高さH1に対して、凸条51と凹条52とのピッチ分だけ大きい。これにより、容器本体31を挿入口120に対して斜め上方から挿入することができる。なお、収容室107の底壁113における挿入口120側に、上傾斜壁116と同様に傾斜する下傾斜壁を設けた場合には、挿入口120の高さH2を、容器本体31の高さH1と同等にすることができる。
【0054】
奥壁111と天井壁112との隅には、天井壁112から下側へ向かって突出する垂れ壁118が設けられている。垂れ壁118は、容器本体31の背面44と当接して、容器本体31の装着位置を位置決めするものである。
【0055】
奥壁111と底壁113との隅に沿って、凹溝119が形成されている。凹溝119は、インクカートリッジ30のインク供給バルブ32又はケース101のプッシュロッド104から滴下したインクを受けるためのものである。
【0056】
奥壁111に、光センサ103が設けられている。光センサ103は、装着状態のインクカートリッジ30における残量検出部33の位置に対応している。光センサ103は、透過型のフォトインタラプタである。図6及び図7に示されるように、光センサ103は、出射部131と受光部132とを有する。出射部131と受光部132とは、水平方向に対向されている。この出射部131と受光部132との間に残量検出部33が位置される。出射部131から残量検出部33の厚み方向(図6及び図7における左右方向)に検出光が出射され、その検出光を受光部132が受光する。光センサ103は、受光部132の受光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号に基づいて、インク貯留室36内のインク残量が判定される。
【0057】
奥壁111の下側にはプッシュロッド104が設けられている。プッシュロッド104は中空管であり、その一端は奥壁111から水平方向へ突出している。プッシュロッド104は、ケース本体105を貫通して、その他端がケース本体105の外側へ至る。図5には詳細に示されていないが、プッシュロッド104の他端はインクチューブと接続されている。インクチューブは、リフィルユニット100から記録ヘッドまでのインク流路を形成する。
【0058】
ロックレバー106は、挿入口120を開閉する。また、ロックレバー106は、収容室107に装填されたインクカートリッジ30の容器本体31を挿入方向へ押圧する。ロックレバー106は、挿入口120を封止可能な大きさであり、上下方向に長い平板形状である。ロックレバー106の上端は、挿入口120の上側に設けられた軸110によって、ケース本体105に枢支されている。軸110を中心としてロックレバー106が回動されることにより、図5に2点鎖線で示されるように、ロックレバー106は、挿入口120を封止する姿勢と、挿入口120を開放する姿勢とに姿勢変化する。
【0059】
ロックレバー106の下端は、挿入口120の下側のケース本体105の外形に沿って曲折されている。ロックレバー106の下端には、爪126が設けられている。爪126は、ケース本体105に形成された切り欠き127に係合する。爪126が切り欠き127と係合することにより、ロックレバー106は、挿入口120を封止した姿勢を維持する。
【0060】
ロックレバー106の内面のほぼ中央には、突片128が設けられている。突片128は、装着状態におけるインクカートリッジ30の容器本体31の正面43と、ロックレバー106の内面との離間距離に対応して突出されており、挿入口120を封止下姿勢において正面43を押圧する。これによって、容器本体31が挿入方向に一定の圧力で押圧される。
【0061】
<インクカートリッジ30の装着方法>
以下に、ケース101へのインクカートリッジ30の装着方法が説明される。図8から図10は、ケース101へのインクカートリッジ30の装着方法を示す図である。なお、図8から図10においては、ケース101は縦断面が示されているが、インクカートリッジ30は断面で示されていない。
【0062】
前述されたように、扉20が開かれることにより、開口を通じてリフィルユニット100へアクセス可能となる。リフィルユニット100の4つのケース101について、各ロックレバー106が開口を通じて露出され、外部から操作可能となる。図6に示されるように、ロックレバー106が開かれることにより、ケース101の挿入口120が開放される。インクカートリッジ30は、挿入口120から収容室107へ挿入可能となる。
【0063】
前述されたように、容器本体31の左側面41及び右側面42には、ガイド47,48がそれぞれ形成されている。容器本体31は、厚み(y方向)が薄い扁平薄型なので、ユーザは、左側面41と右側面42とを挟み持ってインクカートリッジ30を操作する。ガイド47,48による凹凸形状によって容器本体31の強度が向上されるので、ユーザが挟み持つ力に対して、容器本体31が変形しにくいという利点がある。
