説明

液体吐出装置

【課題】液体吐出ヘッド内の液体に重力による「正圧」が作用するのを防止することにより、ノズルから液体が漏れ出すのを防止する。
【解決手段】インクを吐出するノズルを有するインク吐出ヘッド12と、インク吐出ヘッド12を鉛直方向へ往復移動させることによってノズルを鉛直方向(すなわち、主走査方向X)へ走査させる駆動部14と、インク吐出ヘッド12をその移動領域内に存在する所定の待機位置Rで停止させる制御部26と、ノズルから吐出されるインクを収容するインク容器16a〜16dと、インク容器16a〜16d内のインクをインク吐出ヘッド12に供給するインクチューブ18a〜18dとを備えており、インク容器16a〜16dは、インクを最大に収容したときの液面の高さが待機位置Rで停止されたインク吐出ヘッド12におけるノズルの最下点の高さと同じか、或いは、それよりも低くなるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置に関し、特に、液体吐出ヘッドを鉛直方向へ往復移動させることによってノズルを鉛直方向へ走査させるようにした液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の「液体吐出装置」としては、「インクジェットプリンタ」が周知であり、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1のインクジェットプリンタ(1)は、インクを吐出するノズルを有するインク吐出ヘッド(30)と、キャリッジを兼ねるヘッドホルダ(9)と、ヘッドホルダ(9)を水平方向へ往復移動させる無端ベルト(11)と、ノズルから吐出されるインクを収容するインクタンク(5a)〜(5d)と、インクタンク(5a)〜(5d)内のインクをノズルに供給するチューブ(14a)〜(14d)とを備えている。このインクジェットプリンタ(1)によれば、インクタンク(5a)〜(5d)内のインクを、チューブ(14a)〜(14d)を介してノズルに供給する「チューブ供給方式」を採用しているので、インクタンク(5a)〜(5d)を大型化することが可能であり、インク補充サイクルの長期化により、インク補充の手間を軽減することができる。しかし、インク吐出ヘッド(30)を水平方向へ往復移動させるようにしていたので、「水平方向」における設置面積が大きくなり、設置場所が著しく制約されるという問題があった。
【0003】
このような問題を解決する手段として、特許文献2には、「縦置き型」のインクジェットプリンタ(100)が開示されている。このインクジェットプリンタ(100)は、キャリッジガイド軸(156)等を鉛直方向へ延びるように配設することによって、キャリッジ(151)を鉛直方向へ往復移動させ、これにより記録ヘッド(152)を鉛直方向へ走査させるようにしたものである。
【0004】
なお、上記括弧付数字は、特許文献1,2で用いられている参照番号に対応するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−262816号公報
【特許文献2】特開2005−298082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2のインクジェットプリンタ(100)によれば、「水平方向」における設置面積を狭小化することにより、設置場所の制約を緩和することができる。しかし、記録ヘッド(152)のノズルとインク容器内の液面との位置関係については、全く考慮されておらず、この位置関係によっては、記録ヘッド(152)内のインクに作用する「正圧」または「負圧」によって様々な問題が生じるおそれがあった。
【0007】
たとえば、記録ヘッド(152)を停止させた状態において、インク容器内の液面がノズルよりも上方にある場合には、記録ヘッド(152)内のインクに重力による「正圧」が作用するため、ノズルのメニスカスが破壊されてインク漏れが生じるおそれがあった。また、インク容器内の液面がノズルよりも下方にある場合でも、これらの間の高低差(すなわち、水頭差)が大き過ぎる場合には、記録ヘッド(152)内のインクに重力による過大な「負圧」が作用するため、ノズルのメニスカスが破壊されて当該ノズル内へ空気が引き込まれ、吐出性能が損なわれるおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、液体吐出ヘッド内の液体に重力による「正圧」が作用するのを防止することにより、ノズルから液体が漏れ出すのを防止することができる、液体吐出装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、液体吐出ヘッド内の液体に重力による過大な「負圧」が作用するのを防止することにより、吐出性能が損なわれるのを防止することができる、液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る液体吐出装置は、吐出対象物へ向けて液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドを鉛直方向へ往復移動させることによって前記ノズルを鉛直方向へ走査させる駆動部と、前記ノズルの走査方向に対して直交する方向へ吐出対象物を搬送する搬送路と、前記液体吐出ヘッドをその移動領域内に存在する所定の待機位置で停止させる停止手段と、前記ノズルから吐出される液体を収容する液体容器と、前記液体容器内の液体を前記液体吐出ヘッドに供給する液体チューブとを備え、前記待機位置で停止された前記液体吐出ヘッドおよび前記液体容器の両方が、前記搬送路よりも上方に位置する上側領域または前記搬送路よりも下方に位置する下側領域のいずれか一方に配置されていることを特徴とする。
