液体吐出装置及び液体吐出システム
【課題】液体カートリッジが装着部に装着された際に、液体カートリッジが正常状態か否かを判断する判断部を備えた液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】インク収容室11内で移動可能である揺動部材90を備えたインクカートリッジ10が、水平面に対する傾きが変化するように移動可能な装着部300に装着される。光学センサ342は、揺動部材90の遮光部93Aの移動軌跡と交差する方向に光を発する発光部342Bと、その移動軌跡上における遮光部93Aの位置に応じて2つの状態をとり得る受光部342Cとを有する。制御部400は、受光部342Cの状態が変化したと判断したときに、S7において、インクカートリッジ10が正常状態と判断し、受光部342Cの状態が変化しなかったと判断したときに、S8において、インクカートリッジ10が異常状態と判断する。
【解決手段】インク収容室11内で移動可能である揺動部材90を備えたインクカートリッジ10が、水平面に対する傾きが変化するように移動可能な装着部300に装着される。光学センサ342は、揺動部材90の遮光部93Aの移動軌跡と交差する方向に光を発する発光部342Bと、その移動軌跡上における遮光部93Aの位置に応じて2つの状態をとり得る受光部342Cとを有する。制御部400は、受光部342Cの状態が変化したと判断したときに、S7において、インクカートリッジ10が正常状態と判断し、受光部342Cの状態が変化しなかったと判断したときに、S8において、インクカートリッジ10が異常状態と判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容室内の液体の液面の位置に応じて液体収容室内で移動可能な可動部材を有する液体カートリッジが取り外し可能に装着される装着部を備えた液体吐出装置及び液体吐出システムに関し、詳細には、液体カートリッジが装着部に装着された際に、液体カートリッジが正常状態か否かを判断する判断部を備えた液体吐出装置及び液体吐出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体吐出装置の一例であるインクジェットプリンタは、インクカートリッジと共に用いられる。インクジェットプリンタはカートリッジ装着部を有し、インクカートリッジはカートリッジ装着部に取り外し可能に装着される。インクジェットプリンタは記録ヘッドを有しており、インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着されると、インクカートリッジから記録ヘッドにインクが供給され得るように、インクカートリッジと記録ヘッドとが連通する。記録ヘッドからインクが吐出されると、それに応じて、インクカートリッジから記録ヘッドにインクが供給される。
【0003】
インクカートリッジ内にインクが収容されていない状態では、インクジェットプリンタは記録ヘッドからインクを吐出できなくなる。インクジェットプリンタが記録ヘッドから正常にインクを吐出できるようにするには、新しいインクカートリッジをカートリッジ装着部に装着した後、記録ヘッドからノズルを介してインクを大量に吸い出す処理、いわゆるパージ処理が必要である。パージ処理は時間がかかる上、大量のインクが無駄に消費されてしまう。したがって、インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態で、インクカートリッジ内のインクの量をインクジェットプリンタが判断し得るように構成された、次のようなインクカートリッジとインクジェットプリンタが知られている。インクカートリッジは、インクカートリッジ内のインクの量に応じて動く可動部材を有し、また、インクジェットプリンタは、所定の位置に可動部材が位置しているか否かを検知する検知部を有している。インクジェットプリンタは、検知部が可動部材を検知したか否かに基づいて、インクカートリッジ内のインクの量が十分か否かを判断する。インクジェットプリンタは、インクカートリッジ内のインクの量が十分でないと判断した場合、記録媒体への画像の記録を中止するか、または、インクカートリッジを新しいものに交換するようユーザーに通知する等の処理を行う。
【0004】
上記のインクカートリッジとインクジェットプリンタの一例が特許文献1に記載されている。インクカートリッジは、ケースと、ケースの内部に形成されたインク収容室とを有しており、インク収容室の内部には、揺動部材が配置されている。揺動部材は、その一端に遮光部材を有し、他端に浮きを有する。浮きの比重はインクの比重より小さい。インク収容室の底部には、支持台が配置されている。揺動部材は、遮光部材と浮きとの間に位置する部分において支持台に支持されている。揺動部材は、支持台に支持された支点を中心に揺動することが可能である。インク収容室の内部には、規制部材が配置されている。揺動部材の揺動は、規制部材によって規制される。すなわち、揺動部材がある方向に回り、揺動部材が規制部材に接触すると、揺動部材はそれ以上その方向へ回ることができない。浮きの比重はインクの比重より小さいため、浮きは、インク収容室に収容されたインクの液面に浮こうとするが、揺動部材の移動が規制部材によって規制されるため、浮きの液面に向かう動きが規制される。したがって、インク収容室に収容されたインクの量が所定の量より多いときは、揺動部材は規制部材に接触した状態で所定の姿勢をとる。このとき、浮きはインク中に沈んだ状態で、インク中に浮いている。インク収容室内のインクが消費されると、インク収容室内のインクの液面が下がる。インクの量が所定の量になると、浮きの一部がインクの液面から露出する。さらにインクが消費され、インクの液面がさらに下がると、それに追従して浮きは下方に移動する。浮きが下方に移動するのに応じて揺動部材は回り、結果として、遮光部材は上方へ移動する。凸部がインクカートリッジのケースの側面に形成されている。凸部を含めたケースは、光が透過可能な材料で形成されている。凸部は内部空間を有する。凸部の内部空間はインク収容室の一部である。遮光部材は凸部の内部空間に位置する。このインクカートリッジと共に用いられるインクジェットプリンタは、発光部と受光部とを有する光学検知部を有している。インクカートリッジがインクジェットプリンタに装着されると、インクカートリッジの凸部は、発光部と受光部との間に位置する。インクカートリッジがインクジェットプリンタに装着されたときに、インク収容室内のインクの量が所定の量より多く、揺動部材が所定の姿勢をとっている場合、遮光部材は発光部と受光部との間に位置する。したがって、インク収容室内のインクの量が所定の量より多い場合、発光部から発せられた光は、遮光部材によって遮光され、受光部に到達しない。一方、インクカートリッジがインクジェットプリンタに装着さたときに、インク収容室内のインクの量が所定の量より少なく、揺動部材が所定の姿勢以外の姿勢をとっている場合、遮光部材は、発光部と受光部との上方に位置する。したがって、インク収容室内のインクの量が所定の量より少ない場合は、発光部から発せられた光は、凸部を通過して、受光部に到達する。インクジェットプリンタは、受光部が受光しているか否かに基づいて、インク収容室に収容されているインクの量が十分か否かを判断する。
【特許文献1】特開2005−125738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の構成を備えたインクカートリッジおよびインクジェットプリンタであっても、インク収容室内のインクの量が所定量より少なくなったにもかかわらず、インクジェットプリンタがその旨判断できず、インク収容室内のインクの量が所定量より多いと判断してしまう場合がある。その原因として、例えば、次のことが挙げられる。インクカートリッジが輸送される際、または、ユーザーがインクカートリッジを取り扱う際に、インクカートリッジに振動が加えられ、インク収容室内にインクの泡が、単数乃至複数、発生する場合がある。揺動部材とインク収容室を画定している壁の表面とに接触する泡が発生した場合、泡の表面張力によって、揺動部材の動きが妨げられる場合がある。すなわち、インク収容室内のインクの量が所定量より少なくなっても、揺動部材が、壁の表面に付着している泡に捕らえられ、移動することができない。このような場合、インク収容室に収容されているインクの量が所定量より少なくなっても、インクジェットプリンタは、インク収容室に収容されているインクの量が所定量より多いと判断してしまう。また、別の原因として、例えば、次のことが挙げられる。インクの化学的な性質が変化するのを防止する等の目的で、インクカートリッジ製造時に、インクが脱気された後にインク収容室に収容され、さらに、そのインクの脱気状態を保つために、インク収容室内が減圧される場合がある。また、インク収容室を画定している対向する一対の壁が可撓性を有するフィルムで形成されている場合がある。インク収容室内が減圧されると、可撓性を有する一対の壁がインク収容室内に向かって凸形状となるように変形し、変形した一対の壁は揺動部材の両側から揺動部材を挟み込む場合がある。インクカートリッジが使用される際に、インク収容室内の圧力が大気圧と同じ圧力に戻されても、一対の壁は元の形状に戻らず、変形したまま揺動部材を挟み続ける場合がある。このよう場合、インク収容室内のインクの量が所定量より少なくなっても、一対の壁に挟まれた揺動部材は移動することができない。さらに、別の原因として、例えば、次のことが挙げられる。インクジェットプリンタと使用されることが本来意図されていない仕様違いのインクカートリッジが、そのインクジェットプリンタに誤って装着される場合がある。仕様違いのインクカートリッジは揺動部材を備えていないかもしれない。インクジェットプリンタは仕様違いのインクカートリッジのインク収容室に収容されたインクの量を判断できない。
【0006】
そこで本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液体カートリッジが装着部に装着された際に、液体カートリッジが正常状態か否かを判断する判断部を備えた液体吐出装置及び液体吐出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、液体吐出装置は、液体収容室と、液体収容室内に配置され、液体収容室に収容される液体より比重が小さい部分を有し、液体収容室内に収容された液体の液面の位置に応じて液体収容室内で移動可能である可動部材とを備えた液体カートリッジが、取り外し可能に装着され、水平面に対する傾きが変化するように移動可能な装着部と、前記装着部に装着されている前記液体カートリッジの前記可動部材の一部の前記液体収容室に対する移動軌跡と交差する方向に光を発する発光部と、その移動軌跡上における前記可動部材の一部の位置に応じて予め決められた2つの状態をとり得る受光部とを有し、前記装着部に固定された光学検知部と、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する状態判断部とを備える。
【0008】
液体収容室に収容されている液体の液面は常に水平面と平行であるので、装着部が移動するのに伴い液体収容室および光学検知部の水平面に対する傾きが変化すると、液体収容室および光学検知部に対する液面の位置が変化する。可動部材は、液面の位置に応じて液体収容室内で移動するので、装着部が移動すると、可動部材の一部が液体収容室に対して移動軌跡上を移動する。受光部の状態は、移動軌跡上における可動部材の一部の位置に応じて変化するので、結局、装着部が移動することにより受光部の状態が変化する。受光部の状態が変化すれば、状態判断部は、液体カートリッジが正常状態である、すなわち、可動部材が正常に動作していると判断する。仮に、可動部材の動きが阻害されている、もしくは、液体カートリッジが可動部材を備えていない場合には、装着部が移動したときに受光部の状態が変化しない。よって、状態判断部は、液体カートリッジが異常状態であると判断する。この結果、液体吐出装置は、液体カートリッジが装着部に装着される早期の段階で、液体カートリッジの正常状態もしくは異常状態を判断することができる。よって、異常状態の液体カートリッジが装着されたことに対する対処が可能となる。
【0009】
液体吐出装置は、例えば、インクを吐出することにより記録媒体に画像を形成するインクジェットプリンタであってよいし、プリント配線基板の配線パターンの形成、液晶カラーフィルタの製造などに用いられる、各種の液体を吐出して対象物に付着させるための装置であってよい。
【0010】
装着部は、手動にて移動させられてもよいし、液体吐出装置に備えられている駆動部によって駆動されて、移動するものであってよい。例えば、装着部はモータによって駆動されて移動するものであってよい。
【0011】
受光部の予め決められた2つの状態とは、例えば、発光部から発せられた光を所定の強度以上で受けている状態と、発光部から発せられた光を所定の強度未満で受けている状態との2つの状態である。発光部から発せられた光を所定の強度未満で受けている状態は、発光部から発せられた光を全く受けていない状態、すなわち、受光部が受けている光の強度がゼロの状態をも含む。
【0012】
可動部材の一部は、発光部から発せられた光を遮断するものであってもよいし、発光部から発せられた光の光路を変更するものであってもよい。
【0013】
状態判断部が受光部の状態変化を判断するタイミングは特に限定されない。例えば、状態判断部は、液体吐出装置に電源が供給されてから受光部の状態変化を判断するように構成されていてもよいし、液体カートリッジが装着部に装着されてから受光部の状態変化を判断するように構成されていてもよい。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記液体吐出装置は、前記装着部の移動を検知する移動検知部を備え、前記状態判断部は、前記装着部の移動が検知されている間に前記受光部の状態が変化したと、判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記装着部の移動が検知されている間に前記受光部の状態が変化しなかったと、判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する。
【0015】
この結果、状態判断部は、装着部が移動することに伴う受光部の状態変化を確実に判断できる。例えば、液体吐出装置に不用意に振動が加えられると、可動部材が移動して、受光部の状態が変化する可能性があるが、このような場合、状態判断部は液体カートリッジの状態を判断しない。よって、状態判断部の誤判断を抑制できる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、前記装着部は、水平面に対する傾きが互いに異なる少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢とに移動可能であり、前記移動検知部は、前記装着部が前記第1の姿勢もしくは前記第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有し、前記状態判断部は、前記装着部が前記第1の姿勢にあることが検知されている第1の検知状態における前記受光部の状態と、前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されている第2の検知状態における前記受光部の状態とを比較し、前記第1の検知状態と前記第2の検知状態とで前記受光部の状態が異なると判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が同じと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する。
【0017】
移動検知部が、装着部が第1の姿勢もしくは第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有しているので、移動検知部は、装着部が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことを検知することをもって、装着部が移動を開始したことを検知できる。さらに、移動検知部は、第1の姿勢にあった装着部が第2の姿勢になったことを検知することをもって、装着部が第1の姿勢から第2の姿勢に移動したことを検知できる。したがって、装着部が第1の姿勢でなくなってから第2の姿勢になるまでが、装着部の移動が検知されている間である。状態判断部は、第1の検知状態と第2の検知状態とにおける受光部の状態を比較することにより、装着部の移動が検知されている間に受光部の状態が変化したか否かを、判断できる。この結果、状態判断部は、装着部の移動が検知されている間、受光部の状態を監視する必要がなく、すなわち、受光部の状態を定期的に幾度も判断する必要がなく、装着部が第1及び第2の姿勢にあるときだけ、受光部の状態を判断すればよくなる。よって、状態判断部の判断処理の負荷が少ない。また、発光部は、少なくとも第1の検知状態と第2の検知状態とにおいて発光すれば良く、装着部の移動が検知されている間発光し続ける必要がないので、発光に伴う発光部の劣化速度が遅くなり、発光部の寿命が延びる。また、状態判断部は、第1の検知状態と第2の検知状態という装着部が静止している状態における受光部の状態を比較するので、装着部が移動している間に受光部の状態を監視して受光部の状態変化を判断する場合に比べて、より確実にカートリッジが正常状態であるか異常状態であるかを判断できる。
【0018】
装着部は、手動にて第1の姿勢と第2の姿勢との間で移動させられてもよいし、液体吐出装置に備えられている駆動部によって駆動されて、第1の姿勢と第2の姿勢との間で移動させられてもよい。例えば、装着部は、モータによって駆動されて移動するものであってよい。
【0019】
第1の姿勢と第2の姿勢とが、共に水平面に対して傾いている姿勢であってもよいし、第1の姿勢と第2の姿勢のいずれか一方のみが水平面に対して傾いている姿勢であってよい。
【0020】
第1または第2の姿勢のいずれの姿勢であっても、装着部は液体カートリッジの装着が可能に構成されていてよい。
【0021】
姿勢検知部は、装着部が第1の姿勢であることを検知する検知部と、装着部が第2の姿勢であることを検知する検知部とを別々に有していてもよい。例えば、姿勢検知部は、装着部が第1の姿勢のときに装着部に接触する第1のリミットスイッチと、装着部が第2の姿勢のときに装着部に接触する第2のリミットスイッチとを有していてよい。また、姿勢検知部は、装着部が第1の姿勢であることと装着部が第2の姿勢であることとを検知する一つの検知部を有していてもよい。例えば、装着部がモータで駆動される場合において、姿勢検知部は、モータに取り付けられたエンコーダによりモータの回転角度を検知することにより、装着部の姿勢を間接的に検知するものであってよい。また、例えば、装着部がステッピングモータで駆動される場合において、姿勢検知部は、ステッピングモータに与えたパルス数により、装着部の姿勢を間接的に検知するものであってもよい。
【0022】
請求項4に記載の発明よれば、前記液体吐出装置は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることを検知する装着検知部を備えており、前記第1の検知状態は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることが検知されているとともに前記装着部が前記第1の姿勢にあることが検知されている状態であり、前記第2の検知状態は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることが検知されているとともに前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されている状態である。
【0023】
この結果、次のような効果を奏する。液体吐出装置が装着検知部を備えていない構成においては、液体カートリッジが装着部に装着されていない場合と、可動部材の動きが阻害されている、もしくは、液体カートリッジが可動部材を備えていない場合とは区別されず、いずれの場合にも状態判断部は、液体カートリッジが異常状態であると判断する。これに対し、本発明の液体吐出装置は装着検知部を備えているので、液体カートリッジが装着部に装着されていない場合と、可動部材の動きが阻害されている、もしくは、液体カートリッジが可動部材を備えていない場合とが区別できる。よって、液体カートリッジ自体の異常状態を正確に判断することが可能となる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、前記装着部は、水平面に対する傾きが互いに異なる少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢とに移動可能であり、前記移動検知部は、前記装着部が前記第1の姿勢もしくは前記第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有し、前記状態判断部は、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから前記第2の姿勢になったことが検知されるまでの間に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する。
【0025】
この結果、液体吐出装置は、液体カートリッジが装着部に装着される早期の段階で、液体カートリッジの正常状態もしくは異常状態を判断することができる。よって、異常状態の液体カートリッジが装着されたことに対する対処が可能となる。
【0026】
なお、装着部の移動が検知されている間に前記受光部の状態が変化したか否かの判断は、装着部が第2の姿勢になったことが検知された後に行われてもよいし、装着部が第2の姿勢なったことが検知される前に行われてもよい。同様に、液体カートリッジが正常状態であるとの判断は、装着部が第2の姿勢になったことが検知された後に行われてもよいし、装着部が第2の姿勢なったことが検知される前に行われてもよい。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、前記状態判断部は、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記装着部が前記第2の姿勢になったことが検知される前に前記液体カートリッジが正常状態と判断する。
【0028】
この結果、装着部が第2の姿勢になることを待つことなく、早期に、液体カートリッジの正常状態が判断される。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、前記液体吐出装置は、時間を計測する計測部を備えており、前記装着部は、水平面に対する傾きが互いに異なる少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢とに移動可能であり、前記移動検知部は、前記装着部が前記第1の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有し、前記計測部は、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから予め決められた時間を計測し、前記状態判断部は、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記計測された予め決められた時間内に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する。
【0030】
移動検知部が、装着部が第1の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有しているので、移動検知部は、装着部が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことを検知することをもって、装着部が移動を開始したことを検知できる。したがって、装着部が第1の姿勢でない間が、装着部の移動が検知されている間である。計測部は、装着部が移動を開始したことが検知されてから予め決められた時間を計測する。状態判断部は、装着部が移動を開始したことが検知されてから受光部の状態を監視し、予め決められた時間内に受光部の状態が変化したか否かを、判断する。この結果、液体吐出装置が、装着部が第2の姿勢にあることを検知する検知部を備えてなくとも、状態判断部は液体カートリッジの状態を判断できる。液体吐出装置が、装着部が第2の姿勢にあることを検知する検知部を備えている構成においては、その検知部は、例えば、装着部に接触することによってその姿勢を検知する機械的なスイッチや装着部に光を照射することによってその姿勢を検知する光学的なスイッチ等の物理的な部品で実現される。これに対し、本発明の液体吐出装置は、装着部が第2の姿勢にあることを検知する検知部を備えている必要がないので、物理的な部品点数が少なくなる。また、装着部が故障して移動できないために、受光部の状態が変化しない場合でも、予め決められた時間が経過した後に、液体カートリッジが異常状態と判断される。よって、装着部の故障に対処できる。
【0031】
請求項8に記載の発明によれば、前記液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出部と、前記液体吐出部を制御する吐出制御部と、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたときに、前記液体収容室と前記液体吐出部とを連通させる接続部とを備え、前記液体カートリッジは、前記装着部が前記第1の姿勢にあるときに、前記装着部に装着可能であり、前記吐出制御部は、前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されているときに、前記液体吐出部が液体を吐出することを許容する。
【0032】
液体カートリッジが装着部に装着されるときの装着部の姿勢である第1の姿勢と、液体吐出部から液体が吐出されるときの装着部の姿勢である第2の姿勢とが異なる。この結果、第1の姿勢を、ユーザーが液体カートリッジを装着部に装着し易い姿勢に設定することができる。その一方で、第2の姿勢を、液体吐出部が液体を吐出するのに好ましい姿勢に設定することができる。例えば、液体吐出部が複数のノズルを有し、そのノズルからインクを吐出する構成を有している場合、第2の姿勢を、液体カートリッジの位置がノズルよりも低い位置になるように設定することにより、ノズル内の液体に適当な負圧をかけることが可能になる。よって、液体吐出部は、安定して液体を吐出できる。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、前記装着部は、少なくとも、前記液体カートリッジが取り外し可能に装着される第1の姿勢と、水平面に対する傾きが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに移動可能であり、前記液体吐出装置は、前記装着部が前記第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部と、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることを検知する装着検知部とを備え、前記状態判断部は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから前記装着部が前記第2の姿勢になったことが検知されるまでの間に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する。
【0034】
この結果、液体吐出装置は、液体カートリッジが装着部に装着される早期の段階で、液体カートリッジの正常状態もしくは異常状態を判断することができる。よって、異常状態の液体カートリッジが装着されたことに対する対処が可能となる。
【0035】
なお、液体カートリッジが装着部に装着されたことが検知されてから装着部が第2の姿勢になったことが検知されるまでの間に前記受光部の状態が変化したか否かの判断は、装着部が第2の姿勢になったことが検知された後に行われてもよいし、装着部が第2の姿勢なったことが検知される前に行われてもよい。同様に、液体カートリッジが正常状態であるとの判断は、装着部が第2の姿勢になったことが検知された後に行われてもよいし、装着部が第2の姿勢なったことが検知される前に行われてもよい。
【0036】
請求項10に記載の発明によれば、前記状態判断部は、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記装着部が前記第2の姿勢になったことが検知される前に前記液体カートリッジが正常状態と判断する。
【0037】
この結果、装着部が第2の姿勢になることを待つことなく、早期に、液体カートリッジの正常状態が判断される。
【0038】
請求項11に記載の発明によれば、前記液体吐出装置は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることを検知する装着検知部と、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから予め決められた時間を計測する計測部とを備えており、前記装着部は、少なくとも、前記液体カートリッジが取り外し可能に装着される第1の姿勢と、水平面に対する傾きが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに移動可能であり、前記状態判断部は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記計測された予め決められた時間内に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する。
【0039】
この結果、液体吐出装置が、装着部の姿勢を検知する検知部を備えてなくとも、状態判断部は液体カートリッジの状態を判断できる。液体吐出装置が装着部の姿勢を検知する検知部を備えている構成においては、その検知部は、例えば、装着部に接触することによってその姿勢を検知する機械的なスイッチや装着部に光を照射することによってその姿勢を検知する光学的なスイッチ等の物理的な部品で実現される。これに対し、本発明の液体吐出装置は、装着部の姿勢を検知する検知部を備えている必要がないので、物理的な部品点数が少なくなる。また、装着部が故障して移動できないために、受光部の状態が変化しない場合でも、予め決められた時間が経過した後に、液体カートリッジが異常状態と判断される。よって、装着部の故障に対処できる。
【0040】
請求項12に記載の発明によれば、液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出部と、前記液体吐出部を制御する吐出制御部と、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたときに、前記液体収容室と前記液体吐出部とを連通させる接続部とを備え、前記吐出制御部は、前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されているときに、前記液体吐出部が液体を吐出することを許容する。
【0041】
液体カートリッジが装着部に装着されるときの装着部の姿勢である第1の姿勢と、液体吐出部から液体が吐出されるときの装着部の姿勢である第2の姿勢とが異なる。この結果、第1の姿勢を、ユーザーが液体カートリッジを装着部に装着し易い姿勢に設定することができる。その一方で、第2の姿勢を、液体吐出部が液体を吐出するのに最適な姿勢に設定することができる。例えば、液体吐出部が複数のノズルを有し、そのノズルからインクを吐出する構成を有している場合、第2の姿勢を、液体カートリッジの位置がノズルよりも低い位置になるように設定することにより、ノズル内の液体に適当な負圧をかけることが可能になる。よって、液体吐出部は、安定して液体を吐出できる。
【0042】
請求項13に記載の発明によれば、液体吐出システムは、液体収容室と、液体収容室内に配置され、液体収容室に収容される液体より比重が小さい部分を有し、液体収容室内に収容された液体の液面の位置に応じて液体収容室内で揺動可能である揺動部材と、前記揺動部材が所定の方向に移動したときに前記揺動部材と接触し得る位置に配置されている接触部とを備えた液体カートリッジと、少なくとも、前記液体カートリッジが、上方から下方に向かう装着方向に沿って、取り外し可能に装着される第1の姿勢と、水平面に対する傾きが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに移動可能な装着部と、前記装着部に装着されている前記液体カートリッジの前記揺動部材の一部の前記液体収容室に対する移動軌跡と交差する方向に光を発する発光部と、その移動軌跡上における前記揺動部材の一部の位置に応じて予め決められた2つの状態をとり得る受光部とを有し、前記装着部に固定された光学検知部と、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する状態判断部とを備えている。前記液体カートリッジが前記装着部に装着されているときであって、前記装着部が前記第2の姿勢にあるとともに、前記揺動部材が前記液体収容室に収容されている液体中に沈んでいるときに、前記揺動部材は前記接触部に接触しており、前記揺動部材の浮心と前記液体収容室に収容されている液体の液面との距離は、前記揺動部材の揺動中心と前記液体収容室に収容されている液体の液面との距離よりも小さい。前記液体カートリッジが前記装着部に装着されるときに、前記揺動中心は、前記装着方向に関して、前記揺動部材の前記浮心よりも下方に位置する。
【0043】
液体収容室に収容されている液体の液面は常に水平面と平行であるので、装着部が移動するのに伴い液体収容室および光学検知部の水平面に対する傾きが変化すると、液体収容室および光学検知部に対する液面の位置が変化する。揺動部材は、液面の位置に応じて液体収容室内で揺動するので、装着部が移動すると、揺動部材の一部が液体収容室に対して移動軌跡上を移動する。受光部の状態は、移動軌跡上における揺動部材の一部の位置に応じて変化するので、結局、装着部が移動すると受光部の状態が変化する。受光部の状態が変化すれば、状態判断部は、液体カートリッジが正常状態である、すなわち、揺動部材が正常に動作していると判断する。仮に、揺動部材の動きが阻害されている、もしくは、液体カートリッジが揺動部材を備えていない場合には、装着部が移動したときに受光部の状態が変化しない。よって、状態判断部は、液体カートリッジが異常状態であると判断する。この結果、状態判断部は、液体カートリッジが装着部に装着された際に、液体カートリッジの正常状態もしくは異常状態を早期に判断することができる。よって、異常状態の液体カートリッジが装着されたことに対する対処が可能となる。
【0044】
液体カートリッジは上方から下方に向かう装着方向に沿って、装着部に装着される。この結果、重力により液体カートリッジは上方から下方に引っ張られるので、液体カートリッジが装着部に確実に装着されるようになる。
【0045】
また、装着部を移動させるための空間が比較的小さくてよく、液体吐出システムを比較的小型に構成できるという効果を奏する。すなわち、本発明の構成とは異なり、
装着部が第2の姿勢にあるとともに、揺動部材が液体中に沈んでいるときに、揺動部材が接触部に接触しており、揺動部材の浮心と液面との距離が、揺動部材の揺動中心と液面との距離よりも大きく、且つ、液体カートリッジが装着部に装着されるときに、揺動中心が、装着方向に関して、揺動部材の前記浮心よりも下方に位置するように揺動部材および接触部が構成されている場合には、装着部を移動させるための空間が比較的大きくなってしまう。なぜなら、装着部が第2の姿勢にあるとともに、揺動部材が液体中に沈んでいるときに、揺動中心と揺動部材の浮心とを結ぶ線分と、重力方向に平行であって揺動中心を通る直線とが、線分から直線へ所定の方向へ向かう方向に成す第1の角度が鈍角となるからである。装着部が第1の姿勢から第2の姿勢に移動するときに、装着部の水平面に対する角度が変化するが、液面の位置の変化に応じて揺動部材が液体収容室に対して移動するためには、装着部は、揺動部材の前記浮心と重心とのずれが比較的小さい場合、おおよそ第1の角度に相当する角度だけ水平面に対する角度が変化するように移動しなければならない。第1の角度が鈍角の場合には、装着部の水平面に対する角度変化も鈍角であるので、装着部を移動させるための空間が比較的大きくなり、液体吐出システムが比較的大型化してしまうのである。これに対し、本発明の液体吐出システムでは、第1の角度は鋭角となるので、装着部を移動させるための空間が比較的小さくてよく、液体吐出システムを比較的小型に構成できる。
【0046】
液体吐出システムは、例えば、インクを吐出することにより記録媒体に画像を形成するインク吐出システムであってよいし、プリント配線基板の配線パターンの形成、液晶カラーフィルタの製造などに用いられる、各種の液体を吐出して対象物に付着させるためのシステムであってよい。
【0047】
液体カートリッジは、重力方向に沿って上方から下方に向かって装着部に装着されてもよいし、重力方向と交わる方向に上方から下方に向かって装着部に装着されてもよい。
【0048】
請求項14に記載の発明によれば、請求項13に記載の液体吐出システムにおいて、前記揺動部材の前記浮心と前記揺動部材の重心とが一致している。
【0049】
揺動部材の前記浮心と揺動部材の重心とが一致していると、装着部の水平面に対する角度変化が第1の角度より大きい角度になるように装着部を移動させれば、液面の位置の変化に応じて揺動部材を液体収容室に対して移動させることができる。この結果、第1の角度を決めることによって、液体カートリッジの状態を判断するのに必要な装着部の水平面に対する角度変化を容易に決定することができる。
【発明の効果】
【0050】
液体カートリッジが装着部に装着される早期の段階で、液体カートリッジの正常状態もしくは異常状態を判断することができる。よって、異常状態の液体カートリッジが装着されたことに対する対処が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明をインクジェットプリンタ及びインクカートリッジからなるインク吐出システムに適用した実施形態を、図面を参照して説明する。
【0052】
[第1実施形態]
図1〜図32を参照して、本発明の第1実施形態であるインク吐出システムを説明する。
【0053】
<全体的構成>
図1は、本発明の液体吐出システムの一例であるインク吐出システム1の全体的構成を示す概念図である。図1において、インク吐出システム1は、液体吐出装置の一例であるインクジェットプリンタ100と、液体カートリッジの一例である少なくとも1つのインクカートリッジ10とを備える。インクジェットプリンタ100は、少なくとも1色のインク、例えば、ブラックインク、イエローインク、シアンインク、および、マゼンタインクの4色のインクを用いて、記録媒体、例えば、記録用紙に、画像を記録するように構成されている。インクジェットプリンタ100は、給紙装置110、搬送装置120、及び、記録装置130を備えている。インクジェットプリンタ100は、また、第1のトレイ140と、第2のトレイ141とを備えている。搬送経路142が第1のトレイ140から第2のトレイ141に至るように形成されている。給紙装置110は、第1のトレイ140に収納されている複数の記録用紙を一枚ずつ搬送経路142に給紙するように構成されている。
【0054】
搬送装置120は、第1の搬送ローラー対121と第2の搬送ローラー対122とを有する。第1の搬送ローラー対121と第2の搬送ローラー対122とは搬送経路142に沿って配置されており、記録用紙が搬送される方向に対して、第1の搬送ローラー対121は記録装置130の上流側に配置されており、第2の搬送ローラー対122は記録装置130の下流側に配置されている。
【0055】
インクジェットプリンタ100は、プラテン145を備える。プラテン145は記録装置130の真下に配置されている。給紙装置110によって給紙された記録用紙は、第1の搬送ローラー対121によってプラテン145上に搬送される。記録装置130は、プラテン145上で搬送されている記録用紙に画像を記録する。プラテン145上を通過した記録用紙は、搬送経路142の最も下流に配置されている第2のトレイ141に収納されるように、第2の搬送ローラー対122により搬送される。
【0056】
記録装置130は、キャリッジ131と、キャリッジ131上に配置された、液体吐出部の一例である記録ヘッド132とを有する。記録装置130は、キャリッジ131上に配置された、吐出制御部の一例であるヘッド制御基板133を有する。複数のノズル134が記録ヘッド132に形成されている。記録ヘッド132は少なくとも1つのサブタンク135、例えば、4つのサブタンク135を有する。キャリッジ131は図示しない複数のレールによって支持されており、図1の紙面に垂直な方向に、レール上を滑りながら往復運動するように構成されている。サブタンク135は、各々、ノズル134に供給されるインクを収容するように構成されている。例えば、各サブタンク135は互いに異なる色のインクを収容する。ヘッド制御基板133に信号が入力されると、ヘッド制御基板133は入力された信号に基づいて記録ヘッド132を制御し、ノズル134からインクを吐出させる。
【0057】
記録ヘッド132は、各ノズル134に対応して、ピエゾ素子を有するアクチュエータを有している。ヘッド制御基板133により、ピエゾ素子に所定の電圧が加えられると、ピエゾ素子が変形する。ピエゾ素子の変形によりノズル134中のインクがノズル134から押し出され、ノズル134からインクが吐出される。
【0058】
インクジェットプリンタ100は、インク供給装置30を備えている。インク供給装置30は、装着部300を有する。少なくとも一つのインクカートリッジ10が装着部300に取り外し可能に装着される。例えば、ブラックインク、イエローインク、シアンインク、および、マゼンタインクをそれぞれ収容する4つのインクカートリッジ10が、1つの装着部300に個別独立に取り外し可能に装着される。インク供給装置30は、少なくとも1つの接続部、例えば、少なくとも1つの可撓性を有するチューブ350を有している。インク供給装置30は、例えば4つのチューブ350を有しており、チューブ350の一端は装着部300内に挿入されており、チューブの他端はサブタンク135に設けられているチューブ継手に嵌めこまれて取り付けられている。インクカートリッジ10は、液体収容室の一例であるインク収容室11を有している。インクカートリッジ10が装着部300に装着されると、チューブ350を介してインク収容室11とサブタンク135とが連通する。記録ヘッド132からインクが吐出されると、それに応じて、インク収容室11からサブタンク135にインクが供給される。なお、インクカートリッジ10が装着部300に装着されたときの、インク収容室11、装着部300、及び、チューブ350の相互の関係については、後に詳述する。
【0059】
<インクカートリッジの構成>
図2(A)から図11(B)を参照して、インクカートリッジ10の構成について説明する。
【0060】
図2(A)は、インクカートリッジ10の前方から見たインクカートリッジ10の斜視図であり、図2(B)は、インクカートリッジ10の後方から見たインクカートリッジ10の斜視図である。ここで、「前方」および「後方」とは、インクカートリッジ10が装着部300に装着されるときの装着方向に関する「前方」および「後方」を意味する。図2(A)及び図2(B)に示されているように、インクカートリッジ10は、幅方向12に幅を有し、奥行き方向13に奥行きを有し、高さ方向14に高さを有する、略直方体形状を有する。インクカートリッジ10の幅は、インクカートリッジ10の奥行き及び高さに比べて短い。インクカートリッジ10は、インクカートリッジの外観の大部分を形成する、第1のカバー15と第2のカバー16とを有する。第1のカバー15及び第2のカバー16については、後に詳述する。
【0061】
図3(A)及び図3(B)は、図2に示されたインクカートリッジ10から第1のカバー15と第2のカバー16とが取り除かれたインク収納容器18の斜視図である。図3(A)は、インク収納容器18の前方から見たインク収納容器18の斜視図であり、図3(B)は、インク収納容器18の後方から見たインク収納容器18の斜視図である。図3(A)及び図3(B)に示されているように、インク収納容器18は、フレーム20と、一対の側壁21とを有する。フレーム20は、幅方向12に幅を有し、奥行き方向13に奥行きを有し、高さ方向14に高さを有する、略直方体形状を有する。フレーム20の外表面は、前面22と、奥行き方向13において前面22の反対側に位置する背面23と、上面24と、高さ方向14において上面24の反対側に位置する下面25とを有する。上面24は、前面22と背面23とにつながっている。同様に、下面25は、前面22と背面23とにつながっている。
【0062】
フレーム20は、透明もしくは半透明であり、光透過性を有している。例えば、可視光や赤外光がフレーム20を通過することができる。フレーム20は、例えば、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成されている。
【0063】
一対の側壁21は、それぞれ、フレーム20の幅方向12の両端部に接続されている。例えば、一対の側壁21は、それぞれ、フレーム20の幅方向12の両端部に溶着されている、もしくは、接着剤により接着されている。
【0064】
図4(A)及び図4(B)は、図3に示されたインク収納容器18から一対の側壁21が取り除かれたフレーム20の斜視図である。図4(A)は、フレーム20の前方から見たフレーム20の斜視図であり、図4(B)は、フレーム20の後方から見たフレーム20の斜視図である。図4(A)及び図4(B)に示されているように、フレーム20の内部には、インク収容室11が形成されている。一対の側壁21がフレーム20の幅方向12の両端部に接続されることにより、フレーム20と一対の側壁21とにより、インク収容室11が画定される。インク収容室11をより具体的に説明するために、図9(A)から図10(B)を参照されたい。図9(A)及び図10(A)は、それぞれ、幅方向12に沿ってフレーム20の一方の面及び他方の面から見たフレーム20の側面図であり、図9(B)及び図10(B)は、それぞれ、図9(A)及び図10(A)に示されているフレーム20から、インク収容室11を画定する壁を抜き出して示した図である。インク収容室11は、図9(B)及び図10(B)に示されたフレーム20の壁と、一対の側壁21とによって画定されている。
【0065】
図3(A)及び図3(B)に示されている一対の側壁21は、例えば、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成されている。一対の側壁21がフレーム20の幅方向12の両端部に溶着される場合には、フレーム20の材質と一対の側壁21の材質とが同じであることが好ましい。一対の側壁21は、可撓性を有するフィルムであってもよい。すなわち、一対の側壁21は、力が一対の側壁21に加わった場合、一対の側壁21がインク収容室11に向かって撓む程度の厚みを有していてよい。例えば、一対の側壁21は、インク収容室11の内部が大気圧に対して減圧された場合、インク収容室11の内部の圧力とインク収容室11の外の大気圧との圧力差によって一対の側壁21がインク収容室11に向かって撓む程度の厚みを有していてよい。