【0064】
ガイド47,48の凹凸形状は、インク供給バルブ32からインクが流出する方向(第2方向)に対して、容器本体31の正面43側へ向かって上方へ傾斜している。ユーザが、容器本体31の左側面41及び右側面42において、ガイド47,48が形成された領域を指で持つと、ガイド47,48の凸条51及び凹条52が延びる方向に対して持ちやすい。凸条51及び凹条52が延びる方向(第1方向)は、インクカートリッジ30を挿入口120に挿入する方向である。したがって、インク供給バルブ32からインクが流出する方向(第2方向)を水平方向として、容器本体31を持つ場合に、ユーザが凹凸形状に沿って指を掛けやすく、持ちやすいという利点がある。また、ガイド47,48の凹凸形状が滑り止めとして機能する。
【0065】
前述されたように、挿入口120には、容器本体31のガイド47,48の凹凸形状に対応したガイド部121,122が形成されている。したがって、図8に示されるように、容器本体31のガイド47,48を挿入口120のガイド部121,122に係合させて、インクカートリッジ30を挿入口120に挿入する。容器本体31は、ガイド47,48及びガイド部121,122が延びる方向(第1方向)へガイドされる。この挿入過程において、容器本体31は、インク供給バルブ32からインクが流出する方向が水平方向となる姿勢に維持される。つまり、容器本体31をジョイント姿勢から傾斜させることなく、インクカートリッジ30を水平方向に対して角度θだけ斜め上方(矢印71)から挿入口120へ挿入することができ、その姿勢を維持したまま容器本体31が矢印71の方向(第1方向)へガイドされる。
【0066】
図9に示されるように、容器本体31を斜め上方(矢印71)から挿入口120へ挿入していくと、容器本体31の下面46が、収容室107の底壁113に当接する。前述されたように、容器本体31のガイド47,48は、左側面41及び右側面42において、インク供給バルブ32側の一部に形成されている。また、ケース101のガイド部121,122は、挿入口120側の一部に形成されている。そして、図9に示された状態では、容器本体31のガイド47,48は、挿入口120のガイド部121,122を通過している。この状態で、矢印71の方向(第1方向)への挿入が完了する。ユーザは、容器本体31の下面46が、収容室107の底壁113に当接する抵抗を感じることによって、斜め上方からの挿入が完了したことを知りうる。なお、この状態では、インク供給バルブ32は、プッシュロッド104とジョイントしておらず、また、残量検出部33は光センサ103へ到達していない。
【0067】
つづいて、容器本体31の下面46を収容室107の底壁113に沿わせて、インクカートリッジ30を収容室107の奥部へさらに挿入する。前述されたように、ケース101の側壁114,115間の距離D4は、一対の凸条124間の距離D5と同等である。したがって、容器本体31の下面46を、インクカートリッジ30のジョイント方向(第2方向)をガイドするガイド面として、インクカートリッジ30を水平方向へ挿入することができる。つまり、インクカートリッジ30の挿入方向が、第1方向から第2方向へ変化される。収容室107の底壁113は水平であり、これらに沿った容器本体31の下面46も水平である。したがって、斜め上方(矢印71)から挿入口120へ挿入される状態と容器本体31が同じ姿勢のままで、インクカートリッジ30が水平方向(矢印70)へガイドされて、さらに挿入される。
【0068】
この水平方向の挿入過程において、図10に示されるように、プッシュロッド104がインク供給バルブ32にジョイントされる。また、残量検出部33が光センサ103へ到達する。
【0069】
そして、ロックレバー106が挿入口120を閉じる方向へ回動されると、突片128が容器本体31の正面43に当接する。ロックレバー106の爪126が切り欠き127に係合されると、ロックレバー106は、挿入口120を封止した状態でロックされる。このとき、インクカートリッジ30の容器本体31は、突片128によって適度な力で挿入方向へ押圧された状態が維持されるので、プッシュロッド104とインク供給バルブ32とが確実にジョイントされる。
【0070】
このように本発明によれば、容器本体31の左側面41及び右側面42に形成されたガイド47,48によって容器本体31の強度が向上されるので、容器本体31が変形しにくくなる。また、ガイド47,48が第1方向(矢印71)に沿った凸条51及び凹条52で構成されているので、ユーザが、第2方向(矢印70)を水平方向として容器本体31を第1方向から挟み持ちやすい。また、凸条51及び凹条52が滑り止めとして機能するので、容器本体31の操作性が向上される。また、ガイド47,48とガイド部121,122との係合によってインクカートリッジ30が第1方向へガイドされるので、インクカートリッジ30を第1方向に沿って挿入口120へ円滑に挿入することができる。
