説明

液体供給装置

【課題】
液体ノズルを移動させる方式であって、装置の設置面積が小さく、液体ノズルを移動させるための装置による障害を受けることなく液体容器の設置又は取外しが容易にでき、さらには部品点数が少なく低コストの液体供給装置を提供する。
【解決手段】
液体容器をベースに固定し、該液体容器に液体を供給する液体ノズルがX,Y軸座標上を前記液体容器の所要位置まで移動可能に構成された液体供給装置において、前記液体ノズルを回動軸回りに可逆回動可能なアームに取り付け、前記液体ノズルの移動制御を、前記X軸,Y軸のいずれか一方の軸については前記アームの回動角度で制御するとともに、他方の軸については前記アームの前記回動軸からの長さを変化させて制御するように構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体容器をベースに固定し、該液体容器に液体を供給する供給口を有する液体ノズルがX,Y軸座標上を前記液体容器の所要位置まで移動可能に構成された液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
混合物質を分離精製する分取クロマトグラフカラムより出て来る液や反応器から出て来る液を採集するフラクションコレクタは、一般に、次の2つの方式が用いられている。
(1)受け取り容器を移動し、該受け取り容器に液体を供給する供給口を有する分画ノズルを固定する方式。
この方式には、前記受け取り容器をX,Y2軸方向に移動する方式と、該受け取り容器を回転移動するターンテーブル方式がある。前記受け取り容器は、新しい容器の設置と液採集後の取外しが毎回行なわれる。
(2)前記受け取り容器を固定し、前記分画ノズルを移動させる方式。
この方式には、たとえば特許文献1(特開平7−140127号公報)に開示されているように、分画ノズルをX,Y2軸方向に移動する方式が主である。
かかる方式においては、前記分画ノズルは、X軸方向及びY軸方向のガイドレールでガイドされ、ボールねじやタイミングベルトを介して駆動される。また前記分画ノズルは前記受け取り容器の上方に配置されるとともに、前記ボールねじやタイミングベルト等の駆動系も前記受け取り容器の上方又は側部に配置される。
この方式においても、前記受け取り容器は、新しい容器の設置と液採集後の取外しが毎回行なわれる。
【0003】
【特許文献1】特開平7−140127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記(1)のように、受け取り容器を移動し、該受け取り容器に液体を供給する供給口を有する分画ノズルを固定する方式では、分画ノズルの配管が短くなるという長所があるが、装置の設置面積が大きくなるという問題点がある。
一方、前記(2)のように、前記受け取り容器を固定し、前記分画ノズルを移動させる方式では、装置の設置面積は前記(1)の方式よりも小さくなるという長所があるが、分画ノズルを移動させるため該分画ノズルの配管が長くなるという問題点がある。
【0005】
しかるに、前記フラクションコレクタを、ドラフトチャンバーやクーリングボックス内の狭小な場所に設置するにあたっては、装置の設置面積が小さくなる前記(2)の方式、つまり受け取り容器を固定して分画ノズルを移動させる方式を採用せざるを得ないこととなる。
しかしながら、前記(2)のような、受け取り容器を固定して分画ノズルを移動させる方式を用いる場合には、前記のように分画ノズルを移動させるため該分画ノズルの配管が長くなるという問題点があり、また装置を小型化した設計にすると、受け取り容器の設置又は取外しを行なう際に、分画ノズルを移動させるための駆動装置及びX軸方向、Y軸方向のガイドレールが、設置又は取外し作業の障害になって、該受け取り容器の設置又は取外しが困難になる。反面、かかる問題の発生を回避すると装置が大型化する。