【0066】
図5は、図2に示されているV−V線に従うインクカートリッジ10の断面図である。具体的には、幅方向12におけるインクカートリッジ10の中心を通り、奥行き方向13及び高さ方向14に平行な面におけるインクカートリッジ10の断面図である。図3(B)、図4(B)、及び、図5に示されているように、フレーム20は、円筒形状のインク注入室40を有する。インク注入室40は、背面23から前面22に向かって奥行き方向13に延びている。インク注入室40はインク収容室11と連通しており、インクカートリッジ10の製造時には、インク注入室40を介してインク収容室11にインクが注入される。インク収容室11にインクが注入された後は、インク注入室40に円筒形状のゴム栓42が圧入される。このゴム栓42により、インク注入室40を介してのインク収容室11とインク収納容器18の外との間の連通が遮断されている。
【0067】
図3(A)から図5に示されているように、フレーム20は、上面24に位置する突起24Aを有する。突起24Aは、上面24から、高さ方向14であって、インク収容室11から離れる方向に延びている。
【0068】
図3(A)から図5に示されているように、インク収納容器18は、フレーム20の前面22に位置する、インク供給部50と大気導入部60とを有する。インク供給部50は、フレーム20の下面25に近い位置に位置しており、大気導入部60はフレーム20の上面24に近い位置に位置している。
【0069】
図7は、インク供給部50の構成を説明するための、図5において一点鎖線で囲まれた領域VIIの拡大図である。図7に示されているように、インク供給部50は、円筒形状のインク供給室51と、樹脂製の弁体52と、ゴム製のシール部材53と、金属製のコイルスプリング54と、樹脂及びゴム製の逆止弁55と、樹脂製のキャップ56とを有する。
【0070】
インク供給室51は、フレーム20の前面22からインク収容室11に向かって奥行き方向13に延びており、インク供給室51は、第1端51Aと、奥行き方向13において第1端51Aの反対側に位置する第2端51Bとを有する。第1端51Aは、第2端51Bよりもインク収容室11に近い。インク供給室51は、第1端51Aにおいて、インク収容室11と連通している。
【0071】
逆止弁55は、インク供給室51の第1端51Aに配置されている。逆止弁55は、インク収容室11からインク供給室51に向かうインクの流れは許容するが、インク供給室51からインク収容室11に向かうインクの流れは防止するように構成されている。
【0072】
インク供給室51の第2端51Bはフレーム20の外に開口しており、インク供給室51の第2端51Bには、シール部材53が配置されている。シール部材53には、奥行き方向13にシール部材53を貫通する円筒形状の開口53Aが形成されている。
【0073】
キャップ56は、フレーム20に嵌めこまれて取り付けられている。キャップ56には、奥行き方向13にキャップ56を貫通する円筒形状の開口56Aが形成されている。シール部材53は、弾性変形した状態で、インク供給室51の第2端51Bを画定しているフレーム20の一部とキャップ56とに挟まれている。この結果、インク供給室51の第2端51Bを画定しているフレーム20の一部とシール部材53との間を介してのインク供給室51とインク収納容器18の外との間の連通が遮断されている。
【0074】
弁体52とコイルスプリング54は、インク供給室51内に配置されている。インク供給室51の第1端51Aから第2端51Bに向かって延びる円筒形状の突起を有する突出部材57が、インク供給室51の第1端51Aに配置されている。突出部材57は、インク供給室51内に嵌め込まれて取り付けられている。突出部材57の突起がコイルスプリング54の一端に挿入されることにより、コイルスプリング54が突出部材57に取り付けられている。弁体52は円筒形状の突起を有しており、弁体52の突起がコイルスプリング54の他端に挿入されることにより、コイルスプリング54が弁体52に取り付けられている。コイルスプリング54は圧縮された状態にあり、弁体52をシール部材53に向かって押している。弁体52はシール部材53に接触しており、開口53Aの一端を覆っている。この結果、開口53Aを介しての、インク供給室51とインク収納容器18の外との間の連通が遮断されている。
【0075】
図8は、大気導入部60の構成を説明するための、図5において一点鎖線で囲まれた領域VIIIの拡大図である。大気導入部60は、円筒形状の大気導入室61と、樹脂製の弁体62と、ゴム製のシール部材63と、金属製のコイルスプリング64と、樹脂製のキャップ66とを有する。
【0076】
大気導入室61は、フレーム20の前面22からインク収容室11に向かって奥行き方向13に延びており、大気導入室61は、第1端61Aと、奥行き方向13において第1端61Aの反対側に位置する第2端61Bとを有する。第1端61Aは、第2端61Bよりもインク収容室11に近い。
【0077】
大気導入室61の第2端61Bはフレーム20の外に開口しており、大気導入室61の第2端61Bには、シール部材63が配置されている。シール部材63には、奥行き方向13にシール部材63を貫通する円筒形状の開口63Aが形成されている。
【0078】
キャップ66は、フレーム20に嵌め込まれて取り付けられている。キャップ66には、奥行き方向13にキャップ66を貫通する円筒形状の開口66Aが形成されている。シール部材63は、弾性変形した状態で、大気導入室61の第2端61Bを画定しているフレーム20の一部とキャップ66とに挟まれている。この結果、大気導入室61の第2端61Bを画定しているフレーム20の一部とシール部材63との間を介しての大気導入室61とインク収納容器18の外との間の連通が遮断されている。
【0079】
シール部材63は円筒形状の脚部63Bを有する。脚部63Bはキャップ66の開口66Aを通って、奥行き方向13であって大気導入室61から離れる方向に延びている。脚部63Bには、奥行き方向13に脚部63Bを貫通する略円筒形状の開口63Cが形成されている。開口63Cは開口63Aに連続している。
【0080】
弁体62とコイルスプリング64は、インク供給室61内に配置されている。突起65が大気導入室61の第1端61Aから第2端61Bに向かって延びている。突起65がコイルスプリング64の一端に挿入されることにより、コイルスプリング64は、突起65に取り付けられている。弁体62は円筒形状の突起を有しており、この突起がコイルスプリング64の他端に挿入されることにより、コイルスプリング64が弁体62に取り付けられている。コイルスプリング64は圧縮された状態にあり、弁体62をシール部材63に向かって押している。弁体62はシール部材63に接触しており、開口63Aの一端を覆っている。この結果、開口63A及び開口63Cを介しての、大気導入室61とインク収納容器18の外との間の連通が遮断されている。弁体62は、突起62Aを有する。突起62Aは、開口63A及び開口63Cを通って、奥行き方向13であって大気導入室61から離れる方向に延びている。
【0081】
図4、図8、及び、図10に示されているように、大気導入通路67がフレーム20に形成されている。大気導入通路67は、フレーム20の幅方向12の一方の端部に沿って奥行き方向13に延びており、前面22に近い箇所において、大気導入室61の第1端61Aと連続しており、背面23に近い箇所においてインク収容室11に連続している。したがって、大気導入室61は、大気導入通路67を介して、インク収容室11と連通している。大気導入通路67は、フレーム20に接続された一対の側壁21の一つによって覆われている。
【0082】
図6は、図5において一点鎖線で囲まれた領域VIの拡大図である。図3(A)から図6に示されているように、フレーム20は、前面22に凸部70を有する。凸部70は、前面22から奥行き方向13であって、背面23から遠ざかる方向に延びている。凸部70は、略直方体形状を有しており、幅方向12における凸部70の幅は前面22の幅より小さい。凸部70は、前壁71と、前壁71と前面22とにつながっている一対の側壁72と、前壁71、前面22、および、一対の側壁72につながっている上壁73と、高さ方向14において上壁73の反対側に位置し、前壁71、前面22、および、一対の側壁72につながっている下壁74とを有する。図5及び図6に示されているように、凸部70は、前壁71、一対の側壁72、上壁73、および、下壁74によって画定される内部空間75を有する。内部空間75は、インク収容室11の一部である。前述の通り、フレーム20は光透過性を有しているので、例えば、可視光や赤外光が凸部70を通過することができる。
【0083】
図6に示されているように、フレーム20は、内部空間75内に位置し、下壁74の幅方向12の中心から上壁73に向かって延びる壁である第1の接触部74Aと、内部空間75内に位置し、上壁73の幅方向12の中心から下壁74に向かって延びる壁である第2の接触部73Aとを有する。
【0084】
図4(A)から図5に示されているように、フレーム20は、インク収容室11を画定する壁の一部からインク収容室11内に延びる略円板形状の一対の壁80を有する。図5に示されているように、一対の壁80はインク供給室51の第1端51Aの近くに位置している。一対の壁80は幅方向12に並んでいる。一対の壁80の一方から他方にかけて円筒形状の軸82が幅方向12に延びている。
【0085】
<可動部材(揺動部材)の構成>
図4(A)から図6に示されているように、インク収納容器18は、可動部材、例えば、揺動部材90を有し、揺動部材90は、インク収容室11内に配置されている。揺動部材90は、インク収納容器18内で揺動可能に、図5に示されている軸82に支持されている。
【0086】
揺動部材90は、インク収容室11に収容されるインクより比重が小さい樹脂材料で形成されている。揺動部材90は、黒顔料、例えば、カーボンブラックが添加された、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン等の樹脂材料により形成されている。揺動部材90にカーボンフラックが添加されているため、揺動部材90に光、例えば、可視光や赤外光、が照射された場合、揺動部材90は光を遮断する。すなわち、揺動部材90が光を吸収するので、光は揺動部材90を通過することができない。
【0087】
図11(A)及び図11(B)は、それぞれ、異なる角度から見た揺動部材90の斜視図である。揺動部材90は、第1部分92と、第2部分93と、支持部94とを有する。支持部94は、略円板形状の回転中心部94Aと、回転中心部94Aから延びている略直方体形状の接続部94Bとを有する。回転中心部94Aには、幅方向12に回転中心部94Aを貫通する円筒形状の開口94Cが形成されている。
【0088】
図5に示されているように、軸82は、開口94Cを通って、一対の壁80の一方から他方にかけて幅方向12に延びている。揺動部材90は、円筒形状の軸82の幅方向12に延びる中心軸を揺動中心として揺動可能に、軸82に支持されている。揺動部材90は、インク収容室11に収容されたインクの液面の位置に応じて、奥行き方向13及び高さ方向14に略平行な面内において、インク収容室11に対して揺動可能である。
【0089】
図11(A)及び図11(B)に示されているように、第1部分92は、略円板形状の嵩高部92Aと、嵩高部92Aから延びる、側面視において略扇形状の接続部92Bとを有する。接続部92Bは、支持部94の接続部94Bにつながっている。
【0090】
第2部分93は、遮光部93Aと、第1の接続部93Bと、第2の接続部93Cとを有する。第1の接続部93Bの一端は遮光部93Aにつながっており、第1の接続部93Bの他端は第2の接続部93Cにつながっている。第2の接続部93Cの一端は第1の接続部93Bにつながっており、第2の接続部93Cの他端は支持部94の接続部94Bと、第1部分92の接続部92Bとにつながっている。図5に示されているように、遮光部93Aは、凸部70の内部空間75内に位置する。
【0091】
第1部分92の体積は、第2部分93の体積と支持部94の体積の合計より大きい。図5に示されているように、本実施形態では、揺動部材90がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるときの浮心91、及び、揺動部材90の重心は、第1部分92の内部に存在する。本実施形態においては、揺動部材90の密度分布は一様であり、また、インク収容室11内に収容されるインクの密度分布も一様であるので、揺動部材90がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるときの浮心91は、揺動部材90の重心と一致する。しかしながら、浮心91と揺動部材90の重心とは必ずしも一致しなくてよい。
【0092】
図2(A)及び図2(B)を参照して、第1のカバー15及び第2のカバー16について再び説明する。第1のカバー15及び第2のカバー16は、フレーム20の前面22の一部と上面24の一部とを除き、インク収納容器18を覆っている。より具体的には、第1のカバー15は、フレーム20の前面22の一部と、フレーム20の上面24の前面22側と、フレーム20の下面25の前面22側と、一対の側壁21の前面22側とを覆っている。第2のカバー16は、フレーム20の背面23と、フレーム20の上面24の背面23側の一部と、フレーム20の下面25の背面23側と、一対の側壁21の背面23側とを覆っている。
【0093】
第1のカバー15は、フレーム20の前面22と対向する前壁150と、フレーム20の上面24の前面22側と対向する上壁151と、一対の側壁21の前面22側と対向する一対の側壁152とを有する。前壁150には、前壁150を奥行き方向13に貫通する略円筒形状の第1の開口154及び略円筒形状の第2の開口156が形成されている。インク供給部50は第1の開口154を通って、第1のカバー15の内から外へ延びている。大気導入部60は、第1のカバー15内に位置するが、第2の開口156と大気導入部60とは、奥行き方向13に並んでいる。したがって、奥行き方向13に沿って、第1のカバー15の外部から第2の開口156を介して大気導入部60にアクセスすることが可能である。一対の側壁152には、それぞれ、一対の側壁152を幅方向12に貫通する略矩形状の第3の開口158が形成されている。図3(A)に示されている凸部70の一対の側壁72は、それぞれ、一対の側壁152に形成された第3の開口158を介して第1のカバー15の外に露出している。
【0094】
上壁151は、幅方向12の中心に突起159を有する。突起は159は、前壁150と上壁151との境界部の近くに位置している。突起159は、幅方向12に幅を有し、奥行き方向13に奥行きを有し、高さ方向14に高さを有する、略直方体形状を有する。突起159の幅は、突起159の高さに比べて短く、突起159の高さは、突起159の奥行きに比べて短い。
【0095】
第1のカバー15は、黒顔料、例えば、カーボンブラックが添加された、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等の樹脂材料により形成されている。第1のカバー15にカーボンフラックが添加されているため、第1のカバー15に光、例えば、可視光や赤外光、が照射された場合、第1のカバー15は光を遮断する。すなわち、第1のカバー15が光を吸収するので、光は第1のカバー15を通過することができない。
【0096】
第2のカバー16は、フレーム20の上面24の背面23側と対向する上壁160を有する。上壁160には、上壁160を高さ方向14に貫通する第4の開口162が形成されている。フレーム20の上面24の一部と突起24Aとは、第4の開口162を介して、第2のカバー16の外に露出している。
【0097】
第2のカバー16は、黒顔料、例えば、カーボンブラックが添加された、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等の樹脂材料により形成されている。
【0098】
<インク供給装置及び装着部の構成>
図12から図23を参照して、装着部300を有するインク供給装置30の構成について説明する。図中、水平面に平行な方向であって、互いに垂直な2つの方向をそれぞれ、X方向及びY方向とし、X方向及びY方向に垂直であって、重力方向に平行な方向をZ方向とする。
【0099】
図12は、装着部300が第1の姿勢にある状態におけるインク供給装置30の斜視図である。図13は、装着部300が第2の姿勢にある状態におけるインク供給装置30の斜視図である。図14は、図12に示されている矢印XIVの方向からみたインク供給装置30の正面図である。図15は、装着部300が第1の姿勢にある状態において、X方向に沿ってインク供給装置30を支持壁320A側から見たインク供給装置30の側面図である。図16は、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間の姿勢にある状態おいて、X方向に沿ってインク供給装置30を支持壁320A側から見たインク供給装置30の側面図である。図17は、装着部300が第2の姿勢にある状態において、X方向に沿ってインク供給装置30を支持壁320A側から見たインク供給装置30の側面図である。図12から図17において、2つのインクカートリッジ10が装着部300に装着されている。図12、図13、及び、図15から図17において、支持壁320Aの一部が破断されて示されている。図12から図14では、第1のリミットスイッチ346及び第2のリミットスイッチ348の図示が省略されている。図15から図17において、支持壁320Bの図示が省略されている。図18は、図14に示されているXVIII−XVIII線に従う装着部300の断面図である。
【0100】
図12から図17に示されているように、インク供給装置30は、装着部300と、リンク機構310と、一対の支持壁320A、320Bを有する。
【0101】
図12から図17に示されているように、一対の支持壁320A、320Bは、それぞれ、Y方向及びZ方向に平行に延びる平板状である。一対の支持壁320A、320BはX方向に並んでいる。一対の支持壁320A、320Bは、インクジェットプリンタ100の筐体(不図示)に固定されている。各支持壁320A、320Bには、支持壁320A、320BをX方向に貫通する第1の開口321及び第2の開口322が形成されている。第2の開口322は、第1の開口321の下方に位置する。第1の開口321は、Y方向に細長く延びて形成されている。第1の開口321のY方向における一端(図15から図17における右側の端)は他端(図15から図17における左側の端)より高く、第1の開口321はY方向において一端から他端にかけて上側に凸となるように緩やかに湾曲している。第2の開口322は、Y方向に細長く延びて形成されている。第2の開口322は、Y方向に略直線的に延びている。円筒形状の軸323が一対の支持壁320A、320Bの一方から他方にかけてX方向に延びている。軸323は、第2の開口322の一端(図15から図17における左側の端)の真下に位置している。
【0102】
図12、図13、及び、図14に示されているように、装着部300は、X方向において、一対の支持壁320A、320Bの間に位置する。図12、図13、図14、及び、図18に示されているように、装着部300は略直方体形状を有する。装着部300は、下壁301と、一対の側壁302と、上壁303と、背壁304(図12、図13、図14、及び、図18のうち、図18にのみ示されている)とを有する。一対の側壁302は、下壁301のX方向の両端部からそれぞれ延びており、それぞれ一対の支持壁320A、320Bと対向する。上壁303は、一対の側壁302の下壁301とは反対側の端部の間に架け渡されている。背壁304は、下壁301と、一対の側壁302と、上壁303とにつながっている。下壁301、一対の側壁302、及び、上壁303の、背壁304とは反対側の端部によって、開口305が画定されている。
【0103】
図14及び図18に示されているように、装着部300は、3つの仕切り壁306を有している。3つの仕切り壁306のそれぞれは、第1の仕切り壁306Aと第2の仕切り壁306Bとを有している。3つの第1の仕切り壁306Aは下壁301から上壁303に向かって延びている。3つの第1の仕切り壁306Aは、所定の間隔をおいてX方向に並んでいる。3つの第1の仕切り壁306Aのそれぞれは、背壁304から開口305にかけて延びている。3つの第1の仕切り壁306Aの上壁303に対向する面からは、3つの第2の仕切り壁306Bが上壁303に向かってそれぞれ延びている。3つの第2の仕切り壁306Bは上壁303に達している。3つの第2の仕切り壁306Bは、背壁304から開口305に向かって延びている。3つの第2の仕切り壁306Bは、開口305には達していない。3つの第2の仕切り壁306Bは、所定の間隔をおいてX方向に並んでいる。装着部300の内部は、3つの第1の仕切り壁306A及び3つの第2の仕切り壁306Bにより、X方向に4つの空間に仕切られている。4つの空間には、4つのインクカートリッジ10がそれぞれ装着される。
【0104】
図12から図17に示されているように、装着部300は、それぞれ、一対の側壁302から一対の支持壁320A、320Bに向かって延びる、円筒形状の一対の第1の軸307と、円筒形状の一対の第2の軸308と、円筒形状の一対の第3の軸309とを有している。一対の第1の軸307は、それぞれ、一対の支持壁320A、320Bに形成されている第1の開口321に挿入されている。一対の第2の軸308は、それぞれ、一対の支持壁320A、320Bに形成されている第2の開口322に挿入されている。一対の第3の軸309は、一対の支持壁320A、320Bに達していない。図14に示されているように、一対の第3の軸309は、一対の第1の軸307と一対の第2の軸308との間に位置する。
【0105】
図12から図17に示されているように、リンク機構310は、X方向において、一対の支持壁320A、320Bの間に位置する。リンク機構310は、ハンドル311と、一対のL字形部312と、一対の直線状に延びるリンク313とを有する。装着部300は、X方向において、一対のL字形部312及び一対の直線状に延びるリンク313の間に位置する。ハンドル311は、一対のL字形部312の間に架け渡されている。ハンドル311は、円筒形状を有し、X方向に延びている。L字形部312は、2つの直線状に延びる部材が、折れ曲がり部を介して90°の角度をなすように、つながっている。ハンドル311のX方向の端部は、それぞれ、一対のL字形部312の一端とつながっている。一対のL字形部312の他端には、それぞれ、L字形部312をX方向に貫通するように円筒形状の開口314が形成されている。軸323は、一対のL字形部312の開口314を通って延びている。一対のL字形部312の折れ曲がり部から、それぞれ、円筒形状の一対の第4の軸315が、X方向に、互いに遠ざかるように延びている。一対のリンク313の一端及び他端には、それぞれ、一対のリンク313をX方向に貫通するように開口316及び開口317が形成されている。一対のリンク313の開口316には、それぞれ、装着部300の一対の第3の軸309が挿入されている。一対のリンク313の開口317には、それぞれ、L字形部312の一対の第4の軸315が挿入されている。
【0106】
装着部300は、リンク機構310により、第1の姿勢と第2の姿勢との間で、Y方向とZ方向で定義される面と平行な方向に移動可能である。図15に示すように、装着部300が第1の姿勢にあるとき、一対の第1の軸307及び一対の第2の軸308は、それぞれ、一対の支持壁320A、320Bの第1の開口321及び第2の開口322の図15における左側の端部に位置する。このとき、装着部300の下壁301の基準面301Aと、図15において一点鎖線で示された水平面とがなす角度は30°である。インクカートリッジ10は、装着部300が第1の姿勢にあるとき、装着部300に装着可能である。
【0107】
ユーザーがハンドル311を握り、ハンドル311を図15において右上の方向に押し上げると、一対のL字形部312が軸323を中心として図15において時計方向に回る。一対のL字形部312が回ると、一対のL字形部312の一対の第4の軸315が、それぞれ、一対のリンク313の図15における左側の端部を、図15において右上の方向に押し上げる。一対のリンク313の端部が押し上げられると、一対のリンク313は、それぞれ、一対の第3の軸309及び一対の第4の軸315に対して回りつつ、一対の第3の軸309を図15において右方に押し出す。それに伴い、一対の第1の軸307及び一対の第2の軸308がそれぞれ一対の支持壁320A、320Bの第1の開口321及び第2の開口322にガイドされつつ、装着部300は図15において右方に移動し、図16に示される姿勢を経て、図17に示される第2の姿勢となる。一方、装着部300を第2の姿勢から第1の姿勢に移動させるには、ユーザーはハンドル311を握り、ハンドル311を図17において、左下の方向に引き下げればよい。
【0108】
図17に示されているように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、一対の第1の軸307及び一対の第2の軸308は、それぞれ、一対の支持壁320A、320Bの第1の開口321及び第2の開口322の図17における右側の端部に位置する。このとき、装着部300の下壁301の基準面301Aと、図17において一点鎖線で示された水平面とは平行である。すなわち、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動するときの、装着部300の水平面に対する角度変化は、30°である。図1に示されているように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、装着部300に装着された液体カートリッジ10の位置は、記録ヘッド132の複数のノズル134よりも低い位置となる。
【0109】
図14及び図18に示されているように、インク供給装置30は、4つのインク供給筒326を有する。なお、図14においては、4つのインク供給筒326のうち2つが、図18においては、4つのインク供給筒326のうち1つが示されている。インク供給筒326は、チューブ350と共に、接続部の一例である。4つのインク供給筒326は、3つの第1の仕切り壁306A及び3つの第2の仕切り壁306BによってX方向に仕切られた装着部300内の4つの空間に対してそれぞれ配置されている。4つのインク供給筒326は、それぞれ、装着部300の背壁304に固定されており、背壁304から、開口305に向かって、突出している。4つのインク供給筒326は、それぞれ、背壁304に形成されている開口内において、4つのチューブ350の内部に挿入されて4つのチューブ350に取り付けられている。さらに、円形のクランプ(バンド)をチューブ350の外周に接触させ、そのクランプを締め付けることによって、チューブ350とインク供給筒326との取り付けを、より確実に行ってもよい。
【0110】
図14及び図18に示されているように、インク供給装置30は、4つの突起328を有する。なお、図14においては、4つのインク突起328のうち2つが、図18においては、4つのインク突起328のうち1つが示されている。4つの突起328は、X方向に仕切られた装着部300内の4つの空間に対してそれぞれ配置されている。4つの突起328は、それぞれ、装着部300の背壁304から、開口305に向かって、突出している。各突起328は、内部に空間を有する。突起328の内部の空間は、装着部300内に位置する突起328の端部において、突起328の外部と連通している。また、突起328は、背壁304を貫通して装着部300の内部から装着部300の外へ延びており、突起328の内部の空間は、装着部300の外に開口している。
【0111】
図14及び図18に示されているように、インク供給装置30は、4つのロック機構330を有する。4つのロック機構330は、X方向に仕切られた装着部300内の4つの空間に対してそれぞれ配置されている。4つのロック機構330は装着部300の上壁303に位置する。図18に示されているように、各ロック機構330は、レバー331とコイルスプリング332とを有する。レバー331は、接触部333と、操作部334と、接触部333と操作部334との間に位置する軸335とを有する。軸335はX方向に延びており、レバー331は、軸335を中心として、Y方向とZ方向で定義される面と平行な方向に揺動可能である。操作部334は、軸335から装着部300の外まで延びている。接触部333は、軸335からX方向に仕切られた4つの空間の一つの内部まで延びている。コイルスプリング332の一端はレバー331に接続されており、コイルスプリング332の他端は、上壁303の一部に接続されている。コイルスプリング332は伸びた状態にある。コイルスプリング332は、レバー331が図18において時計方向に回るように、レバー331を引っ張っている。レバー331の時計方向の回転は図示しないストッパにより規制されている。
【0112】
<光学検知部の構成>
図14及び図18に示されているように、インクジェットプリンタ100は、光学検知部の一例である4つの光学センサ342を備えている。なお、図14においては、4つの光学センサ342のうち2つが、図18においては、4つの光学センサ342のうち1つが示されている。4つの光学センサ342は、X方向に仕切られた装着部300内の4つの空間に対してそれぞれ配置されている。各光学センサ342は装着部300の背壁304に固定されている。図19は、光学センサ342の斜視図である。図19に示されているように、各光学センサ342は略直方体形状の基部342Aと、略直方体形状の発光部342Bと、略直方体形状の受光部342Cとを有する。基部342Aは、装着部300の背壁304に固定されている。発光部342Bは、基部342AのX方向の一端から、装着部300の開口305に向かって延びている。また、受光部342Cは、基部342AのX方向の他端から、装着部300の開口305に向かって延びている。発光部342Bと受光部342CとはX方向に並んでいる。発光部342Bの受光部342Cと対向する面には長方形状のスリットが形成されている。発光部342Bは発光部342Bに形成されたスリットを介して、受光部342Cに向かって、光、例えば、可視光または赤外光を発する。受光部342Cの発光部342Bと対向する面には長方形状のスリット(不図示)が形成されている。受光部342Cは、受光部342Cに形成されたスリットを介して、発光部342Bから発せられた光を受光する。発光部342Bから受光部342Cの間に光路342Dが形成される。
【0113】
受光部342Cが、発光部342Bから発せられた光を所定の強度以上で受けているとき、受光部342Cは所定の値以上の電圧を出力する。受光部342Cが、発光部342Bから発せられた光を所定の強度未満で受けているとき、受光部342Cは所定の値未満の電圧を出力する。受光部342Cが、発光部342Bから発せられた光を所定の強度未満で受けているときは、受光部342Cが、発光部342Bから発せられた光を全く受けていないとき、すなわち、受光部342Cが受けている光の強度がゼロのときも含む。また、受光部342Cが所定の値未満の電圧を出力するとは、受光部342Cが全く電圧を出力しない、すなわち、受光部342Cが出力する電圧値がグラウンドレベルのときも含む。このように、受光部342Cは予め決められた2つの状態をとる。後述するインクジェットプリンタ100の制御部400は、受光部342Cが所定の値以上の電圧を出力しているとき、受光部342CがON状態であると判断し、受光部342Cが所定の値未満の電圧を出力しているとき、受光部342CがOFF状態であると判断する。
【0114】
<装着検知部の構成>
図14及び図18に示されているように、インクジェットプリンタ100は、装着検知部の一例である4つの光学センサ344を備えている。なお、図14においては、4つの光学センサ344のうち2つが、図18においては、4つの光学センサ344のうち1つが示されている。4つの光学センサ344は、X方向に仕切られた装着部内の4つの空間に対してそれぞれ配置されている。各光学センサ344は、装着部300の上壁303に固定されている。図20は、光学センサ344の斜視図である。図20に示されているように、各光学センサ344は略直方体形状の基部344Aと、略直方体形状の発光部344Bと、略直方体形状の受光部344Cとを有する。基部344Aは、装着部300の上壁303に固定されている。発光部344Bは、基部344AのX方向の一端から、装着部300の下壁301に向かって延びている。また、受光部344Cは、基部344AのX方向の他端から、装着部300の下壁301に向かって延びている。発光部344Bと受光部344CとはX方向に並んでいる。発光部344Bの受光部344Cと対向する面には長方形状のスリットが形成されている。発光部344Bは発光部344Bに形成されたスリットを介して、受光部344Cに向かって、光、例えば、可視光または赤外光を発する。受光部344Cの発光部344Bと対向する面には長方形状のスリット(不図示)が形成されている。受光部344Cは、受光部344Cに形成されたスリットを介して、発光部344Bから発せられた光を受光する。発光部344Bから受光部344Cの間に光路344Dが形成される。
【0115】
光センサ344の発光部344B及び受光部344Cは、光学センサ342の発光部342B及び342Cと同様に動作、作用し、受光部344Cは予め決められた2つの状態をとる。後述するインクジェットプリンタ100の制御部400は、受光部344Cが所定の値以上の電圧を出力しているとき、受光部344CがON状態であると判断し、受光部344Cが所定の値未満の電圧を出力しているとき、受光部344がOFF状態であると判断する。
【0116】
<移動検知部(姿勢検知部)の構成>
インクジェットプリンタ100は、装着部300の移動を検知する移動検知部を備えている。より具体的には、移動検知部は、装着部300の姿勢を検知する姿勢検知部を有している。図15から図17に示されているように、姿勢検知部は、装着部300が第1の姿勢にあることを検知する第1のリミットスイッチ346と、装着部300が第2の姿勢にあることを検知する第2のリミットスイッチ348とを有する。
【0117】
第1のリミットスイッチ346は、固定部材(不図示)を介して支持壁320Aに固定されている。図15から図17に示すように、第1のリミットスイッチ346は、ケース346Aと、ケース346Aの内部からケース346Aの外へ延びており、ケース346Aに対して移動可能なアクチュエータ346Bとを有している。ケース346Aは固定部材(不図示)を介して支持壁320Aに固定されている。ケース346Aの内部において、不図示の可動接点がアクチュエータ346Bに固定されている。可動接点はアクチュエータ346Bとともに、ケース346Aに対して移動可能である。ケース346Aの内部には、ケースに対して固定されている不図示の固定接点が配置されている。アクチュエータ346Bのケース346Aに対する位置により、可動接点は、固定接点と接触した状態および固定接点から離れた状態をとり得る。可動接点が固定接点に接触しているとき、第1のリミットスイッチ346は、所定の値以上の電圧を出力する。可動接点が固定接点から離れているとき、第1のリミットスイッチ346は、所定の値未満の電圧を出力する。第1のリミットスイッチ346が所定の値未満の電圧を出力するとは、第1のリミットスイッチ346が全く電圧を出力しない、すなわち、第1のリミットスイッチ346が出力する電圧値がグラウンドレベルのときも含む。このように、第1のリミットスイッチ346は予め決められた2つの状態をとる。後述するインクジェットプリンタ100の制御部400は、第1のリミットスイッチ346が所定の値以上の電圧を出力しているとき、第1のリミットスイッチ346がON状態であると判断し、第1のリミットスイッチ346が所定の値未満の電圧を出力しているとき、第1のリミットスイッチ346がOFF状態であると判断する。
【0118】
第2のリミットスイッチ348は、固定部材(不図示)を介して支持壁320Aに固定されている。図15から図17に示すように、第2のリミットスイッチ348は、ケース348Aと、ケース348Aの内部からケース348Aの外へ延びており、ケース348Aに対して移動可能なアクチュエータ348Bとを有している。ケース348Aは、固定部材(不図示)を介して支持壁320Aに固定されている。第2のリミットスイッチ348は、第1のリミットスイッチ346と同様な構成を有しており、また、第1のリミットスイッチ346と同様に動作、作用し、第2のリミットスイッチ348は予め決められた2つの状態をとる。第2のリミットスイッチ348が所定の値以上の電圧を出力しているとき、後述するインクジェットプリンタ100の制御部400は、第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断し、第1のリミットスイッチ346が所定の値未満の電圧を出力しているとき、第2のリミットスイッチ348がOFF状態であると判断する。
【0119】
図15に示されているように、装着部300が第1の姿勢にあるとき、装着部300の下壁301の一部は、第1のリミットスイッチ346のアクチュエータ346Bに接触し、アクチュエータ346Bをケース346Aの中に押し込む。このとき、第1のリミットスイッチ346の可動接点は固定接点と接触し、第1のリミットスイッチ346はON状態と判断される。図16に示されているように、装着部300が第1の姿勢でなくなると、装着部300の下壁301の一部はアクチュエータ346Bから離れ、アクチュエータ346Bは、ケース346Aの外に向かって移動する。このとき、第1のリミットスイッチ346の可動接点は固定接点から離れ、第1のリミットスイッチはOFF状態と判断される。このように、第1のリミットスイッチ346により、装着部300が第1の姿勢にあるか否かを検知できる。
【0120】
図17に示されているように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、装着部300の下壁301の一部は、第2のリミットスイッチ348のアクチュエータ348Bに接触し、アクチュエータ348Bをケース348Aの中に押し込む。このとき、第2のリミットスイッチ348の可動接点は固定接点と接触し、第2のリミットスイッチ348はON状態と判断される。図16に示されているように、装着部300が第2の姿勢でなくなると、装着部300の下壁301の一部はアクチュエータ348Bから離れ、アクチュエータ348Bは、ケース348Aの外に向かって移動する。このとき、第2のリミットスイッチ348の可動接点は固定接点から離れ、第2のリミットスイッチ348はOFF状態と判断される。このように、第2のリミットスイッチ348により、装着部300が第2の姿勢にあるか否かを検知できる。
【0121】
第1のリミットスイッチ346と第2リミットスイッチ348とを有する姿勢検知部を有する移動検知部は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことを検知することをもって、装着部300が移動を開始したことを検知できる。また、移動検知部は、第1の姿勢にあった装着部300が第2の姿勢になったことを検知することをもって、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動したことを検知できる。すなわち、装着部300が第1の姿勢でなくなってから第2の姿勢になるまでが、装着部300の移動が検知されている間となる。
【0122】
<装着部とインクカートリッジの関係>
インクカートリッジ10は、図15に示されているように装着部300が第1の姿勢にあるとき、上方から下方に向かう装着方向360に沿って、装着部300に装着される。装着方向360は、装着部300の開口305から背壁304に向かう方向であり、水平面に対して30°傾いた方向である。図25は、インクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。図25に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、インクカートリッジ10の奥行き方向13が装着方向360と平行となる。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、フレーム20の前面22側から装着部300に装着される。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、揺動部材90の揺動中心は、揺動部材90がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるときの浮心91よりも装着方向360に関して下方に位置する。インクカートリッジ10が装着方向360に沿って上方から下方に向かって装着部300に装着されるので、インクカートリッジ10が下方から上方に向かって装着部300に装着される場合に比べて、ユーザーはインクカートリッジ10を装着部300に装着し易い。すなわち、インクジェットプリンタ100は机の上に配置されることが多い。机の上に配置されたインクジェットプリンタ100は、ユーザーの視点よりも低い位置にある。ユーザーはインクジェットプリンタ100を見下ろして、インクカートリッジ10を装着部300に装着すると想定される。したがって、インクカートリッジ10が装着方向360に沿って上方から下方に向かって装着部300に装着されるように装着部300が構成されていると、ユーザーはインクカートリッジ10と装着部300とを視認できるので、インクカートリッジ10を装着部300に容易に装着できるのである。また、重力によりインクカートリッジ10は上方から下方に引っ張られるので、インクカートリッジ10が装着部300に確実に装着される。
【0123】
図21は、図18に示されている装着部300にインクカートリッジ10が装着された状態における、図14に示されているXVIII−XVIII線に従うインクカートリッジ10及び装着部300の断面図である。インクカートリッジ10が装着部300に装着されると、凸部70が光学センサ342の発光部342Bと受光部342Cとの間に位置し、一対の側壁72の一方が発光部342Bに対向し、他方が受光部342Cに対向する。このとき、図21に示されているように、光路342Dが一対の側壁72と交わる。また、光路342Dは、揺動部材90の揺動に伴い遮光部93Aがインク収容室11及び光学センサ342に対して移動するときの遮光部93Aの移動軌跡と交わる。光路342Dが遮光部93Aと交わるときは、遮光部93Aは、発光部342Bから発せられた光を遮断する。このとき、受光部342Cの状態はOFF状態と判断される。光路342Dが遮光部93Aと交わらないときは、発光部342Bから発せられた光は一対の側壁72を通過し、受光部342Cに到る。このとき、受光部342Cの状態はON状態と判断される。
【0124】
インクカートリッジ10が装着部300に装着されると、インクカートリッジ10の第1のカバー15の突起159が光学センサ344の発光部344Bと受光部344Cとの間に位置し、図21に示されているように、光路344Dが突起159と交わる。光路344Dが突起159と交わるときは、突起159は、発光部344Bから発せられた光を遮断する。このとき、受光部344Cの状態はOFF状態と判断される。光路344Dが突起159と交わらないときは、発光部344Bから発せられた光は受光部344Cに到る。このとき、受光部344Cの状態はON状態と判断される。すなわち、インクカートリッジ10が装着部300に装着されたときに、受光部344Cの状態はOFF状態と判断され、インクカートリッジ10が装着部から外されたときは、受光部344Cの状態はON状態と判断される。このように、光センサ344により、インクカートリッジ10が装着部300に装着されていることを検知できる。
【0125】
図21に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着されると、ロック機構330のレバー331の接触部333は、インクカートリッジ10のフレーム20の突起24Aに接触する。インクカートリッジ10が図21において左方に移動しようとしても、接触部333が突起24Aに接触しているため、インクカートリッジ10は、移動することができない。これにより、インクカートリッジ10が装着部300内に保持される。ユーザーがインクカートリッジ10を装着部300から取り外す際には、ユーザーは、操作部334を押し下げる。操作部334が押し下げられると、レバー331は、コイルスプリング332がレバー331を引っ張る力に抗して、図21において、反時計方向に回る。レバー331が反時計方向に回ると、接触部333は突起24Aから離れるので、ユーザーは、インクカートリッジ10を図21において左方に引き抜くことができる。なお、本実施形態においては、装着部300が第1の姿勢にあるときに、インクカートリッジ10は装着部300に装着され、また、インクカートリッジ10は装着部300から取り外される。
【0126】
図22は、図21において一点鎖線で囲まれた領域XXIIの拡大図である。図22に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着されると、インク供給筒326が、キャップ56の開口56A及びシール部材53の開口53Aを通って、コイルスプリング54が弁体52を押す力に抗して、弁体52をインク供給室51の第1端51Aに向かって押す。このとき、シール部材53は、インク供給筒326の外周に弾性変形しつつ接触する。弁体52は、インク供給室51の第1端51Aに向かって押されると、シール部材53から離れる。この結果、インク供給室51がインク供給筒326を介してチューブ350と連通する。よって、インク収容室11が、インク供給室51、インク供給筒326、及び、チューブ350を介して、サブタンク135と連通し、インク収容室11からサブタンク135へのインクの供給が可能となる。
【0127】
図23は、図21において一点鎖線で囲まれた領域XXIIIの拡大図である。図23に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着されると、突起328が、コイルスプリング64が弁体62を押す力に抗して、突起62Aを大気導入室61の第1端61Aに向かって押す。このとき、シール部材63の脚部63Bは、突起328の外周に弾性変形しつつ接触する。弁体62は、インク供給室61の第1端61Aに向かって押されると、シール部材63から離れる。この結果、大気導入室61が、シール部材63の開口63A及び開口63Cと突起328の内部の空間とを介して、装着部300の外の空間と連通する。よって、インク収容室11が、大気導入通路67、大気導入室61、シール部材63の開口63A及び開口63C、及び、突起328の内部の空間を介して、装着部300の外の空間と連通し、装着部300の外の空間からインク収容室11に大気を導入することが可能となる。