【0011】
この構成では、待機位置で停止された液体吐出ヘッドおよび液体容器の両方が、上側領域または下側領域のいずれか一方に配置されているので、液体容器内の液体の液面とノズルの最下点との高低差(すなわち、水頭差)を小さくすることができ、過大な「負圧」によるノズル内への「空気の引き込み」を防止することができる。
【0012】
前記待機位置で停止された前記液体吐出ヘッドおよび前記液体容器の両方が、前記搬送路よりも下方に位置する下側領域に配置されていてもよい。
【0013】
この構成では、液体容器が下側領域に配置されているので、搬送路において鉛直方向へ走査されているときのノズルは、必ず液体容器よりも上方に位置することになる。したがって、重力による「正圧」がノズルから吐出される液体に作用するのを防止することができ、吐出性能を安定させることができる。
【0014】
前記液体容器は、表面張力の異なる液体を収容するように複数設けられており、前記ノズルは、前記液体容器のそれぞれに個別に対応するように複数設けられており、前記液体チューブは、前記液体容器内の液体を対応する前記ノズルに供給するように複数設けられており、複数の前記液体容器は、収容した液体の表面張力が低い順に鉛直方向の上側から下側へ並べて配置されていてもよい。
【0015】
この構成では、複数の液体容器が、収容した液体の表面張力が低い順に鉛直方向の上側から下側へ並べて配置されているので、液体容器内の液体の液面とノズルの最下点との高低差(すなわち、水頭差)は、液体の表面張力が低いものほど小さくなり、過大な「負圧」によるノズル内への「空気の引き込み」を有効に防止することができる。
【0016】
前記液体容器は、表面張力の異なる液体を収容するように複数設けられており、前記ノズルは、前記液体容器のそれぞれに個別に対応するように複数設けられており、前記液体チューブは、前記液体容器内の液体を対応する前記ノズルに供給するように複数設けられており、複数の前記ノズルは、吐出する液体の表面張力が低い順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置されていてもよい。
【0017】
この構成では、液体容器のそれぞれに個別に対応する複数のノズルが、吐出する液体の表面張力が低い順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置されているので、液体容器内の液体の液面とノズルの最下点との高低差(すなわち、水頭差)は、液体の表面張力が低いものほど小さくなり、過大な「負圧」によるノズル内への「空気の引き込み」を有効に防止することができる。
【0018】
前記待機位置には、前記ノズルを覆うノズルキャップが配置されていてもよい。
【0019】
この構成では、待機位置で停止された液体吐出ヘッドのノズルをノズルキャップで保護することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上に説明したように構成され、液体容器内に液体を最大に収容したときの液面の高さが、待機位置で停止された液体吐出ヘッドにおけるノズルの最下点の高さと同じか、或いは、それよりも低くなるので、当該液体吐出ヘッド内の液体に重力による「正圧」が作用するのを防止することができ、ノズルから液体が漏れ出すのを防止することができる。
【0021】
本発明の他の構成では、待機位置で停止された液体吐出ヘッドおよび液体容器の両方が、搬送路よりも上方に位置する上側領域または搬送路よりも下方に位置する下側領域のいずれか一方に配置されているので、液体容器内の液体の液面とノズルの最下点との高低差(すなわち、水頭差)を小さくすることができる。したがって、液体吐出ヘッド内の液体に重力による過大な「負圧」が作用するのを防止することができ、ノズルから空気が引き込まれることによる吐出性能の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るインクジェットプリンタの内部の構成を示す簡略図である。
【図3】第1実施形態に係るインクジェットプリンタを構成するインク吐出ヘッドおよびこれに接合されるフレキシブルプリント配線板を示す分解斜視図である。
【図4】第1実施形態に係るインクジェットプリンタを構成するインク吐出ヘッドを示す平面図である。
【図5】第1実施形態に係るインクジェットプリンタを構成するインク吐出ヘッドおよびFPCを示す部分拡大断面図である。
【図6】第1実施形態に係るインクジェットプリンタを構成するインク吐出ヘッドを示す部分拡大平面図である。
【図7】第1実施形態に係るインクジェットプリンタの要部を示す模式図である。
【図8】第2実施形態に係るインクジェットプリンタの内部の構成を示す簡略図である。
【図9】第3実施形態に係るインクジェットプリンタの内部の構成を示す簡略図である。
【図10】第4実施形態に係るインクジェットプリンタの要部を示す模式図である。
【図11】第5実施形態に係るインクジェットプリンタの要部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の好ましい実施形態に係る「液体吐出装置」について図面を参照しながら説明する。
【0024】
なお、以下の各実施形態では、本発明を「アクチュエータ」を用いてインク(液体)を吐出させる方式の「インクジェットプリンタ」に適用しているが、本発明は、「発熱体で加熱したときの圧力」を用いてインク(液体)を吐出させる方式の「インクジェットプリンタ」や、着色液(液体)を吐出する着色液吐出ヘッドを備える「カラーフィルタ製造装置」や、導電液(液体)を吐出する導電液吐出ヘッドを備える「電気配線装置」のような他の「液体吐出装置」にも幅広く適用可能である。
