説明

液体吐出機構及び該液体吐出機構を具える液状化粧料容器

【課題】例えば、粘度の高い液状化粧料を、簡易且つ確実に、しかも適量を採ることできるようにする。
【解決手段】塗布体3と軸筒4内の液状化粧料貯留部4aとの間に、該軸筒4の口筒部4cに嵌着され、その内部にボールバルブ7cにより開閉自在となる吸入孔7bを有する保持体7、該塗布体3に対しボールバルブ8eにより開閉自在となる排出孔8dで連結すると共に、その軸部8aを該保持体7内に空間7aを形成しつつ摺動自在に密嵌する先筒体8、及び内装する回転カム体9と共に該先筒体の誘導ピン8gを遊嵌する波形の誘導溝11を形成してなる受筒体10からなる液体吐出機構6を配置することで、該先筒体を回転させることで、先筒体の誘導ピンを該誘導溝内でスライドさせつつ案内する。その結果、保持体内に形成される空間が変形してその容積が増減するので、内部圧力が変動して該ボールバルブが開閉し、液状化粧料を排出、吸入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一定量の液体を液体貯留部から液体吐出部へ吐出させる機構であって、例えば粘度の高い液状化粧料であるアイライナー、アイシャドー、コンシーラー又はリップライナー等の液状化粧料容器において、該液状化粧料を塗布する毛筆又はスポンジなどの塗布体に対して該液状化粧料を供給するものとして使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、粘度の高い液状化粧料であるアイライナー、アイシャドー、コンシーラー又はリップライナー等の液状化粧料容器は、次のような液体吐出機構が具えられている。即ち、該粘度の高い液状化粧料を充填したパイプと、一端には、吐出量の調整機構と共に、クリックによる繰り出し機構を連結し、他端には、該調整機構による調整に応じて、該繰り出し機構により所定長さだけ摺動するものであって、該パイプ内において、気密保持しながらスライドするピストンを取り付けてなる押し出し棒とから構成されるものである。従って使用の際には、調整機構による調整をした上で、繰り出し機構を作動させることによって、押し出し棒に取り付けられたピストンが、パイプ内に充填される粘度の高い液状化粧料を一定量押圧して、液状化粧料をパイプ外の毛筆やスポンジなどの塗布体表面へ吐出させてなるものである。
【0003】
ところが、パイプ外の毛筆やスポンジなどの塗布体の表面に粘度の高い液状化粧料を吐出させる場合、使用者が一回の塗布で使用する液状化粧料の量に比して、該粘度の高い液状化粧料の貯留されるパイプの容量や、そこに貯留される液状化粧料自体の量が圧倒的に大きいことから、該液状化粧料の有する粘度の高さとも相俟って、パイプ内の液状化粧料を塗布体側へ吐出させるために、押し出し棒に取り付けられたピストンがパイプ内で液状化粧料を加圧しても、塗布体表面へ液状化粧料が吐出されるのに時間がかかることとなる。そのため使用者は往々にして、繰り出し機構を操作し過ぎたり、液状化粧料の吐出量の調整機構を過大に調整しがちとなる。その結果、該液状化粧料容器においては、過剰な液状化粧料が吐出されやすく、使用者は使用前にティッシュ等で適量にならす必要が生じ、使用上煩雑である上、不必要な液状化粧料の消費につながる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、粘度の高い液状化粧料、例えばアイライナー、アイシャドー、コンシーラー又はリップライナー等の液状化粧料容器において、簡易且つ確実に、しかも適量の該液状化粧料を毛筆やスポンジなどの塗布体表面に吐出させることができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、例えば液状化粧料容器において、液体貯留部と液体吐出部との間に配置される液体吐出機構を次のようにする。即ち、その内部に液体貯留部に連通する吸入孔を穿設すると共に、該吸入孔を開閉自在とするボールバルブを弾性をもって液体貯留部方向へ保持する液体貯留部の口筒部、
一端を液体吐出部に連結し、他端を該液体貯留部の口筒部に対して液体貯留部方向に摺動自在且つ回転自在に密嵌してなるものであって、中央に貫通して穿設する液体流通孔の内部において、液体吐出部への排出孔を開閉自在とするボールバルブを弾性をもって液体貯留部方向へ保持すると共に、外壁面において径方向に突出する誘導ピンを形成する先筒体、
先筒体の一部を被覆保持しつつ該液体貯留部の口筒部に装着されるものであって、その内壁面において、液体貯留部方向に上下する波形状の誘導溝を形成する受筒体から構成し、
