液体吐出装置
【課題】吐出面を容易に保護する。
【解決手段】 液体を吐出口11する液体吐出ヘッド4と、対象物2を支持するプラテン部6と、液体吐出ヘッド4が挿入される枠体であり、プラテン部6に対して近接離間する方向に移動可能なキャップフレーム7と、キャップフレーム7を移動させるフレーム移動機構51と、吐出面10の周縁部に内周側の端部8aが取付けられ、キャップフレーム7のプラテン部6側の端部43に外周側の端部8bが取付けられ、吐出面10の周縁部とキャップフレーム7の端部とを連結する弾性部材8とを備え、吐出面10とプラテン部6との間に対象物2の搬送路62を形成するときに、キャップフレーム7をプラテン部6から離間させ、弾性部材8を一方に撓ませて、弾性部材8を搬送路62から退避させる。印刷を行わないときに、キャップフレーム7をプラテン部6に近接させ、弾性部材8を他方に撓ませ、プラテン部6に弾性部材8を圧接させ、吐出面10とプラテン部6との間に密閉空間を形成する。
【解決手段】 液体を吐出口11する液体吐出ヘッド4と、対象物2を支持するプラテン部6と、液体吐出ヘッド4が挿入される枠体であり、プラテン部6に対して近接離間する方向に移動可能なキャップフレーム7と、キャップフレーム7を移動させるフレーム移動機構51と、吐出面10の周縁部に内周側の端部8aが取付けられ、キャップフレーム7のプラテン部6側の端部43に外周側の端部8bが取付けられ、吐出面10の周縁部とキャップフレーム7の端部とを連結する弾性部材8とを備え、吐出面10とプラテン部6との間に対象物2の搬送路62を形成するときに、キャップフレーム7をプラテン部6から離間させ、弾性部材8を一方に撓ませて、弾性部材8を搬送路62から退避させる。印刷を行わないときに、キャップフレーム7をプラテン部6に近接させ、弾性部材8を他方に撓ませ、プラテン部6に弾性部材8を圧接させ、吐出面10とプラテン部6との間に密閉空間を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドの液体を吐出する吐出口が設けられた吐出面を簡易な部材によって容易に閉塞して、この吐出面を保護することができる液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式を用いたプリンタ装置(以下、プリンタ装置という)は、記録紙に対してインク吐出ヘッドよりインクを吐出させて、画像や文字を印刷する。このインクジェットプリンタ装置は、低ランニングコスト、装置の小型化、印刷画像のカラー化が容易という利点を有する。
【0003】
プリンタ装置は、インクタンクからインクをインク吐出ヘッドの発熱抵抗体や圧電素子等の圧力発生素子が設けられたインク液室に供給し、インク液室内のインクを圧力発生素子で押圧して微小な吐出口、いわゆるノズルよりインクを液滴の状態で吐出する。プリンタ装置では、吐出したインク液滴を記録紙等に着弾させることで画像や文字を印刷する。
【0004】
このようなプリンタ装置では、インクを吐出するインク吐出ヘッドが精巧に作製されているため、保護する必要があり、特に、インクが吐出されるノズル付近は開閉可能なヘッドキャップで保護している。
【0005】
プリンタ装置では、ノズルが形成された吐出面に対向した位置にヘッドキャップを配置して、印刷を行わない待機中では吐出面を密閉し、印刷を行う場合には、吐出面からヘッドキャップを離間し、インクを吐出することができるように吐出面を開放する。これにより、プリンタ装置では、印刷を行っていない待機中におけるインクの乾燥や埃・紙粉の付着を防止でき、目詰まり等の不具合が発生することを防止できる。
【0006】
例えば、特許文献1のようなインク吐出ヘッドの長さが記録紙の幅に相当するラインヘッド式のプリンタ装置では、インク吐出ヘッドの吐出面が大きくなることに伴って、このインク吐出ヘッドを閉塞するヘッドキャップも大きくなる。このようなラインヘッド式のプリンタ装置では、ヘッドキャップとインク吐出ヘッドの吐出面から退避させるための移動機構やヘッドキャップをインク吐出ヘッドの吐出面から退避させて、吐出面を開放している間、ヘッドキャップを退避させるスペースの規模が大きくなってしまう。このため、ラインヘッド式のプリンタ装置では、装置自体が大型化するだけでなく、所望の精度や性能、コストを維持することは困難となる。
【0007】
そこで、特に、ライン型のプリンタ装置では、ヘッドキャップの小型化し、装置の大型化を防ぎ、インク吐出ヘッドの吐出面の閉塞、開放を容易に行うことができるものが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−254188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ヘッドキャップを小型化し、装置の大型化を防ぎ、液体吐出ヘッドの吐出面の閉塞、開放を容易に行うことができる液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成する本発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出する吐出口が形成され、液体を対象物に着弾させることで印刷を行う液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドの吐出口が形成された吐出面と対向して設けられ、対象物を吐出口と対向するように支持するプラテン部と、液体吐出ヘッドが挿入される枠体であって、液体吐出ヘッドの周囲でプラテン部に対して近接離間する方向に移動可能なキャップフレームと、キャップフレームをプラテン部に対して近接離間させるフレーム移動機構と、液体吐出ヘッドの吐出面の周縁部に内周側の端部が取付けられ、キャップフレームのプラテン部側の端部に外周側の端部が取付けられ、吐出面の周縁部とキャップフレームの端部とを連結する環状の弾性部材とを備える。液体吐出装置は、液体吐出ヘッドの吐出面とプラテン部との間に対象物の搬送路を形成するときに、フレーム移動機構によってキャップフレームをプラテン部から離間させることによって、弾性部材を一方に撓ませて、弾性部材を搬送路から退避させ、対象物に対して液体を吐出しないときに、フレーム移動機構によってキャップフレームをプラテン部に近接させることによって、弾性部材を他方に撓ませて、プラテン部の表面の周囲の受け部に弾性部材を圧接させ、吐出面とプラテン部との間に密閉空間を形成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、液体吐出ヘッドの周囲にキャップフレームを設け、液体吐出ヘッドの吐出面の周縁部と、キャップフレームのプラテン部側の端部とに亘って弾性部材を設けることによって、印刷を行う際に、キャップフレームをプラテン部から離間させ、弾性部材を一方に撓ませて搬送路から弾性部材を退避させるだけで、対象物が液体吐出ヘッドとプラテン部との間に搬送することができるようになる。一方、印刷を行わないときは、キャップフレームをプラテン部側に近接させ、弾性部材を他方に撓ませて、弾性部材をプラテン部の受け部に圧接させることで、吐出面とプラテン部との間を密閉し、吐出面を保護する。
【0012】
即ち、本発明は、液体吐出ヘッドの周囲においてキャップフレームをプラテン部に対して近接離間するだけで、液体吐出ヘッドの吐出面を閉塞、開放でき、ヘッドキャップを小型化し、装置の大型化を防ぐことができ、液体吐出ヘッドの吐出面の閉塞、開放を容易行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用したプリンタ装置の斜視図である。
【図2】同プリンタ装置のヘッドカートリッジ、プラテン部、メンテナンス機構の斜視図である。
【図3】ヘッドカートリッジの斜視図である。
【図4】プラテン部、クリーニング機構及びメンテナンス移動機構の斜視図である。
【図5】プラテン部の一部の斜視図である。
【図6】ヘッドカートリッジとプラテン部との間に密閉空間を形成した状態を示す断面図である。
【図7】弾性部材に突起部を設けた状態を示す断面図である。
【図8】キャップフレームをプラテン部に近接させている状態におけるフレーム移動機構の斜視図である。
【図9】ヘッドカートリッジとプラテン部との間に記録紙の搬送路を形成した状態を示す断面図である。
【図10】キャップフレームをプラテン部から離間させている状態におけるフレーム移動機構の斜視図である。
【図11】記録紙がインク吐出ヘッドと対向する位置に搬送され、プラテン部に支持されている状態を示す断面図である。
【図12】クリーニング移動機構の側面図である。
【図13】クリーニング部材の斜視図である。
【図14】メンテナンス移動機構の斜視図である。
【図15】プラテン部をヘッドカートリッジから離間させて、吐出面をクリーニングする前の状態を示す側面図である。
【図16】プラテン部をヘッドカートリッジから離間させた後、キャップフレームをプラテン部から離間させ、吐出面をクリーニングする前の状態を示す側面図である。
【図17】吐出面をクリーニングし始めた状態を示す側面図である。
【図18】吐出面をクリーニングしている途中の状態を示す側面図である。
【図19】吐出面をクリーニングした後の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を適用した液体吐出装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
【0015】
1.プリンタ装置
(1)ヘッドカートリッジ
(2)装置本体
(3)プラテン部
(4)キャップフレーム
(5)弾性部材
(6)フレーム移動機構
(7)ヘッドカートリッジの吐出面とプラテン部との間を開放する動作
(8)印刷動作
(9)ヘッドカートリッジの吐出面とプラテン部との間に密閉空間を形成する動作
2.クリーニング機能を備えたプリンタ装置
(1)クリーニング機構のクリーニング部材
(2)クリーニング機構のクリーニング移動機構
(3)メンテナンス移動機構
(4)クリーニング動作
【0016】
1.プリンタ装置
本発明を適用したプリンタ装置1は、図1に示すように、記録紙2の幅方向、すなわち図1中矢印W方向にインク吐出口(ノズル)11を略ライン状に色毎に並設した、いわゆるライン型のプリンタ装置である。なお、図1は、プリンタ装置1の外筐を省略し、内部の機構を記載したものである。