【0025】
(第1実施形態)
[インクジェットプリンタの全体構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る「液体吐出装置」としてのインクジェットプリンタ10の全体構成を示す斜視図であり、図2は、インクジェットプリンタ10の内部の構成を示す簡略図である。
【0026】
インクジェットプリンタ10は、図1および図2に示すように、「液体吐出ヘッド」としてのインク吐出ヘッド12と、インク吐出ヘッド12を鉛直方向へ往復移動させる駆動部14と、「液体容器」としてのインク容器16a〜16dと、「液体チューブ」としてのインクチューブ18a〜18dと、ノズルキャップ20と、「吐出対象物」としての用紙Pを収容する用紙トレイ22(図1)と、用紙Pを搬送する用紙搬送部24と、各種の制御を実行する制御部26(図1)と、筐体28(図1)とを備えている。
【0027】
本実施形態では、「筐体28」の内部における「インク吐出ヘッド12」、「駆動部14」、「ノズルキャップ20」および「インク容器16a〜16d」の構成(相互の位置関係を含む。)が特に重要であることから、以下には、これらの構成部品を中心に説明する。
【0028】
なお、以下の説明で用いる「主走査方向X」とは、インク吐出ヘッド12の移動方向(すなわち、鉛直方向)を意味し、「副走査方向Y」とは、用紙Pの排出方向を意味するものとする。
【0029】
[筐体の構成]
筐体28は、図1に示すように、「高さH」および「奥行きD」に対して「幅W」が十分に小さくなるように設計され、かつ、幅方向一方側面(すなわち、図1における左側の側面)の全体に開口部30が形成された直方体状の本体32と、開口部30を閉塞する略四角形の板状の蓋体(図示省略)とを有しており、筐体28の内部における中央部から上部に亘る空間には、平面視略U字状の搬送路Aが構成されている。また、本体32の前面(すなわち、図1における手前側の面)を構成する前面パネル32aには、搬送路Aの入口となる用紙トレイ挿入口34と、搬送路Aの出口となる排紙口36と、電源スイッチ38が取り付けられるスイッチ取付孔40と、インク容器16a〜16dが配設されるインク容器配設孔42とが形成されている。
【0030】
そして、筐体28の内部には、上述した各種の構成部品が相互の位置関係を考慮しつつ配設されている。すなわち、図1に示すように、用紙トレイ22、用紙搬送部24、駆動部14およびインク吐出ヘッド12が搬送路Aに沿って上流側からこの順に配設されており、ノズルキャップ20およびインク容器16a〜16dが搬送路Aの下方に位置する下側領域S1に配設されている。また、インク吐出ヘッド12には、バッファ部44が取り付けられており、インクチューブ18a〜18dの下流側端部がバッファ部44に接続されるとともに、上流側端部がインク容器16a〜16dに接続されている。さらに、筐体28の内部における所定箇所には、制御部26が配設されている。
【0031】
[インク吐出ヘッドの構成]
図3は、インク吐出ヘッド12およびこれに接合されるフレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuits:以下、「FPC」と略す。)50を示す分解斜視図であり
、図4は、インク吐出ヘッド12を示す平面図であり、図5は、インク吐出ヘッド12およびFPC50を示す部分拡大断面図である。
【0032】
インク吐出ヘッド12は、駆動部14のキャリッジ130(図1、図2)に搭載されて、鉛直方向(すなわち、主走査方向X)へ往復移動されるとともに、FPC50から付与された駆動電圧に基づいて画像形成用の4色のインクを選択的に吐出するものであり、図3および図5に示すように、流路ユニット52と、アクチュエータユニット54とを備えている。
【0033】
なお、インク吐出ヘッド12およびFPC50の説明で用いる「下」とは、インクを吐出する方向を意味し、「上」とは、その反対の方向を意味するものとする。
【0034】
<流路ユニットの構成>
流路ユニット52は、図5に示すように、圧力室プレート56、アパーチャプレート58、接続流路プレート60、第1マニホールドプレート62、第2マニホールドプレート64、ダンパープレート66、カバープレート68およびノズルプレート70の8枚のプレートを上側からこの順に積層することによって構成されており、これらのプレート56〜70に形成された「凹部」または「孔」が互いに連続することによって、図3および図4に示すように、ブラック(BK)、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンダ(M)の4色のインクのそれぞれに対応する4つのインク流路N1〜N4が構成されている。
【0035】
4つのインク流路N1〜N4は、そこを流れるインクの表面張力が低い順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置されている。つまり、本実施形態で用いられる4色のインクでは、ブラック(BK)の表面張力が最も低く、次にイエロー(Y)の表面張力が低く、その次にシアン(C)の表面張力が低く、マゼンダ(M)の表面張力が最も高くなっており、インク流路N1〜N4は、これらの色の順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置されている(図4)。
【0036】
最も下方に位置するインク流路N1は、1個のインク導入流路72(図4)と、インク導入流路72に連通された複数(本実施形態では3個)の共通インク室74(図4)と、共通インク室74のそれぞれに連通された複数(本実施形態では68個)の個別インク流路76(図5)とを備えている。