【0128】
図1に示されているように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、インクカートリッジ10の位置は記録ヘッド132の複数のノズル134よりも低い位置にある。より具体的には、インク収容室11に収容されているインクの液面Lは、記録ヘッド132の複数のノズル134よりも低い位置にある。この結果、ノズル134内の液体に適当な負圧をかけることが可能になる。よって、記録ヘッド132の複数のノズル134から、安定してインクを吐出できる。
【0129】
<電気的構成>
図24は、インクジェットプリンタ100の電気的構成の概略を示すブロック図である。図24に示されているように、インクジェットプリンタ100は、制御部400を有する。制御部400は、インクジェットプリンタ100の動作を制御し、また、各種の判断を行うように構成されている。制御部400は、中央処理装置(Central Processing Unit、略してCPU)402、リードオンリーメモリ(Read−Only Memory、略してROM)404、ランダムアクセスメモリ(Ramdom Access Memory、略してRAM)406、エレクトリカリーイレイザブルプログラマブルリードオンリーメモリ(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory、略してEEPROM)408、及び、アプリケーションスペスィフィックインテグレイティッドサーキット(Application Specific Integrated Circuit、略してASIC)410を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。
【0130】
ROM404には、CPU402がインクジェットプリンタ100の各種動作を制御するためのプログラムや、後述する図29のフローチャートに示されている判断処理を実行するプログラム等の各種判断を行うためのプログラムなどが格納されている。RAM406には、CPU402が上記プログラムを実行する際に各種データを一時的に記憶する記憶領域又は作業領域として使用される。EEPROM408には、インクジェットプリンタ100の電源をオフした後も保持すべき情報が格納される。
【0131】
ASIC410には、ヘッド制御基板133、光学センサ342、光学センサ344、第1のリミットスイッチ346、及び、第2のリミットスイッチ348が電気的に接続されている。なお、図示されていないが、給紙装置110や搬送装置120を駆動させる駆動回路や、外部のパーソナルコンピュータとの間で信号を入出力するための入出力部や、ユーザーがインクジェットプリンタ100に対して印刷指示等を行うための指示入力部や、各種の情報をユーザーに対して表示する表示部なども、ASIC410に電気的に接続されている。
【0132】
制御部400は、外部のパーソナルコンピュータ(不図示)や指示入力部(不図示)から印刷指示を受けた場合、ヘッド制御基板133に信号を出力する。ヘッド制御基板133は、制御部400から入力された信号に基づいて、記録ヘッド132からのインク吐出を制御するように構成されている。なお、制御部400は、第2のリミットスイッチ348がON状態でると判断したとき、記録ヘッド132からインクを吐出させるべく、ヘッド制御基板133に信号を入力するように構成されている。すなわち、装着部300が第2の姿勢にあることが検知されているときに、記録ヘッド132からインクが吐出されることが許容される。ヘッド制御基板133及び制御部400は吐出制御部の一例である。
【0133】
光学センサ342の発光部342B及び光学センサ344の発光部344Bは、制御部400から信号が入力されると、光、例えば、可視光や赤外光を発するように構成されている。
【0134】
制御部400は、必要に応じて、光学センサ342の受光部342Cの状態、光学センサ344の受光部344Cの状態、第1のリミットスイッチ346の状態、及び、第2のリミットスイッチ348の状態がON状態かOFF状態かを判断するように構成されている。制御部400は、図29のフローチャートに示されているように、光学センサ342の受光部342Cの状態、光学センサ344の受光部344Cの状態、第1のリミットスイッチ346の状態、及び、第2のリミットスイッチ348の状態を所定の複数のステップに従って判断することにより、装着部300に装着されたインクカートリッジ10が正常か否かを判断するように構成されている。
【0135】
<動作及び作用>
以上説明した構成からなる本実施形態の動作及び作用について、図面を参照して説明する。
【0136】
図25から図28を参照して、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動するときの、水平面に対するフレーム20及び揺動部材90の姿勢の変化について説明する。図25は、インクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。図26及び図27は、インクカートリッジ10が装着された装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間の姿勢にある状態における、図25と同様のフレーム20及び揺動部材90の断面図である。図28は、インクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、図25同様のフレーム20及び揺動部材90の断面図である。
【0137】
図25に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着され、装着部300が第1の姿勢にあるとき、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度は30°である。新品のインクカートリッジ10は、インクカートリッジ10が装着部300に装着されたときに、揺動部材90がインク中に沈むだけの量のインクを、インク収容室11内に収容している。本実施形態では、揺動部材90がインク中に沈んでいるときの浮心91と揺動部材90の重心とが一致しているので、揺動部材90がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるとき、揺動部材90は、浮心91がインク収容室11に収容されているインクの液面Lに対して最も近い位置に位置する姿勢をとる。浮心91がインク収容室11に収容されているインクの液面Lに対して最も近い位置に位置するとき、浮心91は、揺動部材90の揺動中心から液面Lに対して垂直に下ろした直線上に位置する。装着部300が第1の姿勢にあるとき、揺動部材90の遮光部93Aは、光学センサ342の光路342Dに交わっておらず、発光部342Bから光が発せられた場合、その光は、凸部70の一対の側壁72を通って、受光部342Cに達する。すなわち、発光部342Bから光が発せられた場合、受光部342CはON状態と判断される。なお、浮心91と揺動部材90の重心とが一致していない場合には、揺動部材90に加わる浮力によるモーメントと重力によるモーメントとが釣り合う位置で、揺動部材90は静止する。
【0138】
装着部300が第1の姿勢から移動すると、インク収容室11及び光学センサ342の水平面に対する傾きが変化する。一方、装着部300が移動しても、インクの液面Lは常に水平面に対して平行である。浮心91は、揺動部材90の揺動中心から液面Lに対して垂直に下ろした直線上に留まるので、装着部300が移動しても、水平面に対する揺動部材90の姿勢は変化しない。したがって、装着部300が移動すると、インク収容室11及び光学センサ342に対するインクの液面Lの位置が変化し、揺動部材90も、インク収容室11及び光学センサ342に対するインクの液面Lの位置に応じて、インク収容室11及び光学センサ342に対して相対移動する。図25から図27においては、揺動部材90は、インク収容室11に対して時計方向に回る。それに応じて、遮光部93Aは、インク収容室11及び光学センサ342に対する移動軌跡上を移動する。
【0139】
図26に示すように、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度が25°のとき、遮光部93Aは、光路342Dと交わり、発光部342Bから光が発せられた場合、遮光部93Aはその光を遮断する。すなわち、発光部342Bから光が発せられたとき、受光部342CはOFF状態と判断される。
【0140】
装着部300がさらに移動して、図27に示すように、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度が20°になると、遮光部93Aが第1の接触部74Aに接触する。遮光部93Aは光路342Dと交わっている。
【0141】
フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度が20°になった後は、装着部300がさらに移動しても、遮光部93Aが第1の接触部74Aに接触しているので、揺動部材90の動きが規制され、揺動部材90はインク収容室11に対して時計方向に相対移動できない。
【0142】
図28に示すように、装着部300が第2の姿勢になると、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とが平行となる。遮光部93Aは、光路342Dと交わっている。揺動部材90の動きが規制されていなければ、浮心91は、揺動部材90の揺動中心から液面Lに対して垂直に下ろした直線上に位置するはずである。しかながら、遮光部93Aが第1の接触部74Aに接触していて、揺動部材90の動きが規制されているので、揺動部材90の揺動中心と浮心91とを結ぶ線分と、重力方向に平行であって揺動部材90の揺動中心を通る直線とが、線分から直線へ向かう方向に成す角度が20°となっている。本実施形態においては、浮心91と揺動部材90の重心とが一致しているので、この角度は、図27に示されているように、装着部300が第1姿勢から移動した後、遮光部93Aが最初に第1の接触部74Aに接触するときの、フレーム20の下面25と、水平面とがなす角度に等しい。図28に示すように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、浮心91とインクの液面Lとの距離は、揺動部材90の揺動中心とインクの液面Lとの距離より小さい。
【0143】
<インクカートリッジの状態を判断する処理>
図29は、制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。制御部400は、光学センサ344の発光部344Bを発光させ、受光部344Cの状態を監視し、光学センサ344の受光部344Cの状態がON状態からOFF状態になったときに、図29の判断処理を開始する。すなわち、図29の判断処理は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されたときに、開始される。なお、判断処理の途中において、光学センサ344の受光部344Cの状態がOFF状態からON状態となった場合には、制御部400は、例えば、インクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させ、インクカートリッジ10を装着部300に再装着するようユーザーに促す。
【0144】
以下、判断処理における各ステップをSと略す。判断処理が開始されると、制御部400は、S1において、第1のリミットスイッチ346の状態がON状態であるかを判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第1の姿勢にあることが検知されているか判断する。制御部400は、第1のリミットスイッチ346の状態がON状態であると判断した場合、S2において、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態をRAM406の記憶領域Iに記憶する。その後、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bの発光を中止し、S3において、第1のリミットスイッチ346の状態がOFF状態であるかを判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第1の姿勢でなくなったことが検知されたかを判断する。制御部400は、第1のリミットスイッチ346がOFF状態でないと判断した場合には、S3を繰り返す。制御部400は、第1のリミットスイッチ346がOFF状態である判断した場合、S4において、第2のリミットスイッチ348の状態がON状態であるかを判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第2の姿勢になったことが検知されたかを判断する。制御部400は、第2のリミットスイッチ348がON状態でないと判断した場合には、S4を繰り返す。制御部400は、第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断した場合、S5において、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態をRAM406の記憶領域Jに記憶する。その後、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bの発光を中止し、S6において、記憶領域Iに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態とを比較する。制御部400は、S6において、受光部342Cの状態が異なると判断した場合には、S7において、インクカートリッジ10が正常であると判断し、判断処理を終了する。その後、制御部400は、外部のパーソナルコンピュータ(不図示)からの印刷指示や、指示入力部(不図示)からの印刷指示を待つ。制御部400は、S6において、受光部342Cの状態が同じと判断した場合には、S8において、インクカートリッジ10が異常であると判断し、判断処理を終了する。この場合、制御部400は、インクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させ、ユーザーにインクカートリッジ10が異常であることを通知する、または、ユーザーにインクカートリッジ10を交換するよう通知する等の処理を行う。また、外部のパーソナルコンピュータ(不図示)からの印刷指示や、指示入力部(不図示)からの印刷指示を受けても、ヘッド制御基板133に信号を送らない等の処理を行う。本実施形態の制御部400及びS6からS8は、本発明の状態判断部の一例である。
【0145】
装着部300に装着されたインクカートリッジ10が新品で、正常であれば、すなわち、揺動部材90を有しており、揺動部材90が正常に揺動すれば、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態はON状態であり、記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態はOFF状態であるので、制御部400は、上記の判断処理において、インクカートリッジ10が正常であると判断する。装着部300に装着されたインクカートリッジ10が異常である、例えば、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を有していない場合には、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢へ移動しても、受光部342Cの状態は変わらない。すなわち、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とは同じになり、制御部400は、上記の判断処理において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。
【0146】
制御部400は、S1にて、第1のリミットスイッチ346の状態がON状態でないと判断した場合には、S9において、第2のリミットスイッチ348がON状態であるかを判断する。制御部400が、S9において第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断した場合には、制御部400がインクカートリッジ10の状態を判断する前に、装着部300が第2の姿勢になってしまったことになるので、制御部400は、S10において、例えばインクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させることにより、ユーザーにインクカートリッジ10を装着部300に再装着するよう促し、判断処理を終了する。制御部400は、S9において第2のリミットスイッチ348がON状態でないと判断した場合には、S1に戻る。
【0147】
制御部400は、S2、S3、S4,及び、S5の間、常に発光部342Bを発光させていてもよいが、少なくとも、S2及びS5において、発光部342Bを発光させればよい。
【0148】
本実施形態においては、装着部300は、例えば、4つのインクカートリッジ10が装着部300に装着されるように構成されている。上記のインクカートリッジ10が正常か否かの判断処理は、各インクカートリッジ10毎に行われる。
【0149】
<インク残量を判断する処理>
制御部400は、インクカートリッジ10が正常であると判断した後、外部のパーソナルコンピュータ(不図示)や、指示入力部(不図示)から印刷指示を受けた場合、給紙装置110と搬送装置120を駆動させる駆動回路(不図示)に信号を送り、給紙装置110と搬送装置120に記録用紙を給紙、搬送させつつ、ヘッド制御基板133に信号を送り、記録ヘッド132から記録用紙に上にインクを吐出させる。それに伴い、インク収容室11からサブタンク135にインクが供給される。制御部400は、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、受光部342Cの状態を監視する。すなわち、受光部342Cの状態を定期的に判断する。なお、記録ヘッド132からのインクの吐出は、装着部300が第2の姿勢のときに許容される。
【0150】
図30から図32は、インクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。図30は、インク収容室11に収容されているインクの量が第1の所定量である状態を示し、図31は、インク収容室11に収容されているインクの量が第2の所定量である状態を示し、図32は、インク収容室11にインクが収容されていない状態を示す。
【0151】
インク収容室11からサブタンク135にインクが供給されていき、インク収容室11内に収容されているインクが第1の所定量に達すると、インクの液面Lは図30に示されている位置に位置する。このとき、揺動部材90嵩高部92Aの一部がインクの液面Lからインク収容室11内の空気中に露出し、揺動部材90に加わっている重力と浮力が等しくなる。
【0152】
インク収容室11からサブタンク135にインクがさらに供給されていくと、揺動部材90は、インクの液面Lの低下に従って、図30において、反時計方向に回る。そして、インク収容室11内に収容されているインクが第2の所定量に達すると、インクの液面Lは図31に示されている位置に位置する。このとき、遮光部93Aは光学センサ342の光路342Dから外れ、発光部342Bから発せられた光は、凸部70の一対の側壁72を通過して、受光部342Cに達する。すなわち、受光部342Cの状態はOFF状態からON状態となる。
【0153】
受光部342Cの状態が、OFF状態からON状態になったと判断した場合、制御部400は、インク収容室11に収容されていれるインクの量が第2の所定量になったと判断し、それ以後、記録ヘッド132がインクを吐出した回数を数え始める。また、制御部400は、例えば、インクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させ、ユーザーにインクカートリッジ10内のインク残量が少ないことを通知する。
【0154】
その後、記録ヘッド132がインクを吐出した回数が所定の回数に達した場合、制御部400は、記録ヘッド132がインクを吐出することを中止させ、例えば、インクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させ、ユーザーにインクカートリッジ10が空になったことを通知したり、ユーザーにインクカートリッジ10を新しいものに交換するよう促したりする。このとき、インク収容室11に収納されているインクの実際の量はゼロでなくても構わないが、少ないほうが好ましい。インク収容室11にインクが収容されていないときは、図32に示すように、遮光部93Aは、第2の接触部73Aに接触する。
【0155】
制御部400が図29に示されている判断処理を行う結果、インクカートリッジ10が装着部300に装着される早期の段階で、インクカートリッジ10の正常状態もしくは異常状態を判断することができる。よって、異常状態のインクカートリッジ10が装着されたことに対する対処が可能となる。
【0156】
装着部300が第1の姿勢でなくなってから第2の姿勢になるまでが、第1のリミットスイッチ346と第2リミットスイッチ348とを有する姿勢検知部を有する移動検知部によって装着部300の移動が検知されている間であるが、制御部400は、装着部300が第1の姿勢にあることが検知されている状態と装着部300が第2の姿勢にあることが検知されている状態とにおける受光部342Cの状態を比較することにより、装着部300の移動が検知されている間に受光部342Cの状態が変化したか否かを、判断できる。この結果、制御部400は、装着部300の移動が検知されている間、受光部342Cの状態を監視する必要がなく、すなわち、受光部342Cの状態を定期的に幾度も判断する必要がなく、装着部300が第1及び第2の姿勢にあるときだけ、受光部342Cの状態を判断すればよい。よって、制御部400の判断処理の負荷が少ない。また、発光部342Bは、少なくとも装着部300が第1の姿勢にあることが検知されている状態と装着部300が第2の姿勢にあることが検知されている状態とにおいて発光すれば良く、装着部300の移動が検知されている間発光し続ける必要がないので、発光に伴う発光部342Bの劣化速度が遅くなり、発光部342Bの寿命が延びる。また、制御部400は、装着部300が静止している状態における受光部342Cの状態を比較するので、装着部300が移動している間に受光部342Cの状態を監視して受光部342Cの状態変化を判断する場合に比べて、より確実にインクカートリッジ10が正常状態であるか異常状態であるかを判断できる。
【0157】
装着部が第2の姿勢にあり、揺動部材90の移動が第1の接触部74Aに規制されているときの、揺動部材90の揺動中心と浮心91とを結ぶ線分と、重力方向に平行であって揺動部材90の揺動中心を通る直線とが、線分から直線へ向かう方向に成す角度を第1の角度と呼び、装着部300が第1の姿勢から移動した後、遮光部93Aが最初に第1の接触部74Aに接触するときのフレーム20の下面25と水平面とがなす角度を第2の角度と呼ぶとすると、第1の角度は第2の角度に等しい。したがって、装着部300が第1の姿勢と第2の姿勢との間を移動するときの、装着部300の水平面に対する角度変化を第1の角度より大きい角度とすることにより、装着部300が第1の姿勢と第2の姿勢との間を移動する間に、揺動部材90がインク収容室11及び光学センサ342に対して移動することができる。したがって、制御部400がインクカートリッジ10の状態を判断するには、装着部300の水平面に対する角度変化は、第1の角度より大きければよい。この結果、第1の角度を決めることによって、インクカートリッジ10の状態を判断するのに必要な装着部300の水平面に対する角度変化を容易に決定することができる。さらに、光路342Dの位置を、揺動部材90が第1の接触部74Aに接触しているときに遮光部93Aと交わり、揺動部材90が第1の接触部74Aから離れたらすぐに遮光部93Aと交わらない位置に設定すれば、装着部300の水平面に対する角度変化は、第1の角度より少しだけ大きい角度に設定すればよい。
【0158】
本実施形態においては、揺動部材90の比重は、インク収容室11に収容されるインクの比重より小さいが、揺動部材90の少なくとも一部の比重がインクの比重より小さくてもよい。例えば、第1部分92の比重がインクの比重より小さく、第2部分93の比重と支持部94の比重とがインクの比重より大きくてもよい。また、揺動部材90を形成する材料自体の比重はインクの比重より大きいが、第1部分92の内部を空洞とすることにより、第1部分92の比重をインクの比重より小さくしてもよい。揺動部材90の材料としては、ナイロン、ポリカーボネイト、アクリル樹脂等の樹脂材料も用いることができる。
【0159】
本実施形態においては、遮光部93A及び突起159は、発光部342B及び発光部344Bから発せられた光を遮断するものであったが、発光部342B及び発光部344Bからから発せられた光の光路を変更するものであってもよい。例えば、遮光部及び突起にアルミ箔が蒸着されており、遮光部及び突起は発光部から発せられた光を反射するものであってよい。
【0160】
本実施形態においては、光学センサ342及び光学センサ344の受光部342C及び受光部344Cは、発光部342B及び発光部344Bから発せられた光が、遮光部93A及び突起159によって遮光されないときに、光を受けるものであった。しかしながら、遮光部及び突起が発光部からから発せられた光を反射するものである場合、受光部は、発光部から発せられた光が、遮光部及び突起よって反射されたときに、その反射された光を受けるものであってもよい。
【0161】
本実施形態においては、装着部300が第1の姿勢にあるときに、装着部300の下壁301の基準面301Aと水平面とがなす角度が30°であり、装着部300が第2の姿勢にあるときに、装着部300の下壁301の基準面301Aと水平面とが平行であったが、装着部300が第2の姿勢にあるときも、装着部300の下壁301の基準面301Aが水平面に対して傾いていてもよい。
【0162】
本実施形態においては、装着部300が第1の姿勢にあるときに、インクカートリッジ10は装着部300に装着されたが、インクカートリッジ10が装着部300に装着されるときの装着部300の姿勢は必ずしも第1の姿勢でなくてもよい。
【0163】
本実施形態においては、装着部300は第1の姿勢と第2の姿勢との間で移動するものであったが、装着部300は、第1の姿勢または第2の姿勢を超えて移動するものであってよい。
【0164】
本実施形態においては、装着部300内においてX方向に仕切られる空間の数は4個であったが、装着部300に装着されるインクカートリッジ10の数によって、装着部300内においてX方向に仕切られる空間の数は適且変更される。すなわち、N個のインクカートリッジ10が装着部300に装着される場合には、装着部300の内部はX方向にN個の空間に仕切られる。
【0165】
本実施形態においては、インク供給筒326の数は4個であったが、装着部300に装着されるインクカートリッジ10の数によって、インク供給筒326の数は適且変更される。すなわち、N個のインクカートリッジ10が装着部300に装着される場合には、インク供給筒326の数はN個である。
【0166】
本実施形態においては、突起328の数は4個であったが、装着部300に装着されるインクカートリッジ10の数によって、突起328の数は適且変更される。すなわち、N個のインクカートリッジ10が装着部300に装着される場合には、突起328の数はN個である。
【0167】
本実施形態においては、ロック機構330の数は4個であったが、装着部300に装着されるインクカートリッジ10の数によって、ロック機構330の数は適且変更される。すなわち、N個のインクカートリッジ10が装着部300に装着される場合には、ロック機構330の数はN個である。
【0168】
本実施形態においては、光学センサ342の数は4個であったが、装着部300に装着されるインクカートリッジ10の数によって、光学センサ342の数は適且変更される。すなわち、N個のインクカートリッジ10が装着部300に装着される場合には、光学センサ342の数はN個である。
【0169】
本実施形態においては、光学センサ344の数は4個であったが、装着部300に装着されるインクカートリッジ10の数によって、光学センサ344の数は適且変更される。すなわち、N個のインクカートリッジ10が装着部300に装着される場合には、光学センサ344の数はN個である。
【0170】
本実施形態においては、記憶領域I、JはRAM406の領域であったが、記憶領域I、JはCPU402のレジスタの領域であってもよい。
【0171】
[第2実施形態]
図33及び図34を参照して、本発明の第2実施形態であるインク吐出システムを説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0172】
第2実施形態は、揺動部材と、フレームの内部形状と、装着部が第1の姿勢から第2の姿勢へ移動するときの、装着部の水平面に対する角度変化とが第1実施形態と異なる。
【0173】
図33は、第2実施形態のインクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材2090の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。図34は、第2実施形態のインクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、図33と同様のフレーム20及び揺動部材2090の断面図である。第2実施形態のインクカートリッジ10は、揺動部材2090を有し、揺動部材2090は、インク収容室11内に配置されている。
【0174】
揺動部材2090は、インク収容室11に収容されるインクより比重が小さい樹脂材料で形成されている。揺動部材2090は、第1実施形態の揺動部材90と同様な樹脂材料により形成され、光を遮断する。
【0175】
揺動部材2090は、第1部分2092と、第2部分2093とを有する。揺動部材2090には、幅方向12に揺動部材2090を貫通する円筒形状の開口2090Aが形成されている。円筒形状の軸2082が、開口2090Aを通って、一対の側壁21の一方から他方にかけて幅方向12に延びている。揺動部材2090は、軸2082の幅方向12に延びる中心軸を揺動中心としてインク収容室11に対して揺動可能に、軸2082によって支持されている。揺動部材2090は、インク収容室11に収容されたインクの液面Lの位置に応じて、奥行き方向13及び高さ方向14に略平行な面内において、インク収容室11に対して揺動可能である。
【0176】
第1部分2092は、略円板形状の嵩高部2092Aと、嵩高部2092Aから延びる、側面視において略扇形状の接続部2092Bとを有する。第2部分2093は、遮光部2093Aと、遮光部2093Aから延びる接続部2093Bとを有する。遮光部2093Aは、凸部70の内部空間75内に位置する。接続部2092Bと接続部2093Bとは互いにつながっており、接続部2092Bと接続部2093Bの境目に開口2090Aが形成されている。
【0177】
第1部分2092の体積は、第2部分2093の体積より大きい。本実施形態では、揺動部材2090の重心、及び、揺動部材2090がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるときの浮心2091は、第1部分2092の内部に存在する。本実施形態においては、揺動部材2090の密度分布は一様であり、また、インク収容室11内に収容されるインクの密度分布も一様であるので、揺動部材2090がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるときの浮心2091は、揺動部材2090の重心と一致する。しかしながら、浮心2091と揺動部材2090の重心とは必ずしも一致する必要はない。
【0178】
インクカートリッジ10は、装着部300が第1の姿勢にあるとき、上方から下方に向かう装着方向2360に沿って、装着部300に装着される。装着方向2360は、水平面に対して135°傾いた方向である。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、インクカートリッジの奥行き方向13が装着方向2360と平行となる。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、フレーム20の前面22側から装着部300に装着される。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、揺動部材2090の揺動中心は、揺動部材2090がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるときの浮心2091よりも装着方向2360に関して下方に位置する。
【0179】
図33に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着され、装着部300が第1の姿勢にあるとき、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度は135°である。浮心2091は、揺動部材2090の揺動中心から液面Lに対して垂直に下ろした直線上に位置する。装着部300が第1の姿勢にあるとき、揺動部材2090の遮光部2093Aは、光学センサ342の光路342Dに交わっておらず、発光部342Bから光が発せられた場合、その光は、凸部70の一対の側壁72を通って、受光部342Cに達する。すなわち、発光部342Bから光が発せられた場合、受光部342CはON状態と判断される。
【0180】
図34に示すように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とが平行となる。遮光部2093Aは、光路342Dと交わっている。揺動部材90の動きが規制されていなければ、浮心2091は、揺動部材2090の揺動中心から液面Lに対して垂直に下ろした直線上に位置するはずである。しかながら、遮光部2093Aが第1の接触部74Aに接触していて、揺動部材2090の動きが規制されているので、揺動部材2090の揺動中心と浮心2091とを結ぶ線分と、重力方向に平行であって揺動部材2090の揺動中心を通る直線とが、線分から直線へ向かう方向に成す第1の角度が125°となっている。浮心2091とインクの液面Lとの距離は、揺動部材90の揺動中心とインクの液面Lとの距離より大きい。
【0181】
上記の構成を備えたインク吐出システムにおいて、制御部400は、図29の判断処理を行うことにより、インクカートリッジ10が正常か否かを判断できる。
【0182】
本実施形態においては、第1の角度が鈍角であるので、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動するとき、装着部300の水平面に対する角度変化は鈍角である。したがって、装着部300を移動させるための空間が比較的大きくなってしまう。一方、第1実施形態においては、第1の角度は鋭角であるので、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動するときの装着部300の水平面に対する角度変化も鋭角である。したがって、第1実施形態においては、装着部300を移動させるための空間が比較的小さくなり、インクジェットプリンタ100を比較的小型に構成できる。
【0183】
なお、第1実施形態及び第2実施形態において、浮心91、2091が揺動部材90、2090の重心と一致する場合について説明した。浮心91、2091が揺動部材90及び2090の重心と一致しない場合であっても、両者のずれが比較的小さい場合は、制御部400がインクカートリッジ10の状態を判断するためには、おおよそ第1の角度に相当する角度だけ、装着部300の水平面に対する角度が変化しなければならない。したがって、第2実施形態においては、装着部300を移動させるための空間は比較的大きくなり、第1実施形態においては、装着部300を移動させるための空間は比較的小さくなる。
【0184】
[第3実施形態]
図35及び図36を参照して、本発明の第3実施形態のインク吐出システムを説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0185】
第3実施形態は、装着部300が手動で移動するのではなく、モータによって駆動される点、姿勢検知部がリミットスイッチでなく、モータに接続されたエンコーダを有する点、及び、インク供給装置30が装着検知部の一例である光学センサ344を有していない点が第1実施形態と異なる。また、第3実施形態は、制御部400が行う判断処理が第1実施形態と異なる。
【0186】
図35は、第3実施形態のインクジェットプリンタ100の電気的構成の概略を示すブロック図である。図36は、第3実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。インクジェットプリンタ100は、装着部300を駆動するモータ3002と、モータ3002を駆動するためのモータ駆動回路3004とを有している。モータ駆動回路3004は、ASIC410とモータ3002とに電気的に接続されており、ASIC410から信号を受けて、モータ3002を駆動する。インクジェットプリンタ100は、装着部300の移動を検知する移動検知部を備えている。より具体的には、移動検知部は、装着部300の姿勢を検知する姿勢検知部を有している。姿勢検知部は、モータ3002に接続されたエンコーダ3006を有している。エンコーダ3006は、ASIC410に電気的に接続されている。エンコーダ3006は、例えば、アブソリュート型のエンコーダであり、モータ3002の回転角度、すなわち、装着部300の姿勢に応じて異なる信号を出力する。制御部400はエンコーダ3006から入力される信号に基づいてモータ3002の回転角度、すなわち、装着部300がいかなる姿勢にあるかを判断する。インクジェットプリンタ100は不図示の装着完了ボタンを有する。装着完了ボタンは、ASIC410に電気的に接続されている。
【0187】
図36の判断処理は、ユーザーが、装着部300へのインクカートリッジ10の装着を完了し、装着完了ボタンを押すことにより開始される。
【0188】
判断処理が開始されると、制御部400は、S11において、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域Iに記憶する。なお、インクカートリッジ10は、装着部300が第1の姿勢にあるときに、装着部300に装着されるので、S11で記憶される受光部342Cの状態は、装着部300が第1の姿勢にあるときの受光部342Cの状態である。また、制御部400は、エンコーダ3006から入力される信号に基づいて、S11において、装着部300が第1の姿勢にあることが分かる。次に、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bの発光を中止し、S12において、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動するようモータ3002の駆動を開始する。その後、制御部400は、S13において、エンコーダ3006から入力される信号に基づき、装着部300が第2の姿勢に到達したか否かを判断する。制御部400は、装着部300が第2の姿勢に到達していないと判断した場合には、S13を繰り返す。制御部400は、装着部300が第2の姿勢に到達したと判断した場合には、S14において、モータ3002の駆動を停止する。その後、S15において、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域Jに記憶する。その後、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bの発光を中止し、S16において、記憶領域Iに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態とを比較する。制御部400は、S16において、受光部342Cの状態が異なると判断した場合には、S17において、インクカートリッジ10が正常であると判断し、判断処理を終了する。制御部400は、S16において、受光部342Cの状態が同じと判断した場合には、S18において、インクカートリッジ10が異常であると判断し、判断処理を終了する。本実施形態の制御部400及びS16からS18は、本発明の状態判断部の一例である。
【0189】
制御部400は、S11からS15の間、常に発光部342Bを発光させていてもよいが、少なくとも、S11及びS15において、発光部342Bを発光させればよい。
【0190】
本実施形態においては、エンコーダ3006を有する姿勢検知部を有する移動検知部によって装着部300の移動が検知される。制御部400は、装着部300が第1の姿勢にあることが検知されている状態と装着部300が第2の姿勢にあることが検知されている状態とにおける受光部342Cの状態を比較することにより、装着部300の移動が検知されている間に受光部342Cの状態が変化したか否かを、判断できる。この結果、制御部400は、装着部300の移動が検知されている間、受光部342Cの状態を監視する必要がなく、すなわち、受光部342Cの状態を定期的に幾度も判断する必要がなく、装着部300が第1及び第2の姿勢にあるときだけ、受光部342Cの状態を判断すればよい。よって、制御部400の判断処理の負荷が少ない。また、発光部342Bは、少なくとも装着部300が第1の姿勢にあることが検知されている状態と装着部300が第2の姿勢にあることが検知されている状態とにおいて発光すれば良く、装着部300の移動が検知されている間発光し続ける必要がないので、発光に伴う発光部342Bの劣化速度が遅くなり、発光部342Bの寿命が延びる。また、制御部400は、装着部300が静止している状態における受光部342Cの状態を比較するので、装着部300が移動している間に受光部342Cの状態を監視して受光部342Cの状態変化を判断する場合に比べて、より確実にインクカートリッジ10が正常状態であるか異常状態であるかを判断できる。
【0191】
インクカートリッジ10が装着部300に装着されていない状態で、図36の判断処理が行わると、記憶領域I及び記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態は共にON状態であり、制御部400は、インクカートリッジ10が異常であると判断する。すなわち、本実施形態においては、インク供給装置30が装着検知部を有していないので、インクカートリッジ10が装着部300に装着されていない場合と、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を備えていない場合とが区別されず、いずれの場合にも、制御部400は、インクカートリッジ10が異常であると判断する。一方、第1実施形態においては、インク供給装置30が装着検知部の一例である光学センサ344を有しているので、インクカートリッジ10が装着部300に装着されていない場合と、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を備えていない場合とを区別できる。よって、第1実施形態においては、インクカートリッジ10自体の異常状態を正確に判断できる。
【0192】
モータ3002はステッピングモータであってよい。その場合には、姿勢検知部は、エンコーダ3006を有しておらず、ステッピングモータに与えたパルス数により、装着部の姿勢を間接的に検知するものであってよい。
【0193】
[第4実施形態]
図37を参照して、本発明の第4実施形態のインク吐出システムを説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0194】
第4実施形態は、インク供給装置30が装着検知部の一例である光学センサ344を有していない点が第1実施形態と異なる。また、第4実施形態は、制御部400が行う判断処理が第1実施形態と異なる。
【0195】
図37は、第4実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。制御部400は、第1のリミットスイッチ346の状態を監視し、第1のリミットスイッチ346の状態がON状態からOFF状態になったときに、図37の判断処理を開始する。すなわち、図37の判断処理は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことが検知されたときに、開始される。なお、判断処理の途中において、第1のリミットスイッチ346の状態がOFF状態からON状態となった場合には、制御部400は、判断処理を中止する。
【0196】
判断処理が開始されると、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、S21において、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域I及び記憶領域Jに記憶する。次に、S22において、記憶領域Iに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態とを比較する。制御部400は、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが同じであると判断した場合、S23において、第2のリミットスイッチ348がON状態であるかを判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第2の姿勢になったことが検知されたかを判断する。制御部400は、第2のリミットスイッチ348がON状態でないと判断した場合には、S24において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態を記憶領域Jに記憶する。さらに、S25において、受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域Iに記憶する。その後、制御部400はS22に戻る。すなわち、制御部400は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことが検知されてから、S22からS25のループに従って、定期的に受光部342Cの状態を判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことが検知されてから受光部342Cの状態を監視する。制御部400は、S22において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが異なると判断した場合、S26において、インクカートリッジ10が正常であると判断し、判断処理を終了する。制御部400は、S23において、第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断した場合、S27において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。この判断処理の間、制御部400は、全てのステップにおいて光学センサ342の発光部342Bを常に発光させる。本実施形態の制御部400及びS22、S23、S26、及び、S27は本発明の状態判断部の一例である。
