液体内のガス無気泡溶液を作成するガス化システムおよび方法
本明細書で開示される実施形態は、迅速な応答時間および濃度の少ない変動で、少量のガスを液体に導入することができる。一実施形態において、ガスは、接触器の多孔質要素のガス接触側の流入口内に方向付けられ、液体は、接触器の多孔質要素の液体接触側の流入口内に方向付けられる。液体接触側およびガス接触側は、多孔質要素および筐体によって分離される。ガスは、接触器の流入口に流入するガスの圧力と比較して減圧で、多孔質要素のガス接触側の流出口から除去される。液体中に送り込まれるガスの一部を含有する液体は、多孔質要素の液体接触側の流出口から除去され、希釈された無気泡溶液を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/054,223号(名称「APPARATUS AND METHOD FOR MAKING DILUTE BUBBLE FREE SOLUTIONS OF GAS IN A LIQUID」、2008年5月19日出願)、米国仮特許出願第61/082,535号(名称「APPARATUS AND METHOD FOR MAKING DILUTE BUBBLE FREE SOLUTIONS OF GAS IN A LIQUID」、2008年7月22日出願)、米国仮特許出願第61/095,230号(名称「APPARATUS AND METHOD FOR MAKING DILUTE BUBBLE FREE SOLUTIONS OF GAS IN A LIQUID」、2008年9月8日出願)、および米国仮特許出願第61/101,501号(名称「SYSTEM AND METHOD FOR MAKING DILUTE BUBBLE FREE SOLUTIONS OF GAS IN A LIQUID」、2008年9月30日出願)の優先権を主張し、これらの出願の全内容は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、集積回路の製造に関し、より具体的には、無気泡または実質的に無気泡である液体中のガスの溶液を提供することができるガス化システムおよび方法の実施形態に関し、該溶液は、集積回路の製造プロセスにおいて特に有用である。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
集積回路(IC)の製造におけるフィーチャサイズの継続的な縮小およびこれまで以上に脆弱な材料の採用により、半導体ウエハの特性に害を与えない、効果的かつ負荷の少ないプロセスを開発することが極めて重要になってきている。炭酸化した脱イオン(DI−CO2)水を用いたウエハの清浄は、損傷を与えない洗浄を可能にする負荷の少ないプロセスの実施例である。よって、半導体製造におけるフォトリソグラフィ、湿式エッチングおよび洗浄、ならびに化学機械的な研磨(CMP)の用途におけるガス化DI水の使用に持続的な関心が寄せられている。少量の溶解ガスで水のドーピングを制御することは困難であるため、低濃度の溶解ガスを含む水をどのように生成および維持するかが重要な課題の1つである。
【0004】
膜接触技術は、水等の液体中に高濃度の溶解ガスをもたらすために使用されてきた。他にもいくつか低濃度のガス化溶液を作製するために使用される一般的な手法がある。第1の方法は、ガス混合物を膜接触器に注入する前に、所望のガスを窒素(N2)等の不活性ガスを用いて混合または希釈することである。不活性ガスは、膜接触器内で所望のガスの濃度を希釈し、水等の液体に溶解した低レベルのガスをもたらす。液体に溶解したガスの標的濃度は、所望のガスと不活性ガスまたは担体ガスとの流量比を変化させることにより維持することができる。この方法は、好適な希釈を達成するために大量のガス(複数可)を使用し得るため、高価および/または無駄の多い可能性がある。
【0005】
第2の方法では、液体中に所望の低濃度の標的ガスを得るための比率で、高濃度のガス化水を非ガス化DI水を用いて混合または希釈する。液体中のガスの標的濃度は、高濃度ガス化水と非ガス化DI水との流量比を変動させることにより維持することができる。この方法は、大量の液体(複数可)を必要とし得、同様に高価および/または無駄の多い可能性がある。
【0006】
これらの方法の実施例は、以下の特許文献に見出すことができる。特許文献1は、金属エッチング後のプラズマストリップと併用したCO2水清浄による残渣の除去を開示する。特許文献2は、オゾン水流および濃度制御の装置ならびに方法を開示する。特許文献3は、中空糸膜を有するモジュールを含む膜接触器装置を開示する。特許文献4は、体積当たりの表面積が大きな塔充填用ポリマーを用いて充填した接触器のチャンバ内における、CO2とDI水との混合を開示する。
【0007】
第1および第2の混合または希釈方法は、低濃度の溶解ガスを生成することができるが、各方法はその固有の欠点を有する。例えば、所望のガスを不活性ガスまたは担体ガスと混合することは、プロセスにおいて不必要な汚染物であり得るほかのガスを液体中に導入する可能性があり、プロセスのためのガスの総使用量を増加させる。さらに、追加の担体ガスを液体に溶解することは、水中のガスの総濃度を増加させる可能性があり、望ましくないおよび/有害な気泡を生じ得る。また、高濃度のガス化水を希釈することは、余分な水を使用してシステム設計および制御に複雑さを加えることとなり、コストを増大させる。その上、両方の方法において、接触器の表面上で液体の凝縮が起こり得る。この凝縮液が除去されないと、その凝縮液が膜を詰まらせて有効な接触面積を減少させ得、性能効率の損失および液体中の溶解ガスの量における不均一性をもたらす。結果的に、上記2つの方法には凝縮液を除去するために頻繁なパージサイクルが一般的に使用され、コスト、ダウンタイム、およびシステムの複雑性が追加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,328,905号明細書
【特許文献2】米国特許第7,264,006号明細書
【特許文献3】米国特許第7,273,549号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0257738A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
低濃度の液体中の溶解ガスを生成するために、接触器を介して低流量のガスを液体中に供給する間に液体中の標的ガス濃度が定常状態に達するには長期間が必要であることが分かった。接触器内へのガス流の開始から測定して液体中の定常ガス濃度に達するために必要とされる長い期間は、現代の製造プロセスにとって満足できるものではなく、特に、半導体プロセスにとっては満足のいかないものであった。さらに、低いガス流量は制御することが困難であり、つまりは、ガスから液体への変換を制御することが困難である。
【0010】
液体中でのガス濃度の変動が少ない、液体中の1つ以上のガスの濃度が低い液体を作製することは、接触器の多孔質要素を介して減少した圧力でガスを液体に送り込むことによって達成されてきた。減圧の使用は、減圧を用いない接触器の使用と比較した場合、ガスの液体中の定常濃度に達する時間を予想外に早めるか、または短縮する結果となる。また、接触器のガス接触側で一定の減圧を維持することにより、低レベルのガス濃度における変動が低減されたことが分かった。
【0011】
発明者は、接触器内の液体の流れに減圧でガスを送り込むことは、実質的に液体内に無気泡のガスの低濃度の組成物を形成するために使用することができることを発見した。本明細書で開示されるシステム、方法、および装置の実施形態は、供給液が迅速に液体中のガスの定常濃度に達し、安定した、ほとんど変動のないガス化溶液を生成することを可能にする。接触器のガス接触側の液体流量、ガス流量、または圧力のうちのいずれかを使用して、所望の液体中のガスの量を変更することができる。
【0012】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、低い分圧/減圧で液体中に1つ以上のガスを送り込むことができる装置またはデバイスを提供する。装置は、ガスと液体とが膜(中空糸もしくは平坦なシートであり得る)またはフリット等の多孔質要素によって分離される接触器を備えることができる。多孔質要素は、ポリマー、セラミック、金属、またはそれらの複合体であり得る。装置は、ガス流量制御器、減圧源、および液体流量制御器をさらに備えることができる。一部の実施形態において、ガス流量制御器は接触器のガス流入口に接続されてもよく、減圧源は接触器のガス流出口に接続されてもよく、液体流量制御器は接触器の液体接触側に接続され得る。ガス流量制御器の実施例は、オリフィス、質量流量制御器、ロータメータ、絞り弁等を含むことができる。圧力源の実施例は、真空ポンプ、ベンチュリ型真空発生器等を含むことができる。好適な液体流量制御器の実施例は、液体質量流量制御器、ロータメータ、弁、オリフィス等を含むことができる。
【0013】
一部の実施形態において、接触器は多孔質の膜接触器である。任意選択的に、センサは、液体に溶解したまたは液体と反応したガスの濃度を判定することができる接触器の液体流出口に接続され得る。また、任意選択的な分析器および/または任意選択的な流量計がセンサに連結され得る。
【0014】
一部の実施形態において、本明細書で開示されるガス化システムは、システム制御器を用いずに手動で使用されてもよく、液体中で測定されるガス濃度に基づいて、液体流量、ガス流量、システム圧力等を調節することができる。一部の実施形態において、ガス化システムは、閉ループ制御を使用して自動化され得、その場合、溶解ガス濃度モニタ(液体中の溶解ガスまたは反応ガスの濃度)、ガス流量制御器、および液体流量制御器のうちの1つ以上からの出力(複数可)が、接触器内への液体流量、接触器内へのガス流量、および減圧のレベルのうちの1つ以上を制御するために使用される。
【0015】
一部の実施形態において、多孔質膜のガス接触側の圧力は、接触器のガス流出口の圧力ゲージによって判定することができ、接触器内のガスの全圧を維持するために手動または制御器によって調節することができる。任意選択的に、接触器のガス流出口と圧力ゲージもしくは真空ゲージおよび/または減圧源との間に、液体トラップが設置され得る。
【0016】
一部の実施形態において、無気泡または実質的に無気泡である液体中のガスの溶液を作製するためのガス化システムまたは装置は、ガス流入口およびガス流出口を有するガス接触側と、液体流入口および液体流出口を有する液体接触側とを有する接触器を備えることができる。接触器は、接触器の筐体内に取り付けられ得る多孔質要素によって、ガスを液体から分離することができる。ガス流量制御器は、接触器のガス流入口に接続され得る。減圧を生成または引き起こすことができるデバイスまたは真空源は、接触器のガス流出口に接続され得る。デバイスは、多孔質要素のガス接触側で凝縮する液体の量を減少させることができる。液体流量制御器は、接触器の液体接触側に接続され得る。装置は、液体中に送り込まれるガスの濃度を測定するための、接触器の液体流出口に接続されるセンサを選択的に含むことができる。
【0017】
一部の実施形態において、無気泡または実質的に無気泡である液体中のガスの溶液を作製するためのガス化方法は、接触器の多孔質要素のガス接触側の流入口にガスを流入させるステップと、接触器の多孔質要素の液体接触側の流入口に液体を流入させるステップであって、液体接触側は、多孔質要素および接触器の筐体によってガスから分離されるステップと、接触器の流入口に流入するガスの圧力と比較して減圧で、接触器の多孔質要素のガス接触側の流出口からガスを除去するステップと、多孔質要素の液体接触側の流出口から、液体中に送り込まれるガスの一部を含有する液体を除去するステップとを含むことができる。方法のいくつかの実施形態は、液体に溶解したガスを生成するために使用されてもよく、その場合、液体中のガス濃度の安定性は、±15パーセント以下であり、いくつかの場合において±5パーセント以下であり、さらに他の場合において±2パーセント以下である。
【0018】
一部の実施形態において、無気泡または実質的に無気泡である液体中のガスの溶液を作製するためのガス化システムまたは装置は、ガスを液体に溶解させるか、または液体中に送り込むために使用される、膜接触器を備えることができる。ガス化システムは、接触器に進入するガス流量を制御するための質量流量制御器および/または圧力調節器、ならびに接触器に進入する液体流量を制御するための液体流量制御器をさらに備えることができる。いくつかの実施形態における接触器のガス流出口は、真空または減圧源に接続されてもよく、その場合、接触器の流入口に流入するガスの圧力と比較して減圧で、接触器の多孔質要素のガス接触側からガスが除去される。一部の実施形態において、液体に溶解したガスの濃度を測定するために、接触器の下流にインライン濃度モニタが実装され得る。液体流量が変化すると、液体中の標的ガス濃度を維持するように、手動または自動のいずれかでガス流量および/または真空レベルを調節することができる。膜接触器内のいずれの凝縮液も、真空または減圧源によって除去することができ、凝縮液トラップ内に回収することができる。ガス化システムは、コンピュータ可読記憶媒体に格納され、システムの減圧または真空に影響を及ぼすことなく、凝縮液トラップおよび配水管を自動的に制御するためのコンピュータ実行可能命令を含むシステムソフトウェアをさらに備えることができる。この実装により、パージサイクルの必要性を最小に抑えることができ、絶え間ないプロセスが可能になる。また、真空圧または減圧は、接触器内のガスの分圧を低減させる役割を果たすこともでき、ひいては水に溶解するガスの量を低減させることができる。
【0019】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、1つ以上のガスを液体に溶解させるか、または送り込むために使用することができ、別のガスと混合することなく、所望のガスを液体に直接注入することを可能にする。脱イオン(DI)水は、そのような液体の実施例である。このことは、望ましくない希釈ガスのプロセス汚染を有利に排除し、ガス消費量が低いために操作コストを削減し、システム設計およびメンテナンスを単純化する。本明細書で開示される実施形態は、接触器内の凝縮液および有効な接触面積の損失を減少させるかまたは排除することにより、溶解ガスの安定性および均一性を向上することができる。多孔質要素を凝縮液のない状態に保つための周期的なパージが必要とされないため、本明細書で開示される実施形態は、ツールのダウンタイムおよびメンテナンスを最小に抑えることができる。低い分圧で供給されるガスが、接触器の多孔質要素を介して減圧(低い分圧と比較して)で液体に接触する実施形態もまた、液体中のガスの設定値濃度に対する迅速な応答時間を提供することができる。
【0020】
一部の実施形態において、自動DI水ガス化システムは、0.5μS/cmもの低い伝導度を有するガス化DI水を混合することなく生成および維持するために、水中に微量のCO2を直接注入することができる。マイクロジーメンス(μS)は、ジーメンスの100万分の1である。脱イオン水のコンダクタンスは非常に低いため、マイクロジーメンス/cm(またはマイクロモー/cm)で測定される。一部の実施形態において、自動DI水ガス化システムは、10〜40μS/cmという、より高いコンダクタンスでガス化DI水を生成および維持することができる。一部の実施形態において、流量に応じて、単一の自動DI水ガス化システムが種々の伝導度レベルでガス化DI水を生成および維持することができる。一部の実施形態において、単一の自動DI水ガス化システムは、約0.5μS/cmから約65μS/cmまで伝導度レベルを制御することができる。
【0021】
一部の実施形態において、中空糸等の多孔質の接触要素から凝縮液を除去することは、標的伝導度、水流量、ガス流量等を含むシステム条件に応じて実装ごとに異なっていてもよい。DI水ガス化システムの一部の実施形態において、膜に基づく接触器内の凝縮液を排除するために減圧が印加され得る。一部の実施形態において、流出口の真空または真空源は、6μS/cmを例示的な標的伝導度として、膜に基づく接触器の下流に配置される。一部の実施形態において、流出口の真空はまた、広範囲の圧力範囲にわたって変化してもよく、それらはすべて大気圧未満であるか、または14.7ポンド/平方インチ(psi)未満であり得る。一部の実施形態において、流出口の真空は排除され得る。例えば、伝導度の高いシステムは、真空源を必要としなくてもよい。
【0022】
一部の実施形態において、減圧は、多孔質要素から凝縮液を除去するのに十分であり得る。自動DI水ガス化システムのいくつかの実施形態は、40μS/cmを例示的な高い標的伝導度として、CO2排出量を制御することができる。一部の実施形態において、流出口の真空を有する単一の自動DI水ガス化システムは、真空を使用する時と、CO2排気を使用する時とを制御するソフトウェアを介して、低い(10μS/cm未満)および高い(10μS/cm以上)標的伝導度レベルを達成することができる。一部の実施形態において、10μS/cmを下回る標的伝導度のために真空が印加され得る。一部の実施形態において、真空レベルは、異なる伝導度レベルのために調節される。例えば、真空レベルは、1μS/cmに達するように増加されてもよく、また、10μS/cmに達するように減少され得る。一部の実施形態において、20μS/cmを上回る標的伝導度のためには、システムはいずれの真空も印加しなくてよい。そのような場合には、CO2排気のみが使用され得る。一部の実施形態において、10μS/cmと20μS/cmとの間の標的伝導度に対して、水の流量に応じて真空が使用され得る。
【0023】
自動DI水ガス化システムのいくつかの実施形態は、二酸化炭素が停止され、窒素パフ(急激な短時間でのN2の吹き付け)が開始される周期的なメンテナンスサイクルを用いて、いずれの凝縮液も除去することができる。ここでは、N2は混合または希釈のために使用されるのではない。いくつかの伝導度の高い用途には、CO2の流量は、多孔質要素を乾燥した状態に保つほど十分に高くてもよく、必要な場合は、CO2を停止してN2パフを用い得る。いくつかの場合において、N2パフの時間の長さは制御されるが、N2パフにおいて使用されるN2の量は制御されない。
【0024】
本明細書で開示されるガス化システムおよび方法の実施形態は、いかなる種類のガスまたは液体の混合も必要とせず、ガスを希釈する必要性を排除することが可能であり、ガスの総消費量を低減させることが可能であり、種々の半導体洗浄プロセスに有用であり得る。これらおよび他の側面は、以下の説明および添付の図面とともに考慮されると、より深く認識および理解されるであろう。以下の説明は、種々の実施形態およびその多数の特定の詳細を示しているが、例示の目的で提示されるのであって、限定するためのものではない。多くの代替例、変形例、追加例、または再構築例が、本開示の範囲内で作製されてもよく、本開示は、そのようなすべての代替例、変形例、追加例、または再構築例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の実施形態は、以下の詳細な説明を参照して、添付の図面とともに熟読されることによって、最もよく理解されるであろう。
【図1】図1は、自動ガス化システムの一実施形態の概略図である。
【図2】図2は、手動制御によるガス化システムの一実施形態の概略図である。
【図3】図3は、膜接触器、減圧源、低流量ガス用の質量流量制御器、および選択的な凝縮液トラップを備える、ガス化システムの一実施形態の概略図である。
【図4】図4は、膜接触器、減圧源、低流量ガス用の質量流量制御器、および選択的な伝導度センサを備える、ガス化システムの一実施形態の概略図である。
【図5A】図5Aおよび5Bは、真空圧または減圧(図5A)を用いない場合、および真空圧または減圧(図5B)を用いた場合の、液体中のガスの定常濃度までの時間を実施例として示すプロット図である。
【図5B】図5Aおよび5Bは、真空圧または減圧(図5A)を用いない場合、および真空圧または減圧(図5B)を用いた場合の、液体中のガスの定常濃度までの時間を実施例として示すプロット図である。
【図6】図6は、膜接触器、圧力調節器、質量流量制御器、プログラム論理制御器(PLC)モジュール、および伝導度センサを備える、ガス化システムの一実施形態の概略図である。
【図7A】図7A、7Bおよび7Cは、液体流量、時間、ガス化液体の伝導度(自動制御ループを用いる)の間の関係を実施例として示すプロット図である。
【図7B】図7A、7Bおよび7Cは、液体流量、時間、ガス化液体の伝導度(自動制御ループを用いる)の間の関係を実施例として示すプロット図である。
【図7C】図7A、7Bおよび7Cは、液体流量、時間、ガス化液体の伝導度(自動制御ループを用いる)の間の関係を実施例として示すプロット図である。
【図8】図8は、膜接触器の一実施形態の概略図である。
【図9】図9は、種々の伝導度の設定値を維持する際の、ガス消費量と液体流量との間の例示的な関係を示すプロット図である。
【図10】図10〜12Bは、伝導度の設定値を維持する間に流量が変化した場合の伝導度と時間との間の例示的な関係を示すプロット図である。
【図11】図10〜12Bは、伝導度の設定値を維持する間に流量が変化した場合の伝導度と時間との間の例示的な関係を示すプロット図である。
【図12A】図10〜12Bは、伝導度の設定値を維持する間に流量が変化した場合の伝導度と時間との間の例示的な関係を示すプロット図である。
【図12B】図10〜12Bは、伝導度の設定値を維持する間に流量が変化した場合の伝導度と時間との間の例示的な関係を示すプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明ならびにその種々の特性および有利な詳細が、添付の図面に例示され、以下の説明に詳述される非限定的な実施形態を参照して、より完全に説明される。周知のIC製造プロセスおよび出発材料、半導体製造技術および設備、プログラム言語およびプログラム技術を含むコンピュータハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントの記載は、本開示の詳細を不必要に不明瞭にしないように省略する。しかしながら、当業者は、好ましい実施形態が開示されるが、詳細な説明および特定の実施例は、例示のみの目的で提示されるのであって、限定するためのものではないことを理解するはずである。本開示を読めば、当業者には、基礎となる発明の概念(複数可)の範囲内で、種々の代替例、変形例、追加例、または再構築例が明らかになるであろう。
【0027】
本明細書で開示される実施形態を実装するソフトウェアは、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体に存在してもよい好適なコンピュータ実行可能命令において実装され得る。本開示内では、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、プロセッサが読み取ることのできるすべての種類のデータ記憶媒体を包含する。コンピュータ可読記憶媒体の実施例は、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、ハードドライブ、データカートリッジ、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスケット、フラッシュメモリドライブ、光データ記憶デバイス、コンパクトディスク読み取り専用メモリ、ならびに他の適切なコンピュータメモリおよびデータ記憶デバイスを含むことができる。
【0028】
本明細書で使用される用語「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」またはそれらの任意の他の変形例は、非排他的な包含を網羅することが意図される。例えば、一連の要素を含むプロセス、製品、物品、もしくは装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されないが、明示的に列挙されていない他の要素またはそのようなプロセス、物品、もしくは装置に固有である他の要素を含むことができる。さらに、特に矛盾する記載がない限り、「または」は、包括的な「または」を意味し、限定的な「または」を意味しない。例えば、条件AまたはBは、以下のうちのいずれか1つによって満たされる。Aは真であり(または存在する)、かつBは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在しない)、かつBは真である(存在する)、ならびに、AおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0029】
また、本明細書に提示される任意の実施例または図は、決して、それらが用いられる任意の用語(単数または複数)を制限する、限定する、またはその定義を明示すると見なされるものではない。代わりに、これらの実施例または図は、1つの特定の実施形態に関して記載されているのであって、例示のみであると見なされるものとする。当業者は、それらの実施例または図が用いられる任意の用語(単数または複数)は、他の実施形態、ならびに明細書においてその用語ともにまたは他の場所に提示され得るかまたはされなくてもよいその実装および適合を包含し、すべてのそのような実施形態は、その用語(単数または複数)の範囲内に含まれることが意図されることを認識するであろう。そのような非限定的な実施例および図を指す言語は、これらに限定されないが、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「例えば(e.g.)」、一実施形態において「等(and the like)」を含む。
【0030】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で開示されるものと同様または等価な方法および材料が、本発明の実施形態の実践または試験において使用され得る。本明細書に記載されるすべての出版物は、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書のいかなる記載についても、本発明が先の発明の存在によって、このような開示に先行する権利を有しないものと解釈されるものではない。「選択的な(optional)」または「選択的に(optionally)」とは、その後に続いて記載される事象または状況が発生してもしなくてもよいことを意味し、その記載が該事象または状況が発生する例、およびそれが発生しない例を含むことを意味する。本明細書に記載されるすべての数値は、明示的に示されていてもいなくても、「約」という用語によって修飾されることができる。「約」という用語は、通常、当業者が、列挙された値と同等であると考える数字の範囲(すなわち、同じ機能または結果を有する)を指す。一部の実施形態において、「約」という用語は記載される値の±10%を指し、他の実施形態において、「約」という用語は記載される値の±2%を指す。組成物および方法は、種々の構成要素またはステップを「含む」(comprising)という観点から記載されるが(「〜を含むが、これらに限定されない」を意味すると解釈される)、組成物および方法はまた、種々の構成要素またはステップから「実質的に構成される(consist essentially of)」または「構成される(consists of)」ことも可能であり、そのような専門用語は、実質的に限定的な構成要素の群を定義すると解釈されるべきである。
