説明

液体収容体

【課題】ハンドリング性に優れた液体収容体を提供すること。
【解決手段】液体を収容する収容室を有し、前記液体を液体噴射ヘッドへ供給する供給部が形成された袋体と、前記液体噴射ヘッドへの前記液体の供給に伴う前記収容室の前記液体の減少に応じて前記収容室の容積が小さくなるように前記袋体を前記供給部に向けて収縮させる付勢部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばインクジェット型の印刷装置などは、記録ヘッドから記録媒体にインクを噴射することにより当該記録媒体に文字や画像などを記録するよう構成されている。このような流体消費装置には、例えばインクを収容したインクカートリッジなどの液体収容容器が装着される機構が設けられている。
【0003】
上記インクカートリッジは、例えばインクが充填される収容室と、当該収容室に収容されている液体をインクジェット式記録装置に供給するための供給部とを備えている。加えて、例えば特許文献1に示すように、インクの消費に伴ってインクパックが平面的につぶれていく構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−231274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インクを使いきった後のインクパックはつぶれた状態で広がっており、交換しづらい場合があるなど、ハンドリング性の面で改善が求められている。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明は、ハンドリング性に優れた液体収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液体収容体は、液体を収容する収容室を有し、前記液体を液体噴射ヘッドへ供給する供給部が形成された袋体と、前記液体噴射ヘッドへの前記液体の供給に伴う前記収容室の前記液体の減少に応じて前記収容室の容積が小さくなるように前記袋体を前記供給部に向けて収縮させる付勢部とを備える。
【0008】
本発明によれば、液体噴射ヘッドへの液体の供給に伴う収容室の液体の減少に応じて収容室の容積が小さくなるように袋体が供給部に向けて収縮するため、収容室の液体を供給し終わった後、袋体が広がった状態となるのを回避することができる。このように、袋体がコンパクトに収縮した状態となるため、例えば交換時などには容易に交換できることになる。これにより、ハンドリング性に優れた液体収容体が得られる。ここで、ハンドリング性とは、作業者が液体収容体の着脱を行う場合や把持する場合など、液体収容体に触れて作業を行う場合の作業の行い易さである。
【0009】
上記の液体収容体は、前記付勢部は、所定方向に巻かれるように弾性力を作用させる板バネ部材を有し、前記板バネ部材は、前記弾性力によって前記袋体を巻きながら収縮するように前記袋体に取り付けられていることが好ましい。
本発明によれば、付勢部が所定方向に巻かれるように弾性力を作用させる板バネ部材を有し、板バネ部材が弾性力によって袋体を巻きながら収縮するように袋体に取り付けられているため、袋体の収縮時には、袋体が巻かれるのに伴って袋体の角が内側に巻き込まれることになる。このため、交換などの取り扱い時には、袋体の角への接触を防ぐことができる。
【0010】
上記の液体収容体は、前記板バネ部材は、複数設けられており、複数の前記板バネ部材は、巻かれる方向が互いに反対方向となるように前記所定方向に交差する第二方向に交互に並んで配置された第一板バネ部材及び第二板バネ部材を有しており、前記袋体のうち前記第一板バネ部材と前記第二板バネ部材との間には、前記第一板バネ部材と前記第二板バネ部材とが重なって配置されるように前記袋体を折り返す折り返し部が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、複数の板バネ部材のうち第一板バネ部材と第二板バネ部材とが、巻かれる方向が反対方向となるように所定方向に交差する方向に並んで配置されており、所定方向に交差する第二方向に並んで配置されており、第一板バネ部材と第二板バネ部材との間には、当該第一板バネ部材と第二板バネ部材とが重なって配置されるように袋体を折り返す折り返し部が設けられているため、第一板バネ部材と第二板バネ部材とが重なった状態では、第一板バネ部材及び第二板バネ部材の収縮する方向が揃うことになる。したがって、液体の減少に伴い、板バネ部材が巻かれる方向と、当該袋体が折り返される方向と、の2つの方向に袋体を収縮させることができる。より具体的には、袋体が折り返されながら巻かれていくことになる。これにより、袋体が収縮時に一層コンパクトになるため、取り扱いやすくなる。
【0011】
上記の液体収容体は、前記板バネ部材は、複数設けられており、複数の前記板バネ部材の少なくとも2つは、巻かれる方向が互いに同一方向となるように前記所定方向に交差する第二方向に並んで配置されていることが好ましい。
