説明

液体吐出ヘッド及び画像形成装置

【課題】ヘッドの発熱を放熱する手段の配置のためのスペースが大きくなる。
【解決手段】圧電部材12と、圧電部材12を固定配置したベース部材13と、圧電部材FPC12に駆動信号を伝送するFPC15とを含む圧電アクチュエータ100と、フレーム部材17とを備え、FPC15とフレーム部材17とはフィルム状熱伝導部材31で接続され、ドライバIC16で発生する熱やベース部材13に蓄積される熱をFPC15及びフィルム状熱伝導部材31を介してフレーム部材17に逃がす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置、例えばインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
液体吐出ヘッドとしては、例えば、液滴を吐出する複数の並列されたノズルに個別に対応する複数の圧力発生室の壁面の一部を形成する振動板部材を圧電素子(圧電部材)によって変位させ、各圧力発生室の容積を変化させて液滴を吐出させる圧電アクチュエータを使用するものがある。
【0004】
この圧電アクチュエータを使用する液体吐出ヘッドにあっては、圧電部材の駆動による発熱や圧電部材に駆動信号を与えるための例えばFPCなどのフレキシブル配線部材に搭載されるドライバIC(駆動素子)の発熱によって、ヘッド流路内の液体の温度、粘度が変化し、滴吐出特性が影響を受ける。
【0005】
そこで、従来、ドライバICにヒートシンクを密着させたもの(特許文献1)、フレキシブル配線部材を複数回屈曲させるもの(特許文献2)、複数の発熱体基板とこれを支持する支持基板との間にヒートパイプを配置したもの(特許文献3)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−291542号公報
【特許文献2】特開2006−181965号公報
【特許文献3】特開2009−149057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したように、ヒートシンクやヒートパイプを使用したり、配線部材を複数回屈曲させる構成にあっては、レイアウトやスペース上の制約が多くなり、ヘッドの高密度化、小型化を図ることができないという課題がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ヘッドの発熱を放熱する手段の省スペース化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する圧力を発生させる圧電部材と、
前記圧電部材を固定配置したベース部材と、
ヘッドのフレームを形成するフレーム部材と、
前記圧電部材に接続されたフレキシブル配線部材と、を備え、
前記フレキシブル配線部材及び前記ベース部材の少なくともいずれかと前記フレーム部材とは、フィルム状熱伝導部材で接続されている
構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、ヘッドの発熱を放熱する手段の省スペース化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの一例を示す外観斜視説明図である。
【図2】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【図3】同ヘッドの圧電アクチュエータ周りの斜視説明図である。
【図4】同アクチュエータ部分の断面説明図である。
【図5】同アクチュエータとフレーム部材の関係を説明する説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドにおける圧電アクチュエータ周りの斜視説明図である。
【図7】同アクチュエータ部分の断面説明図である。
【図8】同アクチュエータとフレーム部材の関係を説明する説明図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドにおける圧電アクチュエータ部分の断面説明図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドにおける圧電アクチュエータ部分の断面説明図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドにおける圧電アクチュエータ周りの斜視説明図である。
【図12】同圧電アクチュエータとフレーム部材の関係を説明する説明図である。
【図13】本発明に係る画像形成装置の一例を示す機構部の側面説明図である。
【図14】同機構部の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体吐出ヘッドの一例について図1ないし図4を参照して説明する。図1は同ヘッドの外観斜視説明図、図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【0013】
この液体吐出ヘッドは、流路板(流路基板、液室基板などとも称される。)1と、この流路板1の下面に接合した振動板を形成する振動板部材2と、流路板1の上面に接合したノズル板3とを有している。
【0014】
これらによって、液滴(液体の滴)を吐出する複数のノズル4がそれぞれ通路5を介して通じる個別流路としての複数の個別液室(加圧液室、圧力室、加圧室、流路などとも称される。以下、単に「液室」という。)6、液室6にインクを供給する供給路を兼ねた流体抵抗部7、この流体抵抗部7を介して液室6に通じる液体導入部8を形成している。
【0015】
そして、後述するフレーム部材17に形成した共通液室10から振動板部材2に形成した供給口9を介して液体導入部8、流体抵抗部7を介して液室6に液体を供給する。
【0016】
流路板1は、SUS基板を酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜き(プレス)などの機械加工することで、液室6、流体抵抗部7などの溝部や開口をそれぞれ形成している。なお、流路板1はシリコン基板をエッチングして形成することもできる。
