説明

液体光学素子

【課題】簡素な構成としつつ、より高い光透過性能が得られる液体光学素子を提供する。
【解決手段】液体光学素子10は、対向して配置される下部基板11および上部基板18と、下部基板11の上にセル領域Zごとに分割して設けられた複数の下部電極12と、下部電極12同士の隙間に位置する遮光部材1と、遮光部材1、下部基板11および下部電極12を覆う疎水性絶縁膜13と、この疎水性絶縁膜13に立設しセル領域Zを画定する隔壁14と、上部基板18に形成された上部電極17と、疎水性絶縁膜13と上部電極17との間に充填された無極性液体15および極性液体16とを備える。遮光部材1は、所定の波長光を吸収する絶縁性材料からなり、厚み方向において隔壁14に対応する位置を占めると共に、セル領域Zの周縁部にも対応する位置を占めている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の電極間に無極性液体および極性液体を備え、一対の電極間に電圧を印加することで透過光量が変化する液体光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電的な濡れ性を制御することで液体の変形および変位を発生させ、その現象により所望の効果を得るエレクトロウェッティング技術が知られており、様々な分野での応用が検討されている。
【0003】
例えば、表示装置における光学シャッタとしてエレクトロウェッティング技術を用い、光の取り出し効率や応答速度を向上させることが検討されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2007−500876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、このようなエレクトロウェッティング技術を用いた液体光学素子では、疎水性の絶縁膜に覆われた一対の電極間に、極性液体(例えば水)と無極性液体(例えばシリコンオイル)とを挟み、それらに電圧を印加することで極性液体および無極性液体を変形させ、透過光量(透過光の強度)を制御するようにしている。
【0005】
図25に、従来の一般的な液体光学素子110の構成および動作を説明するための概略図を表す。液体光学素子110は、下部電極112が設けられた下部基板111と、上部電極117が設けられた上部基板118とが側壁119によって支持されて、無極性液体115および極性液体116を挟むように対向配置されたものである。下部電極112は疎水性絶縁膜113によって覆われており、その疎水性絶縁膜113に立設する隔壁114によってセル領域Zが画定されるようになっている。無極性液体115は、例えば黒色顔料を含むことで遮光性を有しており、セル領域Zの内部に収まっている。また、下部電極112および上部電極117は、スイッチ121および電源122を有する制御部120と接続されており、疎水性絶縁膜113に対して電圧を印加するようになっている。このような液体光学素子110では、図25(A)に示したように、下部電極112と上部電極117との間に電圧を印加しない状態においては、無極性液体115がセル領域Z全体に亘って広がるので入射光Linがほとんど反対側に透過せず、射出光がほとんど射出されない状態(いわゆる黒表示状態)となる。一方、下部電極112と上部電極117との間に所定の電圧を印加した状態においては、図25(B)に示したように、無極性液体115がセル領域Zの一部の領域αに集まるので、領域αへの入射光L1inが遮断されるもののそれ以外の領域βへ入射する入射光L2inは反対側に透過し、射出光L2outとして射出する状態(いわゆる白表示状態)となる。ここで、例えば、液体光学素子110を画像表示デバイスとして用いる場合には、コントラスト(白表示状態での射出光強度に対する白表示状態での射出光強度の比)が高いことが望ましい。
【0006】
しかしながら、図25(A),図25(B)に示したように、セル領域Zを仕切る隔壁114と疎水性絶縁膜113との境界近傍から僅かではあるが意図しない方向からの不要な光Lsが漏れることが多い。さらに、場合によっては隣接するセル領域Zから散乱した光Lsが混入することもあり、例えば画像表示装置などに用いたれた場合には混色の原因となるおそれがある。これは、隔壁114が、一般に光透過性の樹脂によって構成されているためである。最近では、画像表示装置におけるコントラストや色再現性などの画像表示性能の向上が強く求められていることから、それに適用される液体光学素子における品質改善が望まれる。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡素な構成でありながら、より高い光透過性能が得られる液体光学素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の液体光学素子は、以下の(A1)〜(A6)の各構成要件を全て備えるようにしたものである。
(A1)絶縁膜
(A2)絶縁膜上に立設され、絶縁膜上の領域を複数のセル領域に分割し、かつ各々のセル領域を取り囲む隔壁
(A3)絶縁膜の、隔壁が設けられた側と反対側に絶縁膜に接して設けられた第1の電極