本発明によれば、板バネ部材が複数設けられており、複数の板バネ部材の少なくとも2つは、巻かれる方向が互いに同一方向となるように所定方向に交差する第二方向に並んで配置されているため、第二方向について袋体に均一な力で巻きつけることができる。これにより、巻き上がりの形状にバラつきが生じるのを防ぐことができる。
【0012】
上記の液体収容体は、前記板バネ部材は、前記所定方向に交差する第二方向に複数設けられており、複数の前記板バネ部材は、前記第二方向の中央部へ向けて変形するように並んで配置されていることが好ましい。
本発明によれば、板バネ部材が所定方向に交差する第二方向に複数設けられており、複数の板バネ部材が第二方向の中央部へ向けて変形するように並んで配置されているので、袋体をよりコンパクトに収縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置の構成を示す図。
【図2】本実施形態に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図3】本実施形態に係る付勢部の構成を示す図。
【図4】本実施形態に係る付勢部の変形の一態様を示す図。
【図5】本実施形態に係るインクカートリッジの変形の一態様を示す図。
【図6】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図7】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図8】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図9】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図10】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図11】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図12】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図13】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る印刷装置PRT(液体噴射装置)の概略構成を示す図である。本実施形態では、印刷装置PRTとして例えばインクジェット型の印刷装置を例に挙げて説明する。印刷装置PRTには、本実施形態の特徴的構成要素であるインクカートリッジ(液体収容体)ICが装着されている。
【0015】
図1に示す印刷装置PRTは、例えば、紙、プラスチックシートなどのシート状の媒体Mを搬送しつつ印刷処理を行う装置である。印刷装置PRTは、筐体PBと、媒体Mにインクを噴射するインクジェット機構IJと、当該インクジェット機構IJにインクを供給するインク供給機構ISと、媒体Mを搬送する搬送機構CVと、インクジェット機構IJの保全動作を行うメンテナンス機構MNと、これら各機構を制御する制御装置CONTとを備えている。
【0016】
以下、XYZ直交座標系を設定し、当該XYZ直交座標系を適宜参照しつつ各構成要素の位置関係を説明する。本実施形態では、媒体Mの搬送方向をX方向とし、当該媒体Mの搬送面においてX方向に直交する方向をY方向とし、X軸及びY軸を含む平面に垂直な方向をZ方向と表記する。また、X軸周りの回転方向をθX方向、Y軸周りの回転方向をθY方向、Z軸周りの回転方向をθZ方向とする。
【0017】
筐体PBは、例えばY方向を長手とするように形成されている。筐体PBには、上記のインクジェット機構IJ、インク供給機構IS、搬送機構CV、メンテナンス機構MN及び制御装置CONTの各部が取り付けられている。筐体PBには、例えばプラテン13が設けられている。プラテン13は、媒体Mを支持する支持部材である。プラテン13は、例えば筐体PBのうちX方向の中央部に配置されている。プラテン13は、+Z方向に向けられた平坦面13aを有している。当該平坦面13aは、媒体Mを支持する支持面として用いられる。
【0018】
搬送機構CVは、例えば搬送ローラーや当該搬送ローラーを駆動するモーターなどを有している。搬送機構CVは、例えば筐体PBの−X側から当該筐体PBの内部に媒体Mを搬送し、当該筐体PBの+X側から当該筐体PBの外部に排出する。搬送機構CVは、筐体PBの内部において、媒体Mがプラテン13上を通過するように当該媒体Mを搬送する。搬送機構CVは、例えば制御装置CONTによって搬送のタイミングや搬送量などが制御されるようになっている。
【0019】
インクジェット機構IJは、インクを噴射するヘッドHと、当該ヘッドHを保持して移動させるヘッド移動機構ACとを有している。ヘッドHは、プラテン13上に送り出された媒体Mに向けてインクを噴射する。ヘッドHは、インクを噴射する噴射面Haを有している。噴射面Haは、−Z方向に向けられており、プラテン13の支持面13aに対向するように配置されている。
【0020】
ヘッド移動機構ACは、キャリッジ4を有している。ヘッドHは、当該キャリッジ4に固定されている。キャリッジ4は、筐体PBの長手方向(X方向)に架けられたガイド軸8に当接されている。ヘッドH及びキャリッジ4は、プラテン13の+Z方向に配置されている。