前記先筒体の誘導ピンを受筒体内壁面に設けられた波形状の誘導溝内にスライド自在に遊嵌し、該先筒体を受筒体に対して回転自在に保持することにより、前記両バルブ間の液体流通空間の容積を圧縮自在としてなるものである。
このため、使用者が先筒体を回転させると、該受筒体内壁面に形成される波形状の誘導溝内を、該先筒体の誘導ピンがスライドしながら案内されるものとなる。その結果、液体貯留部の口筒部に密嵌する先筒体は、液体貯留部方向に前後に摺動するものとなる。即ち、それぞれボールバルブを設けた吸入孔と排出孔間の液体流通空間の容積が、先筒体の前記摺動により変化することから、その内部圧力は加圧又は減圧されることとなるので、液体貯留部に連通する吸入孔のボールバルブ及び液体吐出部に連通する排出孔のボールバルブは、交互に該空間内に生じる加圧状態又は減圧状態に応じてスプリングの弾性に抗して又はスプリングの弾性により開閉する。即ち、先筒体を回転させるだけで、該液体吐出機構は、前記両バルブ間に形成される液体流通空間内からの液体吐出部すなわち塗布体への液体すなわち液状化粧料の排出、及び液体貯留部からの液状化粧料の吸入を繰り返し、該空間内には常に一定量の液状化粧料が満たされるものとなる。従って、先筒体を必要なだけ回転させることで、該吐出機構内の液体流通空間内を加圧又は減圧させ、簡易且つ確実に、しかも適量の液状化粧料を塗布体へ取り出すことができる。
【0006】
また、上記液体吐出機構を、次のようにしても良いものである。即ち、該液体吐出機構を、
その内部に液体貯留部に連通する吸入孔を穿設すると共に、該吸入孔を開閉自在とするボールバルブを弾性をもって液体貯留部方向へ保持する液体貯留部の口筒部、
一端を液体吐出部に連結し、他端を該液体貯留部の口筒部に対して密嵌するものであって、中央に貫通して穿設する液体流通孔の内部において、液体吐出部への排出孔を開閉自在とするボールバルブを弾性をもって液体貯留部方向へ保持すると共に、その胴部において変形可能な薄肉部を形成してなる変形先筒体、
先端面を該変形先筒体の胴部に当接可能として、該胴部を径方向に押勢自在とするとともに、その底面を外部に露出するボタンから構成し、
前記ボタンにより、該変形先筒体の胴部に形成された液体流通孔の薄肉部を押勢自在とすることにより、変形先筒体胴部における液体流通孔の径を変形自在として、前記両バルブ間の液体流通空間の容積を圧縮自在としてなるものである。
このため、使用者が、外部に露出するボタン底面への押勢を繰り返すことにより、ボタンの先端面が変形先筒体の胴部を径方向に潰したり、又は復元させたりする。そのため、変形先筒体の胴部内の液体流通空間の容積が増減して、内部圧力が加圧又は減圧されるものとなる。その結果、液体貯留部ヘ連通する吸入孔のボールバルブ及び液体吐出部に連通する排出孔のボールバルブは、交互に該空間内に生じる加圧状態又は減圧状態に応じてスプリングの弾性に抗して又はスプリングの弾性により開閉するものとなる。従って、ボタンの押勢の操作により、該液体吐出機構は、前記両バルブ間に形成される液体流通空間内からの液体吐出部すなわち塗布体への液体すなわち液状化粧料の排出、及び液体貯留部からの液状化粧料の吸入を繰り返し、該空間内には常に一定量の液状化粧料が満たされるものとなる。従って、実施例1と同様に、使用者はボタンを必要なだけ押勢することで、該吐出機構内の液体流通空間内を加圧、減圧させて、簡易且つ確実に、しかも適量の液体を取り出すことができる。
【0007】
特に、上記二つの液体吐出機構を、粘度の高い液状化粧料、例えばアイライナー、アイシャドー、コンシーラー又はリップライナー等の液状化粧料容器において使用することで、使用者は、化粧作業に必要となる液状化粧料を、簡易且つ確実に、しかも適量取り出すことができるものとなる。
【発明の効果】
【0008】
この発明の液体吐出機構は、簡単な動作により、簡易且つ確実に、しかも適量の液体を取り出すことができるので、上述のような粘度の高い液状化粧料、例えばアイライナー、アイシャドー、コンシーラー又はリップライナー等の液状化粧料容器に使用することで、使用者は化粧作業を過剰な液状化粧料を消費することなく、簡易且つ確実に行うことができるという優れた効果を有する。
【実施例1】
【0009】
図1において示す(1)は、この発明の実施例1である液状化粧料容器である。この液状化粧料容器(1)は、液状化粧料(4b)を塗布する毛筆や発泡体などの塗布体(3)と、該塗布体(3)を先端に固持してなる軸筒(4)とからなる化粧料容器本体(2)、及び該化粧料容器本体(2)の先端に固持する該塗布体(3)を密閉保持してなるキャップ(5)から構成されるものである。