(A4)第1の電極の、絶縁膜の側に対向配置された第2の電極
(A5)絶縁膜と第2の電極との間に封入されて互いに分離された状態を保つ、一方が透明で他方が不透明の極性液体および無極性液体
(A6)少なくとも隔壁と対応する領域を占めると共に第1および第2の電極の少なくとも一方をセル領域ごとに電気的に分離し、かつ、遮光性を有する遮光体
【0009】
本発明の第1の液体光学素子では、第1および第2の電極の間に電圧を印加しない場合、セル領域において絶縁膜を覆うように無極性液体が広がった状態となる。ここで、遮光性を有する遮光体が、少なくとも隔壁と対応する領域を占めるように配置されているので、隣り合う他のセル領域から入射し、隔壁と絶縁膜との境界近傍を透過してセル領域へと漏れる光が確実に遮断される。
【0010】
本発明の第2の液体光学素子は、以下の(B1)〜(B6)の各構成要件を全て備えるようにしたものである。
(B1)絶縁膜
(B2)絶縁膜上に立設され、この絶縁膜上の領域を取り囲む壁構造体
(B3)絶縁膜の、壁構造体が設けられた側と反対側に絶縁膜に接して設けられた第1の電極
(B4)第1の電極の、絶縁膜の側に対向配置された第2の電極
(B5)絶縁膜と第2の電極との間に封入されて互いに分離された状態を保つ、一方が透明で他方が不透明の極性液体および無極性液体
(B6)少なくとも壁構造体と対応する領域を占めると共に、遮光性を有する遮光体
【0011】
本発明の第2の液体光学素子では、第1および第2の電極の間に電圧を印加しない場合、壁構造体によって取り囲まれた領域において絶縁膜を覆うように無極性液体が広がった状態となる。ここで、遮光性を有する遮光体が、少なくとも壁構造体と対応する領域を占めるように配置されているので、壁構造体と絶縁膜との境界近傍を透過し、壁構造体によって取り囲まれた領域へと漏れる光が確実に遮断される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の液体光学素子によれば、第1および第2の電極の少なくとも一方をセル領域ごとに電気的に分離する遮光体を、少なくとも隔壁と対応する領域を占めるように配置したので、第1および第2の電極間に電圧を印加しない場合において、隣り合う他のセル領域からの光漏れを確実に抑制することができる。したがって、第1および第2の電極間に電圧を印加した場合の透過率と電圧を印加しない場合の透過率との差を広げることができ、より高いコントラストを得ることができる。
【0013】
本発明の第2の液体光学素子によれば、遮光体を、少なくとも壁構造体と対応する領域を占めるように配置したので、壁構造体によって取り囲まれた領域以外の領域からの光漏れを確実に抑制することができる。したがって、より高いコントラストを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明における第1の実施の形態としての液体光学素子10の全体構成を表す断面図であり、図2は、液体光学素子10の全体構成を表す平面図である。なお、図1は、図2に示したI−I切断線に沿った矢視方向の断面を示している。また、図2では、後述する疎水性絶縁膜13、無極性液体15、極性液体16、上部電極17、上部基板18、側壁19などの各構成要素についての図示を省略している。液体光学素子10は、制御部20と接続され、静電的な濡れ性を制御することで内包する極性液体16(後出)の変形および変位を発生させ、その現象によって自らを透過する透過光の光量を制御する、いわゆるエレクトロウェッティング素子である。液体光学素子10は、複数のセル領域Zがアレイ状に配置されたものである。なお、図2では9つのセル領域Zを表しているが、その数はこれに限定されない。図2に示したように、各セル領域Zは、例えば正方形をなしている。
【0016】
液体光学素子10は、下部基板11と、この下部基板11に選択的に設けられた下部電極12と、下部電極12同士の隙間に設けられた遮光部材1と、下部基板11、下部電極12および遮光部材1を覆う疎水性絶縁膜13と、隔壁14と、無極性液体15と、極性液体16と、上部電極17と、上部基板18と、側壁19とを有している。一方、制御部20は、電源21と、スイッチ部22とを有している。
【0017】
下部基板11および上部基板18は、側壁19によって支持されて対向するように配置され、例えばガラスや透明なプラスチックなど、可視光を透過する透明な絶縁材料によって構成される。下部基板11には、各セル領域Zに駆動素子(薄膜トランジスタなど)41が設けられていると共に、それらの駆動素子41を個別に駆動させるための、制御部20と接続された図示しない信号線対(例えばゲート線およびデータ線)が設けられている。なお、駆動素子41や信号線対は、下部基板11とは別の基板に設けるようにしてもよい。
【0018】