【0021】
ヘッド移動機構ACは、キャリッジ4の他、パルスモーター9と、当該パルスモーター9によって回転駆動される駆動プーリー10と、駆動プーリー10とは筐体PBの幅方向の反対側に設けられた遊転プーリー11と、駆動プーリー10と遊転プーリー11との間に掛け渡されてキャリッジ4に接続されたタイミングベルト12とを有している。
【0022】
キャリッジ4は、当該タイミングベルト12に接続されている。キャリッジ4は、タイミングベルト12の回転に伴ってY方向に移動可能に設けられている。Y方向へ移動する際、キャリッジ4は、ガイド軸8によって案内されるようになっている。
【0023】
インク供給機構ISは、ヘッドHにインクを供給する。インク供給機構ISには、複数のインクカートリッジICが収容されている。本実施形態の印刷装置PRTは、インクカートリッジICがヘッドHとは異なる位置に収容される構成(オフキャリッジ型)である。インク供給機構ISは、ヘッドHとインクカートリッジICとを接続する供給チューブTBを有している。インク供給機構ISは、当該供給チューブTBを介してインクカートリッジIC内に貯留されるインクをヘッドHに供給する不図示のポンプ機構を有している。
【0024】
メンテナンス機構MNは、ヘッドHのホームポジションに配置されている。このホームポジションは、媒体Mに対して印刷が行われる領域から外れた領域に設定されている。本実施形態では、プラテン13の+Y側にホームポジションが設定されている。ホームポジションは、例えば印刷装置PRTの電源がオフである時や、長時間に亘って記録が行われない時に、ヘッドHが待機する場所である。
【0025】
メンテナンス機構MNは、ヘッドHの噴射面Haを覆うキャッピング機構CPや、当該噴射面Haを払拭するワイピング機構WPなどを有している。キャッピング機構CPには、吸引ポンプなどの吸引機構SCが接続されている。吸引機構SCにより、キャッピング機構CPは、噴射面Haを覆いつつ当該噴射面Ha上の空間を吸引できるようになっている。ヘッドHからメンテナンス機構MN側に排出された廃インクは、廃液回収機構(不図示)において回収されるようになっている。
【0026】
図2は、インクカートリッジICの構成を示す図である。
図2に示すように、インクカートリッジICは、袋体21と、付勢部22とを有している。
【0027】
袋体21は、インクLを収容する収容室RMが内部に形成された構成となっている。袋体21は、例えば可撓性を有する材料によって形成されている。袋体21は、所定方向αに長手となるように形成されている。
【0028】
袋体21には、インクLをヘッドHへ供給する供給部SPが形成されている。供給部SPは、袋体21の長手方向αの端部に設けられている。供給部SPは、開口部OPを介して収容室RMに連通されている。供給部SPは、供給チューブTBを介してヘッドHに接続されている。
【0029】
付勢部22は、長方形の板状に形成された板バネ部材Pを有している。板バネ部材Pは、袋体21の短手方向(第二方向)βに複数(例えば3つ)並んで配置されている。各板バネ部材Pは、等しい形状に形成されている。各板バネ部材Pは、当該板バネ部材Pの長手方向が袋体21の長手方向αに一致するように配置されている。各板バネ部材Pは、カバー部材COによって長手方向αのほぼ全面が袋体21に固定されている。各板バネ部材Pの長手方向αのほぼ全面を袋体21に接着させて固定させる構成としても良い。
【0030】
図3は、1つの板バネ部材Pの構成を示す斜視図である。
図3に示すように、板バネ部材Pは、当該板バネ部材Pの短手方向の中央部が湾曲した形状に形成されている。板バネ部材Pのうち例えば長手方向の端部Paを湾曲方向とは反対方向に曲げると、図4に示すように、端部Paが弾性力によって長手方向に巻かれるように変形する。各板バネ部材Pは、湾曲によって突出した面が袋体21に対向するように配置されている(図2参照)。袋体21に取り付けられた各バネ部材Pは、袋体21に対向する面とは反対面が内側となるように巻かれる構成である。このように、各バネ部材Pの巻き始めの変形の方向は、全て等しくなっている。
【0031】
次に、上記のように構成されたインクカートリッジICの動作を説明する。
図5(a)〜図5(d)は、インクカートリッジICの動作の様子を示す模式図である。まず、図5(a)に示すように、袋体21の収容室RMにインクLが収容された状態で供給部SPを供給チューブTBに接続する。
【0032】
この状態から、ヘッドHなどにおいてインクLが噴射されると、当該ヘッドHに新たなインクを供給する必要が生じる。この場合、収容室RMに収容されるインクLが供給される。収容室RMに収容されるインクLは、開口部OP及び供給部SPを介して供給チューブTBに供給され、供給チューブTBを経由してヘッドHに供給される。ヘッドHへのインクLの供給に伴い、収容室RMに収容されるインクLが減少する。
【0033】