【0031】
次に、例示的な実施形態について詳細に言及し、その実施例を添付の図面に示す。可能な限り、同一部分または類似部分(要素)を言及するために、図面を通して同じ参照番号が使用される。
【0032】
本明細書で開示されるガス化システムおよび方法の実施形態は、無気泡または実質的に無気泡である液体中のガスの溶液を生成することができる。よって、生成されるガス化液体は、液中濃度の低いガスを有することができる。一部の実施形態において、供給ガスが供給液に導入される。一部の実施形態において、供給ガスは二酸化炭素(CO2)であり、供給液は脱イオン(DI)水(H2O)である。本明細書において、DI水が供給液の実施例として記載されるが、当業者は、供給液はDI水に限定されるものではなく、本明細書で開示される実施形態は、他の種類の供給液のために適合され得るか、またはさもなければ実装され得ることを認識することができる。同様に、本明細書において、CO2が供給ガスの実施例として記載されるが、当業者は、供給ガスはCO2に限定されるものではなく、本明細書で開示される実施形態は、他の種類の供給ガスのために適合され得るか、またはさもなければ実装され得ることを認識することができる。一部の実施形態において、CO2は、直接噴射によってガス化システム内のDI水に導入される。この直接噴射法は、CO2とH2Oおよび/または窒素(N2)等の不活性ガスとの混合を必要としない。
【0033】
図1は、閉ループ制御による自動ガス化システムの一実施形態の概略図である。システム100は、ガス源110、液体源120、システム制御器130、接触器160、質量流量制御器(MFC)または圧力制御器140、および真空源180を備える。システム制御器130は、接触器内へのガスの流量に比例する出力信号(MFC140からの制御器測定信号142)、接触器の液体流出口における液体中のガスの量に比例する出力信号(濃度モニタ170からの濃度測定信号172)、または接触器内への液体の流量に比例する出力信号(液体流量計150からのFIW流量測定信号152)を受信する(例えば、これらに限定されないが、有線、無線等を使用して)ように適合される。これらの信号は、有線、無線、光ファイバ、それらの組み合わせ等を経由して移動することができる。
【0034】
接触器160は、ガス接触側および液体接触側を備えることができる。ガス接触側は、ガス流入口およびガス流出口を備えることができる。液体接触側は、液体流入口および液体流出口を備えることができる。液体流入口は、脱気されて得る供給液のために適合され得る。液体流出口は、供給液よりも多くの液体中のガスの総量を含有する液体組成物のために適合され得る。この実施例では、DI水が供給液、CO2が供給ガスであり、溶解したCO2ガスを含むDI水またはガス化DI水を含有する液体組成物を生成する。
【0035】
一部の実施形態において、接触器160は、多孔質要素を備えることができる。多孔質要素は、接触器の筐体内に取り付けられ得る。一部の実施形態において、接触器の多孔質要素は、液体接触側およびガス接触側を備えることができる。一部の実施形態において、接触器の多孔質要素の液体接触側は、多孔質要素および接触器の筐体によってガスから分離される。一部の実施形態において、接触器は、パーフルオロアルコキシ(PFA)中空糸膜に基づく接触器である。一部の実施形態において、多孔質要素は、多孔質膜であり得る。一部の実施形態において、多孔質膜は、約35psiを上回るバブルポイントを有することができ、一部の実施形態においてバブルポイントは80psiを上回り、さらに他の実施形態においてバブルポイントは100psiを上回る。所与の流体および細孔サイズでは、持続的に湿潤させた場合、細孔に気泡を通すために必要とされる圧力は細孔の直径の大きさに反比例するという事実に基づいて、フィルタ要素における唯一最大の細孔の相対的な指標を得るためにバブルポイントが使用される。つまり、最初に一連の気泡が浮上するポイントが最大の細孔である。標準的なバブルポイント試験の手順では、イソプロピルアルコール(IPA)を試験液として使用するため、バブルポイントはIPAバブルポイントと称されることもある。
【0036】
MFC140は、ガス流量制御器の実施例である。好適なガス流量制御器の追加の実施例は、これらに限定されないが、ロータメータ、圧力制御器、オリフィス、弁とオリフィスの組み合わせ、調節可能な弁等を含むことができる。ガス流量制御器は、接触器のガス流入口に流体的に接続される。
【0037】
液体流量計150は、液体流量制御器の実施例である。好適な液体流量制御器の追加の実施例は、これらに限定されないが、ロータメータ、圧力制御器、オリフィス、弁とオリフィスの組み合わせ、調節可能な弁等を含むことができる。液体流量制御器は、接触器の液体接触側に流体的に接続される。
【0038】
真空源180は、接触器のガス接触面に減圧を提供することができ、接触器のガス流出口に流体的に接続され得る。好適な真空源180の実施例は、これらに限定されないが、真空ポンプ、弁および真空ポンプ、ベンチュリ、圧力ゲージおよび制御器等の圧力制御器を含むことができる。一部の実施形態において、真空源180は、接触器の多孔質要素のガス接触側の凝縮液を除去または蒸発させることができる。
【0039】
システム制御器130は、ガス化液体126中のガス112の設定値濃度を生成するように、ガス源110から接触器160へのガス112の流量、接触器160からの液体126中のガス112の濃度もしくは量、接触器160への液体の流量、またはそれらの組み合わせを、それらの対応する設定値と比較することができる。システム制御器130は、液体126(液体組成物)中のガスの濃度を設定値濃度の15%以内、いくつかの場合において10%以内、他の場合において5%以内、さらに他の場合において3%以内に維持するように、接触器160へのガスの流量を変化させる、接触器160の流出口におけるガスの圧力を変化させる、接触器160への液体122の流量を変化させる、またはそれらの組み合わせのために使用することができる出力信号132を生成することができる。設定値濃度の変動が少ないほど、液体組成物を使用する製造プロセスの安定性および再現性が高くなる。
【0040】
圧力変換器(図3〜4および6を参照)は、接触器と真空源との間の、接触器のガス流出口に配置され得る。圧力変換器は、真空源の一部であり得る。真空源は、減圧を変更するため、排ガスおよび凝縮液162を通気させるため、またはそれらの組み合わせのために、システム制御器に入力を提供することができ、またシステム制御器から出力を受信することができる。図1に示すように、水に溶解したCO2の量は、CO2の分圧を調節することにより制御することができる。選択的に、液体中に送り込まれるガスの濃度を測定するために、センサが接触器の液体流出口に接続され得る。水の導電率は、水中のCO2濃度に直接比例し、水中のCO2濃度の指標として使用することができる。
【0041】
図2は、手動制御によるガス化システムの一実施形態の概略図である。システム200は、ガス源210、液体源220、質量流量制御器(MFC)または圧力制御器240、液体流量計250、接触器260、濃度モニタ270、および真空源280を備える。ガス源210からのガス212は、MFC240を介して制御することができる。液体源220からの液体222の流量は、流量測定信号252を生成する液体流量計250で測定することができる。真空源280は、接触器260から排ガスおよび凝縮液262を除去するために用いられる。接触器260から出るガス化液体226の濃度は、濃度モニタ270によって監視することができる。下の表1は、システム200の実施形態を使用してDI水に溶解した低濃度のCO2の典型的な性能結果の実施例である。
【0042】
【表1】
図3は、ガス源310、液体源320、低流量ガス用の質量流量制御器340、膜接触器360、伝導度センサ372、真空源380、および選択的な凝縮液トラップ364を備えるガス化システム300の一実施形態の概略図である。システム300は、安定した水の伝導度を維持するために、選択的な閉ループ制御をさらに備えることができる。真空源380は、接触器360内の凝縮液を排除するために減圧(すなわち、大気圧未満)で一定の真空掃引を提供すること、およびガス312を液体322中に送り込むための低い分圧を提供することが可能である。ガス312が第1の圧力で接触器360に供給される場合は、真空源380は、第1の圧力よりも低い第2の圧力を接触器360に供給することができ、接触器360を介して、減圧でガス312を液体322中に送り込ませる。一部の実施形態において、接触器360は、ミネソタ州チャスカのEntegris,Inc.より入手可能なpHasor(登録商標)接触器である。膜接触器の追加の実施例は、米国特許第6,805,731号に開示され、参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態において、接触器360は多孔質要素を備えることができる。一部の実施形態において、多孔質要素は、ガス透過性の中空糸を備えることができる。
【0043】
図3に示す選択的な凝縮液トラップ364は、真空源380によって生成されるかまたは引き起こされる真空圧もしくは減圧に影響を及ぼすことなく、排ガスおよび凝縮液362を除去するための選択的な自動廃水機能を有する種々の弁304、306、308を備える。例えば、弁304、306は、真空隔離弁であり得、弁308は、凝縮液トラップ364から排ガスおよび凝縮液362を放出するための廃水弁であり得る。図3はまた、例示目的で、真空ゲージ396、液体圧力ゲージ394、および伝導度センサ372を含む選択的な構成要素を表している。伝導度センサ372は、ガス化液体326中のガス312の濃度を測定するために接触器360の液体流出口に接続され得る。
【0044】
一部の実施形態において、伝導度センサ372からの出力は、ガス化液体326中のガス312の濃度を設定値濃度または標的濃度と比較する際に使用され得る。例えば、システム制御器は、伝導度センサ372によって測定した場合に、ガス化液体326中のガス312の量に比例する出力信号を(有線、無線、光等を介して)受信するように適合され得る。種々の実施形態において、制御器は、センサ出力を設定値濃度と比較することができ、また、ガス化液体326中のガス312の濃度を標的レベルで維持するように、接触器内へのガスの流量を変更するための出力信号、接触器内への液体の流量を変更するための出力信号、接触器のガス流出口における圧力を変更するための出力信号、またはそれらの組み合わせを出力することができる。一部の実施形態において、標的レベルは、設定値濃度であり得るか、またはそれに近くてもよい。一部の実施形態において、標的レベルは、設定値濃度の範囲内であり得る。そのような範囲の実施例は、これらに限定されないが、15%、10%、5%、および3%を含む。
【0045】
本明細書で開示される実施形態において、ガス流量制御器は、ガス源と連携して動作して、低い分圧で膜接触器に供給ガスを提供することができる。用途に応じて、また種々の実施形態において、減圧は、40kPa、12kPa、6kPa以下であり得る。一部の実施形態において、液体の標準立方センチメートルで表した液体流量制御器の流量範囲と比較してガスの標準立方センチメートル(sccm)で表したガス流量制御器の流量範囲の比率は、0.02以下であり、いくつかの場合において0.002以下、他の場合において0.0005以下、さらに他の場合において0.00025以下である。ガス流量制御器の狭いガス流量範囲は、減圧源と相まって、分圧の低いガスを液体に提供することができ、ガス流対液体流の比率を低減することは、低濃度のガスを液体に提供することにも役立つ。
【0046】
一部の実施形態において、無気泡または実質的に無気泡である液体中のガスの溶液を作製する方法は、膜接触器の多孔質要素のガス接触側にある流入口に低い分圧でガスを流入させるステップと、脱気されていてもよい供給液を、膜接触器の多孔質要素の液体接触側にある流入口に流入させるステップとを含むことができる。一部の実施形態において、方法は、減圧で膜接触器のガス流出口から排ガスを除去するステップと、減圧でガスの一部を供給液内に送り込むステップと、無気泡または実質的に無気泡であり、供給液よりも多くのガスを含有する液体組成物を、膜接触器の液体流出口から除去するステップとをさらに含んでもよい。
【0047】
本明細書で開示されるガス化システムのいくつかの実施形態は、ガス流が毎分0標準立方センチメートルから毎分1標準立方センチメートルに変化し、接触器のガス流出口で測定される減圧が6kPa(−28インチHg)であるとき、22℃のDI水が、毎分2リットルで膜接触器を通って流れ、120秒未満で脱イオン水中に定常濃度の二酸化炭素を提供することができると特徴付けることができる。この場合、CO2は供給ガスの実施例であり、DI水は供給液の実施例である。定常状態では、システムは、水中の二酸化炭素濃度±5%未満の変動で、無気泡または実質的に無気泡である溶液または液体組成物を生成することができる。
【0048】
一部の実施形態において、システムは、接触器内へのガスの流量に比例する出力信号、ガス流出口における圧力に比例する出力信号、および接触器内への液体の流量に比例する出力信号を含む信号を受信するように適合されるシステム制御器を備えることができる。制御器は、対応する信号の設定値を格納するおよび/またはその値へのアクセスを有することができる。制御器は、接触器内への供給ガスの流量、接触器内への供給液の流量、接触器のガス流出口における圧力、またはこれらの信号の組み合わせを、それらの対応する設定値と比較して、ガス化液体中のガスの設定値濃度を生成することができる。追加として、制御器は、ガス化液体中のガスの濃度を標的レベルに維持するように、接触器内への供給ガスの流量を変更するための出力信号、接触器内への供給液の流量を変更するための出力信号、接触器のガス流出口における圧力を変更するための出力信号、またはそれらの組み合わせを生成することができる。一部の実施形態において、標的レベルは、設定値濃度であり得るか、またはそれに近くてもよい。一部の実施形態において、標的レベルは、設定値濃度の15%以内であり得、いくつかの場合において設定値濃度の5%以下であり得、他のいくつかの場合において設定値濃度の3%以下であり得る。
【0049】
システムは、接触器の液体流出口に接続されるセンサをさらに含むことができる。センサは、液体中のガスの量に比例する信号を生成することが可能であり得る。一部の実施形態において、システム制御器は、センサからの信号を受信するように適合され得る。システム制御器は、センサ出力を液体中のガスの設定値濃度と比較することができ、また、ガス化液体中のガスの濃度を、設定値濃度であるかまたはその範囲内であり得る標的レベルに維持するように、接触器内への供給ガスの流量を変更するための出力信号、接触器内への供給液の流量を変更するための出力信号、接触器のガス流出口における圧力を変更するための出力信号、またはそれらの組み合わせを出力することができる。上述したように、少量の溶解ガスで水のドーピングを制御することは困難であるため、従来のガス化システムにとって、低濃度の溶解ガスを含む水を生成および維持することは困難であり得る。液体中に送り込まれるガスの量の変動が少ないガス化液体組成物を使用することで、より高い安定性およびより少ない変動を製造プロセスに提供することができ、それにより、従来のガス化システムが直面することの多い困難を克服する。
【0050】
図4は、ガス化システムの非限定的な実施形態の概略図である。システム400は、接触器460、供給ガス412を接触器460に供給するためのガス源410、供給液422を接触器460に供給するための液体源420、および真空圧または減圧を接触器460に提供するための真空源480を備えることができる。接触器460は、上述したように、膜に基づく接触器であり得る。圧力ゲージ492および低流量ガス用の質量流量ロータメータ440は、供給ガス412を監視および調整するためにガス源410と膜接触器460の間に配置され得る。一実施形態において、ロータメータ440は、0〜11標準立方フィート毎時(SCFH)の動作範囲を有することができる。一実施形態において、ガス源410は、約1psiでCO2を供給することができる。圧力ゲージ494および弁402は、供給液422を監視および制御するために液体源420と膜接触器460の間に配置され得る。一実施形態において、液体源420は、約0.5〜3gpmでDI水を供給することができる。一実施形態において、膜接触器460の流入口でのDI水の温度は、約23.5〜24.5℃である。圧力ゲージ496は、膜接触器460から排ガスおよび凝縮液462を除去する際に源480によって生成される減圧を監視するために、減圧源480と膜接触器460の間に配置され得る。
【0051】
システム400は、膜接触器460の液体流出口からのガス化液体中のガス412の濃度を分析するための、選択的な分析器476に接続され得る、選択的な伝導度センサ472をさらに備えることができる。一実施形態において、伝導度センサ472はHoneywell3905伝導度セルであり得、分析器476はHoneywell UDA分析器であり得る。図4に示す実施例において、ガス化液体は配水管に方向付けられる。ロータメータは、ガス化液体の流量を測定するために、伝導度センサ472と配水管の間に配置され得る。他の実施形態において、ガス化液体は、分注点またはガス化システム400の下流のシステムに方向付けられ得る。
【0052】
一実施形態において、減圧源480は、全圧の低いCO2ガスを膜接触器460の多孔質要素に提供することができる。一実施形態において、減圧源480は、−28インチHgの真空レベルを提供することができる。一実施形態において、減圧源480は、接触器内部の凝縮液を排除するために、6kPaで一定の真空掃引を提供することができる。一実施形態において、減圧源480は、ミネソタ州チャスカのEntegris,Inc.より入手可能なベンチュリ型真空発生器であり得る。後に詳述するように、多孔質要素のガス接触側で装置内の圧力を低減することにより、液体中に送り込まれるガスの量の変動を低減することができる。
【0053】
多孔質要素のガス接触側で装置内の圧力を低減することはまた、接触器内を流れる液体中に送り込まれるガスの量が定常状態に達する時間を短縮することも分かった。この開示内では、定常状態に達する迅速な時間とは10分未満の時間を意味し、いくつかの場合において2分未満、さらに他の場合において1分未満の時間を意味し、ガス流量における0から1標準立方センチメートル(sccm)またはそれ以上の増加は、液体中のガスの定常濃度をもたらす。一部の実施形態において、液体の蒸気圧に応じて、接触器のガス流出口の下流で測定される圧力は40kPa(約−18インチHg)以下であり得、いくつかの場合において40kPaから5kPa(約−28インチHg)であり得、さらに他の場合において15kPaから5kPaであり得る。定常状態に達する迅速な時間は、±15パーセント以下、いくつかの場合において±5パーセント以下、さらに他の場合において±3パーセント以下の濃度の変動を含む。液体中のガスの定常濃度に達する能力は、起動時からプロセスサイクル時間を削減することができ、また、使用されていないときはガスを停止することにより、ユーザがガスを節約することが可能であるため、有利である。
【0054】
図5Aおよび5Bは、真空圧または減圧を用いない場合(図5A)、および真空圧または減圧を用いた場合(図5B)の、液体中のガスの定常濃度までの時間を実施例として示すプロット図である。より具体的には、図5Aは、二酸化炭素の流量における0sccmから1sccmへの段階的な変化に対する、接触器のガス流出口で真空圧または減圧を用いない場合の液体中のガスの定常濃度までの時間を示しており、水は22.2℃で2lpmの液体流量であり、約8.5秒で二酸化炭素ガス流を開始(0〜8.5秒の間の時間に質量流量のオフセットがあるが、流量は0である)したところ、1sccmの設定値では約81秒間ガス流が安定し、水中のCO2濃度は、約413秒では2.88Mohm−cmでほぼ安定した。抵抗率の変動は、約413秒後(定常状態)に約2.61から約2.88Mohm−cm(低い抵抗率から高い抵抗率へ)であった。ガスをオンにしてから定常状態に達する時間(8.5秒から413秒までは、約405秒または6.75分である):ガスがオンのときの安定した流量1sccmから定常状態に達するまでの時間は、81秒から413秒または332秒(約5.5分)までである。液体中のガスの量の変動は、約5.1%である(グラフからの推定平均抵抗率は約2.74Mohm−cm、2.88(高)−2.74(推定平均)=0.14M−ohm、(0.14/2.74)×100=5.1%)。
【0055】
図5Bは、二酸化炭素の流量における0sccmから1sccmへの段階的な変化に対する、接触器のガス流出口で真空圧または減圧を用いた場合の液体中のガスの定常濃度までの迅速な応答時間を示しており、水は22.2℃で2lpmの液体流量であり、約40秒で二酸化炭素ガス流を開始(0〜40秒に質量流量のオフセットがあるが、流量は0である)したところ、1sccmの設定値では約67秒間ガス流が安定し、水中のCO2濃度は、約144秒では1.76Mohm−cmでほぼ安定した。抵抗率の変動は、約144秒後(定常状態)に約1.66から約1.76Mohm−cm(低い抵抗率から高い抵抗率へ)であり、図6Aの真空を用いない実施例よりも低かった。ガスをオンにしてから定常状態に達する時間(40秒から144秒までは、約104秒であり、120秒未満である):ガスがオンのときの安定した流量1sccmから定常状態に達するまでの時間は、67秒から144秒まで、または77秒であり、1.5分未満である。液体中のガスの量の変動は、約3%以下である(グラフからの推定平均抵抗率は約1.71Mohm−cm、1.76(高)−1.71(推定平均)=0.05M−ohm、(0.05/1.71)×100=2.9%)。図5Aおよび図5Bが示すように、接触器にガスの減圧を提供することにより、起動時間を短縮し、濃度の変動を低減し、迅速な時間で定常状態に達することができる。
【0056】
一部の実施形態において、ガスの減圧は、ガス流入口を通って接触器に提供される。より具体的には、接触器のいくつかの実施形態は、ガス流入口およびガス流出口を有するガス接触側と、液体流入口および液体流出口を有する液体接触側とを備えることができる。接触器は、多孔質要素または筐体内に取り付けられた要素によって、ガス組成物を液体組成物から分離する。一部の実施形態において、ガス流量制御器は、接触器のガス流入口に接続され、減圧を供給することが可能なデバイスまたは減圧源は、接触器のガス流出口に接続され、接触器のガス接触側に減圧を提供する。デバイスまたは減圧源は、多孔質要素のガス接触側で凝結する液体の量を低減または削減する。液体流量制御器は、接触器の液体流入口または流出口に接続される。選択的に、液体組成物を形成するために液体中に送り込まれるガスの濃度または量を測定するために、センサが接触器の液体流出口に接続され得る。本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、液体に溶解したガスを生成するために使用されてもよく、液体中のガス濃度の安定性は設定値の±15パーセント以下であり、いくつかの場合において±5パーセント以下、さらに他の場合において±2パーセント以下である。
【0057】
図6は、ガス源610、液体源620、プログラム論理制御器(PLC)モジュール630、質量流量制御器640、および膜接触器660を備えるDI水ガス化システム600の一実施形態の概略図である。システム600中の圧力は、圧力調節器694、696、および弁602を介して調整され得る。圧力調節器696は、真空源に、または減圧を提供することが可能なデバイスに接続され得る。接触器660は、上述したように膜に基づく接触器であり得る。特定の実施例として、ガス源610は二酸化炭素を供給することができ、液体源620は水を供給することができる。この実施例において、水および二酸化炭素は、ある実施形態において、Entegris,Inc.より入手可能なpHasor(登録商標)II膜接触器等の中空糸接触器である膜接触器660内で混合される。一部の実施形態において、PLCモジュール630は、伝導度センサ672および質量流量制御器640に接続される。図6の実施例において、質量流量制御器640は、二酸化炭素等のガスを膜接触器660の流入口に供給することができる。膜接触器660のガス側にある流出口は、圧力調節器および/または減圧源696との接続のためのポートを有する。図6に示すように、膜接触器660の液体接触側は、液体源620への流入口で接続される。例示的な液体は、家庭用脱イオン水である。一部の実施形態において、流量制御器674は、膜接触器660を通って流れる液体を制御するために伝導度センサ672に接続され得る。一部の実施形態において、流量制御器674は、廃水管または分注システム等の下流システムに接続され得る。
【0058】
一部の実施形態において、プログラム論理制御器モジュールまたは1つ以上の他の好適な制御器は、伝導度センサから出力信号を受信することができ、設定値量のガスを液体に供給するようにガス質量流量制御器(MFC)に出力信号を提供する。一部の実施形態において、大きな流量変化が検出されたとき、または液体流量が変化する前の時点で(フィードフォワード制御または能動的制御)、プログラム論理制御器モジュールまたは1つ以上の他の好適な制御器が、膜接触器内のガスの分圧を変更して、液体中のガスの量の変動を設定値の±20パーセント未満に維持するように、ガスの分圧を制御する1つ以上のデバイスに1つ以上の信号を送信することができる。図6において、破線は例示的な制御ループを表す。例えば、伝導度センサ672は、液体中のガスの量を測定して、対応する信号をPLCモジュール630に送信することができる。PLCモジュール630は、伝導度センサ672からのセンサ信号を分析して、特定レベルの伝導度を維持するために適切な量の調節が必要であり得ると判断することができる。PLCモジュール630は、接触器内の分圧および/または二酸化炭素ガスの流量を調節するように、1つ以上の調節信号を生成して質量流量制御器640、圧力調節器696等に送信することができる。
【0059】