下部電極12および上部電極17は、例えば酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)や酸化亜鉛(ZnO)などの透明な導電材料によって構成される。さらに、下部電極12は駆動素子41の一端と接続されると共に、上部電極17は一定の電位に保たれている。すなわち、後述するように、制御部20によって下部電極12と上部電極17との間にセル領域Zごとに電圧を印加することで、セル領域Zごとに外部からの入射光の透過量を制御することができるようになっている。下部電極12はセル領域Zごとに複数に分割して配置され、遮光部材1によって互いに絶縁されている。下部電極12はセル領域Zの全面に亘って延在しており、その一部が遮光部材1によって覆われていることが望ましい。
【0019】
遮光部材1は、カーボンブラックなどの所定の波長光(例えば可視光)を吸収する顔料や染料を含む絶縁性材料からなり、遮光性を有するいわゆるブラックマトリクスとして機能するものである。遮光部材1は、厚み方向(隔壁14の高さ方向)において、隔壁14に対応する位置を占めると共に、セル領域Zの周縁部にも対応する位置を占めるように、すなわち下部電極12の一部を覆うように形成されている。
【0020】
疎水性絶縁膜13は、極性液体16に対して疎水性(撥水性)を示す、より厳密には無電界下において無極性液体15に親和性を示すと共に、電気的絶縁性に優れた性質を有する材料によって構成される。具体的には、フッ素系の高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。但し、下部電極12と上部電極17との電気的絶縁性をより高めることを目的として、下部電極12と疎水性絶縁膜13との間に例えばスピン・オン・グラス(SOG)などからなる他の絶縁膜を設けるようにしてもよい。
【0021】
隔壁14は、光が透過する単位領域となるセル領域Zを画定する仕切部材であり、遮光部材1と対応する位置において疎水性絶縁膜13に立設するように設けられている。隔壁14によって区画されたセル領域Zには、無極性液体15が保持されている。すなわち、無極性液体15は、隔壁14によって隣り合う他のセル領域Zへ移動(流出)しないようになっている。隔壁14は、極性液体16に対して親水性を示すと共に、無極性液体15および極性液体16に溶解等しない材料、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などによって構成されることが望ましい。あるいは、隔壁14の表面が、上記材料からなる被膜によって覆われたものとすることが望ましい。そうすることで、無極性液体15の形状を安定化できるうえ、無極性液体15の流出をより確実に回避することができるからである。
【0022】
無極性液体15は、ほとんど極性を有さず、かつ、電気絶縁性を示す液体材料であり、例えばデカン、ドデカン、ヘキサデカンもしくはウンデカンなどの炭化水素系材料のほか、シリコンオイルなどが好適である。この無極性液体15に対して電圧を印加した場合、その直接の影響が疎水性絶縁膜13に対する濡れ性に及ぶことはほとんどない。この無極性液体15は、下部電極12と上部電極17との間に電圧を印加しない場合において、各セル領域Zにおける疎水性絶縁膜13の表面を全て覆う程度に十分な容量を有していることが望ましい。
【0023】
一方、極性液体16は、極性を有する液体材料であり、例えば水のほか、塩化カリウムや塩化ナトリウムなどの電解質を溶解させた水溶液が好適である。この極性液体16に電圧を印加すると、疎水性絶縁膜13に対する濡れ性(極性液体16と疎水性絶縁膜13との接触角)が比較的大きく変化する。
【0024】
このように疎水性絶縁膜13と上部電極17との間に封入された無極性液体15および極性液体16は、互いに混在することなく分離し、2つの層を形成する。また、本実施の形態では、極性液体16は透明である一方、無極性液体15は所定の波長光(例えば可視光)を吸収する顔料や染料によって着色されて不透明となっている。
【0025】
側壁19は、下部基板11および上部基板18と共に無極性液体15および極性液体16を密封するものであり、例えば下部基板11および上部基板18と同種の材料により構成される。
【0026】
制御部20は、液体光学素子10に対する駆動制御をおこなうものである。制御部20には、スイッチ21と電源22とが設けられている。スイッチ21は、その一方の端子が金属配線によって上部電極17と接続され、他方の端子が金属配線によって電源22および駆動素子41を介して下部電極12と接続されている。スイッチ21は、両端子の間を電気的に接続する投入状態と、両端子の間を電気的に切断する切断状態との2つの状態が選択可能なものである。電源22は、電圧の大きさを所定範囲内で変化させることができ、かつ、任意に設定可能なものである。したがって、制御部20は、スイッチ21の操作(投入状態および切断状態を選択する操作)と、電源22の電圧制御とにより、下部電極12と上部電極17との間に所定の電圧を印加することができるようになっている。その際、図示しないゲートドライバによって特定のセル領域Zの駆動素子41を選択して駆動することもできるようになっている。
【0027】
次に、図3を参照して、上記のように構成された液体光学素子10の動作について説明する。図3は、液体光学素子10における任意のセル領域Zを拡大して表したものである。
【0028】
