説明

液体分配システム内の液体の流れに影響する事象の感知

単一のセンサのみを使用して、液体分配システム内の液体の圧力遷移を監視することにより、特定の設備での弁の開閉等の事象が、高速検出される。水栓に容易に結合できるセンサが、出力信号を計算装置に送信する。そのような各事象は、圧力遷移波形の特徴的な特徴を、システム内の事象で前に観測された特徴的な特徴と比較することに基づいて識別することができる。圧力遷移波形の変動する圧力、微分、実数ケプストラムを含み得るこれらの特徴的な特徴を使用して、弁開事象または弁閉事象が発生した特定の設備を選択することができる。各設備への流れおよびシステム内の漏出も、圧力遷移波形から特定することができる。第1のセンサとは異なるポイントに配置された第2のセンサが、さらなる事象情報を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年6月11日に出願された先の同時係属中の米国特許出願第12/483,041号明細書に基づくものであり、米国特許法第120条に基づく出願日の特典を請求するものである。
【背景技術】
【0002】
水は、多くの家庭での活動(例えば、洗浄、清掃、調理、飲用、ガーデニング)にとって不可欠である。2008年に、環境保護庁(EPA)は、36州がこれから5年以内に深刻な水不足に直面すると推測した。さらに、2001年、米国水道協会は、米国全土の家庭での水の使用をわずか15%低減することで、推定で27億ガロン/日および20億ドル超/年が節約されることを示した。この問題への追加として、最近、EPAは、米国の家庭での水道システムからの水漏れが毎年1兆ガロンを超えると推定しており、これは平均家庭の水使用量の約10%を占める。漏出は、使い古された水栓およびトイレの弁ならびに生活構造内に設置された送水管内の漏出であり得る。大半の消費者は、定期的な水道メータの示度に基づく毎月(または2か月毎)の水道料金の請求書に示される合計消費量以外に、家庭の水の使用量を正確に測定する機構を有さない。さらに、家庭の水道システム内で発生する漏出は、多くの場合、検出されず、その理由は、家庭の居住者にははっきりとは分からないためである。水をよりよく節約し、漏出を止めるために、洗濯機で1回分の衣服を洗濯すること、シャワーを浴びること、またはトイレを流すことから、各種類の水消費活動に伴って消費される水に関連する情報を居住者に提供する必要がある。
【0003】
家庭の水使用量の監視を対象とした先の研究により、いくつかの欠点を有する手法が生み出された。例えば、この初期の手法は、水の流水口、湯の流水口、および排水口を含む住宅内の特定の水道管の外側に押し付けられたマイクロホンを使用して、食洗機に関連する一連の充填周期等の水の使用パターンに基づくいくつかの重要な活動の認識を実証した。この初期の技法は、同様の設備による複数の水使用事例(例えば、複数のシンクのそれぞれでの弁の開または閉または家庭内の複数のトイレのフラッシュ)を確実には区別できず、同時の活動(例えば、人がシャワーを浴びている間のトイレフラッシュ)を確実には識別できず、水消費活動中に水道システムが使用する水の容量を推定しようとしなかった。周囲雑音(例えば、家庭の給湯器に配置されたセンサの近傍に設置された空調ユニットにより生じる雑音)により、音声に基づくセンサの使用にも大きな問題がある。さらに、この先の手法は、特定の設備での漏出を検出できなかった。
【0004】
灌漑システム等のいくつかの産業用途では、高粒度の流速監視を提供するセンサが使用されたが、これらの従来技術による手法は、家庭で使用するには法外なほど高価であるか(例えば、単一の超音波またはレーザドップラー速度計測センサの場合、約2,000ドル〜約8,000ドル)、または配管工による複数のインラインフローセンサの専門的な設置が必要である。インラインフローセンサは、既存の配管に切り込むことにより、対象となる設備毎に設置される。実験室の環境では、水道管の外側に取り付けられた加速度計が、水の流速に対する強力な決定論的関係を有する信号を生成するが、この効果が、配管の直径、材料、および構成による影響を受けやすいことも分かった。家庭の既存の合計水流メータを、配管上の加速度計網と一緒に使用して、家庭全体の流速を推測する他の手法が、提案された。しかし、これらの従来技術による手法はすべて、複数のセンサを、対象となる各設備に固有に関連付けられた水道管路に沿って、または水道管路内に配置する必要がある(すなわち、従来技術による手法は、単一のセンサを使用して、構造水道システム内のすべての設備を監視できない分散直接感知方法である)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、低コストであり、配管工を利用せずに容易に設置される、住宅またはマルチリビングユニット構造内の複数の異なる設備のそれぞれへの水流を監視するよりよい方法およびシステムを利用することが望ましいことは明らかである。そのようなシステムおよび方法は、各設備で発生する水の使用量または体積流量を容易に特定可能であるべきである。さらに、そのようなシステムおよび方法を利用して、構造の水道システム内の特定の設備またはポイントでの水漏れを検出し、それにより、少なくとも特定の種類の漏出の位置を識別することができ、漏出の原因である状況を正すことに役立つことも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、特に、関連出願として、上記識別された各特許出願および発行された特許の開示および図面を参照により本明細書に援用する。
【0007】
したがって、後述するように、構造内の分配システム内の液体の流れを監視する例示的な新規の方法が開発された。本明細書で使用する場合、用語「構造」は、家、マルチユニット生活居所(デュープレックス等)、コンドミニアム、タウンハウス、アパート、ホテル、モーテル等の生活構造を包含することを意図されるだけでなく、いかなる制限も意図または暗示せずに、少数の例を挙げれば、製油所、化学製造施設、および醸造所等の液体を分配する配管または導管のシステムを含む任意の施設も含むものと理解されたい。この例示的な方法は、分配システム内の第1のポイントにおいて液体の圧力を監視するステップと、それに応答して、分配システム内の圧力を示す出力信号を生成するステップとを含む。次に、分配システム内で発生している液体関連事象が、出力信号により示される圧力の変化、例えば、圧力遷移波形に基づいて検出される。さらに、複数の異なる種類の事象の中から検出された特定の種類の液体関連事象が、出力信号の特徴を複数の異なる種類の事象に関連付けられた決定論的な基準と比較することにより、識別される。
【0008】
複数の異なる弁が、通常、分配システムに結合される。したがって、液体関連事象を検出するステップは、弁のうちの1つまたは複数の状態の変化、すなわち、弁が開かれつつあるまたは閉じられつつあることを検出する出力信号を利用することを含むことができる。識別される弁は、分散システムに結合された複数の異なる設備の中から、特定の設備に関連付けることができ、それにより、特定の設備が、弁が開かれつつあることまたは閉じられつつあることを検出することにより識別される。
【0009】
この方法は、特定の設備に関連付けられた弁が、開かれつつあることにより状態を変更したか、それとも閉じられるつつあることにより状態を変更したかを特定するステップをさらに含むことができる。
【0010】
いくつかの分配システムは、槽内の液体の液位が予め定義される液位未満に下がった場合、自動的に開く弁を有する槽(例えば、トイレタンク)を含み得る。その場合、この方法は、槽を補充して、槽から漏出した液体に取って代わるために、必要に応じて槽内への液体の流入を制御する弁が開閉する周期を示す圧力遷移波形の特徴を識別することにより、槽からの漏出を検出するステップを含むことができる。
【0011】
別の機能として、この方法は、出力信号および分配システムの予め定義される流れ抵抗の両方の関数として、分配システム内の体積流速を自動的に特定するステップを含むことができる。分配システムが、異なるポイントに配置された複数の弁を含む場合、この方法は、分配システムの流入口から様々な距離にある分配システム内の複数の異なるポイントのそれぞれでの、体積流速を経験的に測定するステップと、体積流速を測定している間、出力信号により示される圧力変化に基づいて、複数の異なるポイントのそれぞれでの分配システムの予め定義される流れ抵抗を特定するステップとを含むことができる。次に、複数の異なるポイントで測定された予め定義される流れ抵抗に基づいて、液体の使用が分配システム内で発生し得る他のポイントに対して、予め定義される流れ抵抗を推定することができる。
【0012】
いくつかの用途では、液体分配システムは、インライン液体体積流検出器、例えば、水道メータを含むことができる。この場合、方法は、インライン液体体積流検出器を使用して、分配システム内の複数の異なるポイントのそれぞれでの体積流速を連続して特定するステップをさらに含むことができる。体積流速は、ポイントでの弁が、ある時間にわたって開かれ、次に閉じられる場合に測定される。次に、分配システムの予め定義される流れ抵抗が、そのポイントでの弁が開かれている間に測定される体積流速に基づいて、複数の異なるポイントのそれぞれにおいて特定される。分配システム内の比較的低流の漏出は、液体体積流検出器を使用して、分配システム内のいずれの弁も開かれたと特定されなかった長い時間にわたり、分配システム内の液体の流れを検出することにより、検出することができる。したがって、液体のいずれも、閉じられた弁を公称的に通過するはずがないため、測定されるいかなる流れも、わずかな漏出を原因とするはずである。
【0013】
検出された特定の種類の事象を識別するステップは、分配システムに結合された各設備の予め定義される圧力遷移波シグネチャを特定するステップと、予め定義される圧力遷移波シグネチャを記憶または他の様式で保存するステップとを含むことができる。次に、出力信号により示される圧力遷移波シグネチャを、記憶または保存された予め定義される圧力遷移波シグネチャと比較することができ、出力信号により示される圧力遷移波シグネチャに最もよく一致する予め定義される圧力遷移波シグネチャを有する設備を識別することにより、かつ分配システム内の特定の設備の位置に基づいて、液体の流れが変化した特定の設備を特定することができる。
【0014】
検出された特定の種類の液体関連事象を識別するステップは、分配システム内の圧力変化に基づいて、出力信号を区別して、離散事象を分離するステップを含むことができる。次に、検出された各離散事象を、弁開事象または弁閉事象のいずれかとして分類することができる。各弁開事象または弁閉事象も、事象を生じさせた特定の設備に従ってさらに分類することができる。
【0015】
区別するステップは、出力信号をフィルタリングして、平滑化出力信号を生成するステップと、平滑化出力信号の微分を特定するステップとを含むことができる。次に、平滑化出力信号およびその微分をスライド窓内で解析し、少なくとも1つの条件に基づいて、弁事象の開始を検出することができる。可能な条件としては、平滑化出力信号の微分が、分配システム内の静的圧力に相対する予め定義される第1の閾値を超えるという条件またはスライド窓内の最大圧力値と最小圧力値との差が、分配システム内の静的圧力に相対する予め定義される第2の閾値を超えるという条件が挙げられる。平滑化出力信号の微分をさらに解析し、微分の符号の変化および微分の変化の大きさに基づいて、弁事象の終了を検出することができる。弁開事象または弁閉事象のいずれかとして検出された離散した各液体関連事象を分類するステップは、(a)弁事象の開始時および終了時での平滑化圧力の差の大きさが、分配システム内の静的圧力に相対する予め定義される第3の閾値を超えることであって、弁事象の開始と終了との間の平滑化圧力の低減は、弁開事象を示し、弁事象の開始と終了との間の平滑化圧力の増大は、弁閉事象を示すこと、または(b)弁事象の開始と、微分の極値との間の平滑化圧力の微分平均値に基づくことであって、微分の正の平均値は、弁開事象を示し、微分の負の平均値は、弁閉事象を示すことを含む条件群から選択される条件の発生に基づくことができる。
【0016】
この方法は、テンプレートに基づく分類子を使用して、弁開事象および弁閉事象を特定の設備に関連付けるステップを含むことができる。この場合、出力信号の特徴に対して最大の相関を有するテンプレートが選ばれ、事象が検出された設備を識別する。この選択は、複数の相補的な距離尺度に従って分類子に利用できる潜在的なテンプレートをフィルタリングした後、行われる。これらの尺度は、整合フィルタ距離尺度、整合微分フィルタ距離尺度、整合実数ケプストラムフィルタ距離尺度、および平均二乗誤差フィルタ距離尺度を含むことができる。この方法は、データを訓練する際に提供される相補的な距離尺度に基づいて、潜在的なテンプレートをフィルタリングするステップの実行に使用される閾値を決定するステップをさらに含むことができる。複数の異なる設備に対応するテンプレートが、すべてのフィルタを通る場合、設備についてのデータ訓練に対して最良に実行される単一の距離尺度に基づいて、可能なフィルタの中からフィルタを選ぶことができる。次に、選ばれたフィルタを、事象が検出された設備を識別する際に使用することができる。