液体流量の大きな変化は、液体流量の変化が、液体中のガスの設定値量の約15%以上、いくつかの場合において50%以上の最初の変動をもたらす変化であり、いくつかの場合において液体流量の大きな変化は、定常流量の10パーセントを上回る。液体流量の大きな変化およびそれに対応して伝導度に及ぼす影響の実施例を図7Aに示す。図7Aに示されるように、液体組成物についてセンサによって測定された場合の液体中のガスの量の安定性は、約±2パーセント以下(0〜75秒)であり、液体に溶解されたまたは送り込まれるガスの非限定的な設定値濃度は、6.2マイクロジーメンスである。この実施例において、PID閉ループ制御および接触器内のガスの分圧を変更するための信号の組み合わせを用いずに、最初の液体流量を10lpmから20lpmに倍増することによってもたらされる液体流量の大きな変化は、液体中のガスの設定値量から約50%の変動をもたらし得る。図7Aに示す実施例は後に詳述する。
【0060】
本明細書で開示される実施形態において、液体中の溶解ガス濃度の変動が少ないとは、一部の実施形態において約±15パーセント以下、一部の実施形態において約±5パーセント以下、一部の実施形態において約±3パーセント以下である、液体中のガス濃度の安定性を意味することができる。一部の実施形態において、液体中のガスの量の変動は、接触器のガス流出口でガスの減圧を提供することによって低減することができる。一部の実施形態において、液体中のガスの量は、液体流量が変化する前、または流量の大きな変化が検出されたときに(フィードフォワード制御または能動的制御)、PID閉ループ制御および/または接触器内のガスの分圧を変更するための信号を用いて、液体流量の大きな変化の設定値内である所望の範囲または許容範囲で維持することができる。特定の実施例として、図7Bは、10lpmから20lpmの液体流量の大きな変化を示す。この液体流量の大きな変化に応答して、接触器内のガスの分圧を変更する信号が、プログラム論理制御器モジュールまたは1つ以上の他の好適な制御器によって、ガスの分圧を制御する1つ以上のデバイスに送信され得る。この実施例において、液体中のガスの量の変動は、設定値の±20パーセント未満で維持することができる。図7Bに示す実施例は、後に詳述する。
【0061】
図7Cは、上述したように接触器のガス流出口でガスの減圧を提供することにより、定常状態にある液体組成物の流量の約1lpmまたは約10%である液体流量の変化に対して、液体中のガスの量の変動を設定値の約±12パーセント以下まで低減することができることを示している。図7Bに示す実施例は後に詳述する。図7Bおよび図7Cの結果は、PID制御および選択的にガス分圧を制御するための信号を用いることで、本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、液体流量の変化に適合して、液体中に送り込まれるガスの量の変動を約30秒以下に20%未満に保つことができることを示している。少ない変動はより高い安定性を提供することができ、それは、特定の製造プロセスにおいて特に有用であり得る。液体中の溶解ガス濃度の変動が低いことから恩恵を受け得る例示的な製造プロセスは、これに限定されないが、半導体ウエハの洗浄を含むことができる。
【0062】
本明細書で開示される実施形態は、減圧で分圧の低いガスを生成し、そのガス組成物を液体中に送り込むことができる。本明細書で開示される実施形態では、液体中のガスの量は減少しないため、これは、ガスストリッピングおよび真空脱気の組み合わせによる液体の脱気処理とは異なる。むしろ、一部の実施形態において、液体中のガスの量または総量は増加する。本明細書で開示される実施形態は、膜接触器の多孔質要素のガス接触側に、減圧で分圧の低いガスを提供する。本明細書で開示される実施形態を実装する膜接触器によって処理された液体は、膜接触器に投入された液体原料中に最初に存在したガスの量と比較すると、より多くのガスを液体中に有するであろう。従来のガス接触装置では、分圧の高いガスが液体に接触する。高い分圧の実施例は、101kPa以上を含む。本明細書で開示される実施形態において、分圧の低いガスが液体に接触する。低い分圧の実施例は、約40kPa以下を含む。
【0063】
本明細書で開示される実施形態において、液体中の低レベルのガスまたは液体中のガスの希釈溶液とは、接触器によって液体中に送り込まれるガスの量を意味する。液体中のガスの量は、実装ごとに異なってもよい。一部の実施形態において、液体中のガスの量は100万分の5000(ppm)以下であり得る。一部の実施形態において、液体中のガスの量は500ppm以下であり得る。一部の実施形態において、液体中のガスの量は50ppm以下であり得る。一部の実施形態において、液体中のガスの量は5ppm以下であり得る。
【0064】
一部の実施形態において、液体中のガスの量は、液体の伝導度によって測定することができる。一部の実施形態において、溶液(液体および溶解ガスまたは反応ガス)の伝導度は、5マイクロジーメンス(μS)以下であり得る。一部の実施形態において、溶液の伝導度は2μS以下であり得る。当業者は、毎分2リットルと毎分20リットルの間の液体流量で、15%未満の濃度の変動を有する液体中の低レベルのガスを作製することは困難であり得ると認識することができる。
【0065】
本明細書で開示される実施形態において、接触器のガス接触面に減圧を有する接触器によって液体中に送り込まれるガスには、気泡または微小気泡が存在しないか、または実質的に存在しない。一部の実施形態において、接触器によって液体中に形成され得るいずれの気泡または微小気泡も、接触器の液体流出口の下流にある選択的なフィルタによって除去することができる。気泡または微小気泡は、国際特許出願公開第WO2005/072487号およびWO2006/007376号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような光散乱式粒子計数器を使用して検出することができる。例えば、液体中に粒子のみが存在する場合、累積粒子数データを両対数軸上にプロットすると、−2から−3.5の傾きの線形曲線を形成し得る。折れ点および/またはより小さい傾き(−2未満)を示す粒子数のデータは、微小気泡の存在を示唆している。
【0066】
本明細書で開示される実施形態において、液体中のガスの濃度とは、接触器内の供給液流を用いて、溶解、反応、またはそれらの組み合わせによって供給液中に送り込まれる任意のガスを意味する。例えば、CO2およびHCl等のガスは水等の液体と反応してイオンを形成するのに対して、N2等のガスは水等の液体とは反応しない。ガスと液体との間の反応によって形成される反応生成物の濃度は、液体中の溶解ガスの濃度の指標として判定および使用され得る。非限定的な実施例は、CO2またはNH3またはHClガス等の抵抗率またはpHを含むことができる。液体と反応しないガスについては、液体中の溶解ガスの濃度は、種々の技術を用いて判定され得る。好適な例示的技術は、これらに限定されないが、分光学的、電気化学的、およびクロマトグラフ的な技術を含む。液体と反応しない例示的なガスは、これらに限定されないが、O3、O2、N2等を含むことができる。本明細書で開示される実施形態は、使用されるガスの種類によって限定されるものではないことに留意されたい。有用なガスは、これらに限定されないが、HF、CO2、O3、O2、N2、Ar等、半導体製造において使用されるもの、ならびに、酢酸、NH3、HCl等、液体および固体の蒸気に由来するガスを含む。これらのガスのうちの1つ以上および他のガスの組み合わせは、液体または液体組成物に溶解することのできるガス組成物を作製するために使用することができる。これらのガスのうちのいずれも、単独で使用することができる。
【0067】
一部の実施形態において、接触器のガス流入口に供給または提供されるガスは、接触器内の液体の圧力未満の圧力であり得る。この圧力が違うことの結果として、液体中に気泡を形成することなく、ガスを液体中に送り込むことができる。ガスの流入口圧力は、選択された任意の液体流量のために液体中のガスの標的濃度を作製するように選択することができる。接触器に接続されたガス流量制御器の流入口に提供されるガスは、一部の実施形態において40psi以下であり得、一部の実施形態において15psi以下であり得、一部の実施形態において2psi以下であり得る。より低いガス圧を接触器に入れることで、ガス流のスパイクを最小に抑えることができ、分圧の低い供給ガスを調製する際に役立つことができる。液体中に送り込まれるガスが望ましくない場合、ガスの流量はゼロであり得、ガス接触のためにはガス流量はゼロを上回ってもよく、接触器(複数可)のサイズ、ガス、液体中のガスの溶解度、液体の温度、液体中に送り込まれるガスの所望の量、接触器のガス流入口に供給もしくは提供されるガスの減圧、またはそれらの組み合わせを含む複数の要因に基づいて選択され得る。ガス質量流量計または制御器によって測定されるガス流量は、一部の実施形態において1000sccm未満であり得る。ガス流量は、一部の実施形態において0sccm超から100sccm(標準立方センチメートル)以下の範囲であり得、一部の実施形態において0sccm超から10sccm以下であり得る。
【0068】
ガスおよび液体は、接触器内で逆流することができる。多孔質膜を使用する接触器では、ガスは膜のいずれの側にあり得、中空糸多孔質膜の接触器では、いくつかの実施形態におけるガス流は、膜のシェル側にあり得る。
【0069】
本明細書で開示される実施形態によって調製される液体組成物中の全部のガスおよび使用される供給液は、多くの方式で決定することができる。一実施例は、M. Meyer,Pflugers Archive European Journal of Physiology,pp.161−165,vol.375,July(1978)に記載される方法を用いたガスクロマトグラフィによるものである。凍結−ポンプ−解凍サイクルもまた、ガス濃度を決定するための好適な乾燥剤または蒸気吸収剤とともに使用することができる。
【0070】
いくつかの用途において、要求に応じて、さまざまな流量で液体中に設定値量または一定量のガスを含む液体組成物中のガスを作製することが有利である可能性がある。例えば、本明細書で開示される実施形態を実装する装置は、水に溶解したある量のガスを含む同一の洗浄組成物で、1つ以上の単一ウエハ洗浄ツールを供給することができる。この洗浄液組成物に対する各洗浄ツールからの要求に応じて、装置からの流量の要件または要求は異なり得る。要求が増加または減少することによる液体組成物の流量変化が小さい(例えば、装置の定常流量の約10%以下)いくつかの場合において、液体(液体組成物)中のガスの量は、これらの流量の小さな変化に対してPID制御またはファジー論理制御のみを用いて、液体中のガスの設定値量の±20%以下に維持されてもよく、いくつかの場合において±12%以下に維持され得る。例えば、定常状態で装置の動作から流量が倍増または半減される等、装置からの要求が減少または増加することによる液体組成物の流量変化が大きいいくつかの場合において、液体中のガスの量を液体中のガスの設定値量の±20%以下以内に維持するように、PIDまたはファジー論理と接触器内のガスの部分圧を変更する信号との組み合わせを用いることができる。この信号は、これらに限定されないが、接触器内へのガス流量を増加することによる接触器内のガスの分圧の変化、接触器に接続された圧力調節器または真空源を調節することによるシステムの圧力の変化、接触器から添加または除去される希釈ガスの量の変化、これらのうちのいずれか1つ以上を含む組み合わせの変化をもたらし得る。接触器内のガスの分圧を変化させる信号は、例えば、液体組成物の流量を監視する制御器によって検出される閾値流量の変化に基づいて、装置内の制御器によって生成され得る。いくつかの場合において、接触器内のガスの分圧を変化させる信号は、装置に接続された1つ以上のツールからの入力によって生成され、これは、能動的、開ループ、またはフィードフォワード制御を含むことができる。いくつかの場合における接触器内のガスの分圧を変化させる信号は、装置に接続されたツールまたはデバイスからの能動的制御入力またはフィードフォワード制御入力によって、予想される液体組成物の流量変化の前の時間間隔で開始され得る。そのような時間間隔は、システムのホールドアップ量および接触器の時定数、システムの滞留時間等に応じ得る。
【0071】
設定値濃度を生成し、液体中に送り込まれるガスの量の変動を最小に抑えるために、計算、レシピ、またはルックアップテーブルに基づいてガスの分圧を変更することができる。ガス圧の実施例は、これらに限定されないが、ガスシステムの圧力、希釈ガスの分圧、ガス質量流量、またはそれらの組み合わせを含むことができる。装置のいくつかの実施形態は、60秒以下毎に起こる液体組成物の流量の段階的変化に対して、液体組成物の液体中のガスの量を設定値の±20%以下に維持することができる。装置のいくつかの実施形態は、30秒以下毎に起こる液体組成物の流量の段階的変化に対して、液体組成物の液体中のガスの量を設定値の±20%以下に維持することができる。
【0072】
この開示内では、膜接触器の多孔質要素のガス接触側の圧力または減圧が、一部の実施形態において40kPa(−18インチHg)以下、一部の実施形態において12kPa(−26インチHg)以下、一部の実施形態において6kPa(−28インチHg)以下であり得るように構成要素が選択される。多孔質要素のガス接触側の圧力は、接触器のガス流出口にあるか、またはいくつかの場合において筐体内にある、圧力ゲージを用いて測定することができる。接触器内のガスの全圧を維持するために、接触器のガス接触側の圧力を手動でまたは制御器を用いて自動的に調節することができる。一部の実施形態において、接触器のガス流出口で測定される接触器内の圧力は、圧力制御器を用いて制御することができる。選択的に、一部の実施形態において、通気可能な凝縮液トラップは、接触器のガス流出口と減圧デバイスまたは減圧源の間に流体連通して配置され得る。一部の実施形態において、接触器のガス流出口と減圧源の間の流体経路のコンダクタンスは、接触器から凝縮液が除去されるように選択される。一部の実施形態において、減圧源は、接触器から凝縮液を除去するために十分なポンプ速度を有することができる。
【0073】
この開示内では、減圧源とは、接触器の多孔質要素に流体的に接続され、接触器内の圧力を低減することができるデバイスを意味する。好適な減圧源は、これらに限定されないが、真空ポンプ、ベンチュリ、家庭用掃除機等の真空または減圧源等を含むことができる。減圧デバイスまたは減圧源は、例えば、これらに限定されないが、接触器のガス流出口、ガス流出口に接続された導管等の任意の点で接触器に流体的に接続され得る。減圧デバイスまたは減圧源は、デバイスの動作または減圧源との接続の結果として、接触器の多孔質要素で減圧または低圧を提供する。減圧デバイスまたは減圧源に接続された接触器の多孔質要素における装置の動作中の圧力は、単独で接触器を通るガス流からの圧力損失のために、接触器のガス流入口におけるガスの圧力未満であり、接触器のガス流出口における圧力未満である。装置内の減圧は、低い分圧および低い絶対圧力でガス組成物を多孔質要素に提供する。接触器の動作中の多孔質要素における減圧は、実質的に、接触器へのガス流入口の圧力と、接触器から液体が蒸発することによる圧力との和である。装置は、存在する液体との所与の多孔質要素の接触面積に対して、接触器内で低いガスの分圧を達成するために十分なポンプ速度を有する真空ポンプまたは真空源(ベンチュリ)を有するように適合または構成され得る。
【0074】
この開示内では、液体とは、接触器の多孔質要素を横切って1つ以上のガスが送り込まれる1つ以上の液体(混合物または溶液)を意味する。液体は、例えば、超純粋(UPW)、脱イオン水(DIW)等、実質的に純粋であり得るか、または液体は1つ以上の液体もしくは液体組成物の混合物であり得る。液体組成物の非限定的な実施例は、水およびイソプロピルアルコールを含むことができる。いくつかの場合において、液体または液体組成物は、水等の液体中の固体もしくはゲル物質の懸濁液を含むことができる。そのような物質の非限定的な実施例は、CMPスラリであり得る。液体は脱気されてもよく、ガスに接触する前は100万分の1未満の全溶解ガスを有する。
【0075】
接触器のサイズおよび/または接触器の数によって、特定の用途のために液体に(溶解させるかまたは反応させて)送り込まれるガスの濃度を達成するために接触器を通る液体流量は異なり得るおよび/または増加し得る。ミネソタ州チャスカのEntegris,Inc.より入手可能なpHasor(登録商標)II接触器には、毎分約20リットルまでの流量を使用することができる。いくつかの実施形態は、これらのまたは同様の接触器を平衡または直列で1つ以上使用して、より高い液体流量に対応することができる。
【0076】
本明細書で開示される実施形態において、好適な接触器は、液体をガスから分離し、要素内の1つ以上の細孔を介してガスを液体中に送り込むまたは接触させることが可能な多孔質要素または多孔質膜を備えることができる。多孔質要素は、筐体内に存在してガス流と液体流を分離することができる。一部の実施形態において、多孔質要素は、約5ミクロンから1000ミクロンの厚さの薄い多孔質膜を備えることができる。一部の実施形態において、多孔質要素は焼結粒子を備えることができ、0.5センチメートル以下の厚さを有することができる。一部の実施形態において、直列もしくは並列またはそれらの組み合わせに配設された1つ以上の接触器が使用され得る。好適な接触器は、ミネソタ州チャスカのEntegris,Inc.社製pHasor(登録商標)II、およびノースカロライナ州シャーロットのMembrana社製Liqui−Cel(登録商標)を含むことができる。
【0077】
本明細書で開示される実施形態において、接触器内の液体温度は限定されないが、但し、接触器の膜表面から減圧源によって凝縮液を除去することができ、接触器の機械的および化学的な安定性が劣化されないものとする。選択的に、接触器からの液体流入口または流出口の温度は、熱交換器によって上昇または下降させることができる。好適な熱交換器は、これに限定されないが、ミネソタ州チャスカのEntegris,Inc.より入手可能なポリマー熱交換器を含むことができる。一部の実施形態において、制御器は、温度センサの入力信号に応答して、接触器からの液体流入口または流出口の温度を上昇または下降させるための制御信号を送信するように適合され得る。
【0078】
一部の実施形態において、システム制御器は、システム内の種々の構成要素から1つ以上の入力信号を受信するように適合され得る。そのような信号は、有線、無線、光ファイバ、それらの組み合わせ等を含む種々の方式でシステム制御器に通信することができる。1つ以上の入力信号は、これらに限定されないが、接触器へのガスの流量に比例する信号、ガス流出口もしくは多孔質要素における圧力に比例する信号、液体中に送り込まれるガスの量(濃度)に比例するセンサからの信号、または接触器への液体の流量に比例する信号を含むことができる。制御器は、接触器へのガスの流量、接触器のガス流出口における圧力、液体中のガスの濃度、接触器への液体の流量、またはそれらの任意の組み合わせを、各々の設定値と比較することができる。これらの入力の各々の値は、所望の設定値との差を計算またはルックアップテーブルから判定するために使用することができ、制御器は、液体中に送り込まれるガスの濃度または量を設定値濃度の標的範囲内または許容範囲内に維持するように、接触器へのガスの流量を変更するための出力信号、接触器の流出口における圧力を変更するための出力信号、接触器への液体の流量を変更するための出力信号、またはそれらの任意の組み合わせを生成することができる。そのような出力信号は、デジタル、電圧、電流等であり得る。標的範囲は、一部の実施形態において設定値濃度の15%であり得、一部の実施形態において設定値濃度の5%以下であり得、一部の実施形態において設定値濃度の3%以下であり得る。液体中のガスの濃度を設定値濃度の所定範囲内に維持するために、制御器は、PID、ファジー、または好適な制御論理を用いることができる。一部の実施形態において、1つ以上の制御器が使用され得る。いくつかの実施形態は、カスケード制御器を備えることができる。
【0079】
一部の実施形態において、濃度センサは使用されない。これらの実施形態では、液体中に送り込まれるガスの濃度は、液体の質量流量、ガス、接触器のサイズおよび効率、ならびにシステムの圧力および温度に基づいて判定することができる。一部の実施形態において、制御器は、PID制御器またはファジー論理制御器のフィードバック(または閉ループ)制御を、フィードフォワード(または開ループ)制御と組み合わせることができる。液体中のガスの所望の量または液体組成物の所望の流量のための外部ツール入力、プロセスレシピの知識、または生産サイクルの知識は、液体組成物の変動を設定値の±20%以下に維持するために、制御器によってフィードフォワードして、PID出力と組み合わせることができる。いくつかの場合において、接触器内のガスの分圧に変化をもたらす制御器またはツールからのフィードフォワード信号は、制御器出力の大部分を提供し、次いで、PID、ファジー、またはその他の制御器は、センサによって判定された場合の液体中のガスの設定値量と液体中のガスの量の実際の値との間に残るいかなる差または誤差にも対応するように使用することができる。
【0080】
選択的に凝縮液トラップが用いられてもよく、制御器は、ガス接触を中断することなく凝縮液トラップを通気するために、バイパスへの弁を閉じるかまたはトラップを隔離するためのトラップ入力信号を、選択的に受信および使用することができる。トラップ入力は、これらに限定されないが、レベルセンサ、タイマ、流量計等からであり得る。選択的な凝縮液トラップを用いた例示的な実施形態を図3に示す。有利には、本明細書で開示される実施形態は、多孔質膜から凝縮液を除去するためのパージサイクルを用いずに、継続的に動作することができる。
【0081】
(実施例1)
この実施例は、接触器のガス流出口に接続された減圧源を用いておよび用いずに、DI水に溶解した二酸化炭素が定常濃度に達するために必要な時間を比較する。図5Aおよび5Bを参照すると、接触器のガス流出口の圧力は約−28インチHg(約6kPa)であった。ガス流が0sccmから1sccmまでに増加して2LPMのDI水(22℃)の流れに入ったとき、定常状態に達するまでの時間は、減圧を用いない場合は約6.75分(図5A)、減圧を用いた場合は2分未満(図5B)であった。この結果は、接触器のガス流出口で減圧を提供することは、液体中の溶解ガスが、減圧を用いない場合よりも早い(短い)時間で定常濃度に達することを示している。この実施例はまた、接触器のガス接触側の圧力を低減させることにより、液体組成物中のガスの量の変動を低減することができることを示している。例えば、液体中の二酸化炭素量の推定変動は、減圧を用いない場合は5.9%、減圧を用いた場合は2.9%である。
【0082】
(実施例2)
下の表2は、真空を用いずに、単一のpHasor(登録商標)II接触器を使用して、水温24.5℃で約1μS/cmの伝導度を有するガス化水を作製するために混合される必要がある大量のCO2ガスおよびN2希釈ガスを示す。
【0083】
【表2】
(実施例3)
一部の実施形態において、抵抗率の低い水は、低流量の二酸化炭素ガスおよび接触器のガス流出口の減圧を用いて生成することができる。下の表3は、減圧を用いて、またCO2流を制御するためにロータメータを使用して、ガス化液体の伝導性において5%以下の変動の安定性を維持することができるシステム400の一実施形態を示す。より具体的には、−28インチmmHg(6kPa)でCO2/真空を使用すると、システム400の一実施形態は、毎分2リットルから12リットルまで(LPM)の水流範囲で5%以下の変動率、実際には3%以下の変動率で1μS/cmという安定した伝導度を達成することができる。
【0084】
【表3】
(実施例4)
この実施例は、質量流量制御器を用いて接触器に供給される低流量のガスを示す。低流量のガスは、種々の液体流量を用いる一部の実施形態において、ガスを液体中に送り込み、伝導度で測定した場合に液体中のガス濃度の変動が低い状態で、液体中の濃度が低いガスを形成するために使用することができる。この実施例はまた、いくつかの実施形態は異なる温度で動作することができることを示している。二酸化炭素のガス流量は、0.8sccmから12.1sccmに変化した。これらの温度では、水の伝導度によって測定した場合に、水に溶解した二酸化炭素の濃度の安定性は2%以内で変化し得る。この実施例において、水の流量は1.89リットル毎分(lpm)から9.4リットル毎分の範囲であり、もたらされる水の伝導度は1.01μS/cmから1.11μS/cmまでの範囲である。1.89lpmの流量で1μS/cmの伝導度を達成するためにこの実施例で使用される二酸化炭素ガスの量は、約0.8sccmであり、それは、2lpmの水の流量で約1μS/cmの抵抗率の水を達成するために比較実施例2で使用される約18sccmの二酸化炭素および33lpmの窒素のほぼ10分の1である。
【0085】
下の表4および5は、異なる温度で動作するpHasor(登録商標)II膜接触器、Typlan質量流量制御器(FC−2902m−4V)、およびHoneywell 4905シリーズの伝導度プローブを備えるガス化システムの実施形態を示している。
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
(実施例5)
この実施例は、図6および7A〜Cを参照して、水の流量、時間、およびガス化DI水の伝導度の間の関係を示す。上述したように、液体流量に変化が起きると、例示された液体中に送り込まれるガスの濃度または量に変動が起こり得る。この変動は、液体中のガスの量におけるアンダーシュートスパイクまたはオーバーシュートスパイクとして特徴付けることができる。上述したように、本明細書で開示される実施形態は、PID制御を介して、またはPIDおよび条件付き信号の組み合わせを介して、そのようなスパイクを最小に抑えることができる。この実施例の実施形態の概略図を図6に示す。この実施例では、二酸化炭素の流量は、約0.1と0.5標準リットル毎分(slpm)との間であり、接触器の流出口の圧力は約−15水銀インチ、水の流量は1slpmまたは10slpmのいずれかの段階的な変化において10slpmと20slpmとの間で変化する。流入口の水は、温度23.4℃および圧力250〜360kPaで17.5メガオーム−センチメートルであった。
【0088】
図7Aは、図6に示すシステム600の一実施形態を使用した二酸化炭素質量流量制御器のPID制御を用いた水の定常状態の伝導度(0秒〜75秒)および初期の液体流量10lpmで約6.2μS/cmの設定値(±2%)を維持するために水中に送り込まれる二酸化炭素の量に対する時間に伴う水の流量を示している。固定CO2ガス流量で水の流量が10lpmから20lpmに変化すると、水の伝導度が低下する。伝導度は約3.2μS/cmまでスパイクまたはアンダーシュートする。CO2流のPID制御は、水混合物を徐々に6.2μS/cmの設定値まで戻す。液体流量が10lpmまで変化すると、水の伝導度が約9.2μS/cmまでオーバーシュートまたはスパイクする。CO2流のPID制御は、水とCO2の混合物を徐々に約6.2μS/cmセットのポイントまで戻す。PID制御単独では、伝導度の設定値からのスパイク、すなわちアンダーシュートまたはオーバーシュートは、設定値の±3μSであるか、または約±50%であった。
【0089】