【0037】
インク導入流路72(図4)は、流路ユニット52における副走査方向Yの一方端部において、圧力室プレート56、アパーチャプレート58、接続流路プレート60、第1マニホールドプレート62および第2マニホールドプレート64のそれぞれに形成された孔(図示省略)が厚さ方向へ連続することによって構成されている。
【0038】
共通インク室74は、図5に示すように、第1マニホールドプレート62および第2マニホールドプレート64のそれぞれに形成された孔62a,64aがこれらの厚さ方向へ連続することによって構成されており、共通インク室74の横断面形状は、主走査方向Xへ長く延びた長方形に設計されている。また、図4に示すように、共通インク室74の平面視形状は、副走査方向Yへ長く延びた長方形に設計されており、共通インク室74における副走査方向Yの一方端部はインク導入流路72に連通されており、他方端部は閉塞されている。そして、共通インク室74の底部には、図5に示すように、ダンパープレート66の下面に凹部66aを形成することによって板状のダンパー78が構成されており、共通インク室74の幅方向両側には、図3に示すように、複数の個別インク流路76(図5)が2列に並んで千鳥状に配設されている。
【0039】
各個別インク流路76は、共通インク室74内のインクを外部へ吐出させるための流路であり、図5に示すように、接続流路80、アパーチャ82、圧力室84、吐出流路86およびノズル88が上流側からこの順に連通されることによって構成されている。
【0040】
接続流路80は、接続流路プレート60に形成された孔60aによって共通インク室74の上方に構成されており、アパーチャ82は、アパーチャプレート58の下面に形成された凹部58aによって接続流路80の上方に構成されており、圧力室84は、圧力室プレート56に形成された孔56aによってアパーチャ82の上方に構成されている。また、吐出流路86は、アパーチャプレート58、接続流路プレート60、第1マニホールドプレート62、第2マニホールドプレート64、ダンパープレート66およびカバープレート68のそれぞれに形成された孔58b,60b,62b,64b,66b,68bによって圧力室84の下方に構成されており、ノズル88は、ノズルプレート70に形成されたテーパ状の孔70aによって吐出流路86の下方に構成されている。
【0041】
そして、アパーチャ82の上流側端部と共通インク室74とが、接続流路80を介して連通されており、アパーチャ82の下流側端部と圧力室84の上流側端部とが、アパーチャプレート58に形成された孔58cを介して連通されており、圧力室84の下流側端部とノズル88とが、吐出流路86を介して連通されている。さらに、圧力室84の上端部には、開口部84aが形成されており、この開口部84aが、アクチュエータユニット54の下面によって閉塞されている。
【0042】
一方、インク流路N2〜N4は、1個のインク導入流路92(図3、図4)と、インク導入流路92に連通された複数(本実施形態では2個)の共通インク室94(図4)と、共通インク室94のそれぞれに連通された複数(本実施形態では68個)の個別インク流路96(図3)とを備えている。
【0043】
インク導入流路92(図3、図4)は、インク流路N1のインク導入流路72(図3、図4)に比べて容積が小さい点を除いて、インク導入流路72と同様に構成されており、共通インク室94(図4)および個別インク流路96(図3)は、インク流路N1の共通インク室74(図4)および個別インク流路76(図3)に比べて総数が少ない点を除いて、これらと同様に構成されている。これにより、インク流路N1〜N4の全てにおいて、「インク吐出性能」の均一性が保持されており、かつ、「インク吐出量のバランス」が図られている。つまり、インク流路N2〜N4に要求される「インク吐出性能」は、インク流路N1に要求される「インク吐出性能」と共通しているため、インク導入流路92(図3、図4)、共通インク室94(図4)および個別インク流路96(図3)の構成は、インク導入流路72(図3、図4)、共通インク室74(図4)および個別インク流路76(図3)の構成と同じに設計されている。また、インク流路N2〜N4を流れるインクの「使用頻度」は、インク流路N1を流れるブラック(BK)インクの「使用頻度」に比べて少ないため、共通インク室94(図4)および個別インク流路96(図3)の総数は、共通インク室74(図4)および個別インク流路76(図3)の総数よりも少なく設計されている。
【0044】
そして、図3および図4に示すように、流路ユニット52の上面におけるインク導入流路72,92が形成された領域には、インクに混入した異物および気泡を捕捉するフィルタ98が接着剤等を用いて接合されており、その他の領域には、アクチュエータユニット54が接着剤等を用いて接合されている。
【0045】
このように、本実施形態では、ブラック(BK)、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンダ(M)の4色のインクのそれぞれに対応する4つのインク流路N1〜N4が、そこを流れるインクの表面張力が低い順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置されているので、インク流路N1〜N4のそれぞれに設けられたノズル88、すなわちインク容器16a〜16dのそれぞれに対応するノズル88は、吐出するインクの表面張力が低い順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置されていることになる。
【0046】