【0197】
装着部300に装着されたインクカートリッジ10が新品で、正常であれば、すなわち、揺動部材90を有しており、揺動部材90が正常に揺動すれば、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間に、受光部342Cの状態が変化する。よって、第2のリミットスイッチ348がON状態となる前に、制御部400は、S22において、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とが異なると判断し、インクカートリッジ10が正常であると判断する。装着部300に装着されたインクカートリッジ10が異常である、例えば、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を有していない場合には、装着部300が第1の姿勢から第2の移動しても、受光部342Cの状態は変わらない。すなわち、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とは常に同じになり、制御部400は、インクカートリッジ10が異常であると判断する。
【0198】
本実施形態においては、制御部400は、装着部300が第2の姿勢なったことが検知される前にインクカートリッジが正常状態と判断する。よって、装着部300が第2の姿勢になることを待つことなく、早期に、インクカートリッジ10の正常状態が判断される。
【0199】
第3実施形態と同様に、本実施形態においては、インク供給装置30が装着検知部を有していないので、インクカートリッジ10が装着部300に装着されていない場合と、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を備えていない場合とが区別されず、いずれの場合にも、制御部400は、インクカートリッジ10が異常であると判断する。
【0200】
[第5実施形態]
図38を参照して、本発明の第5実施形態のインク吐出システムを説明する。第4実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第4実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0201】
第5実施形態は、制御部400が行う判断処理が第4実施形態と異なる。
【0202】
図38は、第5実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。図38に示された判断処理は、図37に示された第4実施形態の判断処理と同様であるが、制御部400は、S32において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが異なる場合には、S36において、RAM406の特定の記憶領域にフラグを立て、その後、S33に進む。制御部400は、S33において、第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断した場合には、S37において、特定の記憶領域にフラグが立っている否かを判断する。特定の記憶領域にフラグが立っている場合、制御部400は、S38において、インクカートリッジ10が正常であると判断する。特定の記憶領域にフラグが立っていない場合、制御部400は、S39において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。本実施形態の制御部400及びS32、S33、S36、S37、S38、及び、S39は、本発明の状態判断部の一例である。
【0203】
[第6実施形態]
図39を参照して、本発明の第6実施形態のインク吐出システムを説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0204】
第6実施形態は、インク供給装置30が装着検知部の一例である光学センサ344を有していない点、移動検知部の有する姿勢検知部が第2のリミットスイッチ348を有しておらず、第1のリミットスイッチ346のみを有している点、及び、制御部400が計測部の一例であるタイマを有している点が第1実施形態と異なる。また、第6実施形態は、制御部400が行う判断処理が第1実施形態と異なる。
【0205】
本実施形態において、制御部400は、その内部に、計測部の一例である予め決められた時間を計測するタイマを有している。
【0206】
第1のリミットスイッチ346を有する姿勢検知部を有する移動検知部は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことを検知することをもって、装着部300が移動を開始したことを検知できる。すなわち、装着部300が第1の姿勢でない間が、装着部300の移動が検知されている間となる。
【0207】
図39は、第6実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。制御部400は、第1のリミットスイッチ346の状態を監視し、第1のリミットスイッチ346の状態がON状態からOFF状態になったときに、図39の判断処理を開始する。すなわち、図39の判断処理は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことが検知されたときに、開始される。なお、判断処理の途中において、第1のリミットスイッチ346の状態がOFF状態からON状態となった場合には、制御部400は、判断処理を中止する。
【0208】
判断処理が開始されると、まず、制御部400は、S41において、タイマにより、予め決められた時間の計測を開始する。その後、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、S42において、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域I及び記憶領域Jに記憶する。次に、S43において、記憶領域Iに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態とを比較する。制御部400は、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが同じであると判断した場合、S44において、タイマによる予め決められた時間の計測が完了したかを判断する。制御部400は、タイマによる予め決められた時間の計測が完了していないと判断した場合には、S45において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態を記憶領域Jに記憶する。さらに、S46において、受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域Iに記憶する。その後、制御部400はS43に戻る。すなわち、制御部400は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことが検知されてから、S43からS46のループに従って、定期的に受光部342Cの状態を判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことが検知されてから受光部342Cの状態を監視する。制御部400は、S43において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが異なると判断した場合、S47において、インクカートリッジ10が正常であると判断し、判断処理を終了する。制御部400は、S44において、タイマによる予め決められた時間の計測が完了したと判断した場合、S48において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。この判断処理の間、制御部400は、S42からS46のステップにおいて光学センサ342の発光部342Bを常に発光させる。本実施形態の制御部400及びS41、S43、S44、S47、及び、S48は、本発明の状態判断部の一例である。
【0209】
予め決められた時間は、ユーザーがリンク機構310を操作して、装着部300を第1の姿勢から第2の姿勢に移動させるのに充分な時間が設定されている。したがって、装着部300に装着されたインクカートリッジ10が新品で、正常であれば、すなわち、揺動部材90を有しており、揺動部材90が正常に揺動すれば、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなってから予め決められた時間内に、受光部342Cの状態が変化する。よって、タイマによる予め決められた時間の計測が完了する前に、制御部400は、S43において、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とが異なると判断し、S47において、インクカートリッジ10が正常であると判断する。装着部300に装着されたインクカートリッジ10が異常である、例えば、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を有していない場合には、予め決められた時間が経過しても、受光部342Cの状態は変わらない。すなわち、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とは常に同じになり、制御部400は、S48において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。
【0210】
本実施形態のインクジェットプリンタ100によれば、移動検知部の有する姿勢検知部が第2のリミットスイッチ348を有していなくても、インクカートリッジ10の状態を判断できる。この結果、インクジェットプリンタ100の物理的な部品点数が少なくなる。また、装着部300が故障していて移動できないために、受光部342Cの状態が変化しない場合であっても、予め決められた時間が経過した後に、インクカートリッジ10が異常状態と判断される。よって、装着部300の故障に対処できる。
【0211】
なお、本実施形態においては、装着部300が第2の姿勢にあることが検知されないので、第1の実施形態とは異なり、装着部300の姿勢にかかわらず、記録ヘッド132からインクが吐出されることが許容される。
【0212】
[第7実施形態]
図40を参照して、本発明の第7実施形態のインク吐出システムを説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0213】
第7実施形態は、移動検知部の有する姿勢検知部が第1のリミットスイッチ346を有しておらず、第2のリミットスイッチ348のみを有している点が第1実施形態と異なる。また、第7実施形態は、制御部400が行う判断処理が第1実施形態と異なる。
【0214】
図40は、第7実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。制御部400は、光学センサ344の発光部344Bを発光させ、受光部344Cの状態を監視し、光学センサ344の受光部344Cの状態がON状態からOFF状態になったときに、図40の判断処理を開始する。すなわち、図40の判断処理は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されたときに、開始される。なお、判断処理の途中において、光学センサ344の受光部344Cの状態がOFF状態からON状態となった場合には、制御部400は、例えば、インクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させ、ユーザーにインクカートリッジ10を装着部300に再装着するよう促す。
【0215】
判断処理が開始されると、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、S51において、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域I及び記憶領域Jに記憶する。なお、インクカートリッジ10は、装着部300が第1の姿勢にあるときに、装着部300に装着されるので、S51で記憶される受光部342Cの状態は、装着部300が第1の姿勢にあるときの受光部342Cの状態である。次に、S52において、記憶領域Iに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態とを比較する。制御部400は、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが同じであると判断した場合、S53において、第2のリミットスイッチ348がON状態であるかを判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第2の姿勢になったことが検知されたかを判断する。制御部400は、第2のリミットスイッチ346がON状態でないと判断した場合には、S54において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態を記憶領域Jに記憶する。さらに、S55において、受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域Iに記憶する。その後、制御部400はS52に戻る。すなわち、制御部400は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されてから、S52からS55のループに従って、定期的に受光部342Cの状態を判断する。すなわち、制御部400は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されてから受光部342Cの状態を監視する。制御部400は、S52において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが異なると判断した場合、S56において、インクカートリッジ10が正常であると判断し、判断処理を終了する。制御部400は、S53において、第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断した場合、S57において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。この判断処理の間、制御部400は、全てのステップにおいて光学センサ342の発光部342Bを常に発光させる。本実施形態の制御部400及びS52、S53、S56、及び、S57は、本発明の状態判断部の一例である。
【0216】
装着部300に装着されたインクカートリッジ10が新品で、正常であれば、すなわち、揺動部材90を有しており、揺動部材90が正常に揺動すれば、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間に、受光部342Cの状態が変化する。よって、第2のリミットスイッチ348がON状態となる前に、制御部400は、S52において、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とが異なると判断し、S56において、インクカートリッジ10が正常であると判断する。装着部300に装着されたインクカートリッジ10が異常である、例えば、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を有していない場合には、装着部300が第1の姿勢から第2の移動しても、受光部342Cの状態は変わらない。すなわち、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とは常に同じになり、制御部400は、S57において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。
【0217】
本実施形態においては、制御部400は、装着部300が第2の姿勢なったことが検知される前にインクカートリッジが正常状態と判断する。よって、装着部300が第2の姿勢になることを待つことなく、早期に、インクカートリッジ10の正常状態が判断される。
【0218】
[第8実施形態]
図41を参照して、本発明の第8実施形態を説明する。第7実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第7実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0219】
第8実施形態は、制御部400が行う判断処理が第7実施形態と異なる。
【0220】
図41は、第8実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。図41に示された判断処理は、図40に示された第7実施形態の判断処理と同様であるが、制御部400は、S62において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが異なる場合には、S66において、RAM406の特定の記憶領域にフラグを立て、その後、S63に進む。制御部400は、S63において、第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断した場合には、S67において、特定の記憶領域にフラグが立っている否かを判断する。特定の記憶領域にフラグが立っている場合、制御部400は、S68において、インクカートリッジ10が正常であると判断する。特定の記憶領域にフラグが立っていない場合、S69において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。本実施形態の制御部400及びS62、S63、S66、S67、S68、及び、S69は、本発明の状態判断部の一例である。
【0221】
[第9実施形態]
図42を参照して、本発明の第9実施形態を説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0222】
第9実施形態は、インジェットプリンタ100が移動検知部を有していない点、及び、制御部400が計測部の一例であるタイマを有している点が第1実施形態と異なる。また、第9実施形態は、制御部400が行う判断処理が第1実施形態と異なる。
【0223】
本実施形態において、制御部400は、その内部に、計測部の一例である予め決められた時間を計測するタイマを有している。
【0224】
図42は、第9実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。制御部400は、光センサ344の受光部344Cの状態を監視し、受光部344Cの状態がON状態からOFF状態になったときに、図42の判断処理を開始する。すなわち、図42の判断処理は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されたときに、開始される。なお、判断処理の途中において、光学センサ344の受光部344Cの状態がOFF状態からON状態となった場合には、制御部400は、例えば、インクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させ、ユーザーにインクカートリッジ10を装着部300に再装着するよう促す。
【0225】
判断処理が開始されると、制御部400は、S71において、タイマにより、予め決められた時間の計測を開始する。その後、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、S72において、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域I及び記憶領域Jに記憶する。なお、インクカートリッジ10は、装着部300が第1の姿勢にあるときに、装着部300に装着されるので、S72で記憶される受光部342Cの状態は、装着部300が第1の姿勢にあるときの受光部342Cの状態である。次に、S73において、記憶領域Iに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態とを比較する。制御部400は、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが同じであると判断した場合、S74において、タイマによる予め決められた時間の計測が完了したかを判断する。制御部400は、タイマによる予め決められた時間の計測が完了していないと判断した場合には、S75において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態を記憶領域Jに記憶する。さらに、S76において、受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域Iに記憶する。その後、制御部400はS73に戻る。すなわち、制御部400は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されてから、S73からS76のループに従って、定期的に受光部342Cの状態を判断する。すなわち、制御部400は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されてから受光部342Cの状態を監視する。制御部400は、S73において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが異なると判断した場合、S77において、インクカートリッジ10が正常であると判断し、判断処理を終了する。制御部400は、S74において、タイマによる予め決められた時間の計測が完了したと判断した場合、S78において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。この判断処理の間、制御部400は、S72からS76のステップにおいて光学センサ342の発光部342Bを常に発光させる。本実施形態の制御部400及びS71、S73、S74、S77、及び、S78は、本発明の状態判断部の一例である。
【0226】
予め決められた時間は、ユーザーが装着部300にインクカートリッジ10を装着してから、リンク機構310を操作して、装着部300を第1の姿勢から第2の姿勢に移動させるのに充分な時間が設定されている。したがって、装着部300に装着されたインクカートリッジ10が新品で、正常であれば、すなわち、揺動部材90を有しており、揺動部材90が正常に揺動すれば、装着部300にインクカートリッジ10が装着されてから予め決められた時間内に、装着部300が移動して、受光部342Cの状態が変化する。よって、タイマによる予め決められた時間の計測が完了する前に、制御部400は、S73において、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とが異なると判断し、S77において、インクカートリッジ10が正常であると判断する。装着部300に装着されたインクカートリッジ10が異常である、例えば、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を有していない場合には、予め決められた時間が経過しても、受光部342Cの状態は変わらない。すなわち、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とは常に同じになり、制御部400は、S78において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。
【0227】
本実施形態のインクジェットプリンタ100によれば、移動検知部を有していなくても、インクカートリッジ10の状態を判断できる。よって、インクジェットプリンタ100の物理的な部品点数が少なくなる。また、装着部300が故障していて移動できないために、受光部342Cの状態が変化しない場合であっても、予め決められた時間が経過した後に、インクカートリッジが異常状態と判断される。よって、装着部300の故障に対処できる。
【0228】
なお、本実施形態においては、装着部300が第2の姿勢にあることが検知されないので、第1の実施形態とは異なり、装着部300の姿勢にかかわらず、記録ヘッド132からインクが吐出されることが許容される。
【0229】
[第10実施形態]
図43及び図44を参照して、本発明の第10実施形態であるインク供給システムを説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0230】
第10実施形態は、インクカートリッジ10が揺動部材でなく、浮き部材を有している。また、フレームの内部形状と、装着部が第1の姿勢及び第2の姿勢にあるときの、装着部の水平面に対する角度とが第1実施形態と異なる。
【0231】
図43は、第10実施形態のインクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、可動部材の一例である浮き部材1090の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。図44は、第10実施形態のインクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、図43と同様のフレーム20及び浮き部材1090の断面図である。第10実施形態のインクカートリッジ10は、浮き部材1090を有し、浮き部材1090は、インク収容室11内に配置されている。
【0232】
浮き部材1090は、インク収容室11に収容されるインクより比重が小さい樹脂材料で形成されている。浮き部材1090は、第1実施形態の揺動部材90と同様な樹脂材料により形成され、光を遮断する。
【0233】
浮き部材1090は、略球形の球形部1092と、球形部1092から延びる略直方体形状の遮光部1093とを有する。複数の第1のガイド壁1094が一対の側壁21の一方から他方にかけて幅方向12に延びている。複数の第1のガイド壁1094は、奥行き方向13に所定の間隔を隔てて一列に並んでいる。複数の第2のガイド壁1095が一対の側壁21の一方から他方にかけて幅方向12に延びている。複数の第2のガイド壁1095は、奥行き方向13に所定の間隔を隔てて一列に並んでいる。浮き部材1090は、複数の第1のガイド壁1094の列と複数の第2のガイド壁1095の列との間に配置されており、インク収容室11内のインクの液面の変化に応じて、2つの列の間で移動可能である。
【0234】
インクカートリッジ10は、装着部300が第1の姿勢にあるとき、下方から上方に向かう装着方向1360に沿って、装着部300に装着される。装着方向1360は、水平面に対して−60°傾いた方向である。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、インクカートリッジの奥行き方向13が装着方向1360と平行となる。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、フレーム20の前面22側から装着部300に装着される。
【0235】
図43に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着され、装着部300が第1の姿勢にあるとき、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度は−60°である。インク収容室11内のインクの液面Lは凸部70付近にある。浮き部材1090は、インクの液面Lに浮いており、遮光部1093は、光学センサ342の光路342Dに交わっている。
【0236】
図44に示すように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度は60°である。インク収容室11内のインクの液面Lは、フレーム20の背面23付近にあり、浮き部材1090は、背面23付近でインク中に沈んだ状態でインク中に浮いている。遮光部1093は、光路342Dと交わっていない。
【0237】
上記の構成を備えたインク吐出システムにおいて、制御部400は、図29の判断処理を行うことにより、インクカートリッジ10が正常か否かを判断できる。
【0238】
上記第1実施形態から第10実施形態において、例えば、4つのインクカートリッジ10が装着部300に装着されるが、図29及び図36から図42に示されているインクカートリッジ10が正常か否かの判断処理は、各インクカートリッジ10毎に行われる。
【0239】
上記第1実施形態から第10実施形態において、記憶領域I、JはCPU402のレジスタの領域であってもよい。
【0240】
上記第1実施形態から第10実施形態において、インクカートリッジの外部から揺動部材に接触することなく、揺動部材をインク収容室及び光学センサに対して移動させることができる。よって、インクカートリッジの外部から揺動部材に接触して揺動部材を移動させる場合にくらべ、インク収容室からインクカートリッジの外へ液体が漏れだす可能性が小さい。
【0241】
第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態、第8実施形態、及び、第9実施形態においては、制御部400は、受光部342Cの状態を定期的に判断することにより、受光部342Cの状態が変化したか否かを判断していたが、制御部400による受光部342Cの状態が変化したか否かの判断は、受光部342Cの状態が変化したときに、割り込み処理を行うことによって行われてもよい。
【0242】
上記各実施形態の液体吐出システムは、インクを吐出することにより記録媒体に画像を形成するためのシステムに適用できるだけでなく、プリント配線基板の配線パターンの形成、液晶カラーフィルタの製造など、各種の液体を吐出して対象物に付着させるためのシステムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1】第1実施形態のインク吐出システムの全体的構成を示す概念図である。
【図2】インクカートリッジ10の斜視図であり、図2(A)は、前方から見たインクカートリッジ10の斜視図であり、図2(B)は、後方から見たインクカートリッジ10の斜視図である。
【図3】インク収納容器18の斜視図であり、図3(A)は、前方から見たインク収納容器18の斜視図であり、図3(B)は、後方から見たインク収納容器18の斜視図である。
【図4】フレーム20の斜視図であり、図4(A)は、前方から見たフレーム20の斜視図であり、図4(B)は、後方から見たフレーム20の斜視図である。
【図5】図2に示されているV−V線に従うインクカートリッジ10の断面図である。
【図6】図5において一点鎖線で囲まれた領域VIの拡大図である。
【図7】図5において一点鎖線で囲まれた領域VIIの拡大図である。
【図8】図5において一点鎖線で囲まれた領域VIIIの拡大図である。
【図9】フレーム20の側面図であり、図9(A)は、幅方向12に沿ってフレーム20の一方の面から見たフレーム20の側面図であり、図9(B)は、フレーム20から、インク収容室11を画定する壁を抜き出して示した図である。
【図10】フレーム20の側面図であり、図10(A)は、幅方向12に沿ってフレーム20の他方の面から見たフレーム20の側面図であり、図10(B)は、フレーム20から、インク収容室11を画定する壁を抜き出して示した図である。
【図11】揺動部材90の斜視図であり、図11(A)及び図11(B)は、それぞれ、異なる角度から見た揺動部材90の斜視図である。
【図12】装着部300が第1の姿勢にある状態におけるインク供給装置30の斜視図である。
【図13】装着部300が第2の姿勢にある状態におけるインク供給装置30の斜視図である。
【図14】図12に示されている矢印XIVの方向からみたインク供給装置30の正面図である。
【図15】装着部300が第1の姿勢にある状態において、X方向に沿ってインク供給装置30を支持壁320A側から見たインク供給装置30の側面図である。
【図16】装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間の姿勢にある状態おいて、X方向に沿ってインク供給装置30を支持壁320A側から見たインク供給装置30の側面図である。
【図17】装着部300が第2の姿勢にある状態において、X方向に沿ってインク供給装置30を支持壁320A側から見たインク供給装置30の側面図である。
【図18】図14に示されているXVIII−XVIII線に従う装着部300の断面図である。
【図19】光学センサ342の斜視図である。
【図20】光学センサ344の斜視図である。
【図21】図18に示されている装着部300にインクカートリッジ10が装着された状態における、図14に示されているXVIII−XVIII線に従うインクカートリッジ10及び装着部300の断面図である。
【図22】図21において一点鎖線で囲まれた領域XXIIの拡大図である。
【図23】図21において一点鎖線で囲まれた領域XXIIIの拡大図である。
【図24】インクジェットプリンタ100の電気的構成の概略を示すブロック図である。
【図25】インクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。
【図26】インクカートリッジ10が装着された装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間の姿勢にある状態における、図25と同様のフレーム20及び揺動部材90の断面図である。
【図27】インクカートリッジ10が装着された装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間の姿勢にある状態における、図25と同様のフレーム20及び揺動部材90の断面図である。
【図28】インクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、図25と同様のフレーム20及び揺動部材90の断面図である。
【図29】制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図30】インクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2のV−V線に従う断面図である。
【図31】インクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2のV−V線に従う断面図である。
【図32】インクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2のV−V線に従う断面図である。
【図33】第2実施形態のインクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材2090の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。
【図34】第2実施形態のインクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、図33と同様のフレーム20及び揺動部材2090の断面図である。
【図35】第3実施形態のインクジェットプリンタ100の電気的構成の概略を示すブロック図である。
【図36】第3実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図37】第4実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図38】第5実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図39】第6実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図40】第7実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図41】第8実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図42】第9実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図43】第10実施形態のインクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、浮き部材1090の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。
【図44】第10実施形態のインクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、図43と同様のフレーム20及び浮き部材1090の断面図である。
【符号の説明】
【0244】
1・・・インク吐出システム、10・・・インクカートリッジ、90・・・揺動部材、100・・・インクジェットプリンタ、300・・・装着部、342・・・光学センサ、344・・・光学センサ、346・・・第1のリミットスイッチ、348・・・第2のリミットスイッチ、400・・・制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容室内の液体の液面の位置に応じて液体収容室内で移動可能な可動部材を有する液体カートリッジが取り外し可能に装着される装着部を備えた液体吐出装置及び液体吐出システムに関し、詳細には、液体カートリッジが装着部に装着された際に、液体カートリッジが正常状態か否かを判断する判断部を備えた液体吐出装置及び液体吐出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体吐出装置の一例であるインクジェットプリンタは、インクカートリッジと共に用いられる。インクジェットプリンタはカートリッジ装着部を有し、インクカートリッジはカートリッジ装着部に取り外し可能に装着される。インクジェットプリンタは記録ヘッドを有しており、インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着されると、インクカートリッジから記録ヘッドにインクが供給され得るように、インクカートリッジと記録ヘッドとが連通する。記録ヘッドからインクが吐出されると、それに応じて、インクカートリッジから記録ヘッドにインクが供給される。
【0003】
インクカートリッジ内にインクが収容されていない状態では、インクジェットプリンタは記録ヘッドからインクを吐出できなくなる。インクジェットプリンタが記録ヘッドから正常にインクを吐出できるようにするには、新しいインクカートリッジをカートリッジ装着部に装着した後、記録ヘッドからノズルを介してインクを大量に吸い出す処理、いわゆるパージ処理が必要である。パージ処理は時間がかかる上、大量のインクが無駄に消費されてしまう。したがって、インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態で、インクカートリッジ内のインクの量をインクジェットプリンタが判断し得るように構成された、次のようなインクカートリッジとインクジェットプリンタが知られている。インクカートリッジは、インクカートリッジ内のインクの量に応じて動く可動部材を有し、また、インクジェットプリンタは、所定の位置に可動部材が位置しているか否かを検知する検知部を有している。インクジェットプリンタは、検知部が可動部材を検知したか否かに基づいて、インクカートリッジ内のインクの量が十分か否かを判断する。インクジェットプリンタは、インクカートリッジ内のインクの量が十分でないと判断した場合、記録媒体への画像の記録を中止するか、または、インクカートリッジを新しいものに交換するようユーザーに通知する等の処理を行う。
【0004】
上記のインクカートリッジとインクジェットプリンタの一例が特許文献1に記載されている。インクカートリッジは、ケースと、ケースの内部に形成されたインク収容室とを有しており、インク収容室の内部には、揺動部材が配置されている。揺動部材は、その一端に遮光部材を有し、他端に浮きを有する。浮きの比重はインクの比重より小さい。インク収容室の底部には、支持台が配置されている。揺動部材は、遮光部材と浮きとの間に位置する部分において支持台に支持されている。揺動部材は、支持台に支持された支点を中心に揺動することが可能である。インク収容室の内部には、規制部材が配置されている。揺動部材の揺動は、規制部材によって規制される。すなわち、揺動部材がある方向に回り、揺動部材が規制部材に接触すると、揺動部材はそれ以上その方向へ回ることができない。浮きの比重はインクの比重より小さいため、浮きは、インク収容室に収容されたインクの液面に浮こうとするが、揺動部材の移動が規制部材によって規制されるため、浮きの液面に向かう動きが規制される。したがって、インク収容室に収容されたインクの量が所定の量より多いときは、揺動部材は規制部材に接触した状態で所定の姿勢をとる。このとき、浮きはインク中に沈んだ状態で、インク中に浮いている。インク収容室内のインクが消費されると、インク収容室内のインクの液面が下がる。インクの量が所定の量になると、浮きの一部がインクの液面から露出する。さらにインクが消費され、インクの液面がさらに下がると、それに追従して浮きは下方に移動する。浮きが下方に移動するのに応じて揺動部材は回り、結果として、遮光部材は上方へ移動する。凸部がインクカートリッジのケースの側面に形成されている。凸部を含めたケースは、光が透過可能な材料で形成されている。凸部は内部空間を有する。凸部の内部空間はインク収容室の一部である。遮光部材は凸部の内部空間に位置する。このインクカートリッジと共に用いられるインクジェットプリンタは、発光部と受光部とを有する光学検知部を有している。インクカートリッジがインクジェットプリンタに装着されると、インクカートリッジの凸部は、発光部と受光部との間に位置する。インクカートリッジがインクジェットプリンタに装着されたときに、インク収容室内のインクの量が所定の量より多く、揺動部材が所定の姿勢をとっている場合、遮光部材は発光部と受光部との間に位置する。したがって、インク収容室内のインクの量が所定の量より多い場合、発光部から発せられた光は、遮光部材によって遮光され、受光部に到達しない。一方、インクカートリッジがインクジェットプリンタに装着さたときに、インク収容室内のインクの量が所定の量より少なく、揺動部材が所定の姿勢以外の姿勢をとっている場合、遮光部材は、発光部と受光部との上方に位置する。したがって、インク収容室内のインクの量が所定の量より少ない場合は、発光部から発せられた光は、凸部を通過して、受光部に到達する。インクジェットプリンタは、受光部が受光しているか否かに基づいて、インク収容室に収容されているインクの量が十分か否かを判断する。
【特許文献1】特開2005−125738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の構成を備えたインクカートリッジおよびインクジェットプリンタであっても、インク収容室内のインクの量が所定量より少なくなったにもかかわらず、インクジェットプリンタがその旨判断できず、インク収容室内のインクの量が所定量より多いと判断してしまう場合がある。その原因として、例えば、次のことが挙げられる。インクカートリッジが輸送される際、または、ユーザーがインクカートリッジを取り扱う際に、インクカートリッジに振動が加えられ、インク収容室内にインクの泡が、単数乃至複数、発生する場合がある。揺動部材とインク収容室を画定している壁の表面とに接触する泡が発生した場合、泡の表面張力によって、揺動部材の動きが妨げられる場合がある。すなわち、インク収容室内のインクの量が所定量より少なくなっても、揺動部材が、壁の表面に付着している泡に捕らえられ、移動することができない。このような場合、インク収容室に収容されているインクの量が所定量より少なくなっても、インクジェットプリンタは、インク収容室に収容されているインクの量が所定量より多いと判断してしまう。また、別の原因として、例えば、次のことが挙げられる。インクの化学的な性質が変化するのを防止する等の目的で、インクカートリッジ製造時に、インクが脱気された後にインク収容室に収容され、さらに、そのインクの脱気状態を保つために、インク収容室内が減圧される場合がある。また、インク収容室を画定している対向する一対の壁が可撓性を有するフィルムで形成されている場合がある。インク収容室内が減圧されると、可撓性を有する一対の壁がインク収容室内に向かって凸形状となるように変形し、変形した一対の壁は揺動部材の両側から揺動部材を挟み込む場合がある。インクカートリッジが使用される際に、インク収容室内の圧力が大気圧と同じ圧力に戻されても、一対の壁は元の形状に戻らず、変形したまま揺動部材を挟み続ける場合がある。このよう場合、インク収容室内のインクの量が所定量より少なくなっても、一対の壁に挟まれた揺動部材は移動することができない。さらに、別の原因として、例えば、次のことが挙げられる。インクジェットプリンタと使用されることが本来意図されていない仕様違いのインクカートリッジが、そのインクジェットプリンタに誤って装着される場合がある。仕様違いのインクカートリッジは揺動部材を備えていないかもしれない。インクジェットプリンタは仕様違いのインクカートリッジのインク収容室に収容されたインクの量を判断できない。
【0006】
そこで本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液体カートリッジが装着部に装着された際に、液体カートリッジが正常状態か否かを判断する判断部を備えた液体吐出装置及び液体吐出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、液体吐出装置は、液体収容室と、液体収容室内に配置され、液体収容室に収容される液体より比重が小さい部分を有し、液体収容室内に収容された液体の液面の位置に応じて液体収容室内で移動可能である可動部材とを備えた液体カートリッジが、取り外し可能に装着され、水平面に対する傾きが変化するように移動可能な装着部と、前記装着部に装着されている前記液体カートリッジの前記可動部材の一部の前記液体収容室に対する移動軌跡と交差する方向に光を発する発光部と、その移動軌跡上における前記可動部材の一部の位置に応じて予め決められた2つの状態をとり得る受光部とを有し、前記装着部に固定された光学検知部と、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する状態判断部とを備える。
【0008】
