説明

液体収容袋及び液体噴射装置

【課題】液体導出孔の変形を防止し、又は小型化を図ることのできる液体収容袋及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】インクパックは、導出部材13の溶着部21に2枚のラミネートフィルム15が溶着され、ラミネートフィルム15の残りの外周が溶着されて構成される。導出部材13には、インク導出孔25が貫通形成され、これを介してインクが導出される。インク導出孔25には弁機構Vが設けられている。インク導出孔25の中径部27には、導出部材13の溶着部21に対応する位置に、リブ33が突出形成されている。このリブ33の内側には、弁機構Vを構成するコイルバネ34の一端部が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容した液体収容袋及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を噴射する液体噴射装置として、インクをノズルから噴射させて印刷を行うインクジェット式プリンタが知られている。このプリンタは、複数のノズルが形成された記録ヘッドと、この記録ヘッドを有したキャリッジとを備えている。そして、プリンタは、同キャリッジを往復移動させながら上記ノズルからインクを噴射させて、印刷を行う。このようなプリンタには、ノズルに供給するインクを貯留しているインクカートリッジが交換可能に設けられている。
【0003】
ところで、大型の紙を印刷するプリンタの場合には、多量のインクが使用されるため、大容量のインクを収容したインクカートリッジが必要となる。このインクカートリッジをキャリッジに搭載して移動させると、駆動部分に多大な負荷がかかるため、大型の紙を印刷するプリンタはインクカートリッジをキャリッジに搭載させない構成(いわゆるオフキャリッジタイプ)となっている。
【0004】
大容量のインクを収容したインクカートリッジは、インクを収容したインクパックと、このインクパックを収容しているケースとから構成されている。インクパックは、インクを収容する袋体と、これに取り付けられた導出部材とから構成されている(特許文献1参照)。詳述すると、2枚のフィルム部材の間に導出部材が挟まれた状態で、フィルム部材の4辺が熱溶着されることにより、インクパックが構成されている。また、導出部材には袋体からインクを導出するインク導出孔が形成されており、このインク導出孔を介して袋体に収容されるインクが導出される。
【特許文献1】特開2002−113881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、導出部材は通常、合成樹脂で構成されている。従って、導出部材にフィルム部材が熱溶着されると、導出部材はその熱により変形することがあり、その内部に形成されたインク導出孔も変形することがある。通常、インク導出孔の内部には、インクカートリッジの交換時に残留インクが漏れ出ないようにする弁機構が配置されている。従って、インク導出孔が変形すると、弁機構の弁体が途中で停止し、弁機構が正常に作用しなくなる可能性があった。そこで、従来は、導出部材のフィルム部材が溶着される溶着部に位置するインク導出孔には、弁機構を配置しないようにしていた。すなわち、溶着部に位置するインク導出孔を避けるようにして弁機構を配置していた。
【0006】
しかしながら、導出部材の溶着部に位置するインク導出孔を避けて弁機構を配置すると、導出部材が長くなるという問題があった。これによりインクパック全体が大きくなり、インクカートリッジの小型化、ひいては液体噴射装置の小型化を図ることが困難となっていた。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、この目的は、液体導出孔の変形を防止し、又は小型化を図ることのできる液体収容袋及び液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この液体収容袋は、貫通する液体導出孔を有する導出部材と、液体を収容する液体収容空間を形成するフィルム部材とから構成され、前記導出部材に前記フィルム部材が溶着されていることにより、前記液体収容空間に収容される液体が液密状態に保持されるとともに、前記導出部材を介して前記液体を外部に導出する液体収容袋において、前記液体導出孔には、該液体導出孔を開閉する弁機構を設け、前記フィルム部材が溶着される前記導出部材の溶着部に位置する液体導出孔には、前記弁機構の弁部材を前記液体収容空間から離間する方向へ向けて付勢する付勢手段が配置され、前記導出部材には、前記弁部材が前記溶着部に位置する前記液体導出孔に位置しないように、前記弁部材の移動を規制する規制手段が設けられている。
【0009】
この液体収容袋は、前記弁機構は、弁座形成部材と、この弁座形成部材に着座して閉弁し、前記弁座形成部材から離脱移動して開弁する前記弁部材と、この弁部材を前記弁座形成部材に通常着座するように、前記弁部材を前記液体収容空間から離間する方向へ向けて付勢する前記付勢手段とを備えた。