【0017】
この方法は、オプションとして、分配システム内の第2のポイントでの液体圧力を監視するステップと、別の出力信号を生成するステップとを含むことができる。第2のポイントは、第1のポイントから離間される。次に、分配システム内で発生している液体関連事象を、第1のポイントでの出力信号と第2のポイントでの出力信号との時間差に部分的に基づいて検出することができる。検出された特定の種類の液体関連事象は、時間差に部分的に基づいて、複数の異なる種類の事象の中から選択することができる。
【0018】
別のオプションは、圧力遷移パルスを分配システム内の液体に印加して(例えば、圧力センサに逆バイアスをかけることにより)、分配システム内の圧力遷移パルスの反射に対応する圧力パルス波形を検出することである。圧力パルス波形の特徴に基づいて、分配システムを通る圧力遷移パルスおよび圧力パルス波形の経路のうちの1つまたは複数、分配システム内の液体の流れを示すもの、および/または分配システム内の弁のうちの1つもしくは複数の状態を特定することができる。
【0019】
本開示および特許請求の範囲の別の態様は、機械可読・実行可能な命令がプロセッサにより実行される場合、構造内の分配システム内の液体の流れを監視する際に利用される複数の機能を実行する機械可読・実行可能な命令を含む媒体に関する。これらの機能は一般に、上述した例示的な方法のステップに一致する。
【0020】
さらに別の態様は、構造内の分配システム内の液体の流れを監視する例示的な装置に関する。この装置は、分配システムに接続して、分配システム内の圧力を感知し、次に、圧力を示すアナログ信号を生成するように構成された圧力センサを含む。本明細書で使用される場合、用語「圧力センサ」は、配管または導管内の液体圧力現象に応答するあらゆるセンサを含むものと広く解釈されることを意図され、いかなる限定も暗示または意図せずに、圧電抵抗センサ、歪みゲージ、またはダイアフラムの機械的偏向を検出する他のセンサ、微小電気機械システム(MEMS)センサ、光ファイバ干渉計センサ、容量性センサ(例えば、圧力により生じる誘電距離の変化に応答する)、音響センサ、および振動センサ(例えば、圧力波形に応答する加速度計)等のセンサを含み得る。コネクタが設けられ、圧力センサを構造内の設備(蛇口の水栓等)に結合するサイズを有する。アナログ/デジタル変換器が使用されて、圧力センサからのアナログ信号をデジタル信号に変換する。マイクロコントローラが、アナログ/デジタル変換器に結合されて、デジタル信号を受信し、デジタル信号の取得を制御し、デジタル信号を処理して、出力信号を生成し、出力信号を使用して、出力信号により示される圧力の変化に基づいて、分散システム内で発生している事象を検出する。出力信号は、複数の異なる種類の事象の中から特定の種類の事象を識別するために使用される。通信リンクを含めて、出力信号を計算装置に結合し、出力信号をさらに処理することができる。
【0021】
本開示および以下の特許請求の範囲のさらに別の態様は、構造内の分散システムでの液体の流れを監視する例示的なシステムに関する。このシステムは、上述した装置の構成要素に概して一致する構成要素を含むと共に、計算装置も含む。計算装置は、機械実行可能命令を記憶するメモリと、メモリに結合され、機械実行可能命令を実行するプロセッサとを含む。これらの機械命令を実行すると、圧力センサが分配システムに接続されている場合、プロセッサに複数の機能を実行させる。機能は一般に、上述した方法のステップに一致する。
【0022】
この概要は、説明において詳細にさらに以下において説明される少数の概念を簡略化された形で紹介するために提供されたものである。しかし、この概要は、特許請求される趣旨の鍵となる、または本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求される趣旨の範囲を決定する際の補助として使用されることも意図しない。
【0023】
1つまたは複数の例示的な実施形態の様々な態様および付随する利点ならびにそれらに対する変更が、以下の詳細な説明を参照することにより、添付図面と併せて解釈された場合、よりよく理解されるため、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】新規の本手法をどのようにして、外部ホース水栓等の単一のポイントに設置して、構造内の設備での異なる活動中の水の使用量を監視し、水道システム内で発生し得る漏出を検出するかを示す、寝室2、バスルーム2の住宅構造での基本水道システムの例示的な概略図である。
【図2A】住宅構造内のキッチンの水栓が開かれることとして識別される弁開事象中、新規の本手法を使用して検出された応答の特徴的な圧力(psi)と時間(秒)との関係を示す例示的なグラフである。
【図2B】図2Aでは開かれていたキッチンの水栓が閉じられることとして識別される弁閉事象中、新規の本手法を使用して検出された応答の特徴的な圧力(psi)と時間(秒)との関係を示す例示的なグラフである。
【図3】Bluetooth(登録商標)無線が利用されて、さらに処理し分類するために、圧力を示す出力信号を計算装置に送信する、新規の本手法の例示的な一実施形態において使用される圧力センサおよびコントローラの機能ブロック図である。
【図4】新規の本手法をテストした9つの住宅構造に関するデータをまとめたグラフである。
【図5】各設備の弁が開かれ、ある時間間隔にわたって開かれた状態を保ち、次に閉じられた水栓、トイレ、および風呂のそれぞれの例示的な弁開圧力波および弁閉圧力波(圧力と時間との関係)を示す3つのグラフである。
【図6】図4の9つの住宅構造での新規の本手法のテストにおいて正しく識別された設備の弁開事象および設備の弁閉事象の割合を示す例示的な表である。
【図7】正しく識別された設備の弁開事象および弁閉事象の割合が、テスト住宅構造の設備の種類毎に示される、図6の結果の異なる図を示す例示的な表である。
【図8】新規の本手法を使用して、図4に示されるテスト住宅構造のうちの4つでの弁開に特定された流速の誤差データを示す表である。
【図9】図4に示されるテスト住宅構造のうちの4つでの弁開での流速の平均誤差とサンプル数との関係を示す例示的なグラフである。
【図10】シャワー、トイレ、および水栓の弁が、重なった時間にわたって開かれた、水道システムで発生している複数の重なった事象の圧力と時間との関係の例示的なグラフであり、新規の本手法が、各事象および事象が発生した各設備を検出可能なことを示す。
【図11】設備/弁事象を検出するために、本手法で使用することができる例示的なステップを示す論理流れ図である。
【図12】新規の本手法による、弁事象の分類に使用することができる例示的なステップを示す論理流れ図である。
【図13A】共通の設備の事象の出力信号間の時間遅延を示す、構造の水道システムでの異なるポイントに配置された2つの圧力センサからの未処理の出力信号を示す。
【図13B】図13Aの2つの未処理の出力信号のそれぞれを13Hz低域フィルタに通した結果の波形を示し、設備からの各圧力センサへの信号伝播経路が異なることによる2つの波形間の時間シフトを明確に示す。
【図14A】能動的な圧力信号が、圧力変換器により生成され、能動的な圧力信号が配管全体に伝播するように、構造の水道システム内に導入される、プローブ信号として使用される能動的な圧力信号を示す。
【図14B】図14Aの能動的な圧力信号が終わった後、短い時間で、水道システムの配管から受信される反射圧力信号である。
【図15】新規の本手法の圧力センサおよびコントローラからの出力信号の処理に使用可能な、パーソナルコンピュータ等の一般に従来の計算装置の例示的な機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図および開示される実施形態は非限定的である。
例示的な実施形態が、参照される図面図に示される。本明細書に開示される実施形態および図が、限定ではなく例示として見なされるべきであることが意図される。本技術の範囲および続く特許請求の範囲に対する限定は、図示された本明細書において考察される例に帰属すべきではない。
【0026】
水の使用量を監視する例示的なシステム
近代の大半の住宅は、住宅内の水道システムの流入口に圧力をかけて水を提供する公共水道または私設の井戸に接続されている。公益企業は、重力およびポンプ室に頼り、各家庭または公益企業により水が供給される他の種類の構造内で水が流れる要件を満たすのに十分な水圧で水を主管に分配する。住宅は、より小さなサービス配管により水道主管に接続され、通常、水道メータがこの接続箇所に、またはその近傍に配置される。水道メータ近くの逆流弁が、水が構造から主管内に逆流するのを防ぐ。私設の井戸を有する家庭は、ポンプを使用して、水を地下から家庭内の小型捕捉空気圧縮タンク内に引き込み、水道システム内の弁が開かれた場合、ポンプを連続して実行する必要がないように、タンク内に圧力をかけて貯蔵される。
【0027】
図1は、寝室が2つある構造の場合に典型的な住宅の水道システム20を示す。水は、家の高度およびタンクまたはポンプ室への近さ等の要因(または私設の井戸が水源である場合、他の要因)に応じて、通常、平方インチ当たり50〜100ポンド(psi)で、水道主管(または私設の井戸)に結合されたサービス配管22を通って入り、多くの家庭は、水道メータ26に隣接して、主管から伝播し得る遷移(または圧力スパイク)から家を保護すると共に、流入水圧を家庭の設備および家電に安全なレベルに低減もする圧力調整器24を有する。
【0028】
調整器の下流には、典型的な住宅の配管に見られる2つの基本的なレイアウトがある:直列給水管および分岐管。略すべての多設備家庭は、これら2つのレイアウトの組み合わせを有する。給水管42は、個々の水設備に分岐する(例えば、水をトイレ、シンク、およびシャワーに供給するため)と共に、水を給湯器36の供給口にも供給する。従来の給湯器は、電気抵抗要素またはガス燃焼バーナー(いずれも図示せず)を使用して、絶縁されたタンク内の水を加熱する。湯が使用される場合、給湯タンクに水が補充される際、給水管からの圧力が常に、給湯タンクから給湯管44を通って湯を押し進める。あらゆる給湯タンクは、過度の過熱およびその結果生じる蒸気圧により起こり得る爆発を防ぐ圧力解放弁(図示せず)ならびに排水弁40(給湯器は、1年に少なくとも1回水抜きして、鉱物堆積物を洗い流し、動作効率を増大させるべきであるため、メンテナンスに重要である)を有する。多くの家庭は、システムが水道メータに逆流弁を含み、したがって、「閉システム」である場合、給湯器の給水口付近に接続された捕捉空気熱膨張タンク38も有する。熱膨張タンク38は、湯が給湯タンクから引き出された後、給湯器内で加熱中の水の熱膨張を吸収する。必要になるまで湯を保持する給湯タンクに代えて、構造によっては、水が熱交換機を通過する際、電気抵抗要素またはガスバーナーにより供給される熱を使用して急速に加熱することにより、需要に応じて湯を提供するタンクレス給湯器を使用することもある。水を加熱する両種の装置は、水道システムの給水管と給湯管との接続を生み出し、本手法において監視される圧力変動は、水道システムの湯部分および水部分の両方で両種の給湯器を通って伝播する。
【0029】
この例では、圧力センサ30が、水栓32の外側にねじ込まれる。この栓の弁が開かれると、さらに詳細に後述するように、圧力センサが構造内の水道システムの圧力に応答し、処理され、出力信号として計算装置に送信される対応する信号を生成することができる。
【0030】
構造の第1のバスルーム内の水道システムには、第1のトイレ46、水弁48aおよび湯弁48bを有する第1のバスルームシンク、ならびに水弁および湯弁(いずれも図示せず)の両方を有するバスタブ50が結合される。キッチンは、水弁52aおよび湯弁52bを有するキッチンシンクならびに食洗機54(湯電子機械ソレノイド弁および水電子機械ソレノイド弁を有する−いずれも図示せず)を含む。第2のバスルームには、シャワー56(湯弁および水弁を有する−図示せず)、水弁58aおよび湯弁58bを有する第2のシンク、ならびに第2のトイレ60がある。構造は、衣服洗濯機62をさらに含み、これもまた、水道システムからの湯および水の両方の流れを制御する電子機械ソレノイド弁(図示せず)を含む。
【0031】
水道設備の識別
水道システムは、閉ループ圧力システムを形成し、水が水道システム内で流れない場合、水は配管全体を通して安定した圧力に保持される。圧力調整器を有する構造は、供給圧が調整器の設定ポイント未満に下がる場合以外、かなり安定した圧力を有する。圧力調整器を有さない構造は、給水主管に対する近隣の水需要に応じて、水圧の時折のわずかな変化を経験し得、この変化は、構造の水道システム内の水圧の変動として検出される。
【0032】