また、前記(2)の方式では、分画ノズルを移動させる構成であるため、部品点数が多くなって高コストになる。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、液体ノズルを移動させる方式であって、装置の設置面積が小さく、液体ノズルを移動させるための装置による障害を受けることなく液体容器の設置又は取外しが容易にでき、さらには部品点数が少なく低コストの液体供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来技術の有する課題を解決するために、本発明における請求項1の発明は、液体容器をベースに固定し、該液体容器に液体を供給する供給口を有する液体ノズルがX,Y軸座標上を前記液体容器の所要位置まで移動可能に構成された液体供給装置において、前記液体ノズルを回動軸回りに可逆回動可能なアームに取り付け、前記液体ノズルの移動制御を、前記X軸,Y軸のいずれか一方の軸については前記アームの回動角度で制御するとともに、他方の軸については前記アームの前記回動軸からの長さを変化させて制御するように構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項1において、分画ノズルの移動制御手段は、具体的には請求項2又は請求項3のように構成するのが好ましい。
すなわち、請求項2においては、前記液体ノズルを取り付けたアームにラックを設けるとともに該アームをガイド部材でガイドし、前記ラックに噛み合うとともに駆動装置により回転駆動されるピニオン歯車を設けて、前記駆動装置により前記ピニオン歯車を回転駆動して前記ラックを往復動させて、前記アームを前記ガイド部材にガイドされて移動させることにより前記回転軸からの長さを変化させるように構成する。
【0009】
また、請求項3においては、前記液体ノズルを取り付けたアームをガイド部材でガイドし、駆動装置により回転駆動される摩擦駆動ローラを設けて、前記駆動装置により前記摩擦駆動ローラを回転駆動しながら該摩擦駆動ローラを前記アームに押付けて該摩擦駆動ローラとアームとを摩擦接触せしめて、前記アームを前記ガイド部材にガイドされて移動させることにより前記回転軸からの長さを変化させるように構成する。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明における液体供給装置の具体的構成に係り、
液体容器をベースに固定し、該液体容器に液体を供給する供給口を有する液体ノズルがX,Y軸座標上を前記液体容器の所要位置まで移動可能に構成された液体供給装置において、前記液体ノズルを前記液体容器上に移動可能にしたアームに該液体ノズルを取り付け、該アームを回動軸回りに可逆回動可能で、かつ往復動可能に支持する支持ブロックを設け、前記支持ブロックを介して前記アームを可逆回動するアーム回動装置及び前記アームを前記支持ブロックに支持された形態で往復動せしめるアーム往復動装置を設け、前記液体ノズルの移動制御を、前記X軸,Y軸のいずれか一方の軸については前記アーム回動装置によるアームの回動角度で制御するとともに、他方の軸についてはアーム往復動装置により前記アームの前記回動軸からの長さを変化させて制御するように構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項4において、具体的には請求項5又は請求項6のように構成するのが好ましい。
すなわち、請求項5においては、前記アーム回動装置をステッピングモータで構成し、該ステッピングモータの出力軸に前記支持ブロックを該出力軸とともに可逆回動可能に固定し、該支持ブロックに前記アームを前記アーム往復動装置により往復動可能に支持し、前記ステッピングモータによって前記支持ブロックを介して前記アームを可逆回動することにより前記X軸,Y軸のいずれか一方の軸についてアームの回動角度での制御を行ない、前記アーム往復動装置によって前記アームを前記支持ブロックに支持された形態で往復動せしめることにより他方の軸について前記アームの前記回動軸からの長さを変化させる制御を行なうように構成する。
【0012】