【0017】
振動板部材2は、液室6、流体抵抗部7、液体導入部8などの壁面を形成している。この振動板部材2の振動領域2aの面外側(液室6と反対面側)に、振動領域2aを変形させる圧力発生手段(アクチュエータ手段、駆動手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ100を配置している。
【0018】
この圧電アクチュエータ100は、ベース部材13上に接着剤接合した1又は複数(ここでは1つのみ図示)の積層型圧電部材12を有している。圧電部材12は、ハーフカットダイシングによる溝加工で所要数の柱状の圧電部材(これを「圧電柱」という。)12A(後述の図3参照)を所定の間隔で櫛歯状に形成したものである。
【0019】
ここで、圧電部材12は、圧電層21と内部電極22とを交互に積層したものであり、内部電極22をそれぞれ端面、即ち圧電部材12の振動板部材2に略垂直な側面(積層方向に沿う面)に交互に引き出して、この側面に形成された端面電極(外部電極)23、24に接続している。端面電極23は個別外部電極であり、端面電極24は共通外部電極であって、これらの外部電極23、24間に電圧を印加することで積層方向の変位を生じる。
【0020】
また、圧電部材12には駆動信号を与えるためのフレキシブル配線部材としてのFPC15が接続されている。FPC15は、圧電部材12に駆動波形(駆動信号)を与えるドライバIC(駆動回路)16が実装されている。FPC15の後端部は、装置本体の図示しない制御基板(制御部)に接続されている。
【0021】
ノズル板3は、ニッケル(Ni)の金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法(電鋳)で製造している。このノズル板3には各液室6に対応して直径10〜35μmのノズル4を形成し、流路板1に接着剤接合している。そして、このノズル板3の液滴吐出側面(吐出方向の表面:吐出面、又は液室6側と反対の面)には撥水層を設けている。
【0022】
さらに、これらの圧電部材12、ベース部材13及びFPC15などで構成される圧電アクチュエータ100の外周側には、エポキシ系樹脂などの樹脂部材或いはSUSなどの金属部材で形成したフレーム部材17を接合している。
【0023】
そして、このフレーム部材17には前述した共通液室10を形成し、更に共通液室10に外部から記録液を供給するための供給口を形成し、この供給口は更に図示しないサブタンクやインクカートリッジなどのインク供給源に接続される。また、フレーム部材17には、圧電アクチュエータ100を配置する穴部18が形成されている。
【0024】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば、圧電部材12に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電部材12が収縮し、振動板部材2の振動領域2aが変形して液室6の容積が膨張することで、液室6内にインクが流入し、その後、圧電部材12に印加する電圧を上げて圧電部材12を積層方向に伸長させ、振動板部材2の振動領域2aをノズル4方向に変形させて液室6の容積を収縮させることにより、液室6内のインクが加圧され、ノズル4から液滴が吐出される。
【0025】
そして、圧電部材12に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材2の振動領域2aが初期位置に復元し、液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0026】
なお、液体吐出ヘッドは、上記の引き−押し打ち以外にも、引き打ち方式(振動板部材を引いた状態から開放して復元力で加圧する方式)、押し打ち方式(振動板部材2を初期位置から押出す方式)などの方式で駆動することもできる。
【0027】
次に、本実施形態における放熱構成に関わる部分について図3ないし図5を参照して説明する。図3はヘッドの圧電アクチュエータ周りの斜視説明図、図4は同アクチュエータ部分の断面説明図、図5は同アクチュエータとフレーム部材の関係を説明する説明図である。なお、図5ではフィルム状熱伝導部材は透過状態で示している(以下の図5と同様な図においては同様とする。)。
【0028】
フレキシブル配線部材であるFPC15には、圧電部材12の各圧電柱12Aに接続される配線パターン15Aが設けられ、また、前述したように圧電部材12の各圧電柱12Aに駆動信号を与えるドライバIC16が搭載されている。
【0029】
このFPC15の外周面側(配線パターン15Aと反対の面側)とフレーム部材17とは、圧電アクチュエータ100を包み込むように配置されたフィルム状熱伝導部材31により接続されている。
【0030】
フィルム状熱伝導部材31は、例えば銅テープなど熱伝導が高い材質のものを用いている。このフィルム状熱伝導部材31の厚みは厚い方が熱をより伝導しやすい
【0031】
このフィルム状熱伝導部材31のノズル配列方向の両端部には撓み部31aが設けられ、一方、フレーム部材17にはフィルム状熱伝導部材31の撓み部31aに対向して固定リブ17aが設けられている。フィルム状熱伝導部材31の撓み部21aとフレーム部材17の固定リブ17aとを熱伝導接着剤22にて接合することで、フィルム状熱伝導部材31をフレーム部材17に接合固定している。これにより、FPC15とフレーム部材17とは、フィルム状熱伝導部材31で接続される
【0032】
圧電部材12が駆動されると、圧電部材12自体及びドライバIC16が発熱するため、ヘッドの連続駆動で温度は上昇する。また、圧電部材12の熱は一部ヘッド内部の流路のインクに伝わり、ノズル4から放熱される。
【0033】
しかしながら、圧電部材12の熱の一部やドライバIC16の熱は、ベース部材13に蓄熱される。そのため、駆動するノズル位置が偏っている場合、例えば半分のノズルだけ連続して駆動された場合、ノズル配列方向の左右で熱分布が異なることになり、滴吐出特性が異なってしまうことになる。