【0017】
このプリンタ装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のインクタンクから供給されるインクを吐出する液体吐出ヘッドとなるヘッドカートリッジ4と、このヘッドカートリッジ4装着される装置本体5とを備え、ヘッドカートリッジ4が装置本体5に対して着脱可能となっている。装置本体5は、図2〜図4に示すように、ヘッドカートリッジ4と対向して設けられ、記録紙2をヘッドカートリッジ4と対向させるプラテン部6を有する。また、プリンタ装置1は、ヘッドカートリッジ4とプラテン部6との間に密閉空間を形成するキャップフレーム7及び弾性部材8を有する。
【0018】
(1)ヘッドカートリッジ
ヘッドカートリッジ4は、各色のインクタンクから供給されたインクを発熱抵抗体で加熱して気泡を発生させてその圧力でインクを吐出する。ヘッドカートリッジ4は、図3に示すように、インクを吐出する吐出面10を有し、この吐出面10には各色のノズル11が記録紙2の幅方向、すなわち図3中矢印W方向に略ライン状に互いに平行に形成されている。吐出面10には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のノズル列12Y、12M、12C、12K(単に、ノズル列12ともいう)が形成されている。
【0019】
ヘッドカートリッジ4は、インクを吐出する際に、記録紙2の幅方向に移動することなく、各色のノズル列12毎にインクを吐出するため、記録紙2の幅方向に移動して印刷するシリアル型のプリンタ装置のようにプリンタヘッドを移動させる必要がない。また、記録紙2を連続的に走行させることができ、印刷時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0020】
ヘッドカートリッジ4は、図2に示すように、ノズル列12の方向の両側にフランジ部13を有し、このフランジ部13が装置本体5に設けられたフレーム24にねじ止めして固定されている。ヘッドカートリッジ4は、装置本体5に固定されていることによって、吐出面10の位置がずれることを防止でき、記録紙2と吐出面10との間隔を一定に維持することができる。
【0021】
(2)装置本体
装置本体5は、図1、図2及び図4に示すように、ヘッドカートリッジ4が装着されるカートリッジ装着部21と、印刷前の記録紙2が収容された給紙トレイ22と、印刷後の記録紙2が収容される排紙トレイ23と、カートリッジ装着部21に装着されたヘッドカートリッジ4の吐出面10と対向する位置に、記録紙2を支持するプラテン部6とを有する。
【0022】
カートリッジ装着部21は、ヘッドカートリッジ4を着脱可能に取り付けることができる。カートリッジ装着部21は、図2に示すように、ヘッドカートリッジ4のノズル列12の方向の両側に位置する板状の一対のフレーム24を有する。フレーム24には、上端に、ヘッドカートリッジ4のフランジ部13がねじ止めされ、ヘッドカートリッジ4を固定する固定部24aを有する。カートリッジ装着部21は、ヘッドカートリッジ4が挿入され、ヘッドカートリッジ4が固定部24aにねじ止めることによって、ヘッドカートリッジ4が固定される。
【0023】
給紙トレイ22及び排紙トレイ23は、図1に示すように、装置本体5の前面に取り付けられている。給紙トレイ22には、印刷前の記録紙2が収納されている。プリンタ装置1では、図示しない給紙ローラで、給紙トレイ22に収納されている記録紙2を装置本体5に給紙する。そして、プリンタ装置1では、印刷後、図示しない排紙ローラで印刷後の記録紙2を排紙トレイ23に送り、装置本体5から記録紙2を排紙する。
【0024】
(3)プラテン部
プラテン部6は、カートリッジ装着部21に装着されたヘッドカートリッジ4の吐出面10と対向する位置に設けられ、給紙トレイ22から給紙された記録紙2を吐出面10と対向する位置で支持する。プラテン部6は、図4及び図5に示すように、ヘッドカートリッジ4の吐出面10と略同じ大きさ又は吐出面10よりもやや大きく形成されている。プラテン部6は、ヘッドカートリッジ4の吐出面10と対向する面に、凹部31を有する。
【0025】
この凹部31には、プラテン部6とヘッドカートリッジ4との間を走行する記録紙2を支持する支持片32が複数形成されている。この支持片32は、ノズル列12と対向する箇所を避けて、略千鳥状に記録紙2の幅方向(W方向)に複数設けられている。プラテン部6では、支持片32をノズル列12と対向する箇所を避けて配置することによって、印刷を行っていない時に、ノズル11から垂れたインクにより汚染されることを避けることができる。
【0026】
支持片32は、搬送された記録紙2を支持する平坦部32aと、この平坦部32aに連続して形成され、搬送された記録紙2の先端を平坦部32aにガイドするガイド部32bとが形成されている。平坦部32aは、吐出面10と略平行に形成され、搬送された記録紙2を吐出面10と略平行となるように支持する。ガイド部32bは、記録紙2の搬送方向の上流側から下流側に向かって、記録紙2の搬送方向に対して上流側が低く、下流側か高くなるように傾斜して形成されている。これにより、ガイド部32bは、搬送されてきた記録紙2の先端を上流側から下流側に上昇させ、平坦部32aにガイドする。搬送された記録紙2は、ガイド部32bによって、平坦部32aにガイドされ、この平坦部32a上を走行することで、吐出面10と略平行を維持しながら走行することができ、記録紙2の搬送性が向上する。また、吐出面10と対向する位置に、支持片32が千鳥状に設けられていることによって、支持片32を略直線状に設けた場合より、支持片32が形成されていない部分で記録紙2が窪んでしまうことを防止できる。
【0027】
また、凹部31には、支持片32が形成されていない部分に、空吐出等によって吐出されたインクを吸収したり、水分を吸収している吸収体33を備える。この吸収体33は、インク等の液体を吸収できるものであればよい。プラテン部6に吸収体33を備えることによって、ヘッドカートリッジ4の吐出面10の湿度を保ち乾燥を防ぐことができる。
【0028】
(4)キャップフレーム
キャップフレーム7は、図2及び図3に示すように、ヘッドカートリッジ4が挿入される枠体である。キャップフレーム7は、ヘッドカートリッジ4との間に適度なクリアランスが形成される大きさであり、ヘッドカートリッジ4に沿って、プラテン部6に対して近接離間する方向に移動する。キャップフレーム7は、プラテン部6に対して近接離間する方向に移動することによって、ヘッドカートリッジ4の吐出面10とプラテン部6との間を密閉、開放し、吐出面10に塵等が付着したり、ノズル11内のインクが乾燥することを防ぐ。
【0029】
キャップフレーム7には、図3に示すように、ヘッドカートリッジ4のフランジ部13と対向する位置に、フランジ部41が形成され、ヘッドカートリッジ4のフランジ部13との間に弾性体であるバネ42が取り付けられている。このバネ42は、ヘッドカートリッジ4のフランジ部13とキャップフレーム7のフランジ部41との間に圧縮した状態で取付けられている。キャップフレーム7は、ヘッドカートリッジ4が装置本体5のフレーム24に固定されているので、バネ42によってプラテン部6側に押されている。
【0030】
(5)弾性部材
弾性部材8は、図3及び図6に示すように、吐出面10よりも一回り大きく、環状に形成されたゴム等の弾性体で形成されている。弾性部材8は、内周側の端部8aがヘッドカートリッジ4の吐出面10の周縁部に形成された段差部14に取り付けられ、外周側の端部8bがキャップフレーム7のプラテン部側の端部43に取り付けられている。この弾性部材8は、吐出面10及びキャップフレーム7の全周に亘って取付けられ、吐出面10の周縁部とキャップフレーム7の端部43とを連結している。弾性部材8は、内周側の端部8aが吐出面10の段差部14に取付けられているため、弾性部材8が吐出面10側に突出することがなくなり、吐出面10が平坦となる。弾性部材8は、図6に示すように、内周側の端部8aと外周側の端部8bの間に位置する中央部8cがキャップフレーム7の動きに応じて撓むようになっている。弾性部材8は、吐出面10をキャップフレーム7で保護する際に、プラテン部6の表面の周囲に設けられた受け部34に圧接され、吐出面10とプラテン部6との間に、キャップフレーム7と共に密閉空間44を形成する。この弾性部材8には、図7に示すように、外周側の端部8bのプラテン部6の受け部34と接する面に突起部8dを形成してもよい。弾性部材8は、プラテン部6の受け部34と接する面に突起部8dを形成することによって、プラテン部6との間に隙間が生じず、プラテン部6に対する圧接する力を向上させることができる。後述するように、ヘッドカートリッジ4の吐出面10とプラテン部6との間に密閉空間44の密閉性を向上させることができる。また、弾性部材8全体の受け部34に対して圧接する力が弱くても、突起部8dが形成されていることによって、突起部8に集中的に荷重がかかり、密閉空間44を密閉できる。弾性部材8は、柔軟性に富むゴム等で形成されているため、中央部8cが繰り返し撓んでも、破損等することがない。
【0031】
(6)フレーム移動機構
フレーム移動機構51は、キャップフレーム7をプラテン部6に対して、近接離間する方向に移動させる。フレーム移動機構51は、図6及び図8に示すように、キャップフレーム7の長手方向、即ち記録紙2の幅方向(W方向)に相当する方向の両側面45、45に設けられている。キャップフレーム7の一方の側面45に設けられたフレーム移動機構51は、駆動モータ52の駆動軸52aに取付けられた第1のプーリ53と連結シャフト54の一端に取り付けられた第2のプーリ55とが第1の無端ベルト56で接続されている。更に、連結シャフト54の第2のプーリ55と隣接して設けられた第3のプーリ57と、装置本体5のフレーム24のキャップフレーム7側の面に取付けられた偏心カム58とが第2の無端ベルト59で接続されている。なお、図6及び図8では、フレーム24を省略する。キャップフレーム7の側面45には、偏心カム58のプラテン部6側とは反対側の位置に、偏心カム58に隣接するようにカムフォロア46が取り付けられている。なお、図6では、フレーム移動機構51の構成を説明する上で、便宜的に偏心カム58及びカムフォロア46を記載した。キャップフレーム7の他方の側面45側においても、同様に、連結シャフト54の他端に取り付けられた第4のプーリ60と、図示しない偏心カムとが第3の無端ベルト61で接続されている。キャップフレーム7の両側面45、45に設けられたフレーム移動機構51は、連結シャフト54によって連結されている。