【0071】
なお、本実施形態では、ガイド47,48は、容器本体31の左側面41及び右側面42の双方に形成されたものとしたが、いずれか一方の側面41,42にのみ形成されていてもよい。また、ガイド47,48の凹凸形状は本実施形態で示されたものに限定されないことはもちろんである。例えば、凸条又は凹条のいずれか一方のみによってガイド47,48が構成されていてもよいし、凸条又は凹条は必ずしも複数を要しない。さらに、インクカートリッジ30の容器本体31の形状は、本実施形態で示された6面体に限定されず、本発明の要旨が変更されない範囲で他の立体形状が採用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明に係る液体供給装置であるリフィルユニット100を備えた複合機10の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、インクカートリッジ30の外観構成を示す外観斜視図である。
【図3】図3は、インクカートリッジ30の側面図である。
【図4】図4は、インクカートリッジ30の内部構成を示す縦断面図である。
【図5】図5は、ケース101の内部構成を示す縦断面図である。
【図6】図6は、ケース101の正面側を示す正面図である。
【図7】図7は、図5におけるVII−VII断面を示す断面図である。
【図8】図8は、インクカートリッジ30の挿入方法を示す縦断面図である。
【図9】図9は、インクカートリッジ30の挿入方法を示す縦断面図である。
【図10】図10は、インクカートリッジ30の挿入方法を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0073】
30・・・インクカートリッジ(液体容器)
31・・・容器本体
32・・・インク供給バルブ(液体供給部)
41・・・左側面(第1面)
42・・・右側面(第2面)
44・・・背面(第3面)
51・・・凸条
52・・・凹条
100・・・リフィルユニット(液体供給装置)
101・・・ケース(容器装着部)
109・・・挿入口
121,122・・・ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器本体及び該容器本体に収容された液体を外部へ流出させる液体供給部を備えた液体容器と、該液体容器を装着可能な容器装着部と、を具備してなる液体供給装置であって、
上記容器本体は、相互に対向し、かつ所定の第1方向に沿った凸条又は凹条の少なくともいずれか一方が少なくともいずれか一方の面に形成された一対の第1面及び第2面と、上記第1面及び上記第2面と隣接し、かつ上記液体供給部が配置された第3面と、を有し、
上記第1方向が、上記液体供給部から液体が流出する第2方向と異なる方向であり、
上記容器装着部は、上記凸条又は凹条と係合するガイド部が形成された挿入口を有する液体供給装置。
【請求項2】
上記第2方向は水平方向であり、
上記第1方向は、上記液体供給部から離れるにつれて、水平方向に対して上方へ傾斜した方向である請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
上記容器本体は、上記第1面及び第2面の各面積が他の面の各面積より大きい扁平薄型である請求項1又は2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
上記凸条又は凹条は、上記第1面又は上記第2面における上記第3面側の一部に形成されたものである請求項3に記載の液体供給装置。
【請求項5】
ガイド部が形成された挿入口を有する容器装着部に装着可能であり、液体を収容する容器本体及び該容器本体に収容された液体を外部へ流出させる液体供給部を有する液体容器であって、
上記容器本体は、相互に対向し、かつ上記ガイド部と係合する凸条又は凹条の少なくともいずれか一方が少なくともいずれか一方の面に所定の第1方向に沿って形成された一対の第1面及び第2面と、上記第1面及び上記第2面と隣接し、かつ上記液体供給部が配置された第3面と、を有し、
上記第1方向が、上記液体供給部から液体が流出する第2方向と異なる方向である液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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