【0034】
そこで、本実施形態のようにFPC15とフレーム部材17とをフィルム状熱伝導部材31を介して接続することで、ドライバIC16で発生する熱やベース部材13に蓄積される熱は、FPC15、フィルム状熱伝導部材31を介してフレーム部材17に逃がすことができる。ここで、放熱の観点からフィルム状熱伝導部材31のFPC15への接続位置はベース部材13に対向する位置もしくはドライバIC16の搭載位置が好ましい。
【0035】
また、フィルム状熱伝導部材31による接続はFPC15を介する構成に限らず、ベース部材13とフレーム部材17とをフィルム状熱伝導部材31を用いて直接接続してもよい。また、FPC15とフレーム部材17との接続とベース部材13とフレーム部材17との接続を併用してもよく、フィルム状熱伝導部材31を環状に配置(図7のような配置)してFPC15とベース部材13の両者とフレーム部材17とを接合してもよい。
【0036】
なお、本来であればベース部材13とフレーム部材17とを、熱伝導接着剤を用いて直接面同士を接着固定した方がベース部材13の端部における熱伝導性は良くなる。しかしながら、フレーム部材17とベース部材13を接着剤で直接固定すると、ベース部材13が倒れたり、固定状態がかわることで、吐出状態に悪影響を及ぼすことになる。そこで、フィルム状熱伝導部材31を介して接続することで、ベース部材に対する影響をほぼ無くすることができる。
【0037】
このようにして、ヘッドの流路部以外の放熱径路を用いて圧電部材12やドライバIC16によって発生する熱を放熱することができる。このとき、薄いフィルム状熱伝導部材31を用いていることで、放熱部材を兼ねるフィルム状熱伝導部材31はヘッドサイズに対して殆ど影響をあたえることがなく、省スペース化を図れる。そして、放熱によってヘッド温度の急激な上昇を抑えることができて、滴吐出特性が安定する。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図6ないし図8を参照して説明する。図6は同ヘッドにおける圧電アクチュエータ周りの斜視説明図、図7は同アクチュエータ部分の断面説明図、図8は同アクチュエータとフレーム部材の関係を説明する説明図である。
【0039】
本実施形態では、圧電アクチュエータ100として、ベース部材13上に2つの圧電部材12、12を配置したものを使用している。各圧電部材12、12にはFPC15、15が接続し、各FPC15にはドライバIC16が実装されている。
【0040】
そして、圧電アクチュエータ100全体を包み込むように配置されたフィルム状熱伝導部材31によって、FPC15とフレーム部材17とを熱的に接続している。
【0041】
これによって、複数の圧電部材やドライバIC(駆動素子)から生じる熱の分布の均一化を図ることができる。
【0042】
次に、本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図9を参照して説明する。図9は同ヘッドにおける圧電アクチュエータ部分の断面説明図である。
【0043】
本実施形態では、前記第2実施形態(又は第1実施形態でもよい。)において、FPC15とベース部材13との間を熱伝導性接着剤33で固定している。
【0044】
このように構成することで、ベース部材13の熱がFPC15により伝わり易くなり、フィルム状熱伝導部材31による放熱を効率的に行うことができる。また、熱伝導性接着剤33の弱い接着力をフィルム状熱伝導部材31でカバーして剥離方向の力が作用しないようにすることで補強することができる。
【0045】
次に、本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図10を参照して説明する。図10は同ヘッドにおける圧電アクチュエータ部分の断面説明図である。
【0046】
本実施形態では、FPC15とベース部材13との間をフィルム状熱伝導部材31によって接続している。ここで用いるフィルム状熱伝導部材31は、両面に接着層を有する部材であり、当該接着層によってベース部材13とFPC15にそれぞれに接続されている(粘着接合される。)。
【0047】
このように構成することで、ベース部材13の熱がフィルム状熱伝導部材31により伝わり易くなる。また、FPC15を経由したドライバIC16の熱をフィルム状熱伝導部材31で吸収するので、ベース部材13の加熱を抑えることができ、速やかにフィルム状熱伝導部材31を経由してフレーム部材17への放熱が可能となる。
【0048】
次に、本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図11及び図12を参照して説明する。図11は同ヘッドにおける圧電アクチュエータ周りの斜視説明図、図12は同アクチュエータとフレーム部材の関係を説明する説明図である。なお、図11では図3と異なり配線パターンの図示を一部省略している。
【0049】
本実施形態では、フィルム状熱伝導部材31のノズル配列方向両端部以外の部分にも複数の撓み部分31bを設けている。複数の撓み部分31bは、フレーム部材17に設けた固定リブ17bに熱伝導接着剤22で固定されている。
【0050】
複数の撓み部分31bはフィルム状熱伝導部材31のノズル配列方向の長さに合わせて熱分布が均一となるように複数箇所配置されている。
【0051】
このように構成することで、ヘッドを長尺化した場合でも熱分布の発生を低減できる。つまり、例えば、ヘッドを長尺化した場合、ノズル配列方向端部で熱を排熱しようとするとノズル配列方向中央部から遠くなり、端部側と中央部側で熱分布が生じるが、上記のように構成することで、中央部からの排熱が可能となって、熱分布を抑えることができる。
【0052】
なお、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに液体を供給するタンクを一体化することでヘッド一体型液体カートリッジ(カートリッジ一体型ヘッド)を得ることができる。