請求項6においては、前記ベース上の一端側に前記液体容器を固定するとともに他端側に前記ステッピングモータを前記出力軸を垂直にして取り付け、該出力軸の上端部に前記支持ブロックを固定し、該支持ブロックに前記アームを前記出力軸と略直角方向でかつ該支持ブロックに支持された形態で前記液体ノズルが前記受け取り容器上の任意位置に来るように往復動可能に支持する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液体供給装置において、請求項1ないし3のように、液体容器に液体を供給する供給口を有する液体ノズルを回動軸回りに可逆回動可能なアームに取り付け、前記液体ノズルの移動制御を、X軸,Y軸のいずれか一方の軸については前記アームの回動角度で制御するとともに、他方の軸については前記アームの前記回動軸からの長さを変化させて制御するように構成し、具体的には請求項4ないし6のように、アーム回動装置を構成するステッピングモータの出力軸からなる回動軸に支持ブロックを固定して該支持ブロックに前記アームを該回動軸とともに可逆回動可能に支持するとともに、該支持ブロックに前記アームをアーム往復動装置により往復動可能に支持して、前記ステッピングモータによって前記支持ブロックを介して前記アームを可逆回動することにより前記X軸,Y軸のいずれか一方の軸についてアームの回動角度での制御を行ない、前記アーム往復動装置によって前記アームを前記支持ブロックに支持された形態で往復動せしめることにより他方の軸について前記アームの前記回動軸からの長さを変化させる制御を行なうように構成したので、
アーム回動装置を構成するステッピングモータによって支持ブロックを可逆回動することにより、アームの端部に取り付けた液体ノズルをX軸,Y軸のいずれか一方の軸方向(たとえばX軸方向)に移動させるとともに、該支持ブロックにアームを往復動可能に支持して、アーム往復動装置によって該アーム及び液体ノズルを他方の軸方向(たとえばY軸方向)にさせることにより、前記液体容器の上方で、前記液体ノズルを該液体容器の所要位置に液体を供給可能に自在に移動させることができる。
【0014】
したがって、前記支持ブロックを可逆回動させるとともに、支持ブロックに往復動可能に支持されたアーム及び液体ノズルを液体容器の上方で自在に移動させることにより、液体容器の設置又は取外しを、前記支持ブロック、アーム等の液体ノズル駆動系に支障されることなく容易に行なうことができる。
また、アーム回動装置を構成するステッピングモータの出力軸に固定した支持ブロックを可逆回動させるとともに支持ブロックに往復動可能に支持されたアーム及び液体ノズルをアーム往復動装置により往復動する構成で、液体ノズルのX軸,Y軸両方向の自在な移動を可能としたので、小型コンパクトな構造となって装置の設置面積が少なくて済み、さらに、従来技術のようなガイドレールや、ボールねじ、タイミングベルト等の駆動機構が不要となり、構造が簡単で部品点数が少なく低コストの装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係るフラクションコレクタからなる液体供給装置の正面図(図2のA矢視図)、図2は前記液体供給装置の平面図、図3は前記液体供給装置の側面図(図2のB矢視図)である。
図1〜図3において、2はベース、1は該ベース2の前方側に形成された凹部に固定された受け取り容器で、この例では該受け取り容器1は96穴ディープウェルを使用しているが、複数の試験管をX,Y方向に並べて構成することも可能である。
100は前記ベース2上の後方側に取り付けられた分画ノズル駆動機構であり、次のように構成されている。
【0016】
3はX軸駆動モータで、ステッピングモータからなり、図3のように出力軸3aを垂直にして、モータ取付金具4を介して前記ベース2上に固定されている。
5はY軸駆動ブロック(支持ブロック)で、板状の下部部材5aと板状の上部部材5bとを複数個(この例では4個)の連結ステー5cで連結して形成される。前記Y軸駆動ブロック5は、その下部部材5aを前記X軸駆動モータ3の出力軸3aの上端部に固定ネジ5dを介して固定され、これにより前記出力軸3aとともに可逆的に回動可能となっている。
6は前記Y軸駆動ブロック5の側部に取り付けられたX軸シャッタ、7は前記ベース2上に取り付けられたX軸原点センサであり、該X軸シャッタ6とX軸原点センサ7とにより後述する分画ノズル11のX軸方向(左右方向)の位置決めがなされる。
【0017】
前記Y軸駆動ブロック5上にはY軸駆動モータ8が出力軸(図示省略)を垂直で下方に向けて取り付けられている。9は該Y軸駆動モータ8の出力軸に固定されたピニオン歯車である。
10は前後方向に伸びる棒状に形成されたアームで、前記Y軸駆動ブロック5上に前後方向(Y軸方向)に往復動自在に支持され、複数個(この例では2個)のガイドローラ14a,14bにガイドされて該Y軸駆動ブロック5上を往復動するようになっている。