【0032】
(7)ヘッドカートリッジの吐出面とプラテン部との間を開放する動作
フレーム移動機構51でキャップフレーム7を昇降させ、プラテン部6から離間させて、ヘッドカートリッジ4の吐出面10とプラテン部6の間に密閉空間44を開放する動作について説明する。即ち、印刷を開始するために、キャップフレーム7及び弾性部材8をプラテン部6から離間させ、記録紙2の搬送路62を形成するための動作である。
【0033】
まず、図6及び図8に示すように、キャップフレーム7は、プラテン部6側に位置し、弾性部材8がプラテン部6の受け部34に圧接して密閉空間44を形成している状態から、駆動モータ52の駆動軸52aを図6中矢印方向に示す正転駆動させる。これにより、第1のプーリ53及び第2のプーリ55が駆動軸52aの回転方向と同方向に回転し、装置本体5の一対のフレーム24に取付けられた偏心カム58が同方向に180度回転する。この動作により、図9及び図10に示すように、キャップフレーム7は、カムフォロア46が偏心カム58の中心からの最長部によって押され、バネ42の力に抗して押し上げられる。この際に、弾性部材8は、中央部8cをヘッドカートリッジ4側に撓ませながら、外周側の端部8bがキャップフレーム4に引っ張られ、吐出面10よりも上に上がり、プラテン部6から離間し、密閉空間44が開放され、ヘッドカートリッジ4とプラテン部6との間に記録紙2が搬送される搬送路62が形成される。ヘッドカートリッジ4は、装置本体5に固定されたままであり、プラテン部6も移動しないため、密閉空間44を開放する動作を行っても、吐出面10の位置がずれることなく、吐出面10とプラテン部6との間の距離を所定の距離に容易に維持することができる。
【0034】
(8)印刷動作
次に、印刷動作について説明する。図9に示すように、記録紙2を搬送路62に給紙する一対の給紙ローラ71a、71bが図9に示す矢印方向に回転することによって、給紙トレイ22から給紙された記録紙2が搬送路62に進入する。給紙ローラ71a、71bと吐出面10との間には、記録紙2の先端が搬送路62に適切に進入するように、一対のガイド片72a、72bが記録紙2を上下で挟むように設けられている。
【0035】
プリンタ装置1では、図11に示すように、搬送路62に進入した記録紙2がプラテン部6の支持片32に支持されながら、吐出面10と対向する位置を走行すると共に、ヘッドカートリッジ4から吐出されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクが付着し、カラー又は白黒の画像を印刷する。そして、プリンタ装置1では、記録紙2が更に走行し、先端が一対のガイド片73a、73bの間に進入し、一対の排紙ローラ74a、74bによって排紙トレイ23に排紙されて、記録紙1枚の印刷が完了する。
【0036】
プリンタ装置1では、キャップフレーム7をプラテン部6から離間する方向に上げるだけで、キャップフレーム7及び弾性部材8がプラテン部6から離間し、密閉空間44を開放し、記録紙2の搬送路62を形成することができるため、短時間で、印刷を行っていない状態から印刷開始状態にすることができる。また、プリンタ装置1では、密閉空間44の開放動作を行っても、ヘッドカートリッジ4及びプラテン部6が移動しないため、吐出面10とプラテン部6とが所定の距離が維持されているため、良好な状態で印刷を行うことができ、高品質な画像を印刷することができる。
【0037】
また、プリンタ装置1では、吐出面10の段差部14に弾性部材8の内周側の端部8aが取付けられているため、吐出面10が平坦となり、搬送路62を走行する記録紙2が搬送路62内で詰まってしまうことを防止できる。
【0038】
(9)ヘッドカートリッジの吐出面とプラテン部との間に密閉空間を形成する動作
連続して印刷を行わず、印刷終了した場合には、ヘッドカートリッジ4のノズル11内のインクが乾燥したり、吐出面10に塵等が付着することが防止するため、キャップフレーム7をプラテン部6側に移動して、密閉空間44を形成する。
【0039】
具体的に、図11に示す状態において、駆動モータ52の駆動軸52aを矢印方向に示す正転駆動することによって、第1のプーリ53及び第2のプーリ55が同方向に回転し、装置本体5の一対のフレーム24に取付けられた偏心カム58が同方向に180度回転する。これにより、図6及び図8に示すように、キャップフレーム7は、偏心カム58の中心からの最長部によって押し上げられていたカムフォロア46が偏心カム58の中心からの最短部によって支持されるようになるためプラテン部6側に下がると共に、バネ42の力によって押し下げられる。キャップフレーム7は、プラテン部6に近接し、弾性部材8は、中央部8cをプラテン部6側に撓ませながら、外周側の端部8bがキャップフレーム7に引っ張られ、プラテン部6の受け部34に圧接される。これにより、プリンタ装置1では、図6に示すように、吐出面10とプラテン部6との間に密閉空間44を形成し、ノズル11の乾燥や吐出面10に塵等が付着することを防止でき、吐出面10を保護することができる。
【0040】
プリンタ装置1では、印刷後において、キャップフレーム7をプラテン部6側に移動させるだけで、弾性部材8をプラテン部6に圧接し、搬送路62を弾性部材8で遮断でき、短時間で吐出面10とプラテン部6との間に密閉空間44を形成することができる。これにより、プリンタ装置1では、印刷後、すぐに吐出面10を保護することができるため、ノズル11の乾燥や吐出面10に塵等が付着することをより防止できる。
【0041】
以上のようなプリンタ装置1では、キャップフレーム7をヘッドカートリッジ4に沿ってプラテン部6に対して近接離間する方向に移動させるだけ、即ち、キャップフレーム7の移動距離が短く、更に、ヘッドカートリッジ4の周囲に枠状に形成されているため、ライン方式の装置であっても小型化することができる。
【0042】
このプリンタ装置1では、キャップフレーム7及び弾性部材8でプラテン部6と吐出面10との間に短時間で密閉空間44を形成することができるため、印刷後、すぐに吐出面10を保護できる一方で、短時間で密閉空間44を開放できるため、吐出面10の密閉及び開放するための時間を飛躍的に短縮することができる。これにより、このプリンタ装置1では、ライン方式であっても、印刷開始までの時間を短くすることができ、ノズル11内のインクな乾燥や吐出面10への塵等の付着を防止するために、短時間で吐出面10を保護できる。
【0043】
プリンタ装置1では、キャップフレーム7及び弾性部材8による吐出面10の密閉及び開放が短時間であるため、短い印刷動作の間隔においても吐出面10をキャップフレーム7及び弾性部材8で密閉することができ、短時間でも乾燥しやすいノズル11内のインクや吐出面10への塵等の異物の付着を有効に防止することができる。
【0044】
プリンタ装置1では、プラテン部6の受け部34に圧接される弾性部材8の外周側の端部8bに突起部8dを設けることによって、弾性部材8のプラテン部6に対する全体の圧接力が弱くても、集中的に突起部8dに荷重がかかることで、強固な部品構成とせずにすむため、低コストで大きな抑止効果が得られる。また、弾性部材8に突起部8dを設けることによって、プラテン部6と弾性部材8との間に隙間が生じないため、大きな密閉効果を得ることができる。
【0045】
2.クリーニング機能を備えたプリンタ装置
上述したプリンタ装置1では、更に、吐出面10をクリーニングするクリーニング機能を備えていてもよい。プリンタ装置1は、吐出面10とクリーニングするクリーニング機構80と、吐出面10をクリーニングする際にプラテン部6及びクリーニング機構80を吐出面10から離間させるメンテナンス移動機構81とを備える。このクリーニング機構80は、図2及び図12に示すように、吐出面10をクリーニングするクリーニング部材82と、このクリーニング部材82を吐出面10に沿って移動させるクリーニング移動機構83とを有する。
【0046】
(1)クリーニング部材
クリーニング部材82は、図12及び図13に示すように、ヘッドカートリッジ4の吐出面10に付着している塵や増粘したインクを取り除き、吐出面10をクリーニングするクリーニングローラ84及びクリーニングブレード85である。クリーニングローラ84及びクリーニングブレード85は、プラテン部6と並設して設けられ、吐出面10をクリーニングしていない時は、図12に示すように、吐出面10とは対向しない位置に待機している。
【0047】
クリーニングローラ84は、回転しながら吐出面10上を摺擦できるように、フレーム86に回転可能に取り付けられている。このクリーニングローラ84は、スポンジ等の多孔質体で形成されており、吐出面10のノズル列12と直交する方向の幅に亘って接するように、長尺状に形成されている。クリーニングローラ84は、吐出面10に付着したインクや埃等を吸引し、吐出面10をクリーニングする。
【0048】
クリーニングブレード85は、吐出面10をクリーニングする際に、クリーニングローラ84よりも吐出面10と先に接するようにフレーム86の位置に取り付けられている。クリーニングブレード85は、吐出面10のノズル列12と直交する方向の幅に亘って接するように、ゴム等の弾性部材で板状に形成されている。クリーニングブレード85は、吐出面10を払拭することによって、クリーニングする。
【0049】
なお、クリーニング部材82は、クリーニングローラ84又はクリーニングブレード85のどちらか一方のみであってもよい。
【0050】
(2)クリーニング移動機構