弁が開かれるか、または閉じられる場合(バスルームであれ、キッチン栓であれ、食洗機または衣服洗濯機内の電子機械ソレノイド弁であれ、関わりなく)、圧力の変更が生じ、圧力遷移波インパルスが、水道システムに生成される(図2Aおよび図2Bのグラフ100および102にそれぞれ示されるように)。圧力遷移は、配管内の水の速度が急に変化することに起因する波現象である(電線での電気遷移と同様)。弁が急に開かれるか、または閉じられる場合に発生する圧力遷移波は、多くの場合、サージまたはウォーターハンマーと呼ばれ、圧力衝撃波が配管を通って移動する際、大きな打音または可聴雑音を生み出すことがあり得る。圧力遷移サージの大きさは、動作圧力から独立しており、かつ動作圧力よりもはるかに大きい。圧力遷移パルスは、圧力の変更速度が正であるか、それとも負であるか(すなわち、水道システム内で弁が開かれているか、それとも閉じられているか)に応じて、正または負のいずれかであり得る。食洗機または衣服洗濯機等の家電は、状態を急速に変更させるように、電子機械ソレノイド弁を制御するため、最も目立つウォーターハンマーを生じさせることが多い。逆に、開かれるか、または閉じられる栓の弁はむしろ、あまり目立たないウォーターハンマーパルスをゆっくりと生じさせる。
【0033】
流れの急激な変更は、住宅用配管の安全動作圧力限度を超える危険な高遷移を生じさせる恐れがある。熱膨張タンク38(図1)は、これらの遷移に対するいくらかではあるが、完全ではない緩衝を提供する。水道システムによっては、空気が充填された直立管が、洗濯機または食洗機への流入管に隣接して設置されて、遷移の局所的な緩衝を提供する。大半の弁の状態の変化は、無害であるが、水道システムに設置された圧力センサにより検出できるウォーターハンマーインパルスとして顕在化する。ウォーターハンマー波形は通常、圧力遷移波が配管を通って前後に振動するため、数秒続く。本手法を使用して、ウォーターハンマーの影響を水道システム内のどこでも検出することができ(緩衝器が設置される場合であっても)、したがって、水道システム全体を通して影響の単一点感知が可能である。
【0034】
本手法は、特定の設備で感知される固有の圧力遷移またはウォーターハンマーシグネチャが、弁の種類および構造の水道システム内の位置に依存することに頼る。事象の位置を検出する本手法の能力は、大きな区別力を提供し、同じモデルの2つの設備(例えば、家内の2つの同じトイレで発生している事象)さらには同じ設備内の2つの弁(例えば、シンク設備内の湯弁および水弁)であっても区別することが可能であり、その理由は、それぞれの圧力波インパルスが、圧力センサに達する前に、水道システムの配管基盤を通して異なる経路で移動するためである。圧力降下およびその結果生じる衝撃波の大きさは、事象源への圧力センサの相対位置に依存するが、シグネチャの形状は変わらない。後述するように、複数の圧力センサが水道システム内の本質的に異なるポイントにあってもよく、それにより、圧力センサにより検出されている圧力遷移波形間の時間差が、事象および事象が関連付けられる設備を識別する有用な追加情報を提供できることも意図される。
【0035】
流れの推定
圧力の変更および圧力遷移開始速度は、弁開事象および弁閉事象の正確な検出を可能にする。圧力は、水道システム内の流速を測定するためにも使用でき、これは、抵抗(すなわち、流れ抵抗を生じさせる配管の制限、曲がり等)および電圧変化(すなわち、圧力)を知ることで、電流(すなわち、流速)を特定することができる電気回路と同様である。
【0036】
流速は、配管内の流体の体積流速Qが、配管の半径r、配管の長さL、流体の粘度μ、および圧力降下ΔPに依存することを述べるポアズイユの法則(ハーゲン−ポアズイユの方程式とも呼ばれる)を介して圧力変更に関連する。
【数1】

式(1)は、流れへの抵抗が、圧力降下を体積流速で除算したものに比例することを述べる流体抵抗式により簡略化することができる。
【数2】

したがって、流体抵抗を使用して、ポアズイユの法則から変数の複雑性のうちのいくらかを差し引くことが可能であり、その結果、単純な式になる。
【数3】

【0037】
新規の本手法は、弁が開かれるか、または閉じられる場合の圧力変更ΔPを測定する。Qを計算するために、残りの未知数Rを推定する必要がある。この場合、Rは2つの要因により拘束される:水の粘度および配管の長さL。水の粘度は、水温の関数として、かつ大半の住宅配管の内径は1/4インチまたは3/8インチであることに基づいて、容易に計算することができる。したがって、配管の長さLが主な未知数であり、水道システムの流入口から構造内の異なる各設備までの各経路は通常、異なるため、使用されている水道設備に依存して変わることになる。
【0038】
これらの式は包括的ではない。例えば、配管の内表面の平滑さ、曲がりの数、弁の数、または配管内の構造物の数、配管の向き(例えば、重力により生じる影響および気圧の変更)の変動を考慮しない。しかし、これらの影響は、住宅配管網にとっては無視できるものとして扱うことができる。Rの推定は、戦略的な位置(水道システム流入口から構造への距離が異なるような)で流速をサンプリングすることにより、住宅毎に簡略化することができ、異なる弁での流れに対する抵抗の測定に基づいて、構造内の残りの弁での抵抗に妥当な正確性の推定を提供することができる。
【0039】
例示的な圧力モニタ設計
図3に示されるように、圧力モニタ110の例示的な実施形態は、カスタマイズされたステンレス鋼圧力センサ112、16ビットアナログ/デジタル変換器(ADC)114、マイクロコントローラ116、およびBluetooth(登録商標)ワイヤレス無線120を含む。Bluetooth(登録商標)ワイヤレス無線は、圧力センサ112により感知された水道システム内の圧力を示す出力信号122を送信する(Bluetooth(登録商標)無線信号として搬送される)。(あるいは、出力信号を計算装置に搬送して、さらに処理し記憶するために、代替としてIEEE802.11(WiFi)等の他の種類の無線信号または有線通信リンク(Ethernet(登録商標)またはUSB回線等)を使用してもよい)。マイクロコントローラ116は、ゲート信号を提供して、電界効果トランジスタスイッチ118(または他の電子スイッチ)を閉じて、圧力センサ112による圧力のサンプリングを制御する。調整電源124が直流電流(DC)電力を提供して、圧力モニタ全体にエネルギーを付与する。計算装置は、別個のコンピュータであることもでき、またはそれに代えて、圧力モニタ筐体内に統合することもできる。出力信号は、メモリを使用して圧力モニタに記憶することもできる。例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリチップまたは他の種類のリムーバブル記憶メモリチップを利用して、メモリが計算装置に移された場合の続く処理のために、出力信号を記憶することができる。さらなる代替として、メモリに定期的に問い合わせて、記憶されている出力信号データを計算装置または別のメモリに移し、続けて処理することができる。
【0040】
圧力範囲0〜50psiを有する圧力センサおよび圧力範囲0〜100psiを有する圧力センサを含む、圧力センサの2つの異なる実施形態を利用した。高い供給圧を有する構造内の水圧を監視する場合、または圧力調整器が構造の水道システム内に含まれない場合には、高いダイナミックレンジが有用である。この例示的な設計で使用される圧力センサは、Pace Scientific製のP1600(商標)シリーズであり、内蔵された1/4インチNPTオスコネクタを有し、このコネクタを3/4インチ真鍮アダプタに嵌め、Teflon(登録商標)テープを使用して封止した。このアダプタは、庭のホースを接続し得るようなあらゆる標準の水栓にセンサを容易にねじ込めるようにする。圧力センサは、動作温度範囲−40°F〜257°Fおよび圧力応答時間0.5ミリ秒未満を有する。したがって、理論上の最高サンプリング率は約2kHzであるが、1kHzが、遷移を検出するために十分すぎるほどであり、処理のために計算装置にデータを転送する妥当な率であるはずである。上述したように、圧力現象に応答する他の多くの種類のセンサを、Pace Scientific圧力センサに代えて圧力モニタに使用してもよい。
【0041】
圧力センサの出力は、5VDC供給電圧に比例する(すなわち、出力電圧は、供給電圧に相対した比率であるため、供給電圧の小さな変更は、出力信号のレベルまたは精度に影響しない)。16ビットTexas Instruments ADS8344(商標)ADCおよびAVRマイクロコントローラを、この例示的な圧力モニタに使用し、0〜50psi圧力センサでは約0.001psiの分解能および0〜100psi圧力センサでは約0.002psiの分解能を提供した。Bluetooth(登録商標)無線はクラス1であり、シリアルポートプロファイルを実装する。この例示的な圧力モニタ実施形態は、信頼的にサンプリングし、Bluetooth(登録商標)チャネルを介して従来のパーソナルコンピュータ(PC)(図15に示されるような)に約1kHzのデータ速度で出力信号圧力データをストリーミングすることができた。5V低損失型電力調整チップを調整電源124に使用して、単一の9V電池からのDC電圧を調整して、圧力モニタ構成要素に電力を提供した。しかし、代替として、DC電力を提供して、圧力モニタ110の構成要素にエネルギー付与するために、異なる電圧を提供する電池、異なる種類の電池、交流電流(AC)線源電源、または他の何等かの電源を使用してもよいことが意図される。
【0042】
圧力センサ112は、100gを超える機械的衝撃評価(mechanical shock rating)を有し、いくつかのウェーターハンマー事象により時折生じる配管の振動による破損を受けにくい。圧力センサは、製造される工場で線形性に関して較正され、テストされるが、既知の圧力を圧力センサに加えることにより、圧力監視モジュール全体の出力をテストした。正確な既知の水圧を提供する圧力調整された水コンプレッサに接続された圧力センサを使用して、10のサンプルをとった。すべての測定は、25°Cで圧力センサの許容差±0.25%以内であった。ユニット全体は耐水性を有し、湿気のある位置に設置することができる。圧力センサ結合のこの例示的な実施態様は、パススルー(pass−through)性能を提供しない(すなわち、圧力センサが接続された水道システム設備をホースまたは他の結合器にも接続することはできない)が、この変更は明らかに、例えば、適切なネジ付き端部を有する「T」または「Y」字形取り付け具を使用することにより、当業者により実施することが可能である。
【0043】
9つの住宅構造でのテスト中のデータ収集
この新規の手法、例示的な圧力センサモジュール、および圧力センサモジュールからの出力信号の処理に使用されるアルゴリズムを検証するために、ラベル付きデータを3都市にある9つの住宅構造H1〜H9で収集した。住宅構造は、図4の表130に示されるように、様々な様式、建築年、および多様な水道システムのものであった。
【0044】
住宅構造毎に、基線静的水圧をまず測定し、次に、適切な圧力センサ(すなわち、0〜50psiまたは0〜100psiの範囲の圧力センサ)を利用可能な水ホース栓、ユーティリティシンク水栓、または給湯器排水弁に設置した。各収集セッションを、ペアの調査員により行った。1人が、感知された圧力シグネチャをラップトップに記録する一方で、もう1人が、構造内の水道設備を作動させた。圧力シグネチャは、グラフィカルロギングツールを使用して記録した。グラフィカルロギングツールは、時系列線グラフのスクロールを介して圧力データのリアルタイムフィードバックも提供した。各設備の弁毎に5回の試行を行った(例えば、湯弁に5回の試行および水弁に5回の試行)。施行毎に、弁を少なくとも5秒間、完全に開き、次に閉じた。
【0045】
9つの住宅構造のうちの4つ(H1、H4、H5、およびH7)では、キッチンおよびバスルームのシンク栓ならびにシャワー栓設備の流速情報も収集した。感知された圧力をログ記録することに加えて、1ガロン容量に較正された容器を満たすために要する時間を測定した(この方法は、流速を正確に測定するために、水道公益企業に好まれる)。このステップは、弁毎に5回の試行で繰り返される。家庭内データ収集プロセスは、76の設備にわたり合計で689回の設備試行および155の流速試行をもたらした。
【0046】
設備事象識別の解析概説
データを収集した後、3ステップの手法を利用して、事象が発生した各設備から圧力センサに伝播する固有の圧力遷移波に従って、個々の設備事象を識別する実現可能性を調べた。弁が開かれるか、または閉じられる場合、各弁事象が圧力遷移信号に対応することを想起し、まず、個々の各弁事象をデータストリームから区別し、さらに解析できるように、事象の開始および終了を識別した。次に、各弁事象を弁開事象または弁閉事象のいずれかとして分類した。最後に、事象を生成した特定の設備に従って弁事象を分類した。最初に、分離して発生する事象のみを識別した。複合(重複)事象の解析については後述する。
【0047】
弁事象の区別