まず、制御部20においてスイッチ21を切断状態とし、下部電極12と上部電極17との間に電圧を印加しない場合には、例えば図3(A)に示したように、無極性液体15が各セル領域Zの全体を覆うように広がった状態となる。そのため、着色された無極性液体15によって、例えば下部基板11の側から照射された外部からの入射光Linが遮断される。液体光学素子10では遮光部材1を設けるようにしたことから、図25に示した従来構造の液体光学素子110とは異なり、隔壁14の内部を伝達した光が漏れたり隣接する他のセル領域Zからの光が漏れたりするのを抑制することができる。さらに、無極性液体115の厚みが相対的に薄くなるセル領域Zの周縁部においても確実に入射光Linが遮断される。したがって、反対側(上部基板18側)には入射光Linが全く漏れない状態となる。一方、制御部20においてスイッチ21を投入状態とし、下部電極12と上部電極17との間に電圧を印加した場合には、例えば図3(B)に示したように、極性液体16が疎水性絶縁膜13と接触するようになり、無極性液体15が各セル領域Zの任意の領域αに集まった状態となる。そのため、例えば下部基板11の側から照射された外部からの光Linのうち、領域αに入射する一部の光L1inが無極性液体15によって進行を遮断される一方、領域βに入射する残りの光L2inは反対側(上部基板18側)に透過し、透過光Loutとして射出することとなる。この場合においても、遮光部材1の存在により、隔壁14や他のセル領域Zからの光漏れが確実に抑制されるので、透過率が安定化する。なお、このよう無極性液体15の挙動は、電圧印加により、極性液体16と疎水性絶縁膜13との濡れ性が変化することに起因する。詳細には、下部電極12と上部電極17との間に電圧を印加した場合、疎水性絶縁膜13の表面に電荷が蓄積されるので、その電荷のクーロン力によって、極性を有する極性液体16が疎水性絶縁膜13へ引き寄せられる。そのため、無極性液体15は、極性液体16によって疎水性絶縁膜13の表面から排除されるように移動(変形)し、結果として任意の領域αに集まることとなると考えられる。
【0029】
なお、図3(B)では、最大の透過率(最大の開口率)が得られる状態を表しているが、印加電圧を調整することで無極性液体15の大きさを制御し、任意の透過光強度(透過率)を得ることも可能である。
【0030】
このように、本実施の形態の液体光学素子10では、厚み方向において、セル領域Zの周縁部および隔壁14と対応する領域に遮光部材1を配置するようにしたので、下部電極12と上部電極17との間に電圧を印加しない場合における、セル領域Zの周縁部や隔壁14と疎水性絶縁膜13との境界からの光漏れを確実に抑制することができる。したがって、下部電極12と上部電極17との間に電圧を印加した場合の透過率と電圧を印加しない場合の透過率との差を広げることができ、より高いコントラストを得ることができる。さらに、下部電極12が、セル領域Zの全面に亘って延在しているので、電圧印加時に無極性液体15が複数に分離することなく素早く変形するので応答性にも優れているうえ、透過率のヒステリシスの発現が抑制される。また、遮光部材1が疎水性絶縁膜13によって覆われているので、無極性液体15および極性液体16の濡れ性に対して遮光部材1が影響を及ぼすことがなく、無極性液体15および極性液体16は安定した挙動を示すこととなる。
【0031】
次に、液体光学素子10の製造方法について、図4に表したフローチャートと共に図5〜図11に表した断面模式図を参照して説明する。
説明する。
【0032】
まず、図5に示したようにガラスやプラスチックなどの透明な絶縁材料からなる下部基板11を用意し、ITOなどを用いて、その下部基板11の上に選択的に複数の下部電極12を形成する(ステップS101)。具体的には、下部基板11を全面に亘ってITO膜で覆ったのち、例えばフォトリソグラフィ法によりITO膜のパターニングを行うことで、セル領域Zごとに隙間12Vを形成するようにする。さらに、下部電極12を形成した下部基板11を洗浄したのち、図6に示したように、下部電極12同士の隙間12Vを埋めると共に下部電極12の周縁部の上面をも覆うように遮光部材1を選択的に形成する(ステップS102)。その際、例えばカーボンブラックを含むレジストによって下部基板11および下部電極12を全面的に覆う被膜を形成したのち、例えばフォトリソグラフィ法によりその被膜のパターニングを行うようにする。その一方で、図7に示したように上部基板18の上に上部電極17を形成する(ステップS103)。但し、上部電極17には間隙を設ける必要はない。
【0033】
続いて、スピンコーティング法やディップコーティング法などの湿式法、あるいは蒸着法などの乾式法により、図8に示したように下部基板11および下部電極12を覆うように疎水性絶縁膜13を形成する(ステップS104)。この際、疎水性絶縁膜13の表面が平坦になるような厚みとすることが望ましい。そののち、必要に応じて、疎水性絶縁膜13の表面処理(紫外線オゾン処理や酸素プラズマアッシング処理)や、疎水性絶縁膜13の表面への界面活性剤の塗布を行うようにしてもよい。
【0034】