また、各インク流路N1〜N4においては、図6に示すように、副走査方向Yに並べられた複数のノズル88からなるノズル列が主走査方向Xへ複数段に並べて配設されており、ノズル88においては、図5に示すように、内周面が下流側へ向かうにつれて縮径されているので、最下流に位置する吐出口が「最小径部」となっている。したがって、最下段を構成するノズル88の吐出口における鉛直方向の最下部に位置する点が「ノズルの最下点」となっており、当該「ノズルの最下点」との関係においてインク容器16a〜16dの配設位置が設計されている。なお、図4では、各インク流路N1〜N4における「ノズルの最下点」の高さT1〜T4を一点鎖線で示している。
【0047】
<アクチュエータユニットの構成>
アクチュエータユニット54は、図5に示すように、流路ユニット52における圧力室84の内部上面を構成するとともに、圧力室84内のインクに吐出圧を選択的に付与するものであり、第1圧電シート100、第2圧電シート102および第3圧電シート104を上側からこの順に積層することによって構成されている。
【0048】
圧電シート100,102,104のそれぞれは、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなり、かつ、略10〜30μm程度の厚さを有するシート部材であり、最上層となる第1圧電シート100の上面には、圧力室84のそれぞれに個別に対応する複数の個別電極106が圧力室84と対向する位置に形成されており、中間層となる第2圧電シート102の上面には、圧力室84のそれぞれに共通に対応する共通電極108が圧力室84のそれぞれに跨って形成されている。したがって、アクチュエータユニット54においては、第1圧電シート100が「活性層」となっており、第1圧電シート100における個別電極106と共通電極108とで挟まれた部分が、活性部100aとなっている。
【0049】
また、最上層となる第1圧電シート100の上面には、図5および図6に示すように、個別電極端子110と共通電極端子112とが形成されており、個別電極端子110と個別電極106とが電気的に接続されており、共通電極端子112と共通電極108とが、第1圧電シート100を貫通して配設された導電体(図示省略)を介して電気的に接続されている。そして、個別電極端子110および共通電極端子112の表面には、Ag等を含む金属材料からなる略半球状の導電性バンプ114が形成されている。
【0050】
<FPCの構成>
FPC50は、図5に示すように、可撓性の合成樹脂材料(ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等)からなるベース材120と、導電性の金属材料(銅箔等)からなり、かつ、ベース材120の下面に形成された複数の配線122と、可撓性の合成樹脂材料(ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等)からなり、かつ、配線122を覆うようにしてベース材120の下面に形成された電気絶縁層124と、ベース材120の上面における所定箇所に配設され、かつ、配線122のそれぞれに電気的に導通されたドライバIC126(図3)とを有している。そして、個別電極端子110および共通電極端子112に形成された導電性バンプ114が、FPC50の出力側端部において対応する配線122に電気的に接続されている。
【0051】
[駆動部の構成]
駆動部14は、インク吐出ヘッド12を鉛直方向(すなわち、主走査方向X)へ往復移動させることによってノズル88(図5、図6)を鉛直方向へ走査させるものであり、図1および図2に示すように、キャリッジ130、摺動軸132、主動プーリ134a、従動プーリ134b、環状の駆動ベルト136および駆動モータ138(図2)を有している。
【0052】
キャリッジ130は、図2に示すように、鉛直方向へ延びる貫通孔140を有する取付部130aと、インク吐出ヘッド12が搭載されるヘッド搭載部130bと、バッファ部44が搭載されるバッファ搭載部130cとを有しており、貫通孔140には、鉛直方向へ延びる摺動軸132が挿通されている。また、摺動軸132の後方には、一対のプーリ134a,134bが鉛直方向へ間隔を隔てて配設されており、これらのプーリ134a,134b間には、環状の駆動ベルト136が摺動軸132に沿って掛け渡されている。そして、駆動ベルト136には、ネジ等の固定部材を用いてキャリッジ130が固定されており、主動プーリ134aには、駆動モータ138(図2)の回転軸が接続されており、駆動モータ138には、制御部26(図1)が電気的に接続されている。
【0053】
制御部26から出力された駆動信号に基づいて駆動モータ138(図2)が回転されると、主動プーリ134aおよび駆動ベルト136が回転され、駆動ベルト136に固定されたキャリッジ130が鉛直上方または鉛直下方へ向けて移動される。これにより、インク吐出ヘッド12が鉛直方向(すなわち、主走査方向X)へ往復移動され、インク吐出ヘッド12のノズル88が鉛直方向へ走査される。
【0054】
インクジェットプリンタ10の電源をオフにしたり、インク吐出ヘッド12を一時的に待機させたりする場合には、制御部26から与えられた停止信号に基づいて駆動モータ138が回転され、インク吐出ヘッド12がその移動領域内に存在する所定の待機位置Rで停止される。つまり、制御部26が、インク吐出ヘッド12を待機位置Rで停止させる「停止手段」として機能する。
【0055】
[ノズルキャップの構成]
ノズルキャップ20は、インク吐出ヘッド12のノズル88を待機位置Rにおいて保護する機能と、ノズル88からインクを吸引することによって損なわれた吐出機能を回復させる機能とを併有するものであり、ノズルキャップ20には、インクを吸引するための負圧を発生させるポンプユニット(図示省略)が接続されている。