【0010】
この液体収容袋は、前記液体導出孔には、その内壁を案内として前記弁部材を移動させる案内手段が設けられている。
本発明の液体噴射装置は、上記液体収容袋と、この液体収容袋から供給される液体を噴射する液体噴射ヘッドとを備えた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した液体収容袋の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0012】
図1に示すように、液体収容袋としてのインクパック11は、袋部12と、導出部材13とから構成されている。袋部12は、例えばガスバリア性を有するポリエチレンフィルムにアルミニウムを蒸着した2枚のラミネートフィルム15(フィルム部材に相当)の4辺を熱溶着されて構成されている。詳述すると、袋部12は、重ね合わされた2枚のラミネートフィルム15の3辺を溶着部12a,12b,12cとして熱溶着し、残りの一辺を溶着部12dとしてその中央から導出部材13が突出するように配置された状態で熱溶着して、袋部12を形成している。すなわち、袋部12には内部に空間Sが区画されて、この空間Sに液体としてのインクが収容される。
【0013】
導出部材13は、例えばプラスチックなどの合成樹脂から構成されている。また、導出部材13は、ラミネートフィルム15の溶着部12dに溶着される溶着部21と、この溶着部21からx方向に延びる中間部22と、中間部22からx方向に延びる挿入部23とから構成されている。詳述すると、図3に示すように溶着部21は、断面が紡錘形状をしており、その上面21aと下面21bには上記ラミネートフィルム15が熱溶着されている。中間部22は、図1に示すように、円筒体であって、その外周面に略直方体形状の1対の側部22aが相対向するように一体的に形成された形状をしている。また、前記挿入部23は中間部22よりも大きな円筒形状をしている。
【0014】
図2に示すように、導出部材13の内部には、これら溶着部21、中間部22及び挿入部23を貫通する液体導出孔としてのインク導出孔25が形成されている。詳述すると、インク導出孔25は、x方向になるに従って大きな径となる段付き孔であって、前記空間Sに臨む小径部26と、この小径部26に続く中径部27と、この中径部27に続き外部に開口している大径部28とから構成されている。そして、小径部26は前記溶着部21の空間S側の一部に形成されており、中径部27は、溶着部21から挿入部23まで形成されており、大径部28は上記挿入部23内に形成されている。
【0015】
図3に示すように、中径部27は、断面が円形の案内手段としての中心孔31と、この中心孔31の内周面に、相対向する一対の連通溝32を長手方向(x方向)に形成している。なお、この連通溝32が形成されるように、上述した導出部材13の中間部22の側部22aが形成されている。
【0016】
中径部27には、前記連通溝32を挟むように、変形防止手段及び規制手段としての複数のリブ33が、同連通溝32に沿って突出して設けられている。図2及び図4に示すように、このリブ33は、中径部27の小径部26側の壁面から、溶着部21と中間部22との境Bの位置までx方向に延びるように形成されている。すなわち、リブ33は、溶着部21に対応する部分に形成されている。
【0017】
一方、インク導出孔25には、弁機構Vが内設されている。この弁機構Vは、付勢手段としてのコイルバネ34と、中径部27内を移動する弁部材35と、この弁部材35が着座する弁座形成部材としてのシール部材36とから構成されている。
【0018】
図3に示すように、コイルバネ34の一端部は、上記インク導出孔25の中径部27のリブ33の内側に配置されている。また、図2及び図4に示すように、コイルバネ34の他端部は弁部材35の反x方向の面に圧接しており、これにより、コイルバネ34は弁部材35をx方向に付勢する。
【0019】
図4に示すように弁部材35は、中径部27の中心孔31に嵌合されており、中心孔31の内壁に案内されながらx方向及び反x方向に摺動可能となっている。弁部材35の反x方向側の面35aは、テーパとなっており、この面35aが反x方向に移動するとリブ33に当接する。従って、弁部材35は、溶着部21に形成されたインク導出孔25の中径部27に入り込まないように、リブ33にて規制されている。
【0020】
シール部材36は、大径部28内に密着するように収容されている。このシール部材36は、例えばゴムなどの弾性材料からなる。また、シール部材36の内孔36aは、x方向側が大きくなっており、中径部27側の内径Rは、図4(b)に示すように挿入するインク供給針45に密着してシール作用を行える径となっている。更に、このシール部材36の反x方向端部には、環状の突出部36bが突出しており、この突出部36bはコイルバネ34により付勢された弁部材35が圧接するとシール作用を行えるようになっている。従って、インク導出孔25は、弁部材35がこのシール部材36に着座すると閉弁され、弁部材35がシール部材36から離脱して反x方向に移動すると開弁される。