弁事象の特徴を解析する前に、まず、事象を圧力センサ出力信号から区別(すなわち、分離)しなければならない。区別は、多くの異なる種類の事象に対して有効でなければならなず、したがって、圧力センサからの出力信号のうち、すべての弁にとって最も典型的である可能性が高い特徴のみを検討することが重要である。使用した手法を図5のグラフ140、142、および144に示した(図2Aおよび図2Bのグラフ100および102にも示される)。例示的な一方法では、未処理の出力信号を低域線形位相有限インパルス応答フィルタ(例えば、13Hz低域フィルタおよび1Hz低域フィルタ)を使用して平滑化する。次に、13Hz低域フィルタからの平滑化出力信号および1Hz低域フィルタからの平滑化出力信号の微分を、1000サンプルのスライド窓(感知圧力の1秒に対応する)内で解析する。
【0048】
弁事象の開始は、2つの条件のうちの一方に対応する。最も一般的な条件は、平滑化圧力センサ出力信号の微分が、静的圧力に相対して指定された閾値を超える場合であり、これは急速な変更を示す(例えば、45psi静的圧力を有する住宅構造の水道システムの場合、2psi/秒におおよそ等しい微分が必要とされ得、これは、構造水道システムの実際の静的圧力によりスケーリングされ得る)。あまり一般的ではない第2の条件は、スライド窓内の最大値と最小値の差が静的圧力に相対する閾値を超える場合に検出され、これは遅いが大きな変更を示す(例えば、45psi静的圧力を有する住宅構造の場合、約1psiの差が必要とされ得、これは実際の静的圧力によりスケーリングされ得る)。弁圧事象の開始が、いずれかの方法を介して検出された後、微分の符号の次の変更は、前の静的圧力に相対するこの弁事象の極値(最大または最小のいずれかであり得る)を表す。
【0049】
次に、区別された弁事象の終了を、変動の極値(すなわち、微分の符号の変更)が、事象の開始に続く最初の極値の大きさの予め定義される割合(例えば、5%)未満である最初のポイントとして、検出することができる。事象が、変動の大きさの急速な増大を伴って終了することも起こり得、これは、複合(または重複)事象の発生に対応し、さらに詳細に後述する。この方法を住宅構造内で収集されたデータに適用して、弁事象を取り巻く圧力出力信号データストリームから、弁事象の100%の適切な区別がもたらされた。
【0050】
弁開事象および弁閉事象の分類
各弁事象を区別した後、弁事象は、弁開事象または弁閉事象のいずれかとして分類される。弁開事象は、弁を開けつつあることに対応する一方で、弁閉事象は弁を閉じつつあることに対応する。弁は、多くの場合、完全に閉じられた状態から開き、完全に開かれた状態から閉じることができ、または単純に前の状態よりも大きく開くか、もしくは閉じることができる。まず、区別された事象の開始時および終了時での平滑化圧力の差を考慮する分類子が適用される。この差の大きさが閾値(例えば、45psi静的圧力を有する住宅構造の場合、2psiであり、実際の静的圧力によりスケーリングされる)を超える場合、事象を即座に分類することができる(圧力低減は弁開事象に対応し、圧力増大は弁閉事象に対応する)。その他の場合、事象は、開始と最初の極値との間の微分の平均値により分類される。弁開事象は、初期圧力低減(正の平均微分)を生み出す一方で、弁閉事象は、初期圧力増大(負の平均微分)を生み出す。この方法を住宅構造から収集されたデータから区別された弁事象に適用することで、弁開事象および弁閉事象が100%正確に分類された。
【0051】
設備の分類
弁開事象および弁閉事象は、テンプレートに基づく分類子を使用して構造内の特定の設備に関連付けることができる。未知の事象を分類する場合、潜在的なテンプレートがまず、4つの相補的な距離尺度に従ってフィルタリングされる。
【0052】
使用される第1の距離尺度は、信号検出理論において非常に一般的な整合フィルタである。整合フィルタは、加算白色雑音が存在する場合の最適検出メカニズムである。主な制限は、区別対象の圧力遷移信号が直交しないことである。これらの信号を直交にするには、各事象の源についての特定の知識を必要とし、これは正に推測する必要がある情報である。
【0053】
第2の距離尺度は、事象の微分が常に、指数的に低減する正弦曲線に似るために含まれる整合微分フィルタである。したがって、微分が元の圧力信号よりも直交的であり、この整合微分フィルタが単純な整合フィルタとは別個の価値を提供し得ると結論付けることは妥当である。
【0054】
第3の距離尺度は、整合実数ケプストラムフィルタに基づき、このフィルタは、事象のフーリエ変換の大きさの自然対数の逆フーリエ変換である。この尺度は、未知のフィルタを通って移動した信号の元のバージョンを近似しようとする(分類中の弁事象が、構造の水道管内の未知の経路を通って圧力遷移信号が伝播することにより変形される場合とまったく同じように)。この手法は、明確な制限を有するが、主に変換関数(構造の配管を通る事象の伝播)からのケプストラム結果により低い係数および主にソース(元の弁開事象/弁閉事象)からより高い係数を示すことができた。主な関心は、変換関数にあり(部分的に、変換関数により、家庭内の同一の設備の複数の事例を区別できるため)、したがって、ケプストラムが、より低い係数のみを含むように切り捨てられる。結果として得られる空間は、直交性が高く、第3の効率的かつ相補的な整合フィルタがもたらされる。
【0055】
最後に、第4の距離尺度は、単純な平均二乗誤差(すなわち、ユークリッド距離)であり、圧力センサ出力信号に基づいて、水道システム内で検出された2つの事象のうちの長いほうを切り捨てることにより、計算される。
【0056】
同様に、これらの距離尺度に基づいて潜在的なテンプレートのフィルタリングに使用される閾値は、訓練データから学習することができる(すなわち、このステップは、未知の事象に対する類似度が、訓練データ内で観測された最小クラス内類似度未満であるテンプレートをフィルタリングするために提供される)。検出された事象に対して、4つすべてのフィルタを通過するテンプレートがない場合、未知の事象は分類されない。この場合、アプリケーションは、例えば、事象を無視するか、認識されていない設備にラベルを付けるように人に促すか、または認識されない事象が漏出の存在を示すか否かを判断し得る。複数の異なる設備に対応するテンプレートが、4つすべての距離尺度フィルタを通過する場合、訓練データに対して最良の性能の単一の距離尺度により定義される最近傍分類子が、これらのテンプレートの中から選ばれる。最近傍分類子の単一の距離尺度は、クラス内とクラス外の受信者特性(ROC)曲線下の面積に基づいて選ばれる。
【0057】
設備分類評価
設備分類は、収集されたテストデータ内の複数の住宅構造にわたり学習モデルパラメータのロバスト性を実証するために選択された経験的な設計を使用して評価される。特に、データが収集された特定の住宅構造によるデータに関連する相互検証実験を行った。相互検証では試行は9回であり、各試行は、テストデータとして1つの住宅構造からのデータおよび訓練データとして他の8つの住宅構造からのデータを使用した。テストデータからモデルパラメータ(すなわち、4つの類似度フィルタ閾値および最後の最近傍分類子への距離尺度の選択)を学習した後、テスト住宅構造内の各事象を、「1個抜き法」を使用してテストした。次に、各テスト住宅構造事象を、訓練データから学習されたモデルパラメータと共に、テンプレートとしてその他の事象を使用して分類することができる。
【0058】
図6は、表150内のこの評価の結果を提示する。各家庭(ひいては相互検証の各テストフォールド)内および合計の弁開事象および弁閉事象の設備レベルでの識別精度ならびに95.6%の設備レベル分類精度。図7は、同じデータに対する異なる視点を提示する表160を含み、すべての住宅構造にわたる異なる種類の設備の設備レベルの分類精度を示す。すべての構造にわたる全体的な設備レベルの分類は、分類精度が100%であるいくつかの事例を含め、90%を優に上回る。特に留意すべきことは、住宅構造内の異なるシンクでの弁開と弁閉を信頼的に区別する新規の本手法の能力である。テストデータセットは、部分的にはテストデータ収集の時間的制約により、かつ部分的には、従来技術において他者により、水の使用の高度に構造化された周期で(新規の本手法と組み合わせることもできる)これらの設備が容易に認識可能であることが示されているため、衣服洗濯機または食洗機を使用する事例を少数しか含まない。しかし、新規の本手法は、例えば、食洗機が特別事前すすぎまたは他の周期変動を使用して実行されることがある場合に重要な充填周期数から独立すると共に、これらの家電のうちの任意の家電の弁が開かれ、最初に水を使用し始めるとすぐに、使用中の家電を認識することができる(充填周期の構造化パターンが時間の経過に伴って明らかになった後でのみ、家電を認識可能なこととは対照的に)。
【0059】
流れ推定の解析
上述したように、体積流速Qは、圧力の変更ΔPを抵抗変数Rで除算したものに比例する。
【数4】

圧力の変更ΔPは、検出される弁開事象の開始時の圧力と、区別された弁開圧力遷移波インパルスの終了時の安定化圧力との差を測定することにより、自動的に計算される。抵抗変数Rは、直接測定することができないが、グラウンドトルース流速情報を、構造内の各弁の対応する圧力変更と一緒に捕捉することにより、経験的に特定することができる。以下の考察では、Rの学習に関して2つのシナリオを考慮する。第1のシナリオでは、流れの単一の較正が、構造内の関心のあるあらゆる弁に対して行われるものと仮定する。第2のシナリオでは、構造内の弁のうちのくつかのみの較正からの情報を使用して、較正されていないその他の弁でのRを推定しようとする。
【0060】
個々に較正される弁
本明細書において考察されるようなシステムを設置するプロセスが、構造内の設備毎に単一の較正を含み得ると考えることは不合理ではない。この第1のシナリオでは、この経験的な特定を行うことにより、家庭内の各弁に既知のR値を表記することができ、続けて、弁が開かれた場合、その値を水道システム内で感知された圧力変更ΔPと一緒に使用して、その弁での水流を推定することができる。
【0061】
このシナリオで得ることができる流れ推定の精度を、相互検証実験を使用して、住宅構造H1、H4、H5、およびH7(上述)内の水栓およびシャワー設備のそれぞれで収集された5つの較正容器試行データセットを解析することにより、調べた。相互検証での各試行では、単一の較正容器テストを使用して、設備の弁の抵抗変数Rを推定した。次に、Rの推定値を使用して、弁が開かれた場合に測定された圧力変更ΔPに従ってその他の4つの試行での流れを推定した。これらの推定流速(抵抗Rの推定値に基づく)と、それぞれの対応する実際の流速(較正容器試行を通して得られる)との間に差を書き留めた。この実験の結果を図8の表170に示す。
【0062】
テストした4つの住宅構造のうちの3つ(H1、H4、H5)は、8%未満(または約0.16GPM)の誤差率を有し、これは、公益企業により供給される従来の水道メータの経験的研究において見られる誤差率10%に匹敵する。しかし、第4の住宅構造(H7)は、20%を超える誤差率を有し、これは、センサの設置位置によるものと考えられる。最初の3つの構造は、圧力センサを水栓外側に設置したが、H7では、圧力センサを給湯タンク排水弁に設置した。圧力センサを給湯タンク排水弁に接続したことにより、圧力センサが供給水主菅の圧力およびタンク内の水の頭部圧力の両方に応答することになった。上述したように、ここでは、新規の本手法に利用される単一の圧力モデルは、直線の配管を仮定し、頭部圧力を考慮しない。この状況に対しては、Rの異なるモデルが必要である可能性が高い。H7での水弁が、この誤差源により特に影響を受けたように思われる。実際に、H7の4つの水弁を解析から除外すると、平均誤差は0.15GPM(SD=0.18)または4.5%(SD=3.8%)に劇的に向上した。
【0063】
較正されない弁のR推定
構造内の弁のサブセットのみが直接較正されて、抵抗Rを特定する第2のシナリオでは、その弁のサブセットの較正から、構造全体の流体抵抗のモデルを構築しようとすることが妥当であるように思われる。鍵となる概念は、構造内の各弁への経路は固有であるが、それらの経路が、長さおよび配管の全体レイアウトにおいて大量の空間的重複を共有もすることである。例えば、特定のバスルーム内のトイレおよびシンクは通常、水道システム内の同じ枝菅を共有し、経路長はおおよそ同じである。
【0064】
この手法を検査するために、較正容器試行データを、モデルデータセットおよびテストデータセットを含む2つのデータセットに分けた。モデルにはまず、単一のランダムに選択された試行が入力され、次に、この試行を使用して基線R値を推定した。このR値を使用して、テストデータセット内の各試行の流れ推定を計算し、それぞれを対応する実際の流れと比較した。次に、第2のランダムな試行をモデルに追加し(かつテストデータセットから除去し)、次に、モデルを使用して、線形回帰を生成した(Q=RΔP+b、但し、bは定数である)。この線形回帰式を使用して、テストセット内の残りの試行の流れ推定を計算し、すべての試行がサンプリングされるまで、このプロセスを繰り返した。特に幸運または不幸なランダムサンプリングを回避するために、このプロセスを住宅構造毎に5回繰り返し、結果を平均化した。図9のグラフ180は、住宅構造H1、H4、H5、およびH7のそれぞれの結果182、184、186、および188を提示する(上述したように、水栓の結果を住宅構造H7の曲線から除外したことに留意する)。