クリーニング移動機構83は、図12及び図14に示すように、凹状に形成され、プラテン部6の長辺方向と同方向に長尺状に形成されたベース91を備える。クリーニング移動機構83は、このベース91の中央にプラテン部6が取り付けられ、クリーニング部材82がベース91の長辺に沿って移動可能に取り付けられている。クリーニング移動機構83は、ベース91の2つ長辺の面91a、91bに設けられている。一方の長辺の面91aに設けられたクリーニング移動機構83は、ベース91の長辺の一端の外側に設けられた駆動モータ92を有し、この駆動モータ92の回転軸92aに取り付けられた第5のプーリ93が第6のプーリ94と第4の無端ベルト95で接続されている。一端に、第6のプーリ94が取り付けられた回転軸94aは、ベース91を貫通し、他端に、図示しない第7のプーリが取付けられている。この第7のプーリは、ベース91の長辺の他端側において、ベース91の内部に設けられた第8のプーリ96と第5の無端ベルト97で接続されている。したがって、この第5の無端ベルト97は、ベース91の長辺に沿って取付けられている。同様に、他方の長辺の面91bにも、クリーニング移動機構83が設けられている。
【0051】
この第5の無端ベルト97には、クリーニング部材82のフレーム86が固定された固定部材98が連結されている。この第5の無端ベルト97は、クリーニング部材82をベース91の長辺に沿って移動させる。
【0052】
固定部材98は、両端がベース91の長辺の面91aと面92bとを接続され、中央にクリーニング部材82が取り付けられている。固定部材98は、長辺の面91a、91bの上方に、この面91a、91bに沿って設けられたガイドシャフト99に、両端部に設けられたガイド部100が移動可能に取り付けられている。ガイド部100には、第5の無端ベルト97を挟み込んで固定部材98を第5の無端ベルト97と連結するベルト連結部101を有する。
【0053】
(3)メンテナンス移動機構
メンテナンス移動機構81は、クリーニング部材82で吐出面10をクリーニングする際に、吐出面10からプラテン部6及びクリーニング機構80を離間させる。メンテナンス移動機構81は、図12に示すように、キャップフレーム7がプラテン部6に近接し、弾性部材8がプラテン部6の受け部34に圧接されている状態から、図14及び図15に示すように、ヘッドカートリッジ4は固定したまま、プラテン部6及びクリーニング機構80を吐出面10から離間させ、即ち図14及び図15中矢印X方向に移動させる。
【0054】
メンテナンス移動機構81は、図14に示すように、ベース91の短辺の面91c、91dに取付けられている。一方の面91cに取付けられたメンテナンス移動機構81は、図示しない駆動モータの回転軸と接続された、ベース91を上下に移動させる第6の無端ベルト111が取付けられた一対の上プーリ112と下プーリ113と、ベース91に取付けられた移動部116とを有する。この移動部116には、第6の無端ベルト111を連結するための連結部114を有する。メンテナンス移動機構81は、連結部114が第6の無端ベルト111の回転に合わせて移動することによって、移動部116がガイドシャフト115に沿って上下に移動し、この移動部116が取付けられているベース91も上下に移動する。ベース91の面91dにも、ベース91の面91cと同様に、上プーリ112、下プーリ113、連結部(図示せず)、ガイドシャフト115、及び移動部116が設けられている。
【0055】
(4)クリーニング動作
プリンタ装置1では、吐出面10をクリーニング部材82でクリーニングする動作について説明する。
【0056】
プリンタ装置1では、図12に示すように、プラテン部6と吐出面10との間に密閉空間44を形成した状態から、印刷を開始する際に、図示しない駆動モータを駆動し、図14に示すように、上プーリ112及び下プーリ113に取付けられた第6の無端ベルト111をベース91を吐出面10から離間させる方向、即ち図15中X方向に回転させる。これにより、メンテナンス移動機構81では、ベース91に取付けられた移動部116がガイドシャフト115に沿ってX方向に移動し、プラテン部6が吐出面10から離間すると共に、クリーニング機構80を移動させる。この際に、ヘッドカートリッジ4は装置本体5に固定されたままであり、図15に示すように、クリーニング部材82が吐出面10と接する位置となるように、ベース91を下に下げる。
【0057】
次に、プリンタ装置1では、クリーニング部材82を吐出面10と対向する位置に挿入する際に、キャップフレーム7の端部に取付けられた弾性部材8とクリーニング部材82が接しないようにする。プリンタ装置1では、図16に示すように、上述した記録紙2の搬送路62を形成する場合と同様に、フレーム移動機構52によってキャップフレーム7をプラテン部6から離間する方向に移動させる。これにより、プリンタ装置1では、弾性部材8の中央部8cをヘッドカートリッジ4側に撓ませて、外周側の端部8bがキャップフレーム7に引き上げられる。プリンタ装置1では、弾性部材8が吐出面10よりも上に位置する状態となる。
【0058】
次に、図17に示すように、クリーニング移動機構83の駆動モータ92の回転軸92aを図17中矢印方向に示す正転駆動させることによって、第5のプーリ93及び第6のプーリ94が同方向に回転し、第5の無端ベルト97が矢印Y方向に回転する。これにより、プリンタ装置1では、第5の無端ベルト97に連結されている固定部材98が吐出面10と対向する位置に移動し、クリーニングローラ84及びクリーニングブレード85が吐出面10と対向する位置に進入する。
【0059】
更に、駆動モータ92を駆動し続け、第5の無端ベルト97を回転させることによって、図18に示すように、クリーニングブレード85が吐出面10を払拭し、続いてクリーニングローラ84が回転しながら吐出面10と接することによって、吐出面10に付着したインクや塵等を吸収し、吐出面10をクリーニングする。
【0060】
更に、駆動モータ92を駆動し続け、第5の無端ベルト97を回転させることによって、図19に示すように、吐出面10の端部までクリーニングローラ84及びクリーニングブレード85を移動させることによって、吐出面10のクリーニングが終了する。
【0061】
そして、駆動モータ92の回転軸92aを逆転させることによって、固定部材98が連結されている第5の無端ベルト97が逆回転し、クリーニングローラ84及びクリーニングブレード85を元の位置に戻す。
【0062】
その後、プリンタ装置1では、メンテナンス移動機構81の図示しない駆動モータの駆動軸を逆回転させ、第6の無端ベルト111を矢印X方向とは逆方向に回転させることによって、ベース91の移動部116をガイドシャフト115に沿って持ち上がり、図9示すように、吐出面10とプラテン部6との間に記録紙2の搬送路62を形成し、印刷可能な状態とする。
【0063】
プリンタ装置1では、吐出面10の段差部14に弾性部材8の内周側の端部8aが取付けられているため、吐出面10が平坦となり、クリーニングローラ84及びクリーニングブレード85によるクリーニングをスムーズに行うことができる。
【0064】
なお、上述では、吐出面10とプラテン部6との間に密閉空間44を形成した状態から、プラテン部6及びクリーニング機構80を吐出面10から離間させて、弾性部材8を引き上げ、クリーニング可能な状態とする動作を説明したが、印刷終了後、即ち、図9に示すように、すでに弾性部材8が搬送路62から退避されている状態からプラテン部6及びクリーニング機構80を下げてクリーニング可能な状態としてもよい。
【0065】
以上のようなクリーニング機能を備えたプリンタ装置1では、プラテン部6及びクリーニング機構80を吐出面10から離間させ、キャップフレーム7を記録紙2の搬送路62から退避させるだけで、吐出面10をクリーニング可能な状態に短時間でできる。
【符号の説明】
【0066】
1 プリンタ装置、2 記録紙、4 ヘッドカートリッジ、5 装置本体、6 プラテン部、7 キャップフレーム、8 弾性部材、10 吐出面、11 ノズル、12 ノズル列、13 フランジ部、14 段差部、21 カートリッジ装着部、31 凹部、32 支持片、33 吸収体、34 受け部、41 フランジ部、42 バネ、43 端部、44 密閉空間、45 側面、46 カムフォロア、51 フレーム移動機構、62 搬送路、80 クリーニング機構、81 メンテナンス移動機構、82 クリーニング部材、83 クリーニング移動機構、84 クリーニングローラ、85 クリーニングブレード、86 フレーム、91 ベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドの液体を吐出する吐出口が設けられた吐出面を簡易な部材によって容易に閉塞して、この吐出面を保護することができる液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式を用いたプリンタ装置(以下、プリンタ装置という)は、記録紙に対してインク吐出ヘッドよりインクを吐出させて、画像や文字を印刷する。このインクジェットプリンタ装置は、低ランニングコスト、装置の小型化、印刷画像のカラー化が容易という利点を有する。
【0003】
プリンタ装置は、インクタンクからインクをインク吐出ヘッドの発熱抵抗体や圧電素子等の圧力発生素子が設けられたインク液室に供給し、インク液室内のインクを圧力発生素子で押圧して微小な吐出口、いわゆるノズルよりインクを液滴の状態で吐出する。プリンタ装置では、吐出したインク液滴を記録紙等に着弾させることで画像や文字を印刷する。
【0004】
このようなプリンタ装置では、インクを吐出するインク吐出ヘッドが精巧に作製されているため、保護する必要があり、特に、インクが吐出されるノズル付近は開閉可能なヘッドキャップで保護している。
【0005】
プリンタ装置では、ノズルが形成された吐出面に対向した位置にヘッドキャップを配置して、印刷を行わない待機中では吐出面を密閉し、印刷を行う場合には、吐出面からヘッドキャップを離間し、インクを吐出することができるように吐出面を開放する。これにより、プリンタ装置では、印刷を行っていない待機中におけるインクの乾燥や埃・紙粉の付着を防止でき、目詰まり等の不具合が発生することを防止できる。
【0006】
例えば、特許文献1のようなインク吐出ヘッドの長さが記録紙の幅に相当するラインヘッド式のプリンタ装置では、インク吐出ヘッドの吐出面が大きくなることに伴って、このインク吐出ヘッドを閉塞するヘッドキャップも大きくなる。このようなラインヘッド式のプリンタ装置では、ヘッドキャップとインク吐出ヘッドの吐出面から退避させるための移動機構やヘッドキャップをインク吐出ヘッドの吐出面から退避させて、吐出面を開放している間、ヘッドキャップを退避させるスペースの規模が大きくなってしまう。このため、ラインヘッド式のプリンタ装置では、装置自体が大型化するだけでなく、所望の精度や性能、コストを維持することは困難となる。