【0010】
そして、該化粧料容器本体(2)を構成する軸筒(4)内に収容され、液状化粧料(4b)を貯留してなる液状化粧料貯留部(4a)と、該軸筒(4)の先端に固持される塗布体(3)とは、請求項1に記載される液体吐出機構(6)を介して液状化粧料(4b)が流通可能なように連通してなるものである。
【0011】
ここで、この実施例1の液状化粧料容器(1)に具えられる液体吐出機構(6)は、次のようになっている。即ち、液体貯留部である液状化粧料貯留部(4a)を内部に形成する軸筒(4)の口筒部(4c)の取付孔(4d)内に嵌着される保持体(7)と、一端を液体吐出部である塗布体(3)に連結し、他端の軸部(8a)を、該保持体(7)内において空間(7a)を形成しつつ液状化粧料貯留部(4a)方向に前後に摺動自在にパッキン(8b)と共に密嵌させてなる先筒体(8)、及び、その先端側においては、内装する回転カム体(9)と共に該先筒体(8)の一部を被覆保持し、又、その後端側においては該軸筒(4)の口筒部(4c)に固定されてなる受筒体(10)から構成されるものである。なお、塗布体(3)は先筒体(8)のカバー(8h)によりその一部を被覆されると共に、該先筒体(8)に対して一体に固定されるものである。
【0012】
そして、該保持体(7)はその内部に、液状化粧料貯留部(4a)に連通する吸入孔(7b)を穿設すると共に、該吸入孔(7b)を開閉自在とするボールバルブ(7c)を、該先筒体(8)の軸部(8a)端縁に係止するスプリング(7d)の弾性により液状化粧料貯留部(4a)方向へ移動自在に保持するものである。また、該先筒体(8)は、中央に貫通して穿設する液体流通孔(8c)の内部において、塗布体(3)への排出孔(8d)を開閉自在とするボールバルブ(8e)を、塗布体(3)の底部(3a)に係止するスプリング(8f)の弾性により液状化粧料貯留部(4a)方向へ移動自在に保持するものであって、その外壁面には径方向に突出する一対の誘導ピン(8g)を形成するものである。更に、受筒体(10)は、その内壁面の対向する位置に、液状化粧料貯留部(4a)方向に突出する一対の山形を有する波形状となって内方へ突出する係止面(10a)と、同じく内方に突出する係止段部(10b)を形成する。又、回転カム体(9)は、外壁面に係止縁(9b)を形成し、その端縁部(9a)を前記受筒体(10)の係止面(10a)と同形状である波形状に形成してなるものである。
従って、受筒体(10)内の係止段部(10b)に回転カム体(9)の係止縁(9b)を係止して内装することで、該受筒体(10)の係止面(10a)と回転カム体(9)の端縁部(9a)とで液状化粧料貯留部(4a)方向に一対の山形をなす波形状の誘導溝(11)を形成した上で、一端を該塗布体(3)に連結し、他端の軸部(8a)を保持体(7)内に密嵌する先筒体(8)の誘導ピン(8g)を、該誘導溝(11)内に沿ってスライド自在に遊嵌することで、該先筒体(8)を該受筒体(10)に対して回転自在に保持してなるものである。
【0013】
この発明の実施例1である液状化粧料容器(1)は以上の構成を具えるので、使用者が、この発明の実施例1の液状化粧料容器(1)を使用するに当たっては次のようにするものである。
即ち、使用者は、まず先筒体(8)のカバー(8h)と軸筒(4)とを持って、該カバー(8h)を90度回転させることで、該受筒体(10)の内壁面に形成される波形状の係止面(10a)と回転カム体(9)の波形状の端縁部(9a)とにより形成される誘導溝(11)内を、該先筒体(8)の誘導ピン(8g)がスライドして波形状の山部(11a)方向に案内されるものとなる。即ち、保持体(7)内にパッキン(8b)と共に軸部(8a)を密嵌する先筒体(8)は、保持体(7)内を液状化粧料貯留部(4a)方向に摺動することとなる〔即ち、先筒体(8)と一体となる塗布体(3)も同量だけ移動する。〕。その結果、保持体(7)内において、該保持体(7)と先筒体(8)の軸部(8a)とにより形成される空間(7a)が狭まり、それぞれボールバルブ(7c)(8e)を設置した吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間の液体流通空間、すなわち先筒体(8)の液体流通孔(8c)及び保持体(7)内の前記空間(7a)内に滞留していた液状化粧料(4b)は加圧されるものとなる。