液体収容室に収容されている液体の液面は常に水平面と平行であるので、装着部が移動するのに伴い液体収容室および光学検知部の水平面に対する傾きが変化すると、液体収容室および光学検知部に対する液面の位置が変化する。可動部材は、液面の位置に応じて液体収容室内で移動するので、装着部が移動すると、可動部材の一部が液体収容室に対して移動軌跡上を移動する。受光部の状態は、移動軌跡上における可動部材の一部の位置に応じて変化するので、結局、装着部が移動することにより受光部の状態が変化する。受光部の状態が変化すれば、状態判断部は、液体カートリッジが正常状態である、すなわち、可動部材が正常に動作していると判断する。仮に、可動部材の動きが阻害されている、もしくは、液体カートリッジが可動部材を備えていない場合には、装着部が移動したときに受光部の状態が変化しない。よって、状態判断部は、液体カートリッジが異常状態であると判断する。この結果、液体吐出装置は、液体カートリッジが装着部に装着される早期の段階で、液体カートリッジの正常状態もしくは異常状態を判断することができる。よって、異常状態の液体カートリッジが装着されたことに対する対処が可能となる。
【0009】
液体吐出装置は、例えば、インクを吐出することにより記録媒体に画像を形成するインクジェットプリンタであってよいし、プリント配線基板の配線パターンの形成、液晶カラーフィルタの製造などに用いられる、各種の液体を吐出して対象物に付着させるための装置であってよい。
【0010】
装着部は、手動にて移動させられてもよいし、液体吐出装置に備えられている駆動部によって駆動されて、移動するものであってよい。例えば、装着部はモータによって駆動されて移動するものであってよい。
【0011】
受光部の予め決められた2つの状態とは、例えば、発光部から発せられた光を所定の強度以上で受けている状態と、発光部から発せられた光を所定の強度未満で受けている状態との2つの状態である。発光部から発せられた光を所定の強度未満で受けている状態は、発光部から発せられた光を全く受けていない状態、すなわち、受光部が受けている光の強度がゼロの状態をも含む。
【0012】
可動部材の一部は、発光部から発せられた光を遮断するものであってもよいし、発光部から発せられた光の光路を変更するものであってもよい。
【0013】
状態判断部が受光部の状態変化を判断するタイミングは特に限定されない。例えば、状態判断部は、液体吐出装置に電源が供給されてから受光部の状態変化を判断するように構成されていてもよいし、液体カートリッジが装着部に装着されてから受光部の状態変化を判断するように構成されていてもよい。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記液体吐出装置は、前記装着部の移動を検知する移動検知部を備え、前記状態判断部は、前記装着部の移動が検知されている間に前記受光部の状態が変化したと、判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記装着部の移動が検知されている間に前記受光部の状態が変化しなかったと、判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する。
【0015】
この結果、状態判断部は、装着部が移動することに伴う受光部の状態変化を確実に判断できる。例えば、液体吐出装置に不用意に振動が加えられると、可動部材が移動して、受光部の状態が変化する可能性があるが、このような場合、状態判断部は液体カートリッジの状態を判断しない。よって、状態判断部の誤判断を抑制できる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、前記装着部は、水平面に対する傾きが互いに異なる少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢とに移動可能であり、前記移動検知部は、前記装着部が前記第1の姿勢もしくは前記第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有し、前記状態判断部は、前記装着部が前記第1の姿勢にあることが検知されている第1の検知状態における前記受光部の状態と、前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されている第2の検知状態における前記受光部の状態とを比較し、前記第1の検知状態と前記第2の検知状態とで前記受光部の状態が異なると判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が同じと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する。
【0017】
移動検知部が、装着部が第1の姿勢もしくは第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有しているので、移動検知部は、装着部が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことを検知することをもって、装着部が移動を開始したことを検知できる。さらに、移動検知部は、第1の姿勢にあった装着部が第2の姿勢になったことを検知することをもって、装着部が第1の姿勢から第2の姿勢に移動したことを検知できる。したがって、装着部が第1の姿勢でなくなってから第2の姿勢になるまでが、装着部の移動が検知されている間である。状態判断部は、第1の検知状態と第2の検知状態とにおける受光部の状態を比較することにより、装着部の移動が検知されている間に受光部の状態が変化したか否かを、判断できる。この結果、状態判断部は、装着部の移動が検知されている間、受光部の状態を監視する必要がなく、すなわち、受光部の状態を定期的に幾度も判断する必要がなく、装着部が第1及び第2の姿勢にあるときだけ、受光部の状態を判断すればよくなる。よって、状態判断部の判断処理の負荷が少ない。また、発光部は、少なくとも第1の検知状態と第2の検知状態とにおいて発光すれば良く、装着部の移動が検知されている間発光し続ける必要がないので、発光に伴う発光部の劣化速度が遅くなり、発光部の寿命が延びる。また、状態判断部は、第1の検知状態と第2の検知状態という装着部が静止している状態における受光部の状態を比較するので、装着部が移動している間に受光部の状態を監視して受光部の状態変化を判断する場合に比べて、より確実にカートリッジが正常状態であるか異常状態であるかを判断できる。
【0018】
装着部は、手動にて第1の姿勢と第2の姿勢との間で移動させられてもよいし、液体吐出装置に備えられている駆動部によって駆動されて、第1の姿勢と第2の姿勢との間で移動させられてもよい。例えば、装着部は、モータによって駆動されて移動するものであってよい。
【0019】
第1の姿勢と第2の姿勢とが、共に水平面に対して傾いている姿勢であってもよいし、第1の姿勢と第2の姿勢のいずれか一方のみが水平面に対して傾いている姿勢であってよい。
【0020】
第1または第2の姿勢のいずれの姿勢であっても、装着部は液体カートリッジの装着が可能に構成されていてよい。
【0021】
姿勢検知部は、装着部が第1の姿勢であることを検知する検知部と、装着部が第2の姿勢であることを検知する検知部とを別々に有していてもよい。例えば、姿勢検知部は、装着部が第1の姿勢のときに装着部に接触する第1のリミットスイッチと、装着部が第2の姿勢のときに装着部に接触する第2のリミットスイッチとを有していてよい。また、姿勢検知部は、装着部が第1の姿勢であることと装着部が第2の姿勢であることとを検知する一つの検知部を有していてもよい。例えば、装着部がモータで駆動される場合において、姿勢検知部は、モータに取り付けられたエンコーダによりモータの回転角度を検知することにより、装着部の姿勢を間接的に検知するものであってよい。また、例えば、装着部がステッピングモータで駆動される場合において、姿勢検知部は、ステッピングモータに与えたパルス数により、装着部の姿勢を間接的に検知するものであってもよい。
【0022】
請求項4に記載の発明よれば、前記液体吐出装置は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることを検知する装着検知部を備えており、前記第1の検知状態は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることが検知されているとともに前記装着部が前記第1の姿勢にあることが検知されている状態であり、前記第2の検知状態は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることが検知されているとともに前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されている状態である。
【0023】
この結果、次のような効果を奏する。液体吐出装置が装着検知部を備えていない構成においては、液体カートリッジが装着部に装着されていない場合と、可動部材の動きが阻害されている、もしくは、液体カートリッジが可動部材を備えていない場合とは区別されず、いずれの場合にも状態判断部は、液体カートリッジが異常状態であると判断する。これに対し、本発明の液体吐出装置は装着検知部を備えているので、液体カートリッジが装着部に装着されていない場合と、可動部材の動きが阻害されている、もしくは、液体カートリッジが可動部材を備えていない場合とが区別できる。よって、液体カートリッジ自体の異常状態を正確に判断することが可能となる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、前記装着部は、水平面に対する傾きが互いに異なる少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢とに移動可能であり、前記移動検知部は、前記装着部が前記第1の姿勢もしくは前記第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有し、前記状態判断部は、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから前記第2の姿勢になったことが検知されるまでの間に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する。
【0025】
この結果、液体吐出装置は、液体カートリッジが装着部に装着される早期の段階で、液体カートリッジの正常状態もしくは異常状態を判断することができる。よって、異常状態の液体カートリッジが装着されたことに対する対処が可能となる。
【0026】
なお、装着部の移動が検知されている間に前記受光部の状態が変化したか否かの判断は、装着部が第2の姿勢になったことが検知された後に行われてもよいし、装着部が第2の姿勢なったことが検知される前に行われてもよい。同様に、液体カートリッジが正常状態であるとの判断は、装着部が第2の姿勢になったことが検知された後に行われてもよいし、装着部が第2の姿勢なったことが検知される前に行われてもよい。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、前記状態判断部は、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記装着部が前記第2の姿勢になったことが検知される前に前記液体カートリッジが正常状態と判断する。
【0028】
この結果、装着部が第2の姿勢になることを待つことなく、早期に、液体カートリッジの正常状態が判断される。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、前記液体吐出装置は、時間を計測する計測部を備えており、前記装着部は、水平面に対する傾きが互いに異なる少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢とに移動可能であり、前記移動検知部は、前記装着部が前記第1の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有し、前記計測部は、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから予め決められた時間を計測し、前記状態判断部は、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記計測された予め決められた時間内に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する。
【0030】
移動検知部が、装着部が第1の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有しているので、移動検知部は、装着部が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことを検知することをもって、装着部が移動を開始したことを検知できる。したがって、装着部が第1の姿勢でない間が、装着部の移動が検知されている間である。計測部は、装着部が移動を開始したことが検知されてから予め決められた時間を計測する。状態判断部は、装着部が移動を開始したことが検知されてから受光部の状態を監視し、予め決められた時間内に受光部の状態が変化したか否かを、判断する。この結果、液体吐出装置が、装着部が第2の姿勢にあることを検知する検知部を備えてなくとも、状態判断部は液体カートリッジの状態を判断できる。液体吐出装置が、装着部が第2の姿勢にあることを検知する検知部を備えている構成においては、その検知部は、例えば、装着部に接触することによってその姿勢を検知する機械的なスイッチや装着部に光を照射することによってその姿勢を検知する光学的なスイッチ等の物理的な部品で実現される。これに対し、本発明の液体吐出装置は、装着部が第2の姿勢にあることを検知する検知部を備えている必要がないので、物理的な部品点数が少なくなる。また、装着部が故障して移動できないために、受光部の状態が変化しない場合でも、予め決められた時間が経過した後に、液体カートリッジが異常状態と判断される。よって、装着部の故障に対処できる。
【0031】
請求項8に記載の発明によれば、前記液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出部と、前記液体吐出部を制御する吐出制御部と、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたときに、前記液体収容室と前記液体吐出部とを連通させる接続部とを備え、前記液体カートリッジは、前記装着部が前記第1の姿勢にあるときに、前記装着部に装着可能であり、前記吐出制御部は、前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されているときに、前記液体吐出部が液体を吐出することを許容する。
【0032】
液体カートリッジが装着部に装着されるときの装着部の姿勢である第1の姿勢と、液体吐出部から液体が吐出されるときの装着部の姿勢である第2の姿勢とが異なる。この結果、第1の姿勢を、ユーザーが液体カートリッジを装着部に装着し易い姿勢に設定することができる。その一方で、第2の姿勢を、液体吐出部が液体を吐出するのに好ましい姿勢に設定することができる。例えば、液体吐出部が複数のノズルを有し、そのノズルからインクを吐出する構成を有している場合、第2の姿勢を、液体カートリッジの位置がノズルよりも低い位置になるように設定することにより、ノズル内の液体に適当な負圧をかけることが可能になる。よって、液体吐出部は、安定して液体を吐出できる。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、前記装着部は、少なくとも、前記液体カートリッジが取り外し可能に装着される第1の姿勢と、水平面に対する傾きが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに移動可能であり、前記液体吐出装置は、前記装着部が前記第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部と、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることを検知する装着検知部とを備え、前記状態判断部は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから前記装着部が前記第2の姿勢になったことが検知されるまでの間に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する。
【0034】
この結果、液体吐出装置は、液体カートリッジが装着部に装着される早期の段階で、液体カートリッジの正常状態もしくは異常状態を判断することができる。よって、異常状態の液体カートリッジが装着されたことに対する対処が可能となる。
【0035】
なお、液体カートリッジが装着部に装着されたことが検知されてから装着部が第2の姿勢になったことが検知されるまでの間に前記受光部の状態が変化したか否かの判断は、装着部が第2の姿勢になったことが検知された後に行われてもよいし、装着部が第2の姿勢なったことが検知される前に行われてもよい。同様に、液体カートリッジが正常状態であるとの判断は、装着部が第2の姿勢になったことが検知された後に行われてもよいし、装着部が第2の姿勢なったことが検知される前に行われてもよい。
【0036】
請求項10に記載の発明によれば、前記状態判断部は、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記装着部が前記第2の姿勢になったことが検知される前に前記液体カートリッジが正常状態と判断する。
【0037】
この結果、装着部が第2の姿勢になることを待つことなく、早期に、液体カートリッジの正常状態が判断される。
【0038】
請求項11に記載の発明によれば、前記液体吐出装置は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることを検知する装着検知部と、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから予め決められた時間を計測する計測部とを備えており、前記装着部は、少なくとも、前記液体カートリッジが取り外し可能に装着される第1の姿勢と、水平面に対する傾きが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに移動可能であり、前記状態判断部は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記計測された予め決められた時間内に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する。
【0039】
この結果、液体吐出装置が、装着部の姿勢を検知する検知部を備えてなくとも、状態判断部は液体カートリッジの状態を判断できる。液体吐出装置が装着部の姿勢を検知する検知部を備えている構成においては、その検知部は、例えば、装着部に接触することによってその姿勢を検知する機械的なスイッチや装着部に光を照射することによってその姿勢を検知する光学的なスイッチ等の物理的な部品で実現される。これに対し、本発明の液体吐出装置は、装着部の姿勢を検知する検知部を備えている必要がないので、物理的な部品点数が少なくなる。また、装着部が故障して移動できないために、受光部の状態が変化しない場合でも、予め決められた時間が経過した後に、液体カートリッジが異常状態と判断される。よって、装着部の故障に対処できる。
【0040】
請求項12に記載の発明によれば、液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出部と、前記液体吐出部を制御する吐出制御部と、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたときに、前記液体収容室と前記液体吐出部とを連通させる接続部とを備え、前記吐出制御部は、前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されているときに、前記液体吐出部が液体を吐出することを許容する。
【0041】
液体カートリッジが装着部に装着されるときの装着部の姿勢である第1の姿勢と、液体吐出部から液体が吐出されるときの装着部の姿勢である第2の姿勢とが異なる。この結果、第1の姿勢を、ユーザーが液体カートリッジを装着部に装着し易い姿勢に設定することができる。その一方で、第2の姿勢を、液体吐出部が液体を吐出するのに最適な姿勢に設定することができる。例えば、液体吐出部が複数のノズルを有し、そのノズルからインクを吐出する構成を有している場合、第2の姿勢を、液体カートリッジの位置がノズルよりも低い位置になるように設定することにより、ノズル内の液体に適当な負圧をかけることが可能になる。よって、液体吐出部は、安定して液体を吐出できる。
【0042】
請求項13に記載の発明によれば、液体吐出システムは、液体収容室と、液体収容室内に配置され、液体収容室に収容される液体より比重が小さい部分を有し、液体収容室内に収容された液体の液面の位置に応じて液体収容室内で揺動可能である揺動部材と、前記揺動部材が所定の方向に移動したときに前記揺動部材と接触し得る位置に配置されている接触部とを備えた液体カートリッジと、少なくとも、前記液体カートリッジが、上方から下方に向かう装着方向に沿って、取り外し可能に装着される第1の姿勢と、水平面に対する傾きが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに移動可能な装着部と、前記装着部に装着されている前記液体カートリッジの前記揺動部材の一部の前記液体収容室に対する移動軌跡と交差する方向に光を発する発光部と、その移動軌跡上における前記揺動部材の一部の位置に応じて予め決められた2つの状態をとり得る受光部とを有し、前記装着部に固定された光学検知部と、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する状態判断部とを備えている。前記液体カートリッジが前記装着部に装着されているときであって、前記装着部が前記第2の姿勢にあるとともに、前記揺動部材が前記液体収容室に収容されている液体中に沈んでいるときに、前記揺動部材は前記接触部に接触しており、前記揺動部材の浮心と前記液体収容室に収容されている液体の液面との距離は、前記揺動部材の揺動中心と前記液体収容室に収容されている液体の液面との距離よりも小さい。前記液体カートリッジが前記装着部に装着されるときに、前記揺動中心は、前記装着方向に関して、前記揺動部材の前記浮心よりも下方に位置する。
【0043】
液体収容室に収容されている液体の液面は常に水平面と平行であるので、装着部が移動するのに伴い液体収容室および光学検知部の水平面に対する傾きが変化すると、液体収容室および光学検知部に対する液面の位置が変化する。揺動部材は、液面の位置に応じて液体収容室内で揺動するので、装着部が移動すると、揺動部材の一部が液体収容室に対して移動軌跡上を移動する。受光部の状態は、移動軌跡上における揺動部材の一部の位置に応じて変化するので、結局、装着部が移動すると受光部の状態が変化する。受光部の状態が変化すれば、状態判断部は、液体カートリッジが正常状態である、すなわち、揺動部材が正常に動作していると判断する。仮に、揺動部材の動きが阻害されている、もしくは、液体カートリッジが揺動部材を備えていない場合には、装着部が移動したときに受光部の状態が変化しない。よって、状態判断部は、液体カートリッジが異常状態であると判断する。この結果、状態判断部は、液体カートリッジが装着部に装着された際に、液体カートリッジの正常状態もしくは異常状態を早期に判断することができる。よって、異常状態の液体カートリッジが装着されたことに対する対処が可能となる。
【0044】
液体カートリッジは上方から下方に向かう装着方向に沿って、装着部に装着される。この結果、重力により液体カートリッジは上方から下方に引っ張られるので、液体カートリッジが装着部に確実に装着されるようになる。
【0045】
また、装着部を移動させるための空間が比較的小さくてよく、液体吐出システムを比較的小型に構成できるという効果を奏する。すなわち、本発明の構成とは異なり、
装着部が第2の姿勢にあるとともに、揺動部材が液体中に沈んでいるときに、揺動部材が接触部に接触しており、揺動部材の浮心と液面との距離が、揺動部材の揺動中心と液面との距離よりも大きく、且つ、液体カートリッジが装着部に装着されるときに、揺動中心が、装着方向に関して、揺動部材の前記浮心よりも下方に位置するように揺動部材および接触部が構成されている場合には、装着部を移動させるための空間が比較的大きくなってしまう。なぜなら、装着部が第2の姿勢にあるとともに、揺動部材が液体中に沈んでいるときに、揺動中心と揺動部材の浮心とを結ぶ線分と、重力方向に平行であって揺動中心を通る直線とが、線分から直線へ所定の方向へ向かう方向に成す第1の角度が鈍角となるからである。装着部が第1の姿勢から第2の姿勢に移動するときに、装着部の水平面に対する角度が変化するが、液面の位置の変化に応じて揺動部材が液体収容室に対して移動するためには、装着部は、揺動部材の前記浮心と重心とのずれが比較的小さい場合、おおよそ第1の角度に相当する角度だけ水平面に対する角度が変化するように移動しなければならない。第1の角度が鈍角の場合には、装着部の水平面に対する角度変化も鈍角であるので、装着部を移動させるための空間が比較的大きくなり、液体吐出システムが比較的大型化してしまうのである。これに対し、本発明の液体吐出システムでは、第1の角度は鋭角となるので、装着部を移動させるための空間が比較的小さくてよく、液体吐出システムを比較的小型に構成できる。
【0046】
液体吐出システムは、例えば、インクを吐出することにより記録媒体に画像を形成するインク吐出システムであってよいし、プリント配線基板の配線パターンの形成、液晶カラーフィルタの製造などに用いられる、各種の液体を吐出して対象物に付着させるためのシステムであってよい。
【0047】
液体カートリッジは、重力方向に沿って上方から下方に向かって装着部に装着されてもよいし、重力方向と交わる方向に上方から下方に向かって装着部に装着されてもよい。
【0048】
請求項14に記載の発明によれば、請求項13に記載の液体吐出システムにおいて、前記揺動部材の前記浮心と前記揺動部材の重心とが一致している。
【0049】
揺動部材の前記浮心と揺動部材の重心とが一致していると、装着部の水平面に対する角度変化が第1の角度より大きい角度になるように装着部を移動させれば、液面の位置の変化に応じて揺動部材を液体収容室に対して移動させることができる。この結果、第1の角度を決めることによって、液体カートリッジの状態を判断するのに必要な装着部の水平面に対する角度変化を容易に決定することができる。
【発明の効果】
【0050】
液体カートリッジが装着部に装着される早期の段階で、液体カートリッジの正常状態もしくは異常状態を判断することができる。よって、異常状態の液体カートリッジが装着されたことに対する対処が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明をインクジェットプリンタ及びインクカートリッジからなるインク吐出システムに適用した実施形態を、図面を参照して説明する。
【0052】
[第1実施形態]
図1〜図32を参照して、本発明の第1実施形態であるインク吐出システムを説明する。
【0053】
<全体的構成>
図1は、本発明の液体吐出システムの一例であるインク吐出システム1の全体的構成を示す概念図である。図1において、インク吐出システム1は、液体吐出装置の一例であるインクジェットプリンタ100と、液体カートリッジの一例である少なくとも1つのインクカートリッジ10とを備える。インクジェットプリンタ100は、少なくとも1色のインク、例えば、ブラックインク、イエローインク、シアンインク、および、マゼンタインクの4色のインクを用いて、記録媒体、例えば、記録用紙に、画像を記録するように構成されている。インクジェットプリンタ100は、給紙装置110、搬送装置120、及び、記録装置130を備えている。インクジェットプリンタ100は、また、第1のトレイ140と、第2のトレイ141とを備えている。搬送経路142が第1のトレイ140から第2のトレイ141に至るように形成されている。給紙装置110は、第1のトレイ140に収納されている複数の記録用紙を一枚ずつ搬送経路142に給紙するように構成されている。
【0054】
搬送装置120は、第1の搬送ローラー対121と第2の搬送ローラー対122とを有する。第1の搬送ローラー対121と第2の搬送ローラー対122とは搬送経路142に沿って配置されており、記録用紙が搬送される方向に対して、第1の搬送ローラー対121は記録装置130の上流側に配置されており、第2の搬送ローラー対122は記録装置130の下流側に配置されている。
【0055】
インクジェットプリンタ100は、プラテン145を備える。プラテン145は記録装置130の真下に配置されている。給紙装置110によって給紙された記録用紙は、第1の搬送ローラー対121によってプラテン145上に搬送される。記録装置130は、プラテン145上で搬送されている記録用紙に画像を記録する。プラテン145上を通過した記録用紙は、搬送経路142の最も下流に配置されている第2のトレイ141に収納されるように、第2の搬送ローラー対122により搬送される。
【0056】
記録装置130は、キャリッジ131と、キャリッジ131上に配置された、液体吐出部の一例である記録ヘッド132とを有する。記録装置130は、キャリッジ131上に配置された、吐出制御部の一例であるヘッド制御基板133を有する。複数のノズル134が記録ヘッド132に形成されている。記録ヘッド132は少なくとも1つのサブタンク135、例えば、4つのサブタンク135を有する。キャリッジ131は図示しない複数のレールによって支持されており、図1の紙面に垂直な方向に、レール上を滑りながら往復運動するように構成されている。サブタンク135は、各々、ノズル134に供給されるインクを収容するように構成されている。例えば、各サブタンク135は互いに異なる色のインクを収容する。ヘッド制御基板133に信号が入力されると、ヘッド制御基板133は入力された信号に基づいて記録ヘッド132を制御し、ノズル134からインクを吐出させる。
【0057】
記録ヘッド132は、各ノズル134に対応して、ピエゾ素子を有するアクチュエータを有している。ヘッド制御基板133により、ピエゾ素子に所定の電圧が加えられると、ピエゾ素子が変形する。ピエゾ素子の変形によりノズル134中のインクがノズル134から押し出され、ノズル134からインクが吐出される。
【0058】
インクジェットプリンタ100は、インク供給装置30を備えている。インク供給装置30は、装着部300を有する。少なくとも一つのインクカートリッジ10が装着部300に取り外し可能に装着される。例えば、ブラックインク、イエローインク、シアンインク、および、マゼンタインクをそれぞれ収容する4つのインクカートリッジ10が、1つの装着部300に個別独立に取り外し可能に装着される。インク供給装置30は、少なくとも1つの接続部、例えば、少なくとも1つの可撓性を有するチューブ350を有している。インク供給装置30は、例えば4つのチューブ350を有しており、チューブ350の一端は装着部300内に挿入されており、チューブの他端はサブタンク135に設けられているチューブ継手に嵌めこまれて取り付けられている。インクカートリッジ10は、液体収容室の一例であるインク収容室11を有している。インクカートリッジ10が装着部300に装着されると、チューブ350を介してインク収容室11とサブタンク135とが連通する。記録ヘッド132からインクが吐出されると、それに応じて、インク収容室11からサブタンク135にインクが供給される。なお、インクカートリッジ10が装着部300に装着されたときの、インク収容室11、装着部300、及び、チューブ350の相互の関係については、後に詳述する。
【0059】
<インクカートリッジの構成>
図2(A)から図11(B)を参照して、インクカートリッジ10の構成について説明する。
【0060】
図2(A)は、インクカートリッジ10の前方から見たインクカートリッジ10の斜視図であり、図2(B)は、インクカートリッジ10の後方から見たインクカートリッジ10の斜視図である。ここで、「前方」および「後方」とは、インクカートリッジ10が装着部300に装着されるときの装着方向に関する「前方」および「後方」を意味する。図2(A)及び図2(B)に示されているように、インクカートリッジ10は、幅方向12に幅を有し、奥行き方向13に奥行きを有し、高さ方向14に高さを有する、略直方体形状を有する。インクカートリッジ10の幅は、インクカートリッジ10の奥行き及び高さに比べて短い。インクカートリッジ10は、インクカートリッジの外観の大部分を形成する、第1のカバー15と第2のカバー16とを有する。第1のカバー15及び第2のカバー16については、後に詳述する。
【0061】
図3(A)及び図3(B)は、図2に示されたインクカートリッジ10から第1のカバー15と第2のカバー16とが取り除かれたインク収納容器18の斜視図である。図3(A)は、インク収納容器18の前方から見たインク収納容器18の斜視図であり、図3(B)は、インク収納容器18の後方から見たインク収納容器18の斜視図である。図3(A)及び図3(B)に示されているように、インク収納容器18は、フレーム20と、一対の側壁21とを有する。フレーム20は、幅方向12に幅を有し、奥行き方向13に奥行きを有し、高さ方向14に高さを有する、略直方体形状を有する。フレーム20の外表面は、前面22と、奥行き方向13において前面22の反対側に位置する背面23と、上面24と、高さ方向14において上面24の反対側に位置する下面25とを有する。上面24は、前面22と背面23とにつながっている。同様に、下面25は、前面22と背面23とにつながっている。
【0062】
フレーム20は、透明もしくは半透明であり、光透過性を有している。例えば、可視光や赤外光がフレーム20を通過することができる。フレーム20は、例えば、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成されている。
【0063】
一対の側壁21は、それぞれ、フレーム20の幅方向12の両端部に接続されている。例えば、一対の側壁21は、それぞれ、フレーム20の幅方向12の両端部に溶着されている、もしくは、接着剤により接着されている。
【0064】
図4(A)及び図4(B)は、図3に示されたインク収納容器18から一対の側壁21が取り除かれたフレーム20の斜視図である。図4(A)は、フレーム20の前方から見たフレーム20の斜視図であり、図4(B)は、フレーム20の後方から見たフレーム20の斜視図である。図4(A)及び図4(B)に示されているように、フレーム20の内部には、インク収容室11が形成されている。一対の側壁21がフレーム20の幅方向12の両端部に接続されることにより、フレーム20と一対の側壁21とにより、インク収容室11が画定される。インク収容室11をより具体的に説明するために、図9(A)から図10(B)を参照されたい。図9(A)及び図10(A)は、それぞれ、幅方向12に沿ってフレーム20の一方の面及び他方の面から見たフレーム20の側面図であり、図9(B)及び図10(B)は、それぞれ、図9(A)及び図10(A)に示されているフレーム20から、インク収容室11を画定する壁を抜き出して示した図である。インク収容室11は、図9(B)及び図10(B)に示されたフレーム20の壁と、一対の側壁21とによって画定されている。
【0065】
図3(A)及び図3(B)に示されている一対の側壁21は、例えば、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成されている。一対の側壁21がフレーム20の幅方向12の両端部に溶着される場合には、フレーム20の材質と一対の側壁21の材質とが同じであることが好ましい。一対の側壁21は、可撓性を有するフィルムであってもよい。すなわち、一対の側壁21は、力が一対の側壁21に加わった場合、一対の側壁21がインク収容室11に向かって撓む程度の厚みを有していてよい。例えば、一対の側壁21は、インク収容室11の内部が大気圧に対して減圧された場合、インク収容室11の内部の圧力とインク収容室11の外の大気圧との圧力差によって一対の側壁21がインク収容室11に向かって撓む程度の厚みを有していてよい。
【0066】
図5は、図2に示されているV−V線に従うインクカートリッジ10の断面図である。具体的には、幅方向12におけるインクカートリッジ10の中心を通り、奥行き方向13及び高さ方向14に平行な面におけるインクカートリッジ10の断面図である。図3(B)、図4(B)、及び、図5に示されているように、フレーム20は、円筒形状のインク注入室40を有する。インク注入室40は、背面23から前面22に向かって奥行き方向13に延びている。インク注入室40はインク収容室11と連通しており、インクカートリッジ10の製造時には、インク注入室40を介してインク収容室11にインクが注入される。インク収容室11にインクが注入された後は、インク注入室40に円筒形状のゴム栓42が圧入される。このゴム栓42により、インク注入室40を介してのインク収容室11とインク収納容器18の外との間の連通が遮断されている。
【0067】
図3(A)から図5に示されているように、フレーム20は、上面24に位置する突起24Aを有する。突起24Aは、上面24から、高さ方向14であって、インク収容室11から離れる方向に延びている。
【0068】
図3(A)から図5に示されているように、インク収納容器18は、フレーム20の前面22に位置する、インク供給部50と大気導入部60とを有する。インク供給部50は、フレーム20の下面25に近い位置に位置しており、大気導入部60はフレーム20の上面24に近い位置に位置している。
【0069】
図7は、インク供給部50の構成を説明するための、図5において一点鎖線で囲まれた領域VIIの拡大図である。図7に示されているように、インク供給部50は、円筒形状のインク供給室51と、樹脂製の弁体52と、ゴム製のシール部材53と、金属製のコイルスプリング54と、樹脂及びゴム製の逆止弁55と、樹脂製のキャップ56とを有する。
【0070】
インク供給室51は、フレーム20の前面22からインク収容室11に向かって奥行き方向13に延びており、インク供給室51は、第1端51Aと、奥行き方向13において第1端51Aの反対側に位置する第2端51Bとを有する。第1端51Aは、第2端51Bよりもインク収容室11に近い。インク供給室51は、第1端51Aにおいて、インク収容室11と連通している。
【0071】
逆止弁55は、インク供給室51の第1端51Aに配置されている。逆止弁55は、インク収容室11からインク供給室51に向かうインクの流れは許容するが、インク供給室51からインク収容室11に向かうインクの流れは防止するように構成されている。
【0072】
インク供給室51の第2端51Bはフレーム20の外に開口しており、インク供給室51の第2端51Bには、シール部材53が配置されている。シール部材53には、奥行き方向13にシール部材53を貫通する円筒形状の開口53Aが形成されている。
【0073】
キャップ56は、フレーム20に嵌めこまれて取り付けられている。キャップ56には、奥行き方向13にキャップ56を貫通する円筒形状の開口56Aが形成されている。シール部材53は、弾性変形した状態で、インク供給室51の第2端51Bを画定しているフレーム20の一部とキャップ56とに挟まれている。この結果、インク供給室51の第2端51Bを画定しているフレーム20の一部とシール部材53との間を介してのインク供給室51とインク収納容器18の外との間の連通が遮断されている。
【0074】
弁体52とコイルスプリング54は、インク供給室51内に配置されている。インク供給室51の第1端51Aから第2端51Bに向かって延びる円筒形状の突起を有する突出部材57が、インク供給室51の第1端51Aに配置されている。突出部材57は、インク供給室51内に嵌め込まれて取り付けられている。突出部材57の突起がコイルスプリング54の一端に挿入されることにより、コイルスプリング54が突出部材57に取り付けられている。弁体52は円筒形状の突起を有しており、弁体52の突起がコイルスプリング54の他端に挿入されることにより、コイルスプリング54が弁体52に取り付けられている。コイルスプリング54は圧縮された状態にあり、弁体52をシール部材53に向かって押している。弁体52はシール部材53に接触しており、開口53Aの一端を覆っている。この結果、開口53Aを介しての、インク供給室51とインク収納容器18の外との間の連通が遮断されている。
【0075】
図8は、大気導入部60の構成を説明するための、図5において一点鎖線で囲まれた領域VIIIの拡大図である。大気導入部60は、円筒形状の大気導入室61と、樹脂製の弁体62と、ゴム製のシール部材63と、金属製のコイルスプリング64と、樹脂製のキャップ66とを有する。
【0076】
大気導入室61は、フレーム20の前面22からインク収容室11に向かって奥行き方向13に延びており、大気導入室61は、第1端61Aと、奥行き方向13において第1端61Aの反対側に位置する第2端61Bとを有する。第1端61Aは、第2端61Bよりもインク収容室11に近い。
【0077】
大気導入室61の第2端61Bはフレーム20の外に開口しており、大気導入室61の第2端61Bには、シール部材63が配置されている。シール部材63には、奥行き方向13にシール部材63を貫通する円筒形状の開口63Aが形成されている。
【0078】
キャップ66は、フレーム20に嵌め込まれて取り付けられている。キャップ66には、奥行き方向13にキャップ66を貫通する円筒形状の開口66Aが形成されている。シール部材63は、弾性変形した状態で、大気導入室61の第2端61Bを画定しているフレーム20の一部とキャップ66とに挟まれている。この結果、大気導入室61の第2端61Bを画定しているフレーム20の一部とシール部材63との間を介しての大気導入室61とインク収納容器18の外との間の連通が遮断されている。
【0079】
シール部材63は円筒形状の脚部63Bを有する。脚部63Bはキャップ66の開口66Aを通って、奥行き方向13であって大気導入室61から離れる方向に延びている。脚部63Bには、奥行き方向13に脚部63Bを貫通する略円筒形状の開口63Cが形成されている。開口63Cは開口63Aに連続している。
【0080】
弁体62とコイルスプリング64は、インク供給室61内に配置されている。突起65が大気導入室61の第1端61Aから第2端61Bに向かって延びている。突起65がコイルスプリング64の一端に挿入されることにより、コイルスプリング64は、突起65に取り付けられている。弁体62は円筒形状の突起を有しており、この突起がコイルスプリング64の他端に挿入されることにより、コイルスプリング64が弁体62に取り付けられている。コイルスプリング64は圧縮された状態にあり、弁体62をシール部材63に向かって押している。弁体62はシール部材63に接触しており、開口63Aの一端を覆っている。この結果、開口63A及び開口63Cを介しての、大気導入室61とインク収納容器18の外との間の連通が遮断されている。弁体62は、突起62Aを有する。突起62Aは、開口63A及び開口63Cを通って、奥行き方向13であって大気導入室61から離れる方向に延びている。
【0081】
図4、図8、及び、図10に示されているように、大気導入通路67がフレーム20に形成されている。大気導入通路67は、フレーム20の幅方向12の一方の端部に沿って奥行き方向13に延びており、前面22に近い箇所において、大気導入室61の第1端61Aと連続しており、背面23に近い箇所においてインク収容室11に連続している。したがって、大気導入室61は、大気導入通路67を介して、インク収容室11と連通している。大気導入通路67は、フレーム20に接続された一対の側壁21の一つによって覆われている。
【0082】
図6は、図5において一点鎖線で囲まれた領域VIの拡大図である。図3(A)から図6に示されているように、フレーム20は、前面22に凸部70を有する。凸部70は、前面22から奥行き方向13であって、背面23から遠ざかる方向に延びている。凸部70は、略直方体形状を有しており、幅方向12における凸部70の幅は前面22の幅より小さい。凸部70は、前壁71と、前壁71と前面22とにつながっている一対の側壁72と、前壁71、前面22、および、一対の側壁72につながっている上壁73と、高さ方向14において上壁73の反対側に位置し、前壁71、前面22、および、一対の側壁72につながっている下壁74とを有する。図5及び図6に示されているように、凸部70は、前壁71、一対の側壁72、上壁73、および、下壁74によって画定される内部空間75を有する。内部空間75は、インク収容室11の一部である。前述の通り、フレーム20は光透過性を有しているので、例えば、可視光や赤外光が凸部70を通過することができる。
【0083】
図6に示されているように、フレーム20は、内部空間75内に位置し、下壁74の幅方向12の中心から上壁73に向かって延びる壁である第1の接触部74Aと、内部空間75内に位置し、上壁73の幅方向12の中心から下壁74に向かって延びる壁である第2の接触部73Aとを有する。
【0084】
図4(A)から図5に示されているように、フレーム20は、インク収容室11を画定する壁の一部からインク収容室11内に延びる略円板形状の一対の壁80を有する。図5に示されているように、一対の壁80はインク供給室51の第1端51Aの近くに位置している。一対の壁80は幅方向12に並んでいる。一対の壁80の一方から他方にかけて円筒形状の軸82が幅方向12に延びている。
【0085】
<可動部材(揺動部材)の構成>
図4(A)から図6に示されているように、インク収納容器18は、可動部材、例えば、揺動部材90を有し、揺動部材90は、インク収容室11内に配置されている。揺動部材90は、インク収納容器18内で揺動可能に、図5に示されている軸82に支持されている。
【0086】
揺動部材90は、インク収容室11に収容されるインクより比重が小さい樹脂材料で形成されている。揺動部材90は、黒顔料、例えば、カーボンブラックが添加された、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン等の樹脂材料により形成されている。揺動部材90にカーボンフラックが添加されているため、揺動部材90に光、例えば、可視光や赤外光、が照射された場合、揺動部材90は光を遮断する。すなわち、揺動部材90が光を吸収するので、光は揺動部材90を通過することができない。
【0087】
図11(A)及び図11(B)は、それぞれ、異なる角度から見た揺動部材90の斜視図である。揺動部材90は、第1部分92と、第2部分93と、支持部94とを有する。支持部94は、略円板形状の回転中心部94Aと、回転中心部94Aから延びている略直方体形状の接続部94Bとを有する。回転中心部94Aには、幅方向12に回転中心部94Aを貫通する円筒形状の開口94Cが形成されている。
【0088】
図5に示されているように、軸82は、開口94Cを通って、一対の壁80の一方から他方にかけて幅方向12に延びている。揺動部材90は、円筒形状の軸82の幅方向12に延びる中心軸を揺動中心として揺動可能に、軸82に支持されている。揺動部材90は、インク収容室11に収容されたインクの液面の位置に応じて、奥行き方向13及び高さ方向14に略平行な面内において、インク収容室11に対して揺動可能である。