前記アーム10の前方先端にはノズルホルダ12を介して、液体を供給する供給口を有する分画ノズル11が取り付けられている。13は該分画ノズル11に接続された配管で、該配管13を介して図示しない分取カラム等の液出口から分画ノズル11に液体が供給されるようになっている。
【0018】
前記アーム10には、長手方向に沿ってラック10aが刻設され、該ラック10aが前記ピニオン歯車9に噛み合うようになっている。14a,14bは前記アーム10の長手方向に複数個(この例では2個)されたガイドローラである。
したがって、前記アーム10は、前記Y軸駆動モータ8により前記ピニオン歯車9を回転駆動して前記ラック10aを往復動させ、前記ガイドローラ14a,14bにガイドされて、図2のS矢印のように、前記受け取り容器1の前後方向に往復動することとなり、これにより前記X軸駆動モータ3の出力軸3aの回転軸心からの距離を変化可能となる。
なお、前記ガイドローラ14a,14bに代えて、前記アーム10をスライド軸受で往復動可能に支持することも可能である。
【0019】
なお、図示を省略するが、前記のようなラック10a及びピニオン歯車9の組み合わせに代えて、摩擦駆動ローラを用いることも可能である。
すなわち、前記分画ノズル11を取り付けた前記アーム10を前記ガイドローラ14a,14bでガイドし、前記Y軸駆動モータ8によって回転駆動される摩擦駆動ローラを設けて、前記Y軸駆動モータ8により前記摩擦駆動ローラを回転駆動しながら該摩擦駆動ローラを前記アーム10に押付けて、該摩擦駆動ローラとアーム10とを摩擦接触せしめ、前記アーム10を前記ガイドローラ14a,14bにガイドされて移動させる。これにより、前記アーム10は、前記X軸駆動モータ3の出力軸3aからの距離を変化可能となる。
この場合は、前記ラック10a及びピニオン歯車のような歯形加工が不要となり、低コストとなる。
【0020】
図3において、15は前記アーム10に取り付けられたY軸シャッタ、16前記Y軸駆動ブロック5にブラケット16aを介して取り付けられたY軸原点センサであり、該Y軸シャッタ15とY軸原点センサ16とにより前記する分画ノズル11のY軸方向(前後方向)の位置決めがなされる。
ステッピングモータからなる前記X軸駆動モータ3及びステッピングモータからなる前記Y軸駆動モータ8は、図示しないモータコントローラによって、可逆的な回動又は
可逆的な回転を制御される。
【0021】
以上の構成によって、前記アーム10の先端部に取り付けられた分画ノズル11は、該アーム10とともに、図2のように、ステッピングモータからなるX軸駆動モータ3によってN1方向に可逆的に回動されることによりX軸方向(左右方向)に往復移動し、Y軸駆動モータ8によって前記ピニオン歯車9をN2方向に可逆的に回転駆動して前記ラック10aを往復動させることによりY軸方向(前後方向)に往復移動して、前記受け取り容器1上をX,Y2軸方向に自在に移動し、該受け取り容器1の所望の孔に液体を注入可能となる。
【0022】
次に、この実施形態の動作を説明する。
図示しない装置用の電源を入れ、X軸原点センサ7がX軸シャッタ6を検出していないときはステッピングモータからなる前記X軸駆動モータ3を左方向に回動し、該X軸原点センサ7がX軸シャッタ6を検出しているときは前記X軸駆動モータ3を右方向に回動し、次いで該X軸原点センサ7がX軸シャッタ6を不検出になったら前記X軸駆動モータ3を左方向に回動して、X軸シャッタ6の不検出から検出に変わる位置を前記X軸駆動モータ3の原点とする。
【0023】
次に、Y軸原点センサ16がY軸シャッタ15を検出していないときは、ステッピングモータからなる前記Y軸駆動モータ8をたとえば左方向に回転して前記アーム10及び分画ノズル11を受け取り容器1の後方に移動し、該Y軸原点センサ16がY軸シャッタ15を検出しているときは前記アーム10及び分画ノズル11を受け取り容器1の前方に移動し、次いで該Y軸原点センサ16がY軸シャッタ15を不検出になったらY軸駆動モータ8をたとえば左方向に回転して前記アーム10及び分画ノズル11を後方に移動し、Y軸シャッタ15の不検出から検出に変わる位置を前記Y軸駆動モータ8の原点とする。
【0024】