疎水性絶縁膜13を形成したのち、図9に示したように、疎水性絶縁膜13の上の、下部電極12同士の隙間12Vに対応する位置に立設するように隔壁14を形成する(ステップS105)。具体的には、例えばスピンコーティング法により、所定の樹脂を疎水性絶縁膜13の上に均一に塗布したのち、図2に示したパターン形状となるようにパターニングする。隔壁14を形成したのち、必要に応じて、その表面処理(紫外線オゾン処理や酸素プラズマアッシング処理)を行うようにしてもよい。また、隔壁14の表面に、極性液体16に対して親水性を示す被膜を塗布するようにしてもよい。
【0035】
続いて図10に示したように、無極性液体15を、隔壁14で仕切られた各セル領域Zにおける疎水性絶縁膜13の表面に塗布する(ステップS106)。さらに、図11に示したように、ステップS103で作製した上部基板18に上部電極17が設けられたものを洗浄したのち、下部基板11と上部基板18とが一定の間隔となるように側壁19を介して対向配置する。そののち、疎水性絶縁膜13、側壁19、上部電極17で囲まれた空間に所定の注入口(図示せず)から極性液体16を充填し、注入口を封止する(ステップS107)。以上の手順により、応答性に優れた液体光学素子10を簡便に製造することができる。
【0036】
(第1の変形例)
図12は、本実施の形態における第1の変形例としての液体光学素子10Aを表すものであり、図1に対応する断面構成を示している。この液体光学素子10Aは、遮光部材1の代わりに、下部電極12同士の隙間の幅と一致する(すなわち、隔壁14と同じ幅を有する)遮光部材1Aを含むようにしたことを除き、他は図1などに示した液体光学素子10と同様の構成を有している。
【0037】
このような液体光学素子10Aであっても、下部電極12と上部電極17との間に電圧を印加しない状態(黒表示状態)、および電圧を印加した状態(白表示状態)の双方において、隔壁14と疎水性絶縁膜13との境界や他のセル領域Zからの光漏れを防ぐことができる。そのうえ、液体光学素子10とは異なり、遮光部材1Aがセル領域Zを全く覆っていないので、セル領域Zへ入射する光をより多く透過させることができ、より高い開口率を得ることができる。さらに、図12に示したように、遮光部材1Aの厚みを下部電極12の厚みと同等以下とすれば、疎水性絶縁膜13の上面の平坦性を維持しつつ、その厚みを薄くすることができるので、無極性液体15の変形に要する印加電圧を低く抑えることができる(すなわち、低電圧駆動が可能である)。但し、この液体光学素子10Aは、セル領域Zの周縁部から僅かではあるが射出光が漏れやすい構造である。これは、疎水性絶縁膜13を覆う無極性液体15の上面が自らの表面張力によって凸状に膨らむので、セル領域Zの周縁部では中央部よりも無極性液体15の厚みが相対的に薄くなってしまい、入射光の透過を十分に遮ることができないためである。その点においては、図1などに示した液体光学素子10のほうが優れている。
【0038】
(第2の変形例)
図13は、本実施の形態における第2の変形例としての液体光学素子10Bを表すものであり、図3に対応する断面構成を示している。この液体光学素子10Bは、下部電極12がセル領域Zのほぼ中央に開口12Kを有することを除き、他は図1などに示した液体光学素子10と同様の構成を有している。開口12Kは、例えばセル領域Zと相似形(ここでは正方形)をなしており、その中心位置がセル領域Zの中心位置と一致していることが望ましい。
【0039】
このような液体光学素子10Bにおいても、下部電極12と上部電極17との間に電圧を印加しない状態(図13(A)の黒表示状態)、および電圧を印加した状態(図13(B)の白表示状態)の双方において、隔壁14や他のセル領域Zからの光漏れを防ぐことができる。そのうえ、下部電極12と上部電極17との間に電圧を印加した場合(図13(B))には、無極性液体15が各セル領域Zのうち、開口12Kに相当する領域αに集まることとなる。これは、下部電極12と上部電極17との間に電圧を印加した場合、疎水性絶縁膜13の表面のうちの下部電極12と対応する領域βに電荷が蓄積される一方、領域αには電荷が生じないためと考えられる。無極性液体15が常に一定の箇所(領域α)に集まるように移動する結果、無極性液体15は電圧変化に対しより短い経路で変形することとなり、高い応答性が得られる。さらに、印加電圧と透過率との関係におけるヒステリシスの発現による透過率の変動も抑制される。特に、開口12Kの中心位置をセル領域Zの中心位置と一致させるようにすれば、電圧印加時における無極性液体15の平均の移動距離が最短となり、応答速度をよりいっそう向上させることができる。
【0040】
次に、上記した本実施の形態における液体光学素子10の具体的な利用例について説明する。
【0041】
図14は、本実施の形態における液体光学素子10を搭載した画像表示装置30の概略構成を表すブロック図である。
【0042】
画像表示装置30は、画像表示がなされる画像表示部31と、画像表示のための光を画像表示部31に向けて照射する光源部32と、画像表示部31の駆動制御を行う駆動部33とを備えており、光源部32から射出された光が画像表示部31を透過して視聴者に届くように構成された透過型のディスプレイである。
【0043】