【0089】
図11(A)及び図11(B)に示されているように、第1部分92は、略円板形状の嵩高部92Aと、嵩高部92Aから延びる、側面視において略扇形状の接続部92Bとを有する。接続部92Bは、支持部94の接続部94Bにつながっている。
【0090】
第2部分93は、遮光部93Aと、第1の接続部93Bと、第2の接続部93Cとを有する。第1の接続部93Bの一端は遮光部93Aにつながっており、第1の接続部93Bの他端は第2の接続部93Cにつながっている。第2の接続部93Cの一端は第1の接続部93Bにつながっており、第2の接続部93Cの他端は支持部94の接続部94Bと、第1部分92の接続部92Bとにつながっている。図5に示されているように、遮光部93Aは、凸部70の内部空間75内に位置する。
【0091】
第1部分92の体積は、第2部分93の体積と支持部94の体積の合計より大きい。図5に示されているように、本実施形態では、揺動部材90がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるときの浮心91、及び、揺動部材90の重心は、第1部分92の内部に存在する。本実施形態においては、揺動部材90の密度分布は一様であり、また、インク収容室11内に収容されるインクの密度分布も一様であるので、揺動部材90がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるときの浮心91は、揺動部材90の重心と一致する。しかしながら、浮心91と揺動部材90の重心とは必ずしも一致しなくてよい。
【0092】
図2(A)及び図2(B)を参照して、第1のカバー15及び第2のカバー16について再び説明する。第1のカバー15及び第2のカバー16は、フレーム20の前面22の一部と上面24の一部とを除き、インク収納容器18を覆っている。より具体的には、第1のカバー15は、フレーム20の前面22の一部と、フレーム20の上面24の前面22側と、フレーム20の下面25の前面22側と、一対の側壁21の前面22側とを覆っている。第2のカバー16は、フレーム20の背面23と、フレーム20の上面24の背面23側の一部と、フレーム20の下面25の背面23側と、一対の側壁21の背面23側とを覆っている。
【0093】
第1のカバー15は、フレーム20の前面22と対向する前壁150と、フレーム20の上面24の前面22側と対向する上壁151と、一対の側壁21の前面22側と対向する一対の側壁152とを有する。前壁150には、前壁150を奥行き方向13に貫通する略円筒形状の第1の開口154及び略円筒形状の第2の開口156が形成されている。インク供給部50は第1の開口154を通って、第1のカバー15の内から外へ延びている。大気導入部60は、第1のカバー15内に位置するが、第2の開口156と大気導入部60とは、奥行き方向13に並んでいる。したがって、奥行き方向13に沿って、第1のカバー15の外部から第2の開口156を介して大気導入部60にアクセスすることが可能である。一対の側壁152には、それぞれ、一対の側壁152を幅方向12に貫通する略矩形状の第3の開口158が形成されている。図3(A)に示されている凸部70の一対の側壁72は、それぞれ、一対の側壁152に形成された第3の開口158を介して第1のカバー15の外に露出している。
【0094】
上壁151は、幅方向12の中心に突起159を有する。突起は159は、前壁150と上壁151との境界部の近くに位置している。突起159は、幅方向12に幅を有し、奥行き方向13に奥行きを有し、高さ方向14に高さを有する、略直方体形状を有する。突起159の幅は、突起159の高さに比べて短く、突起159の高さは、突起159の奥行きに比べて短い。
【0095】
第1のカバー15は、黒顔料、例えば、カーボンブラックが添加された、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等の樹脂材料により形成されている。第1のカバー15にカーボンフラックが添加されているため、第1のカバー15に光、例えば、可視光や赤外光、が照射された場合、第1のカバー15は光を遮断する。すなわち、第1のカバー15が光を吸収するので、光は第1のカバー15を通過することができない。
【0096】
第2のカバー16は、フレーム20の上面24の背面23側と対向する上壁160を有する。上壁160には、上壁160を高さ方向14に貫通する第4の開口162が形成されている。フレーム20の上面24の一部と突起24Aとは、第4の開口162を介して、第2のカバー16の外に露出している。
【0097】
第2のカバー16は、黒顔料、例えば、カーボンブラックが添加された、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等の樹脂材料により形成されている。
【0098】
<インク供給装置及び装着部の構成>
図12から図23を参照して、装着部300を有するインク供給装置30の構成について説明する。図中、水平面に平行な方向であって、互いに垂直な2つの方向をそれぞれ、X方向及びY方向とし、X方向及びY方向に垂直であって、重力方向に平行な方向をZ方向とする。
【0099】
図12は、装着部300が第1の姿勢にある状態におけるインク供給装置30の斜視図である。図13は、装着部300が第2の姿勢にある状態におけるインク供給装置30の斜視図である。図14は、図12に示されている矢印XIVの方向からみたインク供給装置30の正面図である。図15は、装着部300が第1の姿勢にある状態において、X方向に沿ってインク供給装置30を支持壁320A側から見たインク供給装置30の側面図である。図16は、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間の姿勢にある状態おいて、X方向に沿ってインク供給装置30を支持壁320A側から見たインク供給装置30の側面図である。図17は、装着部300が第2の姿勢にある状態において、X方向に沿ってインク供給装置30を支持壁320A側から見たインク供給装置30の側面図である。図12から図17において、2つのインクカートリッジ10が装着部300に装着されている。図12、図13、及び、図15から図17において、支持壁320Aの一部が破断されて示されている。図12から図14では、第1のリミットスイッチ346及び第2のリミットスイッチ348の図示が省略されている。図15から図17において、支持壁320Bの図示が省略されている。図18は、図14に示されているXVIII−XVIII線に従う装着部300の断面図である。
【0100】
図12から図17に示されているように、インク供給装置30は、装着部300と、リンク機構310と、一対の支持壁320A、320Bを有する。
【0101】
図12から図17に示されているように、一対の支持壁320A、320Bは、それぞれ、Y方向及びZ方向に平行に延びる平板状である。一対の支持壁320A、320BはX方向に並んでいる。一対の支持壁320A、320Bは、インクジェットプリンタ100の筐体(不図示)に固定されている。各支持壁320A、320Bには、支持壁320A、320BをX方向に貫通する第1の開口321及び第2の開口322が形成されている。第2の開口322は、第1の開口321の下方に位置する。第1の開口321は、Y方向に細長く延びて形成されている。第1の開口321のY方向における一端(図15から図17における右側の端)は他端(図15から図17における左側の端)より高く、第1の開口321はY方向において一端から他端にかけて上側に凸となるように緩やかに湾曲している。第2の開口322は、Y方向に細長く延びて形成されている。第2の開口322は、Y方向に略直線的に延びている。円筒形状の軸323が一対の支持壁320A、320Bの一方から他方にかけてX方向に延びている。軸323は、第2の開口322の一端(図15から図17における左側の端)の真下に位置している。
【0102】
図12、図13、及び、図14に示されているように、装着部300は、X方向において、一対の支持壁320A、320Bの間に位置する。図12、図13、図14、及び、図18に示されているように、装着部300は略直方体形状を有する。装着部300は、下壁301と、一対の側壁302と、上壁303と、背壁304(図12、図13、図14、及び、図18のうち、図18にのみ示されている)とを有する。一対の側壁302は、下壁301のX方向の両端部からそれぞれ延びており、それぞれ一対の支持壁320A、320Bと対向する。上壁303は、一対の側壁302の下壁301とは反対側の端部の間に架け渡されている。背壁304は、下壁301と、一対の側壁302と、上壁303とにつながっている。下壁301、一対の側壁302、及び、上壁303の、背壁304とは反対側の端部によって、開口305が画定されている。
【0103】
図14及び図18に示されているように、装着部300は、3つの仕切り壁306を有している。3つの仕切り壁306のそれぞれは、第1の仕切り壁306Aと第2の仕切り壁306Bとを有している。3つの第1の仕切り壁306Aは下壁301から上壁303に向かって延びている。3つの第1の仕切り壁306Aは、所定の間隔をおいてX方向に並んでいる。3つの第1の仕切り壁306Aのそれぞれは、背壁304から開口305にかけて延びている。3つの第1の仕切り壁306Aの上壁303に対向する面からは、3つの第2の仕切り壁306Bが上壁303に向かってそれぞれ延びている。3つの第2の仕切り壁306Bは上壁303に達している。3つの第2の仕切り壁306Bは、背壁304から開口305に向かって延びている。3つの第2の仕切り壁306Bは、開口305には達していない。3つの第2の仕切り壁306Bは、所定の間隔をおいてX方向に並んでいる。装着部300の内部は、3つの第1の仕切り壁306A及び3つの第2の仕切り壁306Bにより、X方向に4つの空間に仕切られている。4つの空間には、4つのインクカートリッジ10がそれぞれ装着される。
【0104】
図12から図17に示されているように、装着部300は、それぞれ、一対の側壁302から一対の支持壁320A、320Bに向かって延びる、円筒形状の一対の第1の軸307と、円筒形状の一対の第2の軸308と、円筒形状の一対の第3の軸309とを有している。一対の第1の軸307は、それぞれ、一対の支持壁320A、320Bに形成されている第1の開口321に挿入されている。一対の第2の軸308は、それぞれ、一対の支持壁320A、320Bに形成されている第2の開口322に挿入されている。一対の第3の軸309は、一対の支持壁320A、320Bに達していない。図14に示されているように、一対の第3の軸309は、一対の第1の軸307と一対の第2の軸308との間に位置する。
【0105】
図12から図17に示されているように、リンク機構310は、X方向において、一対の支持壁320A、320Bの間に位置する。リンク機構310は、ハンドル311と、一対のL字形部312と、一対の直線状に延びるリンク313とを有する。装着部300は、X方向において、一対のL字形部312及び一対の直線状に延びるリンク313の間に位置する。ハンドル311は、一対のL字形部312の間に架け渡されている。ハンドル311は、円筒形状を有し、X方向に延びている。L字形部312は、2つの直線状に延びる部材が、折れ曲がり部を介して90°の角度をなすように、つながっている。ハンドル311のX方向の端部は、それぞれ、一対のL字形部312の一端とつながっている。一対のL字形部312の他端には、それぞれ、L字形部312をX方向に貫通するように円筒形状の開口314が形成されている。軸323は、一対のL字形部312の開口314を通って延びている。一対のL字形部312の折れ曲がり部から、それぞれ、円筒形状の一対の第4の軸315が、X方向に、互いに遠ざかるように延びている。一対のリンク313の一端及び他端には、それぞれ、一対のリンク313をX方向に貫通するように開口316及び開口317が形成されている。一対のリンク313の開口316には、それぞれ、装着部300の一対の第3の軸309が挿入されている。一対のリンク313の開口317には、それぞれ、L字形部312の一対の第4の軸315が挿入されている。
【0106】
装着部300は、リンク機構310により、第1の姿勢と第2の姿勢との間で、Y方向とZ方向で定義される面と平行な方向に移動可能である。図15に示すように、装着部300が第1の姿勢にあるとき、一対の第1の軸307及び一対の第2の軸308は、それぞれ、一対の支持壁320A、320Bの第1の開口321及び第2の開口322の図15における左側の端部に位置する。このとき、装着部300の下壁301の基準面301Aと、図15において一点鎖線で示された水平面とがなす角度は30°である。インクカートリッジ10は、装着部300が第1の姿勢にあるとき、装着部300に装着可能である。
【0107】
ユーザーがハンドル311を握り、ハンドル311を図15において右上の方向に押し上げると、一対のL字形部312が軸323を中心として図15において時計方向に回る。一対のL字形部312が回ると、一対のL字形部312の一対の第4の軸315が、それぞれ、一対のリンク313の図15における左側の端部を、図15において右上の方向に押し上げる。一対のリンク313の端部が押し上げられると、一対のリンク313は、それぞれ、一対の第3の軸309及び一対の第4の軸315に対して回りつつ、一対の第3の軸309を図15において右方に押し出す。それに伴い、一対の第1の軸307及び一対の第2の軸308がそれぞれ一対の支持壁320A、320Bの第1の開口321及び第2の開口322にガイドされつつ、装着部300は図15において右方に移動し、図16に示される姿勢を経て、図17に示される第2の姿勢となる。一方、装着部300を第2の姿勢から第1の姿勢に移動させるには、ユーザーはハンドル311を握り、ハンドル311を図17において、左下の方向に引き下げればよい。
【0108】
図17に示されているように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、一対の第1の軸307及び一対の第2の軸308は、それぞれ、一対の支持壁320A、320Bの第1の開口321及び第2の開口322の図17における右側の端部に位置する。このとき、装着部300の下壁301の基準面301Aと、図17において一点鎖線で示された水平面とは平行である。すなわち、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動するときの、装着部300の水平面に対する角度変化は、30°である。図1に示されているように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、装着部300に装着された液体カートリッジ10の位置は、記録ヘッド132の複数のノズル134よりも低い位置となる。
【0109】
図14及び図18に示されているように、インク供給装置30は、4つのインク供給筒326を有する。なお、図14においては、4つのインク供給筒326のうち2つが、図18においては、4つのインク供給筒326のうち1つが示されている。インク供給筒326は、チューブ350と共に、接続部の一例である。4つのインク供給筒326は、3つの第1の仕切り壁306A及び3つの第2の仕切り壁306BによってX方向に仕切られた装着部300内の4つの空間に対してそれぞれ配置されている。4つのインク供給筒326は、それぞれ、装着部300の背壁304に固定されており、背壁304から、開口305に向かって、突出している。4つのインク供給筒326は、それぞれ、背壁304に形成されている開口内において、4つのチューブ350の内部に挿入されて4つのチューブ350に取り付けられている。さらに、円形のクランプ(バンド)をチューブ350の外周に接触させ、そのクランプを締め付けることによって、チューブ350とインク供給筒326との取り付けを、より確実に行ってもよい。
【0110】
図14及び図18に示されているように、インク供給装置30は、4つの突起328を有する。なお、図14においては、4つのインク突起328のうち2つが、図18においては、4つのインク突起328のうち1つが示されている。4つの突起328は、X方向に仕切られた装着部300内の4つの空間に対してそれぞれ配置されている。4つの突起328は、それぞれ、装着部300の背壁304から、開口305に向かって、突出している。各突起328は、内部に空間を有する。突起328の内部の空間は、装着部300内に位置する突起328の端部において、突起328の外部と連通している。また、突起328は、背壁304を貫通して装着部300の内部から装着部300の外へ延びており、突起328の内部の空間は、装着部300の外に開口している。
【0111】
図14及び図18に示されているように、インク供給装置30は、4つのロック機構330を有する。4つのロック機構330は、X方向に仕切られた装着部300内の4つの空間に対してそれぞれ配置されている。4つのロック機構330は装着部300の上壁303に位置する。図18に示されているように、各ロック機構330は、レバー331とコイルスプリング332とを有する。レバー331は、接触部333と、操作部334と、接触部333と操作部334との間に位置する軸335とを有する。軸335はX方向に延びており、レバー331は、軸335を中心として、Y方向とZ方向で定義される面と平行な方向に揺動可能である。操作部334は、軸335から装着部300の外まで延びている。接触部333は、軸335からX方向に仕切られた4つの空間の一つの内部まで延びている。コイルスプリング332の一端はレバー331に接続されており、コイルスプリング332の他端は、上壁303の一部に接続されている。コイルスプリング332は伸びた状態にある。コイルスプリング332は、レバー331が図18において時計方向に回るように、レバー331を引っ張っている。レバー331の時計方向の回転は図示しないストッパにより規制されている。
【0112】
<光学検知部の構成>
図14及び図18に示されているように、インクジェットプリンタ100は、光学検知部の一例である4つの光学センサ342を備えている。なお、図14においては、4つの光学センサ342のうち2つが、図18においては、4つの光学センサ342のうち1つが示されている。4つの光学センサ342は、X方向に仕切られた装着部300内の4つの空間に対してそれぞれ配置されている。各光学センサ342は装着部300の背壁304に固定されている。図19は、光学センサ342の斜視図である。図19に示されているように、各光学センサ342は略直方体形状の基部342Aと、略直方体形状の発光部342Bと、略直方体形状の受光部342Cとを有する。基部342Aは、装着部300の背壁304に固定されている。発光部342Bは、基部342AのX方向の一端から、装着部300の開口305に向かって延びている。また、受光部342Cは、基部342AのX方向の他端から、装着部300の開口305に向かって延びている。発光部342Bと受光部342CとはX方向に並んでいる。発光部342Bの受光部342Cと対向する面には長方形状のスリットが形成されている。発光部342Bは発光部342Bに形成されたスリットを介して、受光部342Cに向かって、光、例えば、可視光または赤外光を発する。受光部342Cの発光部342Bと対向する面には長方形状のスリット(不図示)が形成されている。受光部342Cは、受光部342Cに形成されたスリットを介して、発光部342Bから発せられた光を受光する。発光部342Bから受光部342Cの間に光路342Dが形成される。
【0113】
受光部342Cが、発光部342Bから発せられた光を所定の強度以上で受けているとき、受光部342Cは所定の値以上の電圧を出力する。受光部342Cが、発光部342Bから発せられた光を所定の強度未満で受けているとき、受光部342Cは所定の値未満の電圧を出力する。受光部342Cが、発光部342Bから発せられた光を所定の強度未満で受けているときは、受光部342Cが、発光部342Bから発せられた光を全く受けていないとき、すなわち、受光部342Cが受けている光の強度がゼロのときも含む。また、受光部342Cが所定の値未満の電圧を出力するとは、受光部342Cが全く電圧を出力しない、すなわち、受光部342Cが出力する電圧値がグラウンドレベルのときも含む。このように、受光部342Cは予め決められた2つの状態をとる。後述するインクジェットプリンタ100の制御部400は、受光部342Cが所定の値以上の電圧を出力しているとき、受光部342CがON状態であると判断し、受光部342Cが所定の値未満の電圧を出力しているとき、受光部342CがOFF状態であると判断する。
【0114】
<装着検知部の構成>
図14及び図18に示されているように、インクジェットプリンタ100は、装着検知部の一例である4つの光学センサ344を備えている。なお、図14においては、4つの光学センサ344のうち2つが、図18においては、4つの光学センサ344のうち1つが示されている。4つの光学センサ344は、X方向に仕切られた装着部内の4つの空間に対してそれぞれ配置されている。各光学センサ344は、装着部300の上壁303に固定されている。図20は、光学センサ344の斜視図である。図20に示されているように、各光学センサ344は略直方体形状の基部344Aと、略直方体形状の発光部344Bと、略直方体形状の受光部344Cとを有する。基部344Aは、装着部300の上壁303に固定されている。発光部344Bは、基部344AのX方向の一端から、装着部300の下壁301に向かって延びている。また、受光部344Cは、基部344AのX方向の他端から、装着部300の下壁301に向かって延びている。発光部344Bと受光部344CとはX方向に並んでいる。発光部344Bの受光部344Cと対向する面には長方形状のスリットが形成されている。発光部344Bは発光部344Bに形成されたスリットを介して、受光部344Cに向かって、光、例えば、可視光または赤外光を発する。受光部344Cの発光部344Bと対向する面には長方形状のスリット(不図示)が形成されている。受光部344Cは、受光部344Cに形成されたスリットを介して、発光部344Bから発せられた光を受光する。発光部344Bから受光部344Cの間に光路344Dが形成される。
【0115】
光センサ344の発光部344B及び受光部344Cは、光学センサ342の発光部342B及び342Cと同様に動作、作用し、受光部344Cは予め決められた2つの状態をとる。後述するインクジェットプリンタ100の制御部400は、受光部344Cが所定の値以上の電圧を出力しているとき、受光部344CがON状態であると判断し、受光部344Cが所定の値未満の電圧を出力しているとき、受光部344がOFF状態であると判断する。
【0116】
<移動検知部(姿勢検知部)の構成>
インクジェットプリンタ100は、装着部300の移動を検知する移動検知部を備えている。より具体的には、移動検知部は、装着部300の姿勢を検知する姿勢検知部を有している。図15から図17に示されているように、姿勢検知部は、装着部300が第1の姿勢にあることを検知する第1のリミットスイッチ346と、装着部300が第2の姿勢にあることを検知する第2のリミットスイッチ348とを有する。
【0117】
第1のリミットスイッチ346は、固定部材(不図示)を介して支持壁320Aに固定されている。図15から図17に示すように、第1のリミットスイッチ346は、ケース346Aと、ケース346Aの内部からケース346Aの外へ延びており、ケース346Aに対して移動可能なアクチュエータ346Bとを有している。ケース346Aは固定部材(不図示)を介して支持壁320Aに固定されている。ケース346Aの内部において、不図示の可動接点がアクチュエータ346Bに固定されている。可動接点はアクチュエータ346Bとともに、ケース346Aに対して移動可能である。ケース346Aの内部には、ケースに対して固定されている不図示の固定接点が配置されている。アクチュエータ346Bのケース346Aに対する位置により、可動接点は、固定接点と接触した状態および固定接点から離れた状態をとり得る。可動接点が固定接点に接触しているとき、第1のリミットスイッチ346は、所定の値以上の電圧を出力する。可動接点が固定接点から離れているとき、第1のリミットスイッチ346は、所定の値未満の電圧を出力する。第1のリミットスイッチ346が所定の値未満の電圧を出力するとは、第1のリミットスイッチ346が全く電圧を出力しない、すなわち、第1のリミットスイッチ346が出力する電圧値がグラウンドレベルのときも含む。このように、第1のリミットスイッチ346は予め決められた2つの状態をとる。後述するインクジェットプリンタ100の制御部400は、第1のリミットスイッチ346が所定の値以上の電圧を出力しているとき、第1のリミットスイッチ346がON状態であると判断し、第1のリミットスイッチ346が所定の値未満の電圧を出力しているとき、第1のリミットスイッチ346がOFF状態であると判断する。
【0118】
第2のリミットスイッチ348は、固定部材(不図示)を介して支持壁320Aに固定されている。図15から図17に示すように、第2のリミットスイッチ348は、ケース348Aと、ケース348Aの内部からケース348Aの外へ延びており、ケース348Aに対して移動可能なアクチュエータ348Bとを有している。ケース348Aは、固定部材(不図示)を介して支持壁320Aに固定されている。第2のリミットスイッチ348は、第1のリミットスイッチ346と同様な構成を有しており、また、第1のリミットスイッチ346と同様に動作、作用し、第2のリミットスイッチ348は予め決められた2つの状態をとる。第2のリミットスイッチ348が所定の値以上の電圧を出力しているとき、後述するインクジェットプリンタ100の制御部400は、第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断し、第1のリミットスイッチ346が所定の値未満の電圧を出力しているとき、第2のリミットスイッチ348がOFF状態であると判断する。
【0119】
図15に示されているように、装着部300が第1の姿勢にあるとき、装着部300の下壁301の一部は、第1のリミットスイッチ346のアクチュエータ346Bに接触し、アクチュエータ346Bをケース346Aの中に押し込む。このとき、第1のリミットスイッチ346の可動接点は固定接点と接触し、第1のリミットスイッチ346はON状態と判断される。図16に示されているように、装着部300が第1の姿勢でなくなると、装着部300の下壁301の一部はアクチュエータ346Bから離れ、アクチュエータ346Bは、ケース346Aの外に向かって移動する。このとき、第1のリミットスイッチ346の可動接点は固定接点から離れ、第1のリミットスイッチはOFF状態と判断される。このように、第1のリミットスイッチ346により、装着部300が第1の姿勢にあるか否かを検知できる。
【0120】
図17に示されているように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、装着部300の下壁301の一部は、第2のリミットスイッチ348のアクチュエータ348Bに接触し、アクチュエータ348Bをケース348Aの中に押し込む。このとき、第2のリミットスイッチ348の可動接点は固定接点と接触し、第2のリミットスイッチ348はON状態と判断される。図16に示されているように、装着部300が第2の姿勢でなくなると、装着部300の下壁301の一部はアクチュエータ348Bから離れ、アクチュエータ348Bは、ケース348Aの外に向かって移動する。このとき、第2のリミットスイッチ348の可動接点は固定接点から離れ、第2のリミットスイッチ348はOFF状態と判断される。このように、第2のリミットスイッチ348により、装着部300が第2の姿勢にあるか否かを検知できる。
【0121】
第1のリミットスイッチ346と第2リミットスイッチ348とを有する姿勢検知部を有する移動検知部は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことを検知することをもって、装着部300が移動を開始したことを検知できる。また、移動検知部は、第1の姿勢にあった装着部300が第2の姿勢になったことを検知することをもって、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動したことを検知できる。すなわち、装着部300が第1の姿勢でなくなってから第2の姿勢になるまでが、装着部300の移動が検知されている間となる。
【0122】
<装着部とインクカートリッジの関係>
インクカートリッジ10は、図15に示されているように装着部300が第1の姿勢にあるとき、上方から下方に向かう装着方向360に沿って、装着部300に装着される。装着方向360は、装着部300の開口305から背壁304に向かう方向であり、水平面に対して30°傾いた方向である。図25は、インクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。図25に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、インクカートリッジ10の奥行き方向13が装着方向360と平行となる。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、フレーム20の前面22側から装着部300に装着される。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、揺動部材90の揺動中心は、揺動部材90がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるときの浮心91よりも装着方向360に関して下方に位置する。インクカートリッジ10が装着方向360に沿って上方から下方に向かって装着部300に装着されるので、インクカートリッジ10が下方から上方に向かって装着部300に装着される場合に比べて、ユーザーはインクカートリッジ10を装着部300に装着し易い。すなわち、インクジェットプリンタ100は机の上に配置されることが多い。机の上に配置されたインクジェットプリンタ100は、ユーザーの視点よりも低い位置にある。ユーザーはインクジェットプリンタ100を見下ろして、インクカートリッジ10を装着部300に装着すると想定される。したがって、インクカートリッジ10が装着方向360に沿って上方から下方に向かって装着部300に装着されるように装着部300が構成されていると、ユーザーはインクカートリッジ10と装着部300とを視認できるので、インクカートリッジ10を装着部300に容易に装着できるのである。また、重力によりインクカートリッジ10は上方から下方に引っ張られるので、インクカートリッジ10が装着部300に確実に装着される。
【0123】
図21は、図18に示されている装着部300にインクカートリッジ10が装着された状態における、図14に示されているXVIII−XVIII線に従うインクカートリッジ10及び装着部300の断面図である。インクカートリッジ10が装着部300に装着されると、凸部70が光学センサ342の発光部342Bと受光部342Cとの間に位置し、一対の側壁72の一方が発光部342Bに対向し、他方が受光部342Cに対向する。このとき、図21に示されているように、光路342Dが一対の側壁72と交わる。また、光路342Dは、揺動部材90の揺動に伴い遮光部93Aがインク収容室11及び光学センサ342に対して移動するときの遮光部93Aの移動軌跡と交わる。光路342Dが遮光部93Aと交わるときは、遮光部93Aは、発光部342Bから発せられた光を遮断する。このとき、受光部342Cの状態はOFF状態と判断される。光路342Dが遮光部93Aと交わらないときは、発光部342Bから発せられた光は一対の側壁72を通過し、受光部342Cに到る。このとき、受光部342Cの状態はON状態と判断される。
【0124】
インクカートリッジ10が装着部300に装着されると、インクカートリッジ10の第1のカバー15の突起159が光学センサ344の発光部344Bと受光部344Cとの間に位置し、図21に示されているように、光路344Dが突起159と交わる。光路344Dが突起159と交わるときは、突起159は、発光部344Bから発せられた光を遮断する。このとき、受光部344Cの状態はOFF状態と判断される。光路344Dが突起159と交わらないときは、発光部344Bから発せられた光は受光部344Cに到る。このとき、受光部344Cの状態はON状態と判断される。すなわち、インクカートリッジ10が装着部300に装着されたときに、受光部344Cの状態はOFF状態と判断され、インクカートリッジ10が装着部から外されたときは、受光部344Cの状態はON状態と判断される。このように、光センサ344により、インクカートリッジ10が装着部300に装着されていることを検知できる。
【0125】
図21に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着されると、ロック機構330のレバー331の接触部333は、インクカートリッジ10のフレーム20の突起24Aに接触する。インクカートリッジ10が図21において左方に移動しようとしても、接触部333が突起24Aに接触しているため、インクカートリッジ10は、移動することができない。これにより、インクカートリッジ10が装着部300内に保持される。ユーザーがインクカートリッジ10を装着部300から取り外す際には、ユーザーは、操作部334を押し下げる。操作部334が押し下げられると、レバー331は、コイルスプリング332がレバー331を引っ張る力に抗して、図21において、反時計方向に回る。レバー331が反時計方向に回ると、接触部333は突起24Aから離れるので、ユーザーは、インクカートリッジ10を図21において左方に引き抜くことができる。なお、本実施形態においては、装着部300が第1の姿勢にあるときに、インクカートリッジ10は装着部300に装着され、また、インクカートリッジ10は装着部300から取り外される。
【0126】
図22は、図21において一点鎖線で囲まれた領域XXIIの拡大図である。図22に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着されると、インク供給筒326が、キャップ56の開口56A及びシール部材53の開口53Aを通って、コイルスプリング54が弁体52を押す力に抗して、弁体52をインク供給室51の第1端51Aに向かって押す。このとき、シール部材53は、インク供給筒326の外周に弾性変形しつつ接触する。弁体52は、インク供給室51の第1端51Aに向かって押されると、シール部材53から離れる。この結果、インク供給室51がインク供給筒326を介してチューブ350と連通する。よって、インク収容室11が、インク供給室51、インク供給筒326、及び、チューブ350を介して、サブタンク135と連通し、インク収容室11からサブタンク135へのインクの供給が可能となる。
【0127】
図23は、図21において一点鎖線で囲まれた領域XXIIIの拡大図である。図23に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着されると、突起328が、コイルスプリング64が弁体62を押す力に抗して、突起62Aを大気導入室61の第1端61Aに向かって押す。このとき、シール部材63の脚部63Bは、突起328の外周に弾性変形しつつ接触する。弁体62は、インク供給室61の第1端61Aに向かって押されると、シール部材63から離れる。この結果、大気導入室61が、シール部材63の開口63A及び開口63Cと突起328の内部の空間とを介して、装着部300の外の空間と連通する。よって、インク収容室11が、大気導入通路67、大気導入室61、シール部材63の開口63A及び開口63C、及び、突起328の内部の空間を介して、装着部300の外の空間と連通し、装着部300の外の空間からインク収容室11に大気を導入することが可能となる。
【0128】
図1に示されているように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、インクカートリッジ10の位置は記録ヘッド132の複数のノズル134よりも低い位置にある。より具体的には、インク収容室11に収容されているインクの液面Lは、記録ヘッド132の複数のノズル134よりも低い位置にある。この結果、ノズル134内の液体に適当な負圧をかけることが可能になる。よって、記録ヘッド132の複数のノズル134から、安定してインクを吐出できる。
【0129】
<電気的構成>
図24は、インクジェットプリンタ100の電気的構成の概略を示すブロック図である。図24に示されているように、インクジェットプリンタ100は、制御部400を有する。制御部400は、インクジェットプリンタ100の動作を制御し、また、各種の判断を行うように構成されている。制御部400は、中央処理装置(Central Processing Unit、略してCPU)402、リードオンリーメモリ(Read−Only Memory、略してROM)404、ランダムアクセスメモリ(Ramdom Access Memory、略してRAM)406、エレクトリカリーイレイザブルプログラマブルリードオンリーメモリ(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory、略してEEPROM)408、及び、アプリケーションスペスィフィックインテグレイティッドサーキット(Application Specific Integrated Circuit、略してASIC)410を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。
【0130】
ROM404には、CPU402がインクジェットプリンタ100の各種動作を制御するためのプログラムや、後述する図29のフローチャートに示されている判断処理を実行するプログラム等の各種判断を行うためのプログラムなどが格納されている。RAM406には、CPU402が上記プログラムを実行する際に各種データを一時的に記憶する記憶領域又は作業領域として使用される。EEPROM408には、インクジェットプリンタ100の電源をオフした後も保持すべき情報が格納される。
【0131】
ASIC410には、ヘッド制御基板133、光学センサ342、光学センサ344、第1のリミットスイッチ346、及び、第2のリミットスイッチ348が電気的に接続されている。なお、図示されていないが、給紙装置110や搬送装置120を駆動させる駆動回路や、外部のパーソナルコンピュータとの間で信号を入出力するための入出力部や、ユーザーがインクジェットプリンタ100に対して印刷指示等を行うための指示入力部や、各種の情報をユーザーに対して表示する表示部なども、ASIC410に電気的に接続されている。
【0132】
制御部400は、外部のパーソナルコンピュータ(不図示)や指示入力部(不図示)から印刷指示を受けた場合、ヘッド制御基板133に信号を出力する。ヘッド制御基板133は、制御部400から入力された信号に基づいて、記録ヘッド132からのインク吐出を制御するように構成されている。なお、制御部400は、第2のリミットスイッチ348がON状態でると判断したとき、記録ヘッド132からインクを吐出させるべく、ヘッド制御基板133に信号を入力するように構成されている。すなわち、装着部300が第2の姿勢にあることが検知されているときに、記録ヘッド132からインクが吐出されることが許容される。ヘッド制御基板133及び制御部400は吐出制御部の一例である。
【0133】
光学センサ342の発光部342B及び光学センサ344の発光部344Bは、制御部400から信号が入力されると、光、例えば、可視光や赤外光を発するように構成されている。
【0134】
制御部400は、必要に応じて、光学センサ342の受光部342Cの状態、光学センサ344の受光部344Cの状態、第1のリミットスイッチ346の状態、及び、第2のリミットスイッチ348の状態がON状態かOFF状態かを判断するように構成されている。制御部400は、図29のフローチャートに示されているように、光学センサ342の受光部342Cの状態、光学センサ344の受光部344Cの状態、第1のリミットスイッチ346の状態、及び、第2のリミットスイッチ348の状態を所定の複数のステップに従って判断することにより、装着部300に装着されたインクカートリッジ10が正常か否かを判断するように構成されている。
【0135】
<動作及び作用>
以上説明した構成からなる本実施形態の動作及び作用について、図面を参照して説明する。
【0136】
図25から図28を参照して、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動するときの、水平面に対するフレーム20及び揺動部材90の姿勢の変化について説明する。図25は、インクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。図26及び図27は、インクカートリッジ10が装着された装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間の姿勢にある状態における、図25と同様のフレーム20及び揺動部材90の断面図である。図28は、インクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、図25同様のフレーム20及び揺動部材90の断面図である。
【0137】
図25に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着され、装着部300が第1の姿勢にあるとき、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度は30°である。新品のインクカートリッジ10は、インクカートリッジ10が装着部300に装着されたときに、揺動部材90がインク中に沈むだけの量のインクを、インク収容室11内に収容している。本実施形態では、揺動部材90がインク中に沈んでいるときの浮心91と揺動部材90の重心とが一致しているので、揺動部材90がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるとき、揺動部材90は、浮心91がインク収容室11に収容されているインクの液面Lに対して最も近い位置に位置する姿勢をとる。浮心91がインク収容室11に収容されているインクの液面Lに対して最も近い位置に位置するとき、浮心91は、揺動部材90の揺動中心から液面Lに対して垂直に下ろした直線上に位置する。装着部300が第1の姿勢にあるとき、揺動部材90の遮光部93Aは、光学センサ342の光路342Dに交わっておらず、発光部342Bから光が発せられた場合、その光は、凸部70の一対の側壁72を通って、受光部342Cに達する。すなわち、発光部342Bから光が発せられた場合、受光部342CはON状態と判断される。なお、浮心91と揺動部材90の重心とが一致していない場合には、揺動部材90に加わる浮力によるモーメントと重力によるモーメントとが釣り合う位置で、揺動部材90は静止する。
【0138】
装着部300が第1の姿勢から移動すると、インク収容室11及び光学センサ342の水平面に対する傾きが変化する。一方、装着部300が移動しても、インクの液面Lは常に水平面に対して平行である。浮心91は、揺動部材90の揺動中心から液面Lに対して垂直に下ろした直線上に留まるので、装着部300が移動しても、水平面に対する揺動部材90の姿勢は変化しない。したがって、装着部300が移動すると、インク収容室11及び光学センサ342に対するインクの液面Lの位置が変化し、揺動部材90も、インク収容室11及び光学センサ342に対するインクの液面Lの位置に応じて、インク収容室11及び光学センサ342に対して相対移動する。図25から図27においては、揺動部材90は、インク収容室11に対して時計方向に回る。それに応じて、遮光部93Aは、インク収容室11及び光学センサ342に対する移動軌跡上を移動する。
【0139】
図26に示すように、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度が25°のとき、遮光部93Aは、光路342Dと交わり、発光部342Bから光が発せられた場合、遮光部93Aはその光を遮断する。すなわち、発光部342Bから光が発せられたとき、受光部342CはOFF状態と判断される。
【0140】
装着部300がさらに移動して、図27に示すように、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度が20°になると、遮光部93Aが第1の接触部74Aに接触する。遮光部93Aは光路342Dと交わっている。
【0141】
フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度が20°になった後は、装着部300がさらに移動しても、遮光部93Aが第1の接触部74Aに接触しているので、揺動部材90の動きが規制され、揺動部材90はインク収容室11に対して時計方向に相対移動できない。
【0142】
図28に示すように、装着部300が第2の姿勢になると、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とが平行となる。遮光部93Aは、光路342Dと交わっている。揺動部材90の動きが規制されていなければ、浮心91は、揺動部材90の揺動中心から液面Lに対して垂直に下ろした直線上に位置するはずである。しかながら、遮光部93Aが第1の接触部74Aに接触していて、揺動部材90の動きが規制されているので、揺動部材90の揺動中心と浮心91とを結ぶ線分と、重力方向に平行であって揺動部材90の揺動中心を通る直線とが、線分から直線へ向かう方向に成す角度が20°となっている。本実施形態においては、浮心91と揺動部材90の重心とが一致しているので、この角度は、図27に示されているように、装着部300が第1姿勢から移動した後、遮光部93Aが最初に第1の接触部74Aに接触するときの、フレーム20の下面25と、水平面とがなす角度に等しい。図28に示すように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、浮心91とインクの液面Lとの距離は、揺動部材90の揺動中心とインクの液面Lとの距離より小さい。
【0143】
<インクカートリッジの状態を判断する処理>
図29は、制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。制御部400は、光学センサ344の発光部344Bを発光させ、受光部344Cの状態を監視し、光学センサ344の受光部344Cの状態がON状態からOFF状態になったときに、図29の判断処理を開始する。すなわち、図29の判断処理は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されたときに、開始される。なお、判断処理の途中において、光学センサ344の受光部344Cの状態がOFF状態からON状態となった場合には、制御部400は、例えば、インクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させ、インクカートリッジ10を装着部300に再装着するようユーザーに促す。