【0065】
5つの試行をサンプリングした後、平均誤差は、4つの住宅構造にわたり74%から0.27GPMに低減し、前の解析からのより包括的なRデータの0.11GMP以内であった。この初期結果は、第2のシナリオに従って構造内の弁にわたり較正を一般化することが可能なはずであり、したがって、構造内の設備毎または家電毎に流れ抵抗を経験的に特定する必要がないことを示す。
【0066】
弁/設備事象検出の詳細
弁/設備事象検出の検出のために実行される例示的な論理ステップ200を図11に示す。圧力モニタからの出力信号P(t)が、信号202として低域フィルタ(13Hz)204および低域フィルタ(1Hz)206の両方に入力される。低域フィルタ206は、フィルタリングされた信号を、信号の実数ケプストラムを計算するブロック208に渡すと共に、信号の微分を特定する微分フィルタ(バンドパス)210に渡す。微分は判断ブロック(比較器)212に入力され、判断ブロック212は、微分が第1の予め定義される閾値を上回るか否かを判断する。上回る場合、微分フィルタ210から微分を受信するために結合されたゲート216が閉じられ、微分はブロック218に入力され、ブロック218は、事象の開始と終了(上述したように特定される)との時間間隔を検出することにより、事象の持続時間を推定する。さらに、判断ブロック212からの応答が肯定の場合、ブロック214に微分信号の局所的極値を見つけさせる。事象の推定持続時間がブロック224に入力され、ブロック224は、開事象または閉事象のいずれかとして事象を分類する。判断ブロック(比較器)226が、ブロック214で見つけられた局値が第2の予め定義される閾値を上回るか否かを判断し、上回る場合、ゲート228を閉じ、これにより、テンプレート保存ブロック230が、低域フィルタ204によりフィルタリングされた信号、実数ケプストラム、および微分の各特徴を含むテンプレートを保存することができる。したがって、特定の事象に関して保存される各テンプレートは、低圧特徴、ケプストラム特徴、および微分特徴を含み、テンプレートは、特定の弁開事象または特定の弁閉事象のいずれか(またはシステムでの他の何等かの活動)であるものとして識別される。保存されたテンプレートは、線232に出力されて、メモリ(この図に示さず)に記憶される。
【0067】
微分が、判断ブロック212において、第1の予め定義される閾値を上回らない場合、または局所的極値が、判断ブロック226において、第2の予め定義される閾値を上回らない場合、論理は、事象が発生しなかったと結論付ける。ブロック222は、連続検索を提供して、上述したように、圧力モニタからの出力信号P(t)を処理することにより、事象を検出する。
【0068】
図12において、フローチャート240は、図11と併せて上述したように生成された複数の保存テンプレートと比較することにより、事象を分類する例示的なステップを示す。検出された未知の種類の事象がプリプロセッサ242に入力され、プリプロセッサ242は、圧力信号、ケプストラム信号、および微分信号を出力として提供する。圧力信号は、相関整合フィルタ244に入力されて、現在のテンプレートの低圧特徴246と比較されると共に、位置合わせブロック248にも供給される。主システム圧力は、その事象のテンプレートの特徴ともはや一致しなくなるのに十分、圧力遷移波の特徴をシフトさせ得るため、位置合わせブロックは、主システム(すなわち、圧力調整器を含まない構造)圧力の任意の変動の補償を提供する。さらに、位置合わせブロックは、保存されたテンプレートと最大限に重なるように、未知の事象を時間シフトし得る。
【0069】
プリプロセッサ242からの微分信号は、相関整合フィルタブロック250に入力され、現在のテンプレートのケプストラム特徴252と比較される。同様に、微分信号は相関整合フィルタ254に入力され、現在のテンプレートの微分特徴と比較される。相関整合フィルタ244、250、および254は、未知の事象の圧力遷移波信号の低圧特徴、ケプストラム特徴、および微分特徴のそれぞれが、保存されている各テンプレートのものとどれくらい近いかをそれぞれ示す相関値を生成する。これらのパラメータのそれぞれとテンプレートの特徴との高い相関値は、現在の未知の事象が、テンプレートが保存された事象である確率が高いことを示す。
【0070】
相関整合フィルタ244の出力は、判断ブロック(比較器)260に入力されて、予め定義される第1の最小値を上回るか否かが判断され、上回る場合、ゲート262は閉じられ、イネーブル線に結合する。位置合わせブロック248からの出力は、ユークリッド距離ブロック256に加えられ、ユークリッド距離ブロック256は、ユークリッド距離(現在のテンプレートの低圧特徴258と、対応する未知の事象の圧力信号の補償され、位置合わせされた低圧特徴258との差の二乗の和の平方根に等しい)を特定する。ユークリッド距離結果は、判断ブロック(比較器)264に入力され、予め定義される最大値を下回るか否か判断される。下回る場合、ゲート266は閉じられ、ゲート262の下流側に結合する。相関整合フィルタ250からの補正値結果は、判断ステップ(比較器)268に入力され、予め定義される第2の最小値を上回るか否かが判断され、上回る場合、ゲート270は閉じられ、ゲート266の下流側に結合する。最後に、相関整合フィルタ254からの相関値は、判断ブロック(比較器)272に入力され、第3の予め定義される最小値を上回るか否かが判断され、上回る場合、ゲート274が閉じられ、ゲート270の下流側に接続する。すべてのゲート262、266、270、および274が閉じられた場合(AND論理へのすべての入力が真であることに対応する)、現在のテンプレートは、処理中の未知の事象に対する相手候補であり、ブロック276は、相手候補として現在のテンプレートを識別するための条件を検出する。
【0071】
これらの4つのゲートのうちの1つまたは複数が開いている場合(特に図示せず)、論理は単純に判断ブロック278に進み、現在のテンプレートを未知の事象に対する相手候補として識別しない。判断ブロック278は、未知の事象と比較されていない保存テンプレートがまだあるか否かを判断する。まだある場合、ブロック280は、上述したように、未知の事象の特徴と次の保存テンプレートの特徴との比較を繰り返す。保存テンプレートがもう残っていない場合、判断ブロック282は、任意の事象テンプレートが、未知の事象に対する相手候補として識別されたか否かを判断する。識別されていない場合、ブロック284において、未知の事象は新しい事象として分類される。その他の場合、イネーブル信号がブロック286に供給されて、未知の事象の特徴に対して最大の相関を有する保存テンプレートを選べるようにする。相関整合フィルタ254からの出力は、ブロック286に供給され、ブロック286において(イネーブル信号に応答して)、最高の相関を有する保存テンプレートが、事象の種類として選ばれる。相関整合フィルタ244および250からの出力は、ブロック286に接続することもでき(接続は図示せず)、相関整合フィルタ254からの出力に代えて使用することができる。ブロック286は、上述したように、訓練中、ROCに基づいて相関整合フィルタ244、250、または254のいずれか1つからの出力を使用する。次に、未知の事象は、ブロック288において、選ばれた保存テンプレート(すなわち、相関整合フィルタ244、250、または254からの出力に従って最高の全体相関を有する保存テンプレート)に基づいて分類される。
【0072】
自動較正
人件費およびデータ入力費を低減する一方法として、多くの水道システム公益企業は、旧い水道メータを自動計測器(AMR)システムと交換している。AMRシステムは、水道システム公益企業が、住宅/商用水道メータを無線で自動的に読み取れるようにし、それにより、メータ検針員ならびにメータが読み取られる際、および顧客に提供される請求書を生成するために、現場で記録されたデータが課金システムに入力される際に発生する手作業での転写エラーをなくすことで、コストを大幅に低減する。AMRメータ(または無線で、またはリード線を介して液体流測定データを送信可能な任意のメータ)と併せて使用される場合、新規の本システムは、合計流量についてのリアルタイムの情報を受信し、それらの合計流データを使用して、構造の水道システム内の弁のうちのすべてまたはいくつかに対する流れ抵抗を特定することにより、流れ推定アルゴリズムを較正する。
【0073】
AMR(または同様の)インライン流量メータを半自動較正に使用して、液体分配システムの異なる部分の流れ抵抗を特定するために、以下のステップを実行することができる。
(1)新規の本システムは、水道メータ(AMRまたは他の無線もしくは有線接続されたインライン流量メータ)に問い合わせて、基線累積流量を得る。
(2)構造にアクセスできる人(例えば、住宅構造の所有者)が、構造の水道システム内の各弁を個々に開き、短時間(例えば、15秒)弁を開けた状態にしてから閉じるように指示される。
(3)そうして人により作動した弁毎に、新規の本システムは、開/閉事象の発生ならびに弁が開かれていた持続時間を自動的に特定する。
(4)次に、新規の本システムは、各弁の閉事象後に水道メータに問い合わせ、前の流量(基線値で開始される)を新しい流量から差し引いて、弁が開かれていた間に弁を通過した合計流量を得る。弁を通るこの合計流量は、次に、弁開持続時間で除算されて、流速が得られ、流速は、上述したように、開かれて閉じられる弁に関する水道システムの流れ抵抗を特定するために使用される。
【0074】
半自動較正は、所望に応じて繰り返して、例えば、温度、蓄積物もしくは腐食堆積、または配管もしくは導管のレイアウトの変更による水道システムの変更を補償することができる。こうして、各弁に対するシステムの流れ抵抗が正確に特定されると、流れ抵抗を使用して、システムの任意の開かれた弁での流体流を特定することができる。
【0075】
この較正プロセス全体は、新規の本システムがAMR(または無線もしくは有線接続された他の)メータを頼り、開/閉事象対が検出される都度、流量データを提供させることにより、完全に自動的に行うことができる。流量が弁のあらゆる開/閉事象対に対してAMRメータから直接得ることができる場合、新規の本システムがもはや流れを推定する必要がないように見え得るため、この手法は、流れ抵抗を特定するために、水道システムを較正する必要性をなくすように思える。しかし、AMRメータを使用して、流れを特定することは、AMRメータが合計水流に対する合計値しか提供できないため、制限を有する。AMRメータは、1つまたは複数の重複する事象のそれぞれの流れを示すことができない。複合事象の場合、重複する事象の設備毎に流量を推定するために、やはり新規の本システムが使用される。
【0076】
漏出検出
新規の本システムを利用して、以下のように、漏出の種類および原因に応じて水道システム内の漏出を検出することができる2つの手法がある。
【0077】
高分解能AMR(または無線もしくは有線接続された他の)流量メータが、構造の液体システムに設置される場合、新規の本手法は、構造内の任意の設備で弁開事象が検出されない長い時間間隔にわたって発生する任意の流れの遅い水の使用を検出することができる(例えば、人が構造から離れているか、または人が夜間寝ており、水道システムが使用されないか、または設備の弁が開かれない6〜12の期間)。明らかに、弁が開かれないこの時間中に高分解能流量メータにより水道システム内で検出されるいかなる合計流量も、ゆっくりとした漏出を示すものであるはずである。そのような漏出は、凍結破損もしくは腐食に起因する配管へのピンホールの形成によることもあれば、または完全に閉じられていない弁もしくは漏れやすい弁ステム封止もしくは漏れやすい弁座を有する弁を通しての連続した漏出に起因することもある。
【0078】
別の一般的な種類の漏出は、水を便器内に流すトイレの漏れやすいフロート弁によるものである。この場合、便器への過度の流れは、排水に出て行く。この種の漏出は、トイレタンクが補充される際、定期的なトイレの開/閉事象が検出させるが、フロート弁漏出によりトイレ水槽内の液位が低下する際、水槽の一部のみが補充されるため、通常のトイレを流すトイレフロート弁の開閉と異なる。漏れやすいフロート弁を通してのトイレタンクからの水漏れの場合、タンク内の水位は最終的に、タンクの流入弁を自動的に始動させて、補充を開始するポイントまで低減する。補充は、通常、トイレを流す間にトイレタンクから便器に2ガロン以上が出されるのとは対照的に、わずか0.1〜0.3ガロンが便器に漏れた後、行われ得る。漏出フロート弁に起因する補充は、トイレ流入弁がタンクを補充する間、開事象を生じさせ、タンク内の水位が遮断深度に達し、それによりフロート弁が閉じると、トイレ補充が停止する際に閉事象を生じさせる。フロート弁は、この補充中、上辺では閉じたままであるが、やはり便器に水漏れし続ける。