光源部32は、いわゆるバックライトと称される画像表示のための光を発する機構であり、例えば、熱陰極管や冷陰極管、あるいは発光ダイオード等を有するものである。
【0044】
駆動部33は、外部から供給される画像情報(例えば映像信号)Jに基づいて画像表示部31の動作を制御する機構である。
【0045】
画像表示部31は、複数のセル領域Zがアレイ状に配置された液体光学素子10を含むものであり、光源部32と対向して配置されている。画像表示部31は、駆動部33からの制御信号Sに基づいて、光源部32からの入射光の透過量を制御する(射出光の強度を制御する)ことにより映像表示を行うようになっている。ここで、光源部32からの入射光が例えば下部基板11の側から入射するように、画像表示部31と光源部32との配置がなされている。
【0046】
このような液体光学素子10を含む画像表示装置30では、駆動部33に所定の画像情報Jを入力し、駆動部33から制御信号Sを画像表示部31に送信することで、セル領域Zごとに電圧の印加が行われる。例えば図15に示したように、3つのセル領域Z1〜Z3のうちセル領域Z1,Z3に対応する上部電極17および下部電極12の間にのみ電圧を印加し、無極性液体15を変形させることで、光源部32から入射光Linを照射するとセル領域Z1,Z3(のうちの領域β)のみから透過光Loutを取り出すことができる。その結果、例えば光源部32が白色光を射出する場合、セル領域Z1,Z3に対応する部分が白色として表現され、一方、セル領域Z2に対応する部分が黒色として表現される。したがって、液体光学素子40全体として2値画像が表示されることとなる。
【0047】
また、画像表示装置30では、上部電極17と下部電極12との間に印加する電圧の大きさを任意もしくは多段階に制御するなどして、各セル領域Zの透過光の強度を任意もしくは多段階に制御することで階調表現を行うこともできる。
【0048】
さらに、各セル領域Zにおける無極性液体15を、黒色ではなく、それぞれ赤色(R),緑色(G)または青色(B)のいずれかに着色し、光源部32からの入射光のうち、それぞれ同色の色のみを透過するようにすることで、カラー画像を画像表示部31に表示させることもできる。あるいは、例えば上部基板18と上部電極17との間にカラーフィルタを設けることでカラー画像の表示をおこなうようにしてもよい。
【0049】
本実施の形態の画像表示装置30では、液体光学素子10において、厚み方向において、各セル領域Zの周縁部および隔壁14と対応する領域に遮光部材1を配置するようにしたので、簡素な構成でありながら、より高いコントラストを得ることができる。さらに、電圧印加時においても、隔壁14と疎水性絶縁膜13との境界近傍や他のセル領域Zからの光漏れを確実に防ぐことができることから、混色の発生を防ぎ、優れた色再現性を確保しやすくなる。すなわち透過光の高精度な制御が可能となり、より高精細な階調表現が可能となる。
【0050】
[第2の実施の形態]
図16は、本発明における第2の実施の形態としての液体光学素子40の全体構成を表す断面図である。この液体光学素子40は、遮光部材1のかわりに、下部電極12同士の隙間を埋める部分2Aと、セル領域Zのうちの周縁部に対応する領域を占める部分2Bとによって構成される遮光部材2を含むようにしたものである。ここで、部分2Aは酸化アルミニウムなどの絶縁材料からなり、部分2Bは導電性材料からなるものである。部分2Bを構成する材料としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)あるいはアルミニウム(Al)などの高導電率を有する金属のほか、ITOなどの透明導電材料が挙げられる。
【0051】
このような液体光学素子40であっても、第1の実施の形態における液体光学素子10と同様の効果が得られる。その上、疎水性絶縁膜13に対する極性液体16の濡れ性の制御を高精度に行うことができ、かつ、より低い印加電圧で無極性液体15の移動が可能となる。
【0052】
(第1の変形例)
図17は、本実施の形態における第1の変形例としての液体光学素子40Aを表す断面図である。この液体光学素子40Aでは、遮光部材2の部分2A,2Bが、いずれも下部電極12と同等以下の厚みとなるようにしたので、疎水性絶縁膜13の上面の平坦性を維持しつつ、その厚みを最小限度に薄くすることができる。そのため、無極性液体15の変形に要する印加電圧を低く抑えることができ、低電圧駆動が可能となる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0054】
実施例1〜3として、図12に示した液体光学素子10Aを、それぞれ表1(後出)に示したようにセル領域の寸法を変えて作製した。具体的には、図18に示したセル領域Zの寸法Zx,Zy、隔壁14の寸法Wx,Wyおよび遮光部材の寸法Bx,Byが、表1に示した比率となるようにした。表1における上記の各寸法は、隔壁14の寸法Wx,Wyを基準として規格化した値を示す。ここで、寸法Wx,Wyは、図18に示したように隔壁14の幅を表し、全て同一の値とした。さらに、下部基板11および上部基板18としてガラス基板を用い、下部電極12および上部電極17として、ITOを用いた。また、疎水性絶縁膜13は、テフロン(登録商標)AF(デュポン社製)を用いて形成し、隔壁14は、「SU8(化薬マイクロケム株式会社製)」を用いて形成した。さらに、無極性液体15としてカーボンブラックをドデカンに分散したものを用い、極性液体16として水を用いた。遮光部材1は、「アルカリ現像型ブラックレジストインキNSBK(新日鉄化学株式会社製)」を用いて形成した。また、下部電極12と上部電極17との間隔は隔壁14の寸法Wx,Wyの20倍とした。