図7Bは、ガス流量の変化または予想される液体流量の変化の前に接触器の液体に接触するガスの分圧に関連する他の変数の変化が、PID制御と相まって、液体中に送り込まれるガスの量の変動を約±1μS以下または設定値の±20パーセント以下まで最小に抑えるためにどのように使用することができるかを示している。これは、図7Bにおいて、約6.2μSの初期設定値をもたらす水に送り込まれるCO2の量について示されている。システムのホールドアップ量および接触器の時定数に応じ得る時間間隔で、予想される液体流量の変化の前に、設定値を生成して、液体中に送り込まれるガスの量の変動を最小に抑えるように、ガスの分圧が変更される。一部の実施形態において、ガスの分圧は、計算およびルックアップテーブルに基づいて変更される。ガスの分圧の実施例は、これらに限定されないが、ガスシステムの圧力、希釈ガスの分圧、ガス質量流量、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0090】
フィードフォワード制御または開ループ制御の実施例として、液体流量が10slpmから20slpmまで変化する約2秒前の時間間隔で、アンダーシュートを最小に抑えるためにCO2の量が増加されてもよく、その後に約6.2μSの設定値を達成するためのPID制御が続く。特定のシナリオにおいて、液体流量が20slpmから10slpmに減少すると、オーバーシュートを最小に抑えて約6.2μSの設定値を達成するために、PID制御に加えて、流量の変化時またはそれとほぼ同じ時に低圧のN2ガスが注入され得る。オーバーシュート補償中にそのようなN2パフ(短時間での急激なN2の吹き付け)を使用することのさらなる利点は、N2が余分な量のCO2をパージアウトするばかりでなく、膜接触器内部の凝縮液をある程度掃き出すことである。
【0091】
図6を参照すると、この特定の実施例を実装する実施形態は、膜接触器660と窒素源680の間に配置されるN2ガス制御弁616を含むことができる。N2ガス源680は、N2ガス制御弁616を介して膜接触器660にN2ガスを供給する。制御弁616は、PLCモジュール630によって制御される。一部の実施形態において、N2ガス制御弁616が開いているとき、CO2ガス制御弁614は閉じているため、CO2およびN2ガスはいかなるときも混合しない。つまり、N2は混合または希釈のために使用されない。一部の実施形態において、システム600上で実行されるソフトウェアは、メンテナンスおよびオーバーシュート補償中に、CO2ガス制御弁614を閉じて、N2ガス制御弁616を開くことができる。例えば、いくつかの実施形態は、いずれの凝縮液も除去するために、CO2ガスが停止され、N2パフが開始される周期的なメンテナンスサイクルを用いることができる。いくつかの伝導度の高い用途では、CO2の流量は、多孔質要素を乾燥した状態に保つほど十分に高くてもよく、必要な場合は、CO2を停止してN2パフを用いてもよい。いくつかの場合において、N2パフの時間の長さおよび/または圧力は制御されるが、N2パフにおいて使用されるN2の正確な量は必ずしも制御されない。例えば、N2ガス制御弁616は、メンテナンスサイクルのために11psiで約2秒開くことができ、オーバーシュート補償のために20psiで約0.2秒開くことができる。この実施例では、CO2の流量は、水温25度および約2lpmから20lpmまでの水の流量では、20psiで約0.01lpmから1lpmまでと変化することができる。
【0092】
効率的な凝縮液の除去および/またはオーバーシュート補償のために、上述した減圧とともにN2パフが使用され得る。N2パフは、凝縮液トラップを用いておよび用いずに使用され得る。よって、システム100、200、300、および400の種々の実施形態は、図6に例示したN2パフ機構を実装するように適合され得る。さらに、システム600の種々の実施形態は、図3を参照して上述した凝縮液トラップを含むように適合され得る。
【0093】
約200秒から350秒の時間の間に10slpmから20slpmという液体の段階的な流量変化については、予測される液体の流量変化の前にガス質量流量制御器に信号を用いてガスの分圧を変更することおよびPID制御を組み合わせて、液体中に送り込まれるガスの量の変動を設定値の約17パーセント以下で最小に抑えることができ、それは、5.2μSのアンダーシュートおよび7.2μSのオーバーシュートならびに6.2μSの定常状態に基づいて、約±1μSである。フィードフォワード制御の別の実施例として、予想される液体の流量変化の約2秒前に信号が送信され得る。特定のシナリオにおいて、液体流量が250秒から300秒の間に20slpmから10slpmに減少すると、オーバーシュートを最小に抑え、約6.2μSの設定値を達成するために、流量の変化時またはそれとほぼ同じ時に低圧のN2ガスが注入され得る。この場合も同様に、液体の流量変化による伝導度のスパイクの予想される影響(複数可)に先制的に対応するかまたはそれを補償するためにN2が使用される。迅速かつ最小の変動で液体中のガスの濃度または量を変更する能力は、単一ウエハまたはバッチウエハの半導体洗浄プロセスにおいて使用することができる。
【0094】
図7Cは、PID制御のみを使用して、液体中に送り込まれるガスの濃度の変動を、どのように約±1μS以下または設定値の約±20パーセント以下に最小に抑えることができるかを例示している。これは、図7Cにおいて、約6.2μSの初期設定値をもたらす水に送り込まれるCO2の量について示されている。この場合、水の流量は、30秒ごとに1slpmずつ段階的に変更される。図7Cに示すように、約75秒から175秒の間に、10slpmから11slpm、12slpmになり、次いで段階的に10slpmに戻る水の流量変化には、伝導度セルからの出力に基づいてガス流量を変更するようにPID制御が動作可能であり、液体中に送り込まれるガスの量の変動を設定値の約12パーセント以下で最小に抑え、それは、5.5μSのアンダーシュートおよび6.7μSのオーバーシュートならびに6μSの定常状態に基づいて、約±0.7μS以下である。
【0095】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、集積回路または半導体の製造プロセスにおいて特に有用であり得る。例えば、バックエンド(BEOL)での洗浄または研磨プロセスにおいて、過剰な量のヒドロキシルイオンの存在のために金属線の腐食が起こり得る。低pHのCO2ガス化DI水溶液を使用すると、単純な酸−塩基中和反応によって過剰なヒドロキシルイオンを排除することができる。追加の洗浄プロセスは、これらに限定されないが、CMP後洗浄、マスク洗浄、およびフォトレジスト除去を含むことができる。
【0096】
当業者には認識され得るように、水中でのCO2の溶解は、単なる物理的プロセスではない。CO2が水に溶解すると、炭酸(H2CO3)を形成することにより水の酸性度を増加させる。その結果、酸の溶解が、より自由に移動するイオンを溶液中で生成し、水をより伝導性にする。この関係を次の式1に示す。
【0097】
【数1】
DI水のガス化における1つの大きな課題は、制御された一貫性のある様式でどのように少量のCO2をDI水に注入するかということである。低濃度の溶解CO2を達成するための一般的な慣習は、ガス混合物を膜接触器に注入する前にCO2を不活性ガスで希釈すること、または高度にガス化したDI水を非ガス化水で希釈することのいずれかを含む。しかしながら、どちらの方法も重大な欠点をもたらす。CO2を不活性ガスと混合することは、望ましくないガス種をプロセスに導入する。濃度の高いガス化水を希釈することは、システム設計および制御に複雑さを加え、また適切な混合は分注の前には起こり得ない。さらに、どちらの方法も、ガスまたは水のいずれかの大量消費を必要とする。
【0098】
システム100、200、300、400、および600の種々の実施形態は、制御された一貫性のある様式でDI水に少量のCO2を注入することが可能な自動インラインCO2ガス化システムを実装するように適合され得る。一部の実施形態において、CO2−DI水ガス化システムは、ペルフルオロアルコキシ(PFA)中空糸膜に基づく接触器を備えることができ、超低度の伝導度を達成および維持するために、希釈せずにDI水中に直接CO2を注入する新規方法を採用ことができる。そのようなCO2−DI水ガス化システムの実施形態は、以下の特性/利点を含むことができる。
【0099】
−自動伝導度制御
−迅速な応答および円滑な制御を伴う最適化された制御ループ
−いずれの不活性ガスまたは流体混合も使用しない直接的なCO2注入
−広範囲の伝導度
−低所有コストのための最小のガス/流体廃棄物およびシステムメンテナンス
−省スペースおよび信頼性のためのコンパクトおよび効率的な設計
CO2−DI水ガス化システムは、最小のシステムのダウンタイムで、応答性のよいシームレスなプロセスを可能にするように動作可能なソフトウェアおよびハードウェアコンポーネントを備えることができる。CO2−DI水ガス化システムの特定の実施形態の多様性およびロバスト性を実証する容量および制御データを、次に図8〜12Bを参照して説明する。
【0100】
本明細書で開示されるガス化システムの種々の実施形態は、ペルフルオロアルコキシ(PFA)中空糸膜接触器を採用することができる。図8は、PFA膜接触器の一実施形態の概略図である。PFA膜は、PFA端部キャップを有するPFAシェル内に埋め込まれる。全PFA設計は、優れた化学的能力をもたらし、種々の用途のために多様な流体およびガスを用いてデバイスを使用することを可能にする。そのようなデバイスの高い膜表面積−体積の比は高い物質移動速度をもたらすため、中空糸デバイスは、従来の接触器よりも迅速なガスの移動速度を可能にする。また、中空糸モジュールの設計は、従来機器の性能を損ね得るチャネリングを起こしにくい。
【0101】
図8に示すように、疎水性の膜は、ガスが液体中に自由に拡散できるようにし、液体が部材を通ってガスに入るのを防止する。特定の実施例として、逆流構造において、CO2は中空糸の内部(接触器の管腔側)をスイープし、DI水が中空糸の外(接触器のシェル側)に流出する。疎水性の膜は、CO2が水中に自由に拡散できるようにするが、水が膜を通ってガス側に入るのを防止し、それにより無気泡のガス化DI水を生成する。水に溶解したCO2の量は、CO2の分圧を調節することにより制御することができる。水の導電率は、水中のCO2濃度に直接比例する。したがって、ほとんどの用途において、水の伝導度を水中のCO2濃度の指標として使用することができる。
【0102】
膜接触器の主な動作原理はヘンリーの法則によって支配される。ヘンリーの法則は、所与の温度では、平衡状態にある水中のガスの溶解度は、水と接触する気相におけるその分圧に比例すると述べている[式2]。
【0103】
P=Hx [式2]
P=ガス分圧
H=ヘンリーの法則の係数、温度の関数
x=平衡状態にある水中の溶解ガスの濃度
よって、CO2−DI水ガス化プロセスにおいて、水に溶解したCO2の量を変更および維持するために、システムは、膜接触器内部のCO2の圧力を調節および制御する必要がある。特定の清浄用途は、10μS/cm以下という超低度の伝導度を必要とするため、システムは、低いCO2の圧力を制御して、希薄なCO2−DI水混合物を形成することができるべきである。上述したように、従来の方法は、N2等の中性ガスでCO2を希釈することを伴う。中性ガスは、希釈剤としての役割を果たすだけでなく、少量のCO2をDI水に迅速に分散させる担体ガスとしての役割も果たす。表6に例示するように、伝導度がどのくらい低いかによって、著しく大量の希釈ガスが必要となり得る。N2でCO2を希釈する従来方法では、1μS/cmの伝導度を達成するためには1:1600のCO2:N2流量比が維持される必要がある。
【0104】
【表6】
そのような希釈方法を使用する不利な点は、ガスの総消費量が高いこと、および望ましくないガス種がプロセスに加わることである。また、上記方法では、ガス放出が起こる確率および気泡形成の確率が高くなる。比較すると、直接注入によって非常に希薄なCO2−DI水混合物を作製する新規方法は、いずれの種類のガスまたは流体の混合も必要としない。デバイスの高い接触効率と組み合わせると、この直接注入法は、ガスを希釈する必要性を排除することが可能であり、ガスの総消費量を低減する。
【0105】
図9は、直接注入法の実施形態にしたがって種々の伝導度の設定値を維持する際の、ガス消費量と水の流量との間の例示的な関係を示すプロット図である。より具体的には、図9は、室温または25℃で、Entegris製の全PFA膜接触器を使用して、伝導度の設定値が6μS/cm、20μS/cm、および40μS/cmの場合のCO2消費量対DI水流量を示している。また、直接注入法は、迅速かつ均一に少量のCO2を接触器内部に分布することが可能であり、迅速な応答時間をもたらす。
【0106】
異なるプロセスは、異なるCO2の水中濃度を必要とし得るため、CO2−DI水ガス化システムの種々の実施形態は、種々の水流量のために幅広い伝導度をもたらすことができるべきである。下の表7は、単一の膜接触器を備えるCO2−DI水ガス化システムの実施形態が、40psiまでのCO2圧力下で、25℃、1LPMおよび20LPMの水流量で達成することができる最小伝導度および最大伝導度を示している。
【0107】
【表7】
上述した独自の直接注入法を使用することにより、混合することなく、0.5μS/cmもの低い伝導度を維持するために、少量のCO2を直接水中に注入することができる。高濃度のCO2を必要とする用途には、システムは、1LPMの水流量に対して65μS/cm、20LPMの水流に対して30μS/cmもの高い伝導度を生成することができる。接触効率が滞留時間によって制限されるようになるため、水の流量が増加すると、到達可能な最大伝導度は所与のCO2圧力で減少する。複数の膜接触器を使用することでDI水の流量が高い用途においてより高い伝導度を達成することができ、効率的に滞留時間を増加させる。
【0108】
産業が単一ウエハ処理および複数チャンバクラスタツールの構成へと移行するにつれて、スループットを維持するために分注サイクルが短縮され、増大するツール設計の複雑性および機能に対応するためにプロセスレシピはより複雑になる。結果として、高度な洗浄ステップが、広範囲の水流量および迅速な流量変化を要求する。さらに、非破壊的かつ安定したプロセスを確保するために、炭酸水の濃度(伝導度)が密接に制御および維持される。プロセスの複雑性と厳重なプロセス制御が相まって、システム伝導度の制御に一連の課題を課すこととなる。したがって、CO2−DI水ガス化システムの種々の実施形態は、緩やかな変化の間にプロセスを安定させることができるだけでなく、急激な流量変化の間にも変動を最小に抑えて迅速な回復を提供することができる、最適化された制御ループを実装することができる。一部の実施形態において、CO2−DI水ガス化システムは、図10〜12Bに例示するような緩やかおよび急激な水の流量変化を含む種々の流量変化スキームに対応することが可能な、PIDに基づく伝導度制御ループを備えることができる。
【0109】
(急激な水の流量変化)
図10に示すように、直接注入法を実装するCO2−DI水ガス化システムの実施形態は、水温25℃で、水の流量が8〜12LPMの間で30秒ごとに1LPM変化する場合、伝導度を標的伝導度である6μS/cmの+/−5%以内の十分な維持を達成することができる。
【0110】
図11は、各ランの間のウエハ搬送時間が15秒である、2回連続した例示的なウエハのランを示している。各ランは、水温24℃、40μS/cmの伝導度設定値で、2LPMと16LPMの間で30秒ごとに2LPMの水の流量変化を含む。ウエハを搬送する15秒の間は、水の流量が停止し、CO2流が途切れる。各ランの間、制御ループは、伝導度を設定値の5%以内に維持することが可能である。次のランが始まると、伝導度レベルは数秒の内に設定値まで回復する。ウエハ搬送の間のアイドリングを含めた2回のランを通して、伝導度レベルは、決して設定値の+/−10%を超えない。
【0111】
(急激な水の流量変化)
マルチチャンバプロセスにおいて、急激な水の流量変化は珍しいものではない。水の流量変化の規模によって、許容できる応答および安定性をもたらすためには、従来のPID制御アルゴリズムが十分ではないことがある。例えば、水の流量が減少すると、下流のセンサは水の伝導度における任意の変化を検知するのに長い時間が掛かる。単純なPID制御器は、一時的な遅延に対応するようには設計されていない。したがって、本明細書で開示されるCO2−DI水ガス化システムの種々の実施形態は、水の流量が激減した場合に伝導度のオーバーシュートを最小に抑えるための追加の制御最適化を実装することができる。具体的には、流量がより大きく低下したときに伝導度の変動を最小に抑えるために、伝導度オーバーシュート補償特性が実装され得る。アンダーシュートは水の流量が増加した時に起こり得るものであり、その場合、検知の遅れは問題ではない可能性があるため、そのような補償特性はアンダーシュートをオフセットには必要ない。図12Aおよび図12Bは、補償を用いた場合および用いない場合のオーバーシュートの量を比較したものである。オーバーシュート補償が使用されない場合、流量が16LPMから2LPMに減少すると、伝導度の設定値からのオーバーシュートに20%の変動が観察される(図12A)。オーバーシュート補償を使用した場合(図12B)、同じ水の流量の減少で、オーバーシュートにわずか10%の変動が生じたのみであった。
【0112】
前述の明細書では、特定の実施形態を参照して本発明を説明してきた。しかしながら、当業者は、本明細書で開示される特定の実施形態の主旨および範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更が行われてもよいことを認識することができる。したがって、添付の付属書を含む本明細書で開示される明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味に解釈されるものとし、すべてのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/054,223号(名称「APPARATUS AND METHOD FOR MAKING DILUTE BUBBLE FREE SOLUTIONS OF GAS IN A LIQUID」、2008年5月19日出願)、米国仮特許出願第61/082,535号(名称「APPARATUS AND METHOD FOR MAKING DILUTE BUBBLE FREE SOLUTIONS OF GAS IN A LIQUID」、2008年7月22日出願)、米国仮特許出願第61/095,230号(名称「APPARATUS AND METHOD FOR MAKING DILUTE BUBBLE FREE SOLUTIONS OF GAS IN A LIQUID」、2008年9月8日出願)、および米国仮特許出願第61/101,501号(名称「SYSTEM AND METHOD FOR MAKING DILUTE BUBBLE FREE SOLUTIONS OF GAS IN A LIQUID」、2008年9月30日出願)の優先権を主張し、これらの出願の全内容は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、集積回路の製造に関し、より具体的には、無気泡または実質的に無気泡である液体中のガスの溶液を提供することができるガス化システムおよび方法の実施形態に関し、該溶液は、集積回路の製造プロセスにおいて特に有用である。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
集積回路(IC)の製造におけるフィーチャサイズの継続的な縮小およびこれまで以上に脆弱な材料の採用により、半導体ウエハの特性に害を与えない、効果的かつ負荷の少ないプロセスを開発することが極めて重要になってきている。炭酸化した脱イオン(DI−CO2)水を用いたウエハの清浄は、損傷を与えない洗浄を可能にする負荷の少ないプロセスの実施例である。よって、半導体製造におけるフォトリソグラフィ、湿式エッチングおよび洗浄、ならびに化学機械的な研磨(CMP)の用途におけるガス化DI水の使用に持続的な関心が寄せられている。少量の溶解ガスで水のドーピングを制御することは困難であるため、低濃度の溶解ガスを含む水をどのように生成および維持するかが重要な課題の1つである。
【0004】
膜接触技術は、水等の液体中に高濃度の溶解ガスをもたらすために使用されてきた。他にもいくつか低濃度のガス化溶液を作製するために使用される一般的な手法がある。第1の方法は、ガス混合物を膜接触器に注入する前に、所望のガスを窒素(N2)等の不活性ガスを用いて混合または希釈することである。不活性ガスは、膜接触器内で所望のガスの濃度を希釈し、水等の液体に溶解した低レベルのガスをもたらす。液体に溶解したガスの標的濃度は、所望のガスと不活性ガスまたは担体ガスとの流量比を変化させることにより維持することができる。この方法は、好適な希釈を達成するために大量のガス(複数可)を使用し得るため、高価および/または無駄の多い可能性がある。
【0005】
第2の方法では、液体中に所望の低濃度の標的ガスを得るための比率で、高濃度のガス化水を非ガス化DI水を用いて混合または希釈する。液体中のガスの標的濃度は、高濃度ガス化水と非ガス化DI水との流量比を変動させることにより維持することができる。この方法は、大量の液体(複数可)を必要とし得、同様に高価および/または無駄の多い可能性がある。
【0006】
これらの方法の実施例は、以下の特許文献に見出すことができる。特許文献1は、金属エッチング後のプラズマストリップと併用したCO2水清浄による残渣の除去を開示する。特許文献2は、オゾン水流および濃度制御の装置ならびに方法を開示する。特許文献3は、中空糸膜を有するモジュールを含む膜接触器装置を開示する。特許文献4は、体積当たりの表面積が大きな塔充填用ポリマーを用いて充填した接触器のチャンバ内における、CO2とDI水との混合を開示する。
【0007】
第1および第2の混合または希釈方法は、低濃度の溶解ガスを生成することができるが、各方法はその固有の欠点を有する。例えば、所望のガスを不活性ガスまたは担体ガスと混合することは、プロセスにおいて不必要な汚染物であり得るほかのガスを液体中に導入する可能性があり、プロセスのためのガスの総使用量を増加させる。さらに、追加の担体ガスを液体に溶解することは、水中のガスの総濃度を増加させる可能性があり、望ましくないおよび/有害な気泡を生じ得る。また、高濃度のガス化水を希釈することは、余分な水を使用してシステム設計および制御に複雑さを加えることとなり、コストを増大させる。その上、両方の方法において、接触器の表面上で液体の凝縮が起こり得る。この凝縮液が除去されないと、その凝縮液が膜を詰まらせて有効な接触面積を減少させ得、性能効率の損失および液体中の溶解ガスの量における不均一性をもたらす。結果的に、上記2つの方法には凝縮液を除去するために頻繁なパージサイクルが一般的に使用され、コスト、ダウンタイム、およびシステムの複雑性が追加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,328,905号明細書
【特許文献2】米国特許第7,264,006号明細書
【特許文献3】米国特許第7,273,549号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0257738A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
低濃度の液体中の溶解ガスを生成するために、接触器を介して低流量のガスを液体中に供給する間に液体中の標的ガス濃度が定常状態に達するには長期間が必要であることが分かった。接触器内へのガス流の開始から測定して液体中の定常ガス濃度に達するために必要とされる長い期間は、現代の製造プロセスにとって満足できるものではなく、特に、半導体プロセスにとっては満足のいかないものであった。さらに、低いガス流量は制御することが困難であり、つまりは、ガスから液体への変換を制御することが困難である。
【0010】
液体中でのガス濃度の変動が少ない、液体中の1つ以上のガスの濃度が低い液体を作製することは、接触器の多孔質要素を介して減少した圧力でガスを液体に送り込むことによって達成されてきた。減圧の使用は、減圧を用いない接触器の使用と比較した場合、ガスの液体中の定常濃度に達する時間を予想外に早めるか、または短縮する結果となる。また、接触器のガス接触側で一定の減圧を維持することにより、低レベルのガス濃度における変動が低減されたことが分かった。
【0011】
発明者は、接触器内の液体の流れに減圧でガスを送り込むことは、実質的に液体内に無気泡のガスの低濃度の組成物を形成するために使用することができることを発見した。本明細書で開示されるシステム、方法、および装置の実施形態は、供給液が迅速に液体中のガスの定常濃度に達し、安定した、ほとんど変動のないガス化溶液を生成することを可能にする。接触器のガス接触側の液体流量、ガス流量、または圧力のうちのいずれかを使用して、所望の液体中のガスの量を変更することができる。
【0012】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、低い分圧/減圧で液体中に1つ以上のガスを送り込むことができる装置またはデバイスを提供する。装置は、ガスと液体とが膜(中空糸もしくは平坦なシートであり得る)またはフリット等の多孔質要素によって分離される接触器を備えることができる。多孔質要素は、ポリマー、セラミック、金属、またはそれらの複合体であり得る。装置は、ガス流量制御器、減圧源、および液体流量制御器をさらに備えることができる。一部の実施形態において、ガス流量制御器は接触器のガス流入口に接続されてもよく、減圧源は接触器のガス流出口に接続されてもよく、液体流量制御器は接触器の液体接触側に接続され得る。ガス流量制御器の実施例は、オリフィス、質量流量制御器、ロータメータ、絞り弁等を含むことができる。圧力源の実施例は、真空ポンプ、ベンチュリ型真空発生器等を含むことができる。好適な液体流量制御器の実施例は、液体質量流量制御器、ロータメータ、弁、オリフィス等を含むことができる。
【0013】
一部の実施形態において、接触器は多孔質の膜接触器である。任意選択的に、センサは、液体に溶解したまたは液体と反応したガスの濃度を判定することができる接触器の液体流出口に接続され得る。また、任意選択的な分析器および/または任意選択的な流量計がセンサに連結され得る。
【0014】
一部の実施形態において、本明細書で開示されるガス化システムは、システム制御器を用いずに手動で使用されてもよく、液体中で測定されるガス濃度に基づいて、液体流量、ガス流量、システム圧力等を調節することができる。一部の実施形態において、ガス化システムは、閉ループ制御を使用して自動化され得、その場合、溶解ガス濃度モニタ(液体中の溶解ガスまたは反応ガスの濃度)、ガス流量制御器、および液体流量制御器のうちの1つ以上からの出力(複数可)が、接触器内への液体流量、接触器内へのガス流量、および減圧のレベルのうちの1つ以上を制御するために使用される。