【0079】
漏れやすいフロート弁の開/閉事象対の持続時間は、通常のトイレフラッシュ後の通常のトイレ充填事象よりも短い(タンクを補充するために必要な水が少ないため)が、このより短い時間の補充およびより短い時間の弁開事象もやはり、新規の本システムにより検出することが可能である。漏出補充事象の時間が短いことに加えて、フロート弁トイレ漏出の定期性により、通常の事象との差別化が容易である(例えば、トイレは、通常のトイレフラッシュで中断されない場合、34分間隔で補充され得る)。弁開事象および弁閉事象の始動に使用される液位間のヒステリシスを有する他の種類の液体槽からの漏出等のこの定期的な挙動を示す他の種類の漏出も、この手法を使用して検出することができる。弁を通る水の流れの特徴により、2つ以上のトイレが構造内に含まれる場合、漏出している特定のトイレのフロート弁をこのようにして区別することができる。
【0080】
複数の感知点
複数のセンサを構造の液体分配システムに設置して、圧力センサが配置された2つ以上の異なる位置において単一の事象により生じる圧力遷移シグネチャを検出することができる。2つの遷移シグネチャの開始時間差を、本明細書において考察したように、圧力遷移波形の低圧、微分、および実数ケプストラム特徴についての特徴を含む事象テンプレートの保存に関連して概して開示したように、既知の時間差テンプレートセットから選ぶことにより、事象を識別する際に使用することができる。この時間差を使用して、発生源と異なる各感知点との距離差により、事象が発生した設備の位置をピンポイントすることができる。
【0081】
図13Aは、水道システムでの2つの空間的に分散した圧力センサにより検出された同じ設備事象に対応する未処理の圧力出力信号302および304を示すグラフ300である。2つの異なる圧力センサからの2つの出力信号波形は、形状が同じように見えるが(2つの圧力センサにより受信された圧力遷移波が辿る異なる経路および圧力センサの応答の差により、振幅および高周波数減衰にいくらかの差があるが)、波形は互いに時間にして約800msずれている。この時間遅延オフセット特徴は、構造の水道システム圧力および波形の振幅から独立しているため、設備レベルで事象源を区別するロバストな手法を提供する。
【0082】
図13Bは、13Hz低域フィルタを通してフィルタリングした後のフィルタリング圧力出力信号312および314を示すグラフ310である。この低域フィルタは、波形の高周波数成分を抑圧し、2つの信号の時間遅延をより明確にする。
【0083】
能動的な水道事象プローブ
水道システム内で圧力遷移を検出するために使用される圧力センサまたは変換器に逆バイアスをかけて、水道システムを通って伝播する既知の圧力遷移パルスを生成することができる。例示的な能動的圧力信号波322を図14Aのグラフ320に示す。この能動的な圧力信号波は、圧力センサに戻る反射信号を観測することにより、システム内の弁の位置を問い合わせるために使用される。図14Bは、水道システム内の閉じられた弁から反射される圧力信号等の例示的な反射圧力信号326を示すグラフ324である。
【0084】
反射圧力信号の様々な特徴を使用して、能動的な反射プローブ圧力波の特徴的な特徴を含む新しいテンプレートを作成することができる。システム内の弁が関連付けられたそのようなテンプレートは、保存し、圧力センサからの出力信号として供給されるプローブ圧力パルス信号からの続く反射圧力波の処理に使用される。これらの反射信号特徴の変更は、水道システムの状態の変更を示す(例えば、閉じられていた弁が開かれた)。弁を開くことは、信号に高周波数減衰ならびにパルスシフトを受けさせる(図14Bの例示的な反射信号326参照)。これらの2つの特徴を使用して、反射信号の経路および水流の指標を推定することができる。能動的な圧力パルスプローブは、例えば、上述した新規の受け身的な手法を使用して、事象が見つからない場合、構造の液体分配システム内の弁の現在の状態を問い合わせるために有用である。
【0085】
圧力モジュールからの出力信号を処理する例示的な計算装置
図15は、新規の本技法の実施に適したコンピュータ364を備える例示的な計算装置350を概略的に示す。コンピュータ364は、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、サーバ、または他の形態の計算装置等の一般的に従来通りのパーソナルコンピュータ(PC)であり得る。コンピュータ364はディスプレイ368に結合され、ディスプレイ368は、水が消費された、または消費されている事象、活動、および特定の設備ならびに特定の設備への流速に関するデータ等のテキストおよびグラフィックスをユーザに対して表示するために使用される。コンピュータ364内には、プロセッサ362が含まれる。データと、モジュールおよびソフトウェアプログラムを構成する機械可読・実行可能命令と、デジタル信号とを記憶するメモリ366(読み取り専用メモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)の両方を有する)、不揮発性記憶装置360(ハードドライブまたは他の不揮発性データ記憶装置)、ネットワークインタフェース352、ならびに光学ドライブ358が、バス354を通してプロセッサ362に結合される。記憶されるデータは、テンプレート、予め定義される閾値、および圧力モジュールからの出力信号の処理に使用される他のパラメータを含むことができる。これらのデータはいずれも、代替として、ネットワークインタフェース352を通して、インターネットまたは他のネットワーク等のネットワーク370を介してアクセスしてもよい。光学ドライブ358は、新規の本技法を実施する機械命令ならびにコンピュータ364により実行し得る他のソフトウェアモジュールおよびプログラムが記憶されたコンパクトディスク(CD)356(またはデジタルビデオディスク(DVD)等の他の光学記憶媒体)を読み取ることができる。機械命令は、メモリ366にロードされてから、プロセッサ362により実行されて、本技法を実施するステップを実行し、例えば、上述したように、除算ステップ、乗算ステップ、および引き算ステップを実行する。ユーザは、コンピュータ364に結合されたキーボード/マウス372を通してプロセスに入力を提供し、かつ/またはプロセスを制御することができる。Bluetooth(登録商標)無線374もバス354に接続され、Bluetooth(登録商標)無線信号376を圧力モジュールから受信する。他の種類の有線または無線の通信リンクが出力信号を圧力モジュールから搬送してもよいことが理解されよう。例えば、WiFi無線信号またはEthernet(登録商標)もしくはユニフォームシリアルバス(USB)有線通信リンクを、Bluetooth(登録商標)無線に代えて使用してもよい。出力信号は、データとして不揮発性メモリ媒体に記憶し、続けて、コンピュータ364を使用して処理して、構造内の水の使用量および/または流速を見直すことができる。
【0086】
考察
本明細書において開示される新規の手法は、システム内の圧力を連続して監視することを介して、液体分配システム内の活動の単一点感知に大きな展望を示す。この手法は、周囲の圧力センサ出力信号ストリームから弁圧力事象を区別し、区別された事象が弁開に対応するか、それとも弁閉に対応するかを判断する信頼性の高い方法を明らかに表す。経験的なテストは、本手法の効率および正確性を示した。9つの住宅構造で収集されたデータを使用して、弁事象が関連付けられた個々の設備の識別において、95.6%の合計精度が実証された。これらの住宅構造のうちの4つで収集された流れデータを解析して、適宜配置され、較正されたシステムが、従来の公益企業により供給される水道メータの経験的な研究に匹敵する誤差率で水の使用量を推定できることが示された。単一のセンサを使用して個々の設備での活動を識別する能力それ自体が、重要な進歩である。さらなるセンサを、第1のセンサが設置されたポイントから隔てられた液体分配システム内のポイントに追加することにより、センサから出力される圧力遷移波形信号間の遅延時間に基づいて、システム内の事象についてさらなる情報が提供される。
【0087】
新規の本手法の初期評価は、住宅構造内の様々な設備の水の使用量、事象、および活動の監視に適用されたが、再度、この手法をその種の構造または水道システム内の水のみに関わる事象および活動の監視のいずれにも限定する理由はないことを強調しておくべきである。限定に代えて、この手法は、配管または導管等の液体分配通路を通って流れる液体に関わる事象および活動の監視が望ましい略あらゆる用途に適用可能である。例えば、本手法は、化学処理施設または醸造所内の弁事象および他の活動の監視、様々な液体の流速の特定、または漏出の検出に使用することができる。上述したように、本明細書および以下の特許請求の範囲内で使用される場合、用語「構造」は、液体分配システムが液体を様々な設備に搬送するか、弁を通して搬送するか、または他の流れを変更する装置を通して搬送するあらゆる施設を包含するように、広く解釈されることが意図される。したがって、住宅構造内の水道システムは、そのような液体分配システムの単なる一例であり、水はそのような液体の単なる一例である。
【0088】
上述した解析は、分離して発生する設備事象の識別に焦点を合わせたが、複数の事象が重複する場合を考慮することが明らかに重要である。この点に関して新規の本手法の性能を評価するために、図10のグラフ190に部分的に示されるように、6つの複合事象(シャワー/シンク、トイレ/シンク、およびシャワー/トイレ/シンクの重複にそれぞれ2つ)を住宅構造H1において収集した。シャワー開事象1とトイレ開事象2との重複、水栓開事象3との重複、その後、水栓の閉事象、トイレの閉事象が続く。事象区別アルゴリズムは、これらの重複事象を正確に区別することができた(すなわち、重複する事象の開始に対応する圧力変動の大きさの急速な増大が検出された場合、進行中の事象の終了を識別することが可能であった)。圧力遷移波形の視覚的な検査により、事象の大きさおよび形状が重複により比較的乱されないことが示唆される。さらに、本明細書において説明された手法を使用して、そのような複合事象を分類することも可能なはずである。
【0089】
流速の信頼性の高い推定が、正確な較正の影響を受けやすいことが特定され、経験的な手法を使用して、上述したように、この較正を実行することができる。さらなる経験的なテストにより、後述した区別に最適な閾値パラメータおよび識別アルゴリズムを識別可能なはずであることが意図される。
【0090】
最初の収集から5週間後、H1において収集された第2のデータセットに基づいて、水道システムの挙動が一般に、時間の経過に伴い安定しているという初期証拠がある。上述した設備分類方法を、逆のデータセットからのテンプレートを使用して、このデータセット対に適用した(5週間離れて収集されたテンプレートを使用して、未知の事象を分類した)。設備の識別性能にいかなる低下も見られず、システムの挙動が、様々な機械学習方法を適用して、水道システム流速の自動較正を可能にするために十分な安定性を有し得ることが示唆される。
【0091】
住宅構造でのテストでのデータ収集は、一般的に良好な結果で、圧力センサをいくつかの異なる種類の設備(ホース栓、ユーティリティシンク水栓、給湯器排水弁)に設置することを含んだ。一方はホース栓に結合された圧力センサを使用し、他方は給湯器排水弁に結合された圧力センサを使用して、それぞれの性能が略同一であるとことを期待して、データの2つの同一の収集をH9において実行した。図6は、ホース栓に結合された圧力センサの性能を報告している。対照的に、圧力センサが給湯器排水弁にに移された場合、弁開事象の性能は88.6%に落ち、弁閉事象の性能は65.7%に落ちた(個々の設備の分類のみが影響を受け、事象が弁開であるか、それとも弁閉であるかの区別または判断は影響を受けなかった)。この性能レベルの変化は、圧力センサの位置が、新規の本手法の結果の精度に影響を及ぼす可能性があることを示すが、一般に、構造内の給湯器排水弁以外の略あらゆる水栓への圧力センサの結合が、許容可能な性能を提供すると思われる。新規の本手法が、弁開事象および弁閉事象に関連付けられた特定の設備を識別する能力に違いがある、図6に示される他の例があった。弁開事象および弁閉事象は対で発生するが、本手法は、それらの事象を個々に分類する。したがって、弁開事象と弁閉事象との対をまとめて分類することにより、弁が配置された設備を識別する際の精度の向上が達成されることが意図される。同様に、上述したように、流速は設備の識別から独立して推定されるが、これら2つは明らかに関連し、設備の水消費量と併せて流速を推測する際の結果の改良を達成し得ることが予期される。
【0092】