その時、液状化粧料貯留部(4a)に連通する保持体(7)の吸入孔(7b)は、加圧された液状化粧料(4b)の圧力及びスプリング(7d)の弾性とが相俟って、ボールバルブ(7c)で閉塞されたままとなる一方、塗布体(3)側への排出孔(8d)を閉塞するボールバルブ(8e)は、該加圧された液状化粧料(4b)の圧力によりスプリング(8f)の弾性に抗して開放されるものとなる。従って、該先筒体(8)の液体流通孔(8c)及び保持体(7)の空間(7a)内において高圧となった液状化粧料(4b)は、先筒体(8)の排出孔(8d)から塗布体(3)に排出されることになる〔図5(イ)〜(ロ)参照〕。そして、一定量の液状化粧料(4b)が先筒体(8)の排出孔(8d)から塗布体(3)に排出されると、前記吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間に滞留している液状化粧料(4b)の圧力が低下することから、スプリング(8f)の弾性によってボールバルブ(8e)が排出孔(8d)を閉塞することとなる。
【0014】
また、使用者が該カバー(8h)と軸筒(4)とを持って、更に該カバー(8h)を90度回転させると、該誘導溝(11)内を山部(11a)方向に案内されていた該先筒体(8)の誘導ピン(8g)が誘導溝(11)に沿ってスライドして、次は波形状の谷部(11b)方向に案内されるものとなる。即ち、保持体(7)内に軸部(8a)をパッキン(8b)と共に密嵌する先筒体(8)は、保持体(7)内を塗布体(3)方向に摺動するものとなる〔即ち、先筒体(8)と一体となる塗布体(3)も再び移動する。〕。その結果、一定量の液状化粧料(4b)を排出したままで保持体(7)内に形成される空間(7a)が元の容積に復元するので、前記吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間の液体流通空間は減圧されることになる。そのため、液状化粧料貯留部(4a)に連通する保持体(7)の吸入孔(7b)を閉塞していたボールバルブ(7c)は、前記吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間が減圧状態になることにより、スプリング(7d)の弾性に抗して開放されるものとなる。従って、該保持体(7)の吸入孔(7b)より、液状化粧料貯留部(4b)内の液状化粧料(4b)が前記吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間に吸入されるものとなる〔図5(ロ)〜(ハ)参照〕。なお、該保持体(7)の吸入孔(7b)からの液状化粧料(4b)の吸入は、液状化粧料貯留部(4a)内の圧力と、前記吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間の圧力の均衡が図られると、スプリング(7d)の弾性により、ボールバルブ(7c)が吸入孔(7b)を閉塞することで止まるものである。
【0015】
以上により、使用者が、順次先筒体(8)を軸筒(4)に対して回転することにより、該液体吐出機構(6)においては、先筒体(8)の保持体(7)に対する前後方向への摺動が繰り返される。その結果、前記吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間の液体流通空間、すなわち先筒体(8)の液体流通孔(8c)及び保持体(7)により形成される空間(7a)内の容積が変動し、その内部圧力が変動することから、塗布体(3)への一定量の液状化粧料(4b)の供給及び液状化粧料貯留部(4a)からの一定量の液状化粧料(4b)の吸入を繰り返すこととなる。従って、使用者は先筒体(8)を必要なだけ回転させることで、前記液体離宇通空間内の圧力を加圧、減圧させて、簡易且つ確実に、しかも適量の液状化粧料(4b)を常に塗布体(3)に送り出すことができるものである。
【0016】
なお、この発明の実施例1の液状化粧料容器(1)において使用される液体吐出機構(6)においては、塗布体(3)への排出孔(8d)及び液状化粧料貯留部(4a)に連通する吸入孔(7b)を閉塞するのにボールバルブ(8e)(7c)を使用しているが、図6に示すように、該塗布体(3)への排出孔(8d)及び液状化粧料貯留部(4a)に連通する吸入孔(7b)おいて、傘部(12a)を有する傘状バルブ(12)を用いても良いものである。即ち、排出孔(8d)及び吸入孔(7b)のそれぞれにおいて、該傘状バルブ(12)の装着される側の各孔周辺部を、その傘状バルブ(12)の傘部(12a)の傾斜と同一の傾斜面を有するようにすることで、該傘状バルブ(12)の傘部(12a)の径が排出孔(8d)及び吸入孔(7b)の径よりも大であることから、該傘部(12a)が塗布体(3)への排出孔(8d)及び吸入孔(7b)に対してその傾斜面において大きく密着することとなり、先筒体(8)の液体流通孔(8c)及び保持体(7)により形成される空間(7a)内の気密性を確実に維持し、液状化粧料(4b)の排出、吸入をより円滑にすることができるものである。