【0015】
一部の実施形態において、多孔質膜のガス接触側の圧力は、接触器のガス流出口の圧力ゲージによって判定することができ、接触器内のガスの全圧を維持するために手動または制御器によって調節することができる。任意選択的に、接触器のガス流出口と圧力ゲージもしくは真空ゲージおよび/または減圧源との間に、液体トラップが設置され得る。
【0016】
一部の実施形態において、無気泡または実質的に無気泡である液体中のガスの溶液を作製するためのガス化システムまたは装置は、ガス流入口およびガス流出口を有するガス接触側と、液体流入口および液体流出口を有する液体接触側とを有する接触器を備えることができる。接触器は、接触器の筐体内に取り付けられ得る多孔質要素によって、ガスを液体から分離することができる。ガス流量制御器は、接触器のガス流入口に接続され得る。減圧を生成または引き起こすことができるデバイスまたは真空源は、接触器のガス流出口に接続され得る。デバイスは、多孔質要素のガス接触側で凝縮する液体の量を減少させることができる。液体流量制御器は、接触器の液体接触側に接続され得る。装置は、液体中に送り込まれるガスの濃度を測定するための、接触器の液体流出口に接続されるセンサを選択的に含むことができる。
【0017】
一部の実施形態において、無気泡または実質的に無気泡である液体中のガスの溶液を作製するためのガス化方法は、接触器の多孔質要素のガス接触側の流入口にガスを流入させるステップと、接触器の多孔質要素の液体接触側の流入口に液体を流入させるステップであって、液体接触側は、多孔質要素および接触器の筐体によってガスから分離されるステップと、接触器の流入口に流入するガスの圧力と比較して減圧で、接触器の多孔質要素のガス接触側の流出口からガスを除去するステップと、多孔質要素の液体接触側の流出口から、液体中に送り込まれるガスの一部を含有する液体を除去するステップとを含むことができる。方法のいくつかの実施形態は、液体に溶解したガスを生成するために使用されてもよく、その場合、液体中のガス濃度の安定性は、±15パーセント以下であり、いくつかの場合において±5パーセント以下であり、さらに他の場合において±2パーセント以下である。
【0018】
一部の実施形態において、無気泡または実質的に無気泡である液体中のガスの溶液を作製するためのガス化システムまたは装置は、ガスを液体に溶解させるか、または液体中に送り込むために使用される、膜接触器を備えることができる。ガス化システムは、接触器に進入するガス流量を制御するための質量流量制御器および/または圧力調節器、ならびに接触器に進入する液体流量を制御するための液体流量制御器をさらに備えることができる。いくつかの実施形態における接触器のガス流出口は、真空または減圧源に接続されてもよく、その場合、接触器の流入口に流入するガスの圧力と比較して減圧で、接触器の多孔質要素のガス接触側からガスが除去される。一部の実施形態において、液体に溶解したガスの濃度を測定するために、接触器の下流にインライン濃度モニタが実装され得る。液体流量が変化すると、液体中の標的ガス濃度を維持するように、手動または自動のいずれかでガス流量および/または真空レベルを調節することができる。膜接触器内のいずれの凝縮液も、真空または減圧源によって除去することができ、凝縮液トラップ内に回収することができる。ガス化システムは、コンピュータ可読記憶媒体に格納され、システムの減圧または真空に影響を及ぼすことなく、凝縮液トラップおよび配水管を自動的に制御するためのコンピュータ実行可能命令を含むシステムソフトウェアをさらに備えることができる。この実装により、パージサイクルの必要性を最小に抑えることができ、絶え間ないプロセスが可能になる。また、真空圧または減圧は、接触器内のガスの分圧を低減させる役割を果たすこともでき、ひいては水に溶解するガスの量を低減させることができる。
【0019】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、1つ以上のガスを液体に溶解させるか、または送り込むために使用することができ、別のガスと混合することなく、所望のガスを液体に直接注入することを可能にする。脱イオン(DI)水は、そのような液体の実施例である。このことは、望ましくない希釈ガスのプロセス汚染を有利に排除し、ガス消費量が低いために操作コストを削減し、システム設計およびメンテナンスを単純化する。本明細書で開示される実施形態は、接触器内の凝縮液および有効な接触面積の損失を減少させるかまたは排除することにより、溶解ガスの安定性および均一性を向上することができる。多孔質要素を凝縮液のない状態に保つための周期的なパージが必要とされないため、本明細書で開示される実施形態は、ツールのダウンタイムおよびメンテナンスを最小に抑えることができる。低い分圧で供給されるガスが、接触器の多孔質要素を介して減圧(低い分圧と比較して)で液体に接触する実施形態もまた、液体中のガスの設定値濃度に対する迅速な応答時間を提供することができる。
【0020】
一部の実施形態において、自動DI水ガス化システムは、0.5μS/cmもの低い伝導度を有するガス化DI水を混合することなく生成および維持するために、水中に微量のCO2を直接注入することができる。マイクロジーメンス(μS)は、ジーメンスの100万分の1である。脱イオン水のコンダクタンスは非常に低いため、マイクロジーメンス/cm(またはマイクロモー/cm)で測定される。一部の実施形態において、自動DI水ガス化システムは、10〜40μS/cmという、より高いコンダクタンスでガス化DI水を生成および維持することができる。一部の実施形態において、流量に応じて、単一の自動DI水ガス化システムが種々の伝導度レベルでガス化DI水を生成および維持することができる。一部の実施形態において、単一の自動DI水ガス化システムは、約0.5μS/cmから約65μS/cmまで伝導度レベルを制御することができる。
【0021】
一部の実施形態において、中空糸等の多孔質の接触要素から凝縮液を除去することは、標的伝導度、水流量、ガス流量等を含むシステム条件に応じて実装ごとに異なっていてもよい。DI水ガス化システムの一部の実施形態において、膜に基づく接触器内の凝縮液を排除するために減圧が印加され得る。一部の実施形態において、流出口の真空または真空源は、6μS/cmを例示的な標的伝導度として、膜に基づく接触器の下流に配置される。一部の実施形態において、流出口の真空はまた、広範囲の圧力範囲にわたって変化してもよく、それらはすべて大気圧未満であるか、または14.7ポンド/平方インチ(psi)未満であり得る。一部の実施形態において、流出口の真空は排除され得る。例えば、伝導度の高いシステムは、真空源を必要としなくてもよい。
【0022】
一部の実施形態において、減圧は、多孔質要素から凝縮液を除去するのに十分であり得る。自動DI水ガス化システムのいくつかの実施形態は、40μS/cmを例示的な高い標的伝導度として、CO2排出量を制御することができる。一部の実施形態において、流出口の真空を有する単一の自動DI水ガス化システムは、真空を使用する時と、CO2排気を使用する時とを制御するソフトウェアを介して、低い(10μS/cm未満)および高い(10μS/cm以上)標的伝導度レベルを達成することができる。一部の実施形態において、10μS/cmを下回る標的伝導度のために真空が印加され得る。一部の実施形態において、真空レベルは、異なる伝導度レベルのために調節される。例えば、真空レベルは、1μS/cmに達するように増加されてもよく、また、10μS/cmに達するように減少され得る。一部の実施形態において、20μS/cmを上回る標的伝導度のためには、システムはいずれの真空も印加しなくてよい。そのような場合には、CO2排気のみが使用され得る。一部の実施形態において、10μS/cmと20μS/cmとの間の標的伝導度に対して、水の流量に応じて真空が使用され得る。
【0023】
自動DI水ガス化システムのいくつかの実施形態は、二酸化炭素が停止され、窒素パフ(急激な短時間でのN2の吹き付け)が開始される周期的なメンテナンスサイクルを用いて、いずれの凝縮液も除去することができる。ここでは、N2は混合または希釈のために使用されるのではない。いくつかの伝導度の高い用途には、CO2の流量は、多孔質要素を乾燥した状態に保つほど十分に高くてもよく、必要な場合は、CO2を停止してN2パフを用い得る。いくつかの場合において、N2パフの時間の長さは制御されるが、N2パフにおいて使用されるN2の量は制御されない。
【0024】
本明細書で開示されるガス化システムおよび方法の実施形態は、いかなる種類のガスまたは液体の混合も必要とせず、ガスを希釈する必要性を排除することが可能であり、ガスの総消費量を低減させることが可能であり、種々の半導体洗浄プロセスに有用であり得る。これらおよび他の側面は、以下の説明および添付の図面とともに考慮されると、より深く認識および理解されるであろう。以下の説明は、種々の実施形態およびその多数の特定の詳細を示しているが、例示の目的で提示されるのであって、限定するためのものではない。多くの代替例、変形例、追加例、または再構築例が、本開示の範囲内で作製されてもよく、本開示は、そのようなすべての代替例、変形例、追加例、または再構築例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の実施形態は、以下の詳細な説明を参照して、添付の図面とともに熟読されることによって、最もよく理解されるであろう。
【図1】図1は、自動ガス化システムの一実施形態の概略図である。
【図2】図2は、手動制御によるガス化システムの一実施形態の概略図である。
【図3】図3は、膜接触器、減圧源、低流量ガス用の質量流量制御器、および選択的な凝縮液トラップを備える、ガス化システムの一実施形態の概略図である。
【図4】図4は、膜接触器、減圧源、低流量ガス用の質量流量制御器、および選択的な伝導度センサを備える、ガス化システムの一実施形態の概略図である。
【図5A】図5Aおよび5Bは、真空圧または減圧(図5A)を用いない場合、および真空圧または減圧(図5B)を用いた場合の、液体中のガスの定常濃度までの時間を実施例として示すプロット図である。
【図5B】図5Aおよび5Bは、真空圧または減圧(図5A)を用いない場合、および真空圧または減圧(図5B)を用いた場合の、液体中のガスの定常濃度までの時間を実施例として示すプロット図である。
【図6】図6は、膜接触器、圧力調節器、質量流量制御器、プログラム論理制御器(PLC)モジュール、および伝導度センサを備える、ガス化システムの一実施形態の概略図である。
【図7A】図7A、7Bおよび7Cは、液体流量、時間、ガス化液体の伝導度(自動制御ループを用いる)の間の関係を実施例として示すプロット図である。
【図7B】図7A、7Bおよび7Cは、液体流量、時間、ガス化液体の伝導度(自動制御ループを用いる)の間の関係を実施例として示すプロット図である。
【図7C】図7A、7Bおよび7Cは、液体流量、時間、ガス化液体の伝導度(自動制御ループを用いる)の間の関係を実施例として示すプロット図である。
【図8】図8は、膜接触器の一実施形態の概略図である。
【図9】図9は、種々の伝導度の設定値を維持する際の、ガス消費量と液体流量との間の例示的な関係を示すプロット図である。
【図10】図10〜12Bは、伝導度の設定値を維持する間に流量が変化した場合の伝導度と時間との間の例示的な関係を示すプロット図である。
【図11】図10〜12Bは、伝導度の設定値を維持する間に流量が変化した場合の伝導度と時間との間の例示的な関係を示すプロット図である。
【図12A】図10〜12Bは、伝導度の設定値を維持する間に流量が変化した場合の伝導度と時間との間の例示的な関係を示すプロット図である。
【図12B】図10〜12Bは、伝導度の設定値を維持する間に流量が変化した場合の伝導度と時間との間の例示的な関係を示すプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明ならびにその種々の特性および有利な詳細が、添付の図面に例示され、以下の説明に詳述される非限定的な実施形態を参照して、より完全に説明される。周知のIC製造プロセスおよび出発材料、半導体製造技術および設備、プログラム言語およびプログラム技術を含むコンピュータハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントの記載は、本開示の詳細を不必要に不明瞭にしないように省略する。しかしながら、当業者は、好ましい実施形態が開示されるが、詳細な説明および特定の実施例は、例示のみの目的で提示されるのであって、限定するためのものではないことを理解するはずである。本開示を読めば、当業者には、基礎となる発明の概念(複数可)の範囲内で、種々の代替例、変形例、追加例、または再構築例が明らかになるであろう。
【0027】
本明細書で開示される実施形態を実装するソフトウェアは、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体に存在してもよい好適なコンピュータ実行可能命令において実装され得る。本開示内では、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、プロセッサが読み取ることのできるすべての種類のデータ記憶媒体を包含する。コンピュータ可読記憶媒体の実施例は、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、ハードドライブ、データカートリッジ、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスケット、フラッシュメモリドライブ、光データ記憶デバイス、コンパクトディスク読み取り専用メモリ、ならびに他の適切なコンピュータメモリおよびデータ記憶デバイスを含むことができる。
【0028】
本明細書で使用される用語「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」またはそれらの任意の他の変形例は、非排他的な包含を網羅することが意図される。例えば、一連の要素を含むプロセス、製品、物品、もしくは装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されないが、明示的に列挙されていない他の要素またはそのようなプロセス、物品、もしくは装置に固有である他の要素を含むことができる。さらに、特に矛盾する記載がない限り、「または」は、包括的な「または」を意味し、限定的な「または」を意味しない。例えば、条件AまたはBは、以下のうちのいずれか1つによって満たされる。Aは真であり(または存在する)、かつBは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在しない)、かつBは真である(存在する)、ならびに、AおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0029】
また、本明細書に提示される任意の実施例または図は、決して、それらが用いられる任意の用語(単数または複数)を制限する、限定する、またはその定義を明示すると見なされるものではない。代わりに、これらの実施例または図は、1つの特定の実施形態に関して記載されているのであって、例示のみであると見なされるものとする。当業者は、それらの実施例または図が用いられる任意の用語(単数または複数)は、他の実施形態、ならびに明細書においてその用語ともにまたは他の場所に提示され得るかまたはされなくてもよいその実装および適合を包含し、すべてのそのような実施形態は、その用語(単数または複数)の範囲内に含まれることが意図されることを認識するであろう。そのような非限定的な実施例および図を指す言語は、これらに限定されないが、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「例えば(e.g.)」、一実施形態において「等(and the like)」を含む。
【0030】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で開示されるものと同様または等価な方法および材料が、本発明の実施形態の実践または試験において使用され得る。本明細書に記載されるすべての出版物は、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書のいかなる記載についても、本発明が先の発明の存在によって、このような開示に先行する権利を有しないものと解釈されるものではない。「選択的な(optional)」または「選択的に(optionally)」とは、その後に続いて記載される事象または状況が発生してもしなくてもよいことを意味し、その記載が該事象または状況が発生する例、およびそれが発生しない例を含むことを意味する。本明細書に記載されるすべての数値は、明示的に示されていてもいなくても、「約」という用語によって修飾されることができる。「約」という用語は、通常、当業者が、列挙された値と同等であると考える数字の範囲(すなわち、同じ機能または結果を有する)を指す。一部の実施形態において、「約」という用語は記載される値の±10%を指し、他の実施形態において、「約」という用語は記載される値の±2%を指す。組成物および方法は、種々の構成要素またはステップを「含む」(comprising)という観点から記載されるが(「〜を含むが、これらに限定されない」を意味すると解釈される)、組成物および方法はまた、種々の構成要素またはステップから「実質的に構成される(consist essentially of)」または「構成される(consists of)」ことも可能であり、そのような専門用語は、実質的に限定的な構成要素の群を定義すると解釈されるべきである。
【0031】
次に、例示的な実施形態について詳細に言及し、その実施例を添付の図面に示す。可能な限り、同一部分または類似部分(要素)を言及するために、図面を通して同じ参照番号が使用される。
【0032】
本明細書で開示されるガス化システムおよび方法の実施形態は、無気泡または実質的に無気泡である液体中のガスの溶液を生成することができる。よって、生成されるガス化液体は、液中濃度の低いガスを有することができる。一部の実施形態において、供給ガスが供給液に導入される。一部の実施形態において、供給ガスは二酸化炭素(CO2)であり、供給液は脱イオン(DI)水(H2O)である。本明細書において、DI水が供給液の実施例として記載されるが、当業者は、供給液はDI水に限定されるものではなく、本明細書で開示される実施形態は、他の種類の供給液のために適合され得るか、またはさもなければ実装され得ることを認識することができる。同様に、本明細書において、CO2が供給ガスの実施例として記載されるが、当業者は、供給ガスはCO2に限定されるものではなく、本明細書で開示される実施形態は、他の種類の供給ガスのために適合され得るか、またはさもなければ実装され得ることを認識することができる。一部の実施形態において、CO2は、直接噴射によってガス化システム内のDI水に導入される。この直接噴射法は、CO2とH2Oおよび/または窒素(N2)等の不活性ガスとの混合を必要としない。
【0033】
図1は、閉ループ制御による自動ガス化システムの一実施形態の概略図である。システム100は、ガス源110、液体源120、システム制御器130、接触器160、質量流量制御器(MFC)または圧力制御器140、および真空源180を備える。システム制御器130は、接触器内へのガスの流量に比例する出力信号(MFC140からの制御器測定信号142)、接触器の液体流出口における液体中のガスの量に比例する出力信号(濃度モニタ170からの濃度測定信号172)、または接触器内への液体の流量に比例する出力信号(液体流量計150からのFIW流量測定信号152)を受信する(例えば、これらに限定されないが、有線、無線等を使用して)ように適合される。これらの信号は、有線、無線、光ファイバ、それらの組み合わせ等を経由して移動することができる。
【0034】
接触器160は、ガス接触側および液体接触側を備えることができる。ガス接触側は、ガス流入口およびガス流出口を備えることができる。液体接触側は、液体流入口および液体流出口を備えることができる。液体流入口は、脱気されて得る供給液のために適合され得る。液体流出口は、供給液よりも多くの液体中のガスの総量を含有する液体組成物のために適合され得る。この実施例では、DI水が供給液、CO2が供給ガスであり、溶解したCO2ガスを含むDI水またはガス化DI水を含有する液体組成物を生成する。
【0035】
一部の実施形態において、接触器160は、多孔質要素を備えることができる。多孔質要素は、接触器の筐体内に取り付けられ得る。一部の実施形態において、接触器の多孔質要素は、液体接触側およびガス接触側を備えることができる。一部の実施形態において、接触器の多孔質要素の液体接触側は、多孔質要素および接触器の筐体によってガスから分離される。一部の実施形態において、接触器は、パーフルオロアルコキシ(PFA)中空糸膜に基づく接触器である。一部の実施形態において、多孔質要素は、多孔質膜であり得る。一部の実施形態において、多孔質膜は、約35psiを上回るバブルポイントを有することができ、一部の実施形態においてバブルポイントは80psiを上回り、さらに他の実施形態においてバブルポイントは100psiを上回る。所与の流体および細孔サイズでは、持続的に湿潤させた場合、細孔に気泡を通すために必要とされる圧力は細孔の直径の大きさに反比例するという事実に基づいて、フィルタ要素における唯一最大の細孔の相対的な指標を得るためにバブルポイントが使用される。つまり、最初に一連の気泡が浮上するポイントが最大の細孔である。標準的なバブルポイント試験の手順では、イソプロピルアルコール(IPA)を試験液として使用するため、バブルポイントはIPAバブルポイントと称されることもある。
【0036】
MFC140は、ガス流量制御器の実施例である。好適なガス流量制御器の追加の実施例は、これらに限定されないが、ロータメータ、圧力制御器、オリフィス、弁とオリフィスの組み合わせ、調節可能な弁等を含むことができる。ガス流量制御器は、接触器のガス流入口に流体的に接続される。
【0037】
液体流量計150は、液体流量制御器の実施例である。好適な液体流量制御器の追加の実施例は、これらに限定されないが、ロータメータ、圧力制御器、オリフィス、弁とオリフィスの組み合わせ、調節可能な弁等を含むことができる。液体流量制御器は、接触器の液体接触側に流体的に接続される。
【0038】
真空源180は、接触器のガス接触面に減圧を提供することができ、接触器のガス流出口に流体的に接続され得る。好適な真空源180の実施例は、これらに限定されないが、真空ポンプ、弁および真空ポンプ、ベンチュリ、圧力ゲージおよび制御器等の圧力制御器を含むことができる。一部の実施形態において、真空源180は、接触器の多孔質要素のガス接触側の凝縮液を除去または蒸発させることができる。
【0039】
システム制御器130は、ガス化液体126中のガス112の設定値濃度を生成するように、ガス源110から接触器160へのガス112の流量、接触器160からの液体126中のガス112の濃度もしくは量、接触器160への液体の流量、またはそれらの組み合わせを、それらの対応する設定値と比較することができる。システム制御器130は、液体126(液体組成物)中のガスの濃度を設定値濃度の15%以内、いくつかの場合において10%以内、他の場合において5%以内、さらに他の場合において3%以内に維持するように、接触器160へのガスの流量を変化させる、接触器160の流出口におけるガスの圧力を変化させる、接触器160への液体122の流量を変化させる、またはそれらの組み合わせのために使用することができる出力信号132を生成することができる。設定値濃度の変動が少ないほど、液体組成物を使用する製造プロセスの安定性および再現性が高くなる。
【0040】
圧力変換器(図3〜4および6を参照)は、接触器と真空源との間の、接触器のガス流出口に配置され得る。圧力変換器は、真空源の一部であり得る。真空源は、減圧を変更するため、排ガスおよび凝縮液162を通気させるため、またはそれらの組み合わせのために、システム制御器に入力を提供することができ、またシステム制御器から出力を受信することができる。図1に示すように、水に溶解したCO2の量は、CO2の分圧を調節することにより制御することができる。選択的に、液体中に送り込まれるガスの濃度を測定するために、センサが接触器の液体流出口に接続され得る。水の導電率は、水中のCO2濃度に直接比例し、水中のCO2濃度の指標として使用することができる。
【0041】
図2は、手動制御によるガス化システムの一実施形態の概略図である。システム200は、ガス源210、液体源220、質量流量制御器(MFC)または圧力制御器240、液体流量計250、接触器260、濃度モニタ270、および真空源280を備える。ガス源210からのガス212は、MFC240を介して制御することができる。液体源220からの液体222の流量は、流量測定信号252を生成する液体流量計250で測定することができる。真空源280は、接触器260から排ガスおよび凝縮液262を除去するために用いられる。接触器260から出るガス化液体226の濃度は、濃度モニタ270によって監視することができる。下の表1は、システム200の実施形態を使用してDI水に溶解した低濃度のCO2の典型的な性能結果の実施例である。
【0042】
【表1】
図3は、ガス源310、液体源320、低流量ガス用の質量流量制御器340、膜接触器360、伝導度センサ372、真空源380、および選択的な凝縮液トラップ364を備えるガス化システム300の一実施形態の概略図である。システム300は、安定した水の伝導度を維持するために、選択的な閉ループ制御をさらに備えることができる。真空源380は、接触器360内の凝縮液を排除するために減圧(すなわち、大気圧未満)で一定の真空掃引を提供すること、およびガス312を液体322中に送り込むための低い分圧を提供することが可能である。ガス312が第1の圧力で接触器360に供給される場合は、真空源380は、第1の圧力よりも低い第2の圧力を接触器360に供給することができ、接触器360を介して、減圧でガス312を液体322中に送り込ませる。一部の実施形態において、接触器360は、ミネソタ州チャスカのEntegris,Inc.より入手可能なpHasor(登録商標)接触器である。膜接触器の追加の実施例は、米国特許第6,805,731号に開示され、参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態において、接触器360は多孔質要素を備えることができる。一部の実施形態において、多孔質要素は、ガス透過性の中空糸を備えることができる。
【0043】