【0055】
また、実施例4〜6として、図1などに示した液体光学素子10を、それぞれ表1に示したようにセル領域の寸法を変えて作製した。他の条件はそれぞれ実施例1〜3と同様にした。
【0056】
さらに、実施例7〜9として、図16に示した液体光学素子40を、それぞれ表1に示したようにセル領域の寸法を変えて作製した。ここでは、遮光部材2の部分2Bを銅によって形成した。他の条件はそれぞれ実施例1〜3と同様にした。
【0057】
さらに比較例1〜3として、遮光部材を設けなかったことを除き、他は実施例1〜9と同様にして液体光学素子を作製した。
【0058】
【表1】

【0059】
上記各実施例および比較例について、透過率の印加電圧依存性について調査すると共に、コントラストを算出した。その結果を図19〜図22にまとめて示す。図19〜図21は、それぞれセル領域の寸法が同一である場合の透過率と印加電圧との関係を表す特性図であり、横軸が印加電圧(任意単位)を表し、縦軸が透過率(%)を表す。また、図22は、図19〜図21に基づき算出したコントラストを比較したものであり、横軸がセル領域の面積(任意単位)を表し、縦軸がコントラストを表す。コントラストは、印加電圧が0の場合の透過率Tに対する最大の透過率Tmaxの比(Tmax/T)とした。
【0060】
表1および図19〜図22に示したように、セル領域Zの寸法が同一であれば、本実施例のように遮光部材を設けることで、遮光部材を持たない比較例よりも高いコントラストが得られることが確認できた。すなわち、ブラックマトリクスとしての遮光部材を設けることで、透過率の最大値はやや低下するものの、印加電圧が0における光漏れを抑制できることがわかった。特に、遮光部材の一部がセル領域の周縁部をも覆うように配置された実施例4〜9では、低電圧領域での光漏れをよりいっそう低減することができた。さらに、実施例7〜9では、遮光部材の一部(部分2B)を下部電極の一部として機能するので、高電圧領域での透過率が実施例4〜6よりも上回る結果となった。
【0061】
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、1つのセル領域に対応する下部電極を1つ配置するようにしたが、分割された複数の下部電極を配置するようにしてもよい。具体的には、図23(A)に示した液体光学素子10Dのように、同心状に配置され、かつ互いに絶縁された複数の電極パターン12A〜12Dを下部電極として構成するようにしてもよい。あるいは、図23(B)に示した液体光学素子10Eように、セル領域Zの隅に1つの電極パターン12Aを設け、そこから遠ざかるように任意の距離ごとに区切られた複数の電極パターン12B〜12Dを配置するようにしてもよい。こうした場合、各電極パターン12A〜12Dに対して個別に通電するようにすれば、透過光の強度についての多段階の調整を、より高精度に行うことができる。したがって、このような複数に分割された下部電極を有する液体光学素子を画像表示装置の画像表示部に用いれば、より高精細な階調表現を行うことができるものと期待される。
【0062】
さらに、図24に示した液体光学素子10Cのように、無極性液体15が、下部電極12と上部電極17との間に電圧を印加した際、ある領域αにおいて疎水性絶縁膜13および上部電極17の双方と接するようになっていてもよい。その場合、例えば、無極性液体15を透明とし、極性液体16をカーボンブラックなどで着色して遮光体とすれば、電圧を印加しない場合には光Lを遮断する(図24(A))一方、所定の電圧を印加した際に光Lを領域αにおいて透過させる(図24(B))ことができる光学シャッタとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る液体光学素子の全体構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した液体光学素子の全体構成を表す平面図である。
【図3】図1に示した液体光学素子の動作を説明するための概略図である。
【図4】図1に示した液体光学素子の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1の液体光学素子の製造方法を説明するための断面模式図である。
【図6】図5に続く工程を説明するための断面模式図である。
【図7】図6に続く工程を説明するための断面模式図である。
【図8】図7に続く工程を説明するための断面模式図である。
【図9】図8に続く工程を説明するための断面模式図である。
【図10】図9に続く工程を説明するための断面模式図である。
【図11】図10に続く工程を説明するための断面模式図である。