【0056】
本実施形態では、搬送路Aの下方に位置する下側領域S1にノズルキャップ20が配設されており、このノズルキャップ20の位置が待機位置Rとなっている。したがって、待機位置Rで停止された液体吐出ヘッド12および液体容器16a〜16dの両方が、搬送路Aよりも下方に位置する下側領域S1に配置されることになる。
【0057】
[インク容器の構成]
インク容器16a〜16dは、表面張力の異なる4種類のインクを収容する容器であり、図7に示すように、インクを最大に収容したときの液面の高さ(以下、「最高液面高さ」という。)t1〜t4が、待機位置Rで停止された液体吐出ヘッド12における「ノズルの最下点」の高さT1〜T4と同じか、或いは、それよりも低くなるように配置されている。したがって、待機位置Rで停止された液体吐出ヘッド12においては、その内部のインクに重力による「正圧」が作用することはなく、各インク流路N1〜N4のノズル88からインクが漏れ出すのを防止することができる。
【0058】
また、インク容器16a〜16dは、収容したインクの表面張力が低い順に鉛直方向の上側から下側へ並べて配置されている。つまり、本実施形態で用いる4種類のインクでは、ブラック(BK)の表面張力が最も低く、次にイエロー(Y)の表面張力が低く、その次にシアン(C)の表面張力が低く、マゼンダ(M)の表面張力が最も高いことから、インク容器16a〜16dは、これらの色の順に鉛直方向の上側から下側へ並べて配置されている。したがって、表面張力が小さいインク、たとえば、ブラック(BK)インクにおいては、インク容器16aの最高液面高さt1と待機位置Rで停止された液体吐出ヘッド12における「ノズルの最下点」の高さT1との高低差(すなわち、水頭差)を小さくすることができ、インクに過大な「負圧」が作用するのを防止することができる。
【0059】
そして、図7に示すように、インク容器16a〜16dのそれぞれとインク吐出ヘッド12のインク流路N1〜N4とが、インクチューブ18a〜18dおよびバッファ部44を介して接続されている。バッファ部44は、インクチューブ18a〜18dとインク流路N1〜N4との間に介在された4つのインク貯留部(図示省略)を有しており、インク吐出ヘッド12内のインクに作用する圧力がインク貯留部において緩衝される。
【0060】
[用紙トレイの構成]
用紙トレイ22は、複数の用紙Pを、それらの紙面が水平面に対して直交するようにして収容する容器であり、用紙トレイ22の側面視形状(図1における左側または右側から目視したときの形状)は、用紙Pの形状とほぼ同じ形状(四角形)に設計されており、用紙トレイ22の前面視形状(図1における手前側から目視したときの形状)は、筐体28における用紙トレイ挿入口34の形状とほぼ同じ形状(四角形)に設計されている。そして、この用紙トレイ22が、用紙トレイ挿入口34を通して筐体28の内部に装着され、また、用紙トレイ挿入口34を通して筐体28の外部へ引き出される。
【0061】
[用紙搬送部の構成]
用紙搬送部24は、用紙トレイ22に収容された用紙Pを1枚ずつ取り出すピックアップローラ(図示省略)と、用紙トレイ22から取り出された用紙Pを排紙口36へ向けて搬送する搬送ローラ142とを有しており、ピックアップローラおよび搬送ローラ142には、制御部26によって制御される駆動モータ(図示省略)が接続されている。
【0062】
[インクジェットプリンタの動作]
インクジェットプリンタ10を用いて用紙Pの表面に画像を印刷する際には、制御部26(図1)からFPC50のドライバIC126(図3)、駆動部14(図2)の駆動モータ138(図2)および用紙搬送部24の駆動モータ(図示省略)に画像データに応じた駆動信号が与えられる。
【0063】
ドライバIC126(図3)に駆動信号が与えられると、ドライバIC126からアクチュエータユニット54の個別電極106に駆動電圧が選択的に印加される。すると、駆動部100aが変形されることによって、当該個別電極106に対応する圧力室84内のインクに吐出圧が付与され、当該圧力室84に連通されたノズル88からインクが吐出される。駆動モータ138(図2)に駆動信号が与えられると、駆動モータ138が回転されることによって、キャリッジ130およびこれに搭載されたインク吐出ヘッド12が鉛直方向(すなわち、主走査方向X)へ往復移動され、これによりインク吐出ヘッド12のノズル88が鉛直方向へ走査される。用紙搬送部24の駆動モータ(図示省略)に駆動信号が与えられると、ピックアップローラ(図示省略)が駆動され、用紙トレイ22に収容された用紙Pが搬送路Aを経て搬送ローラ142(図1、図2)に与えられる。そして、当該用紙Pが搬送ローラ142からインク吐出ヘッド12の移動領域へ所定のタイミングで与えられる。これらの動作により、用紙Pの表面には、画像データに応じた画像が形成される。
【0064】
インクジェットプリンタ10の動作を停止させる際には、制御部26(図1)から駆動モータ138(図2)に停止信号が与えられる。すると、この停止信号に応じて駆動モータ138が回転され、キャリッジ130およびこれに搭載されたインク吐出ヘッド12が待機位置Rまで移動され、インク吐出ヘッド12がノズルキャップ20に対して位置決めされる。
【0065】
インク容器16a〜16dの最高液面高さt1〜t4は、図7に示すように、待機位置Rで停止された液体吐出ヘッド12における「ノズルの最下点」の高さT1〜T4と同じか、或いは、それよりも下方に位置しているので、待機位置Rで停止されたインク吐出ヘッド12内のインクに重力による「正圧」が作用するのを防止することができ、ノズル88からインクが漏れ出すのを防止することができる。
