説明

液体光学素子

【課題】エレクトロウェティング方式の液体光学素子において、電極と導電性液体との間の絶縁の破壊等による導電性液体の電気分解に起因して発生する気泡により容器内部の圧力が上がり封止部等から液体が漏れるのを防止する技術を提供する。
【解決手段】液体光学素子10は、不混和な導電性液体5と非導電性液体6が封入された容器1と、導電性液体に対して絶縁された第1の電極2と、導電性液体に直接接する第2の電極9を有する。第1の電極2と第2の電極9との間に電圧を印加することにより導電性液体5と非導電性液体6の界面の形状が制御される。絶縁の破壊で導電性液体5に一定以上の電流が流れることにより生じる気泡の発生を抑止する抑止手段8が、電圧を印加するための電気回路の液体光学素子10中の部分に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロウェティング現象を用いた液体レンズ、可変絞りなどの液体光学素子に関し、特に、液体の漏れが防止された液体光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2種類の非混和な液体を円筒状容器等に封入し、それぞれの液体の接する界面の形状をエレクトロウェッティング現象を用いて可変にした光学素子が知られている。こうした光学素子は、従来の固定光学素子の様に機械的な移動機構を要することなく光学特性を可変にできるため、光学ユニットの小型化や応答速度の高速化を効果的に実現できる。この液体光学素子では、互いに非混和な導電性を有する液体と非導電性を有する液体が密閉容器に封入されている。そして、容器中の導電性液体と絶縁層を介して接する第1の電極と、導電性液体に直接接する第2の電極との間に電圧を印加することで、印加電圧に対応させて前記液体が接する界面の形状を変化させることができる。この導電性液体には、塩化ナトリウムや臭化ナトリウム等の電解質を水に溶解させた電解液が一般に用いられている。こうしたエレクトロウェティング現象を用いた光学素子を長期にわたって使用していると、導電性液体の電気分解により発生した気体が気泡化し光学素子の性能を劣化させるとし、その対策として以下の技術が提案されている。特許文献1では、気体のみ透過可能な容器を用い、発生した気体を容器の外部に逃がすといった方法が開示されている。特許文献2では、気体を吸収する部材を容器内に設け、それにより発生した気体を吸収するといった方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−053433号公報
【特許文献2】特開2006−065045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、導電性液体と電極を電気的に絶縁する絶縁層に何らかの原因で絶縁破壊が生じた場合、電解液である導電性液体に大きな電流(数十マイクロアンペア)が流れることがある。このとき、導電性液体の電気分解が急激に進み、短時間に大量の気泡が発生する恐れがある。こうした場合、従来の方法では、容器中における気泡の発生を回避することが容易ではない。それだけでなく、容器内部の圧力の増大により液体が容器の封止部等から漏れ出し、装置を汚染するという問題が生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明の液体光学素子は、互いに不混和な導電性液体と非導電性液体が封入された容器と、前記容器に設けられ、前記導電性液体に対して絶縁された第1の電極と、前記容器に設けられ、前記導電性液体に直接接する第2の電極と、を有する。そして、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより前記導電性液体と前記非導電性液体の界面の形状が制御される。更に、前記絶縁の破壊で前記導電性液体に一定以上の電流が流れることにより生じる気泡の発生を抑止する抑止手段が、前記電圧を印加するための電気回路の当該液体光学素子中の部分に設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液体光学素子によれば、上記抑止手段を設けたので、第1の電極と導電性液体との間の絶縁の破壊などに起因して導電性液体の電気分解により気泡が発生することで容器の内圧が上がり封止部などから液体が外部へ漏れるのを防止することができる。