図3に示す選択的な凝縮液トラップ364は、真空源380によって生成されるかまたは引き起こされる真空圧もしくは減圧に影響を及ぼすことなく、排ガスおよび凝縮液362を除去するための選択的な自動廃水機能を有する種々の弁304、306、308を備える。例えば、弁304、306は、真空隔離弁であり得、弁308は、凝縮液トラップ364から排ガスおよび凝縮液362を放出するための廃水弁であり得る。図3はまた、例示目的で、真空ゲージ396、液体圧力ゲージ394、および伝導度センサ372を含む選択的な構成要素を表している。伝導度センサ372は、ガス化液体326中のガス312の濃度を測定するために接触器360の液体流出口に接続され得る。
【0044】
一部の実施形態において、伝導度センサ372からの出力は、ガス化液体326中のガス312の濃度を設定値濃度または標的濃度と比較する際に使用され得る。例えば、システム制御器は、伝導度センサ372によって測定した場合に、ガス化液体326中のガス312の量に比例する出力信号を(有線、無線、光等を介して)受信するように適合され得る。種々の実施形態において、制御器は、センサ出力を設定値濃度と比較することができ、また、ガス化液体326中のガス312の濃度を標的レベルで維持するように、接触器内へのガスの流量を変更するための出力信号、接触器内への液体の流量を変更するための出力信号、接触器のガス流出口における圧力を変更するための出力信号、またはそれらの組み合わせを出力することができる。一部の実施形態において、標的レベルは、設定値濃度であり得るか、またはそれに近くてもよい。一部の実施形態において、標的レベルは、設定値濃度の範囲内であり得る。そのような範囲の実施例は、これらに限定されないが、15%、10%、5%、および3%を含む。
【0045】
本明細書で開示される実施形態において、ガス流量制御器は、ガス源と連携して動作して、低い分圧で膜接触器に供給ガスを提供することができる。用途に応じて、また種々の実施形態において、減圧は、40kPa、12kPa、6kPa以下であり得る。一部の実施形態において、液体の標準立方センチメートルで表した液体流量制御器の流量範囲と比較してガスの標準立方センチメートル(sccm)で表したガス流量制御器の流量範囲の比率は、0.02以下であり、いくつかの場合において0.002以下、他の場合において0.0005以下、さらに他の場合において0.00025以下である。ガス流量制御器の狭いガス流量範囲は、減圧源と相まって、分圧の低いガスを液体に提供することができ、ガス流対液体流の比率を低減することは、低濃度のガスを液体に提供することにも役立つ。
【0046】
一部の実施形態において、無気泡または実質的に無気泡である液体中のガスの溶液を作製する方法は、膜接触器の多孔質要素のガス接触側にある流入口に低い分圧でガスを流入させるステップと、脱気されていてもよい供給液を、膜接触器の多孔質要素の液体接触側にある流入口に流入させるステップとを含むことができる。一部の実施形態において、方法は、減圧で膜接触器のガス流出口から排ガスを除去するステップと、減圧でガスの一部を供給液内に送り込むステップと、無気泡または実質的に無気泡であり、供給液よりも多くのガスを含有する液体組成物を、膜接触器の液体流出口から除去するステップとをさらに含んでもよい。
【0047】
本明細書で開示されるガス化システムのいくつかの実施形態は、ガス流が毎分0標準立方センチメートルから毎分1標準立方センチメートルに変化し、接触器のガス流出口で測定される減圧が6kPa(−28インチHg)であるとき、22℃のDI水が、毎分2リットルで膜接触器を通って流れ、120秒未満で脱イオン水中に定常濃度の二酸化炭素を提供することができると特徴付けることができる。この場合、CO2は供給ガスの実施例であり、DI水は供給液の実施例である。定常状態では、システムは、水中の二酸化炭素濃度±5%未満の変動で、無気泡または実質的に無気泡である溶液または液体組成物を生成することができる。
【0048】
一部の実施形態において、システムは、接触器内へのガスの流量に比例する出力信号、ガス流出口における圧力に比例する出力信号、および接触器内への液体の流量に比例する出力信号を含む信号を受信するように適合されるシステム制御器を備えることができる。制御器は、対応する信号の設定値を格納するおよび/またはその値へのアクセスを有することができる。制御器は、接触器内への供給ガスの流量、接触器内への供給液の流量、接触器のガス流出口における圧力、またはこれらの信号の組み合わせを、それらの対応する設定値と比較して、ガス化液体中のガスの設定値濃度を生成することができる。追加として、制御器は、ガス化液体中のガスの濃度を標的レベルに維持するように、接触器内への供給ガスの流量を変更するための出力信号、接触器内への供給液の流量を変更するための出力信号、接触器のガス流出口における圧力を変更するための出力信号、またはそれらの組み合わせを生成することができる。一部の実施形態において、標的レベルは、設定値濃度であり得るか、またはそれに近くてもよい。一部の実施形態において、標的レベルは、設定値濃度の15%以内であり得、いくつかの場合において設定値濃度の5%以下であり得、他のいくつかの場合において設定値濃度の3%以下であり得る。
【0049】
システムは、接触器の液体流出口に接続されるセンサをさらに含むことができる。センサは、液体中のガスの量に比例する信号を生成することが可能であり得る。一部の実施形態において、システム制御器は、センサからの信号を受信するように適合され得る。システム制御器は、センサ出力を液体中のガスの設定値濃度と比較することができ、また、ガス化液体中のガスの濃度を、設定値濃度であるかまたはその範囲内であり得る標的レベルに維持するように、接触器内への供給ガスの流量を変更するための出力信号、接触器内への供給液の流量を変更するための出力信号、接触器のガス流出口における圧力を変更するための出力信号、またはそれらの組み合わせを出力することができる。上述したように、少量の溶解ガスで水のドーピングを制御することは困難であるため、従来のガス化システムにとって、低濃度の溶解ガスを含む水を生成および維持することは困難であり得る。液体中に送り込まれるガスの量の変動が少ないガス化液体組成物を使用することで、より高い安定性およびより少ない変動を製造プロセスに提供することができ、それにより、従来のガス化システムが直面することの多い困難を克服する。
【0050】
図4は、ガス化システムの非限定的な実施形態の概略図である。システム400は、接触器460、供給ガス412を接触器460に供給するためのガス源410、供給液422を接触器460に供給するための液体源420、および真空圧または減圧を接触器460に提供するための真空源480を備えることができる。接触器460は、上述したように、膜に基づく接触器であり得る。圧力ゲージ492および低流量ガス用の質量流量ロータメータ440は、供給ガス412を監視および調整するためにガス源410と膜接触器460の間に配置され得る。一実施形態において、ロータメータ440は、0〜11標準立方フィート毎時(SCFH)の動作範囲を有することができる。一実施形態において、ガス源410は、約1psiでCO2を供給することができる。圧力ゲージ494および弁402は、供給液422を監視および制御するために液体源420と膜接触器460の間に配置され得る。一実施形態において、液体源420は、約0.5〜3gpmでDI水を供給することができる。一実施形態において、膜接触器460の流入口でのDI水の温度は、約23.5〜24.5℃である。圧力ゲージ496は、膜接触器460から排ガスおよび凝縮液462を除去する際に源480によって生成される減圧を監視するために、減圧源480と膜接触器460の間に配置され得る。
【0051】
システム400は、膜接触器460の液体流出口からのガス化液体中のガス412の濃度を分析するための、選択的な分析器476に接続され得る、選択的な伝導度センサ472をさらに備えることができる。一実施形態において、伝導度センサ472はHoneywell3905伝導度セルであり得、分析器476はHoneywell UDA分析器であり得る。図4に示す実施例において、ガス化液体は配水管に方向付けられる。ロータメータは、ガス化液体の流量を測定するために、伝導度センサ472と配水管の間に配置され得る。他の実施形態において、ガス化液体は、分注点またはガス化システム400の下流のシステムに方向付けられ得る。
【0052】
一実施形態において、減圧源480は、全圧の低いCO2ガスを膜接触器460の多孔質要素に提供することができる。一実施形態において、減圧源480は、−28インチHgの真空レベルを提供することができる。一実施形態において、減圧源480は、接触器内部の凝縮液を排除するために、6kPaで一定の真空掃引を提供することができる。一実施形態において、減圧源480は、ミネソタ州チャスカのEntegris,Inc.より入手可能なベンチュリ型真空発生器であり得る。後に詳述するように、多孔質要素のガス接触側で装置内の圧力を低減することにより、液体中に送り込まれるガスの量の変動を低減することができる。
【0053】
多孔質要素のガス接触側で装置内の圧力を低減することはまた、接触器内を流れる液体中に送り込まれるガスの量が定常状態に達する時間を短縮することも分かった。この開示内では、定常状態に達する迅速な時間とは10分未満の時間を意味し、いくつかの場合において2分未満、さらに他の場合において1分未満の時間を意味し、ガス流量における0から1標準立方センチメートル(sccm)またはそれ以上の増加は、液体中のガスの定常濃度をもたらす。一部の実施形態において、液体の蒸気圧に応じて、接触器のガス流出口の下流で測定される圧力は40kPa(約−18インチHg)以下であり得、いくつかの場合において40kPaから5kPa(約−28インチHg)であり得、さらに他の場合において15kPaから5kPaであり得る。定常状態に達する迅速な時間は、±15パーセント以下、いくつかの場合において±5パーセント以下、さらに他の場合において±3パーセント以下の濃度の変動を含む。液体中のガスの定常濃度に達する能力は、起動時からプロセスサイクル時間を削減することができ、また、使用されていないときはガスを停止することにより、ユーザがガスを節約することが可能であるため、有利である。
【0054】
図5Aおよび5Bは、真空圧または減圧を用いない場合(図5A)、および真空圧または減圧を用いた場合(図5B)の、液体中のガスの定常濃度までの時間を実施例として示すプロット図である。より具体的には、図5Aは、二酸化炭素の流量における0sccmから1sccmへの段階的な変化に対する、接触器のガス流出口で真空圧または減圧を用いない場合の液体中のガスの定常濃度までの時間を示しており、水は22.2℃で2lpmの液体流量であり、約8.5秒で二酸化炭素ガス流を開始(0〜8.5秒の間の時間に質量流量のオフセットがあるが、流量は0である)したところ、1sccmの設定値では約81秒間ガス流が安定し、水中のCO2濃度は、約413秒では2.88Mohm−cmでほぼ安定した。抵抗率の変動は、約413秒後(定常状態)に約2.61から約2.88Mohm−cm(低い抵抗率から高い抵抗率へ)であった。ガスをオンにしてから定常状態に達する時間(8.5秒から413秒までは、約405秒または6.75分である):ガスがオンのときの安定した流量1sccmから定常状態に達するまでの時間は、81秒から413秒または332秒(約5.5分)までである。液体中のガスの量の変動は、約5.1%である(グラフからの推定平均抵抗率は約2.74Mohm−cm、2.88(高)−2.74(推定平均)=0.14M−ohm、(0.14/2.74)×100=5.1%)。
【0055】
図5Bは、二酸化炭素の流量における0sccmから1sccmへの段階的な変化に対する、接触器のガス流出口で真空圧または減圧を用いた場合の液体中のガスの定常濃度までの迅速な応答時間を示しており、水は22.2℃で2lpmの液体流量であり、約40秒で二酸化炭素ガス流を開始(0〜40秒に質量流量のオフセットがあるが、流量は0である)したところ、1sccmの設定値では約67秒間ガス流が安定し、水中のCO2濃度は、約144秒では1.76Mohm−cmでほぼ安定した。抵抗率の変動は、約144秒後(定常状態)に約1.66から約1.76Mohm−cm(低い抵抗率から高い抵抗率へ)であり、図6Aの真空を用いない実施例よりも低かった。ガスをオンにしてから定常状態に達する時間(40秒から144秒までは、約104秒であり、120秒未満である):ガスがオンのときの安定した流量1sccmから定常状態に達するまでの時間は、67秒から144秒まで、または77秒であり、1.5分未満である。液体中のガスの量の変動は、約3%以下である(グラフからの推定平均抵抗率は約1.71Mohm−cm、1.76(高)−1.71(推定平均)=0.05M−ohm、(0.05/1.71)×100=2.9%)。図5Aおよび図5Bが示すように、接触器にガスの減圧を提供することにより、起動時間を短縮し、濃度の変動を低減し、迅速な時間で定常状態に達することができる。
【0056】
一部の実施形態において、ガスの減圧は、ガス流入口を通って接触器に提供される。より具体的には、接触器のいくつかの実施形態は、ガス流入口およびガス流出口を有するガス接触側と、液体流入口および液体流出口を有する液体接触側とを備えることができる。接触器は、多孔質要素または筐体内に取り付けられた要素によって、ガス組成物を液体組成物から分離する。一部の実施形態において、ガス流量制御器は、接触器のガス流入口に接続され、減圧を供給することが可能なデバイスまたは減圧源は、接触器のガス流出口に接続され、接触器のガス接触側に減圧を提供する。デバイスまたは減圧源は、多孔質要素のガス接触側で凝結する液体の量を低減または削減する。液体流量制御器は、接触器の液体流入口または流出口に接続される。選択的に、液体組成物を形成するために液体中に送り込まれるガスの濃度または量を測定するために、センサが接触器の液体流出口に接続され得る。本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、液体に溶解したガスを生成するために使用されてもよく、液体中のガス濃度の安定性は設定値の±15パーセント以下であり、いくつかの場合において±5パーセント以下、さらに他の場合において±2パーセント以下である。
【0057】
図6は、ガス源610、液体源620、プログラム論理制御器(PLC)モジュール630、質量流量制御器640、および膜接触器660を備えるDI水ガス化システム600の一実施形態の概略図である。システム600中の圧力は、圧力調節器694、696、および弁602を介して調整され得る。圧力調節器696は、真空源に、または減圧を提供することが可能なデバイスに接続され得る。接触器660は、上述したように膜に基づく接触器であり得る。特定の実施例として、ガス源610は二酸化炭素を供給することができ、液体源620は水を供給することができる。この実施例において、水および二酸化炭素は、ある実施形態において、Entegris,Inc.より入手可能なpHasor(登録商標)II膜接触器等の中空糸接触器である膜接触器660内で混合される。一部の実施形態において、PLCモジュール630は、伝導度センサ672および質量流量制御器640に接続される。図6の実施例において、質量流量制御器640は、二酸化炭素等のガスを膜接触器660の流入口に供給することができる。膜接触器660のガス側にある流出口は、圧力調節器および/または減圧源696との接続のためのポートを有する。図6に示すように、膜接触器660の液体接触側は、液体源620への流入口で接続される。例示的な液体は、家庭用脱イオン水である。一部の実施形態において、流量制御器674は、膜接触器660を通って流れる液体を制御するために伝導度センサ672に接続され得る。一部の実施形態において、流量制御器674は、廃水管または分注システム等の下流システムに接続され得る。
【0058】
一部の実施形態において、プログラム論理制御器モジュールまたは1つ以上の他の好適な制御器は、伝導度センサから出力信号を受信することができ、設定値量のガスを液体に供給するようにガス質量流量制御器(MFC)に出力信号を提供する。一部の実施形態において、大きな流量変化が検出されたとき、または液体流量が変化する前の時点で(フィードフォワード制御または能動的制御)、プログラム論理制御器モジュールまたは1つ以上の他の好適な制御器が、膜接触器内のガスの分圧を変更して、液体中のガスの量の変動を設定値の±20パーセント未満に維持するように、ガスの分圧を制御する1つ以上のデバイスに1つ以上の信号を送信することができる。図6において、破線は例示的な制御ループを表す。例えば、伝導度センサ672は、液体中のガスの量を測定して、対応する信号をPLCモジュール630に送信することができる。PLCモジュール630は、伝導度センサ672からのセンサ信号を分析して、特定レベルの伝導度を維持するために適切な量の調節が必要であり得ると判断することができる。PLCモジュール630は、接触器内の分圧および/または二酸化炭素ガスの流量を調節するように、1つ以上の調節信号を生成して質量流量制御器640、圧力調節器696等に送信することができる。
【0059】
液体流量の大きな変化は、液体流量の変化が、液体中のガスの設定値量の約15%以上、いくつかの場合において50%以上の最初の変動をもたらす変化であり、いくつかの場合において液体流量の大きな変化は、定常流量の10パーセントを上回る。液体流量の大きな変化およびそれに対応して伝導度に及ぼす影響の実施例を図7Aに示す。図7Aに示されるように、液体組成物についてセンサによって測定された場合の液体中のガスの量の安定性は、約±2パーセント以下(0〜75秒)であり、液体に溶解されたまたは送り込まれるガスの非限定的な設定値濃度は、6.2マイクロジーメンスである。この実施例において、PID閉ループ制御および接触器内のガスの分圧を変更するための信号の組み合わせを用いずに、最初の液体流量を10lpmから20lpmに倍増することによってもたらされる液体流量の大きな変化は、液体中のガスの設定値量から約50%の変動をもたらし得る。図7Aに示す実施例は後に詳述する。
【0060】
本明細書で開示される実施形態において、液体中の溶解ガス濃度の変動が少ないとは、一部の実施形態において約±15パーセント以下、一部の実施形態において約±5パーセント以下、一部の実施形態において約±3パーセント以下である、液体中のガス濃度の安定性を意味することができる。一部の実施形態において、液体中のガスの量の変動は、接触器のガス流出口でガスの減圧を提供することによって低減することができる。一部の実施形態において、液体中のガスの量は、液体流量が変化する前、または流量の大きな変化が検出されたときに(フィードフォワード制御または能動的制御)、PID閉ループ制御および/または接触器内のガスの分圧を変更するための信号を用いて、液体流量の大きな変化の設定値内である所望の範囲または許容範囲で維持することができる。特定の実施例として、図7Bは、10lpmから20lpmの液体流量の大きな変化を示す。この液体流量の大きな変化に応答して、接触器内のガスの分圧を変更する信号が、プログラム論理制御器モジュールまたは1つ以上の他の好適な制御器によって、ガスの分圧を制御する1つ以上のデバイスに送信され得る。この実施例において、液体中のガスの量の変動は、設定値の±20パーセント未満で維持することができる。図7Bに示す実施例は、後に詳述する。
【0061】
図7Cは、上述したように接触器のガス流出口でガスの減圧を提供することにより、定常状態にある液体組成物の流量の約1lpmまたは約10%である液体流量の変化に対して、液体中のガスの量の変動を設定値の約±12パーセント以下まで低減することができることを示している。図7Bに示す実施例は後に詳述する。図7Bおよび図7Cの結果は、PID制御および選択的にガス分圧を制御するための信号を用いることで、本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、液体流量の変化に適合して、液体中に送り込まれるガスの量の変動を約30秒以下に20%未満に保つことができることを示している。少ない変動はより高い安定性を提供することができ、それは、特定の製造プロセスにおいて特に有用であり得る。液体中の溶解ガス濃度の変動が低いことから恩恵を受け得る例示的な製造プロセスは、これに限定されないが、半導体ウエハの洗浄を含むことができる。
【0062】
本明細書で開示される実施形態は、減圧で分圧の低いガスを生成し、そのガス組成物を液体中に送り込むことができる。本明細書で開示される実施形態では、液体中のガスの量は減少しないため、これは、ガスストリッピングおよび真空脱気の組み合わせによる液体の脱気処理とは異なる。むしろ、一部の実施形態において、液体中のガスの量または総量は増加する。本明細書で開示される実施形態は、膜接触器の多孔質要素のガス接触側に、減圧で分圧の低いガスを提供する。本明細書で開示される実施形態を実装する膜接触器によって処理された液体は、膜接触器に投入された液体原料中に最初に存在したガスの量と比較すると、より多くのガスを液体中に有するであろう。従来のガス接触装置では、分圧の高いガスが液体に接触する。高い分圧の実施例は、101kPa以上を含む。本明細書で開示される実施形態において、分圧の低いガスが液体に接触する。低い分圧の実施例は、約40kPa以下を含む。
【0063】
本明細書で開示される実施形態において、液体中の低レベルのガスまたは液体中のガスの希釈溶液とは、接触器によって液体中に送り込まれるガスの量を意味する。液体中のガスの量は、実装ごとに異なってもよい。一部の実施形態において、液体中のガスの量は100万分の5000(ppm)以下であり得る。一部の実施形態において、液体中のガスの量は500ppm以下であり得る。一部の実施形態において、液体中のガスの量は50ppm以下であり得る。一部の実施形態において、液体中のガスの量は5ppm以下であり得る。
【0064】
一部の実施形態において、液体中のガスの量は、液体の伝導度によって測定することができる。一部の実施形態において、溶液(液体および溶解ガスまたは反応ガス)の伝導度は、5マイクロジーメンス(μS)以下であり得る。一部の実施形態において、溶液の伝導度は2μS以下であり得る。当業者は、毎分2リットルと毎分20リットルの間の液体流量で、15%未満の濃度の変動を有する液体中の低レベルのガスを作製することは困難であり得ると認識することができる。
【0065】
本明細書で開示される実施形態において、接触器のガス接触面に減圧を有する接触器によって液体中に送り込まれるガスには、気泡または微小気泡が存在しないか、または実質的に存在しない。一部の実施形態において、接触器によって液体中に形成され得るいずれの気泡または微小気泡も、接触器の液体流出口の下流にある選択的なフィルタによって除去することができる。気泡または微小気泡は、国際特許出願公開第WO2005/072487号およびWO2006/007376号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような光散乱式粒子計数器を使用して検出することができる。例えば、液体中に粒子のみが存在する場合、累積粒子数データを両対数軸上にプロットすると、−2から−3.5の傾きの線形曲線を形成し得る。折れ点および/またはより小さい傾き(−2未満)を示す粒子数のデータは、微小気泡の存在を示唆している。
【0066】
本明細書で開示される実施形態において、液体中のガスの濃度とは、接触器内の供給液流を用いて、溶解、反応、またはそれらの組み合わせによって供給液中に送り込まれる任意のガスを意味する。例えば、CO2およびHCl等のガスは水等の液体と反応してイオンを形成するのに対して、N2等のガスは水等の液体とは反応しない。ガスと液体との間の反応によって形成される反応生成物の濃度は、液体中の溶解ガスの濃度の指標として判定および使用され得る。非限定的な実施例は、CO2またはNH3またはHClガス等の抵抗率またはpHを含むことができる。液体と反応しないガスについては、液体中の溶解ガスの濃度は、種々の技術を用いて判定され得る。好適な例示的技術は、これらに限定されないが、分光学的、電気化学的、およびクロマトグラフ的な技術を含む。液体と反応しない例示的なガスは、これらに限定されないが、O3、O2、N2等を含むことができる。本明細書で開示される実施形態は、使用されるガスの種類によって限定されるものではないことに留意されたい。有用なガスは、これらに限定されないが、HF、CO2、O3、O2、N2、Ar等、半導体製造において使用されるもの、ならびに、酢酸、NH3、HCl等、液体および固体の蒸気に由来するガスを含む。これらのガスのうちの1つ以上および他のガスの組み合わせは、液体または液体組成物に溶解することのできるガス組成物を作製するために使用することができる。これらのガスのうちのいずれも、単独で使用することができる。
【0067】
一部の実施形態において、接触器のガス流入口に供給または提供されるガスは、接触器内の液体の圧力未満の圧力であり得る。この圧力が違うことの結果として、液体中に気泡を形成することなく、ガスを液体中に送り込むことができる。ガスの流入口圧力は、選択された任意の液体流量のために液体中のガスの標的濃度を作製するように選択することができる。接触器に接続されたガス流量制御器の流入口に提供されるガスは、一部の実施形態において40psi以下であり得、一部の実施形態において15psi以下であり得、一部の実施形態において2psi以下であり得る。より低いガス圧を接触器に入れることで、ガス流のスパイクを最小に抑えることができ、分圧の低い供給ガスを調製する際に役立つことができる。液体中に送り込まれるガスが望ましくない場合、ガスの流量はゼロであり得、ガス接触のためにはガス流量はゼロを上回ってもよく、接触器(複数可)のサイズ、ガス、液体中のガスの溶解度、液体の温度、液体中に送り込まれるガスの所望の量、接触器のガス流入口に供給もしくは提供されるガスの減圧、またはそれらの組み合わせを含む複数の要因に基づいて選択され得る。ガス質量流量計または制御器によって測定されるガス流量は、一部の実施形態において1000sccm未満であり得る。ガス流量は、一部の実施形態において0sccm超から100sccm(標準立方センチメートル)以下の範囲であり得、一部の実施形態において0sccm超から10sccm以下であり得る。
【0068】
ガスおよび液体は、接触器内で逆流することができる。多孔質膜を使用する接触器では、ガスは膜のいずれの側にあり得、中空糸多孔質膜の接触器では、いくつかの実施形態におけるガス流は、膜のシェル側にあり得る。
【0069】
本明細書で開示される実施形態によって調製される液体組成物中の全部のガスおよび使用される供給液は、多くの方式で決定することができる。一実施例は、M. Meyer,Pflugers Archive European Journal of Physiology,pp.161−165,vol.375,July(1978)に記載される方法を用いたガスクロマトグラフィによるものである。凍結−ポンプ−解凍サイクルもまた、ガス濃度を決定するための好適な乾燥剤または蒸気吸収剤とともに使用することができる。
【0070】