【実施例2】
【0017】
図7乃至図10において示すのは、この発明の実施例2である。この液状化粧料容器(1’)は、この発明の実施例1の液状化粧料容器(1)と同様に、液状化粧料(4b)を塗布する毛筆や発泡体などの塗布体(3)と、該塗布体(3)を先端に固持してなる軸筒(4)とからなる化粧料容器本体(2)、及び該化粧料容器本体(2)の先端に固持する該塗布体(3)を密閉保持してなるキャップ(5)から構成されているものである。
【0018】
更に、実施例1と同様に、該化粧料容器本体(2)を構成する軸筒(4)内に収容され、液状化粧料(4b)を貯留してなる液状化粧料貯留部(4a)と、該軸筒(4)の先端に保持される塗布体(3)とは、請求項2に記載される液体吐出機構(6’)を介して液状化粧料(4b)が流通可能なように連通してなるものである。
【0019】
ここで、この実施例2における液体吐出機構(6’)は、次のようになっている。即ち、液体貯留部である液状化粧料貯留部(4a)を内部に形成する軸筒(4)の口筒部(4c)の取付孔(4d)内に嵌着される保持体(7)、一端を液体吐出部である塗布体(3)に連結し、他端の軸部(8a)を、該保持体(7)内において空間(7a)を形成しつつパッキン(8b)と共に密嵌してなる変形先筒体(8’)、及び、先端曲面(14a)を該変形先筒体(8)の胴部(13)に当接し、その底面(14b)と一体となるチップ(16)を外部に露出するボタン(14)、並びに該変形先筒体(8’)を保持すると共に、該ボタン(14)の底部(14b)を露出するように該液状化粧料貯留部(4a)の口筒部(4c)に装着されてなる筆筒体(15)から構成されるものである。なお、軸筒(4)の先端に保持される塗布体(3)は、該筆筒体(15)に被覆保持されながらに変形先筒体(8’)に一体に固定されているものである。
【0020】
そして、該保持体(7)はその内部に、液状化粧料貯留部(4a)内に連通する吸入孔(7b)を穿設すると共に、該吸入孔(7b)を開閉自在とするボールバルブ(7c)を、該変形先筒体(8’)の軸部(8a)端縁に係止するスプリング(7d)の弾性により該液状化粧料貯留部(4a)方向へ移動自在に保持する。また、該変形先筒体(8’)は、中央に貫通して穿設する液体流通孔(8c’)の内部において、塗布体(3)への排出孔(8d)を開閉自在とするボールバルブ(8e)を、塗布体(3)の底部(3a)に係止するスプリング(8f)の弾性により液状化粧料貯留部(4a)方向へ移動自在に保持すると共に、その胴部(13)において変形可能に薄肉部(13a)を形成するものである。更に、筆筒体(15)は、変形先筒体(8’)の胴部(13)の薄肉部(13a)に当接するボタン(14)の底部(14b)を露出させる位置に嵌着孔(15a)を形成するものである。その上、該ボタン(14)は、対向する位置に配置され、先端曲面(14a)を変形先筒体(8’)の胴部(13)に当接させて、該胴部(13)の薄肉部(13a)を押圧自在とするものであって、該筆筒体(15)の嵌着孔(15a)周囲の内壁面と、変形先筒体(8’)並びに保持体(7)との間でそれぞれ形成される係合段部(15b)に、該ボタン(14)と一体に形成される弾性片(14c)を係合させることにより、その底部(14b)と一体となるチップ(16)を該嵌着孔(15a)より露出させるよう筆筒体(15)に固定されるものである。
従って、該ボタン(14)を押勢することで、筆筒体(15)内の変形先筒体(8’)の胴部(13)の薄肉部(13a)が変形、即ち対向する径方向へ潰れてなるものである。
ところで、この変形先筒体(8’)の胴部(13)に形成される薄肉部(13a)は変形先筒体(8’)と一体であるが、別体のシリコンゴム等により成形される筒体を使用しても良いものである。即ち、より弾性変化の大きいシリコンゴム等を使用することにより、操作性の向上と軽量化が図れると共に、液状化粧料(4b)の吐出量を大きく変化させることができるものとなる。