更に、光学素子側に前記気泡の発生を抑止する抑止手段を設けたことで、たとえ光学装置側にそうした機能がなくても、上述した問題を回避することができる。即ち、液体光学素子とそれを組み込む光学装置との関係において、汎用性や互換性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の液体光学素子の第1の実施例の概略構成を示す断面図。
【図2】第1の実施例における抑止手段の説明図。
【図3】本発明の液体光学素子の第1の実施例の概略構成を示す断面図。
【図4】第2の実施例における抑止手段の説明図。
【図5】第2の実施例における動作原理の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の液体光学素子は、導電性液体に対する第1の電極の絶縁の破壊で導電性液体に一定以上の電流が流れることにより生じる気泡の発生を抑止する手段を、電圧を印加するための電気回路の当該液体光学素子中の部分に設けたことを特徴とする。ここで、「抑止」とは、たとえ上記絶縁の破壊が起こったとしても上記一定以上の電流が流れない様にして気泡の発生を殆ど阻止することを意味するのは勿論であるが、次の様なことも意味する。即ち、上記絶縁の破壊が起こって上記一定以上の電流が一定期間流れても、液体が外部へ漏れる恐れが出るほどに容器の内圧が上昇するまでには、気泡の発生を止めて気泡の一定量以上の発生を阻止することも意味する。これにより、たとえ上記絶縁の破壊などが起こったとしても、液体光学素子の容器の封止部などから液体が外部へ漏れ出るのを防止でき、フェールセイフ機能を持つ液体光学素子が実現できる。
【0009】
抑止手段の例として、後述の第1の実施例では、上記一定以上の電流が一定期間流れた後に上記電気回路を液体光学素子中の部分で断線させる手段を設けた例を示す。また、後述の第2の実施例では、たとえ上記絶縁の破壊が起こったとしても上記一定以上の電流が流れないようにする手段を上記電気回路の液体光学素子中の部分に設けた例を示す。しかし、抑止手段としては、こうした例に限らず、電気回路の液体光学素子中の部分に設けられて上記意味の「抑止」を実現できる手段であればどの様なものでもよい。例えば、上記一定以上の電流が流れることで溶断するヒューズを電気回路の液体光学素子中の部分に設けたり、容器の内壁の一部を一定以上の内圧で変形する可撓性部として、これの変形でスイッチがオフとなる構成にしたりすることもできる。
【0010】
以下、図1〜図5を用いて本発明の実施例について説明する。
(第1の実施例)
図1は第1の実施例の概略構成を示したもので、液体光学素子として液体レンズ10をカメラなどの光学装置本体100に着脱可能に組み込んだ状態を示す。図1は、光軸Lを通る断面で切断した断面図である。液体レンズ10は、樹脂等の絶縁素材からなる円筒状容器1の内部に互いに混じり合わない不混和な導電性液体5及び非導電性液体6を封入し、ガラス等からなる透明部材3、4により接着剤等で両端部を封止した密閉構造を有している。導電性液体5は、水に塩化ナトリウム、臭化ナトリウム等の電解物質を溶解させたものであり、非導電性液体6は、導電性液体と非混和であるシリコーンオイル等からなる。また、導電性液体5と非導電性液体6は、両液体の接する界面においてレンズ効果を持たせるために互いの屈折率が異なり、更に重力の影響を受け難くするために同じ密度になる様に調整されている。図1において、金属等の導電性素材からなる第1の電極2は、円筒状容器1の側壁の一部をなすと共に絶縁層7を介して導電性液体5に接している。従って、第1の電極2は導電性液体5に対し電気的に絶縁されている。第1の電極2は、一定の範囲で移動する両液体の界面の端部の移動範囲を充分にカバーできる様な光軸L方向の長さを持つ円筒形状を有している。
【0011】