いくつかの用途において、要求に応じて、さまざまな流量で液体中に設定値量または一定量のガスを含む液体組成物中のガスを作製することが有利である可能性がある。例えば、本明細書で開示される実施形態を実装する装置は、水に溶解したある量のガスを含む同一の洗浄組成物で、1つ以上の単一ウエハ洗浄ツールを供給することができる。この洗浄液組成物に対する各洗浄ツールからの要求に応じて、装置からの流量の要件または要求は異なり得る。要求が増加または減少することによる液体組成物の流量変化が小さい(例えば、装置の定常流量の約10%以下)いくつかの場合において、液体(液体組成物)中のガスの量は、これらの流量の小さな変化に対してPID制御またはファジー論理制御のみを用いて、液体中のガスの設定値量の±20%以下に維持されてもよく、いくつかの場合において±12%以下に維持され得る。例えば、定常状態で装置の動作から流量が倍増または半減される等、装置からの要求が減少または増加することによる液体組成物の流量変化が大きいいくつかの場合において、液体中のガスの量を液体中のガスの設定値量の±20%以下以内に維持するように、PIDまたはファジー論理と接触器内のガスの部分圧を変更する信号との組み合わせを用いることができる。この信号は、これらに限定されないが、接触器内へのガス流量を増加することによる接触器内のガスの分圧の変化、接触器に接続された圧力調節器または真空源を調節することによるシステムの圧力の変化、接触器から添加または除去される希釈ガスの量の変化、これらのうちのいずれか1つ以上を含む組み合わせの変化をもたらし得る。接触器内のガスの分圧を変化させる信号は、例えば、液体組成物の流量を監視する制御器によって検出される閾値流量の変化に基づいて、装置内の制御器によって生成され得る。いくつかの場合において、接触器内のガスの分圧を変化させる信号は、装置に接続された1つ以上のツールからの入力によって生成され、これは、能動的、開ループ、またはフィードフォワード制御を含むことができる。いくつかの場合における接触器内のガスの分圧を変化させる信号は、装置に接続されたツールまたはデバイスからの能動的制御入力またはフィードフォワード制御入力によって、予想される液体組成物の流量変化の前の時間間隔で開始され得る。そのような時間間隔は、システムのホールドアップ量および接触器の時定数、システムの滞留時間等に応じ得る。
【0071】
設定値濃度を生成し、液体中に送り込まれるガスの量の変動を最小に抑えるために、計算、レシピ、またはルックアップテーブルに基づいてガスの分圧を変更することができる。ガス圧の実施例は、これらに限定されないが、ガスシステムの圧力、希釈ガスの分圧、ガス質量流量、またはそれらの組み合わせを含むことができる。装置のいくつかの実施形態は、60秒以下毎に起こる液体組成物の流量の段階的変化に対して、液体組成物の液体中のガスの量を設定値の±20%以下に維持することができる。装置のいくつかの実施形態は、30秒以下毎に起こる液体組成物の流量の段階的変化に対して、液体組成物の液体中のガスの量を設定値の±20%以下に維持することができる。
【0072】
この開示内では、膜接触器の多孔質要素のガス接触側の圧力または減圧が、一部の実施形態において40kPa(−18インチHg)以下、一部の実施形態において12kPa(−26インチHg)以下、一部の実施形態において6kPa(−28インチHg)以下であり得るように構成要素が選択される。多孔質要素のガス接触側の圧力は、接触器のガス流出口にあるか、またはいくつかの場合において筐体内にある、圧力ゲージを用いて測定することができる。接触器内のガスの全圧を維持するために、接触器のガス接触側の圧力を手動でまたは制御器を用いて自動的に調節することができる。一部の実施形態において、接触器のガス流出口で測定される接触器内の圧力は、圧力制御器を用いて制御することができる。選択的に、一部の実施形態において、通気可能な凝縮液トラップは、接触器のガス流出口と減圧デバイスまたは減圧源の間に流体連通して配置され得る。一部の実施形態において、接触器のガス流出口と減圧源の間の流体経路のコンダクタンスは、接触器から凝縮液が除去されるように選択される。一部の実施形態において、減圧源は、接触器から凝縮液を除去するために十分なポンプ速度を有することができる。
【0073】
この開示内では、減圧源とは、接触器の多孔質要素に流体的に接続され、接触器内の圧力を低減することができるデバイスを意味する。好適な減圧源は、これらに限定されないが、真空ポンプ、ベンチュリ、家庭用掃除機等の真空または減圧源等を含むことができる。減圧デバイスまたは減圧源は、例えば、これらに限定されないが、接触器のガス流出口、ガス流出口に接続された導管等の任意の点で接触器に流体的に接続され得る。減圧デバイスまたは減圧源は、デバイスの動作または減圧源との接続の結果として、接触器の多孔質要素で減圧または低圧を提供する。減圧デバイスまたは減圧源に接続された接触器の多孔質要素における装置の動作中の圧力は、単独で接触器を通るガス流からの圧力損失のために、接触器のガス流入口におけるガスの圧力未満であり、接触器のガス流出口における圧力未満である。装置内の減圧は、低い分圧および低い絶対圧力でガス組成物を多孔質要素に提供する。接触器の動作中の多孔質要素における減圧は、実質的に、接触器へのガス流入口の圧力と、接触器から液体が蒸発することによる圧力との和である。装置は、存在する液体との所与の多孔質要素の接触面積に対して、接触器内で低いガスの分圧を達成するために十分なポンプ速度を有する真空ポンプまたは真空源(ベンチュリ)を有するように適合または構成され得る。
【0074】
この開示内では、液体とは、接触器の多孔質要素を横切って1つ以上のガスが送り込まれる1つ以上の液体(混合物または溶液)を意味する。液体は、例えば、超純粋(UPW)、脱イオン水(DIW)等、実質的に純粋であり得るか、または液体は1つ以上の液体もしくは液体組成物の混合物であり得る。液体組成物の非限定的な実施例は、水およびイソプロピルアルコールを含むことができる。いくつかの場合において、液体または液体組成物は、水等の液体中の固体もしくはゲル物質の懸濁液を含むことができる。そのような物質の非限定的な実施例は、CMPスラリであり得る。液体は脱気されてもよく、ガスに接触する前は100万分の1未満の全溶解ガスを有する。
【0075】
接触器のサイズおよび/または接触器の数によって、特定の用途のために液体に(溶解させるかまたは反応させて)送り込まれるガスの濃度を達成するために接触器を通る液体流量は異なり得るおよび/または増加し得る。ミネソタ州チャスカのEntegris,Inc.より入手可能なpHasor(登録商標)II接触器には、毎分約20リットルまでの流量を使用することができる。いくつかの実施形態は、これらのまたは同様の接触器を平衡または直列で1つ以上使用して、より高い液体流量に対応することができる。
【0076】
本明細書で開示される実施形態において、好適な接触器は、液体をガスから分離し、要素内の1つ以上の細孔を介してガスを液体中に送り込むまたは接触させることが可能な多孔質要素または多孔質膜を備えることができる。多孔質要素は、筐体内に存在してガス流と液体流を分離することができる。一部の実施形態において、多孔質要素は、約5ミクロンから1000ミクロンの厚さの薄い多孔質膜を備えることができる。一部の実施形態において、多孔質要素は焼結粒子を備えることができ、0.5センチメートル以下の厚さを有することができる。一部の実施形態において、直列もしくは並列またはそれらの組み合わせに配設された1つ以上の接触器が使用され得る。好適な接触器は、ミネソタ州チャスカのEntegris,Inc.社製pHasor(登録商標)II、およびノースカロライナ州シャーロットのMembrana社製Liqui−Cel(登録商標)を含むことができる。
【0077】
本明細書で開示される実施形態において、接触器内の液体温度は限定されないが、但し、接触器の膜表面から減圧源によって凝縮液を除去することができ、接触器の機械的および化学的な安定性が劣化されないものとする。選択的に、接触器からの液体流入口または流出口の温度は、熱交換器によって上昇または下降させることができる。好適な熱交換器は、これに限定されないが、ミネソタ州チャスカのEntegris,Inc.より入手可能なポリマー熱交換器を含むことができる。一部の実施形態において、制御器は、温度センサの入力信号に応答して、接触器からの液体流入口または流出口の温度を上昇または下降させるための制御信号を送信するように適合され得る。
【0078】
一部の実施形態において、システム制御器は、システム内の種々の構成要素から1つ以上の入力信号を受信するように適合され得る。そのような信号は、有線、無線、光ファイバ、それらの組み合わせ等を含む種々の方式でシステム制御器に通信することができる。1つ以上の入力信号は、これらに限定されないが、接触器へのガスの流量に比例する信号、ガス流出口もしくは多孔質要素における圧力に比例する信号、液体中に送り込まれるガスの量(濃度)に比例するセンサからの信号、または接触器への液体の流量に比例する信号を含むことができる。制御器は、接触器へのガスの流量、接触器のガス流出口における圧力、液体中のガスの濃度、接触器への液体の流量、またはそれらの任意の組み合わせを、各々の設定値と比較することができる。これらの入力の各々の値は、所望の設定値との差を計算またはルックアップテーブルから判定するために使用することができ、制御器は、液体中に送り込まれるガスの濃度または量を設定値濃度の標的範囲内または許容範囲内に維持するように、接触器へのガスの流量を変更するための出力信号、接触器の流出口における圧力を変更するための出力信号、接触器への液体の流量を変更するための出力信号、またはそれらの任意の組み合わせを生成することができる。そのような出力信号は、デジタル、電圧、電流等であり得る。標的範囲は、一部の実施形態において設定値濃度の15%であり得、一部の実施形態において設定値濃度の5%以下であり得、一部の実施形態において設定値濃度の3%以下であり得る。液体中のガスの濃度を設定値濃度の所定範囲内に維持するために、制御器は、PID、ファジー、または好適な制御論理を用いることができる。一部の実施形態において、1つ以上の制御器が使用され得る。いくつかの実施形態は、カスケード制御器を備えることができる。
【0079】
一部の実施形態において、濃度センサは使用されない。これらの実施形態では、液体中に送り込まれるガスの濃度は、液体の質量流量、ガス、接触器のサイズおよび効率、ならびにシステムの圧力および温度に基づいて判定することができる。一部の実施形態において、制御器は、PID制御器またはファジー論理制御器のフィードバック(または閉ループ)制御を、フィードフォワード(または開ループ)制御と組み合わせることができる。液体中のガスの所望の量または液体組成物の所望の流量のための外部ツール入力、プロセスレシピの知識、または生産サイクルの知識は、液体組成物の変動を設定値の±20%以下に維持するために、制御器によってフィードフォワードして、PID出力と組み合わせることができる。いくつかの場合において、接触器内のガスの分圧に変化をもたらす制御器またはツールからのフィードフォワード信号は、制御器出力の大部分を提供し、次いで、PID、ファジー、またはその他の制御器は、センサによって判定された場合の液体中のガスの設定値量と液体中のガスの量の実際の値との間に残るいかなる差または誤差にも対応するように使用することができる。
【0080】
選択的に凝縮液トラップが用いられてもよく、制御器は、ガス接触を中断することなく凝縮液トラップを通気するために、バイパスへの弁を閉じるかまたはトラップを隔離するためのトラップ入力信号を、選択的に受信および使用することができる。トラップ入力は、これらに限定されないが、レベルセンサ、タイマ、流量計等からであり得る。選択的な凝縮液トラップを用いた例示的な実施形態を図3に示す。有利には、本明細書で開示される実施形態は、多孔質膜から凝縮液を除去するためのパージサイクルを用いずに、継続的に動作することができる。
【0081】
(実施例1)
この実施例は、接触器のガス流出口に接続された減圧源を用いておよび用いずに、DI水に溶解した二酸化炭素が定常濃度に達するために必要な時間を比較する。図5Aおよび5Bを参照すると、接触器のガス流出口の圧力は約−28インチHg(約6kPa)であった。ガス流が0sccmから1sccmまでに増加して2LPMのDI水(22℃)の流れに入ったとき、定常状態に達するまでの時間は、減圧を用いない場合は約6.75分(図5A)、減圧を用いた場合は2分未満(図5B)であった。この結果は、接触器のガス流出口で減圧を提供することは、液体中の溶解ガスが、減圧を用いない場合よりも早い(短い)時間で定常濃度に達することを示している。この実施例はまた、接触器のガス接触側の圧力を低減させることにより、液体組成物中のガスの量の変動を低減することができることを示している。例えば、液体中の二酸化炭素量の推定変動は、減圧を用いない場合は5.9%、減圧を用いた場合は2.9%である。
【0082】
(実施例2)
下の表2は、真空を用いずに、単一のpHasor(登録商標)II接触器を使用して、水温24.5℃で約1μS/cmの伝導度を有するガス化水を作製するために混合される必要がある大量のCO2ガスおよびN2希釈ガスを示す。
【0083】
【表2】
(実施例3)
一部の実施形態において、抵抗率の低い水は、低流量の二酸化炭素ガスおよび接触器のガス流出口の減圧を用いて生成することができる。下の表3は、減圧を用いて、またCO2流を制御するためにロータメータを使用して、ガス化液体の伝導性において5%以下の変動の安定性を維持することができるシステム400の一実施形態を示す。より具体的には、−28インチmmHg(6kPa)でCO2/真空を使用すると、システム400の一実施形態は、毎分2リットルから12リットルまで(LPM)の水流範囲で5%以下の変動率、実際には3%以下の変動率で1μS/cmという安定した伝導度を達成することができる。
【0084】
【表3】
(実施例4)
この実施例は、質量流量制御器を用いて接触器に供給される低流量のガスを示す。低流量のガスは、種々の液体流量を用いる一部の実施形態において、ガスを液体中に送り込み、伝導度で測定した場合に液体中のガス濃度の変動が低い状態で、液体中の濃度が低いガスを形成するために使用することができる。この実施例はまた、いくつかの実施形態は異なる温度で動作することができることを示している。二酸化炭素のガス流量は、0.8sccmから12.1sccmに変化した。これらの温度では、水の伝導度によって測定した場合に、水に溶解した二酸化炭素の濃度の安定性は2%以内で変化し得る。この実施例において、水の流量は1.89リットル毎分(lpm)から9.4リットル毎分の範囲であり、もたらされる水の伝導度は1.01μS/cmから1.11μS/cmまでの範囲である。1.89lpmの流量で1μS/cmの伝導度を達成するためにこの実施例で使用される二酸化炭素ガスの量は、約0.8sccmであり、それは、2lpmの水の流量で約1μS/cmの抵抗率の水を達成するために比較実施例2で使用される約18sccmの二酸化炭素および33lpmの窒素のほぼ10分の1である。
【0085】
下の表4および5は、異なる温度で動作するpHasor(登録商標)II膜接触器、Typlan質量流量制御器(FC−2902m−4V)、およびHoneywell 4905シリーズの伝導度プローブを備えるガス化システムの実施形態を示している。
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
(実施例5)
この実施例は、図6および7A〜Cを参照して、水の流量、時間、およびガス化DI水の伝導度の間の関係を示す。上述したように、液体流量に変化が起きると、例示された液体中に送り込まれるガスの濃度または量に変動が起こり得る。この変動は、液体中のガスの量におけるアンダーシュートスパイクまたはオーバーシュートスパイクとして特徴付けることができる。上述したように、本明細書で開示される実施形態は、PID制御を介して、またはPIDおよび条件付き信号の組み合わせを介して、そのようなスパイクを最小に抑えることができる。この実施例の実施形態の概略図を図6に示す。この実施例では、二酸化炭素の流量は、約0.1と0.5標準リットル毎分(slpm)との間であり、接触器の流出口の圧力は約−15水銀インチ、水の流量は1slpmまたは10slpmのいずれかの段階的な変化において10slpmと20slpmとの間で変化する。流入口の水は、温度23.4℃および圧力250〜360kPaで17.5メガオーム−センチメートルであった。
【0088】
図7Aは、図6に示すシステム600の一実施形態を使用した二酸化炭素質量流量制御器のPID制御を用いた水の定常状態の伝導度(0秒〜75秒)および初期の液体流量10lpmで約6.2μS/cmの設定値(±2%)を維持するために水中に送り込まれる二酸化炭素の量に対する時間に伴う水の流量を示している。固定CO2ガス流量で水の流量が10lpmから20lpmに変化すると、水の伝導度が低下する。伝導度は約3.2μS/cmまでスパイクまたはアンダーシュートする。CO2流のPID制御は、水混合物を徐々に6.2μS/cmの設定値まで戻す。液体流量が10lpmまで変化すると、水の伝導度が約9.2μS/cmまでオーバーシュートまたはスパイクする。CO2流のPID制御は、水とCO2の混合物を徐々に約6.2μS/cmセットのポイントまで戻す。PID制御単独では、伝導度の設定値からのスパイク、すなわちアンダーシュートまたはオーバーシュートは、設定値の±3μSであるか、または約±50%であった。
【0089】
図7Bは、ガス流量の変化または予想される液体流量の変化の前に接触器の液体に接触するガスの分圧に関連する他の変数の変化が、PID制御と相まって、液体中に送り込まれるガスの量の変動を約±1μS以下または設定値の±20パーセント以下まで最小に抑えるためにどのように使用することができるかを示している。これは、図7Bにおいて、約6.2μSの初期設定値をもたらす水に送り込まれるCO2の量について示されている。システムのホールドアップ量および接触器の時定数に応じ得る時間間隔で、予想される液体流量の変化の前に、設定値を生成して、液体中に送り込まれるガスの量の変動を最小に抑えるように、ガスの分圧が変更される。一部の実施形態において、ガスの分圧は、計算およびルックアップテーブルに基づいて変更される。ガスの分圧の実施例は、これらに限定されないが、ガスシステムの圧力、希釈ガスの分圧、ガス質量流量、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0090】
フィードフォワード制御または開ループ制御の実施例として、液体流量が10slpmから20slpmまで変化する約2秒前の時間間隔で、アンダーシュートを最小に抑えるためにCO2の量が増加されてもよく、その後に約6.2μSの設定値を達成するためのPID制御が続く。特定のシナリオにおいて、液体流量が20slpmから10slpmに減少すると、オーバーシュートを最小に抑えて約6.2μSの設定値を達成するために、PID制御に加えて、流量の変化時またはそれとほぼ同じ時に低圧のN2ガスが注入され得る。オーバーシュート補償中にそのようなN2パフ(短時間での急激なN2の吹き付け)を使用することのさらなる利点は、N2が余分な量のCO2をパージアウトするばかりでなく、膜接触器内部の凝縮液をある程度掃き出すことである。
【0091】
図6を参照すると、この特定の実施例を実装する実施形態は、膜接触器660と窒素源680の間に配置されるN2ガス制御弁616を含むことができる。N2ガス源680は、N2ガス制御弁616を介して膜接触器660にN2ガスを供給する。制御弁616は、PLCモジュール630によって制御される。一部の実施形態において、N2ガス制御弁616が開いているとき、CO2ガス制御弁614は閉じているため、CO2およびN2ガスはいかなるときも混合しない。つまり、N2は混合または希釈のために使用されない。一部の実施形態において、システム600上で実行されるソフトウェアは、メンテナンスおよびオーバーシュート補償中に、CO2ガス制御弁614を閉じて、N2ガス制御弁616を開くことができる。例えば、いくつかの実施形態は、いずれの凝縮液も除去するために、CO2ガスが停止され、N2パフが開始される周期的なメンテナンスサイクルを用いることができる。いくつかの伝導度の高い用途では、CO2の流量は、多孔質要素を乾燥した状態に保つほど十分に高くてもよく、必要な場合は、CO2を停止してN2パフを用いてもよい。いくつかの場合において、N2パフの時間の長さおよび/または圧力は制御されるが、N2パフにおいて使用されるN2の正確な量は必ずしも制御されない。例えば、N2ガス制御弁616は、メンテナンスサイクルのために11psiで約2秒開くことができ、オーバーシュート補償のために20psiで約0.2秒開くことができる。この実施例では、CO2の流量は、水温25度および約2lpmから20lpmまでの水の流量では、20psiで約0.01lpmから1lpmまでと変化することができる。
【0092】
効率的な凝縮液の除去および/またはオーバーシュート補償のために、上述した減圧とともにN2パフが使用され得る。N2パフは、凝縮液トラップを用いておよび用いずに使用され得る。よって、システム100、200、300、および400の種々の実施形態は、図6に例示したN2パフ機構を実装するように適合され得る。さらに、システム600の種々の実施形態は、図3を参照して上述した凝縮液トラップを含むように適合され得る。
【0093】
約200秒から350秒の時間の間に10slpmから20slpmという液体の段階的な流量変化については、予測される液体の流量変化の前にガス質量流量制御器に信号を用いてガスの分圧を変更することおよびPID制御を組み合わせて、液体中に送り込まれるガスの量の変動を設定値の約17パーセント以下で最小に抑えることができ、それは、5.2μSのアンダーシュートおよび7.2μSのオーバーシュートならびに6.2μSの定常状態に基づいて、約±1μSである。フィードフォワード制御の別の実施例として、予想される液体の流量変化の約2秒前に信号が送信され得る。特定のシナリオにおいて、液体流量が250秒から300秒の間に20slpmから10slpmに減少すると、オーバーシュートを最小に抑え、約6.2μSの設定値を達成するために、流量の変化時またはそれとほぼ同じ時に低圧のN2ガスが注入され得る。この場合も同様に、液体の流量変化による伝導度のスパイクの予想される影響(複数可)に先制的に対応するかまたはそれを補償するためにN2が使用される。迅速かつ最小の変動で液体中のガスの濃度または量を変更する能力は、単一ウエハまたはバッチウエハの半導体洗浄プロセスにおいて使用することができる。
【0094】
図7Cは、PID制御のみを使用して、液体中に送り込まれるガスの濃度の変動を、どのように約±1μS以下または設定値の約±20パーセント以下に最小に抑えることができるかを例示している。これは、図7Cにおいて、約6.2μSの初期設定値をもたらす水に送り込まれるCO2の量について示されている。この場合、水の流量は、30秒ごとに1slpmずつ段階的に変更される。図7Cに示すように、約75秒から175秒の間に、10slpmから11slpm、12slpmになり、次いで段階的に10slpmに戻る水の流量変化には、伝導度セルからの出力に基づいてガス流量を変更するようにPID制御が動作可能であり、液体中に送り込まれるガスの量の変動を設定値の約12パーセント以下で最小に抑え、それは、5.5μSのアンダーシュートおよび6.7μSのオーバーシュートならびに6μSの定常状態に基づいて、約±0.7μS以下である。
【0095】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、集積回路または半導体の製造プロセスにおいて特に有用であり得る。例えば、バックエンド(BEOL)での洗浄または研磨プロセスにおいて、過剰な量のヒドロキシルイオンの存在のために金属線の腐食が起こり得る。低pHのCO2ガス化DI水溶液を使用すると、単純な酸−塩基中和反応によって過剰なヒドロキシルイオンを排除することができる。追加の洗浄プロセスは、これらに限定されないが、CMP後洗浄、マスク洗浄、およびフォトレジスト除去を含むことができる。
【0096】
当業者には認識され得るように、水中でのCO2の溶解は、単なる物理的プロセスではない。CO2が水に溶解すると、炭酸(H2CO3)を形成することにより水の酸性度を増加させる。その結果、酸の溶解が、より自由に移動するイオンを溶液中で生成し、水をより伝導性にする。この関係を次の式1に示す。
【0097】
【数1】
DI水のガス化における1つの大きな課題は、制御された一貫性のある様式でどのように少量のCO2をDI水に注入するかということである。低濃度の溶解CO2を達成するための一般的な慣習は、ガス混合物を膜接触器に注入する前にCO2を不活性ガスで希釈すること、または高度にガス化したDI水を非ガス化水で希釈することのいずれかを含む。しかしながら、どちらの方法も重大な欠点をもたらす。CO2を不活性ガスと混合することは、望ましくないガス種をプロセスに導入する。濃度の高いガス化水を希釈することは、システム設計および制御に複雑さを加え、また適切な混合は分注の前には起こり得ない。さらに、どちらの方法も、ガスまたは水のいずれかの大量消費を必要とする。
【0098】
システム100、200、300、400、および600の種々の実施形態は、制御された一貫性のある様式でDI水に少量のCO2を注入することが可能な自動インラインCO2ガス化システムを実装するように適合され得る。一部の実施形態において、CO2−DI水ガス化システムは、ペルフルオロアルコキシ(PFA)中空糸膜に基づく接触器を備えることができ、超低度の伝導度を達成および維持するために、希釈せずにDI水中に直接CO2を注入する新規方法を採用ことができる。そのようなCO2−DI水ガス化システムの実施形態は、以下の特性/利点を含むことができる。
【0099】
−自動伝導度制御
−迅速な応答および円滑な制御を伴う最適化された制御ループ
−いずれの不活性ガスまたは流体混合も使用しない直接的なCO2注入
−広範囲の伝導度
−低所有コストのための最小のガス/流体廃棄物およびシステムメンテナンス
−省スペースおよび信頼性のためのコンパクトおよび効率的な設計
CO2−DI水ガス化システムは、最小のシステムのダウンタイムで、応答性のよいシームレスなプロセスを可能にするように動作可能なソフトウェアおよびハードウェアコンポーネントを備えることができる。CO2−DI水ガス化システムの特定の実施形態の多様性およびロバスト性を実証する容量および制御データを、次に図8〜12Bを参照して説明する。
【0100】
本明細書で開示されるガス化システムの種々の実施形態は、ペルフルオロアルコキシ(PFA)中空糸膜接触器を採用することができる。図8は、PFA膜接触器の一実施形態の概略図である。PFA膜は、PFA端部キャップを有するPFAシェル内に埋め込まれる。全PFA設計は、優れた化学的能力をもたらし、種々の用途のために多様な流体およびガスを用いてデバイスを使用することを可能にする。そのようなデバイスの高い膜表面積−体積の比は高い物質移動速度をもたらすため、中空糸デバイスは、従来の接触器よりも迅速なガスの移動速度を可能にする。また、中空糸モジュールの設計は、従来機器の性能を損ね得るチャネリングを起こしにくい。