なお、該ボタン(14)は、図10において示すように、先端を曲面とする先端曲面(14a)と筆筒体(15)の嵌着孔(15a)に合わせた形状のチップ(16)が装着されている底面(14b)からなる略蒲鉾断面形状であって、その側面には一体に弾性片(14c)が形成されている。そして前述の通り、該ボタン(14)は弾性片(14c)の外側への弾撥力を利用して、筆筒体(15)の嵌着孔(15a)周囲の内壁面に形成された係合段部(15b)に固定されているので、該ボタン(14)を嵌着孔(15a)に押し込んで装着してしまえば、使用者が該ボタン(14)を押し込んだ後に、変形先筒体(8’)の胴部(13)の薄肉部(13a)の復元により、ボタン(14)が再度押し戻されても、元の位置に復帰するだけで、該ボタン(14)が嵌着孔(15a)から離脱することはない。尚、このボタン(14)は、実施例2のように複数であるだけでなく、単数であっても構わないが、単数の場合には、薄肉部(13a)を挟んでその押圧するボタン(14)と対向する側は、その薄肉部(13a)が変形しないように固定されている必要がある。
【0021】
この発明の実施例2である液状化粧料容器(1)が以上の構成を具えるので、使用者が、この発明の実施例2の液状化粧料容器(1)を使用するに当たっては次のようにするものである。
即ち、使用者が、筆筒体(15)の嵌着孔(15a)から露出する両ボタン(14)の底面(14b)に装着されているチップ(16)を押勢することで、該ボタン(14)の先端曲面(14a)は、該先端曲面(14a)が当接する変形先筒体(8’)の胴部(13)の薄肉部(13a)を押勢し、該薄肉部(13a)が対向する方向からの押勢力により径方向に潰れることとなる。その結果、変形先筒体(8’)内の液体流通孔(8c’)が圧縮されるので、ボールバルブ(7c)(8e)を設置した吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間の液体流通空間、すなわち該変形先筒体(8’)の液体流通孔(8c’)及び変形先筒体(8’)の軸部(8a)により形成される空間(7a)内の液状化粧料(4d)は加圧されることとなる。この時、液状化粧料貯留部(4a)に連通する保持体(7)の吸入孔(7b)は、該加圧された液状化粧料(4d)の圧力及びスプリング(7d)の弾性が相俟って、ボールバルブ(7c)で閉塞されたままとなる。一方、塗布体(3)への排出孔(8d)を閉塞するボールバルブ(8e)は、該加圧された液状化粧料(4d)の圧力により、スプリング(8f)の弾性に抗して開放されるものとなる。従って、該吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間の液体流通空間内の高圧の液状化粧料(4d)は排出孔(8d)を通じて塗布体(3)へ排出されるものである〔図9(イ)〜(ロ)参照〕。そして、一定量の液状化粧料(4b)が変形先筒体(8’)の排出孔(8d)から塗布体(3)に排出されると、前記吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間の液体流通空間内に滞留している液状化粧料(4b)の圧力が低下することから、スプリング(8f)の弾性によってボールバルブ(8e)が排出孔(8d)を閉塞することとなる。
【0022】
その後、使用者が、該ボタン(14)に対する押勢をやめると、径方向に潰れていた変形先筒体(8’)の胴部(13)の薄肉部(13a)は元の形状に復元する。その結果、一定量の液状化粧料(4b)を排出したままで変形先筒体(8’)内の液体流通孔(8c’)が元の容積に復元することによって、該吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間の液体流通空間内は減圧されるものとなる。そのため、液状化粧料貯留部(4a)ヘ連通する保持体(7)の吸入孔(7b)を閉塞するボールバルブ(7c)は、該空間側の減圧状態によりスプリング(7d)の弾性に抗して開放されることとなる。従って、該吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間の液体流通空間内に、液状化粧料貯留部(4a)内の液状化粧料(4b)が保持体(7)の吸入孔(7b)を介して吸入されるものとなる〔図9(ロ)〜(ハ)参照〕。なお、液状化粧料貯留部(4a)から該吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間の液体流通空間内への液状化粧料(4b)の吸入は、該空間内の圧力と該液状化粧料貯留部(4a)内の圧力の均衡が図られると、スプリング(7d)の弾性により吸入孔(7b)が閉塞されることで止まるものである。
【0023】