【0007】
そこで、特に、ライン型のプリンタ装置では、ヘッドキャップの小型化し、装置の大型化を防ぎ、インク吐出ヘッドの吐出面の閉塞、開放を容易に行うことができるものが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−254188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ヘッドキャップを小型化し、装置の大型化を防ぎ、液体吐出ヘッドの吐出面の閉塞、開放を容易に行うことができる液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成する本発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出する吐出口が形成され、液体を対象物に着弾させることで印刷を行う液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドの吐出口が形成された吐出面と対向して設けられ、対象物を吐出口と対向するように支持するプラテン部と、液体吐出ヘッドが挿入される枠体であって、液体吐出ヘッドの周囲でプラテン部に対して近接離間する方向に移動可能なキャップフレームと、キャップフレームをプラテン部に対して近接離間させるフレーム移動機構と、液体吐出ヘッドの吐出面の周縁部に内周側の端部が取付けられ、キャップフレームのプラテン部側の端部に外周側の端部が取付けられ、吐出面の周縁部とキャップフレームの端部とを連結する環状の弾性部材とを備える。液体吐出装置は、液体吐出ヘッドの吐出面とプラテン部との間に対象物の搬送路を形成するときに、フレーム移動機構によってキャップフレームをプラテン部から離間させることによって、弾性部材を一方に撓ませて、弾性部材を搬送路から退避させ、対象物に対して液体を吐出しないときに、フレーム移動機構によってキャップフレームをプラテン部に近接させることによって、弾性部材を他方に撓ませて、プラテン部の表面の周囲の受け部に弾性部材を圧接させ、吐出面とプラテン部との間に密閉空間を形成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、液体吐出ヘッドの周囲にキャップフレームを設け、液体吐出ヘッドの吐出面の周縁部と、キャップフレームのプラテン部側の端部とに亘って弾性部材を設けることによって、印刷を行う際に、キャップフレームをプラテン部から離間させ、弾性部材を一方に撓ませて搬送路から弾性部材を退避させるだけで、対象物が液体吐出ヘッドとプラテン部との間に搬送することができるようになる。一方、印刷を行わないときは、キャップフレームをプラテン部側に近接させ、弾性部材を他方に撓ませて、弾性部材をプラテン部の受け部に圧接させることで、吐出面とプラテン部との間を密閉し、吐出面を保護する。
【0012】
即ち、本発明は、液体吐出ヘッドの周囲においてキャップフレームをプラテン部に対して近接離間するだけで、液体吐出ヘッドの吐出面を閉塞、開放でき、ヘッドキャップを小型化し、装置の大型化を防ぐことができ、液体吐出ヘッドの吐出面の閉塞、開放を容易行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用したプリンタ装置の斜視図である。
【図2】同プリンタ装置のヘッドカートリッジ、プラテン部、メンテナンス機構の斜視図である。
【図3】ヘッドカートリッジの斜視図である。
【図4】プラテン部、クリーニング機構及びメンテナンス移動機構の斜視図である。
【図5】プラテン部の一部の斜視図である。
【図6】ヘッドカートリッジとプラテン部との間に密閉空間を形成した状態を示す断面図である。
【図7】弾性部材に突起部を設けた状態を示す断面図である。
【図8】キャップフレームをプラテン部に近接させている状態におけるフレーム移動機構の斜視図である。
【図9】ヘッドカートリッジとプラテン部との間に記録紙の搬送路を形成した状態を示す断面図である。
【図10】キャップフレームをプラテン部から離間させている状態におけるフレーム移動機構の斜視図である。
【図11】記録紙がインク吐出ヘッドと対向する位置に搬送され、プラテン部に支持されている状態を示す断面図である。
【図12】クリーニング移動機構の側面図である。
【図13】クリーニング部材の斜視図である。
【図14】メンテナンス移動機構の斜視図である。
【図15】プラテン部をヘッドカートリッジから離間させて、吐出面をクリーニングする前の状態を示す側面図である。
【図16】プラテン部をヘッドカートリッジから離間させた後、キャップフレームをプラテン部から離間させ、吐出面をクリーニングする前の状態を示す側面図である。
【図17】吐出面をクリーニングし始めた状態を示す側面図である。
【図18】吐出面をクリーニングしている途中の状態を示す側面図である。
【図19】吐出面をクリーニングした後の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を適用した液体吐出装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
【0015】
1.プリンタ装置
(1)ヘッドカートリッジ
(2)装置本体
(3)プラテン部
(4)キャップフレーム
(5)弾性部材
(6)フレーム移動機構
(7)ヘッドカートリッジの吐出面とプラテン部との間を開放する動作
(8)印刷動作
(9)ヘッドカートリッジの吐出面とプラテン部との間に密閉空間を形成する動作
2.クリーニング機能を備えたプリンタ装置
(1)クリーニング機構のクリーニング部材
(2)クリーニング機構のクリーニング移動機構
(3)メンテナンス移動機構
(4)クリーニング動作
【0016】
1.プリンタ装置
本発明を適用したプリンタ装置1は、図1に示すように、記録紙2の幅方向、すなわち図1中矢印W方向にインク吐出口(ノズル)11を略ライン状に色毎に並設した、いわゆるライン型のプリンタ装置である。なお、図1は、プリンタ装置1の外筐を省略し、内部の機構を記載したものである。
【0017】
このプリンタ装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のインクタンクから供給されるインクを吐出する液体吐出ヘッドとなるヘッドカートリッジ4と、このヘッドカートリッジ4装着される装置本体5とを備え、ヘッドカートリッジ4が装置本体5に対して着脱可能となっている。装置本体5は、図2〜図4に示すように、ヘッドカートリッジ4と対向して設けられ、記録紙2をヘッドカートリッジ4と対向させるプラテン部6を有する。また、プリンタ装置1は、ヘッドカートリッジ4とプラテン部6との間に密閉空間を形成するキャップフレーム7及び弾性部材8を有する。
【0018】
(1)ヘッドカートリッジ
ヘッドカートリッジ4は、各色のインクタンクから供給されたインクを発熱抵抗体で加熱して気泡を発生させてその圧力でインクを吐出する。ヘッドカートリッジ4は、図3に示すように、インクを吐出する吐出面10を有し、この吐出面10には各色のノズル11が記録紙2の幅方向、すなわち図3中矢印W方向に略ライン状に互いに平行に形成されている。吐出面10には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のノズル列12Y、12M、12C、12K(単に、ノズル列12ともいう)が形成されている。
【0019】
ヘッドカートリッジ4は、インクを吐出する際に、記録紙2の幅方向に移動することなく、各色のノズル列12毎にインクを吐出するため、記録紙2の幅方向に移動して印刷するシリアル型のプリンタ装置のようにプリンタヘッドを移動させる必要がない。また、記録紙2を連続的に走行させることができ、印刷時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0020】
ヘッドカートリッジ4は、図2に示すように、ノズル列12の方向の両側にフランジ部13を有し、このフランジ部13が装置本体5に設けられたフレーム24にねじ止めして固定されている。ヘッドカートリッジ4は、装置本体5に固定されていることによって、吐出面10の位置がずれることを防止でき、記録紙2と吐出面10との間隔を一定に維持することができる。
【0021】
(2)装置本体
装置本体5は、図1、図2及び図4に示すように、ヘッドカートリッジ4が装着されるカートリッジ装着部21と、印刷前の記録紙2が収容された給紙トレイ22と、印刷後の記録紙2が収容される排紙トレイ23と、カートリッジ装着部21に装着されたヘッドカートリッジ4の吐出面10と対向する位置に、記録紙2を支持するプラテン部6とを有する。
【0022】
カートリッジ装着部21は、ヘッドカートリッジ4を着脱可能に取り付けることができる。カートリッジ装着部21は、図2に示すように、ヘッドカートリッジ4のノズル列12の方向の両側に位置する板状の一対のフレーム24を有する。フレーム24には、上端に、ヘッドカートリッジ4のフランジ部13がねじ止めされ、ヘッドカートリッジ4を固定する固定部24aを有する。カートリッジ装着部21は、ヘッドカートリッジ4が挿入され、ヘッドカートリッジ4が固定部24aにねじ止めることによって、ヘッドカートリッジ4が固定される。
【0023】
給紙トレイ22及び排紙トレイ23は、図1に示すように、装置本体5の前面に取り付けられている。給紙トレイ22には、印刷前の記録紙2が収納されている。プリンタ装置1では、図示しない給紙ローラで、給紙トレイ22に収納されている記録紙2を装置本体5に給紙する。そして、プリンタ装置1では、印刷後、図示しない排紙ローラで印刷後の記録紙2を排紙トレイ23に送り、装置本体5から記録紙2を排紙する。
【0024】
(3)プラテン部
プラテン部6は、カートリッジ装着部21に装着されたヘッドカートリッジ4の吐出面10と対向する位置に設けられ、給紙トレイ22から給紙された記録紙2を吐出面10と対向する位置で支持する。プラテン部6は、図4及び図5に示すように、ヘッドカートリッジ4の吐出面10と略同じ大きさ又は吐出面10よりもやや大きく形成されている。プラテン部6は、ヘッドカートリッジ4の吐出面10と対向する面に、凹部31を有する。