導電性液体5が封入されている側の円筒状容器1の側面には、容器内の空間と連通して、絶縁性の素材からなる円筒状の気泡溜まり8が設けられている。気泡溜まり8は、抑止手段として機能する。この円筒状の気泡溜まり8の導電性液体5に面する端面は、図2(a)に示す様な穴8aを有する壁面となっている。本実施例では、この穴8aの直径d2は、図2(a)及び(b)に示す様に気泡溜まり8の内部空間の直径d1より小さく設定されている。また、気泡溜まり8の他方の端面には第2の電極9が設けられていて、気泡溜まり8により形成された空間に第2の電極9が露出している。以上の様に、気泡溜まり8は、導電性液体5に面した側に穴8aを設けた袋状の構造を有し、電極9は気泡溜まり8の内部空間により囲われた状態になっている。そして、気泡溜まりの内部8bは、通常、穴8aから侵入した導電性液体5により満たされた状態になっており、電極9と導電性液体5は気泡溜まり8の内部で直接接した状態になっている。第2の電極9は、例えば、棒形状を有するが、形、大きさなどは場合に応じて適宜決めればよい。
【0012】
液体レンズ10は、光学装置本体100の鏡筒101に対し矢印A方向に着脱可能に装着され、押え環105により公知の方法で鏡筒101に固定されている。液体レンズ10の第1の電極2は、2aの領域で円筒状容器1の外壁から外部に露出しており、液体レンズ10を鏡筒101に挿入した時、その部分が光学装置本体100の接点102と接して電気的な導通が取れる様になっている。同様に、液体レンズ10を鏡筒101に挿入した時、液体レンズ10の第2の電極9と光学装置本体100の接点103が接して電気的な導通が取れる様になっている。そして、この接点102、103を介して、光学装置本体100側に設けられた電圧印加回路104から直流又は交流の電圧が液体レンズ10に供給される。この様にして液体レンズ10の第1の電極2と第2の電極9間に電圧が印加されることで、エレクトロウェティング現象により、導電性液体5と非導電性液体6の界面Sの曲率が印加電圧に対応して変化し、液体レンズ10の焦点が可変制御される。
【0013】
絶縁層7に絶縁破壊等の問題が無い場合は、絶縁層7を介して導電性液体5に流れる電流はピコアンペアレベルであり、目視可能な気泡は発生しない。しかし、絶縁層7が何らかの原因で絶縁破壊した場合、数十マイクロアンペアの電流が導電性液体5に流れることがある。このため、導電性液体5の電気分解が急激に進み、大量の気泡が発生することがある。この時、図2(b)に示す様に、導電性液体5と接する第2の電極9の周りには、発生した気泡11が付着する。付着した気泡は、気泡同士が互いにくっ付き合いながら成長し、電極9に対する付着力より浮力による力の方が大きくなった様な場合には、電極9から離れて気泡溜まり8b内に浮遊する。
【0014】
図2(c)は、円筒状気泡溜まり8の穴8cの直径d3が気泡溜まり8の内壁の直径と等しい場合を示したもので、この場合、発生した気泡は、11cの様に穴8cを塞ぐ形になるが、内部で発生した新たな気泡による圧力により容器1内の空間へと押し出され易い。これに対し、図2(a)に示す様に、出口の穴8aの直径を内部8bの直径より小さくした場合、気泡は、気泡溜まり8の内部8bで出口の穴8aの直径より大きく発達し、図2(b)の気泡11aの様に出口の穴8aで引っ掛かり出口を塞ぎ易くなる。つまり、気泡溜まり8により形成された空間の断面積を、この空間と容器内の空間を連通させる開口の断面積より大きくするのが好ましい。気泡11aにより出口の穴8aが塞がれると、気泡溜まり8には新たな導電性液体5が容器1内の空間から供給されなくなる。その結果、第2の電極9と導電性液体5は電気的に絶縁されることになり、それ以上の電気分解が進まなくなり新たな気泡の発生が抑止される。このように、上記絶縁の破壊で導電性液体に一定以上の電流が流れることにより発生する気泡が気泡溜まりの空間に溜まることで第2の電極と導電性液体とが電気的に遮断されて一定量以上の気泡の発生が禁止される。
【0015】