本明細書において開示された概念は、概念を実施する好ましい形態および好ましい形態への変更と併せて説明したが、以下の特許請求の範囲内で他の多くの変更を行い得ることを当業者は理解するであろう。したがって、これらの概念の範囲が、上記説明により決して限定されず、以下の特許請求の範囲を参照することにより全体的に決定されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造内の分配システム内の液体の流れを監視する方法であって、
(a)前記分配システム内の第1のポイントでの液圧を監視して、前記分配システム内の圧力を示す出力信号を生成するステップと、
(b)前記出力信号により示される圧力の変更に基づいて、前記分配システム内で発生している液体関連事象を検出するステップと、
(c)複数の異なる種類の事象の中から、前記出力信号の特徴を前記複数の異なる種類の事象に関連付けられた決定論的な基準と比較することにより、検出された液体関連事象の特定の種類を識別するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
複数の異なる弁が前記分配システムに結合され、前記液体関連事象を検出するステップは、前記出力信号を利用して、前記複数の異なる弁に含まれる弁の状態の変更を検出するステップを含み、前記弁の状態の変更は、前記弁が開かれつつあるか、または閉じられつつある際に発生する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の異なる弁のうちの1つまたは複数は、前記分配システムに結合された複数の異なる設備の中から特定の設備に関連付けられ、前記方法は、状態が変更した前記弁が関連付けられた特定の設備を識別するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記特定の設備に関連付けられた弁が、閉じられつつあることにより状態を変更したか、それとも開かれつつあることにより状態を変更したかを判断するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記分配システムは槽を含み、前記槽は、前記槽内の液位が予め定義されるレベル未満に下がった場合、自動的に開く弁を有し、前記方法は、前記槽内への液体の流れを制御する前記弁が必要に応じて開閉して、前記槽を補充し、前記槽から漏出した液体に取って代わる周期を示す圧力遷移波形の特徴を識別することにより、前記槽からの漏出を検出するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記出力信号および前記分配システムの予め定義される流れ抵抗の関数として、前記分配システム内の体積流速を自動的に特定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分配システムは、異なるポイントに配置された複数の弁を含み、前記方法は、
(a)前記分配システムの供給源の流入口から様々な距離にある前記分配システム内の複数の異なるポイントのそれぞれでの体積流速を経験的に測定するステップと、
(b)前記体積流速が測定されている間、前記出力信号により示される圧力の変更に基づいて、前記複数の異なるポイントのそれぞれでの前記分配システムの予め定義される流れ抵抗を特定するステップと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の異なるポイントで測定される予め定義される流れ抵抗に基づいて、液体の使用が前記分配システム内で発生し得る他の各ポイントでの流れ抵抗を推測するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記液体分配システムは、インライン液体体積流検出器を含み、前記方法は、
(a)前記インライン液体体積流検出器を使用して、前記分配システム内の複数の異なるポイントのそれぞれでの体積流速を、そのポイントでの弁がある時間にわたって開かれ、次に閉じられる際に連続して特定するステップと、
(b)前記ポイントにおける弁が開かれていた間、前記ポイントに対して特定された前記体積流速に基づいて、前記複数の異なるポイントのそれぞれでの前記分配システムの予め定義される流れ抵抗を特定するステップと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記液体体積流検出器を使用して、前記分配システム内のいずれも弁も、開かれていたと検出されない長い時間中、前記分配システム内の前記液体の流れを検出することにより、前記分配システム内の比較的低流の漏出を検出するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記検出された事象の特定の種類を識別するステップは、
(a)前記分配システムに結合された各設備の予め定義される圧力遷移波シグネチャを特定するステップと、
(b)前記予め定義される圧力遷移波シグネチャを記憶するステップと、
(c)前記出力信号により示される圧力遷移波シグネチャを、前記予め定義される圧力遷移波シグネチャと比較するステップと、
(d)前記出力信号により示される圧力遷移波シグネチャに最もよく一致する前記予め定義される圧力遷移波シグネチャを有する前記設備を識別することにより、かつ前記分配システム内の特定の設備の位置に基づいて、液体流を変更した特定の設備を識別するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記検出された液体関連事象の特定の種類を識別するステップは、
(a)前記分配システム内の圧力の変更に基づいて、前記出力信号を区別して、離散した事象を分離するステップと、
(b)検出された各離散事象を、弁開事象または弁閉事象のいずれかとして分類するステップであって、前記弁開事象は、弁が開かれつつあることに対応し、弁閉事象は、弁が閉じられつつあることに対応するステップと、
(c)事象を生成した特定の設備に従って、弁開事象または弁閉事象のそれぞれを分類するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記区別するステップは、
(a)前記出力信号をフィルタリングして、平滑化出力信号を生成するステップと、
(b)前記平滑化出力信号の微分を特定するステップと、
(c)スライド窓内の前記平滑化出力信号および微分を解析して、条件群から選択される少なくとも1つの条件に基づいて、弁事象の開始を検出するステップであって、前記条件群は、
(i)前記平滑化出力信号の微分が、前記分配システム内の静的圧力に相対する予め定義される第1の閾値を超えること、および
(ii)前記スライド窓内の最大圧力値と最小圧力値との差が、前記分配システム内の前記静的圧力に相対する予め定義される第2の閾値を超えること
からなる、検出するステップと、
(d)前記平滑化出力信号の微分を解析して、前記微分の符号の変更および前記微分の変更の大きさに基づいて、弁事象の終了を検出するステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
弁開事象または弁閉事象のいずれかとして検出された各離散液体関連事象を分類するステップは、条件群から選択される少なくとも1つの条件の発生に基づいて、弁開事象または弁閉事象として前記離散事象を分類するステップを含み、前記条件群は、
(a)弁事象の開始時と終了時の前記平滑化圧力の差の大きさが、第3の予め定義される閾値を超えることであって、弁事象の開始時と終了時の前記平滑化圧力の低減は、弁開事象を示し、弁事象の開始時と終了時の前記平滑化圧力の増大は、弁閉事象を示すこと、および
(b)前記弁事象の開始と前記微分の最初の極値との前記平滑化圧力の微分の平均値であって、前記微分の正の平均値は弁開事象を示し、前記微分の負の平均値は弁閉事象を示す、微分の平均値
からなる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
テンプレートに基づく分類子を使用して、弁開事象および弁閉事象を特定の設備に関連付けるステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記テンプレートに基づく分類子を使用するステップは、距離尺度群から選択される少なくとも1つの距離尺度を含む複数の相補的な距離尺度に従って、前記分類子に利用できる潜在的なテンプレートをフィルタリングした後、最大の相関を有するテンプレートを選び、事象が検出された設備を識別するステップを含み、前記距離尺度群は、
(a)整合フィルタ距離尺度、
(b)整合微分フィルタ距離尺度、
(c)整合実数ケプストラム距離尺度、および
(d)平均二乗誤差フィルタ距離尺度
からなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
訓練データ内に提供される前記相補的な距離尺度に基づいて、前記潜在的なテンプレートをフィルタリングするステップの実行に使用される閾値を特定するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複数の異なる設備に対応するテンプレートが、すべてのフィルタを通過する場合、前記方法は、前記設備の訓練データに対して最もよい性能を示す単一の距離尺度に基づいて、前記フィルタの中から、事象が検出された設備の識別に使用するフィルタを選ぶステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
(a)前記第1のポイントから離間された前記分配システム内の第2のポイントでの液圧を監視して、別の出力信号を生成するステップと、
(b)前記第1のポイントでの前記出力信号と前記第2のポイントでの前記出力信号との時間差に部分的に基づいて、前記分配システム内で発生している液体関連事象を検出するステップと、
(c)前記時間差に部分的に基づく、前記複数の異なる種類の事象の中から、検出された液体関連事象の特定の種類を識別するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
(a)前記分配システム内の前記液体に圧力遷移パルスを印加するステップと、
(b)前記分配システム内の前記圧力遷移パルスの反射に対応する圧力パルス波形を検出するステップと、
(c)前記圧力パルス波形の特徴に基づいて、
(i)前記分配システムを通る前記圧力遷移パルスおよび前記圧力パルス波形の経路、
(ii)前記分配システム内の液体流の指標、および
(iii)前記分配システム内の前記弁のうちの1つまたは複数の状態
のうちの少なくとも1つを特定するステップと
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項21】
構造の分配システム内の液体の流れを監視する際に利用される複数の機能を実行する機械可読・実行可能命令を含む媒体であって、前記機械可読・実行可能命令がプロセッサにより実行された場合、前記機能は、
(a)前記分配システム内の圧力を示す出力信号を受信し、処理すること、
(b)前記出力信号により示される圧力の変更に基づいて、前記分配システム内で発生している液体関連事象を検出すること、および
(c)複数の異なる種類の事象の中から、前記出力信号の特徴を前記複数の異なる種類の事象に関連付けられた決定論的な基準と比較することにより、検出された液体関連事象の特定の種類を識別すること
を含む、媒体。
【請求項22】
構造の分配システム内の液体の流れを監視する装置であって、
(a)分配システムに接続されて、前記分配システム内の圧力を感知し、次に、前記圧力を示すアナログ信号を生成するように構成される圧力センサと、
(b)前記圧力センサを構造内の設備に結合するようなサイズのコネクタと、
(c)前記圧力センサからの前記アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器と、
(d)前記アナログ/デジタル変換器に結合されて、前記デジタル信号を受信するマイクロコントローラであって、前記デジタル信号の取得を制御し、前記デジタル信号を処理して、前記出力信号により示される圧力の変更に基づいて、分配システム内で発生している事象の検出に使用される出力信号を生成し、前記出力信号は、複数の異なる種類の事象の中から事象の特定の種類を識別するために使用される、マイクロコントローラと、
(e)前記出力信号を計算装置に結合する通信リンクと
を備える、装置。
【請求項23】
構造内の分配システムでの液体の流れを監視するシステムであって、
(a)分配システムに接続されて、前記分配システム内の液体の圧力を感知するように構成された第1の圧力センサと、
(b)前記圧力センサに結合されるコントローラであって、前記圧力センサによる圧力の感知を制御し、前記圧力センサにより感知された圧力を示す出力信号を提供する、コントローラと、
(c)前記コントローラに結合され、前記出力信号を受信すると共に、前記出力信号を計算装置に通信する通信リンクと
を備え、前記計算装置は、
(i)機械実行可能命令を記憶したメモリと、