【0066】
また、インク容器16a〜16dは、収容したインクの表面張力が低い順に鉛直方向の上側から下側へ並べて配置されており、インク容器16a〜16dのそれぞれに対応するノズル88は、吐出するインクの表面張力が低い順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置されているので、インク容器16a〜16d内のインクの液面と「ノズルの最下点」との高低差(すなわち、水頭差)は、インクの表面張力が低いものほど小さくなる。したがって、過大な「負圧」によるノズル88内への「空気の引き込み」を有効に防止することができる。
【0067】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタ150の内部の構成を示す簡略図である。
【0068】
インクジェットプリンタ150は、図8に示すように、ノズルキャップ20およびインク容器16a〜16dを搬送路Aよりも上方に位置する上側領域S2に配置することによって、待機位置Rで停止された液体吐出ヘッド12およびインク容器16a〜16dの両方が上側領域S2に配置されるようにしたことを特徴としており、他の構成については、第1実施形態のインクジェットプリンタ10と同様である。
【0069】
このインクジェットプリンタ150においても、図7に示すように、インク容器16a〜16dの最高液面高さt1〜t4が、待機位置Rで停止された液体吐出ヘッド12における「ノズルの最下点」の高さT1〜T4と同じか、或いは、それよりも下方に位置しているので、ノズル88(図5、図6)からインクが漏れ出すのを防止することができる。また、インク容器16a〜16dは、収容したインクの表面張力が低い順に鉛直方向の上側から下側へ並べて配置されており、インク容器16a〜16dのそれぞれに対応するノズル88は、吐出するインクの表面張力が低い順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置されているので、インクの表面張力が低いものほどインク容器16a〜16d内のインクの液面と「ノズルの最下点」との高低差(以下、「水頭差」という。)が小さくなり、過大な「負圧」によるノズル88内への「空気の引き込み」を有効に防止することができる。
【0070】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係るインクジェットプリンタ160の内部の構成を示す簡略図である。
【0071】
インクジェットプリンタ160は、図9に示すように、ノズルキャップ20を搬送路Aと重なる領域に配置するとともに、インク容器16a〜16dを搬送路Aと下側領域S1とに跨る領域に配置したことを特徴としており、他の構成については、第1実施形態のインクジェットプリンタ10と同様である。
【0072】
このインクジェットプリンタ160においても、図7に示すように、インク容器16a〜16dの最高液面高さt1〜t4が、待機位置Rで停止された液体吐出ヘッド12における「ノズルの最下点」の高さT1〜T4と同じか、或いは、それよりも下方に位置しているので、ノズル88(図5、図6)からインクが漏れ出すのを防止することができる。また、インク容器16a〜16dは、収容したインクの表面張力が低い順に鉛直方向の上側から下側へ並べて配置されており、インク容器16a〜16dのそれぞれに対応するノズル88は、吐出するインクの表面張力が低い順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置されているので、インクの表面張力が低いものほど「水頭差」が小さくなり、過大な「負圧」によるノズル88内への「空気の引き込み」を有効に防止することができる。
【0073】
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタ170の要部を示す模式図である。
【0074】
インクジェットプリンタ170は、図10に示すように、インク吐出ヘッド172におけるインク流路N1〜N4を、そこを流れるインクの表面張力が低い順に鉛直方向の上側から下側へ並べて配置したこと、すなわち、インク容器16a〜16dのそれぞれに対応するノズル88を、吐出するインクの表面張力が低い順に鉛直方向の上側から下側へ並べて配置したことを特徴としており、他の構成については、第1実施形態のインクジェットプリンタ10と同様である。
【0075】
このインクジェットプリンタ170においても、インク容器16a〜16dの最高液面高さt1〜t4が、待機位置Rで停止された液体吐出ヘッド172における「ノズルの最下点」の高さT1〜T4と同じか、或いは、それよりも下方に位置しているので、ノズル88(図5、図6)からインクが漏れ出すのを防止することができる。また、インク容器16a〜16dは、収容したインクの表面張力が低い順に鉛直方向の上側から下側へ並べて配置されているので、インクの表面張力が低いものほど「水頭差」が小さくなり、過大な「負圧」によるノズル88内への「空気の引き込み」を有効に防止することができる。
【0076】
(第5実施形態)
図11は、本発明の第5実施形態に係るインクジェットプリンタ180の要部を示す模式図である。
【0077】
インクジェットプリンタ180は、図11に示すように、インク容器16a〜16dを水平方向へ並べて配置するとともに、インク吐出ヘッド182におけるインク流路N1〜N4を、そこを流れるインクの表面張力が低い順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置したこと、すなわち、インク容器16a〜16dのそれぞれに対応するノズル88(図5、図6)を、吐出するインクの表面張力が低い順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置したことを特徴としており、他の構成については、第1実施形態のインクジェットプリンタ10と同様である。