以上より、使用者が筆筒体(15)のボタン(14)への押勢を繰り返すことで、該液体吐出機構(6’)においては、前記吸入孔(7b)と排出孔(8d)の間の液体流通空間、すなわち変形先筒体(8’)の液体流通孔(8c’)及び保持体(7)により形成される空間(7a)内の容積が変動し、その内部圧力が変動することから、塗布体(3)への一定量の液状化粧料(4b)の供給及び液状化粧料貯留部(4a)からの一定量の液状化粧料(4b)の吸入を繰り返すこととなる。
従って、使用者はボタン(14)を必要なだけ押勢することで、前記液体流通空間内の圧力を加圧、減圧させて、簡易且つ確実に、しかも適量の液状化粧料(4b)を常に塗布体(3)へ取り出すことができるものである。
【0024】
なお、この発明の実施例2の液状化粧料容器(1’)において使用される液体吐出機構(6’)においては、塗布体(3)への排出孔(8d)及び液状化粧料貯留部(4a)に連通する吸入孔(7b)を閉塞するのにボールバルブ(7c)(8e)を使用しているが、実施例1の液状化粧料容器(1)で示したように、同様の理由から、該塗布体(3)への排出孔(8d)及び液状化粧料貯留部(4a)に連通する吸入孔(7b)に傘部(12a)を有する傘状バルブ(12)を用いても良いものである。
【0025】
また、上記実施例1及び実施例2における該液状化粧料容器(1)(1’)を出荷・運搬する際には、図11に示すようにするものである。例えば、実施例1の液状化粧料容器(1)で説明すると、該液状化粧料容器(1)を構成する軸筒(4)の口筒部(4c)内の取付孔(4d)に対して、該口筒部(4c)の取付孔(4d)の口径と略同一のボールストッパー(17)を挿嵌した上で、保持体(7)を嵌着するものである。そして、キャップ(5)並びに受筒体(10)と、軸筒(4)の肩部(4e)との間に、径方向に拡張自在となるようにスリット(18a)を有するリングストッパー(18)を介在させてなるものである。
以上のように、ボールストッパー(17)を軸筒(4)の口筒部(4c)に挿嵌させることで、軸筒(4)内に収容する液状化粧料貯留部(4a)内の液状化粧料(4b)は、液体吐出機構(6)方向へは流入することがなくなる。。そして、使用に際しては、キャップ(5)並びに受筒体(10)と、軸筒(4)の肩部(4e)との間に介在させるリングストッパー(18)を、そのスリット(18a)を有することで生じる弾性を利用して外した上、キャップ(5)全体を受筒体(10)と共に軸筒(4)方向に押勢するものである。その結果、キャップ(5)は、受筒体(10)と共に、その内部の保持体(7)を軸筒(4)の口筒部(4c)の取付孔(4d)内に押し込め、液状化粧料容器(1)として使用に供することができるようになる。一方、該取付孔(4d)内に挿嵌していたボールストッパー(16)は、保持体(7)によって液状化粧料貯留部(4a)内に落し込まれ、液状化粧料貯留部(4a)内に貯留する液状化粧料(4b)の撹拌に供されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
粘度の高い液状化粧料だけでなく、微量の液体を簡易且つ確実に取り出すことができるため、液体を収容する容器において適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施例である液状化粧料容器の部分断面図である。
【図2】この発明の実施例1の液状化粧料容器の横断面図である。
【図3】この発明の実施例1の液状化粧料容器に具えられる液体吐出機構の分解斜視図である。
【図4】この発明の実施例1の液状化粧料容器に具えられる液体吐出機構に用いられる受筒体及び回転カム体の縦断面図である。
【図5】この発明の実施例1の液状化粧料容器に具えられる液体吐出機構の作動状態を示す模式図である。
【図6】この発明の実施例1の液状化粧料容器の変形例の横断面図である。
【図7】この発明の実施例2である液状化粧料容器の正面図である。
【図8】この発明の実施例2の液状化粧料容器の横断面図である。
【図9】この発明の実施例2の液状化粧料容器に具えられる液体吐出機構の作動状態を示す模式図である。
【図10】この発明の実施例2の液状化粧料容器に具えられる液体吐出機構に使用されるボタンの上面図(イ)、縦断面図(ロ)及び側面図(ハ)である。尚、縦断面図(ロ)には該ボタンの取付け状態を明らかにするため、筆筒体の嵌着孔等を付記した。
【図11】この発明の実施例である液状化粧料容器の運搬時における横断面図である
【図12】前記運搬時に用いられるリングストッパーの正面図である。