前記のようにして、X軸駆動モータ3及びY軸駆動モータ8の原点を検出したら、前記アーム10及び分画ノズル11を、前記受け取り容器1の設置及び取外しの障害にならない位置に移動して、ソフト原点を設定する。
アーム10及び分画ノズル11のソフト原点を設定したら、図示しないモータコントローラによって、ステッピングモータからなる前記X軸駆動モータ3の図2N1方向の可逆的な回動を制御することにより該アーム10及び分画ノズル11をX軸方向(左右方向)に往復移動し、ステッピングモータからなる前記Y軸駆動モータ8及び前記ピニオン歯車9の図2N2方向に可逆的な回転を制御することにより、前記ラック10aを介して該アーム10及び分画ノズル11をY軸方向(前後方向)往復移動させる。
【0025】
このようにして分画ノズル11の位置を、受け取り容器1の孔上において設定し、分画ノズル11から当該孔に液を注入し終えると、該分画ノズル11を前記ソフト原点に戻して注入動作を終了する。
かかる動作によって、前記アーム10及び分画ノズル11を、前記受け取り容器1上をX,Y2軸方向に自在に移動させ、該受け取り容器1の所望の孔に液体を注入することができる。
【0026】
以上のように、かかる実施形態によれば、受け取り容器1に液体を供給する供給口を有する分画ノズル11を、ステッピングモータからなるX軸駆動モータ3の出力軸3aに
Y軸駆動ブロック(支持ブロック)5を固定し該Y軸駆動ブロック5に前記アーム10を該出力軸3aとともに可逆回動可能に支持するとともに、該Y軸駆動ブロック5に前記アーム10をステッピングモータからなるY軸駆動モータ8によって往復動可能な形態で支持して、前記X軸駆動モータ3によって前記Y軸駆動ブロック5を介して前記アーム10を可逆回動することにより前記X軸についてアーム10の回動角度での制御を行ない、前記Y軸駆動モータ8によって前記アーム10を前記Y軸駆動ブロック5に支持された形態で往復動せしめることによりY軸方向について前記アーム10の前記出力軸3aからの長さを変化させる制御を行なうように構成したので、
ステッピングモータからなるX軸駆動モータ3によってY軸駆動ブロック5を可逆回動することにより、アーム10の端部に取り付けた分画ノズル11をX軸方向に移動させるとともに、該Y軸駆動ブロック5にアーム10を往復動可能に支持してステッピングモータからなるY軸駆動モータ8によって該アーム10及び分画ノズル11をY軸方向に移動させることにより、前記受け取り容器1の上方で、前記分画ノズル11を該受け取り容器1の所要位置に液体を供給可能に自在に移動させることができる。
【0027】
したがって、前記Y軸駆動ブロック5を可逆回動させるとともに、該Y軸駆動ブロック5に往復動可能に支持されたアーム10及び分画ノズル11を受け取り容器1の上方で自在に移動させることにより、該受け取り容器1の設置又は取外しを、前記Y軸駆動ブロック5、アーム10等の分画ノズル駆動系に支障されることなく容易に行なうことができる。
また、ステッピングモータからなるX軸駆動モータ3の出力軸3aに固定したY軸駆動ブロック5を可逆回動させるとともに、該Y軸駆動ブロック5に往復動可能に支持されたアーム10及び分画ノズル11を往復動させる構成で、分画ノズル11のX軸,Y軸両方向の自在な移動を可能としたので、小型コンパクトな構造となって装置の設置面積が少なくて済み、さらに、従来技術のようなガイドレールや、ボールねじ、タイミングベルト等の駆動機構が不要となり、構造が簡単で部品点数が少なく低コストの装置が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、液体ノズルを移動させる方式であって、装置の設置面積が小さく、液体ノズルを移動させるための装置による障害を受けることなく液体容器の設置又は取外しが容易にできるとともに、部品点数が少なく低コストの液体供給装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係るフラクションコレクタからなる液体供給装置の正面図(図2のA矢視図)である。
【図2】前記液体供給装置の平面図である。
【図3】前記液体供給装置の側面図(図2のB矢視図)である。
【符号の説明】
【0030】
1 受け取り容器
2 ベース
3 X軸駆動モータ
3a 出力軸
4 モータ取付金具
5 Y軸駆動ブロック(支持ブロック)
6 X軸シャッタ