【図12】図1に示した液体光学素子の第1の変形例を表す断面図である。
【図13】図1に示した液体光学素子の第2の変形例を表す断面図である。
【図14】本発明の一実施の形態に係る液体光学素子を有する画像表示装置の全体構成を表すブロック図である。
【図15】図14に示した画像表示装置に搭載される液体光学素子の動作を説明するための概略図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る液体光学素子の全体構成を表す断面図である。
【図17】図16に示した液体光学素子の第1の変形例を表す断面図である。
【図18】本発明の実施例としての液体光学素子の寸法を説明するための説明図である。
【図19】本発明の実施例1,4,7における透過率の印加電圧依存性を表す特性図である。
【図20】本発明の実施例2,5,8における透過率の印加電圧依存性を表す特性図である。
【図21】本発明の実施例3,6,9における透過率の印加電圧依存性を表す特性図である。
【図22】本発明の実施例1〜9におけるコントラストを表す特性図である。
【図23】本発明の液体光学素子における他の変形例を表す平面図である。
【図24】図1に示した液体光学素子の第3の変形例を表す平面図である。
【図25】従来の液体光学素子の動作を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0064】
1,2…遮光部材、10,40…液体光学素子、11…下部基板、12…下部電極、13…疎水性絶縁膜、14…隔壁、15…無極性液体、16…極性液体、17…上部電極、18…上部基板、19…側壁、20…制御部、21…スイッチ、22…電源、30…画像表示装置、31…画像表示部、32…光源部、33…駆動部、Z…セル領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜と
前記絶縁膜上に立設され、この絶縁膜上の領域を複数のセル領域に分割し、かつ各々の前記セル領域を取り囲む隔壁と、
前記絶縁膜の、前記隔壁が設けられた側と反対側に前記絶縁膜に接して設けられた第1の電極と、
前記第1の電極の、前記絶縁膜の側に対向配置された第2の電極と、
前記絶縁膜と前記第2の電極との間に封入されて互いに分離された状態を保つ、一方が透明で他方が不透明の極性液体および無極性液体と、
少なくとも前記隔壁と対応する領域を占めると共に前記第1および第2の電極の少なくとも一方を前記セル領域ごとに電気的に分離し、かつ、遮光性を有する遮光体と
を備えたことを特徴とする液体光学素子。
【請求項2】
前記遮光体は、前記セル領域のうちの周縁部に対応する領域をも占めるように設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体光学素子。
【請求項3】
前記遮光体は、前記セル領域のうちの周縁部に対応する領域を占める部分が導電性材料からなり、前記第1および第2の電極のいずれか一方と接続されていることを特徴とする請求項2記載の液体光学素子。
【請求項4】
前記遮光体は、前記第1の電極を前記セル領域ごとに電気的に分離し、かつ、前記絶縁膜によって覆われていることを特徴とする請求項1記載の液体光学素子。
【請求項5】
前記電極は前記セル領域の全面に亘って延在していることを特徴とする請求項1記載の液体光学素子。
【請求項6】
前記絶縁膜は、無電界下において前記無極性液体に親和性を示すことを特徴とする請求項1記載の液体光学素子。
【請求項7】
前記極性液体が透明であり、前記無極性液体が不透明であることを特徴とする請求項1記載の液体光学素子。
【請求項8】
前記極性液体が不透明であり、前記無極性液体が透明であって、かつ、
前記第1および第2の電極の間に電圧を印加したときに前記極性液体が前記絶縁膜および前記第2の電極の双方に接することを特徴とする請求項1記載の液体光学素子。
【請求項9】
前記隔壁の壁面は、親水性を呈することを特徴とする請求項1記載の液体光学素子。
【請求項10】
絶縁膜と
前記絶縁膜上に立設され、この絶縁膜上の領域を取り囲む壁構造体と、
前記絶縁膜の、前記壁構造体が設けられた側と反対側に前記絶縁膜に接して設けられた第1の電極と、
前記第1の電極の、前記絶縁膜の側に対向配置された第2の電極と、
前記絶縁膜と前記第2の電極との間に封入されて互いに分離された状態を保つ、一方が透明で他方が不透明の極性液体および無極性液体と、
少なくとも前記壁構造体と対応する領域を占めると共に、遮光性を有する遮光体と
を備えたことを特徴とする液体光学素子。
【請求項11】
前記遮光体は、前記壁構造体により取り囲まれた領域のうちの周縁部に対応する領域をも占めるように設けられていることを特徴とする請求項10記載の液体光学素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2009−186666(P2009−186666A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25276(P2008−25276)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】