【0144】
以下、判断処理における各ステップをSと略す。判断処理が開始されると、制御部400は、S1において、第1のリミットスイッチ346の状態がON状態であるかを判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第1の姿勢にあることが検知されているか判断する。制御部400は、第1のリミットスイッチ346の状態がON状態であると判断した場合、S2において、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態をRAM406の記憶領域Iに記憶する。その後、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bの発光を中止し、S3において、第1のリミットスイッチ346の状態がOFF状態であるかを判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第1の姿勢でなくなったことが検知されたかを判断する。制御部400は、第1のリミットスイッチ346がOFF状態でないと判断した場合には、S3を繰り返す。制御部400は、第1のリミットスイッチ346がOFF状態である判断した場合、S4において、第2のリミットスイッチ348の状態がON状態であるかを判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第2の姿勢になったことが検知されたかを判断する。制御部400は、第2のリミットスイッチ348がON状態でないと判断した場合には、S4を繰り返す。制御部400は、第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断した場合、S5において、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態をRAM406の記憶領域Jに記憶する。その後、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bの発光を中止し、S6において、記憶領域Iに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態とを比較する。制御部400は、S6において、受光部342Cの状態が異なると判断した場合には、S7において、インクカートリッジ10が正常であると判断し、判断処理を終了する。その後、制御部400は、外部のパーソナルコンピュータ(不図示)からの印刷指示や、指示入力部(不図示)からの印刷指示を待つ。制御部400は、S6において、受光部342Cの状態が同じと判断した場合には、S8において、インクカートリッジ10が異常であると判断し、判断処理を終了する。この場合、制御部400は、インクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させ、ユーザーにインクカートリッジ10が異常であることを通知する、または、ユーザーにインクカートリッジ10を交換するよう通知する等の処理を行う。また、外部のパーソナルコンピュータ(不図示)からの印刷指示や、指示入力部(不図示)からの印刷指示を受けても、ヘッド制御基板133に信号を送らない等の処理を行う。本実施形態の制御部400及びS6からS8は、本発明の状態判断部の一例である。
【0145】
装着部300に装着されたインクカートリッジ10が新品で、正常であれば、すなわち、揺動部材90を有しており、揺動部材90が正常に揺動すれば、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態はON状態であり、記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態はOFF状態であるので、制御部400は、上記の判断処理において、インクカートリッジ10が正常であると判断する。装着部300に装着されたインクカートリッジ10が異常である、例えば、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を有していない場合には、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢へ移動しても、受光部342Cの状態は変わらない。すなわち、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とは同じになり、制御部400は、上記の判断処理において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。
【0146】
制御部400は、S1にて、第1のリミットスイッチ346の状態がON状態でないと判断した場合には、S9において、第2のリミットスイッチ348がON状態であるかを判断する。制御部400が、S9において第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断した場合には、制御部400がインクカートリッジ10の状態を判断する前に、装着部300が第2の姿勢になってしまったことになるので、制御部400は、S10において、例えばインクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させることにより、ユーザーにインクカートリッジ10を装着部300に再装着するよう促し、判断処理を終了する。制御部400は、S9において第2のリミットスイッチ348がON状態でないと判断した場合には、S1に戻る。
【0147】
制御部400は、S2、S3、S4,及び、S5の間、常に発光部342Bを発光させていてもよいが、少なくとも、S2及びS5において、発光部342Bを発光させればよい。
【0148】
本実施形態においては、装着部300は、例えば、4つのインクカートリッジ10が装着部300に装着されるように構成されている。上記のインクカートリッジ10が正常か否かの判断処理は、各インクカートリッジ10毎に行われる。
【0149】
<インク残量を判断する処理>
制御部400は、インクカートリッジ10が正常であると判断した後、外部のパーソナルコンピュータ(不図示)や、指示入力部(不図示)から印刷指示を受けた場合、給紙装置110と搬送装置120を駆動させる駆動回路(不図示)に信号を送り、給紙装置110と搬送装置120に記録用紙を給紙、搬送させつつ、ヘッド制御基板133に信号を送り、記録ヘッド132から記録用紙に上にインクを吐出させる。それに伴い、インク収容室11からサブタンク135にインクが供給される。制御部400は、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、受光部342Cの状態を監視する。すなわち、受光部342Cの状態を定期的に判断する。なお、記録ヘッド132からのインクの吐出は、装着部300が第2の姿勢のときに許容される。
【0150】
図30から図32は、インクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。図30は、インク収容室11に収容されているインクの量が第1の所定量である状態を示し、図31は、インク収容室11に収容されているインクの量が第2の所定量である状態を示し、図32は、インク収容室11にインクが収容されていない状態を示す。
【0151】
インク収容室11からサブタンク135にインクが供給されていき、インク収容室11内に収容されているインクが第1の所定量に達すると、インクの液面Lは図30に示されている位置に位置する。このとき、揺動部材90嵩高部92Aの一部がインクの液面Lからインク収容室11内の空気中に露出し、揺動部材90に加わっている重力と浮力が等しくなる。
【0152】
インク収容室11からサブタンク135にインクがさらに供給されていくと、揺動部材90は、インクの液面Lの低下に従って、図30において、反時計方向に回る。そして、インク収容室11内に収容されているインクが第2の所定量に達すると、インクの液面Lは図31に示されている位置に位置する。このとき、遮光部93Aは光学センサ342の光路342Dから外れ、発光部342Bから発せられた光は、凸部70の一対の側壁72を通過して、受光部342Cに達する。すなわち、受光部342Cの状態はOFF状態からON状態となる。
【0153】
受光部342Cの状態が、OFF状態からON状態になったと判断した場合、制御部400は、インク収容室11に収容されていれるインクの量が第2の所定量になったと判断し、それ以後、記録ヘッド132がインクを吐出した回数を数え始める。また、制御部400は、例えば、インクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させ、ユーザーにインクカートリッジ10内のインク残量が少ないことを通知する。
【0154】
その後、記録ヘッド132がインクを吐出した回数が所定の回数に達した場合、制御部400は、記録ヘッド132がインクを吐出することを中止させ、例えば、インクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させ、ユーザーにインクカートリッジ10が空になったことを通知したり、ユーザーにインクカートリッジ10を新しいものに交換するよう促したりする。このとき、インク収容室11に収納されているインクの実際の量はゼロでなくても構わないが、少ないほうが好ましい。インク収容室11にインクが収容されていないときは、図32に示すように、遮光部93Aは、第2の接触部73Aに接触する。
【0155】
制御部400が図29に示されている判断処理を行う結果、インクカートリッジ10が装着部300に装着される早期の段階で、インクカートリッジ10の正常状態もしくは異常状態を判断することができる。よって、異常状態のインクカートリッジ10が装着されたことに対する対処が可能となる。
【0156】
装着部300が第1の姿勢でなくなってから第2の姿勢になるまでが、第1のリミットスイッチ346と第2リミットスイッチ348とを有する姿勢検知部を有する移動検知部によって装着部300の移動が検知されている間であるが、制御部400は、装着部300が第1の姿勢にあることが検知されている状態と装着部300が第2の姿勢にあることが検知されている状態とにおける受光部342Cの状態を比較することにより、装着部300の移動が検知されている間に受光部342Cの状態が変化したか否かを、判断できる。この結果、制御部400は、装着部300の移動が検知されている間、受光部342Cの状態を監視する必要がなく、すなわち、受光部342Cの状態を定期的に幾度も判断する必要がなく、装着部300が第1及び第2の姿勢にあるときだけ、受光部342Cの状態を判断すればよい。よって、制御部400の判断処理の負荷が少ない。また、発光部342Bは、少なくとも装着部300が第1の姿勢にあることが検知されている状態と装着部300が第2の姿勢にあることが検知されている状態とにおいて発光すれば良く、装着部300の移動が検知されている間発光し続ける必要がないので、発光に伴う発光部342Bの劣化速度が遅くなり、発光部342Bの寿命が延びる。また、制御部400は、装着部300が静止している状態における受光部342Cの状態を比較するので、装着部300が移動している間に受光部342Cの状態を監視して受光部342Cの状態変化を判断する場合に比べて、より確実にインクカートリッジ10が正常状態であるか異常状態であるかを判断できる。
【0157】
装着部が第2の姿勢にあり、揺動部材90の移動が第1の接触部74Aに規制されているときの、揺動部材90の揺動中心と浮心91とを結ぶ線分と、重力方向に平行であって揺動部材90の揺動中心を通る直線とが、線分から直線へ向かう方向に成す角度を第1の角度と呼び、装着部300が第1の姿勢から移動した後、遮光部93Aが最初に第1の接触部74Aに接触するときのフレーム20の下面25と水平面とがなす角度を第2の角度と呼ぶとすると、第1の角度は第2の角度に等しい。したがって、装着部300が第1の姿勢と第2の姿勢との間を移動するときの、装着部300の水平面に対する角度変化を第1の角度より大きい角度とすることにより、装着部300が第1の姿勢と第2の姿勢との間を移動する間に、揺動部材90がインク収容室11及び光学センサ342に対して移動することができる。したがって、制御部400がインクカートリッジ10の状態を判断するには、装着部300の水平面に対する角度変化は、第1の角度より大きければよい。この結果、第1の角度を決めることによって、インクカートリッジ10の状態を判断するのに必要な装着部300の水平面に対する角度変化を容易に決定することができる。さらに、光路342Dの位置を、揺動部材90が第1の接触部74Aに接触しているときに遮光部93Aと交わり、揺動部材90が第1の接触部74Aから離れたらすぐに遮光部93Aと交わらない位置に設定すれば、装着部300の水平面に対する角度変化は、第1の角度より少しだけ大きい角度に設定すればよい。
【0158】
本実施形態においては、揺動部材90の比重は、インク収容室11に収容されるインクの比重より小さいが、揺動部材90の少なくとも一部の比重がインクの比重より小さくてもよい。例えば、第1部分92の比重がインクの比重より小さく、第2部分93の比重と支持部94の比重とがインクの比重より大きくてもよい。また、揺動部材90を形成する材料自体の比重はインクの比重より大きいが、第1部分92の内部を空洞とすることにより、第1部分92の比重をインクの比重より小さくしてもよい。揺動部材90の材料としては、ナイロン、ポリカーボネイト、アクリル樹脂等の樹脂材料も用いることができる。
【0159】
本実施形態においては、遮光部93A及び突起159は、発光部342B及び発光部344Bから発せられた光を遮断するものであったが、発光部342B及び発光部344Bからから発せられた光の光路を変更するものであってもよい。例えば、遮光部及び突起にアルミ箔が蒸着されており、遮光部及び突起は発光部から発せられた光を反射するものであってよい。
【0160】
本実施形態においては、光学センサ342及び光学センサ344の受光部342C及び受光部344Cは、発光部342B及び発光部344Bから発せられた光が、遮光部93A及び突起159によって遮光されないときに、光を受けるものであった。しかしながら、遮光部及び突起が発光部からから発せられた光を反射するものである場合、受光部は、発光部から発せられた光が、遮光部及び突起よって反射されたときに、その反射された光を受けるものであってもよい。
【0161】
本実施形態においては、装着部300が第1の姿勢にあるときに、装着部300の下壁301の基準面301Aと水平面とがなす角度が30°であり、装着部300が第2の姿勢にあるときに、装着部300の下壁301の基準面301Aと水平面とが平行であったが、装着部300が第2の姿勢にあるときも、装着部300の下壁301の基準面301Aが水平面に対して傾いていてもよい。
【0162】
本実施形態においては、装着部300が第1の姿勢にあるときに、インクカートリッジ10は装着部300に装着されたが、インクカートリッジ10が装着部300に装着されるときの装着部300の姿勢は必ずしも第1の姿勢でなくてもよい。
【0163】
本実施形態においては、装着部300は第1の姿勢と第2の姿勢との間で移動するものであったが、装着部300は、第1の姿勢または第2の姿勢を超えて移動するものであってよい。
【0164】
本実施形態においては、装着部300内においてX方向に仕切られる空間の数は4個であったが、装着部300に装着されるインクカートリッジ10の数によって、装着部300内においてX方向に仕切られる空間の数は適且変更される。すなわち、N個のインクカートリッジ10が装着部300に装着される場合には、装着部300の内部はX方向にN個の空間に仕切られる。
【0165】
本実施形態においては、インク供給筒326の数は4個であったが、装着部300に装着されるインクカートリッジ10の数によって、インク供給筒326の数は適且変更される。すなわち、N個のインクカートリッジ10が装着部300に装着される場合には、インク供給筒326の数はN個である。
【0166】
本実施形態においては、突起328の数は4個であったが、装着部300に装着されるインクカートリッジ10の数によって、突起328の数は適且変更される。すなわち、N個のインクカートリッジ10が装着部300に装着される場合には、突起328の数はN個である。
【0167】
本実施形態においては、ロック機構330の数は4個であったが、装着部300に装着されるインクカートリッジ10の数によって、ロック機構330の数は適且変更される。すなわち、N個のインクカートリッジ10が装着部300に装着される場合には、ロック機構330の数はN個である。
【0168】
本実施形態においては、光学センサ342の数は4個であったが、装着部300に装着されるインクカートリッジ10の数によって、光学センサ342の数は適且変更される。すなわち、N個のインクカートリッジ10が装着部300に装着される場合には、光学センサ342の数はN個である。
【0169】
本実施形態においては、光学センサ344の数は4個であったが、装着部300に装着されるインクカートリッジ10の数によって、光学センサ344の数は適且変更される。すなわち、N個のインクカートリッジ10が装着部300に装着される場合には、光学センサ344の数はN個である。
【0170】
本実施形態においては、記憶領域I、JはRAM406の領域であったが、記憶領域I、JはCPU402のレジスタの領域であってもよい。
【0171】
[第2実施形態]
図33及び図34を参照して、本発明の第2実施形態であるインク吐出システムを説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0172】
第2実施形態は、揺動部材と、フレームの内部形状と、装着部が第1の姿勢から第2の姿勢へ移動するときの、装着部の水平面に対する角度変化とが第1実施形態と異なる。
【0173】
図33は、第2実施形態のインクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材2090の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。図34は、第2実施形態のインクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、図33と同様のフレーム20及び揺動部材2090の断面図である。第2実施形態のインクカートリッジ10は、揺動部材2090を有し、揺動部材2090は、インク収容室11内に配置されている。
【0174】
揺動部材2090は、インク収容室11に収容されるインクより比重が小さい樹脂材料で形成されている。揺動部材2090は、第1実施形態の揺動部材90と同様な樹脂材料により形成され、光を遮断する。
【0175】
揺動部材2090は、第1部分2092と、第2部分2093とを有する。揺動部材2090には、幅方向12に揺動部材2090を貫通する円筒形状の開口2090Aが形成されている。円筒形状の軸2082が、開口2090Aを通って、一対の側壁21の一方から他方にかけて幅方向12に延びている。揺動部材2090は、軸2082の幅方向12に延びる中心軸を揺動中心としてインク収容室11に対して揺動可能に、軸2082によって支持されている。揺動部材2090は、インク収容室11に収容されたインクの液面Lの位置に応じて、奥行き方向13及び高さ方向14に略平行な面内において、インク収容室11に対して揺動可能である。
【0176】
第1部分2092は、略円板形状の嵩高部2092Aと、嵩高部2092Aから延びる、側面視において略扇形状の接続部2092Bとを有する。第2部分2093は、遮光部2093Aと、遮光部2093Aから延びる接続部2093Bとを有する。遮光部2093Aは、凸部70の内部空間75内に位置する。接続部2092Bと接続部2093Bとは互いにつながっており、接続部2092Bと接続部2093Bの境目に開口2090Aが形成されている。
【0177】
第1部分2092の体積は、第2部分2093の体積より大きい。本実施形態では、揺動部材2090の重心、及び、揺動部材2090がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるときの浮心2091は、第1部分2092の内部に存在する。本実施形態においては、揺動部材2090の密度分布は一様であり、また、インク収容室11内に収容されるインクの密度分布も一様であるので、揺動部材2090がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるときの浮心2091は、揺動部材2090の重心と一致する。しかしながら、浮心2091と揺動部材2090の重心とは必ずしも一致する必要はない。
【0178】
インクカートリッジ10は、装着部300が第1の姿勢にあるとき、上方から下方に向かう装着方向2360に沿って、装着部300に装着される。装着方向2360は、水平面に対して135°傾いた方向である。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、インクカートリッジの奥行き方向13が装着方向2360と平行となる。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、フレーム20の前面22側から装着部300に装着される。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、揺動部材2090の揺動中心は、揺動部材2090がインク収容室11に収容されているインク中に沈んでいるときの浮心2091よりも装着方向2360に関して下方に位置する。
【0179】
図33に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着され、装着部300が第1の姿勢にあるとき、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度は135°である。浮心2091は、揺動部材2090の揺動中心から液面Lに対して垂直に下ろした直線上に位置する。装着部300が第1の姿勢にあるとき、揺動部材2090の遮光部2093Aは、光学センサ342の光路342Dに交わっておらず、発光部342Bから光が発せられた場合、その光は、凸部70の一対の側壁72を通って、受光部342Cに達する。すなわち、発光部342Bから光が発せられた場合、受光部342CはON状態と判断される。
【0180】
図34に示すように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とが平行となる。遮光部2093Aは、光路342Dと交わっている。揺動部材90の動きが規制されていなければ、浮心2091は、揺動部材2090の揺動中心から液面Lに対して垂直に下ろした直線上に位置するはずである。しかながら、遮光部2093Aが第1の接触部74Aに接触していて、揺動部材2090の動きが規制されているので、揺動部材2090の揺動中心と浮心2091とを結ぶ線分と、重力方向に平行であって揺動部材2090の揺動中心を通る直線とが、線分から直線へ向かう方向に成す第1の角度が125°となっている。浮心2091とインクの液面Lとの距離は、揺動部材90の揺動中心とインクの液面Lとの距離より大きい。
【0181】
上記の構成を備えたインク吐出システムにおいて、制御部400は、図29の判断処理を行うことにより、インクカートリッジ10が正常か否かを判断できる。
【0182】
本実施形態においては、第1の角度が鈍角であるので、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動するとき、装着部300の水平面に対する角度変化は鈍角である。したがって、装着部300を移動させるための空間が比較的大きくなってしまう。一方、第1実施形態においては、第1の角度は鋭角であるので、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動するときの装着部300の水平面に対する角度変化も鋭角である。したがって、第1実施形態においては、装着部300を移動させるための空間が比較的小さくなり、インクジェットプリンタ100を比較的小型に構成できる。
【0183】
なお、第1実施形態及び第2実施形態において、浮心91、2091が揺動部材90、2090の重心と一致する場合について説明した。浮心91、2091が揺動部材90及び2090の重心と一致しない場合であっても、両者のずれが比較的小さい場合は、制御部400がインクカートリッジ10の状態を判断するためには、おおよそ第1の角度に相当する角度だけ、装着部300の水平面に対する角度が変化しなければならない。したがって、第2実施形態においては、装着部300を移動させるための空間は比較的大きくなり、第1実施形態においては、装着部300を移動させるための空間は比較的小さくなる。
【0184】
[第3実施形態]
図35及び図36を参照して、本発明の第3実施形態のインク吐出システムを説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0185】
第3実施形態は、装着部300が手動で移動するのではなく、モータによって駆動される点、姿勢検知部がリミットスイッチでなく、モータに接続されたエンコーダを有する点、及び、インク供給装置30が装着検知部の一例である光学センサ344を有していない点が第1実施形態と異なる。また、第3実施形態は、制御部400が行う判断処理が第1実施形態と異なる。
【0186】
図35は、第3実施形態のインクジェットプリンタ100の電気的構成の概略を示すブロック図である。図36は、第3実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。インクジェットプリンタ100は、装着部300を駆動するモータ3002と、モータ3002を駆動するためのモータ駆動回路3004とを有している。モータ駆動回路3004は、ASIC410とモータ3002とに電気的に接続されており、ASIC410から信号を受けて、モータ3002を駆動する。インクジェットプリンタ100は、装着部300の移動を検知する移動検知部を備えている。より具体的には、移動検知部は、装着部300の姿勢を検知する姿勢検知部を有している。姿勢検知部は、モータ3002に接続されたエンコーダ3006を有している。エンコーダ3006は、ASIC410に電気的に接続されている。エンコーダ3006は、例えば、アブソリュート型のエンコーダであり、モータ3002の回転角度、すなわち、装着部300の姿勢に応じて異なる信号を出力する。制御部400はエンコーダ3006から入力される信号に基づいてモータ3002の回転角度、すなわち、装着部300がいかなる姿勢にあるかを判断する。インクジェットプリンタ100は不図示の装着完了ボタンを有する。装着完了ボタンは、ASIC410に電気的に接続されている。
【0187】
図36の判断処理は、ユーザーが、装着部300へのインクカートリッジ10の装着を完了し、装着完了ボタンを押すことにより開始される。
【0188】
判断処理が開始されると、制御部400は、S11において、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域Iに記憶する。なお、インクカートリッジ10は、装着部300が第1の姿勢にあるときに、装着部300に装着されるので、S11で記憶される受光部342Cの状態は、装着部300が第1の姿勢にあるときの受光部342Cの状態である。また、制御部400は、エンコーダ3006から入力される信号に基づいて、S11において、装着部300が第1の姿勢にあることが分かる。次に、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bの発光を中止し、S12において、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動するようモータ3002の駆動を開始する。その後、制御部400は、S13において、エンコーダ3006から入力される信号に基づき、装着部300が第2の姿勢に到達したか否かを判断する。制御部400は、装着部300が第2の姿勢に到達していないと判断した場合には、S13を繰り返す。制御部400は、装着部300が第2の姿勢に到達したと判断した場合には、S14において、モータ3002の駆動を停止する。その後、S15において、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域Jに記憶する。その後、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bの発光を中止し、S16において、記憶領域Iに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態とを比較する。制御部400は、S16において、受光部342Cの状態が異なると判断した場合には、S17において、インクカートリッジ10が正常であると判断し、判断処理を終了する。制御部400は、S16において、受光部342Cの状態が同じと判断した場合には、S18において、インクカートリッジ10が異常であると判断し、判断処理を終了する。本実施形態の制御部400及びS16からS18は、本発明の状態判断部の一例である。
【0189】
制御部400は、S11からS15の間、常に発光部342Bを発光させていてもよいが、少なくとも、S11及びS15において、発光部342Bを発光させればよい。
【0190】
本実施形態においては、エンコーダ3006を有する姿勢検知部を有する移動検知部によって装着部300の移動が検知される。制御部400は、装着部300が第1の姿勢にあることが検知されている状態と装着部300が第2の姿勢にあることが検知されている状態とにおける受光部342Cの状態を比較することにより、装着部300の移動が検知されている間に受光部342Cの状態が変化したか否かを、判断できる。この結果、制御部400は、装着部300の移動が検知されている間、受光部342Cの状態を監視する必要がなく、すなわち、受光部342Cの状態を定期的に幾度も判断する必要がなく、装着部300が第1及び第2の姿勢にあるときだけ、受光部342Cの状態を判断すればよい。よって、制御部400の判断処理の負荷が少ない。また、発光部342Bは、少なくとも装着部300が第1の姿勢にあることが検知されている状態と装着部300が第2の姿勢にあることが検知されている状態とにおいて発光すれば良く、装着部300の移動が検知されている間発光し続ける必要がないので、発光に伴う発光部342Bの劣化速度が遅くなり、発光部342Bの寿命が延びる。また、制御部400は、装着部300が静止している状態における受光部342Cの状態を比較するので、装着部300が移動している間に受光部342Cの状態を監視して受光部342Cの状態変化を判断する場合に比べて、より確実にインクカートリッジ10が正常状態であるか異常状態であるかを判断できる。
【0191】
インクカートリッジ10が装着部300に装着されていない状態で、図36の判断処理が行わると、記憶領域I及び記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態は共にON状態であり、制御部400は、インクカートリッジ10が異常であると判断する。すなわち、本実施形態においては、インク供給装置30が装着検知部を有していないので、インクカートリッジ10が装着部300に装着されていない場合と、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を備えていない場合とが区別されず、いずれの場合にも、制御部400は、インクカートリッジ10が異常であると判断する。一方、第1実施形態においては、インク供給装置30が装着検知部の一例である光学センサ344を有しているので、インクカートリッジ10が装着部300に装着されていない場合と、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を備えていない場合とを区別できる。よって、第1実施形態においては、インクカートリッジ10自体の異常状態を正確に判断できる。
【0192】
モータ3002はステッピングモータであってよい。その場合には、姿勢検知部は、エンコーダ3006を有しておらず、ステッピングモータに与えたパルス数により、装着部の姿勢を間接的に検知するものであってよい。
【0193】
[第4実施形態]
図37を参照して、本発明の第4実施形態のインク吐出システムを説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0194】
第4実施形態は、インク供給装置30が装着検知部の一例である光学センサ344を有していない点が第1実施形態と異なる。また、第4実施形態は、制御部400が行う判断処理が第1実施形態と異なる。
【0195】
図37は、第4実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。制御部400は、第1のリミットスイッチ346の状態を監視し、第1のリミットスイッチ346の状態がON状態からOFF状態になったときに、図37の判断処理を開始する。すなわち、図37の判断処理は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことが検知されたときに、開始される。なお、判断処理の途中において、第1のリミットスイッチ346の状態がOFF状態からON状態となった場合には、制御部400は、判断処理を中止する。
【0196】
判断処理が開始されると、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、S21において、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域I及び記憶領域Jに記憶する。次に、S22において、記憶領域Iに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態とを比較する。制御部400は、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが同じであると判断した場合、S23において、第2のリミットスイッチ348がON状態であるかを判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第2の姿勢になったことが検知されたかを判断する。制御部400は、第2のリミットスイッチ348がON状態でないと判断した場合には、S24において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態を記憶領域Jに記憶する。さらに、S25において、受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域Iに記憶する。その後、制御部400はS22に戻る。すなわち、制御部400は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことが検知されてから、S22からS25のループに従って、定期的に受光部342Cの状態を判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことが検知されてから受光部342Cの状態を監視する。制御部400は、S22において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが異なると判断した場合、S26において、インクカートリッジ10が正常であると判断し、判断処理を終了する。制御部400は、S23において、第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断した場合、S27において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。この判断処理の間、制御部400は、全てのステップにおいて光学センサ342の発光部342Bを常に発光させる。本実施形態の制御部400及びS22、S23、S26、及び、S27は本発明の状態判断部の一例である。
【0197】
装着部300に装着されたインクカートリッジ10が新品で、正常であれば、すなわち、揺動部材90を有しており、揺動部材90が正常に揺動すれば、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間に、受光部342Cの状態が変化する。よって、第2のリミットスイッチ348がON状態となる前に、制御部400は、S22において、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とが異なると判断し、インクカートリッジ10が正常であると判断する。装着部300に装着されたインクカートリッジ10が異常である、例えば、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を有していない場合には、装着部300が第1の姿勢から第2の移動しても、受光部342Cの状態は変わらない。すなわち、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とは常に同じになり、制御部400は、インクカートリッジ10が異常であると判断する。
【0198】
本実施形態においては、制御部400は、装着部300が第2の姿勢なったことが検知される前にインクカートリッジが正常状態と判断する。よって、装着部300が第2の姿勢になることを待つことなく、早期に、インクカートリッジ10の正常状態が判断される。
【0199】
第3実施形態と同様に、本実施形態においては、インク供給装置30が装着検知部を有していないので、インクカートリッジ10が装着部300に装着されていない場合と、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を備えていない場合とが区別されず、いずれの場合にも、制御部400は、インクカートリッジ10が異常であると判断する。
【0200】
[第5実施形態]
図38を参照して、本発明の第5実施形態のインク吐出システムを説明する。第4実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第4実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0201】
第5実施形態は、制御部400が行う判断処理が第4実施形態と異なる。
【0202】
図38は、第5実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。図38に示された判断処理は、図37に示された第4実施形態の判断処理と同様であるが、制御部400は、S32において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが異なる場合には、S36において、RAM406の特定の記憶領域にフラグを立て、その後、S33に進む。制御部400は、S33において、第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断した場合には、S37において、特定の記憶領域にフラグが立っている否かを判断する。特定の記憶領域にフラグが立っている場合、制御部400は、S38において、インクカートリッジ10が正常であると判断する。特定の記憶領域にフラグが立っていない場合、制御部400は、S39において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。本実施形態の制御部400及びS32、S33、S36、S37、S38、及び、S39は、本発明の状態判断部の一例である。
【0203】
[第6実施形態]
図39を参照して、本発明の第6実施形態のインク吐出システムを説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0204】
第6実施形態は、インク供給装置30が装着検知部の一例である光学センサ344を有していない点、移動検知部の有する姿勢検知部が第2のリミットスイッチ348を有しておらず、第1のリミットスイッチ346のみを有している点、及び、制御部400が計測部の一例であるタイマを有している点が第1実施形態と異なる。また、第6実施形態は、制御部400が行う判断処理が第1実施形態と異なる。
【0205】
本実施形態において、制御部400は、その内部に、計測部の一例である予め決められた時間を計測するタイマを有している。
【0206】
第1のリミットスイッチ346を有する姿勢検知部を有する移動検知部は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことを検知することをもって、装着部300が移動を開始したことを検知できる。すなわち、装着部300が第1の姿勢でない間が、装着部300の移動が検知されている間となる。
【0207】
図39は、第6実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。制御部400は、第1のリミットスイッチ346の状態を監視し、第1のリミットスイッチ346の状態がON状態からOFF状態になったときに、図39の判断処理を開始する。すなわち、図39の判断処理は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことが検知されたときに、開始される。なお、判断処理の途中において、第1のリミットスイッチ346の状態がOFF状態からON状態となった場合には、制御部400は、判断処理を中止する。
【0208】
判断処理が開始されると、まず、制御部400は、S41において、タイマにより、予め決められた時間の計測を開始する。その後、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、S42において、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域I及び記憶領域Jに記憶する。次に、S43において、記憶領域Iに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態とを比較する。制御部400は、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが同じであると判断した場合、S44において、タイマによる予め決められた時間の計測が完了したかを判断する。制御部400は、タイマによる予め決められた時間の計測が完了していないと判断した場合には、S45において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態を記憶領域Jに記憶する。さらに、S46において、受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域Iに記憶する。その後、制御部400はS43に戻る。すなわち、制御部400は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことが検知されてから、S43からS46のループに従って、定期的に受光部342Cの状態を判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなったことが検知されてから受光部342Cの状態を監視する。制御部400は、S43において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが異なると判断した場合、S47において、インクカートリッジ10が正常であると判断し、判断処理を終了する。制御部400は、S44において、タイマによる予め決められた時間の計測が完了したと判断した場合、S48において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。この判断処理の間、制御部400は、S42からS46のステップにおいて光学センサ342の発光部342Bを常に発光させる。本実施形態の制御部400及びS41、S43、S44、S47、及び、S48は、本発明の状態判断部の一例である。
【0209】
予め決められた時間は、ユーザーがリンク機構310を操作して、装着部300を第1の姿勢から第2の姿勢に移動させるのに充分な時間が設定されている。したがって、装着部300に装着されたインクカートリッジ10が新品で、正常であれば、すなわち、揺動部材90を有しており、揺動部材90が正常に揺動すれば、装着部300が第1の姿勢から第1の姿勢でなくなってから予め決められた時間内に、受光部342Cの状態が変化する。よって、タイマによる予め決められた時間の計測が完了する前に、制御部400は、S43において、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とが異なると判断し、S47において、インクカートリッジ10が正常であると判断する。装着部300に装着されたインクカートリッジ10が異常である、例えば、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を有していない場合には、予め決められた時間が経過しても、受光部342Cの状態は変わらない。すなわち、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とは常に同じになり、制御部400は、S48において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。
【0210】
本実施形態のインクジェットプリンタ100によれば、移動検知部の有する姿勢検知部が第2のリミットスイッチ348を有していなくても、インクカートリッジ10の状態を判断できる。この結果、インクジェットプリンタ100の物理的な部品点数が少なくなる。また、装着部300が故障していて移動できないために、受光部342Cの状態が変化しない場合であっても、予め決められた時間が経過した後に、インクカートリッジ10が異常状態と判断される。よって、装着部300の故障に対処できる。
【0211】
なお、本実施形態においては、装着部300が第2の姿勢にあることが検知されないので、第1の実施形態とは異なり、装着部300の姿勢にかかわらず、記録ヘッド132からインクが吐出されることが許容される。
【0212】
[第7実施形態]
図40を参照して、本発明の第7実施形態のインク吐出システムを説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0213】
第7実施形態は、移動検知部の有する姿勢検知部が第1のリミットスイッチ346を有しておらず、第2のリミットスイッチ348のみを有している点が第1実施形態と異なる。また、第7実施形態は、制御部400が行う判断処理が第1実施形態と異なる。
【0214】