【0101】
図8に示すように、疎水性の膜は、ガスが液体中に自由に拡散できるようにし、液体が部材を通ってガスに入るのを防止する。特定の実施例として、逆流構造において、CO2は中空糸の内部(接触器の管腔側)をスイープし、DI水が中空糸の外(接触器のシェル側)に流出する。疎水性の膜は、CO2が水中に自由に拡散できるようにするが、水が膜を通ってガス側に入るのを防止し、それにより無気泡のガス化DI水を生成する。水に溶解したCO2の量は、CO2の分圧を調節することにより制御することができる。水の導電率は、水中のCO2濃度に直接比例する。したがって、ほとんどの用途において、水の伝導度を水中のCO2濃度の指標として使用することができる。
【0102】
膜接触器の主な動作原理はヘンリーの法則によって支配される。ヘンリーの法則は、所与の温度では、平衡状態にある水中のガスの溶解度は、水と接触する気相におけるその分圧に比例すると述べている[式2]。
【0103】
P=Hx [式2]
P=ガス分圧
H=ヘンリーの法則の係数、温度の関数
x=平衡状態にある水中の溶解ガスの濃度
よって、CO2−DI水ガス化プロセスにおいて、水に溶解したCO2の量を変更および維持するために、システムは、膜接触器内部のCO2の圧力を調節および制御する必要がある。特定の清浄用途は、10μS/cm以下という超低度の伝導度を必要とするため、システムは、低いCO2の圧力を制御して、希薄なCO2−DI水混合物を形成することができるべきである。上述したように、従来の方法は、N2等の中性ガスでCO2を希釈することを伴う。中性ガスは、希釈剤としての役割を果たすだけでなく、少量のCO2をDI水に迅速に分散させる担体ガスとしての役割も果たす。表6に例示するように、伝導度がどのくらい低いかによって、著しく大量の希釈ガスが必要となり得る。N2でCO2を希釈する従来方法では、1μS/cmの伝導度を達成するためには1:1600のCO2:N2流量比が維持される必要がある。
【0104】
【表6】
そのような希釈方法を使用する不利な点は、ガスの総消費量が高いこと、および望ましくないガス種がプロセスに加わることである。また、上記方法では、ガス放出が起こる確率および気泡形成の確率が高くなる。比較すると、直接注入によって非常に希薄なCO2−DI水混合物を作製する新規方法は、いずれの種類のガスまたは流体の混合も必要としない。デバイスの高い接触効率と組み合わせると、この直接注入法は、ガスを希釈する必要性を排除することが可能であり、ガスの総消費量を低減する。
【0105】
図9は、直接注入法の実施形態にしたがって種々の伝導度の設定値を維持する際の、ガス消費量と水の流量との間の例示的な関係を示すプロット図である。より具体的には、図9は、室温または25℃で、Entegris製の全PFA膜接触器を使用して、伝導度の設定値が6μS/cm、20μS/cm、および40μS/cmの場合のCO2消費量対DI水流量を示している。また、直接注入法は、迅速かつ均一に少量のCO2を接触器内部に分布することが可能であり、迅速な応答時間をもたらす。
【0106】
異なるプロセスは、異なるCO2の水中濃度を必要とし得るため、CO2−DI水ガス化システムの種々の実施形態は、種々の水流量のために幅広い伝導度をもたらすことができるべきである。下の表7は、単一の膜接触器を備えるCO2−DI水ガス化システムの実施形態が、40psiまでのCO2圧力下で、25℃、1LPMおよび20LPMの水流量で達成することができる最小伝導度および最大伝導度を示している。
【0107】
【表7】
上述した独自の直接注入法を使用することにより、混合することなく、0.5μS/cmもの低い伝導度を維持するために、少量のCO2を直接水中に注入することができる。高濃度のCO2を必要とする用途には、システムは、1LPMの水流量に対して65μS/cm、20LPMの水流に対して30μS/cmもの高い伝導度を生成することができる。接触効率が滞留時間によって制限されるようになるため、水の流量が増加すると、到達可能な最大伝導度は所与のCO2圧力で減少する。複数の膜接触器を使用することでDI水の流量が高い用途においてより高い伝導度を達成することができ、効率的に滞留時間を増加させる。
【0108】
産業が単一ウエハ処理および複数チャンバクラスタツールの構成へと移行するにつれて、スループットを維持するために分注サイクルが短縮され、増大するツール設計の複雑性および機能に対応するためにプロセスレシピはより複雑になる。結果として、高度な洗浄ステップが、広範囲の水流量および迅速な流量変化を要求する。さらに、非破壊的かつ安定したプロセスを確保するために、炭酸水の濃度(伝導度)が密接に制御および維持される。プロセスの複雑性と厳重なプロセス制御が相まって、システム伝導度の制御に一連の課題を課すこととなる。したがって、CO2−DI水ガス化システムの種々の実施形態は、緩やかな変化の間にプロセスを安定させることができるだけでなく、急激な流量変化の間にも変動を最小に抑えて迅速な回復を提供することができる、最適化された制御ループを実装することができる。一部の実施形態において、CO2−DI水ガス化システムは、図10〜12Bに例示するような緩やかおよび急激な水の流量変化を含む種々の流量変化スキームに対応することが可能な、PIDに基づく伝導度制御ループを備えることができる。
【0109】
(急激な水の流量変化)
図10に示すように、直接注入法を実装するCO2−DI水ガス化システムの実施形態は、水温25℃で、水の流量が8〜12LPMの間で30秒ごとに1LPM変化する場合、伝導度を標的伝導度である6μS/cmの+/−5%以内の十分な維持を達成することができる。
【0110】
図11は、各ランの間のウエハ搬送時間が15秒である、2回連続した例示的なウエハのランを示している。各ランは、水温24℃、40μS/cmの伝導度設定値で、2LPMと16LPMの間で30秒ごとに2LPMの水の流量変化を含む。ウエハを搬送する15秒の間は、水の流量が停止し、CO2流が途切れる。各ランの間、制御ループは、伝導度を設定値の5%以内に維持することが可能である。次のランが始まると、伝導度レベルは数秒の内に設定値まで回復する。ウエハ搬送の間のアイドリングを含めた2回のランを通して、伝導度レベルは、決して設定値の+/−10%を超えない。
【0111】
(急激な水の流量変化)
マルチチャンバプロセスにおいて、急激な水の流量変化は珍しいものではない。水の流量変化の規模によって、許容できる応答および安定性をもたらすためには、従来のPID制御アルゴリズムが十分ではないことがある。例えば、水の流量が減少すると、下流のセンサは水の伝導度における任意の変化を検知するのに長い時間が掛かる。単純なPID制御器は、一時的な遅延に対応するようには設計されていない。したがって、本明細書で開示されるCO2−DI水ガス化システムの種々の実施形態は、水の流量が激減した場合に伝導度のオーバーシュートを最小に抑えるための追加の制御最適化を実装することができる。具体的には、流量がより大きく低下したときに伝導度の変動を最小に抑えるために、伝導度オーバーシュート補償特性が実装され得る。アンダーシュートは水の流量が増加した時に起こり得るものであり、その場合、検知の遅れは問題ではない可能性があるため、そのような補償特性はアンダーシュートをオフセットには必要ない。図12Aおよび図12Bは、補償を用いた場合および用いない場合のオーバーシュートの量を比較したものである。オーバーシュート補償が使用されない場合、流量が16LPMから2LPMに減少すると、伝導度の設定値からのオーバーシュートに20%の変動が観察される(図12A)。オーバーシュート補償を使用した場合(図12B)、同じ水の流量の減少で、オーバーシュートにわずか10%の変動が生じたのみであった。
【0112】
前述の明細書では、特定の実施形態を参照して本発明を説明してきた。しかしながら、当業者は、本明細書で開示される特定の実施形態の主旨および範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更が行われてもよいことを認識することができる。したがって、添付の付属書を含む本明細書で開示される明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味に解釈されるものとし、すべてのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス化システムであって、
ガス流入口およびガス流出口を備えるガス接触側と、液体流入口および液体流出口を備える液体接触側と、多孔質要素とを有する膜接触器であって、供給ガスは、該ガス流入口を介して第1の圧力下で該膜接触器の該ガス接触側に方向付けられ、供給液は、該液体流入口を介して該膜接触器の該液体接触側に方向付けられる、膜接触器と、
該膜接触器の該ガス流入口に流体的に接続されて、該供給ガスのガス流量を制御するガス流量制御器と、
該膜接触器の該液体接触側に流体的に接続されて、該供給液の液体流量を制御する液体流量制御器と、
該膜接触器の該ガス流出口に流体的に接続されて、該膜接触器の該ガス接触側の該第1の圧力を第2の圧力まで低減する減圧デバイスであって、該多孔質要素は、該供給液が、該膜接触器の該ガス接触側に進入することを防止し、該多孔質要素は、ある量の該供給ガスが該供給液を通過し、該供給液に溶解することを可能にして、ガス化液体を生成する、減圧デバイスと
を備える、システム。
【請求項2】
前記膜接触器の前記液体流出口に接続される伝導度センサまたは濃度モニタをさらに備える、請求項1に記載のガス化システム。
【請求項3】
前記膜接触器の前記ガス流出口に接続される圧力センサをさらに備える、請求項2に記載のガス化システム。
【請求項4】
前記ガス流量制御器、前記液体流量制御器、前記減圧デバイス、前記伝導度センサもしくは濃度モニタ、前記圧力センサ、またはそれらの組み合わせから、1つ以上の入力信号を受信することと、
該1つ以上の入力信号を対応する設定値と比較することと、
前記第1の圧力、前記供給ガスの前記ガス流量、前記供給液の前記液体流量、またはそれらの組み合わせを変更して、前記ガス化液体におけるガス濃度のレベルを前記設定値濃度の範囲内に維持するように、1つ以上の出力信号を生成することと
を実行することが可能である、1つ以上の制御器をさらに備える、請求項3に記載のガス化システム。
【請求項5】
前記範囲は、前記設定値濃度の約15%、10%、5%、または3%以内である、請求項4に記載のガス化システム。
【請求項6】
前記第2の圧力は、約40kPa以下である、請求項1に記載のガス化システム。
【請求項7】
前記減圧デバイスと前記膜接触器との間に配置される真空隔離弁を伴う、凝縮液トラップをさらに備える、請求項1に記載のガス化システム。
【請求項8】
前記供給ガスは、二酸化炭素を含み、質量流量制御器を介して該二酸化炭素を前記膜接触器に提供するために該質量流量制御器に流体的に接続されるガス源と、該ガス源と該質量流量制御器との間に配置される二酸化炭素制御弁と、該質量流量制御器に連結される少なくとも1つの制御器と、該少なくとも1つの制御器と前記膜接触器との間に配置される窒素制御弁と、該膜接触器に流体的に接続される窒素源とをさらに備え、該窒素制御弁が開放しているときは常に、該二酸化炭素制御弁が閉鎖している、請求項1に記載のガス化システム。
【請求項9】
ガス化方法であって、
接触器の多孔質要素のガス接触側のガス流入口にガスを流入させることと、
該接触器の該多孔質要素の液体接触側の液体流入口に液体を流入させることであって、該液体は、該多孔質要素および接触器の筐体によって該ガスから分離される、ことと、
該接触器の該多孔質要素の該ガス接触側に減圧を印加することと、
該減圧において、該接触器のガス流出口から該ガスを除去することと、
ある量の該ガスが、該多孔質要素を通過し、該接触器の該多孔質要素の該液体接触側の該液体に溶解することを可能にすることと、
該液体よりも高い伝導度を有し、無気泡または実質的に無気泡であるガス化液体を、該接触器の液体流出口から除去することと
を含む、方法。
【請求項10】
前記ガス化液体の前記伝導度を標的範囲内に維持するために、前記接触器から凝縮液を除去するために、またはそれらの組み合わせのために、前記減圧、ガス流量、液体流量、またはそれらの組み合わせを調節することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接触器から除去された前記凝縮液を回収することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記接触器の前記多孔質要素の前記ガス接触側の前記ガス流入口への前記ガスの流入を停止するために第1の弁を閉鎖することと、
該接触器の該多孔質要素の該ガス接触側に中性ガスを進入させるために、第2の弁を開放することと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の弁を開放することは、流量変化時に、または流量変化とほぼ同時に、該第2の弁を開放することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ガス化液体中の前記ガスの量は、約5000万分の1(ppm)以下、約500ppm以下、約50ppm以下、または約5ppm以下である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記伝導度は、約10マイクロジーメンス以下または約5マイクロジーメンス以下である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記減圧は、約40psi以下、または約15psi以下、または約2psi以下である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
ガス化システムであって、
ガス接触側と、液体接触側と、多孔質要素とを有する接触器と、
該接触器に供給ガスを提供するために該接触器に流体的に接続されるガス源と、
該接触器に供給液を提供するために該接触器に流体的に接続される液体源と、
該供給ガスのガス流量を制御するために該ガス源および該接触器に流体的に接続されるガス流量制御器と、
該供給液の液体流量を制御するために該液体源および該接触器に流体的に接続される液体流量制御器と、
該接触器の該ガス接触側に流体的に接続される真空源であって、該真空源は、ある量の該供給ガスが該接触器の該多孔質要素を通過して、該液体接触側の該供給液に溶解する速度を増加させることにより、該供給液の伝導度よりも高い伝導度を有する、無気泡または実質的に無気泡であるガス化液体を形成する、真空源と
を備える、システム。
【請求項18】
前記ガス化液体中の前記ガス量を設定値の約±20%以下に維持するために、前記ガス流量制御器、前記液体流量制御器、および前記真空源と通信可能に連結される、少なくとも1つの論理制御器をさらに備える、請求項17に記載のガス化システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの論理制御器は、フィードバック制御をフィードフォワード制御と組み合わせる、請求項18に記載のガス化システム。
【請求項20】
前記真空源は、排ガスおよび凝縮液を前記接触器から除去することが可能である、請求項17に記載のガス化システム。
【請求項21】
ガス化システムであって、
ガス流入口およびガス流出口を伴うガス接触側と、液体流入口および液体流出口を伴う液体接触側と、多孔質要素とを有する、膜接触器であって、供給ガスは、該ガス流入口を介して、第1の圧力下で該膜接触器の該ガス接触側に方向付けられ、供給液は、該液体流入口を介して、該膜接触器の該液体接触側に方向付けられる、膜接触器と、
該膜接触器の該ガス接触側の該第1の圧力を第2の圧力まで低減するために、該膜接触器の該ガス流出口に流体的に接続される、減圧デバイスであって、該多孔質要素は、該供給液が、該膜接触器の該ガス接触側に進入することを防止し、該多孔質要素は、ある量の該供給ガスが該供給液を通過して該供給液に溶解することを可能にして、ガス化液体を生成する、減圧デバイスと、
1つ以上の制御器であって、
ガス流量制御器、液体流量制御器、減圧デバイス、伝導度センサもしくは濃度モニタ、圧力センサ、またはそれらの組み合わせから、1つ以上の入力信号を受信することと、
該1つ以上の入力信号を対応する設定値と比較することと、
該ガス化液体の設定値濃度を決定することと、
該第1の圧力、該供給ガスの該ガス流量、該供給液の該液体流量、またはそれらの組み合わせを変更するために、1つ以上の出力信号を生成することであって、それにより、該ガス化液体におけるガス濃度のレベルを該設定値濃度の範囲内に維持する、ことと
を実行することが可能である、1つ以上の制御器と
を備える、システム。
【請求項22】
前記供給ガスのガス流量を制御するために、前記膜接触器の前記ガス流入口に流体的に接続されるガス流量制御器をさらに備える、請求項21に記載のガス化システム。
【請求項23】
前記供給液の液体流量を制御するために、前記膜接触器の前記液体接触側に流体的に接続される液体流量制御器をさらに含む、請求項21に記載のガス化システム。
【請求項1】
ガス化システムであって、
ガス流入口およびガス流出口を備えるガス接触側と、液体流入口および液体流出口を備える液体接触側と、多孔質要素とを有する膜接触器であって、供給ガスは、該ガス流入口を介して第1の圧力下で該膜接触器の該ガス接触側に方向付けられ、供給液は、該液体流入口を介して該膜接触器の該液体接触側に方向付けられる、膜接触器と、
該膜接触器の該ガス流入口に流体的に接続されて、該供給ガスのガス流量を制御するガス流量制御器と、
該膜接触器の該液体接触側に流体的に接続されて、該供給液の液体流量を制御する液体流量制御器と、
該膜接触器の該ガス流出口に流体的に接続されて、該膜接触器の該ガス接触側の該第1の圧力を第2の圧力まで低減する減圧デバイスであって、該多孔質要素は、該供給液が、該膜接触器の該ガス接触側に進入することを防止し、該多孔質要素は、ある量の該供給ガスが該供給液を通過し、該供給液に溶解することを可能にして、ガス化液体を生成する、減圧デバイスと
を備える、システム。
【請求項2】
前記膜接触器の前記液体流出口に接続される伝導度センサまたは濃度モニタをさらに備える、請求項1に記載のガス化システム。
【請求項3】
前記膜接触器の前記ガス流出口に接続される圧力センサをさらに備える、請求項2に記載のガス化システム。
【請求項4】
前記ガス流量制御器、前記液体流量制御器、前記減圧デバイス、前記伝導度センサもしくは濃度モニタ、前記圧力センサ、またはそれらの組み合わせから、1つ以上の入力信号を受信することと、
該1つ以上の入力信号を対応する設定値と比較することと、
前記第1の圧力、前記供給ガスの前記ガス流量、前記供給液の前記液体流量、またはそれらの組み合わせを変更して、前記ガス化液体におけるガス濃度のレベルを前記設定値濃度の範囲内に維持するように、1つ以上の出力信号を生成することと
を実行することが可能である、1つ以上の制御器をさらに備える、請求項3に記載のガス化システム。
【請求項5】
前記範囲は、前記設定値濃度の約15%、10%、5%、または3%以内である、請求項4に記載のガス化システム。
【請求項6】
前記第2の圧力は、約40kPa以下である、請求項1に記載のガス化システム。
【請求項7】
前記減圧デバイスと前記膜接触器との間に配置される真空隔離弁を伴う、凝縮液トラップをさらに備える、請求項1に記載のガス化システム。
【請求項8】
前記供給ガスは、二酸化炭素を含み、質量流量制御器を介して該二酸化炭素を前記膜接触器に提供するために該質量流量制御器に流体的に接続されるガス源と、該ガス源と該質量流量制御器との間に配置される二酸化炭素制御弁と、該質量流量制御器に連結される少なくとも1つの制御器と、該少なくとも1つの制御器と前記膜接触器との間に配置される窒素制御弁と、該膜接触器に流体的に接続される窒素源とをさらに備え、該窒素制御弁が開放しているときは常に、該二酸化炭素制御弁が閉鎖している、請求項1に記載のガス化システム。
【請求項9】
ガス化方法であって、
接触器の多孔質要素のガス接触側のガス流入口にガスを流入させることと、
該接触器の該多孔質要素の液体接触側の液体流入口に液体を流入させることであって、該液体は、該多孔質要素および接触器の筐体によって該ガスから分離される、ことと、
該接触器の該多孔質要素の該ガス接触側に減圧を印加することと、
該減圧において、該接触器のガス流出口から該ガスを除去することと、
ある量の該ガスが、該多孔質要素を通過し、該接触器の該多孔質要素の該液体接触側の該液体に溶解することを可能にすることと、
該液体よりも高い伝導度を有し、無気泡または実質的に無気泡であるガス化液体を、該接触器の液体流出口から除去することと
を含む、方法。
【請求項10】
前記ガス化液体の前記伝導度を標的範囲内に維持するために、前記接触器から凝縮液を除去するために、またはそれらの組み合わせのために、前記減圧、ガス流量、液体流量、またはそれらの組み合わせを調節することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接触器から除去された前記凝縮液を回収することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記接触器の前記多孔質要素の前記ガス接触側の前記ガス流入口への前記ガスの流入を停止するために第1の弁を閉鎖することと、
該接触器の該多孔質要素の該ガス接触側に中性ガスを進入させるために、第2の弁を開放することと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の弁を開放することは、流量変化時に、または流量変化とほぼ同時に、該第2の弁を開放することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ガス化液体中の前記ガスの量は、約5000万分の1(ppm)以下、約500ppm以下、約50ppm以下、または約5ppm以下である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記伝導度は、約10マイクロジーメンス以下または約5マイクロジーメンス以下である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記減圧は、約40psi以下、または約15psi以下、または約2psi以下である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
ガス化システムであって、
ガス接触側と、液体接触側と、多孔質要素とを有する接触器と、
該接触器に供給ガスを提供するために該接触器に流体的に接続されるガス源と、
該接触器に供給液を提供するために該接触器に流体的に接続される液体源と、
該供給ガスのガス流量を制御するために該ガス源および該接触器に流体的に接続されるガス流量制御器と、
該供給液の液体流量を制御するために該液体源および該接触器に流体的に接続される液体流量制御器と、
該接触器の該ガス接触側に流体的に接続される真空源であって、該真空源は、ある量の該供給ガスが該接触器の該多孔質要素を通過して、該液体接触側の該供給液に溶解する速度を増加させることにより、該供給液の伝導度よりも高い伝導度を有する、無気泡または実質的に無気泡であるガス化液体を形成する、真空源と
を備える、システム。
【請求項18】
前記ガス化液体中の前記ガス量を設定値の約±20%以下に維持するために、前記ガス流量制御器、前記液体流量制御器、および前記真空源と通信可能に連結される、少なくとも1つの論理制御器をさらに備える、請求項17に記載のガス化システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの論理制御器は、フィードバック制御をフィードフォワード制御と組み合わせる、請求項18に記載のガス化システム。
【請求項20】
前記真空源は、排ガスおよび凝縮液を前記接触器から除去することが可能である、請求項17に記載のガス化システム。
【請求項21】
ガス化システムであって、
ガス流入口およびガス流出口を伴うガス接触側と、液体流入口および液体流出口を伴う液体接触側と、多孔質要素とを有する、膜接触器であって、供給ガスは、該ガス流入口を介して、第1の圧力下で該膜接触器の該ガス接触側に方向付けられ、供給液は、該液体流入口を介して、該膜接触器の該液体接触側に方向付けられる、膜接触器と、
該膜接触器の該ガス接触側の該第1の圧力を第2の圧力まで低減するために、該膜接触器の該ガス流出口に流体的に接続される、減圧デバイスであって、該多孔質要素は、該供給液が、該膜接触器の該ガス接触側に進入することを防止し、該多孔質要素は、ある量の該供給ガスが該供給液を通過して該供給液に溶解することを可能にして、ガス化液体を生成する、減圧デバイスと、
1つ以上の制御器であって、
ガス流量制御器、液体流量制御器、減圧デバイス、伝導度センサもしくは濃度モニタ、圧力センサ、またはそれらの組み合わせから、1つ以上の入力信号を受信することと、
該1つ以上の入力信号を対応する設定値と比較することと、
該ガス化液体の設定値濃度を決定することと、
該第1の圧力、該供給ガスの該ガス流量、該供給液の該液体流量、またはそれらの組み合わせを変更するために、1つ以上の出力信号を生成することであって、それにより、該ガス化液体におけるガス濃度のレベルを該設定値濃度の範囲内に維持する、ことと
を実行することが可能である、1つ以上の制御器と
を備える、システム。
【請求項22】
前記供給ガスのガス流量を制御するために、前記膜接触器の前記ガス流入口に流体的に接続されるガス流量制御器をさらに備える、請求項21に記載のガス化システム。
【請求項23】
前記供給液の液体流量を制御するために、前記膜接触器の前記液体接触側に流体的に接続される液体流量制御器をさらに含む、請求項21に記載のガス化システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【公表番号】特表2011−520609(P2011−520609A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510619(P2011−510619)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/044343
【国際公開番号】WO2009/143056
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(306019845)エンテグリース,インコーポレイテッド (27)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/044343
【国際公開番号】WO2009/143056
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(306019845)エンテグリース,インコーポレイテッド (27)
【Fターム(参考)】
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