【0025】
この凹部31には、プラテン部6とヘッドカートリッジ4との間を走行する記録紙2を支持する支持片32が複数形成されている。この支持片32は、ノズル列12と対向する箇所を避けて、略千鳥状に記録紙2の幅方向(W方向)に複数設けられている。プラテン部6では、支持片32をノズル列12と対向する箇所を避けて配置することによって、印刷を行っていない時に、ノズル11から垂れたインクにより汚染されることを避けることができる。
【0026】
支持片32は、搬送された記録紙2を支持する平坦部32aと、この平坦部32aに連続して形成され、搬送された記録紙2の先端を平坦部32aにガイドするガイド部32bとが形成されている。平坦部32aは、吐出面10と略平行に形成され、搬送された記録紙2を吐出面10と略平行となるように支持する。ガイド部32bは、記録紙2の搬送方向の上流側から下流側に向かって、記録紙2の搬送方向に対して上流側が低く、下流側か高くなるように傾斜して形成されている。これにより、ガイド部32bは、搬送されてきた記録紙2の先端を上流側から下流側に上昇させ、平坦部32aにガイドする。搬送された記録紙2は、ガイド部32bによって、平坦部32aにガイドされ、この平坦部32a上を走行することで、吐出面10と略平行を維持しながら走行することができ、記録紙2の搬送性が向上する。また、吐出面10と対向する位置に、支持片32が千鳥状に設けられていることによって、支持片32を略直線状に設けた場合より、支持片32が形成されていない部分で記録紙2が窪んでしまうことを防止できる。
【0027】
また、凹部31には、支持片32が形成されていない部分に、空吐出等によって吐出されたインクを吸収したり、水分を吸収している吸収体33を備える。この吸収体33は、インク等の液体を吸収できるものであればよい。プラテン部6に吸収体33を備えることによって、ヘッドカートリッジ4の吐出面10の湿度を保ち乾燥を防ぐことができる。
【0028】
(4)キャップフレーム
キャップフレーム7は、図2及び図3に示すように、ヘッドカートリッジ4が挿入される枠体である。キャップフレーム7は、ヘッドカートリッジ4との間に適度なクリアランスが形成される大きさであり、ヘッドカートリッジ4に沿って、プラテン部6に対して近接離間する方向に移動する。キャップフレーム7は、プラテン部6に対して近接離間する方向に移動することによって、ヘッドカートリッジ4の吐出面10とプラテン部6との間を密閉、開放し、吐出面10に塵等が付着したり、ノズル11内のインクが乾燥することを防ぐ。
【0029】
キャップフレーム7には、図3に示すように、ヘッドカートリッジ4のフランジ部13と対向する位置に、フランジ部41が形成され、ヘッドカートリッジ4のフランジ部13との間に弾性体であるバネ42が取り付けられている。このバネ42は、ヘッドカートリッジ4のフランジ部13とキャップフレーム7のフランジ部41との間に圧縮した状態で取付けられている。キャップフレーム7は、ヘッドカートリッジ4が装置本体5のフレーム24に固定されているので、バネ42によってプラテン部6側に押されている。
【0030】
(5)弾性部材
弾性部材8は、図3及び図6に示すように、吐出面10よりも一回り大きく、環状に形成されたゴム等の弾性体で形成されている。弾性部材8は、内周側の端部8aがヘッドカートリッジ4の吐出面10の周縁部に形成された段差部14に取り付けられ、外周側の端部8bがキャップフレーム7のプラテン部側の端部43に取り付けられている。この弾性部材8は、吐出面10及びキャップフレーム7の全周に亘って取付けられ、吐出面10の周縁部とキャップフレーム7の端部43とを連結している。弾性部材8は、内周側の端部8aが吐出面10の段差部14に取付けられているため、弾性部材8が吐出面10側に突出することがなくなり、吐出面10が平坦となる。弾性部材8は、図6に示すように、内周側の端部8aと外周側の端部8bの間に位置する中央部8cがキャップフレーム7の動きに応じて撓むようになっている。弾性部材8は、吐出面10をキャップフレーム7で保護する際に、プラテン部6の表面の周囲に設けられた受け部34に圧接され、吐出面10とプラテン部6との間に、キャップフレーム7と共に密閉空間44を形成する。この弾性部材8には、図7に示すように、外周側の端部8bのプラテン部6の受け部34と接する面に突起部8dを形成してもよい。弾性部材8は、プラテン部6の受け部34と接する面に突起部8dを形成することによって、プラテン部6との間に隙間が生じず、プラテン部6に対する圧接する力を向上させることができる。後述するように、ヘッドカートリッジ4の吐出面10とプラテン部6との間に密閉空間44の密閉性を向上させることができる。また、弾性部材8全体の受け部34に対して圧接する力が弱くても、突起部8dが形成されていることによって、突起部8に集中的に荷重がかかり、密閉空間44を密閉できる。弾性部材8は、柔軟性に富むゴム等で形成されているため、中央部8cが繰り返し撓んでも、破損等することがない。
【0031】
(6)フレーム移動機構
フレーム移動機構51は、キャップフレーム7をプラテン部6に対して、近接離間する方向に移動させる。フレーム移動機構51は、図6及び図8に示すように、キャップフレーム7の長手方向、即ち記録紙2の幅方向(W方向)に相当する方向の両側面45、45に設けられている。キャップフレーム7の一方の側面45に設けられたフレーム移動機構51は、駆動モータ52の駆動軸52aに取付けられた第1のプーリ53と連結シャフト54の一端に取り付けられた第2のプーリ55とが第1の無端ベルト56で接続されている。更に、連結シャフト54の第2のプーリ55と隣接して設けられた第3のプーリ57と、装置本体5のフレーム24のキャップフレーム7側の面に取付けられた偏心カム58とが第2の無端ベルト59で接続されている。なお、図6及び図8では、フレーム24を省略する。キャップフレーム7の側面45には、偏心カム58のプラテン部6側とは反対側の位置に、偏心カム58に隣接するようにカムフォロア46が取り付けられている。なお、図6では、フレーム移動機構51の構成を説明する上で、便宜的に偏心カム58及びカムフォロア46を記載した。キャップフレーム7の他方の側面45側においても、同様に、連結シャフト54の他端に取り付けられた第4のプーリ60と、図示しない偏心カムとが第3の無端ベルト61で接続されている。キャップフレーム7の両側面45、45に設けられたフレーム移動機構51は、連結シャフト54によって連結されている。
【0032】
(7)ヘッドカートリッジの吐出面とプラテン部との間を開放する動作
フレーム移動機構51でキャップフレーム7を昇降させ、プラテン部6から離間させて、ヘッドカートリッジ4の吐出面10とプラテン部6の間に密閉空間44を開放する動作について説明する。即ち、印刷を開始するために、キャップフレーム7及び弾性部材8をプラテン部6から離間させ、記録紙2の搬送路62を形成するための動作である。
【0033】
まず、図6及び図8に示すように、キャップフレーム7は、プラテン部6側に位置し、弾性部材8がプラテン部6の受け部34に圧接して密閉空間44を形成している状態から、駆動モータ52の駆動軸52aを図6中矢印方向に示す正転駆動させる。これにより、第1のプーリ53及び第2のプーリ55が駆動軸52aの回転方向と同方向に回転し、装置本体5の一対のフレーム24に取付けられた偏心カム58が同方向に180度回転する。この動作により、図9及び図10に示すように、キャップフレーム7は、カムフォロア46が偏心カム58の中心からの最長部によって押され、バネ42の力に抗して押し上げられる。この際に、弾性部材8は、中央部8cをヘッドカートリッジ4側に撓ませながら、外周側の端部8bがキャップフレーム4に引っ張られ、吐出面10よりも上に上がり、プラテン部6から離間し、密閉空間44が開放され、ヘッドカートリッジ4とプラテン部6との間に記録紙2が搬送される搬送路62が形成される。ヘッドカートリッジ4は、装置本体5に固定されたままであり、プラテン部6も移動しないため、密閉空間44を開放する動作を行っても、吐出面10の位置がずれることなく、吐出面10とプラテン部6との間の距離を所定の距離に容易に維持することができる。
【0034】
(8)印刷動作
次に、印刷動作について説明する。図9に示すように、記録紙2を搬送路62に給紙する一対の給紙ローラ71a、71bが図9に示す矢印方向に回転することによって、給紙トレイ22から給紙された記録紙2が搬送路62に進入する。給紙ローラ71a、71bと吐出面10との間には、記録紙2の先端が搬送路62に適切に進入するように、一対のガイド片72a、72bが記録紙2を上下で挟むように設けられている。
【0035】
プリンタ装置1では、図11に示すように、搬送路62に進入した記録紙2がプラテン部6の支持片32に支持されながら、吐出面10と対向する位置を走行すると共に、ヘッドカートリッジ4から吐出されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクが付着し、カラー又は白黒の画像を印刷する。そして、プリンタ装置1では、記録紙2が更に走行し、先端が一対のガイド片73a、73bの間に進入し、一対の排紙ローラ74a、74bによって排紙トレイ23に排紙されて、記録紙1枚の印刷が完了する。
【0036】
プリンタ装置1では、キャップフレーム7をプラテン部6から離間する方向に上げるだけで、キャップフレーム7及び弾性部材8がプラテン部6から離間し、密閉空間44を開放し、記録紙2の搬送路62を形成することができるため、短時間で、印刷を行っていない状態から印刷開始状態にすることができる。また、プリンタ装置1では、密閉空間44の開放動作を行っても、ヘッドカートリッジ4及びプラテン部6が移動しないため、吐出面10とプラテン部6とが所定の距離が維持されているため、良好な状態で印刷を行うことができ、高品質な画像を印刷することができる。
【0037】
また、プリンタ装置1では、吐出面10の段差部14に弾性部材8の内周側の端部8aが取付けられているため、吐出面10が平坦となり、搬送路62を走行する記録紙2が搬送路62内で詰まってしまうことを防止できる。