本実施例での気泡溜まり8の直径d1は、具体的には約1mm、気泡が逃げない様にする為の穴8aの直径d2は0.2mm〜0.5mm程度であり、気泡溜まり8の容積は液体レンズ1の容器1の容積に比べ十分小さい。従って、気泡の発生が抑止されるまでに、絶縁層7の絶縁破壊による電気分解で発生した気泡による内圧上昇が生じ、内圧が、円筒容器1と透明部材3、4の接着部等の封止部から液体が漏れるほどに達することは無い。尚、気泡溜まり8の形状(本実施例では円筒形状)や気泡を閉じ込め易くする為の穴8aの直径d2の大きさ等については、液体レンズの構造や形状、及び発生する気泡の大きさ等から適宜決められるものである。
【0016】
(第2の実施例)
図3は第2の実施例の概略構成を示し、液体レンズ20を光学装置本体200に組み込んだ状態を示す。図3も、光軸Lを通る断面で切断した断面図である。尚、第1の実施例と構成上同じものに関しては同じ符号で示す。
【0017】
液体レンズ20は、第1の実施例で述べた如く、樹脂等の絶縁素材からなる円筒状容器1の内部に互いに非混和な導電性液体5及び非導電性液体6を封入し、両端部をガラス等からなる透明部材3、4により接着剤等で封止した密閉構造になっている。そして、円筒状容器1の側壁の一部をなす金属等の導電性素材からなる第1の電極2は、第1の実施例で述べた様に、絶縁層7を介して導電性液体5に接している。また、円筒状容器1の側面には、第1の電極2に対し絶縁された状態で第2の電極21が設けられている。この第2の電極21は容器1内の空間に露出し、導電性液体5に直接接している。
【0018】
液体レンズ20は、第1の実施例と同様に、光学装置本体200の鏡筒201に対し矢印B方向に着脱可能に装着され、押え環205により鏡筒201に固定されている。液体レンズ20の第1の電極2は、2aの領域で円筒状容器1の外壁から外部に露出しており、液体レンズ20を鏡筒201に挿入した時、2aの部分が、光学装置本体200側に設けられた電圧印加回路204の接点202と接して電気的に導通する。一方、液体レンズ20の第2の電極21は、後述する抵抗値を有する抵抗22を介して光学装置本体200側に設けられた電圧印加回路204の他方の接点203と接して電気的に導通する。抵抗22は、抑止手段として機能する。抵抗22は、電圧印加回路204内にあればよいので、例えば、第1の電極2と接点202との間に設けることもできる。
【0019】
液体レンズ20の第1の電極2と第2の電極21に電圧印加回路204により直流又は交流電圧を印加することで、エレクトロウェティング現象により、導電性液体5と非導電性液体6の界面Sの曲率が印加電圧に対応して変化する。こうして、液体レンズ20の焦点が可変制御される。今、絶縁層7が何らかの原因により絶縁破壊すると、電流が導電性液体5に流れる。しかし、抵抗22により、流れる電流が一定以内に制限される為、後述する如く気泡の発生が抑止される。
【0020】
図4は、液体レンズ20に電圧を印加する電気回路に対する等価回路を示す。この等価回路において、回路に設けた抵抗22の抵抗値をR1、絶縁破壊により電流が流れた時の導電性液体5の抵抗値をR2、印加する電圧の最大値をVmax、絶縁破壊を生じた時の回路に流れる電流をIとする。液体光学素子20は、絶縁層7と導電性液体5及び電極2、21から構成されるコンデンサと見なすことができ、絶縁破壊が生じた時の抵抗R2はコンデンサCに対し並列に、回路に設けた抵抗R1はコンデンサCに対し直列に繋がることになる。従って、絶縁層7に絶縁破壊が生じても上記現象が起きないためには、次の不等式が成立しなければならない。ただし、電気分解により気泡が発生する時の最小の電流(言い換えれば、絶縁の破壊により導電性液体を通して電気回路に流れ、電気分解を生じさせる電流の最小値)をIminとする。
Vmax/(R1+R2)<Imin・・・・(1)
即ち、回路に設ける抵抗22の抵抗値R1は、式(1)より、次の式(2)を満たす必要がある。
Vmax/Imin−R2<R1・・・・(2)
【0021】
絶縁破壊が生じた時の導電性液体5の抵抗値R2は、絶縁破壊の状況により異なる。式(2)において、最悪の場合をR2=0とすれば、少なくとも、次の式(3)を満たす抵抗値R1となる抵抗22を回路上に設けることにより、導電性液体5の電気分解による気泡の発生を抑止できることになる。
Vmax/Imin<R1・・・・(3)
【0022】