図40は、第7実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。制御部400は、光学センサ344の発光部344Bを発光させ、受光部344Cの状態を監視し、光学センサ344の受光部344Cの状態がON状態からOFF状態になったときに、図40の判断処理を開始する。すなわち、図40の判断処理は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されたときに、開始される。なお、判断処理の途中において、光学センサ344の受光部344Cの状態がOFF状態からON状態となった場合には、制御部400は、例えば、インクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させ、ユーザーにインクカートリッジ10を装着部300に再装着するよう促す。
【0215】
判断処理が開始されると、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、S51において、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域I及び記憶領域Jに記憶する。なお、インクカートリッジ10は、装着部300が第1の姿勢にあるときに、装着部300に装着されるので、S51で記憶される受光部342Cの状態は、装着部300が第1の姿勢にあるときの受光部342Cの状態である。次に、S52において、記憶領域Iに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態とを比較する。制御部400は、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが同じであると判断した場合、S53において、第2のリミットスイッチ348がON状態であるかを判断する。すなわち、制御部400は、装着部300が第2の姿勢になったことが検知されたかを判断する。制御部400は、第2のリミットスイッチ346がON状態でないと判断した場合には、S54において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態を記憶領域Jに記憶する。さらに、S55において、受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域Iに記憶する。その後、制御部400はS52に戻る。すなわち、制御部400は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されてから、S52からS55のループに従って、定期的に受光部342Cの状態を判断する。すなわち、制御部400は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されてから受光部342Cの状態を監視する。制御部400は、S52において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが異なると判断した場合、S56において、インクカートリッジ10が正常であると判断し、判断処理を終了する。制御部400は、S53において、第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断した場合、S57において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。この判断処理の間、制御部400は、全てのステップにおいて光学センサ342の発光部342Bを常に発光させる。本実施形態の制御部400及びS52、S53、S56、及び、S57は、本発明の状態判断部の一例である。
【0216】
装着部300に装着されたインクカートリッジ10が新品で、正常であれば、すなわち、揺動部材90を有しており、揺動部材90が正常に揺動すれば、装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間に、受光部342Cの状態が変化する。よって、第2のリミットスイッチ348がON状態となる前に、制御部400は、S52において、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とが異なると判断し、S56において、インクカートリッジ10が正常であると判断する。装着部300に装着されたインクカートリッジ10が異常である、例えば、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を有していない場合には、装着部300が第1の姿勢から第2の移動しても、受光部342Cの状態は変わらない。すなわち、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とは常に同じになり、制御部400は、S57において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。
【0217】
本実施形態においては、制御部400は、装着部300が第2の姿勢なったことが検知される前にインクカートリッジが正常状態と判断する。よって、装着部300が第2の姿勢になることを待つことなく、早期に、インクカートリッジ10の正常状態が判断される。
【0218】
[第8実施形態]
図41を参照して、本発明の第8実施形態を説明する。第7実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第7実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0219】
第8実施形態は、制御部400が行う判断処理が第7実施形態と異なる。
【0220】
図41は、第8実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。図41に示された判断処理は、図40に示された第7実施形態の判断処理と同様であるが、制御部400は、S62において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが異なる場合には、S66において、RAM406の特定の記憶領域にフラグを立て、その後、S63に進む。制御部400は、S63において、第2のリミットスイッチ348がON状態であると判断した場合には、S67において、特定の記憶領域にフラグが立っている否かを判断する。特定の記憶領域にフラグが立っている場合、制御部400は、S68において、インクカートリッジ10が正常であると判断する。特定の記憶領域にフラグが立っていない場合、S69において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。本実施形態の制御部400及びS62、S63、S66、S67、S68、及び、S69は、本発明の状態判断部の一例である。
【0221】
[第9実施形態]
図42を参照して、本発明の第9実施形態を説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0222】
第9実施形態は、インジェットプリンタ100が移動検知部を有していない点、及び、制御部400が計測部の一例であるタイマを有している点が第1実施形態と異なる。また、第9実施形態は、制御部400が行う判断処理が第1実施形態と異なる。
【0223】
本実施形態において、制御部400は、その内部に、計測部の一例である予め決められた時間を計測するタイマを有している。
【0224】
図42は、第9実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。制御部400は、光センサ344の受光部344Cの状態を監視し、受光部344Cの状態がON状態からOFF状態になったときに、図42の判断処理を開始する。すなわち、図42の判断処理は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されたときに、開始される。なお、判断処理の途中において、光学センサ344の受光部344Cの状態がOFF状態からON状態となった場合には、制御部400は、例えば、インクジェットプリンタ100の表示部(不図示)に所定のメッセージを表示させ、ユーザーにインクカートリッジ10を装着部300に再装着するよう促す。
【0225】
判断処理が開始されると、制御部400は、S71において、タイマにより、予め決められた時間の計測を開始する。その後、制御部400は、光学センサ342の発光部342Bを発光させ、S72において、光学センサ342の受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域I及び記憶領域Jに記憶する。なお、インクカートリッジ10は、装着部300が第1の姿勢にあるときに、装着部300に装着されるので、S72で記憶される受光部342Cの状態は、装着部300が第1の姿勢にあるときの受光部342Cの状態である。次に、S73において、記憶領域Iに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶されている光学センサ342の受光部342Cの状態とを比較する。制御部400は、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが同じであると判断した場合、S74において、タイマによる予め決められた時間の計測が完了したかを判断する。制御部400は、タイマによる予め決められた時間の計測が完了していないと判断した場合には、S75において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態を記憶領域Jに記憶する。さらに、S76において、受光部342Cの状態を判断し、その状態を記憶領域Iに記憶する。その後、制御部400はS73に戻る。すなわち、制御部400は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されてから、S73からS76のループに従って、定期的に受光部342Cの状態を判断する。すなわち、制御部400は、装着部300にインクカートリッジ10が装着されたことが検知されてから受光部342Cの状態を監視する。制御部400は、S73において、記憶領域Iに記憶されている受光部342Cの状態と、記憶領域Jに記憶されている受光部342Cの状態とが異なると判断した場合、S77において、インクカートリッジ10が正常であると判断し、判断処理を終了する。制御部400は、S74において、タイマによる予め決められた時間の計測が完了したと判断した場合、S78において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。この判断処理の間、制御部400は、S72からS76のステップにおいて光学センサ342の発光部342Bを常に発光させる。本実施形態の制御部400及びS71、S73、S74、S77、及び、S78は、本発明の状態判断部の一例である。
【0226】
予め決められた時間は、ユーザーが装着部300にインクカートリッジ10を装着してから、リンク機構310を操作して、装着部300を第1の姿勢から第2の姿勢に移動させるのに充分な時間が設定されている。したがって、装着部300に装着されたインクカートリッジ10が新品で、正常であれば、すなわち、揺動部材90を有しており、揺動部材90が正常に揺動すれば、装着部300にインクカートリッジ10が装着されてから予め決められた時間内に、装着部300が移動して、受光部342Cの状態が変化する。よって、タイマによる予め決められた時間の計測が完了する前に、制御部400は、S73において、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とが異なると判断し、S77において、インクカートリッジ10が正常であると判断する。装着部300に装着されたインクカートリッジ10が異常である、例えば、揺動部材90の動きが阻害されている、もしくは、インクカートリッジ10が揺動部材90を有していない場合には、予め決められた時間が経過しても、受光部342Cの状態は変わらない。すなわち、記憶領域Iに記憶された受光部342Cの状態と記憶領域Jに記憶された受光部342Cの状態とは常に同じになり、制御部400は、S78において、インクカートリッジ10が異常であると判断する。
【0227】
本実施形態のインクジェットプリンタ100によれば、移動検知部を有していなくても、インクカートリッジ10の状態を判断できる。よって、インクジェットプリンタ100の物理的な部品点数が少なくなる。また、装着部300が故障していて移動できないために、受光部342Cの状態が変化しない場合であっても、予め決められた時間が経過した後に、インクカートリッジが異常状態と判断される。よって、装着部300の故障に対処できる。
【0228】
なお、本実施形態においては、装着部300が第2の姿勢にあることが検知されないので、第1の実施形態とは異なり、装着部300の姿勢にかかわらず、記録ヘッド132からインクが吐出されることが許容される。
【0229】
[第10実施形態]
図43及び図44を参照して、本発明の第10実施形態であるインク供給システムを説明する。第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して、説明を省略する。第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0230】
第10実施形態は、インクカートリッジ10が揺動部材でなく、浮き部材を有している。また、フレームの内部形状と、装着部が第1の姿勢及び第2の姿勢にあるときの、装着部の水平面に対する角度とが第1実施形態と異なる。
【0231】
図43は、第10実施形態のインクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、可動部材の一例である浮き部材1090の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。図44は、第10実施形態のインクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、図43と同様のフレーム20及び浮き部材1090の断面図である。第10実施形態のインクカートリッジ10は、浮き部材1090を有し、浮き部材1090は、インク収容室11内に配置されている。
【0232】
浮き部材1090は、インク収容室11に収容されるインクより比重が小さい樹脂材料で形成されている。浮き部材1090は、第1実施形態の揺動部材90と同様な樹脂材料により形成され、光を遮断する。
【0233】
浮き部材1090は、略球形の球形部1092と、球形部1092から延びる略直方体形状の遮光部1093とを有する。複数の第1のガイド壁1094が一対の側壁21の一方から他方にかけて幅方向12に延びている。複数の第1のガイド壁1094は、奥行き方向13に所定の間隔を隔てて一列に並んでいる。複数の第2のガイド壁1095が一対の側壁21の一方から他方にかけて幅方向12に延びている。複数の第2のガイド壁1095は、奥行き方向13に所定の間隔を隔てて一列に並んでいる。浮き部材1090は、複数の第1のガイド壁1094の列と複数の第2のガイド壁1095の列との間に配置されており、インク収容室11内のインクの液面の変化に応じて、2つの列の間で移動可能である。
【0234】
インクカートリッジ10は、装着部300が第1の姿勢にあるとき、下方から上方に向かう装着方向1360に沿って、装着部300に装着される。装着方向1360は、水平面に対して−60°傾いた方向である。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、インクカートリッジの奥行き方向13が装着方向1360と平行となる。インクカートリッジ10が装着部300に装着されるとき、フレーム20の前面22側から装着部300に装着される。
【0235】
図43に示されているように、インクカートリッジ10が装着部300に装着され、装着部300が第1の姿勢にあるとき、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度は−60°である。インク収容室11内のインクの液面Lは凸部70付近にある。浮き部材1090は、インクの液面Lに浮いており、遮光部1093は、光学センサ342の光路342Dに交わっている。
【0236】
図44に示すように、装着部300が第2の姿勢にあるとき、フレーム20の下面25と、一点鎖線で示されている水平面とがなす角度は60°である。インク収容室11内のインクの液面Lは、フレーム20の背面23付近にあり、浮き部材1090は、背面23付近でインク中に沈んだ状態でインク中に浮いている。遮光部1093は、光路342Dと交わっていない。
【0237】
上記の構成を備えたインク吐出システムにおいて、制御部400は、図29の判断処理を行うことにより、インクカートリッジ10が正常か否かを判断できる。
【0238】
上記第1実施形態から第10実施形態において、例えば、4つのインクカートリッジ10が装着部300に装着されるが、図29及び図36から図42に示されているインクカートリッジ10が正常か否かの判断処理は、各インクカートリッジ10毎に行われる。
【0239】
上記第1実施形態から第10実施形態において、記憶領域I、JはCPU402のレジスタの領域であってもよい。
【0240】
上記第1実施形態から第10実施形態において、インクカートリッジの外部から揺動部材に接触することなく、揺動部材をインク収容室及び光学センサに対して移動させることができる。よって、インクカートリッジの外部から揺動部材に接触して揺動部材を移動させる場合にくらべ、インク収容室からインクカートリッジの外へ液体が漏れだす可能性が小さい。
【0241】
第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態、第8実施形態、及び、第9実施形態においては、制御部400は、受光部342Cの状態を定期的に判断することにより、受光部342Cの状態が変化したか否かを判断していたが、制御部400による受光部342Cの状態が変化したか否かの判断は、受光部342Cの状態が変化したときに、割り込み処理を行うことによって行われてもよい。
【0242】
上記各実施形態の液体吐出システムは、インクを吐出することにより記録媒体に画像を形成するためのシステムに適用できるだけでなく、プリント配線基板の配線パターンの形成、液晶カラーフィルタの製造など、各種の液体を吐出して対象物に付着させるためのシステムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1】第1実施形態のインク吐出システムの全体的構成を示す概念図である。
【図2】インクカートリッジ10の斜視図であり、図2(A)は、前方から見たインクカートリッジ10の斜視図であり、図2(B)は、後方から見たインクカートリッジ10の斜視図である。
【図3】インク収納容器18の斜視図であり、図3(A)は、前方から見たインク収納容器18の斜視図であり、図3(B)は、後方から見たインク収納容器18の斜視図である。
【図4】フレーム20の斜視図であり、図4(A)は、前方から見たフレーム20の斜視図であり、図4(B)は、後方から見たフレーム20の斜視図である。
【図5】図2に示されているV−V線に従うインクカートリッジ10の断面図である。
【図6】図5において一点鎖線で囲まれた領域VIの拡大図である。
【図7】図5において一点鎖線で囲まれた領域VIIの拡大図である。
【図8】図5において一点鎖線で囲まれた領域VIIIの拡大図である。
【図9】フレーム20の側面図であり、図9(A)は、幅方向12に沿ってフレーム20の一方の面から見たフレーム20の側面図であり、図9(B)は、フレーム20から、インク収容室11を画定する壁を抜き出して示した図である。
【図10】フレーム20の側面図であり、図10(A)は、幅方向12に沿ってフレーム20の他方の面から見たフレーム20の側面図であり、図10(B)は、フレーム20から、インク収容室11を画定する壁を抜き出して示した図である。
【図11】揺動部材90の斜視図であり、図11(A)及び図11(B)は、それぞれ、異なる角度から見た揺動部材90の斜視図である。
【図12】装着部300が第1の姿勢にある状態におけるインク供給装置30の斜視図である。
【図13】装着部300が第2の姿勢にある状態におけるインク供給装置30の斜視図である。
【図14】図12に示されている矢印XIVの方向からみたインク供給装置30の正面図である。
【図15】装着部300が第1の姿勢にある状態において、X方向に沿ってインク供給装置30を支持壁320A側から見たインク供給装置30の側面図である。
【図16】装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間の姿勢にある状態おいて、X方向に沿ってインク供給装置30を支持壁320A側から見たインク供給装置30の側面図である。
【図17】装着部300が第2の姿勢にある状態において、X方向に沿ってインク供給装置30を支持壁320A側から見たインク供給装置30の側面図である。
【図18】図14に示されているXVIII−XVIII線に従う装着部300の断面図である。
【図19】光学センサ342の斜視図である。
【図20】光学センサ344の斜視図である。
【図21】図18に示されている装着部300にインクカートリッジ10が装着された状態における、図14に示されているXVIII−XVIII線に従うインクカートリッジ10及び装着部300の断面図である。
【図22】図21において一点鎖線で囲まれた領域XXIIの拡大図である。
【図23】図21において一点鎖線で囲まれた領域XXIIIの拡大図である。
【図24】インクジェットプリンタ100の電気的構成の概略を示すブロック図である。
【図25】インクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。
【図26】インクカートリッジ10が装着された装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間の姿勢にある状態における、図25と同様のフレーム20及び揺動部材90の断面図である。
【図27】インクカートリッジ10が装着された装着部300が第1の姿勢から第2の姿勢に移動する間の姿勢にある状態における、図25と同様のフレーム20及び揺動部材90の断面図である。
【図28】インクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、図25と同様のフレーム20及び揺動部材90の断面図である。
【図29】制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図30】インクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2のV−V線に従う断面図である。
【図31】インクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2のV−V線に従う断面図である。
【図32】インクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材90の、図2のV−V線に従う断面図である。
【図33】第2実施形態のインクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、揺動部材2090の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。
【図34】第2実施形態のインクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、図33と同様のフレーム20及び揺動部材2090の断面図である。
【図35】第3実施形態のインクジェットプリンタ100の電気的構成の概略を示すブロック図である。
【図36】第3実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図37】第4実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図38】第5実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図39】第6実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図40】第7実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図41】第8実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図42】第9実施形態の制御部400によって行われるインクカートリッジ10が正常か否かを判断する処理のステップを示すフローチャートである。
【図43】第10実施形態のインクカートリッジ10が第1の姿勢にある装着部300に装着された状態における、第1のカバー15、第2のカバー16、インク供給部50の一部、及び、大気導入部60の一部を取り除いたフレーム20、及び、浮き部材1090の、図2に示されているV−V線に従う断面図である。
【図44】第10実施形態のインクカートリッジ10が装着された装着部300が第2の姿勢にある状態における、図43と同様のフレーム20及び浮き部材1090の断面図である。
【符号の説明】
【0244】
1・・・インク吐出システム、10・・・インクカートリッジ、90・・・揺動部材、100・・・インクジェットプリンタ、300・・・装着部、342・・・光学センサ、344・・・光学センサ、346・・・第1のリミットスイッチ、348・・・第2のリミットスイッチ、400・・・制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体収容室と、液体収容室内に配置され、液体収容室に収容される液体より比重が小さい部分を有し、液体収容室内に収容された液体の液面の位置に応じて液体収容室内で移動可能である可動部材とを備えた液体カートリッジが、取り外し可能に装着され、水平面に対する傾きが変化するように移動可能な装着部と、
前記装着部に装着されている前記液体カートリッジの前記可動部材の一部の前記液体収容室に対する移動軌跡と交差する方向に光を発する発光部と、その移動軌跡上における前記可動部材の一部の位置に応じて予め決められた2つの状態をとり得る受光部とを有し、前記装着部に固定された光学検知部と、
前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する状態判断部と
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記装着部の移動を検知する移動検知部を備え、
前記状態判断部は、前記装着部の移動が検知されている間に前記受光部の状態が変化したと、判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記装着部の移動が検知されている間に前記受光部の状態が変化しなかったと、判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記装着部は、水平面に対する傾きが互いに異なる少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢とに移動可能であり、
前記移動検知部は、前記装着部が前記第1の姿勢もしくは前記第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有し、
前記状態判断部は、前記装着部が前記第1の姿勢にあることが検知されている第1の検知状態における前記受光部の状態と、前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されている第2の検知状態における前記受光部の状態とを比較し、前記第1の検知状態と前記第2の検知状態とで前記受光部の状態が異なると判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が同じと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることを検知する装着検知部を備えており、
前記第1の検知状態は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることが検知されているとともに前記装着部が前記第1の姿勢にあることが検知されている状態であり、
前記第2の検知状態は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることが検知されているとともに前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されている状態であることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記装着部は、水平面に対する傾きが互いに異なる少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢とに移動可能であり、
前記移動検知部は、前記装着部が前記第1の姿勢もしくは前記第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有し、
前記状態判断部は、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから前記第2の姿勢になったことが検知されるまでの間に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記状態判断部は、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記装着部が前記第2の姿勢になったことが検知される前に前記液体カートリッジが正常状態と判断することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
時間を計測する計測部を備えており、
前記装着部は、水平面に対する傾きが互いに異なる少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢とに移動可能であり、
前記移動検知部は、前記装着部が前記第1の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有し、
前記計測部は、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから予め決められた時間を計測し、
前記状態判断部は、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記計測された予め決められた時間内に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
液体を吐出する液体吐出部と、
前記液体吐出部を制御する吐出制御部と、
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたときに、前記液体収容室と前記液体吐出部とを連通させる接続部とを備え、
前記液体カートリッジは、前記装着部が前記第1の姿勢にあるときに、前記装着部に装着可能であり、
前記吐出制御部は、前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されているときに、前記液体吐出部が液体を吐出することを許容することを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記装着部は、少なくとも、前記液体カートリッジが取り外し可能に装着される第1の姿勢と、水平面に対する傾きが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに移動可能であり、
前記装着部が前記第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部と、
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることを検知する装着検知部とを備え、
前記状態判断部は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから前記装着部が前記第2の姿勢になったことが検知されるまでの間に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記状態判断部は、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記装着部が前記第2の姿勢になったことが検知される前に前記液体カートリッジが正常状態と判断することを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることを検知する装着検知部と、
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから予め決められた時間を計測する計測部とを備えており、
前記装着部は、少なくとも、前記液体カートリッジが取り外し可能に装着される第1の姿勢と、水平面に対する傾きが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに移動可能であり、
前記状態判断部は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記計測された予め決められた時間内に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
液体を吐出する液体吐出部と、
前記液体吐出部を制御する吐出制御部と、
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたときに、前記液体収容室と前記液体吐出部とを連通させる接続部とを備え、
前記吐出制御部は、前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されているときに、前記液体吐出部が液体を吐出することを許容することを特徴とする請求項9または10に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
液体収容室と、液体収容室内に配置され、液体収容室に収容される液体より比重が小さい部分を有し、液体収容室内に収容された液体の液面の位置に応じて液体収容室内で揺動可能である揺動部材と、前記揺動部材が所定の方向に移動したときに前記揺動部材と接触し得る位置に配置されている接触部とを備えた液体カートリッジと、
少なくとも、前記液体カートリッジが、上方から下方に向かう装着方向に沿って、取り外し可能に装着される第1の姿勢と、水平面に対する傾きが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに移動可能な装着部と、
前記装着部に装着されている前記液体カートリッジの前記揺動部材の一部の前記液体収容室に対する移動軌跡と交差する方向に光を発する発光部と、その移動軌跡上における前記揺動部材の一部の位置に応じて予め決められた2つの状態をとり得る受光部とを有し、前記装着部に固定された光学検知部と、
前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する状態判断部とを備えており、
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されているときであって、前記装着部が前記第2の姿勢にあるとともに、前記揺動部材が前記液体収容室に収容されている液体中に沈んでいるときに、前記揺動部材は前記接触部に接触しており、前記揺動部材の浮心と前記液体収容室に収容されている液体の液面との距離は、前記揺動部材の揺動中心と前記液体収容室に収容されている液体の液面との距離よりも小さく、
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されるときに、前記揺動中心は、前記装着方向に関して、前記揺動部材の前記浮心よりも下方に位置することを特徴とする液体吐出システム。
【請求項14】
前記揺動部材の前記浮心と前記揺動部材の重心とが一致していることを特徴とする請求項13に記載の液体吐出システム。
【請求項1】
液体収容室と、液体収容室内に配置され、液体収容室に収容される液体より比重が小さい部分を有し、液体収容室内に収容された液体の液面の位置に応じて液体収容室内で移動可能である可動部材とを備えた液体カートリッジが、取り外し可能に装着され、水平面に対する傾きが変化するように移動可能な装着部と、
前記装着部に装着されている前記液体カートリッジの前記可動部材の一部の前記液体収容室に対する移動軌跡と交差する方向に光を発する発光部と、その移動軌跡上における前記可動部材の一部の位置に応じて予め決められた2つの状態をとり得る受光部とを有し、前記装着部に固定された光学検知部と、
前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する状態判断部と
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記装着部の移動を検知する移動検知部を備え、
前記状態判断部は、前記装着部の移動が検知されている間に前記受光部の状態が変化したと、判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記装着部の移動が検知されている間に前記受光部の状態が変化しなかったと、判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記装着部は、水平面に対する傾きが互いに異なる少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢とに移動可能であり、
前記移動検知部は、前記装着部が前記第1の姿勢もしくは前記第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有し、
前記状態判断部は、前記装着部が前記第1の姿勢にあることが検知されている第1の検知状態における前記受光部の状態と、前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されている第2の検知状態における前記受光部の状態とを比較し、前記第1の検知状態と前記第2の検知状態とで前記受光部の状態が異なると判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が同じと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることを検知する装着検知部を備えており、
前記第1の検知状態は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることが検知されているとともに前記装着部が前記第1の姿勢にあることが検知されている状態であり、
前記第2の検知状態は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることが検知されているとともに前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されている状態であることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記装着部は、水平面に対する傾きが互いに異なる少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢とに移動可能であり、
前記移動検知部は、前記装着部が前記第1の姿勢もしくは前記第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有し、
前記状態判断部は、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから前記第2の姿勢になったことが検知されるまでの間に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記状態判断部は、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記装着部が前記第2の姿勢になったことが検知される前に前記液体カートリッジが正常状態と判断することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
時間を計測する計測部を備えており、
前記装着部は、水平面に対する傾きが互いに異なる少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢とに移動可能であり、
前記移動検知部は、前記装着部が前記第1の姿勢にあることを検知する姿勢検知部を有し、
前記計測部は、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから予め決められた時間を計測し、
前記状態判断部は、前記装着部が前記第1の姿勢から前記第1の姿勢でなくなったことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記計測された予め決められた時間内に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
液体を吐出する液体吐出部と、
前記液体吐出部を制御する吐出制御部と、
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたときに、前記液体収容室と前記液体吐出部とを連通させる接続部とを備え、
前記液体カートリッジは、前記装着部が前記第1の姿勢にあるときに、前記装着部に装着可能であり、
前記吐出制御部は、前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されているときに、前記液体吐出部が液体を吐出することを許容することを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記装着部は、少なくとも、前記液体カートリッジが取り外し可能に装着される第1の姿勢と、水平面に対する傾きが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに移動可能であり、
前記装着部が前記第2の姿勢にあることを検知する姿勢検知部と、
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることを検知する装着検知部とを備え、
前記状態判断部は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから前記装着部が前記第2の姿勢になったことが検知されるまでの間に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記状態判断部は、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記装着部が前記第2の姿勢になったことが検知される前に前記液体カートリッジが正常状態と判断することを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されていることを検知する装着検知部と、
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから予め決められた時間を計測する計測部とを備えており、
前記装着部は、少なくとも、前記液体カートリッジが取り外し可能に装着される第1の姿勢と、水平面に対する傾きが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに移動可能であり、
前記状態判断部は、前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたことが検知されてから前記受光部の状態を監視して、前記計測された予め決められた時間内に前記受光部の状態が変化したか否かを、判断し、前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
液体を吐出する液体吐出部と、
前記液体吐出部を制御する吐出制御部と、
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されたときに、前記液体収容室と前記液体吐出部とを連通させる接続部とを備え、
前記吐出制御部は、前記装着部が前記第2の姿勢にあることが検知されているときに、前記液体吐出部が液体を吐出することを許容することを特徴とする請求項9または10に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
液体収容室と、液体収容室内に配置され、液体収容室に収容される液体より比重が小さい部分を有し、液体収容室内に収容された液体の液面の位置に応じて液体収容室内で揺動可能である揺動部材と、前記揺動部材が所定の方向に移動したときに前記揺動部材と接触し得る位置に配置されている接触部とを備えた液体カートリッジと、
少なくとも、前記液体カートリッジが、上方から下方に向かう装着方向に沿って、取り外し可能に装着される第1の姿勢と、水平面に対する傾きが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに移動可能な装着部と、
前記装着部に装着されている前記液体カートリッジの前記揺動部材の一部の前記液体収容室に対する移動軌跡と交差する方向に光を発する発光部と、その移動軌跡上における前記揺動部材の一部の位置に応じて予め決められた2つの状態をとり得る受光部とを有し、前記装着部に固定された光学検知部と、
前記受光部の状態が変化したと判断したときに、前記液体カートリッジが正常状態と判断し、前記受光部の状態が変化しなかったと判断したときに、前記液体カートリッジが異常状態と判断する状態判断部とを備えており、
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されているときであって、前記装着部が前記第2の姿勢にあるとともに、前記揺動部材が前記液体収容室に収容されている液体中に沈んでいるときに、前記揺動部材は前記接触部に接触しており、前記揺動部材の浮心と前記液体収容室に収容されている液体の液面との距離は、前記揺動部材の揺動中心と前記液体収容室に収容されている液体の液面との距離よりも小さく、
前記液体カートリッジが前記装着部に装着されるときに、前記揺動中心は、前記装着方向に関して、前記揺動部材の前記浮心よりも下方に位置することを特徴とする液体吐出システム。
【請求項14】
前記揺動部材の前記浮心と前記揺動部材の重心とが一致していることを特徴とする請求項13に記載の液体吐出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【公開番号】特開2010−69757(P2010−69757A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240588(P2008−240588)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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