【0038】
(9)ヘッドカートリッジの吐出面とプラテン部との間に密閉空間を形成する動作
連続して印刷を行わず、印刷終了した場合には、ヘッドカートリッジ4のノズル11内のインクが乾燥したり、吐出面10に塵等が付着することが防止するため、キャップフレーム7をプラテン部6側に移動して、密閉空間44を形成する。
【0039】
具体的に、図11に示す状態において、駆動モータ52の駆動軸52aを矢印方向に示す正転駆動することによって、第1のプーリ53及び第2のプーリ55が同方向に回転し、装置本体5の一対のフレーム24に取付けられた偏心カム58が同方向に180度回転する。これにより、図6及び図8に示すように、キャップフレーム7は、偏心カム58の中心からの最長部によって押し上げられていたカムフォロア46が偏心カム58の中心からの最短部によって支持されるようになるためプラテン部6側に下がると共に、バネ42の力によって押し下げられる。キャップフレーム7は、プラテン部6に近接し、弾性部材8は、中央部8cをプラテン部6側に撓ませながら、外周側の端部8bがキャップフレーム7に引っ張られ、プラテン部6の受け部34に圧接される。これにより、プリンタ装置1では、図6に示すように、吐出面10とプラテン部6との間に密閉空間44を形成し、ノズル11の乾燥や吐出面10に塵等が付着することを防止でき、吐出面10を保護することができる。
【0040】
プリンタ装置1では、印刷後において、キャップフレーム7をプラテン部6側に移動させるだけで、弾性部材8をプラテン部6に圧接し、搬送路62を弾性部材8で遮断でき、短時間で吐出面10とプラテン部6との間に密閉空間44を形成することができる。これにより、プリンタ装置1では、印刷後、すぐに吐出面10を保護することができるため、ノズル11の乾燥や吐出面10に塵等が付着することをより防止できる。
【0041】
以上のようなプリンタ装置1では、キャップフレーム7をヘッドカートリッジ4に沿ってプラテン部6に対して近接離間する方向に移動させるだけ、即ち、キャップフレーム7の移動距離が短く、更に、ヘッドカートリッジ4の周囲に枠状に形成されているため、ライン方式の装置であっても小型化することができる。
【0042】
このプリンタ装置1では、キャップフレーム7及び弾性部材8でプラテン部6と吐出面10との間に短時間で密閉空間44を形成することができるため、印刷後、すぐに吐出面10を保護できる一方で、短時間で密閉空間44を開放できるため、吐出面10の密閉及び開放するための時間を飛躍的に短縮することができる。これにより、このプリンタ装置1では、ライン方式であっても、印刷開始までの時間を短くすることができ、ノズル11内のインクな乾燥や吐出面10への塵等の付着を防止するために、短時間で吐出面10を保護できる。
【0043】
プリンタ装置1では、キャップフレーム7及び弾性部材8による吐出面10の密閉及び開放が短時間であるため、短い印刷動作の間隔においても吐出面10をキャップフレーム7及び弾性部材8で密閉することができ、短時間でも乾燥しやすいノズル11内のインクや吐出面10への塵等の異物の付着を有効に防止することができる。
【0044】
プリンタ装置1では、プラテン部6の受け部34に圧接される弾性部材8の外周側の端部8bに突起部8dを設けることによって、弾性部材8のプラテン部6に対する全体の圧接力が弱くても、集中的に突起部8dに荷重がかかることで、強固な部品構成とせずにすむため、低コストで大きな抑止効果が得られる。また、弾性部材8に突起部8dを設けることによって、プラテン部6と弾性部材8との間に隙間が生じないため、大きな密閉効果を得ることができる。
【0045】
2.クリーニング機能を備えたプリンタ装置
上述したプリンタ装置1では、更に、吐出面10をクリーニングするクリーニング機能を備えていてもよい。プリンタ装置1は、吐出面10とクリーニングするクリーニング機構80と、吐出面10をクリーニングする際にプラテン部6及びクリーニング機構80を吐出面10から離間させるメンテナンス移動機構81とを備える。このクリーニング機構80は、図2及び図12に示すように、吐出面10をクリーニングするクリーニング部材82と、このクリーニング部材82を吐出面10に沿って移動させるクリーニング移動機構83とを有する。
【0046】
(1)クリーニング部材
クリーニング部材82は、図12及び図13に示すように、ヘッドカートリッジ4の吐出面10に付着している塵や増粘したインクを取り除き、吐出面10をクリーニングするクリーニングローラ84及びクリーニングブレード85である。クリーニングローラ84及びクリーニングブレード85は、プラテン部6と並設して設けられ、吐出面10をクリーニングしていない時は、図12に示すように、吐出面10とは対向しない位置に待機している。
【0047】
クリーニングローラ84は、回転しながら吐出面10上を摺擦できるように、フレーム86に回転可能に取り付けられている。このクリーニングローラ84は、スポンジ等の多孔質体で形成されており、吐出面10のノズル列12と直交する方向の幅に亘って接するように、長尺状に形成されている。クリーニングローラ84は、吐出面10に付着したインクや埃等を吸引し、吐出面10をクリーニングする。
【0048】
クリーニングブレード85は、吐出面10をクリーニングする際に、クリーニングローラ84よりも吐出面10と先に接するようにフレーム86の位置に取り付けられている。クリーニングブレード85は、吐出面10のノズル列12と直交する方向の幅に亘って接するように、ゴム等の弾性部材で板状に形成されている。クリーニングブレード85は、吐出面10を払拭することによって、クリーニングする。
【0049】
なお、クリーニング部材82は、クリーニングローラ84又はクリーニングブレード85のどちらか一方のみであってもよい。
【0050】
(2)クリーニング移動機構
クリーニング移動機構83は、図12及び図14に示すように、凹状に形成され、プラテン部6の長辺方向と同方向に長尺状に形成されたベース91を備える。クリーニング移動機構83は、このベース91の中央にプラテン部6が取り付けられ、クリーニング部材82がベース91の長辺に沿って移動可能に取り付けられている。クリーニング移動機構83は、ベース91の2つ長辺の面91a、91bに設けられている。一方の長辺の面91aに設けられたクリーニング移動機構83は、ベース91の長辺の一端の外側に設けられた駆動モータ92を有し、この駆動モータ92の回転軸92aに取り付けられた第5のプーリ93が第6のプーリ94と第4の無端ベルト95で接続されている。一端に、第6のプーリ94が取り付けられた回転軸94aは、ベース91を貫通し、他端に、図示しない第7のプーリが取付けられている。この第7のプーリは、ベース91の長辺の他端側において、ベース91の内部に設けられた第8のプーリ96と第5の無端ベルト97で接続されている。したがって、この第5の無端ベルト97は、ベース91の長辺に沿って取付けられている。同様に、他方の長辺の面91bにも、クリーニング移動機構83が設けられている。
【0051】
この第5の無端ベルト97には、クリーニング部材82のフレーム86が固定された固定部材98が連結されている。この第5の無端ベルト97は、クリーニング部材82をベース91の長辺に沿って移動させる。
【0052】
固定部材98は、両端がベース91の長辺の面91aと面92bとを接続され、中央にクリーニング部材82が取り付けられている。固定部材98は、長辺の面91a、91bの上方に、この面91a、91bに沿って設けられたガイドシャフト99に、両端部に設けられたガイド部100が移動可能に取り付けられている。ガイド部100には、第5の無端ベルト97を挟み込んで固定部材98を第5の無端ベルト97と連結するベルト連結部101を有する。
【0053】
(3)メンテナンス移動機構
メンテナンス移動機構81は、クリーニング部材82で吐出面10をクリーニングする際に、吐出面10からプラテン部6及びクリーニング機構80を離間させる。メンテナンス移動機構81は、図12に示すように、キャップフレーム7がプラテン部6に近接し、弾性部材8がプラテン部6の受け部34に圧接されている状態から、図14及び図15に示すように、ヘッドカートリッジ4は固定したまま、プラテン部6及びクリーニング機構80を吐出面10から離間させ、即ち図14及び図15中矢印X方向に移動させる。
【0054】
メンテナンス移動機構81は、図14に示すように、ベース91の短辺の面91c、91dに取付けられている。一方の面91cに取付けられたメンテナンス移動機構81は、図示しない駆動モータの回転軸と接続された、ベース91を上下に移動させる第6の無端ベルト111が取付けられた一対の上プーリ112と下プーリ113と、ベース91に取付けられた移動部116とを有する。この移動部116には、第6の無端ベルト111を連結するための連結部114を有する。メンテナンス移動機構81は、連結部114が第6の無端ベルト111の回転に合わせて移動することによって、移動部116がガイドシャフト115に沿って上下に移動し、この移動部116が取付けられているベース91も上下に移動する。ベース91の面91dにも、ベース91の面91cと同様に、上プーリ112、下プーリ113、連結部(図示せず)、ガイドシャフト115、及び移動部116が設けられている。
【0055】
(4)クリーニング動作
プリンタ装置1では、吐出面10をクリーニング部材82でクリーニングする動作について説明する。
【0056】
プリンタ装置1では、図12に示すように、プラテン部6と吐出面10との間に密閉空間44を形成した状態から、印刷を開始する際に、図示しない駆動モータを駆動し、図14に示すように、上プーリ112及び下プーリ113に取付けられた第6の無端ベルト111をベース91を吐出面10から離間させる方向、即ち図15中X方向に回転させる。これにより、メンテナンス移動機構81では、ベース91に取付けられた移動部116がガイドシャフト115に沿ってX方向に移動し、プラテン部6が吐出面10から離間すると共に、クリーニング機構80を移動させる。この際に、ヘッドカートリッジ4は装置本体5に固定されたままであり、図15に示すように、クリーニング部材82が吐出面10と接する位置となるように、ベース91を下に下げる。