7 X軸原点センサ
8 Y軸駆動モータ
9 ピニオン歯車
10 アーム
10a ラック
11 分画ノズル
12 ノズルホルダ
13 配管
14a,14b ガイドローラ
15 Y軸シャッタ
16 Y軸原点センサ
100 分画ノズル駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体容器をベースに固定し、該液体容器に液体を供給する供給口を有する液体ノズルがX,Y軸座標上を前記液体容器の所要位置まで移動可能に構成された液体供給装置において、前記液体ノズルを回動軸回りに可逆回動可能なアームに取り付け、前記液体ノズルの移動制御を、前記X軸,Y軸のいずれか一方の軸については前記アームの回動角度で制御するとともに、他方の軸については前記アームの前記回動軸からの長さを変化させて制御するように構成したことを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
前記液体ノズルを取り付けたアームにラックを設けるとともに該アームをガイド部材でガイドし、前記ラックに噛み合うとともに駆動装置により回転駆動されるピニオン歯車を設けて、前記駆動装置により前記ピニオン歯車を回転駆動して前記ラックを往復動させて、前記アームを前記ガイド部材にガイドされて移動させることにより前記回転軸からの長さを変化させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記液体ノズルを取り付けたアームをガイド部材でガイドし、駆動装置により回転駆動される摩擦駆動ローラを設けて、前記駆動装置により前記摩擦駆動ローラを回転駆動しながら該摩擦駆動ローラを前記アームに押付けて該摩擦駆動ローラとアームとを摩擦接触せしめて、前記アームを前記ガイド部材にガイドされて移動させることにより前記回転軸からの長さを変化させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項4】
液体容器をベースに固定し、該液体容器に液体を供給する供給口を有する液体ノズルがX,Y軸座標上を前記液体容器の所要位置まで移動可能に構成された液体供給装置において、前記液体ノズルを前記液体容器上に移動可能にしたアームに該液体ノズルを取り付け、該アームを回動軸回りに可逆回動可能でかつ往復動可能に支持する支持ブロックを設け、前記支持ブロックを介して前記アームを可逆回動するアーム回動装置及び前記アームを前記支持ブロックに支持された形態で往復動せしめるアーム往復動装置を設け、前記液体ノズルの移動制御を、前記X軸,Y軸のいずれか一方の軸については前記アーム回動装置によるアームの回動角度で制御するとともに、他方の軸についてはアーム往復動装置により前記アームの前記回動軸からの長さを変化させて制御するように構成したことを特徴とする液体供給装置。
【請求項5】
前記アーム回動装置をステッピングモータで構成し、該ステッピングモータの出力軸に前記支持ブロックを該出力軸とともに可逆回動可能に固定し、該支持ブロックに前記アームを前記アーム往復動装置により往復動可能に支持し、前記ステッピングモータによって前記支持ブロックを介して前記アームを可逆回動することにより前記X軸,Y軸のいずれか一方の軸についてアームの回動角度での制御を行ない、前記アーム往復動装置によって前記アームを前記支持ブロックに支持された形態で往復動せしめることにより他方の軸について前記アームの前記回動軸からの長さを変化させる制御を行なうように構成したことを特徴とする請求項4に記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記ベース上の一端側に前記液体容器を固定するとともに他端側に前記ステッピングモータを前記出力軸を垂直にして取り付け、該出力軸の上端部に前記支持ブロックを固定し、該支持ブロックに前記アームを前記出力軸と略直角方向でかつ該支持ブロックに支持された形態で前記液体ノズルが前記受け取り容器上の任意位置に来るように往復動可能に支持したことを特徴とする請求項4又は5に記載の液体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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