図5は、電気分解による気泡の発生を抑止するために回路に入れた抵抗に対し、印加電圧を変え、電気分解により気泡が発生し始めた時の回路に流れる電流値を求めたものである。図5に示される様に、電気分解により気泡が発生する時の電流値は40〜60μアンペアで、抵抗値の変化に関わらず略一定である。従って、最大印加電圧に対し、電流が40μアンペア以下になる様な抵抗22を回路上に設けることにより、電気分解による気泡の発生を抑止することができる。例えば、液体レンズ20に印加する印加電圧の最大が50Vの場合、絶縁破壊が生じた時でも電流が40μアンペア以下になる様にするためには、1.4MΩ以上の抵抗22を入れれば電気分解による気泡の発生を抑止できることになる。
【0023】
以上述べた如く、上記実施例によれば、絶縁破壊による電気分解により急激に発生する気泡を抑止できるため、気泡による容器の内圧の上昇で液体が封止部より漏れ、光学装置内を汚染するといった問題を回避できる。更に、光学素子側に前記気泡の発生を抑止する抑止手段を設けたことで、たとえ光学装置側にそうした機能がなくても、上述した問題を回避することができる。即ち、液体光学素子とそれを組み込む光学装置との関係において、汎用性や互換性を高めることができる。
【0024】
また、上記実施例においては、液体レンズについて述べたが、本発明は、エレクトロウェティング現象を用いたものであればどの様な光学素子にも適用可能である。例えば、上述した導電性液体と非導電性液体の何れか一方を不透明にし、不透明液体の領域又は透明液体の領域を変化させて光の透過領域を制御する可変絞り等にも応用可能である。
【符号の説明】
【0025】
1・・・容器、2・・・第1の電極、5・・・導電性液体、6・・・非導電性液体、8・・・気泡溜まり(抑止手段)、9、21・・・第2の電極、10、20・・・液体レンズ(液体光学素子)、22・・・抵抗(抑止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに不混和な導電性液体と非導電性液体が封入された容器と、
前記容器に設けられ、前記導電性液体に対して絶縁された第1の電極と、
前記容器に設けられ、前記導電性液体に直接接する第2の電極と、
を有し、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより前記導電性液体と前記非導電性液体の界面の形状を制御する液体光学素子であって、
前記絶縁の破壊で前記導電性液体に一定以上の電流が流れることにより生じる気泡の発生を抑止する抑止手段を、前記電圧を印加するための電気回路の当該液体光学素子中の部分に設けたことを特徴とする液体光学素子。
【請求項2】
前記抑止手段は、前記容器内の空間と連通すると共に前記第2の電極が露出した空間を形成する気泡溜まりからなり、
前記絶縁の破壊で前記導電性液体に一定以上の電流が流れることにより発生する気泡が前記気泡溜まりの空間に溜まることで前記第2の電極と前記導電性液体とが電気的に遮断されて一定量以上の気泡の発生が阻止されることを特徴とする請求項1に記載の液体光学素子。
【請求項3】
前記気泡溜まりにより形成された空間の断面積が、該空間と前記容器内の空間を連通させる開口の断面積より大きいことを特徴とする請求項2に記載の液体光学素子。
【請求項4】
前記抑止手段は、前記電気回路の当該液体光学素子中の部分に設けられた抵抗値R1の抵抗からなり、
前記電気回路により印加される電圧の最大値をVmax、前記絶縁の破壊により前記導電性液体を通して電気回路に流れ、電気分解を生じさせる電流の最小値をIminとした時、抵抗値R1は、Vmax/Imin<R1を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液体光学素子。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の液体光学素子を着脱可能に組み込んだことを特徴とする光学装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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