【符号の説明】
【0028】
1、1’ 液状化粧料容器
2 化粧料容器本体
3 塗布体
3a 底部
4 軸筒
4a 液状化粧料貯留部
4b 液状化粧料
4c 口筒部
4d 取付孔
4e 肩部
5 キャップ
6、6’ 液体吐出機構
7 保持体
7a 空間
7b 吸入孔
7c ボールバルブ
7d スプリング
8 先筒体
8a 軸部
8b パッキン
8c、8c’ 液体流通孔
8d 排出孔
8e ボールバルブ
8f スプリング
8g 誘導ピン
8h カバー
8’ 変形先筒体
9 回転カム体
9a 端縁部
9b 係止縁
10 受筒体
10a 係止面
10b 係止段部
11 誘導溝
11a 山部
11b 谷部
12 傘状バルブ
12a 傘部
13 胴部
13a 薄肉部
14 ボタン
14a 先端曲面
14b 底面
14c 弾性片
15 筆筒体
15a 嵌着孔
15b 係合段部
16 チップ
17 ボールストッパー
18 リングストッパー
18a スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体貯留部と液体吐出部との間に配置される液体吐出機構であり、
その内部に設けた液体流通空間に対して液体貯留部から液体を吸入する吸入孔と、該液体流通空間から液体吐出部へ液体を排出する排出孔のそれぞれにバルブを設けると共に、両バルブ間の液体流通空間の容積を圧縮自在としてなる液体吐出機構。
【請求項2】
液体貯留部と液体吐出部との間に配置され、
一端を液体吐出部に連結し、他端を該液体貯留部の口筒部に対して液体貯留部方向に摺動自在且つ回転自在に密嵌してなる先筒体、及び該先筒体の一部を被覆保持しつつ該液体貯留部の口筒部に装着される受筒体から構成し、
該口筒部は、その内部に液体貯留部に連通する吸入孔を穿設すると共に、該吸入孔を開閉自在とするボールバルブを弾性をもって液体貯留部方向へ保持し、
該先筒体は、中央に貫通して穿設する液体流通孔の内部において、液体吐出部への排出孔を開閉自在とするボールバルブを弾性をもって液体貯留部方向へ保持すると共に、外壁面において径方向に突出する誘導ピンを形成し、
該受筒体は、その内壁面において、液体貯留部方向に上下する波形状の誘導溝を形成するものであって、
前記先筒体の誘導ピンを受筒体内壁面に設けられた波形状の誘導溝内にスライド自在に遊嵌し、該先筒体を受筒体に対して回転自在に保持することにより、前記両バルブ間の液体流通空間の容積を圧縮自在としてなる請求項1記載の液体吐出機構。
【請求項3】
液体貯留部と液体吐出部との間に配置されるものであって、
一端を液体吐出部に連結し、他端を該液体貯留部の口筒部に対して密嵌してなる変形先筒体、及び先端面を該変形先筒体の胴部に当接可能として、該胴部を径方向に押勢自在とするとともに、その底面を外部に露出するボタンから構成され、
該口筒部は、その内部に液体貯留部に連通する吸入孔を穿設すると共に、該吸入孔を開閉自在とするボールバルブを弾性をもって液体貯留部方向へ保持し、
該変形先筒体は、中央に貫通して穿設する液体流通孔の内部において、液体吐出部への排出孔を開閉自在とするボールバルブを弾性をもって液体貯留部方向へ保持すると共に、その胴部において変形可能な薄肉部を形成するものであって、
前記ボタンにより、該変形先筒体の胴部に形成された液体流通孔の薄肉部を押勢自在とすることにより、変形先筒体胴部における液体流通孔の径を変形自在として、前記両バルブ間の液体流通空間の容積を圧縮自在としてなる請求項1記載の液体吐出機構。
【請求項4】
上記吸入孔及び排出孔を開閉自在とするボールバルブの代わりに、傘状バルブを用いてなる請求項2乃び3記載の液体吐出機構。
【請求項5】
上記吐出機構もしくは吐出機構を構成する先筒体又は変形先筒体の一端が連結する液体吐出部を、キャップの脱着により密閉自在となり、毛筆又は発泡体などから形成される塗布体とするとともに、上記液体貯留部を化粧料容器本体内に収容又は形成してなるものであって、該塗布体と化粧料容器本体内に収容又は形成される該液体貯留部との間に、請求項1乃至4記載の液体吐出機構を具える液状化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−239083(P2006−239083A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57919(P2005−57919)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)
【Fターム(参考)】