【0053】
次に、本発明に係る画像形成装置の一例について図13及び図14を参照して説明する。なお、図13は同装置の機構部の側面説明図、図14は同機構部の要部平面説明図である。
【0054】
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0055】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0056】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液体吐出ヘッド234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成したもので、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、各色毎の液体吐出ヘッドを備えることもできる。
【0057】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク235a、235b(区別しないときは「サブタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0058】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0059】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0060】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0061】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0062】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0063】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0064】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0065】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド部材245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0066】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0067】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0068】
このように、この画像形成装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、例えばヘッドを連続駆動しても熱がフレーム部材から排熱され、滴吐出特性の変化が抑えられ、また、ヘッドの熱分布を均一化することができて、ヘッド内の特性差を抑えることができ、高画質画像を安定して形成することができる。
【0069】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0070】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0071】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0072】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0073】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1 流路板
2 振動板部材
3 ノズル板
4 ノズル
6 液室
10 共通液室
12 圧電部材
12A 駆動柱
13 ベース部材
15 FPC(フレキシブル配線部材)
16 ドライバIC
17 フレーム部材
31 フィルム状熱伝導部材
233 キャリッジ
234a、234b 記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する圧力を発生させる圧電部材と、
前記圧電部材を固定配置したベース部材と、
ヘッドのフレームを形成するフレーム部材と、
前記圧電部材に接続されたフレキシブル配線部材と、を備え、
前記フレキシブル配線部材及び前記ベース部材の少なくともいずれかと前記フレーム部材とは、フィルム状熱伝導部材で接続されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
2つの前記圧電部材が前記ベース部材に並べて配置され、
2つの前記圧電部材にはそれぞれ前記フレキシブル配線部材が接続され、
前記フィルム状熱伝導部材は、2つの前記フレキシブル配線部材を包み込むように固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記ベース部材と前記フレキシブル配線部材とは熱伝導性接着剤で接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記フィルム状熱伝導部材は、両面に接着層が設けられたテープ状部材であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記フィルム状熱伝導部材の前記ベースと固定する部分には複数の撓み部分が設けられ、前記撓み部分が熱伝導性接着剤で前記ベース部材に固定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−63555(P2013−63555A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202944(P2011−202944)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】