【0021】
次に、インクパック11が搭載されるプリンタ本体40について、図5に基づいて説明する。
図5に示すように、プリンタ本体40には印字ヘッド41が図示しないプラテンに沿って移動可能に配設されている。プリンタ本体40の一側前面には複数の装着部42が区画形成されており、各装着部42には上記インクパック11がカートリッジケース43に収容した状態でセットされるようになっている。
【0022】
カートリッジケース43はハードケース状に形成されている。カートリッジケース43の一端面には取出口44が形成され、カートリッジケース43内に収容されたインクパック11の導出部材13が、この取出口44から外部に突出されるようになっている。
【0023】
また、プリンタ本体40の各装着部42にはインク供給針45が対向配置されて、供給チューブ46を介して印字ヘッド41に接続されている。なお、インク供給針45は、図4に示すようにその先端に複数の供給孔45aが形成されている。そして、図5に示すようにインクパック11がカートリッジケース43内に収容された状態で装着部42にセットされると、インク供給針45がインクパック11に挿入される。
【0024】
次に、本実施形態のインクパック11の製造方法について説明する。
本実施形態のインクパック11は、従来と同様に、まず、2枚のラミネートフィルム15の間に導出部材13の溶着部21を挟んだ状態で、溶着部12dを熱溶着する。このとき、導出部材13には熱が加わるため、この熱により溶着部21が変形しインク導出孔25の中径部27が変形しようとする場合がある。しかしながら、溶着部21に位置する中径部27内にはリブ33が設けられているため、すなわちこのリブ33により溶着部21における中径部27の肉厚が部分的に厚くなっているため、ひけが発生し難いとともに、中径部27が変形し難い。
【0025】
その後、2枚のラミネートフィルム15の溶着部12a,12cを熱溶着して、空間Sが形成された後、この空間Sにインクを収容する。そして最後に残りの1辺が熱溶着されて溶着部12bが形成され、インクパック11が完成する。
【0026】
次に、このように製造されたインクパック11の作用について説明する。
図5に示すように、インクパック11はカートリッジケース43に収容される。このとき、カートリッジケース43の取出口44から導出部材13が外部に突出される。また、図4(a)に示すように、導出部材13のインク導出孔25内では、コイルバネ34により弁部材35がx方向に付勢されており、シール部材36との間でシール作用が行われている。これにより、袋部12内のインクが外部に漏れないようになっている。
【0027】
そして、図5に示すように、インクパック11を収容したカートリッジケース43が装着部42にセットされると、図4(b)に示すようにインク供給針45が導出部材13のインク導出孔25に大径部28側から挿入される。このとき、インク供給針45は、シール部材36の内孔36aに嵌合してシール作用を行うとともに、更に弁部材35を反x方向に押す。このため、弁部材35は、コイルバネ34の付勢力に抗して反x方向に移動する。そして、弁部材35は、その面35aがリブ33に当接すると、移動が停止される。これにより、インク導出孔25内の弁機構Vが開弁し、空間Sに収容されたインクは、インク導出孔25の小径部26、中径部27の連通溝32、インク供給針45の供給孔45a及び供給チューブ46を介して、印字ヘッド41に供給される。この状態で、印字ヘッド41の印刷動作に伴い、インクパック11内のインクが印字ヘッド41に適宜供給されて、記録用紙P上に印刷が行われる。
【0028】
本実施形態のインクパック11によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、インク導出孔25の中径部27に、インク導出孔25の変形を防止する変形防止手段としてのリブ33を設けた。従って、溶着部21にラミネートフィルム15が溶着されるときに、インク導出孔25が変形し難い。このため、インク導出孔25を介して空間S内のインクを外部にスムーズに導出することができる。
【0029】
(2)本実施形態では、変形防止手段によりインク導出孔25の変形が極力防止できるので、溶着部21に位置するインク導出孔25に弁機構Vの一部を設けても、弁機構Vをより確実に動作させることができる。
【0030】
(3)本実施形態では、インク導出孔25の中径部27を構成する中心孔31は弁部材35を案内しているため、インク導出孔25が変形して中心孔31が変形すると、その変形した中心孔31に沿って弁部材35が移動される。しかしながら、本実施形態では、変形防止手段によりインク導出孔25の変形が極力防止できるので、変形した中心孔31によって弁部材35が案内されることはほとんどなく、弁部材35をより確実に移動させて、弁機構Vの開閉動作を行うことができる。