(ii)前記メモリに結合され、前記機械実行可能命令を実行するプロセッサであって、前記機械実行可能命令は、前記圧力センサが分配システムに接続された場合、複数の機能を前記プロセッサに実行させる、プロセッサと
を含み、前記複数の機能は、
(A)前記出力信号により示される圧力の変更に基づいて、前記分配システム内で発生している液体関連事象を検出すること、および
(B)複数の異なる種類の事象の中から、前記出力信号の特徴を前記複数の異なる種類の事象に関連付けられた決定論的な基準と比較することにより、検出された液体関連事象の特定の種類を識別すること
を含む、システム。
【請求項24】
(a)前記圧力センサにより生成されるアナログ信号を、前記コントローラに入力される対応するデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器と、
(b)前記圧力センサを構造内の分配システムに結合するコネクタと
をさらに備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記結合器は、ねじ込まれて、分配システムの設備に着脱可能に取り付けられるメス結合器を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記圧力センサが、複数の異なる弁を有する分配システムに結合された場合、前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、前記出力信号を利用して、前記複数の異なる弁に含まれる弁の状態の変更を検出させ、前記弁の状態の変更は、前記弁が開かれつつあるか、または閉じられつつある際に発生する、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記圧力センサが、前記複数の異なる弁のうちの1つまたは複数が、複数の異なる設備の中からの特定の設備に関連付けられる分配システムに結合される場合、前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、状態が変更した前記弁が関連付けられた特定の設備を識別させる、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記圧力センサが分配システムに結合される場合、前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、前記特定の設備に関連付けられた弁が、閉じられつつあることにより状態を変更したか、それとも開かれつつあることにより状態を変更したかを判断させる、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記圧力センサが、槽を含む分配システムに結合され、前記槽が、前記槽内の液位が予め定義されるレベル未満に下がった場合、自動的に開く弁を有する場合、前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、前記槽内への液体の流れを制御する弁が必要に応じて開閉して、前記槽を補充し、前記槽から漏出した液体に取って代わる周期を示す圧力遷移波形の特徴を識別することにより、前記槽からの漏出を検出させる、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記圧力センサが分配システムに結合される場合、前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、前記出力信号および前記分配システムの予め定義される流れ抵抗の関数として、前記分配システム内の体積流速を自動的に特定させる、請求項23に記載のシステム。
【請求項31】
前記圧力センサが分配システムに結合される場合、前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、
(a)前記分配システムの供給源の流入口から様々な距離にある前記分配システム内の複数の異なるポイントのそれぞれでの体積流速を経験的に測定させ、
(b)前記体積流速が測定されている間、前記出力信号により示される圧力の変更に基づいて、前記複数の異なるポイントのそれぞれでの前記分配システムの予め定義される流れ抵抗を特定させる、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、前記複数の異なるポイントで測定される予め定義される流れ抵抗に基づいて、液体の使用が前記分配システム内で発生し得る他の各ポイントでの流れ抵抗を推測させる、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記液体分配システムは、インライン液体体積流検出器を含み、前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、
(a)前記液体体積流検出器を使用して、前記分配システム内の複数の異なるポイントのそれぞれでの体積流速を、そのポイントでの弁がある時間にわたって開かれ、次に閉じられる際に連続して特定させ、
(b)前記ポイントにおける弁が開かれていた間、前記ポイントに対して特定された前記体積流速に基づいて、前記複数の異なるポイントのそれぞれでの前記分配システムの予め定義される流れ抵抗を特定させる、請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、前記インライン液体体積流検出器を使用して、前記分配システム内のいずれも弁も、開かれていたと検出されない長い時間中、前記分配システム内の前記液体の流れを検出することにより、前記分配システム内の比較的低流の漏出を検出させる、請求項30に記載のシステム。
【請求項35】
前記圧力センサが分配システムに結合される場合、前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、
(a)前記分配システムに結合された各設備の予め定義される圧力遷移波シグネチャを特定させ、
(b)前記予め定義される圧力遷移波シグネチャを記憶させ、
(c)前記出力信号により示される圧力遷移波シグネチャを、前記予め定義される圧力遷移波シグネチャと比較させ、
(d)前記出力信号により示される圧力遷移波シグネチャに最もよく一致する前記予め定義される圧力遷移波シグネチャを有する前記設備を識別することにより、かつ前記分配システム内の特定の設備の位置に基づいて、液体流を変更した特定の設備を識別させる、請求項23に記載のシステム。
【請求項36】
前記圧力センサが分配システムに結合される場合、前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、
(a)前記分配システム内の圧力の変更に基づいて、前記出力信号を区別して、離散した事象を分離させ、
(b)検出された各離散事象を、弁開事象または弁閉事象のいずれかとして分類させ、前記弁開事象は、弁が開かれつつあることに対応し、弁閉事象は、弁が閉じられつつあることに対応し、
(c)事象を生成した特定の設備に従って、弁開事象または弁閉事象のそれぞれを分類させる、請求項23に記載のシステム。
【請求項37】
前記圧力センサが分配システムに結合される場合、前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、
(a)前記出力信号をフィルタリングして、平滑化出力信号を生成させ、
(b)前記平滑化出力信号の微分を特定させ、
(c)スライド窓内の前記平滑化出力信号および微分を解析させて、条件群から選択される少なくとも1つの条件に基づいて、弁事象の開始を検出させ、前記条件群は、
(i)前記平滑化出力信号の微分が、前記分配システム内の静的圧力に相対する予め定義される第1の閾値を超えること、および
(ii)前記スライド窓内の最大圧力値と最小圧力値との差が、前記分配システム内の前記静的圧力に相対する予め定義される第2の閾値を超えること
からなり、
(d)前記平滑化出力信号の微分を解析させて、前記微分の符号の変更および前記微分の変更の大きさに基づいて、弁事象の終了を検出させる、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、
条件群から選択される条件の発生に基づいて、弁開事象または弁閉事象として前記離散事象を分類させ、前記条件群は、
(a)弁事象の開始時と終了時の前記平滑化圧力の差の大きさが、第3の予め定義される閾値を超えることであって、弁事象の開始時と終了時の前記平滑化圧力の低減は、弁開事象を示し、弁事象の開始時と終了時の前記平滑化圧力の増大は、弁閉事象を示すこと、および
(b)前記弁事象の開始と前記微分の最初の極値との前記平滑化圧力の微分の平均値であって、前記微分の正の平均値は弁開事象を示し、前記微分の負の平均値は弁閉事象を示す、微分の平均値
からなる、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、テンプレートに基づく分類子を使用して、弁開事象および弁閉事象を特定の設備に関連付けさせる、請求項36に記載のシステム。
【請求項40】
前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、距離尺度群から選択される少なくとも1つの距離尺度を含む複数の相補的な距離尺度に従って、前記分類子に利用できる潜在的なテンプレートをフィルタリングした後、最大の相関を有するテンプレートを選ばせ、事象が検出された前記設備を識別させ、前記距離尺度群は、
(a)整合フィルタ距離尺度、
(b)整合微分フィルタ距離尺度、
(c)整合実数ケプストラム距離尺度、および
(d)平均二乗誤差フィルタ距離尺度
からなる、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、訓練データに提供される前記相補的な距離尺度に基づいて、前記潜在的なテンプレートをフィルタリングするステップの実行に使用される閾値を決定させる、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
複数の異なる設備に対応するテンプレートが、すべてのフィルタを通過する場合、前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、前記設備のトレーニングデータに対して最もよい性能を示す単一の距離尺度に基づいて、前記フィルタの中から、事象が検出された設備の識別に使用するフィルタを選ばせる、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
前記第1の圧力センサが接続された前記第1のポイントから離間された前記分配システム内の第2のポイントにおいて分配システムに接続され、前記第2のポイントでの前記分配システムの圧力を感知するように構成された第2の圧力センサをさらに備え、前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、複数の機能を実行させ、前記複数の機能は、
(a)前記第1のポイントでの前記出力信号と前記第2のポイントでの前記出力信号との時間差に部分的に基づいて、前記分配システム内で発生している液体関連事象を検出すること、および
(b)前記時間差に部分的に基づいて、前記複数の異なる種類の事象の中から、検出された液体関連事象の特定の種類を識別すること
を含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項44】
前記プロセッサによる前記機械命令の実行はさらに、前記プロセッサに、
(a)前記圧力センサにエネルギー付与して、前記分配システム内の前記液体に圧力遷移パルスを印加させ、
(b)前記分配システム内の前記圧力遷移パルスの反射に対応する圧力パルス波形に応答して、前記圧力センサにより生成される出力信号を受信して処理させ、前記出力信号の処理により、前記圧力パルス波形の特定の特徴が特定され、
(c)前記圧力パルス波形の特徴に基づいて、
(i)前記分配システムを通る前記圧力遷移パルスおよび前記圧力パルス波形の経路、
(ii)前記分配システム内の液体流の指標、および
(iii)前記分配システム内の前記弁のうちの1つまたは複数の状態
のうちの少なくとも1つを特定させる、請求項26に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−529653(P2012−529653A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514932(P2012−514932)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/053848
【国際公開番号】WO2010/144100
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(502457803)ユニヴァーシティ オブ ワシントン (93)
【Fターム(参考)】