【0057】
次に、プリンタ装置1では、クリーニング部材82を吐出面10と対向する位置に挿入する際に、キャップフレーム7の端部に取付けられた弾性部材8とクリーニング部材82が接しないようにする。プリンタ装置1では、図16に示すように、上述した記録紙2の搬送路62を形成する場合と同様に、フレーム移動機構52によってキャップフレーム7をプラテン部6から離間する方向に移動させる。これにより、プリンタ装置1では、弾性部材8の中央部8cをヘッドカートリッジ4側に撓ませて、外周側の端部8bがキャップフレーム7に引き上げられる。プリンタ装置1では、弾性部材8が吐出面10よりも上に位置する状態となる。
【0058】
次に、図17に示すように、クリーニング移動機構83の駆動モータ92の回転軸92aを図17中矢印方向に示す正転駆動させることによって、第5のプーリ93及び第6のプーリ94が同方向に回転し、第5の無端ベルト97が矢印Y方向に回転する。これにより、プリンタ装置1では、第5の無端ベルト97に連結されている固定部材98が吐出面10と対向する位置に移動し、クリーニングローラ84及びクリーニングブレード85が吐出面10と対向する位置に進入する。
【0059】
更に、駆動モータ92を駆動し続け、第5の無端ベルト97を回転させることによって、図18に示すように、クリーニングブレード85が吐出面10を払拭し、続いてクリーニングローラ84が回転しながら吐出面10と接することによって、吐出面10に付着したインクや塵等を吸収し、吐出面10をクリーニングする。
【0060】
更に、駆動モータ92を駆動し続け、第5の無端ベルト97を回転させることによって、図19に示すように、吐出面10の端部までクリーニングローラ84及びクリーニングブレード85を移動させることによって、吐出面10のクリーニングが終了する。
【0061】
そして、駆動モータ92の回転軸92aを逆転させることによって、固定部材98が連結されている第5の無端ベルト97が逆回転し、クリーニングローラ84及びクリーニングブレード85を元の位置に戻す。
【0062】
その後、プリンタ装置1では、メンテナンス移動機構81の図示しない駆動モータの駆動軸を逆回転させ、第6の無端ベルト111を矢印X方向とは逆方向に回転させることによって、ベース91の移動部116をガイドシャフト115に沿って持ち上がり、図9示すように、吐出面10とプラテン部6との間に記録紙2の搬送路62を形成し、印刷可能な状態とする。
【0063】
プリンタ装置1では、吐出面10の段差部14に弾性部材8の内周側の端部8aが取付けられているため、吐出面10が平坦となり、クリーニングローラ84及びクリーニングブレード85によるクリーニングをスムーズに行うことができる。
【0064】
なお、上述では、吐出面10とプラテン部6との間に密閉空間44を形成した状態から、プラテン部6及びクリーニング機構80を吐出面10から離間させて、弾性部材8を引き上げ、クリーニング可能な状態とする動作を説明したが、印刷終了後、即ち、図9に示すように、すでに弾性部材8が搬送路62から退避されている状態からプラテン部6及びクリーニング機構80を下げてクリーニング可能な状態としてもよい。
【0065】
以上のようなクリーニング機能を備えたプリンタ装置1では、プラテン部6及びクリーニング機構80を吐出面10から離間させ、キャップフレーム7を記録紙2の搬送路62から退避させるだけで、吐出面10をクリーニング可能な状態に短時間でできる。
【符号の説明】
【0066】
1 プリンタ装置、2 記録紙、4 ヘッドカートリッジ、5 装置本体、6 プラテン部、7 キャップフレーム、8 弾性部材、10 吐出面、11 ノズル、12 ノズル列、13 フランジ部、14 段差部、21 カートリッジ装着部、31 凹部、32 支持片、33 吸収体、34 受け部、41 フランジ部、42 バネ、43 端部、44 密閉空間、45 側面、46 カムフォロア、51 フレーム移動機構、62 搬送路、80 クリーニング機構、81 メンテナンス移動機構、82 クリーニング部材、83 クリーニング移動機構、84 クリーニングローラ、85 クリーニングブレード、86 フレーム、91 ベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出口が形成され、上記液体を対象物に着弾させることで印刷を行う液体吐出ヘッドと、
上記液体吐出ヘッドの上記吐出口が形成された吐出面と対向して設けられ、上記対象物を上記吐出口と対向するように支持するプラテン部と、
上記液体吐出ヘッドが挿入される枠体であって、上記液体吐出ヘッドの周囲で上記プラテン部に対して近接離間する方向に移動可能なキャップフレームと、
上記キャップフレームを上記プラテン部に対して近接離間させるフレーム移動機構と、
上記液体吐出ヘッドの上記吐出面の周縁部に内周側の端部が取付けられ、上記キャップフレームの上記プラテン部側の端部に外周側の端部が取付けられ、上記吐出面の周縁部と上記キャップフレームの端部とを連結する環状の弾性部材とを備え、
上記液体吐出ヘッドの吐出面と上記プラテン部との間に上記対象物の搬送路を形成するときに、上記フレーム移動機構によって上記キャップフレームを上記プラテン部から離間させることによって、上記弾性部材を一方に撓ませて、上記弾性部材を上記搬送路から退避させ、
上記対象物に対して上記液体を吐出しないときに、上記フレーム移動機構によって上記キャップフレームを上記プラテン部に近接させることによって、上記弾性部材を他方に撓ませて、上記プラテン部の表面の周囲の受け部に上記弾性部材を圧接させ、上記吐出面と上記プラテン部との間に密閉空間を形成する液体吐出装置。
【請求項2】
上記弾性部材には、上記支持部材と接する面に、突起部が形成されている請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
更に、上記液体吐出ヘッドの吐出面をクリーニングするクリーニング部材と、上記クリーニング部材を上記吐出面に沿って移動させるクリーニング移動機構とを有するクリーニング機構と、
上記プラテン部及び上記クリーニング機構を上記液体吐出ヘッドの吐出面から離間させるメンテナンス移動機構とを備え、
上記対象物に対して上記液体を吐出しないときに、上記プラテン部及び上記クリーニング機構を上記メンテナンス移動機構で上記液体吐出ヘッドの吐出面から離間させ、上記キャップフレームを上記フレーム移動機構で上記プラテン部から離間させる方向に移動させ、上記弾性部材を上記搬送路から退避させ、上記液体吐出ヘッドと上記プラテン部との間に上記クリーニング部材を挿入し、上記クリーニング移動機構により上記クリーニング部材を上記吐出面に沿って移動させて、上記吐出面をクリーニングする請求項1又は請求項2記載の液体吐出装置。
【請求項4】
上記液体吐出ヘッドは、上記吐出面に上記吐出口が上記対象物の幅に相当する長さに亘りライン状に形成されている請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項1】
液体を吐出する吐出口が形成され、上記液体を対象物に着弾させることで印刷を行う液体吐出ヘッドと、
上記液体吐出ヘッドの上記吐出口が形成された吐出面と対向して設けられ、上記対象物を上記吐出口と対向するように支持するプラテン部と、
上記液体吐出ヘッドが挿入される枠体であって、上記液体吐出ヘッドの周囲で上記プラテン部に対して近接離間する方向に移動可能なキャップフレームと、
上記キャップフレームを上記プラテン部に対して近接離間させるフレーム移動機構と、
上記液体吐出ヘッドの上記吐出面の周縁部に内周側の端部が取付けられ、上記キャップフレームの上記プラテン部側の端部に外周側の端部が取付けられ、上記吐出面の周縁部と上記キャップフレームの端部とを連結する環状の弾性部材とを備え、
上記液体吐出ヘッドの吐出面と上記プラテン部との間に上記対象物の搬送路を形成するときに、上記フレーム移動機構によって上記キャップフレームを上記プラテン部から離間させることによって、上記弾性部材を一方に撓ませて、上記弾性部材を上記搬送路から退避させ、
上記対象物に対して上記液体を吐出しないときに、上記フレーム移動機構によって上記キャップフレームを上記プラテン部に近接させることによって、上記弾性部材を他方に撓ませて、上記プラテン部の表面の周囲の受け部に上記弾性部材を圧接させ、上記吐出面と上記プラテン部との間に密閉空間を形成する液体吐出装置。
【請求項2】
上記弾性部材には、上記支持部材と接する面に、突起部が形成されている請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
更に、上記液体吐出ヘッドの吐出面をクリーニングするクリーニング部材と、上記クリーニング部材を上記吐出面に沿って移動させるクリーニング移動機構とを有するクリーニング機構と、
上記プラテン部及び上記クリーニング機構を上記液体吐出ヘッドの吐出面から離間させるメンテナンス移動機構とを備え、
上記対象物に対して上記液体を吐出しないときに、上記プラテン部及び上記クリーニング機構を上記メンテナンス移動機構で上記液体吐出ヘッドの吐出面から離間させ、上記キャップフレームを上記フレーム移動機構で上記プラテン部から離間させる方向に移動させ、上記弾性部材を上記搬送路から退避させ、上記液体吐出ヘッドと上記プラテン部との間に上記クリーニング部材を挿入し、上記クリーニング移動機構により上記クリーニング部材を上記吐出面に沿って移動させて、上記吐出面をクリーニングする請求項1又は請求項2記載の液体吐出装置。
【請求項4】
上記液体吐出ヘッドは、上記吐出面に上記吐出口が上記対象物の幅に相当する長さに亘りライン状に形成されている請求項1記載の液体吐出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−136531(P2011−136531A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299271(P2009−299271)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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