【0031】
(4)本実施形態では、変形防止手段がリブであるので、インク導出孔25の外周となる溶着部21の肉厚が部分的に厚くなる。このため、溶着部21の肉厚が厚くなればインク導出孔25が変形し難くなるとともに、肉厚が厚い部分は部分的にしかないので、ひけの発生を極力防止して導出部材13とラミネートフィルム15とを容易に密着させることができる。
【0032】
(5)本実施形態では、溶着部21に位置するインク導出孔25に、弁機構Vの一部であるコイルバネ34の一端部を設けた。このため、導出部材13の長さを短くして、インクパック11全体を小さくすることができる。
【0033】
(6)本実施形態のプリンタ本体40では、上記のインク導出孔25が変形し難いインクパック11を装着することにより、インクパック11のインクをスムーズに導出することができ、インクをスムーズに噴射することができる。また、インク導出孔25の長さを短くしたインクパック11を装着することにより、プリンタ本体40全体を小型化することができる。
【0034】
(7)本実施形態では、中径部27のリブ33を、溶着部21と中間部22との境Bの位置まで形成した。すなわち、弁部材35がこのリブ33に当接することにより、溶着部21に位置する中径部27に弁部材35が位置しないように規制される。従って、開閉動作を行う弁部材35はこの変形する可能性のある溶着部21に位置する中径部27には入り込まないので、インク導出孔25の開閉をより確実に行うことができる。
【0035】
(8)本実施形態では、中心孔31は、変形防止手段と、弁部材35が溶着部21に位置する中径部27に位置しないようにする規制手段として機能するリブ33を設けた。従って、部品点数を減らして安価に、これらの手段を設けることができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した液体収容袋の第2実施形態を図6に基づいて説明する。本実施形態の液体収容袋としてのインクパックは、上記第1実施形態の導出部材13の溶着部21における構成が異なるだけであるので、その他の上記第1実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0037】
図6に示すように、本実施形態のインクパック11の導出部材13の溶着部21は、中径部27の外周に変形防止溝としての溝部50が環状に形成されている。この溝部50は、熱溶着時の熱が溶着部21の外周面から加わると、溶着部21に位置する中径部27を変形させる前に変形される。また、溝部50から中径部27までの肉厚及び溝部50から溶着部21の外周部までの肉厚は薄くなっている。
【0038】
次に、本実施形態のインクパック11の製造方法について説明する。
本実施形態のインクパック11は、上記第1実施形態と同様に、2枚のラミネートフィルム15の間に導出部材13の溶着部21を挟んだ状態で、溶着部12dを熱溶着する。このとき、導出部材13には熱が加わるため、この熱により溶着部21が変形しインク導出孔25の中径部27が変形しようとする。しかしながら、中径部27の外周に溝部50があるため、溝部50が変形した後に中径部27が変形しようとするので、中径部27は変形し難い。また、溝部50から中径部27までの肉厚及び溝部50から溶着部21の外周部までの肉厚は薄くなっているので、ひけの発生も抑えることができる。そして、上記第1実施形態と同様に、2枚のラミネートフィルム15の溶着部12a,12cを熱溶着して、空間Sが形成された後、この空間Sにインクを収容する。そして最後に残りの1辺が熱溶着されて溶着部12bが形成され、インクパック11が完成する。
【0039】
第2実施形態のインクパック11によれば、上記第1実施形態における(1)〜(7)の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(8)本第2実施形態によれば、変形防止手段として、インク導出孔25の外周に環状の溝部50を設けた。このため、熱溶着の熱は、溝部50を変形させた後に、中径部27を変形させることになるので、中径部27はより変形し難い。また、熱溶着の熱が加わる溶着部21の外周面から中径部27までの距離が遠くなるとともに、溝部50から中径部27までの肉厚及び溝部50から溶着部21の外周部までの肉厚は薄くなっている。このため、中径部27が変形し難いとともに、ひけが発生し難い。
【0040】
(9)本第2実施形態によれば、変形防止手段として、リブ33及び溝部50の両方を設けたので、溶着時にインク導出孔25の中径部27を一層変形しないようにすることができる。
【0041】
(変更例)