図5(b)は、収容室RMのインクLが一定量減少した状態を示す図である。収容室RMのインクLが減少すると、袋体21のうち長手方向αにおいて供給部SPとは反対側の端部21a側が潰れるように収縮することで、収容室RMの体積が減少する。袋体21のうち端部21a側の収縮により、図5(b)に示すように、袋体21に取り付けられた付勢部22の板バネ部材Pの端部Paが、湾曲方向とは反対方向に変形する。
【0034】
この板バネ部材Pの端部Paの変形により、当該端部Paの弾性力が開放される。このため、図5(c)に示すように、板バネ部材Pは端部Paから供給部SP側(図中左側)へ巻かれるように変形しようとする。板バネ部材Pの変形により、当該板バネ部材Pに取り付けられた袋体21の端部21aも板バネ部材Pと一体的に変形する。図5(c)に示す状態では、袋体21の収容室RMにインクLが残留しているため、板バネ部材Pの変形は当該インクLの圧力によって抑止されている。
【0035】
インクLが消費されていき、収容室RMのインクが減少すると、当該インクLの圧力が小さくなり、板バネ部材Pが供給部SP側に徐々に巻かれていく。この板バネ部材Pの変形に伴い、袋体21も板バネ部材Pと一体的に巻かれていく。このため、図5(d)に示すように、袋体21は、インクLの圧力が小さくなった部分(例えば端部21a)から供給部SP側へ向けて、板バネ部材Pの弾性力によって徐々に巻かれていくことになる。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、ヘッドHへのインクLの供給に伴う収容室RMのインクLの減少に応じて収容室RMの容積が小さくなるように袋体21が供給部SPに向けて収縮するため、収容室RMの液体を供給し終わった後、袋体21が広がった状態となるのを回避することができる。このように、袋体21がコンパクトに収縮した状態となるため、例えばインクカートリッジICの交換時などには容易に交換できることになる。これにより、ハンドリング性に優れたインクカートリッジICが得られる。
【0037】
加えて、付勢部22が所定方向に巻かれるように弾性力を作用させる板バネ部材Pを有し、板バネ部材Pが弾性力によって袋体21を巻きながら収縮するように袋体21に取り付けられているため、袋体21の収縮時には、袋体21が巻かれるのに伴って袋体21の角が内側に巻き込まれることになる。このため、インクカートリッジICの交換などの取り扱い時には、袋体21の角への接触を防ぐことができる。
【0038】
更に、板バネ部材Pが複数設けられており、複数の板バネ部材Pの少なくとも2つは、巻かれる方向が互いに同一方向となるように所定方向(袋体21の長手方向)αに交差する第二方向(袋体21の短手方向)βに並んで配置されているため、当該短手方向βについて袋体21に均一な力で巻きつけることができる。これにより、袋体21の巻き上がりの形状にバラつきが生じるのを防ぐことができる。
【0039】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態では、短手方向βに並べて設けられた3つの板バネ部材Pのそれぞれが同一方向に巻かれるように変形する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
【0040】
図6は、インクカートリッジICの変形例に係る構成を示す図である。図中α方向は、上記実施形態と同様に袋体21の長手方向に一致する。図中β方向は、上記実施形態と同様に袋体21の短手方向に一致する。図中γ方向は、α方向軸及びβ方向軸を含む平面に垂直な方向である。
【0041】
図6に示すように、短手方向βに並べて設けられた3つの板バネ部材P1〜P3のうち、板バネ部材P1及びP3については巻き始めが図中+γ方向に変形するように配置され、板バネ部材P2については巻き始めが図中−γ方向に変形するように配置されている。
【0042】
更に、図6に示すように、袋体21には、α方向に沿った2つの折り返し部21b及び21cが設けられている。折り返し部21bは、板バネ部材P1と板バネ部材P2との間に配置されている。折り返し部21cは、板バネ部材P2と板バネ部材P3との間に配置されている。
【0043】
図7は、図6に示すインクカートリッジICの構成を模式的に示す図である。
図7に示すように、袋体21のうち折り返し部21b及び21cによってβ方向に区画される3つの部分には、それぞれ−γ方向に湾曲する板バネ部材P1及びP3と、+γ方向に湾曲する板バネ部材P2とβ方向に交互に設けられている。
【0044】
袋体21の3つの部分のうち−β側の第一部分211は、折り返し部21bによって図中−γ側へ折り返される構成となっている。また、袋体21の3つの部分のうち+β側の第三部分213は、折り返し部21cによって図中+γ側へ折り返される構成となっている。このように、袋体21は、β方向の両端部からβ方向の中央部へ向けて折り返される構成となっている。
【0045】
このような構成のインクカートリッジICにおいては、図8に示すように、収容室RMのインクLが消費されるのに伴って、袋体21の−α側の端部から+α側へ向けて第一部分211が−γ方向に、また、第三部分213が+γ方向に、それぞれ折り返されていく。一定量インクが消費されると、図9に示すように、第一部分211及び第三部分213のほぼ全部が折り返され、第一部分211と第三部分213とが第二部分212に重なった状態となる。