【0078】
このインクジェットプリンタ180においても、インク容器16a〜16dの最高液面高さt1〜t4が、待機位置Rで停止された液体吐出ヘッド182における「ノズルの最下点」の高さT1〜T4と同じか、或いは、それよりも下方に位置しているので、ノズル88(図5、図6)からインクが漏れ出すのを防止することができる。また、インク容器16a〜16dのそれぞれに対応するノズル88は、吐出するインクの表面張力が低い順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置されているので、インクの表面張力が低いものほど「水頭差」が小さくなり、過大な「負圧」によるノズル88内への「空気の引き込み」を有効に防止することができる。
【0079】
(その他の実施形態)
なお、上記の実施形態においては、4色のインクを吐出するインクジェットプリンタを例に挙げて説明したが、本発明は、3色、5色、或いはそれ以上の複数色を吐出するインクジェットプリンタにも適用可能であり、また、顔料ブラックインク(以下、「顔料BK」という。)と染料ブラックインク(以下、「染料BK」という。)の2色のインクを吐出する「モノクロ」のインクジェットプリンタにも適用可能である。たとえば、本発明を「モノクロ」のインクジェットプリンタに適用する場合において、「染料BK」の表面張力が「顔料BK」の表面張力よりも低ければ、「インク吐出ヘッド」においては、「染料BK」のインク流路が「顔料BK」のインク流路よりも鉛直方向の下側に配置され、2つの「インク容器」においては、「染料BK」を収容するインク容器が「顔料BK」を収容するインク容器よりも鉛直方向の上側に配置される。
【符号の説明】
【0080】
A… 搬送路
N1〜N4… インク流路
P… 用紙
T1〜T4… ノズルの最下点の高さ
t1〜t4… 最高液面高さ
S1… 下側領域
S2… 上側領域
10… インクジェットプリンタ
12… インク吐出ヘッド(液体吐出ヘッド)
14… 駆動部
16a〜16d… インク容器(液体容器)
18a〜18d… インクチューブ(液体チューブ)
20… ノズルキャップ
22… 用紙トレイ
24… 用紙搬送部
26… 制御部(停止手段)
44… バッファ部
52… 流路ユニット
54… アクチュエータユニット
84… 圧力室
88… ノズル
130… キャリッジ
136… 駆動ベルト
138… 駆動モータ
142… 搬送ローラ
150,160,170,180… インクジェットプリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出対象物へ向けて液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを鉛直方向へ往復移動させることによって前記ノズルを鉛直方向へ走査させる駆動部と、
前記ノズルの走査方向に対して直交する方向へ吐出対象物を搬送する搬送路と、
前記液体吐出ヘッドをその移動領域内に存在する所定の待機位置で停止させる停止手段と、
前記ノズルから吐出される液体を収容する液体容器と、
前記液体容器内の液体を前記液体吐出ヘッドに供給する液体チューブとを備え、
前記待機位置で停止された前記液体吐出ヘッドおよび前記液体容器の両方が、前記搬送路よりも上方に位置する上側領域または前記搬送路よりも下方に位置する下側領域のいずれか一方に配置されている、液体吐出装置。
【請求項2】
前記待機位置で停止された前記液体吐出ヘッドおよび前記液体容器の両方が、前記搬送路よりも下方に位置する下側領域に配置されている、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記液体容器は、表面張力の異なる液体を収容するように複数設けられており、
前記ノズルは、前記液体容器のそれぞれに個別に対応するように複数設けられており、
前記液体チューブは、前記液体容器内の液体を対応する前記ノズルに供給するように複数設けられており、
複数の前記液体容器は、収容した液体の表面張力が低い順に鉛直方向の上側から下側へ並べて配置されている、請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体容器は、表面張力の異なる液体を収容するように複数設けられており、
前記ノズルは、前記液体容器のそれぞれに個別に対応するように複数設けられており、
前記液体チューブは、前記液体容器内の液体を対応する前記ノズルに供給するように複数設けられており、
複数の前記ノズルは、吐出する液体の表面張力が低い順に鉛直方向の下側から上側へ並べて配置されている、請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記待機位置には、前記ノズルを覆うノズルキャップが配置されている、請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−37278(P2011−37278A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230289(P2010−230289)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【分割の表示】特願2008−281236(P2008−281236)の分割
【原出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】