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○第1実施形態のリブ33の形状を変更すること。すなわち、インク導出孔25の中径部27の周囲の肉厚が部分的に厚くなれば、どのような形状のリブ33であってもよい。
【0042】
○第2実施形態において、リブ33を形成しないようにすること。この場合、溶着部21に位置する中径部27に弁部材35が至らないようにする規制手段を、リブ33とは別に形成してもよい。
【0043】
○第2実施形態の溝部50の代わりに、液体導出孔の外周に複数の孔を設けること。また、第2実施形態の溝部50をインク導出孔25の外周に、何重に設けるようにしてもよい。更に、環状の溝部50の代わりに、インク導出孔25の外周に、螺旋状の空間溝を設けるようにしてもよい。すなわち、中径部27の外周に、溶着時の熱により中径部27が変形する前に変形するような空間を、変形防止手段として設ければよい。
【0044】
○弁部材35は、インク導出孔25の中径部27の中心孔31によって案内されて移動されない構成とすること。
次に、上記各実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に記載する。
【0045】
(A)請求項2又は3に記載の液体収容袋において、前記変形防止手段は、前記液体導出孔の外周に設けられた複数の変形防止空間であることを特徴とする液体収容袋。
従って、この(A)に記載の発明によれば、溶着部21の外周面から液体導出孔までの総合的な肉厚を厚くすることができるとともに、連続する肉厚は薄くなっているため、ひけを極力防止することができる。従って、ひけを極力防止して、導出部材とフィルム部材とを容易に密着させることができるとともに、液体導出孔の変形を極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態におけるインクパックの斜視図。
【図2】図1のインクパックの要部の正面断面図。
【図3】図2における3−3方向の断面図。
【図4】(a)(b)は図2における4−4方向の断面図。
【図5】図1のインクパックを搭載するプリンタ本体の斜視図。
【図6】第2実施形態におけるインクパックの要部の断面図。
【符号の説明】
【0047】
S…液体収容空間としての空間、V…弁機構、13…導出部材、15…フィルム部材としてのラミネートフィルム、21…溶着部、25…液体導出孔としてのインク導出孔、31…案内手段としての中心孔、33…変形防止手段及び規制手段としてのリブ、34…付勢手段としてのコイルバネ、35…弁部材、36…弁座形成部材としてのシール部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通する液体導出孔を有する導出部材と、
液体を収容する液体収容空間を形成するフィルム部材と
から構成され、
前記導出部材に前記フィルム部材が溶着されていることにより、前記液体収容空間に収容される液体が液密状態に保持されるとともに、前記導出部材を介して前記液体を外部に導出する液体収容袋において、
前記液体導出孔には、該液体導出孔を開閉する弁機構を設け、
前記フィルム部材が溶着される前記導出部材の溶着部に位置する液体導出孔には、前記弁機構の弁部材を前記液体収容空間から離間する方向へ向けて付勢する付勢手段が配置され、前記導出部材には、前記弁部材が前記溶着部に位置する前記液体導出孔に位置しないように、前記弁部材の移動を規制する規制手段が設けられていることを特徴とする液体収容袋。
【請求項2】
請求項1に記載の液体収容袋において、
前記弁機構は、
弁座形成部材と、
この弁座形成部材に着座して閉弁し、前記弁座形成部材から離脱移動して開弁する前記弁部材と、
この弁部材を前記弁座形成部材に通常着座するように、前記弁部材を前記液体収容空間から離間する方向へ向けて付勢する前記付勢手段とを備えたことを特徴とする液体収容袋。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液体収容袋において、
前記液体導出孔には、その内壁を案内として前記弁部材を移動させる案内手段が設けられていることを特徴とする液体収容袋。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の液体収容袋と、
この液体収容袋から供給される液体を噴射する液体噴射ヘッドと
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−312332(P2006−312332A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231294(P2006−231294)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【分割の表示】特願2003−59019(P2003−59019)の分割
【原出願日】平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】