【0046】
第一部分211と第三部分213とが第二部分212に重なった場合、図10に示すように、第一部分211に設けられる板バネ部材P1、第二部分212に設けられる板バネ部材P2、及び、第三部分213に設けられる板バネ部材P3は、湾曲方向が同一方向を向いて配置される。したがって、板バネ部材P1〜P3の巻き始めの方向が全て+γ方向に揃う。
【0047】
このため、インクが消費されると、図11に示すように、袋体21は第一部分211、第二部分212及び第三部分213が重なった状態で端部21aが+γ側へ変形し、+α側に巻かれていく。
【0048】
このように、袋体21に折り返し部21b及び21cを形成して第一部分211〜第三部分213の3つの部分に区画し、当該3つの部分のそれぞれに板バネ部材P1〜P3を配置し、当該板バネ部材P1〜P3の巻き始めの変形方向をβ方向に交互に異なる方向とすることで、袋体21がα方向に巻かれると共に、当該袋体21がβ方向にも折り返される。このため、袋体21を一層コンパクトに収縮した状態とすることができる。
【0049】
なお、図6〜図11に示す構成においては、3つの板バネ部材P1〜P3を配置する構成であったが、これに限られることは無く、例えば図12に示すように、β方向の中央の板バネ部材を省いた構成としても構わない。この場合、インクの消費と共に、第一部分211及び第三部分213が第二部分212に重なり、板バネ部材P1及びP3の湾曲方向が同一方向となるため、上記同様に袋体21をコンパクトに収縮させることができる。
【0050】
また、上記説明では、板バネ部材が袋体21の長手方向に収縮する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば板バネ部材が袋体21の短手方向に収縮する構成であっても構わない。この場合、板バネ部材が袋体21の短手方向の中央部へ向けて巻かれるように配置させる構成などが挙げられる。
【0051】
上記実施形態では、印刷方式としてインクジェット方式を採用した印刷装置について記載したが、電子写真方式や熱転写方式など、任意の方式の印刷装置に変更することもできる。また、印刷装置に限らず、FAX装置、コピー装置、あるいはこれら複数機能を備えた複合機等、他の記録装置であってもよい。さらに、記録装置として、インク以外の他の液体の微小量の液滴を噴射したり吐出したりする液体噴射ヘッド等を備える液体噴射装置を採用してもよい。
【0052】
なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。
【0053】
ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
PRT…印刷装置 IC…インクカートリッジ CONT…制御装置 H…ヘッド L…インク RM…収容室 α…長手方向(所定方向) β…短手方向(第二方向) SP…供給部 OP…開口部 P、P1〜P3…板バネ部材 21…袋体 21a…端部 22…付勢部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する収容室を有し、前記液体を液体噴射ヘッドへ供給する供給部が形成された袋体と、
前記液体噴射ヘッドへの前記液体の供給に伴う前記収容室の前記液体の減少に応じて前記収容室の容積が小さくなるように前記袋体を前記供給部に向けて収縮させる付勢部と
を備える液体収容体。
【請求項2】
前記付勢部は、所定方向に巻かれるように弾性力を作用させる板バネ部材を有し、
前記板バネ部材は、前記弾性力によって前記袋体を巻きながら収縮するように前記袋体に取り付けられている
請求項1に記載の液体収容体。
【請求項3】
前記板バネ部材は、複数設けられており、
複数の前記板バネ部材は、巻かれる方向が互いに反対方向となるように前記所定方向に交差する第二方向に交互に並んで配置された第一板バネ部材及び第二板バネ部材を有しており、
前記袋体のうち前記第一板バネ部材と前記第二板バネ部材との間には、前記第一板バネ部材と前記第二板バネ部材とが重なって配置されるように前記袋体を折り返す折り返し部が設けられている
請求項2に記載の液体収容体。
【請求項4】
前記板バネ部材は、複数設けられており、
複数の前記板バネ部材の少なくとも2つは、巻かれる方向が互いに同一方向となるように前記所定方向に交差する第二方向に並んで配置されている
請求項2又は請求項3に記載の液体収容体。
【請求項5】
前記板バネ部材は、前記所定方向に交差する第二方向に複数設けられており、
複数の前記板バネ部材は、前記第二方向の中央部へ向けて変形するように並んで配置されている
請求項2から請求項4のうちいずれか一項に記載の液体収容体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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